説明

ポリペプチド製剤

【課題】本発明は、免疫グロブリンのFcドメインを含有するポリペプチドの長期間保存に適した水性医薬組成物、その製造方法、その投与方法及び前記組成物を含むキットに関する。
【解決手段】本発明の医薬組成物は、ヒトIgG1のFc領域に融合したヒトp75腫瘍壊死因子受容体の細胞外リガンド結合部分であるポリペプチド、並びにポリペプチドの凝集を抑制するに十分な濃度のL−アルギニンを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、本明細書中に参考として援用されている、2002年2月27日に出願された米国仮出願第60/360,257号の恩典を主張する。
【0002】
本発明は、免疫グロブリンのFcドメインを含有するポリペプチドの長期間保存に適した水性医薬組成物、前記組成物の製造方法、前記組成物の投与方法及び前記組成物を含むキットに関する。
【背景技術】
【0003】
製造後、ポリペプチドは通常使用するまで保存しなければならない。多くの場合、長期間保存したときポリペプチドは溶液中で不安定である(Manningら,Pharm.Res.,6:903−918(1989))。従って、保存寿命を延長させるために乾燥(例えば、凍結乾燥)を含めた追加の処理ステップが開発された。しかしながら、凍結乾燥した医薬組成物は最終使用者にとっては余り便利でない。
【0004】
ポリペプチドの安定性を向上させるために、代表的には、成分濃度を処方により変化させるかまたは賦形剤を添加して製剤を改変することにより実施され得る(米国特許第5,580,856号明細書及び同第6,171,586号明細書)。添加剤を使用すると保存は改善されるが、依然として不活性なポリペプチドが生ずる恐れがある。加えて、凍結乾燥の場合には再水和ステップにより、例えば凝集または変性によりポリペプチドを不活化する状態が導入され得る(Horaら,Pharm.Res.,9:33−36(1992);Liuら,Biotechnol.Bioeng.,37:177−184(1991))。実際、ポリペプチドが凝集すると免疫原性を生ずる可能性があるので該凝集は望ましくない(Clelandら,Crit.Rev.Therapuetic Drug Carrier Systems,10:307−377(1993);およびRobbinsら,Diabetes,36:838−845(1987))。
【0005】
本発明は、免疫グロブリンのFcドメインを含有するポリペプチドを長期間保存し得る新規で安定な液体製剤を提供することにより上記問題を解決する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,580,856号
【特許文献2】米国特許第6,171,586号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Manningら,Pharm.Res.,6:903−918(1989)
【非特許文献2】Horaら,Pharm.Res.,9:33−36(1992)
【非特許文献3】Liuら,Biotechnol.Bioeng.,37:177−184(1991)
【非特許文献4】Clelandら,Crit.Rev.Therapuetic Drug Carrier Systems,10:307−377(1993)
【非特許文献5】Robbinsら,Diabetes,36:838−845(1987)
【発明の概要】
【0008】
本発明は、治療有効量のFcドメイン含有ポリペプチドとLアルギニン及びL−システインからなる群から選択される凝集抑制剤を含む安定な水性医薬組成物に関する。場合により、前記組成物は緩衝剤、張性調節剤及び1種以上の賦形剤を含み得る。1つの局面では、緩衝剤により組成物のpHは約6.0〜約7.0の範囲に維持される。好ましくは、Fcドメイン含有ポリペプチドは本発明製剤において2〜8℃において少なくとも3ヶ月間安定である、及び/または製剤を凍結融解サイクルに1回以上かけた後も安定である。
【0009】
本発明はまた、Fcドメイン含有ポリペプチドとLアルギニン及びL−システインからなる群から選択される凝集抑制剤を含む医薬組成物を処方する方法に関する。場合により、前記医薬組成物に対して緩衝剤、張性調節剤及び/または賦形剤を添加し得る。1つの局面では、前記医薬組成物は6.0〜7.0のpH範囲で処方される。
【0010】
本発明はまた、本明細書に記載の医薬組成物を治療有効量投与することを含む組成物中のFcドメイン含有ポリペプチドで有利に治療され得る疾患または障害を有する哺乳動物の治療方法に関する。
【0011】
本発明はまた、本発明の医薬組成物を37℃で1ヶ月間保存するステップ及びポリペプチドの安定性を測定するステップを含む、前記組成物中のFcドメイン含有ポリペプチドの安定化促進を試験する方法に関する。
【0012】
別の態様において、本発明は本発明の水性医薬組成物を含むキットまたは容器に関する。前記キットには使用説明書が添付されていてもよい。
【0013】
本発明の好ましい態様
本発明は好ましくは以下の態様を含む。
【0014】
態様1
Fcドメイン含有ポリペプチド及び凝集抑制剤としてL−アルギニンを含む安定な水性製剤である医薬組成物。
【0015】
態様2
更に緩衝剤を含む態様1に記載の組成物。
【0016】
態様3
緩衝剤がリン酸ナトリウム、ヒスチジン、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、マレイン酸、酢酸アンモニウム、トリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン(トリス)、アセテート及びジエタノールアミンからなる群から選択される態様2に記載の組成物。
【0017】
態様4
L−アルギニンが約10〜約100mMの濃度である態様3に記載の組成物。
【0018】
態様5
更に張性調節剤を含む態様1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【0019】
態様6
張性調節剤がアルギニン、システイン、ヒスチジン、グリシン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、スクロース、グルコース及びマンニトールからなる群から選択される態様5に記載の組成物。
【0020】
態様7
張性調節剤が塩化ナトリウムである態様6に記載の組成物。
【0021】
態様8
更に賦形剤を含む態様1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【0022】
態様9
更に賦形剤を含む態様6に記載の組成物。
【0023】
態様10
更に賦形剤を含む態様7に記載の組成物。
【0024】
態様11
賦形剤がスクロース、ラクトース、グリセロール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルトース、イノシトール、トレハロース、グルコース、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒトSAまたは組換えHA、デキストラン、PVA、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレンイミン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、プロリン、L−セリン、グルタミン酸ナトリウム、アラニン、グリシン、リシン塩酸塩、サルコシン、γ−アミノ酪酸、ツイーン20、ツイーン80、SDS、ポリソルベート、ポリオキシエチレンコポリマー、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、トリメチルアミンN−オキシド、ベタイン、亜鉛イオン、銅イオン、カルシウムイオン、マンガンイオン、マグネシウムイオン、CHAPS、スクロースモノラウレート及び2−O−β−マンノグリセレートからなる群から選択される態様8に記載の組成物。
