説明

ポリマー/粘土ナノコンポジット材料及びそれらの調製方法

本発明は、ブタジエン、イソプレン及びスチレンから成る群から選択される少なくとも2種のモノマーのコポリマーと、そこに分散される粘土鉱物とに基づくナノコンポジット材料、並びにそれらの調製法に関する。開始剤として有機リチウム、溶媒として有機系炭化水素溶媒、及びミクロ構造調整剤として極性添加剤を用いる一般的なアニオン溶液重合法により、ブタジエン、イソプレン及びスチレンから成る群から選択される少なくとも2種のモノマーが、有機粘土の存在下で、その場でインターカレーション重合され、それにより、機械的特性、耐熱性、バリア特性、化学的特性に優れ、かつ総合的な特性のバランスが取れた離層化ナノコンポジット材料が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ポリマー/粘土ナノコンポジット材料、詳細には、ブタジエン、イソプレン及びスチレンから成る群から選択される少なくとも2つのモノマーのコポリマーと、粘土鉱物とに基づくナノコンポジット材料、並びにそれらの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーナノコンポジット材料は、分散相のナノスケールの作用及び高い粉末度のため、機械的性質及び機能化能において、一般的な複合材料(分散相が、μmのサイズにある)と実質的に異なる。それらの間で、上記分散相(層状のシリケート結晶の薄片層)の高い形状要因のため、層状のシリケート/ポリマーナノコンポジット材料は、より明確でかつ特有の特性、例えば、高剛性、高強度、高バリア性、高難燃能、高い耐薬品性等を示す。
【0003】
層状のシリケート/ポリマーナノコンポジット材料において、一般的に、3つの調製法:重合性モノマーのその場でのインターカレーション重合、プレポリマーインターカレーション及びポリマーインターカレーションがある。上記プレポリマーインターカレーション法では、十分な量のプレポリマーを、まるでモノマーのように、有機粘土の各層の間に挿入させなければならないが、上記プレポリマーは、モノマーよりも明らかに粘調であるため、上記プレポリマーによる有機粘土の膨張のみならず、反応性が下がる。従って、上記方法の困難性は、上記プレポリマーの粘性率の減少と、上記プレポリマー及び上記有機粘土間の反応性又は相溶性の増加にある。
【0004】
上記ポリマーインターカレーション法では、溶融又は溶液状のポリマーが、有機に変性シリケートの各層の間に直接挿入され(上記ポリマー及び有機変性シリケート間の物理的又は化学的相互作用によって促進される)それにより、層状のシリケート/ポリマーナノコンポジット材料が生成する。上記ポリマー及び有機粘土間の相溶性を改良するように、適切な相溶化剤(compatibilizer)が導入されることが多く、そして導入されるべき上記相溶化剤は、挿入剤と比較的強い相互作用を有することが必要とされるか、あるいは、立体障害を付与すること、中間層距離を大きくすること、そして中間層引力を減らすことだけでなく、ポリマーマトリックスとの相溶性を改良する十分に長い非極性部分を有することが必要とされる。
【0005】
しかし、比較的多量で用いられた場合、上記相溶化剤は、得られた材料の特性を低下させるであろう。モノマーのその場でインターカレーション重合では、有機粘土が、それらの中で膨潤されるようにモノマーに直接添加され、次いで、上記モノマーが、上記中間層スペースの中及び周囲においてその場で重合され、そして反応が進むに連れ、上記中間層の距離が徐々に大きくなり、最終的に、上記有機粘土は、単一層において、得られたポリマー内に均一に分散され、それにより、有機粘土/ポリマーナノコンポジット材料が形成する。
【0006】
そのようにして得られたナノコンポジット材料では、上記有機粘土及びポリマー間に、比較的強い相互作用及びより良好な相溶性が存在し、上記有機粘土は、上記ポリマーマトリックス中に均一に分散し、離層化(delaminated)構造体が容易に形成することができ、ひいては、上記有機粘土は、上記ポリマーマトリックスに対して明白な強化効果を発揮する。従って、モノマーのその場でのインターカレーション重合が、ポリマー及び有機粘土を混合するために最も理想的かつ有効である。
【0007】
米国特許第4,889,885号明細書には、粘土/ゴムナノコンポジット材料を調製するための2つの方法が開示されている。ひとつは、その場でのインターカレーション重合であり、そこでは、最初に、粘土鉱物の薄片層を、末端ビニル基を有する第四級アンモニウム塩を用いて変性し、次いで、得られた有機粘土を、N,N−ジメチルホルムアミド溶媒中に分散し、イソプレン及び対応する量のラジカル開始剤を、得られた分散液に添加し、次いでイソプレンを上記粘土の中間層スペース内で重合し、ポリイソプレンゴムを生成させ、最後に上記溶媒を除去して、粘土/ポリイソプレンゴムナノコンポジット材料を得る。上記他の方法では、低分子量を有する液状のアミノ末端ニトリルゴムを、水及びジメチルスルホキシドで構成される混合溶媒中に分散し、そして得られた分散液に酸を添加して、末端アミノ基を四級化し、次いで水性粘土懸濁液と混合して、最後に水及び上記溶媒を除去して、粘土/液状ニトリルゴムナノコンポジット材料を生成させる。
【0008】
国際公開第97/00910号パンフレット内で開示される方法では、最初に、粘土鉱物を水に分散させ、そして中間層カチオンの水和のために、非常に早急にかつ均一に層にさせ、次いで、一又は複数のモノマー、開始剤、乳化剤等を、得られた分散液に添加し、最後に、得られた混合物を、粘土結晶の薄片層の水性分散液中で、エマルション重合され、それにより、粘土/ゴムナノコンポジット材料を生成させる。エマルションの粒径及びミセルサイズに対する制限のため、上記方法における粘土鉱物の分散性が劣り、層化は、界面の物理的相互作用によってのみ生じ、そして反応が複雑すぎて、容易に制御及び産業化することができない。
【0009】
中国特許ZL98101496.8号明細書には、高分子エマルションインターカレーション法が開示されており、そこでは、最初に、粘土鉱物を、より低い比率で水に分散させ、次いで、ゴムラテックスを、得られた分散液に添加し、そして高分子ラテックス粒子を浸透させ、そして粘土鉱物の薄片層と、より径の小さいラテックス粒子とを分離させてより良い分散効果を生じさせ、系全体を共析出させるように、共凝固剤を得られた混合物に添加し、そして最後に、水を除去してゴム/粘土複合材料を得る。
【0010】
上記方法を用いて、粘土/SBR、粘土/NBR、粘土/XNBR、粘土/NR、粘土/CR等の複合材料を、順調に調製した。界面相互作用を改良するように、多官能価のカップリング分子を、この系に添加することができる。上記方法は、大部分のゴムを、エマルション形態で提供することができるという事実に基づいており、ひいては、単に制御の容易化及び低コストに関わる。上記方法は、高い粘土含有率の場合には不利であり、上記粘土鉱物の分散性は、上記反応性のインターカレーション法における粘土鉱物の分散性に対して不利であり、そして多量の汚水が生成する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記状況を考慮して、本発明者たちは、ポリマー/粘土ナノコンポジット材料の分野において広範囲の研究を行い、そして結果として、ブタジエン、イソプレン及びスチレンから成る群から選択される少なくとも2種のモノマーのコポリマーと、粘土鉱物とに基づくコポリマー/粘土ナノコンポジット材料の類が、上述のラジカル重合法及びエマルション重合法の代わりに古典的なアニオン溶液重合法を用いて、開始剤としての有機リチウム、溶媒としての有機系炭化水素溶媒、及びミクロ構造変性剤としての極性添加剤を用いることにより、有機粘土の存在下で、上記モノマーにその場でのインターカレーション重合を受けさせることにより調製され、それによりナノスケールにおいて強化され、そして上記ポリマー生成物の包括的な特性を有効に強化するエラストマーが生成する。
【0012】
一方、上述のラジカル重合法及びエマルション重合法と比較して、本発明は、開始剤としてアルキルリチウムを用いたアニオン溶液重合法を用いて、一連のコポリマー/粘土ナノコンポジット材料を調製するように、ブタジエン、イソプレン及びスチレンから成る群から選択される少なくとも2つのモノマーに基づくコポリマーのミクロ構造及び分子パラメータを、容易に調製することができる。
【0013】
本発明の目的は、ブタジエン、イソプレン及びスチレンから成る群から選択される少なくとも2つのモノマーと、粘土鉱物とに基づくコポリマー/粘土ナノコンポジット材料を提供することであり、そしてそれは、離層化構造体に属し、機械的性質、耐熱性、バリア特性、耐薬品性に優れ、そしてその包括的特性においてバランスが良い。
【0014】
