説明

ポリマーネットワーク、ポリマーネットワークの製造方法、ポリマーネットワークを含む装置

少なくとも第1の材料と第2の材料とを混合して混合物を形成し、混合物を表面に成膜し、混合物を重合させてポリマーネットワークを形成することを含む層形成方法。ポリマーネットワークは電荷輸送性または発光性の少なくとも1つを備え、第1及び第2の材料と比較して、重合に使用する重合速度、電力レベル、時間及び/または単位質量当たりのエネルギー量等において改善された特性を有する。ポリマーネットワークは、光配向層等のラビングされていない配向層上に形成することができる。ポリマーネットワークは均一な構造と厚みを有するように製造することができる。ポリマーネットワークは液晶相を有することができ、ダングリングラジカルと分子フラグメントをほとんど含まない。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーネットワーク、ポリマーネットワークの製造方法、ポリマーネットワークを含む装置に関する。さらに詳細には、本発明は、反応性メソゲンの混合物から形成されたポリマーネットワーク、反応性メソゲンの混合物から形成されたポリマーネットワークの製造方法、反応性メソゲンの混合物から形成されたポリマーネットワークを含む装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置や表示装置の性能は、新たな用途の要求に応え、現在の用途を改善するために絶え間なく高められている。しかし、製造プロセス時に生じる品質低下及び/または装置に含まれる構造部材による品質低下によって性能向上が妨げられる。例えば、UV光によって有機半導体材料を架橋させると、有機半導体材料や有機半導体材料を含む装置の性能に負の影響を与えるダングリングラジカルや分子フラグメント等が形成される。
【特許文献1】発見できず
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
材料を架橋させるためのUV光の照射量を減少させると、材料は部分的にしか架橋されない。未重合(未架橋)材料は架橋材料マトリックスに組み込まれないため、その後の製造工程で使用される溶媒によって未重合材料が洗い流され、空隙が生じる場合がある。これらの空隙はランダムに形成されて不均一な膜が形成され、膜の性能に負の影響を与える。不均一性に関する同様な問題は、ラビングされた(rubbed)配向層(alignment layer)等の構造部材によっても生じる場合がある。従って、有機半導体材料または層による材料の劣化や不均一性を減少させた製造方法と装置が強く求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様は、少なくとも第1の材料と第2の材料とを混合して混合物を形成し、前記混合物を表面に成膜し、前記混合物を重合させてポリマーネットワークを形成することを含み、前記ポリマーネットワークが電荷輸送性または発光性の少なくとも1つを備えることを特徴とする層形成方法を提供する。前記混合物の重合速度は、前記第1の材料の重合速度及び前記第2の材料の重合速度よりも高い。
【0005】
本発明の別の態様は、少なくとも第1の材料と第2の材料とを混合して混合物を形成し、前記混合物を表面に成膜し、前記混合物を重合させてポリマーネットワークを形成することを含み、前記ポリマーネットワークが電荷輸送性または発光性の少なくとも1つを備えることを特徴とする層形成方法を提供する。前記混合物を重合するために使用する単位質量当たりのエネルギー量は、前記第1の材料を重合するために使用する単位質量当たりのエネルギー量及び前記第2の材料を重合するために使用する単位質量当たりのエネルギー量よりも少ない。
【0006】
本発明の別の態様は、少なくとも第1の材料と第2の材料とを混合して混合物を形成し、前記混合物を表面に成膜し、前記混合物を重合させてポリマーネットワークを形成することを含み、前記ポリマーネットワークが電荷輸送性または発光性の少なくとも1つを備えることを特徴とする層形成方法を提供する。前記混合物を重合するために使用する電力レベル(power level)は、前記第1の材料を重合するために使用する電力レベル及び前記第2の材料を重合するために使用する電力レベルよりも低い。
【0007】
本発明の別の態様は、少なくとも第1の材料と第2の材料とを混合して混合物を形成し、前記混合物を表面に成膜し、前記混合物を重合させてポリマーネットワークを形成することを含み、前記ポリマーネットワークが電荷輸送性または発光性の少なくとも1つを備えることを特徴とする層形成方法を提供する。前記混合物を重合するために使用する時間は、前記第1の材料を重合するために使用する時間及び前記第2の材料を重合するために使用する時間よりも少ない。
【0008】
本発明の別の態様は、少なくとも第1の材料と第2の材料とを混合して混合物を形成し、前記混合物を表面に成膜し、前記混合物を重合させてポリマーネットワークを形成することを含み、前記ポリマーネットワークが電荷輸送性または発光性の少なくとも1つを備えることを特徴とする層形成方法を提供する。前記混合物と前記第1の材料を同一条件下で重合した場合に、前記混合物の架橋密度は前記第1の材料の架橋密度よりも高く、前記混合物と前記第2の材料を同一条件下で重合した場合に、前記混合物の架橋密度は前記第2の材料の架橋密度よりも高い。
