説明

ポリマー調節乾式建設材料混合物

本発明は、再乳化形ポリマー粉末と、多糖類構造系保水剤と、カルシウムを含む硬化促進剤と、超吸収性コポリマーと、を含むポリマー調節セメント質乾式建設材料混合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント系乾式混合物と、その使用とに関する。
【0002】
"R.Bayer,H.Lutz,Dry Mortars,Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,6th ed.,vol.11,Wiley−VCH,Weinheim,(2003),83−108"においては、例えば結合剤、骨材、種々の添加剤等の硬練りモルタルの使用及び組成の概要が示されている。特に、添加剤(例えば再乳化形ポリマー粉末及び/又はセルロースエーテル)によって得られるポリマー改質セメント含有乾式混合物が通例であるが、これらの添加剤、とりわけ再乳化形ポリマー粉末は、非常にコストがかかる。同様に、建築材料混合物の超吸収剤の使用が知られている。例えば、US−A−2003144386には、強度発現を向上させるためのセメント含有建築材料混合物における超吸収剤の使用について記載されている。しかしながら、この文献に開示された超吸収剤の吸水能又は保水能は、カルシウム含有系、例えばセメント含有系において相対的に低い。US−B−6187887においては、建築材料系における保水性を増加させるために使用されるスルホ基を含有する水溶性コポリマー又は水膨潤性コポリマーが記載されている。これらのコポリマーは、水に可溶であり、且つ、あるとしてもほとんど吸水能力を有さないという点で、本質的不溶性超吸収剤とは異なる。上述した文献に開示される技術は、それらの経済性、特に、収率の改善が必要である。所望の経済的に好都合な、高収率の乾式混合物であれば、フレッシュ状態と硬化状態との両方において、良好な製品の性質を示すことになる。
【0003】
故に、本発明の目的は水性建築材料系を製造するための経済的且つ高品質の乾式混合物を提供することであった。
【0004】
本目的は、水硬性乾式混合物、好ましくは標準EN12004によるタイル接着剤によって達成され、それが、
a)10〜95質量パーセントのセメント含有水硬性結合剤と、
b)5〜75質量パーセントの無機充填剤及び/又は有機充填剤と、
c)0.5〜10質量パーセントの再乳化形ポリマー粉末と、
d)多糖構造系で、好ましくは水に可溶であり、好ましくはセルロースエーテルと、デンプンエーテルと、微生物で産生されたか若しくは天然の多糖類とからなる群から選択される0.1〜1.5質量パーセントの保水剤と、
e)好ましくは、ギ酸カルシウム、塩酸カルシウム、硝酸カルシウムからなる群から選択される0.3〜4.0質量パーセントの水溶性凝結促進剤と、を含み、且つ、
a)好ましくは水又は塩溶液によって膨潤性となり、特に好ましくは水に不溶であり、好ましくはエチレン性不飽和ビニル化合物のフリーラジカル重合によって製造され得る、標準edana420.2−02に従って決定される粒径分布が、好ましくは98質量パーセント以上が200μmのメッシュサイズを有する篩を通過するようなものである、0.02〜2.0質量パーセントのアニオン性粉末状コポリマーであって、前記コポリマーが、
a−i)スルホン酸基を含有し、且つ、一般式(I)
【化1】

[式中、
1は、同一又は異なって、各々水素又はメチル基であり、
2、R3、R4は、各々の場合同一又は異なって、各々互いに独立して水素、1〜6個の炭素原子を有する脂肪族分枝状又は非分枝状炭化水素基、及び/又は6〜14個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基であり、
Mは、同一又は異なって各々水素、一価又は二価の金属カチオン、又はアンモニウムイオンであり、
aは、同一又は異なって各々1/2及び/又は1である]を有する10〜70モルパーセントの構造単位と、
a−ii)(メタ)アクリルアミド基を含有し、且つ、一般式(II)
【化2】

[式中、
1は、上記で定義された通りであり、
5及びR6は、各々の場合において同一又は異なって各々互いに独立して水素、1〜20個の炭素原子を有する分枝状又は非分枝状脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、及び/又は6〜14個の炭素原子を有するアリール基である]を有する30〜90モルパーセントの構造単位と、
a−iii)2個以上のフリーラジカル重合性エチレン性不飽和ビニル基を有する水溶性モノマー化合物から誘導される0.03〜1モルパーセントの構造単位と、を含む、コポリマー、
或いは、fa)に代わるものとして、
b)好ましくは水又は塩溶液によって膨潤性となり、特に好ましくは水に不溶であり、好ましくはエチレン性不飽和ビニル化合物のフリーラジカル重合によって製造され得る、標準edana420.2−02に従って決定される粒径分布が、好ましくは98質量パーセント以上が200μmのメッシュサイズを有する篩を通過するようなものである、0.02〜2.0質量パーセントのカチオン性粉末状コポリマーであって、前記コポリマーが、
b−i)四級化窒素原子を含有し、且つ、一般式(III)
【化3】

[式中、
1は、上記で定義された通りであり、
7、R8、R9、R10は、各々の場合同一又は異なって、各々互いに独立して水素、1〜20個の炭素原子を有する分枝状又は非分枝状脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、及び/又は6〜14個の炭素原子を有するアリール基であり、
mは、同一又は異なって、各々1〜6の整数であり、
基Xは、同一又は異なって、各々酸素及び/又はN−R10であり、
イオンY-aは、同一又は異なって、各々ハライド、C1〜C4アルキルサルフェート、C1〜C4アルキルスルホネート又はサルフェートであり、
aは、同一又は異なって各々1/2及び/又は1のいずれかである]を有する10〜70モルパーセントのカチオン単位と、
b−ii)(メタ)アクリルアミド基を含有し、且つ、一般式(II)
【化4】

