説明

ポリマーおよび酸化触媒を有する組成物

本発明は、酸化触媒の存在により増大された酸素消尽速度を有するポリマー組成物に関する。本発明は、ポリマー組成物により酸素消尽速度を増大させる方法にさらに関する。本発明はまた、ポリマー組成物のオキソ生分解性を増大させる方法、および制御された耐用年数を有する生成物の調製のためのこのような組成物の使用に関する。本発明は、炭素含有ポリマーを含有する組成物における酸素消去速度を増大させる方法、この方法により得られる組成物、および酸素消去性生成物の調製におけるその使用にさらに関する。本発明は、このような組成物を含有する酸素消去層を含有する物体にさらに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、酸化触媒の存在により増大された酸素消尽速度を有するポリマー組成物に関する。本発明は、ポリマー組成物により酸素消尽速度を増大させる方法にさらに関する。本発明はまた、ポリマー組成物のオキソ生分解性を増大させる方法、および制御された耐用年数を有する生成物の調製のためのこのような組成物の使用に関する。本発明は、炭素含有ポリマーを含有する組成物における酸素消去速度を増大させる方法、この方法により得られる組成物、および酸素消去性生成物の調製におけるその使用にさらに関する。本発明は、このような組成物を含有する酸素消去層を含有する物体にさらに関する。
【0002】
本発明による組成物中に組み込まれた酸化触媒は、炭素含有ポリマーによる酸素消尽を加速させる。
【0003】
例えば「有機材料における酸化の阻害(Oxidation Inhibition in Organic Materials)」、第I巻、ヤンポスピシル(Jan Pospisil)およびピータークレムチャック(Peter Klemchuk)編、CRCプレス社(CRC Press Inc.)、米国ボカラトン(Boca Raton,USA)、1990年、226ページから、より具体的にはコバルト含有化合物といった遷移金属化合物を炭素含有ポリマーに添加して、ポリマーへの酸素消尽速度を加速させることは公知である。
【0004】
この目的のための遷移金属化合物の使用は広く知られており、実際には、ほとんどコバルト化合物のみが用いられている。しかしながら、近年において、コバルト化合物の使用を最小限とする、または禁止とさえする考察が開始された。これは、コバルトおよび他の遷移金属の環境に対する毒性に関する懸念が理由である。例えば、コバルトは、水性生物に対して急性および慢性的な毒性を有することで知られている。従って、コバルトの使用は検討中であり、上記の使用分野においてコバルトに代わる良好な代替物が必要とされている。それ故、環境への悪影響が少ない代替的酸化触媒が必要とされている。本発明の目的は、炭素含有ポリマーおよび酸化触媒を含有するが、酸化触媒はコバルトを含有しない、増大された酸素消尽速度を有する組成物を提供することである。「増大された速度」とは、本明細書中以下において、酸化触媒の存在下に測定された場合の、酸化触媒の不存在下での速度より速い速度を意味する。
【0005】
この目的は、炭素含有ポリマーを含有する組成物が、少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分をさらに含有することで達成される。少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分が、遷移金属触媒に対する代替であることが意外にも見出された。好ましくは、少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分は、式Iで表される少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する。
【化1】


