説明

ポリマー毛髪染料

(a)塩基性重縮合物と、(b)式(2)P−X−Ya+Ana−の親電子性染料との反応によって得られるポリマー染料であって、前記塩基性重縮合物(a)が、(a)アンモニウム塩を含む無水溶媒の存在下で式(I)のアミンと、(a)シアナミドとの反応によって得られるものであるポリマー染料[式中、R、R、RおよびRは互いに独立して、水素;またはアミノ、ヒドロキシ、シアノもしくはC−Cアルコキシによって置換されていても良いC−Cアルキルであり;Aは、1または複数のヘテロ原子によって置換もしくは中断されていても良いC−C20アルキレンであり;Pは、窒素求核剤と反応することができる反応性基であり;Xは、1または複数の−O−、−S−、−N=、−N(R)−、−S(O)−、SO、−(CHCH−O)1−5−、−(CHCHCH−O)1−5−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、式(II)、−CON(R)−、−C(NR−、−(R)NC(O)−、−C(S)R−もしくは少なくとも一つのヘテロ原子を有していても良い置換されていても良い飽和もしくは不飽和の縮合しているか縮合していない芳香族もしくは非芳香族(複素)環状二価基によって中断および/または一端もしくは両端で終止していても良いC−C30アルキレン、C−C12アルケニレン、C−C10アリーレン、C−C10シクロアルキレンおよびC−C10アルキレン(C−C10アリーレン);−O−;−S−;−N(R)−;−S(O)−;−SO−;−(CHCH−O)1−5−;−C(O)−;−C(O)O−、−OC(O)−;式(III);−CON(R)−;−SON(R)−;−C(NR−;−(R)NC(O)−;−C(S)R−;C−C30アルキル、C−C30アルコキシ、C−C12アルケニル、C−C10アリール、C−C10シクロアルキル、C−C10アルキル(C−C10アリーレン)、ハロゲンもしくはヒドロキシによって置換されていても良い少なくとも一つのヘテロ原子を有していても良い飽和もしくは不飽和の縮合しているか縮合していない芳香族もしくは非芳香族二価基;または直接結合から選択される連結基であり;Yは有機染料の残基であり;RおよびRは互いに独立して、水素;置換されていないか置換されている直鎖もしくは分岐の単環式もしくは多環式の中断されているか中断されていないd−C14アルキル;C−C14アルケニル;C−C10アリール;C−C10アリール−C−C10アルキル;またはC−C10アルキル(C−C10アリール)であり;aは1、2または3であり;Anはアニオンである。]が開示される。その染料は、色合いの深さならびに例えば日光堅牢度、シャンプーに対する堅牢度および摩擦に対する堅牢度などの洗浄に対する良好な堅牢性によって際だっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なポリマー染料およびその化合物を含む組成物、それらの製造方法、ならびにケラチン含有繊維、ウール、皮革、絹、セルロースまたはポリアミドなどの有機材料の染色におけるそれらの使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カチオン系化合物が負に帯電した毛髪に対して良好な親和性を有することがよく知られている。これらの特徴を用いて、毛髪を小分子と接触させたり、ポリマーとも接触させることが行われてきた。
【0003】
例えばUS4228259;US4182612またはFR2456764において、多くのカチオン系ポリマー染料がヒト毛髪用の着色剤としての使用に向けて開示されている。これらの引用文献では、ポリマー部分がカチオン電荷を有すると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US4228259
【特許文献2】US4182612
【特許文献3】FR2456764
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
驚くべきことに、カチオン電荷が染料部分にあるポリマー毛髪染料で、非常に良好な染色結果が得られることが認められた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って本発明は、
(a)塩基性重縮合物と
(b)式(2)P−X−Ya+Ana−の親電子性染料との反応によって得られるポリマー染料であって、
前記塩基性重縮合物(a)が、
(a)アンモニウム塩を含む無水溶媒の存在下で下記式(1)のアミン:
【化1】

【0007】
と、
(a)シアナミドとの反応によって得られるものであるポリマー染料
[式中、
、R、RおよびRは互いに独立して、水素;またはアミノ、ヒドロキシ、シアノもしくはC−Cアルコキシによって置換されていても良いC−Cアルキルであり;
Aは、1または複数のヘテロ原子によって置換もしくは中断されていても良いC−C20アルキレンであり;
Pは、窒素求核剤と反応することができる反応性基であり;
Xは、1または複数の−O−、−S−、−N=、−N(R)−、−S(O)−、SO、−(CHCH−O)1−5−、−(CHCHCH−O)1−5−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、
【化2】

【0008】
−CON(R)−、−C(NR−、−(R)NC(O)−、−C(S)R−、もしくは少なくとも一つのヘテロ原子を有していても良い置換されていても良い飽和もしくは不飽和の縮合しているか縮合していない芳香族もしくは非芳香族(複素)環状二価基によって中断および/または一端もしくは両端で終止していても良いC−C30アルキレン、C−C12アルケニレン、C−C10アリーレン、C−C10シクロアルキレンおよびC−C10アルキレン(C−C10アリーレン);−O−;−S−;−N(R)−;−S(O)−;−SO−;−(CHCH−O)1−5−;−C(O)−;−C(O)O−、−OC(O)−;
【化3】

