ポリラクトサミン骨格を有するムチン型糖ペプチド
【課題】生化学研究材料、医薬、食品など幅広い分野で有用であり、これまでその製造が困難であったポリラクトサミン骨格を有するムチン型糖ペプチド類を製造する際のプライマーとして有用な新規化合物、およびそのプライマーを使用して糖ペプチドを製造する方法を提供する。
【解決手段】末端にアルデヒド基またはケトン基を有し、プロテアーゼにより切断可能なアミノ酸残基を含む新規なポリラクトサミン骨格を有するムチン型糖ペプチド誘導体およびこれをプライマーとして使用するポリラクトサミン骨格を有するムチン型糖ペプチドの簡易な製造方法、および、予め合成されたポリラクトサミン骨格を有するムチン型糖アミノ酸を用いて、所望のペプチド配列を有する糖ペプチドを合成することにより、ポリラクトサミン骨格を有するムチン型糖ペプチドを製造する方法による。
【解決手段】末端にアルデヒド基またはケトン基を有し、プロテアーゼにより切断可能なアミノ酸残基を含む新規なポリラクトサミン骨格を有するムチン型糖ペプチド誘導体およびこれをプライマーとして使用するポリラクトサミン骨格を有するムチン型糖ペプチドの簡易な製造方法、および、予め合成されたポリラクトサミン骨格を有するムチン型糖アミノ酸を用いて、所望のペプチド配列を有する糖ペプチドを合成することにより、ポリラクトサミン骨格を有するムチン型糖ペプチドを製造する方法による。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
X−C(=O)−(CH2)n−A1−A2−A3 (I)
式中、Xは、水素原子、C1〜C30アルキル、C6〜C30アリールまたは発色団を表し;
nは0〜20の整数を表し;
A1は、−(CH2)0〜20−C(=O)−、−(CH2CH2O)1〜10−、重合度1〜10のオリゴもしくはポリアクリルアミド、重合度1〜10のオリゴもしくはポリペプチド、酸素原子またはNHを表し;
A2は、プロテアーゼにより切断可能なアミノ酸残基を表し;
A3は、実質的にプロテアーゼにより切断可能な部位を含まない糖アミノ酸残基、またはプロテアーゼにより切断可能な部位を含まず任意の糖アミノ酸を含む糖ペプチド残基を表し、該糖アミノ酸残基または該糖ペプチド残基が、以下の式:
【化1】
式中、R1およびR6は、それぞれ独立して、水素、N−アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)基またはN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)基であり;
R2およびR7は、ガラクトース(Gal)基であり;
R3およびR8は、GlcNAc基であり;
R4およびR9は、Gal基であり;
R5は、GlcNAc基であり;
R10は、N−アセチル−α−D−ガラクトサミン(GalNAc)基であり;
Z1、Z2およびZ3は、それぞれ独立して、水素またはフコース(Fuc)基であり;ならびに
nおよびmは、それぞれ独立して、0以上の整数であり;
ここで、R1とR2との間の結合は、R1がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R1がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R2とR3との間の結合は、β1,4結合であり;
R3とR4との間の結合は、β1,3結合であり;
R4とR5との間の結合は、β1,4結合であり;
R6とR7との間の結合は、R6がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R6がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R7とR8との間の結合は、β1,4結合であり;
R8とR9との間の結合は、β1,3結合であり;
R9とR10との間の結合は、β1,3結合であり;
R5とR10との間の結合は、β1,6結合であり;
Z1とR3との間の結合は、α1,3結合であり;
Z2とR5との間の結合は、α1,3結合であり;ならびに
Z3とR8との間の結合は、α1,3結合である、
で表される糖残基を有する、化合物。
【請求項2】
前記A2は、バシラス リケニホルミス(Bacillus Licheniformis)由来のプロテアーゼで切断可能なグルタミン酸残基またはシステイン残基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記A3の少なくとも一部が、ムチン型糖タンパク質MUC1由来の配列番号1〜60に示されるアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物と、保護されていてもよいアミノオキシ基、N−アルキルアミノオキシ基、ヒドラジド基、アジド基、チオセミカルバジド基、1,2−ジチオール基およびシステイン残基からなる群から選択される官能基を含む担体と、が反応して得られる、化合物。
【請求項5】
前記担体は、以下:
a)保護されていてもよいアミノオキシ基またはヒドラジド基を有する、ビニル系単量体の重合体もしくは共重合体、または保護されていてもよいアミノオキシ基またはヒドラジド基を有するポリエーテル類;
b)保護されていてもよいアミノオキシ基またはヒドラジド基を有するシリカ担体、樹脂担体、磁性ビーズまたは金属担体;ならびに
c)以下の式:
[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys−NHCH2CH2C(=O)−R3、
[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys−NHCH(CH2SH)C(=O)−R3、
[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys−Cys−NHCH2CH2C(=O)−R3(配列番号61)、
{[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys−NHCH[C(=O)−R3]CH2−S}2、
{[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys−NHCH[C(=O)NHCH2CH2C(=O)−R3]CH2−S}2、