[式中、
1は、上記で定義された通りであり、
5及びR6は、各々上記で定義された通りである]を有する30〜90モルパーセントの構造単位と、
b−iii)好ましくは2個以上のフリーラジカル重合性エチレン性不飽和ビニル基を有する水溶性モノマー化合物から誘導される0.03〜1モルパーセントの構造単位と、を含む、コポリマーのいずれかを含むことを特徴とする水硬性乾式混合物、好ましくは石膏プラスターボード用目地材によって達成される。
【0005】
とりわけタイル接着剤の分野及び幾つかの更なる用途領域において現代の建築材料乾式混合物が満たす必要のある要件は、まだ未硬化の状態(流体力学的加工性(例えば耐滑り性や保水性))と硬化状態(耐磨耗性、耐引掻性、曲げ引張強度、及び種々の下地上への接着剤の引張力)との両方におけるそれらの性質に関して非常に高いものである。"R.Bayer,H.Lutz,Dry Mortars,Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,6th ed.,vol.11,Wiley−VCH,Weinheim,(2003),83−108"に記載されているように、これらの性質は、乾式混合物(例えば多糖類系保水剤(例えばセルロースエーテル)や再乳化形ポリマー粉末)の分野で公知の添加剤によって向上する。しかしながら、記載の添加剤、特に分散粉末は、乾式混合物の他の成分と比較して非常に費用がかかる。乾式混合物を水と混合した後すぐに使用できる建築材料混合物の体積と、堅練りモルタルの質量との比と定義される乾式混合物の収率は、経済的理由と使用者のための更なる利点(例えば、原料中に保持される堅練りモルタルより少なくなければならない)に関してとの両方についての向上を必要とするものである。また、堅練りモルタルの凝結速度又は(早期)強度の発現の上昇も必要である。これは、なかでもギ酸カルシウム又は他のカルシウム塩の使用によるその良好な有効性の結果としての有利な方法で達成される。アルカノールアミン等の他の公知の凝結促進剤には、特に屋内で使用する場合、不快な匂いという短所があり、或いは、健康の観点から問題がある可能性があった。
【0006】
このことは、受け入れる必要のある建築材料製品の質を低下させることなく適切な処置によって硬練りモルタルの収率及び経済性を向上させる技術的課題につながる。同様に、目地材の目地強度や負荷撓み等の性質が向上されなければならない。
【0007】
この目的は、高水/セメント比に対する許容値の増大に適切な超吸収性粉末状コポリマー(超吸収性物質)を含有する本発明のポリマー改質乾式混合物を使用することにより達成される。本発明によれば、超吸収性物質のポリマーの化学作用は、カルシウムイオンを含有する水性系、例えばカルシウム含有促進剤の塩からカルシウムイオンを更に含有する本発明によるセメント含有水硬性系においても高吸水能力が確保されるように適合させた。収率を増加させるために極めて安価な成分水の量を増加して使用することは、本発明の堅練りモルタルによって、その経済性も大幅に向上する結果として初めて可能である。驚くべきことに、製品の性質に対する上述の要求を満たす又は上回ることが可能であるだけでなく、費用のかかる配合成分(例えば多糖類系保水剤や、とりわけ再乳化形分散粉末)の量の相当な低減を達成することも可能であることが分かった。特に高温、低大気湿度で、強く水を吸引するタイル又は下地を使用する場合、タイル接着剤モルタルの保水性及び接着剤引張力の値の向上が認められる。更に、特に好ましくはタイル接着剤モルタルにおいて、配合物全体において相対的に高比率の水が存在する結果として、接着剤風乾時間等の更に重要な性質を向上させることができる。
【0008】
用語を明確にするために、乾式混合物は、しばしば文献において硬練りモルタルとも呼ばれることに留意されたい。
【0009】
a)セメント含有水硬性結合剤は、セメントの種類に関して、いかなる特定の限定を受けない。ポルトランドセメント、特に、CEM I、II、III、IV及びV並びにアルミナセメント(アルミン酸塩セメント)からなる群から選択されるものを使用することが可能である。製品に対する対応する着色が役割を果たす場合は、白色セメントが特に適切である。前記セメントは、個別に、又は、混合物として使用され得る。乾式混合物におけるセメント含有水硬性結合剤の質量比率は、用途に応じて、10〜95質量%、好ましくは20〜80質量%、特に好ましくは30〜50質量%である。更なる一実施態様において、前記乾式混合物において記載されたセメントに加えて、必要に応じてポゾラン及び/又は潜在的水硬性結合剤が存在し得る。ポゾラン及び/又は潜在的水硬性添加剤の中で、好ましくは、飛散灰、マイクロシリカ、メタカオリン、粉砕トラス、アルミノシリケート、凝灰岩、響岩、珪藻土、非晶質沈降シリカ、油頁岩、及び主に非晶質物質を含む高炉スラグの使用である。乾式混合物におけるそれらの比率は、適切な場合、1〜30質量%であり;それらは好ましくはセメントに対して5〜30質量%の量で存在する。
【0010】
b)本発明の乾式混合物の充填剤は、水性系にごく小さい程度に可溶又は膨潤性である。特に、それらは、結合剤としての役割を果たさない。
【0011】
適切な無機充填剤としては、例えば、珪砂、粉砕石灰岩、白亜、大理石、粘土、泥灰岩、酸化アルミニウム、タルク及び/又は重晶石があるが、好ましくは珪砂及び粉砕石灰岩である。また、無機充填剤は、好ましくは、軽量充填剤(例えば泡ガラス等の空洞ガラスマイクロスフェア)及びアルミノシリケート(例えばパーライトや発泡粘土)として存在することもできる。天然軽量充填剤(例えば無機泡、軽石、発泡溶岩及び/又は膨張バーミキュライト)は、同様に好ましい。本発明により使用され得る有機充填剤としては、例えば、細かく切断されたプラスチックスクラップ、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン又はメラミン樹脂がある。ゴム粒子及び/又はStyropor球体は、本発明による好ましい有機充填剤を示す。
前記充填剤は、5〜75質量%、好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは30〜50質量%の量で乾式混合物中に存在する。
【0012】
c)再乳化形ポリマー粉末という用語は、エマルジョン重合方法等の適切な重合方法によって水性分散液として得ることが可能であり、且つ、適切な乾燥処置(例えば噴霧乾燥)によって更なるステップにおいてポリマー粉末に転化される(コ)ポリマーをいう。再乳化形ポリマー粉末は、水又は水性系に混入されると水性分散液を再度形成するため、再乳化形ポリマー粉末という用語となっている。水性建築材料混合物における再乳化形分散粉末の使用によって、製品の重要な性質、特に硬化状態に重要な性質、例えば耐磨耗性、耐引掻性、曲げ引張強度、種々の下地に対する表面付着性を向上させることができる。再乳化形ポリマー粉末は、水で作製された建築材料混合物における有機結合剤として本質的に作用することが知られており、この効果は、主に、水の蒸発の結果として一次粒子からポリマー膜が形成されたことに基づく。
【0013】
適切な(コ)ポリマーとしては、以下のモノマーの群:ビニル芳香族化合物、1〜15個の炭素原子を有する分枝状又は非分枝状アルキルカルボン酸のビニルエステル、ジエン類、1〜10個の炭素原子を有する分枝状又は非分枝状アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル、ビニルハライド及びオレフィンの内の1種以上の中から選択され得る1種以上のエチレン性不飽和モノマーに基づくものが挙げられる。前記モノマーは、好ましくは疎水性の性質を有さなければならない。
【0014】
ビニル芳香族化合物の群の中の好ましいモノマーの例としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンがある。1〜15個の炭素原子を有する分枝状又は非分枝状アルキルカルボン酸の好ましいビニルエステルとしては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニル2−エチルヘキサノエート、1−メチルビニルアセテート、ビニルラウレート、酸性基に対してα位に第三級炭素原子を有し、且つ、5〜11個の炭素原子を有するモノカルボン酸のビニルエステル(ビニルバーサテート)、例えばVeoVa5(登録商標)(ビニルピバレート)、VeoVa9(登録商標)、VeoVa10(登録商標)、VeoVa11(登録商標)(Shellの商標)が挙げられ、ビニルアセテートと共に、上述のビニルバーサテートが特に好ましい。好ましいジエンとしては、1,3−ブタジエン及びイソプレンがあり、1〜10個の炭素原子を有する分枝状又は非分枝状アルコール類の好ましい(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルアクリレートがある。
【0015】
好ましいオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチルプロペンがあり、特に好ましくはエチレンである。好ましいビニルハライドモノマーとしては、ビニルクロリドやビニリデンクロリドがある。
【0016】
再乳化形ポリマー粉末として適切な(コ)ポリマーとしては、好ましくは以下の種類が挙げられるが、それぞれのモノマーに対して(コ)ポリマーに基づく質量%の数字が示され、その数字は、適切な場合、更なるモノマー単位と共に、合計して100質量%になる。
【0017】
ビニルアルキルカルボキシレートのポリマーの群の中で、部分的に加水分解され得るビニルアセテートポリマー;1〜60質量%のエチレン含有率を有するビニルアセテート−エチレンコポリマー;1〜50質量%の1種以上の更なるビニルエステルモノマー(例えばビニルラウレート、ビニルピバレート、特にVeoVa9(登録商標)、VeoVa10(登録商標)、VeoVa11(登録商標)(Shellの商標))を有するビニルアセテートコポリマー(これらのコポリマーは、更なるモノマーとして1〜40質量%のエチレンを含有することが可能である);1〜40質量%のエチレン含有率及び20〜90質量%のビニルクロリド含有率を有するビニルエステル−エチレン−ビニルクロリドコポリマー(ビニルエステルとしては、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニル2−エチルヘキサノエート、1−メチルビニルアセテート、ビニルラウレート、酸性基に対してα位に第三級炭素原子を有し、且つ、5〜11個の炭素原子を有するモノカルボン酸のビニルエステル(ビニルバーサテート)、例えばVeoVa5(登録商標)(ビニルピバレート)、VeoVa9(登録商標)、VeoVa10(登録商標)、VeoVa11(登録商標)(Shellの商標)を挙げることが可能である);1〜60質量%のアクリル酸エステル、好ましくはアクリル酸n−ブチルを含有し、且つ、更に1〜40質量%のエチレンを含有してよいビニルアセテート−アクリル酸エステルコポリマーが好ましい。
【0018】
(メタ)アクリル酸エステルポリマーの群の中で、モノマー単位n−ブチルアクリレート及び/又は2−エチルヘキシルアクリレートを含むコポリマー;メチルメタクリレートとn−ブチルアクリレート及び/又は2−エチルヘキシルアクリレートとのコポリマー及びメチルメタクリレートと1,3−ブタジエンとのコポリマーが好ましい。
【0019】
ビニルハライドコポリマーの群の中で、上述のビニルエステル−エチレン−ビニルクロリドコポリマー、更に、ビニルクロリド−エチレンコポリマー及びビニルクロリド−アクリレートコポリマーが好ましい。
【0020】
ビニル芳香族コポリマーの群の中で、スチレン−ブタジエンコポリマー及びスチレン−アクリル酸エステルコポリマー(例えば、各場合において10〜70質量%のスチレン含有率を有するスチレン−n−ブチルアクリレート又はスチレン−2−エチルヘキシルアクリレート)が好ましい。
【0021】
更なる一実施態様においては、ビニルアセテートポリマー、1〜60質量%のエチレン含有率を有するビニルアセテート−エチレンコポリマー、1〜50質量%の1種以上の更なるビニルエステルモノマー(例えばビニルラウレート、ビニルピバレート、特にビニルバーサテート(例えばVeoVa9(登録商標)、VeoVa10(登録商標)、VeoVa11(登録商標)(Shellの商標)))とのビニルアセテートコポリマー(これらのコポリマーは、更なるモノマーとして1〜40質量%のエチレンを含有することが可能である)が特に好ましい。1〜60質量%のアクリル酸エステル、好ましくはn−ブチルアクリレートを含有し、且つ、更に1〜40質量%のエチレンを含有してよいビニルアセテート−アクリル酸エステルコポリマーが特に好ましい。スチレン−ブタジエンコポリマー及びスチレン−アクリル酸エステルコポリマー(例えば、各場合において10〜70質量%のスチレン含量率を有するスチレン−n−ブチルアクリレート又はスチレン−2−エチルヘキシルアクリレート)も特に好ましい。
【0022】
再乳化形ポリマー粉末c)は、非常に特に好ましくは、ビニルアセテートポリマー、ビニルアセテート−エチレンコポリマー、ビニルアセテート−ビニルエステルコポリマー及び/又はビニルアセテート−ビニルエステル−エチレンコポリマーとして存在し、ビニルエステルモノマーは、各場合においてビニルラウレート、ビニルピバレート及びビニルバーサテートからなる群から選択され、更に、ビニルアセテート−アクリル酸エステルコポリマー、ビニルアセテート−アクリル酸エステル−エチレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー及びスチレン−アクリル酸エステルコポリマーとして存在し、アクリル酸エステルは、各場合において1〜10個の炭素原子を有する分枝状又は非分枝状アルコール類のエステルである。
【0023】
適切な場合、前記(コ)ポリマーは、ポリマーの全質量に対して0.1〜10質量%の量の官能性コモノマー単位を更に含有することができる。これらの官能性コポリマー単位は、モノカルボン酸又はジカルボン酸、例えば(メタ)アクリル酸及び/又はマレイン酸からなる群;(メタ)アクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボキサミドからなる群;エチレン性不飽和スルホン酸及びその塩、好ましくはビニルスルホン酸及び/又はスチレンスルホン酸からなる群;多重エチレン性不飽和コモノマー、例えばジビニルアジペート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルマレエート及び/又はアリルメタクリレートからなる群から選択され得る。一般式(II)の再乳化形ポリマー粉末における(メタ)アクリルアミド基を含有する構造単位の比率は、好ましくは25モル%未満である。(共)重合は、産業界において周知の方法、例えばエマルジョン重合方法によって行われる。得られた分散液は、エマルジョン剤、又はポリビニルアルコール等の保護コロイドのいずれによって安定化され得る。再乳化形ポリマー粉末を得るために、通常、従来の方法(例えば噴霧乾燥、凍結乾燥、分散液の凝固、次の流動層乾燥)によって乾燥が行われる。好ましい方法は、噴霧乾燥である。再乳化形ポリマー粉末は、0.5〜10質量%、好ましくは0.8〜7質量%、特に好ましくは1.0〜4質量%の量の水硬性乾式混合物中に存在する。
【0024】
d)好ましくは、多糖類構造系水溶性保水剤は、水を保持するだけでなく、対応する建築材料混合物の流動学的性質、例えば粘性及び/又は揺変性を凝結する役目をする。タイルの位置を容易に修正することができると同時に耐滑り性を向上させるために、チキソトロープ性は、例えばタイル接着剤モルタルにおいて必要である。
【0025】