【0009】
−CON(R)−;−SON(R)−;−C(NR−;−(R)NC(O)−;−C(S)R−;C−C30アルキル、C−C30アルコキシ、C−C12アルケニル、C−C10アリール、C−C10シクロアルキル、C−C10アルキル(C−C10アリーレン)、ハロゲンもしくはヒドロキシによって置換されていても良い少なくとも一つのヘテロ原子を有していても良い飽和もしくは不飽和の縮合しているか縮合していない芳香族もしくは非芳香族二価基;または直接結合から選択される連結基であり;
Yは有機染料の残基であり;
およびRは互いに独立して、水素;置換されていないか置換されている直鎖もしくは分岐の単環式もしくは多環式の中断されているか中断されていないC−C14アルキル;C−C14アルケニル;C−C10アリール;C−C10アリール−C−C10アルキル;またはC−C10アルキル(C−C10アリール)であり;
aは1、2または3であり;
Anはアニオンである。]
に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
−C14アルキルは例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2′−ジメチルプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、n−ヘキシル、n−オクチル、1,1′,3,3′−テトラメチルブチルもしくは2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルまたはテトラデシルである。
【0011】
−C14アルケニルは例えば、アリル、メタリル、イソプロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−ペンタ−2,4−ジエニル、3−メチル−ブタ−2−エンイル、n−オクタ−2−エンイル、n−ドデカ−2−エンイル、イソ−ドデセニル、n−ドデカ−2−エンイルまたはn−オクタデカ−4−エンイルである。
【0012】
−C10アリールは例えば、フェニルまたはナフチルである。
【0013】
−C30アルキレンは例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n−テトラメチレン、sec−テトラメチレン、tert−テトラメチレン、n−ペンタメチレン、2−ペンタメチレン、3−ペンタメチレン、2,2′−ジメチルプロピレン、シクロペンタメチレン、シクロヘキサメチレン、n−ヘキサメチレン、n−オクタメチレン、1,1′,3,3′−テトラメチルテトラメチレン、2−エチルヘキサメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、トリデカメチレン、テトラデカメチレン、ペンタデカメチレン、ヘキサデカメチレン、ヘプタデカメチレン、オクタデカメチレン、ノナデカメチレンまたはエイコサメチレンである。
【0014】
Xは好ましくは、式(1a):−(T)(Z)−:
[式中、
Tは、飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分岐の−C−C12アルキレン、−C(O)−、−(CHCH−O)1−5−、−(CHCHCH−O)1−5−、−C(O)O−、−OC(O)−、−N(R)−、−CON(R)−、−(R)NC(O)−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)N(R)−および−N(R)(R)−から選択される基であり、それは1もしくは複数の−O−、−S−、−N(R)−、−C(O)−、
【化4】

【0015】
−CON(R)−、−(R)NC(O)−によって中断および/または一端もしくは両端で終止していても良く、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−C10アリール、ハロゲンもしくはヒドロキシによって置換されていても良く;
Zは、−(CHSO−;−CH−CHR−CO−NR−;または下記式(1b):
【化5】

