説明

ポリマー酸でブロックされた第三級アミン

触媒を生じさせるための方法および組成物を提供する。1つの面では、少なくとも1種の第三級アミンと少なくとも1種のポリマー酸を混合することで本触媒を生じさせる。前記触媒は特にポリウレタンフォームの重合で用いるに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2007年1月19日付けで出願した米国仮出願60/881,282の権益を主張するものである。
【0002】
本発明は、ポリマー酸1種または2種以上でブロックされた第三級アミン1種または2種以上をポリウレタンフォーム製造時に触媒として用いる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
典型的なポリウレタン重合方法は、イソシアネートとポリオールと場合により触媒を一緒にすることを含んで成る。他の通常の材料(添加剤および/または助剤)をポリウレタン製造時に用いることも可能である。それらには、界面活性剤(気泡開放時間を制御する目的)、架橋または鎖延長剤(例えば低分子量の化合物、例えばジオール、トリオールおよびジアミン)、難燃剤(例えばハロゲン置換アルキルホスフェート)、充填剤および顔料もしくは着色剤が含まれる。フォームの気泡を安定化または調節する目的でフォーム安定剤、例えばポリシロキサン−ポリアルキレンオキサイドブロック共重合体などを用いることも可能である。
【0004】
いくつかの態様では、触媒を用いることでイソシアネートとポリオールの間の反応速度を調節することができる。また、ポリウレタンフォームの密度および硬度を調節するのも好ましい可能性がある。そのような態様では、発泡剤、例えば水などをイソシアネートと一緒にすることで二酸化炭素を発生させかつ尿素ポリマーもしくはコポリマーを生じさせることができる。その生じる尿素ポリマーもしくはコポリマーの量および速度によってフォーム全体の密度が影響を受け、その範囲は一般に1立方フィート当たり約0.3ポンド(pcf)から約30pcfの範囲であり得る。このように、発泡剤とイソシアネートの間の反応速度を調節することによってフォームの密度および硬度を調節することができる。
【0005】
本開示の目的で、「ゲル化用触媒」はポリオールとイソシアネートの反応速度を調節する目的で用いる材料であると定義する。本開示の目的で、「発泡用触媒」は発泡剤とイソシアネートの反応速度を調節する目的で用いる材料であると定義する。ゲル化用触媒および発泡用触媒は同じもしくは異なる第三級アミン1種または2種以上または金属のカルボン酸塩1種または2種以上のいずれかであり得る。
【0006】
従って、必要とされる方法は、発泡用触媒およびゲル化用触媒の反応性を調節する方法である。蟻酸は、第三級アミンが示す触媒作用を阻止または遅らせるに有効であり、正にそのような目的で用いられる。しかしながら、蟻酸が示す腐食性質およびそれから生じるアミン塩がそのような方策の妨げになっている。腐食性が低くて分子量がより高い他の酸、例えばヒドロキシル含有酸、ハロカルボン酸またはクロロ−ヒドロキシル酸などが提案された。例えば、N,N−ジメチルアミノエタノールおよびジカルボン酸を混合物が示すpH値が8から11になるように用いてポリエステルフォームを製造することが特許文献1に開示されており、ヒドロキシル官能基を有するカルボン酸の第三級アミン塩を用いることが特許文献2に開示されており、いろいろな酸でブロックされている第三級アミノアルキルアミドの使用が特許文献3に開示されており、特定の第三級アミン、ヒドロキシル−カルボン酸と特定の反応性第三級アミンの少なくとも1種のカルボン酸塩とアミンの混合物およびハロカルボン酸塩の使用が特許文献4に開示されており、酸グラフト化ポリエーテルポリオールを反応性調節剤として用いることが特許文献5に開示されており、官能
基をポリマー鎖の末端部に有するモノもしくはジ酸であるポリエーテル酸[前記ポリマー鎖は繰り返しアルコキシ基を持つようにエチレンもしくはプロピレンオキサイドから生じさせた鎖であり、モノ酸の場合のもう一方の末端基はアルキルもしくはヒドロキシル官能であり得る]の使用が特許文献6に開示されており、第三級アミノ酸のアミン塩をポリウレタン製造時に遅延作用触媒として用いることが特許文献7に開示されており、そして第四級アンモニウム塩のカルボン酸塩をポリウレタンフォーム製造用遅延作用触媒として用いることが特許文献8および9に開示されている。
【0007】
しかしながら、この上に示した酸は毒性がある可能性がありかつブロックされていない第三級アミンに比べてもたらす放出量がより高いことが示されている。そのような酸の追加的欠点は、Diemler Chrysler標準試験PV3410で試験した時の湿潤老化張力値(humid aged tensile values)が一般に劣る点にある。その上、数多くの政府が酸に対する第三級アミンの量の如何なる変化も登録しかつ承認を受けることを要求しており、それによって、それを商業的レベルで用いる時の費用および複雑さが劇的に増す。
【0008】
従って、必要とされているフォームは、硬化速度が改善され、湿潤老化圧縮永久歪みがより低く、例えばVDA 278方法などによる放出量がより低いフォームであり、かつ発泡開始の開始時間を遅くすることで鋳型サイクル時間(mold cycle times)がより短いフォームを生じさせるか或はクリーム時間(cream time)を遅くすることで液体がフォーム混合物の鋳型の中に分布する度合を向上させることが求められている。また、公知ポリマーと公知第三級アミンの混合物に関する費用のかかる登録の数を減少させることができれば、それも好ましいことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第2,932,621号
【特許文献2】米国特許第5,489,618号
【特許文献3】米国特許第6,835,757号
【特許文献4】米国特許第6,387,972号
【特許文献5】米国特許第4,701,474号
【特許文献6】米国特許第4,785,027号
【特許文献7】米国特許第4,232,152号
【特許文献8】米国特許第4,040,992号
【特許文献9】米国特許第4,582,861号
【発明の概要】
【0010】
発明の要約
定義
本開示の目的で、用語「モノマー」は、別の分子、好適には別のモノマー分子の二重結合と反応し得る二重結合を1個含有する材料のいずれかであると定義する。
【0011】
本開示の目的で、用語「不飽和酸」および「無水物」は、二重結合を少なくとも1個含有しかつそれ自身または別の酸もしくは無水物含有モノマーまたは本明細書に記述する酸を含有しないモノマーのいずれかと重合して少なくとも3個の繰り返し単位をもたらし得る酸のいずれかであると定義する。適切な不飽和酸および無水物には、アクリル酸(プロペン酸)、マレイン酸および無水物、フロ酸(ピロ粘液酸)、フマル酸(ボレチン酸、リケン酸、アロマレイン酸、トランスブテン二酸)、ソルビン酸(2−4ヘキサジエン酸)、チグリン酸(メチルクロトン酸、クロトノール酸、トランス−2−メチル−2−ブテン酸)、リノール酸、リノレン酸、リカン酸(4−ケト−9,11,13−オクタデカトリエン酸)、およびエチレン系不飽和モノマーもしくはダイマーと反応し得る二重結合を含有する他の酸が含まれる。
【0012】
本開示の目的で、用語「ポリマー酸」を下記の2様式で定義する。1番目として、「ポリマー酸」は、不飽和カルボン酸もしくは無水物のいずれかの同じ繰り返しモノマーを3個以上含有する材料のいずれかである。2番目として、「ポリマー酸」は、少なくとも2種類の繰り返しモノマーを含有していて1番目のモノマーが不飽和カルボン酸もしくは無水物のいずれかでありそして2番目のモノマーが異なるモノマーである材料のいずれかである。このように、1番目のモノマーが不飽和カルボン酸である態様における2番目の異なるモノマーは異なる不飽和カルボン酸、無水物または別のモノマーであり得る。別法として、1番目のモノマーが無水物である態様における2番目の異なるモノマーは不飽和カルボン酸、異なる無水物または別のモノマーであり得る。そのような不飽和カルボン酸もしくは無水物モノマーの好適な代替モノマーはビニルモノマーである。適切なビニルモノマーには、スチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、アクリロニトリル、塩化ビニルなどが含まれる。
