説明

ポリマー鋳型及び該鋳型から製造される物品

本明細書には、成形物品の形成に使用し得るポリマー鋳型を開示する。ポリマー鋳型は、2つ以上の反応性二重結合を有する多環式モノマー、及び/又は1つの反応性二重結合を有する環式モノマーの開環メタセシス重合(ROMP)により形成されてもよい環式オレフィンポリマーから作製される。フルオロモノマーを使用してもよい。ポリマー鋳型は、約2mm未満、又は約500マイクロメートル未満の寸法を有する、少なくとも1つの微細構造特徴を有する点で構造鋳型であり得る。ポリマー鋳型は、複数のそのような微細構造特徴を有し得る。本明細書には、ポリマー鋳型の作製方法、該鋳型から成型物品を作製する方法、及びその成型物品も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互対照)
本願は、本願と同一日に出願の、同一出願人による同時係属中の「Molded Microstructured Articles」と題されたRuleらによる米国特許出願第61/074,428号に関連する。
【0002】
本開示は、ポリマー鋳型、より詳細には環式オレフィンポリマーから形成されるポリマー鋳型を開示する。ポリマー鋳型は、微細構造特徴を有する成型物品の形成に使用することができる。
【背景技術】
【0003】
ポリマー鋳型は、一般にシリコーンゴム及びウレタンゴムから形成される。シリコーンゴムは、多くの場合、高い酸素溶解性を有し、これはシリコーンゴム鋳型から成型物品を形成するのに用いられるフリーラジカル硬化反応の望ましくない阻害をもたらす場合がある。成型物品が、シリコーンゴム鋳型内でシリコーン材料を硬化させることにより調製される場合、2つのシリコーンの間の接着が成型物品の離型を困難とし得る。加えて、シリコーン材料の硬化は一般に数時間を必要とし、それ故、多数のポリマー鋳型を単一の主型工具で形成するのに、非常に時間がかかる。ウレタンベースの鋳型の特定の欠点は、特に離型剤が使用されない場合に、成型物品の離型が比較的困難なことである。
【0004】
数ミリメートル未満の特徴を含む微細構造鋳型は、特殊機能を実行可能な微細構造成型物品を形成するための複製プロセスに使用される。この微細構造成型物品は、微細構造鋳型から直接作製することができ、該微細構造鋳型は、微細構造工具から形成される。微細構造成型物品は、それらがプリズム、レンズ、導光板等として機能する光学用途を含む様々な用途に使用される。そのような用途において、多くの場合これらの微細構造鋳型が、望ましくない光学的影響を生成し得る欠陥を有さないことが重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書には、成形物品の形成に使用し得るポリマー鋳型を開示する。ポリマー鋳型は、2つ以上の反応性二重結合を有する多環式モノマー、及び/又は1つの反応性二重結合を有する環式モノマーの開環メタセシス重合(ROMP)により形成されたポリマーを含んでもよい。ポリマー鋳型は、2つ以上の反応性二重結合を有する多環式モノマー、及び1つの反応性二重結合を有するフッ素化環式モノマーの開環メタセシス重合により形成されたポリマーを含んでもよい。ポリマー鋳型は、それらが約2mm、又は約500マイクロメートル未満の寸法を有する少なくとも1つの微細構造特徴を含む点で、構造鋳型であり得る。ポリマー鋳型は、複数のそのような微細構造特徴を含んでもよい。
【0006】
本明細書にはポリマー鋳型の製造方法も開示し、該方法は、主型を提供し、2つ以上の反応性二重結合を有する多環式モノマー、及び/又は1つの反応性二重結合を有する環式モノマーを含有するモノマー組成物を提供し、主型の表面をモノマー組成物と接触させ、モノマー組成物を重合してポリマーを含むポリマー鋳型を形成し、ポリマー鋳型を主型から分離する、ことを含む。環式モノマーは、フッ素化されていてもよい。
【0007】
ポリマー鋳型は、2つ以上の反応性二重結合を有する多環式モノマー、及び/又は1つの反応性二重結合を有する環式モノマーの開環メタセシス重合により形成されたポリマーを含むポリマー鋳型を提供し、液体組成物を提供し、ポリマー鋳型の表面を液体組成物と接触させ、液体組成物を成型物品に形成し、成型物品をポリマー鋳型から分離する、ことによる、成形物品の形成に使用することができる。環式モノマーは、フッ素化されていてもよい。液体組成物は、1種以上のモノマーからなる熱及び/又は放射線硬化性組成物であってもよく、又は冷却により凝固する溶融材料であってもよい。
【0008】
上記の方法に従って調製される成型物品は、約2mm未満、又は約500マイクロメートル未満の寸法を有する少なくとも1つの微細構造特徴を含む点で構造物品であり得る。成型物品は、複数のそのような微細構造特徴を含んでもよい。成型物品の例には、導光板、輝度上昇フィルム、再帰反射フィルム又はマイクロ流体デバイスが挙げられる。成型物品の他の例には、それぞれがバインダー中に分散された複数の砥粒を含む、複数の研磨複合体が挙げられる。成型物品の更なる他の例には、それぞれが、乾燥時、少なくとも約0.6の静摩擦係数を提供する複数のステムが挙げられる。
【0009】
本発明のこれらの態様及び他の態様について以下の「発明を実施するための形態」に記載する。上記の概要は、いかなる場合にも特許請求される発明の主題を限定するものとして解釈されるべきではなく、発明の主題は本明細書に記載される特許請求の範囲によってのみ定義されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本明細書に開示するポリマー鋳型を製造するための例示的なプロセスの流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示するポリマー鋳型により、鋳型の製造方法と共に多数の利点が提供される。このポリマー鋳型は、良好な物理的強度と強靱性を有して、複数のサイクルに関して鋳型を損傷させずに成型物品を鋳型からきれいに除去することを可能にし得る。このポリマー鋳型の形成に使用される主型の表面複製は、他の種類の親和力が関与する複製と比較して効率的である可能性があり、それによりポリマー鋳型の硬化の待ち時間による時間損失が低減する。更に、ポリマー鋳型は、該鋳型から物品又は部品を形成するのに使用されるモノマーのフリーラジカル重合を阻害する傾向を、もし有したとしても最小限に示し、これは物品の形成に要する時間も短縮する。したがって、ポリマー鋳型及び該鋳型の形成方法は、連続的な鋳込みと硬化のような急速製造プロセスを可能にし得る。ROMPを用いて微細パターン化鋳型又は微細構造鋳型を形成することにより、例えば電子機器用途での使用に適した成型物品のナノ加工が可能となり得る。
【0012】
一般に、本明細書に開示するポリマー鋳型は、オレフィンメタセシス触媒により開始される、シクロアルケンの開環メタセシス重合により調製された1種以上のポリマーを含む。例えばJ.I.Kroschwitz,ed.,Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.9,John Wiley & Sons,Inc.,U.S.A.,1987,p.634のK.J.Ivin,「Metathesis Polymerization」を参照されたい。シクロアルケンモノマーのメタセシス重合は、一般に、不飽和直鎖主鎖を有するポリマーを与える。ポリマーの反復主鎖単位の不飽和の程度は、モノマーの不飽和の程度と同一である。例えば、適切な触媒の存在下でのノルボルネン反応物により、得られるポリマーは、
【0013】
【化1】

【0014】
(式中、aは、ポリマー鎖内の反復モノマー単位の数である)で表すことができる。他の例では、ジシクロペンタジエン等のジエンを使用して適切な触媒の存在下で、得られるポリマーは、