【0016】
(1c):
【化6】

【0017】
または(1d):
【化7】

【0018】
のビラジカルであり;
およびRは互いに独立して、水素;C−Cアルキル;C−C−アルコキシ;C−C−アルキルアミノ;C−C10アリールオキシ;またはC−C10アリールアミノであり;
は、水素;C−Cアルキル;C−C−アルコキシ;C−C−アルキルアミノ;C−C10−アリールオキシ;C−C10−アリールアミノ;SO;塩素;またはフッ素であり;
は、Rまたは有機染料の残基であり;
aは1、2または3であり;
tおよびzは互いに独立して0または1である。]
の二価基である。
【0019】
Yは好ましくは、アントラキノン、アクリジン、アゾ、アザメチン、ヒドラゾメチン(hydrazomethine)、トリフェニルメタン、ベンゾジフラノン、クマリン、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、ジフェニルメタン、ホルマザン、インジゴイド、インドフェノール、ナフタルイミド、ナフトキノン、ニトロアリール、メロシアニン、メチン、オキサジン、ペリノン、ペリレン、ピレンキノン、フタロシアニン(phtalocyanine)、フェナジン、キノンイミン、キナクリドン、キノフタロン、スチリル、スチルベン、キサンテン、チアジンおよびチオキサンテン染料の群から選択される。
【0020】
より好ましくは、Yはアントラキノン、アゾ、アゾメチン、ヒドラゾメチン、メロシアニン、メチンおよびスチリル染料から選択される。
【0021】
Pは好ましくは、ハロゲン;トシレート;メシレート;スルホニルクロライド;酸塩化物;およびエポキシドから選択される別の反応性基;ならびにα−β不飽和カルボニルおよびスルホニル系から選択されるマイケル系から選択される。
【0022】
好ましくは、ポリマー染料の分子量は400から50000である。
【0023】
式(1)において、
Aは好ましくはC−C20アルキレンである。
【0024】
「アニオン」は、例えばハライド、好ましくはクロライドおよびフルオリド、硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸イオン、ボロンテトラフルオリド、炭酸イオン、重炭酸イオン、シュウ酸イオンまたはC−Cアルキル硫酸イオン、特にはメチル硫酸イオンまたはエチル硫酸イオンなどの有機または無機アニオンを指し、アニオンは乳酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオンまたは塩化亜鉛複塩などの錯体アニオンも指す。
【0025】
反応段階(a)および(a)で得られる重縮合物は、それ自体が公知の方法、例えばUS5705605に従って製造される。
【0026】
反応段階(a)で好適に使用可能な式(1)の化合物の具体例は代表的には、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、ジプロピレントリアミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、N,N−ビス(2−アミノプロピル)メチルアミン、ポリエチレンイミン類、またはジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミンもしくはペンタメチレンヘキサアミンなどのポリエチレンポリアミン類である。
【0027】
式(1)の化合物は、好ましくはポリエチレンポリアミン、最も好ましくはジエチレントリアミンまたは1,6−ヘキサンジアミンである。
【0028】
本発明によるポリマー染料の製造に好適なアンモニウム塩は代表的には、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、ギ酸アンモニウムもしくは酢酸アンモニウムなどの有機または無機酸のアンモニウム塩である。塩化アンモニウムの使用が好ましい。
【0029】
無水溶媒は代表的には、ヒドロキシル基含有溶媒、好ましくは150℃より高い、より好ましくは180℃より高い沸点を有するもの、またはこの種の異なる溶媒の混合物である。
【0030】
代表例は、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジ−、トリ−またはテトラエチレングリコールおよびそれらのエーテル、ならびに代表的には600から5000の分子量を有するポリエチレングリコール類、そしてこれらの混合物である。
【0031】
段階(a)に好適なシアナミドは代表的には、シアナミド、ジシアンジアミド、グアニジンおよびビグアニジンである。段階(a)では、ジシアンジアミドまたはナトリウムジシアナミドの使用が好ましい。
【0032】
段階(a)では、式(1)の化合物およびアンモニウム塩は代表的には、1:0.1から1:2.5、好ましくは1:0.7から1:2、最も好ましくは1:1から1:1.5のモル比で使用される。ヒドロキシル基含有溶媒の量は、広い範囲にわたって変動し得るものであり、式(1)の化合物1モル当たり代表的には0.2から20モル、好ましくは0.4から5モルである。
【0033】
反応段階(a)は好ましくは、好都合には80から200℃、好ましくは100から160℃、最も好ましくは110から140℃の範囲の高温で行う。
【0034】
式(1)の化合物は、好ましくはヒドロキシル基含有の溶媒または溶媒混合物に加え、次にこの混合物にアンモニウム化合物を加えるが、この場合に、反応段階は不活性条件下、代表的には窒素下に行うのが好都合である。
【0035】
次に、(a)に従って得られた式(1)のプロトン化化合物を、式(1)の原料化合物1モル当たり、例えば0.5から2モル、好ましくは0.8から1.5モルのシアナミドと反応させる。
【0036】
(a)による反応は好ましくは、代表的には80から250℃、好ましくは140から220℃の範囲であり得る高温で、1または複数の上記のヒドロキシル基含有溶媒の存在下に行う。
【0037】
(a)および(a)で得られる反応生成物は、塩基性の特性を有し、透明な水溶液を形成する室温で固体の溶融物(solid melts)であり、それは塩酸もしくは酢酸などの無機酸または有機酸で中和することによって、その水溶性塩に変換することができる。
【0038】
反応段階(b)では、反応段階(a)および(a)で得た水溶液を、式(2)の染料と反応させる。
【0039】
その反応は、水、メタノール、エタノール、2−プロパノールもしくはブタノールなどのアルコール類;アセトニトリルもしくはプロピオニトリルなどのニトリル類;ジメチルホルムアミド類、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;クロロホルム、クロロベンゼンもしくはトリクロロエチレンなどの塩素化炭化水素;またはジメチルスルホキシドなどの他の溶媒などの溶媒中で行うことができる。
【0040】
一般的に、反応温度は、原料化合物混合の際には0から150℃、好ましくは20から110℃の範囲である。
【0041】
反応時間は通常、原料化合物の反応性、選択される反応温度および所望の変換によって決まる。選択される反応時間は通常、3時間から7日間の範囲である。
【0042】
選択される反応圧力は、通常0.1から10バール、特には0.2から3.0バールの範囲であり、より特別には大気圧である。
【0043】
化合物の反応は、触媒存在下に実施することが望ましい場合がある。好適な触媒は、例えばナトリウム−、カリウムもしくはリチウムC−Cアルキルオキサイドなどのアルカリ金属C−Cアルキルオキサイド、好ましくはナトリウムメトキシド、カリウムメトキシドもしくはリチウムメトキシド、もしくはナトリウムエトキシド、カリウムエトキシドもしくはリチウムエトキシド;または例えばキヌクリジン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、ピリジン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、キヌクリジン、N−メチルピペリジンなどの2級もしくは3級アミン;または例えば酢酸ナトリウム、酢酸カリウムもしくは酢酸リチウムなどの酢酸アルカリ金属である。
【0044】
式(2)の染料の式(1)のアミンに対するモル比は、通常は0.1:1から3:5の範囲が選択され、特別には0.5:1から2:1の範囲が選択される。
【0045】
本発明の方法に従って製造される生成物は、有利には後処理および単離を行ってもよく、所望に応じて精製してもよい。
【0046】