(式中、XおよびYは、相互に同等または異なると共に、それぞれ以下を表す:
X、Yは、OR、SR、NR、R、Oであり、ここで、
R、R、Rは、H、任意により置換されたC〜C20アルキル基、任意により置換されたC〜C20アリール基、任意により置換されたC〜C20アルキルアリール基、および任意により置換されたC〜C20アリールアルキル基からなる群から相互に独立して選択される基であり、
は、アルカリ金属カチオンもしくはアルカリ土類金属カチオン、またはアンモニウムイオンであり、
ならびに、式中、XおよびYは一緒に結合して少なくとも7個の炭素原子の環式ジオキソ構造を形成し得、および/または任意により置換されていることが可能であるオリゴマー系または高分子残渣を表すXもしくはYのいずれかと結合し得る)
【0006】
好ましくは、Xおよび/またはYはRである。より好ましくは、XおよびYはRである。さらにより好ましくは、XもしくはYは、任意により置換されたC〜C20アリール基あるいは任意により置換されたC〜C20アリールアルキル基であり、またはXは、任意により置換されたC〜C20アルキル基であると共にYは任意により置換されたC〜C20アリール基である。他の好ましい実施形態において、Xは、OHまたは任意により置換された1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基であると共にYは任意により置換されたC〜C20アリール基である。本発明のさらに他の好ましい実施形態において、Xおよび/またはYはOである。
【0007】
アルキル−、アリール−、アルキルアリール−またはアリールアルキル基に対する置換基の例は、ハロゲン、アミン基、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、アルデヒド、ポリアルキレンオキシ残渣、カルボキシレート、無水物、アミド、尿素またはウレタンなどの基である。
【0008】
高分子残渣の例は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリカーボネート、ポリウレタンまたはポリエステルである。
【0009】
好ましくは、加工性の観点から、本発明の組成物は、少なくとも200g/mol、より好ましくは少なくとも350g/mol、さらにより好ましくは少なくとも500g/molの分子量を有する少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を有する構成成分を含有する。1,2−ジオキソ部分含有構成成分の分子量は、質量分光測定により測定される数平均分子量(Mn)として表記される。より好ましくは本発明の組成物は、少なくとも200g/mol、より好ましくは少なくとも350g/molおよび最も好ましくは少なくとも500g/molの分子量を有する、上述の式Iで表される少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する。より小さい分子量の構成成分は、配合方法における使用が困難であるため好ましくない。
【0010】
本発明による組成物において好適に利用可能である式Iで表される1,2ジオキソ部分の少なくとも1種を含有する構成成分の例は、特に限定されないが、2,3−ブタンジオン、2,3−ペンタンジオン、2,3−ヘキサンジオン、3,4−ヘキサンジオン、2,3−ヘプタンジオン、1−フェニルプロパンジオン、ピルビン酸アルデヒド、ピルビン酸、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、1−フェニル−1,2−プロパンジオン、メチル−ベンゾイルホルメート、12,13−テトラコサジオン(tetracosadione)、オクタデシル−2−オキソ−2−フェニルアセテート、ジメチル−6,7−ジオキソドデカンジオエート、1,2−ビス(4−ブチルフェニル)−1,2−エタンジオン、1−フェニルトリデカン−1,2−ジオンである。
【0011】
組成物中の少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分の量は、かなり広い範囲内で異なり得、本発明の組成物が適用される用途の種類に応じて選択され得る。当業者は、選択された用途のタイプに応じて、どの量が良好な結果をもたらすかを日常的な実験により容易に評価することが可能である。
【0012】
好ましくは、組成物中の少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分の量は、組成物の総重量で算出されて、少なくとも0.0001重量%、好ましくは少なくとも0.01重量%およびさらにより好ましくは少なくとも0.05重量%である。好ましくは、組成物中の少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分の量は80重量%未満である。好ましくは、1,2−ジオキソ部分の量は0.1重量%〜50重量%であり、より好ましくはこの量は0.2重量%〜20重量%である。本明細書中以下において、数値範囲が記載されている場合、上限および下限は範囲内に包含される。
【0013】
当業者は前述から直ちに理解するであろうとおり、少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分を2種以上用いることも可能である。このような状況においては、既述の量は、少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分の合計を指す。
【0014】
少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する好適な構成成分は、市販されているか、または以下の一般的な方法により調製することが可能である。
【0015】
少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分は、適切なアルデヒドを、塩化チアゾリウムを触媒として用いて縮合することにより調製されることが可能である、これらの対応する1−ヒドロキシ−2−オキソ誘導体の穏やかな酸化により調製することが可能である(H.ステッター(H.Stetter)およびH.クルマン(H.Kuhlmann)、「チアゾリウムイオン触媒によるアシロイン縮合(Acyloin condensation by thiazolium ion catalysis)」、有機合成(Organic Syntheses)、Coll.第7巻、95ページ(1990年);第62巻、170ページ(1984年))。
【0016】
本発明による組成物において用いられることが可能である炭素含有ポリマーは特に重要ではなく、一般に、最終ポリマー組成物の予期される用途によって決定されることとなる。好適な、好ましいポリマーの例は、不飽和ポリエステルを除外した、例えば飽和ポリエステル、飽和ポリエーテルおよび飽和炭化水素ポリマーなどのポリマーである。好ましいポリマーは、飽和ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレンおよびこれらのコポリマーである。好ましい飽和ポリエステルの例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンスクシネートテレフタレート、ポリブチレンアジペートテレフタレートポリ乳酸(コ)ポリマー、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート(例えばポリヒドロキシブチレートなど)、ポリエステルアミドである。好ましいポリエーテルの例は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラヒドロフランである。さらに好適なポリマーはスチレン(コ)ポリマーおよびその多価不飽和ポリマーとのブレンド;ポリジエンゴム、例えばシス−ポリイソプレン(天然または合成)などの不飽和ポリマー;ポリブタジエン;スチレン−ブタジエン;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)などの不飽和ポリマーと飽和ポリマーとのコポリマー;および例えばスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)といったブロックコポリマー;ならびに前述のポリマーのいずれかの混合物である。
【0017】
少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分の好適な炭素含有ポリマー中の濃縮物(いわゆる「マスターバッチ」)を予め形成することが簡便であり、作業的に好ましい。マスターバッチ中のこの炭素含有ポリマーは、これが添加されるべき炭素含有ポリマーと同一であり得る。しかしながら、少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分を、最終的な、予期される組成物における炭素含有ポリマー以外のタイプの炭素含有ポリマーに添加することも可能である。少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分および炭素含有ポリマーを含む「マスターバッチ」が、最終組成物の炭素含有ポリマーに当業者に公知であるいずれかの好適な方法によって添加することが可能である。好適な技術の例は、押出し、混合または乾燥ブレンドである。
【0018】
最終炭素含有ポリマーにおける少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分の必要な濃度は、希釈により;従って、最終炭素含有ポリマー中の少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分の所望の濃度を達成するために必要なだけのマスターバッチを最終炭素含有ポリマーに添加して達成することが可能である。当業者は、マスターバッチの「使用量」が既知である場合、最終組成物における少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分の所望のレベルを達成するために必要なマスターバッチの量を容易に算出することが可能である。マスターバッチの「使用量」とは、一緒にマスターバッチを調製するために用いられる炭素含有ポリマー中に存在する少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分の量を意味する。通常、この使用量は、重量%として表記されることとなる。「最終組成物」とは、本明細書中以下において、少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分および炭素含有ポリマーを含有する組成物を意味する。酸化触媒による活性化が必要な炭素含有ポリマー以外のタイプの炭素含有ポリマーが用いられるマスターバッチが用いられる場合、マスターバッチからの炭素含有ポリマーの量は、最終組成物の計算に包含される。
【0019】
少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分を含有する組成物を調製する「マスターバッチ法」とは別に他の方法もまた可能であり、当業者には一般に公知である。炭素含有ポリマーと少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分とを最初から所望の量で混合することも可能であり、先ず、「マスターバッチ」である組成物が、ポリマー組成物中に最終的に所望される量より多くの少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分と共に調製されるマスターバッチ法と反対である。上述の混合ステップは、個別のステップとして、またはポリマー組成物から物品を生産するプロセスにおけるステップとして実施されることが可能である。
【0020】
ポリマー組成物を調製する他の方法は、少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分と炭素含有ポリマーとの「溶剤ブレンド」による。溶剤ブレンドは、比較的低分子量を有する1,2−ジオキソ部分構成成分について特に好適である。
【0021】
「マスターバッチ法」または「直接法」のいずれかのための混合は、例えば押出機およびミキサーなどの当該技術分野において一般に公知である器具において実施することが可能である。混合は、溶融混合(すなわち、混合は炭素含有ポリマーの融点超であるがその分解温度未満で行われる)で行うことが可能である。
【0022】
本発明者らは、酸化触媒の効率は、本発明による組成物が、アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩を助触媒としてさらに含有する場合に増大されることをさらに見出した。それ故、組成物は、炭素含有ポリマー、少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分、ならびに助触媒としてアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩を含む。
【0023】
これらの塩における好適なアニオンは、例えばカルボン酸イオン、硝酸イオン、ホウ酸イオン、ハロゲン化物イオン、亜硫酸イオン、硫酸イオンまたは水酸化物イオンである。好ましくは、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、K−、Li−またはNa−塩、より好ましくはK−、Li−またはNa−カルボキシレート、最も好ましくはK−カルボキシレートである。
【0024】
一般に、本発明の好ましい本実施形態において好適に用いられることが可能であるカルボキシレートは、2〜50個の炭素原子を有するカルボキシレートであろう。本発明の好ましい本実施形態において用いられることが可能である好適なカルボキシレートは、例えば、プロピオネート、アセテート、エチルヘキサノエート、乳酸塩またはブチレートである。カルボキシレートの他の好適なクラスは、飽和、モノ−不飽和またはポリ−不飽和脂肪酸のいずれかの脂肪酸からのアニオンである。好適な例は、ステアレート、パルミテート、リノレエート、リノレネートおよびオレエートである。好ましくは、少なくとも4個の炭素原子を有するカルボキシレートが用いられる。好ましくは、カルボキシレートは、40個未満の炭素原子を有する。より好ましくは、カルボキシレートは6〜32個の炭素原子を有する。この範囲内では、配合の容易性と助触媒の効率性との間の最も有利なバランスが達成される。
【0025】
好ましくは、存在する場合には、アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩の組成物中の量は、組成物の総重量で算出されて、少なくとも0.0001重量%、好ましくは少なくとも0.01重量%およびさらにより好ましくは少なくとも0.1重量%である。好ましくは、アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩の組成物中の量は、80重量%未満、より好ましくは35重量%未満である。きわめて有利な範囲は、0.1〜50重量%、より好ましくは0.2重量%〜20重量%である。
【0026】
助触媒は、酸化触媒のポリマーへの添加について上述したものと同一の様式および同一の方法で添加することが可能である。本発明はまた、ポリマー組成物における酸素消尽速度を増大させる方法に関する。本方法は、酸化触媒をポリマー組成物に添加するステップを少なくとも含む。好適な酸化触媒は、少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分である。好ましくは、少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分は、式Iで表される少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する。
【化2】


