説明

ポリヒドロキシアルカノエート生産の改善を示す脱調節された細菌

改善されたポリ3−ヒドロキシアルカノエート(PHA)を生産する特徴を持つ突然変異細菌およびそれらを生産し、使用する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高いレベルのポリヒドロキシアルカノエート(PHA)バイオポリマーを構成的に生産する突然変異した微生物に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー貯蔵化合物としてヒドロキシアルカン酸(ポリヒドロキシアルカノエート、PHA)のポリマーを合成して蓄積する、非常に多くの微生物の能力が以前から認識されている。このクラスの最も一般に見いだされる化合物はポリ(D(−)−3−ヒドロキシブチレート)(PHB)である。しかし、一部の微生物種はコポリマーを蓄積し、それらはヒドロキシブチレートに加え、より長い鎖のヒドロキシアルカノエートを含むことがある。これらのPHAは、生体適合性、生分解性であり、ポリエチレンおよびポリプロピレンのような石油化学を基礎にしたポリマーの特性に類似する物理的特性を提示する熱可塑性物質であるため、これらのバイオポリマーに関心が集まってきている。
【0003】
PHAを生産する代表的な1種の細菌、オーテルシアユートローファ(ラルストニアユートローファまたはアルカリゲネスユートロファスとしても公知)は、ホスフェートまたは窒素のような欠くことのできない栄養素の制限に反応して、発酵中にPHAを蓄積する。PHAは典型的には2段階(ツーステップ)の細菌発酵によって生産される。第1の段階では細菌は増殖性成長を可能にする十分な供給量の栄養素を含む培地で培養される。細菌は、通常1リットル毎の乾燥細胞重量として測定される十分な生物量に到達するまで、増殖することを許される。第2の段階では、成長に必要な少なくとも1種の栄養素、たとえば窒素またはリンの有用性が制限され、細胞分裂を制限し、PHA生産を誘導する効果を有する。栄養素制限がPHAの蓄積を誘導する場合、第2の段階まで顕著なPHA生産は起こらない。
【0004】
大部分のPHA‐生産微生物は、非制限の増殖条件下で顕著なレベルのPHAを生産しない。たとえば、オーテルシアユートローファ(ラルストニアユートローファ)は、栄養素が全く制限されない条件下で培養される場合、乾燥細胞の百分率として3%のPHAだけしか生産しないことが報告されている。Repaske et al.,Appl Environ Microbiol.32:585−591,1976。
【発明の開示】
【0005】
制限されないレベルの栄養素の存在下において、顕著なレベルのPHAを生産する改変された細菌の必要性が存在する。
発明の概要
本発明は、増殖性成長を可能にするために十分な量の栄養素を含む培地の存在下で、非改変細菌に比較して驚くべき量のPHAを生産する、単離された、栄養素‐脱調節、改変細菌を提供する。そのような細菌は、非制限レベルの窒素、リン、マグネシウム、スルフェートおよびカリウムのような重要な栄養素の存在下で顕著なレベルのPHAを生産する。
【0006】
本発明の新規な単離された細菌は、(a)栄養素のレベルが制限されない培養条件下で乾燥細胞重量で少なくとも10%のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を生産すること、および(b)鉄は制限されるが他の栄養素は著しく制限されない培養条件下で乾燥細胞重量で少なくとも20%のPHAを生産することが可能である。本発明は場合により、栄養素のレベルが制限されない培養条件下、乾燥細胞重量で約50%以上のPHAを生産し、鉄は制限されるが他の栄養素は著しく制限されない培養条件下、少なくとも10%のPHA生産の増加を提示する、以前に当該技術分野で公知の単離された細菌を除外する。
【0007】
代表的な細菌は、ラルストニア種、アルカリゲネス種、オーテルシア種、ズーグロエア種、バチルス種、アエロモナス種、アゾトバクター種、クロストリジウム種、ノカルジア種、ハロバクテリウム種、もしくはシュードモナス種、またはその組み合わせから選択される。本発明の細菌は、アルカリゲネスレータスおよびアゾトバクタービンランディ変異体(NADHオキシダーゼにおける突然変異)のような、栄養素のレベルが制限されない培養条件下、乾燥細胞重量で50%を越えるPHAを生産することが公知の細菌を明確に除外する。アルカリゲネスレータスは細胞の重量の約88.3%でPHBを生産し(Lee et al.,Polym.Degradation Stab.59:387−393,1998)、そしてアゾトバクタービンランディは細胞の重量の約94%でPHAを生産する(Page et al.,Can.J.Microbiol.41:106−114,1995)。
【0008】
そのような改変された細菌は、ホスフェート‐脱調節、または窒素‐脱調節のいずれかのように、1種の栄養素に関して調節が解除されてもよく、あるいは、たとえばホスフェート‐脱調節および窒素‐脱調節の両方であるように、2種以上の栄養素に関して調節が解除されてもよい。好ましくは、細菌は栄養素‐脱調節PHA‐生産微生物、または付加的に、生来でない(non-native)PHA‐生産遺伝子、たとえばphaC、Aおよび/またはBを含むように工学的に操作される、PHA‐ネガティブ突然変異体である。
【0009】
代表的な細菌は、それぞれ受託番号PTA−6759およびPTA−6760のもとで、2005年6月1日にAmerican Type Culture Collection(ATCC),P.O.Box 1549 Manassas,VA 20108,USAに寄託されたものである。
【0010】
本発明はまた、ATCC受託番号PTA−6759のもとで寄託された細菌またはATCC受託番号PTA−6760のもとで寄託された細菌の確認された特徴のすべてを提示する単離された細菌を提供する。そのような細菌の代表的な具体化は、寄託された細菌の子孫または寄託された細菌の突然変異体であり、それらは寄託された細菌の確認された特徴を保持する、すなわち、栄養素のレベルが制限されない培養条件下、改変されていない微生物に比較して、増大したPHA生産を引き起こす、同じまたは類似の突然変異を保持する。
【0011】
その上、本発明は本発明の単離された細菌および培地を含む培養物を提供する。本発明はさらに、本明細書に記載の、本発明のいずれかの細菌を使用してPHAを生産する方法を提供する。そのような生産方法は細菌がPHAを生産するために適切な培地中で細菌を培養する工程を含む。さらに、付加的な工程は、細菌を採取し、および/または細菌からPHAを抽出することを含む。あるいは、PHAが培地に分泌される場合、方法は適切な培地中で細菌を培養し、培地からPHAを抽出する工程を含んでいてもよい。
【0012】
十分な栄養素が微生物に供給され、増殖またはPHAの生産を可能にする限り、当該技術分野で公知のどのような培地および培養方法が使用されてもよい。一側面において、本発明はしたがって、必須栄養素が制限されない、すなわち、増殖性成長の停止を引き起こす程度まで決して制限されないような濃度で栄養素が存在する培地中でそのような細菌を培養する方法を提供する。例として、培養プロセスは、培地中の栄養素が増殖性成長を著しく損なうことになる濃度にまで制限されない場合、1つの発酵槽から別のものに細菌を移すこと(スケールアップすること)、ならびにバッチ状であることまたは継続的に栄養を与えることを含む。
【0013】
別の側面において、本発明はさらに2段階培養法に従った、本発明の細菌を培養する方法を提供し、該方法では、細菌はたとえば無機元素のような1種以上の必須栄養素が制限される培地中における培養の第2の工程を経験する。