【0013】
本開示の目的で、用語「第三級アミン」は、第三級アミノ基を1個以上含有する有機材料のいずれかであるとして定義する。適切な「第三級アミン」には、ゲル化用触媒として用いるに適するとして一般に受け入れられているそれら、例えばトリエチレンジアミン;置換イミダゾール、例えば1−2ジメチルイミダゾール、1−メチル−2−ヒドロキシエチルイミダゾールなど;N,N’ジメチルピペラジンもしくは置換ピペラジン、例えばアミノエチルピペラジンまたはビス(N−メチルピペラジン)エチル尿素またはN,N’,N’トリメチルアミノエチルピペラジンなど;N−メチルピロリジンおよび置換メチルピロリジン、例えば2−アミノエチル−N,メチルピロリジンまたはビス(N−メチルピロリジン)エチル尿素など;または他の第三級アミノアルキル尿素もしくはビス(第三級アミノアルキル)尿素、例えばN,N−(3−ジメチルアミノプロピル)尿素など;3−ジメチルアミノプロピルアミン;N,N,N”,N”テトラメチルジプロピレントリアミン;N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)1−3プロパンジアミン;N,N−ジメチルアミノ−N’,N’ビス(ヒドロキシル−(2)−プロピルプロピレン(1,3)ジアミン;テトラメチルグアニジン;ジメチルアミノプロピルアミン,1,2ビス−ジイソプロパノール(3−ジメチルアミノプロピルアミン)、置換ピペリジンおよびアミノトリアジン、例えばN,Nジメチルアミノプロピル−S−トリアジンなどが含まれる。他の適切な「第三級アミン」には、発泡用触媒として用いるに適するとして一般に受け入れられているそれら、例えばN−アルキルモルホリン、例えばN−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−ブチルモルホリンおよびジモルホリノジエチルエーテルなど;N,Nジエチルアミノエタノール;N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール;ビス(ジメチルアミノプロピル)−アミノ−2−プロパノール;ビス(ジメチルアミノ)−2−プロパノール;ビス(N,N−ジメチルアミノ)エチルエーテル;N,N,N’トリメチル−N’ヒドロキシエチル−ビス−(アミノエチル)エーテル;N,Nジメチルアミノエチル−N’−メチルアミノエタノール;テトラメチルイミノビスプロピルアミン、またはFlexible Urethane Foams、Heerington、Dow、1991
;High Polymers、XVI巻 Polyurethanesパート1および2、SaundersおよびFrisch、Intersience Publishers、1962および1964およびPlastics Handbook、Polyurethanes、VII巻、Hanser−Verlag、MunichおよびVienna、第一および第二版1966および1983(これらの開示は引用することによって全部本明細書の開示に一致する度合で完全に本明細書に組み入れられる)に記述されている如き他の第三級アミンが含まれる。他の適切なさらなる第三級アミンには、The Polyurethane Book、9章、Robert Zimmerman、2002またはJournal of Cellular Plastics、28巻、1992、360から398頁(これらの開示は引用することによって両方とも本明細書の開示に一致する度合で完全に本明細書に組み入れられる)に記述されているそれらが含まれる。適切なさらなる第三級アミンには、この上に記述した第三級アミンいずれかの混合物および組み合わせが含まれ、それには様々なゲル化用触媒と発泡用触媒を含有して成る混合物が含まれる。
【0014】
1つの態様において、本発明はポリウレタンフォームの製造方法に関する。この方法は、ポリマー酸と第三級アミンを一緒にすることで触媒を生じさせることを包含する。この方法は、更に、前記触媒とイソシアネートとポリオールを一緒にすることでポリウレタンを生じさせることも包含する。
【0015】
多数の従属請求項が許容されかつ費用効果的であると言った状態で請求項を裏付ける目的で以下のパラグラフ1−20を含める。
1)ポリマー酸と第三級アミンを一緒にすることで触媒を生じさせそして前記触媒とイソシアネートとポリオールを一緒にすることでポリウレタンを生じさせることを含んで成るポリウレタンフォーム製造方法。
2)前記ポリマー酸が同じ繰り返しモノマーを少なくとも3個含有しかつ前記モノマーを不飽和カルボン酸および無水物から成る群より選択するパラグラフ1の方法。
3)前記ポリマー酸が少なくとも2種類の繰り返しモノマーを含有しかつ1番目のモノマーを不飽和カルボン酸および無水物から成る群より選択しそして2番目のモノマーが前記1番目のモノマーとは異なるパラグラフ1の方法。
4)前記不飽和酸および無水物をアクリル酸(プロペン酸)、マレイン酸および無水物、フロ酸(ピロ粘液酸)、フマル酸(ボレチン酸、リケン酸、アロマレイン酸、トランスブテン二酸)、ソルビン酸(2−4ヘキサジエン酸)、チグリン酸(メチルクロトン酸、クロトノール酸、トランス−2−メチル−2−ブテン酸)、リノール酸、リノレン酸、リカン酸(4−ケト−9,11,13−オクタデカトリエン酸)、およびエチレン系不飽和モノマーもしくはダイマーと反応し得る二重結合を含有する他の酸から成る群より選択するパラグラフ2および3の方法。
5)前記1番目のモノマーが不飽和カルボン酸でありそして前記2番目の異なるモノマーを異なる不飽和カルボン酸、無水物および別のモノマーから成る群より選択するパラグラフ3および4の方法。
6)前記1番目のモノマーが無水物でありそして前記2番目の異なるモノマーを不飽和カルボン酸、異なる無水物および別のモノマーから成る群より選択するパラグラフ3から5の方法。
7)前記別のモノマーがスチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、アクリロニトリル、塩化ビニルなどから成る群より選択したビニルモノマーであるパラグラフ5および6の方法。
8)前記第三級アミンをトリエチレンジアミン;置換イミダゾール、例えば1−2ジメチルイミダゾール、1−メチル−2−ヒドロキシエチルイミダゾールなど;N,N’ジメチルピペラジンもしくは置換ピペラジン、例えばアミノエチルピペラジンまたはビス(N−メチルピペラジン)エチル尿素またはN,N’,N’トリメチルアミノエチルピペラジン
など;N−メチルピロリジンおよび置換メチルピロリジン、例えば2−アミノエチル−N,メチルピロリジンまたはビス(N−メチルピロリジン)エチル尿素など;または他の第三級アミノアルキル尿素もしくはビス(第三級アミノアルキル)尿素、例えばN,N−(3−ジメチルアミノプロピル)尿素など;3−ジメチルアミノプロピルアミン;N,N,N”,N”テトラメチルジプロピレントリアミン;N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)1−3プロパンジアミン;N,N−ジメチルアミノ−N’,N’ビス(ヒドロキシル−(2)−プロピルプロピレン(1,3)ジアミン;テトラメチルグアニジン;ジメチルアミノプロピルアミン,1,2ビス−ジイソプロパノール(3−ジメチルアミノプロピルアミン)、置換ピペリジンおよびアミノトリアジン、例えばN,Nジメチルアミノプロピル−S−トリアジンなど;N−アルキルモルホリン、例えばN−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−ブチルモルホリンおよびジモルホリノジエチルエーテルなど;N,Nジエチルアミノエタノール;N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール;ビス(ジメチルアミノプロピル)−アミノ−2−プロパノール;ビス(ジメチルアミノ)−2−プロパノール;ビス(N,N−ジメチルアミノ)エチルエーテル;N,N,N’トリメチル−N’ヒドロキシエチル−ビス−(アミノエチル)エーテル;N,Nジメチルアミノエチル−N’−メチルアミノエタノール;テトラメチルイミノビスプロピルアミンおよびこれらの混合物から成る群より選択するパラグラフ1から7の方法。
