説明

ポリメラーゼ反応および放出されたピロリン酸の酵素的検出による標的核酸の検出

本発明は、試料中の標的核酸の存在を同定するための方法であって、標的核酸配列を複製し、この標的の複製をデオキシヌクレオチド三リン酸前駆体の消費として検出し、これによりPPiの放出がデオキシヌクレオチドまたはジデオキシヌクレオチドの組み込み、すなわち標的DNAの複製を示すこととなる方法、を提供する。本発明はまた、本発明の方法に利用されるキットおよび反応混合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、試料中の核酸を検出および/または定量する方法に関する。より具体的には、本発明は、試料中の核酸を、当該核酸を核酸複製の鋳型として用い、その複製工程中のピロリン酸(PPi)の放出を検出することにより検出することに関する。
【0002】
本発明の背景を明らかにするため、あるいはその実施についての詳細をさらに提供するために本明細書で用いる刊行物その他のものは、引用により本明細書に含まれる。
【0003】
[発明の背景]
通常、試料中の特定の核酸の存在を検出するには、ゲル電気泳動および/またはプローブ特異的ハイブリダイゼーションのような方法が実施できるように、その特定配列が大量に存在する必要がある。定性目的では、増幅された断片はアガロースゲル電気泳動によって解析されることが多い。導入遺伝子の定量は、例えば、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって行うことができ、この場合、増幅産物は産生された時に検出される。遺伝子組換え(GM)によって導入された導入遺伝子の存在は、主に、試料中の導入遺伝子をコードする特定の核酸の存在を検出する、PCR反応を介して検出される。そのようなPCR反応は、鋳型DNA上の特定領域への2本の短いオリゴヌクレオチドの結合と、それに続く特定のDNA断片を増幅するためのポリメラーゼ連鎖反応に依存する。核酸増幅方法、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列基盤増幅(nucleic acid sequence based amplification, NASBA)、および関連技術は、遺伝子工学および分子生物学の中心的技術となっている。これらの方法は、シグナルが高度に増幅されるため、1コピーの遺伝子および/またはDNA断片を非常に高感度に検出することが可能である。その結果これらの方法は、研究目的の方法に加えて、遺伝子診断においても次第に重要な方法となってきている。
【0004】
試料を移動する必要性をなくすべく、PCR増幅産物を検出するためのいわゆる「同一」または「リアルタイム」法が開発された。リアルタイムPCRの重要な利点の1つは、増幅と検出の両方に必要な全ての要素を同一の反応系に含むことができる点である。同一溶液において特定の核酸を検出するための幾つかのスキームが提案されているが、(例えば、Heller et al. 欧州特許出願番号82303699.1、Morrison et al. (1989) Anal. Biochem., 183: 231-244、Cardullo et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85: 8790-8794、Morrison et al. (1993) Biochem., 32: 3095-3104、および Sixou et al. (1994) Nucl. Acids Res., 22: 662-668 を参照)、これら方法は典型的にはリアルタイム測定には適さない。
【0005】
リアルタイムモニタリング法および装置にとって重要な設計目標には、多試料サーマルサイクリングにおける試料間のばらつきを最小限にする性能、反応前後の処理工程の自動化、高速なサーマルサイクリング、試料量の最小化、増幅産物のリアルタイム測定、例えば「試料のキャリーオーバー」による交差汚染の最小化、および方法実施に必要な機器の簡素化、が含まれる。
【0006】
米国特許第5210015号(Gelfand et al. に発行)は、PCR中の増幅産物のリアルタイム測定を提供する蛍光に基づくアプローチを提案する。このようなアプローチは、インターカレント色素(例えばエチジウムブロマイド)を用いて二本鎖DNAの存在量を示すか、あるいは、増幅中に切断され、蛍光分子を放出し、その放出された蛍光分子の濃度が二本鎖DNAの存在量に比例する蛍光−クエンチャー・ペアを含むプローブを用いていた(「Taq-Man」アプローチとも呼ばれる)。増幅中、このプローブは標的配列にハイブリダイズするとポリメラーゼのヌクレアーゼ活性によって消化されてクエンチャー分子から蛍光分子を分離させ、それによって当該レポーター分子から蛍光が生じる。
【0007】
蛍光共鳴エネルギー転移ペアを利用した他の核酸ハイブリダイゼーションプローブアッセイには、「モレキュラー・ビーコン」と呼ばれるようになった、標識オリゴヌクレオチドプローブを利用するTyagi et al. の米国特許第5925517号に記載のものが含まれる。モレキュラー・ビーコンプローブは、その末端領域が、標的非存在下では互いにハイブリダイズして「ヘアピン」を形成するが、プローブの中心部分がその標的配列にハイブリダイズすると分離するオリゴヌクレオチドである。モレキュラー・ビーコン型プローブの非FRET蛍光版もまた記載されている(例えば、米国特許第6150097号、Tyagi et al. に発行)。