【0009】
本発明の別の態様は、ラビングされていない配向層上に少なくとも第1の材料と第2の材料との混合物を含み、前記混合物が電荷輸送性または発光性の少なくとも1つを備えたポリマーネットワークを形成することができることを特徴とする電荷輸送層または発光層を提供する。
【0010】
本発明の別の態様は、電荷輸送性または発光性の少なくとも1つを備えたポリマーネットワークを含む電荷輸送層または発光層を提供する。ポリマーネットワークはラビングされていない配向層上に配置されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を例示する図面を参照して本発明を詳細に説明する。図中、同一の参照符号は同一の構成要素を示している。
【0012】
分子配向することができる有機材料を基板またはその他の表面に成膜し、架橋させることによって架橋ポリマーネットワークを形成することができる。単一の重合性(架橋性)材料の代わりに重合性材料の混合物を使用することによって、重合速度を上昇させることができる。重合速度を上昇させることによって、非常に短い時間と少ない照射エネルギー量で、架橋ポリマーネットワークを室温で容易に製造することができる。有機材料に照射するエネルギー量を減少させることによって、重合時に発生する劣化が減少する。また、混合物を使用することによって、架橋密度、配向の質または均一性、架橋ポリマーネットワークの均一性を向上させることができる。
【0013】
例えば、電荷輸送及び/または発光反応性メソゲンと液晶相(例えば、ネマチックまたはスメクチック相)との二元混合物等の溶媒溶液を導電性光配向層にスピンコーティングする。スピンコーティングは室温で行い、室温で熱力学的に安定した液晶相または固液液晶相転移温度よりも低い過冷却(supercooled)液晶相を有する液晶膜を形成する。室温で熱力学的に安定した液晶相との混合物は、粘度が低く、その後の架橋重合が容易であるという利点を有する。光配向層は、基板面のダイレクター(director)によって基板の表面上で反応性メソゲン混合物を室温で配向させ、面配向を有する1以上のモノドメイン(monodomain)が形成される。面配向によって、架橋ポリマーネットワークにおける電荷注入・輸送が容易となる。多くの異なるドメインが存在していても、層の電荷注入・輸送または層を含む装置の発光特性が損なわれることはない。光配向層に平面偏光UV光を照射し、層表面で均一な異方性表面エネルギーを生じさせる。次に、反応性メソゲン混合物を光配向層に塗布すると、混合物及び架橋によって形成されるポリマーネットワークは巨視的なモノドメインを有することになる。また、ポリマーネットワークは不溶性かつ難加工性(intractable)であり、異なる機能を有する別の層を同様に成膜することができる。
【0014】
光配向層は、光配向層への溶媒キャストとUV照射による架橋時に、ポリマー電子輸送層となる反応性メソゲン混合物の層を液晶オーダーで配向させるために使用することができる。次に、反応性メソゲンの混合物の第2の層を電子輸送層上に溶媒キャストすることができる。第2の層は、電子輸送層の配向面との相互作用によって液晶モノドメインに配向する。第2の層の配向は、二層の界面での反応性メソゲン材料の分子間の相互作用によって達成されると考えられる。第2の反応性メソゲン単層をUV照射によって架橋させ、ポリマー発光層を形成することができる。このようにして、液晶オーダーを有する一連の有機半導体層を積層し、ポリマーの全ての分子コアは同一方向に配向する。
【0015】
例えば、図1は本発明に係る有機発光装置100を示しており、有機発光装置100は、正孔注入層102、電子輸送層104、発光層106、電子輸送層108、電子注入層110、電荷ブロック層112を含み、各層は別々に形成され、全ての層が互いに配向した液晶オーダーを有する。装置は適当な配向層114上に製造することができ、図示しない基板やその他の構成要素を含むことができる。または、いくつかの層(配向層を含む)を省略したり、本発明の方法によって隣接層のサブセットを形成したり、いくつかの層(配向層を含む)を省略して本発明の方法によって隣接層のサブセットを形成したりしてもよい。
【0016】
図2は、重合される反応性メソゲン材料の1以上の混合物を含む装置を製造するための代表的な方法200を示す。方法200は、配向層の形成を含む装置の初期製造工程202で始まる。次の工程204では配向層に混合物を塗布し、次に混合物を重合する工程206を行う。混合物で別の層を形成しない場合には、装置を完成させる最終工程208を行う。別の層を形成する場合には、次の混合物を重合した混合物に塗布する工程210を行い、次に塗布された混合物を重合する工程210を行う。混合物で別の層を形成しない場合には、装置を完成させる最終工程208を行う。別の層を形成する場合には、工程210,212を繰り返す。
【0017】