{[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys}2−Lys−NHCH2CH2C(=O)−R3(配列番号62)、
{[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys}2−Lys−NHCH(CH2SH)C(=O)−R3(配列番号63)、
{[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys}2−Lys−Cys−N
HCH2CH2C(=O)−R3(配列番号64)、
[[[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys]2−Lys−NHCH[C(=O)−R3]CH2−S]2(配列番号65)、
[[[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys]2−Lys−NHCH[C(=O)NHCH2CH2C(=O)−R3]CH2−S]2(配列番号66)、
【化2】
式中、R3はヒドロキシル基またはアミノ基を表し、Lysはリジン残基を表し、Cysはシステインを表す、
【化3】
式中、nは1〜15の整数であり、x:yは1:0〜1:1000である、
で表される化合物、からなる群から選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
以下の式:
A4−N=C(−X)−(CH2)n−A1−A2−A3 (II)
式中、Xは水素原子、C1〜C30アルキル、C6〜C30アリールまたは発色団を表し;
nは0〜20の整数を表し;
A1は、−(CH2)0〜20−C(=O)−、−(CH2CH2O)1〜10−、重合度1〜10のオリゴもしくはポリアクリルアミド、重合度1〜10のオリゴもしくはポリペプチド、酸素原子またはNHを表し;
A2は、バシラス リケニホルミス(Bacillus Licheniformis)由来のプロテアーゼで切断可能なグルタミン酸残基またはシステイン残基であり;
A3は、実質的にプロテアーゼにより切断可能な部位を含まない糖アミノ酸残基、またはプロテアーゼにより切断可能な部位を含まず任意の糖アミノ酸を含む糖ペプチド残基を表し、該糖アミノ酸残基または該糖ペプチド残基が、以下の式:
【化4】
式中、R1およびR6は、それぞれ独立して、水素、Neu5Ac基またはGlcNAc基であり;
R2およびR7は、Gal基であり;
R3およびR8は、GlcNAc基であり;
R4およびR9は、Gal基であり;
R5は、GlcNAc基であり;
R10は、GalNAc基であり;
Z1、Z2およびZ3は、それぞれ独立して、水素またはFuc基であり;ならびに
nおよびmは、それぞれ独立して、0以上の整数であり;
ここで、R1とR2との間の結合は、R1がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R1がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R2とR3との間の結合は、β1,4結合であり;
R3とR4との間の結合は、β1,3結合であり;
R4とR5との間の結合は、β1,4結合であり;
R6とR7との間の結合は、R6がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R6がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R7とR8との間の結合は、β1,4結合であり;
R8とR9との間の結合は、β1,3結合であり;
R9とR10との間の結合は、β1,3結合であり;
R5とR10との間の結合は、β1,6結合であり;
Z1とR3との間の結合は、α1,3結合であり;
Z2とR5との間の結合は、α1,3結合であり;ならびに
Z3とR8との間の結合は、α1,3結合である、
で表される糖残基を有する;
A4は、以下の式:
【化5】
式中、sは1〜15の整数であり、x:yは1:0〜1:1000である)で表される基である、
で表される化合物。
【請求項7】
前記A3の少なくとも一部が、ムチン型糖タンパク質MUC1由来の配列番号1〜60に示されるアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
以下の工程:
(A)請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物と、該化合物のケトン残基またはアルデヒド残基と特異的に反応しうる、保護されていてもよいアミノオキシ基、N−アルキルアミノオキシ基、ヒドラジド基、アジド基、チオセミカルバジド基、1,2−ジチオール基およびシステイン残基からなる群から選択される官能基を含む担体と、を反応させる工程;
(B)工程(A)で得た化合物に、糖ヌクレオチドの存在下で糖転移酵素を作用させることにより、該糖ヌクレオチドより糖残基を該化合物に転移させ、糖鎖を伸長させた化合物を得る工程であって、該糖ヌクレオチドが、Gal基、GlcNAc基、Fuc基およびNeu5Ac基からなる群より選択される糖残基を有する、工程;
(C)必要に応じて未反応の糖ヌクレオチド類および副生したヌクレオチド類を除去する工程;および
(D)糖残基が転移して糖鎖が伸長した化合物にプロテアーゼを作用させる工程、
を包含する、糖ペプチドを製造する方法。
【請求項9】
以下の工程:
(A)請求項4〜7のいずれか1項に記載の化合物に、糖ヌクレオチドの存在下で糖転移酵素を作用させることにより、該糖ヌクレオチドより糖残基を該化合物に転移させ、糖鎖
を伸長させた化合物を得る工程であって、該糖ヌクレオチドが、Gal基、GlcNAc基、Fuc基およびNeu5Ac基からなる群より選択される糖残基を有する、工程;
(B)必要に応じて未反応の糖ヌクレオチド類および副生したヌクレオチド類を除去する工程;および
(C)糖残基が転移して糖鎖が伸長した化合物にプロテアーゼを作用させる工程
を包含する、糖ペプチドを製造する方法。
【請求項10】
以下の工程:
(A)請求項4〜7のいずれか1項に記載の化合物に、糖ヌクレオチドの存在下で糖転移酵素を作用させることにより、該糖ヌクレオチドより糖残基を該化合物に転移させ、糖鎖を伸長させた化合物を得る工程であって、該糖ヌクレオチドが、Gal基、GlcNAc基、Fuc基およびNeu5Ac基からなる群より選択される糖残基を有する、工程;