好ましくは、セルロースエーテル、例えば、アルキルセルロース(例えばメチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、メチルエチルセルロース)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えばヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース)、アルキルヒドロキシアルキルセルロース(例えばメチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)、プロピルヒドロキシプロピルセルロース)である。好ましくは、セルロースエーテル誘導体(メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC))であり、特に好ましくは、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)及びメチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)である。上述したセルロースエーテル誘導体は、各場合においてセルロースの適切なアルキル化又はアルコキシル化によって得ることができるが、好ましくは非イオン性構造として存在する。一方で、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)は、カルボン酸基が水性セメント含有系に存在するカルシウムイオンと相互作用し、それによってカルボキシメチルセルロースの溶解性が低下し、その結果その有効性が低下するため、あまり適切でない。この効果は、カルシウム含有凝結促進剤によって強化される。更に、好ましくは、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等の非イオン性デンプンエーテル誘導体を使用することである。好ましくは、ヒドロキシプロピルデンプンである。デンプンエーテル誘導体は、乾式混合物中に、単独で、又は、好ましくは上述したセルロースエーテル誘導体の内の1種以上と組み合わせて存在し;デンプンエーテル誘導体は、特に好ましくはメチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)及び/又はメチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)と共に存在する。同様に好ましくは、微生物的に産生された多糖類(例えばウェランガム及び/又はキサンタン)及び天然の多糖類(例えばアルギナート、カラゲナン、ガラクトマンナン)である。これらは、例えば藻類からのアルギナート及びカラゲナンの場合、イナゴマメの種子からのガラクトマンナンの場合等、抽出方法によって適切な天然物から得ることが可能である。保水剤及び使用量の選択は、要件に従ってなされ、適切な定期試験によって確立される。上述の保水剤の内の1種以上が本発明の乾式混合物中に存在することは可能である。
【0026】
多糖類構造系保水剤は、乾式混合物に基づいて0.1〜1.5質量%、好ましくは0.2〜1.2質量%、特に好ましくは0.3〜1.0質量%の量の水硬性乾式混合物中に存在する。
【0027】
e)適切な凝結促進剤は、水溶性カルシウム塩(ギ酸カルシウム、塩酸カルシウム及び/又は硝酸カルシウム)である。好ましくはギ酸カルシウムである。凝結促進剤は、乾式混合物に対して0.3〜4.0質量%、好ましくは0.5〜3.0質量%、特に好ましくは0.8〜2.5質量%の比率で使用される。凝結促進剤は、凝結時間を短くすることと、建築材料製品の初期強度を増加させることとの両方の役割を果たす。
【0028】
a)及びfb
水又は塩水溶液によって膨潤性となる粉末状コポリマーは、適切なエチレン性不飽和ビニル化合物のフリーラジカル重合を行い、次に得られたコポリマーを乾燥することによって得ることが可能な、架橋、高分子量、アニオン性又はカチオン性多価電解質である。それらは、産業界において、通常、超吸収性ポリマー(SAP)又は単純な超吸収剤と呼ばれる。水又は水性系と接触すると、それらは、水を取り込み、膨潤してヒドロゲルを形成する。それらは、粉末状コポリマーの質量の何倍もの水の質量を取り込むことが可能である。本目的のために、ヒドロゲルは、三次元網状結合として存在する、親水性であるが架橋化した水不溶性のポリマーに基づく含水ゲルである。水の取り込みによって粉末状超吸収性コポリマーから形成されたヒドロゲルは、建築材料混合物の流動学的性質に対して悪影響を及ぼすことがないように、水に可溶な物質をほとんど含有してはならない。本発明において、高塩濃度、特に通常セメント含有水系に存在する高カルシウムイオン濃度であっても高吸水能を有する超吸収剤を使用することは、有利である。
【0029】
本発明に従って使用される粉末状コポリマー(超吸収剤)は、好ましくは、本質的に両性高分子電解質としてではなく、アニオン性多価電解質又はカチオン性多価電解質のいずれかとして存在する。本発明の目的ために、両性高分子電解質は、ポリマー鎖上にカチオン性電荷とアニオン性電荷との両方を持つ多価電解質である。従って、最も好ましくは、自然界で純粋にアニオン性又はカチオン性であるコポリマーである。しかしながら、それは、逆電荷で置き換えられる多価電解質の総電荷の最高10%が可能であり、好ましくは5%未満である。このことは、相対的に低いカチオン含有率を有する大部分がアニオン性のコポリマーの場合と、逆に相対的に低いアニオン含有率を有する大部分がカチオン性のコポリマーの場合との両方に当てはまる。
【0030】
まず、アニオン性超吸収性コポリマーfa)について記載する。スルホン酸基を含有し、且つ、一般式Iを有する構造単位は、アニオン性構造単位として存在する。スルホン酸基を含有するモノマーは、特にカルシウムイオンの存在下で塩水溶液中の水をより多く取り込むことが可能なより安定したヒドロゲルを形成することから、カルボン酸基を含有するモノマーよりも好ましい。特に、スルホン酸基を含有する超吸収剤は、主にカルボン酸基を含有する超吸収剤、例えば架橋化高分子量ポリアクリル酸に基づくものよりも、この性質に関して優れている。スルホン酸基を含有し、且つ、一般式Iに対応する構造単位は、好ましくは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドブタンスルホン酸及び/又は2−アクリルアミド−2,4,4−トリメチルペンタンスルホン酸或いは前記酸の塩のモノマー種の内の1種以上の共重合から誘導される。特に好ましくは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩化合物である。酸の塩化合物中のカチオンは、各場合において一価又は二価の金属カチオン、例えば好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン又はマグネシウムイオン、或いは、第一級、第二級又は第三級アンモニア、C1〜C20−アルキルアミン、C1〜C20−アルカノールアミン、C5〜C8−シクロアルキルアミン及びC6〜C14−アリールアミンから誘導されるアンモニウムイオンである可能性がある。アルキル基は、各場合において分枝状又は非分枝状であり得る。適切なアミンの例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、フェニルアミン、ジフェニルアミンがある。好ましいカチオンは、アルカリ金属イオン及び/又はアンモニウムイオンであり、特に好ましくはナトリウムイオンである。
【0031】
アニオン性超吸収性コポリマーfa)中に、スルホン酸基を含有する構造単位が、10〜70モルパーセント、好ましくは15〜60モルパーセント、非常に特に好ましくは20〜50モルパーセントの量で存在する。
【0032】
更に、(メタ)アクリルアミド基を含有し、且つ、一般式IIに対応する構造単位もまた、アニオン性超吸収性コポリマーfa)中に存在する。(メタ)アクリルアミド基を含有する構造単位は、カチオン性超吸収性のコポリマーと同様にして存在する。以下の記載は、アニオン性超吸収性コポリマーとカチオン性超吸収性コポリマーとの両方に当てはまる。例えば、これらの構造単位は、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド及び/又はN−tert−ブチルアクリルアミドのモノマー種の内の1種以上の共重合から誘導される。好ましくは、メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド及びメタクリルアミドであり、特に好ましくはアクリルアミドである。アニオン性超吸収性コポリマー及びカチオン性超吸収性コポリマーの両方の中に、(メタ)アクリルアミド基を含有する構造単位が、30〜90モルパーセント、好ましくは40〜85モルパーセント、非常に特に好ましくは50〜80モルパーセントの量で存在する。
【0033】
好ましくは2個以上のフリーラジカル重合性エチレン性不飽和ビニル基を有する水溶性モノマー化合物から誘導されるアニオン性超吸収性コポリマーの構造単位は、更なる記載において、架橋剤モノマーと呼ばれる。それらはまた、カチオン性超吸収性コポリマー中に同様にして存在する。架橋剤モノマーの以下の記載は、アニオン性超吸収性コポリマーとカチオン性超吸収性コポリマーとの両方に当てはまる。
【0034】
架橋剤モノマーに対応する構造単位は、好ましくは以下のモノマー種の内の1種以上の重合から誘導される:
多重アクリル官能性(メタ)モノマー(例えば、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールトリメタクリレート、シクロペンタジエンジアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート及び/又はトリス(2−ヒドロキシ)イソシアヌレートトリメタクリレート);対応するカルボン酸との2個以上のビニルエステル基又はアリルエステル基を有するモノマー(例えば、ポリカルボン酸のジビニルエステル、ポリカルボン酸のジアリルエステル、トリアリルテレフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、トリビニルトリメリテート、ジビニルアジペート及び/又はジアリルスクシネート);2個以上の(メタ)アクリルアミド基を有するモノマー(例えばN,N’−メチレンビスアクリルアミド及び/又はN,N’−メチレンビスメタクリルアミド)及び2個以上のマレイミド基を有するモノマー(例えばヘキサメチレンビスマレイミド);2個以上のビニールエーテル基を有するモノマー(例えばエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル及び/又はシクロヘキサンジオールジビニルエーテル)。2個以上のアリル基を有するアリルアミノ又はアリルアンモニウム化合物(例えばトリアリルアミン及び/又はテトラアリルアンモニウム塩)を使用することも可能である。2個以上のビニル芳香族基を有するモノマーの群の中では、ジビニルベンゼンが挙げられる。
【0035】
2個以上のエチレン性不飽和ビニル基を有する適切なモノマーを選択する際、好ましくは、水性系中における良好な耐加水分解性を、とりわけセメント含有系において期待される高pH値で有することを確保することに注意が必要である。剪断力の形での機械的応力は、建築材料混合物を水と混合する際に生じ、とりわけ高分子架橋ポリマー系の場合に結合の破断につながる可能性がある。この理由のために、メタクリル官能性架橋剤モノマーが、対応するアクリル官能性架橋剤モノマーよりも好ましく;(メタ)アクリルアミド−官能性モノマー及びアリルアミノ官能性モノマーが特に好ましい。特に好ましい架橋剤モノマーの例としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルアミン及び/又はテトラアリルアンモニウム塩があり、非常に特に好ましい架橋剤モノマーとしては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルアミンがある。各場合において、コポリマーにおいて、架橋剤モノマーの内の1種以上を示すことが可能である。架橋剤モノマーは、アニオン性及びカチオン性の超吸収性コポリマー中に0.03〜1モルパーセント、好ましくは0.05〜0.7モルパーセントの量で存在する。架橋剤モノマーの量は、少なくとも、非常に水不溶性のコポリマー或いは低含有率の可溶性材料又は低含有率の抽出物を有するコポリマーが得られる程度に高くなければならない。当業者は、定期試験を行うことによって簡単な方法で架橋剤モノマーの量を決定することが可能である。架橋は共重合反応中に生じ;更に、超吸収剤について、"F.Buchholz,A.Graham,Modern Superabsorber Technology,John Wiley&Sons Inc.,1989,55−67"に記載されるように、共重合反応に続いて後架橋を行うこともできる。
【0036】
主要な請求項に記載のアニオン性コポリマー中に必要な上述の3種の構造単位とは別に、1〜20モルパーセントの更なる、好ましくは親水性構造単位が、必要に応じて存在することができる。親水性構造単位は、好ましくは、非荷電性又はアニオン性のエチレン性不飽和モノマーから誘導される。カチオン性モノマーの場合、アニオン性コポリマー中の比率に関する上述の限定が当てはまる。即ち最高10パーセント、好ましくは5パーセント未満のアニオン性電荷をカチオン性電荷と置き換えることができる。可能な非荷電性モノマーの例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルピリジン、ビニルピリジン、ビニルアセテート及び/又はヒドロキシル含有(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート及び/又はヒドロキシプロピルメタクリレート)がある。
【0037】
任意の構造単位は、好ましくは、エチレン性不飽和カルボン酸及びジカルボン酸並びにそれらの無水物(例えばメタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリロキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロロソルビン酸、2’−メチルイソクロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸及び無水マレイン酸、p−クロロ桂皮酸、p−ステアリン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、フマル酸及び/又はトリカルボキシルエチレン)からなる群から選択されるモノマーから誘導される。更なる構造単位は、好ましくは、アクリル酸及びその塩及び/又はエチレン性不飽和スルホン酸モノマー及び各場合においてそれらの対応する塩、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート及び/又は2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルスルホン酸から誘導される。
【0038】
カチオン性超吸収性コポリマーfb)は、以下に記載される。カチオン性コポリマー中において、四級化窒素原子を含有し、且つ、一般式IIIに対応する構造単位は、好ましくは、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム塩、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム塩、[3−(アクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウム塩及び[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上のモノマー種の重合から誘導される。前記塩類は、好ましくはハライド又はメトサルフェートとして存在する。特に好ましくは、[3−(アクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウム塩及び/又は[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウム塩である。非常に特に好ましくは、[3−(アクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(DIMAPA−Quat)及び/又は[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)である。第四級窒素原子を含有し、且つ、一般式IIIを有する構造単位は、カチオン性超吸収性コポリマー中に、10〜70モルパーセント、好ましくは15〜60モルパーセント、特に好ましくは20〜50モルパーセントの量で存在する。
【0039】
