説明

ポリマーポリオール、その製造方法及びポリウレタンの製造方法

【課題】 ポリウレタン用原料としてのポリマーポリオールであって、ポリウレタンの機械物性を著しく向上させ、しかもポリウレタン発泡機の吐出ヘッドが詰まりにくい等、ポリウレタン製造装置のメンテナンスを容易にして生産性を向上させるポリマーポリオールを提供する。
【解決手段】エチレン性不飽和化合物(E)を構成単位とする重合体粒子(JR)がポリオール(PL)中に含有されてなるポリマーポリオールにおいて、エチレン性不飽和化合物(E)中のアクリロニトリルの割合が0〜67モル%であり、ポリマーポリオールの粘性と重合体粒子含有量(PC)の関係が特定の関係式を満たすポリマーポリオール(A)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリマーポリオール、その製造方法及び前記ポリマーポリオールを用いたポリウレタンの製造方法に関する。さらに詳しくは、ポリウレタン(ポリウレタンフォーム、ポリウレタンエラストマー等)の原料として好適な、ろ過性に優れ、優れた機械物性をポリウレタンに付与するポリマーポリオール、その製造方法及び前記ポリマーポリオールを用いたポリウレタンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクリロニトリルを含むエチレン性不飽和化合物をポリオール中で重合させてなるポリマーポリオールとしては、該ポリマーポリオールを原料とするポリウレタンフォームの耐スコーチ性を向上させる目的でエチレン性不飽和化合物中のアクリロニトリル比率を低く(67モル%以下)することが求められている。重合体中のアクリロニトリル比率を下げてスチレン比率を高めたポリマーポリオールとしては、粒度分布を規定[体積基準粒度分布において最頻値体積基準%と{最大粒径と最小粒径の差(μm)}との比が2以下]したポリマーポリオール(例えば特許文献1参照)、および溶存酸素濃度を5〜120ppmに管理した連続重合の製造方法により得られる、直径100μm以上の粗大粒子濃度が5〜120ppmであるポリマーポリオール(例えば特許文献2参照)等が知られている。
【特許文献1】特開平11−236499号公報
【特許文献2】特開2005−162791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の上記ポリマーポリオールのうち、前者は粗大粒子が存在するため、あるいは後者は粒度分布が広いため、該ポリマーポリオールを原料としてポリウレタンフォームを機械発泡にて生産する場合には、発泡機中の吐出ヘッド内が詰まって発泡機の運転停止が頻繁に起こる等の問題がある。また、該ポリマーポリオールを原料としたポリウレタンフォームはその引張強度や切断伸度が低下する等の問題がある。
本発明は、これらの問題点を解決し、ポリマーポリオールを原料として用いてポリウレタンフォームを機械発泡にて生産する場合のろ過性が良好となり、また、ポリウレタンフォームの吐出ヘッド内での詰まりがなく生産性良好となり、また、引張強度や切断伸度が良好なポリウレタンフォームが得られるポリマーポリオール、その製造方法、並びに、当該ポリマーポリオールを原料の一部として用いるポリウレタンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を達成するため、本発明のポリマーポリオールは、エチレン性不飽和化合物(E)を構成単位とする重合体粒子(JR)がポリオール(PL)中に含有されてなるポリマーポリオールにおいて、(E)中のアクリロニトリルの割合が0〜67モル%であり、ポリマーポリオールの粘性と重合体粒子含有量(PC)の関係が下記(1)を満たす、及び/又は、下記式(2)と式(3)とを満たすポリマーポリオール(A)である。
(N1)<0.9×(PC)−35 (1)
(N2)<1.17×(PC)−46 (2)
(N3)<1.37×(PC)−55 (3)
N1:ポリマーポリオールの25℃でのレオメーターによるせん断速度1.0(1/s)での粘性(Pa・s)
N2:ポリマーポリオールの25℃でのレオメーターによるせん断速度0.1(1/s)での粘性(Pa・s)
N3:ポリマーポリオールの25℃でのレオメーターによるせん断速度10.0(1/s)での粘性(Pa・s)
PC:ポリマーポリオール中の(JR)の含有量(重量%)
また、本発明のポリマーポリオールの製造方法は、ポリオール(PL)中で分散剤(B)の存在下または不存在下、エチレン性不飽和化合物(E)を重合させてなるポリマーポリオールの製造方法において、エチレン性不飽和化合物(E)のうちの0.1〜10重量%が不飽和アルコール(炭素数3〜24)の(ポリ)オキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜8)エーテルである上記に記載のポリマーポリオールの製造方法である。
更に、本発明のポリウレタンの製造方法は、ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させてポリウレタンを製造する方法において、ポリオール成分として請求項1に記載のポリマーポリオール(A)をポリオール成分の重量を基準として10〜100重量%含有するポリオール成分を用いるポリウレタンの製造方法である。
【0005】
本発明のポリマーポリオール(A)、および該(A)を用いたポリウレタンは以下の効果を奏する。
(1)ポリマーポリオール(A)はポリウレタン製造装置のメンテナンスを容易にして生産性を向上させる。
(2)該ポリマーポリオール(A)を用いて製造されたポリウレタンは機械物性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明におけるポリマーポリオールとは、エチレン性不飽和化合物(E)を重合させて得られる重合体粒子(JR)がポリオール(PL)中に含有されてなるものである。エチレン性不飽和化合物(E)としては、スチレン(以下Stと略記)、アクリロニトリル(以下、ACNと略記)、その他のエチレン性不飽和モノマー(e)等が使用できる。エチレン性不飽和化合物(E)としては、Stおよび/またはACNを必須成分とすることが好ましい。
【0007】
重合体粒子(JR)を構成するエチレン性不飽和化合物(E)の合計モル数に基づくStの割合(モル%)は、ポリウレタンの変色および粗大粒子の含有量の観点から、33〜83が好ましく、さらに好ましくは35〜70、次にさらに好ましくは40〜65、最も好ましくは50〜60である。
【0008】
重合体粒子(JR)を構成するエチレン性不飽和化合物(E)の合計モル数に基づくACNの割合(モル%)は、0〜67であり、粗大粒子の含有量およびポリウレタンの変色の観点から、30〜65が好ましく、さらに好ましくは35〜60、最も好ましくは40〜50である。
【0009】
StとACNとのモル比(St:ACN)は、上記のエチレン性不飽和化合物中のStおよびACNの割合と同様の観点から、83:17〜33:67が好ましく、さらに好ましくは70:30〜35:65、最も好ましくは60:40〜50:50である。
【0010】
その他のエチレン性不飽和モノマー(e)としては、炭素数(以下Cと略記)2以上かつ数平均分子量(以下Mnと略記)[測定はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による。]1,000未満のもので、Stおよび/またはACNと共重合可能であれば特に制限はなく、下記に示す1官能のもの[不飽和ニトリル(e1)、芳香環含有モノマー(e2)、(メタ)アクリル酸エステル(e3)、α−アルケニル基含有化合物のポリオキシアルキレンエーテル(e4)、その他のエチレン性不飽和モノマー(e5)]および多官能(2またはそれ以上)モノマー(e6)等が使用できる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0011】
(e1)としてはメタクリロニトリル等が挙げられる。
(e2)としてはα−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、クロルスチレン等が挙げられる。