【0014】
本発明はまた、細菌が脱調節されていない微量元素を制限することによってPHAを生産する、改善された方法を提供する。たとえば、十分な期間の増殖性成長後、たとえばマグネシウム、スルフェートまたは鉄、好ましくは鉄のような、リン以外の元素の制限レベルを含む培地中で、ホスフェート‐脱調節細菌を培養することによって、PHAの高められた生産が達成されてもよい。
【0015】
C4と中程度の鎖長のモノマー(たとえば5より多い炭素を持つモノマーユニット)からなるPHAコポリマーを生産する方法が提供される。代表的なコポリマーには、C6、C7、C8、C10、C12、C14、C16、およびC18コポリマー、たとえば、3−ヒドロキシヘキサノエート(HH)(C6)、3−ヒドロキシヘプタノエート(HHp)(C7)および/または3−ヒドロキシオクタノエート(HO)(C8)を含むコポリマー、とりわけC4およびC6(とりわけ3−ヒドロキシブチレートおよび3−ヒドロキシヘキサノエートまたは対応する酸)を含むコポリマー、たとえば、ポリヒドロキシブチレート−コ−ヘキサノエート(C4‐C6)、そして最もとりわけ80〜98mol%C4および2〜20mol%C6の範囲のコポリマーが挙げられる。付加的なコポリマーは米国特許第6,225,438号に記載される。
【0016】
発明の詳細な説明
本発明は、増殖性成長を可能にするために十分な量の栄養素を含む培地の存在下で、非改変細菌に比較して驚くべき量のPHAを生産する、単離された、改変「栄養素‐脱調節」細菌を提供する。そのような改変された細菌は、たとえばホスフェート‐脱調節、または窒素‐脱調節のいずれかのように、1種の栄養素に関して調節が解除されてもよく、あるいは、たとえばホスフェート‐脱調節および窒素‐脱調節の両方であるように、2種以上の栄養素に関して調節が解除されてもよい。他の代表的な改変細菌には、マグネシウム‐脱調節、スルフェート‐脱調節、カリウム‐脱調節または鉄‐脱調節微生物が挙げられる。
【0017】
代表的な態様において、本発明の細菌は、(a)栄養素のレベルが制限されない培養条件下、乾燥細胞重量で少なくとも10%、20%、25%、もしくは30%、またはそれより多いPHAを生産すること、および(b)鉄は制限されるが他の栄養素は著しく制限されない培養条件下、乾燥細胞重量で少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、もしくは80%、またはそれより多いPHAを生産することが可能である。そのような細菌には、PHAを生産する、当該技術分野で公知のどんな細菌も含まれるが、それぞれ細胞重量の90%を越えるレベルまでPHBを蓄積するアルカリゲネスレータスおよびアゾトバクタービンランディ突然変異体(NADHオキシダーゼにおける突然変異)のような、栄養素のレベルが制限されない培養条件下、乾燥細胞重量で少なくとも50%を越えるPHAを生産することが公知の細菌を明確に除外する。
【0018】
ホスフェート脱調節細菌においてPHAを生産することにより、重要な栄養素の制限を全く含まない栄養に富んだ培地の存在下でさえPHA生産は構成的に起こる。発酵の間中、栄養に富んだ培地、またはより栄養に富み、安価な培地を利用する能力は、軽減された費用において、より速い細菌の増殖、より多いPHA生産、そしていっそう工業的に健全なPHA生産プロセスを可能にする。(実施例8および9を参照されたい)。1種以上の栄養素を制限する必要性を除くことはまた、連続的な発酵を可能にする(すなわち、2段階培養法の必要性を排除する)。
【0019】
本明細書で使用する“単離された細菌”は、確認され、その自然環境の要素から分離されている細菌の単独株の集団を表す。たとえば、人工的な培地を含む培養組成物の一部である細菌は単離されたと判断される。
【0020】
本明細書で使用する“非制限レベルの栄養素を含む培地”または“栄養素のレベルが制限されない培地”は、細菌が速やかに増殖することを可能にするためのすべての栄養素の適切な供給量を含む培地を表す。同様に、“栄養素の非制限レベル”は、速やかな増殖性成長を支持するために適切な、培地におけるその栄養素の濃度を表す。逆に、“栄養素が制限される培地”は、細菌の増殖性成長を本質的に停止させる濃度にまでその栄養素のレベルが減らされる培地を表し、そして“栄養素の制限されたレベル”は細菌の増殖性成長を本質的に停止させる、培地中のその栄養素の濃度を表す。
【0021】
本明細書で使用する“増殖性成長”は、急激な増殖相中に観察されるような、細菌数の速やかな増加を表す。
本明細書で使用する“リン‐脱調節”細菌は、リンまたはホスフェート調節における欠陥を有し、その結果通常はリン枯渇によってアップレギュレートされる(または抑制される)1種以上の遺伝子が構成的にアップレギュレートされる(または抑制される)細菌を表し、たとえリンの枯渇がなくても細菌は増大したレベルのPHAを合成する結果になる。同様に、“窒素‐脱調節”細菌は、窒素調節における欠陥を有し、そのため通常は窒素枯渇によってアップレギュレートされる(または抑制される)1種以上の遺伝子が構成的にアップレギュレートされる(または抑制される)細菌を表し、たとえ窒素が枯渇しなくても細菌は増大したレベルのPHAを合成する結果になる。他の栄養素‐調節が解除された細菌の意味は同様に対応する。
【0022】
本明細書で使用する“PHA‐ネガティブ”突然変異細菌は、PHBまたはPHAを生産しないように突然変異している細菌を表す。たとえば、Schlegel et al.,Arch.Mikrobiol.71:283−4830,1970]を参照されたい。そのような細菌は、所望するPHA遺伝子を挿入することにより、たとえば、アエロモナスカビアエ(Aeromonas caviae)由来の野生型phaC遺伝子(Fukui et al.,J.Bacteriol.179:4821−4830,1997;および米国特許第5,981,257号)を発現するpJRDEE32dl3により形質転換することによってPHAを生産するように遺伝子工学的に操作されてもよい。
【0023】
限定的でない例として、たとえば、リン‐脱調節細菌に関しては、そのような細菌は、リンまたはホスフェート検出に関係する遺伝子または調節領域(たとえば、プロモーター、オペレーター、レギュレーターにとってのDNA結合部位など)(その結果、何もない場合に細菌がリン枯渇を検出するように見える);またはホスフェート輸送に関係する遺伝子もしくは調節領域;またはリン枯渇に反応して他の遺伝子を活性化するポジティブホスフェートレギュレーター(または逆にリン枯渇に反応して遺伝子を抑制する別のレギュレーター)の遺伝子または調節領域;または過剰なホスフェートに反応して遺伝子を抑制するネガティブホスフェートレギュレーター(または逆に過剰なホスフェートに反応して遺伝子を活性化する別のレギュレーター)の遺伝子または調節領域;または転写がそのようなポジティブまたはネガティブホスフェートレギュレーターによって調節されるダウンストリーム遺伝子(またはその調節領域)の1種;または主要なポジティブおよびネガティブホスフェートレギュレーターを改変するか、または調節する遺伝子(またはその調節領域)の1種、における突然変異を有していてもよい。嫌気的および好気的条件下で異なる調節経路が存在しうる。
【0024】