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、b+cは、重合したモノマーのモル数であり、c/(b+c)は、両方の反応部位において開環するモノマー単位のモル比率である)で表すことができる。上記の反応に示すように、ジエン、トリエン等のメタセシス重合は、架橋ポリマーを生じることができる。メタセシス重合に使用し得る代表的なシクロアルケンモノマー、触媒、手順等は、例えばIvin、米国特許第4,400,340号(Klosiewicz)、米国特許第4,751,337号(Espyら)号、米国特許第5,849,851号(Grubbsら)、米国特許第6,800,170 B2号(Kendallら)及び米国特許第2007/0037940 A1号(Lazzariら)に記載されている。
【0017】
本明細書に開示するポリマー鋳型は、1種以上のシクロアルケンの開環メタセシス重合により形成された1種以上のポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態において、ポリマーは、2つ以上の反応性二重結合を有する多官能性多環式モノマー、及び/又は1つの反応性二重結合を有する一官能性環式モノマーを含む。本明細書で使用されるとき、二重結合は、上記の参考文献に記載されるているような典型的な反応条件下でROMPを受け得る場合に反応性であると考えられる。典型的な多官能性多環式モノマーは、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエン、ノルボルナジエン、テトラシクロ[6,2,13,6,02,7]ドデカ−4,9−ジエン、及びそれらの誘導体からなる群より選択されることができる。多官能性多環式モノマーの他の例には、
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、Xは、0〜20個の炭素原子を有する2価脂肪族基又は芳香族基であり、Xは、0〜20個の炭素原子を有する多価脂肪族基又は芳香族基であり、場合による基Yは、エステル、アミド、エーテル及びシランからなる群より選択される2価官能基であり、zは2以上である)が挙げられる。多官能性多環式モノマーの混合物を使用してもよい。
【0020】
多官能性ジエンモノマー(又はより不飽和度がより高い他の多官能性モノマー)は、シクロペンタジエンに関して上述したようにポリマーを架橋することができる。架橋が起こる程度は、異なるモノマーの相対的な量と、それらのモノマー内の反応性基の変換とに依存し、該反応性基の変換は、時間、温度、触媒選択、及びモノマー純度を含む反応条件の影響を受ける。一般に、少なくともいくつかの架橋は、正確な寸法を維持することが望ましい。架橋の存在は、ポリマー鋳型がトルエン等の数種の溶媒に溶解しないが、そのような溶媒中で膨潤し得る場合に示される。一般に、ポリマー鋳型は架橋の量が増大するにつれより剛性となり、それ故、所望される架橋の量は、ポリマー鋳型の所望の剛性に依存し得る。一例において、多環式モノマーがジシクロペンタジエンを含む場合、約0.5〜約50mol%のジシクロペンタジエンが両方の反応部位において開環して、ポリマーを架橋することが望ましい。
【0021】
1つの反応性二重結合を含む環式モノマーは、ノルボルニレン、エチリデンノルボルネン、シクロオクテン、並びに脂肪族基、芳香族基、エステル、アミド、エーテル及びシランを含む置換基を有するそれらの誘導体からなる群より選択されてもよい。本明細書で使用されるとき、環式モノマーは少なくとも1つの環式基を有するモノマーを指し、二環式及び三環式を含んでもよい。環式モノマーの混合物を使用してもよい。例えば、環式モノマーは、
【0022】
【化4】

【0023】
(式中、Rは、1〜20個の炭素原子、例えば6個の炭素原子を含むアルキル基である)を含むノルボルニレン、及びノルボルニレンの誘導体を含んでもよい。環式モノマーは、以下を含んでもよいフッ素化環式モノマーも含み得る。
【0024】
【化5】

【0025】
式中、Rは、共有結合、アルキル基、芳香族基、エステル、アミド、エーテル、シラン誘導体及びスルホンアミドからなる群より選択される2価基であり、Rは、1価のフルオロアルキル含有基又はパーフルオロオキシアルキル含有基を含むフッ素含有基である。R基は、直鎖、分岐鎖若しくは環式フッ素化化学基、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよく、場合により炭素−炭素鎖内に1つ以上のカテナリー酸素原子を含んで炭素−酸素−炭素(即ち、ペルフルオロオキシアルキレン基)を形成してもよい。完全にフッ素化された基が一般に好ましいが、2個の炭素原子毎に1個以下のいずれかの原子が存在するならば、置換基として水素又は他のハロ原子も存在できる。
【0026】
いずれかのR基は、少なくとも約40重量%のフッ素、より好ましくは少なくとも約50重量%のフッ素を含有するのが更に好ましい場合がある。1価のR基の末端部分は、一般に完全にフッ素化されており、好ましくは少なくとも3個のフッ素原子を含有し、例えば、CF−、CFCF−、CFCFCF−、(CFN−、(CFCF−、及びSFCF−が挙げられる。
【0027】
−R−Rの組み合わせは、−C(2n+1)(式中、nは、1〜10である)、−CO(式中、Rは、−C(2m+1)であり、mは1〜10である)、−(CH(2q+1)
−(CHN(R)SO(2s+1)(式中、rは、1〜6であり、Rは、−CH又は−Cであり、sは、1〜10である)、−CH−OC(O)−C(2t+1)(式中、tは1〜10である)、
−CO2(CHNHCOCF(CF)[OCFCF(CF)F(式中、uは、1〜6であり、vは、1〜50である)からなっていてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、ポリマー鋳型は、ノルボルニレン、ジシクロペンタジエン及びフッ素化環式モノマーの混合物を含んでもよい。例えば、実施形態はノルボルニレン、5−ヘキシル−ノルボルニレン、ジシクロペンタジエン、及びR−Rが−CO(CHN(Me)SOである上記のフッ素化環式モノマーの混合物を含む。実施形態はまた、ノルボルニレン、5−ヘキシル−ノルボルニレン、ジシクロペンタジエン、及びR−Rが−CO(CH13である上記のフッ素化環式モノマーの混合物も含む。実施形態はまた、5−ヘキシル−ノルボルニレン、ジシクロペンタジエン、及びR−Rが−CO(CHN(Me)SOである上記のフッ素化環式モノマーの混合物も含む。実施形態はまた、5−ヘキシル−ノルボルニレン、ジシクロペンタジエン、及びR−Rが−CO2(CHNHCOCF(CF)[OCFCF(CF)Fである上記のフッ素化環式モノマーの混合物も含む。
【0029】
ポリマー鋳型の形成に使用されるモノマーの相対的な量は、特定のモノマーと、ポリマー鋳型の所望の特性とに応じて変動し得る。ポリマーは、両方ともポリマーの総重量に対して約0〜約100重量%の多官能性多環式モノマーと約0〜約100重量%の環式モノマーとを含んでもよい。成型物品が比較的可撓性である場合、より剛性な鋳型が望ましい場合があり、この場合、ポリマーは好ましくは、両方ともポリマーの総重量に対して約50重量%〜約100重量%の多官能性多環式モノマーと約0重量%〜約50重量%の一官能性環式モノマー、又は好ましくは約50〜75重量%の多官能性多環式モノマーと約25〜50重量%の一官能性モノマーを含んでもよい。成型物品が比較的剛性な場合、より可撓性の鋳型が望ましい場合がある。この場合、ポリマーは好ましくは約20重量%〜約80重量%の多環式モノマーと約80重量%〜20重量%の環式モノマーを含んでもよい。いくつかの実施形態において、多環式モノマーと環式モノマーとのモル比は、約1:3〜約1:7を含む。可撓性鋳型の製造のためにコモノマーの相対的な量を選択する際、鋳型のガラス転移温度に対する各モノマーの寄与により、適切な比を選択することができる。コモノマーの組み合わせは、約−100℃〜約40℃、より好ましくは約−20℃〜約25℃のガラス転移温度を有する可撓性鋳型材料を生み出す必要がある。