(式中、XおよびYは、相互に同等または異なると共に、それぞれ以下を表す:
X、Yは、OR、SR、NR、R、Oであり、ここで、
R、R、Rは、H、任意により置換されたC〜C20アルキル基、任意により置換されたC〜C20アリール基、任意により置換されたC〜C20アルキルアリール基、および任意により置換されたC〜C20アリールアルキル基からなる群から相互に独立して選択される基であり、
は、アルカリ金属カチオンもしくはアルカリ土類金属カチオン、またはアンモニウムイオンであり、
ならびに、式中、XおよびYは一緒に結合して少なくとも7個の炭素原子の環式ジオキソ構造を形成し得、および/または任意により置換されていることが可能であるオリゴマー系または高分子残渣を表すXもしくはYのいずれかと結合し得る)
【0027】
この1,2−ジオキソ部分の好ましい実施形態は上述のとおりである。
【0028】
他の実施形態においては、本発明による方法において、アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩を助触媒として添加することが有利であると見られる。本発明者らは、酸素消尽の効率が、助触媒をポリマー組成物に添加した場合に増大されることを見出した。少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分および助触媒がポリマー組成物に添加される順番は特に関連はない。少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分を最初に添加することが可能であり、もしくは助触媒を最初に添加することが可能であり、または少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分および助触媒を同時に、別々あるいは一緒に添加することが可能である。本発明による方法における助触媒の添加は、式Iで表される1,2−ジオキソ部分との組み合わせが特に有利であることが見出された。助触媒の好適な例およびその使用の詳細は上述のとおりである。
【0029】
少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分および/または助触媒は、ポリマー組成物の配合分野における当業者に一般に知られている方法および装置で、ポリマー組成物に添加されることが可能である。
【0030】
本発明はまた、増大された酸素消尽速度を有するポリマー組成物に関し、このポリマー組成物は、本発明による方法により得ることができる。このようなポリマー組成物は、従来技術におけるポリマー組成物に比して増大された酸素消尽速度を有するが、しかしながら、例えばコバルトなどの環境的許容性が低い金属は使用していない。
【0031】
本発明による組成物または本発明による方法により得られる組成物は、すべて種類の物品の生産に用いられることが可能である。本発明はまた、本発明による組成物から形成された、または本発明による方法により得られる組成物から形成された物品に関する。増大された酸素消尽速度により利益を受ける物品における組成物の使用が特に有益である。特に有益である物品の例は、酸素消去性機能を有する物品または大気中の酸素の作用により劣化されるべき物品である。この最後のカテゴリーにおいては、「廃棄物」として廃棄されて環境汚染を引き起こす物品が考えられる。
【0032】
本発明はまた、炭素含有ポリマーのオキソ生分解性を増大させる方法に関する。オキソ生分解は、「ポリマー鎖の開裂が、主に、非生物的化学、微生物またはこれらの組み合わせにより媒介され得る酸化による生分解」と定義される。しかしながら、普通、ポリマーの酸化速度は、環境的に許容可能な期間内でこれらのポリマーを生分解性とするには過度に遅い。従って、ポリマーに、これらを環境において崩壊させると共にその後生分解させるよう、これらポリマーの分解を促進する物質を添加することが公知である。これらの系の多数の用途は、埋立地に埋め立てられるプラスチック廃棄物の量を低減させると共に、炭素ベースのポリマーを、コンポストの形態で、または分解後に土壌上に散布することにより生物学的サイクルに戻すために、近年においては重要になってきている。生分解性プラスチックの1つの重要な用途は、製品耐用年数は、製品の使用者により要求される適切な保管寿命および耐用寿命を提供するために必要な期間であればよい、短期的用途(例えば食品包装材および埋立用カバー)にある。この要求は、過去においては、遷移金属イオンの炭素含有ポリマーへの添加により達成され、この遷移金属イオンが酸化、従ってポリマーの分解を促進する。生分解性を加速させるために遷移金属触媒を用いるこの方法の欠点は、不可避的に、遷移金属の一部が環境汚染を引き起こすこととなるであろうことである。これが望ましくないことは言うまでもないことである。
【0033】
このような従来技術法は米国特許第5,350,783号明細書から公知であり、ここでは、コンポスト化促進剤の存在下での、増加された生分解性を有する低分子量物質への熱可塑性生成物の分解が記載されている。コンポスト化促進剤は、非金属性金属錯化剤、非酸化性金属金属錯化剤の群から選択される。コンポスト化促進剤は、酸化性金属化合物の存在下に活性酸化剤に転換する。コンポスト化促進剤の記載されたいくつかの例は、β−ジケトン(1,3−ジケトン)およびβ−ケト−エステルである。コンポスト化促進剤は、常に、酸化性金属化合物と組み合わされている必要がある。所与の酸化性金属化合物のいくつかの例は、鉄、銅、マンガン、コバルト、セリウム、銀、クロムおよびニッケルである。
【0034】
本発明は、上述の欠点を克服し、ならびに、環境的に疑わしい金属を用いず、かつ、それでいてなお所望のおよび許容可能なオキソ生分解速度を達成する炭素含有ポリマーのオキソ生分解性を増大させる方法を提供することを目的とする。
【0035】
この目的は、炭素含有ポリマーのオキソ生分解性を増大させる方法を提供することにより達成され、この方法は、酸化触媒を炭素含有ポリマーに添加するステップを少なくとも含む。好適な酸化触媒は、少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分である。好ましくは、少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分は、式Iで表される少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する。
【化3】


(式中、XおよびYは、相互に同等または異なると共に、それぞれ以下を表す:
X、Yは、OR、SR、NR、R、Oであり、ここで、
R、R、Rは、H、任意により置換されたC〜C20アルキル基、任意により置換されたC〜C20アリール基、任意により置換されたC〜C20アルキルアリール基、および任意により置換されたC〜C20アリールアルキル基からなる群から相互に独立して選択される基であり、
は、アルカリ金属カチオンもしくはアルカリ土類金属カチオン、またはアンモニウムイオンであり、
ならびに、式中、XおよびYは一緒に結合して少なくとも7個の炭素原子の環式ジオキソ構造を形成し得、および/または任意により置換されていることが可能であるオリゴマー系または高分子残渣を表すXもしくはYのいずれかと結合し得る。この1,2−ジオキソ部分の好ましい実施形態は上述のとおりである)
【0036】
本発明による組成物において用いられることが可能である炭素含有ポリマーは、好ましくは、不飽和ポリエステルを除く被酸化性炭素含有ポリマーである。本発明における使用に関して、ホモポリマーのみが好適であるわけではなく、コポリマーならびに好適なホモ−および/またはコポリマーのブレンドもまた用いられることが可能である。
【0037】
より好ましくは、炭素含有ポリマーは、屋外環境において主に酸化メカニズムにより分解されて、完全なオキソ生分解の後に主に二酸化炭素および水をもたらすことが可能であるポリマーである。好ましいポリマーは、例えば超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンおよびこれらのコポリマーといった飽和ポリオレフィン;スチレン(コ)ポリマーおよび多価不飽和ポリマーとのそのブレンド;例えばシス−ポリイソプレン(天然または合成)といったポリジエンゴムなどの不飽和ポリマー;ポリブタジエン;スチレン−ブタジエン;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)などの不飽和ポリマーと飽和ポリマーとのコポリマー;ならびに例えばスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)といったブロックコポリマーであって;例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンスクシネートテレフタレート、ポリブチレンアジペートテレフタレートポリ乳酸(コ)ポリマー、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート(例えばポリヒドロキシブチレートなど)、ポリエステルアミドといったエステル結合を含有するポリマー;例えばポリアミド−6、ポリアミド−66、ポリアミド−46といったアミド結合を含有するポリマー;例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフランなどのエーテル結合を含有するポリマーならびに前述のポリマーのいずれかの混合物およびブロックコポリマーである。最も好ましくは、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンおよびこれらのコポリマー、スチレン(コ)ポリマーおよび多価不飽和ポリマーとのそのブレンドが用いられる。
【0038】
他の実施形態においては、本発明による方法において、アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩を助触媒として添加することが有利であると見られる。本発明者らは、助触媒が、炭素含有ポリマーおよび少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分を含む組成物に添加されるとオキソ生分解速度が増加されることを見出した。少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分および助触媒が炭素含有ポリマーに添加される順番は特に関連性がない。少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分を最初に添加することも、もしくは、助触媒を最初に添加することも可能であり、あるいは、少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分および助触媒を、同時に、一緒にもしくは別々に添加することが可能である。本発明によるオキソ生分解性を増大させる方法における助触媒の添加は、式Iで表される1,2−ジオキソ部分との組み合わせにおいて特に有利であることが見出された。助触媒の好適な例およびその使用の詳細は上述のとおりである。
【0039】
少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分および/または助触媒は、ポリマー組成物の配合分野における当業者に一般に知られている方法および装置でポリマー組成物に添加されることが可能である。
【0040】
本発明は、本発明による組成物の使用または本発明による方法により得られた組成物の増大されたオキソ生分解性を有する物品の調製のための使用にさらに関する。これらの物品は、本発明による組成物から、または本発明による方法により得られた組成物から形成される。これらの物品は、酸化触媒を含有しない組成物から形成された物品と比して増大されたオキソ生分解速度を有すると共に、これらの物品は、他の従来技術の物質と比して、何らかの点で環境的に疑わしい金属を酸化触媒から環境に放出しない。
【0041】
本発明はまた、本発明による組成物の使用、または本発明による方法により得られた組成物の使用により得られた増大されたオキソ生分解性を有する物品に関する。本発明による物品はいかなる形状であってもよく、それ故、特定の形状には限定されない。この形状は、一般に、物品の使用により指定されることとなる。種々の物品の非限定的な例は、食品包装材、バッグ(パン袋、買い物袋、コンポストバッグ、宅配用袋、ゴミ袋、ペット用の糞便用スコップ)、ボトル、箱、容器、カップ、プラスチック製ドリンクホルダーおよびトレー、フィルム(吹込フィルム、キャストフィルム、収縮フィルム、熱成形フィルム、積層フィルム、粘着性フィルム)、カトラリー、飲用ストロー、農業用フィルム(マルチフィルム、温室フィルム)、埋立用カバー、医学および衛生製品(大人用失禁パッド、おむつ、女性用生理用パッド)である。
【0042】
酸化速度は、様々な方法で測定することが可能である。1つの方法は、露出時間に応じた、例えば50℃でのカルボニル基との化学的生成物の蓄積のFTIR分光法での測定(1713cm−1での吸収−1860cm−1での吸収)である。ポリマーの酸化速度に対する基準として、0.1のカルボニル基吸収の増加が達成されるまでの時間を用いることが可能である。
【0043】
酸化速度を測定するための他の方法は、時間に応じて、例えば50℃で酸素で充填された密閉系中での組成物の酸素吸収度を測定することであり、ポリマーの酸化速度に対する基準としてポリマーが、ポリマー1kg当たり50mmolの酸素を吸収するまでの時間を用いることが可能である。
【0044】
本発明はまた、炭素含有ポリマーを含有する組成物における酸素消去速度を増大させる方法に関する。
【0045】
炭素含有ポリマーを含有する組成物の酸素消去速度を増大させる方法は周知であり、包装材料を形成する食品包装ビジネスにおいて特に有用である。酸素は、包装された食品の臭気および味覚および品質に悪影響を与え、これにより、包装された食品の保管寿命を短縮させる可能性があることが公知である。酸素消去性組成物中に存在する炭素含有ポリマーは酸素と反応し、これにより、酸素消去性組成物製の包装材に包装されている食品または飲料の臭気および/または味覚に酸素がもたらす可能性のある悪影響を低減しまたはなくす。
【0046】
酸素消去速度を増大させるための方法が国際公開第98/12250号パンフレットに記載されており、ここでは、製品は脱酸素剤およびポリ−(乳酸)から形成されている。ここに記載されているすべての脱酸素剤は遷移金属触媒を含有する。この触媒は、単純な金属、塩、化合物、錯体またはキレートであることが可能である。遷移金属が周期律表の第1、第2または第3遷移系列から選択され、特に好適な遷移金属としてコバルトが記載されている。
【0047】
酸素消尽を加速させるために遷移金属触媒を用いることの欠点は、包装材料が環境中に廃棄されたときに、不可避的に、遷移金属の一部が環境汚染を引き起こすこととなるであろうことである。これが望ましくないことは言うまでもないことである。それ故、与える環境的悪影響の少ない、酸素消去速度を増大させるための方法が必要とされている。従って、本発明は、炭素含有ポリマーを含有する組成物の酸素消去速度を増大させるための方法を提供することを目的とし、ここで、遷移金属触媒の添加は酸素消去性のためには必要ない。
【0048】
この目的は、酸素消去速度を増大させる方法を提供することにより達成され、この方法は、酸化触媒を炭素含有ポリマーに添加するステップを少なくとも含む。好適な触媒は少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分である。少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分の添加は、遷移金属触媒の添加に対する代替であることが意外にも見出された。加えて、前記少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分のいくつかの添加は、例えばコバルトなどの従来技術の触媒よりも効率的である組成物の酸素消去特性をももたらすことが見出された。好ましくは、少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分は、式Iで表される少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する。
【化4】