通常、後処理は、反応混合物の温度を5から80℃の範囲、特には20から50℃の範囲に下げることによって開始する。
【0047】
温度は、数時間の期間をかけてゆっくり下げるのが有利である場合がある。
【0048】
通常、反応生成物を濾過し、水、溶媒または塩溶液で洗浄し、次に乾燥させる。
【0049】
濾過は通常は、標準的な濾過装置、例えば、好ましくは減圧下でのブフナー漏斗、フィルタープレス、加圧吸引フィルターで行う。
【0050】
乾燥の温度は、加わる圧力によって決まる。乾燥は通常、50から200ミリバールの減圧下で行う。乾燥は通常、40から90℃の範囲の温度で行う。
【0051】
有利には、生成物は、単離後に再結晶によって精製する。有機溶媒および溶媒混合物が再結晶には好適である。
【0052】
本発明によるポリマー染料は、ケラチン含有繊維、ウール、皮革、絹、セルロースまたはポリアミド、綿またはナイロンなどの有機材料、そして好ましくは眉毛、睫毛、陰毛、胸毛、脇毛およびあご髭のような体毛を含むヒト毛髪の染色に好適である。
【0053】
動物毛も、本発明による染料を用いて着色することができる。得られる染色は、色合いの深さおよび例えば日光堅牢度、シャンプーに対する堅牢度および摩擦に対する堅牢度などの洗浄に対する良好な堅牢性特性によって区別される。
【0054】
通常、合成系の毛髪染色剤は、下記の3つの群に分類することができる。
【0055】
−テンポラリー染色剤
−セミパーマネント染色剤、および
−パーマネント染色剤。
【0056】
染料の色合いの多重性は、他の染料と組み合わせることで高めることができる。
【0057】
従って、本発明の染料は、同じ種類または他の種類の染料と組み合わせることができ、特には直接染料、酸化染料;発色剤化合物およびジアゾ化化合物、もしくはキャップされたジアゾ化化合物の染料前駆体の組み合わせ;ならびに/またはカチオン反応染料と組み合わせることができる。
【0058】
直接染料は天然のものであるか、合成的に製造することができる。それらは、非荷電性、カチオン性またはアニオン性であり、酸性染料などがある。
【0059】
本発明のポリマー染料は、少なくとも1種類の本発明の染料とは異なる単一の直接染料と併用することができる。
【0060】
直接染料の例が、クルナンらの著作(「Dermatology」,Ch.Culnan、H.Maibachによる編著、Verlag Marcel Dekker Inc.,New York,Basle,1986,第7巻,Ch.Zvia,The Science of Hair Care,第7章,p.248−250)および欧州委員会の刊行物(欧州委員会によって刊行された「Europaisches Inventar der Kosmetikrohstoffe」,1996;the Bundesverband der deutschen Industrie und Handelsunternehmen fur Arzneimittel,Reformwaren und Korperpflegemittel e.V.,Mannheimからディスケットの形態で入手可能)に記載されている。
【0061】
ポリマー染料では、染色効果を発揮するのに酸化剤を加える必要がない。
【0062】
これにより、毛髪へのダメージを低減することが可能であると考えられる。さらに、皮膚刺激、皮膚感作およびアレルギー誘発性のような現在ある酸化毛髪染料について知られ、実証されている欠点の多くが、本発明の毛髪染料を用いることで防止することができる。
【0063】
さらに、本発明による毛髪染料は、頭髪に塗った時に化学反応が起こらないことから、酸化毛髪染料と比較して、製剤での適用および使用が容易である。特に有利な点として、酸化染料を用いる染色と比較して、染色時間が大幅に短縮される(約5から10分)点がある。
【0064】
さらに、本発明のポリマー染料は、少なくとも1種類のカチオン系アゾ染料、例えばGB−A−2319776に開示されている化合物およびDE−A−29912327に記載されているオキサジン染料、ならびにそれらとそこで言及されている他の直接染料との混合物と組み合わせることができる。
【0065】
本発明のポリマー染料は、酸性染料、例えば国際名(色指数)または商標名から知られる染料と組み合わせることもできる。
【0066】
本発明のポリマー染料は、非荷電性染料と組み合わせることもできる。
【0067】
さらに、本発明のポリマー染料は、酸化染料系と併用することもできる。
【0068】
さらに、自動酸化性化合物を、本発明のポリマー染料と併用することができる。
【0069】
本発明のポリマー染料は、天然染料と併用することもできる。
【0070】
さらに、本発明のポリマー染料は、キャップされたジアゾ化化合物と併用することもできる。
【0071】
好適なジアゾ化化合物は、例えばWO2004/019897における式(1)から(4)の化合物(架橋ゲージ(bridging gage)1および2)ならびに同参考文献3頁から5頁に開示の相当する水溶性カップリング成分(I)から(IV)である。
【0072】
さらに、本発明の染料は、
−DE102006062435A1、WO00038638、DE10241076およびWO05120445に記載の、反応性カルボニル化合物およびCH−酸性化合物の反応によって製造される染料、
−DE102006036898およびDE102005055496に記載のチアジアゾール染料、
−例えばWO07110532およびWO07110542に記載の蛍光スチルベン性硫黄染料、
−WO07071684およびWO07071686に記載のテトラアザペンタメチン染料、
−FR2879195、FR2879127、FR2879190、FR2879196、FR2879197、FR2879198、FR2879199、FR2879200、FR2879928、FR2879929およびWO06063869に記載の二量体カチオン染料、
−EP0850636に記載のアゾおよびスチリル染料、
−FR2882929に記載のポリマーアニオン染料、
−WO0597051、EP1647580、WO06136617に記載のジスルフィド染料、
−WO07025889、WO07039527に記載のチオール染料、
−US20050050650およびUS7217295に記載の導電性ポリマー
と併用することもできる。
【0073】
本発明は、少なくとも1種類の式(1)で定義のポリマー染料を含む、有機材料、好ましくはケラチン含有繊維、最も好ましくはヒト毛髪の染色に用いられる製剤に関するものでもある。
【0074】
好ましくは、本発明のポリマー染料は、組成物の総重量基準で0.001から5重量%(以下、単に「%」によって示す)、特には0.005から4%、さらに詳細には0.1から3%の量で、有機材料の処理用、好ましくは染色用の組成物に組み込まれる。
【0075】
その製剤は、各種技術形態でケラチン含有繊維、好ましくはヒト毛髪上に適用することができる。
【0076】
製剤の技術形態には、例えば液剤、特には増粘した水溶液もしくは水系アルコール性溶液、クリーム、泡剤、シャンプー、粉剤、ゲルまたは乳濁液がある。
【0077】
通常、染色組成物は、50から100gの量でケラチン含有繊維に適用される。
【0078】
製剤の好ましい形態は、即時使用組成物もしくは多区画染色装置もしくは「キット」または例えばUS6190421の第2欄、16から31行に記載の区画を有する多区画包装システムである。
【0079】
即時使用染色組成物のpH値は、通常は2から11であり、好ましくは5から10である。
【0080】
本発明の染色組成物は、10から200、好ましくは18から80、最も好ましくは20から40℃の温度範囲で毛髪に適用される。
【0081】
好適な化粧用ヘアケア製剤は、シャンプーおよびコンディショナーの形態の洗髪製剤などのヘアトリートメント製剤、スプレー、クリーム、ゲル、ローション、ムースおよびオイル、ヘアトニック、スタイリングクリーム、スタイリングゲル、ポマード、ヘアリンス、トリートメントパック、集中ヘアトリートメントなどのプレトリートメント製剤およびリーブオン製品などのヘアケア製剤、パーマネントウェーブ(ホットウェーブ、マイルドウェーブ、コールドウェーブ)用ヘアウェービング製剤などのヘアストラクチャリング製剤、ヘアストレーティング製剤、液体ヘアセット製剤、ヘアフォーム、ヘアスプレー、過酸化水素溶液、ライティングシャンプー、ブリーチングクリーム、ブリーチングパウダー、ブリーチングペーストもしくはオイルなどのブリーチング製剤、テンポラリー、セミパーマネントもしくはパーマネント染毛剤、自己酸化染料を含む製剤、または天然染毛剤(ヘナもしくはカモミールなど)である。