リン調節に関係する代表的な遺伝子には、大腸菌遺伝子pstA(phoA)(ホスフェート輸送に関係する)、pstB(ホスフェート輸送に関係する)、phoW(pstC)(ホスフェート輸送に関係)、phoS(ホスフェート結合タンパク質)、phoU(ホスフェート輸送に関係する)、phoE(外膜タンパク質ポーリン)、ugpB(グルセロール−3−ホスフェート結合タンパク質)、phoR(ネガティブホスフェートレギュレーター)、phoB(ポジティブホスフェートレギュレーター)、phoM(ポジティブホスフェートレギュレーター)、psiE(ホスフェート飢餓状態誘導性遺伝子)、phn(psiD)(ホスフェート飢餓状態誘導性遺伝子)、phoG(psiH)(ホスフェート飢餓状態誘導性遺伝子)に相同な遺伝子が挙げられる。たとえば以下の参考文献中のそのような遺伝子および経路の説明を参照されたい:Amemura et al.,J.MoI.Biol.184:241−250,1984;Makino et al.,J.MoI.Boil.190:37−44,1986;Wanner et al.,“Phosphate Regulation of gene expression in Escherichia coli”Escherichia coli and Salmonella typhimurium 1326−1333,1987;Yamada et al.,J.Bacteriol.171:5601−5606,1989;Rao et al.,J.Bacteriol.180:2186−2193,1998;Novak et al.,J.Bacteriol.181:1126−1133,1999;and Kim et al.,J.Bacteriol.182:5596−5599,2000。
【0025】
窒素調節に関係する代表的な遺伝子には、AmtA(アンモニウム輸送に関係する)、GInD(ウリジリルトランスフェラーゼ/ウリジリル‐除去酵素)(細胞内窒素状態を感知することに関係する)、GInB(Pl1)(細胞内窒素状態を感知することに関係する)、GInK(窒素調節に関係するシグナル伝達タンパク質)、glnE(アデニリルトランスフェラーゼ)、NtrB(窒素レギュレーターである感覚ヒスチジンタンパク質キナーゼ)、NtrC(窒素反応レギュレーターであるDNA結合タンパク質)、rpoN(一部のシュードモナス種)、GInR(過剰な窒素によって活性化されるバチルスにおけるネガティブ窒素レギュレーター)、TnrA(窒素制限によって活性化されるバチルスにおけるレギュレーター)、CodY(過剰な窒素によって活性化されるバチルスにおけるネガティブレギュレーター)が挙げられる。NtrBCによって転写的に調節される遺伝子には、glnALG、glnHPQ、argT、hisJQMP、nasFEDCBA、nac、gltFが挙げられる。たとえば以下の参考文献中のそのような遺伝子および経路の説明を参照されたい:Merrick et al.,Microbiol.Rev.59:604−622,1995;Atkinson et al.,Molecular Microbiol.29:431−437,1998;Fisher,Molecular Microbiol.32:223−232,1999;およびBlauwkamp et al.,Molecular Microbiol.46:203−214,2002。
【0026】
ラルストニアメタリデュランスCH34、以前はラルストニアユートローファおよびアルカリゲネスユートロファス(そしてクプリアビドスネカターもしくはオーテルシアユートローファとしても呼ばれていた)は配列決定されていて、配列データはDepartment of Energy’s Joint Genome Institute(JGI)から利用可能である。ラルストニアユートローファ、以前はアルカリゲネスユートロファスCH34のゲノム配列もBrookhaven National Laboratoryから利用可能である。ラルストニアソラナセラムのゲノム配列は、GenoscopeおよびNCBIから利用可能である。ラルストニアゲノム配列は、たとえばBLASTを使用して検索し、大腸菌または他の細菌のレギュレーターに対する相同性を持つ配列を確認してもよい。
【0027】
細菌は放射能または他の突然変異誘発物質の適用により改変されてもよく、あるいは細菌は遺伝子工学により改変されてもよい。実施例1〜3は所望する特徴を持つ細菌の変異誘発および選択を説明する。手短に述べると、R.ユートローファのPHA‐ネガティブ突然変異体は突然変異を誘発され、ホスフェートの非制限濃度を含む培地で突然変異を誘発された細菌を培養し、アルカリ性ホスファターゼ活性を検出することにより、ホスフェート脱調節に関して選択される。他の栄養素‐脱調節突然変異細菌は、類似の手順(たとえば、突然変異を誘発し、その後窒素、または他の所望する栄養素の非制限量を含む培地で培養すること)を使用して得られる。
【0028】
好ましい突然変異細菌は活発な増殖性成長相(対数相としても公知)中に、構成的なPHA生産の増大したレベルを提示し、ホスフェート、窒素などのような栄養素の非制限濃度の存在下においてさえ、より早い時点で、ほぼ最大に近いPHAの蓄積を導く。
【0029】
このような方法で作製された代表的な細菌は、2005年6月1日にそれぞれ受託番号PTA−6759およびPTA−6760のもとでAmerican Type Culture Collection(ATCC),P.O.Box 1549 Manassas,VA 20108,USAに寄託されている。
【0030】
所望する脱調節の特徴に帰着する、同じか、または類似の突然変異を保持する細菌の子孫または突然変異体は本発明によって企図される。たとえば、そのような細菌は、それらが栄養素‐脱調節の特徴を保持する限り、さらに突然変異を誘発されて、付加的な望ましい特徴を持つ細菌が単離されてもよい。付加的な望ましい特徴はまた、組換え遺伝子工学的操作を通じて与えられてもよい。たとえば、所望する特徴に関与する新規な遺伝子がプラスミドまたは組換えにより導入されてもよく、あるいは細菌のゲノム中の既存の遺伝子または調節領域が変異してそれらが活性化または不活性化されてもよい。
【0031】
その上、観察されたホスフェート‐または窒素‐脱調節表現型に関与する突然変異は、たとえば、変異した細菌のゲノムまたは遺伝子産物を配列決定して突然変異を確認すること、または制限フラグメント長多形解析(制限酵素により消化して突然変異によって作製された異なる制限部位を確認すること)、またはハブリダイゼーションパターン解析(プローブと同であるゲノム配列と突然変異を含むゲノム配列を識別するハイブリダイゼーション条件下での、既知の配列のプローブへのハイブリダイゼーション)、または当該技術分野で公知の突然変異検出のための他の方法により確認することができる。突然変異を確認した後で、野生型細菌はそれらのゲノムにおける挿入または欠失により同じ領域(たとえば、調節領域または遺伝子)に突然変異を含むように遺伝子工学的に操作されてもよい。
【0032】
細菌がPHA‐ネガティブ突然変異体である場合、それらは好ましくは、たとえば、アエロモナスカビアエ由来のphaC遺伝子(Fukui et al.,J.Bacteriol.179:4821−4830,1997;および米国特許第5,981,257号)を発現するプラスミドにより形質転換することによって、所望するPHA‐生産遺伝子、たとえばphaC、Aおよび/またはBを含むように付加的に工学的に操作され、そのことがPHA生産を可能にする。代わりとなる代表的な遺伝子には、シュードモナスフルオレセンス由来のphaC(米国特許第6,475,734号)またはアエロモナスハイドロフィラ4AK4由来のphaC(SEQ ID NO:1)が挙げられる。米国特許第5,661,026号および5,798,235号を参照されたい。
【0033】
細菌