【0025】
態様12
賦形剤がスクロースである態様11に記載の組成物。
【0026】
態様13
約10〜約100mg/mlのTNFR:Fc、L−アルギニン、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム及びスクロースを含む安定な医薬組成物。
【0027】
態様14
L−アルギニンが約10〜約75mMである態様13に記載の組成物。
【0028】
態様15
リン酸ナトリウムが約5〜約100mMである態様13に記載の組成物。
【0029】
態様16
塩化ナトリウムが約5〜約200mMである態様13に記載の組成物。
【0030】
態様17
スクロースが約0.5〜約1.5%である態様13に記載の組成物。
【0031】
態様18
pHが約5.5〜約7.8である態様13に記載の組成物。
【0032】
態様19
pH6.2で25mg/mlのTNFR:Fc、25mMのL−アルギニン、25mMのリン酸ナトリウム、98mMの塩化ナトリウム及び1%のスクロースを含む態様13に記載の組成物。
【0033】
態様20
組成物が液体である態様1、13または19に記載の組成物。
【0034】
態様21
組成物が凍結されている態様20に記載の組成物。
【0035】
態様22
単離TNFR:FcをL−アルギニンと混合して含む組成物を処方する方法。
【0036】
態様23
更に緩衝剤、張性調節剤及び賦形剤を組成物と混合するステップを含む態様22に記載の方法。
【0037】
態様24
組成物が液体である態様22または23に記載の方法。
【0038】
態様25
Fcドメイン含有ポリペプチド及びL−アルギニンを含む組成物、並びに該組成物の使用説明書を含むキット。
【0039】
態様26
組成物が液体である態様25に記載のキット。
【0040】
態様27
組成物が予備充填滅菌注射器中に保存されている態様25または26に記載のキット。
【0041】
態様28
注射器が約−20〜約−70℃で保存されている態様27に記載のキット。
【0042】
態様29
治療有効量の態様4または13に記載の医薬組成物を投与することを含む治療を要する哺乳動物の治療方法。
【0043】
態様30
L−アルギニンを含む医薬組成物を37℃で保存するステップ、及び37℃で少なくとも1ヶ月後のFcドメイン含有ポリペプチドの安定性を測定するステップを含む、該組成物中のFcドメイン含有ポリペプチドの安定化促進を試験する方法。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】2〜8℃で最長1年間保存したロットA、B、C及びD、ロット1に関するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)データである。
【図2】37℃で最長1年間保存したロットA、B、C及びD、ロット1に関するSECデータである。
【図3】2〜8℃で最長1年間保存したロットA、B、C及びD、ロット1に関する変性SEC(dSEC)データである。
【図4】37℃で最長1年間保存したロットA、B、C及びD、ロット1に関するdSECデータである。
【図5】2〜8℃で最長1年間保存したロットA、B、C及びD、ロット1に関する疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)ピーク1及びプレピーク1データである。
【図6】37℃で最長1年間保存したロットA、B、C及びD、ロット1に関するHICピーク1及びプレピーク1データである。
【図7】2〜8℃で最長1年間保存したロットA、B、C及びD、ロット1に関するHICピーク2データである。
【図8】37℃で最長1年間保存したロットA、B、C及びD、ロット1に関するHICピーク2データである。
【図9】2〜8℃で最長1年間保存したロットA、B、C及びD、ロット1に関するHICピーク3データである。
【図10】37℃で最長1ヶ月間保存したロットA、B、C及びD、ロット1に関するHICピーク3データである。
【図11】−70℃、2〜8℃、30℃及び37℃で12ヶ月間保存したロットA、B、C及びD、ロット1に関する結合活性を示す。
【図12】−70℃、2〜8℃、30℃及び37℃で12ヶ月間保存したロットA、B、C及びD、ロット1に関する生理活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
水性製剤及び凍結乾燥製剤を含めたポリペプチドを含む医薬組成物を長期間保存すると活性なポリペプチドが凝集及び/または分解のために失われる恐れがある。よって、本発明は、驚くべきことに抗体のFcドメインを有するポリペプチドを活性成分とする医薬組成物を長期間安定に保存できる水性製剤に関する。この製剤は、再水和のような余分なステップを必要としない点で患者が使用するのにより便利であるので有用である。
【0046】
本明細書中、用語「医薬組成物」は、治療を要する患者に注射及び/または投与するのに適するように調製されたペプチドを含む製剤を指すと理解される。より具体的には、医薬組成物は実質的に無菌であり、レシピエントに対して過度に毒性または感染性の物質を含まない。更に、本明細書中、溶液または液体製剤は、1種以上の化学物質を適当な溶媒または相互に混和性の溶媒の混合物中に溶解させた液体調製物を意味する。
【0047】
さらに、本明細書中、用語「約」は、記載される製剤の成分の濃度が所定値の5%、10%、15%または最高20%までの範囲で異なり得ることを意味すると理解される。例えば、製剤がFcドメイン含有ポリペプチドを約10mg/ml含む場合、これは製剤がそのポリペプチドを8〜12mg/ml含み得ることと理解されたい。
【0048】
1つの実施態様で、製剤はFcドメイン含有ポリペプチド、L−アルギニン及びL−システインからなる群から選択される凝集抑制剤、及び所要により任意成分として緩衝剤、張性調節剤及び別の賦形剤を含む。L−アルギニンは不溶性ポリペプチド、特に細菌の封入体において高度に発現する不溶性ポリペプチドのリフォールデイングを助けるべく使用されてきた。しかしながら、L−アルギニンは医薬組成物中のFcドメイン含有ポリペプチドの安定性を高めるためにはうまく利用されなかった(Soejimaら,J.Biochem.,130:369−277(2001))。
【0049】
組成物は注射部位の不快さが少なくなるように考慮して調製されなければならない。更に、本発明の組成物に別の活性成分を例えば注射部位の不快さを減ずるために配合してもよい。前記活性成分として適当量の非ステロイド抗炎症剤(例えば、トロメタミン)が挙げられるが、これに限定されない。
【0050】
ポリペプチド
特定実施態様では、Fcドメイン含有ポリペプチドはFcドメインに融合したTNF受容体の可溶性形態(TNFR:Fc)であるが、任意のFcドメイン含有ポリペプチドが本発明の製剤中に使用するのに適していると理解されたい。市販のTNFR:Fcはエタナーセプト(Enbrel(登録商標);Immunex Corporation)として公知であり、これはヒトIgG1のFc部分に連結したヒト75キロダルトン(p75)腫瘍壊死因子受容体(TNFR)の細胞外リガンド結合部分から構成されるダイマー融合ポリペプチドである。エタナーセプトのFc成分はヒトIgG1の定常重鎖2(CH2)ドメイン、定常重鎖3(CH3)ドメイン及びヒンジ領域を含むが、定常重鎖1(CH1)ドメインを含まない。Fcドメインは上記したドメインの1つまたは全部を含み得ると理解されたい。エタナーセプトはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)哺乳動物細胞発現系において組換えDNA技術により産生される。これは934アミノ酸からなり、約150キロダルトンの見かけ分子量を有する(Physicians Desk Reference,2002,Medical Economics Company Inc.)。