【0082】
ヒト毛髪での使用においては、本発明の染色組成物は通常、水系化粧品用担体に組み込むことができる。好適な水系化粧品用担体には、例えばW/O、O/W、O/W/O、W/O/WまたはPIT乳濁液およびあらゆる種類のマイクロエマルジョン、クリーム、スプレー、乳濁液、ゲル、粉剤ならびにシャンプーなどの界面活性剤含有フォーミング液またはケラチン含有繊維での使用に好適な他の製剤などがある。そのような使用形態は、文献(Research Disclosure 42448(1999年8月))に詳細に記載されている。必要に応じて、例えばUS−3369970、特には第1欄70行から第3欄55行に記載のように、染色組成物を無水担体に組み込むことも可能である。本発明による染色組成物は、染色コームまたは染色ブラシを用いるDE−A−3829870に記載の染色方法に極めて好適でもある。
【0083】
水系担体の構成成分は、通常の量で本発明の染色組成物中に存在する。例えば、乳化剤は染色組成物全体の0.5から30重量%の濃度で染色組成物中に存在することができ、増粘剤は染色組成物全体の0.1から25重量%の濃度である。
【0084】
染色組成物用のさらに別の担体は、例えばクルナンらの編著(「Dermatology」、編者Ch.Culnan,H. Maibach,Verlag Marcel Dekker Inc.,New York、Basle,1986,第7巻、Ch.Zviak,The Science of Hair Care,第7章248−250頁、特には243頁1行から244頁12行)に記載されている。
【0085】
本発明のポリマー染料を酸化染料および/またはその酸との付加塩とともに用いる場合、それらは別個にまたは一緒に保存することができる。好ましくは、還元や塩基に対して安定ではない酸化染料および直接染料は別個に保存する。
【0086】
本発明のポリマー染料は、液体中においてペースト様製剤で(水系もしくは非水系)、または乾燥粉末の形態で保存することができる。
【0087】
染料を別個に保存する場合、使用直前に、反応性成分を十分に混和する。乾燥保存の場合、通常は、使用前に規定量の高温(50から80℃)水を加え、均一混合物を調製する。
【0088】
本発明による染色組成物は、有効成分と、界面活性剤、溶媒、塩基、酸、芳香剤、ポリマー補助剤、増粘剤および光安定剤のような、そのような製剤について公知の添加剤または補助剤とを含むことができる。
【0089】
下記の補助剤が、本発明の毛髪染色組成物で好ましく使用される。すなわち、ノニオン系ポリマー;カチオン系ポリマー、アクリルアミド/ジメチルジアリル塩化アンモニウムコポリマー、硫酸ジエチル4級化ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルピロリドンコポリマー、ビニルピロリドン/イミダゾリニウムメトクロライドコポリマー;4級化ポリビニルアルコール、双性イオンおよび両性イオン系ポリマー、アニオン系ポリマー、増粘剤、ストラクチャリング剤、ヘアコンディショニング化合物、タンパク質加水分解物、香油、ジメチルイソソルビトールおよびシクロデキストリン類、可溶化剤、フケ防止有効成分、pH値を調節するための物質、パンテノール、パントテン酸、アラントイン、ピロリドンカルボン酸およびそれの塩、植物抽出物およびビタミン類、コレステロール;光安定剤およびUV吸収剤、稠度調節剤、脂肪およびロウ類、脂肪アルカノールアミド、150から50000の分子量を有するポリエチレングリコール類およびポリプロピレングリコール類、錯化剤、膨張物質および浸透物質、乳白剤、真珠光沢剤、噴射剤、酸化防止剤、糖含有ポリマー、4級アンモニウム塩および細菌阻害剤である。
【0090】
本発明による染色組成物は、通常、少なくとも1種類の界面活性剤を含む。好適な界面活性剤は、双性イオン系もしくは両性イオン系、またはより好ましくはアニオン系、ノニオン系および/もしくはカチオン系界面活性剤である。
【0091】
本発明のさらに別の実施形態は、ケラチン含有繊維の染色に関するものである。
【0092】
その方法は、
(a)ケラチン含有繊維を少なくとも1種類の本発明のポリマー染料で処理する段階、および
(b)前記繊維を放置し、次にその繊維をリンスする段階
を有する。
【0093】
本発明によるポリマー染料は、毛髪の全面的な染色、すなわち初回に毛髪を染色し、その後に再染色を行うのに適しているだけでなく、毛髪の房もしくは一部を染色するのにも適している。
【0094】
本発明のポリマー染料を、例えば手、櫛、ブラシ、または櫛もしくはノズルと組み合わせた瓶を用いたマッサージによって毛髪に適用する。
【0095】
本発明による染色方法において、染色を別の染料の存在下に行うか否かは、得られる色合いによって決まる。
【0096】
さらに好ましくは、ケラチン含有繊維を少なくとも1種類の本発明のポリマー染料、塩基および酸化剤で処理する段階を有する、ケラチン含有繊維の染色方法である。
【0097】
ケラチン含有繊維、特にヒト毛髪を本発明のポリマー染料および酸化剤で染色する好ましい実施形態は、
)前記ケラチン含有繊維を、少なくとも1種類の本発明のポリマー染料を含んでいても良い酸化剤で処理する段階、
)前記ケラチン含有繊維を、少なくとも1種類の本発明のポリマー染料を含んでいても良い酸化剤を含まない組成物で処理する段階;あるいは
)前記ケラチン含有繊維を、少なくとも1種類の本発明のポリマー染料を含んでいても良い酸化剤を含まない組成物で処理する段階;
)前記ケラチン含有繊維を、少なくとも1種類の本発明のポリマー染料を含んでいても良い酸化剤で処理する段階
を有し、
ただし、工程段階a)、a)、b)またはb)のうちの少なくとも一つで、少なくとも1種類の本発明のポリマー染料が存在する。
【0098】
概して、酸化剤を含む組成物は、15から45℃で繊維上に0から45分間、特には15から30分間留まらせる。
【0099】
酸化剤を含まない組成物は通常、一般的な補助剤および添加剤を含む。
【0100】
通常、本発明のポリマー染料および酸化剤を含まない組成物は、15から50℃で繊維上に5から45分間、特には10から25分間留まらせる。
【0101】
本方法のある好ましい実施形態は、染色後の毛髪をシャンプーおよび/またはクエン酸もしくは酒石酸などの弱酸で洗浄することである。
【0102】
還元に対して安定である本発明によるポリマー染料は、酸化剤を含まない組成物とともに保存することができ、単一の組成物として適用することができる。
【0103】
有利には、還元に対して安定ではない本発明のポリマー染料を含む組成物は、染色工程の直前に酸化剤を含まない組成物を用いて調製する。
【0104】
さらに別の実施形態において、本発明のポリマー染料および酸化剤を含まない組成物を、同時または順次に適用することができる。
【0105】
通例、酸化剤含有組成物は、毛髪量に関して十分な量で、通常30から200gの量で均一に適用される。
【0106】
酸化剤は、例えば過硫酸塩または希過酸化水素溶液、過酸化水素乳濁液または過酸化水素ゲル、アルカリ土類金属過酸化物、尿素ペルオキシド類、メラミンペルオキシド類などの有機過酸化物であるか、あるいはセミパーマネント直接毛髪染料に基づくシェーディングパウダーを用いる場合、アルカリ金属臭素酸塩固定も使用可能である。
【0107】
別の好ましい酸化剤は、
−WO97/20545、特には9頁5から9行に記載の明るい着色を達成するための酸化剤、
−DE−A−19713698、特には4頁52から55行および60および61行またはEP−A−1062940、特には6頁41から47行(およびそれに対応するWO99/40895)に記載のパーマネントウェーブ固定溶液の形態での酸化剤である。
【0108】
最も好ましい酸化剤は過酸化水素であり、好ましくは相当する組成物の約2から30%、より好ましくは約3から20%、最も好ましくは6から12重量%の濃度で使用される。
【0109】
酸化剤は、好ましくは染色組成物合計に基づいて0.01%から6%、特には0.01%から3%の量で本発明による染色組成物中に存在させることができる。
【0110】
通常、酸化剤による染色は、例えばアンモニア、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属(カリウムまたはリチウム)炭酸塩、アルカノールアミン類(モノ−、ジ−もしくはトリエタノールアミンなど)、アルカリ金属(ナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物または下記式の化合物:
【化8】

