説明

ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定化

本発明は、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料で製造された医療装置、好ましくは眼科用装置、より好ましくはコンタクトレンズを製造する方法を提供する。本発明の方法は、(a)少なくとも1個のポリ(オキシアルキレン)単位を有するプレポリマー、(b)製造されるポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善するのに十分な量の生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩、(c)場合によっては、光開始剤又は熱開始剤、及び(d)場合によっては、1種以上のビニルモノマーを含む組成物を型の中で硬化させて、酸化崩壊をより受けにくい医療装置を形成する工程と、医療装置を型から取り出す工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定化に関する。より具体的には、本発明は、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料を安定化する方法、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料を含有する医療装置、好ましくは眼科用装置を製造する方法、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料で製造されたコア及び/又はコーティングを有する医療装置を安定化する方法であって、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の改善された安定性を有することを特徴とする方法に関する。加えて、本発明は、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料で製造されたコア又はコーティングを含む医療装置、ならびにポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料で製造されたコア又はコーティングを有する医療装置を滅菌及び/又は貯蔵するための溶液であって、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料を安定化することができる溶液に関する。
【0002】
発明の背景
ポリアルキルエーテル又はポリ(アルキレンオキシド)としても知られるポリ(アルキレングリコール)の生体適合性のおかげで、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマーは、種々の分野、特に生物医学分野、たとえば薬物送達のための担体、人工組織、歯みがき剤、コンタクトレンズ、眼内レンズ及び他の生物医学用装置で用途を見いだすことができる。(たとえば、最近の用途の考察に関しては、ACS Symposium Series 680, "Poly(ethyleneglycol): Chemistry and Biological Applications", 1997, Harris and Zalipsky, eds.を参照すること)。しかし、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマーは、崩壊、特に、好気性条件下でのそのポリ(オキシアルキレン)鎖の酸化崩壊を受けやすい。酸化崩壊は、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマーから製造された物品の性質の変化を生じさせ、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマーの用途を制限するおそれがある。
【0003】
ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマーの酸化崩壊に対する感受性は、調製及び精製で使用される方法、製造後処理(たとえばオートクレーブでの滅菌など)、貯蔵ならびに使用によって生じることができる。一般に、好気性条件下、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマーは、酸化工程を伴う遊離ラジカル連鎖反応の機構にしたがって崩壊することができると考えられている("Stability of the Polyoxyethylene Chain", Donbrow, Max. Surfactant Sci. Ser. (1987), 23 (Nonionic Surfactants), 1011-1072及びそれに含まれる参考文献を参照すること)。まず、光化学的、熱的又は化学的に(たとえばUV線、電離放射線又はマイクロ波をはじめとする化学線によって、高温で、又は遊離ラジカル開始剤などによって)ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー中のアルキレングリコール鎖の均一崩壊が起こって、アルキレングリコールラジカルが生成する。このラジカルが好気性条件下で自然酸化を受けて過酸化物及びヒドロペルオキシドを形成する。そして、生じた過酸化物及びヒドロペルオキシドが多様な後続反応を受けて副生成物、たとえばギ酸、低級アルコールなどを生じさせることができる。ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマーから製造されたコンタクトレンズの場合、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマーのポリ(オキシアルキレン)鎖は酸化崩壊を受けやすく、ギ酸などの副生成物の形成を招くおそれがある。これらの副生成物、特に刺激作用を有することができるギ酸は望ましくなく、したがって、なくすか、最小限に抑えなければならない。そのうえ、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマーから製造された医療装置は、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマーの酸化崩壊のせいで、貯蔵寿命が比較的短いかもしれない。
【0004】