【0051】
本発明の製剤に対して特に考えられる他のポリペプチドには、抗体のFcドメインの少なくとも一部を含む組換え融合ポリペプチドが含まれる。Fcドメインに融合した、下記ポリペプチドの1つと同一もしくは実質的に類似のポリペプチドが本発明の医薬組成物中に使用するのに適している:flt3リガンド、CD40リガンド、エリスロポエチン、トロンボポエチン、カルシトニン、Fasリガンド、NF−κBの受容体アクチベータに対するリガンド(RANKL)、腫瘍壊死因子(TNF)−関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、胸腺ストローマ誘導リンホポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子、肥満細胞成長因子、幹細胞成長因子、表皮成長因子、RANTES、成長ホルモン、インスリン、インスリノトロピン、インスリン様成長因子、上皮小体ホルモン、インターフェロン、神経成長因子、グルカゴン、インターロイキン1〜18、コロニー刺激因子、リンホトキシン−β、腫瘍壊死因子(TNF)、白血病抑制因子、オンコスタチン−M、及び細胞表面分子ELK及びHekに対する各種リガンド(例えば、エファ(eph−)関連キナーゼに対するリガンド(LERKS))。
【0052】
本発明の製剤に対して適したポリペプチドには、抗体のFcドメイン及び、任意の上記ポリペプチドまたは上記受容体に実質的に類似するポリペプチドに対する受容体を含む組換え融合ポリペプチドも含まれる。これらの受容体には、TNFRの両方の形態(p55及びp75と称される)、インターロイキン−1受容体(タイプ1及び2)、インターロイキン−4受容体、インターロイキン−15受容体、インターロイキン−17受容体、インターロイキン−18受容体、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子受容体、顆粒球コロニー刺激因子受容体、オンコスタチン−M及び白血病抑制因子に対する受容体、NF−κBの受容体アクチベータ(RANK)、TRAILに対する受容体(TRAIL受容体1、2、3及び4)、及び死滅性ドメインを含む受容体、例えばFasまたはアポートーシス誘導受容体(AIR)が含まれる。
【0053】
本発明の製剤中に使用するのに適した他のポリペプチドには、抗体のFcドメインに融合した分化抗原(CD−ポリペプチドと称される)またはそのリガンド、或いはそれらのいずれかに実質的に類似のポリペプチドが含まれる。前記抗原は、白血球タイピング(Leukocyte Typing) VI(1996年に日本国神戸で開催された第6回国際研究集会会議議事録(Proceedings of the VIth International Workshop and Conference),キシモト及びキクタニら編)に開示されている。類似のCDポリペプチドはその後の研究集会で報告されている。前記抗原の例には、CD27、CD30、CD39、CD40及びそれに対するリガンド(CD27リガンド、CD30リガンド等)が含まれる。CD抗原の幾つかはTNF受容体ファミリーのメンバーであり、この中には41BBリガンド及びOX40が含まれる。前記リガンドは41BBリガンド及びOX40リガンドのようにしばしばTNFファミリーのメンバーである。従って、TNF及びTNFRファミリーのメンバーが本発明に従って処方され得る。
【0054】
酵素活性なポリペプチドまたはそのリガンドも本発明に従って処方され得る。その例には、下記ポリペプチドの1つの全部または一部またはそのリガンド、或いはこれらのポリペプチドの1つに実質的に類似のポリペプチドに融合した抗体のFcドメインを含む組換え融合ポリペプチドが含まれる:メタロプロテイナーゼ−ディスインテグリンファミリーメンバー、各種キナーゼ、グルコセレブロシダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、組織プラスミノーゲンアクチベータ、因子VIII、因子IX、アポリポタンパク質E、アポリポタンパク質−A−I、グロビン、IL−2アンタゴニスト、α−1アンチトリプシン、TNF−α変換酵素、上記任意の酵素に対するリガンド、及び多数の他の酵素及びそれらのリガンド。
【0055】
本発明の製剤及び方法は、抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体(すなわち、1種以上のマウス可変抗体免疫グロブリンドメインに結合したヒト定常抗体免疫グロブリンドメインを有する抗体)及び/または非ヒト抗体、或いはその断片を含む医薬組成物を製造するためにも使用され得る。本発明の製剤中に使用するのに適した抗体の具体例には、ムロモナブ−CD3(Ortho BiotechのOrthoclone OKT−3(登録商標))、アブシキマブ(LillyのReoPro(登録商標))、リツキシマブ(IDECのRituxan(登録商標))、ダクリキシマブ(Roche LaboratorisのZenapax(登録商標))、バシリキシマブ(NovartisのSimulect(登録商標))、インフリキシマブ(CentocorのRemicade(登録商標))、パリビズマブ(MedImmuneのSynagis(登録商標))、トラスツマブ(GenentechのHerceptin(登録商標))、ゲムツズマンオゾガミシン(Wyeth−AyerstのMylotarg(商品名))及びアレムツズマブ(BerlexのCampath(登録商標))のような市販されている抗体が含まれる。現在、各抗体は、投与前に再水和しなければならない凍結乾燥粉末または希釈しなければならない濃縮物として市販されている。本発明の組成物は、活性成分の安定性を長期間保存しながらも投与前の操作、例えば再水和または希釈をいずれも必要としない。
【0056】
本発明の医薬組成物は、細胞毒性または発光物質に複合体化した抗体を含むポリペプチドを保存するためにも使用され得る。前記物質には、メイタンシン誘導体(例えば、DMI)、エンテロトキシン(例えば、ブドウ球菌エンテロトキシン)、ヨウ素同位元素(例えば、ヨウ素−125)、テクネチウム同位元素(例えば、Tc−99m)、シアニン蛍光色素(例えば、Cys.5.5.18)及びリボソーム不活化ポリペプチド(例えば、ブーガニン、ゲロニンまたはサポリン−S6)が含まれる。
【0057】