【0030】
フッ素化環式モノマーが使用される実施形態では、このモノマーは、ポリマーの総重量に関して、ポリマーの約0.1〜約25重量%で含まれてもよい。フッ素化環式モノマーを使用して、ポリマー鋳型からの離型性を高めることができる。フッ素化コモノマーの濃度は、鋳型材料の表面エネルギーを低下させるよう十分高いが、フッ素化材料のマクロ相分離が起こらないよう十分低いように選択される必要がある。一般に、より高いフッ素含有率を有するモノマーは、より低いフッ素含有率を有するモノマーよりも少ない量で必要とされるであろう。
【0031】
ポリマーは、全てポリマーの総重量に対して、約0〜約99重量%の多官能性多環式モノマーと、約0.1〜約25重量%のフッ素化環式モノマーと、約0〜約99重量%の一官能性環式モノマーとを含んでもよい。剛性の鋳型が可撓性成型物品と共に使用される場合、ポリマーは、全てポリマーの総重量に対して、約50重量%〜約100重量%の多官能性多環式モノマーと、約0.1〜約10重量%のフッ素化環式モノマーと、約0重量%〜約50重量%の一官能性環式モノマーとを含んでもよい。比較的剛性な成型物品と共に使用するための可撓性の鋳型が所望される場合、ポリマーは、全てポリマーの総重量に対して、約20重量%〜約80重量%の多官能性多環式モノマーと、約0.1〜約10重量%のフッ素化環式モノマーと、約20重量%〜約80重量%の一官能性環式モノマーとを含んでもよい。より好ましくは、ポリマーは、全てポリマーの総重量に対して、約20重量%〜約40重量%の多官能性多環式モノマーと、約0.1〜約6重量%のフッ素化環式モノマーと、約60重量%〜約80重量%の一官能性環式モノマーとを含んでもよい。コモノマーの組み合わせは、約−100℃〜約40℃、より好ましくは約−20℃〜約25℃のガラス転移温度を有する可撓性鋳型材料を生み出すようにも選択され得る。
【0032】
ポリマー鋳型は、モノマー組成物から調製される。上述したモノマー以外に、モノマー組成物はメタセシス触媒、例えば、上記の参考文献に記載されている触媒を含有する。グラブス触媒及びグラブス−ホベイダ触媒の型を含む、ルテニウム、オスミウム及びレニウム触媒等の遷移金属カルベン触媒を使用することができる。例えば米国特許第5,849,851号(Grubbsら)を参照されたい。
【0033】
メタセシス触媒は、それらのハロゲン化物、オキシハロゲン化物及び酸化物を含むタングステン又はモリブデン等の遷移金属触媒であってもよい。特に好ましい触媒の1つは、WClである。多くの場合、遷移金属触媒は、一方の部分が触媒を含む溶液であり、他方の部分が活性剤を含む溶液である2つの部分で使用される。2つの溶液を組み合わせた後、ROMPが起こる。活性剤には、有機アルミニウム化合物、有機スズ化合物及び有機鉛化合物を挙げることができる。いくつかの好ましい活性剤には、特にトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムジハライド、テトラアルキルスズ及びアルキルスズハイドライドが挙げられる。1つの特に好ましい触媒系は、WCl/(CAlClを含む。特定の触媒系の選択及び使用される量は、使用される特定のモノマー、及び望ましい反応条件、望ましい硬化速度等に依存し得る。より詳細には、WClを、全てポリマーの総重量に対して、約1〜約0.005重量%、又はより好ましくは0.3〜0.03重量%、最も好ましくは0.2〜0.05重量%の量で含有することが望ましい可能性がある。(CAlClの量は、全てWClの量に対して、約50mol%〜約5000mol%、又はより好ましくは100mol%〜1500mol%、又は最も好ましくは500mol%〜1200mol%であってもよい。
【0034】
例えば水、アルコール、酸素、又は任意の酸素含有化合物等の第3の成分を使用して、Ivinに記載されているように触媒系の活性を増大させてもよい。この成分(compononent)は、モノマー溶液中の触媒(catalyt)の溶解度の改善にも使用され得る。第3の成分の1つの例は、触媒溶液中に含まれるアルキル置換フェノールを含む。ジシクロペンタジエン等の炭化水素モノマーを加える前にフェノールをWClと反応させることにより、触媒はモノマーに溶解するであろう。特に好ましいフェノールは、ノニルフェノール及び4−tertブチルフェノールである。
【0035】
触媒溶液中で、WCl触媒前駆体は、有機アルミニウム又は有機スズ活性剤溶液と混合される前に、モノマーの重合を起こす場合がある。時期尚早の重合を阻止するために、米国特許第4,400,340号(Klosiewiczら)に教示されているようにキレート剤又はルイス塩基安定剤をWCl溶液に加えてもよい。特に好ましい安定剤は、2,4−ペンタンジオン又はベンゾニトリルである。これはWClに対して50mol%〜300mol%、より好ましくは100mol%〜200mol%で加えることができる。
【0036】
米国特許第4,400,340号(Klosiewiczら)には、ルイス塩基を活性剤溶液に添加することにより、混合したモノマー組成物のゲル化を遅延させることができ、それ故鋳型を充填する時間が付与されることも教示されている。この目的のための1つの好ましいルイス塩基は、ブチルエーテルである。重合されてROMPポリマーとなり得る点で有益な、他の好ましいルイス塩基減速材(moderator)は、ノルボルン−2−エン−5−カルボン酸ブチルエステルである。ルイス塩基減速材は、有機アルミニウム又は有機スズ活性剤に対して約0mol%〜500mol%、より好ましくは100mol%〜300mol%で含まれることができる。
【0037】
また、米国特許第4,481,344号(Newburgら)に教示されているように、ハロゲン含有添加剤を含めて重合中にモノマーの変換を増大させることができる。このハロゲン含有化合物は、全てWClに対して、0mol%〜5000mol%、好ましくは500mol%〜2000mol%で含まれ得る。特に好ましいハロゲン含有添加剤は、トリクロロ酢酸エチルである。
【0038】
他の添加剤には、可塑剤、無機充填剤及び抗酸化剤、好ましくはフェノール性抗酸化剤が挙げられる。
【0039】
鋳型の寸法安定性を最大にするために、配合物中に溶媒が含まれないことが望ましい。WCl等の触媒系のいくつかの成分の初期溶解を助けるために溶媒を使用する場合、混合物の重合前に、溶媒を真空下で除去することが望ましい。
【0040】
それぞれが触媒と活性剤とを含む2つの反応の流れを調製するにおいて、コモノマーを反応の流れの間に適宜分配することができる。混合するべき触媒溶液と活性剤溶液の容積は、約0.01〜約100、より好ましくは約0.1〜約10、最も好ましくは約1:1の範囲内の比を有し得る。
【0041】
WCl触媒前駆体及び(CAlCl活性剤の両方は、環境湿度と酸素に敏感であるため、反応溶液を不活性条件下で維持することが好ましい。混合した後、重合が急速で空気への暴露が最小である限り、触媒溶液を空気で満たされた鋳型内に注入してもよい。好ましくは、モノマー組成物を導入するのに先だって鋳型を窒素等の不活性ガスでパージしてもよい。重合は室温で起こることができ、又は重合を加速するのに熱を使用してもよい。
【0042】