9)前記ポリマー酸と第三級アミンをイソシアネートとポリオールを一緒にする前に別に一緒にしておくパラグラフ1から8の方法。
10)前記ポリマー酸と第三級アミンとイソシアネートとポリオールを同じ段階で一緒にするパラグラフ1から9の方法。
11)段階(a)のポリマー酸と第三級アミンのモル比を1:0.05から1:100の範囲にするパラグラフ1から10の方法。
12)前記イソシアネートをメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、トリイソシアネートであるポリメチレンポリ(フェニレンイソシアネート)、高分子量MDI、粗MDI、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、TMXDIおよび2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)の混合物から成る群より選択するパラグラフ1から11の方法。
13)更に架橋剤、シリコーン系界面活性剤、鎖延長剤、難燃剤および顔料を一緒にすることも含んで成るパラグラフ1から12の方法。
14)ポリウレタンフォームを生じさせるパラグラフ1から13の方法。
15)生じさせたポリウレタンが示す圧縮永久歪みおよび湿潤老化圧縮永久歪みが約30.0%未満であるパラグラフ14の方法。
16)生じる炭素の量がポリウレタンフォーム1グラム当たり25.0ミクログラム未満であるパラグラフ14および15の方法。
17)生じさせたポリウレタンが示す圧縮永久歪みおよび湿潤老化圧縮永久歪みが約20.0%未満であるパラグラフ14から16の方法。
18)生じさせたポリウレタンが示す圧縮永久歪みおよび湿潤老化圧縮永久歪みが約15.0%未満でありかつ生じる炭素の量が生成フォーム1グラム当たり約15ミクログラム未満であるパラグラフ14から17の方法。
19)生じさせたポリウレタンが示す圧縮永久歪みおよび湿潤老化圧縮永久歪みが約10.0%未満でありかつ生じる炭素の量が生成フォーム1グラム当たり約10ミクログラム未満であるパラグラフ14から18の方法。
20)生じさせたポリウレタンが示す圧縮永久歪みおよび湿潤老化圧縮永久歪みが約10.0%未満でありかつ生じる炭素の量が生成フォーム1グラム当たり約5ミクログラム未満であるパラグラフ14から19の方法。
【0016】
発明の開示
1つの態様では、少なくとも1種の第三級アミンと少なくとも1種のポリマー酸を混合
することで本発明の触媒を生じさせる。このように、本発明の触媒は一般にポリマー酸の塩である。前記第三級アミンとポリマー酸を周囲条件下でか或は約5℃から約200℃、または約10℃から約100℃、または20℃から約65℃の範囲の温度で混合してもよい。前記第三級アミンとポリマー酸に場合により希釈剤、例えば水、グリコールまたは溶媒などを含有させてもよい。
【0017】
前記混合物の第三級アミン含有量を混合物全体の重量を基準にして約5から約95重量%、または第三級アミン含有量を約40から約90重量%、または第三級アミン含有量を60から90重量%にしてもよい。前記混合物のポリマー酸含有量を混合物全体の重量を基準にして約5から約60重量%、またはポリマー酸含有量を約15から約50重量%、またはポリマー酸含有量を20から40重量%にしてもよい。そのような混合物に含有させる希釈剤もしくは溶媒の量を混合物全体の重量を基準にして約0から約60重量%、または希釈剤もしくは溶媒の量を約0から約40重量%、または希釈剤もしくは溶媒の量を5から20重量%にしてもよい。
【0018】
前記材料を前以て混合しておいた後、単一の触媒としてか或は他の触媒と組み合わせて通常のポリウレタンフォーム配合物に添加してもよい。別法として、ポリウレタンフォーム製造中に前記材料をインシトゥで混合することも可能である。ポリウレタンフォーム製造で用いる本触媒の量は当該フォームの所望特性に応じて多様であり、通常の当業者に明らかであろう。
【0019】
ポリウレタンフォームの製造
ポリウレタンフォームの製造は当該技術分野で一般に公知である。例えば、米国特許第6,387,972号(これの開示は引用することによって本明細書の開示に一致する度合で本明細書に組み入れられる)にポリウレタンフォームを製造するに適した「ワンショットフォームプロセス」が一般的に開示されている。米国特許第6,503,997号(これの開示は引用することによって本明細書の開示に一致する度合で本明細書に組み入れられる)にポリウレタンフォームを製造するに適した「プレポリマー方法」が一般的に開示されている。この上に示した開示およびポリウレタンフォーム製造方法は例示を意図したものであり、限定するものでない。
【0020】
本発明の適切なポリオールには当該技術分野で一般に公知のポリオールが含まれる。特に有用なポリオールには、官能性が1.5から8.0でヒドロキシル価が1グラム当たり約10から約700mgのKOHの範囲内であるポリオールが含まれる。好適には、軟質フォームに適したヒドロキシル価は約20から約60の範囲であり、半軟質フォームに適したそれは約100から約300の範囲でありそして硬質フォームに適したそれは約250から約700の範囲である。
【0021】
ポリウレタンフォーム製造で用いるに有用なポリイソシアネートには当該技術分野で一般に公知のポリイソシアネートのいずれも含まれる。有機ポリイソシアネートには、好適には、イソシアネート基を少なくとも2個含有する化合物が含まれ、それらは一般に公知の芳香族もしくは脂肪族ポリイソシアネートのいずれかであろう。適切な有機ポリイソシアネートには、例えば炭化水素ジイソシアネート(例えばアルキレンジイソシアネートおよびアリーレンジイソシアネート)、例えばメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、および2,4−および2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)ばかりでなく公知のトリイソシアネートであるポリメチレンポリ(フェニレンイソシアネート)[また、高分子量もしくは粗MDIとしても知られる]、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびTMXDIが含まれる。代替イソシアネートには、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)がそれぞれ約80%と約20%の重量比で入っている混合物およびまたそれぞれ約65%と約35
%入っている混合物、TDIと高分子量MDIの混合物、好適にはTDIが約80%で粗高分子量MDIが約20%からTDIが約50%で粗高分子量MDIが約50%の重量比で入っている混合物、およびMDI型のあらゆるポリイソシアネートが含まれる。適切なさらなるポリイソシアネートには、MDI型のポリイソシアネートおよび粗高分子量MDIが含まれる。
【0022】
用いるフォーム配合物に含めるポリイソシアネートの量をこの配合物に含める他の材料の量を基準にして「イソシアネート指数」の用語で記述する。「イソシアネート指数」は、実際に使用するポリイソシアネートの量をそれが当該反応混合物中のあらゆる活性水素と反応するに必要なポリイソシアネートの理論的に必要な化学量論的量で割った値に百(100)を掛けた値を意味する。例えばOertel、Polyurethane Handbook、Hanser Publishers、New York、N.Y.(1985)を参照。本発明の方法で用いる反応混合物が示すイソシアネート指数は一般に60から140の範囲である。より一般的なイソシアネート指数は下記である:軟質TDIフォームの場合には典型的に85から120の範囲であり、成形TDIフォームの場合には一般に80から105の範囲であり、成形MDIフォームの場合には最も頻繁に70から105の範囲であり、そして硬質MDIフォームの場合には一般に90から130の範囲である。ポリイソシアヌレート硬質フォームのいくつかの例では、それらの製造を指数が250−400になるように実施する。
【0023】
