説明

ポリマー後処理工程を利用した無色透明FTO伝導膜の製造方法

【課題】ぼやけており光学的着色があるため透過率が低いフッ素ドープ酸化錫膜
(FTO膜)の透過率を高め、無色に近いFTO膜とすることができるFTO伝導膜の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ガラス基板を400〜600℃で加熱した後、SiOバリア膜を形成する段階と、スプレーまたは超音波噴霧法を利用して前記バリア膜上にFTO膜を形成する段階と、前記FTO膜にポリマーをコーティングまたは接合させる後処理工程を実施する段階と、を含んでなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー後処理工程を利用した無色透明FTO伝導膜の製造方法に係り、より詳細には、光学的着色があるため透過率が低くなり、視覚的にぼやけてしまうFTO(F−dopped Tin Oxide;フッ素ドープ酸化錫)透明伝導膜を、簡単な後処理工程を通すことによって透過率を高め、無色に近いFTO膜として製造することができる、ポリマー後処理工程を利用した無色透明FTO伝導膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透明伝導(TCO:Transparent conducting oxide)膜は、透明で電気をよく通す物質であり、ディスプレー分野、透明発熱体分野で必須的に使用されている素材である。
【0003】
適用分野別に異なるが、TCO膜の透過率は、最小75%以上、面抵抗が5Ω以下の場合に視覚的妨害がないディスプレー材料、透明発熱材料となる。その一例として自動車用発熱前面ガラスがある。
【0004】
自動車用前面発熱ガラス窓は、運転者の視野を妨害せず(透過率75%以上)、早期に電気的に熱を発生させて霜や湿気を除去させなければならない。
【0005】
この時、透過率75%、面抵抗5Ωの意味は、TCO膜の厚さが少なくとも500nm〜800nm以上でなければならないという意味であり、膜が厚くなるほど透過率は落ち、透過率を高めるために膜の厚さを減らすと抵抗が落ちるという関係にある。
【0006】
一般的に、TCO膜の厚さが可視光領域の波長サイズとなる時、光学的着色が発生し、さらに、大面積化する際の膜の不均一性は、多様な入射光の散乱、干渉、回折による多様な色、すなわち虹のような色を生じる。
【0007】
さらに、膜の表面が粗いと、入射光が膜表面で乱反射によりかすんで見えるが、これをヘイズ(Haze)と呼ぶ。
【0008】
このような現象を光学的外因性物性と言い、内因性物性と区別されるが、これを図1のモデルを参照して詳しく説明すると次のとおりである。
【0009】
TCO膜の厚さが、可視光領域に該当する場合(図1の(a))、TCO膜の厚さが不均一な場合(図1の(b))、TCO膜の表面が粗い場合(図1の(c))のいずれであっても、FTO膜の光学的物性を低減させる。
【0010】
前記ヘイズ現象は、低抵抗→高品質FTO決定成長→粗い表面→入射光の乱反射→ヘイズの関係から分かるように、必然的に生じる。従って、高品質TCOを大面積化する際には、光学的着色とヘイズを発生させるという問題がある。
【特許文献1】特表2000−513698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、FTOの光学的着色とヘイズにより透過率減少現象が発生する問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、可視光線領域に透過率が良いポリマーをスピンコーティング、ディップコーティング、UV硬化法および板形ポリマーの真空もしくは熱圧着過程を通して行われる簡単な後処理工程を通して、無色に近い高透過率高品質FTO膜、すなわち、透明で色のない透明伝導膜フィルムを製造することができる、ポリマー後処理工程を利用した無色透明FTO伝導膜の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、本発明によるポリマー後処理工程を利用した無色透明FTO伝導膜の製造方法は、ガラス基板を400〜600℃で加熱した後、SiOバリア膜を形成する段階と、スプレーまたは超音波噴霧法を利用して前記バリア膜上にFTO膜を形成する段階と、前記FTO膜にポリマーをコーティングまたは接合させる後処理工程を実施する段階と、を含んでなることを特徴とする。
【0013】
前記ポリマーをコーティングする後処理工程は、前記FTO膜上にポリマー溶液を落とした後、スピンコーティングまたはディップコーティングの工程で行うことを特徴とする。