本明細書に開示したポリマー鋳型は、主型工具を使用して形成される。主型工具は様々な異なる種類のポリマー鋳型を提供するように成形、構成等が為されてもよく、次にこのポリマー鋳型は、多くの異なる種類の用途のために様々な成型物品の形成に使用することができる。一般に、主型工具は、最終成型物品の正の鋳型を提供するように成形され、ポリマー鋳型は該物品の負の鋳型として成形される。いくつかの実施形態において、例えばフィルム様の成型物品を成型する場合、主型工具は十分な重合が起こる前に、任意の側壁を有する構造表面を提供してモノマー組成物を収容する必要があるのみであり得る。モノマー組成物は、被覆、流し込み等により、任意の凹部を完全に及び/又は部分的に充填し得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、主型は、射出鋳型又は圧縮鋳型を含んでもよい。この場合、鋳型は、互いに係合する2つの半分を含んでもよい。射出鋳型において、モノマー組成物は、射出ポートを介して主型工具の空洞(1つ又は複数)内に射出され、一般に空気、窒素等を逃すためのいくつかの出力ポート(output port)が存在する。空洞の充填は、出力ポートを介して取り付けられたバキュームにより促進され得る。圧縮鋳型においては、一般に、ランナー及びスプルーのシステムが提供されて主型工具の空洞(1つ又は複数)の充填の完了を促進し、また成型物品の鋳型からの離型を可能にする。
【0044】
主型工具の少なくとも1つの表面の三次元トポグラフィーは、形状、寸法及び表面全体における分布の点で変動し得る、1つ以上の特徴を含んでもよい。特徴は、凹部、空洞、レリーフ構造、ミクロレンズ、溝、チャネル等として表現されてもよく、また矩形、六角形、立方形、半球形、円錐形、角錐形、又はこれらの組み合わせを含んでよい。いくつかの実施形態において、主型工具の表面の三次元トポグラフィーは、約2mm未満、又は約500マイクロメートル未満の寸法を有する少なくとも1つの微細構造特徴を含む。いくつかの実施形態において、主型工具の表面の三次元トポグラフィーは複数の微細構造特徴を含み、各特徴は、約2mm未満、又は約500マイクロメートル未満の寸法を有する。特定の形状及び表面構造は、成型物品に関して下記に説明される。
【0045】
望ましい特徴(1つ又は複数)は、穿孔、機械加工、レーザー穿孔、レーザーアブレーション、ミクロ接触プリンティング、リソグラフィ、鍛造、ウォータージェット加工、鋳込み、エッチング、鋳型打ち抜き(die punching)、ダイヤモンド旋削、彫刻、ローレット切り等の任意の好適な手段により、主型工具の表面に付与することができる。望ましい特徴(1つ又は複数)はまた、多光子硬化と称されるプロセスにより、主型工具の表面に付与することができる。例えば、国際公開第2007/137102 A1号(Marttilaら)を参照されたい。
【0046】
主型工具は、可撓性又は剛性であり得る。主型工具の作製に使用できる有用な材料には、金属、スチール、セラミック、ポリマー材料(熱硬化性及び熱可塑性ポリマー材料を含む)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。主型工具を形成する材料は、十分な完全性及び耐久性を有して特定のモノマー組成物の使用に耐え、またそこに適用され又は重合反応で生成され得るいかなる熱にも耐える必要がある。主型工具を形成する材料は、上述のような構造化に従順である必要もある。主型工具は、製造が安価であり、耐用年数が長く、一貫して許容可能な品質を有する材料を製造し、プロセスパラメータの変動を可能とするものであることが望ましい。
【0047】
図1は、本明細書に開示したポリマー鋳型を製造するための例示的なプロセスの流れ図を示す。表面12を有する主型工具10を提供する。モノマー組成物14を提供し、該モノマー組成物は、上述したように、2つ以上の反応性二重結合を有する多環式モノマー、及び/又は1つの反応性二重結合を有する環式モノマーを含有し得る。主型の表面12をモノマー組成物と少なくとも部分的に接触させる。図1に示すように、主型工具は、モノマー組成物で充填されるキャビティを提供する。次に、ROMPが起こるようにモノマー組成物を重合する。得られたポリマーはポリマー鋳型16を形成する。ポリマー鋳型を主型工具から分離する。上述したように、ポリマー鋳型は、所望の成型物品の負の鋳型を提供する。
【0048】
図1は、成型物品を製造するための典型的なプロセスの流れ図も示す。ポリマー鋳型16を提供する。液体組成物18を提供し、ポリマー鋳型の少なくとも1部に接触させる。次に、液体組成物を成型物品20に形成する。成型物品をポリマー鋳型から分離する。
【0049】
液体組成物として、多数の異なる種類の材料を使用することができる。いくつかの実施形態において、液体組成物は1種以上のモノマーを含有し、液体組成物を成型物品に形成することは、熱及び/又は化学線を適用してその1種以上のモノマーを重合することを含む。(メタ)アクリレート、ウレタン、シリコーン、エポキシ、及びそれらの組み合わせを含む、多数の種類のこれら硬化性系が公知である。いくつかの実施形態において、液体組成物は、加熱により液化する流動性又は熱可塑性材料を含有する。その場合、液体組成物を成型物品に形成することは、液体組成物を冷却することを含む。熱可塑性材料の例には、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート及びポリエステルが挙げられる。
【0050】
いくつかの実施形態において、主型工具は、光学物品である成型物品を提供するよう成形される。形成され得る光学物品には、光、電磁波又は音波等の波動を案内するよう設計された導光板又は導波管が挙げられる。導光板は、典型的には1つ以上の層を含み、導光板の表面は1つ以上の光抽出特徴を含む。例えば同一出願人による米国特許出願第11/998,831号、「Improved Light Guide」、Kinderら、に記載されている導光板を参照されたい。更に成形され得る光学物品には、反射及び屈折を介して光の向きを変えるよう設計された、プリズムフィルムと称されることがある輝度上昇フィルムが挙げられる。例えば、米国特許第5,828,488号(Ouderkirkら)及び同第5,919,551号(Cobb,Jr.ら)を参照されたい。導光板及び輝度上昇フィルムの両方は、一般に、層の表面上に複数の微細構造特徴を有するポリマー層を含む。形成され得る他の種類の物品としては、例えばキューブコーナーシートを含むもの等の再帰反射フィルムが挙げられる。例えば、米国特許第5,691,846号(Benson,Jr.ら)を参照されたい。再帰反射フィルムは、一般に、入射光が再帰反射されるように層の表面上に多数の相互接続したキューブコーナー要素を有するポリマー層を含む。形成され得る他の種類の物品には、ケイ素、ガラス又は石英上に形成され、そこを通って液体及び/又は気体が流れ得るマイクロチャネル(直径1mm未満)を有するマイクロ流体デバイスが挙げられる。
【0051】
いくつかの実施形態において、主型工具は、構造研磨物品を含む成型物品を提供するよう成形される。構造研磨物品の1例には、それぞれがバインダー中に分散された複数の砥粒を含む、複数の研磨複合体が挙げられる。研磨複合体は、構造研磨物品の主表面上に、例えば角錐、角柱又は曲線形として成形されることができる。使用し得る砥粒の例には、酸化アルミニウム、炭化ケイ素等が挙げられる。使用し得るバインダーの例には、ウレタン、エポキシ、及び(メタ)アクリレート等の硬化性樹脂が挙げられる。構造研磨物品の1例は、米国特許第5,152,917号(Pieperら)に開示されている。
【0052】