軟質および硬質フォームの両方でしばしば水を反応性発泡剤として用いる。軟質のスラブストックフォームを製造しようとする時には水を一般に例えばポリオール100部当たり0.8から6.5部(phpp)、より頻繁には3.5から5.5phppの範囲の濃度で用いてもよい。TDI成形フォームの場合には水濃度を一般に例えば3から4.5phppの範囲にする。MDI成形フォームの場合には水濃度を例えばより一般的には2.5から5phppの範囲にする。硬質フォームの場合には水濃度を例えば0.5から5部、より頻繁には0.5から1phppの範囲にする。包装用フォームには水を40pbw以上の量で含有させてもよい。また、物理的発泡剤、例えば揮発性炭化水素またはハロゲン置換炭化水素および他の非反応性ガスなどが基になった発泡剤なども本発明に従うポリウレタンフォームを製造する時に使用可能である。製造されている絶縁用硬質フォームは有意な比率で揮発性炭化水素もしくはハロゲン置換炭化水素を用いて発泡させたフォームであり、その場合に好適な発泡剤はヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ヒドロフルオロカーボン(HFC)および揮発性炭化水素であるペンタンおよびシクロペンタンである。軟質スラブストックフォームを製造しようとする時には水が主要な発泡剤であるが、しかしながら、他の発泡剤も補助発泡剤として使用可能である。軟質スラブストックフォームの場合に好適な補助発泡剤は、液状の二酸化炭素およびジクロロメタン(塩化メチレン)である。また、他の発泡剤、例えばクロロフルオロカーボン(CFC)、トリクロロモノフルオロメタン(CFC−11)などを用いることも可能である。かつ、適切な不活性発泡剤には、金属のカルボン酸塩、二塩化メチレン、ペンタン、アセトン、フルオロカーボンおよびクロロフルオロカーボンが含まれる。炭化水素型の発泡剤を用いる場合、それの量は例えば痕跡量からポリオール100部当たり約50部(phpp)に及んで多様であり、そしてCOの量は例えば約1から約10%に及んで多様である。
【0024】
ポリウレタンフォーム製造時にまた架橋剤を用いることも可能である。架橋剤は典型的に低分子であり、通常は分子量が350未満でありかつイソシアネートとの反応に活性を示す水素を含有する。架橋剤が示す官能性は3以上、好適には3から5の範囲である。使用する架橋剤の量は約0.1phppから約20phppの範囲で多様であり得、それの使用量を必要なフォーム安定性またはフォーム硬度が達成されるように調整する。架橋剤の例には、グリセリン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびテトラヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エトキ
シル化エチレンジアミン、および活性水素原子を分子1個当たり2個以上含有する他の低分子量材料が含まれる。
【0025】
本発明の方法で使用可能なシリコーン系界面活性剤には、例えば「加水分解性」ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、「非加水分解性」ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、シアノアルキルポリシロキサン、アルキルポリシロキサンおよびポリジメチルシロキサンオイルなどが含まれる。使用するシリコーン系界面活性剤の種類および必要な量は、当業者が認識するであろうように、製造しようとするフォームの種類に依存する。シリコーン系界面活性剤はそのままか或は溶媒、例えばグリコールなどに溶解させた状態で使用可能である。軟質スラブストックフォームの場合には、反応混合物に含有させるシリコーン系界面活性剤の量を通常は約0.1から約6phpp、より頻繁には約0.7から約2.5phppにする。軟質成形フォームの場合には、反応混合物に含有させるシリコーン系界面活性剤の量を通常は約0.1から約5phpp、より頻繁には約0.5から約2.5phppにする。硬質フォームの場合には、反応混合物に含有させるシリコーン系界面活性剤の量を通常は約0.1から約5phpp、より頻繁には約0.5から約3.5phppにする。必要なフォーム気泡構造およびフォーム安定性が達成されるようにその使用量を調整する。
【0026】
ポリウレタン製造に有効な温度は、当業者が充分に理解するであろうように、フォームの種類および製造で用いる具体的工程に応じて変わる。いろいろな態様において、反応体を一緒にする時の温度は約10℃から約100℃、または約16℃から約50℃、または約20℃から約70℃、または約40℃から約65℃、または約30℃から約65℃の範囲の如何なる温度であってもよい。
【0027】
ポリウレタン製造に有効な圧力は、当業者が充分に理解するであろうように、フォームの種類および製造で用いる具体的工程に応じて変わる。いろいろな態様において、反応体を一緒にする時の圧力は約−20mmHgから約5気圧、または約−20mmHgから約2気圧、または0気圧から約1気圧の範囲の如何なる圧力であってもよい。さらなる代替圧力は、約584.2mmHgから約889mmHg、または約660mmHgから約860mmHg、または約685.8mmHgから約787.4mmHgの範囲であり、ここで、海面の圧力は760mmHgであると仮定する。圧力を変えることを利用してフォームの密度を調節することができ、圧力を低くすると密度が低くなりそして圧力を高くすると密度が高くなる。
【0028】
好適には、反応体をほぼ周囲の温度および圧力で一緒にする。
【0029】
ポリウレタンフォーム製造時に用いる触媒の量は、フォームの所望特性、反応温度および反応圧力に応じて変わるであろう。通常の当業者は過度の実験を行うことなく最適な触媒量を決定することができるであろう。1つの態様で用いる触媒の量は成分の総重量を基準にして0.05%から8.0%の範囲であるか、或は触媒の使用量は成分の総重量を基準にして0.1%から5.0%の範囲であるか、或は触媒の使用量は成分の総重量を基準にして0.2%から3.5%の範囲である。
【0030】
好適には、生じるポリウレタンフォームが示す圧縮永久歪み(50%)が約30%未満、または約20.0%未満、または約15.0%未満、または約10.0%未満、または約5%未満になるようにする。
【0031】
好適には、生じるポリウレタンフォームが示す炭素放出量が生成フォーム1グラム当たり約25.00ミクログラム未満、または約15.0未満、または約5.00未満になるようにする。
【0032】
好適には、生じるポリウレタンフォームが示す圧縮永久歪み(50%)が約30%未満、または約20.0%未満、または約15.0%未満、または約10.0%未満、または約5%未満になるようにしかつ炭素放出量が生成フォーム1グラム当たり約25.00ミクログラム未満、または約15.0未満、または約5.00未満になるようにする。
【0033】
製造品
本発明の触媒を用いて生じさせたポリウレタンフォームはいろいろな産業および消費者用途で使用可能であり、そのような用途には、自動車座席材料およびトリム部分、ダッシュボード、ヘッドライナー、および放出量が低いことが要求される自動車用シーラントおよびエラストマー、包装および建設用途で用いられる硬質スプレーフォームおよび現場注入フォームばかりでなく接着剤用途、例えば重ね木材および配向性ストランドボード、音および雑音制御で用いられる半硬質および半軟質フォームなどの如き用途が含まれる。この上に挙げたリストは単に例示であり、限定を意図するものでない。
【実施例】
【0034】
TDIおよびMDIの両方をイソシアネートとして用いてポリウレタンフォームの製造を実施した。このフォームは、密度が1立方フィート当たり2.5ポンド(1立方メートル当たり40キログラム)から1立方フィート当たり3.1ポンド(1立方メートル当たり52キログラム)の高弾性(HR)成形フリーライズ(free rise)フォームであった。実施例1−3のMDIフォームに関する基本配合を以下の表1に示す。一般的には、そのようなフォームを生じさせる目的で樹脂混合物成分を一緒に混合した。その後、イソシアネート成分と樹脂混合物を一緒に混合した。触媒成分をいろいろな実施例に関して示すようにして添加した。表1では成分の量を特に明記しない限り重量部で示す。
【0035】
【表1】