【0008】
これらの蛍光検出アプローチは、一般的に、蛍光化合物と、第2のフルオロフォアまたはクエンチャーを必要とする。しかしながら、ほとんどの蛍光化合物は、通常蛍光複合体およびそれらの結合部分が比較的大きいという欠点がある。さらに、蛍光剤/クエンチャーマーカーの存在、またはヘアピンループの性質により、化学的相互作用や立体障害によって標識核酸と他の分子との相互作用が変化しうる。
【0009】
核酸重合産物の検出および定量を可能とする方法は他にも数多く開示されている。自律配列複製電気化学発光核酸アッセイ(self-sustained sequence replication electrochemiluminescent assay)は、特許出願 WO 94-US10732 940921 (Kenten et al.)に開示される。ハイブリダイゼーション保護アッセイ(hybridization protection assay)もまた記載されている。米国特許第5593867号(Walker et al. に発行)は、蛍光標識オリゴヌクレオチドプローブおよび検出プローブ伸長産物を用いた核酸増幅の蛍光偏光検出を開示する。米国特許第5340716号(Ullman et al. に発行)は、光活性化化学発光標識を利用するアッセイ法について説明する。米国特許第6251581号(Ullman et al. に発行)には、光活性化可能化学発光マトリックスもまた、誘導された発光を利用するアッセイ方法とともに記載されている。米国特許第5017473号(Wagnerに発行)は、光吸収物質を使用する同一系化学発光免疫アッセイを開示する。
【0010】
米国特許第6159693号は、DNAまたはRNAプローブが標的核酸配列にハイブリダイズする、特定の核酸配列を検出する方法を開示する。各塩基において標的配列に相補的なプローブは脱重合される。この核酸検出系は、各種ポリメラーゼによって触媒されるピロリン酸加リン酸分解反応を利用し、デオキシリボヌクレオシド三リン酸またはリボヌクレオシド三リン酸を産生する。dNTPは、NDPKの作用によってATPに変換される。これらの反応により産生されたATPは、ルシフェラーゼまたはNADHに基づく検出系によって検出される。
【0011】
シークエンス反応中のdNTP前駆体からのPPiの連続放出を検出することによって標的核酸をシークエンスする方法もまた記載されている。米国特許第6210891号(Nyren et al. に発行)は、ヌクレオチド配列を決定する方法であって、相異なるデオキシヌクレオチドまたはジデオキシヌクレオチドを、鋳型−プライマー混合物の別々のアリコートに添加するか、あるいは同じ混合物に順番に添加して、シークエンス反応において放出されたPPiを検出することによって特定の塩基の組み込みを測定することを含む方法を開示する。米国特許第6258568号(Nyren et al. に発行)は、ヌクレオチド配列を決定する方法であって、相異なるデオキシヌクレオチドまたはジデオキシヌクレオチドを、鋳型−プライマー混合物の別々のアリコートに添加するか、あるいは同じ混合物に順番に添加して、シークエンス反応において放出されたPPiを検出することによって特定塩基の組み込みを測定し、さらにヌクレオチド分解酵素を用いて組み込まれなかったヌクレオチドを分解する方法を開示する。
【0012】
本発明は、試料中の一定の配列の存在を検出するのに使用可能なポリメラーゼ反応中のPPi検出の改変を提供し、そこではPPiの放出は標的核酸の複製中に検出される。
【0013】
[発明の概要]
本発明は、試料中の標的核酸の新規検出方法および該方法を実施するためのキットを提供する。本方法は、試料中の標的核酸を鋳型として用いて新たな核酸を複製すること、および鋳型複製時のヌクレオチド三リン酸前駆体の消費を検出することを含む。ヌクレオチド三リン酸前駆体の消費は、鋳型から新規核酸を合成するのに使用されたヌクレオチド三リン酸前駆体からのPPiの放出として検出される。放出されたPPiは、APSおよびATPスルフリラーゼの存在下、酵素的にATPに変換される。その後ATPは、酸素の存在下ルシフェリンと反応し、発光(ルミネッセンス)の形で光を発生する。
【0014】
このように、本出願の主題は、試料中の標的核酸を複製し、この複製工程中に生成したPPiの量を検出することによって、試料中の標的核酸の存在、非存在、または量を検出する方法を提供する。複製工程は、直線的複製工程であっても対数的複製工程であってもよい。好ましい態様において、複製は、標的配列の対数的複製(すなわち増幅)を伴う。
【0015】
ある局面において、前記方法は、アレル特異的増幅に適用される。本適用において、核酸鋳型鎖は、あるアレルのセンス鎖またはアンチセンス鎖であり、混合物中に存在する。オリゴヌクレオチドプライマーは、増幅すべき特定のアレルに相補的である。その結果、鋳型鎖上に合成された所望の核酸鎖は、他の核酸よりも優先的に増幅される。
【0016】
本発明はまた、ポリメラーゼ、ピロリン酸放出を確認するための検出酵素、デオキシヌクレオチド、または所望によりデオキシヌクレオチドアナログ(所望により、ポリメラーゼの基質となり得るが前記PPi検出酵素の基質にはなり得ないdATPアナログをdATPのかわりに含む)、および所望により標的DNAにハイブリダイズして標的配列のポリメラーゼ誘発複製を促進する標的特異的オリゴヌクレオチドプライマーを含む核酸増幅混合物を提供する。