いくつかの実施形態において、主型工具は、摩擦制御物品を含む成型物品を提供するよう成形される。摩擦制御物品は、高い摩擦特性と、良好な把持性能とを提供する。有用な摩擦制御物品は、様々な形状の可撓性直立ステムのアレイを有する軟性の微細構造表面を含む。そのようなものとして、摩擦制御物品は、例えばスチレン、イソプレン及び/又はブタジエンのいくつかの組み合わせからなるブロックポリマー等のエストラマー材料を含んでもよい。有用な摩擦制御物品は複数のステムを含んでもよく、各ステムは、乾燥時、少なくとも約0.6の静摩擦係数を提供する。摩擦制御物品の例は、米国特許第6,610,382 B1号(Kobeら)及び同第6,904,615 B2号(Kobeら)に開示されている。
【0053】
いくつかの実施形態において、例えば構造研磨物品に関しては、液体組成物に裏材が適用されてもよく、それにより裏材に成型物品が接着され又は取り付けられる。裏材に適した材料には、ポリマーフィルム、紙、布、金属フィルム、繊維、不織布基材、並びにそれらの混合物及び派生物が挙げられる。
【実施例】
【0054】
特に言及しない限り、材料は全て、Aldrich Chemicals(Milwaukee,WI)から得た。
【0055】
試験方法
引張り強度(ASTM D638)
厚さ3.175mm(1/8in.)のサンプルを切断し、ASTM D638、タイプIVに指定されている寸法を有するドッグボーン(dogbone)標本とした。標本の破壊をSintechロードフレーム上で初期グリップ分離89mm(3.5in.)及び試験速度508mm/分(20in/分)を用いて試験することにより、引張り強度を測定した。伸びを測定するために、ドッグボーンサンプルを初期グリップ分離31.7mm(1.25in)及び試験速度508mm/分(20in./分)を用いて試験した。伸びは、グリップの分離に基づいていた。サンプルにマークを加えて、試験中、グリップ内の任意の滑りを同定し、試験後、観察した任意の滑りを計上した。
【0056】
引裂強度(ASTM D624)
厚さ3.175mm(1/8in.)のサンプルを、ASTM D624に記載されているように、ダイBを使用して三日月形の引裂標本に切断した。またダイによりサンプルに切り込みを入れた。次に、Sintechロードフレームを用いて、初期グリップ分離76.2mm(3in.)及び試験速度508(20in./分)mm/分によりサンプルの破壊を試験した。
【0057】
材料の調製
準備的実施例1.MeFBSE−ノルボルネン(フルオロモノマー1)
N(CH)CHCHOC(O)CH=CH[121.78g、0.296mol、国際公開第01/30873A1号の実施例2のA部及びB部に記載されているように調製(Savuら)]、シクロペンタジエン(23.36g、0.353mol、ジシクロペンタジエンから新たに調製)、及びクロロホルム(120mL)の混合物を、室温で10分間混合した。次に、溶液を55℃まで20時間加熱した。次に、この混合物を真空下に配置して溶媒を除去した。生成物を蝋状固体(収量140.16g、97%)として得た。
【0058】
準備的実施例2.5−ノルボルネン−2−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−オクチル)エステル(フルオロモノマー2)
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−オクチルアクリレート(25.00g、60mmol)とシクロペンタジエン(4.78g、72mmol、ジシクロペンタジエンから新たに調製)との混合物を、室温で2時間混合した。次に、溶液を55℃まで17時間加熱した。次に、混合物を真空下(0.27kPa(2mmHg)にて55℃で2時間配置した。生成物を橙色油(収量28.20g、98%)として得た。
【0059】
準備的実施例3:W触媒溶液の調製
炉で乾燥した1Lフラスコに、窒素下でWCl(4.00g、0.010mol)、ノニルフェノール(2.24g、0.010mol)、及び約100mLの無水トルエンを入れた。この混合物を窒素でパージしながら4時間攪拌した。次に、無水ジシクロペンタジエン(DCPD、500mL、3.67mol)及び2,4−ペンタンジオン(2.0g、0.020mol)を加えた。溶液を真空下に配置し、40℃で2.5時間攪拌して、トルエンを除去した。無水DCPDを加えて、総容積を500mLとした。
【0060】
準備的実施例4:5重量%フルオロモノマー1を有する配合物
混合物A
炉で乾燥した250mLエルレンマイヤーフラスコにフルオロモノマー1(5.00g、0.019mol)を入れた。次にこれにセプタムで蓋をし、窒素でパージした。注射器を使用して5−ヘキシル−2−ノルボルネン(50mL、0.243mol)を加えた。溶液を120℃の炉内で約20分間加熱して、フルオロ−モノマー1を溶解した。フラスコを炉から除去し、数分間冷却させた。次に、トリクロロ酢酸エチル(1.4mL、0.010mol)と、準備的実施例3の触媒溶液50mLを加えた。
【0061】
混合物B
炉で乾燥した別個の250mLエーレンマイヤーフラスコに、同様にフルオロモノマー1(5.00g、0.019mol)を入れ、次にフラスコにセプタムで蓋をし、窒素でパージした。DCPD(11.5mL、0.084mol)及び5−ヘキシル−2−ノルボルネン(88.5mL、0.427mol、Muller,K.ら,Macromol.Chem.Phys.,2006,207,193〜200に従って調製)を加え、混合物を120℃で加熱してフルオロ−モノマー1を溶解した。冷却後、ジブチルエーテル(6.2mL、0.046mol)及びジエチルアルミニウムクロリド(1.9mL、0.015mol)を加えた。
【0062】
準備的実施例5:15重量%フルオロモノマー1を有する配合物
混合物A
フルオロモノマー1(3.75g、0.014mol)及びノルボルニレン(3.125g、0.033mol)を炉で乾燥したフラスコ内に配置し、次にフラスコにセプタムで蓋をし、窒素でパージした。5−ヘキシル−2−ノルボルネン(6.1mL、0.029mol)を加え、混合物をモノマーが全部溶解するまで加熱した。溶液が冷却した後、トリクロロ酢酸エチル(0.35mL、0.003mol)及び準備的実施例3のW−触媒溶液(12.6mL)を加えた。
【0063】
混合物B
炉で乾燥したフラスコ内で、フルオロモノマー1(3.75g、0.014mol)とノルボルニレン(Aldrich、9.38g、0.100mol)を組み合わせ、フラスコをキャップし、窒素でパージした。ジシクロペンタジエン(2.9mL、0.021mol)及び5−ヘキシル−2−ノルボルネン(8.3mL、0.040mol)を加え、混合物を加熱して全部のモノマーを溶解した。冷却後、ブチルエーテル(1.55mL、0.011mol)及びジエチルアルミニウムクロリド(1.0mL、0.008mol)を加えた。
【0064】
準備的実施例6:15重量%フルオロモノマー2を有する配合物
混合物A
ノルボルニレン(1.875g、0.0199mol)を炉で乾燥したフラスコ内に配置し、次にフラスコにセプタムで蓋をし、窒素でパージした。フルオロモノマー2(2.25g、0.009mol)、5−ヘキシル−2−ノルボルネン(3.6mL、0.018mol)、トリクロロ酢酸エチル(0.2mL、0.002mol)、及び準備的実施例3(7.6mL)のW−触媒溶液を加えた。
【0065】
混合物B
炉で乾燥したフラスコにノルボルニレン(5.625g、0.060mol)を入れ、キャップし、窒素でパージした。フルオロモノマー2(2.25g、0.009mol)、ジシクロペンタジエン(1.7mL、0.013mol)、5−ヘキシル−2−ノルボルネン(5.0mL、0.024mol)、ブチルエーテル(0.9mL、0.007mol)及びジエチルアルミニウムクロリド(0.3mL、0.002mol)を加えた。