(e3)としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基がC1〜24);ヒドロキシポリオキシアルキレン(アルキレン基がC2〜8)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルおよび/またはメタアクリル酸エステルを意味し、以下における(メタ)アクリル酸、(メタ)アリル等も同様であり、以下同様の表記法を用いる。
【0012】
(e4)としては、C3〜24の不飽和アルコールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記)付加物が挙げられ、不飽和アルコールとしては、末端不飽和アルコールが好ましく用いられる。末端不飽和アルコールとしては、アリルアルコール、2−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール、3−ブテン−1−オール、1−ヘキセン−3−オールなどが挙げられる。これらのうち好ましいのはアリルアルコールのAO付加物である。AOの付加モル数は、1〜9が好ましく、さらに好ましくは1〜6、とくに好ましくは1〜3である。
上記AOとしては、C2〜12またはそれ以上のもの、例えばエチレンオキサイド、1,2−プロピレンオキサイド、1,2−、2,3−または1,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフランおよび3−メチル−テトラヒドロフラン(以下それぞれEO、PO、BO、THFおよびMTHFと略記 )、1,3−プロピレンオキサイド、イソBO、C5〜12のα−オレフィンオキサイド、置換AO(スチレンオキサイド、エピハロヒドリン等)、並びにこれらの2種以上の併用(ランダム付加および/またはブロック付加)が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、1,2−POおよび/またはEOである。
(e4)のMnは、110〜490が好ましく、下限は、好ましくは112、さらに好ましくは116、とくに好ましくは170、最も好ましくは180であり、上限は、好ましくは480、さらに好ましくは450、とくに好ましくは420、最も好ましくは300である。Mnが110以上であると、ポリマーポリオールが低粘度となり取り扱い性の面で好ましく、それから得られるポリウレタンの硬度も良好となり、Mnが490以下であると、それを用いて得られるポリウレタンの硬度が良好である。
【0013】
(e4)のα−アルケニル基の数は、平均1個以上、ポリマーポリオールの粘度および後述するポリウレタンの物性の観点から好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜2個、とくに好ましくは1個である。
【0014】
また、(e4)の溶解度パラメーター(以下SP値と略記)は、ポリマーポリオールの粘度および後述するポリウレタンの圧縮硬さの観点から好ましくは9.5〜13、さらに好ましくは9.8〜12.5、とくに好ましくは10〜12.2である。
なお、SP値とは、下記に示すとおり凝集エネルギー密度と分子容の比の平方根で表されるものである。

SP値=(△E/V)1/2

ここで△Eは凝集エネルギー密度、Vは分子容を表し、その値は、Robert F.Fedorsらの計算によるもので、例えばポリマー エンジニアリング アンド サイエンス(Polymer engineering and science)第14巻、147〜154頁に記載されている。
【0015】
その他のエチレン性不飽和モノマー(e5) としては、C2〜24のエチレン性不飽和モノマーが好ましく、例えば(メタ)アクリル酸等のビニル基含有カルボン酸;エチレン、プロピレンなどの脂肪族炭化水素モノマー;パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレート等のフッ素含有ビニルモノマー;ジアミノエチルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレート等の不飽和ニトリル以外の窒素含有ビニルモノマー;ビニル変性シリコーン;ノルボルネン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の環状−オレフィンまたはジエン化合物;等が挙げられる。
【0016】
多官能モノマー(e6)としては、C8〜40の多官能モノマーが好ましく、例えば、ジビニルベンゼン、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキサイドグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0017】
(e1)〜(e6)のうち、ポリマーポリオールの粘度およびポリウレタンの物性の観点から、(e3)、(e4)、(e6)が好ましく、さらに好ましくは(e4)、(e6)、とくに好ましくは末端不飽和アルコールのPOおよび/またはEO付加物、2官能モノマー、最も好ましくはアリルアルコールのPO付加物、ジビニルベンゼンである。
【0018】
重合体粒子(JR)を構成するエチレン性不飽和化合物(E)中の前記その他のエチレン性不飽和モノマー(e)の割合(モル%)は、40以下が好ましく、ポリマーポリオールの粘度、分散安定性およびポリウレタンの物性の観点から、さらに好ましくは0.01〜30、次にさらに好ましくは0.05〜20、とくに好ましくは0.1〜15、最も好ましくは0.2〜10である。
特に(e4)の使用量(重量%)は、(E)の重量を基準として、0.1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜8、次にさらに好ましくは1〜6である。この範囲であるとポリマーポリオールが低粘度となり本発明のポリマーポリオールが得られやすい。
【0019】
ポリオール(PL)としては、ポリマーポリオールの製造に用いられる公知のポリオール{特開2005−162791号公報、特開2004−018543号公報、特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)等に記載のもの}等が使用できる。
ポリオール(PL)の具体例としては、例えば、少なくとも2個(好ましくは2〜8個)の活性水素を含有する化合物(多価アルコール、多価フェノール、アミン、ポリカルボン酸、リン酸等)にAOを付加した構造の化合物およびこれらの混合物が挙げられる。これらのうちポリウレタンの機械物性の観点から好ましいのは、多価アルコールのAO付加物である。
【0020】
上記AOには前記のものが含まれる。得られるポリウレタンの機械物性の観点から、これらのAOのうちC2〜8のものが好ましく、さらに好ましくはEO、PO、1,2−、2,3−および1,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイドおよびこれらの2種以上の併用(ブロック付加および/またはランダム付加)、とくに好ましくは、POまたはPOとEOとの併用[EO含量が(PL)の重量に基づいて25%以下、好ましくは1〜20%]である。
【0021】
上記AO付加物の具体例としては、公知の活性水素含有化合物{特開2005−162791号公報、特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)等}のPO付加物およびPOと他のAO(好ましいのはEO)を下記の様式で付加したもの、およびこれらの付加物とポリカルボン酸もしくはリン酸とのエステル化物等が挙げられる。
(1)(POブロック)−(他のAOブロック)の順序でブロック付加したもの
(2)[(POブロック)−(他のAOブロック)]2の順序でブロック付加したもの
(3)(他のAOブロック)−(POブロック)−(他のAOブロック)の順序でブロック付加したもの
(4)(POブロック)−(他のAOブロック)−(POブロック)の順序でブロック付加したもの
(5)POおよび他のAOをランダム付加したもの
(6)米国特許第4226756号明細書記載の順序でランダムおよびブロック付加したもの。
【0022】
ポリオール(PL)は、活性水素含有化合物の付加物、または該付加物を含有するものが好ましく、該付加物を含有する場合のその含有量は、得られるポリウレタンの機械物性の観点から、(PL)の重量に基づいて、80〜100が好ましく、さらに好ましくは85〜100、とくに好ましくは90〜100である。
【0023】