本発明はポリヒドロキシアルカノエートを生産しうる任意の細菌を企図する。これらはには、オーテルシア、アルカリゲネス、ラルストニア、ズーグロエア、バチルス、アエロモナス、アゾトバクター、クロストリジウム、ノカルジア、ハロバクテリウムおよびシュードモナス属に属する種が挙げられるが、それらに限定されない。細菌は自然のままでも、遺伝子工学的に操作されてもよい。とりわけ、ラルストニア、バチルス、シュードモナスおよびアゾトバクターが典型的に使用される。以前にラルストニアユートローファとして公知であり、以前アルカリゲネスユートロファスとして呼ばれた、オーテルシアユートローファが最も典型的に使用される。ラルストニア(アルカリゲネス)属に属する、これらの細菌の細菌学的特性はたとえば、“BERGEY’S MANUAL OF DETERMINATIVE BACTERIOLOGY,8版,The Williams & Wilkins Company/Baltimore”に記載される。本発明の細菌は、それぞれ細胞重量の90%を越えるレベルまでPHAを蓄積するアルカリゲネスレータスおよびアゾトバクタービンランディ突然変異体(NADHオキシダーゼにおける突然変異)のような、栄養素のレベルが制限されない培養条件下、乾燥細胞重量で少なくとも50%を越えるPHAを生産することが公知の細菌を明確に除外する。
【0034】
培地
細菌の増殖に必要な必須栄養素には炭素源および、通常容易に吸収可能な形態で、典型的には水溶性の塩として存在する少なくとも以下の無機元素:窒素、リン、イオウ、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、および鉄が挙げられ、場合により、微量のマンガン、亜鉛、ニッケル、クロム、コバルトおよび/または銅を伴う。
【0035】
炭素源は、合成の、天然の、または改変された天然の炭素源を含む、細菌によって利用されうるいずれかの物質である。代表的な炭素源には、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、およびより長い鎖の脂肪酸を含む脂肪酸;または脂肪酸の塩、エステル(ヒドロキシルが置換された酸の場合にはラクトンを含む)、無水物、アミドもしくはハライド;コーン油、ダイズ油、パーム核油、綿実油、菜種油、ピーナッツ油、これらの型の植物油のいずれかの分別蒸留されたオイル、および/またはその誘導体、および/またはその混合物のような植物油源を含むオイル;メタノール、エタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノールおよびデカノールを含むアルコールならびにイソおよび他の分岐鎖脂肪酸またはアルコールおよび酢酸;二酸化炭素、酵母抽出物、糖蜜、ペプトン、および食肉抽出物のような他の炭素源、アラビノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、ソルビトール、マンニトールおよびイノシトールのような糖類が挙げられるが、それらに限定されない。
【0036】
代表的な窒素源には、アンモニア、アンモニウム塩、ニトレートのような無機窒素化合物、および/または尿素、コーンスティープリカー(corn steep liquor)、カゼイン、ペプトン、酵母抽出物、および食肉抽出物のような有機窒素含有化合物が挙げられる。
【0037】
代表的な無機成分には、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マンガン塩、亜鉛塩、鉄塩、銅塩、モリブデン塩、コバルト塩、ニッケル塩、クロム塩、ホウ素化合物、またはヨウ素化合物が挙げられる。
【0038】
場合により、ビタミンが培地に含まれうる。
細菌培養法
本発明の栄養素‐脱調節細菌は必須栄養素が制限されない培地においても、十分なレベルのPHA生産を達成しうる。細菌を培養する方法は、単に適切な培地で細菌を培養することを含む。細菌は増殖中でさえ、顕著なレベルのPHAを生産することになる。当該技術分野で公知の、および/または本明細書に記載の細菌の増殖性成長を促進する、任意の培地および適切な培養条件が使用されてよい。
【0039】
培養温度は、微生物に依存して変化してもよい。ラルストニアの場合、代表的な培養温度は、約20〜40℃、好ましくは約25℃〜35℃の範囲であってもよく、そしてpHはたとえば、約6〜10、好ましくは約6.5〜9.5である。培養はこれらの条件下、好気的に行われる。
【0040】
速やかな増殖およびPHAの生産を考慮する栄養に富んだ培地を使用して、生産費用を著しく下げることができる連続的な発酵装置が設計可能である。(Principles of Fermentation Technology,2版,P.F.Stanbury,A.Whitaker and S.J. Hall編,Butterworth−Heinemann発行,1984,pp.16−27;Henderson et al.,Microbiology 143:2361−2371,1997;Ackermann et al.,Polymer Degradation and Stability 59:183−186,1998を参照されたい。)
例として、ワンステップ培養プロセスは、1つの発酵槽から別のものに細菌を移すこと(スケールアップすること))、ならびにバッチ状であることまたは連続的に培地に栄養を与えることを含む。1種以上の必須栄養素が制限される第2培養工程の欠如は、より速い細菌の増殖、より多いPHA生産、そして安い費用でのいっそう工業的に活発なPHA生産プロセスを提供する。
【0041】
ツーステップ培養
あるいは、細菌はたとえば、米国特許第5,364,778号または米国特許第5,871,980号または米国特許第6,225,438号に記載の慣用の方法を含む、ツーステップ培養法に従って培養されてもよい。本発明の細菌にとってそのようなツーステップ培養法を利用することは必ずしも必要ではないが、本発明の細菌はそのような慣用の方法に従って培養されてもよい。
【0042】
手短に述べると、第1ステージでは、細菌は非増殖制限条件下で培養され、そして細菌は、通常決まった1リットル毎の乾燥細胞重量として測定される、十分な生物量に到達するまで増殖することが許される。第2ステージでは、増殖に必要な少なくとも1種の栄養素が制限され、それで増殖性成長が停止し、増大したPHA生産が開始する。酸素供給を制限することによりPHA生産を高めることは可能であるが、制限するための最も実用的な栄養素は窒素、リン、またはやや好ましいものはマグネシウム、イオウ、カリウム、もしくは鉄である。
【0043】
任意の炭素源がどのステージでも使用されうる。ある先行技術プロセスでは、第1ステージで使用される培地は容易に代謝可能な炭素源、たとえばグルコースのような炭水化物を含み、一方、第2ステージで使用される培地はたとえば脂肪酸または脂肪アルコールのような、より複雑な炭素源を含む。
【0044】
一部のプロセスでは、細菌細胞は、第1工程で得られた培養液から分離によって、濾過または遠心分離のような慣用の固体‐液体分離手段によって回収され、そのようにして得られた細胞は第2工程で培養に供される。あるいは、第1工程の培養では、欠くことのできない栄養素が実質的に枯渇し、そして、その中で培養されることになる細胞を分離によって回収せずに、培養液は第2工程での培養に移すことができる。
【0045】
代表的な1方法では、細菌ははじめにすべての栄養素の十分な供給量を含む培地に置かれ、増殖性成長が許される。細胞が増殖し栄養素を消費するに従い、少なくとも1種の必須栄養素、たとえば無機元素の供給は、増殖性成長の停止、および増大したPHA生産を引き起こす制限レベルに減らされる。栄養素を含む培地が細菌に再供給される場合、そのような培地は少なくともこの必須栄養素において制限され続ける。
【0046】
別の代表的な方法では、培地は連続的に、または種々の時間間隔で供給され、供給される初期の培地は非‐制限レベルの栄養素を含み、十分な増殖性成長の期間後、供給される培地は少なくとも1種の必須栄養素において制限される。