酸化防止剤を使用することにより、医療装置に使用されるポリ(オキシアルキレン)含有材料を安定化しようとする試みがあった。たとえば、米国特許第5,290,585号、第5,160,790号、第5,179,186号、第5,367,001号、第4,886,866号及び第5,175,229号ならびにEP0333899B1を参照すること。これらの特許に開示されている酸化防止剤は、ヒンダードフェノール性化合物、たとえばブチル化ヒドロキシトルエン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、p,p−ジオクチルジフェニルアミン、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、Irganox(Ciba Geigy)及びSantonox(Monsanto社)である。しかし、ポリ(オキシアルキレン)含有材料を安定化する場合には、従来技術のこれらの酸化防止剤にはいくつかの欠点が伴う。これらの酸化防止剤は、それらの細胞毒性のせいで、装置が生体組織と長期間接したままになる用途には適さないかもしれないし、水不溶性であるため、ポリ(オキシアルキレン)含有材料を製造するための水性調合物で使用することはできない。さらには、ポリ(オキシアルキレン)含有材料を使用してコンタクトレンズ又は他の医療装置を製造する場合、これらの酸化防止剤は、ポリ(オキシアルキレン)含有材料の安定化及び/又はギ酸のような副生成物の濃度の低減において効率的ではないかもしれない。
【0005】
したがって、生体適合性材料を使用してポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料を安定化する方法がなおも要望されている。このような安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料は、生体細胞又は組織と接する医療装置の製造で特に用途を見いだすことができる。
【0006】
発明の概要
本発明の一つの目的は、1種以上の生体適合性材料を使用してポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料を安定化する方法を提供することである。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料を製造する方法を提供することである。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料から医療装置を製造するための方法又は組成物を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料及び安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料から製造された医療装置を提供することである。
【0010】
本発明のなおさらなる目的は、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善しながらも、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料で製造された医療装置を滅菌する方法を提供することである。
【0011】
これら及び本発明の他の目的は、本明細書に記載する発明の種々の態様によって達成される。
【0012】
前記を達成するにあたり、本発明の一つの態様にしたがって、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料であって、(a)少なくとも1個の式(I)
−O−(R1−O)n−(R2−O)m−(R3−O)p− (I)
(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、直鎖状又は分岐鎖状のC2〜C6アルキレンであり、n、m及びpは、互いに独立して、0〜100の数であり、(n+m+p)の和は5〜100である)の単位を有するポリマーネットワーク、及び(b)ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善するのに十分な量で存在する、ポリマー材料中に分布しているが、ポリマーネットワークに架橋していない生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を含む安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が提供される。好ましくは、生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩は、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を医療装置に付与するのに有効な量で存在する。
【0013】
もう一つの態様で、本発明は、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料及び生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を含む医療装置であって、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が、少なくとも1個の式(I)
−O−(R1−O)n−(R2−O)m−(R3−O)p− (I)
(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、直鎖状又は分岐鎖状のC2〜C4アルキレンであり、n、m及びpは、互いに独立して、0〜100の数であり、(n+m+p)の和は5〜100である)の単位を有するポリマーネットワークを有し、生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩が、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料中に分布しているが、ポリマーネットワークに架橋しておらず、生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩が、医療装置が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するように医療装置の安定性を改善するのに有効な量で存在する医療装置を提供する。
【0014】
さらに別の態様で、本発明は、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料で製造された医療装置、好ましくは眼科用装置、より好ましくはコンタクトレンズを製造する方法であって、(1)(a)少なくとも1個の式(I)のポリ(オキシアルキレン)単位及びエチレン性不飽和基を有するプレポリマー、(b)生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩、(c)場合によっては、光開始剤又は熱開始剤、ならびに(d)場合によっては、1種以上のビニルモノマーを含む重合性流体組成物を得る工程と、(2)一定量の重合性流体組成物を、医療装置を製造するための型に導入する工程と、(3)重合性流体組成物を型の中で化学線的又は熱的に重合させて、少なくとも1個の式(I)の単位を有するポリマーネットワーク及びポリマーネットワークに架橋していない生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を有する医療装置を形成する工程とを含み、生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩が、医療装置が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するように医療装置の安定性を改善するのに有効な量で存在するものである方法を提供する。