アニオン性超吸収性コポリマーfa)と同様に、カチオン性超吸収性コポリマーfb)は、(メタ)アクリルアミド基を含有し、且つ、一般式IIを有する同じ構造単位を含有する。一般式IIの構造単位については、アニオン性コポリマーについて上記で詳細に記載されたが、この記載は、この時点で参考として本明細書で援用される。
【0040】
好ましくは、2個以上のフリーラジカル重合性エチレン性不飽和ビニル基を有する水溶性モノマー化合物(架橋剤モノマー)から誘導される構造単位は、同様に、カチオン性超吸収性コポリマー及びアニオン性超吸収性コポリマーの両方の中に存在する。この構造単位は、同様に、アニオン性超吸収性コポリマーについて上記で詳細に記載された。この記載は、同様に、この時点で参考として本明細書で援用される。
【0041】
主要な請求項に記載のカチオン性コポリマー中に必要な上述の3種類の構造単位とは別に、1〜20モルパーセントの更なる、好ましくは親水性構造単位が、必要に応じて存在することができる。親水性構造単位は、好ましくは、非電荷又はカチオン性のエチレン性不飽和モノマーから誘導される。アニオンモノマーの場合、カチオン性コポリマー中の比率に関する上述の限定が当てはまる。即ち、最高10パーセント、好ましくは5パーセント未満のカチオン性電荷をアニオン性電荷と置き換えることができる。可能な非荷電性モノマーの例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルピリジン、ビニルアセテート及び/又はヒドロキシル含有(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート及び/又はヒドロキシプロピルメタクリレート)がある。適切なカチオン性モノマーの例としては、N,N−ジメチルジアリルアンモニウムクロリド及びN,N−ジエチルジアリルアンモニウムクロリドがある。
【0042】
アニオン性超吸収性コポリマーfa)の特に好ましい一実施態様においては、20〜50モルパーセントが2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(構造単位Iに対応する)から誘導され、且つ、50〜80モルパーセントがアクリルアミド(構造単位II)に対応する)から誘導され、架橋剤モノマーがトリアリルアミン及び/又はN,N’−メチレンビスアクリルアミドである構造単位を含有する。カチオン性超吸収性コポリマーfb)の同様に特に好ましい一実施態様において、前記コポリマーfb)は、20〜50モルパーセントが[3−(アクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(構造単位IIIに対応する)から誘導され、且つ、50〜80モルパーセントがアクリルアミド(構造単位IIに対応する)から誘導され、架橋剤モノマーがトリアリルアミン及び/又はN,N’−メチレンビスアクリルアミドである構造単位を含有する。
【0043】
本発明により使用されるアニオン性又はカチオン性の超吸収性コポリマーは、フリーラジカル重合によるそれぞれの構造単位を形成するモノマーの連結によってそれ自体公知の方法で製造され得る(アニオン性コポリマー:一般式I、II及び上記架橋剤モノマーの構造単位;必要に応じて更なるアニオン性又は非荷電性のモノマー;カチオン性コポリマー:一般式III、II及び上記架橋剤モノマー、必要に応じて更なるカチオン性又は非荷電性のモノマーの構造単位)。
【0044】
酸として存在する全てのモノマーは、遊離酸として、又は、それらの塩形態で重合することが可能である。更にまた、適切な塩基の添加によって、共重合の後に酸の中和を行うことが可能であり、同様に、重合の前又は後で部分的な中和も可能である。モノマー又はコポリマーの中和は、例えば、塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び/又はアンモニア)によって行うことが可能である。更に適切な塩基としては、各場合分枝状又は非分枝状アルキル基を有する第一級、第二級又は第三級アンモニア、C1〜C20−アルキルアミン、C1〜C20−アルカノールアミン、C5〜C8−シクロアルキルアミン及び/又はC6〜C14−アリールアミンがある。1種以上の塩基を使用することが可能である。好ましくは、アルカリ金属水酸化物及び/又はアンモニア、特に好ましくは水酸化ナトリウムによる中和である。無機又は有機塩基は、それぞれの酸と水に相対的に易溶である塩を形成するように選択されなければならない。
【0045】
前記モノマーは、好ましくは、フリーラジカル重合、バルク重合、溶液重合、ゲル重合、エマルジョン重合、分散重合又は懸濁重合によって共重合される。本発明による生成物は、水に膨潤性である親水性コポリマーであることから、水相重合、逆エマルジョン重合又は逆懸濁重合が好ましい。特に好ましい実施態様において、反応は、ゲル重合として或いは有機溶媒における逆懸濁重合として行われる。
【0046】
超吸収性ポリマーの共重合は、特に好ましい実施態様において、断熱重合として行うことが可能であり、また、レドックス開始剤系か光開始剤のいずれかによって開始することが可能である。更に、前記2種の異なる開始剤を組み合わせることが可能である。レドックス開始剤系は、少なくとも2種の成分、即ち、有機又は無機酸化剤並びに有機又は無機還元剤からなる。しばしば、過酸化物単位を有する化合物、例えば無機過酸化物(例えば、アルカリ金属の過硫酸化物及び過硫酸アンモニウム、アルカリ金属のリン酸化物及びリン酸アンモニウム、過酸化水素及びその塩(過酸化ナトリウム、過酸化バリウム))或いは有機過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル、ブチルヒドロペルオキシド)又は過酸(例えば過酢酸)が使用される。しかしながら、他の酸化剤、例えば過マンガン酸カリウム、塩素酸ナトリウム及び塩素酸カリウム、重クロム酸カリウム等を使用することも可能である。還元剤として、含硫黄化合物(例えば亜硫酸塩、チオ硫酸塩、スルフィン酸、有機チオール(例えば、エチルメルカプタン、2−ヒドロキシエタンチオール、2−メルカプトエチルアンモニウムクロリド、チオグリコール酸)他)を使用することが可能である。更に、アスコルビン酸及び低原子価金属塩[銅(I);マンガン(II);鉄(II)]が可能である。リン化合物、例えば次亜リン酸ナトリウムを使用することも可能である。
【0047】
光重合の場合、これは、光開始剤の崩壊をもたらす紫外線によって開始される。光開始剤として、例えば、ベンゾイン及びベンゾイン誘導体(例えばベンゾインエーテル、ベンジル及びその誘導体(例えばベンジルケタール))、アクリルジアゾニウム塩、アゾ開始剤(例えば、2,2’−アゾビス−(イソブチロニトリル)、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリド)及び/又はアセトフェノン誘導体を使用することが可能である。
【0048】
レドックス開始剤系の場合における酸化成分及び還元成分の質量比率は、好ましくは各場合において0.00005〜0.5質量%の範囲、特に好ましくは各場合において0.001〜0.1質量%の範囲である。光開始剤の場合、この範囲は、好ましくは0.001〜0.1質量%、特に好ましくは0.002〜0.05質量%である。成分及び光開始剤の酸化及び還元について与えられる質量パーセントは、各場合において共重合に使用されるモノマーの質量に基づく。重合条件、特に開始剤の量の選択は、非常に長鎖のポリマーを作製する目的でなされる。しかしながら、架橋コポリマーの難溶性のため、分子量の測定は、大きな困難を伴ってなされ得る。
【0049】
好ましくは、共重合は、重合容器においてバッチ式(バッチ方法)、又は、US−A−4857610に記載の「連続コンベヤーベルト」方法によって連続的のいずれかで、水溶液、好ましくは濃縮水溶液において行われる。更に、連続的又は非連続的に作動する混練反応器における重合が可能である。前記方法は、−20〜20℃、好ましくは−10〜10℃の範囲の温度で通常開始され、重合熱の結果として得られる、モノマー含有量に依存する50〜150℃の最大最終温度で、外部加熱なしで大気圧で行われる。共重合の完了後、ゲルとして存在するポリマーの粉砕を一般に行う。実験室規模で共重合を行う場合、粉砕されたゲルは、70〜180℃、好ましくは80〜150℃で対流乾燥炉内で乾燥される。工業規模においてもまた、例えばベルト乾燥機上又は流動層乾燥機内で同じ温度範囲で、連続的に乾燥を行うことができる。
【0050】
更なる好ましい実施態様において、共重合は、有機溶媒における水性モノマー相の逆懸濁重合として行われる。ここで、適切な場合水に溶解されたか若しくは中和されたモノマー混合物は、水性モノマー相が不溶又はやや難溶である有機溶媒の存在下で重合する。好ましくは、共重合は、モノマーに対して0.05〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%の比率で使用される低分子化合物又は高分子化合物に基づく「油中水」エマルジョン剤(W/Oエマルジョン剤)及び/又は保護コロイドの存在下で行われる。W/Oエマルジョン剤及び保護コロイドは、安定剤とも呼ばれる。逆懸濁重合技術において安定剤として知られている通例の化合物、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、混合されたセルロースアセテートブチレートエーテル、エチレンとビニルアセテートとのコポリマー、スチレンとブチルアクリレートとのコポリマー、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、モノラウレート又はモノステアレート、及びプロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシドのブロックコポリマーを使用することが可能である。
【0051】
使用される有機溶媒としては、例えば、直鎖状脂肪族炭化水素(例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン)、分枝状脂肪族炭化水素(イソパラフィン)、脂環式炭化水素(例えばシクロヘキサン、デカリン)、芳香族炭化水素(例えばベンジン、トルエン、キシレン)がある。更に適切な溶媒としては、アルコール類、ケトン類、カルボン酸エステル、ニトロ化合物、ハロゲン含有炭化水素、エーテル及び多くの他の有機溶媒がある。好ましくは、水との共沸混合物を形成する有機溶媒、特に好ましくは共沸物において水の比率が非常に高いものである。
【0052】
水膨潤性コポリマーは、有機懸濁媒質において微粒化水性液滴として膨張形態で最初に得られ、水の除去によって有機懸濁媒質において固体球状粒子として好ましくは単離される。懸濁媒質の除去及び乾燥によって、粉末状固体が残る。逆懸濁重合は、重合条件の変化によって粉末の粒径分布を制御することが可能であり、故に粒径分布を調整するための更なる加工ステップ(微粉砕ステップ)を回避することが通常可能であるという効果があることが知られている。
【0053】
好ましくは、標準edana420.2−02に従って決定される粒径分布が、98質量パーセント以上が200μmのメッシュサイズを有する篩を通るように、特に好ましくは98質量パーセント以上が100μmのメッシュサイズを有する篩を通るようなものであるアニオン性超吸収性コポリマー及びカチオン性超吸収性コポリマーである。非常に特に好ましくは、98質量パーセント超が63μmのメッシュサイズを有する篩を通るものである。
【0054】
粒径分布は、コポリマーの乾燥後に得られた生成物の微粉砕によって設定され得る。大径粒子によって、高吸収性物質の膨張により形成されるヒドロゲルのみが水性建築材料混合物中に存在する視覚的に認識可能な不均質領域が生じることになる。ヒドロゲルの脱混合のリスクも増加することになり、強度発現等の更に重要な性質に悪影響を及ぼす可能性がある。また、使用者にとって望ましくないアフターシックニングの可能性は、大径粒子の場合もよりも大きい。タイル接着剤等の混合のために通例のボール盤又は同様のミキサーによる、例えば建築材料混合物を水と混合した際に生じるもの等の高剪断力は、大径粒子の場合においてもより大きくなる可能性があり、ヒドロゲルの粉砕につながり、従ってシックニング効果(アフターシックニング効果)を担う可溶物又は抽出物の比率の増加につながる。そのため、建築材料混合物の正確な粘稠度の設定は、使用者にとって非常に困難である。剪断安定性の一試験方法として、例えば、本発明によるタイル接着剤を水と混合し、次いでボール盤によって更に30秒間撹拌する方法がある。そのため、スランプ値の変化は、好ましくは最高で0.5cmとするべきである。
【0055】
有利な超吸収性コポリマーは、水性系における完全な水取り込み能を急速に発現させる。同様に、水取り込みが遅いと、建築材料混合物からの水の回収が遅いため、望ましくないアフターシックニングにつながることになる。アフターシックニングが存在するかどうかについて試験するためには、建築材料混合物、例えばタイル添加剤に水を添加し、混合物を撹拌する。好ましくは、スランプ値は、水の添加後3分目〜10分目の間に0.5cm未満だけ変化するものとする。
【0056】
アニオン性超吸収性コポリマー及びカチオン性超吸収性コポリマーの好ましい性質は、水溶液におけるその難溶性、又は、低比率の抽出物だけを有する性質である。抽出物の比率は、超吸収性ポリマーから周囲の水性媒質中に拡散し得る比率である。抽出物の比率の決定方法は、試験方法のセクションにおいて更に詳細に記載される。抽出物の比率は、各場合において高吸収性物質の質量に対して、好ましくは10質量%未満、特に好ましくは9質量%未満、非常に特に好ましくは8質量%未満である。
【0057】
最後になったがおろそかにできないのは、経済理由のために、塩水溶液、特にカルシウムイオンを含有する溶液におけるアニオン性超吸収剤及びカチオン性超吸収剤の取り込み能が、好ましくは非常に高いことである。取り込み能は、取り込まれた液体の質量と乾式高吸収性物質の質量との比(g/gで報告される)と定義され、標準edana440.2−02に従って、方法を変更して、即ち1パーセント濃度のギ酸カルシウム溶液によって、そこでは試験液として示される0.9パーセント濃度の塩化ナトリウム溶液を置き換えて決定される。前記方法については、試験方法のセクションで更に詳細に記載される。ゲル重合方法によって製造される製品の場合、取り込み能は、好ましくは10g/g超、特に好ましくは15g/g超、非常に特に好ましくは20g/g超である。逆懸濁剤重合方法によって製造された製品の場合、同じ方法によって決定される取り込み能は、好ましくは5g/g超、特に好ましくは10g/g超、特に15g/g超である。超吸収性ポリマーは、好ましくはかかる取り込み能を有し、乾式混合物に添加される水の量の10〜40質量%、好ましくは15〜35質量%、特に好ましくは20〜30質量%を取り込むことができる量が乾式混合物中に存在する。アニオン性超吸収性コポリマー及びカチオン性超吸収性コポリマーの両方は、0.02〜2.0質量%、好ましくは0.1〜1.5質量%、特に好ましくは0.2〜1.0質量%の量で乾式混合物中に存在する。アニオン性超吸収性コポリマーは、カチオン性超吸収性コポリマーよりも好ましい。
【0058】
超吸収性コポリマーは、微小領域におけるヒドロゲルとして建築材料混合物中に存在するようなカルシウムイオンを含有する水又は塩溶液を保持する。本発明により使用される比較的安価な超吸収性コポリマーの建築材料混合物の他の成分と比較して非常に少ない量の使用の結果として、(補給)水の量、従ってまた、すぐ使用できる建築材料混合物の体積は、著しく増加させ得る。
【0059】
本発明による超吸収性コポリマーを含有する乾式混合物又は水の添加によって形成される建築材料混合物は、故に、特に高収率を有し、特に経済的に有利であるという効果がある。
【0060】
また、更に通例の添加剤(例えば空気孔形成剤、消泡剤、ポリアクリルアミド、アクリレート系増粘剤、官能性層状珪酸塩、セメント含有系に通例の可塑剤(例えばポリカルボン酸エーテル(PCE)、メラミンホルムアルデヒドスルホネート(MFS)、β−ナフタレン−ホルムアルデヒドスルホネート(BNS))及び繊維(例えばセルロース繊維や合成繊維(例えばアラミド繊維)))は、本発明の乾式混合物中に存在し得る。
【0061】
本発明の特定の一実施態様において、乾式混合物は、
g)スルホ基を含有し、且つ、
g−i)一般式(I)
【化5】