【0111】
[式中、
Lは、OHまたはC−Cアルキルで置換されていても良いプロピレン残基であり;
、R、RおよびRは、独立にまたは互いに依存して、水素;C−Cアルキル;またはヒドロキシ−(C−C)アルキルである。]などの塩基の存在下に実施する。
【0112】
酸化剤含有組成物のpH値は、通常は約2から7であり、特には約2から5である。
【0113】
ケラチン含有繊維、好ましくは毛髪への本発明によるポリマー染料を含む製剤を適用するためのある好ましい方法は、例えばWO97/20545の4頁19行から27行に記載の多区画染色装置もしくは「キット」または他の多区画包装システムを用いることによるものである。
【0114】
通常、毛髪は、染色溶液および/またはパーマネントウェーブ溶液での処理後にリンスする。
【0115】
本発明の別の好ましい実施形態は、
a.少なくとも1種類の本発明のポリマー染料および場合により少なくとも1種類の発色剤化合物および少なくとも1種類の顕色剤化合物、および少なくとも1種類の別の染料を含んでいても良い酸化剤を混合する段階、ならびに
b.ケラチン含有繊維を段階aで調製した混合物と接触させる段階
を有する、ケラチン含有繊維を酸化染料で染色する方法に関するものである。
【0116】
pH値を調節するには、例えばDE19959479の第3欄46行から53行に記載の有機または無機酸が好適である。
【0117】
さらに、本発明は、本発明によるポリマー染料および自己酸化化合物および場合によりさらに別の染料でケラチン含有繊維を染色する方法に関するものである。
【0118】
その方法は、
a.少なくとも1種類の自己酸化化合物および少なくとも1種類の顕色剤化合物および少なくとも1種類の本発明によるポリマー染料および場合により別の染料を混合する段階、ならびに
b.ケラチン含有繊維を段階aで調製した混合物で処理する段階を有する。
【0119】
さらに、本発明は、
a.アルカリ条件下、少なくとも1種類のキャップされたジアゾ化化合物および発色剤化合物、ならびに場合により顕色剤化合物および場合により酸化剤で、および場合により別の染料の存在下に、そして場合により少なくとも1種類の本発明のポリマー染料でケラチン含有繊維を処理する段階、ならびに
b.場合により別の染料および場合により少なくとも1種類の本発明のポリマー染料の存在下に酸で処理することで、pHを6から2の範囲で調節する段階を有し、
ただし段階aまたはbの少なくとも一つで、少なくとも1種類の本発明のポリマー染料が存在する、
本発明のポリマー染料およびキャップされたジアゾ化化合物でケラチン含有繊維を染色する方法に関するものである。
【0120】
キャップされたジアゾ化化合物および発色剤化合物ならびに場合により酸化剤および顕色剤化合物は、いずれか所望の順序で順次に、または同時に適用することができる。
【0121】
好ましくは、キャップされたジアゾ化化合物および発色剤化合物は、単一の組成物で同時に適用される。
【0122】
「アルカリ条件」とは、8から10、好ましくは9から10、特には9.5から10の範囲のpHを指し、それは例えば炭酸ナトリウム、アンモニアまたは水酸化ナトリウムを加えることで達成される。
【0123】
塩基は、毛髪、染料前駆体、キャップされたジアゾ化化合物および/または水溶性カップリング成分、または染料前駆体を含む染色組成物に加えることができる。
【0124】
酸は、例えば酒石酸もしくはクエン酸、クエン酸ゲル、場合により酸染料を含む好適な緩衝液である。
【0125】
第1段階で適用されるアルカリ染色組成物の量の、第2段階で適用される酸染色組成物の量に対する比率は、好ましくは約1:3から3:1、特には約1:1である。
【0126】
段階aのアルカリ染色組成物および段階bの酸染色組成物は、15から45℃で5から60分間、特には20から30℃で5から45分間、繊維上に留まらせる。
【0127】
さらに、本発明は、本発明のポリマー染料および少なくとも1種類の酸染料によるケラチン含有繊維の染色方法に関するものである。
【0128】
下記の実施例は、本発明によるポリマー毛髪染料の製造および相当する毛髪染色方法を説明する上で役立つものであるが、方法はそれに限定されるものではない。別段の断りがない限り、部およびパーセントは、重量に関するものである。記載されている染料の量は、染色される材料に対する相対量である。
【実施例】
【0129】
A.製造例
実施例A1からA5は、33%の活性(active)を含むTinofix Cl(登録商標)(Ciba Inc.)の水溶液を、染料1から3の染料のうちのいずれかと反応させることで製造される。各実施例についての反応条件を表1に示してある。反応の後にはTLCを行う。反応混合物は、それ以上の処理を行わずに着色に用いる。
【表1】