【0036】
JEFFOL(商標)G31−28はHuntsmanが製造していて、グリセリンを基にしてプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドから作られたトリオールであり、Voranol(商標)CP14−21はDow Chemical Companyが製造しているエチレンオキサイド含有量が50%以上のポリオールであり、ジエタノールアミンはHuntsmanから入手可能であり、Dabco(商標)DC−5164はDow Corningが製造しているシリコーン系界面活性剤であり、Dabco(商標)DC−5169はDow Corningが製造しているシリコーン系界面活性剤であり、そしてSupersec(商標)1056はHuntsmanが製造している修飾メチレンジイソシアネートである。
【0037】
静的塔頂空間試験
この試験では、Volkswagen PV 3341手順に従ってフォームのVOC
放出量を測定する。この試験の実施では、密封型瓶にフォームを1グラム入れた後、120℃に5時間加熱した。前記瓶の中の加熱された塔頂空間部をガスクロに注入した。アセトンを基準にした値をサンプル1グラム当たりの炭素のミクログラムとして測定した。実験GC条件がいくらか異なることが理由で元々の自動車試験に比べて結果の逸脱がいくらか生じる可能性がある。しかしながら、もたらされる放出値は、フォームおよび配合成分の放出貢献度を評価するに価値の有る比較等級を与えるものである。
【0038】
物性試験方法
物性試験の目的で製造したフォームの全部を周囲条件下で少なくとも1週間に渡って条件付けした後、試験を行う前に少なくとも24時間に渡って、23℃で相対湿度が50%の条件付け用チャンバの中に入れた。試験をASTM D 3574標準に従って実施した。
【0039】
フォームの調製をPV 3410の要求に従って実施した。PV 3410の物性要求を表2に示す。
【0040】
【表2】