本発明の別の目的は、本発明に従うコポリマー/粘土ナノコンポジット材料の調製法を提供することであり、そこでは、ブタジエン、イソプレン及びスチレンから成る群から選択される少なくとも2つのモノマーが、リチウムベースの開始剤を用いて、有機粘土の存在下で、その場でのインターカレーション重合を受ける。本発明に従うポリマー/粘土ナノコンポジット材料における分散層のナノスケール効果及び高い粉末度のため、一般的な複合材料の機械的特性及び機能化能を改良することができ、そして得られる製品は、高剛性、高強度、高バリア特性、高火炎遅延特性、高耐薬品性等の顕著な特性を有する。上述のラジカル重合法及びエマルション重合によって調製されたコポリマーと比較して、アニオン性溶液重合法を用いて、開始剤として有機リチウムを用いて調製された、ブタジエン、イソプレン及びスチレンから成る群から選択される少なくとも2つのモノマーに基づくコポリマーは、ミクロ構造等の特性が明らかに異なる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のこれら及び他の目的、特徴及び優位性は、添付の図面に関連して本出願の詳細な説明から、当業者に、より明確となるであろう。
【0016】
本発明は、ブタジエン、イソプレン及びスチレンから成る群から選択される少なくとも2つのモノマーのコポリマー、並びにそこに分散された粘土鉱物を含むコポリマー/粘土ナノコンポジット材料を提供し、ここで、上記コポリマーは、1×104〜60×104、好ましくは5×104〜40×104、さらに好ましくは10×104〜30×104の数平均分子量;5〜100重量%の1,2−付加重合構造体及び/又は3,4−付加重合構造体含有率、95〜0重量%の1,4−付加重合構造体含有率を有し、そして上記粘土鉱物の含有率は、100重量部の上記コポリマーにつき、0.5〜50重量部である。
【0017】
本発明に従う上記ナノコンポジット材料では、上記粘土鉱物含有率は、一般的に、100重量部の上記コポリマーにつき0.5〜50重量部、好ましくは、100重量部の上記コポリマーにつき1〜30重量部、さらに好ましくは100重量部の上記コポリマーにつき1〜15重量部である。上記粘土鉱物含有率が、100重量部の上記コポリマーにつき、0.5重量部未満では、上記粘土鉱物の強化効果が不十分であり、そして上記粘土鉱物含有率が、100重量部の上記コポリマーにつき50重量部を超えると、得られた材料が粉末状となり、ひいては、取り扱い及び成形が難しくなる。
【0018】
本発明に従うナノコンポジット材料が、ブタジエン及びスチレンのコポリマーを含む場合には、スチレンに由来する構造単位の含有率は、一般的に、10〜50重量%、好ましくは10〜35重量%であり、そして相応じて、ブタジエンに由来する構造単位の含有率は、一般的に、50〜90重量%、好ましくは65〜85重量%である。
【0019】
本発明に従うナノコンポジット材料が、ブタジエン、イソプレン及びスチレンのコポリマーを含む場合には、スチレンに由来する構造単位の含有率は、一般的に、10〜50重量%、好ましくは15〜35重量%、そして相応じて、ブタジエン及びイソプレンの両方に由来する構造単位の含有率は、一般的に、50〜90重量%、好ましくは、65〜85重量%、そしてブタジエンに由来する構造単位:イソプレンに由来する構造単位の重量比は、10:90〜90:10、好ましくは30:70〜70:30である。
【0020】
本発明に従うナノコンポジット材料が、ブタジエン及びイソプレンのコポリマーを含む場合には、イソプレンに由来する構造単位の含有率は、一般的に、10〜90重量%、好ましくは30〜70重量%、そして相応じて、ブタジエンに由来する構造単位の含有率は、一般的に、10〜90重量%、好ましくは30〜70重量%である。
【0021】
本発明に従うナノコンポジット材料は、離層化構造体に属し、ここで、粘土鉱物の薄片層は、お互いに離層し、お互いに完全に分離し、そして無秩序状態で、コポリマーマトリックス中に均一に分散されている。
【0022】
本発明はまた、次の各段階;
有機系炭化水素溶媒、ブタジエン、イソプレン及びスチレンから成る群から選択される少なくとも2つのモノマー、随意選択的な極性添加剤、並びに分散媒体中に分散した有機粘土鉱物で、反応器を充填する段階;
均一に撹拌し、安定なモノマー/有機粘土分散液を生成させる段階;次いで
上記反応系の温度を、30〜80℃に昇温する段階;
有機リチウム開始剤を添加して、重合反応を開始させる段階;
全てのモノマーの重合を完了させた後、反応を終了させる段階、そして随意選択的に、一般的な添加剤を添加する段階;
一般的な様式で、得られたポリマー溶液を仕上げ、次いで、乾燥させる段階:
を含む、本発明に従うコポリマー/粘土ナノコンポジット材料の調製法を提供する。
【0023】
本発明に従う好ましい実施形態では、本発明に従うコポリマー/粘土ナノコンポジット材料を、次の各段階;
1.100mLの分散媒体につき、1〜10gの有機粘土を含む、有機粘土分散液を準備する段階;
2.有機系炭化水素溶媒中のブタジエン、イソプレン及びスチレンから成る群から選択される少なくとも2つのモノマーを、反応器に添加する段階、続いて、得られたコポリマーのミクロ構造を調整するための随意選択的な極性添加剤及び有機粘土分散液を添加する段階、次いで、均一かつ安定なモノマー/有機粘土分散液を生成させるように得られた混合物を撹拌する段階、そして30〜80℃の開始温度に到達した後、有機リチウム添加剤を添加して、重合反応を開始させる段階;
3.全てのモノマーの重合が完了した後、当該重合を終了させるために重合停止剤を添加し、次いで、随意選択的に一般的な添加剤を添加し、一般的な様式により、得られたポリマー溶液を仕上げ、次いで乾燥させる段階:
を含む方法によって調製することができる。
【0024】
本発明に従うコポリマー/粘土ナノコンポジット材料の調製法では、有機系炭化水素溶媒、モノマー、随意選択的な極性添加剤及び分散媒体中に分散された有機粘土を添加する順序は、重要ではなく、そして連続的又は同時に添加することができる。上記有機粘土の量は、得られたコポリマー/粘土ナノコンポジット材料が、100重量部の上記コポリマーにつき、0.5〜50重量部を含むような量である。
【0025】
本発明で用いられる有機粘土は、例えば、Zhejiang Fenghong Clay Chemicals Co.,Ltd.から販売される挿入型(intercalated)粘土鉱物であり、ナノスケールのモンモリロナイト(微粉)である。本発明で用いられる挿入型粘土鉱物はまた、挿入剤を用いて、粘土鉱物を挿入して得ることができる。上記粘土鉱物は、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、亜鉛−モンモリロナイト、バーミキュライト、バイデライト、スメクタイト、シリカ、ハロイサイト、タルカムパウダー、マガディアイト(magadiite)、ケニヤアイト(kenyaite)、イライト、層状アルミニウム若しくはジルコニウムホスフェート、又はそれらの混合物;好ましくは少なくとも85%のモンモリナイトを含む層状アルミノシリケート、さらに好ましくは少なくとも95%のモンモリナイトを含む層状アルミノシリケートから成る群から選択されることができ、その単位格子は、ケイ素−酸素四面体及びそれらの間に挟まれたアルミニウム−酸素八面体の層の2つの層で構成され、そして上記四面体と上記八面体は、共通の酸素原子によってお互いにつながっている。
【0026】
上記モンモリナイトの内面は、負に帯電しており、そして層間カチオンNa+、Ca2+、Mg2+等は、置換可能である。上記モンモリナイト粘土を、剥離、精製、超微細分級(superfine classification)、及び有機的混合(organically compounding)により得ることができる。上記挿入型粘土(有機粘土)は、挿入剤(イオン交換体)を用いて、上記層間カチオンを交換して得ることができ、そのようにして重合性モノマーを上記層の間に挿入させる(米国特許第4,889,885号明細書等に記載される)。
【0027】
本発明で用いられるモンモリロナイト粘土は、好ましくは、少なくとも85重量%のモンモリロナイト含有率、1×103〜70×103nm範囲の粒子サイズ、及び40〜200meg/100gのカチオン交換容量を有し、さらに好ましくは、少なくとも95重量%のモンモリロナイト含有率、20×103〜30×103nm範囲の粒子サイズ、及び90〜110meg/100gのカチオン交換容量を有する層状のアルミノシリケートである。
【0028】
用いられうる挿入剤は、有機アンモニウム、例えば、第二級アンモニウム、第三級アンモニウム又は第四級アンモニウム、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ビスステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ビスステアリルジメチルアンモニウムブロミド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロミドから成る群から選択され、単独又は混合物で用いられうる。