[式中、
1は、上記で定義された通りであり、
2、R3、R4は、各々上記で定義された通りであり、
M及びaは、上記で定義された通りである]の3〜96モルパーセントの構造単位と、
g−ii)一般式(II)
【化6】

[式中、
1は、上記で定義された通りであり、
5及びR6は、各々上記で定義された通りである]の3〜96モルパーセントの構造単位と、
g−iii)一般式(IV)
【化7】

[式中、
1は、上記で定義された通りであり、
基Gは同一又は異なって、各々−COO(Cn2nO)p−R11及び/又は−(CH2q−O(Cn2nO)p−R11であり、
11は、同一又は異なって、各々
【化8】

或いは10〜40個の炭素原子を有する不飽和又は飽和の直鎖状又は分枝状脂肪族アルキル基であり、
12は、同一又は異なって、各々水素、C1〜C6−アルキル基、C1〜C12−アルキル基及びC6〜C14−アリール基を有するアリールアルキル基であり、
nは、同一又は異なって、各々2〜4の整数であり、
pは、同一又は異なって、各々0〜200の整数であり、
qは、同一又は異なって、各々0〜20の整数であり、
rは、同一又は異なって、各々0〜3の整数である]の0.001〜10モルパーセントの構造単位、
及び
g−iv)一般式(V)
【化9】

[式中、
1は、上記で定義された通りであり、
Zは、−(CH2q−O(Cn2nO)p−R13であり、
n、p及びqは、上記で定義された通りであり、
13は、同一又は異なって、各々水素又はC1〜C4−アルキル基である]の0.1〜30モルパーセントの構造単位、
の中から選択される少なくとも1種の更なる構造単位と、を含む0.1〜1.5質量パーセントの水溶性コポリマーを含有する。
【0062】
スルホ基g)を含有する水溶性コポリマーは、以下で更に詳細に記載される。コポリマーg)は、更なる保水剤を示し、上記の多糖類系保水剤と、好ましくは同様に上記で記載された水不溶性アニオン性超吸収性コポリマーfa)とは異なる。スルホ基を含有する水溶性コポリマーは、好ましくは、乾式混合物において粉末形態で使用される。それらの水溶性コポリマーは、一般式I及びIIの構造単位を含有し、少なくとも1種の更なる構造単位は、存在する構造単位IV及びVの中から選択される。具体的には、これは、前記コポリマーが、一般式I、II、IVの構造単位又は一般式I、II、Vの構造単位又は一般式I、II、IV、Vの構造単位を含有することができることを意味する。スルホ基を含有する水溶性コポリマーにおける一般式I及びIIの構造単位の比率は、各場合3〜96モルパーセントの範囲であり、一般式IVの構造単位の比率は、0.001〜10モルパーセントの範囲であり、一般式Vの構造単位の比率は、0.1〜30モルパーセントの範囲である。好ましいコポリマーは、30〜80モルパーセントの一般式Iの構造単位と、5〜50モルパーセントの一般式IIの構造単位とを含有し、更に、0.1〜5モルパーセントの一般式IVの構造単位又は0.2〜15モルパーセントの一般式Vの構造単位、或いは対応する上述した量の構造単位IV及びVの両方を含有する。
【0063】
一般式Iの構造単位は、好ましくは、モノマー(例えば2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2,4,4−トリメチルペンタンスルホン酸、それらのそれぞれの塩化合物)から誘導される。特に好ましくは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩化合物である。
【0064】
一般式IIの構造単位は、好ましくは、モノマー(例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド)から誘導される。
【0065】
一般式IVの構造単位は、好ましくはモノマー(例えばトリスチリルフェノールポリエチレングリコール1100メタクリレート、ベヘニルポリエチレングリコール1100メタクリレート、ステアリルポリエチレングリコール1100メタクリレート、トリスチリルフェノールポリエチレングリコール1100アクリレート、トリスチリルフェノールポリエテングリコール1100モノビニルエーテル、ベヘニルポリエテングリコール1100モノビニルエーテル、ステアリルポリエテングリコール1100モノビニルエーテル、トリスチリルフェノールポリエチレングリコール1100ビニルオキシブチルエーテル、ベヘニルポリエチレングリコール1100ビニルオキシブチルエーテル、トリスチリルフェノールポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコールアリルエーテル、ベヘニルポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコールアリルエーテル、ステアリルポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコールアリルエーテル)から誘導される。
【0066】
一般式Vの構造単位は、好ましくはモノマー(例えばアリルポリエチレングリコール(350〜2000)、メチルポリエチレングリコール(350〜2000)モノビニルエーテル、ポリエチレングリコール(500〜5000)ビニルオキシブチルエーテル、ポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコール(500〜5000)ビニルオキシブチルエーテル及びメチルポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコールアリルエーテル)から誘導される。
【0067】
本発明によって使用されるコポリマーは、フリーラジカル重合、バルク重合、溶液重合、ゲル重合、エマルジョン重合、分散重合又は懸濁重合によって、対応する構造単位I、II、IV及びVから誘導されるモノマーの連結によるそれ自体公知の方法で製造される。スルホ基を含有する水溶性コポリマーg)が50000〜20000000の数平均分子量を有するように構造単位の数を設定することが有利であることが分かった。
【0068】
スルホ基g)を含有する水溶性コポリマーは、好ましくは、0.1〜1.5質量%、特に好ましくは0.3〜1.2質量%、非常に特に好ましくは0.5〜1.0質量%の量で乾式混合物中に存在する。
【0069】
本発明の更なる特定の一実施態様において、本発明の乾式混合物は、
h)
h−i)一般式(VI)
【化10】