【0041】
実施例1
以下の配合1A−1Cでは、表1に示す樹脂混合物に触媒成分をインシトゥで添加した。配合1Aの触媒には酸によるブロックを受けさせない一方、配合1Bおよび1Cの触媒にはそれぞれポリマーではないカルボン酸によるブロックおよびポリマー酸によるブロックを受けさせた。
【0042】
【表3】

【0043】
JEFFCAT(商標)TD−33AおよびJEFFCAT(商標)ZF−22は一般目的の触媒であり、そしてJEFFCAT(商標)ZF−10およびJEFFCAT(商標)DPAは低放出/反応性第三級アミン触媒であり、これらは全部Huntsmanから入手可能である。乳酸およびアクリル酸−マレイン酸コポリマーはSigma−Aldrich Chemicalsから入手可能である。
【0044】
【表4】

【0045】
前記から分かるであろうように、ポリマー酸ブロック触媒(1C)を用いて製造したフォームが示した性能の方が一般に他のフォームが示したそれよりも良好であった。驚くべきことに、配合1Cのフォームが示した放出量の方がカルボン酸ブロックフォーム(1B)が示した放出量よりも約1/3少なかった(両方のフォームに含有させた反応性触媒は同じであったにも拘らず)。その上、反応性触媒は典型的に湿潤老化特性を示し、例えば圧縮永久歪みがかなり劣ると見なされている。しかしながら、本実施例の場合、配合1Cのフォームが示した圧縮永久歪みは1Bのそれのほぼ半分でありかつ1Aのそれよりも良好であった。
【0046】
実施例2
配合2A−2Fは、触媒がブロックされていないか、ポリマーでない酸でブロックされているか或はポリマー酸でブロックされている点で配合1A−1Cと同様である。しかしながら、この実施例では、触媒成分を前以て混合して触媒の塩を生じさせておいた後、その触媒の塩を表1の樹脂混合物に添加した。
【0047】
【表5】

【0048】
JEFFCAT(商標)Z−130およびJEFFCAT(商標)ZR−50は低放出/反応性アミン触媒であり、これらはHuntsmanから入手可能である。他の触媒成分はこの上の実施例1に示したようにして入手可能である。
【0049】
【表6】

【0050】
この上に示したデータから分かるであろうように、ポリマー酸ブロック触媒塩(2Eおよび2F)を用いて製造したフォームが示した放出量はポリマーではない酸でブロックされた触媒を用いて製造したフォームが示したそれよりも低かった。その上、配合2Fに従って製造したフォームが示した圧縮永久歪みもPV 3410仕様の範囲内であった。
【0051】
実施例3
実施例3では、特定のアミン触媒を用いて、以下の触媒成分チャートに示す如きポリマー酸の塩である触媒を製造した。配合3A−3Dに従い、ポリマー酸の塩である触媒をブロックされていないアミン触媒と前以て混合しておいた。その後、その前以て混合しておいた触媒を表1の樹脂混合物に添加した。
【0052】
【表7】

【0053】
ポリアクリル酸−コ−マレイン酸ポリマー(PAMA)はAldrich Chemicalからアクリル酸とマレイン酸のコポリマーが50%入っている溶液として入手可能であり、それの式量は188.1で酸当量は62.7であり、そして分子量が2000のポリアクリル酸(PAA)はAldrich Chemicalから水中50%として入手可能であり、それの式量は73.07で当量は73.07である。JEFFCAT(商標)触媒はHuntsmanから入手可能である。
【0054】
【表8】

【0055】
この上に示した結果から分かるであろうように、ポリマー酸でブロックされている触媒をブロックされていない触媒と混合してもポリマー酸でブロックされている触媒を単独で用いた時の一般的効果は評価できるほどには変わらない。実際、放出量が向上しそして湿潤老化圧縮永久歪みは全部PV 3410仕様の範囲内である。
【0056】
実施例1−3で分かるであろうように、ポリマー酸でブロックされている触媒を用いるとフォームから出る総放出量が低下する。その上、その放出量はモノ酸でブロックされている第三級アミンを用いた時よりもまたモノ酸ヒドロキシル含有アミンを用いた時よりも低い。驚くべきことに、ポリマー酸でブロックされている触媒を用いて製造したフォームが示した湿潤老化圧縮永久歪みの方が一般により良好である。理論で範囲を限定するものでないが、そのようなポリマー酸の塩はフォームが湿潤老化下で起こす劣化の原因になる反応を抑制すると考えている。加うるに、ポリマー酸でブロックされている触媒を用いると、成形部品の離型速度が酸でブロックされていないフォームの場合よりも速い可能性があるにも拘らず、反応速度がより遅い(クリーム時間)。理論で範囲を限定することを望むものでないが、それによって、液体が鋳型の中に分布する度合がより良好になりかつブ
ロックされていないアミンが示す液体分布が劣ることによって引き起こされる不完全さの度合が低くなる。
【0057】
実施例4および5
実施例4および5のポリウレタンフォームの製造をそれぞれMDIおよびTDIをイソシアネートとして用いて実施した。一般的には、フォームを生じさせる目的で樹脂成分を一緒に混合した。その後、イソシアネート成分と樹脂混合物を一緒に混合した。触媒成分をいろいろな実施例に関して示すようにして添加した。表3では、成分の量を特に明記しない限り重量部で示す。
【0058】
【表9】