本発明で使用することが意図される抗体、抗体/細胞毒素または抗体/発光団複合体の例には、以下の抗原の1種以上を認識するものが含まれる:CD2、CD3、CD4、CD8、CD11a、CD14、CD18、CD20、CD22、CD23、CD25、CD33、CD40、CD44、CD52、CD80(B7.1)、CD86(B7.2)、CD147、IL−4、IL−5、IL−8、IL−10、IL−2受容体、IL−4受容体、IL−6受容体、IL−13受容体、PDGF−β、VEGF、TGF、TGF−β2、TGF−β1、EGF受容体、VEGF受容体、C5補体、IgE、腫瘍抗原CA125、腫瘍抗原MUC1、PEM抗原、LCG(肺癌に関連して発現する遺伝子産物)、HER−2、腫瘍関連糖タンパク質TAG−72、SK−1抗原、結腸及び/または膵臓癌患者の血清中に高レベルで存在する腫瘍関連エピトープ、乳癌,結腸癌,扁平上皮細胞癌,前立腺癌,膵臓癌,肺癌及び/または腎臓癌細胞及び/またはメラノーマ,神経膠腫または神経芽細胞腫上で発現する腫瘍関連エピトープまたはポリペプチド、TRAIL受容体1,2,3及び4、腫瘍の壊死性コア、インテグリンα4β7、インテグリンVLA−4、B2インテグリン、TNF−α、接着分子VAP−1、上皮細胞接着分子(EpCAM)、細胞内接着分子−3(ICAM−3)、ロイコインテグリン接着、血小板糖タンパク質gp IIb/IIIa、心臓ミオシン重鎖、副甲状腺ホルモン、rNAPc2(因子VIIa−組織因子の阻害剤)、MHCI、ガン胎児性抗原(CEA)、α−フェトプロテイン(AFP)、腫瘍壊死因子(TNF)、CTLA−4(細胞毒性Tリンパ球関連抗原)、Fc−γ−1受容体、HLA−DR 10β、HLA−DR抗原、L−セレクチン、IFN−γ、RSウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ストレプトコッカス変異体及び黄色ブドウ球菌。
【0058】
本発明の製剤は、抗−イディオタイプ抗体または実質的に類似のポリペプチドに対しても使用され得る。この中には、腫瘍抗原gp72を標的とする抗体、ガングリオシドGD3に対する抗体またはガングリオシドGD2に対する抗体に対する抗−イディオタイプが含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
本発明の医薬組成物中で保存するのに適したFcドメイン含有ポリペプチドは、該ポリペプチドを発現する生存宿主細胞、例えば抗体の場合にはハイブリドーマ、融合ポリペプチドまたは抗体の場合にはポリペプチドを産生するように遺伝子工学的に処理された宿主細胞により産生され得る。ポリペプチドを産生するための細胞の遺伝子工学的処理方法は当業界で公知である。例えば、Ausubelら編,「分子生物学における現在のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」,ニューヨークに所在のWiley(1990年)発行を参照されたい。前記方法には、ポリペプチドをコードして発現を可能にする核酸を生宿主細胞に導入することを含む。宿主細胞は細菌細胞、真菌細胞、好ましくは培養増殖した動物細胞であり得る。細菌宿主細胞には大腸菌細胞が含まれるが、これに限定されない。適当な大腸菌株の例には、HB101、DH5α、GM2929、JM109、KW251、NM538、NM539、及び外来DNAを開裂できない任意の大腸菌株が含まれるが、これらに限定されない。使用可能な真菌宿主細胞には、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomycescerevisiae)、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)及びアスペルギルス細胞が含まれるが、これらに限定されない。使用可能な幾つかの動物細胞株の例はCHO、VERO、BHK、HeLa、Cos、MDCK、293、3T3及びW138である。新しい動物細胞株は当業者に公知の方法(例えば、形質転換、ウイルス感染及び/または選択)を用いて樹立され得る。場合により、ポリペプチドは宿主細胞により培地に分泌され得る。
【0060】
発現したFcドメイン含有ポリペプチドは一般的方法により精製され得る。Fcドメイン含有ポリペプチドを細胞内で産生するときには特定破片を例えば遠心または限外濾過により除去する。ポリペプチドを培地に分泌させたら、前記発現系からの上清をまず一般的なポリペプチド濃縮フィルターを用いて濃縮し得る。タンパク質分解を抑制するためにプロテアーゼ阻害剤をも添加し得、微生物の増殖を防ぐために抗生物質を添加し得る。
【0061】
Fcドメイン含有ポリペプチドは、例えばヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析及びアフィニティークロマトグラフィー、並びに現在公知であるかまたはまだ発見されていない精製技術の組合せを用いて精製され得る。例えば、プロテインAは、ヒトガンマ1、ガンマ2またはガンマ4重鎖をベースとするFcドメイン含有ポリペプチドを精製するために使用され得る(Lindmarkら,J.Immunol.Meth.,62:1−13(1983))。プロテインGはすべてのマウスイソ型及びヒトガンマ3に対して推奨される(Gussら,EMBO J.,5:1567−1575(1986))。
【0062】
イオン交換カラムを用いる分別、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカを用いるクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSET(商標)を用いるクロマトグラフィー、アニオンまたはカチオン交換樹脂(例えば、ポリアスパラギン酸カラム)を用いるクロマトグラフィー、等電点電気泳動、SDS−PAGE及び硫酸アンモニウム沈殿のような他のポリペプチド精製技術も必要に応じて使用し得る。
【0063】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、上記した精製ポリペプチドに加えて凝集抑制剤を混合することにより調製される。更に、所要により緩衝剤、張性調節剤及び追加の賦形剤を添加してもよい。当業者が理解しているように組成物中に配合しようとする諸成分の添加は適当な順序で実施され得る。すなわち、緩衝剤を初めに、途中または最後に添加してもよいし、張性調節剤も初めに、途中または最後に添加してもよい。同様に当業者が理解しているように前記化学物質の幾つかはある組合せでは非適合性の場合があり、そのときには類似の特性を有するが当該混合物中で適合性の別の化学物質で置換する。
【0064】
凝集抑制剤により、ポリペプチドの不適切なまたは望ましくない三元または四元複合体に会合する傾向が抑えられる。予期せぬことに、本発明者らはアミノ酸のL−アルギニン及び/またはL−システインが製剤中のFcドメイン含有ポリペプチドの凝集を長期間(例えば、2年以上)抑えるように働くことを見出した。製剤中の凝集抑制剤の濃度は、好ましくは約1mM〜1M、より好ましくは約10〜約200mM、更に好ましくは約10〜約100mM、更に好ましくは約15〜約75mM、特に好ましくは約25mMである。これらの化合物は市販されている。
【0065】
緩衝剤によりpHは所望範囲に維持され、本発明の医薬組成物中に使用するのに適した各種緩衝剤にはヒスチジン、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、マレイン酸、酢酸アンモニウム、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン(トリス)、各種形態のアセテート及びジエタノールアミンが含まれる。1つの好ましい緩衝剤は、pH6.2またはその近くで緩衝能力を示すのでリン酸ナトリウムである。製剤中の緩衝剤の濃度は、好ましくは約1mM〜約1M、より好ましくは約10〜約200mMである。緩衝剤は当業界で公知であり、公知方法で製造されたり市販されている。
【0066】
医薬組成物のpHを生理学的レベルまたはその近くに設定すると、投与時の患者の快適さが最大限となる。特に、pHは約5.8〜8.4、特に約6.2〜7.4が好ましい。しかしながら、所要により特定製剤中のポリペプチドの安定性及び溶解度を最大とすべくpHを調節し得、患者にとって耐性であるが生理学的範囲を超えるpHも本発明の範囲内であると理解される。