ポリオール(PL)の水酸基当量(測定はJIS K−1557−1970(ISO−14900−2001)に準じる。)は、ポリマーポリオールの粘度およびポリウレタンの機械物性の観点から好ましくは200〜4,000、さらに好ましくは400〜3,000である。
【0024】
ポリオール(PL)のMnは、500〜20,000が好ましく、さらに好ましくは1,200〜15,000、とくに好ましくは2,000〜9,000である。Mnが500以上であると後述するポリウレタンの機械物性の面で好ましく、20,000以下であると低粘度となりポリマーポリオールの取り扱い性の面で好ましい。
【0025】
本発明のポリマーポリオール(A)は、(A)中の重合体粒子含有量(PC)と(A)の25℃でのレオメーターによるせん断速度1.0(1/s)での粘性(N1)の関係が、下記式(1)を満たし、好ましくは下記式(1−1)を満たす。なお、粘性は、後述する方法で測定される。
(N1)<0.9×(PC)−35 (1)
(N1)<0.9×(PC)−35.5 (1−1)
あるいは、本発明のポリマーポリオール(A)は、(A)中の重合体粒子含有量(PC)と(A)の25℃でのレオメーターによるせん断速度0.1(1/s)での粘性(N2)およびせん断速度10.0(1/s)での粘性(N3)の関係が、下記式(2)式および式(3)を満たし、好ましくは下記式(2−1)および式(3−1)を満たす。なお、粘性は、後述する方法で測定される。
(N2)<1.17×(PC)−46 (2)
(N2)<1.17×(PC)−47 (2−1)
(N3)<1.37×(PC)−55 (3)
(N3)<1.37×(PC)−56 (3−1)
本発明のポリマーポリオール(A)は、式(1)、式(2)、式(3)の関係を全て満たしてもよいし、式(1)の関係だけを満たしても、あるいは、式(2)および式(3)の関係だけを満たしてもよい。これらのうち好ましいのは式(1)、式(2)、式(3)の関係を全て満たすことである。
式(1)を満たさない場合、式(2)を満たさない場合、または、式(3)を満たさない場合、いずれの場合もポリマーポリオールのろ過性が悪化する。
【0026】
ポリマーポリオール(A)中の重合体粒子含有量(PC)は、後述するポリウレタンの機械物性およびポリマーポリオール中の重合体粒子(JR)の凝集防止の観点から、30〜65が好ましく、さらに好ましくは35〜60、とくに好ましくは38〜57、最も好ましくは40〜55である。なお、(PC)は、後述する方法で測定される。
【0027】
ポリマーポリオール(A)中のポリオール(PL)の含有量(重量%)は、重合体粒子(JR)の凝集防止および得られるポリウレタンの機械物性の観点から、35〜70が好ましく、さらに好ましくは40〜65、とくに好ましくは43〜62、最も好ましくは45〜60である。
【0028】
重合体粒子(JR)の形状は特に限定なく、球状、回転楕円体状、平板状等いずれの形状でもよいが、ポリウレタンの機械物性の観点から、球状が好ましい。
【0029】
重合体粒子(JR)の体積平均粒子径(μm)は、ポリマーポリオールの粘度およびポリウレタン物性の観点から、0.2〜0.9が好ましく、さらに好ましくは0.25〜0.8、とくに好ましくは0.3〜0.7である。なお、体積平均粒子径は、後述する方法により測定される。
【0030】
本発明のポリマーポリオール(A)の製造方法には、下記(1)、(2)の製造方法が含まれる。
(1)ポリオール(PL)中でエチレン性不飽和化合物(E)を重合させて製造する方法。
(2)エチレン性不飽和化合物(E)を重合させて重合体粒子(JR)を製造した後に、(JR)をポリオール(PL)中に分散させて製造する方法。
【0031】
上記(1)の製造方法は、ポリオール(PL)からなる分散媒中で、エチレン性不飽和化合物(E)を重合させる方法である。
重合方法としては、ラジカル重合、配位アニオン重合、メタセシス重合およびディールス・アルダー重合等が挙げられるが、工業的な観点から好ましいのはラジカル重合である。
【0032】
ラジカル重合は、種々の方法、例えば分散剤(B)を含むポリオール(PL)中で、エチレン性不飽和化合物(E)をラジカル重合開始剤(K)の存在下に重合させる方法(米国特許第3383351号等に記載の方法)等が使用できる。
【0033】
ラジカル重合開始剤(K)としては、遊離基を生成して重合を開始させる化合物が使用でき、アゾ化合物および過酸化物等{特開2005−162791号公報、特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)等に記載のもの}が使用できる。また、(K)の10時間半減期温度は、(E)の重合率及び重合時間とポリマーポリオールの生産性の観点から、30〜150℃が好ましく、さらに好ましくは40〜140℃、とくに好ましくは50〜130℃である。
【0034】
(K)の使用量(重量%)は、(E)の合計重量に基づいて、(E)の重合度および得られるポリウレタンの機械物性の観点から好ましくは0.05〜20、さらに好ましくは0.1〜5、とくに好ましくは0.2〜2である。
【0035】
分散剤(B)としては、Mnが1,000以上(好ましくは1,000〜10,000)の種々のもの、例えばポリマーポリオールの製造で使用されている公知の分散剤{特開2005−162791号公報、特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)等に記載のもの}等を使用することができ、(B)には、StまたはACNと共重合し得るエチレン性不飽和基を有する反応性分散剤、およびStまたはACNとは共重合しない非反応性分散剤が含まれる。
なお本発明において、エチレン性不飽和基を含有する反応性分散剤はMn1,000以上であり、Mnが1,000未満のエチレン性不飽和モノマー(e)とは区別される。
【0036】
分散剤(B)の具体例としては、〔1〕ポリオール(PL)の水酸基の少なくとも一部を、メチレンジハライドおよび/またはエチレンジハライドと反応させて高分子量化し、該反応物にさらにエチレン性不飽和基含有化合物を反応させてなるエチレン性不飽和基含有変性ポリオール{特開平08−333508号公報、特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)等に記載のもの}等のマクロマータイプの分散剤;〔2〕ポリオール(PL)との溶解度パラメーターの差が1.0以下の(PL)親和性セグメント2個以上を側鎖とし、エチレン性不飽和化合物の重合体との溶解度パラメーターの差が2.0以下の重合体粒子(JR)親和性セグメントを主鎖とするグラフト型重合体(特開平05−059134号公報等に記載のもの)等の、ポリオールとオリゴマーを結合させたグラフトタイプの分散剤;〔3〕ポリオール(PL)の水酸基の少なくとも一部をメチレンジハライドおよび/またはエチレンジハライドと反応させて高分子量化した変性ポリオール(特開平07−196749号公報等に記載のもの)等の高分子量ポリオールタイプの分散剤;〔4〕その少なくとも一部がポリオール(PL)に可溶性である重量平均分子量(以下Mwと略記)[測定はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による。]が1,000〜30,000のビニル系オリゴマーおよびこのオリゴマーと前記〔3〕の高分子量化した変性ポリオールを反応させてなるエチレン性不飽和基含有変性ポリオールを併用する分散剤(特開平09−77968号公報等に記載のもの)等のオリゴマータイプの分散剤;〔5〕ポリオール(PL)と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する単官能活性水素化合物がポリイソシアネートを介して結合されてなる含窒素結合含有不飽和ポリオールからなる分散剤(特開2002−308920号公報(対応米国特許第6756414号)等に記載のもの)等の反応性分散剤等が挙げられる。
これらの中で重合体粒子(JR)の粒子径の観点から、〔1〕、〔4〕および〔5〕が好ましく、特に好ましくは、〔5〕である。
【0037】
分散剤(B)の使用量(重量%)は、ポリオール(PL)の重量に基づいて、重合体粒子(JR)の粒子径およびポリマーポリオールの粘度の観点から、2〜20が好ましく、さらに好ましくは5〜15である。この範囲であると本発明のポリマーポリオールが得られやすい。