[式中、
1は、上記で定義された通りであり、
14及びR15は、各々の場合において同一又は異なって各々互いに独立して水素、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、及び/又は6〜14個の炭素原子を有するアリール基であり、
16は、同一又は異なって各々R14又はR15、−(CH2x−SO3a
【化11】

と同じ置換基であり、
イオンLは、同一又は異なって、各々一価又は二価の金属カチオン、アンモニウムカチオン又は第四級アンモニウムカチオン(NR1141516+であり、
aは、同一又は異なって、各々1/2及び/又は1であり、
基Tは、同一又は異なって、各々酸素、−NH及び/又は−NR14であり、
基Vは、同一又は異なって、各々−(CH2m−、
【化12】

であり、
mは、同一又は異なって、各々1〜6の整数であり、
イオンW-は、同一又は異なって、各々ハロゲン原子、C1〜C4−アルキルサルフェート及び/又はC1〜C4−アルキルスルホネートである]の5〜60モルパーセントの構造単位と、
h−ii)一般式(VIIa)及び/又は(VIIb):
【化13】

[式中、
Qは、同一又は異なって、各々水素又は−CHR1417であり、
1、R14、R15は、Qが水素原子でない場合に一般式(VIIb)のR14及びR15が共に、一般式(VIIb)が以下の構造:
【化14】

[式中、
17は、同一又は異なって、各々水素原子、C1〜C4アルキル基、カルボン酸基及び/又はカルボキシレート基−COOLa(式中、yは、同一又は異なって、各々1〜4の整数であり、L及びaは、各々上記で定義された通りである)]を示すように−CH2−(CH2)y−メチレン基を形成することが可能である場合、各々上記で定義された通りである]を有する20〜80モルパーセントの構造単位と、
h−iii)一般式(VIII)
【化15】

[式中、
基Uは、同一又は異なって、各々−COO(Cn2nO)s−R18及び/又は−(CH2q−O(Cn2nO)s−R18であり、
nは、同一又は異なって、各々2〜4の整数であり、
sは、同一又は異なって、各々1〜200の整数であり、
qは、同一又は異なって、各々0〜20の整数であり、
18は、同一又は異なって、各々
【化16】

であり、
19は、同一又は異なって、各々水素、C1〜C6−アルキル基及び/又はC1〜C12−アルキル基とC6〜C14−アリール基とを有するアリールアルキル基であり、
zは、同一又は異なって、各々1〜3の整数であり、及び
1は、上記で定義された通りである]の0.01〜3モルパーセントの構造単位と、を含む0.1〜1.5質量パーセントの水溶性カチオン性コポリマーを含有する。
【0070】
カチオン性コポリマーh)は、以下で更に詳細に記載される。
【0071】
前記水溶性カチオン性コポリマーh)は、更なる保水剤を示し、上記の多糖類系保水剤及び好ましくは同様に上記で記載された水不溶性カチオン性超吸収性コポリマーfb)とは異なる。好ましくは、水溶性カチオン性コポリマーは、乾式混合物における粉末形態において使用される。これらの水溶性カチオン性コポリマーによって、保水性の相当な向上が、高塩含有率の場合においてもセメント等の水硬性結合剤に基づく水性建築材料系において達成され得る。更に、流体力学的変更、保水能、粘着性及び加工性は、コポリマーの組成物を介して、それぞれの用途について最適に設定され得る。
【0072】
水性建築材料の用途におけるコポリマーの使用のために必要な水への良好な溶解性は、特に一般式VIのカチオン性構造単位によって確保される。一般式VIIa及び/又はVIIbの非荷電性構造単位は、主鎖の構成及び適切な鎖長の達成のために主に必要であるが、一方で一般式VIIIの疎水性構造単位は、所望の製品の性質に有利な会合的肥厚を可能にする。
【0073】
カチオン性コポリマーh)において、一般式VIの構造単位は、好ましくは、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム塩、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム塩、[3−(アクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウム塩、[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウム塩、N−(3−スルホプロピル)−N−メタクリルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3−スルホプロピル)−N−メタクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン及び/又は1−(3−スルホプロピル)−2−ビニルピリジニウムベタインからなる群から選択される1種以上のモノマー種の重合から生じる。前記塩は、好ましくはハライド又はメトサルフェートとして存在する。特に好ましくは、[3−(アクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウム塩及び/又は[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウム塩である。非常に特に好ましくは、[3−(アクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(DIMAPA−Quat)及び/又は[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)である。
【0074】
N,N−ジメチルジアリルアンモニウムクロリド及びN,N−ジエチルジアリルアンモニウムクロリドから誘導される更なるカチオン性構造単位により、一般式VIの最高約15モルパーセントの構造単位を置換することは、原則として可能である。
【0075】
一般式VIIaの構造単位は、好ましくはアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド等の内の1種以上のモノマー種の重合から生じる。構造VIIbの主成分としてのモノマーの例としては、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム及び/又はN−ビニルピロリドン−5−カルボン酸がある。
【0076】
一般式VIIIの構造単位は、好ましくは、トリスチリルフェノールポリエチレングリコール1100メタクリレート、トリスチリルフェノールポリエチレングリコール1100アクリレート、トリスチリルフェノールポリエテングリコール1100モノビニルエーテル、トリスチリルフェノールポリエチレングリコール1100ビニルオキシブチルエーテル及び/又はトリスチリルフェノールポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコールアリルエーテルの内の1種以上のモノマー種の重合から生じる。
【0077】
本発明の好ましい一実施態様において、前記コポリマー中に、一般式VIの構造単位は15〜50モルパーセントの比率で存在し、一般式VIIa及び/又はVIIbの構造単位は30〜75モルパーセントの比率で存在し、一般式VIIIの構造単位は0.03〜1モルパーセントの比率で存在する。
【0078】
一般式VI、VIIa及び/又はVIIb及びVIIIの上述の構造要素に加えて、好ましくは[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ジエチルアミン、[3−(アクリロイルアミノ)プロピル]ジメチルアミン及び/又は[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]ジメチルアミンから誘導される最高40モルパーセントの更なる構造要素が、前記コポリマー中に存在することも可能である。本発明によるコポリマーh)は、フリーラジカル重合によって、一般式VI、VIIa及び/又はVIIb及びVIIIの構造単位を形成するモノマー及び適切な場合更なるモノマーの連結により、それ自体公知の方法で好ましくは製造される。本発明によって使用される生成物が水溶性コポリマーであることから、水相重合、逆エマルジョン重合又は逆懸濁重合が好ましい。有利には、前記コポリマーは、水相におけるゲル重合によって製造される。
【0079】
水溶性カチオン性コポリマーh)の数平均分子量が50000〜20000000になるように構造単位の数を設定することが有利であることが分かった。
【0080】
好ましくは、水溶性カチオン性コポリマーh)は、0.1〜1.5質量%、特に好ましくは0.3〜1.2質量%、非常に特に好ましくは0.5〜1.0質量%の量で乾式混合物中に存在する。
【0081】
本発明の乾式混合物を水と混合することによって、すぐ使用できる建築材料混合物が得られる。いかなる超吸収性コポリマーも含有しない乾式混合物と比較して、これらは、必要水量が増加する。一方、建築材料系の必要水量は、乾式混合物の成分の種類及び量並びにそれぞれの使用要件によって決定される。
【0082】
本発明の建築材料混合物は、DIN EN12004によるタイル接着剤として、封止スラリー、EN13888による目地材、EN1504による補修モルタル、へら付け充填剤、パーケット接着剤、均展組成物、プラスター又はEN998−1による下塗りとして、並びにEN13499及びEN13500による複合断熱系(WDVS)のための接着剤モルタル又は強化性モルタルとして好ましくは使用される。補修モルタルは、例えば損傷されたモルタルの補修もしくは交換のためのモルタルを表す。へら付け充填剤は、例えば後続の、平坦な表面(壁もしくは床)を得るための下地の処理のために役立つ。複合断熱系は、工場で生産された断熱材を主に使用して現場で使用される断熱系である。補強のためには、接着剤モルタルが使用され、機械的補強(強化)を担うべきであれば、強化性モルタルといわれる。
【0083】
実施例
試験方法
超吸収性コポリマーの取込み能の決定
衛生産業のために策定された標準edana440.2−02に従って、方法を変更して、即ち1パーセント濃度のギ酸カルシウム溶液によって、そこでは試験液として示される0.9パーセント濃度の塩化ナトリウム溶液を置き換えて、本発明による超吸収剤の取込み能の決定を行う。この方法(「ティーバッグ試験」とも呼ばれる)は、定められた量(約200mg)の超吸収性ポリマーをティーバッグ内にまとめ、1パーセント濃度のギ酸カルシウム溶液中に30分間浸すことによって行う。続いてティーバッグを5分間滴らせ、秤量する。同時に、超吸収性ポリマーを有さないティーバッグをブランクとして試験する。取込み能を算出するために、以下の式を用いる。
【0084】
取込み能=(最終質量−ブランク−初期質量)/初期質量(g/g)
超吸収性コポリマーにおける抽出物の比率の決定
0.9パーセント濃度の塩化ナトリウム溶液における超吸収性コポリマーの抽出によって抽出物の比率を決定し、続いて全有機炭素を決定する(TOCの決定)。この目的のために、1リットルの0.9質量パーセント濃度の塩化ナトリウム溶液中で1.0gの超吸収性ポリマーを16時間静置し、続いて濾過する。濾過液のTOC含有率の決定後、超吸収性ポリマーの公知の炭素含有率によって抽出物の比率を算出する。
【0085】
II 超吸収性コポリマーの合成
コポリマー1(アニオン性超吸収性コポリマー)
撹拌機及び温度計を備えた2−1三つ口フラスコに160gの水を入れ、続いて352.50g(0.74モル、28モル%)の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩(水において50質量%濃度溶液)と、286.40g(2.0モル、72モル%)のアクリルアミド(水において50質量%濃度溶液)と、0.3g(0.0021モル、0.08モル%)のメチレンビスアクリルアミドとを連続して添加した。20%濃度の水酸化ナトリウム溶液によりpHを7に設定し、30分間窒素で洗浄後、混合物を約5℃に冷却した。15cm・10cm・20cmの寸法(w・d・h)を有するプラスチック容器に溶液を移し、続いて16gの1パーセント濃度の2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド溶液と、20gの1パーセント濃度のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液と、0.7gの1パーセント濃度のRongalit C溶液と、16.2gの0.1パーセント濃度のtert−ブチルヒドロペルオキシド溶液と、2.5gの0.1パーセント濃度の硫酸鉄(II)七水和物溶液とを連続して添加した。紫外線の放射(2本のPhilipsチューブ;Cleo Performance 40W)によって共重合を開始した。約2時間後、その時点で固まっているゲルをプラスチック容器から取り出し、鋏で約5cmのエッジ長を有する立方体に切断した。ゲル立方体に剥離剤Sitren595(ポリジメチルシロキサンエマルジョン;Goldschmidt)を塗布した後、従来のミンサーで微粉砕した。剥離剤は、1:20の比で水により希釈したポリジメチルシロキサンエマルジョンであった。得られたコポリマー1のゲル顆粒を乾燥メッシュ上に均一に分布させ、対流乾燥炉内で約120〜140℃で恒量になるまで乾燥した。これにより約375gの白色の固い顆粒が得られ、これを遠心ミルによって粉末状状態に転化した。ポリマー粉末の平均粒径は30〜50μmであり、63μmのメッシュサイズを有する篩を通らない粒子の比率は2質量%未満だった。
【0086】
1パーセント濃度のギ酸カルシウム溶液におけるコポリマー1の取込み能は32g/gであり、抽出物の比率は7.0パーセントである。生成物は、剪断機の主成分であることが分かり、特に、例えばタイル接着剤においてアフターシックニングを示さない。
【0087】
コポリマー1は、4分間以内にその最大吸水能に達し、その時間は、セメント含有建築材料混合物を水と混合する通例の時間にほとんど対応する。
【0088】
コポリマー2(カチオン性超吸収性コポリマー)
撹拌機及び温度計を備えた2−1三つ口フラスコに276.5gの水を入れ、続いて246.90g(0.72モル、27モル%)のDIMAPA−Quat(水において60質量%濃度溶液)と、262.60g(1.84モル、73モル%)のアクリルアミド(水において50質量%濃度溶液)と、0.3g(0.0021モル、0.08モル%)のメチレンビスアクリルアミドとを連続して添加した。20%濃度の水酸化ナトリウム溶液によりpHを7に設定し、30分間窒素で洗浄後、混合物を約5℃に冷却した。15cm・10cm・20cmの寸法(w・d・h)を有するプラスチック容器に溶液を移し、続いて16gの1パーセント濃度の2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド溶液と、20gの1パーセント濃度のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液と、0.7gの1パーセント濃度のRongalit C溶液と、16.2gの0.1パーセント濃度のtert−ブチルヒドロペルオキシド溶液と、2.5gの0.1パーセント濃度の硫酸鉄(II)七水和物溶液とを連続して添加した。紫外線の放射(2本のPhilipsチューブ;Cleo Performance 40W)によって共重合を開始した。約2時間後、固まっているゲルをプラスチック容器から取り出し、コポリマー1について上記に記載されたものと同じ方法で更に処理した。これにより約375gの白色の固い顆粒が得られ、これを遠心ミルによって粉末状状態に転化した。ポリマー粉末の平均粒径は30〜50μmであり、63μmのメッシュサイズを有する篩を通らない粒子の比率は2質量%未満だった。1パーセント濃度のギ酸カルシウム溶液におけるコポリマー2の取込み能は29g/gであり、抽出物の比率は9.0パーセントである。
【0089】
比較ポリマー1
比較ポリマー1(即ちBASF AGのLuquasorb(登録商標)3746SX)は、部分的に中和された架橋ポリアクリル酸ナトリウムである。1パーセント濃度のギ酸カルシウム溶液において、ゲルは潰れ、即ち吸収能の事実上の完全な喪失が生じる。
【0090】
比較ポリマー2
比較ポリマー2(即ちBASF AGのLuquasorb(登録商標)AF2)は、アクリルアミド及びアクリル酸の架橋コポリマーであり、アクリル酸が水酸化ナトリウムによって中和されたものである。63μmのメッシュサイズを有する篩を通らない粒子の比率が2質量%未満になるように、遠心ミルによって商品Luquasorb(登録商標)AF2(1000〜3000μm)を粉砕した。ゲル重合方法によって生成物を製造した。
【0091】
1パーセントのギ酸カルシウム溶液において、取込み能は10g/gである。
【0092】
III 使用試験
タイル接着剤モルタル(第1表)
タイル接着剤モルタルを試験するために、DIN EN1308による「石器質タイルの滑り」試験を行った。DIN EN12004によるクラス「T」の要件、即ち0.5mm未満の滑り量を満たした場合、混合物の粘稠度は、タイル接着剤についての実施において許容し得ると考えられた。
【0093】
対応する試験において、第1表の1kgの水硬性タイル接着剤モルタルを、各々の場合において、標準ミキサー内で適量の水と混合した。上述した滑らない要件を満たす粘稠度が依然として得られる最大量の水を、各場合において決定した。これらの値を、第1表において水/乾式混合物比として報告する。
【0094】
第1表に試験の結果をまとめる。
【0095】
【表1】