【0015】
さらなる態様で、本発明は、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料で製造された医療装置、好ましくは眼科用装置、より好ましくはコンタクトレンズを製造する方法であって、(1)(a)少なくとも1個の式(I)のポリ(オキシアルキレン)単位及びアミノ、カルボキシ、ヒドロキシル又はイソシアナト基である官能基を有する少なくとも1種のモノマー又はプレポリマー、ならびに(b)有機ジアミン、有機ポリアミン、有機二塩基酸、有機多塩基酸、有機ジオール、有機ポリオール、有機ジイソシアネート及び有機ポリイソシアネートの少なくとも1種を含む反応性混合物を、成分(a)及び(b)が互いに反応してポリウレア及び/又はポリウレタンネットワークを形成するという条件で、反応射出成形(RIM)法を使用することにより、医療装置を製造するための型に導入して医療装置を形成する工程と、(2)医療装置を型から取り出す工程と、(3)医療装置が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するように医療装置の安定性を改善するのに有効な量の生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩で医療装置を含浸する工程とを含む方法を提供する。
【0016】
もう一つのさらなる態様で、本発明は、コア材料及び/又はコーティングを含み、コア材料及びコーティングが互いに独立してポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料で製造されているものである医療装置を滅菌する方法であって、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するようにポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善するのに十分な量の生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を含有する溶液中で医療装置をオートクレーブ処理することを含む方法を提供する。
【0017】
なおさらなる態様では、本発明は、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料で製造された眼科用装置を滅菌及び/又は貯蔵するための水溶液であって、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善するのに十分な量の生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を有し、1000ml中で約200〜450ミリオスモルの浸透圧モル濃度(単位:mOsm/ml)を有し、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するようにポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善することができる水溶液を提供する。
【0018】
本発明のこれら及び他の態様は、好ましい実施態様の以下の記載から明らかになる。当業者には自明であるように、開示の新規な概念の本質及び範囲を逸することなく、本発明の多くの変形及び改変を実現することができる。
【0019】
好ましい実施態様の詳細な説明
以下、本発明の実施態様を詳細に参照する。当業者には、発明の範囲又は本質を逸することなく多様な改変及び変形を本発明に加えうることが明かであろう。たとえば、一つの実施態様の一部として例示又は記載される特徴を別の実施態様で応用してさらなる実施態様を生み出すことができる。したがって、本発明は、請求の範囲及びその等価物の範囲に入るような改変及び変形を包含することを意図する。本発明の他の目的、特徴及び態様は、以下の詳細な説明に開示されるか、それから自明に理解される。本記載は、典型的な実施態様の記述にすぎず、本発明の広義な態様を限定するものとして解釈されてはならないということが当業者に理解されよう。
【0020】
断りない限り、本明細書で使用されるすべての専門用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用される命名法及び実験手順は当該技術で周知であり、一般に使用されている。これらの手順には、当該技術及び種々の一般的参考文献で提供されているような従来方法が使用される。ある語が単数形で記載されている場合、発明者は、その語の複数形をも考慮している。本明細書で使用される術語及び以下に記載する実験手順は当該技術で周知であり、一般に使用されている。
【0021】
「物品」とは、医療装置又は医療装置を製造するための型をいう。
【0022】
本明細書で使用する「医療装置」とは、動作又は利用の過程で患者の組織、血液又は他の体液に接する一つ以上の表面を有する装置又はその部分をいう。例示的な医療装置としては、(1)手術で使用するための体外装置、たとえば、後で患者に戻される血液と接する血液酸素添加装置、血液ポンプ、血液センサ、血液を運ぶために使用される管など、(2)人又は動物の体内に埋め込まれる人工器官、たとえば血管又は心臓に埋め込まれる血管移植片、ステント、ペースメーカリード、心臓弁など、(3)一時的に血管内で使用するための装置、たとえば、モニタリング又は修復のために血管又は心臓の中に配置されるカテーテル、ガイドワイヤなど、(4)人工組織、たとえば熱傷患者のための人工皮膚、(5)歯みがき剤、歯科用成形物、(6)眼科用装置がある。好ましい実施態様では、医療装置は眼科用装置であり、(7)眼科用装置又は眼科用溶液を貯蔵するためのケース又は容器。
【0023】
本明細書で使用する「眼科用装置」とは、コンタクトレンズ(ハード又はソフト)、眼内レンズ、角膜アンレー、眼の上もしくは周囲又は眼の付近で使用される他の眼科用装置(たとえばステントなど)をいう。
【0024】
本明細書で使用する「生体適合性」とは、長期間、患者の組織、血液又は他の体液と密接しても眼の環境を有意に損傷せず、ユーザに有意な不快感を与えない材料又は材料表面に関していう。
【0025】
本発明で使用する「眼科的に適合性」とは、長期間、眼の環境と密接しても眼の環境を有意に損傷せず、ユーザに有意な不快感を与えない材料又は材料表面に関していう。したがって、眼科的に適合性のコンタクトレンズは、有意な角膜腫脹を生じさせず、瞬きによって眼の上で十分に動いて十分な涙液交換を促進し、実質的な量のタンパク質又は脂質を吸着せず、規定装用期間中、装用者に実質的な不快感を生じさせない。
【0026】
本明細書で使用する「眼の環境」とは、視力矯正、薬物送達、外傷治癒、眼の色の変化又は他の眼科用途に使用されるコンタクトレンズと密接することがある眼性流体(たとえば涙液)及び眼組織(たとえば角膜)をいう。
【0027】
「モノマー」とは、重合させることができる低分子量化合物をいう。低分子量とは通常、700ダルトン未満の平均分子量をいう。
【0028】