【0014】
前記ポリマーを接合させる後処理工程は、単純熱圧着工程および真空加圧工程中、一つの工程で行われることを特徴とする。
【0015】
また、前記単純熱圧着工程は、FTO膜がコーティングされたガラス基板と、同一サイズの一般ガラス基板との間にポリマーシートを挟んだ後、80〜110℃で熱圧着を行う工程であることを特徴とする。
【0016】
さらに、前記真空加圧工程は、前記FTO膜と一般ガラス基板との間にポリマーシートを挟んだ後、ポリマーケースの中に入れ、80〜110℃で10〜40分間一次的に真空熱処理を行った後、2次的に2〜20気圧のガス加圧雰囲気下で、80〜110℃で約1時間熱処理を行う工程であることを特徴とする。
【0017】
前記ポリマーは、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)の中から選択されるいずれか一つであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は次のような効果がある。
【0019】
スプレー噴霧法または超音波噴霧法により噴霧されたFTO前駆体が加熱された基板に常温常圧CVD(Chemical Vapor Deposition)原理によりFTO膜が形成される段階と、可視光領域で透過率が良いポリマーをスピン・ディップコーティングおよびポリマー板を熱圧着させる一連の後処理工程を通して光学的着色効果を減少させ、透過率を上昇させたFTO膜を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0021】
FTO膜のぼやけは、粗い表面による表面の乱反射のため起き、光学的着色は、FTO膜の厚さの不均一性に起因した粒子光の干渉と散乱のため発生する。本発明では、このような後天的に発生するFTOの外因性物性(低透過率、着色)を簡単な後処理工程を通して消去し、FTOの元々の内因性物性(高透過率、無色)を得ることができるポリマー後処理工程を利用した無色透明FTO伝導膜の製造方法を提供するものである。
【0022】
既存の透明伝導膜のそのものの品質改良は、ほとんど限界値に来ており、これを勘案して本発明は、簡単なポリマー後処理工程を通すことによって、既存のFTOの品質を一層高めることができるようにした。FTOの内因性物性ではなく、外因性物性を改善するものである。結果的にFTOの光学的外因性物性を改良することで、高品質の素材を供給することができる。
【0023】
本発明の無色透明FTO伝導膜の製造方法を順に説明する。
【0024】
本発明の製造方法は大きくFTO膜の製造工程と、ポリマーを利用した後処理工程の計2つの工程に分けることができる。
【0025】
FTO膜の製造工程は、一般ガラス基板を400〜600℃で加熱した後、SiOバリア膜を形成する工程と、スプレーまたは超音波噴霧法を利用してバリア膜上にFTO膜を形成する工程を含む一連の工程からなる。
【0026】
ポリマーを利用した後処理工程は、ポリマーコーティング工程と、ポリマー接合工程の2つがある。
【0027】
ポリマーコーティング工程は、FTO膜上にポリマー溶液を落とした後、スピンコーティングまたはディップコーティングを行う工程である。
【0028】
ポリマー接合工程は、基板が小さい場合は単純熱圧着工程で行い、基板が大きい場合もしくは曲面基板である場合は、真空加圧工程で行う。
【0029】
単純熱圧着工程は、サイズが小さい基板、すなわちFTO膜がコーティングされたサイズが小さいガラス基板と、同一サイズの一般ガラス基板との間にポリマーシートを挟んだ後、80〜110℃で熱圧着を行う。
【0030】
しかし、大きい基板もしくは曲面基板の場合、単純熱圧着のみではガラスが割れる場合があり、また、ポリマーの間の空気を完全に除去することが難しいので、真空加圧工程を利用する。
【0031】
真空加圧工程は、サンプル、すなわちサイズの大きい基板または曲面基板に製造されたFTO膜と、一般ガラス基板との間に、ポリマーシートを挟んだサンプルを作成し、これをポリマーケースの中に入れ、80〜110℃で10〜40分間一次的に真空熱処理した後、2次的に2〜20気圧のガス加圧雰囲気下で80〜110℃で約1時間熱処理を行う。
【0032】
このような過程を経ることにより、ポリマーの間の空気が完全に除去され、ポリマーが間に挟まれたFTO膜と一般ガラス基板との間の圧着が行われる。
【0033】