(式中、XおよびYは、相互に同等または異なると共に、それぞれ以下を表す:
X、Yは、OR、SR、NR、R、Oであり、ここで、
R、R、Rは、H、任意により置換されたC〜C20アルキル基、任意により置換されたC〜C20アリール基、任意により置換されたC〜C20アルキルアリール基、および任意により置換されたC〜C20アリールアルキル基からなる群から選択された基であり、
は、アルカリ金属カチオンもしくはアルカリ土類金属カチオン、またはアンモニウムイオンであり、
ならびに、式中、XおよびYは一緒に結合して少なくとも7個の炭素原子の環式ジオキソ構造を形成し得、および/または任意により置換されていることが可能であるオリゴマー系または高分子残渣を表すXもしくはYのいずれかと結合し得る。この1,2−ジオキソ部分の好ましい実施形態は上述のとおりである)
【0049】
他の実施形態においては、本発明による方法において、アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩を助触媒として添加することが有利であると見られる。本発明者らは、助触媒が、炭素含有ポリマーおよび少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分を含む組成物に添加されると酸素消去速度が増加されることを見出した。少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分および助触媒が炭素含有ポリマーに添加される順番は特に関連性がない。少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分を最初に添加することが可能であり、もしくは助触媒を最初に添加することが可能であり、または少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分および助触媒を、同時に、別々にまたは一緒に添加することが可能である。本発明による酸素消去速度を増大させる方法における助触媒の添加は、式Iで表される1,2−ジオキソ部分との組み合わせにおいて特に有利であることが見出された。助触媒の好適な例およびその使用の詳細は上述のとおりである。
【0050】
少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分および/または助触媒は、ポリマー組成物の配合分野における当業者に一般に知られている方法および装置でポリマー組成物に添加されることが可能である。
【0051】
本発明の一実施形態において、被酸化性炭素含有構成成分は(コ)ポリマーである。好ましい被酸化性ポリマーは、アリル位を含有する有機ポリマー;第3級炭素を含有する有機ポリマー;ベンジル位を含有する有機ポリマーおよびエーテルセグメントを含有する有機ポリマーであって、不飽和ポリエステルを除く。
【0052】
アリル位を含有する有機ポリマーの例は、ブタジエン含有(コ)ポリマー;イソプレン含有(コ)ポリマーまたは例えばエチレン−シクロヘキセンコポリマーのようなシクロヘキセンコポリマーである。
【0053】
第3級炭素を含有する有機ポリマーの例は、例えばプロピレンホモポリマーまたはエチレン−プロピレンコポリマーのようなプロピレン含有(コ)ポリマーである。
【0054】
ベンジル位を含有する有機ポリマーの例は、例えばMXD6−ポリアミドのようなm−キシリル−アミン含有ポリアミドである。
【0055】
好ましい被酸化性ポリマーは、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコールまたはポリブタジエンベースのセグメントを含有するポリマーといった、エーテルセグメントを含有する有機ポリマーまたはブタジエン含有(コ)ポリマーである。エーテルセグメントを含有する好ましい有機ポリマーは、好ましくは1,2−プロピレングリコールセグメントまたは、およびポリマーセグメントといったプロピレングリコールセグメントを含有するコポリマーである。より好ましくは、プロピレングリコールセグメントおよびポリマーセグメントを含む前記コポリマーは、関連するモノマーを官能基化プロピレングリコールセグメントの存在下に共重合することにより調製される。モノマーをプロピレングリコールセグメント上に結合させるために、これらのセグメントは、モノマーの再活性部位と反応することが可能である末端基で官能基化される。このような官能性末端基および反応性モノマー部位の例は、例えば−OH、−NH、酸、エポキシならびに、ポリアミドモノマーと反応性であるとして当該技術分野において公知である他の官能基である。好適なプロピレングリコールセグメントはプロピレングリコールの直鎖オリゴマーであり、置換タイプのものである。IUPAC命名法において、このプロピレングリコールは、ポリオキシ−1,2−プロパンジイルとして表記される。これらは、2〜5000のプロピレングリコールモノマーユニットから、好ましくは10〜2500ユニットからなり、この形状およびサイズで、これらはモノマーと共重合される。この範囲内において、重縮合物におけるコポリマーの均一な分布が達成されると見られる。この共重合の最中に、プロピレングリコールセグメントBと交互の様々な長さのポリマーセグメントAを含む、−ABABA−タイプのコポリマーが形成される。
【0056】
他の実施形態において、プロピレングリコールセグメントは、その中心ユニットが例えばジ−、トリ−、テトラまたはそれ以上の官能性エステル、アミド、エーテル、ウレタンであることが可能である二叉、三叉、四叉またはそれ以上の星状分岐化合物中に分岐として存在する。本発明の組成物に適用されるコポリマーの調製方法において、ポリマーセグメントは、次いで、プロピレングリコールセグメント分岐の自由端から成長する。この共重合の最中に、タイプABAの直鎖コポリマー、またはタイプBAの分岐を有する分岐コポリマーが形成されることが可能である。
【0057】
コポリマー中のポリマーセグメントは、好ましくはポリアミドまたはポリエステルセグメントであり、より好ましくはポリアミドセグメントである。好適なポリエステルの例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタノエート(PEN)、ポリブチレンナフタノエート(PBN)である。好適なポリアミド(PA)の例は、最終的には、PA6、PA4,6、PA6,6、PA11、PA12などの分岐ポリアミド、MXD6、PA6,I/6,T、PA6,6/6,Tなどのセミ芳香族ポリアミド、完全芳香族ポリアミドならびに列挙したポリアミドおよびポリエステルのコポリマーおよびブレンドであり得る脂肪族ポリアミドである。
【0058】
好適なPPOセグメントは、PPOの直鎖オリゴマーであり、置換タイプのものである。IUPAC命名法において、このPPOは、ポリオキシ−1,2−プロパンジイルとして示される。これらは、2〜5000のポリプロピレンオキシドモノマーユニット、好ましくは10〜2500のユニットからなり、この形状およびサイズにおいて、これらはモノマーと共重合される。この範囲内において、重縮合物におけるコポリマーの均一な分布が達成されると見られる。この共重合の最中に、プロピレンオキシドセグメントBと交互の様々な長さのポリマーセグメントAを含む、−ABABA−タイプのコポリマーが形成される。
【0059】
他の実施形態において、置換PPOセグメントは、その中心ユニットが例えばジ−、トリ−、テトラまたはそれ以上の官能性エステル、アミド、エーテル、ウレタンであることが可能である二叉、三叉、四叉またはそれ以上の星状分岐化合物中に分岐として存在する。本発明の組成物に適用されるコポリマーの調製方法において、ポリマーセグメントは、次いで、PPOセグメント分岐の自由端から成長する。この共重合の最中に、タイプABAの直鎖コポリマー、またはタイプBAの分岐を有する分岐コポリマーが形成されることが可能である。
【0060】
PPOセグメントとは別に、他のエーテルセグメントもまた、任意により例えばポリエチレンオキシドとして存在し得るが、しかしながら、PPOより少量で存在する。好ましくは、他のエーテルセグメントは、PPOの量の、40重量%未満、より好ましくは30重量%未満または10重量%未満の量で存在する。また、PPOセグメント自体が、通常は共ブロックとして他のポリ(アルキレン)オキシドユニットを微量で含み得る(すなわち、PPOの量の40重量%未満、より好ましくは30重量%未満または10重量%未満の量で存在する)。これの例は、ブロックポリ(エチレン)オキシド−置換PPOブロック−ブロックポリ(エチレン)オキシドトリブロックセグメントである。
【0061】
本発明の他の実施形態において、被酸化性炭素含有構成成分は、例えばアスコルビン酸、イソ−アスコルビン酸、スクアレン、不飽和脂肪酸、ヒマシ油、d−リモネンまたはジヒドロアントラセンのようなアリル位を含有する有機構成成分である。
【0062】
本発明による組成物は、好ましくは、重縮合物をさらに含有する。重縮合物は、好ましくは、(コ)ポリアミドまたは(コ)ポリエステルまたはこれらの混合物であり、より好ましくは重縮合物はポリアミドである。
【0063】
さらに、本発明による組成物は、一定の追加の要求される特性を組成物に付与し得る他の通常の添加剤を含み得、その例は、線維、充填材、ナノ粒子、酸化防止剤、難燃剤、金型離型剤およびこの目的のために当該技術分野において公知である他の化合物である。
【0064】
被酸化性炭素含有構成成分および少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分を含有する組成物は、被酸化性炭素含有構成成分と少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分とを、個別のステップにおいて、または酸素消去性物体を生産する方法における一ステップにおいて混合することにより調製することが可能である。この混合は、押出機およびミキサーなどの当該技術分野において公知である器具において実施することが可能である。この方法は溶融混合に適用され、すなわち、混合は、被酸化性炭素含有構成成分の融点超であるがその分解温度未満で実施される。
【0065】
本発明はまた、本発明による方法により得られる組成物の使用および酸素消去性物体の調製に関する。本発明は、このような組成物を含有する酸素消去層を含有する物体にさらに関する。
【0066】
本発明はまた、本発明による方法によって得られる増大された酸素消去速度を有する組成物にさらに関する。本発明はまた、例えばフィルム、ボトル、容器またはラップなどの食品、飲料または飼料パッケージの容器のような酸素消去性物体の調製のための本発明の組成物の使用に関する。本発明の好ましい実施形態において、この組成物は、酸素含有環境に露出される少なくとも1つの表面を有する物体の調製のために用いられ、ここで、この物体は、本発明による組成物を含有する層を含み、さらに特に、本発明は、本発明の組成物の層を含有する多層物体に関する。一実施形態において、この物体は、本発明の組成物の層を含有する多層物体であり、ここで、前記層は、物体の第1の表面から、500cm/m.24h.atm以下(ASTM規格D3985に準拠して、乾燥条件下に60μmの厚さを有するフィルム上で計測した場合)の総酸素浸透性を有する1つ以上の第1の層によって分離されている。他の実施形態において、組成物は、第1の表面の反対側の物体の第2の表面を形成する、または前記第2の表面から1つ以上の第2の層によって分離されている少なくとも1つの層中に存在し、この第2の層は、500cm/m.24h.atm超(ASTM規格D3985に準拠して、乾燥条件下に60μmの厚さを有するフィルム上で計測した場合)の総酸素浸透性を有する。本発明のさらに他の実施形態において、本組成物を含有する層は、第1の表面の反対側の物体の第2の表面から1つ以上の第2の層によって分離されており、第2の層は、500cm/m.24h.atm以下(ASTM規格D3985に準拠して、乾燥条件下に60μmの厚さを有するフィルム上で計測した場合)の総酸素浸透性を有する。
【0067】
上述における本発明の特に好ましい実施形態において、増大された酸素消尽速度を有する組成物または増大されたオキソ生分解速度を有する組成物または酸素消去特性を有する組成物のいずれかの本発明の組成物は、コバルトを実質的に含まない。「コバルトを実質的に含まない」とは、本明細書中以下において、コバルト濃度が10ppm未満であることを意味する。より好ましくは、コバルト濃度は、組成物の総重量で算出されて、5ppm未満であり、さらにより好ましくは1ppm未満であり、最も好ましくはこの組成物はコバルトを含まない。
【0068】
好ましくは、コバルト濃度のみが既述の限度内にあるわけではなく、より好ましくは、本発明の組成物は、すべての遷移金属を実質的に含まない。「遷移金属を実質的に含まない」とは、遷移金属濃度が10ppm未満であることを意味する。より好ましくは、遷移金属濃度は、組成物の総重量で算出されて、5ppm未満であり、さらにより好ましくは遷移金属濃度は1ppm未満である。最も好ましくは、この組成物は遷移金属を含まない。数々の異なる遷移金属が組成物中に存在する場合、規定の濃度は個別の遷移金属の各々についてのものを意味する。
【0069】
上述のすべての組成物に、増大された酸素消尽速度を有する組成物または増大されたオキソ生分解速度を有する組成物または酸素消去特性を有する組成物、他の構成成分のいずれかを添加することが可能である。添加に好適である構成成分の例は、加工性を高めると共に、被酸化性炭素含有ポリマーの寿命を適応させる安定化剤である。
【0070】
添加することが可能である安定化剤の1クラスは、フェノール系酸化防止剤および芳香族アミンのような一次酸化防止剤のクラスである。これらの一次酸化防止剤の例は:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチル−フェノール、ベンゼンプロパン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−オクタデシルエステル、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチル−フェノール)、ビス−(2−t−ブチル−4−メチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシ−ベンジル)−フェニル)−テレフタレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2.4.6−トリス(3.5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、酪酸、3,3−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチレンエステル、1,3,5−トリス(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−ベンジル(bezyl))−イソ−シアヌレート、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシ−エチル)−イソ−シアヌレートとの3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオン酸エステル、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナムアミド、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−(β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)−プロピオニル−オキシ)−エチル)−2,4,8,10−テトラオキソスピロ、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、トリ−エチレン−グリコール−ビス−3−(t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサン−ジオール−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−sec−ブチル−フェノール、[2−プロピレン酸、2−イソペンタン−6−[(3−イソペンタン−2−ヒドロキシ−5−イソペンタン−フェニル)−エチル]−4−メチル−フェニル−エステル]、[2−プロピレン−酸,2−t−ブチル−6−[(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)−メチル]−4−メチル−フェニル−エステル]、p−クレゾール/ジシクロペンタジエンブチル化反応生成物、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−リン酸のジ−エチル−エステル、2,5,7,8−テトラ−メチル−2−(4’,8’,12’−トリ−メチル−トリ−デシル)−6−クロマノール、N,N’−1,3−プロパンジイルビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナムアミド、カルシウムビス[モノエチル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、4,4’−ジ−クミル−ジ−フェニル−アミンおよび2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンポリマーである。
【0071】
