説明

ポリ(アリーレンエーテル)組成物及び物品

柔軟な熱可塑性樹脂組成物は、ポリ(アリーレンエーテル)、第1のブロックコポリマー、第2のブロックコポリマー及び難燃剤を含んでおり、第2のブロックコポリマーは制御分布コポリマーブロックを含んでいる。この柔軟な熱可塑性樹脂組成物は被覆線の製造に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は柔軟な熱可塑性樹脂組成物に関する。特に、本発明は柔軟なポリ(アリーレンエーテル)組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ塩化ビニル樹脂は被覆線及びケーブル産業においてコーティング樹脂として以前から使用されている。しかし、ハロゲン化物質の環境に対する影響の懸念が増大しており、非ハロゲン化代替物が探求されている。この探索の結果ポリエチレン組成物で幾らかの成功が見られたが、有用なポリエチレン組成物は通例高レベルの無機難燃剤を含んでおり、その結果幾つかの機械的性質及び加工性が損なわれる可能性がある。
【0003】
さらに、電子装置がますます小型化し可搬化するにつれて、これらの装置の付属品の一部として用いるケーブル及び線がより可撓性で耐久性である必要性が増大している。可撓性と耐久性は、特に過酷な環境においては、達成するのが困難である可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、柔軟な熱可塑性樹脂組成物を使用して製造される被覆線及びケーブルの耐久性及び費用対効果にとって重要な優れた機械的性質及び加工性を有する柔軟な熱可塑性樹脂組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書には、ポリ(アリーレンエーテル)と第1のブロックコポリマーと第2のブロックコポリマーと難燃剤とを含んでなる柔軟な熱可塑性樹脂組成物であって、第2のブロックコポリマーが、アルケン単位に富む末端領域とアリールアルケン単位に富む中央領域とを有する制御分布コポリマーブロックを含む、柔軟な熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
【0006】
また、本明細書には、ポリ(アリーレンエーテル)と第1のブロックコポリマーと第2のブロックコポリマーと難燃剤とを含んでなる柔軟な熱可塑性樹脂組成物で導電性芯線を被覆してなる被覆線であって、第2のブロックコポリマーがアルケン単位に富む末端領域とアリールアルケン単位に富む中央領域とを有する制御分布コポリマーブロックを含む、被覆線も開示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
柔軟な熱可塑性樹脂組成物は絶縁耐力、可撓性、機械的性能、耐熱性及び難燃性の意外な組合せを有する。この物理的性質の組合せのため、この柔軟な熱可塑性樹脂組成物は導電性の芯に対する電気絶縁性のコーティングとして有用である。
【0008】
柔軟な熱可塑性樹脂組成物は、UL 1581に準拠して測定して10MPa以上の引張強さ、及び100%以上の極限伸びをもっている。引張強さは12MPa以上、さらに具体的には15MPa以上であることができる。引張強さは35Mpa以下であることができる。極限伸びは120%以上、さらに具体的には150%以上であることができる。極限伸びは500%以下であることができる。
【0009】
加えて、柔軟な熱可塑性樹脂組成物を含む被覆線はUL 1581によるVW−1燃焼試験を満足又は超越する。
【0010】
さらに、柔軟な熱可塑性樹脂組成物は、UL 62に準拠して測定して121℃、荷重250gで50%以下の熱変形を示す。
【0011】
柔軟な熱可塑性樹脂組成物は、「Tests for Flammability of Plastic Materials, UL94」と題するUnderwriter’s Laboratory Bulletin 94(UL94)に準拠して測定して厚さ6.4mmでV−1以上の良好な難燃性を示すことができる。また、可撓性組成物は、UL94に準拠して測定して厚さ6.4mmでV−0の難燃性を示すことができる。
【0012】
柔軟な熱可塑性樹脂組成物は、10MPa以上、さらに具体的には12MPa以上、さらに一段と具体的には13MPa以上の引張強さを有する。引張強さは35Mpa以下であることができる。柔軟な熱可塑性樹脂組成物は100%以上、さらに具体的には110%以上、さらに一段と具体的には120%以上の引張伸びを有する。引張伸びは500%以下であることができる。引張強さ及び引張伸びは(ここでいう場合)、ASTM D638の修正版に準拠して測定することができる。すなわち、タイプIの試験片に対して10mm/minの速度で試験を行い、伸びゲージは115mmであり、そのゲージの伸びを測定し、50mmで割り算し、百分率に変換することによって引張伸びを計算する。ASTM D638の修正版で得られる引張伸びとASTM D638で得られる引張伸びとの関係は、ASTM D638値=ASTM法D638値×0.55である。ASTM D638の修正版で得られる引張強さとASTM D638で得られる引張強さとの関係は、ASTM D638値=ASTM法D638値×0.96である。
【0013】
柔軟な熱可塑性樹脂組成物は、ASTM D648に準拠して4.6kg/cmで測定して70℃以上、又はさらに具体的には75℃以上、さらに一段と具体的には80℃以上の熱変形温度(HDT)を有することができる。熱変形温度は100℃以下であることができる。
【0014】
柔軟な熱可塑性樹脂組成物はASTM D2240に準拠して測定して40〜70のショアD値を有する。この範囲内で、ショアD値は45以上、さらに具体的には50以上であることができる。また、この範囲内で、ショアD値は65以下、さらに具体的には60以下であることができる。
【0015】