FTO膜は、FTO用前駆体(precursor)溶液をスプレーコーティングもしくは超音波噴霧法を通してマイクロ液滴状態で噴霧させた後、熱されたガラス基板上に塗布して製造する。この工程はパイロゾル法と言い、一種の常圧CVD(化学気相成長法)として広く知られている。
【0034】
FTO前駆体溶液は、SnCl・5HOをエタノール溶媒に溶かし、0.68Mとなるようにし、ドープ剤としてNHFを3次蒸留水に溶かして2.3Mとした後、この2つの溶液を混合攪拌させた後、フィルタリングして製造した。
【0035】
また、多様なFTO膜を製造するために、溶液組成以外にもエチレングリコールを添加剤として1〜10重量%を入れる、水とエタノールの組成を変化させる、Fドーピング量を調節するためにNHFの量を0.1〜3Mまで変化させる、フッ酸を0〜2M添加するなどを行ってもよい。
【0036】
従って、FTO膜製造用前駆体溶液は、前述の組成に限定されるわけではない。
【0037】
本発明の特徴はFTO膜の製造自体にあるのではなく、FTO膜の製造のための後処理工程に特徴がある。本発明の理解を助けるために、前記の組成、すなわち、SnCl・5HO(0.68M)/EtOH+NHF(2.3M)/HOを例示して説明する。
【0038】
基板として使用された一般ガラスは、400〜600℃で加熱する時、Na、Kなどのような不純物が基板上に這い上がりガラス基板の表面を汚す。そのためFTO膜をガラス基板にコーティングしても、膜の接着力低下及び膜の品質低下をもたらす。
【0039】
従って、ガラス基板とFTO膜の間に不純物流入を遮断するバリア膜をコーティングしなければならない。
【0040】
一般には、バリア膜として、SiOとTiOなどのセラミック膜がよく使用されるが、本発明では代表的にSiOバリア膜を約5〜50nmにディップコーティング法とスプレーコーティング法を利用して形成する。
【0041】
サイズが小さい基板の場合、ディップコーティング法を利用し、サイズが大きい基板および曲面基板の場合、スプレーコーティング法を利用してSiOバリア膜を形成する。
【0042】
ディップコーティング法では、シリカゾール[エタノール(95%):ケイ酸テトラエチル:硝酸=90:11:0.5(容積比)]を製造し、150mm/minの速度でディップコーティングした後、200〜300℃で5分間熱処理し、SiOバリア膜を形成する。
【0043】
スプレーコーティング法は、大面積基板や曲面であるレジンガラス基板である場合に実施し、シラン試薬類(SiH、SiHCl、Si(OC)を空気中もしくは酸素雰囲気下で、400〜600℃で加熱されたガラス基板にCVD原理(化学気相成長法;例としてスプレー)を利用して簡単にバリア膜を形成することができる。
【0044】
高品質ガラス、すなわちNa、Kなどの不純物が少ないガラス基板を使用する場合(例、ホウケイ酸ガラス)には、バリア膜を形成しなくても良い。
【0045】
ここで、FTO膜の製造工程の詳細は次のとおりである。
【0046】
SiOバリア膜がコーティングされたガラス基板を400〜600℃でスプレーコーティング法、超音波噴霧コーティング法、超音波スプレー噴霧法の3種類の方法を利用してFTO膜形成のためのコーティング工程が行われる。
【0047】
スプレーコーティング法は、微細なノズル部を通して外部からのガスを膨張されて噴出させる時、液体を引っ張る力が生じ、液状前駆体をマイクロ液滴で噴霧させる方法である。
【0048】
超音波噴霧法は、一般超音波加湿器のように液状前駆体を超音波振動子で振動させて霧化させた後、単純にキャリア気体に運搬させてコーティングする方法である。
【0049】
超音波スプレー噴霧法は、超音波振動子部分をスプレーノズルのように変化させて霧化させた前駆体をスプレー原理により噴射しコーティングする方法である。
【0050】
次いで、後処理工程として、FTO膜にポリマーコーティングまたはポリマー接合工程が行われ、より透明なFTO膜を具現する。
【0051】
すなわち、ポリマーコーティング工程は、FTO膜上にポリマー溶液を落とした後、スピンコーティング工程またはディップコーティング工程で行ない、ポリマー接合工程は単純熱圧着工程または真空加圧工程にて行う。
【0052】
一方、スピンコーティングを通して得られたポリマー膜の厚さは、下記の数式1により80〜130nmの範囲に定める。膜の厚さはスピンコーターのrpmを調整して得ることができる。
【0053】
【数1】

【0054】
具体的には、入射光波長500〜800nmに対してPVAの屈折率(〜1.5)を代入すると、約80〜130nmのPVA膜が得られる。
【0055】