【0029】
本発明中で用いられうる有機系炭化水素溶媒は、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素又はそれらの混合物から成る群から選択され、一般的に、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、混合芳香族(例えば、混合キシレン)、混合脂肪族炭化水素(例えば、ラフィネートオイル)から選択され、好ましくは、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ラフィネートオイルから選択される。上記溶媒は、上記モノマー濃度が、10〜20重量%となるような量で用いられる。
【0030】
本発明で用いられる分散媒体は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、混合芳香族、ジエチルエーテル、トリエチルアミン、ヘキサメチルリン酸トリアミド又はそれらの混合物、好ましくはトルエン、キシレン又はそれらの混合物から成る群から選択される。
【0031】
本発明に従って用いられる極性添加剤は、酸素、窒素、硫黄又はリン含有極性化合物又はそれらの混合物から選択される。
具体例は、次の通りである;
(1)酸素含有化合物、一般的に、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、
式:R1OCH2CH2OR2(式中、R1及びR2は、同一又は異なってもよく、好ましくは異なることができ、そしてお互いに独立して、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基を表し、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルを表すことができる)、及び
式:R1OCH2CH2OCH2CH2OR2(式中、R1及びR2は、同一又は異なってもよく、好ましくは異なることができ、そしてお互いに独立して、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基を表し、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルを表す)
によって表される化合物、
又はクラウンエーテルからなる群から選択される;
(2)窒素含有化合物、一般的に、トリエチルアミン、テトラメチル−エチレンジアミン(TMEDA)、ジピペリジノエタン(DPE)、好ましくはTMEDAから成る群から選択される;並びに
(3)リン含有化合物、一般的に、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)。
上記極性添加剤の量は、その種類と、上記コポリマー中の1,2−付加重合構造体及び/又は3,4−付加重合構造体の所望の含有率とによって決まる。上記1,2−付加重合構造体及び/又は3,4−付加重合構造体の含有率は、一般的に、5〜100重量%である。
【0032】
本発明において用いられる開始剤は、単官能性有機リチウム開始剤、二官能性有機リチウム開始剤、多官能価有機リチウム開始剤又はそれらの混合物から成る群から選択される有機リチウム化合物である。上記有機リチウム開始剤を、式:R(Li)x(式中、Rは、1〜20個の炭素原子を有するアルキル又はアリール基であり、そしてxは、1〜8の整数である)と表わすことができる。用いられる有機リチウム開始剤の量は、コポリマーの所望の数平均分子量によって決まり、そして上記コポリマーの数平均分子量は、一般的に、1×104〜60×104程度である。
【0033】
本発明において用いられる開始剤は、先行技術において開示される任意の単官能性の有機リチウム開始剤であることができ、メチルリチウム、エチルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、4−ブチルフェニルリチウム、4−フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム等から成る群から選択される。
【0034】
本発明において用いられる開始剤は、先行技術において開示される任意の二官能性の有機リチウム開始剤であることができ、
(1)それぞれ、式LiR*Li及びLi(DO)n*(DO)nLiで表されるビスリチオアルカンビスハライド又はそれらのオリゴマーのビスリチウム化合物(式中、R*は、4〜10個の炭素原子を有するアルコキシ基であり、DOは、4〜8個の炭素原子を有する共役ジエン又はそれらの混合物、好ましくは1,3−ペンタジエン又はイソプレンであり、nは、オリゴマー化度であり、そして一般的に2〜8、好ましくは3〜6であり、一般的に、1,4−ジリチオブタン、1,2−ジリチオ−1,2−ジフェニル−エタン、1,4−ジリチオ−1,1,4,4−テトラフェニルブタン、1,4−ジメチル−1,4−ジフェニルブタンジリチウム、オリゴマーのブタジエン−イソプレンビスリチウムから成る群から選択される);
(2)ナフタレンのビスリチウム、一般的には、ナフチルリチウム又はα−メチルナフチルリチウムから選択される;及び
(3)ビスオレフィンのビスリチウム又はそれらのオリゴマーのビスリチウム化合物、一般的には、1,1’−(1,3−フェニレン)−ビス[3−メチル−1−(4−トリル)ペンチル]−ビスリチウム、オリゴマーの1,1’−(1,3−フェニレン)−ビス[3−メチル−1−(4−トリル)−ペンチル]イソプレンビスリチウム、1,1’−(1,4−フェニレン)−ビス[3−メチル−1−(4−トリル)ペンチル]ビスリチウム、オリゴマーの1,1’−(1,4−フェニレン)−ビス[3−メチル−1−(4−トリル)ペンチル]イソプレンビスリチウムから成る群から選択される:
から選択される。
【0035】
本発明において用いられる開始剤は、先行技術に開示される任意の多官能価有機リチウム開始剤であることができ、式:R#Lin及びT(R#Li)n(式中、R#は、4〜20個の炭素原子を有するアルキル又はアリール基であり、Tは、金属原子、典型的には、スズ(Sn)、ケイ素(Si)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、又はゲルマニウム(Ge)であり、nは、開始剤の官能価であり、そして少なくとも3、典型的には3〜150、好ましくは3〜50、さらに好ましくは3〜10である。)で表されるものから選択される。
【0036】
上記多官能価のリチウムベース開始剤は、英国特許出願公開第2124228号明細書、米国特許第3280084号明細書、欧州特許出願公開第0573893号明細書、中国特許出願公開第1197806号明細書等に記載されるように、ジビニルベンゼン(DVB)をアルキルリチウムと反応させて得られるものでありうる。式:R#Linによって表される多官能価のリチウムベース開始剤はまた、上記金属を含み、かつ式:T(R#Li)nによって表されるものを含み、一般的に、式:Sn(R#Li)n(R#及びnは、上記と同一の意味を有する)によって表される錫含有多官能価の有機リチウム開始剤から成る群から選択され、例えば、中国特許出願公開第1148053号明細書に記載されるSn(R#Li)4が挙げられる。多官能価のリチウムベース開始剤はまた、共役ジエン、例えば、ブタジエン及びイソプレン並びにスチレン系(styrenic)モノマーの重合を開始させることができる少なくとも3官能価を有するものであることができ、例えば、米国特許第5,262,213号明細書及び同5,595,951号明細書に記載されている。
【0037】
本発明で用いられる重合停止剤(terminating agent)は、先行技術によって開示され、かつ、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアニオン重合で有用なものでありうる。上記重合停止剤(terminating agent)は、一般的に、重合すべきモノマーの重量に基づいて、1〜5%の量で用いられる。
【0038】
本発明に従うナノコンポジット材料を調製するための好ましい実施形態では、段階3で随意選択的に用いられる添加剤は、当業者が通常用いる添加剤である。一般的に、酸化防止剤、例えば、Irganox 1010(商品名、Ciba−Geigy AG,Switzerlandから入手可能)、Antigene BHT又は2.6.4(商品名、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、Sumitomo Chemical Co.,Ltd.,Japanから入手可能)又はそれらの混合物が添加される。上記酸化防止剤を、当業者が通常用いる量、好ましくは、重合すべきモノマーに基づいて、0.1〜10重量%で用いることができる。
【実施例】
【0039】
本発明を、次の例及び比較例によって、さらに記載する。これらの例は、制限するものとして解釈されるべきではない。