柔軟な熱可塑性樹脂組成物は優れた熱老化特性を示す。0.03〜0.3mmの厚さを有する試料を136℃に168時間維持したとき、組成物はUL 1581に準拠して測定して熱老化前の引張伸び値の50%以上である引張伸びを有する。幾つかの実施形態において、熱老化後の組成物は熱老化前の引張伸び値の55%以上の引張伸びを有する。熱老化後組成物は、熱老化前の引張伸び値の100%以下の引張伸びを有することができる。
【0016】
本組成物は塩素、臭素及びフッ素を実質的に含まない。実質的に含まないとは、本明細書中で、組成物の総重量を基準にして0.1重量%以下、さらに具体的には0.05重量%以下、さらに一段と具体的には0.01重量%以下の塩素、臭素、フッ素又はこれらの組合せを含有するとして定義される。ハロゲン含有量はDIN EN 14582、方法Bに準拠して測定することができる。
【0017】
組成物は、ASTM D790に準拠して測定して350〜1000Mpaの曲げ弾性率を有することができる。この範囲内で、曲げ弾性率は375Mpa以上、さらに具体的には400Mpa以上であることができる。また、この範囲内で、曲げ弾性率は950Mpa以下、さらに具体的には900Mpa以下であることができる。
【0018】
本明細書中で使用する場合、「ポリ(アリーレンエーテル)」は、次式(I)の構造単位を複数含む。
【0019】
【化1】

式中、各構造単位に対して、各Q及びQは独立に水素、第一又は第二低級アルキル(例えば、炭素原子数1〜約7のアルキル)、フェニル、ハロアルキル、アミノアルキル、アルケニルアルキル、アルキニルアルキル、炭化水素オキシ、及びアリールである。幾つかの実施形態において、各Qは独立にアルキル又はフェニル、例えば、C1−4アルキルであり、各Qは独立に水素又はメチルである。ポリ(アリーレンエーテル)は、通例ヒドロキシ基に対してオルト位に位置するアミノアルキル含有末端基(1以上)を有する分子からなることができる。また、通例テトラメチルジフェニルキノン副生物が存在する反応混合物から得られるテトラメチルジフェニルキノン(TMDQ)末端基が存在することが多い。
【0020】
ポリ(アリーレンエーテル)はホモポリマー、コポリマー、グラフトコポリマー、アイオノマー、又はブロックコポリマー、並びに以上のものを1種以上含む組合せの形態であることができる。ポリ(アリーレンエーテル)には、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル単位を、場合により2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル単位と組み合わせて含有するポリフェニレンエーテルがある。
【0021】
ポリ(アリーレンエーテル)は、2,6−キシレノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールのようなモノヒドロキシ芳香族化合物(1種以上)の酸化カップリングによって製造することができる。かかるカップリングには一般に触媒系を使用する。触媒系は、銅、マンガン又はコバルト化合物のような重金属化合物(1種以上)を、通常は第二アミン、第三アミン、ハロゲン化物又は以上のものの2種以上の組合せのような様々な他の物質と組み合わせて含有することができる。
【0022】
一実施形態では、ポリ(アリーレンエーテル)は封鎖ポリ(アリーレンエーテル)からなる。この封鎖を利用して、ポリ(アリーレンエーテル)鎖上の末端ヒドロキシ基の酸化を低減することができる。末端ヒドロキシ基は、不活化用封鎖剤を用いて、例えばアシル化反応を介して封鎖することによって不活化することができる。選択される封鎖剤は、より低い反応性のポリ(アリーレンエーテル)を生成することにより高温での加工処理中のポリマー鎖の架橋及びゲル又は黒い斑点の形成を低減又は防止するものが望ましい。適切な封鎖剤としては、例えば、サリチル酸、アントラニル酸、又はこれらの置換誘導体のエステル、などがあり、サリチル酸のエステル、殊にサリチル酸カーボネート及び線状ポリサリチレートが好ましい。本明細書中で使用する場合、用語「サリチル酸のエステル」には、カルボキシ基、ヒドロキシ基、又は両者がエステル化された化合物が包含される。適切なサリチル酸エステルとしては、例えば、サリチル酸フェニルのようなサリチル酸アリール、アセチルサリチル酸、サリチル酸カーボネート、並びに線状ポリサリチレート及びジサリチリドやトリサリチリドのような環状化合物の両者を含むポリサリチレートがある。好ましい封鎖剤はサリチル酸カーボネート及びポリサリチレート、殊に線状ポリサリチレートである。封鎖される場合、ポリ(アリーレンエーテル)は80%までの任意の望ましい程度に封鎖することができ、さらに具体的には約90%まで、さらに一段と具体的には100%までのヒドロキシ基を封鎖する。適切な封鎖ポリ(アリーレンエーテル)とその製造はWhiteらの米国特許第4760118号及びBraatらの同第6306978号に記載されている。
【0023】
ポリサリチレートによるポリ(アリーレンエーテル)の封鎖はまた、ポリ(アリーレンエーテル)鎖中に存在するアミノアルキル末端基の量も低減すると考えられる。アミノアルキル基は、ポリ(アリーレンエーテル)を生成するプロセスでアミンを使用する酸化カップリング反応の結果である。ポリ(アリーレンエーテル)の末端ヒドロキシ基に対してオルトのアミノアルキル基は、高温で分解し易い。この分解の結果、第一又は第二アミンが再生すると共にキノンメチド末端基が生成すると考えられ、これが次に2,6−ジアルキル−1−ヒドロキシフェニル末端基を生成し得る。アミノアルキル基を含有するポリ(アリーレンエーテル)をポリサリチレートで封鎖すると、かかるアミノ基が除去され、ポリマー鎖の封鎖された末端ヒドロキシ基が生成し、2−ヒドロキシ−N,N−アルキルベンズアミン(サリチルアミド)が形成されると考えられる。アミノ基の除去及び封鎖により、高温に対してより安定なポリ(アリーレンエーテル)が得られ、それによりそのポリ(アリーレンエーテル)の加工処理中のゲル又は黒い斑点のような分解産物がより少なくなる。
【0024】