1)Vinnapas(登録商標)RE5028(Wacker Chemie AG(ブルクハウゼン))
2)Culminal(登録商標)MHPC60000(室温での水における2%溶液の粘性は60000mPasである)(Aqualon(デュッセルドルフ))
比較例1(高吸収性物質を有さない)及び比較例2、3(それぞれ比較超吸収剤を有する)に対して、依然として標準1308(タイル接着剤モルタルの滑脱抵抗力)を満たすと共に実施例1の本発明のコポリマー1による高吸収性物質の場合に使用され得る水の最大量は、著しくより高い。従って、収率は著しくより高い。比較例2及び3の必要水量は、比較例1(高吸収性物質を有さない)に近く、即ち比較例2及び3の発明によるものではない超吸収剤は、非常に小さな吸水能を有する。
【0096】
石器質タイルの修復性は、接着剤層に設置した後、特定の時間間隔(通常5、10又は15分間)の後に、強く水を吸収するタイルの位置を修正することが簡単にできるのか、若しくは困難を伴ってできるのかを示す試験である。10分後の修復性は、少なくとも比較例1よりも向上する。
【0097】
同様に、表皮形成時間は、比較例1よりも向上し、実施例1の補給水の量がより大きいもかかわらず、比較例2と同様の表皮形成時間が認められた。表皮形成時間は、皮膜が接着剤の層上に形成された後のタイル接着剤モルタルの補給後の時間と定義する。それは、視覚的に決定する。第1表のタイル接着剤の気孔含有率は、21〜24パーセントの範囲であった。
【0098】
タイルの滑脱抵抗力に関する要件を依然として満たす360g/kgの水/乾式混合物の一定の質量比で、種々の貯蔵条件及び接着剤の風乾時間の後のEN1348による接着性引張力を、2次試験においてタイル接着剤モルタルについて同様に決定した。表2に、得られた結果の概要を示す。
【0099】
【表2】

1)Vinnapas(登録商標)RE5028(Wacker Chemie AG(ブルクハウゼン))
3)Culminal(登録商標)MHPC20000(室温での水における2%溶液の粘性は20000mPasである)(Aqualon(デュッセルドルフ))
4)Tylovis(登録商標)SE7(SE Tylose GmbH&Co.KG(ヴィースバーデン))
本発明によるアニオン性(実施例2及び3)超吸収性コポリマー及び本発明によるカチオン性(実施例4及び5)超吸収性コポリマーの使用の結果として、比較例4及び5で生じるものと同じ、接着剤引張力の悪化がない乾式混合物に対する水の比で、再乳化形ポリマー粉末(ビニルアセテート−エチレンコポリマー)の量を半分にすることが可能だった。特に乾式貯蔵、熱間貯蔵の場合、30分後(接着剤風乾時間)の接着剤引張力の試験において、比較例4及び5についての接着剤引張力は、著しく悪化した。従って、比較ポリマー1(比較例5)は、本発明によって生じるような効果を有さない。比較例3は、本発明による実施例のものと同様の良好な接着剤引張力が、より高く、従って経済的に好ましくない量の再乳化形ポリマー粉末の使用のみで達成され得ることを示す。更なる利点として、使用されるセルロースエーテルの量は、本発明による実施例において、いくらか低減している可能性があった。接着剤風乾時間(実施例2〜5)についての結果は、著しく向上した比較例4及び5と比べて、大量の再乳化形ポリマー粉末を使用する比較例3よりもいくぶん良好である。
【0100】
複合断熱系(第3表)
同様に、WDVSについて、接着剤引張力及び接着剤風乾時間を決定した。第3表に結果をまとめる。
【0101】
【表3】

1)Vinnapas(登録商標)RE5028(Wacker Chemie AG(ブルクハウゼン))
3)Culminal(登録商標)MHPC20000(室温での水における2%溶液の粘性は20000mPasである)(Aqualon(デュッセルドルフ)から)
WDVS接着剤及び本発明による強化性モルタルの場合、本発明によるアニオン性コポリマー1(実施例6及び7)又は本発明によるカチオン性ポリマー2(実施例8及び9)を使用することと、再乳化形ポリマー粉末の量の半分にすることとには、接着剤引張力へのいかなる悪影響もなかった(比較例6と比べて)。特に、接着剤引張力は、比較例7とは対照的に、乾式貯蔵の間、及び、熱間貯蔵の間に悪化しない。比較例6は、再乳化形分散粉末の量が相対的に大きいため、経済的な好ましさはより低い。接着剤風乾時間及び20分後の接着剤引張力は、比較例7と比べて、本発明による実施例6〜9において大幅に向上する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)10〜95質量パーセントのセメント含有水硬性結合剤と、
b)5〜75質量パーセントの無機充填剤及び/又は有機充填剤と、
c)0.5〜10質量パーセントの再乳化形ポリマー粉末と、
d)0.1〜1.5質量パーセントの多糖構造系保水剤と、
e)好ましくは、ギ酸カルシウム、塩酸カルシウム、硝酸カルシウムからなる群から選択される0.3〜4.0質量パーセントの凝結促進剤と、を含み、且つ、
a)0.02〜2.0質量パーセントのアニオン性粉末状コポリマーであって、前記コポリマーが、
a−i)スルホン酸基を含有し、且つ、一般式(I)
【化1】

[式中、
1は、同一又は異なって、各々水素又はメチル基であり、
2、R3、R4は、各々の場合同一又は異なって、各々互いに独立して水素、1〜6個の炭素原子を有する脂肪族分枝状又は非分枝状炭化水素基、及び/又は6〜14個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基であり、
Mは、同一又は異なって各々水素、一価又は二価の金属カチオン、又はアンモニウムイオンであり、
aは、同一又は異なって各々1/2及び/又は1である]を有する10〜70モルパーセントの構造単位と、
a−ii)(メタ)アクリルアミド基を含有し、且つ、一般式(II)
【化2】