【0059】
水の総量は他の源、例えばジエタノールアミンなどに由来する水も包含する。
Voranol(商標)NC700は、Dow Chemical Companyから入手可能なスチレングラフトコポリマーポリオールである。
Voranol(商標)NC630は、Dow Chemical Companyから入手可能な分子量が5000のプロピレンオキサイドであり、これはエチレンオキサイドでキャップされたポリエーテルポリオールが基になっていて、成形フォームで用いられる。
低凍結グレードのジエタノールアミンは、Huntsman Corp.から入手可能なジエタノールアミンが85%の溶液である。
Voranol(商標)CP 1421は、Dow Chemical Companyから入手可能な気泡開放用のグリセリンが基になったエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドポリオールである。
Dabco(商標)DC 5169は、Dow Corningから入手可能なシリコーン系界面活性剤である。
Dabco(商標)DC 5164は、Dow Corningから入手可能なシリコーン系界面活性剤である。
Dabco(商標)DC 2525は、Dow Corningから入手可能なシリコーン系界面活性剤である。
TDIは、Dow Chemical Companyから入手可能なトルエンジイソシアネートである。
Suprasec(商標)1056は、Huntsman Corp.から入手可能な修飾ジエチレンジイソシアネートである。
【0060】
実施例4
以下の配合4A−4Cでは、樹脂成分と触媒成分を12秒間前以て混合しておいた。その後、その樹脂/触媒混合物にイソシアネートを添加した後、9秒間混合した。その完成した混合物をFormat Messtechnik GmbHから入手可能なFOAMAT Rate of Rise Apparatusに取り付けられているシリンダーの中に注ぎ込んだ。ライズ開始(クリーム時間)およびライズ終了(ライズ時間)の時間をFOAMATで測定して、以下の実施例4に関する結果チャートに報告する。
【0061】
【表10】

【0062】
触媒8513−011−Aは、JEFFCAT(商標)ZF−10が54.3%で水が30.2%でGoodrite(商標)K−732が15.5%の組み合わせであり、触媒8554−027−Aは、JEFFCAT(商標)ZF−10が54.3%で水が30.2%でGoodrite(商標)K−XP44が15.5%の組み合わせであり、触媒8554−027−Bは、JEFFCAT(商標)ZF−10が54.3%で水が30.2%でGoodrite(商標)K−XP−97が15.5%の組み合わせである。ポリアクリル酸(PAA)であるGoodrite(商標)K732は分子量が5500のポリアクリル酸であり、これは水溶液の状態でpHが2.5以上になるように水酸化ナトリウムで中和された酸基が20%未満であり、PAAであるGoodrite(商標)XP−44は全く部分中和されていない分子量が5500のポリアクリル酸であり、そしてPAAであるGoodrite(商標)XP−97は酸で全く部分中和されていない分子量が2000のポリアクリル酸である。JEFFCAT(商標)触媒はHuntsmanから入手可能であり、そしてGoodrite(商標)ポリアクリル酸はNoveon Corporationから入手可能である。
【0063】
【表11】

【0064】
この上に示したデータに従い、ナトリウムで前以て中和しておいたホモポリマー(4A)を用いた時のクリーム時間およびライズ時間は、前以て中和されていないホモポリマーを用いて製造した配合物(4Bおよび4C)が示したそれらと同じまたは同様であった。
【0065】
実施例5
配合5A−5Fでは、アミン触媒をポリマー酸と前以て混合しておいた後、表3の樹脂混合物に添加した(実施例5)。その後、その樹脂混合物と触媒を各々イソシアネートに添加した。その結果として生じたフォームの各々を60℃に加熱しておいた15x15x4インチのアルミニウム製鋳型の中に注ぎ込んだ。4分後に各フォームを鋳型から取り出した後、機械的に粉砕した。粉砕力のデータを得る目的で各配合毎にフォームを3重複して製造した。Ametek Inc.から入手可能なChatillion力ゲージに取り付けられている直径が2インチのディスクを用いてフォームを50%(2.0インチ)圧縮することで粉砕力を測定した。
【0066】
【表12】

【0067】
触媒成分は上述したようにして入手可能である。
【0068】
【表13】

【0069】
配合物5A−5Fの各々がPV 3410標準の仕様を少なくとも中心部の密度、圧縮永久歪みおよび湿潤老化圧縮永久歪み特性に関して満足させることは、この上に示した結果から分かるであろう。このように、TDIが基になったフォームおよびMDIが基になったフォームは両方とも、ホモポリマーまたはヘテロポリマーであるポリマー酸でブロックされているか否かに拘らず、特定の仕様基準を満足させる物性を有する。
【0070】
追加的配合
以下の表4に、ポリマー酸でブロックされている触媒を用いた追加的配合物を示す。これらの配合物には、高弾性成形フォームが生じるように、ポリアクリル酸−コ−マレイン酸でブロックされている触媒を含める。
【0071】
【表14】