添加することが可能である安定化剤の他のクラスは、亜リン酸塩およびチオエーテルのような二次酸化防止剤のクラスである。これらの二次酸化防止剤の例は:トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tブチル−フェニル)−オクチル−ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスホニット、ビス−(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、2,4,6トリ−t−ブチルフェニル−2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパン−ジオール−ホスファイト、亜リン酸ジステアリルペンタエリスリトール、テトラキス−(2,4−ジ−tert−ブチル−フェニル)−4,4’−ビ−フェニレン−ジ−ホスホニット、ビス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス−(2,6−ジ−tブチル−4−メチル−フェニル)−ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス−(2,4−ジクミルフェニル)−ペンタエリトリトール−ジホスファイト、1,3−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチル−プロパン、2,2’,2’’−ニトリロトリエチル−トリス[3,3’,5,5’−テトラtert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル]ホスファイト、ジラウリルチオジプロピオネート、ジ−ミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジステアリルジスルフィドおよびペンタエリスリチルテトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)である。
【0072】
屋外条件における寿命を制御するために、UV吸収剤およびヒンダードアミン安定化剤(HALS)のような紫外線安定剤を被酸化性炭素含有ポリマーに添加することが可能である。UV吸収剤の例は、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシ−ベンゾフェノンのようなヒドロキシ−ベンゾフェノン;2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス[2−ヒドロキシ−5−t−オクチル−3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]メタン、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ジ(1,1−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールのようなヒドロキシ−ベンゾトリアゾール、ならびにオキサルアニリド、ヒドロキシベンゾエート、ジフェニルアクリレートおよびヒドロキシトリアジンのような他のタイプである。HALS安定化剤の例は:例えば2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリドン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−ブチルマロネート、ジ−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとのジメチルスクシネートポリマー、ポリ[[6−[(1、1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]]、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−スクシネート、ビス−(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−セバケート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−セバケート、テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサン−1,6−ジアミン、N−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミン、2,2’−[(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニル)−イミノ]−ビス−[エタノール]、ポリ((6−モルホリン−S−トリアジン−2,4−ジイル)(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−イミノヘキサメチレン−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−イミノ)、5−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2−シクロ−ウンデシル−オキサゾール),1,1’−(1,2−エタン−ジ−イル)−ビス−(3,3’,5,5’−テトラメチル−ピペラジノン),−8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ(4,5)デカン−2,4−ジオン、ポリメチルプロピル−3−オキシ−[4(2,2,6,6−テトラメチル)−ピペリジニル)−シロキサン,1,2,3,4−ブタン−テトラカルボン酸−1,2,3−トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−4−トリデシルエステル、α−メチルスチレン−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)マレイミドとN−ステアリル−マレイミドとのコポリマー、N−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル−N−アミノ−オキサミド、4−アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン、2,2,6、6−テトラメチル−4−ピペリジノールと脂肪酸とのエステル類の混合物、1,5,8,12−テトラキス[2’,4’−ビス(1’’,2’’,2’’,6’’,6’’−ペンタメチル−4’’−ピペリジニル(ブチル)アミノ)−1’,3’,5’−トリアジン−6’−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカンなどのアルキル置換ピペリジル−、ピペリジニル−またはピペラジノン含有化合物である。
【0073】
本発明による組成物は、充填材、他の生分解性構成成分、光開始剤および顔料をさらに含有し得る。好ましくは、すべてのこれらの構成成分は、150メッシュ未満の粒径を有する。充填材は、無機炭酸塩、合成炭酸塩、タルク、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム三水和物、珪藻土、雲母、天然または合成シリカおよびか焼粘土またはこれらの混合物から選択され得る。光開始剤の一例は、ベンゾフェノンである。他の分解性構成成分の例は、デンプンまたはポリ−(乳酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ−(ヒドロキシ酪酸塩および/または吉草酸塩)、ポリ−(エチレンアジペート)である。顔料の例は、カーボンブラックおよび二酸化チタンである。
【0074】
本発明が、一連の実施例および比較例によりここに実証されることとなる。すべての実施例は、特許請求の範囲を支持する。本発明は、しかしながら、本実施例中に示されている特定の実施形態には限定されない。
【0075】
[実験パート]
[触媒の調製]
1−フェニル−1,2−プロパンジオン、メチル−ベンゾイルホルメートおよびコバルト−アセテートをアルドリッチ(Aldrich)から購入し、そのまま使用した。12,13−テトラコサジオン、オクタデシル−2−オキソ−2−フェニルアセテート、ジメチル−6,7−ジオキソドデカンジオエート、1−フェニルトリデカン−1,2−ジオン、ポリ−スベルジケトンおよび1,2−ビス(4−ブチルフェニル)−1,2−エタンジオンを以下の手法に従って調製した。
【0076】
[12,13−テトラコサジオン]
12,13−テトラコサジオンを2段階法で調製した。第1のステップにおいて、13−ヒドロキシ−12−テトラコサノンを調製し、これを第2のステップにおいて、12,13−テトラコサジオンを調製するための出発材料として用いた。
【0077】
[ステップ1:13−ヒドロキシ−12−テトラコサノンの調製]
6.27gドデカノールおよび10mLエタノール(99.8%)の溶液に、458mgの塩化チアゾリウムおよび1.4mLのトリエチルアミンを添加した。攪拌しながら、反応混合物を緩やかな窒素流下に80℃に加熱した。2.5時間後、エタノール溶液を15mLの氷冷水中に注ぎいれ、これにより、13−ヒドロキシ−12−テトラコサノンを析出させ、ろ過により単離することができた。最後に、この生成物を15mLのエタノールから再結晶させた。ろ過した後、13−ヒドロキシ−12−テトラコサノンを4mLの氷冷エタノールで3回洗浄した。
【0078】
[ステップ2:12,13−テトラコサジオンの調製]
ステップ1で得た2g13−ヒドロキシ−12−テトラコサノン、20mLジクロロメタンおよび10mL水の混合物に870mg Brを室温(23℃)で激しく攪拌しながら徐々に添加した。1.5時間後、有機層を分離し、10mL水で洗浄した。最後に、有機層をNaSOで乾燥させ、その後、溶剤を減圧下で除去し、12,13−テトラコサジオンを単離した。
【0079】
[オクタデシル−2−オキソ−2−フェニルアセテート]
5.6gステアリルアルコール、3.4gベンゾイルギ酸、0.28gp−トルエンスルホン酸一水和物および250mLトルエンの溶液を、水を共沸除去しながら還流下で加熱した。24時間後、溶剤を減圧下で除去した。生成物を精製するために、粗混合物をシリカゲルカラムと、溶出液として酢酸エチル/ヘプタン(50:50)とを用いてクロマトグラフィーにかけた。
【0080】
[ジメチル−6,7−ジオキソドデカンジオエート]
ジメチル−6,7−ジオキソドデカンジオエートを2段階法で調製した。第1のステップにおいて、6−ヒドロキシ−7−オキソドデカンジオエートを調製し、これを、第2のステップにおいて、ジメチル−6,7−ジオキソドデカンジオエートを調製するための出発材料として用いた。
【0081】
[ステップ1:ジメチル−β−ヒドロキシ−J−オキソドデカンジオエートの調製]
3g6−オキソヘキサノエートおよび10mLエタノール(99.8%)の溶液に、280.6mgの塩化チアゾリウムおよび0.87mLのトリエチルアミンを添加した。攪拌しながら、反応混合物を、穏やかな窒素流下で80℃に加熱した。2.5時間後、エタノール溶液を、15mL水/20mLジクロロメタンを含有する分離漏斗中に注ぎ入れた。有機層を、それぞれ10mL飽和重炭酸ナトリウムおよび10mL水で2回洗浄した。最後に、有機層をNaSOで乾燥させ、その後、溶剤を減圧下で除去し、ジメチル−6−ヒドロキシ−7−オキソドデカンジオエートを単離した。
【0082】
[ステップ2:ジメチル−6,7−ジオキソドデカンジオエートの調製]
731mg Brを、ステップ1で得た1.2gジメチル−6−ヒドロキシ−7−オキソドデカンジオエート、20mLジクロロメタンおよび10mL水の混合物に、室温で激しく攪拌しながら徐々に添加した。2時間後、有機層を分離し、10mL水、10mLチオ硫酸ナトリウム(100mM)それぞれで2回、10mL重炭酸ナトリウムおよび最後に10mL水でそれぞれ洗浄した。最後に、有機層をNaSOで乾燥させ、その後、溶剤を減圧下で除去し、ジメチル−6,7−ジオキソドデカンジオエートを単離した。
【0083】
[1−フェニルトリデカン−1,2−ジオン]
1−フェニルトリデカン−1,2−ジオンを2段階法で調製した。第1のステップにおいて、2−ヒドロキシ−1−フェニルトリデカン−1−オンおよび1−ヒドロキシ−1−フェニルトリデカン−2−オンの混合物を調製した。
【0084】
[ステップ1:2−ヒドロキシ−1−フェニルトリデカン−1−オンおよび1−ヒドロキシ−1−フェニルトリデカン−2−オンの混合物の調製]
7.96gベンズアルデヒドを4.6gドデカノールと、100mLのエタノール中で、N下に混合した。塩化チアゾリウムおよびトリエチルアミンの添加により反応を開始させた。混合物を16時間、80℃で攪拌した。反応混合物を室温に冷却させながら沈殿物を形成し、これをろ過により単離した。濾液を50mLジクロロメタンで3回抽出した。有機層を、30mL飽和炭酸水素塩および30mL塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮させた(3.6g)。生成物を、シリカゲルカラムと、溶出液としてヘプタン/酢酸エチル(9:1)とを用いるカラムクロマトグラフィーにより精製して無色の油を得た。
【0085】
[ステップ2:1−フェニルトリデカン−1,2−ジオンの調製]
1−フェニルトリデカン−1,2−ジオンを、ステップ1で得られた精製した生成物から出発して、12,13−テトラコサジオンの調製についてのステップ2に記載のものと同一の手法に従って、酸化により形成した。
【0086】
[ポリ−スベルジケトン]
ポリ−スベルジケトンを、3段階法で調製した。ステップ1においてはスベルアルデヒドが合成され、ポリ−スベルヒドロキシケトンへの反応が続き、およびそこから、ポリ−スベルジケトンへの酸化が続く。
【0087】
[ステップ1:スベルアルデヒドの合成]
500mLジクロロメタン中の105gクロマトグラフィー品質のシリカゲルの激しく攪拌した懸濁液に262mLの水性NaIOを滴下し、これにより、白色の懸濁液を形成した。この懸濁液に、6.1gシス−1,2−シクロ−オクタンジオールの100mLジクロロメタン中の溶液を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、その後、混合物をろ過し、これにより残渣を100mlジクロロメタンで3回洗浄した。最後に、濾液をNaSOで乾燥させ、その後、溶剤を減圧下で除去した。
【0088】
[ステップ2:ポリ−スベルヒドロキシケトンの合成]
210mgの塩化チアゾリウムを15mLエタノール(99.8%)中に溶解させ、その後、474μlトリエチルアミンを添加した。この反応混合物に、ステップ1で得た2gスベルアルデヒドの15mLジクロロメタン中の溶液を滴下した。攪拌しながら、反応混合物を、6時間、穏やかな窒素流下で80℃に加熱した。室温で16時間攪拌した後、エタノール溶液を、20mL水/100mLジクロロメタンを含有する分離漏斗に注ぎ入れた。有機層を、それぞれ20mLおよび20mL塩水で洗浄した。最後に、有機層をNaSOで乾燥させ、その後、溶剤を減圧下で除去した。
【0089】
[ステップ3:ポリ−スベルジケトンの合成]
ポリ−スベルジケトンを、12,13−テトラコサジオンの調製についてのステップ2に記載のものと同一の手法に従うポリ−スベルヒドロキシケトンの酸化により形成した。
【0090】
[1,2−ビス(4−ブチルフェニル)−1,2−エタンジオン]
[ステップ1:1,2−ビス(4−ブチルフェニル)−2−ヒドロキシ−1−エタノンの合成]
159mgチアゾリウム触媒の5mLエタノール中の溶液に、2.06mL4−ブチルベンズアルデヒドおよび0.47mLトリエチルアミンを添加した。反応混合物を80℃で一晩攪拌し、その後、室温に冷却した。エタノールを減圧下での蒸発により除去し、生成物をジクロロメタン中に溶解させた。有機層を、飽和炭酸水素塩および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮させた。生成物を、シリカゲルカラムと、溶出液としてのペンタン/酢酸エチル(9:1)とのカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0091】
[ステップ2:合成1,2−ビス(4−ブチルフェニル)−1,2−エタンジオン]
641mgのCuSO.5HOを1.28mL水中に溶解させ、その後、0.67mLピリジンを添加した(青から紫への変色)。その後、500mgの1,2−ビス(4−ブチルフェニル)−2−ヒドロキシ−1−エタノンを添加し、得られた混合物を100℃に加熱した。反応混合物をCHCIで希釈し、有機層を1M HCI(水溶液)および塩水(飽和水溶液)で抽出した。最後に、有機層をNaSOで乾燥させ、その後、溶剤を減圧下で除去した。
【0092】
[溶剤ブレンドPP化合物の調製]
異なる触媒をポリプロピレン粉末(135℃で1.58dg/mlのデカリン中の溶液粘度を有するアイソタクチックPP)に溶剤ブレンド(触媒を溶液として添加しその後溶剤を蒸発させる)により添加した。
【0093】
[実施例I〜Vおよび比較実験A〜B:]
[PPの酸素消尽速度への触媒の有効性の測定]
PP化合物の酸素消尽速度に対する触媒の効率を測定した。圧力トランスデューサが接続された65mlの容器中に、触媒を含有する1グラムポリマー粉末を、100%酸素を含有する雰囲気と接触させた。50℃での容器中の圧力の低下を記録した。圧力の低下から、酸素消尽を算出した。
【0094】
触媒の活性の尺度として、50mmol/kgの酸素消尽までの時間を測定した。結果が、表1に示されている。
【0095】
比較実験Aにおいては、ポリマーに触媒または助触媒が添加されていない。測定した時間は、それ故、所与の量の酸素を消尽するために未触媒のポリマーが要する時間である。
【0096】
【表1】