【0067】
張性調節剤は溶液のオスモル濃度に寄与する分子と理解される。医薬組成物のオスモル濃度を活性成分の安定性を最大とし且つ投与時の患者に対する不快さを最小とすべく調節することが好ましい。血清は約300±50ミリオスモル/kgである。通常、医薬組成物は張性調節剤の添加により血清と等張性、すなわち同一または類似のオスモル濃度を有することが好ましい。オスモル濃度は約180〜約420ミリオスモルと考えられるが、特定条件が要求すればオスモル濃度はより高くても低くてもよいと理解されたい。オスモル濃度を調節するのに適した張性調節剤の例には、アミノ酸(例えば、アルギニン、システイン、ヒスチジン及びグリシン)、塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム及びクエン酸ナトリウム)及び/または糖類(例えば、スクロース、グルコース及びマンニトール)が含まれるが、これらに限定されない。製剤中の張性調節剤の濃度は好ましくは約1mM〜10M、より好ましくは約10〜約200mMである。張性調節剤は当業界で周知であり、公知方法で製造されたり市販されている。
【0068】
ポリペプチドを溶解状態で(乾燥または凍結形態でも)安定化させる、化学的な添加剤、共溶質または共溶媒とも称される賦形剤を医薬組成物に添加してもよい。その例には、糖/ポリオール、例えばスクロース、ラクトース、グリセロール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルトース、イノシトール、トレハロース、グルコース;ポリマー、例えば、血清アルブミン(ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒトSAまたは組換えHA)、デキストラン、PVA、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレンイミン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC);非水性溶媒、例えば多価アルコール(例えば、PEG、エチレングリコール及びグリセロール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びジメチルホルムアミド(DMF);アミノ酸、例えばプロリン、L−セリン、グルタミン酸ナトリウム、アラニン、グリシン、リシン塩酸塩、サルコシン及びγ−アミノ酪酸;界面活性剤、例えばツイーン80、ツイーン20、SDS、ポリソルベート、ポリオキシエチレンコポリマー;その他の賦形剤、例えばリン酸カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、トリメチルアミンN−オキシド、ベタイン、金属イオン(例えば、亜鉛、銅、カルシウム、マンガン及びマグネシウム)、CHAPS、モノラウレート、2−O−β−マンノグリセレート;またはこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
本発明の製剤中の1種以上の賦形剤の濃度は、好ましくは約0.001〜5重量%、より好ましくは約0.1〜2重量%である。賦形剤は当業界で周知であり、公知方法で製造されたり市販されている。
【0070】
1つの例示的実施態様では、本発明の製剤は、約6.0〜約7.0のpHで約25〜約50mgのTNFR:Fc(エタナーセプト)、約10〜約100mMのL−アルギニン、約10〜約50mMのリン酸ナトリウム、約0.75〜約1.25%のスクロース、約50〜約150mMのNaClを含み得る。別の実施態様では、製剤中のL−アルギニンをL−システイン(約1〜約500μMの濃度で)で置換し得る。更に別の実施態様では、pHは約7.0であり得る。別の特定的実施態様では、本発明の製剤は、約6.2のpHで約25mg/mlのTNFR:Fc、約25mMのL−アルギニン、約25mMのリン酸ナトリウム、約98mMの塩化ナトリウム及び約1%のスクロースを含み得る。
【0071】
別の実施態様では、本発明の製剤は、約6〜約7のpHで約10〜約100mMのL−アルギニン、約10〜約50mMのリン酸ナトリウム、約0.75〜約1.25%のスクロース、約50〜約150mMのNaCl中に約10〜約100mg/mLのRANK:Fcを含み得る。特定の実施態様では、本発明の製剤は、約6.2のpHで約25mMのL−アルギニン、約25mMのリン酸ナトリウム、約98mMの塩化ナトリウム及び約1%のスクロース中に50mg/mlのRANK:Fcを含む。
【0072】
更に別の実施態様では、本発明の製剤は、約6〜約7のpHで有効量のFcドメイン含有ポリペプチド、約10〜約100mMのL−アルギニン、約10〜約50mMのリン酸ナトリウム、約0〜約5%のマンニトール及び0〜0.2%のツイーン20を含み得る。別の実施態様では、本発明の製剤は、約6.0のpHで有効量の抗体(例えば、Emab(抗−CD22特異的抗体))、約25mMのL−アルギニン、約25mMのリン酸ナトリウム、約4%のマンニトール及び約0.02%のツイーン20を含み得る。
【0073】
更に別の態様で、本発明は治療有効量の上記した医薬組成物を投与することを含む、該組成物中のFcドメイン含有ポリペプチドで効果的に治療され得る疾患または障害を有している哺乳動物の治療方法を提供する。別の実施態様では、Fcドメイン含有ポリペプチドは組成物で治療しようとするものと同一の哺乳動物種から誘導される。特定実施態様では、哺乳動物は治療を要するヒト患者である。組成物中のFcドメイン含有ポリペプチドがTNFR:Fcであるとき、治療可能な疾患または障害の例には慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、ヴェーグナー病(肉芽腫症)、クローン病(または、炎症性腸疾患)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、C型肝炎、子宮内膜症、喘息、悪液質、乾癬及びアトピー性皮膚炎が含まれるが、これらに限定されない。TNFR:Fcで治療可能な別の疾患または障害には、援用により本明細書に含まれるとする国際特許出願公開第00/62790号パンフレット、同第61/62272号パンフレット及び米国特許出願公開第2001/0021380号明細書に記載されているものが含まれる。
【0074】
更に別の態様で、本発明は、本発明の医薬組成物中のFcドメイン含有ポリペプチドの安定性の安定化促進を試験する方法を提供し、その方法は貯蔵前(すなわち、時間0)の本発明処方のペプチドの活性を測定するステップ、組成物を37℃で1ヶ月間保存するステップ、ポリペプチドの安定性を測定するステップ及び時間0から1ヶ月時点の安定性を比較するステップを含む。この情報は、当初良好な安定性を有すると思われるが長期間うまく保存されないバッチまたはロットを早期に除くのに役立つ。
【0075】
更に、本発明の医薬組成物は、活性成分(例えば、Fcドメイン含有ポリペプチド)が液体または凍結状態での貯蔵に亘り安定であるような向上した長期間保存を与える。本明細書中、「長期間保存」は、医薬組成物が3ヶ月以上、6ヶ月以上、好ましくは1年以上保存され得ることを意味すると理解される。長期間保存は、医薬組成物が2〜8℃で液体として保存されるかまたは例えば−20℃以下の温度で凍結されることと理解される。組成物は1回以上凍結融解され得るとも解される。長期間保存に関して、用語「安定」は医薬組成物の活性ポリペプチドが保存当初の組成物の活性と比してその活性の20%、好ましくは15%、更に好ましくは10%、最も好ましくは5%以上を失わないことを意味すると理解される。