【0017】
本発明はまた、核酸複製または増幅を行うためのキット、または試料中の核酸の存在、非存在、または量を検出するためのキット、を提供する。キットは、1またはそれ以上の酵素、緩衝液、および/または本発明の方法を実施するのに有用なその他の試薬を含む容器を含む。オリゴヌクレオチドは、二次元の固体支持体上に個別のドットとして固定することができ、これにより全ての増幅反応を平行して処理することが可能となる。
【0018】
[発明の詳しい説明]
本出願の方法は、RNAまたはDNAのいずれを増幅するためにも使用することができる。DNAを増幅するために用いる場合、核酸ポリメラーゼはDNAポリメラーゼである。増幅は、直線的であっても指数関数的であってもよい。直線的増幅は、標的特異的プライマーとして相補的オリゴヌクレオチドを1つだけ使用した場合に得られる。指数関数的増幅は、標的核酸鎖に相補的な第2のオリゴヌクレオチドが存在する場合に得られる。2つのプライマーは、増幅対象の領域の両側に位置する。RNAは、cDNAに逆転写され、その後直線的または対数的様式で複製されうる。RNAがはじめの鋳型である場合、逆転写酵素が最初のポリメラーゼである。数多くのインビトロにおける酵素的核酸増幅方法が開発されており、既知の配列変異体の検出に適用可能である。これらには、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応 (Saiki et al., Science 230, 1350-1354 (1985))、リガーゼ連鎖反応 (Landegren et al., Science 241, 1077-1080 (1988))、ローリングサークル増幅(rolling circle amplification) (Lizardi et al., Nature Genetics 19, 225-232 (1998))、および当業界で知られる他の方法が含まれる。
【0019】
ピロ発光検出(pyro luminescence detection)は、鋳型依存的核酸合成の間のヌクレオチド三リン酸前駆体からのピロリン酸 (PPi)の放出の検出に基づく技術である。
【0020】
PPiは多くの種々の方法によって測定することができ、多数の酵素的方法が文献に記載されている (Reeves et al., (1969), Anal. Biochem., 28, 282-287; Guillory et al., (1971), Anal. Biochem., 39, 170-180; Johnson et al., (1968), Anal. Biochem., 15, 273; Cook et al., (1978), Anal. Biochem. 91, 557-565; および Drake et al., (1979), Anal. Biochem. 94, 117-120)。本方法においては、ピロリン酸の放出を確認するためルシフェラーゼおよびルシフェリンを組み合わせて使用することが好ましく、なぜなら発生した光の量が放出されたピロリン酸量と実質的に比例する、言い換えれば組み込まれた塩基の量に直接比例するからである。酵素であるATPスルフリラーゼおよびルシフェラーゼに基づくPPi放出の連続的観察方法は、NyrenおよびLundinにより開発された (Anal. Biochem., 151, 504-509, 1985)。Nyrenの方法は、例えばより熱安定性の高いルシフェラーゼおよび/またはATPスルフリラーゼを使用することによって、改変することができる。このように、好ましい態様において、ルシフェラーゼおよびルシフェリンは、発生した光の量が放出されたピロリン酸量と実質的に比例する、言い換えれば組み込まれた塩基の量に直接比例することから、ピロリン酸の放出を確認するのに組み合わせて使用される。光の量は、ルミノメーターのような光感受性装置によって容易に測定可能である。
【0021】
PPi検出反応に関与する好ましい検出酵素は、ATPスルフリラーゼおよびルシフェラーゼである。以下に例示するように、一連の酵素反応において、組み込まれたヌクレオチドの数に比例する可視光が発生する(各工程で必要な酵素をかっこ内に示す):

(NA)n + ヌクレオチド (ポリメラーゼ) → (NA)n +1 + PPi

PPi +APS (ATPスルフリラーゼ) → ATP + SO42-

ATP + ルシフェリン +O2 (ルシフェラーゼ) → AMP + PPi + オキシルシフェリン + CO2 + 光
【0022】
ピロ発光検出系は、標的DNA試料中の導入遺伝子の存在を定量的に検出するために適用可能である。ある時間ウィンドウ内に産生されるPPiの量は、プライマー、すなわち重合反応のための鋳型核酸の量に比例する。したがって、各種サイクルのPCRの後に検出を行い、本方法が定性的ともなるようにしてもよい。このような系の高い感度および広い直線範囲により、ほんの数回、または増幅サイクルが不要なたった1回の重合反応で、定量に十分なシグナルを生じさせることが可能である。反応が1回しか必要でない場合、重合産物は、PPi変換に続いて直接、例えばルミノメーターにより検出できるので、PCR機器は不要である。このように、本発明は、遺伝子組換え生物(GMO)検出を極めて簡素化し、操作時間を削減し、操作コストを減少させる、GMOを検出する方法を提供する。さらに、簡単な酵素反応および発光によるPPiの検出は、他の同一系核酸増幅および検出技術と比較して、それほど技術を必要としない。