【0097】
実施例および比較実験は、本発明による組成物の酸素消尽能を明らかに実証している。しかも、これらは、本発明による助触媒を添加することにより達成することが可能である高められた効率を明らかに示す。加えて、一定の少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分の使用は、より効率的な組成物の酸素消去特性をももたらし、すなわち、酸素消尽速度は、コバルト化合物の酸化触媒としての使用と比して高いことが示されている。
【0098】
[実施例VIIIおよび比較実験C〜D]
50℃で酸素中に5日間(120hrs)置いた後のいくつかのサンプルについて、135℃でのデカリン中の溶液粘度を計測した。結果が、表2に示されている。
【0099】
非露出サンプルの溶液粘度は1.58dg/mlであった。比較実験Cにおいては、触媒または助触媒はポリマーには添加されていない。測定した時間は、それ故、所与の量の酸素を消尽するために未触媒のポリマーが要する時間である。
【0100】
【表2】

【0101】
実施例VIIIから本発明の組成物の粘度を導き出すことが可能であり、それ故、ポリプロピレンの分子量は高い速度で低減する。分子量の低減はポリマーの分解の尺度である。
【0102】
[酸素消去性PPフィルムの調製]
上述の異なる触媒をポリプロピレンと溶融混合した。混合は、190℃のバレル温度、120rpmの回転速度および3分間の滞留時間で実施した。すべての実験は、窒素雰囲気下で実施した。これらのサンプルに関する情報は表3に記載されている。
【0103】
すべてのサンプルを低温条件下で粉砕した。得られた粉末を、平らなホットプレートの間で加圧して約200マイクロメートルの厚さを有するフィルムにした。加圧条件は:プレート温度:190℃、非加圧下でのプレート間での時間:0.5分、その後、この系を2分間、150kNで加圧した。
【0104】
これらのフィルムを、通気オーブン(Binder FDL115)中に50℃で置いた。FT−IR分光法(パーキンエルマー(Perkin Elmer)製Spectrum One)で、カルボニル吸収度の増加(1713cm−1での吸収度−1860cm−1での吸収)をオーブン滞留時間の関数として計測した。0.1のこのカルボニル吸収の増加に達するまでの時間が分解基準とされる。この時間が表3に記載されている。
【0105】
【表3】