ポリ(アリーレンエーテル)は、ポリカルボン酸、又は分子内に(a)炭素−炭素二重結合若しくは炭素−炭素三重結合及び(b)1種以上のカルボン酸、無水物、アミド、エステル、イミド、アミノ、エポキシ、オルトエステル、若しくはヒドロキシ基の両方を有する化合物のような多官能性化合物で官能化することができる。かかる多官能性化合物の例としては、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、及びクエン酸がある。
【0025】
ポリ(アリーレンエーテル)は、単分散ポリスチレン標準、40℃のスチレンジビニルベンゼンゲル、及びクロロホルム中1mg/ml濃度の試料を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定して、約3000〜約40000g/molの数平均分子量及び約5000〜約80000g/molの重量平均分子量を有することができる。ポリ(アリーレンエーテル)又はポリ(アリーレンエーテル)の組合せは、クロロホルム中25℃で測定して0.3dl/gを超える初期固有粘度を有することができる。初期固有粘度は、反応溶液からの単離後溶融加工処理の前のポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度と定義される。当業者には明らかであろうが、ポリ(アリーレンエーテル)の粘度は溶融加工処理後30%以下まで高くなることができる。増大率(%)は(最終固有粘度−初期固有粘度)/初期固有粘度により計算することができる。2つの固有粘度を使用する場合正確な比の決定は、使用するポリ(アリーレンエーテル)の正確な固有粘度及び所望とする最終的な物理的性質に多少依存する。
【0026】
ポリ(アリーレンエーテル)は、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)で測定して、ポリ(アリーレンエーテル)の総重量を基準にして6300ppm以下のヒドロキシ末端基含有量を有することができる。一実施形態では、ポリ(アリーレンエーテル)は、3000ppm以下、さらに具体的には1500ppm以下、さらに一段と具体的には500ppm以下のヒドロキシ末端基含有量を有することができる。
【0027】
ポリ(アリーレンエーテル)は、視認し得る粒子状不純物を実質的に含まないことができる。一実施形態では、ポリ(アリーレンエーテル)は、約15μmより大きい粒子状不純物を実質的に含まない。本明細書中で使用する場合、用語「視認し得る粒子状不純物を実質的に含まない」とは、50mlのクロロホルム(CHCl)に溶解したポリ(アリーレンエーテル)の10gの試料をライトボックス中で見たときに視認し得る斑点が5個より少ないことを意味する。裸眼で見える粒子は、通例、直径が40μmより大きいものである。本明細書中で使用する場合、用語「約15μmより大きい粒子状不純物を実質的に含まない」とは、400mlのCHClに溶解したポリ(アリーレンエーテル)の40gの試料のうち、1g当たり約15μmの大きさを有する粒子の数が、Pacific Instruments ABS2分析器で測定して、1ml/min(±5%)の流速で分析器を通る流れを可能にする20ml量の溶解したポリ(アリーレンエーテル)の5つの試料の平均を基準にして50未満であることを意味する。
【0028】
組成物は、ポリ(アリーレンエーテル)とブロックコポリマーと難燃剤の合計重量を基準にして30〜60重量%(wt%)の量でポリ(アリーレンエーテル)を含む。この範囲内で、ポリ(アリーレンエーテル)の量は33wt%以上、さらに具体的には35wt%以上であることができる。また、この範囲内で、ポリ(アリーレンエーテル)の量は55wt%以下、さらに具体的には50wt%以下であることができる。
【0029】
第1のブロックコポリマーは、(A)繰返しアリールアルケン単位を含む1以上のブロックと、(B)繰返しアルケン単位を含む1以上のブロックとを含むコポリマーである。ブロック(A)と(B)の配列は線状構造であることも、又は枝分かれ鎖を有するいわゆるラジアルテレブロック構造であることもできる。ペンダント(ぶら下がり)アリール部分は多環式であることができ、6〜10個の環式炭素を有しており、環状部分の任意の可能な位置に置換基を有することができる。適切な置換基としては、炭素原子数1〜4のアルキル基がある。代表的なアリールアルケン単位は次の図Iに示すフェニルエチレンである。
【0030】
【化2】

ブロックAは、さらに、アリールアルケン単位の量がアルケン単位の量を超えている限り、炭素原子数2〜15のアルケン単位を含んでいることができる。ブロックBはエチレン、プロピレン、ブチレン又は以上のもの2種以上の組合せのような炭素原子数2〜15のアルケン繰返し単位を含んでいる。ブロックBは、さらに、アルケン単位の量がアリールアルケン単位の量を超えている限り、アリールアルケン単位を含んでいることができる。各ブロックAは他の各ブロックAと同一又は異なる分子量を有することができる。同様に、各ブロックBは他の各ブロックBと同一又は異なる分子量を有することができる。
【0031】
繰返しアリールアルケン単位はスチレンのようなアリールアルケンモノマーの重合で得られる。繰返しアルケン単位はブタジエン又はイソプレンのような繰返し不飽和単位の水素化で得られる。ブタジエンは1,4−ブタジエン及び/又は1,2−ブタジエンからなることができる。Bブロックはさらに幾らかの不飽和炭素−炭素結合を含んでいることができる。
【0032】