【0023】
本発明はまた、正確な結果を保証するため、特定の標的導入遺伝子または核酸を増幅するため2または3個のPCRプライマーを使用することを考慮する。本発明の方法は2工程にて行っても良いが、ある態様において、単一のチューブ内または環境下で単一の同一反応において行われることが好ましい。順番に行う場合、各種ヌクレオチドが組み込まれるポリメラーゼ反応工程またはプライマー伸長工程を行い、続いてPPiの放出を観察または検出する検出段階を行い、ヌクレオチドの組み込みが起こったか否かを検出する。つまり、ポリメラーゼ反応が起こった後、ポリメラーゼ反応ミックスから試料を取り、その試料の一部を発光検出酵素および反応物質を含有する反応混合物に添加することによって解析すればよい。この好ましい検出および定量は発光反応に基づくので、分光光度法により容易に追跡することができる。ルミノメーターの使用は、当業界にて周知であり、文献に記載されている。
【0024】
プライマーは、いずれの既知の導入遺伝子についても、また対象被検体の遺伝子構造を改変する目的でその被検体のゲノムに導入される新規遺伝子についても、設計することができる。ある態様において、プライマーは、植物に導入された導入遺伝子について設計される。試料DNAは、これらプライマーにより、マイクロタイタープレートにおいて同時かつ簡便に試験することができる。被験DNAはまた、プライマーを添加して検出または増幅反応を実行する前に、メンブラン、ガラススライド、または他の固体支持体のような固相上にスポットしてもよい。あるいは、プライマーは、固相材料に結合させてもよい。各方法とも、対象の導入遺伝子のハイスループットな検出を可能とする。
【0025】
本発明の検出方法は、高純度なDNA試料を必要としない。加工食品から得られるDNAは通常、低サイズ化されたゲノムDNAのスメア(DNA鋳型の分解を表す)によって示されるように質がよくない。特異的PCRプライマーが鋳型DNAへ結合しても一定の鋳型から完全長の増幅産物が合成されない場合でも、標的の部分的複製といくらかのPPi放出の検出は検出可能である。このように、本明細書に記載するピロ発光検出法は、同レベルの特異性を有するが、通常のPCR検出に必要とされるプライミング部位間の配列完全性は不要である。したがって、これらの方法は、例えば高度に加工された食品試料のGMO試験や、その他の分解が問題となりうる試料における検出に特に有用である。
【0026】
本検出方法はまた、食料品、化粧品、血液およびIV液のような医療用液体その他の製品中の病原体の検出に使用することができる。既知の病原体に特異的なDNA配列に特異的なプライマーを設計し、本出願の検出および増幅方法に使用して、食品、化粧品、または医療用液体の汚染ロットを同定することができる。
【0027】
本発明の方法の実施にあたり、検出酵素は、ポリメラーゼ反応工程、すなわち鎖伸長反応工程、に含めることができる。このように、検出酵素は、ポリメラーゼ反応の前に、それと同時に、またはその最中に、ポリメラーゼ工程のための反応ミックスに添加される。したがって、複製工程のための反応ミックスは、反応に必要な4種のデオキシヌクレオチド三リン酸前駆体(dATP、dTTP、dGTP、およびdCTP)、ポリメラーゼ、ポリメラーゼ誘発複製の鋳型として機能しうる少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマー、および好ましい態様において、ルシフェリン、APS、ATPスルフリラーゼ、およびルシフェラーゼを含むであろう。ポリメラーゼ反応は、ポリメラーゼまたはオリゴヌクレオチドプライマーの添加により開始することができる。検出酵素は、反応開始時に既に存在してもよく、あるいは反応を開始する試薬とともに添加してもよい。
【0028】
ATPは、鋳型の複製中または複製後の反応混合物に、例えば不純物として、あるいはdNTP前駆体として添加されたdATPの混入物として、存在する場合がある。内因性ATPもまた、本ピロリン酸ルシフェリン系の妨げとなり、誤った発光測定値をもたらすことがある。しかしながら、内因性ATPは、ATPをルシフェラーゼの基質とならない物に変換するピラーゼのような固定化酵素に試料を接触させることによって、その試料から除去することができる。例えば、米国特許第6258568号を参照のこと。したがって、ある態様において、標的配列の複製は、酵素的PPi検出反応を妨げないにもかかわらず、ポリメラーゼにより伸長するDNA鎖に正常に組み込まれうるdATPアナログを用いて実施される。例えば、米国特許第6258568号を参照のこと。
【0029】
本発明の方法は、固体支持体に結合した核酸上で行うことができる。特定の核酸配列を検出するための方法は、通常、標的核酸を固体支持体、例えばニトロセルロース紙、セルロース紙、ジアゾ化紙、またはナイロンメンブラン上に固定化することを含む。固体支持体はまた、例えば、マイクロタイターウェルまたはビーズである。一般的に、いずれの固体支持体でも都合よく使用することができ、それには当業界で知られる多くのもの、例えば分離/固定化反応または固相アッセイのためのもの、例えばアガロース、セルロース、アルギン酸塩、テフロン(登録商標)、またはポリスチレンなどより成る粒子、繊維、またはキャピラリーのような支持体、が含まれる。磁気性粒子もまた、反応混合物から容易に単離でき、なおかつ多くの他の形態の支持体よりも優れた反応速度を示すことから有用である。固体支持体は、プライマーの結合のため、ヒドロキシル、カルボキシル、アルデヒド、もしくはアミノ基のような官能基、またはアビジンもしくはストレプトアビジンのような他の部分を有してもよい。