【0038】
ラジカル重合においては、必要により希釈溶剤(c)を使用してもよい。(c)としては、芳香族炭化水素(C6〜10、例えばトルエン、キシレン);飽和脂肪族炭化水素(C5〜15、例えばヘキサン、ヘプタン、ノルマルデカン);不飽和脂肪族炭化水素(C5〜30、例えばオクテン、ノネン、デセン);およびその他公知の溶剤(例えば特開2005−162791号公報等に記載のもの)等が使用できる。これらのうちポリマーポリオールの粘度の観点から好ましいのは芳香族炭化水素溶剤である。
希釈溶剤(c)の使用量(重量%)は、エチレン性不飽和化合物(E)の合計重量に基づいて、ポリマーポリオールの粘度およびポリウレタンの機械物性の観点から、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは1〜40である。(c)は重合反応終了後にポリマーポリオール中に残存してもよいが、ポリウレタンの機械物性の観点から重合反応後に減圧ストリッピング等により除去するのが望ましい。
【0039】
また、ラジカル重合においては必要により連鎖移動剤(g)を使用してもよい。(g)としては脂肪族チオール(C1〜20、例えばn−ドデカンチオール、メルカプトエタノール)等種々の連鎖移動剤{特開2005−162791号公報、特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)等に記載のもの}が使用できる。
連鎖移動剤(g)の使用量(重量%)は、エチレン性不飽和化合物(E)の合計重量に基づいて、ポリマーポリオールの粘度および得られるポリウレタンの機械物性の観点から好ましくは0.01〜2、さらに好ましくは0.1〜1である。
【0040】
重合工程としては、バッチ式および連続式等といったポリマーポリオールを製造するための公知{特開2005−162791号公報、特開平8−333508号公報、特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)等に記載のもの}の工程からなる製造方法で製造できる。本発明のポリマーポリオールを得る工程として、バッチ式重合法および連続重合法が好ましく、さらに好ましくは多段一括重合法および多段連続重合法である。
多段一括重合法とは、n回(nは2以上の整数)の重合工程を含む重合方法であり、下記(I)〜(III)の工程が含まれる。該製造方法は、(I)〜(III)の工程がこの順序で実施されればよく、各工程が実施される反応容器は同一でも異なっていてもいずれでもよい。
(I)エチレン性不飽和化合物(E)、ポリオール(PL)、および、さらに必要により分散剤(B)、希釈溶剤(c)を添加後、ラジカル重合開始剤(K)を投入して重合させ、ベースポリマーポリオール(BA1)を得る工程。
(II)得られた(BAi-1)に(E)、さらに必要により(PL)、(B)、(c)を加えて添加後、(K)を投入して重合させ、ベースポリマーポリオール(BAi)を得る工程[iは2〜(n−1)の整数]。なお、(II)の工程はnが2の場合は実施せず、nが3以上の場合に(n−2)回実施して、(II)工程の最後にベースポリマーポリオール(BAn-1)を得る。
(III)得られた(BAn-1)に(E)、さらに必要により(PL)、(B)、(c)を添加後、(K)を投入して重合させ、ポリマーポリオール(A)を得る工程。
n(重合段数)は、重合を行う工程の数であり、上記(I)、(II)および(III)の重合工程の合計数である。
nは、粗大粒子含有量の観点から、2〜7が好ましく、さらに好ましくは2〜5、特に好ましくは3〜4である。
【0041】
ラジカル重合開始剤(K)はそのまま使用してもよいし、希釈溶剤(c)、分散剤(B)および/またはポリオール(PL)に溶解(または分散)したものを使用してもよい。
【0042】
前記(2)の製造方法は、重合体粒子(JR)を製造した後、(JR)をポリオール(PL)に分散し、ポリマーポリオールを得る方法であり、例えば下記の方法が挙げられる。
まず、種々の方法(特開平5−148328号公報、特開平8−100006号公報等に記載の方法)でエチレン性不飽和化合物(E)を乳化重合または懸濁重合させることにより重合体粒子(JR)を製造する。得られた(JR)を湿式分級機(沈降槽方式、機械式分級機方式、遠心分級機方式等)等を用いて分級処理を行い、前記本発明で規定される算術標準偏差および粗大粒子含有量を満たす重合体粒子(JR)を得る。重合により得られた(JR)が前記本発明で規定される算術標準偏差および粗大粒子含有量を満たす場合には、分級処理を行わなくてもよい。ここで得た重合体粒子(JR)をポリオール(PL)中に分散させることでポリマーポリオール(A)を得ることができる。分散においては重合または湿式分級で得られた(JR)分散液をそのまま用いてもよいし、(JR)分散液から溶媒を留去した後に用いてもよい。重合体粒子(JR)分散液をそのまま用いる場合は、(JR)分散液にポリオール(PL)を加えた後、溶媒を留去することで本発明のポリマーポリオールが得られる。また、重合体粒子(JR)分散液から溶媒を留去した後に用いる場合は、重合体粒子(JR)をポリオール(PL)に分散させる際、高い剪断力をかけて分散すると(JR)の凝集を防ぐことができ、本発明のポリマーポリオールを得られやすい。分散させる際に用いる装置としては、ホモミキサー等、高い剪断力をかけて分散する装置が好ましい。
【0043】
本発明のポリマーポリオール(A)には、必要により溶剤および難燃剤を添加してもよい。溶剤としては、前述した希釈溶剤(c)と同様の溶剤が使用でき、ポリマーポリオールの粘度等の観点から、不飽和脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素が好ましい。
難燃剤としては、種々の難燃剤(特開2005−162791号公報等に記載のものや、リン酸エステル、ハロゲン化リン酸エステル、メラミン、ホスファゼン等)が使用でき、ポリマーポリオールの粘度の観点から、低粘度(100mPa・s以下/25℃)の難燃剤が好ましく、さらに好ましいのはハロゲン化リン酸エステルの内、トリス(クロロエチル)ホスフェートおよびトリス(クロロプロピル)ホスフェートである。
ポリマーポリオール(A)中の溶剤および難燃剤の使用量(重量%)は、重合体粒子(JR)およびポリオール(PL)の合計重量に基づいて、それぞれ10以下が好ましく、ポリマーポリオールの粘度、ポリウレタンの難燃性、および得られるポリウレタンの機械物性の観点から、さらに好ましくはそれぞれ0.01〜5、さらに好ましくは0.05〜3である。
【0044】
本発明のポリマーポリオール(A)は、ポリウレタンの(ポリウレタンエラストマー、ポリウレタンフォーム等)製造に使用するポリオールとして用いることができる。すなわち、(A)または(A)を含むポリオール成分(Po)およびポリイソシアネートからなるイソシアネート成分(Is)[以下において(Po)と(Is)からなる組成物をポリウレタン形成性組成物と称することがある。]を、公知の方法{特開2004−263192号公報(対応米国特許出願:US2003/4217 A1)等に記載の方法}等で反応させてポリウレタンを得ることができる。
【0045】
ポリウレタンを製造するのに用いられるポリオール成分(Po)としては、本発明のポリマーポリオール(A)以外に、ポリウレタンを製造する際の原料として、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりポリオールおよび(A)以外の公知のポリマーポリオールを使用してもよい。
ポリオールとしては、前述したポリオール(PL)等が使用でき、公知のポリマーポリオールとしては、特開2005−162791号公報、特開2004−263192号公報(対応米国特許出願:US2003/4217 A1)等記載のポリマーポリオールが使用できる。
ポリオールの使用量(重量%)は、得られるポリウレタンの機械物性の観点から適宜調整することができるが、ポリマーポリオール(A)の重量に基づいて、1〜1,000が好ましい。
ポリマーポリオール(A)以外の公知のポリマーポリオールの使用量(重量%)は、(A)の重量に基づいて、ポリウレタンの機械物性およびポリウレタンの機械物性、ストレーナや製造装置の吐出口の目詰まり低減の観点から、1〜100が好ましい。
【0046】