代表的なブロックコポリマーとしては、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)といわれることもあるポリフェニルエチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)、ポリフェニルエチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)−ポリフェニルエチレン(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)−ポリスチレンといわれることもある)、及びポリフェニルエチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)−ポリフェニルエチレン(ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)−ポリスチレンといわれることもある)がある。
【0033】
一実施形態では、第1のブロックコポリマーは、第1のブロックコポリマーの総重量を基準にして50重量%以下のアリールアルケン含有量を有する。
【0034】
代表的なブロックコポリマーは、Asahiから商標TUFTECで市販されており、H1041、H1051のようなグレード名を有しており、幾つかのグレードはKurarayから商標SEPTONで利用可能であり、またKraton Polymerから商標KRATONで、G−1701、G−1702、G−1730、G−1641、G−1650、G−1651、G−1652、及びG−1657のようなグレード名を有するブロックコポリマーが利用可能である。
【0035】
幾つかの実施形態において、第1のブロックコポリマーは、ポリスチレン標準を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定して5000〜1000000g/molの数平均分子量を有する。この範囲内で、数平均分子量は、10000g/mol以上、さらに具体的には30000g/mol以上、さらに一段と具体的には45000g/mol以上であることができる。また、この範囲内で、数平均分子量は好ましくは800000g/mol以下、さらに具体的には700000g/mol以下、さらに一段と具体的には650000g/mol以下であることができる。
【0036】
第2のブロックコポリマーは、(A)繰返しアリールアルケン単位を含む1以上のブロックを含んでいる。ペンダントアリール部分は多環式であることができ、6〜10個の環式炭素を有しており、また環状部分の任意の可能な位置に置換基を有していることができる。適切な置換基としては、炭素原子数1〜4のアルキル基がある。代表的なアリールアルケン単位は、次式IIに示すフェニルエチレンである。
【0037】
【化3】

ブロックAは、さらに、アリールアルケン単位の量がアルケン単位の量を超えている限り、炭素原子数2〜15のアルケン単位を含んでいることができる。
【0038】
第2のブロックコポリマーは、さらに、(C)制御分布コポリマーブロックである1以上のブロックを含んでいる。制御分布コポリマーは、アリールアルケン単位と、炭素原子数2〜15のエチレン、プロピレン、ブチレン又は以上のもの2種以上の組合せのようなアルケン単位とのコポリマーである。このCブロックは幾らかの不飽和炭素−炭素結合を含んでいることができる。「制御分布コポリマーブロック」とは、次の特性、すなわち(1)Aブロックに隣接する、アルケン単位に富む(すなわち、平均の量より多いアルケン単位を有する)末端領域、(2)Aブロックに隣接しない、アリールアルケン単位に富む(すなわち、平均の量より多いアリールアルケン単位を有する)1以上の領域、及び(3)比較的低いアリールアルケンブロック性を有する全体構造、を有する分子構造をいう。
【0039】
本発明の目的からして、「に富む」とは、平均の量より多い、好ましくは平均の量より5%以上多いと定義される。
【0040】
低いブロック性は、示差走査熱量測定(「DSC」)法を用いて若しくは機械的方法により分析したときに、コポリマーブロックに対する単一のガラス転移温度(Tg)のみの存在によって示され得るか、又はプロトン核磁気共鳴(「H−NMR」)法によって示され得る。
【0041】
用語「アリールアルケンブロック性」とは、プロトンNMR(H−NMR)を用いて当業者が測定したときに、ポリマー中の、ポリマー鎖上で2つの最近接アリールアルケン隣接基を有するアリールアルケン単位の、アリールアルケン単位の総数に対する割合であると定義される。アリールアルケンブロック性は、H−NMRを用いて2つの実験量を測定した後に決定することができる。まず最初に、H−NMRスペクトルの7.5〜6.2ppmの総アリールアルケン芳香族シグナルを積算し、この量を各芳香環上の芳香族水素の数(スチレンの場合5)で割り算することにより、アリールアルケン単位の総数(すなわち、比をとったときに相殺される任意の機器単位)を決定する。次に、H−NMRスペクトル中の6.88〜6.80ppmのシグナル最小から6.2ppmまでの芳香族シグナルの部分を積算し、この量を各ブロック性アリールアルケン芳香環上の2つのオルト水素を表す2で割り算することによって、ブロック性アリールアルケン単位決定する。このシグナルの、2つのアリールアルケン最近接隣接基を有するアリールアルケン単位の環上の2つのオルト水素への割当は、F.A.Bovey、High Resolution NMR of Macromolecules(Academic Press、New York and London、1972)第6章に報告された。アリールアルケンブロック性は、単に、ブロック性アリールアルケン単位の総アリールアルケン単位に対する割合(%)である。すなわち、ブロック性%=100×(ブロック性アリールアルケン単位/総アリールアルケン単位)。
【0042】
ブロック性の可能性は、また、Bブロックの重合中のポリアリールアルキルリチウム末端基の検出に適切な波長範囲におけるUV−可視吸収の測定値から推測することもできる。この値の鋭い実質的な増大は、ポリアリールアルキルリチウム連鎖末端の実質的な増大を示す。これは、共役ジエン濃度が、制御分布重合を維持するのに必要なレベル、通例約0.1wt%のジエン濃度未満に落ちた場合にのみ起こる。この時点で存在するアリールアルケンモノマーはいずれもブロックを形成するように付加する。
【0043】