【0047】
米国特許第6,225,438号は、PHA‐生産細菌が、より高いレベルの中程度の鎖長のモノマー(たとえば、5炭素より大きいモノマーユニット)を含むPHAコポリマーを生産するようにそれらを培養し、増大した柔軟性およびプロセッシング能、減少した成形中の熱分解および優れた成形性を持ち、好ましくは約30〜150℃の融点温度を有するコポリマーを生じることになる付加的な方法を記載する。方法は、6以上の炭素を含む炭素鎖を持つ脂肪酸および/または脂肪アルコールおよび脂肪酸酸化阻害剤の存在下で細菌を培養することを含む。そのような方法は本発明の細菌と共に使用することができる。
【0048】
炭素源および脂肪酸酸化阻害剤は、第2工程の培養中、培養の初めのステージから最後のステージまでの任意の時期に添加されてもよい。初めのステージでの添加が好ましい。この方法に記載の適切な脂肪酸酸化阻害剤の例としては、:アクリル酸、2−ブチン酸、2−オクチン酸、S−フェニルプロプリオン酸、R−フェニルプロプリオン酸、プロピオール酸、およびtrans‐桂皮酸が挙げられるが、それらに限定されない。阻害剤は酸自体またはその塩でありうる。アクリル酸ナトリウムは1種の好ましい脂肪酸酸化阻害剤である。脂肪酸酸化阻害剤は、3−ヒドロキシヘキサノエート(HH)(C6)、3−ヒドロキシヘプタノエート(HHp)(C7)および/または3−ヒドロキシオクタノエート(HO)(C8)コポリマーの蓄積を所望する量まで増やすことができる量で使用してもよいが、細胞への受容可能なレベルの毒性を有する。たとえば、アクリル酸ナトリウムは約1〜40mM、好ましくは10〜35mMそしてより好ましくは25〜32mMの培地中濃度で使用されてもよい。
【0049】
栄養素制限によるPHA生産の増大
本発明の細菌は培養中にいずれかの必須栄養素を制限する必要なしに、構成的に顕著なレベルのPHAを生産する。しかし、たとえば、リン、窒素、マグネシウム、スルフェート、カリウムまたは鉄の制限のような栄養素制限により、より高いレベルのPHA生産が達成されてもよい。好ましくは、制限された栄養素は細菌が脱調節しない栄養素である。たとえば、本明細書に記載の1種のホスフェート‐脱調節微生物由来のPHA生産はホスフェート制限によって増大しないが、鉄制限によって増大する。PHAの生産は鉄と別の無機元素の種々の組み合わせを制限することによって最大化されてもよい。
【0050】
一態様において、培地の鉄濃度はホスフェート対鉄の比が、約50もしくはそれより高い、約350もしくはそれより高い、または約500もしくはそれより高い、または約2800もしくはそれより低い、または約1400もしくはそれより低い、または約900もしくはそれより低いように制限される。代表的な範囲としては、約58〜約2773、または約350〜約1400、または約500〜900、または約600〜800、たとえば693が挙げられる。
【0051】
PHAコポリマーの抽出
細菌は、濾過または遠心分離のような慣用の固体‐液体分離手段を含むがそれらに限定されない、当該技術分野で公知のいずれかの手段によって培養液から採取されてもよい。
【0052】
PHAコポリマーは、以下の代表的な手順を含む、当該技術分野で公知のいずれかの方法により細菌から抽出されてもよい。
細菌細胞は培養液から採取され、細胞は水に懸濁した0.1M NaCl、50mM Tris−HCl、pH8.0で1回洗浄され、その後凍結乾燥される。PHAコポリマーは細胞乾燥重量に対して約50:1のクロロホルムで、少なくとも約5時間、還流することによってクロロホルムに抽出される。抽出物はWhatman #4濾紙を通して濾過し、最少容積にまで乾燥して濃縮し、10x容積のジエチルエーテル/ヘキサン3/1v/vに粘性溶液を添加することによりPHAコポリマーが沈殿する。材料は栓をしたテフロン遠心分離チューブで遠心分離し、エチルエーテル/ヘキサンで1回洗浄し、その後真空下で一晩乾燥する。それ以上のPHAコポリマーの分別蒸留は沸騰アセトン中で、5時間、固体エチルエーテル/ヘキサン沈殿PHAコポリマーを還流することによって行われる。アセトン抽出物は窒素下で乾燥し、PHAコポリマーはクロロホルムに溶かし、エチルエーテル/ヘキサンで沈殿する。あるいは、乾燥した細胞はアセトンで直接抽出し、可溶性PHAコポリマーは窒素下で乾燥し、クロロホルムに溶かし、そしてエチルエーテル/ヘキサンで沈殿させることにより単離される。
【0053】
その上、コポリマー生成物は、種々の有用な物理的形態でPHAコポリマーを生産するための種々の刊行された手順を使用して、細菌から回収することができる。これらには、、塩素化溶媒(たとえば、米国特許第4,562,245号)、非‐塩素化溶媒(WO公開番号97/07230)、マージナル(marginal)溶媒(米国特許第5,821,299号)を使用した化学的抽出、例が米国特許第4,910,145号に記載される、PHA粒子を分離するための熱および酵素の使用、または空気分級(米国特許第5,849,854号)および遠心分離(米国特許第5,899,339号)のような物理的手段の使用が挙げられる。
【0054】
PHA生産の定量化または比較評価
採取された細胞は、乾燥し、重量を量り、そしてPHAは記載された塩素化溶媒を使用して抽出される。抽出されたPHAは一晩真空下で乾燥し、重量を測定し、乾燥した生物量中のPHA百分率および発酵した培養液中の力価を得る。あるいは、PHAはガスクロマトグラフィー(GC)により定量的および定性的に分析される。液体培養物は10,000gで15分間遠心分離し、その後細胞は0.9%塩化ナトリウム生理食塩水で2回洗浄し、一晩凍結乾燥する。乾燥した凍結乾燥細胞材料(8〜10mg)は15%(v/v)硫酸の存在下で加メタノール分解される。成分3−ヒドロキシアルカン酸の得られたメチルエステルはBrandl et. al.(Appl.Environ.Microbiol.54:1977,1988)に従い、(Timm et al.,Appl.Environ.Microbiol.56:3360,1990)に詳細に記載されたようにGCによりアッセイされる。GC分析は、直径0.5m Permphase PEG25Mxキャピラリーカラム 長さ60mを使用して、3Lの試料をAgilent Technologies model 6850ガスクロマトグラフ(Waldbronn, Germany)に注入することにより行われる。
【0055】
生産されたPHAの使用
本発明はまた、本発明の細菌により生産されたPHAを提供する。そのようなPHAは繊維、成形された品物、およびフィルムに変換され、PHAに関して当該技術分野で公知のいずれかの適用、または、手術用の糸もしくは骨固定材料(bone setting material)のような医用材料、おむつもしくはトイレ用品のような衛生用品、マルチフィルム、徐放化学製品のような農業もしくは園芸材料、魚網のような漁業材料、および/またはビン、ファストフードラップおよび箱のような包装材料を含む他のプラスチックに使用される。
【0056】
実施例
本発明は以下の限定的でない実施例を参照することにより、いっそう詳細に記載され、それらはいっそう十分に本発明を説明することを意図されるが、その範囲を限定すると解釈されることにはならない。本実施例は栄養素‐脱調節ラルストニアユートローファの単離、PHA生産のための、上記の脱調節ラルストニアユートローファの発酵プロセス、および微量元素を制限することによるPHAの改善された生産を説明する。
【実施例1】
【0057】
ホスフェート‐脱調節ラルストニアユートローファの単離