(B)工程(A)を1回または2回以上繰り返して糖鎖を伸長させる工程;
(C)必要に応じて未反応の糖ヌクレオチド類および副生したヌクレオチド類を除去する工程;および
(D)複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した化合物にプロテアーゼを作用させる工程、を包含する、糖ペプチドを製造する方法。
【請求項11】
以下の工程:
(A)プロテアーゼにより切断可能なアミノ酸、糖アミノ酸、およびケト酸またはアルデヒド酸を原料にペプチド固相合成を行い、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物を得る工程;
(B)工程(A)で得た化合物と、該化合物のケトン残基またはアルデヒド残基と特異的に反応しうる、保護されていてもよいアミノオキシ基、N−アルキルアミノオキシ基、ヒドラジド基、アジド基、チオセミカルバジド基、1,2−ジチオール基およびシステイン残基からなる群から選択される官能基を含む担体とを反応させる工程;
(C)工程(B)で得た化合物に、糖ヌクレオチドの存在下で糖転移酵素を作用させることにより、該糖ヌクレオチドより糖残基を該化合物に転移させ、糖鎖を伸長させた化合物を得る工程であって、該糖ヌクレオチドが、Gal基、GlcNAc基、Fuc基およびNeu5Ac基からなる群より選択される糖残基を有する、工程;
(D)必要に応じて未反応の糖ヌクレオチド類および副生したヌクレオチド類を除去する工程;および
(E)糖残基が転移して糖鎖が伸長した化合物にプロテアーゼを作用させる工程、
を包含する、糖ペプチドを製造する方法。
【請求項12】
以下の工程:
(A)プロテアーゼにより切断可能なアミノ酸、糖アミノ酸、およびケト酸またはアルデヒド酸を原料にペプチド固相合成を行い、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物を得る工程;
(B)工程(A)で得た化合物と、該化合物のケトン残基またはアルデヒド残基と特異的に反応しうる保護されていてもよいアミノオキシ基、N−アルキルアミノオキシ基、ヒドラジド基、アジド基、チオセミカルバジド基、1,2−ジチオール基およびシステイン残基からなる群から選択される官能基を含む担体とを反応させ、これと同時に工程(A)における未反応物を除去する工程;
(C)工程(B)で得た担体に結合した化合物に、糖ヌクレオチドの存在下で糖転移酵素を作用させることにより、該糖ヌクレオチドより糖残基を該化合物に転移させ、糖鎖が伸長された化合物を得る工程であって、該糖ヌクレオチドが、Gal基、GlcNAc基、Fuc基およびNeu5Ac基からなる群より選択される糖残基を有する、工程;
(D)工程(C)を1回または2回以上繰り返して糖鎖を伸長させる工程;
(E)必要に応じて未反応の糖ヌクレオチド類および副生したヌクレオチド類を除去する工程;および
(F)複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した化合物にプロテアーゼを作用させる工程、を包含する、糖ペプチドを製造する方法。
【請求項13】
前記工程(A)のケト酸またはアルデヒド酸が、以下の式:
X−C(=O)−(CH2)n−A1−COOH (III)
式中、Xは水素原子、C1〜C30アルキル、C6〜C30アリールまたは発色団を表し;
nは0〜20の整数を表し;
A1は、メチレン鎖1〜20個分の長さを有するリンカーを表す、
で表される化合物である、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
以下の工程:
(A)請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物に、糖ヌクレオチドの存在下で糖転移酵素を作用させることにより、該糖ヌクレオチドより糖残基を該化合物に転移させ、糖鎖を伸長させた化合物を得る工程であって、該糖ヌクレオチドが、Gal基、GlcNAc基、Fuc基およびNeu5Ac基からなる群より選択される糖残基を有する、工程;
(B)必要に応じて工程(A)を1回または2回以上繰り返して糖鎖を伸長させる工程;(C)糖残基が転移して糖鎖が伸長した化合物と、該化合物のケトン残基またはアルデヒド残基と特異的に反応しうる保護されていてもよいアミノオキシ基、N−アルキルアミノオキシ基、ヒドラジド基、アジド基、チオセミカルバジド基、1,2−ジチオール基およびシステイン残基からなる群から選択される官能基を含む担体と、を反応させる工程;および
(D)必要に応じて未反応の糖ヌクレオチド類および副生したヌクレオチド類を除去する工程;
を包含する、糖ペプチドを製造する方法。
【請求項15】
以下の工程:
(A)請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物に、糖ヌクレオチドの存在下で糖転移酵素を作用させることにより、該糖ヌクレオチドより糖残基を該化合物に転移させ、糖鎖を伸長させた化合物を得る工程であって、該糖ヌクレオチドが、Gal基、GlcNAc基、Fuc基およびNeu5Ac基からなる群より選択される糖残基を有する、工程;
(B)必要に応じて工程(A)を1回または2回以上繰り返して糖鎖を伸長させる工程;(C)糖残基が転移して糖鎖が伸長した化合物と、該化合物のケトン残基またはアルデヒド残基と特異的に反応しうる保護されていてもよいアミノオキシ基、N−アルキルアミノオキシ基、ヒドラジド基、アジド基、チオセミカルバジド基、1,2−ジチオール基およびシステイン残基からなる群から選択される官能基を含む担体と、を反応させる工程;
(D)必要に応じて未反応の糖ヌクレオチド類および副生したヌクレオチド類を除去する工程;および
(E)糖残基が転移して糖鎖が伸長した化合物にプロテアーゼを作用させる工程、
を包含する、糖ペプチドを製造する方法。
【請求項16】
前記糖ペプチドが、以下の式:
【化6】
(配列番号2)
【化7】
(配列番号21)
または
【化8】
(配列番号41)
式中、X1は、それぞれ独立して、水素原子または以下の式:
【化9】
式中、R1およびR6は、それぞれ独立して、水素、Neu5Ac基またはGlcNAc基であり;
R2およびR7は、Gal基であり;