ポリオール成分(Po)中のポリマーポリオール(A)の使用量(重量%)は、得られるポリウレタンの機械物性およびポリオール成分の粘度の観点から、10〜100が好ましく、さらに好ましくは15〜90、とくに好ましくは20〜80、最も好ましくは25〜70である。
【0047】
イソシアネート成分(Is)としては、従来からポリウレタンの製造に使用されている公知のポリイソシアネート{特開2005−162791号公報、特開2004−263192号公報(対応米国特許出願:US2003/4217 A1)等に記載のもの}等が使用できる。
これらのうちでポリウレタンの機械物性の観点から、2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、これらの異性体の混合物、粗製TDI(TDIを精製した際の残留物);4,4'−および2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、これらの異性体の混合物、粗製MDI(MDIを精製した際の残留物);およびこれらのポリイソシアネートより誘導される、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基またはイソシアヌレート基等を含有する変性ポリイソシアネートが好ましい。
【0048】
ポリウレタンの製造におけるNCO指数[NCO基と活性水素原子との当量比(NCO基/活性水素原子)×100]は、ポリウレタンの機械物性の観点から適宜調整することができるが、80〜140が好ましく、さらに好ましくは85〜120、とくに好ましくは95〜115である。
【0049】
ポリウレタンの製造に際しては反応を促進させるため、ウレタン化反応に使用される種々の触媒{特開2005−162791号公報、特開2004−263192号公報(対応米国特許出願:US2003/4217 A1)等に記載のもの}を使用することができる。触媒の使用量(重量%)は、ポリウレタン形成性組成物の全重量に基づいて10以下が好ましく、さらに好ましくは0.001〜5である。
【0050】
また、ポリウレタンの製造に際し、種々の発泡剤{特開2006−152188号公報、特開2004−263192号公報(対応米国特許出願:US2003/4217 A1)等に記載のもの}[水、HFC(ハイドロフルオロカーボン)、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)、メチレンクロライド等]を使用して、ポリウレタンフォームとすることができる。発泡剤の使用量(重量%)はポリウレタンフォームの所望の密度により変えることができ、特に限定はされないが、ポリウレタン形成性組成物の全重量に基づいて、20以下が好ましい。
ポリウレタンフォームを製造する場合、さらに必要により整泡剤を使用することができる。整泡剤としては種々の整泡剤{特開2005−162791号公報、特開2004−263192号公報(対応米国特許出願:US2003/4217 A1)等に記載のもの}が使用でき、ポリウレタンフォーム中のセル径の均一性の観点から、シリコーン界面活性剤(例えばポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体)が好ましい。
整泡剤の使用量(重量%)は、ポリウレタン形成性組成物の全重量に基づいて、5以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜2である。
【0051】
ポリウレタンの製造において、さらに必要により難燃剤を使用することができる。難燃剤としては種々のもの{特開2005−162791号公報、特開2004−263192号公報(対応米国特許出願:US2003/4217 A1)等に記載のもの}、例えばメラミン、リン酸エステル、ハロゲン化リン酸エステル、ホスファゼンが挙げられる。
難燃剤の使用量(重量%)は、ポリウレタン形成性組成物の全重量に基づいて、30以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜10である。
【0052】
ポリウレタンの製造においては、さらに必要により反応遅延剤、着色剤、内部離型剤、老化防止剤、抗酸化剤、可塑剤、殺菌剤および充填剤(カーボンブラックを含む)からなる群から選ばれる少なくとも1種のその他の添加剤を使用することができる。
【0053】
ポリウレタンの製造は種々の方法{特開2005−162791号公報、特開2004−263192号公報(対応米国特許出願:US2003/4217 A1)等に記載の方法}で行うことができ、ワンショット法、セミプレポリマー法およびプレポリマー法等が挙げられる。
ポリウレタンの製造には従来から用いられている製造装置(低圧あるいは高圧の機械装置等)を用いることができる。無溶媒の場合は、ニーダーやエクストルーダー等の装置を用いることができる。また、非発泡または発泡ポリウレタンを製造する際には、閉鎖モールドまたは開放モールドを用いることができる。
本発明のポリマーポリオール(A)を使用した場合、ポリウレタンの製造に用いる製造装置の小さい開口部の目詰まりが低減し、メンテナンスが容易になり生産性が向上できる。特に、ポリウレタンフォームの発泡機では、吐出ヘッドの目詰まりが極めて低減し生産性の向上が顕著である。
【実施例】
【0054】
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において、%、部および比は、特に断りのない限り、それぞれ、重量%、重量部および重量比を示す。
【0055】
実施例および比較例に使用した原料の組成、記号等は次のとおりである。
(1)ポリオール
ポリオール(PL1−1):グリセリンにPO−EO−POの順にブロック付加させた、水酸基価=56、内部EO単位含量=9%のポリオール〔商品名「サンニックス(登録商標)GP−3030」、三洋化成工業(株)製〕
ポリオール(PL1−2):ペンタエリスリトールにPO−EOの順にブロック付加させた、水酸基価=32、末端EO単位含量=14%のポリオール〔商品名「ポリオール50」、三洋化成工業(株)製〕
ポリオール(PL1−3):ビスフェノールAにPOを付加させた、水酸基価=216、末端PO単位含量=56%のポリオール
(2)ラジカル重合開始剤
K−1:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔商品名「V−65」、和光純薬工業(株)製〕
K−2:1,1’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)〔商品名「V−59」、和光純薬工業(株)製〕
K−3:1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)〔商品名「V−40」、和光純薬工業(株)製〕
K−4:ジクミル パーオキサイド〔商品名「パークミルD」、日本油脂(株)製〕
(3)分散剤
B−1 :ポリオール(PL1−2)0.14モルと2−ヒドロキシエチルメタクリレート0.07モルをTDI0.16モルでジョイントして得られる、水酸基価=20、不飽和基数/含窒素基数=0.22の反応性分散剤〔特開2002−308920号公報(対応米国特許6756414号)に記載のもの〕
(4)ポリイソシアネート
TDI−80:商品名「コロネートT−80」〔日本ポリウレタン工業(株)製〕
(5)触媒
触媒A:商品名「ネオスタンU−28」(オクチル酸第1スズ)〔日東化成(株)製〕
触媒B:商品名「DABCO」(トリエチレンジアミン)〔日本乳化剤(株)製〕
(6)整泡剤
商品名「SRX−280A」(ポリエーテルシロキサン重合体)〔東レダウコーニングシリコーン(株)製〕
【0056】
実施例における測定、評価方法は次のとおりである。
<重合体粒子(JR)の含有量:(PC)>
SUS製遠心分離用遠沈管50mlに、ポリマーポリオール約5gを精秤し、ポリマーポリオール重量(W1)とする。メタノール15gを加えて希釈する。冷却遠心分離機[型番:GRX−220、トミー精工(株)製]を用いて、18,000rpm×60分間、20℃にて遠心分離する。上澄み液をガラス製ピペットを用いて除去する。残留沈降物にメタノール15gを加えて希釈し、上記と同様に遠心分離して上澄み液を除去する操作を、さらに3回繰り返す。遠沈管内の残留沈降物を、2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で60℃×60分間減圧乾燥し、乾燥した沈降物を重量測定し、該重量を(W2)とする。次式(4)で算出した値を、重合体粒子含有量とする。