光開始剤等の重合開始剤が重合に必要ではない場合には、発光を抑制したり、性能と寿命を低下させる未反応の重合開始剤は存在しない。例えば、イオン性光開始剤は完成した電子装置において不純物として作用し、装置の性能と寿命を低下させる場合がある。
【0018】
光配向層としては、適当な導電性光配向層を使用することができる。例えば、米国特許出願公開第2003/0021913号に記載された光配向層を使用することができる。または、その他の適当な配向層によって配向を行うことができ、配向層を使用せずに(例えば、電場または磁場の印加、熱勾配または剪断の適用、表面トポロジー、別の好適な配向方法または2以上の方法の組み合わせによって)配向を行うこともできる。しかし、ラビングされた配向層は、有機発光装置の発光層または集積回路の半導体層等の有機物半導体層や構成要素には適していない。その理由は、そのような装置の有機物層や構成要素は、ラビングによって配向層内に生じる表面縞(surface striation)の大きさよりも薄いためである。場合によっては、ラビングによって生じる荒さは有機物層や構成要素の膜厚に匹敵する厚みを有する。また、1以上の配向層または方法によって異なる配向を与えることができる。異なる配向は、画素化(pixelated)装置での使用に適したパターンであってもよい。
【0019】
重合性モノマーの混合物で形成したネットワークの架橋密度は、対応する各モノマーの重合によって形成したネットワークの架橋密度よりも高い。高い架橋密度は、混合物を配合する際に、固液液晶転移温度を各成分の固液液晶転移温度、可能であれば室温よりも低くすることによって得られる。これは、混合物が室温で熱力学的に安定した液晶相を有し、各成分の過冷却ガラス状液晶相よりもかなり低い粘度を有することを意味する。すなわち、室温相内では反応性メソゲン分子がより移動しやすく、より迅速かつ容易に配向して架橋反応を開始させることができることを意味する。そのような高い架橋密度を有する異方性ポリマーネットワークは、ネットワークから形成した層、膜または構成要素を含む装置の性能を向上させ、より安定した装置が得られる。
【実施例1】
【0020】
2,7−ビス{4−[7−(1−ビニルアリルオキシカルボニル)ヘプチルオキシ]−4’−ビフェニル}−9,9−ジオクチルフルオレンと2,7−ビス{4−[10−(1−ビニルアリルオキシカルボニル)デシルオキシ]−4’−ビフェニル}−9,9−ジオクチルフルオレンの二元混合物(混合比=1:3)(低い融点(Cr−N=22℃)と高いネマチッククリアリング点(N−I=75℃)を有する混合物1)を石英基板に塗布し、アルゴンイオンレーザーからの非偏光UV放射線を照射する。レーザーは325nmのUV光を発し、15J cm−2の総フルエンスを有する。UV放射線によって、光開始剤を使用せずにジエン末端基の光重合が発生する。混合物の重合は室温(例えば25℃)で行い、同一温度でガラス状ネマチック状態の混合物成分である2,7−ビス{4−[10−(1−ビニルアリルオキシカルボニル)デシルオキシ]−4’−ビフェニル}−9,9−ジオクチルフルオレンを重合するよりも少ない放射線照射量(例えば200J cm−2)を使用する。図3は混合物の吸収スペクトルを示しており、架橋前後の吸収スペクトルは実質的に同一であり(グラフ線a)、洗浄後に向上している(グラフ線b)。図3は、混合物の架橋後に薄い固体膜として形成された不溶性液晶ポリマーネットワークのPLスペクトル(グラフ線c)も示している。
【実施例2】
【0021】
2−(5−{4−[10−(1−ビニル−アリルオキシカルボニル)−デシルオキシ]フェニル}チエン−2−イル)−7−{4−[10−(1−ビニル−アリルオキシカルボニル)デシルオキシ]−4’−ビフェニル}−9,9−ジプロピルフルオレン(1部)(化合物I)と2−(5−{4−[10−(1−ビニル−アリルオキシカルボニル)−デシルオキシ]フェニル}チエン−2−イル)−7−{4−[10−(1−ビニル−アリルオキシカルボニル)デシルオキシ]−4’−ビフェニル}−9,9−ジオクチルフルオレン(1部)(化合物II)の二元混合物は室温ネマチック液晶混合物(混合物2)である。この材料も石英基板に塗布し、アルゴンイオンレーザからの放射線で架橋させることができる。架橋後、不溶性液晶ポリマーネットワークは青色光ルミネセンスを有する。
【0022】
混合物2は優れた正孔輸送特性を有しており、有機発光装置の正孔輸送層として使用することができる。例えば、米国特許出願公開第2003/0099785号に記載されているような導電性光配向層でコーティングされたITO被覆ガラス基板に、混合物2の50nm厚の層をスピンコーティングによってクロロホルムからキャストする。室温ネマチック材料は、光配向層によって均一な層に配向する。波長が325nmで、総フルエンスが15J cm−2のアルゴンイオンレーザーからの非偏光放射線を材料の架橋に使用することができる。電子輸送層をパターニングする場合には、フォトマスクを介して光照射を行う。照射後、層をクロロホルムで洗浄して未架橋モノマーを除去することができる。
【0023】