R3およびR8は、GlcNAc基であり;
R4およびR9は、Gal基であり;
R5は、GlcNAc基であり;
R10は、GalNAc基であり;
Z1、Z2およびZ3は、それぞれ独立して、水素またはFuc基であり;ならびに
nおよびmは、それぞれ独立して、0以上の整数であり;
ここで、R1とR2との間の結合は、R1がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R1がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R2とR3との間の結合は、β1,4結合であり;
R3とR4との間の結合は、β1,3結合であり;
R4とR5との間の結合は、β1,4結合であり;
R6とR7との間の結合は、R6がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R6がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R7とR8との間の結合は、β1,4結合であり;
R8とR9との間の結合は、β1,3結合であり;
R9とR10との間の結合は、β1,3結合であり;
R5とR10との間の結合は、β1,6結合であり;
Z1とR3との間の結合は、α1,3結合であり;
Z2とR5との間の結合は、α1,3結合であり;ならびに
Z3とR8との間の結合は、α1,3結合である、
で表される基を表し、ただし、X1のすべてが水素原子である場合を除く;
Y1は、水素原子、アセチル、アシル、アルキルまたはアリールを表し;
Y2は、水酸基、NH2、アルキルまたはアリールを表す、
で表される糖ペプチドである、請求項8〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
以下の式:
【化10】
(配列番号2)
【化11】
(配列番号21)
または
【化12】
(配列番号41)
式中、X1は、それぞれ独立して、水素原子または以下の式:
【化13】
式中、R1およびR6は、それぞれ独立して、水素、Neu5Ac基またはGlcNAc基であり;
R2およびR7は、Gal基であり;
R3およびR8は、GlcNAc基であり;
R4およびR9は、Gal基であり;
R5は、GlcNAc基であり;
R10は、GalNAc基であり;
Z1、Z2およびZ3は、それぞれ独立して、水素またはFuc基であり;ならびに
nおよびmは、それぞれ独立して、0以上の整数であり;
ここで、R1とR2との間の結合は、R1がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R1がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R2とR3との間の結合は、β1,4結合であり;
R3とR4との間の結合は、β1,3結合であり;
R4とR5との間の結合は、β1,4結合であり;
R6とR7との間の結合は、R6がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R6がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R7とR8との間の結合は、β1,4結合であり;
R8とR9との間の結合は、β1,3結合であり;
R9とR10との間の結合は、β1,3結合であり;
R5とR10との間の結合は、β1,6結合であり;
Z1とR3との間の結合は、α1,3結合であり;
Z2とR5との間の結合は、α1,3結合であり;ならびに
Z3とR8との間の結合は、α1,3結合である、
で表される基を表し、ただし、X1のすべてが水素原子である場合を除く;
Y1は、水素原子、アセチル、アシル、アルキルまたはアリールを表し;
Y2は、水酸基、NH2、アルキルまたはアリールを表す、
で表される糖ペプチド。
【請求項18】
所望の糖ペプチドを製造する方法であって、該方法は、以下の工程:
(A)
以下の式:
【化14】
式中、R1およびR6は、それぞれ独立して、水素、Neu5Ac基またはGlcNAc基であり;
R2およびR7は、Gal基であり;
R3およびR8は、GlcNAc基であり;
R4およびR9は、Gal基であり;
R5は、GlcNAc基であり;
R10は、GalNAc基であり;
R11は、水素原子またはメチル基であり;
Z1、Z2およびZ3は、それぞれ独立して、水素またはFuc基であり;ならびに
nおよびmは、それぞれ独立して、0以上の整数であり;
ここで、R1とR2との間の結合は、R1がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R1がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R2とR3との間の結合は、β1,4結合であり;
R3とR4との間の結合は、β1,3結合であり;
R4とR5との間の結合は、β1,4結合であり;
R6とR7との間の結合は、R6がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R6がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R7とR8との間の結合は、β1,4結合であり;
R8とR9との間の結合は、β1,3結合であり;
R9とR10との間の結合は、β1,3結合であり;
R5とR10との間の結合は、β1,6結合であり;
Z1とR3との間の結合は、α1,3結合であり;
Z2とR5との間の結合は、α1,3結合であり;
Z3とR8との間の結合は、α1,3結合であり;ならびに
Pは、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基またはtert−ブトキシカルボニル基である、
で表される糖アミノ酸の糖鎖を保護基により保護して糖鎖が保護された糖アミノ酸を生成する工程であって、該保護基は、アセチル基、ベンゾイル基、メチル基、メトキシメチル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニル基およびトリイソプロピルシリル基、ベンジル基、ベンジリデン基、イソプロピリデン基、ジtert-ブチルシリリデン基からなる群より選択される、工程;