重合体粒子含有量(重量%)=(W2)×100/(W1) (4)
【0057】
<体積平均粒子径>
50mlのガラス製ビーカーにメタノール30mlを入れ、ポリマーポリオールを2mg投入し、長径2cm、短径0.5cmのスターラーピースを用いてマグネチックスターラーで400rpm×3分間撹拌、混合して均一液とする。混合後、5分間以内に測定セルに投入し、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置[型番:LA−750、(株)堀場製作所製]を用いて体積基準による体積平均粒子径を測定する。
【0058】
<粘性>
ポリマーポリオールを、レオメーター〔ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製〕を用いて、25℃の条件にてせん断速度0.1(1/s)、1.0(1/s)および10.0(1/s)での粘性を測定する。
【0059】
<ろ過性>
ポリマーポリオール300gを循風乾燥機にて70℃に加温する。ろ過面の大きさに裁断した目開き0.045mmの工業用織金網(JIS G3556)をろ過面の直径が96mmのブフナー漏斗にアルミニウム接着テープで固定する。ブフナー漏斗をろ過鐘の上部口に固定し、真空ポンプと直結する。温調したポリマーポリオールを30秒間以内にブフナー漏斗の金網面上にあけ、ポリマーポリオールを金網上にあけてから、60秒以内に真空ポンプ〔型番TSW−300、佐藤真空(株)製〕を作動させる。真空ポンプを作動させた時点から計時を開始し、一部金網面が見えるまでの時間をろ過時間とする。ろ過した後のポリマーポリオールの重量を測定し、これを(W4)とする。次式(5)で算出した値を、ろ過性とする。

ろ過性(g/s・cm2
=(W4)(g)÷[ろ過時間(秒)×ろ過面積〔72.4cm2〕] (5)
【0060】
<総合評価>
ろ過性、ポリウレタンフォームの白色度および物性を次の基準で評価し、それらの評価結果から後述する基準により総合評価を判定した。
評価基準
(1)ろ過性 ☆ 0.12以上
◎ 0.10以上、0.12未満
○ 0.08以上、0.10未満
△ 0.06以上、0.08未満
× 0.06未満

(2)白色度 ☆ 3以下
◎ 3より大きく、4.5以下
○ 4.5より大きく、5.5以下
△ 5.5より大きく、6.0以下
× 6.0より大きい
白色度は、JIS 8715−1999に準拠。

総合評価
☆ ろ過性および白色度が◎以下でない評価であり、フォーム物性良好
◎ ろ過性および白色度が○以下でない評価であり、フォーム物性良好
○ ろ過性および白色度が△以下でない評価であり、フォーム物性良好
△ ろ過性および白色度が×以下でない評価であり、フォーム物性良好
× ろ過性もしくは白色度が×の評価、またはフォーム物性不良
【0061】
実施例1 [ポリマーポリオール(A−1)の製造]
〔第1工程〕 SUS製耐圧反応容器に、25℃で、ポリオール(PL1−1)435部、ACN35.0部、St84.0部、アリルアルコールPO2.2モル付加物7.6部、ジビニルベンゼン0.36部、分散剤(B−1)44.2部およびキシレン32部を入れ、撹拌下100℃に温調した。ここにラジカル重合開始剤(K−1)1.19部、(K−2)0.36部および(K−3)0.12部をキシレン8部に溶解させた液を5秒間かけて仕込んで混合し、重合を開始させた。ラジカル重合開始剤溶液投入後、重合反応は1分以内に速やかに開始し、約6分で最高到達温度約160℃に到達した。最高到達温度に到達してから150〜170℃で約10分間熟成した後、25℃に冷却して、ポリマーポリオール中間体(H1−1)を得た。
〔第2工程〕 引き続いて前記ポリマーポリオール中間体(H1−1)の入っている反応容器に、25℃で、ポリオール(PL1−1)40部、ACN45.0部、St108.0部、アリルアルコールPO2.2モル付加物8.5部およびジビニルベンゼン0.46部を入れ、撹拌下、95℃に温調した。ここに(K−1)1.53部、(K−2)0.46部および(K−3)0.15部をキシレン11部に溶解させた液を5秒間かけて仕込んで混合し、重合を開始させた。ラジカル重合開始剤溶液投入後、重合反応は1分以内に速やかに開始し、約6分で最高到達温度約160℃に到達した。最高到達温度に到達してから150〜170℃で約10分間熟成した後、25℃に冷却して、ポリマーポリオール中間体(H1−2)を得た。
〔第3工程〕 引き続いて前記ポリマーポリオール中間体(H1−2)の入っている反応容器に、25℃で、ACN50.0部、St120.0部、アリルアルコールPO2.2モル付加物8.5部およびジビニルベンゼン0.51部を入れ、撹拌下、90℃に温調した。ここに(K−1)1.70部、(K−2)0.51部、(K−3)0.17部および(K−4)0.17部をキシレン13部に溶解させた液を5秒間かけて仕込んで混合し、重合を開始させた。ラジカル重合開始剤溶液投入後、重合は1分以内に速やかに開始し、約6分で最高到達温度約160℃に到達した。最高到達温度に到達してから150〜170℃で約10分間熟成した後、25℃に冷却して、ポリマーポリオール中間体(H1−3)を得た。(H1−3)から未反応モノマーとキシレンを2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で2時間、減圧下ストリッピングして、ポリマーポリオール(A−1)を得た。前記の測定、評価方法で(A−1)を評価した。結果を表1に示す。
【0062】
実施例2 [ポリマーポリオール(A−2)の製造]
実施例1において、第1工程で、分散剤(B−1)44.2部の代わりに、分散剤(B−1)35.4部を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリマーポリオール(A−2)を得た。(A−2)について、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0063】
実施例3 [ポリマーポリオール(A−3)の製造]
実施例1において、第1工程で、分散剤(B−1)44.2部の代わりに、分散剤(B−1)30.9部を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリマーポリオール(A−3)を得た。(A−3)について、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0064】
実施例4 [ポリマーポリオール(A−4)の製造]
実施例1において、第1工程で、ACN35.0部、St84.0部および分散剤(B−1)44.2部の代わりに、ACN48.2部、St77.4部および分散剤(B−1)35.4部、第2工程で、ACN45.0部およびSt108.0部の代わりにACN58.2部、St93.5部、第3工程で、ACN50.0部およびSt120.0部の代わりに、ACN63.2部およびSt105.5部を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリマーポリオール(A−4)を得た。(A−4)について、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0065】
実施例5 [ポリマーポリオール(A−5)の製造]
〔第1工程〕 SUS製耐圧反応容器に、25℃で、ポリオール(PL1−1)460部、ACN60.0部、St78.5部、アリルアルコールPO2.2モル付加物8.1部、ジビニルベンゼン0.42部、分散剤(B−1)37.9部およびキシレン33.7部を入れ、撹拌下100℃に温調した。ここにラジカル重合開始剤(K−1)1.39部、(K−2)0.42部および(K−3)0.14部をキシレン10部に溶解させた液を5秒間かけて仕込んで混合し、重合を開始させた。ラジカル重合開始剤溶液投入後、重合反応は1分以内に速やかに開始し、約6分で最高到達温度約160℃に到達した。最高到達温度に到達してから150〜170℃で約10分間熟成した後、25℃に冷却して、ポリマーポリオール中間体(H5−1)を得た。