【0076】
医薬組成物の有効用量
製剤のFcドメイン含有ポリペプチドの適当な用量、すなわち治療有効量は、治療しようとする状態、その状態の重篤度、以前の治療、患者の臨床的病歴及び治療薬に対する応答に依存する。適当な用量は患者が1回または一連の投与に亘り投与され得るように担当医の判断に従って調節され得る。医薬組成物は、所要により単一の治療薬としてまたは別の治療薬と組み合わせて投与され得る。
【0077】
1実施態様では、成人に対するFcドメイン含有ポリペプチドの有効量は約1〜500mg/m、約1〜200mg/m、約1〜40mg/mまたは約5〜25mg/mである。或いは、1回投与あたり2〜500mg、2〜500mgまたは約10〜80mgの範囲であり得る一律の用量を投与してもよい。1週間に2回以上投与するときの用量範囲の例は上記した範囲と同じまたはそれ以下であってもよく、1回投与あたり25〜100mgとして1週間に2回以上投与することが好ましい。別の実施態様では、注射により投与するために許容され得る用量は1回投与あたり80〜100mgまたは80mgである。この用量を週2回または毎週投与してもよく、または数週間(例えば、2〜8週間)あけて投与してもよい。この例では、通常25mgのTNFR:Fc(エタナーセプト)が1回の皮下注射により投与される。
【0078】
多くの場合、最高約100mgの医薬組成物を1週間に1〜3回少なくとも3週間に亘り投与することにより患者の状態が改善されるが、改善を所望通りに得るためにより長期間の治療が必要な場合がある。不治の慢性疾患の場合には無期限に連続投与するレジメでもよい。小児(4〜17歳)に対しては、本発明のポリペプチドを0.4〜5mg/kgの用量で1週間に1回以上投与するレジメが適当である。
【0079】
別の実施態様では、本発明の医薬製剤をバルク製剤の形で調製し、医薬組成物の成分を投与に必要な量よりも高用量であり、投与前に適切に希釈するように調節されると解される。
【0080】
医薬組成物の投与
本発明の医薬組成物は非経口投与、すなわち皮下、筋肉内、静脈内、腹腔内、脳脊髄内、間接内、滑膜内及び/または鞘内投与するために特に有用である。非経口投与はボーラス注入または連続注入によりなされ得る。注射用医薬組成物は1回服用量剤形で、例えば適当な保存剤を含むアンプルまたは複数回投与容器中に収容され得る。加えて、最近多数の薬物デリバリー法が開発されており、本発明の医薬組成物はこの新しい方法、例えばInject−ease(商品名)、Genject(商品名)、インジェクターペン(例えば、GenPen(商品名))、及び無注射針デバイス(例えば、MediJector(商品名)及びBioJector(商品名))を用いて投与するのに適している。本発明の医薬組成物は将来発見される投与方法にも適合し得る。Langer,Science,249:1527−1533(1990)も参照されたい。
【0081】
医薬組成物はデポ製剤としても処方され得る。そのような長時間作用性処方物は移植(例えば、皮下または筋肉内に)または筋肉内注射により投与され得る。よって、例えば製剤は適当なポリマーまたは疎水性材料(例えば、許容し得るオイル中エマルションとして)またはイオン交換樹脂を用いて修飾しても、または難溶性塩のような難溶性誘導体として改変してもよい。
【0082】
所望により、医薬組成物は、活性成分を含む1以上の単位投与量形態を含み得るバイアル、パックまたは投薬デバイスの形態で提供され得る。1実施態様では、投薬デバイスは用時注射し得る液体製剤の1回量を収容した注射器からなり得る。前記注射器には投与説明書が添付されていてもよい。
【0083】
別の態様では、本発明は、本発明の水性医薬組成物を含むキットまたは容器に関する。水性医薬組成物中のポリペプチドの濃度は広範囲で変更可能であるが、通常水性製剤1mlあたり約0.05〜約20,000μgの範囲である。前記キットには使用説明書が添付されていてもよい。
【実施例】
【0084】
本発明を下記実施例を参照して更に説明する。しかしながら、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
[実施例1]
Fcドメイン含有ポリペプチドの凝集を防ぐための最良の賦形剤を決定するために、TNFR:Fcを作成し、51℃±1℃でインキュベート後のTNFR:Fcと各種賦形剤を含むサンプル(1s)の光散乱を試験し、2〜8℃で保存したTNFR:Fcのみを含むコントロールサンプル(1c)の光散乱と比較した。この比を1s/1cとして調べ、比率1は試験化合物の光散乱(すなわち、凝集)に変化がない理論的ベースラインを表す。様々な賦形剤として、5% アスコルビン酸、5% マンニトール、10% スクロース、1% ポリビニルピロリドン(PVP−K15)、0.1% ポリエチレングリコール(PEG,Mw=1000)、0.6% エタノール、1.2% グリシン、2% L−アルギニン、0.01% Pluronic F68、1.6% ベタイン及び1.5% L−システインを試験した。驚くべきことに、全200時間の試験期間中1s/1c比を1以下に維持することが判明した凝集抑制剤はL−アルギニンだけであった。
[実施例2]
産生したTNFR:Fc(ロットA、B、C及びDと称される)を異なる方法で産生し高い初期凝集を有するTNFR:Fc(ロット1)に対して注射器またはガラス製バイアル中で−70℃、−20℃、2〜8℃、30℃及び37℃で液体製剤(25mM ホスフェート、25mM L−アルギニン、98mM NaCl、1% スクロース;pH6.2)中での安定性に関して評価した。サンプルをサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、変性SEC(dSEC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により分析し、異なる時点での結合活性及び生理活性について評価した。生理活性は以下に詳記するSEC、dSEC、HIC、結合及び生理活性を含めた各種アッセイにより測定され得る。
【0085】
(サイズ排除クロマトグラフィー)
保存中のサンプル中での高分子量(HMW)種(形成される凝集物)のレベルを評価するためにSECを使用した。低分子量(LMW)種はdSECによりうまく分解され、そのデータは次節に見つけることができる。図1は2〜8℃で保存したサンプルについてのSECデータ、図2は37℃の促進条件下で保存したサンプルについてのSECデータを示す。
【0086】
30℃で保存したサンプルについてのデータも集めた(データ示さず)。HMW種のレベルは2〜8℃及び37℃で見られたレベルの中間であった。2〜8℃で1年間保存中、凝集レベルは一定のままであるかまたはロットAの最悪の場合でも0.6%未満しか増加しなかった。2〜8℃での保存中、凝集物の有意な増加は見られなかった。37℃での保存中の促進条件下では、ロット1で凝集物レベルは12ヶ月間中に19%に増加し、ロットA及びBではそれぞれ14%及び12%に増加した。直線の勾配はほぼ同じであり、分子は同一速度で凝集すること及びロットA〜D及びロット1間の違いはロット1の凝集物の当初レベルがロットA〜Dよりも高いためであることが分かる。ロットBの場合、−70℃でバイアル中、−70℃で注射器中、−20℃で注射器中、−20℃で熱処理及び保存後の注射器中に保存した、各々のサンプル間で違いはなかった(データ示さず)。いずれの値も12ヶ月間保存後−70℃バイアルコントロール(及び時間0値)の0.4%以内であった。
【0087】
(変性サイズ排除クロマトグラフィー)