本明細書で使用する「ビニルモノマー」とは、エチレン性不飽和基を有し、化学線的又は熱的に重合させることができる低分子量化合物をいう。低分子量とは通常、700ダルトン未満の平均分子量をいう。典型的なエチレン性不飽和基としては、非限定的に、アクリロイル、メタクリロイル、アリル、ビニル、スチレニル又は他のC=C含有基がある。
【0029】
本明細書で使用する「親水性ビニルモノマー」とは、ホモポリマーとして、通常、水溶性である、又は水を少なくとも10重量%吸収することができるポリマーを生じさせるビニルモノマーをいう。
【0030】
本明細書で使用する「疎水性ビニルモノマー」とは、ホモポリマーとして、通常、水不溶性であり、水を10重量%未満しか吸収することができないポリマーを生じさせるビニルモノマーをいう。
【0031】
「マクロマー」とは、さらなる重合/架橋反応を受けることができる官能基を含む中及び高分子量化合物又はポリマーをいう。中及び高分子とは通常、700ダルトンを超える平均分子量をいう。好ましくは、マクロマーは、エチレン性不飽和基を含み、化学線的又は熱的に重合させることができる。
【0032】
「ポリマー」とは、1種以上のモノマーを重合/架橋させることによって形成される物質をいう。
【0033】
「プレポリマー」とは、化学線的又は熱的又は化学的に硬化(たとえば架橋及び/又は重合)させるとそれ自体よりもずっと高い分子量を有する架橋及び/又は重合ポリマーを得ることができる出発ポリマーをいう。好ましくは、プレポリマーは、エチレン性不飽和基を含み、化学線的又は熱的に重合させることができる。
【0034】
重合性組成物又は材料の硬化又は重合に関して本明細書で使用する「化学線的」とは、硬化(たとえば架橋及び/又は重合)が化学線照射、たとえばUV線照射、電離放射線(たとえばガンマ線又はX線照射)及びマイクロ波照射によって実施されることをいう。
【0035】
「光開始剤」とは、光の使用によってラジカル架橋/重合反応を開始させる化学物質をいう。適当な光開始剤としては、非限定的に、ベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、Darocure(登録商標)タイプ及びIrgacure(登録商標)タイプ、好ましくはDarocure(登録商標)1173及びIrgacure(登録商標)2959がある。
【0036】
「熱開始剤」とは、熱エネルギーの使用によってラジカル架橋/重合反応を開始させる化学物質をいう。適当な熱開始剤の例は、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、過酸化物、たとえば過酸化ベンゾイルなどを含むが、これらに限定されない。好ましくは、熱開始剤はアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)である。
【0037】
「安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料」とは、安定剤を含む組成物から調製されている、及び/又は、安定剤を含有する溶液中で滅菌処理に付されているポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が酸化崩壊を比較的受けにくい(すなわち、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料中の検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量が、非安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料中で検出される量の80%以下、好ましくは65%以下、より好ましくは50%以下であることを特徴とする)ことをいう。「非安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料」とは、安定剤を含まない組成物から調製されている、及び/又は、安定剤を含有しない溶液中で滅菌処理に付されているポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料をいう。
【0038】
「ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善する」とは、安定剤を含む組成物から調製されている、及び/又は、安定剤を含有する溶液中で滅菌処理に付されているポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の酸化崩壊に対する感受性を低下させる(安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料中の検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量が、対応する非安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料で検出される量よりも低いことを特徴とする)ことをいう。ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の酸化崩壊から派生する検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量は、公知の適当な方法、たとえば実施例で記載するイオン交換クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0039】
ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料又はポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料を含む医療装置に関していう「低下した酸化崩壊感受性」とは、酸化崩壊に対するその感受性が、安定剤をその中に有することによって低下していることをいう。通常、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料又はポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料を含む医療装置の低下した酸化崩壊感受性は、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の酸化崩壊から派生する検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の安定剤誘発減少(好ましくは少なくとも1.5倍の減少率、より好ましくは少なくとも3倍の減少率、さらに好ましくは少なくとも5倍の減少率、もっとも好ましくは少なくとも10倍の減少率)を有することを特徴とする。「検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量のX倍の減少率」とは、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料(又は安定剤を含有する安定化医療装置)を対応する非安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料(又は安定剤を含まない非安定化医療装置)と比較した場合、非安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料(又は非安定化医療装置)中の検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量が、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料(又は安定化医療装置)中の検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくともX倍であることをいう。