〔第2工程〕 引き続いて前記ポリマーポリオール中間体(H5−1)の入っている反応容器に、25℃で、ポリオール(PL1−1)40部、ACN70.0部、St91.6部、アリルアルコールPO2.2モル付加物8.7部およびジビニルベンゼン0.48部、を入れ、撹拌下、95℃に温調した。ここに(K−1)1.62部、(K−2)0.48部、および(K−3)0.16部をキシレン11.3部に溶解させた液を5秒間かけて仕込んで混合し、重合を開始させた。ラジカル重合開始剤溶液投入後、重合反応は1分以内に速やかに開始し、約6分で最高到達温度約160℃に到達した。最高到達温度に到達してから150〜170℃で約10分間熟成した後、25℃に冷却して、ポリマーポリオール中間体(H5−2)を得た。
〔第3工程〕
連続重合装置(送液ライン、オーバーフローラインを接続したSUS製耐圧反応容器)を用意し、反応容器(重合槽)にあらかじめ、第2工程にて作成したポリマーポリオール(H5−2)2,400部を充液し、130℃に昇温した。ついで、(H5−2)889.5部、ACN75.0部、St98.1部、アリルアルコールPO2.2モル付加物8.7部、ジビニルベンゼン0.52部、キシレン10部、ラジカル重合開始剤(K−2)1.73部の原料混合液(G)をスタティックミキサーを用いてラインブレンドした後、100部/分の速度で後述するオーバーフロー反応液の一部(Z)と合流させ反応容器(重合槽)へ連続的に送液した。一方重合槽からは、反応液を2,100部/分でオーバーフローさせ、オーバーフローさせた重合体ポリオールを含む反応液の一部(Z)は、130℃に冷却しながら反応容器(重合槽)へ入る直前の混合液(G)に2,000部/分の速度で合流させて前記重合槽へ送液した。また、オーバーフローさせた重合体ポリオールを含む反応液の残り(即ち、100部)は、SUS製の中間体用貯槽に貯蔵した。この操作を連続的に行い、130℃にて重合させポリマーポリオール中間体(H5−3)(中間体用貯槽中に貯蔵されている)を得た。得られたポリマーポリオール中間体(H5−3)から未反応モノマーとキシレンを2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で2時間、減圧下ストリッピングして、ポリマーポリオール(A−5)を得た。(A−5)について、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0066】
実施例6 [ポリマーポリオール(A−6)の製造]
実施例1において、第1工程で、ACN35.0部、St84.0部、アリルアルコールPO2.2モル付加物7.6部、ジビニルベンゼン0.36部、分散剤(B−1)44.2部、ラジカル重合開始剤(K−1)1.19部、(K−2)0.36部および(K−3)0.12部の代わりに、ACN56.9部、St111.7部、アリルアルコールPO2.2モル付加物7.9部、ジビニルベンゼン0.51部、分散剤(B−1)46.4部、ラジカル重合開始剤(K−1)1.69部、(K−2)0.51部および(K−3)0.17部、第2工程で、ACN45.0部、St108.0部、ジビニルベンゼン0.46部、(K−1)1.53部、(K−2)0.46部および(K−3)0.15部の代わりに、ACN66.9部、St131.3部、ジビニルベンゼン0.59部、(K−1)1.98部、(K−2)0.59部および(K−3)0.20部、第3工程で、ACN50.0部、St120.0部、ジビニルベンゼン0.51部、(K−1)1.70部、(K−2)0.51部、(K−3)0.17部および(K−4)0.17部の代わりに、ACN71.9部、St141.1部、ジビニルベンゼン0.64部、(K−1)2.13部、(K−2)0.64部、(K−3)0.21部および(K−4)0.21部を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリマーポリオール(A−6)を得た。(A−6)について、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0067】
実施例7 [ポリマーポリオール(A−7)の製造]
〔第1工程〕 温度調節器、バキューム攪拌翼、滴下ポンプ、減圧装置、ジムロート冷却管、窒素流入口および流出口を備えた4口フラスコに、ポリオール(PL1−1)255部、(PL1−3)40.3部、分散剤(d−1)57.4部およびキシレン124部を投入し、窒素置換後、窒素雰囲気下(重合終了まで)で撹拌下130℃に昇温した。ついで、ポリオール(a1−1)142部、分散剤(d−1)17.5部、ACN105部、スチレン245部、ジビニルベンゼン0.35部、(K−2)3.50部およびキシレン10.5部を予め混合したモノマー含有混合液(Z1)を滴下ポンプを用いて25部/分の速度で連続的に滴下し、滴下終了後さらに130℃で30分重合させた。さらに、25℃に冷却し、ポリマーポリオール中間体(H7−1)を得た。
〔第2工程〕 連続重合装置(送液ライン、オーバーフローラインを接続した2LのSUS製耐圧反応容器)を2槽用意し、1槽目のオーバーフローラインを2槽目の重合槽の入口と接続し直列に配置する。1槽目および2槽目の重合槽にそれぞれ、あらかじめポリオール(PL1−1)2000部を充液し、130℃に昇温した。ポリマーポリオール(H7−1)127.8部、(PL1−1)207部、(PL1−3)6.77部、(d−1)29.0部、ACN29.0部、スチレン67.7部、ジビニルベンゼン1.21部、(K−2)0.97部およびキシレン39.9部を混合した原料混合液(G1−1)をスタティックミキサーを用いてラインブレンドした後、113部/分の送液速度で1槽目の重合槽へ連続的に送液し、重合槽からオーバーフローさせポリマーポリオール中間体(H7−2)を得た。1槽目の重合槽からオーバーフローさせたポリマーポリオール中間体(H7−2)は113部/分の送液速度で2槽目の重合槽へ連続的に送液した。
〔第3工程〕 1槽目の重合槽から113部/分の送液速度の速度でオーバーフローさせた(H7−2)と(PL1−1)118部、ACN91.8部、スチレン214部、(K−2)3.06部およびキシレン9.2分を混合した原料混合液(G1−2)をスタティックミキサーを用いてラインブレンドした後、96.9部/分の送液速度の速度で2槽目の重合槽へ連続的に送液し、重合槽からオーバーフローさせた反応液をSUS製の受け槽にストックして、ポリマーポリオール中間体(H7−3)を得た。(H7−3)から未反応モノマーとキシレンを2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で2時間、130〜140℃減圧下でストリッピングして、ポリマーポリオール(A−7)を得た。(A−7)について、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0068】
比較例1 ポリマーポリオール(R−1)の製造
実施例1において、ポリオール(PL1−1)435部、ACN35.0部、St84.0部、アリルアルコールPO2.2モル付加物7.6部、ジビニルベンゼン0.36部、分散剤(B−1)44.2部およびキシレン32部の代わりに、ポリオール(PL1−1)320部、ACN45.0部、St108.0部、アリルアルコールPO2.2モル付加物0部、ジビニルベンゼン0.46部、分散剤(B−1)136.0部およびキシレン0部、第2工程で、ACN45.0部、St108.0部、アリルアルコールPO2.2モル付加物8.5部およびジビニルベンゼン0.46部の代わりにACN55.0部、St131.9部、アリルアルコールPO2.2モル付加物0部およびジビニルベンゼン0.56部、第3工程で、ACN50.0部、St120.0部、アリルアルコールPO2.2モル付加物8.5部およびジビニルベンゼン0.51部の代わりに、ACN60.0部、St143.9部、アリルアルコールPO2.2モル付加物0部およびジビニルベンゼン0.61部を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリマーポリオール(R−1)を得た。(R−1)について、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0069】
比較例2 ポリマーポリオール(R−2)の製造