次に、混合物2で形成した電子輸送層上に、混合物1の50nm厚の層をスピンコーティングによってクロロホルム溶液からキャストする。混合物2の室温ネマチック材料は、電子輸送層との界面における分子間相互作用によって均一に配向する。ネマチック混合物2に非偏光325nm放射線を照射する。15J cm−2の総フルエンスを有するアルゴンイオンレーザーからのUV放射線を使用することができる。この光照射もフォトマスクを介して行うことができ、パターニングされた発光層を形成する。米国特許出願公開第2003/0119936号に記載されているように、アルミニウム電極の気相蒸着と装置の密閉パッケージングによって得られた多層構造を有機発光装置に加工することができる。
【0024】
混合物1の材料の合成は米国特許出願公開第2003/0119936号に記載されており、米国特許出願公開第2003/0119936号はこの参照によって本発明の開示の一部をなすものとする。化合物I,IIを調製するために、米国特許出願公開第2003/0119936号に記載された同様な合成法を使用することができる。以下に示す合成経路を使用することができる。
【0025】
【化1】

【0026】
【化2】

【0027】
【化3】

【0028】
式中、化合物Iの場合にはn=3,m=10であり、化合物IIの場合にはn=8,m=10である。
【0029】
ポリマーネットワークを形成するために重合する混合物の材料は、適当な材料から調製することができる。そのような材料としては、例えば一般構造B−S−A−S−B(式中、Aは発色団、芳香族分子コア、複素芳香族分子コアまたは共役π電子結合を有する堅い分子コアであり、Sはスペーサであり、Bはラジカル重合性末端基である)を有する適当な反応性メソゲンを挙げることができる。末端基Bの例としては、1,4−ペンタジエン−3−イル基、1,6−ヘプタジエン−4−イル基、ジアリルアミノ基等の光重合性非共役ジエン基が挙げられる。
【実施例3】
【0030】
別の実施形態は、光配向層が第1の配向方向と第1の配向方向と直交する第2の配向方向とを有する部分を含むこと以外は実施例2と同様に製造された立体表示装置である。これによって、2つの異なる偏光の光を生成する発光層が得られる。観察者が一方の眼で一方の偏光の光を見、他方の眼で直交する偏光の光を見るゴーグルまたは眼鏡を着用している場合には、観察者は立体画像を見ることができる。そのようなゴーグルまたは眼鏡またはその他の適当な眼装着物品は、表示装置の偏光が異なる領域が別々に作動するか、別々に観察者に光を放射する(例えば、各画素が配向の異なる領域に対応)場合には、単純な偏光レンズを含むことができる。または、ゴーグルまたは眼鏡またはその他の適当な眼装着物品は、画素の配向の異なる領域が同時に作動するように時間多重画像を観察者に供給する液晶表示シャッター等のシャッターを含むことができる。または、その他の適当な立体的構成を使用することができる。
【0031】
本発明の混合物は、異方性ポリマーネットワークとして有機発光装置に組み込むことができる。ポリマーネットワークは、電荷輸送及び/または発光反応性メソゲンの混合物を重合することによって形成することができる。装置は導電性光配向層を含むことができ、表示装置に使用される場合には、アクティブまたはパッシブマトリックス方式でアドレス指定される。表示装置はモノクロまたはカラーであってもよく、画素化または非画素化であってもよい。装置は、異方性ポリマーネットワークを含む発光層によって生成される偏光発光を有することができる。偏光発光装置は、モノクロまたはカラーバックライト(例えば液晶表示バックライト)として使用することができる。そのような有機発光装置は、異方性ポリマーネットワークを発光層または構成要素として含むことができ、発光染料(例えば多色染料)を含むことができる。これらのポリマーネットワークはセキュリティ装置または立体表示装置であってもよい。
【0032】
本明細書に開示した方法と装置は、電子装置、半導体装置、有機発光装置、その他の装置に好適に適用することができる。適用例としては、FET等のトランジスタ、マトリクス表示装置をアドレス指定するために有用なトランジスタアレイ、集積電子回路、携帯電話、デジタルカメラ、ハンドヘルドコンピュータ、腕時計、時計、ゲーム機器、その他の家電商品が挙げられる。
【0033】
本発明の実施形態とその利点を詳細に説明したが、本発明の教示または添付の請求項に記載された本発明の要旨から逸脱することのない限りにおいて、変更、置換、変形を行うことができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る有機発光装置を示す。
【図2】重合される反応性メソゲン材料の1以上の混合物を含む装置を製造する代表的な方法を示す。
【図3】架橋前後(グラフ線a)及び洗浄後(グラフ線b)の混合物の吸収スペクトルを示し、混合物の架橋後に薄い固体膜として形成された不溶性液晶ポリマーネットワークのPLスペクトル(グラフ線c)も示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の材料と第2の材料とを混合して混合物を形成し、前記混合物を表面に成膜し、前記混合物を重合させてポリマーネットワークを形成することを含み、前記ポリマーネットワークが電荷輸送性または発光性の少なくとも1つを備え、前記混合物の重合速度が前記第1の材料の重合速度よりも高く、前記混合物の重合速度が前記第2の材料の重合速度よりも高いことを特徴とする層形成方法。