【0106】
[酸素消去性コポリエーテルエステルの調製]
蒸留カラムおよび攪拌機を備える2l反応器に、410gジメチルテレフタレート、290g1,4−ブタンジオール、550gのプロピレンオキシドベースのオリゴマー、250mgのチタンテトラブトキシドおよび150mgのマグネシウムアセテート四水化物を仕込んだ。
【0107】
反応器を窒素で3回フラッシュした後、反応器の内容物を、大気圧下で、1時間かけて、150℃の温度に徐々に加熱した。加熱の間、内容物を攪拌した。反応器をこの温度で30分維持し、その後、2時間以内で220℃の温度にさらに加熱した。このようにして得たトランス−エステル化生成物を、次いで、240℃で、減圧下に(2mbarまで)、20RPMの速度で攪拌しながら180分間さらに重合した。重合した生成物を窒素圧下にストランドの形態で反応器から放出し、水中で冷却し、ペレタイザーで造粒した。
【0108】
[コポリエーテルエステル−およびポリプロピレングリコール−化合物の調製]
コポリエーテルエステル顆粒を粉砕した。この粉末に、少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する、異なる構成成分を、酸化触媒として溶剤ブレンド(添加剤を溶液として添加しその後溶剤を蒸発させる)により添加した。
【0109】
1,2−ジオキソ部分含有触媒の有効性もまた、コポリエーテルエステルの代わりにポリプロピレングリコール(Mn2700)(PPG)中に測定した。この場合、触媒をポリプロピレングリコールに直接的に混合した。
【0110】
[実施例XV〜XXI、XXIIおよび比較実験G〜H、J:]
[コポリエーテルエステルおよびポリプロピレングリコールにおける触媒の効率の測定]
ポリマーの酸素消尽速度への触媒の効率を測定した。圧力トランスデューサが接続された65mlの容器中に、1グラムのポリマー粉末を100%酸素を含有する雰囲気と接触させた。25℃(コポリエーテルエステルについて)または30℃(ポリプロピレングリコールについて)での容器中の圧力の低下を記録した。圧力の低下から、酸素消尽を算出した。
【0111】
触媒の活性の尺度として、50mmol/kgの酸素消尽までの時間を測定した。結果が、コポリエーテルエステルについては表4に、およびポリプロピレングリコール(PPG)については表5に示されている。
【0112】
【表4】