【0040】
本明細書で使用する「相互貫入ネットワーク(IPN)」とは、広義には、2種以上のポリマーからなり、その少なくとも一方が他方の存在で合成及び/又は架橋されている密接なネットワークをいう。IPNを調製する技法は当業者には公知である。一般的な手順に関しては、米国特許第4,536,554号、第4,983,702号、第5,087,392号及び第5,656,210号を参照すること。重合は一般に、およそ室温ないし約145℃の範囲の温度で実施される。
【0041】
本発明は一般に、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料及び同材料を製造する方法に関する。
【0042】
一つの態様で、本発明は、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料を提供する。本発明の安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料は、(a)少なくとも1個の式(I)
−O−(R1−O)n−(R2−O)m−(R3−O)p− (I)
(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、直鎖状又は分岐鎖状のC2〜C6アルキレンであり、n、m及びpは、互いに独立して、0〜100の数であり、(n+m+p)の和は5〜100である)の単位を有するポリマーネットワーク、及び(b)ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善するのに十分な量で存在する、ポリマー材料中に分布しているが、ポリマーネットワークに架橋していない生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を含む。
【0043】
本発明にしたがって、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料は、官能基(たとえばアミノ、ヒドロキシル、酸又はイソシアナト基)を有するポリ(オキシアルキレン)ポリマーと、ポリ(オキシアルキレン)ポリマーの官能基とで共反応性である官能基(たとえばアミノ、ヒドロキシル、イソシアナト又は酸基)を有する少なくとも1種の化学物質とを含む混合物の反応生成物であるいかなるポリマーであることもできる。このようなポリマーの例は、非限定的に、(1)ヒドロキシ終端化(ジオール)ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマーの末端ジオールを有機一塩基酸又は二塩基酸、たとえばグルタル酸又はアジピン酸でエステル化することによって得られるポリエステル、(2)アミン終端化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマーを有機一塩基酸又は二塩基酸、たとえばグルタル酸又はアジピン酸と反応させることによって得られるポリアミド、(3)1種以上のヒドロキシル(又はイソシアネート)終端化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマーと、1種以上の有機ジ又はポリイソシアネート(又はジオールもしくはポリオール)とを含む混合物の共重合物であるポリウレタン、(4)1種以上のアミン(又はイソシアネート)終端化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマーと、1種以上のジ又はマルチイソシアネート(又はジアミンもしくはポリアミン)とを含む混合物の共重合物であるポリウレア、ならびに1種以上のアミン又はヒドロキシ終端化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマーと、1種以上のジ又はマルチイソシアネートと、1種以上の有機ジ又はポリアミン(又はジもしくはポリオール)とを含む混合物の共重合物であるポリウレア/ポリウレタンを含む。上記例は、本発明の態様を例示する手段として挙げたものであり、いかなるふうにも限定的ではない。ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料はまた、1個以上のシリコーン及び/又はフッ素原子を含有することもできることが理解されよう。
【0044】
本発明にしたがって、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料はまた、相互貫入又は半相互貫入ポリマーネットワークであることもできる。典型的な相互貫入ポリマーネットワークは、EP0735097B1に開示されている相互貫入ポリウレア/ポリアクリルネットワークである。このような相互貫入ポリウレア/ポリアクリルネットワークは、(a)少なくとも1種のアミン終端化ポリ(アルキレングリコール)、(b)(a)と反応してポリウレアネットワークを形成する有機ジ又はポリイソシアネート、(c)アクリルエステル、(d)(c)を重合させてポリアクリルネットワークを形成するラジカル開始剤、及び(e)(a)を架橋させるためのトリアミンを含む反応性混合物を重合させることによって形成される。
【0045】
典型的なポリ(アルキレングリコール)としては、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(1−プロピレングリコール)、ポリ(2−プロピレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)/ポリ(プロピレングリコール)ブロックポリマー、ポリ(エチレングリコール/ポリ(プロピレングリコール)/ポリ(ブチレングリコール)ブロックコポリマー、ポリテトラヒドロフラン、ポロキサマーなどがあるが、これらに限定されない。
【0046】
本発明にしたがって、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料は、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の、好ましくは少なくとも1.5倍の減少率、より好ましくは少なくとも3倍の減少率、さらに好ましくは少なくとも5倍の減少率、もっとも好ましくは少なくとも10倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有する。
【0047】