【表2】

【0130】
B.適用例
毛髪サンプル
適用例については、下記の毛髪タイプを用いた。
【0131】
−ブロンド一房(VIRGIN White Hair、IMHAIR Ltd.製、via G.Verga 8,90134 Palermo(イタリア))、
−ミドルブロンド一房(UNA−Europ.天然毛髪、Color middle blonde、Fischbach&Miller製、Postfach 1163,88461 Laupheim,ドイツ)、
−脱色毛髪一房(UNA−Europ.天然毛髪、Color white bleached blonde、Fischbach&Miller製、Postfach 1163,88461 Laupheim,ドイツ)。
【0132】
カラーリング溶液
0.2または1重量%の実施例A1からA5に記載の染料のうちのいずれかを、プランタレン(Plantaren)溶液(10重量%プランタケア(Plantacare)200UP(ID:185971.5)の水溶液;50%クエン酸溶液またはモノエタノールアミン溶液でpHを9.5に調節)に溶かす。
【0133】
毛髪の房は、下記の手順に従って染色する。
【0134】
カラーリング溶液を、乾燥毛髪に直接適用し、室温で20分間インキュベートし、水道水下で洗い流す(水温:37℃±1℃;水の流量:5から6リットル/分)。次に、それを紙タオルで押し、ガラス板上で室温にて終夜乾燥させる。
【0135】
洗浄堅牢性を確認するため、2組の毛髪房を同じ条件下で染色する。これら染色房のうちの一組は、市販のシャンプー(ゴールドウェルディフィニション(GOLDWELL definition)カラー&ハイライト、カラーコンディショナーシャンプー)で、水道水下に各房についてシャンプー約0.5gを用いて洗浄する(水温:37℃±1℃;流量5から6リットル/分)。最後に、房を水道水で洗い、紙タオルで押し、櫛で梳き、ヘアドライヤーを用いるかまたは室温で乾かす。この手順を10回繰り返す。
【0136】
次に、洗っていない房の組と比較した洗った房の組の色落ちを、基準(Herbst&Hunger、第2版61頁、Nr10:DIN54001−8−1982、「Herstellung und Bewertung der Anderung der Farbe」、ISO105−A02−1993によるIndustrial Organic Pigments)に従って、グレースケール(1から5;5を全く未変化とする)を用いて評価する。
【表3】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)塩基性重縮合物と
(b)式(2)P−X−Ya+Ana−の親電子性染料
との反応によって得られるポリマー染料であって、
前記塩基性重縮合物(a)が、
(a)アンモニウム塩を含む無水溶媒の存在下で下記式(1)のアミン:
【化1】

と、
(a)シアナミドとの反応によって得られるものであるポリマー染料。
[式中、
、R、RおよびRは互いに独立して、水素;またはアミノ、ヒドロキシ、シアノもしくはC−Cアルコキシによって置換されていても良いC−Cアルキルであり;
Aは、1または複数のヘテロ原子によって置換もしくは中断されていても良いC−C20アルキレンであり;
Pは、窒素求核剤と反応することができる反応性基であり;
Xは、1または複数の−O−、−S−、−N=、−N(R)−、−S(O)−、SO、−(CHCH−O)1−5−、−(CHCHCH−O)1−5−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、
【化2】