一実施形態では、ブロック性%は40以下である。一実施形態では、ブロックコポリマーは、10〜40重量%のアリールアルケン含有量を有し、ブロック性%は10以下であるが0より大きい。
【0044】
一実施形態では、ブロックコポリマーは、アリールアルケン単位の割合がブロックの中心又は中央付近の最大まで次第に増大し、次いでそのポリマーブロックの反対側の末端に至るまで次第に低下するようなアリールアルケン/アルケンの制御分布コポリマーブロックからなる。
【0045】
一実施形態では、ブロックの最初の15〜25%及び最後の15〜85%はアルケンに富み、残りはアリールアルケンに富むと考えられる。用語「アルケンに富む」とは、その領域が中央領域より測定できる程度に高いアルケン対アリールアルケンの比を有することを意味する。制御された分布すなわちCブロックに対して、各Cブロック中のアリールアルケンの重量%は、この制御分布コポリマーブロックの総重量を基準にして約10〜約75重量%、好ましくは約25〜約50重量%である。
【0046】
制御分布コポリマーを形成するための陰イオン性溶液共重合は、公知の方法と材料を用いて行うことができる。一般に、共重合は、重合開始剤、溶媒、促進剤、及び構造調整剤を始めとする補助材料の公知の選択を用いて、しかし重要な特徴として、分配剤の存在下で、陰イオン的に行われる。代表的な分配剤は非キレート性エーテルである。かかるエーテル化合物の例は、テトラヒドロフランやテトラヒドロピランのような環状エーテル及びジエチルエーテルやジブチルエーテルのような脂肪族モノエーテルである。制御分布コポリマーブロックを含むブロックコポリマーの製造は米国特許出願公開第2003/0176582号に教示されている。
【0047】
第2のブロックコポリマーの1つの特徴は、2以上のTgを有することができることであり、その低い方が制御分布コポリマーブロックの単一のTgである。制御分布コポリマーブロックのTgは通例−60℃以上、さらに具体的には−40℃以上である。また、制御分布コポリマーブロックのTgは通例+30℃以下、さらに一段と具体的には+10℃以下である。第2のTg、すなわちアリールアルケンブロックのTgは+80〜+110℃、さらに具体的には+80〜+105℃である。
【0048】
各Aブロックは、ポリスチレン標準を使用するゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定して、3000〜60000g/molの平均分子量を有することができ、また各Cブロックは30000〜300000g/molの平均分子量を有することができる。アリールアルケン単位の総量はブロックコポリマーの総重量を基準にして15〜75重量%である。Cブロック中のアルケン単位対アリールアルケン単位の重量比は5:1〜1:2であることができる。代表的なブロックコポリマーは米国特許出願公開第2003/181584号及び同第2003/0176582号にさらに開示されており、またKraton Polymersから商標KRATONとして市販されている。代表的なグレードはA−RP6936及びA−RP6935である。
【0049】
一実施形態では、第1及び/又は第2のブロックコポリマーはいろいろな方法で官能化することができる。1つの方法は、カルボン酸基又はその塩、無水物、エステル、イミド基、アミド基、及び酸塩化物のような1以上の官能基又はその誘導体を有する不飽和モノマーによる処理である。代表的なモノマーとしては、マレイン酸無水物、マレイン酸、フマル酸、及びこれらの誘導体がある。かかるブロックコポリマーの官能化のさらなる説明は米国特許第4578429号及び同第5506299号に見ることができる。別の方法において、第1及び/又は第2のブロックコポリマーは、米国特許第4882384号に教示されているようにケイ素又はホウ素を含有する化合物をポリマーにグラフト化することにより官能化することができる。さらに別の方法では、第1及び/又は第2のブロックコポリマーをアルコキシ−シラン化合物と接触させてシラン変性ブロックコポリマーを形成することができる。さらに別の方法においては、第1及び/又は第2のブロックコポリマーを、米国特許第4898914号に教示されているように1以上のエチレンオキサイド分子をポリマーにグラフト化することにより、又は米国特許第4970265号に教示されているようにポリマーを二酸化炭素と反応させることにより官能化することができる。さらに、第1及び/又は第2のブロックコポリマーは、米国特許第5206300号及び同第5276101号に教示されているように金属化するすることができる。すなわち、ポリマーをリチウムアルキルのようなアルカリ金属アルキルに接触させる。さらに、第1及び/又は第2のブロックコポリマーは、米国特許第5516831号に教示されているようにスルホン酸基にポリマーにグラフト化することにより官能化することができる。
【0050】
ブロックコポリマーの組合せは、ポリ(アリーレンエーテル)とブロックコポリマーと難燃剤の合計重量を基準にして20〜60重量%の量で組成物中に存在することができる。この範囲内で、ブロックコポリマーの組合せは、ポリ(アリーレンエーテル)とブロックコポリマーと難燃剤の合計重量を基準にして25重量%以上、さらに具体的には30重量%以上の量で存在することができる。また、この範囲内で、ブロックコポリマーの組合せは、ポリ(アリーレンエーテル)とブロックコポリマーと難燃剤の合計重量を基準にして57重量%以下、さらに具体的には55重量%以下の量で存在することができる。第1のブロックコポリマー対第2のブロックコポリマーの比は0.25〜4.0であることができる。
【0051】
熱可塑性樹脂組成物はさらに難燃剤を含んでいる。難燃剤は、加工処理中に使用する高温で適切に安定であり、塩素、臭素及びフッ素を含まないこと以外、その難燃剤のタイプに特定の制限はない。適切な難燃剤としては、有機ホスフェート、ホスフィネート、酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、メラミンポリホスフェート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、及び以上のものを2種以上含む組合せがある。