【0072】
本発明を限られた数の態様に関して記述してきたが、当業者はそれの数多くの修飾形および変形を理解するであろう。添付請求項に本発明の真の精神および範囲内に入る如きそのような修飾形および変形の全部を包含させることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンフォームの製造方法であって、ポリマー酸と第三級アミンを一緒にすることで触媒を生じさせそして前記触媒とイソシアネートとポリオールを一緒にすることでポリウレタンを生じさせることを含んで成る方法。
【請求項2】
ポリマー酸と第三級アミンを一緒にすることが前記ポリマー酸と前記第三級アミンを一緒にすることでポリマー酸の塩である触媒を生じさせた後に前記ポリマー酸の塩である触媒とイソシアネートとポリオールを一緒にすることを包含する請求項1記載の方法。
【請求項3】
ポリマー酸と第三級アミンを一緒にして触媒を生じさせることが前記ポリマー酸と前記第三級アミンを前記ポリマー酸と第三級アミンを最初に前以て一緒にしておくことなく前記イソシアネートおよびポリオールと同じ混合物中で一緒にすることを包含する請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記触媒とイソシアネートとポリオールを一緒にすることがメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、トリイソシアネートであるポリメチレンポリ(フェニレンイソシアネート)、高分子量MDI、粗MDI、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、TMXDIおよび2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)の混合物から成る群より選択した1種以上のイソシアネートと前記触媒とポリオールを一緒にすることを包含する請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
更に架橋剤、シリコーン系界面活性剤、鎖延長剤、難燃剤および顔料の中の1種以上を前記触媒、イソシアネートまたはポリオールのいずれかに添加することも含んで成る請求項2または3記載の方法。
【請求項6】
圧縮永久歪みおよび湿潤老化圧縮永久歪みが約30.0%未満のポリウレタンフォームを製造することを包含する請求項2または3記載の方法。
【請求項7】
生じる炭素の量がポリウレタンフォーム1グラム当たり25.0ミクログラム未満のポリウレタンフォームを製造することを包含する請求項2または3記載の方法。
【請求項8】
圧縮永久歪みおよび湿潤老化圧縮永久歪みが約20.0%未満のポリウレタンフォームを製造することを包含する成る請求項1記載の方法。
【請求項9】
示す圧縮永久歪みおよび湿潤老化圧縮永久歪みが約15.0%未満でありかつ生じる炭素の量が生成フォーム1グラム当たり約15ミクログラム未満であるポリウレタンフォームを製造することを包含する請求項1記載の方法。
【請求項10】
示す圧縮永久歪みおよび湿潤老化圧縮永久歪みが約10.0%未満でありかつ生じる炭素の量が生成フォーム1グラム当たり約10ミクログラム未満であるポリウレタンフォームを製造することを包含する請求項1記載の方法。
【請求項11】
示す圧縮永久歪みおよび湿潤老化圧縮永久歪みが約10.0%未満でありかつ生じる炭素の量が生成フォーム1グラム当たり約5ミクログラム未満であるポリウレタンフォームを製造することを包含する請求項1記載の方法。
【請求項12】
ポリマー酸および触媒を含有して成っていて前記ポリマー酸と前記触媒がポリマー酸でブロックされた触媒を形成している組成物。
【請求項13】
前記ポリマー酸が同じ繰り返しモノマーを少なくとも3個含有しかつ前記少なくとも3個のモノマーが不飽和カルボン酸および無水物から成る群より選択される請求項12記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリマー酸が少なくとも2種類の繰り返しモノマーを含有しかつ1番目のモノマーが不飽和カルボン酸および無水物から成る群より選択されそして2番目のモノマーが前記1番目のモノマーとは異なる請求項12記載の組成物。
【請求項15】
前記不飽和酸および無水物がアクリル酸(プロペン酸)、マレイン酸および無水物、フロ酸(ピロ粘液酸)、フマル酸(ボレチン酸、リケン酸、アロマレイン酸、トランスブテン二酸)、ソルビン酸(2−4ヘキサジエン酸)、チグリン酸(メチルクロトン酸、クロトノール酸、トランス−2−メチル−2−ブテン酸)、リノール酸、リノレン酸、リカン酸(4−ケト−9,11,13−オクタデカトリエン酸)、およびエチレン系不飽和モノマーもしくはダイマーと反応し得る二重結合を含有する他の酸から成る群より選択される請求項13または14記載の組成物。
【請求項16】
前記1番目のモノマーが不飽和カルボン酸でありそして前記2番目の異なるモノマーが異なる不飽和カルボン酸、無水物および別のモノマーから成る群より選択される請求項12記載の組成物。
【請求項17】
前記1番目のモノマーが無水物でありそして前記2番目の異なるモノマーが不飽和カルボン酸、異なる無水物および別のモノマーから成る群より選択される請求項12記載の組成物。
【請求項18】
前記別のモノマーがスチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、アクリロニトリル、塩化ビニルなどから成る群より選択されるビニルモノマーである請求項12記載の組成物。
【請求項19】
前記ポリマー酸が1族もしくは2族のアルカリ金属である程度中和されている請求項12記載の組成物。
【請求項20】
前記触媒がトリエチレンジアミン;置換イミダゾール、例えば1−2ジメチルイミダゾール、1−メチル−2−ヒドロキシエチルイミダゾール;N,N’ジメチルピペラジンもしくは置換ピペラジン、例えばアミノエチルピペラジンまたはビス(N−メチルピペラジン)エチル尿素またはN,N’,N’トリメチルアミノエチルピペラジン;N−メチルピロリジンおよび置換メチルピロリジン、例えば2−アミノエチル−N,メチルピロリジンまたはビス(N−メチルピロリジン)エチル尿素;または他の第三級アミノアルキル尿素もしくはビス(第三級アミノアルキル)尿素、例えばN,N−(3−ジメチルアミノプロピル)尿素;3−ジメチルアミノプロピルアミン;N,N,N”,N”テトラメチルジプロピレントリアミン;N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)1−3プロパンジアミン;N,N−ジメチルアミノ−N’,N’ビス(ヒドロキシル−(2)−プロピルプロピレン(1,3)ジアミン;テトラメチルグアニジン;ジメチルアミノプロピルアミン,1,2ビス−ジイソプロパノール(3−ジメチルアミノプロピルアミン)、置換ピペリジンおよびアミノトリアジン、例えばN,Nジメチルアミノプロピル−S−トリアジン;N−アルキルモルホリン、例えばN−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−ブチルモルホリンおよびジモルホリノジエチルエーテル;N,Nジエチルアミノエタノール;N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール;ビス(ジメチルアミノプロピル)−アミノ−2−プロパノール;ビス(ジメチルアミノ)−2−プロパノール;ビス(N,N−ジメチルアミノ)エチルエーテル;N,N,N’トリメチル−N’ヒドロキシエチル−ビス−
(アミノエチル)エーテル;N,Nジメチルアミノエチル−N’−メチルアミノエタノール;テトラメチルイミノビスプロピルアミンおよびこれらの混合物から成る群より選択される1種以上の第三級アミンである請求項12記載の組成物。
【請求項21】
前記ポリマー酸と触媒のモル比が1:0.05から1:100の範囲である請求項12記載の組成物。

【公表番号】特表2010−516845(P2010−516845A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546537(P2009−546537)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/051442
【国際公開番号】WO2008/089411
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(505318547)ハンツマン ペトロケミカル コーポレイション (17)
【Fターム(参考)】