−CON(R)−、−C(NR−、−(R)NC(O)−、−C(S)R−もしくは少なくとも一つのヘテロ原子を有していても良い置換されていても良い飽和もしくは不飽和の縮合しているか縮合していない芳香族もしくは非芳香族(複素)環状二価基によって中断および/または一端もしくは両端で終止していても良いC−C30アルキレン、C−C12アルケニレン、C−C10アリーレン、C−C10シクロアルキレンおよびC−C10アルキレン(C−C10アリーレン);−O−;−S−;−N(R)−;−S(O)−;−SO−;−(CHCH−O)1−5−;−C(O)−;−C(O)O−、−OC(O)−;
【化3】

−CON(R)−;−SON(R)−;−C(NR−;−(R)NC(O)−;−C(S)R−;C−C30アルキル、C−C30アルコキシ、C−C12アルケニル、C−C10アリール、C−C10シクロアルキル、C−C10アルキル(C−C10アリーレン)、ハロゲンもしくはヒドロキシによって置換されていても良い少なくとも一つのヘテロ原子を有していても良い飽和もしくは不飽和の縮合しているか縮合していない芳香族もしくは非芳香族二価基;または直接結合から選択される連結基であり;
Yは有機染料の残基であり;
およびRは互いに独立して、水素;置換されていないか置換されている直鎖もしくは分岐の単環式もしくは多環式の中断されているか中断されていないC−C14アルキル;C−C14アルケニル;C−C10アリール;C−C10アリール−C−C10アルキル;またはC−C10アルキル(C−C10アリール)であり;
aは1、2または3であり;
Anはアニオンである。]
【請求項2】
Xが、式(1a):−(T)(Z)−:
[式中、
Tは、飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分岐の−C−C12アルキレン、−C(O)−、−(CHCH−O)1−5−、−(CHCHCH−O)1−5−、−C(O)O−、−OC(O)−、−N(R)−、−CON(R)−、−(R)NC(O)−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)N(R)−および−N(R)(R)−から選択される基であり、それは1もしくは複数の−O−、−S−、−N(R)−、−C(O)−、
【化4】

−CON(R)−、−(R)NC(O)−によって中断および/または一端もしくは両端で終止していても良く、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−C10アリール、ハロゲンもしくはヒドロキシによって置換されていても良く;
Zは、−(CHSO−;−CH−CHR−CO−NR−;または下記式(1b):
【化5】

(1c):
【化6】

または(1d):
【化7】

のビラジカルであり;
およびRは互いに独立して、水素;C−Cアルキル;C−C−アルコキシ;C−C−アルキルアミノ;C−C10アリールオキシ;またはC−C10アリールアミノであり;
は、水素;C−Cアルキル;C−C−アルコキシ;C−C−アルキルアミノ;C−C10−アリールオキシ;C−C10−アリールアミノ;SO;塩素;またはフッ素であり;
は、Rまたは有機染料の残基であり;
aは1、2または3であり;
tおよびzは互いに独立して0または1である]
の二価基である、請求項1に記載の染料。
【請求項3】
Yが、アントラキノン、アクリジン、アゾ、アザメチン、ヒドラゾメチン、トリフェニルメタン、ベンゾジフラノン、クマリン、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、ジフェニルメタン、ホルマザン、インジゴイドインドフェノール、ナフタルイミド、ナフトキノン、ニトロアリール、メロシアニン、メチンオキサジン、ペリノン、ペリレン、ピレンキノン、フタロシアニン、フェナジン、キノンイミン、キナクリドン、キノフタロン、スチリル、スチルベン、キサンテン、チアジンおよびチオキサンテン染料の群から選択される請求項1または2に記載の染料。
【請求項4】
Yが、アントラキノン、アゾ、アゾメチン、ヒドラゾメチン、メロシアニン、メチンおよびスチリル染料から選択される請求項1〜3のいずれか1項に記載の染料。
【請求項5】
Pが、ハロゲン;トシレート;メシレート;スルホニルクロライド;酸塩化物;およびエポキシドから選択される別の反応性基;ならびにα−β不飽和カルボニルおよびスルホニル系から選択されるマイケル系から選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載の染料。
【請求項6】
前記ポリマー染料の分子量が400から50000である請求項1〜5のいずれか1項に記載の染料。
【請求項7】
AがC−C20アルキレンである請求項1〜6のいずれか1項に記載の染料。
【請求項8】
前記式(1)の化合物がポリエチレンポリアミンである請求項1〜7のいずれか1項に記載の染料。
【請求項9】
前記式(1)の化合物がジエチレントリアミンまたは1,6−ヘキサメチレン−1,6−ジアミンである請求項1〜7のいずれか1項に記載の染料。
【請求項10】
段階(a)で使用される前記シアナミドがジシアンジアミドまたはジシアナミドである請求項1〜9のいずれか1項に記載の染料。
【請求項11】
少なくとも1種類の請求項1に記載のポリマー染料を含む化粧用組成物。
【請求項12】
少なくとも1種類の単一の別の直接染料および/または酸化剤をさらに含む請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
シャンプー、コンディショナー、ゲルまたは乳濁液の形態の請求項11または12に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも1種類の請求項1に記載の染料、または請求項11〜13のいずれか1項に記載の組成物で有機材料を処理する段階を有する、有機材料の染色方法。
【請求項15】
少なくとも1種類の請求項1に記載の染料および酸化剤、ならびに場合により別の直接染料で有機材料を処理する段階を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1種類の請求項1に記載のポリマー染料および少なくとも1種類の単一の酸化染料で有機材料を処理する段階、または請求項1に記載のポリマー染料ならびに少なくとも1種類の単一の酸化染料および酸化剤で有機材料を処理する段階を有する請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記有機材料がケラチン含有繊維から選択される請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記ケラチン含有繊維がヒト毛髪である請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2011−510124(P2011−510124A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542596(P2010−542596)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050087
【国際公開番号】WO2009/090121
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】