低分子量(LMW)種の変性SEC(dSEC)定量データを2〜8℃で保存したサンプルについては図3に、37℃で保存したサンプルについては図4に示す。ロットA〜D及びロット1は2〜8℃で最長1年間保存した後にdSECにより分析したが、ロットC及びDは37℃の促進条件下で6ヶ月間保存した後に分析しなかった。37℃の保存中に、ロット1、ロットA、B及びCは類似の分解を示したが、ロットDは熱ストレス中にロット1及び他のロットよりも高い分解を示した。ロットA及びBとロット1の類似性は30℃での保存中(データ示さず)でも見られ、分解レベルは2〜8℃及び37℃で見られたものの中間であった。ロットBの場合、−70℃でバイアル中、−70℃で注射器中、−20℃で注射器中、−20℃で熱処理及び保存後注射器中に保存した各々のサンプル間で違いはなかった(データ示さず)。−70℃及び−20℃で12ヶ月間保存後の値はいずれも相互の及び時間0値の0.7%以内であった。
【0088】
30℃で保存中(データ示さず)、ロットAのdSECによるLMW%はロットBと同様であったが、いずれのロットも分解レベルはこの温度のロット1よりも僅かに高かった。ロットDは2〜8℃及び37℃において時間0を含めたいずれの時点でも高レベルのLMW種を示している。ロットD中の分解産物はストレスを受けたTNFR:FcサンプルのdSEC分析により通常見られるものよりも大きいサイズのようである。これらの種の違いは2〜8℃及び37℃で保存後も見られる。
【0089】
(疎水性相互作用クロマトグラフィー)
各種TNFR:Fc関連種を分離するためにHICを使用した。ピーク1(及びプレピーク1と称される早期に溶出するピーク)は主に低分子量種からなることが判明した。ピーク2は折り畳まれた無傷のダイマー(活性)を含んでいる。ピーク3は凝集物質及び低活性ダイマーを含んでいる。
【0090】
2〜8℃で保存したサンプルのHICピーク1データを図5に、37℃で保存したサンプルのHICピーク1データを図6に示す。ロットDを除くすべてのロットで、2〜8℃で保存したサンプルのLMW種のレベルは比較的一定のままである(12ヶ月にわたって1.2%以内)。ロットAの時間0値の代わりに−70℃サンプルの平均値を用いるならば、ロットDを除くすべてのロットの曲線は十分に整列する。ロットDは他のロットよりもより多くピーク1を示しており、これはdSECで見られた高レベルのLMW種を裏付ける。サンプルに37℃で最長1年間熱ストレスを加えた後、ロットB及びロット1はほぼ30%のHICピーク1を示したのに対して、ロットAは約45%のHICピーク1を示す。ロットDは37℃で6ヶ月だけのストレス後に47%のHICピーク1を示した。
【0091】
上記したように、HICピーク2は最も望ましい活性種を表す。図7及び8は、それぞれ2〜8℃及び37℃で保存したサンプルのHICピーク2の%を示す。ロット1はより低い初期%ピーク2で始まるが、2〜8℃で12ヶ月間保存中も活性種のレベルを維持した。ロットA、B及びCも12ヶ月の凍結保存中活性種を維持している。37℃の促進条件下で試験したロットはすべて保存中HICピーク2を失う。
【0092】
HICピーク3レベルは2〜8℃で1年間の保存中、本質的に一定のままであった(図9)。すべてのロットについてピーク3の変動%は1〜3%の範囲であり、これは積分誤差の範囲内であった。ロットA、B、C及びDのHICピーク3はベースライン分解を示さず、積分のより多い変動を導入した。ロット1の場合、ピークはより明確に規定される。37℃で保存後、ロット1のHICピーク3レベルはより多く変動するが、12ヶ月目に増加する可能性を除いてほぼ一定のままである(図11)。ロットA〜Dの間で、12ヶ月目を除いて37℃で保存後にいかなる明確な差も見られなかったが、ロットBはHICピーク3のレベルの増加を示す。
【0093】
(ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)
−70℃、−20℃、2〜8℃、30℃及び37℃で12ヶ月間保存したサンプルのSDS−PAGE分析を実施した。ロットAでは、2〜8℃で1年間保存した後に約50kD及び約34kDの両分解断片に関連するバンドが増加した。高温で大規模な分解が見られ、多くの小分子量バンドは高い強度を示した。
【0094】
ロット1は2〜8℃で1年間保存後いかなる変化も示さなかったが、30℃及び37℃で1年後には増加した約50kD及び約34kD分解断片を示した。ロットBは、超冷却を解消するための熱処理を実施してもしなくても、−70℃で(バイアルまたは注射器)または−20℃で注射器中で12ヶ月間保存中いかなる変化も示さなかった。しかしながら、2〜8℃で12ヶ月後には約50kD及び約34kD分解断片に対応するバンドは高い強度を示した。30℃または37℃で1年間保存すると分解が生じ、上記した約50kD及び約34kD分解断片に加えて多くの小分子量バンドを示した。
【0095】
ロットC及びDを−70℃及び2〜8℃で12ヶ月間保存後で分析した。ロット1、ロットB、C及びDは−70℃及び2〜8℃で12ヶ月間保存後に分析し、上記したように類似の分解パターンを示した。
【0096】
(結合及び生理活性)
図11は、−70℃、2〜8℃、30℃及び37℃で6ヶ月間及び12ヶ月間保存したロットA〜D及びロット1についてELISAから誘導した結合活性データを示す。−70℃サンプルのエラーバーは±30%を示す。これらのエラーバーの範囲外の値のみがアッセイ変動性ゆえに有意であると見做される。ロットA及びBは2〜8℃及び30℃で6ヶ月後に十分な結合活性を保持していたが、12ヶ月目では2〜8℃で保存したサンプルのみが十分な結合活性を維持した。ロット1は2〜8℃及び30℃で保存後12ヶ月まで十分な活性を維持できたが、30℃で1年後のLMWレベルは13.6%(dSEC;データ示さず)、HMWレベルは8%(SEC;データ示さず)であった。ロットC及びDも2〜8℃で1年間保存後十分な結合活性を維持したが、ロットDではdSEC及びHICで見られた分解産物は高レベルを示した。
【0097】
TNFR:Fc生理活性アッセイの例は、ヒトTNF−αに対する細胞株のネガティブ成長応答を抑制することである。TNF−αの存在はアポトーシスの誘導を介して細胞の成長を抑制する。生物活性な可溶性rhu TNF受容体(TNFR:Fc)の存在は用量依存的にTNF−αを特異的に中和する。TNFR標準物質、コントロール及びサンプルを添加し、96ウェル微量測定プレートフォーマットで滴定する。公知濃度の細胞を各ウェルに添加後TNF−αを添加する。インキュベーション期間後、リン酸緩衝食塩液(PBS)で穏やかに洗浄することにより非付着細胞を除去し、残りの細胞を染色する。インキュベート期間後各ウェルを測定する。各ウェルの単位はTNFRの比活性に直接比例する。生理活性アッセイの結果(図12)は結合アッセイデータを裏付ける。
【0098】
(結論)
液体ホスフェート製剤(25mM ホスフェート、25mM L−アルギニン、98mM NaCl、1% スクロース;pH6.2)中で処方したロットB及びCは、−70℃または2〜8℃で1年間後の同一製剤中のロット1と同様に安定であることが判明した。ロットA〜Dの凝集物はロット1よりも少なく、低分子量種への分解の点で同等であった(12ヶ月目でdSECによるとLMWレベルは4%未満)。ロット1及びロットA〜Dはいずれも30及び37℃の高温で分解及び凝集の増大を示したが、2〜8℃で最長1年間のロット1と同等に機能するこれらのロットが、1年間の熱ストレスのロット1と均等であることが分かった。ロットDは促進アッセイで余り安定でなく、低分子量分解産物のレベルは高かった。
【0099】