[式中、
1は、上記で定義された通りであり、
5及びR6は、各々の場合において同一又は異なって各々互いに独立して水素、1〜20個の炭素原子を有する分枝状又は非分枝状脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、及び/又は6〜14個の炭素原子を有するアリール基である]を有する30〜90モルパーセントの構造単位と、
a−iii)2個以上のフリーラジカル重合性エチレン性不飽和ビニル基を有するモノマー化合物から誘導される0.03〜1モルパーセントの構造単位と、を含む、コポリマー、
或いは、fa)に代わるものとして、
b)0.02〜2.0質量パーセントのカチオン性粉末状コポリマーであって、前記コポリマーが、
b−i)四級化窒素原子を含有し、且つ、一般式(III)
【化3】

[式中、
1は、上記で定義された通りであり、
7、R8、R9、R10は、各々の場合同一又は異なって、各々互いに独立して水素、1〜20個の炭素原子を有する分枝状又は非分枝状脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、及び/又は6〜14個の炭素原子を有するアリール基であり、
mは、同一又は異なって、各々1〜6の整数であり、
基Xは、同一又は異なって、各々酸素及び/又はN−R10であり、
イオンY-aは、同一又は異なって、各々ハライド、C1〜C4アルキルサルフェート、C1〜C4アルキルスルホネート又はサルフェートであり、
aは、同一又は異なって各々1/2及び/又は1のいずれかである]を有する10〜70モルパーセントのカチオン単位と、
b−ii)(メタ)アクリルアミド基を含有し、且つ、一般式(II)
【化4】

[式中、
1は、上記で定義された通りであり、
5及びR6は、各々上記で定義された通りである]を有する30〜90モルパーセントの構造単位と、
b−iii)好ましくは2個以上のフリーラジカル重合性エチレン性不飽和ビニル基を有するモノマー化合物から誘導される0.03〜1モルパーセントの構造単位と、を含む、コポリマーのいずれかを含むことを特徴とする水硬性乾式混合物。
【請求項2】
セメント含有水硬性結合剤が、ポルトランドセメントとして存在し、且つ、好ましくはCEM I、II、III、IV及びVの種類及び/又はアルミナセメント(アルミネートセメント)の中から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の水硬性乾式混合物。
【請求項3】
無機充填剤が、珪砂及び/又は粉砕石灰岩として存在するか、或いは、軽量充填剤、特に空洞ガラスマイクロスフェア(例えば泡ガラス)として、及びアルミノシリケート(例えばパーライトや発泡粘土)として、及び/又は天然多孔質充填剤(例えば無機泡、軽石、発泡溶岩、膨張バーミキュライト)として存在することを特徴とする、請求項1又は2に記載の水硬性乾式混合物。
【請求項4】
再乳化形ポリマー粉末が、ビニルアセテートポリマー、ビニルアセテート−エチレンコポリマー、ビニルアセテート−ビニルエステルコポリマー及び/又はビニルアセテート−ビニルエステル−エチレンコポリマーとして存在し、ビニルエステルモノマーが、各場合においてビニルラウレート、ビニルピバレート及びビニルバーサテートからなる群から選択され、更に、ビニルアセテート−アクリル酸エステルコポリマー、ビニルアセテート−アクリル酸エステル−エチレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー及びスチレン−アクリル酸エステルコポリマーとして存在し、アクリル酸エステルが、各場合において1〜10個の炭素原子を有する分枝状又は非分枝状アルコール類のエステルであることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の水硬性乾式混合物。
【請求項5】
多糖類構造系保水剤が、メチルヒドロキシエチルセルロース及び/又はメチルヒドロキシプロピルセルロースとして存在することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の水硬性乾式混合物。
【請求項6】
アニオン性コポリマーにおいてスルホン酸基を含有し、且つ、一般式(I)を有する構造単位が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び/又はその塩から誘導されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の水硬性乾式混合物。
【請求項7】
カチオン性コポリマーにおいて第四級窒素原子を含有し、且つ、一般式(III)を有するカチオン性構造単位が、[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウム塩及び/又は[3−(アクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウム塩から誘導されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の水硬性乾式混合物。
【請求項8】
(メタ)アクリルアミド基を含有し、且つ、一般式(II)を有する構造単位が、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタクリルアミド及び/又はN,N−ジメチルアクリルアミドから誘導されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の水硬性乾式混合物。
【請求項9】
2個以上のエチレン性不飽和ビニル基を有するモノマー化合物から誘導される構造単位が、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルアミン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド及び/又はN,N’−メチレンビスメタクリルアミドから誘導されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の水硬性乾式混合物。
【請求項10】
アニオン性粉末状コポリマーが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸から誘導される20〜50モルパーセントの構造単位と、アクリルアミドから誘導される50〜80モルパーセントの構造単位とを含有し、且つ、架橋剤モノマーが、トリアリルアミン及び/又はN,N’−メチレンビスアクリルアミドであることを特徴とする、請求項1から6、8及び9までのいずれか一項に記載の水硬性乾式混合物。
【請求項11】
カチオン性粉末状コポリマーが、[3−(アクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドから誘導される20〜50モルパーセントの構造単位と、アクリルアミドから誘導される50〜80モルパーセントの構造単位とを含有し、且つ、架橋剤モノマーが、トリアリルアミン及び/又はN,N’−メチレンビスアクリルアミドであることを特徴とする、請求項1から5、7、8及びまでのいずれか一項に記載の水硬性乾式混合物。
【請求項12】
g)スルホ基を含有し、且つ、
g−i)一般式(I)
【化5】

[式中、
1は、上記で定義された通りであり、
2、R3、R4は、各々上記で定義された通りであり、
M及びaは、上記で定義された通りである]の3〜96モルパーセントの構造単位と、
g−ii)一般式(II)
【化6】

[式中、
1は、上記で定義された通りであり、
5及びR6は、各々上記で定義された通りである]の3〜96モルパーセントの構造単位と、
g−iii)一般式(IV)
【化7】

[式中、
1は、上記で定義された通りであり、
基Gは同一又は異なって、各々−COO(Cn2nO)p−R11及び/又は−(CH2q−O(Cn2nO)p−R11であり、
11は、同一又は異なって、各々
【化8】

或いは10〜40個の炭素原子を有する不飽和又は飽和の直鎖状又は分枝状脂肪族アルキル基であり、
12は、同一又は異なって、各々水素、C1〜C6−アルキル基、C1〜C12−アルキル基及びC6〜C14−アリール基を有するアリールアルキル基であり、
nは、同一又は異なって、各々2〜4の整数であり、
pは、同一又は異なって、各々0〜200の整数であり、
qは、同一又は異なって、各々0〜20の整数であり、
rは、同一又は異なって、各々0〜3の整数である]の0.001〜10モルパーセントの構造単位、
及び
g−iv)一般式(V)
【化9】

[式中、
1は、上記で定義された通りであり、
Zは、−(CH2q−O(Cn2nO)p−R13であり、
n、p及びqは、上記で定義された通りであり、
13は、同一又は異なって、各々水素又はC1〜C4−アルキル基である]の0.1〜30モルパーセントの構造単位、
の中から選択される少なくとも1種の更なる構造単位と、を含む0.1〜1.5質量パーセントの水溶性コポリマーを含有する、請求項1から11までのいずれか一項に記載の水硬性乾式混合物。
【請求項13】
h)
h−i)一般式(VI)
【化10】

[式中、
1は、上記で定義された通りであり、
14及びR15は、各々の場合において同一又は異なって各々互いに独立して水素、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、及び/又は6〜14個の炭素原子を有するアリール基であり、
16は、同一又は異なって各々R14又はR15、−(CH2x−SO3a
【化11】

と同じ置換基であり、
イオンLは、同一又は異なって、各々一価又は二価の金属カチオン、アンモニウムカチオン又は第四級アンモニウムカチオン(NR1141516+であり、
aは、同一又は異なって、各々1/2及び/又は1であり、
基Tは、同一又は異なって、各々酸素、−NH及び/又は−NR14であり、
基Vは、同一又は異なって、各々−(CH2m−、
【化12】

であり、
mは、同一又は異なって、各々1〜6の整数であり、
イオンW-は、同一又は異なって、各々ハロゲン原子、C1〜C4−アルキルサルフェート及び/又はC1〜C4−アルキルスルホネートである]の5〜60モルパーセントの構造単位と、
h−ii)一般式(VIIa)及び/又は(VIIb):
【化13】

[式中、
Qは、同一又は異なって、各々水素又は−CHR1417であり、
1、R14、R15は、Qが水素でない場合に一般式(VIIb)のR14及びR15が共に、一般式(VIIb)が以下の構造:
【化14】

[式中、
17は、同一又は異なって、各々水素原子、C1〜C4アルキル基、カルボン酸基及び/又はカルボキシレート基−COOLa(式中、yは、同一又は異なって、各々1〜4の整数であり、L及びaは、各々上記で定義された通りである)]を示すように−CH2−(CH2)y−メチレン基を形成することが可能である場合、各々上記で定義された通りである]を有する20〜80モルパーセントの構造単位と、
h−iii)一般式(VIII)
【化15】

[式中、
基Uは、同一又は異なって、各々−COO(Cn2nO)s−R18及び/又は−(CH2q−O(Cn2nO)s−R18であり、
nは、同一又は異なって、各々2〜4の整数であり、
sは、同一又は異なって、各々1〜200の整数であり、
qは、同一又は異なって、各々0〜20の整数であり、
18は、同一又は異なって、各々
【化16】

であり、
19は、同一又は異なって、各々水素、C1〜C6−アルキル基及び/又はC1〜C12−アルキル基とC6〜C14−アリール基とを有するアリールアルキル基であり、
zは、同一又は異なって、各々1〜3の整数であり、及び
1は、上記で定義された通りである]の0.01〜3モルパーセントの構造単位と、を含む0.1〜1.5質量パーセントの水溶性カチオン性コポリマーを含有する、請求項1から12までのいずれか一項に記載の水硬性乾式混合物。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか一項に記載の水硬性乾式混合物を含有する、建築材料混合物。
【請求項15】
DIN EN12004によるタイル接着剤として、封止スラリーとして、EN13888による目地材として、EN1504による補修モルタルとして、へら付け充填剤として、パーケット接着剤として、均展組成物として、EN998−1によるプラスターとして、並びにEN13499及びEN13500による複合断熱系(WDVS)のための接着剤モルタル又は強化性モルタルとしての請求項14に記載の建築材料混合物の使用。

【公表番号】特表2010−530907(P2010−530907A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511556(P2010−511556)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/055138
【国際公開番号】WO2008/151878
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】