数式1は、TARC(Top Antireflection Coating)という用語で知られており、半導体工程で多く利用されている。
【0056】
以下、製造例をさらに詳しく説明する。なお、本発明は、この製造例に限定されるものではない。
【0057】
(製造例1)
一般自動車の窓ガラスに適用されるガラス基板を使用し、このガラス基板の温度を500℃とし、このガラス基板上にSiOバリア膜を20nmでコーティングした。
【0058】
次に、FTO用前駆体溶液、すなわち、SnCl・5HOをエタノール溶媒に溶かし、0.68Mとなるようにし、Fドップ剤としてNHFを3次蒸留水に溶かして2.3Mとした後、この2つの溶液を混合攪拌させた後、フィルタリングして製造した前駆体溶液をSiOバリア膜がコーティングされたガラス基板に500℃でスプレーコーティング法を使用してコーティングした。
【0059】
図2に示すように、その結果として、前駆体組成液とスプレーコーティング法を利用して製造したFTO膜が形成され、この時、FTO膜の厚さは、約400nmで、粗い表面を有し、面抵抗は5Ωと測定された。
【0060】
さらに、XPS分析結果、O/Snの比は約1.9モル比であり、EDS分析の結果、F/Sn比は0.59モル比であった。
【0061】
しかし、金属元素とは異なり、軽量元素F、Oの定量は、FTO膜では相当難しいことで知られており、分析技法によっても差があるが、最高3倍程度は差が出ることがある。
【0062】
次に、FTO膜上にポリマー溶液を落とした後、スピンコーティングした。この時に使用したポリマーは、PVAであった。
【0063】
(実験例1)
製造例のFTO膜を視覚的に観察する。その結果として、図3は、FTO膜上に透過率が良いポリマー、PVAをスピンコーティングする前とスピンコーティングした後の写真を示している。
【0064】
図3の写真に示すように、ポリマーコーティング前のFTO膜と比較すると、ポリマーをスピンコーティング処理したFTO膜は、色が非常に薄くなり、透明に見える。
【0065】
一方、使用されたポリマーはPVAであるが、PVBを使用しても良い結果が得られる。原理的に見ると、後処理工程を通した着色を抑制して透明性を高めるためには、ポリマーの種類は大きな影響を受けず、上記の2種類のポリマー以外にも、透過率が優れたPMMAを適用することができる。
【0066】
(実験例2)
後処理工程において、ポリマーコーティング効果は、UV−Visスペクトルを測定した。その結果は、図4に示すグラフの通りである。
【0067】
すなわち、比較のためポリマーコーティング前の単純FTO膜を見ると、可視光領域で多くの振動(oscillation)が見られ、これは多様な可視光波長の散乱、干渉、回折を意味し、言い換えるとFTO膜が虹のように見える。
【0068】
しかし、図4のグラフに示すように、ポリマーをFTO膜上にスピンコーティングすると、上のような振動は非常に弱くなり、透過率の上昇がもたらされることが分かり、これはほとんど無色に近く透明になるという意味である。
【0069】
(製造例2)
超音波噴霧法を利用して、約1μmのFTO膜をガラス基板上に形成した。
【0070】
500℃で加熱されたガラス基板を使用し、面抵抗は約5Ωであり、FTO膜は、図5の(a)に示すように、虹のような色があり、かすんでいた。
【0071】
SEM観察結果、図1の(c)のモデルのように、膜の厚さが不均一であり膜の表面が結晶粒により非常に粗かった。詳しく説明すると、図6のUV−Visスペクトルに示すように、透過率が60%台に落ちて、可視光領域で相当な振動(多様な色)が観察された。
【0072】
そこで、FTOがコーティングされたガラス板と一般のガラス板の間にポリマー板を入れて熱圧着を実施した。
【0073】
より詳しくは、ポリマー板として1mmPVB板を、FTOコーティングされたガラス板とガラス板の間に入れた後、90℃で単純熱圧着をさせ、その模式図は図5の(c)に図示された通りである。
【0074】
(実験例3)
製造例2により製造されたFTO膜を視覚的に観察した結果、図5の(b)に示すように、色がなくなり、肉眼で見ても非常に透明であることが分かった。
【0075】
さらに、UV−Visスペクトルで調査した結果、図6のグラフに示すように、もう1枚のガラスとPVB板が入ったにもかかわらず、透過率が78%であり、PVBの熱接合前67%に比べ11%増加(550nm基準)した。
【0076】
他の波長でも全体的に透過率が上昇し、可視光領域で既存のポリマーがないFTO基板に表れる虹色(図5の(a)参照)による振動減少もなくなることが分かった。
【0077】