(B)工程(A)で得られた該糖鎖が保護された糖アミノ酸および9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基またはtert−ブトキシカルボニル基でN−保護されたアミノ酸を用いて、所望のペプチド配列を有する糖鎖が保護された糖ペプチドを合成する工程;ならびに
(C)工程(B)で得られた該糖鎖が保護された糖ペプチドを脱保護して該所望の糖ペプチドを生成させる工程、
を包含する、方法。
【請求項1】
以下の式:
X−C(=O)−(CH2)n−A1−A2−A3 (I)
式中、Xは、水素原子、C1〜C30アルキル、C6〜C30アリールまたは発色団を表し;
nは0〜20の整数を表し;
A1は、−(CH2)0〜20−C(=O)−、−(CH2CH2O)1〜10−、重合度1〜10のオリゴもしくはポリアクリルアミド、重合度1〜10のオリゴもしくはポリペプチド、酸素原子またはNHを表し;
A2は、プロテアーゼにより切断可能なアミノ酸残基を表し;
A3は、実質的にプロテアーゼにより切断可能な部位を含まない糖アミノ酸残基、またはプロテアーゼにより切断可能な部位を含まず任意の糖アミノ酸を含む糖ペプチド残基を表し、該糖アミノ酸残基または該糖ペプチド残基が、以下の式:
【化1】
式中、R1およびR6は、それぞれ独立して、水素、N−アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)基またはN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)基であり;
R2およびR7は、ガラクトース(Gal)基であり;
R3およびR8は、GlcNAc基であり;
R4およびR9は、Gal基であり;
R5は、GlcNAc基であり;
R10は、N−アセチル−α−D−ガラクトサミン(GalNAc)基であり;
Z1、Z2およびZ3は、それぞれ独立して、水素またはフコース(Fuc)基であり;ならびに
nおよびmは、それぞれ独立して、0以上の整数であり;
ここで、R1とR2との間の結合は、R1がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R1がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R2とR3との間の結合は、β1,4結合であり;
R3とR4との間の結合は、β1,3結合であり;
R4とR5との間の結合は、β1,4結合であり;
R6とR7との間の結合は、R6がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R6がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R7とR8との間の結合は、β1,4結合であり;
R8とR9との間の結合は、β1,3結合であり;
R9とR10との間の結合は、β1,3結合であり;
R5とR10との間の結合は、β1,6結合であり;
Z1とR3との間の結合は、α1,3結合であり;
Z2とR5との間の結合は、α1,3結合であり;ならびに
Z3とR8との間の結合は、α1,3結合である、
で表される糖残基を有する、化合物。
【請求項2】
前記A2は、バシラス リケニホルミス(Bacillus Licheniformis)由来のプロテアーゼで切断可能なグルタミン酸残基またはシステイン残基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記A3の少なくとも一部が、ムチン型糖タンパク質MUC1由来の配列番号1〜60に示されるアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物と、保護されていてもよいアミノオキシ基、N−アルキルアミノオキシ基、ヒドラジド基、アジド基、チオセミカルバジド基、1,2−ジチオール基およびシステイン残基からなる群から選択される官能基を含む担体と、が反応して得られる、化合物。
【請求項5】
前記担体は、以下:
a)保護されていてもよいアミノオキシ基またはヒドラジド基を有する、ビニル系単量体の重合体もしくは共重合体、または保護されていてもよいアミノオキシ基またはヒドラジド基を有するポリエーテル類;
b)保護されていてもよいアミノオキシ基またはヒドラジド基を有するシリカ担体、樹脂担体、磁性ビーズまたは金属担体;ならびに
c)以下の式:
[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys−NHCH2CH2C(=O)−R3、
[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys−NHCH(CH2SH)C(=O)−R3、
[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys−Cys−NHCH2CH2C(=O)−R3(配列番号61)、
{[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys−NHCH[C(=O)−R3]CH2−S}2、
{[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys−NHCH[C(=O)NHCH2CH2C(=O)−R3]CH2−S}2、
{[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys}2−Lys−NHCH2CH2C(=O)−R3(配列番号62)、
{[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys}2−Lys−NHCH(CH2SH)C(=O)−R3(配列番号63)、
{[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys}2−Lys−Cys−N
HCH2CH2C(=O)−R3(配列番号64)、
[[[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys]2−Lys−NHCH[C(=O)−R3]CH2−S]2(配列番号65)、
[[[(NH2OCH2C(=O))2−Lys]2−Lys]2−Lys−NHCH[C(=O)NHCH2CH2C(=O)−R3]CH2−S]2(配列番号66)、