【0066】
準備的実施例7:フルオロモノマー3
HFPOは、末端基F(CF(CF)CFO))CF(CF)−を指し、ここでdは、平均で4〜20である。HFPO−CONHCHCHOCOCH=CH(HFPO−AEA)は、米国特許出願公開第2006/0216500号(Klunら)の調製(preparation)31Aに記載されているように調製した。HFPO−AEA(40.00g、0.029mol)とシクロペンタジエン(2.73g、0.041mol、ジシクロペンタジエンから新たに調製)との混合物を室温で30分間混合した。次に、混合物を55℃まで4時間加熱した。次に、この混合物を真空下に配置して過剰なシクロペンタジエンを除去した。生成物を黄色液体(収量40.17g、97%)として得た。
【0067】
準備的実施例8:ノルボルン−2−エン−5−カルボン酸ブチルエステル
アクリル酸ブチル(41.62g、0.032mol)とシクロペンタジエン(31.76g、0.48mol、ジシクロペンタジエンから新たに調製)との混合物を、冷水浴内で冷却しながらフラスコ内で撹拌した。1時間後、混合物を55℃で30分間攪拌した。次に、混合物を減圧下(60〜65℃ @ 0.053kPa(0.4mmHg)で蒸留して、生成物を無色油として与えた(収量70.29g、93%)。
準備的実施例9:フルオロモノマーを有さない配合物
混合物A
炉で乾燥した25mL丸底フラスコに、ノルボルン−2−エン−5−カルボン酸ブチルエステル(0.15g、0.00077mol)を入れた。次にこれにセプタムで蓋をし、窒素でパージした。注射器を使用して5−ヘキシル−2−ノルボルネン(5.4mL、0.026mol)を加えた。溶液を85℃の炉内で約30分間加熱した。フラスコを炉から除去し、数分間冷却させた。次に、トリクロロ酢酸エチル(0.14mL、0.0010mol)及び準備的実施例3の触媒溶液5.0mLを加えた。
【0068】
混合物B
ノルボルン−2−エン−5−カルボン酸ブチルエステル(0.15g、0.00077mol)を、炉で乾燥した別個の25mL丸底フラスコに入れ、次にフラスコにセプタムで蓋をし、窒素でパージした。ジシクロペンタジエン(7.3mL、0.054mol)及び5−ヘキシル−2−ノルボルネン(3.0mL、0.015mol)を加え、混合物を85℃で約30分間加熱した。冷却後、ジエチルアルミニウムクロリド(0.19mL、0.0015mol)を加えた。
【0069】
準備的実施例10:0.2%フルオロモノマー3を有する配合物
混合物A
炉で乾燥した25mL丸底フラスコにフルオロモノマー3(0.02g)及びノルボルン−2−エン−5−カルボン酸ブチルエステル(0.15g、0.00077mol)を入れた。次にこれにセプタムで蓋をし、窒素でパージした。注射器を使用して5−ヘキシル−2−ノルボルネン(5.4mL、0.026mol)を加えた。溶液を85℃の炉内で約30分間加熱して、フルオロモノマーを溶解した。フラスコを炉から除去し、数分間冷却させた。次に、トリクロロ酢酸エチル(0.14mL、0.0010mol)及び準備的実施例3の触媒溶液5.0mLを加えた。
【0070】
混合物B
フルオロモノマー3(0.02g)及びノルボルン−2−エン−5−カルボン酸ブチルエステル(0.15g、0.00077mol)を、炉で乾燥した別個の25mL丸底フラスコに入れ、次にフラスコにセプタムで蓋をし、窒素でパージした。ジシクロペンタジエン(7.3mL、0.054mol)及び5−ヘキシル−2−ノルボルネン(3.0mL、0.015mol)を加え、混合物を85℃で約30分間加熱した。冷却後、ジエチルアルミニウムクロリド(0.19mL、0.0015mol)を加えた。
【0071】
準備的実施例11:0.2%フルオロモノマー3及び6%フルオロモノマー1を有する配合物
混合物A
炉で乾燥した25mLの丸底フラスコにフルオロモノマー3(0.02g)、フルオロモノマー1(0.60g)、及びノルボルン−2−エン−5−カルボン酸ブチルエステル(0.15g、0.00077mol)を入れた。次にこれにセプタムで蓋をし、窒素でパージした。注射器を使用して5−ヘキシル−2−ノルボルネン(4.8mL、0.023mol)を加えた。溶液を85℃の炉内で約30分間加熱して、フルオロモノマーを溶解した。フラスコを炉から除去し、数分間冷却させた。次に、トリクロロ酢酸エチル(0.14mL、0.0010mol)及び準備的実施例3の触媒溶液5.0mLを加えた。
【0072】
混合物B
フルオロモノマー3(0.02g)、フルオロモノマー1(0.60g)、及びノルボルン−2−エン−5−カルボン酸ブチルエステル(0.15g、0.00077mol)を、炉で乾燥した別個の25mL丸底フラスコに入れ、次にフラスコにセプタムで蓋をし、窒素でパージした。ジシクロペンタジエン(7.3mL、0.054mol)及び5−ヘキシル−2−ノルボルネン(2.5mL、0.012mol)を加え、混合物を85℃で約30分間加熱した。冷却後、ジエチルアルミニウムクロリド(0.19mL、0.0015mol)を加えた。
【0073】
比較例1
厚さ3.175mm(1/8in.)のSILASTIC Eリシコーンゴム(Dow Corning,Midland,MI)のシートを、Dowの製品情報に記載されているように調製した。2枚のガラスプレートと、厚さ1/8”の、6”×8”の矩形開口部を有するシリコーンシートとを使用して鋳型を調製した。SILASTIC E樹脂(60g)及びSILASTIC E硬化剤(6.0g)をプラスチックカップ内で組み合わせ、FLACKTEK(Landrum,SC)製のDAC 150 FV SPEED MIXERを用いて混合した。これら66gのサンプルの2つを、ガラスプレートの1つ上の矩形開口部内に注いだ。次に、このサンプルを真空下で5分間脱気した。次に、第2のガラス片をサンプル上に配置し、鋳型をバインダークリップで締め付けた。サンプルを室温で17時間、続いて50℃で4.5時間硬化させた。
【0074】
実施例1
鋳型の調製のために、厚さ3.175mm(1/8in.)のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートを、152.4mm×203.2mm(6in.×8in)の矩形開口部を有するように切った。このスペーサを2つのガラスプレートの間に締着し、その1つは1つの角にて直径3.175mm(1/8in.)の穴を有した。針を使用してガラス内の穴を通して、得られた鋳型キャビティを窒素でパージした。60mL注射器に準備的実施例4の混合物A54mLを充填した。他の注射器に、同様に準備的実施例4の混合物54mLを充填した。これら2つの注射器を注射器ポンプ内に配置し、長さ127mm(5in.)の、19個の混合要素を有する静的ミキサーに接続した。静的ミキサーの末端部に接続された針を、金型の角部の穴を通して配置し、注射器ポンプを使用して、注射器の全内容物を15秒未満の間に鋳型に供給した。約90秒後、鋳型は、硬化の発熱により温かくなった。5分後、得られたポリマーを鋳型から除去し、120℃の炉内で1時間硬化させた。
【0075】
実施例1に関して得られた引張り強度、伸び及び引裂強度と、比較例1に関する比較特性とを表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
実施例2:準備的実施例4の鋳型
準備的実施例4(22mL)の混合物Aを、注射器内に負荷した。別個の注射器に、準備的実施例4(22mL)の混合物Bを負荷した。主型工具を、ニッケルメッキしたパターンセットを使用して、頂部を有さないアルミニウム箱の底部内に調製した。直径3.175mm(1/8in.)の穴を有するガラス片をアルミニウム箱の頂部上に貼り、空洞を窒素でパージした。実施例1に記載したプロセスと同様、2つの溶液を注射器ポンプにより静的ミキサーを介して鋳型内に射出した。サンプルは1〜2分で発熱し、少なくとも3分後、鋳型から除去した。次に、鋳型を120℃の炉内に約20分間配置して、後硬化させた。