【0030】
伸長プライマーおよびデオキシヌクレオチドの存在下の各アリコートにおけるポリメラーゼ反応は、デオキシヌクレオチドを組み込むポリメラーゼ、例えばT7ポリメラーゼ、クレノー(Klenow)、またはSequenase Ver. 2.0 (USB U.S.A.)を用いて行う。しかしながら、多くのポリメラーゼは伸長鎖の消化によるプルーフリーディング能またはエラーチェック能を有し、PPi放出の検出時のバックグラウンドノイズが高レベルとなる可能性があることが知られている。したがって、好ましい態様において、非プルーフリーディングポリメラーゼを使用してもよく、あるいはポリメラーゼによる3’消化を抑制するフッ化物イオンまたはヌクレオチド一リン酸を複製反応に添加してもよい。
【0031】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に利用できる酵素などの試薬は、当業界で知られている。例えば、米国特許第5210015号、第4683195号、第4683202号、第4965188号、第4800159号、および第4889818号を参照のこと(これらの関連部分は引用により本明細書に含まれる)。しかしながら、本反応のための好ましいサイクル条件は、約1〜30サイクル、より好ましくは5〜20サイクル、より一層好ましくは10〜15サイクルにて、(1)約58℃〜約95℃と(2)約58℃〜約95℃の温度を交互に行うものである。より好ましい温度の組み合わせの例は、約95℃、約58℃、約58℃、約74℃、および約74℃である。しかしながら、他の組み合わせもまた適する。
【0032】
商業製品の中でも、とりわけ食物、化粧品、医療用品および医療用液体、血液製剤、静脈注射用溶液等の汚染には、多様な微生物が関与している。さらに、導入遺伝子の検出は、望ましくない、または汚染された、遺伝子組換え食品の検出に価値があることが多い。本発明の方法は、望ましくない汚染微生物または望ましくない汚染遺伝子組換え食品のいずれの検出にも利用可能である。本方法はまた、導入遺伝子が挿入された新規植物株の調製、同定、および繁殖に必要な多くの工程でも利用可能である。
【0033】
本発明の方法により検出される核酸には、いずれの精製された、または未精製のソース、例えばtRNA、mRNA、rRNA、ミトコンドリアDNAおよびRNA、クロロプラストDNAおよびRNA、DNA-RNAハイブリッド、またはそれらの混合物のようなDNAおよびRNA、に由来するその断片も含まれる。核酸にはさらに、遺伝子、染色体、プラスミド、微生物、例えば細菌、酵母、ウィルス、ウィロイド、かび、真菌、植物、動物、ヒト等の生体物質のゲノムの全てまたは一部が含まれる。核酸は、生体試料のような複雑な混合物のほんの一画分である場合があり、当業界で周知の方法により各種生体物質から得ることができる。
【0034】
ある態様において、本発明の方法に利用されるオリゴヌクレオチドプライマーには、標的ポリヌクレオチドの一定の配列にハイブリダイズする能力のある配列を3’末端に含む一本鎖の合成ヌクレオチドが含まれる。通常、オリゴヌクレオチドプライマーは、一定の配列またはプライマー結合部位に対して、少なくとも80%、好ましくは90%、より好ましくは95%、最も好ましくは100%の相補性を有する。オリゴヌクレオチドプライマーのハイブリダイズ可能配列におけるヌクレオチド数は、そのオリゴヌクレオチドプライマーのハイブリダイズに使用するストリンジェンシー条件で過剰かつランダムな非特異的ハイブリダイゼーションが起こらないような数にすべきである。オリゴヌクレオチドプライマーは、通常、標的ポリヌクレオチドの一定の配列と同じであり、つまり、通常、約10〜200ヌクレオチドの長さ、好ましくは20〜50ヌクレオチドの長さであろう。
【0035】
「ヌクレオシド三リン酸」なる用語には、誘導体化されていないヌクレオシド三リン酸と同様に認識されるこれらの誘導体に代表される、その誘導体またはアナログも含まれる。そのような誘導体またはアナログの例は、ビオチニル化、アミン修飾、アルキル化等されたものであり、またホスホロチオエート、ホスファイト、環原子修飾誘導体等も含まれるが、これらは例示であり限定ではない。
【0036】
本発明で用いるヌクレオチドポリメラーゼには、DNAまたはRNA鋳型にそって相補的なポリヌクレオチドを伸長させるための触媒、通常は酵素、を含む。このヌクレオチドポリメラーゼは、鋳型依存性ポリヌクレオチドポリメラーゼであり、ポリヌクレオチドの3’末端を伸長するための基本単位としてヌクレオシド三リン酸を利用し、ポリヌクレオチド鋳型と相補的な配列を提供する。通常、触媒は酵素であり、例えば真核生物DNAポリメラーゼ(I、II、またはIII)、T4 DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、クレノーフラグメント、逆転写酵素、Vent DNA ポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼのようなDNAポリメラーゼである。
【0037】