【化2】
式中、R3はヒドロキシル基またはアミノ基を表し、Lysはリジン残基を表し、Cysはシステインを表す、
【化3】
式中、nは1〜15の整数であり、x:yは1:0〜1:1000である、
で表される化合物、からなる群から選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
以下の式:
A4−N=C(−X)−(CH2)n−A1−A2−A3 (II)
式中、Xは水素原子、C1〜C30アルキル、C6〜C30アリールまたは発色団を表し;
nは0〜20の整数を表し;
A1は、−(CH2)0〜20−C(=O)−、−(CH2CH2O)1〜10−、重合度1〜10のオリゴもしくはポリアクリルアミド、重合度1〜10のオリゴもしくはポリペプチド、酸素原子またはNHを表し;
A2は、バシラス リケニホルミス(Bacillus Licheniformis)由来のプロテアーゼで切断可能なグルタミン酸残基またはシステイン残基であり;
A3は、実質的にプロテアーゼにより切断可能な部位を含まない糖アミノ酸残基、またはプロテアーゼにより切断可能な部位を含まず任意の糖アミノ酸を含む糖ペプチド残基を表し、該糖アミノ酸残基または該糖ペプチド残基が、以下の式:
【化4】
式中、R1およびR6は、それぞれ独立して、水素、Neu5Ac基またはGlcNAc基であり;
R2およびR7は、Gal基であり;
R3およびR8は、GlcNAc基であり;
R4およびR9は、Gal基であり;
R5は、GlcNAc基であり;
R10は、GalNAc基であり;
Z1、Z2およびZ3は、それぞれ独立して、水素またはFuc基であり;ならびに
nおよびmは、それぞれ独立して、0以上の整数であり;
ここで、R1とR2との間の結合は、R1がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R1がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R2とR3との間の結合は、β1,4結合であり;
R3とR4との間の結合は、β1,3結合であり;
R4とR5との間の結合は、β1,4結合であり;
R6とR7との間の結合は、R6がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R6がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R7とR8との間の結合は、β1,4結合であり;
R8とR9との間の結合は、β1,3結合であり;
R9とR10との間の結合は、β1,3結合であり;
R5とR10との間の結合は、β1,6結合であり;
Z1とR3との間の結合は、α1,3結合であり;
Z2とR5との間の結合は、α1,3結合であり;ならびに
Z3とR8との間の結合は、α1,3結合である、
で表される糖残基を有する;
A4は、以下の式:
【化5】
式中、sは1〜15の整数であり、x:yは1:0〜1:1000である)で表される基である、
で表される化合物。
【請求項7】
前記A3の少なくとも一部が、ムチン型糖タンパク質MUC1由来の配列番号1〜60に示されるアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
以下の工程:
(A)請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物と、該化合物のケトン残基またはアルデヒド残基と特異的に反応しうる、保護されていてもよいアミノオキシ基、N−アルキルアミノオキシ基、ヒドラジド基、アジド基、チオセミカルバジド基、1,2−ジチオール基およびシステイン残基からなる群から選択される官能基を含む担体と、を反応させる工程;
(B)工程(A)で得た化合物に、糖ヌクレオチドの存在下で糖転移酵素を作用させることにより、該糖ヌクレオチドより糖残基を該化合物に転移させ、糖鎖を伸長させた化合物を得る工程であって、該糖ヌクレオチドが、Gal基、GlcNAc基、Fuc基およびNeu5Ac基からなる群より選択される糖残基を有する、工程;
(C)必要に応じて未反応の糖ヌクレオチド類および副生したヌクレオチド類を除去する工程;および
(D)糖残基が転移して糖鎖が伸長した化合物にプロテアーゼを作用させる工程、
を包含する、糖ペプチドを製造する方法。
【請求項9】
以下の工程:
(A)請求項4〜7のいずれか1項に記載の化合物に、糖ヌクレオチドの存在下で糖転移酵素を作用させることにより、該糖ヌクレオチドより糖残基を該化合物に転移させ、糖鎖
を伸長させた化合物を得る工程であって、該糖ヌクレオチドが、Gal基、GlcNAc基、Fuc基およびNeu5Ac基からなる群より選択される糖残基を有する、工程;
(B)必要に応じて未反応の糖ヌクレオチド類および副生したヌクレオチド類を除去する工程;および
(C)糖残基が転移して糖鎖が伸長した化合物にプロテアーゼを作用させる工程
を包含する、糖ペプチドを製造する方法。
【請求項10】
以下の工程:
(A)請求項4〜7のいずれか1項に記載の化合物に、糖ヌクレオチドの存在下で糖転移酵素を作用させることにより、該糖ヌクレオチドより糖残基を該化合物に転移させ、糖鎖を伸長させた化合物を得る工程であって、該糖ヌクレオチドが、Gal基、GlcNAc基、Fuc基およびNeu5Ac基からなる群より選択される糖残基を有する、工程;
(B)工程(A)を1回または2回以上繰り返して糖鎖を伸長させる工程;
(C)必要に応じて未反応の糖ヌクレオチド類および副生したヌクレオチド類を除去する工程;および
(D)複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した化合物にプロテアーゼを作用させる工程、を包含する、糖ペプチドを製造する方法。
【請求項11】
以下の工程:
(A)プロテアーゼにより切断可能なアミノ酸、糖アミノ酸、およびケト酸またはアルデヒド酸を原料にペプチド固相合成を行い、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物を得る工程;
(B)工程(A)で得た化合物と、該化合物のケトン残基またはアルデヒド残基と特異的に反応しうる、保護されていてもよいアミノオキシ基、N−アルキルアミノオキシ基、ヒドラジド基、アジド基、チオセミカルバジド基、1,2−ジチオール基およびシステイン残基からなる群から選択される官能基を含む担体とを反応させる工程;