次の例及び比較例で用いられる装置及び対応する試験条件は、次の通りである。
1.ガラス転移温度(Tg)
Tgを、20℃/分の昇温速度で、DuPontから入手可能なTA2910タイプの示差走査熱量計を用いて測定する。
【0040】
2.熱重量分析曲線の中間温度(Tdc
dcは、窒素雰囲気下で、100〜600℃の範囲の検出温度において、DuPontから入手可能なTA2980タイプの熱重量装置を用いて評価した。
3.X線回折パターン(XRD)
XRDを、Nippon Rigaku K.K.から入手可能な、C/maxRBタイプのX線回折計を用いて記録した(12kWのX線、連続スキャニング、CuKα放射線、ポストモノクロメータ、チューブ電圧:40kV、チューブ電流:100mA、スキャニング範囲:1〜25°、スキャニング速度:2°/分)。
4.コポリマーのミクロ構造
コポリマーのミクロ構造を、米国のBrukerから入手可能な、AVANCE−400タイプのNMRスペクトロメータを用いて解析した。
【0041】
5.透過型電子顕微鏡写真(TEM)
透過型電子顕微鏡写真は、FEIから入手可能なTECNAI G2 20透過型電子顕微鏡を用いて記録された(加速電圧:200kV、低温ミクロトーム(cryo−microtome))。
下記の例及び比較例で用いられる上記有機粘土鉱物(挿入型粘土)は、Zhejiang Fenghong Clay Chemicals Co.,LtdによりNANNOLIN DK4の商標の下で供給されるナノスケールのモンモリロナイト(OMMT、微粉)であり、モンモリロナイト含有率:95〜98重量%、平均粒子サイズ:25×103nm、密度:1.8g/cm3、見掛け密度:0.45g/cm3、プレートレットの平均厚:25nm未満、水分含有率:3重量%未満:総カチオン交換容量:110meg/100gである。未変性粘土の中間層距離は、1.2nmであり、有機粘土の中間層距離は3.59nmである。上記有機粘土分散液は、有機粘土を分散媒体に分散させ、次いで、均一に撹拌して得られる。
【0042】
例1
72gのシクロヘキサン及び9gのモノマー混合物(35:35:30の比率のブタジエン、イソプレン及びスチレンを含む)を、500mLの反応器に充填し、次いで、極性添加剤としてテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(Liに対するTMEDAのモル比が1.0)の添加し、そして最後に、7.0mLの挿入型粘土の分散液を添加した(4gの挿入型粘土/100mLのトルエン)。撹拌を開始し、そして得られた混合物を50℃の温度に加熱した。次いで、0.46mLのn−ブチルリチウム溶液(0.1315M、シクロヘキサン中)を充填し、そして6時間の反応時間の後、重合停止剤(terminating agent)として0.2mLのエタノールを、反応混合物に添加し、次いで、0.2gの酸化防止剤(1:1の重量比のIrganox 1010及びAntigene BHT(2.6.4)の混合物)を添加し、次いで、一般的な方法で、ポリマー溶液を仕上げた。
【0043】
乾燥の後、ブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料が得られた。生成物であるブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料は、22.2重量%のスチレン含有率、27.8重量%の1,2−ポリブタジエン構造体含有率、27.1重量%の1,4−ポリブタジエン含有率、15.2重量%の3,4−ポリイソプレン含有率、7.7重量%の1,4−ポリイソプレン含有率、3.0重量%の粘土含有率、−29.7℃のガラス転移温度(Tg)、440.0℃の中間温度(Tdc)(熱重量分析曲線)(示差熱重量分析曲線のピーク温度は、熱重量分析曲線の中間温度(Tdc)として選択される;例えば、JishengMA,Zongneng QI及びShufan ZHANGの「Synthesis,structure and property of polyurethane elastmers/montmorillonite nanocomposite materials,Gaofenzi Xue Bao,3(3),325(2001)」を参照のこと)を有していた。
【0044】
非挿入型粘土は、図3の曲線aによって示されるX線回折パターンを有する;そしてブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料は、図3の曲線cによって示されるX線回折パターンを有する。曲線aは、2.46°に001回折ピークを有することが、図3から確認することができ、これは、3.59nmの中間層距離に相当する;そして上記ブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料(曲線cを参照)は、1°〜10°の範囲に明確な回折ピークを示さず、これは、上記ポリマーマトリックス中で、モンモリロナイトの各薄片層(laminar layers)が、完全に離層して、離層化ナノコンポジット材料が得られたことを実証するものである(図3)。
【0045】
また、粘土鉱物の各薄片層が、お互いに離層し、お互いに完全に分離し、そして無秩序状態でブタジエン/イソプレン/スチレンコポリマーマトリックス中に均一に分散するので、得られたナノコンポジット材料が、離層化構造体に属することが、TEMにより明らかとなった(図2を参照)。
【0046】
例2
72gのシクロヘキサン及び9gのモノマー混合物(35:35:30の重量比のブタジエン、イソプレン及びスチレンを含む)を、500mLの反応器に充填し、次いで、極性添加剤としてテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(Liに対するTMEDAのモル比が1.0)を添加し、そして最後に、2.3mLの挿入型粘土の分散液を添加した(4gの挿入型粘土/100mLのトルエン)。撹拌を開始し、そして得られた混合物を50℃の温度に加熱した。次いで、0.46mLのn−ブチルリチウム溶液(0.1315M、シクロヘキサン中)を充填し、そして6時間の反応時間の後、重合停止剤として0.2mLのエタノールを、反応混合物に添加し、次いで、0.2gの酸化防止剤(1:1の重量比のIrganox 1010及びAntigene BHT(2.6.4)の混合物)を添加し、次いで、一般的な方法でポリマー溶液を仕上げた。
【0047】
乾燥の後、ブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料を得た。生成物であるブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料は、24.6重量%のスチレン含有率、32.9重量%の1,2−ポリブタジエン構造体含有率、23.1重量%の1,4−ポリブタジエン含有率、18.7重量%の3,4−ポリイソプレン含有率、0.7重量%の1,4−ポリイソプレン含有率、1.0重量%の粘土含有率、−15.1℃のガラス転移温度(Tg)、428.8℃の中間温度(Tdc)(熱重量分析曲線)を有していた。
【0048】
ブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料は、図3の曲線bによって示されるX線回折パターンを有する。曲線aは、2.46°に001回折ピークを有することが、図3から観察でき、これは、3.59nmの中間層距離に相当する;そして上記ブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料(曲線bを参照)は、1°〜10°の範囲に明確な回折ピークを示さず、これは、上記ポリマーマトリックス中で、モンモリロナイトの各薄片層が、完全に離層して、離層化ナノコンポジット材料が得られたことを実証するものである。
【0049】
また、粘土鉱物の各薄片層が、お互いに離層し、お互いに完全に分離し、そして無秩序状態でブタジエン/イソプレン/スチレンコポリマーマトリックス中に均一に分散するので、得られたナノコンポジット材料は、離層化構造体に属することが、TEMにより実証された(図1を参照)。
【0050】
例3
72gのシクロヘキサン及び9gのモノマー混合物(35:35:30の重量比のブタジエン、イソプレン及びスチレンを含む)を、500mLの反応器に充填し、次いで、極性添加剤としてテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(Liに対するTMEDAのモル比が1.0)を添加し、そして最後に、7.0mLの挿入型粘土の分散液を添加した(4gの挿入型粘土/100mLのトルエン)。撹拌を開始し、そして得られた混合物を50℃の温度に加熱した。次いで、0.34mLのn−ブチルリチウム溶液(0.1315M、シクロヘキサン中)を充填し、そして6時間の反応時間の後、重合停止剤として0.2mLのエタノールを、反応混合物に添加し、次いで、0.2gの酸化防止剤(1:1の重量比のIrganox 1010及びAntigene BHT(2.6.4)の混合物)を添加し、次いで、一般的な方法でポリマー溶液を仕上げた。