【0078】
実施例3:ROMPベースの鋳型内での光硬化させたシリコーン
実施例2で形成した鋳型の後部を、アルミニウムプレートに固定した。重量比20:1のVQM−135樹脂(Gelest,Morrisville,PA)及びSyl−Off 7678(Dow Corning,Midland,MI)を用いて、(MeCp)PtMeの形態のPt 10ppmと共に、光硬化性シリコーン溶液を調製した。次に、鋳型の空洞をこの光硬化性シリコーン配合物で充填し、5〜7分間脱気した。次に、ポリエステルライナーをシリコーンの頂部上に加え、過剰なシリコーン樹脂を絞り取った。ポリエステルライナー上にガラスを配置し、アセンブリーを炉内で80℃まで加熱した。次に、シリコーンをUVランプ下に10分間暴露し、80℃の炉に20分間戻した。これを除去し、3〜5分間冷却させた。剥離ライナーを除去し、シリコーンを鋳型から注意深く除去した。次に、鋳型を洗浄し、再使用することができた。このサイクルを12回反復し、鋳型の性能の明かな低下は見られなかった。
【0079】
実施例4
6mLのバイアルにセプタムで蓋をし、窒素でパージした。1mLの準備的実施例5の混合物A及び混合物Bのそれぞれを注入し、バイアルを振とうして混合した。サンプルは2分未満で発熱した。
【0080】
実施例5
6mLのバイアルにセプタムで蓋をし、窒素でパージした。準備的実施例6の混合物A及び混合物B(それぞれ0.5mL)を注入し、バイアルを振とうして混合した。サンプルは3分未満で発熱した。
【0081】
実施例6:準備的実施例5を使用した微細複製
101.6×127mm(4in.×5in.)のガラス片を、微細パターン化された輝度上昇フィルム(BEF)片で覆った。厚さ3.175mm(1/8in.)のシリコーンゴムシートの矩形片を76.2×101.6mm(3in.×4in.)の矩形開口部を有するように切り、フィルム上に配置した。1つの角部に直径3.175mm(1/8in.)の穴を有するガラス片をシリコーン上に配置して、3,175mm×76.2mm(1/8in.×3in.×4in)の鋳型空洞を形成した。次に、鋳型を窒素でパージした。準備的実施例5の混合物A及び混合物Bを別個の注射器内に配置した。2つの注射器を注射器ポンプ内に配置し、静的ミキサーを装着した。溶液を静的ミキサーを通して、ガラス内の穴を経由して鋳型内に射出した。サンプルは発熱し、5分後、サンプルに接触していたBEF片及びガラス片を除去した。次に、サンプルを120℃の炉内で1時間後硬化させた。
【0082】
得られた微細パターン化された表面を、45×58mm(1.75in.×2.25in)の矩形開口部を有する厚さ1.59mm(1/16in.)のシリコーンゴムシート片の下に配置した。次に、この空洞を、Sartomer Co.,Exton,PAから入手可能なSartomer CN981(87.6重量%)、ヘキサンジオールジアクリレート(12.0重量%)、及びLudwigshafen,GermanyのBASF製のLUCIRIN TPO−L(0.4重量%)を含む硬化性ウレタンアクリレート溶液で充填した。鋳型の頂部をポリエステルフィルム片で覆い、Carol Stream,ILのNorlux Corp.から入手可能なNorlux 375nm LEDアレイ下で60秒間硬化させた。
【0083】
ウレタンアクリレートは完全に硬化したように見え、鋳型から除去することができた。しかしながら、ウレタンアクリレートの除去は、鋳型内に視覚可能な欠陥を生じるのに十分な力を要した。光学顕微鏡下での検査により、BEFパターンが硬化したウレタンアクリレートに転写されたことを確認した。
【0084】
実施例7:準備的実施例6を使用した微細複製
準備的実施例6の混合物A及び混合物Bを使用して、実施例6に記載したように微細パターン化表面を調製した。得られた微細パターン化表面を、45×58mm(1.75in.×2.25in)の矩形開口部を有する厚さ1.59mm(1/16in.)のシリコーンゴムシート片の下に配置した。次に、この空洞を、Sartomer CN981(87.6重量%)、ヘキサンジオールジアクリレート(12.0重量%)、及びLUCIRIN TPO−L(0.4重量%)を含む硬化性ウレタンアクリレート溶液で充填した。鋳型の頂部をポリエステルフィルム片で覆い、Norlux 375nm LEDアレイ下で60秒間硬化させた。
【0085】
サンプルは、鋳型に損傷を与えずに該鋳型から除去することができた。同一の鋳型から、同一のプロセスを用いて、追加のウレタンアクリレート標本を作製した。7回のサイクル後に、鋳型は損傷を受けていなかった。
【0086】
実施例8:準備的実施例9を使用した微細複製
76.2×101.6mm(3in.×4in.)のガラス片を、微細パターン化輝度上昇フィルム(BEF)片で覆った。厚さ3.175mm(1/8in.)のシリコーンゴムシートの矩形片を58.4×83.8mm(2.3in.×3.3in.)の矩形開口部を有するように切り、フィルム上に配置した。次に、シリコーン鋳型上にポリエステルフィルムを配置した。1つの角部に直径3.175mm(1/8in.)の穴を有するガラス片をフィルム上に配置して、3.175×58.4×83.8mm(1/8in.×2.3in.×3.3in)の鋳型空洞を形成した。次に、鋳型を窒素でパージした。準備的実施例8の混合物A及び混合物Bのそれぞれ10.0〜10.5mLを、別個の注射器内に配置した。2つの注射器を注射器ポンプ内に配置し、静的ミキサーを装着した。溶液を静的ミキサーを通して、ガラス内の穴と、ポリエステルフィルムを通した穴とを経由して鋳型内に射出した。サンプルは発熱し、30分後、ROMPポリマーを鋳型から除去した。次にサンプルを100℃の炉内で30分間後硬化させた。
【0087】
Sartomer Co.から入手可能なSartomer CN966J75(99.6重量%)及びLUCIRIN TPO−L(0.4重量%)を含む硬化性ウレタンアクリレート溶液を、得られた微細パターン化されたROMP表面上に注いだ。ウレタンアクリレート上にポリエステルフィルム片を配置し、これをナイフコーターで拡げて厚さ0.61〜1.18mmの層を形成した。これをNorlux 375nm LEDアレイ下で60秒間硬化させた。このポリ(ウレタンアクリレート)層を剥離し、廃棄した。次に、第2のポリ(ウレタンアクリレート)層を流し込み、同じように硬化させた。
【0088】
得られたポリ(ウレタンアクリレート)層を幅12.7mm(1/2in.)の細長片に切断し、微細複製されたプリズムは細長片を横方向に横断していた。次に、これらの細長片を、10 lbfのロードセルを装着した180°剥離試験機(Instrumentors,Inc.,Model 3M90)を使用して、微細パターン化ROMP表面から除去した。試験は304.8mm/分(12in./分)で行い、剥離力は5秒間について平均した。6個の標本に関する平均剥離力は、64.2mL(22.6oz)であった。得られたポリ(ウレタンアクリレート)サンプルの表面は、パターン化角柱形状を所有していた。
【0089】
実施例9:準備的実施例10を使用した微細複製
準備的実施例10を使用して、実施例8で用いた手順を反復した。ポリ(ウレタンアクリレート)の6個の標本を、得られたROMP鋳型から除去する平均剥離力は、207.4mL(7.3oz)であった。得られたポリ(ウレタンアクリレート)サンプルの表面は、パターン化角柱形状を所有していた。
【0090】