【0052】
代表的な有機ホスフェートとしては、限定されることはないが、置換フェニル基を含有するホスフェート、例えばレゾルシノールビス−ジフェニルホスフェートのようなレゾルシノールに基づくホスフェート、及び例えばビス−フェノールAビス−ジフェニルホスフェートのようなビス−フェノールに基づくものがある。一実施形態では、有機ホスフェートは、トリス(アルキルフェニル)ホスフェート(例えば、CAS番号89492−23−9及び/又は78−33−1)、レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート(例えば、CAS番号57583−54−7)、ビス−フェノールAビス−ジフェニルホスフェート(例えば、CAS番号181028−79−5)、トリフェニルホスフェート(例えば、CAS番号115−86−6)、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート(例えば、CAS番号68937−41−7)及び以上のもの2種以上の混合物から選択される。
【0053】
難燃剤は、所望のレベルの難燃性を得るのに充分な量で使用する。組成物を使用する用途によって難燃性の標準が変化するにつれて、難燃剤又は難燃剤の組合せの量も変化する。さらに、難燃剤の量は難燃剤の種類によって変化する。しかし、これらの難燃剤の使用は周知であるので、難燃剤の量の決定は過度の実験をすることなく当業者の技量の範囲内である。
【0054】
一実施形態では、難燃剤はレゾルシノールビス−ジフェニルホスフェートからなる。難燃剤がレゾルシノールビス−ジフェニルホスフェートからなる場合、難燃剤はポリ(アリーレンエーテル)とブロックコポリマーと難燃剤の合計重量を基準にして10〜30wt%の量で存在する。この範囲内で、難燃剤はポリ(アリーレンエーテル)とブロックコポリマーと難燃剤の合計重量を基準にして25wt%以下、又はさらに具体的には20wt%以下の量で存在することができる。
【0055】
さらに、組成物は、場合により、酸化防止剤、10μm以下の平均粒径を有する、例えばケイ酸塩、TiO、繊維、ガラス繊維、ガラス球、カーボンブラック、グラファイト、炭酸カルシウム、タルク、及び雲母のような充填材及び強化剤、離型剤、UV吸収剤、光安定剤その他のような安定剤、潤滑剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤、酸化防止剤、鉱油、帯電防止剤、発泡剤並びに以上の添加剤を1種以上含む組合せのような様々な添加剤を含有することもできる。
【0056】
可撓性組成物の成分は、密なブレンドの形成に適切な条件下、通例押出機やBanburyミキサーのような高剪断混合装置で一緒に混合することができる。一実施形態では、ポリ(アリーレンエーテル)とブロックコポリマーをコンパウンディングして第1の混合物を形成した後、難燃剤を第1の混合物と共にコンパウンディングする。別の実施形態においては、ポリ(アリーレンエーテル)、ブロックコポリマー及び難燃剤を同時に高剪断混合装置に加える。
【0057】
組成物は、押出コーティングのような適切な方法により直接導電性の芯の表面上に適用して被覆線を形成することができる。また、組成物は、導電性の芯上に前もって形成された絶縁層に適用することも、所定の数の線又はケーブル(被覆されていても被覆されていなくてもよい)の表面上に適用して多線ケーブルを覆うシース(鞘)層を形成することもできる。組成物の厚さは変化することができ、通例被覆線又はケーブルの最終用途に応じて定まる。一実施形態では、コーティングの厚さは0.03〜0.3mmである。
【0058】
幾つかの実施形態において、線に押出コーティングする前に組成物を乾燥するのが有用である可能性がある。代表的な乾燥条件は70〜85℃で2〜5時間である。さらに、熱可塑性樹脂組成物は導電性の線に適用する前に、通例30〜300のメッシュサイズを有するフィルターを通してろ過することができる。押出コーティングの前にカラーコンセントレート又はマスターバッチを組成物に添加することができる。カラーコンセントレートを使用する場合、通例組成物の総重量を基準にして5重量%以下の量で存在する。当業者には明らかであろうが、カラーコンセントレートを添加する前の組成物の色は達成される最終の色に影響する可能性があり、場合によっては、漂白剤及び/又は色安定化剤を使用するのが有利である可能性がある。漂白剤及び色安定化剤は当技術分野で公知であり、市販されている。
【0059】
押出コーティング中の加工処理温度は一般に320℃以下、さらに具体的には300℃以下、さらに具体的には280℃以下である。加工処理温度は200℃以上である。また、加工処理温度はポリ(アリーレンエーテル)の軟化温度以上である。
【0060】
押出コーティング後、被覆線は水浴、散水、空気ジェット又は以上の冷却法を1種以上含む組合せを用いて冷却することができる。代表的な水浴温度は5〜60℃である。冷却後被覆線をスプールなどの装置に、通例50〜1000m/minの速度で巻き取る。
【0061】
一実施形態では、熱可塑性樹脂組成物は視認し得る粒子状不純物を実質的に含まない。別の実施形態において、組成物は約15μmより大きい粒子状不純物を実質的に含まない。本明細書中で使用する場合、用語「視認し得る粒子状不純物を実質的に含まない」とは、組成物を射出成形して寸法75mm×50mm×厚さ3mmを有する5つのプラークを形成し、これらのプラークの黒い斑点を裸眼で目視検査したときに、5つ全てのプラークの黒い斑点の総数が100以下、さらに具体的には70以下、さらに一段と具体的には50以下であることを意味する。
【0062】