【0051】
乾燥の後、ブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料を得た。生成物であるブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料は、22.6重量%のスチレン含有率、28.8重量%の1,2−ポリブタジエン構造体含有率、26.4重量%の1,4−ポリブタジエン含有率、15.6重量%の3,4−ポリイソプレン含有率、6.6重量%の1,4−ポリイソプレン含有率、3.0重量%の粘土含有率、−28.1℃のガラス転移温度(Tg)、440.8℃の中間温度(Tdc)(熱重量分析曲線)を有していた。
【0052】
X線回折パターン及びTEMにより、粘土鉱物の各薄片層が、お互いに離層し、お互いに完全に分離し、そして無秩序状態でブタジエン/イソプレン/スチレンコポリマーマトリックス中に均一に分散するので、得られたナノコンポジット材料が、離層化構造体に属することが実証された。
【0053】
例4
72gのトルエン及び9gのモノマー混合物(35:35:30の重量比のブタジエン、イソプレン及びスチレンを含む)を、500mLの反応器に充填し、次いで、極性添加剤としてテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(Liに対するTMEDAのモル比が1.0)を添加し、そして最後に、11.7mLの挿入型粘土の分散液を添加した(4gの挿入型粘土/100mLのトルエン)。撹拌を開始し、そして得られた混合物を50℃の温度に加熱した。次いで、0.46mLのn−ブチルリチウム溶液(0.1315M、シクロヘキサン中)を充填し、そして6時間の反応時間の後、重合停止剤として0.2mLのエタノールを、反応混合物に添加し、次いで、0.2gの酸化防止剤(1:1の重量比のIrganox 1010及びAntigene BHT(2.6.4)の混合物)を添加し、次いで、一般的な方法でポリマー溶液を仕上げた。
【0054】
乾燥の後、ブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料を得た。生成物であるブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料は、17.3重量%のスチレン含有率、26.0重量%の1,2−ポリブタジエン構造体含有率、35.0重量%の1,4−ポリブタジエン含有率、12.5重量%の3,4−ポリイソプレン含有率、9.2重量%の1,4−ポリイソプレン含有率、5.0重量%の粘土含有率、−39.6℃のガラス転移温度(Tg)、432.6℃の中間温度(Tdc)(熱重量分析曲線)を有していた。
【0055】
上記ブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料は、図3の曲線dによって示されるX線回折パターンを有する。曲線aは、2.46°に001回折ピークを有することが、図3から観察することができ、これは、3.59nmの中間層距離に相当する;そして上記ブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料(曲線dを参照)は、1°〜10°の範囲に明確な回折ピークを示さず、これは、上記ポリマーマトリックス中で、モンモリロナイトの各薄片層が、完全に離層して、離層化ナノコンポジット材料が得られたことを実証するものである。
【0056】
また、粘土鉱物の各薄片層が、お互いに離層し、お互いに完全に分離し、そして無秩序状態でブタジエン/イソプレン/スチレンコポリマーマトリックス中に均一に分散するので、得られたナノコンポジット材料が、離層化構造体に属することが、TEMにより実証された。
【0057】
例5
72gのキシレン及び9gのモノマー混合物(50:30:20の重量比のブタジエン、イソプレン及びスチレンを含む)を、500mLの反応器に充填し、次いで、極性添加剤としてテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(Liに対するTMEDAのモル比が0.5)を添加し、そして最後に、7.0mLの挿入型粘土の分散液を添加した(4gの挿入型粘土/100mLのトルエン)。撹拌を開始し、そして得られた混合物を50℃の温度に加熱した。次いで、0.46mLのn−ブチルリチウム溶液(0.1315M、シクロヘキサン中)を充填し、そして6時間の反応時間の後、重合停止剤として0.2mLのエタノールを、反応混合物に添加し、0.2gの酸化防止剤(1:1の重量比のIrganox 1010及びAntigene BHT(2.6.4)の混合物)を添加し、次いで、一般的な方法でポリマー溶液を仕上げた。
【0058】
乾燥の後、ブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料を得た。生成物であるブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料は、18.6重量%のスチレン含有率、30.0重量%の1,2−ポリブタジエン構造体含有率、23.5重量%の1,4−ポリブタジエン含有率、17.6重量%の3,4−ポリイソプレン含有率、10.3重量%の1,4−ポリイソプレン含有率、3.0重量%の粘土含有率、−23.2℃のガラス転移温度(Tg)、435.6℃の中間温度(Tdc)(熱重量分析曲線)を有していた。
【0059】
X線回折パターン及びTEMにより、粘土鉱物の各薄片層が、お互いに離層し、お互いに完全に分離し、そして無秩序状態でブタジエン/イソプレン/スチレンコポリマーマトリックス中に均一に分散するので、得られたナノコンポジット材料が、離層化構造体に属することが実証された。
【0060】
比較例1
72gのトルエン及び9gのモノマー混合物(35:35:30の重量比のブタジエン、イソプレン及びスチレンを含む)を、500mLの反応器に充填し、次いで、極性添加剤としてテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(Liに対するTMEDAのモル比が1.0)を添加した。撹拌を開始し、そして得られた混合物を50℃の温度に加熱した。次いで、0.46mLのn−ブチルリチウム溶液(0.1315M、シクロヘキサン中)を充填し、そして6時間の反応時間の後、重合停止剤として0.2mLのエタノールを、反応混合物に添加し、次いで、0.2gの酸化防止剤(1:1の重量比のIrganox 1010及びAntigene BHT(2.6.4)の混合物)を添加し、次いで、一般的な方法でポリマー溶液を仕上げた。
【0061】
乾燥の後、ブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマーが得られた。生成物であるブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料は、23.8重量%のスチレン含有率、33.2重量%の1,2−ポリブタジエン構造体含有率、21.4重量%の1,4−ポリブタジエン含有率、21.1重量%の3,4−ポリイソプレン含有率、0.5重量%の1,4−ポリイソプレン含有率、−10.0℃のガラス転移温度(Tg)、425.1℃の中間温度(Tdc)(熱重量分析曲線)を有していた。
【0062】
例6
72gのシクロヘキサン及び9gのモノマー混合物(7:3の重量比のブタジエン及びスチレンを含む)を、500mLの反応器に充填し、極性添加剤としてテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(Liに対するTMEDAのモル比が1.0)を添加し、そして最後に、5.2mLの挿入型粘土の分散液を添加した(4gの挿入型粘土/100mLのトルエン)。撹拌を開始し、そして得られた混合物を50℃の温度に加熱した。次いで、0.46mLのn−ブチルリチウム溶液(0.1315M、シクロヘキサン中)を充填し、そして6時間の反応時間の後、重合停止剤として0.2mLのエタノールを、反応混合物に添加し、次いで、0.2gの酸化防止剤(1:1の重量比のIrganox 1010及びAntigene BHT(2.6.4)の混合物)を添加し、次いで、一般的な方法でポリマー溶液を仕上げた。
【0063】
乾燥の後、ブタジエン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料が得られた。生成物であるブタジエン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料は、29.7重量%のスチレン含有率、39.6重量%の1,2−ポリブタジエン構造体含有率、30.7重量%の1,4−ポリブタジエン含有率、2.3重量%の粘土含有率、−20.4℃のガラス転移温度(Tg)、436.8℃の中間温度(Tdc)(熱重量分析曲線)を有していた(図6の曲線NCを参照)。