30℃及び37℃での安定化促進試験のデータは2〜8℃での長期間安定性に相当し、これにより長期間安定性評価を必要とすることなく、配合されたポリペプチドの低温での長期間安定性の促進を試験する方法が提供される。−70℃及び−20℃で注射器において凍結保存したロットBのサンプルは、−70℃でバイアル中に凍結保存したサンプルに類似する安定性を示した。このことは、患者にデリバリーするまで凍結保存した予備充填注射器の実施態様の使用を支持する。
【0100】
均等及び参考文献
本発明の範囲は本明細書に記載の特定実施態様により限定されない。これらの実施態様は本発明の各局面の単なる例示にすぎず、機能的に均等の方法及び成分が本発明の範囲に包含される。実際、本明細書に記載したものに加えて本発明の各種改変が本明細書の記載及び添付図面から当業者には自明であろう。こうした改変も本発明の範囲に入ると解される。
【0101】
本明細書中に挙げた刊行物、特許明細書及び特許出願明細書はすべて、各刊行物、特許明細書または特許出願明細書が個別に具体的に援用により本明細書に含まれるとすると言及されているのと同程度に本明細書中に援用により本明細書に含まれるとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトIgG1のFc領域に融合したヒトp75腫瘍壊死因子受容体の細胞外リガンド結合部分であるポリペプチド、並びにポリペプチドの凝集を抑制するに十分な濃度のL−アルギニンを含む安定な水性製剤である医薬組成物。
【請求項2】
更に緩衝剤を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
緩衝剤がリン酸ナトリウム、ヒスチジン、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、マレイン酸、酢酸アンモニウム、トリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン(トリス)、アセテート及びジエタノールアミンからなる群から選択される請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
更に張性調節剤を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
張性調節剤がアルギニン、システイン、ヒスチジン、グリシン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、スクロース、グルコース及びマンニトールからなる群から選択される請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
張性調節剤が塩化ナトリウムである請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
更に賦形剤を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
賦形剤がスクロース、ラクトース、グリセロール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルトース、イノシトール、トレハロース、グルコース、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒトSAまたは組換えHA、デキストラン、PVA、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレンイミン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、プロリン、L−セリン、グルタミン酸ナトリウム、アラニン、グリシン、リシン塩酸塩、サルコシン、γ−アミノ酪酸、ツイーン20、ツイーン80、SDS、ポリソルベート、ポリオキシエチレンコポリマー、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、トリメチルアミンN−オキシド、ベタイン、亜鉛イオン、銅イオン、カルシウムイオン、マンガンイオン、マグネシウムイオン、CHAPS、スクロースモノラウレート及び2−O−β−マンノグリセレートからなる群から選択される請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
賦形剤がスクロースである請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
ヒトIgG1のFc領域に融合したヒトp75腫瘍壊死因子受容体の細胞外リガンド結合部分である単離ポリペプチドを、ポリペプチドの凝集を抑制するのに十分な濃度のL−アルギニンと混合して含む組成物を処方する方法。
【請求項11】
更に緩衝剤、張性調節剤及び賦形剤を組成物と混合するステップを含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
緩衝剤がリン酸ナトリウムであり、張性調節剤が5〜200mMの濃度の塩化ナトリウムであり、賦形剤が0.5〜1.5%のスクロースである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
組成物を凍結するステップを更に含む請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
10〜100mg/mlのエタナーセプト、ポリペプチドの凝集を抑制するのに十分な濃度のL−アルギニン、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム及びスクロースを含む安定な医薬組成物。
【請求項15】
リン酸ナトリウムが5〜100mMである請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
塩化ナトリウムが5〜200mMである請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
スクロースが0.5〜1.5%である請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
pHが5.5〜7.8である請求項14に記載の組成物。
【請求項19】
ポリソルベート20を更に含む請求項14に記載の組成物。
【請求項20】
組成物が凍結されている請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
ヒトIgG1のFc領域に融合したヒトp75腫瘍壊死因子受容体の細胞外リガンド結合部分であるポリペプチド及びポリペプチドの凝集を抑制するのに十分な濃度のL−アルギニンを含む組成物、並びに該組成物の使用説明書を含むキット。
【請求項22】
組成物が予備充填滅菌注射器中に保存されている請求項21に記載のキット。
【請求項23】
注射器が凍結状態で保存されている請求項22に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−106036(P2010−106036A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220(P2010−220)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【分割の表示】特願2003−570807(P2003−570807)の分割
【原出願日】平成15年2月27日(2003.2.27)
【出願人】(591123609)イミュネックス・コーポレーション (24)
【氏名又は名称原語表記】IMMUNEX CORPORATION
【Fターム(参考)】