(C)工程(B)で得た化合物に、糖ヌクレオチドの存在下で糖転移酵素を作用させることにより、該糖ヌクレオチドより糖残基を該化合物に転移させ、糖鎖を伸長させた化合物を得る工程であって、該糖ヌクレオチドが、Gal基、GlcNAc基、Fuc基およびNeu5Ac基からなる群より選択される糖残基を有する、工程;
(D)必要に応じて未反応の糖ヌクレオチド類および副生したヌクレオチド類を除去する工程;および
(E)糖残基が転移して糖鎖が伸長した化合物にプロテアーゼを作用させる工程、
を包含する、糖ペプチドを製造する方法。
【請求項12】
以下の工程:
(A)プロテアーゼにより切断可能なアミノ酸、糖アミノ酸、およびケト酸またはアルデヒド酸を原料にペプチド固相合成を行い、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物を得る工程;
(B)工程(A)で得た化合物と、該化合物のケトン残基またはアルデヒド残基と特異的に反応しうる保護されていてもよいアミノオキシ基、N−アルキルアミノオキシ基、ヒドラジド基、アジド基、チオセミカルバジド基、1,2−ジチオール基およびシステイン残基からなる群から選択される官能基を含む担体とを反応させ、これと同時に工程(A)における未反応物を除去する工程;
(C)工程(B)で得た担体に結合した化合物に、糖ヌクレオチドの存在下で糖転移酵素を作用させることにより、該糖ヌクレオチドより糖残基を該化合物に転移させ、糖鎖が伸長された化合物を得る工程であって、該糖ヌクレオチドが、Gal基、GlcNAc基、Fuc基およびNeu5Ac基からなる群より選択される糖残基を有する、工程;
(D)工程(C)を1回または2回以上繰り返して糖鎖を伸長させる工程;
(E)必要に応じて未反応の糖ヌクレオチド類および副生したヌクレオチド類を除去する工程;および
(F)複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した化合物にプロテアーゼを作用させる工程、を包含する、糖ペプチドを製造する方法。
【請求項13】
前記工程(A)のケト酸またはアルデヒド酸が、以下の式:
X−C(=O)−(CH2)n−A1−COOH (III)
式中、Xは水素原子、C1〜C30アルキル、C6〜C30アリールまたは発色団を表し;
nは0〜20の整数を表し;
A1は、メチレン鎖1〜20個分の長さを有するリンカーを表す、
で表される化合物である、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
以下の工程:
(A)請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物に、糖ヌクレオチドの存在下で糖転移酵素を作用させることにより、該糖ヌクレオチドより糖残基を該化合物に転移させ、糖鎖を伸長させた化合物を得る工程であって、該糖ヌクレオチドが、Gal基、GlcNAc基、Fuc基およびNeu5Ac基からなる群より選択される糖残基を有する、工程;
(B)必要に応じて工程(A)を1回または2回以上繰り返して糖鎖を伸長させる工程;(C)糖残基が転移して糖鎖が伸長した化合物と、該化合物のケトン残基またはアルデヒド残基と特異的に反応しうる保護されていてもよいアミノオキシ基、N−アルキルアミノオキシ基、ヒドラジド基、アジド基、チオセミカルバジド基、1,2−ジチオール基およびシステイン残基からなる群から選択される官能基を含む担体と、を反応させる工程;および
(D)必要に応じて未反応の糖ヌクレオチド類および副生したヌクレオチド類を除去する工程;
を包含する、糖ペプチドを製造する方法。
【請求項15】
以下の工程:
(A)請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物に、糖ヌクレオチドの存在下で糖転移酵素を作用させることにより、該糖ヌクレオチドより糖残基を該化合物に転移させ、糖鎖を伸長させた化合物を得る工程であって、該糖ヌクレオチドが、Gal基、GlcNAc基、Fuc基およびNeu5Ac基からなる群より選択される糖残基を有する、工程;
(B)必要に応じて工程(A)を1回または2回以上繰り返して糖鎖を伸長させる工程;(C)糖残基が転移して糖鎖が伸長した化合物と、該化合物のケトン残基またはアルデヒド残基と特異的に反応しうる保護されていてもよいアミノオキシ基、N−アルキルアミノオキシ基、ヒドラジド基、アジド基、チオセミカルバジド基、1,2−ジチオール基およびシステイン残基からなる群から選択される官能基を含む担体と、を反応させる工程;
(D)必要に応じて未反応の糖ヌクレオチド類および副生したヌクレオチド類を除去する工程;および
(E)糖残基が転移して糖鎖が伸長した化合物にプロテアーゼを作用させる工程、
を包含する、糖ペプチドを製造する方法。
【請求項16】
前記糖ペプチドが、以下の式:
【化6】
(配列番号2)
【化7】
(配列番号21)
または
【化8】
(配列番号41)
式中、X1は、それぞれ独立して、水素原子または以下の式:
【化9】
式中、R1およびR6は、それぞれ独立して、水素、Neu5Ac基またはGlcNAc基であり;
R2およびR7は、Gal基であり;
R3およびR8は、GlcNAc基であり;
R4およびR9は、Gal基であり;
R5は、GlcNAc基であり;
R10は、GalNAc基であり;
Z1、Z2およびZ3は、それぞれ独立して、水素またはFuc基であり;ならびに
nおよびmは、それぞれ独立して、0以上の整数であり;
ここで、R1とR2との間の結合は、R1がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R1がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R2とR3との間の結合は、β1,4結合であり;
R3とR4との間の結合は、β1,3結合であり;
R4とR5との間の結合は、β1,4結合であり;
R6とR7との間の結合は、R6がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R6がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R7とR8との間の結合は、β1,4結合であり;