実施例1において、ポリオール(PL1−1)435部、ACN35.0部、St84.0部、アリルアルコールPO2.2モル付加物7.6部、ジビニルベンゼン0.36部、分散剤(B−1)44.2部およびキシレン32部の代わりに、ポリオール(PL1−1)450部、ACN100.0部、St34.6部、アリルアルコールPO2.2モル付加物7.4部、ジビニルベンゼン0.40部、分散剤(B−1)30.6部およびキシレン34部、第2工程で、ACN45.0部、St108.0部、アリルアルコールPO2.2モル付加物8.5部およびジビニルベンゼン0.46部の代わりにACN110.0部、St38.1部、アリルアルコールPO2.2モル付加物7.7部およびジビニルベンゼン0.44部、第3工程で、ACN50.0部、St120.0部、アリルアルコールPO2.2モル付加物8.5部およびジビニルベンゼン0.51部の代わりに、ACN115.0部、St39.8部、アリルアルコールPO2.2モル付加物7.7部およびジビニルベンゼン0.46部を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリマーポリオール(R−2)を得た。(R−2)について、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0070】
比較例3 ポリマーポリオール(R−3)の製造
実施例1の第1工程にて得られた(H−1)から未反応モノマーとキシレンを実施例1と同様の方法にて減圧下ストリッピングして、ポリマーポリオール(R−3)を得た。(R−3)について、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
実施例8〜14、比較例4〜6 [ポリウレタンフォームの製造]
実施例1〜7で得られたポリマーポリオール(A−1〜A−7)および比較例1〜3で得られた比較のポリマーポリオール(R−1〜R−3)を使用し、表2記載の配合比で、以下に示す発泡処方によりポリウレタンフォームを製造した。これらのフォームの物性を下記の方法により評価した。結果を表2に示す。
<発泡処方>
〔1〕 ポリマーポリオール、ポリオール(PL1−1)およびポリイソシアネートをそれぞれ25±2℃に温度調整した。
〔2〕 ポリマーポリオール、ポリオール(PL1−1)、整泡剤、水、触媒の順で容量1Lのステンレス製ビーカーに仕込み、25℃±2℃で撹拌混合し、直ちにポリイソシアネートを加え、撹拌機〔ホモディスパー、特殊機化(株)製〕を用いて撹拌した(撹拌条件:2,000rpm×8秒間)。
〔3〕 撹拌停止後、25×25×10cmの木箱(25℃±2℃)に混合したビーカー内容物を投入して発泡させ、ポリウレタンフォームを得た。
【0073】
【表2】

【0074】
<フォーム物性の評価方法>
(1)密度(kg/m3):JIS K6400−1997〔項目5〕に準拠。
(2)25%ILD(硬度)(kgf/314cm2):JIS K6382−1995〔項目5.3〕に準拠。
(3)引張強度(kgf/cm2):JIS K6301−1995〔項目3〕に準拠。
(4)引裂強度(kgf/cm):JIS K6301−1995〔項目9〕に準拠
(5)切断伸度(%):JIS K6301−1995〔項目3〕に準拠
(6)圧縮永久歪(%):JIS K6382−1995〔項目5.5〕に準拠。
(7)白色度:JIS 8715−1999に準拠。
【0075】
表1および表2の結果から、実施例1〜7のポリマーポリオールは、比較例1のポリマーポリオールに比べて、ろ過性が向上していことがわかる。比較例2のポリマーポリオールは、粘性が小さくろ過性は良好であるが、ACNの含有量が多いため、フォーム物性のうち白色度が極めて悪い結果となっている。また、比較例3のポリマーポリオールは、粘性が小さくろ過性は良好であるが、重合体粒子含有量が少なく、フォーム物性のうちフォーム硬さを表す25%ILDの値が極めて低い値となっている。さらに、実施例1〜7のポリマーポリオールを用いて得られたポリウレタンフォームは、上記(2)〜(6)の機械物性および白色度の評価で比較例1〜3のポリマーポリオールを用いたものに比べて優れており、特に引裂強度が向上することがわかる。比較例1のポリマーポリオールを用いたものは、25%ILDは高いが、その他の機械物性が悪いことがわかる。比較例2のポリマーポリオールを用いたものは白色度が極めて悪い結果となっている。比較例3のポリマーポリオールを用いたものは25%ILDが極めて低いことがわかる。
なお、通常ポリウレタンフォームの物性としては、25%ILD、引張強度、引裂強度および切断伸度は数値が大きいほど、また、白色度および圧縮永久歪は数値が小さいほど良好であることを表す。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明のポリマーポリオール(A)は、ポリウレタンの製造に用いる製造装置の小さい開口部の目詰まりが低減することからポリウレタン製造装置のメンテナンスを容易にしてポリウレタンの生産性を大幅に向上させ、また(A)を用いたポリウレタンの機械物性を向上させることから、フォーム(軟質、硬質、半硬質フォーム等)、エラストマー、RIM成形品等ポリウレタン全般に幅広く好適に使用できる。特に、ポリウレタンフォームの製造に用いる場合には、ポリウレタンフォームの各物性をバランス良く調整でき、好適である。
本発明のポリウレタン形成性組成物から形成されるポリウレタンは、各種の幅広い用途に使用されるが、とくにポリウレタンフォームとして自動車内装部品や家具の室内調度品等に好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン性不飽和化合物(E)を構成単位とする重合体粒子(JR)がポリオール(PL)中に含有されてなるポリマーポリオールにおいて、エチレン性不飽和化合物(E)中のアクリロニトリルの割合が0〜67モル%であり、ポリマーポリオールの粘性と重合体粒子含有量(PC)の関係が下記(1)式を満たす、及び/又は、下記式(2)と式(3)とを満たすポリマーポリオール(A)。
(N1)<0.9×(PC)−35 (1)
(N2)<1.17×(PC)−46 (2)
(N3)<1.37×(PC)−55 (3)
N1:ポリマーポリオールの25℃でのレオメーターによるせん断速度1.0(1/s)での粘性(Pa・s)
N2:ポリマーポリオールの25℃でのレオメーターによるせん断速度0.1(1/s)での粘性(Pa・s)
N3:ポリマーポリオールの25℃でのレオメーターによるせん断速度10.0(1/s)での粘性(Pa・s)
PC:ポリマーポリオール中の(JR)の含有量(重量%)
【請求項2】
重合体粒子(JR)の体積平均粒子径が0.2〜0.9μmである請求項1に記載のポリマーポリオール。
【請求項3】
重合体粒子含有量(PC)が35〜55重量%である請求項1又は2に記載のポリマーポリオール。
【請求項4】
エチレン性不飽和化合物(E)のうちの0.1〜10重量%が、不飽和アルコール(炭素数3〜24)の(ポリ)オキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜8)エーテルである請求項1〜3のいずれかに記載のポリマーポリオール。
【請求項5】
ポリオール(PL)中で分散剤(B)の存在下または不存在下、エチレン性不飽和化合物(E)を重合させてなるポリマーポリオールの製造方法において、エチレン性不飽和化合物(E)のうちの0.1〜10重量%が不飽和アルコール(炭素数3〜24)の(ポリ)オキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜8)エーテルである請求項1〜4に記載のポリマーポリオールの製造方法。
【請求項6】
ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させてポリウレタンを製造する方法において、ポリオール成分として請求項1〜4のいずれかに記載のポリマーポリオール(A)をポリオール成分の重量を基準として10〜100重量%含有するポリオール成分を用いるポリウレタンの製造方法。

【公開番号】特開2008−189903(P2008−189903A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320930(P2007−320930)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】