適切な導電性の芯としては、限定されることはないが、銅線、アルミ線、鉛線、及び以上の金属を1種以上含む合金の線がある。任意に、導電性の芯と可撓性組成物との間に接着促進層を配置することができる。本明細書中で定義される導電性の芯は単一の線又は複数の線であることができる。幾つかの場合、ヤーンやロープと同様に複数の線を束ねて撚ったり、又は編んだりすることができる。或いは、シートやトレーのような物品が耐薬品性、熱老化、耐磨耗性及び衝撃強さの組合せを有することが望ましい場合、組成物を成形したり押し出したりしてかかる物品を形成することができる。
【実施例】
【0063】
以下の非限定的実施例で本組成物及び被覆線をさらに例証する。
【0064】
以下の実施例は、表1に挙げた材料を用いて調製した。
【0065】
【表1】

組成物は、表2に示す配合割合に従って製造した。PPE、KG 1651及びKraton Aを押出機の供給口で一緒に混合し、供給口の下流で液体注入器を用いてRDPを押出機に加えることにより組成物を製造した。得られた組成物を射出成形して、ショアD、引張強さ、引張伸び、曲げ弾性率、及び熱変形温度を試験するための適当な大きさの試験棒にした。ショアD試験はASTM D2240に準拠して行い、引張強さ及び引張伸びは上記方法ASTM D638に準拠して実施し、熱変形はASTM D648に準拠して4.6kg/cmで行った。結果を表2に示す。
【0066】
また、表2に示す組成物を0.16mm×7本の標準銅線上に押出コーティングして、厚さ0.3mm、総直径1mmのコーティングを形成した。試験法に指示されているように被覆線又はコーティング単独の最大引張強さ、引張伸び、及び難燃性能をUL 1581に準拠して試験した。熱変形はUL1581に準拠して測定した。結果を表2に示す。
【0067】
【表2】

以上の実施例から分かるように、ポリ(アリーレンエーテル)、2種のブロックコポリマー及び難燃剤の組合せが、難燃性、熱安定性、ショアD、及び引張伸びの組合せを有する可撓性組成物を得るのに必要である。ポリ(アリーレンエーテル)の一部分を増大した量のブロックコポリマーで置き換えた実施例6は、許容できないほどの高い熱変形及び許容できない難燃性を有する。対照的に、ブロックコポリマーの一部分をポリ(アリーレンエーテル)で置き換えた実施例7は、許容できないほどの高いショアD値及び低い伸び値を有する。有機ホスフェートの量が少ない実施例8は不充分な難燃性を有する。実施例9は、1以上のブロックが制御分布コポリマーからなるブロックコポリマーがないとその組成物は許容できないほどの高いショアD硬さを有するので、かかるブロックコポリマーが必要であることを立証している。実施例10と11はいずれも、特に熱安定性と難燃性に関して、ブロックコポリマーの組合せの重要性を立証している。
【0068】
代表的な実施形態を参照して本発明を説明して来たが、当業者には了解されるように、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更をなすことができ、またその要素を等価物で置き換えることができる。加えて、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるべく、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく多くの修正を施すことができる。従って、本発明は、本発明を実施する上で考えられる最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に入るあらゆる実施形態を包含するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(アリーレンエーテル)と第1のブロックコポリマーと第2のブロックコポリマーと難燃剤とを含んでなる柔軟な熱可塑性樹脂組成物であって、第2のブロックコポリマーが、アルケン単位に富む末端領域とアリールアルケン単位に富む中央領域とを有する制御分布コポリマーであるブロックを含む、柔軟な熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
当該組成物が、UL 1581に準拠して測定して10MPa以上の引張強さ及び100%以上の極限伸びを有する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
当該組成物が、UL 62に準拠して測定して121℃、荷重250gで50%以下の熱変形を示す、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
当該組成物が、UL 94に準拠して測定して厚さ6.4mmでV−1以上の良好な難燃性を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
当該組成物が、ASTM D638に準拠して測定して10MPa以上の引張強さ及び100%以上の引張伸びを有する、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
当該組成物が、ASTM D648に準拠して4.6kg/cmで測定して70℃以上の熱変形温度(HDT)を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
当該組成物が、ASTM D2240に準拠して測定して40〜70のショアD値を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
当該組成物が、塩素、臭素及びフッ素を実質的に含まない、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
当該組成物が、ASTM D790に準拠して測定して350〜1000MPaの曲げ弾性率を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
ポリ(アリーレンエーテル)が、クロロホルム中25℃で測定して0.3dl/gを超える初期固有粘度を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