ホスフェート‐脱調節ラルストニアユートローファは以下のように単離される。ラルストニアユートローファのPHAネガティブ突然変異体は、酵母抽出物(10mL、3%)を含む100mLの振とうフラスコ中、OD600が10を越えるまで、30℃で16〜20時間、200rpmで培養される。培養物(3ml)は27mLの滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に移される。希釈した細胞5mLは突然変異していない対照として、平板培養するために除去し、残っている懸濁液(25mL)は、暗所で連続的に攪拌しながら、十分なUV照射に暴露し、1〜10%の生存率を得る。照射した培養物のアリコート1mLは、100mLの振とうフラスコ中のあらかじめ温めた、栄養素に富んだ11mLの培地(1%w/vポリペプトン、1%w/v酵母抽出物、0.5%w/v牛肉抽出物、0.5%w/v硫酸アンモニウム、pH7)に移す。フラスコはアルミニウムホイルで包み、光回復を最少化し、30℃で3時間、200rpmで、暗所で振とうし、細胞を隔離し、突然変異を“定着”させる。隔離された細胞は、比色定量用アルカリ性ホスファターゼ基質、BCIP(40g/ml)を含むLB寒天培地(1%w/v トリプトン、0.5%w/v 酵母抽出物、0.5%w/v塩化ナトリウム、pH7)で培養され、そして細胞は2〜3日間、30℃でインキュベートされる。非常に濃い暗青色コロニーがラルストニアユートローファのホスフェート‐脱調節株候補として単離される。代表的なホスフェート‐脱調節ラルストニアユートローファは、2005年6月1日に受託番号PTA−6759のもとでAmerican Type Culture Collection(ATCC),P.O.Box1549 Manassas,VA 20108,USAに寄託されたものである。
【実施例2】
【0058】
窒素‐脱調節ラルストニアユートローファの単離
窒素‐脱調節ラルストニアユートローファは以下のように単離される。ラルストニアユートローファのPHAネガティブ突然変異体は、酵母抽出物(10mL、3%)を含む100mLの振とうフラスコ中、OD600が10を越えるまで、30℃で16〜20時間、200rpmで培養される。培養物(3ml)は27mLの滅菌リン酸緩衝生理食塩水に移される。希釈した細胞5mLは突然変異していない対照として、平板培養するために除去し、残っている懸濁液(25mL)は、暗所で連続的に攪拌しながら、十分なUV照射に暴露し、1〜10%の生存率を得る。照射した培養物のアリコート1mLは、100mLの振とうフラスコ中のあらかじめ温めた、栄養素に富んだ11mLの培地(1%w/vポリペプトン、1%w/v酵母抽出物、0.5%w/v牛肉抽出物、0.5%w/v硫酸アンモニウム、pH7)に移す。フラスコはアルミニウムホイルで包み、光回復を最少化し、30℃で3時間、200rpmで、暗所で振とうし、細胞を隔離し、突然変異を“定着”させる。隔離された細胞は、200mMのアンモニウム類似体メチルアミンと0.1%w/vグリシンのような複合窒素源を含む最少寒天培地で培養し、少なくとも3日間、30℃でインキュベートする。十分に増殖するように見えるコロニーが窒素‐脱調節株候補として単離される。
【実施例3】
【0059】
二重‐脱調節(ホスフェート‐および窒素共に脱調節された)ラルストニアユートローファの単離
ホスフェートおよび窒素の両方が脱調節されたラルストニアユートローファは以下のように単離される。実施例1由来のラルストニアユートローファのDSM541ホスフェート‐脱調節突然変異体は、酵母抽出物(10mL、3%)を含む100mLの振とうフラスコ中、OD600が10を越えるまで、30℃で16〜20時間、200rpmで培養される。培養物3mlは27mLの滅菌リン酸緩衝生理食塩水に移される。希釈した細胞5mLは突然変異していない対照として、平板培養するために除去し、残っている懸濁液(25mL)は、暗所で継続的に攪拌しながら、十分なUV照射に暴露し、1〜10%の生存率を得る。照射した培養物のアリコート1mLは、100mLの振とうフラスコ中のあらかじめ温めた栄養素に富んだ11mLの培地(1%w/vポリペプトン、1%w/v酵母抽出物、0.5%w/v牛肉抽出物、0.5%w/v硫酸アンモニウム、pH7)に移す。フラスコはアルミニウムホイルで包み、光回復を最小化し、30℃で3時間、200rpmで、暗所で振とうし、細胞を隔離し、突然変異を“定着”させる。隔離された細胞は、200mMのアンモニウム類似体メチルアミンと0.1%w/vグリシンのような複合窒素源を含む最少寒天培地で培養し、少なくとも3日間、30℃でインキュベートする。十分に増殖するように見えるコロニーが二重‐脱調節(ホスフェート‐および窒素共に脱調節された)株候補として単離される。代表的なホスフェート‐および窒素‐脱調節ラルストニアユートローファは2005年6月1日に受託番号PTA−6760のもとでAmerican Type Culture Collection(ATCC),P.O.Box1549 Manassas,VA 20108,USAに寄託されたものである。
【実施例4】
【0060】
PHA遺伝子を持つ栄養素‐脱調節ラルストニアユートローファの形質転換
栄養素‐脱調節ラルストニアユートローファ細胞は種々のPHA生産遺伝子により形質転換され、たとえばアエロモナスカビアエ由来の野生型phaC遺伝子(Fukui et al.,J.Bacteriol 179:4821−4830,1997;および米国特許第5,981,257号)を発現するプラスミドpJRDEE32dl3により形質転換され、PHA生産を可能にする。多様な形質転換法、たとえば、Park et.al.に記載されたエレクトロポレーション(Biotechnology Techniques 9:31−34,1995)またはFriedrich et.al.に記載された大腸菌S17−1によるトランス接合(J.Bacteriology 147:198−205,1981)によるものが当該技術分野で公知である。
【0061】
その後、細菌は、脱調節された栄養素、たとえばリン(または二重に脱調節された栄養素、たとえばリンおよび窒素)の非制限濃度を含む培地中で培養され、以下に示すようにPHA蓄積が測定される。
【実施例5】
【0062】
PHA蓄積の測定
細菌は遠心分離し、0.1M NaCl、50mM Tris 8.0で1回洗浄し、遠心分離し、2〜3mLの水に懸濁し、凍結し、2日間凍結乾燥する。乾燥した細胞は、1mLクロロホルム+1mLメタノール中15%硫酸の中で、100℃で4時間反応させる。試料は1mLのクロロホルムプラス1mLの1M NaClの添加により相分離される。クロロホルム相は無水硫酸ナトリウム処理して乾燥し、1mLを除去し、窒素下で、またはフード中で一晩、試料バイアル中で乾燥する。試料は1mLアセトンプラス1g/L安息香酸メチルに溶解し、栓をする。あるいは、10g/Lの安息香酸メチル100μLを1mLのクロロホルムに直接添加し;試料に栓をして、分析する。
【0063】
試料は、20cm/秒直線流速に等しい1cm/秒流速のヘリウムを使用して、30m、0.32mmID、0.25μmフィルムSupelcowax10カラムを使用してHP5890 GCで分析する。インジェクターは225℃にセットし、FID検出器は300℃にセットする。1μL(50:1スプリット)注入後、オーブン温度は2分間、80℃に保ち、10℃/分で230℃まで徐々に温度を上げ、12分間230℃に保つ。あるいは、試料は上記と同じプログラムを使用して、J&W DB−5MS(part122−5531、30m、0.25mm ID、0.1μmフィルム)で分析するが、最終温度は230℃に7分間保つ。
【0064】