R8とR9との間の結合は、β1,3結合であり;
R9とR10との間の結合は、β1,3結合であり;
R5とR10との間の結合は、β1,6結合であり;
Z1とR3との間の結合は、α1,3結合であり;
Z2とR5との間の結合は、α1,3結合であり;ならびに
Z3とR8との間の結合は、α1,3結合である、
で表される基を表し、ただし、X1のすべてが水素原子である場合を除く;
Y1は、水素原子、アセチル、アシル、アルキルまたはアリールを表し;
Y2は、水酸基、NH2、アルキルまたはアリールを表す、
で表される糖ペプチドである、請求項8〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
以下の式:
【化10】
(配列番号2)
【化11】
(配列番号21)
または
【化12】
(配列番号41)
式中、X1は、それぞれ独立して、水素原子または以下の式:
【化13】
式中、R1およびR6は、それぞれ独立して、水素、Neu5Ac基またはGlcNAc基であり;
R2およびR7は、Gal基であり;
R3およびR8は、GlcNAc基であり;
R4およびR9は、Gal基であり;
R5は、GlcNAc基であり;
R10は、GalNAc基であり;
Z1、Z2およびZ3は、それぞれ独立して、水素またはFuc基であり;ならびに
nおよびmは、それぞれ独立して、0以上の整数であり;
ここで、R1とR2との間の結合は、R1がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R1がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R2とR3との間の結合は、β1,4結合であり;
R3とR4との間の結合は、β1,3結合であり;
R4とR5との間の結合は、β1,4結合であり;
R6とR7との間の結合は、R6がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R6がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R7とR8との間の結合は、β1,4結合であり;
R8とR9との間の結合は、β1,3結合であり;
R9とR10との間の結合は、β1,3結合であり;
R5とR10との間の結合は、β1,6結合であり;
Z1とR3との間の結合は、α1,3結合であり;
Z2とR5との間の結合は、α1,3結合であり;ならびに
Z3とR8との間の結合は、α1,3結合である、
で表される基を表し、ただし、X1のすべてが水素原子である場合を除く;
Y1は、水素原子、アセチル、アシル、アルキルまたはアリールを表し;
Y2は、水酸基、NH2、アルキルまたはアリールを表す、
で表される糖ペプチド。
【請求項18】
所望の糖ペプチドを製造する方法であって、該方法は、以下の工程:
(A)
以下の式:
【化14】
式中、R1およびR6は、それぞれ独立して、水素、Neu5Ac基またはGlcNAc基であり;
R2およびR7は、Gal基であり;
R3およびR8は、GlcNAc基であり;
R4およびR9は、Gal基であり;
R5は、GlcNAc基であり;
R10は、GalNAc基であり;
R11は、水素原子またはメチル基であり;
Z1、Z2およびZ3は、それぞれ独立して、水素またはFuc基であり;ならびに
nおよびmは、それぞれ独立して、0以上の整数であり;
ここで、R1とR2との間の結合は、R1がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R1がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R2とR3との間の結合は、β1,4結合であり;
R3とR4との間の結合は、β1,3結合であり;
R4とR5との間の結合は、β1,4結合であり;
R6とR7との間の結合は、R6がNeu5Ac基の場合、α2,3結合であり、R6がGlcNAc基の場合、β1,3結合であり;
R7とR8との間の結合は、β1,4結合であり;
R8とR9との間の結合は、β1,3結合であり;
R9とR10との間の結合は、β1,3結合であり;
R5とR10との間の結合は、β1,6結合であり;
Z1とR3との間の結合は、α1,3結合であり;
Z2とR5との間の結合は、α1,3結合であり;
Z3とR8との間の結合は、α1,3結合であり;ならびに
Pは、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基またはtert−ブトキシカルボニル基である、
で表される糖アミノ酸の糖鎖を保護基により保護して糖鎖が保護された糖アミノ酸を生成する工程であって、該保護基は、アセチル基、ベンゾイル基、メチル基、メトキシメチル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニル基およびトリイソプロピルシリル基、ベンジル基、ベンジリデン基、イソプロピリデン基、ジtert-ブチルシリリデン基からなる群より選択される、工程;
(B)工程(A)で得られた該糖鎖が保護された糖アミノ酸および9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基またはtert−ブトキシカルボニル基でN−保護されたアミノ酸を用いて、所望のペプチド配列を有する糖鎖が保護された糖ペプチドを合成する工程;ならびに
(C)工程(B)で得られた該糖鎖が保護された糖ペプチドを脱保護して該所望の糖ペプチドを生成させる工程、
を包含する、方法。
【図1】
【公開番号】特開2009−143809(P2009−143809A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100923(P2006−100923)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(000001926)塩野義製薬株式会社 (229)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(000001926)塩野義製薬株式会社 (229)
【Fターム(参考)】
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