【0064】
非挿入型粘土は、図5内の曲線aによって示されるX線回折パターンを有する;そして上記ブタジエンスチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料は、図5の曲線bによって示されるX線回折パターンを有する。曲線aは、2.46°に001回折ピークを有することが、図3から観察することができ、これは、3.59nmの中間層距離に相当する;そして上記ブタジエンスチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料(曲線bを参照)は、1°〜10°の範囲に明確な回折ピークを示さず、これは、上記ポリマーマトリックス中で、モンモリロナイトの各薄片層が、完全に離層して、離層化ナノコンポジット材料が得られたことを実証するものである(図5)。
【0065】
また、粘土鉱物の各薄片層が、お互いに離層し、お互いに完全に分離し、そして無秩序状態でブタジエン/スチレンコポリマーマトリックス中に均一に分散するので、得られたナノコンポジット材料が、離層化構造体に属することが、TEMにより実証された(図4を参照)。
【0066】
例7
72gのシクロヘキサン及び9gのモノマー混合物(7:3の重量比のブタジエン及びスチレンを含む)を、500mLの反応器に充填し、次いで、極性添加剤としてテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(Liに対するTMEDAのモル比が1.0)を添加し、そして最後に、9.9mLの挿入型粘土の分散液を添加した(4gの挿入型粘土/100mLのトルエン)。撹拌を開始し、そして得られた混合物を50℃の温度に加熱した。次いで、0.46mLのn−ブチルリチウム溶液(0.1315M、シクロヘキサン中)を充填し、そして6時間の反応時間の後、重合停止剤として0.2mLのエタノールを、反応混合物に添加し、次いで、0.2gの酸化防止剤(1:1の重量比のIrganox 1010及びAntigene BHT(2.6.4)の混合物)を添加し、次いで、一般的な方法でポリマー溶液を仕上げた。
【0067】
乾燥の後、ブタジエン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料を得た。生成物であるブタジエン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料は、30.3重量%のスチレン含有率、40.6重量%の1,2−ポリブタジエン構造体含有率、29.1重量%の1,4−ポリブタジエン含有率、4.4重量%の粘土含有率、−19.4℃のガラス転移温度(Tg)、437.8℃の中間温度(Tdc)(熱重量分析曲線)を有していた。
【0068】
X線回折パターン及びTEMにより、粘土鉱物の各薄片層が、お互いに離層し、お互いに完全に分離し、そして無秩序状態でブタジエン/スチレンコポリマーマトリックス中に均一に分散するので、得られたナノコンポジット材料が、離層化構造体に属することが実証された。
【0069】
例8
72gのシクロヘキサン及び9gのモノマー混合物(7:3の重量比のブタジエン及びスチレンを含む)を、500mLの反応器に充填し、次いで、極性添加剤としてテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(Liに対するTMEDAのモル比が1.0)を添加し、そして最後に、5.2mLの挿入型粘土の分散液を添加した(4gの挿入型粘土/100mLのトルエン)。撹拌を開始し、そして得られた混合物を50℃の温度に加熱した。次いで、0.34mLのn−ブチルリチウム溶液(0.1315M、シクロヘキサン中)を充填し、そして6時間の反応時間の後、重合停止剤として0.2mLのエタノールを、反応混合物に添加し、次いで、0.2gの酸化防止剤(1:1の重量比のIrganox 1010及びAntigene BHT(2.6.4)の混合物)を添加し、次いで、一般的な方法でポリマー溶液を仕上げた。
【0070】
乾燥の後、ブタジエン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料を得た。生成物であるブタジエン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料は、29.3重量%のスチレン含有率、39.8重量%の1,2−ポリブタジエン構造体含有率、30.9重量%の1,4−ポリブタジエン含有率、2.3重量%の粘土含有率、−21.3℃のガラス転移温度(Tg)、435.6℃の中間温度(Tdc)(熱重量分析曲線)を有していた。
【0071】
X線回折パターン及びTEMにより、粘土鉱物の各薄片層が、お互いに離層し、お互いに完全に分離し、そして無秩序状態でブタジエン/スチレンコポリマーマトリックス中に均一に分散するので、得られたナノコンポジット材料が、離層化構造体に属することが実証された。
【0072】
例9
72gのトルエン及び9gのモノマー混合物(7:3の重量比のブタジエン及びスチレンを含む)を、500mLの反応器に充填し、次いで、極性添加剤としてテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)の添加(Liに対するTMEDAのモル比が1.0)を添加し、そして最後に、19.8mLの挿入型粘土の分散液を添加した(4gの挿入型粘土/100mLのトルエン)。撹拌を開始し、そして得られた混合物を50℃の温度に加熱した。次いで、0.46mLのn−ブチルリチウム溶液(0.1315M、シクロヘキサン中)を充填し、そして6時間の反応時間の後、重合停止剤として0.2mLのエタノールを、反応混合物に添加し、次いで、0.2gの酸化防止剤(1:1の重量比のIrganox 1010及びAntigene BHT(2.6.4)の混合物)を添加し、次いで、一般的な方法でポリマー溶液を仕上げた。
【0073】
乾燥の後、ブタジエン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料を得た。生成物であるブタジエンスチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料は、29.1重量%のスチレン含有率、41.3重量%の1,2−ポリブタジエン構造体含有率、29.6重量%の1,4−ポリブタジエン含有率、8.8重量%の粘土含有率、−19.1℃のガラス転移温度(Tg)、439.7℃の中間温度(Tdc)(熱重量分析曲線)を有していた。
【0074】
X線回折パターン及びTEMにより、粘土鉱物の各薄片層が、お互いに離層し、お互いに完全に分離し、そして無秩序状態でブタジエン/スチレンコポリマーマトリックス中に均一に分散するので、得られたナノコンポジット材料が、離層化構造体に属することが実証された。
【0075】
例10
72gのキシレン及び9gのモノマー混合物(8:2の重量比のブタジエン及びスチレンを含む)を、500mLの反応器に充填し、次いで、5.2mLの挿入型粘土の分散液を添加した(4gの挿入型粘土/100mLのトルエン)。撹拌を開始し、そして得られた混合物を50℃の温度に加熱した。次いで、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(Liに対するTMEDAのモル比が0.5)を、極性溶媒として充填し、次いで、0.34mLのn−ブチルリチウム溶液(0.1315M、シクロヘキサン中)を添加した。6時間の反応時間の後、重合停止剤として0.2mLのエタノールを、反応混合物に添加し、次いで、0.2gの酸化防止剤(1:1の重量比のIrganox 1010及びAntigene BHT(2.6.4)の混合物)を添加し、次いで、一般的な方法でポリマー溶液を仕上げた。
【0076】
乾燥の後、ブタジエンスチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料を得た。生成物であるブタジエンスチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料は、19.3重量%のスチレン含有率、33.7重量%の1,2−ポリブタジエン構造体含有率、47.0重量%の1,4−ポリブタジエン含有率、2.3重量%の粘土含有率、−45.3℃のガラス転移温度(Tg)、434.9℃の中間温度(Tdc)(熱重量分析曲線)を有していた。
【0077】
X線回折パターン及びTEMにより、粘土鉱物の各薄片層が、お互いに離層し、お互いに完全に分離し、そして無秩序状態でブタジエン/スチレンコポリマーマトリックス中に均一に分散するので、得られたナノコンポジット材料が、離層化構造体に属することが実証された。
【0078】
比較例2