標準物として使用する3−ヒドロキシアルカノエートおよびメチル3−ヒドロキシアルカノエートはSigma(カタログ#H6501 dl−β−ヒドロキシブチル酸、カタログ#H4023 3−ヒドロキシカプリル酸メチルエステル、カタログ#H3773 3−ヒドロキシカプリン酸メチルエステル、カタログ# H3523 3−ヒドロキシラウリン酸メチルエステル、カタログ#H4273 3−ヒドロキシミリスチン酸メチルエステル、カタログ#H4523 3−ヒドロキシパルミチン酸メチルエステル)から購入し、3−ヒドロキシカプロン酸メチルエステルはラウリン酸上で培養したアエロモナスヒドロフィラから調製されたPHAコポリマーから確認される。
【実施例6】
【0065】
ポリ3−ヒドロキシアルカノエート(PHA)の生産のためのホスフェート‐脱調節ラルストニアユートローファの発酵
ポリヒドロキシブチレート‐コ‐ヘキサノエートを生産できるように工学的に操作された、組換えホスフェート‐脱調節ラルストニアユートローファの流加培養(fed batch culture)は、植物油、脂肪酸、脂肪アルコールおよびエステルをフィード基質として使用して行われる。植物油には:コーン油、ダイズ油、パーム核油、綿実油、菜種油、ピーナッツ油、それらの分別蒸留されたオイル、それらの混合物が挙げられる。流加培養はまた:フルクトース、グルコン酸、グルコース、および糖蜜を含む炭水化物フィードを利用するPHAを作ることを可能にし、その一部は特定のフィード上での増殖に関して選択された株を必要とする。
【0066】
株は初めに栄養素培養液100mL中、30℃でOD600が2.0になるまで培養される。次にこの培養液を使用して、以下の培地を使用する3Lの種培養(seed culture)発酵槽に接種し、培養する:
【0067】
【表1】

【0068】
培地を121℃で20分間滅菌し、冷やし、30g/L植物油および50mg/Lカナマイシンを添加する。以下で操作する:
【0069】
【表2】

【0070】
培養物はOD600=69.9の時に採取し、175mLの培養物を3.5Lの主発酵槽に接種する。培地中のホスフェートの濃度はNova Biomedical 300 Bioprofile Analyzerを使用して測定し、決して制限していないことを示す。
【0071】
【表3】

【0072】
以下で操作する:
【0073】
【表4】

【0074】
以下の時点に、全部で110g/Lの植物油を与える:
【0075】
【表5】

【0076】
株はホスフェート制限培地中でも培養され、その培地において通常20h〜36hの培養時間の培養中に添加されたリンの完全な利用は、PHA生産を増すように野生型株を誘導する。
【0077】
【表6】

【0078】
種発酵槽の5%v/vを接種する。
以下で操作する:
【0079】
【表7】

【0080】
以下の時点に、全部で110g/Lの植物油を与える:
【0081】
【表8】

【0082】
より栄養豊富な培地は、最小のラグタイムで細胞が増殖することを可能にする。より高いホスフェート濃度で培養された細胞は、PHA生産に関して構成的であり、細胞増殖のすべての時点でPHAを蓄積する。より高いホスフェート濃度で培養された細胞は、制限ホスフェートで培養された細胞によって生産されたPHA量の165%でPHAを生産する。比べると、脱調節されないバックグラウンドを持つPHA生産R.ユートローファは、高ホスフェート培地において、制限ホスフェート培地の55%だけのPHAしか生産しない。
【0083】
R.ユートローファの活発な増殖相(対数増殖期)中の顕著なレベルの構成的なPHA生産が証明されるのはこれが初めてであり、非制限ホスフェート濃度の存在にかかわらず、より早い時点における最大に近いPHAの取込を導く。
【実施例7】
【0084】
PHA生産のための、窒素‐脱調節、二重‐脱調節、および他の栄養素‐脱調節ラルストニアユートローファの発酵
R.ユートローファの窒素‐脱調節株、二重‐脱調節株(ホスフェート‐および窒素‐の両方の脱調節)、および他の栄養素‐脱調節株は実施例6に記載のように非制限栄養素培養液中で培養され、生来のR.ユートローファより高い濃度でPHAを生産する。
【実施例8】
【0085】
PHA生産のための栄養に富んだ培地中での栄養素‐脱調節ラルストニアユートローファの発酵
栄養素‐脱調節株は、大量のPHAを生産するために、栄養素を制限することによる誘導を必要としない。したがって、栄養素の豊富な供与源である複合培地が添加されて、高いPHA生産を保持しながら全体的な生物量生産を増し、そうして定められた培養容器中のPHAの全体的な力価を増やしてもよい。栄養に富んだ培地は酵母抽出物、ペプトン、トリプトン、アミノ酸、牛肉抽出物、ならびに有機窒素、ホスフェートおよび他の栄養素の他の供与源を含んでいてもよい。
【実施例9】
【0086】
PHA生産のためのより栄養に富み、安価な培地中での栄養素‐脱調節ラルストニアユートローファの発酵
栄養素‐脱調節株は、大量のPHAを作るために栄養素を制限することによる誘導を必要としない;しかし、高価な栄養に富んだ培地を添加することは依然として経済的であるはずがない。欠くことのできない栄養素を過剰に供給することによりPHA生産を阻止することを懸念せずに、たとえばリン酸、アンモニウム塩、ニトレート、ニトライト、コーンスティープリカー、ダイズ加水分解物、未精製グリセリン、乳清、工業用プロセスオイル、炭水化物もしくはタンパク質廃物流(protein waste streams)、または他の高価でない単純な、もしくは複雑な培地を供給することにより、いっそう経済的に栄養素が補足される。
【実施例10】
【0087】
微量元素を制限することによる栄養素‐脱調節ラルストニアユートローファにおける高レベルのPHA生産の誘導
R.ユートローファのホスフェート‐脱調節および窒素‐脱調節株は、それぞれ非制限リンおよび窒素培地におけるPHAの構成的生産者である。培地における微量元素を制限しながら、植物油を与えることにより、PHA生産は増加する。
【0088】
ホスフェートの、またはホスフェートおよび窒素の栄養素‐調節が解除され、そしてポリヒドロキシブチレート‐コ‐ヘキサノエート(C4C6)を生産することが可能なラルストニアユートローファは、以下のものを含む培地で培養される:
【0089】
【表9】

【0090】
細菌はバッチ毎に植物油を与えられる。典型的なレベルは5ml/L微量元素、3.85g/L NaHPOおよび0.67g/L KHPOである。
細胞重量で85%を越えるレベルのPHAが観察される。比較して、ホスフェート脱調節細胞はホスフェート制限培地において35%のPHA、そして非‐制限培地において49%のPHAを蓄積する。脱調節されない細胞は非‐制限培地においてPHAを蓄積せず、微量元素制限培地において1.9%だけのPHAを蓄積する。
【0091】
その上、アエロモナスカビアエ由来の野生型phaC遺伝子(pJRDEE32dl3)(Fukui et al.,J.Bacteriol.179:4821−4830,1997;および米国特許第5,981,257号)を発現するホスフェート‐脱調節突然変異体の場合、培地中の微量元素を80%まで制限することは、同じ生物量においてホスフェート制限条件下の35%PHAのPHA生産に比較して、74%PHAまでPHA生産を改善する。
【0092】
アエロモナスカビアエphaC遺伝子を含むプラスミドによって形質転換されたR.ユートローファ(実施例1に記載)は、2倍のリン酸塩が添加される対照培地、および微量元素の量が調節される試験培地を使用して、3.5Lの出発容量で発酵を行う。細菌はコーン油を与えられ、酸は水酸化アンモニウムによって中和される。試験培地中の微量元素の制限により、対照培地に比較して細胞のPHA含量が倍加する。微量元素の量を対照培地の量の20%に制限することが、対照培地上での増殖に等価な細胞増殖を支持するために十分でありながら、なおかつ細胞の増加したPHA含量を提供する。