【0113】
【表5】

【0114】
実施例および比較実験は、本発明による組成物の酸素消去能を明らかに実証している。しかも、これらは、本発明による助触媒を添加することにより達成することが可能である高められた効率を明らかに示す。しかも、これらは、複数のポリマーを本発明に従って使用することが可能であることを実証する。加えて、一定の少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分の使用はより効率的な組成物の酸素消去特性をももたらし、すなわち、酸素消尽速度は、コバルト化合物の酸化触媒としての使用と比して高いことが示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素含有ポリマーおよび少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分を含有する組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分が式I:
【化1】


(式中、XおよびYは、相互に同等または異なると共に、それぞれ以下を表す:
X、Yは、OR、SR、NR、R、Oであり、ここで、
R、R、Rは、H、任意により置換されたC〜C20アルキル基、任意により置換されたC〜C20アリール基、任意により置換されたC〜C20アルキルアリール基、および任意により置換されたC〜C20アリールアルキル基からなる群から相互に独立して選択される基であり、
は、アルカリ金属カチオンもしくはアルカリ土類金属カチオン、またはアンモニウムイオンであり、
ならびに、式中、XおよびYは一緒に結合して少なくとも7個の炭素原子の環式ジオキソ構造を形成し得、および/または任意により置換されていることが可能であるオリゴマー系または高分子残渣を表すXもしくはYのいずれかと結合し得る)
で表される少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1,2−ジオキソ部分が少なくとも200g/molの分子量を有することを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物が、アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩をさらに含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩がK−、Li−またはNa−塩であることを特徴とする請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分を酸化触媒としてポリマー組成物に添加するステップを少なくとも含むポリマー組成物における酸素消尽速度を増大させる方法。
【請求項7】
少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分が、式I:
【化2】


(式中、XおよびYは、相互に同等または異なると共に、それぞれ以下を表す:
X、Yは、OR、SR、NR、R、Oであり、ここで、
R、R、Rは、H、任意により置換されたC〜C20アルキル基、任意により置換されたC〜C20アリール基、任意により置換されたC〜C20アルキルアリール基、および任意により置換されたC〜C20アリールアルキル基からなる群から相互に独立して選択される基であり、
は、アルカリ金属カチオンもしくはアルカリ土類金属カチオン、またはアンモニウムイオンであり、
ならびに、式中、XおよびYは一緒に結合して少なくとも7個の炭素原子の環式ジオキソ構造を形成し得、および/または任意により置換されていることが可能であるオリゴマー系または高分子残渣を表すXもしくはYのいずれかと結合し得る)
で表される少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩が添加されることを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法により得ることができる増大された酸素消尽速度を有するポリマー組成物。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物から形成された、または請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法により得ることができる組成物から形成された物品。
【請求項11】
少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分を酸化触媒として炭素含有ポリマーに添加するステップを少なくとも含む炭素含有ポリマーのオキソ生分解性を増大させる方法。
【請求項12】
少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分が式I:
【化3】


(式中、XおよびYは、相互に同等または異なると共に、それぞれ以下を表す:
X、Yは、OR、SR、NR、R、Oであり、ここで、
R、R、Rは、H、任意により置換されたC〜C20アルキル基、任意により置換されたC〜C20アリール基、任意により置換されたC〜C20アルキルアリール基、および任意により置換されたC〜C20アリールアルキル基からなる群から相互に独立して選択される基であり、
は、アルカリ金属カチオンもしくはアルカリ土類金属カチオン、またはアンモニウムイオンであり、
ならびに、式中、XおよびYは一緒に結合して少なくとも7個の炭素原子の環式ジオキソ構造を形成し得、および/または任意により置換されていることが可能であるオリゴマー系または高分子残渣を表すXもしくはYのいずれかと結合し得る)
で表される少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩が添加されることを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
増大されたオキソ生分解性を有する物品を調製するための、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる組成物の使用。
【請求項15】
請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる組成物の使用により得られる増大されたオキソ生分解性を有する物品。
【請求項16】
少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分を添加するステップを少なくとも含む炭素含有ポリマーの酸素消去速度を増大させる方法。
【請求項17】
少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有する構成成分が式I:
【化4】


(式中、XおよびYは、相互に同等または異なると共に、それぞれ以下を表す:
X、Yは、OR、SR、NR、R、Oであり、ここで、
R、R、Rは、H、任意により置換されたC〜C20アルキル基、任意により置換されたC〜C20アリール基、任意により置換されたC〜C20アルキルアリール基、および任意により置換されたC〜C20アリールアルキル基からなる群から相互に独立して選択される基であり、
は、アルカリ金属カチオンもしくはアルカリ土類金属カチオン、またはアンモニウムイオンであり、
ならびに、式中、XおよびYは一緒に結合して少なくとも7個の炭素原子の環式ジオキソ構造を形成し得、および/または任意により置換されていることが可能であるオリゴマー系または高分子残渣を表すXもしくはYのいずれかと結合し得る)
で表される少なくとも1種の1,2−ジオキソ部分を含有することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩が添加されることを特徴とする請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
酸素消去性物体の調製における請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法によって得られた組成物の使用。
【請求項20】
請求項19に記載の組成物の使用の結果得られる酸素消去性物体。
【請求項21】
請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法により得ることができる組成物から形成された酸素消去層を含有する物体。

【公表番号】特表2009−542871(P2009−542871A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518754(P2009−518754)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005907
【国際公開番号】WO2008/006493
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】