【請求項2】
前記重合が光重合であることとする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重合が電子ビーム重合であることとする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記混合物が液晶相を有することとする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記混合物が室温で熱力学的に安定した液晶相を有することとする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の材料と前記第2の材料の少なくとも一方が、式B−S−A−S−B(式中、Aは発色団、芳香族分子コア、複素芳香族分子コア、共役π電子結合を有する堅い分子コアの少なくとも1つであり、Sはスペーサであり、Bは光重合性末端基である)を有することとする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーネットワークが均一な構造を有することとする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマーネットワークが均一な厚みを有することとする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマーネットワークが半導体装置、表示装置、薄膜トランジスタ装置のいずれかに含まれることとする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記表面がラビングされていない配向層であることとする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも第1の材料と第2の材料とを混合して混合物を形成し、前記混合物を表面に成膜し、前記混合物を重合させてポリマーネットワークを形成することを含み、前記ポリマーネットワークが電荷輸送性または発光性の少なくとも1つを備え、前記混合物を重合するために使用する単位質量当たりのエネルギー量が、前記第1の材料を重合するために使用する単位質量当たりのエネルギー量よりも少なく、前記混合物を重合するために使用する単位質量当たりのエネルギー量が、前記第2の材料を重合するために使用する単位質量当たりのエネルギー量よりも少ないことを特徴とする層形成方法。
【請求項12】
前記重合が光重合であることとする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記重合が電子ビーム重合であることとする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記混合物が液晶相を有することとする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記混合物が室温で熱力学的に安定した液晶相を有することとする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の材料と前記第2の材料の少なくとも一方が、式B−S−A−S−B(式中、Aは発色団、芳香族分子コア、複素芳香族分子コア、共役π電子結合を有する堅い分子コアの少なくとも1つであり、Sはスペーサであり、Bは光重合性末端基である)を有することとする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリマーネットワークが均一な構造を有することとする請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリマーネットワークが均一な厚みを有することとする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマーネットワークが半導体装置、表示装置、薄膜トランジスタ装置のいずれかに含まれることとする請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記表面がラビングされていない配向層であることとする請求項11に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも第1の材料と第2の材料とを混合して混合物を形成し、前記混合物を表面に成膜し、前記混合物を重合させてポリマーネットワークを形成することを含み、前記ポリマーネットワークが電荷輸送性または発光性の少なくとも1つを備え、前記混合物を重合するために使用する電力レベルが、前記第1の材料を重合するために使用する電力レベルよりも低く、前記混合物を重合するために使用する電力レベルが、前記第2の材料を重合するために使用する電力レベルよりも低いことを特徴とする層形成方法。
【請求項22】