72gのトルエン及び9gのモノマー混合物(7:3の重量比のブタジエン及びスチレンを含む)を、500mLの反応器に充填し、次いで、極性添加剤としてテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(Liに対するTMEDAのモル比が1.0)を添加した。撹拌を開始し、そして得られた混合物を50℃の温度に加熱した。次いで、0.46mLのn−ブチルリチウム溶液(0.1315M、シクロヘキサン中)を充填し、そして6時間の反応時間の後、重合停止剤として0.2mLのエタノールを、反応混合物に添加し、次いで、0.2gの酸化防止剤(1:1の重量比のIrganox 1010及びAntigene BHT(2.6.4)の混合物)を添加し、次いで、一般的な方法でポリマー溶液を仕上げた。
【0079】
乾燥の後、ブタジエン−スチレンコポリマーを得た。生成物であるブタジエン−スチレンコポリマーは、29.4重量%のスチレン含有率、39.3重量%の1,2−ポリブタジエン構造体含有率、31.3重量%の1,4−ポリブタジエン含有率、−24.4℃のガラス転移温度(Tg)、415.2℃の中間温度(Tdc)(熱重量分析曲線)を有していた(図6の曲線SBRを参照)。
【0080】
例11
72gのシクロヘキサン及び9gのモノマー混合物(5:5の重量比のブタジエン及びスチレンを含む)を、500mLの反応器に充填し、次いで、極性添加剤としてテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(Liに対するTMEDAのモル比が0.2)を添加し、そして最後に、6.7mLの挿入型粘土の分散液を添加した(4gの挿入型粘土/100mLのトルエン)。撹拌を開始し、そして得られた混合物を50℃の温度に加熱した。次いで、0.46mLのn−ブチルリチウム溶液(0.1315M、シクロヘキサン中)を充填し、そして6時間の反応時間の後、重合停止剤として0.2mLのエタノールを、反応混合物に添加し、次いで、0.2gの酸化防止剤(1:1の重量比のIrganox 1010及びAntigene BHT(2.6.4)の混合物)を添加し、次いで、一般的な方法でポリマー溶液を仕上げた。
【0081】
乾燥の後、ブタジエン−イソプレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料を得た。生成物であるブタジエン−イソプレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料は、8.9重量%の1,2−ポリブタジエン構造体含有率、42.6重量%の1,4−ポリブタジエン含有率、5.8重量%の3,4−ポリイソプレン含有率、42.7重量%の1,4−ポリイソプレン含有率、3.0重量%の粘土含有率、−73.0℃のガラス転移温度(Tg)、451.4℃の中間温度(Tdc)(熱重量分析曲線)を有していた(図8、純粋なブタジエン−イソプレンコポリマーのTdc:436.4℃)。X線回折の検出により、1°〜10°の範囲に明確な回折は存在せず、モンモリロナイトの各薄片層は、ポリマーマトリックス中で、完全に離層し、そして離層化ナノコンポジット材料が得られたことが示された(図9)。
【0082】
TEMにより、粘土鉱物の各薄片層が、お互いに離層し、お互いに完全に分離し、そして無秩序状態でコポリマーマトリックス中に均一に分散するので、得られたナノコンポジット材料が、離層化構造体に属することが明らかになった(図7を参照)。
【0083】
例12
72gのシクロヘキサン及び9gのモノマー混合物(3:7の重量比のブタジエン及びイソプレンを含む)を、500mLの反応器に充填し、次いで、極性添加剤としてテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(Liに対するTMEDAのモル比が0.2)を添加し、そして最後に、2.3mLの挿入型粘土の分散液を添加した(4gの挿入型粘土/100mLのトルエン)。撹拌を開始し、そして得られた混合物を50℃の温度に加熱した。次いで、0.46mLのn−ブチルリチウム溶液(0.1315M、シクロヘキサン中)を充填し、そして6時間の反応時間の後、重合停止剤として0.2mLのエタノールを、反応混合物に添加し、次いで、0.2gの酸化防止剤(1:1の重量比のIrganox 1010及びAntigene BHT(2.6.4)の混合物)を添加し、次いで、一般的な方法でポリマー溶液を仕上げた。
【0084】
乾燥の後、ブタジエン−イソプレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料を得た。生成物であるブタジエン−イソプレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料は、5.8重量%の1,2−ポリブタジエン構造体含有率、25.0重量%の1,4−ポリブタジエン含有率、9.1重量%の3,4−ポリイソプレン含有率、60.1重量%の1,4−ポリイソプレン含有率、1.0重量%の粘土含有率、−63.1℃のガラス転移温度(Tg)、450.4℃の中間温度(Tdc)(熱重量分析曲線)を有していた(純粋なブタジエン−イソプレンコポリマーのTdc:432.4℃)。
【0085】
X線回折の検出により、1°〜10°の範囲に明確な回折は存在せず、モンモリロナイトの各薄片層は、ポリマーマトリックス中で、完全に離層し、そして離層化ナノコンポジット材料が得られたことが示された。また、粘土鉱物の各薄片層が、お互いに離層し、お互いに完全に分離し、そして無秩序状態でコポリマーマトリックス中に均一に分散するので、得られたナノコンポジット材料が、離層化構造体に属することが、TEMにより明らかとなった。
【0086】
比較例3
5.6gのOMMTを、100mLのトルエンの中で、3時間、強撹拌した。得られた分散液に、トルエン中の800mLのSBR(30gのSBR/100mLのトルエン、商標:SBR1500、Qilu Petrochemical Co.,Ltd.から入手可能)を充填し、次いで、得られた混合物を50℃で4時間、強撹拌した。得られた生成物をエタノール中で沈殿させ、次いで、110℃で、ダブルローラーミキサーを用いて回転させ、SBR/OMMTナノコンポジット材料を生成させた(2.3重量%の粘土含有率及び420.8℃のTdc)。X線回折の検出により、2.14°に回折ピークがあることが示され、モンモリロナイトの各薄片層を、ポリマーを用いて挿入させ、そして挿入化ナノコンポジット材料が得られたことが実証された(図9)。
【0087】
比較例4
2000gのシクロヘキサン及び240gのモノマー混合物(7:3の重量比のブタジエン及びスチレンを含む)を、5Lの反応器に充填し、次いで、極性添加剤としてテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(Liに対するTMEDAのモル比が1.0)を添加した。撹拌を開始し、そして得られた混合物を50℃の温度に加熱した。導入時間の後、12.3mLのn−ブチルリチウム溶液(0.1315M、シクロヘキサン中)を充填し、そして6時間の反応時間の後、重合停止剤として0.2mLのエタノールを、反応混合物に添加し、次いで、2.4gの酸化防止剤(1:1の重量比のIrganox 1010及びAntigene BHT(2.6.4)の混合物)を添加し、次いで、一般的な方法で、ポリマー溶液を仕上げた。得られた生成物は、29.5重量%のスチレン含有率、39.7重量%の1,2−ポリブタジエン構造体含有率、30.8重量%の1,4−ポリブタジエン含有率を有していた。
【0088】
5.6gのOMMTを、100mLのトルエンの中で、3時間強撹拌して、分散液を得た。それとは別に、上述の分離生成物を、750mLのトルエンに溶解させ、溶液を作製し、次いで、1Lの撹拌槽内で上述の分散液と混合させた。得られた混合物を、50℃で4時間、強撹拌した。得られた生成物をエタノール中で沈殿させ、次いで、110℃で、ダブルローラーミキサーを用いて回転させ、SBR/OMMTナノコンポジット材料を生成させた(2.3重量%の粘土含有率及び425.6℃のTdc)。X線回折の検出により、2.21°に回折ピークがあることが示され(OMMTは、2.83°に001回折ピークを有する)、モンモリロナイトの薄片層を、ポリマーを用いて挿入させ、そして挿入化ナノコンポジット材料が得られたことが実証された。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は、例2で得られたブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料の透過型電子顕微鏡写真である。
【図2】図2は、例1で得られたブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料の透過型電子顕微鏡写真である。
【0090】
【図3】図3は、例1、2及び4で得られたブタジエン−イソプレン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料X線回析パターンである。