以下の実施例は、本発明の例示である。実施例で参照する図および配列表は以下である。
図1:ピロ発光検出法によりポリメラーゼ連鎖反応の産物を解析したアガロースゲルの写真。パネルAは、PCR10サイクル後の結果を示す。パネルBは、PCR20サイクル後の結果を示す。パネルCは、PCR30サイクル後の結果を示す。レーン1: GMO MON810 トウモロコシを4%含むトウモロコシ試料から単離されたDNA;レーン2:149塩基対(bp)のDNA断片の陽性対照鋳型;レーン3:陰性対照(鋳型DNA不含、dATP含有);レーン4:陰性対照(鋳型DNA不含、dATPを不活性なdATPアナログのdATPαSと置換)。
図2:PCR後の試料の蛍光測定。パネルA:PCR10サイクル;パネルB:PCR20サイクル;パネルC:PCR30サイクル。試料は以下の通りである:黒ダイヤ形: GMO MON810を4%含むトウモロコシ試料由来のDNA;黒四角:cDNA陽性対照;黒三角:dATPによる自己蛍光対照;X:dATPαSによる自己蛍光対照。
図3:以下の導入遺伝子を有するGMOを5%含む大豆およびトウモロコシ材料のアッセイ結果:除草剤グリフォセート抵抗性(EPSPS遺伝子を有するRoundup Ready大豆)および除草剤グルフォシネート抵抗性(バー(bar)遺伝子を有するトウモロコシ)および虫害抵抗性(Bt-176トウモロコシ、Bt-11トウモロコシ、およびMON810トウモロコシ)。
【0038】
配列番号1:GMO MON810トウモロコシに挿入された導入遺伝子の35SプロモーターとHSPイントロン1の接合領域に対応する事象特異的プライマー MG3。
配列番号2:GMO MON810トウモロコシに挿入された導入遺伝子の35SプロモーターとHSPイントロン1の接合領域に対応する事象特異的プライマー MG4。
配列番号3−29:植物における既知の導入遺伝子の検出および/または増幅に使用可能なプライマーペア。
【実施例】
【0039】
実施例1
MON810トウモロコシの事象特異的標的核酸の検出
トランスジェニックGMOトウモロコシ株MON810を含むトウモロコシの基準試料は、Sigma Aldrich Chemical Companyより入手した。当該トウモロコシ試料から、Roche Diagnostics Corporation(Indianapolis, IN)より入手可能なHigh Pure GMO試料調製キットを用いて、ゲノムDNAを単離した。事象特異的プライマー、MG3:5’− agt atc ctt cgc aag acc ctt cct c−3’(配列番号1)およびMG4:5’− gca ttc aga gaa acg tgg cag taa c−3’(配列番号2)のペアを用いて、MON810トウモロコシの35SプロモーターとHSPイントロン1の接合領域に対応する149bpの導入遺伝子断片を増幅した。
【0040】
PCR反応:PCRは、PTC-100 サーマルサイクラー(MJ Research, Incより入手可能)を用いて行った。反応は、全量30μl(プライマー MG3およびMG4 各0.20μM、4種のdNTP(dATP、dCTP、dGTP、dTTP) 各0.25mM、MgCl2 1.5mM、Taq DNA ポリメラーゼ 1.5ユニット、および鋳型ゲノムDNA 1μl (10ng-100ng)含有)で行った。Taq DNA ポリメラーゼは、Qiagenより入手した。
【0041】
サーマルサイクラーのプログラムは、以下の段階より構成した:変性段階(94℃4分);サイクリング段階(94℃45秒インキュベーション、60℃30秒インキュベーション、および72℃45秒インキュベーションより構成);および伸長段階(72℃7分)。反応は、3セット、それぞれ10、20、または30サイクルで行った。
【0042】
蛍光検出:自家発光は、ピロ発光、すなわち鋳型依存的核酸合成中のヌクレオチド三リン酸からのピロリン酸(PPi)放出をルシフェラーゼ−ルシフェリンに基づく反応により検出する技術、により行った。反応は、0.1M Tris−アセテート、2mM EDTA、10mM 酢酸マグネシウム、0.1% ウシ血清アルブミン、1mM ジチオスレイトール、0.4 mg/ml ポリビニルピロリドン、100μg/ml ルシフェリン、0.3 ユニット/ml ATPスルフリラーゼ、5μM アデノシン5’−ホスホスルフェート、および20ng ルシフェラーゼを含有する緩衝液中で行った(ルシフェリン、ルシフェラーゼ、およびATPスルフリラーゼは、Sigma Aldrich Chemical Companyより入手した)。蛍光を測定する直前に、PCR反応産物試料5μlを、新しい自己蛍光検出緩衝液100 μlと混合した。測定値は、VersaFluor Fluorometer(Bio-Rad Laboratoriesより入手)により、15秒間隔で2分間記録した。脱イオン水をブランクとして使用した。
【0043】
結果:GMO MON810トウモロコシを4%含む基準試料から単離したゲノムDNAにおいて、事象特異的標的DNAを検出し、PCRにより増幅した。PCR産物は、アガロースゲル電気泳動(図1)および蛍光検出(図2)により解析した。10μlのPCR産物を、1X TAE緩衝液中、2%アガロースゲルで分離した(このゲルには、100-bp 分子量マーカー(New England Biolabsより入手可能)も含まれた)。
【0044】