【0093】
以下の表1は、ホスフェート脱調節細胞の増殖に対する微量元素制限の効果およびPHA蓄積対微量元素を示す。ホスフェート制限条件下で培養される場合、細胞はPHAの重量(乾燥細胞重量ごとのPHAの重量(DCW))で35%を含み、0.51gPHA/L/hの生産性を有し、39.3g/lのPHAを生産する。過剰なホスフェートを供給しながら、90%以上まで微量元素を厳しく制限することは、細胞毎の高いPHA蓄積を可能にするが、細胞増殖およびPHA生産を制限する。80%まで微量元素を枯渇することは完全な細胞増殖および84.1g/LのPHA生産を可能にする(重量で73.6%のPHAおよび1.17gPHA/L/hの生産性)。
【0094】
【表10】

【実施例11】
【0095】
鉄を制限することによる栄養素‐脱調節ラルストニアユートローファにおける改善されたPHA生産
微量元素の量を変化させる別の試験において、対照培地に存在する鉄の20%を含むが、他の微量元素は完全な量を含む培地は同じ結果を生じる。これらの結果は、鉄の制限が所望するPHA生産増大効果を提供することを示唆する。
【0096】
増大したPHA蓄積を証明する、培養に使用される代表的なホスフェート対鉄の比(モル濃度/モル濃度)は以下に示す。改善されたPHA蓄積を証明する発酵培地は693:1の比のホスフェート(41.6mM)と鉄(0.06mM)を含む。1,387:1の比の場合、鉄濃度を半分に減らすか、ホスフェート濃度を倍にすることも可能である。ホスフェート対鉄の比は、約58:1〜約2773:1まで変化してもよい。P対Feの代表的な比は限定することを意図しない。当業者はそのような比を決定しうる。
【0097】
本出願を通じて、種々の刊行物が引用される。本明細書で引用される開示の特定の側面を含むがそれらに限定されないこれらの刊行物全体のその開示は本出願に参照として援用され、本明細書に記載されクレームされる本発明のされた日における当業者に公知の当該技術分野の水準をその中により十分に説明する。
【0098】
本特許文書の開示は著作権保護に供される要素を含む。Patent and Trademark Office特許ファイルおよび記録に見られるように、著作権所有者は、だれであれ特許文書または特許開示を複写することに意義はないが、それ以外の点ではすべての著作権はどんなものでも確保される。
【0099】
本発明の特定の態様は説明され、記載されているが、本発明の意図および範囲から逸脱せずに、種々の他の変更および改変を行いうることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲内であるそのような変更および改変のすべてを添付の特許請求の範囲に包含することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された栄養素‐脱調節細菌であって、(a)乾燥細胞重量で少なくとも10%のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を栄養素のレベルが制限されない培養条件下で生産する能力、および(b)乾燥細胞重量で少なくとも20%のPHAを鉄は制限されるが他の栄養素は著しく制限されない培養条件下で生産する能力を有し、前記細菌はアルカリゲネスレータス(Alcaligenes latus)およびNADHオキシダーゼに突然変異を有するアゾトバクタービンランディ(Azotobacter vinlandii)突然変異体以外のものである、単離された細菌。
【請求項2】
ATCC受託番号PTA−6759のもとで寄託された細菌のすべての確認された特徴を提示する、単離された細菌。
【請求項3】
ATCC受託番号PTA−6760のもとで寄託された細菌のすべての確認された特徴を提示する、単離された細菌。
【請求項4】
オーテルシア(Wautersia)、ラルストニア(Ralstonia)、バチルス(Bacillus)、ノカルジア(Nocardia)、アエロモナス(Aeromonas)またはシュードモナス(Pseudomonas)種である、請求項1に記載の細菌。
【請求項5】
ホスフェート‐脱調節オーテルシア種である、請求項1に記載の細菌。
【請求項6】
ホスフェート‐脱調節オーテルシア種である、請求項2に記載の細菌。
【請求項7】
ホスフェート‐および窒素‐調節が解除された、請求項1に記載の細菌。
【請求項8】
ホスフェート‐および窒素‐調節が解除された、請求項2に記載の細菌。
【請求項9】
生来でないPHA‐生産遺伝子を含む、請求項1に記載の細菌。
【請求項10】
生来でないPHA‐生産遺伝子を含む、請求項2に記載の細菌。
【請求項11】
生来でないPHA‐生産遺伝子を含む、請求項3に記載の細菌。
【請求項12】
PHA‐生産遺伝子がphaA、phaB、またはphaC遺伝子から選択される、請求項9に記載の細菌。
【請求項13】
(a)乾燥細胞重量で少なくとも10%のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を栄養素のレベルが制限されない培養条件下で生産する能力、および(b)乾燥細胞重量で少なくとも20%のPHAを鉄は制限されるが他の栄養素は著しく制限されない培養条件下で生産する能力を有する細菌を使用してPHAを生産する方法であって、前記細菌はアルカリゲネスレータスおよびNADHオキシダーゼに突然変異を有するアゾトバクタービンランディ突然変異体以外のものであり、前記方法は、細菌がPHAを生産するように培地中で細菌を培養する工程を含む、生産方法。
【請求項14】
ATCC受託番号PTA−6759のもとで寄託された細菌のすべての確認された特徴を提示する細菌を使用してPHAを生産する方法であって、細菌がPHAを生産するように培地中で細菌を培養する工程を含む、前記生産方法。
【請求項15】
ATCC受託番号PTA−6760のもとで寄託された細菌のすべての確認された特徴を提示する細菌を使用してPHAを生産する方法であって、細菌がPHAを生産するように培地中で細菌を培養する工程を含む、前記生産方法。
【請求項16】
必須栄養素が制限されない培地中で前記細菌が培養される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
1種以上の無機元素が制限される培地中で細菌を培養する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
制限される元素が鉄である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
培地が植物油を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
培地が植物油を含む、請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2009−507483(P2009−507483A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529765(P2008−529765)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【国際出願番号】PCT/IB2006/053190
【国際公開番号】WO2007/029213
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508073508)メレディアン・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】