前記重合が光重合であることとする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記重合が電子ビーム重合であることとする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記混合物が液晶相を有することとする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記混合物が室温で熱力学的に安定した液晶相を有することとする請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の材料と前記第2の材料の少なくとも一方が、式B−S−A−S−B(式中、Aは発色団、芳香族分子コア、複素芳香族分子コア、共役π電子結合を有する堅い分子コアの少なくとも1つであり、Sはスペーサであり、Bは光重合性末端基である)を有することとする請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記ポリマーネットワークが均一な構造を有することとする請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリマーネットワークが均一な厚みを有することとする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリマーネットワークが半導体装置、表示装置、薄膜トランジスタ装置のいずれかに含まれることとする請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記表面がラビングされていない配向層であることとする請求項21に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも第1の材料と第2の材料とを混合して混合物を形成し、前記混合物を表面に成膜し、前記混合物を重合させてポリマーネットワークを形成することを含み、前記ポリマーネットワークが電荷輸送性または発光性の少なくとも1つを備え、前記混合物を重合するために使用する時間が、前記第1の材料を重合するために使用する時間よりも少なく、前記混合物を重合するために使用する時間が、前記第2の材料を重合するために使用する時間よりも少ないことを特徴とする層形成方法。
【請求項32】
前記重合が光重合であることとする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記重合が電子ビーム重合であることとする請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記混合物が液晶相を有することとする請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記混合物が室温で熱力学的に安定した液晶相を有することとする請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の材料と前記第2の材料の少なくとも一方が、式B−S−A−S−B(式中、Aは発色団、芳香族分子コア、複素芳香族分子コア、共役π電子結合を有する堅い分子コアの少なくとも1つであり、Sはスペーサであり、Bは光重合性末端基である)を有することとする請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記ポリマーネットワークが均一な構造を有することとする請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記ポリマーネットワークが均一な厚みを有することとする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ポリマーネットワークが半導体装置、表示装置、薄膜トランジスタ装置のいずれかに含まれることとする請求項31に記載の方法。
【請求項40】
前記表面がラビングされていない配向層であることとする請求項31に記載の方法。
【請求項41】
少なくとも第1の材料と第2の材料とを混合して混合物を形成し、前記混合物を表面に成膜し、前記混合物を重合させてポリマーネットワークを形成することを含み、前記ポリマーネットワークが電荷輸送性または発光性の少なくとも1つを備え、前記混合物と前記第1の材料を同一条件下で重合した場合に、前記混合物の架橋密度が前記第1の材料の架橋密度よりも高く、前記混合物と前記第2の材料を同一条件下で重合した場合に、前記混合物の架橋密度が前記第2の材料の架橋密度よりも高いことを特徴とする層形成方法。
【請求項42】
前記重合が光重合であることとする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記重合が電子ビーム重合であることとする請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記混合物が液晶相を有することとする請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記混合物が室温で熱力学的に安定した液晶相を有することとする請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の材料と前記第2の材料の少なくとも一方が、式B−S−A−S−B(式中、Aは発色団、芳香族分子コア、複素芳香族分子コア、共役π電子結合を有する堅い分子コアの少なくとも1つであり、Sはスペーサであり、Bは光重合性末端基である)を有することとする請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記ポリマーネットワークが均一な構造を有することとする請求項41に記載の方法。