2種類の事象特異的プライマー、MG3(配列番号1)およびMG4(配列番号2)により、MON810トウモロコシに挿入された導入遺伝子に特異的な149 bpのDNA断片が増幅された(データ非提示)。この149 bpの断片をゲル精製し、図1に示すPCRデータの陽性対照鋳型として使用した。本断片のPCR増幅産物を、図1のパネルA、B、およびCのレーン2に示す。対応の自己蛍光測定値は、図2に示す(黒四角)。
【0045】
トウモロコシゲノムDNAを含む反応のPCR産物は、図1のレーン1および図2の黒ダイヤ形で示す。PCR反応中にdATPが存在することにより増幅されたDNA産物を検出できないほど高いバックグラウンド蛍光が生じるかを測定するため、鋳型DNAなしの陰性対照反応も行った。この反応の結果を、図1のパネルA、B、およびCのレーン3に示し、蛍光測定は図2の対応パネルA、B、およびC(黒三角)に示す。鋳型DNAなし、かつdATPのかわりに不活性dATPアナログのdATPαSを最終濃度0.25 mMで含む第2の陰性対照を行い、PCR反応中のdATPにより生じるバックグラウンド蛍光レベルを評価した。
【0046】
結果は、自己蛍光レベルは反応初期の15秒間は高いが、30秒から2分の間に徐々に安定化して、信頼性ある自己蛍光測定が実施可能なウィンドウとなることを示す。
【0047】
陽性対照(パネルA、レーン2)については、149 bpのDNA断片が10サイクルのPCRの後にアガロースゲル上に検出可能であり、鋳型DNAなしの2種類の陰性対照より高レベルな自己蛍光であった。その上、dATPおよびdATPαSを用いる2種類の陰性対照は自己蛍光のレベルが同程度であり、これはPCR反応からのdATPのキャリーオーバーが自己蛍光バックグラウンドをそれほどは増加させないことを示唆する。反応におけるdATPαSの使用は、得られる自己蛍光のレベルに実質的には影響しない。GMO MON810を4%含むトウモロコシ材料に由来するゲノムDNAを含む試料では、プライマーMG3およびMG4により増幅される特異的な149 bpの断片は、30サイクルのPCRの後のみ検出可能となった。これに対して、自己蛍光のバックグラウンドレベルは、たった10サイクルのPCRの後でも検出可能であった。この結果は、少ないサイクル数で定性的PCRを行う場合よりも、多サイクルで定量的PCRを行う場合の方が、より良い感度が得られるであろうことを示唆する。
【0048】
本結果は、PCR反応後の試料のルシフェリン自己蛍光によるピロリン酸レベルの検出は、GMOの導入遺伝子の存在を検出するために使用可能であることを示す。本方法において、PCR反応からの少量のdATPのキャリーオーバーは、検出しようとする導入遺伝子の特異的核酸の検出および測定の妨げとなるバックグラウンドレベルの蛍光を生じさせない。
【0049】
実施例2
実施例1に記載の方法を用いて、Roundup Ready大豆を5%、Bt 176トウモロコシを5%、またはBt-11トウモロコシを5%含む植物材料(Sigma Aldrich Chemical Companyから入手)を、市販の植物株に虫害抵抗性および除草剤抵抗性形質を与える特定の導入遺伝子の存在について解析した。これらの検出および増幅実験の結果を図3に示す。アッセイに使用したプライマーペアの配列は、以下の表1に示す。これら実験の結果は、本出願の方法が、少量の標的配列について解析する試料に含まれる様々な異なる標的核酸配列の同定に、一般的に適用可能であることを示す。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ピロ発光検出法によりポリメラーゼ連鎖反応の産物を解析するアガロースゲルの写真。パネルAは、PCR10サイクル後の結果を示す。パネルBは、PCR20サイクル後の結果を示す。パネルCは、PCR30サイクル後の結果を示す。レーン1: GMO MON810 トウモロコシを4%含むトウモロコシ試料から単離されたDNA;レーン2:149塩基対(bp)のDNA断片の陽性対照鋳型;レーン3:陰性対照(鋳型DNA不含、dATP含有);レーン4:陰性対照(鋳型DNA不含、不活性なdATPアナログのdATPαSとdATPを置換)。
【図2】PCR後の試料の蛍光測定。パネルA:PCR10サイクル;パネルB:PCR20サイクル;パネルC:PCR30サイクル。試料は以下の通りである:黒ダイヤ形: GMO MON810を4%含むトウモロコシ試料由来のDNA;黒四角:cDNA陽性対照;黒三角:dATPによる自己蛍光対照;X:dATPαSによる自己蛍光対照。
【図3】以下の導入遺伝子を有するGMOを5%含む大豆およびトウモロコシ材料のアッセイ結果:除草剤グリフォセート抵抗性(EPSPS遺伝子を有するRoundup Ready大豆)および除草剤グルフォシネート抵抗性(バー(bar)遺伝子を有するトウモロコシ)および虫害抵抗性(Bt-176トウモロコシ、Bt-11トウモロコシ、およびMON810トウモロコシ)。
【配列表】







【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的核酸が複製され、該標的の複製がデオキシヌクレオチド三リン酸前駆体の消費として検出される、試料中の標的核酸の存在を同定する方法であって、
試料中の標的核酸にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを試料に添加すること、