このように、面抵抗5Ω、透過率67%台の低品質FTO製品を、PVBフィルムを簡単に熱接合する後処理工程を通して、面抵抗5Ω、透過率78%の世界的水準を有する高品質FTO製品に完全に変えることができる。
【0078】
(実施例3)
約10%曲がった曲面を有するFTO基板に対してポリマー接合を行った。
【0079】
ポリマーシートとしてPVBシートをFTO膜上に置き、同じ形状の一般ガラス基板を覆った後、ポリマーケースに入れて100℃で約30分間、1次真空熱処理を行った後、2次的に気相加圧雰囲気(10気圧)で、100℃で1時間処理を行い、ポリマー接合ガラスを完成した。
【0080】
その実験結果として、製造例2(図5と図6)と同様に、FTO膜の着色とヘイズを相当量減らすことができた。
【0081】
一方、ポリマーのスピンコーティングやディップコーティングの代りに、UV−硬化法を利用してポリマー膜を形成する場合も同様の結果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、無色透明FTO伝導膜が製造できるので、一般自動車の窓ガラスの製造法として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】FTO透明伝導膜において、光学的着色とヘイズモデルを説明する概略図である。
【図2】スプレーコーティング法で製造された450nmの膜厚さを有するFTO透明伝導膜のSEM写真である。
【図3】本発明の製造例1として、図2のFTO透明伝導膜上にPVAをスピンコーティングする前および後の写真である。
【図4】図3の試片に対するUV−Visible(UV−Vis)光学スペクトルの実験結果を表すグラフである。
【図5】本発明の製造例2により製造されたFTO膜として、約1μmの膜厚さを有するFTO透明伝導膜のスキャンイメージと、そのFTO膜上に1mmPVA板を90℃で30秒間熱圧着した後のイメージである。
【図6】図5の試片に対するUV−Vis光学スペクトルの実験結果を表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板を400〜600℃で加熱した後、SiOバリア膜を形成する段階と、
スプレーまたは超音波噴霧法を利用して前記バリア膜上にフッ素ドープ酸化錫(FTO)膜を形成する段階と、
前記FTO膜にポリマーをコーティングまたは接合させる後処理工程を実施する段階と、を含んでなることを特徴とするポリマー後処理工程を利用した無色透明FTO伝導膜の製造方法。
【請求項2】
前記ポリマーをコーティングする後処理工程は、前記FTO膜上にポリマー溶液を落とした後、スピンコーティングまたはディップコーティングの工程で行うことを特徴とする請求項1に記載のポリマー後処理工程を利用した無色透明FTO伝導膜の製造方法。
【請求項3】
前記ポリマーを接合させる後処理工程は、単純熱圧着工程および真空加圧工程のうちいずれか一つの工程で行われることを特徴とする請求項1に記載のポリマー後処理工程を利用した無色透明FTO伝導膜の製造方法。
【請求項4】
前記単純熱圧着工程は、FTO膜がコーティングされたガラス基板と、同一サイズの一般ガラス基板との間にポリマーシートを挟んだ後、80〜110℃で熱圧着を行う工程であることを特徴とする請求項3に記載のポリマー後処理工程を利用した無色透明FTO伝導膜の製造方法。
【請求項5】
前記真空加圧工程は、前記FTO膜と一般ガラス基板との間にポリマーシートを挟んだ後、80〜110℃で10〜40分間一次的に真空熱処理を行った後、2次的に2〜20気圧のガス加圧雰囲気下で、80〜110℃で約1時間熱処理を行う工程であることを特徴とする請求項3に記載のポリマー後処理工程を利用した無色透明FTO伝導膜の製造方法。
【請求項6】
前記ポリマーは、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)の中から選択されるいずれか一つであることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載のポリマー後処理工程を利用した無色透明FTO伝導膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−87912(P2009−87912A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308592(P2007−308592)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【Fターム(参考)】