【請求項48】
前記ポリマーネットワークが均一な厚みを有することとする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記ポリマーネットワークが半導体装置、表示装置、薄膜トランジスタ装置のいずれかに含まれることとする請求項41に記載の方法。
【請求項50】
前記表面がラビングされていない配向層であることとする請求項41に記載の方法。
【請求項51】
ラビングされていない配向層上に少なくとも第1の材料と第2の材料との混合物を含み、前記混合物が電荷輸送性または発光性の少なくとも1つを備えたポリマーネットワークを形成することができることを特徴とする電荷輸送層または発光層。
【請求項52】
前記配向層が光配向層であることとする請求項51に記載の層。
【請求項53】
前記混合物が前記第1の材料よりも高い重合速度を有し、前記混合物が前記第2の材料よりも高い重合速度を有することとする請求項51に記載の層。
【請求項54】
前記混合物を重合するために使用する単位質量当たりのエネルギー量が、前記第1の材料を重合するために使用する単位質量当たりのエネルギー量よりも少なく、前記混合物を重合するために使用する単位質量当たりのエネルギー量が、前記第2の材料を重合するために使用する単位質量当たりのエネルギー量よりも少ないこととする請求項51に記載の層。
【請求項55】
前記混合物を重合するために使用する電力レベルが、前記第1の材料を重合するために使用する電力レベルよりも低く、前記混合物を重合するために使用する電力レベルが、前記第2の材料を重合するために使用する電力レベルよりも低いこととする請求項51に記載の層。
【請求項56】
前記混合物を重合するために使用する時間が、前記第1の材料を重合するために使用する時間よりも少なく、前記混合物を重合するために使用する時間が、前記第2の材料を重合するために使用する時間よりも少ないこととする請求項51に記載の層。
【請求項57】
前記混合物が光重合性であることとする請求項51に記載の層。
【請求項58】
前記混合物が液晶相を有することとする請求項51に記載の層。
【請求項59】
前記混合物が室温で熱力学的に安定した液晶相を有することとする請求項51に記載の層。
【請求項60】
前記第1の材料と前記第2の材料の少なくとも一方が、式B−S−A−S−B(式中、Aは発色団、芳香族分子コア、複素芳香族分子コア、共役π電子結合を有する堅い分子コアの少なくとも1つであり、Sはスペーサであり、Bは光重合性末端基である)を有することとする請求項51に記載の層。
【請求項61】
前記混合物が均一な厚みを有することとする請求項51に記載の層。
【請求項62】
前記ポリマーネットワークが半導体装置、表示装置、薄膜トランジスタ装置のいずれかに含まれることとする請求項51に記載の層。
【請求項63】
電荷輸送性または発光性の少なくとも1つを備えたポリマーネットワークを含み、前記ポリマーネットワークがラビングされていない配向層上に配置されていることを特徴とする電荷輸送層または発光層。
【請求項64】
前記配向層が光配向層であることとする請求項63に記載の層。
【請求項65】
前記ポリマーネットワークが液晶構造を有することとする請求項63に記載の層。
【請求項66】
前記ポリマーネットワークが、式B−S−A−S−B(式中、Aは発色団、芳香族分子コア、複素芳香族分子コア、共役π電子結合を有する堅い分子コアの少なくとも1つであり、Sはスペーサであり、Bは光重合性末端基である)を有する少なくとも1つの繰り返し単位を含むこととする請求項63に記載の層。
【請求項67】
前記ポリマーネットワークが均一な構造を有することとする請求項63に記載の層。
【請求項68】
前記ポリマーネットワークが均一な厚みを有することとする請求項63に記載の層。
【請求項69】
前記ポリマーネットワークがダングリングラジカル及び分子フラグメントをほとんど含まないこととする請求項68に記載の層。
【請求項70】
前記ポリマーネットワークが半導体装置、表示装置、薄膜トランジスタ装置のいずれかに含まれることとする請求項63に記載の層。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−501134(P2007−501134A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521708(P2006−521708)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002671
【国際公開番号】WO2005/010123
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(506034776)
【出願人】(506034787)
【出願人】(506034798)
【出願人】(506034802)
【Fターム(参考)】