標的核酸の複製に必要とされる全dNTPの混合物の存在下、試料DNAおよびプライマーをポリメラーゼ反応にかけ、それによりデオキシヌクレオチドが組み込まれ、DNA伸長産物の長さに比例するピロリン酸(PPi)が放出されること、および
PPiの放出を酵素的に検出すること、を含み、
PPiの放出がデオキシヌクレオチドまたはジデオキシヌクレオチドの組み込みおよび標的DNAの存在を示す方法。
【請求項2】
標的核酸が以下よりなる群から選択される反応において複製される、請求項1記載の方法:ポリメラーゼ伸長反応、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ローリングサークル複製反応(RCR)、および核酸配列基盤増幅反応(NASBA)。
【請求項3】
標的がポリメラーゼ連鎖反応において複製される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
PPiの放出がルシフェラーゼ−ルシフェリンに基づく反応によって検出される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
PPi放出がATPスルフリラーゼおよびルシフェラーゼを用いて検出される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
PPi検出酵素がポリメラーゼ反応工程に含まれ、ポリメラーゼ反応工程およびPPi放出検出工程が実質的に同時に行われる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
さらに、ポリメラーゼの基質となり得るがPPi検出酵素の基質にはなり得ないdATPアナログを添加することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
dATPアナログがデオキシアデノシンαチオ三リン酸である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
試料DNAまたはオリゴヌクレオチドプライマーが固定化されているか、または試料DNAまたはオリゴヌクレオチドプライマーに固体支持体への結合手段が供されている、請求項1記載の方法。
【請求項10】
エキソヌクレアーゼ欠損高忠実度ポリメラーゼを使用する、請求項1記載の方法。
【請求項11】
熱耐性ポリメラーゼを使用する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
試料DNAをはじめに増幅する、請求項1記載の方法。
【請求項13】
複数の試料DNA配列について使用され、該DNA配列はアッセイ形式にて固体表面上に配置される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
核酸試料が生体試料から得られるものである、請求項1記載の方法。
【請求項15】
標的核酸が微生物核酸またはウィルス核酸である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
標的核酸がウィルス核酸である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
核酸試料が食料源から得られる、請求項1記載の方法。
【請求項18】
食物源が植物である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
標的核酸が天然では試料に存在しない核酸配列を含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
以下を含む、請求項1記載の方法に使用されるキット:
ポリメラーゼ、
PPi放出を確認するための検出酵素手段、
dNTP、または所望により、デオキシヌクレオチドアナログであって、所望によりポリメラーゼの基質となり得るがPPi検出酵素の基質にはなり得ないdATPアナログをdATPのかわりに含むデオキシヌクレオチドアナログ、および
所望により、標的DNAにハイブリダイズして該標的DNAを複製するポリメラーゼにプライマーとして認識される標的特異的プライマー。
【請求項21】
検出酵素手段がルシフェラーゼ−ルシフェリンに基づく酵素反応を含む、請求項20記載のキット。
【請求項22】
検出酵素手段がATPスルフリラーゼおよびルシフェラーゼを含む、請求項21記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−523455(P2006−523455A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508065(P2006−508065)
【出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【国際出願番号】PCT/SG2004/000093
【国際公開番号】WO2004/090167
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(505381426)テマセク・ライフ・サイエンシーズ・ラボラトリー・リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】Temasek Life Sciences Laboratory Limited
【Fターム(参考)】