【図4】図4は、例6で得られたブタジエンスチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料の透過型電子顕微鏡写真である。
【0091】
【図5】図5は、例6で得られたブタジエン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料のX線回折パターンである。
【図6】図6は、例6で得られたブタジエン−スチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料の熱重量分析曲線である。
【0092】
【図7】図7は、例11で得られたブタジエンスチレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料の透過型電子顕微鏡写真である。
【図8】図8は、例11で得られたブタジエン−イソプレンコポリマー/粘土ナノコンポジット材料の熱重量分析曲線である。
【0093】
【図9】図9は、溶液インターカレーションにより得られるコポリマー/粘土ナノコンポジット材料と比較した、本発明に従うその場でのインターカレーション重合により得られたコポリマー/粘土ナノコンポジット材料のX線回折パターンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブタジエン、イソプレン及びスチレンから成る群から選択される少なくとも2種のモノマーのコポリマーと、そこに分散された粘土鉱物とを含むコポリマー/粘土ナノコンポジット材料であって、
前記コポリマーが、1×104〜60×104の数平均分子量、5〜100重量%の1,2−構造体及び/又は3,4−構造体含有率、95〜0重量%の1,4−構造体含有率を有し、そして前記粘土鉱物の含有率が、前記コポリマー100重量部につき、0.5〜50重量部である、
前記コポリマー/粘土ナノコンポジット材料。
【請求項2】
前記コポリマーが、5×104〜40×104の数平均分子量を有する、請求項1に記載のコポリマー/粘土ナノコンポジット材料。
【請求項3】
前記コポリマーが10×104〜30×104の数平均分子量を有する、請求項2に記載のコポリマー/粘土ナノコンポジット材料。
【請求項4】
前記コポリマーが、ブタジエン/スチレンコポリマーであり、そして上記スチレンに由来する構造単位の含有率が、10〜50重量%、好ましくは、15〜35重量%であり、そしてそれに対応して、前記ブタジエンに由来する構造単位の含有率が、50〜90重量%、好ましくは、65〜85重量%である、請求項1に記載のコポリマー/粘土ナノコンポジット材料。
【請求項5】
前記コポリマーが、ブタジエン/イソプレン/スチレンコポリマーであり、前記スチレンに由来する構造単位の含有率が、10〜50重量%、好ましくは、15〜35重量%であり、そして前記ブタジエン及びイソプレンに由来する構造単位の含有率が、50〜90重量%、好ましくは、65〜85重量%であり、そして前記イソプレンに由来する構造単位に対する上記ブタジエンに由来する構造単位の重量比が、10:90〜90:10、好ましくは30:70〜70:30である、請求項1に記載のコポリマー/粘土ナノコンポジット材料。
【請求項6】
前記コポリマーが、ブタジエン/イソプレンコポリマーであり、前記イソプレンに由来する構造単位の含有率が、10〜90重量%、好ましくは、30〜70重量%であり、そしてそれに対して前記ブタジエンに由来する構造単位の含有率が、10〜90重量%、好ましくは、30〜70重量%である、請求項1に記載のコポリマー/粘土ナノコンポジット材料。
【請求項7】
前記粘土鉱物の含有率が、100重量部の上記コポリマーにつき、1〜30重量部の範囲にわたる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のコポリマー/粘土ナノコンポジット材料。
【請求項8】
前記粘土鉱物の含有率が、100重量部の上記コポリマーにつき、1〜15重量部の範囲にわたる、請求項7に記載のコポリマー/粘土ナノコンポジット材料。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のコポリマー/粘土ナノコンポジット材料の調製法であって、
有機系炭化水素溶媒、ブタジエン、イソプレン及びスチレンから成る群から選択される少なくとも2種のモノマー、随意選択的な極性添加剤、並びに分散媒体中に分散された有機粘土鉱物で、反応器を満たす段階;
均一に撹拌して、安定なモノマー/有機粘土分散液を生成させる段階;次いで
当該反応系の温度を、30〜80℃まで上げる段階;
有機リチウム開始剤を添加して、重合反応を開始させる段階;
全てのモノマーの重合が完了した後、反応を終了させる段階、そして随意選択的に、一般的な添加剤を添加する段階;
一般的な様式で得られたポリマー溶液を仕上げる段階;次いで
乾燥させる段階:
を含む前記コポリマー/粘土ナノコンポジット材料の調製法。
【請求項10】
前記粘土鉱物が、少なくとも85重量%のモンモリロナイト含有率、1×103〜70×103nmの範囲の粒子サイズ、及び40〜200meg/100gのカチオン交換容量を有する層状のアルミノシリケートである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記粘土鉱物が、少なくとも95重量%のモンモリロナイト含有率、20×103〜30×103nmの範囲の粒子サイズ、及び90〜110meg/100gのカチオン交換容量を有する層状のアルミノシリケートである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記有機系炭化水素溶媒が、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、混合キシレン及びラフィネートオイル、好ましくはトルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン及びラフィネートオイルから成る群から選択される、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記極性添加剤が、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、クラウンエーテル、並びに式:R1OCH2CH2OR2及びR1OCH2CH2OCH2CH2OR2(式中、R1及びR2は、同一又は異なってもよく、1〜6個の炭素原子を有するアルキルを表す。)から成る群から選択される酸素含有化合物である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記極性添加剤が、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、及びジピペリジノエタンから成る群から選択される窒素含有化合物である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記極性添加剤が、ヘキサメチルリン酸トリアミドから選択されるリン含有化合物である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記有機リチウム開始剤が、RLi(式中、Rは、1〜20個の炭素原子を有するアルキル又はアリール基である)によって表される単官能性有機リチウム開始剤である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記単官能性有機リチウム開始剤が、メチルリチウム、エチルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、4−ブチルフェニルリチウム、4−フェニルブチルリチウム及びシクロヘキシルリチウムから成る群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記分散媒体が、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、混合芳香族、ジエチルエーテル、トリエチルアミン、及びヘキサメチルリン酸トリアミド又はそれらの混合物、好ましくはトルエン、キシレン又はそれらの混合物から成る群から選択される、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−534805(P2007−534805A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509856(P2007−509856)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【国際出願番号】PCT/CN2005/000588
【国際公開番号】WO2005/105856
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(502355370)中国石油化工股▲分▼有限公司 (8)
【Fターム(参考)】