実施例10:準備的実施例11を使用した微細複製
準備的実施例11を使用して、実施例8で用いた手順を反復した。ポリ(ウレタンアクリレート)の5個の標本を、得られたROMP鋳型から除去する平均剥離力は、420.5mL(14.8oz)であった。得られたポリ(ウレタンアクリレート)サンプルの表面は、パターン化角柱形状を所有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上の反応性二重結合を有する多環式モノマーと、
1つの反応性二重結合を有する環式モノマーと、の開環メタセシス重合により形成されるポリマーを含むポリマー鋳型。
【請求項2】
前記多環式モノマーが、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエン、ノルボルナジエン、テトラシクロ[6,2,13,6,02,7]ドデカ−4,9−ジエン、及びそれらの誘導体からなる群より選択される、請求項1に記載のポリマー鋳型。
【請求項3】
前記多環式モノマーが、ジシクロペンタジエンを含み、約0.5〜約50mol%のジシクロペンタジエンが前記ポリマーを架橋する、請求項1に記載のポリマー鋳型。
【請求項4】
前記環式モノマーが、ノルボルニレン、エチリデンノルボルネン、シクロオクテン、及びそれらの誘導体からなる群より選択される、請求項1に記載のポリマー鋳型。
【請求項5】
前記環式モノマーが、
【化1】

(式中、Rは、1〜20個の炭素原子を含むアルキル基である)を含むノルボルニレン、及びノルボルニレンの誘導体を含む、請求項1に記載のポリマー鋳型。
【請求項6】
前記環式モノマーが、フッ素化環式モノマーを含む、請求項1に記載のポリマー鋳型。
【請求項7】
前記フッ素化環式モノマーが、
【化2】

(式中、Rは、共有結合、アルキル基、芳香族基、エステル、アミド、エーテル、シラン誘導体、及びスルホンアミドからなる群より選択され、Rは、1価のペルフルオロアルキル含有基又はペルフルオロオキシアルキル含有基を含むフッ素含有基である)を含む、請求項6に記載のポリマー鋳型。
【請求項8】
前記ポリマーが、両方とも前記ポリマーの総重量に対して、
約20〜約80重量%の前記多環式モノマーと、
約20〜約80重量%の前記環式モノマーと、を含む、
請求項1に記載のポリマー鋳型。
【請求項9】
多環式モノマーと環式モノマーとのモル比が、約1:3〜約1:7である、請求項1に記載のポリマー鋳型。
【請求項10】
前記フッ素化環式モノマーが、前記ポリマーの総重量に対して、約0.1〜約25重量%のポリマーを含む、請求項6に記載のポリマー鋳型。
【請求項11】
前記ポリマーが、全て前記ポリマーの総重量に対して、
約20〜約80重量%の前記多環式モノマーと、
約0.1〜約25重量%の前記フッ素化環式モノマーと、
約20〜約80重量%の前記環式モノマーと、を含む、
請求項6に記載のポリマー鋳型。
【請求項12】
前記鋳型が、約2mm未満の寸法を有する少なくとも1つの微細構造特徴を含む、請求項1に記載のポリマー鋳型。
【請求項13】
前記鋳型が、約500マイクロメートル未満の寸法を有する少なくとも1つの微細構造特徴を含む、請求項1に記載のポリマー鋳型。
【請求項14】
前記鋳型が、複数の微細構造特徴を含み、各特徴が約2mm未満の寸法を有する、請求項1に記載のポリマー鋳型。
【請求項15】
前記鋳型が、複数の微細構造特徴を含み、各特徴が約500マイクロメートル未満の寸法を有する、請求項1に記載のポリマー鋳型。
【請求項16】
ポリマー鋳型の製造方法であって、
主型を提供し、
2つ以上の反応性二重結合を有する多環式モノマーと、
1つの反応性二重結合を有する環式モノマーと、
遷移金属触媒及び有機アルミニウム活性剤を含むメタセシス触媒系と、を含むモノマー組成物を提供し、
前記主型の表面を前記モノマー組成物と接触させ、
前記モノマー組成物を重合してポリマーを含むポリマー鋳型を形成し、
前記ポリマー鋳型を前記主型から分離する、ことを含む、方法。
【請求項17】
前記モノマー組成物が、2つの部分からなる反応系であり、一方の部分が前記遷移金属触媒を含み、他方の部分が前記有機アルミニウム活性剤を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
成型物品の製造方法であって、
2つ以上の反応性二重結合を有する多環式モノマーと、
1つの反応性二重結合を有する環式モノマーと、の開環メタセシス重合により形成されたポリマーを含むポリマー鋳型を提供し、
液体組成物を提供し、
前記ポリマー鋳型の表面を前記液体組成物と接触させ、
前記液体組成物を成型物品に形成し、
前記成型物品を前記ポリマー鋳型から分離する、ことを含む、方法。
【請求項19】
前記液体組成物が、1種以上のモノマーを含み、前記液体組成物を成型物品に形成することが、熱及び/又は化学線を適用して、前記1種以上のモノマーを重合することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記液体組成物を成型物品に形成することが、前記液体組成物を冷却することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記成型物品が裏材に接着するように、該裏材を前記液体組成物に適用することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
請求項18に記載の方法に従って調製された、成型物品。
【請求項23】
請求項21に記載の方法に従って調製された、成型物品。
【請求項24】
約2mm未満の寸法を有する少なくとも1つの微細構造特徴を含む、請求項18に記載の成型物品。
【請求項25】
約500マイクロメートル未満の寸法を有する少なくとも1つの微細構造特徴を含む、請求項18に記載の成型物品。
【請求項26】
複数の微細構造特徴を含み、各特徴が約2mm未満の寸法を有する、請求項18に記載の成型物品。
【請求項27】
複数の微細構造特徴を含み、各特徴が約500マイクロメートル未満の寸法を有する、請求項18に記載の成型物品。
【請求項28】
導光板、輝度上昇フィルム、再帰反射フィルム又はマイクロ流体デバイスを含む、請求項18に記載の成型物品。
【請求項29】
複数の研磨複合体を含み、前記研磨複合体のそれぞれは、バインダー中に分散された複数の砥粒を含む、請求項18に記載の成型物品。
【請求項30】
複数のステムを含み、各ステムは、乾燥時、少なくとも約0.6の静摩擦係数を提供する、請求項18に記載の成型物品。
【請求項31】
2つ以上の反応性二重結合を有する多環式モノマーの開環メタセシス重合から形成されたポリマーを含む、ポリマー鋳型。
【請求項32】
多環式モノマーが、ジシクロペンタジエンを含む、請求項31に記載のポリマー鋳型。
【請求項33】
1つの反応性二重結合を有する環式モノマーの開環メタセシス重合により形成されたポリマーを含む、ポリマー鋳型。
【請求項34】
前記環式モノマーが、ポリエチリデンノルボルネンを含む、請求項33に記載のポリマー鋳型。

【図1】
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【公表番号】特表2011−524830(P2011−524830A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514648(P2011−514648)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/041936
【国際公開番号】WO2009/154879
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】