ポリ(アリーレンエーテル)が、フーリエ変換赤外分光法で測定して、ポリ(アリーレンエーテル)の総重量を基準にして6300ppm以下のヒドロキシ末端基含有量を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
ポリ(アリーレンエーテル)が、視認し得る粒子状不純物を実質的に含まない、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
ポリ(アリーレンエーテル)とブロックコポリマーと難燃剤の合計重量を基準にして、ポリ(アリーレンエーテル)が30〜60重量%の量で存在し、第1のブロックコポリマー及び第2のブロックコポリマーの組合せが20〜60重量%の量で存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
第1のブロックコポリマーが、(A)繰返しアリールアルケン単位を含む1以上のブロック、及び(B)炭素原子数2〜15のアルケン繰返し単位を含む1以上のブロックを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
第1のブロックコポリマーが、第1のブロックコポリマーの総重量を基準にして50重量%以下のアリールアルケン含有量を有する、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
第2のブロックコポリマーが、(A)繰返しアリールアルケン単位を含む1以上のブロック、並びに(C)アリールアルケン単位及び炭素原子数2〜15のアルケン単位の制御分布コポリマーブロックである1以上のブロックを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項17】
第2のブロックコポリマーが少なくとも2つのガラス転移温度を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項18】
第1のブロックコポリマー対第2のブロックコポリマーの比が0.25〜4.0である、請求項1記載の組成物。
【請求項19】
さらに、酸化防止剤、10μm以下の平均粒径を有する充填材若しくは強化剤、離型剤、UV吸収剤、光安定剤、潤滑剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤、酸化防止剤、鉱油、帯電防止剤、発泡剤又は以上の添加剤を1種以上含む組合せを含んでいる、請求項1記載の組成物。
【請求項20】
ポリ(アリーレンエーテル)と第1のブロックコポリマーと第2のブロックコポリマーと難燃剤とを含んでなる柔軟な熱可塑性樹脂組成物で導電性芯線を被覆してなる被覆線であって、第2のブロックコポリマーがアルケン単位に富む末端領域とアリールアルケン単位に富む中央領域とを有する制御分布コポリマーであるブロックを含む、被覆線。
【請求項21】
前記組成物が、UL 1581に準拠して測定して10MPa以上の引張強さ及び100%以上の極限伸びを有する、請求項20記載の被覆線。
【請求項22】
被覆線が、UL 1581によるVW−1燃焼試験を満足又は超越する、請求項20記載の被覆線。
【請求項23】
前記組成物が、UL 62に準拠して測定して121℃、荷重250gで50%以下の熱変形を示す、請求項20記載の被覆線。
【請求項24】
ポリ(アリーレンエーテル)とブロックコポリマーと難燃剤の合計重量を基準にして、ポリ(アリーレンエーテル)が30〜60重量%の量で存在し、第1のブロックコポリマー及び第2のブロックコポリマーの組合せが20〜60重量%の量で存在する、請求項20記載の被覆線。
【請求項25】
前記組成物が塩素、臭素及びフッ素を実質的に含まない、請求項20記載の被覆線。
【請求項26】
第2のブロックコポリマーが少なくとも2つのガラス転移温度を有する、請求項20記載の被覆線。
【請求項27】
導電性の芯が、銅線、アルミ線、鉛線、以上の金属を1種以上含む合金の線又は以上の線の組合せからなる、請求項20記載の被覆線。

【公表番号】特表2008−530342(P2008−530342A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556198(P2007−556198)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/004423
【国際公開番号】WO2006/088707
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【復代理人】
【識別番号】100089705
【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫
【復代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
【復代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
【復代理人】
【識別番号】100080137
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 昭男
【復代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
【復代理人】
【識別番号】100075236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 忠彦
【復代理人】
【識別番号】100094008
【弁理士】
【氏名又は名称】沖本 一暁
【復代理人】
【識別番号】100147577
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏志
【復代理人】
【識別番号】100153187
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 由美子
【Fターム(参考)】