水溶性であり、非毒性であり、生体適合性であり、UV光もしくは遊離ラジカル源の存在下又は高温でポリ(オキシアルキレン)鎖を安定化することができる公知の適当な有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を適用することができる。本発明に適した典型的な有機多塩基酸としては、ヒドロキシ二塩基酸、ヒドロキシ多塩基酸、アミノ酸などがあるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の有機多塩基酸は、α−オキソ多塩基酸、たとえばクエン酸、2−ケトグルタル酸又はリンゴ酸である。より好ましくは、有機多塩基酸はクエン酸又はリンゴ酸である。
【0048】
本発明に適した有機多塩基酸の生体適合性(好ましくは眼科的に適合性)の塩としては、ナトリウム、カリウム及びアンモニウム塩がある。
【0049】
本明細書で使用する「α−オキソ多塩基酸」とは、複数(2個以上)のカルボキシル基と、カルボキシル基及び酸素原子によって同時に置換されている少なくとも1個の炭素原子とを有し、すなわちO−C−COORであり、酸素がカルボニル、ヒドロキシ、エステル化ヒドロキシ、エーテルなどであってもよく、酸素が炭素上でカルボキシル基に対してαにある酸をいう。
【0050】
本発明にしたがって、生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩は、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料を製造するための初期重合組成物にそれを加えること及び/又は生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を含有する溶液にポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料を浸漬すること(すなわち、生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩でのポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の含浸)により、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料に導入することができる。
【0051】
安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料を製造するための初期重合組成物中又は生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩でポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料を含浸するための溶液中の生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩の濃度は、好ましくは、0.001ミリモルから特定の生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩の溶解限度まで、より優先的には10〜300ミリモルである。重量%は、用いられる酸の分子量に基づいて変化することが理解されよう。
【0052】
好ましい実施態様では、本発明の安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料は、
(a)エチレン性不飽和基及び少なくとも1個の式
−O−(R1−O)n−(R2−O)m−(R3−O)p− (I)
(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、直鎖状又は分岐鎖状のC2〜C4アルキレンであり、n、m及びpは、互いに独立して、0〜100の数であり、(n+m+p)の和は5〜100である)
の単位を含むプレポリマー、
(b)製造されるポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善するのに十分な量の水溶性かつ生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩、
(c)場合によっては、光開始剤又は熱開始剤、ならびに
(d)場合によっては、1種以上のビニルモノマー
を含む組成物の共重合物である。
【0053】
もう一つの好ましい実施態様では、本発明の安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料は、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善するのに十分な量の生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩で含浸されたポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料であって、
(a)エチレン性不飽和基及び少なくとも1個の式
−O−(R1−O)n−(R2−O)m−(R3−O)p− (I)
(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、直鎖状又は分岐鎖状のC2〜C4アルキレンであり、n、m及びpは、互いに独立して、0〜100の数であり、(n+m+p)の和は5〜100である)
の単位を含むプレポリマー、
(b)場合によっては、光開始剤又は熱開始剤、ならびに
(c)場合によっては、1種以上のビニルモノマー
を含む組成物の共重合物であるポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料である。
【0054】
ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の含浸は、公知の適当な方法にしたがって、たとえば、生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を含有する溶液にポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料を浸漬することによって実施することができる。
【0055】
少なくとも1個の式(I)の単位及びエチレン性不飽和基を有するプレポリマーは、当業者に公知の方法にしたがって調製することができる。たとえば、当業者に公知の方法にしたがって、エチレン性不飽和基、たとえばアクリロイル、メタクリロイル、アリル、ビニル、スチレニル又は他のC=C含有基をポリ(アルキレングリコール)基に共有結合させることができる。そのようなプレポリマーの一例は、米国特許第6,479,587号に記載されている架橋性ポリウレアポリマーである。このような架橋性ポリウレアポリマーは、少なくとも1種のアミン終端化ポリ(アルキレングリコール)及び有機ジ又はポリイソシアネートを含む反応混合物の共重合物であるポリウレアにエチレン性不飽和基を導入することによって調製することができる。
【0056】
本発明にしたがって光架橋にさらに使用することができるビニルモノマーは、親水性ビニルモノマーであってもよいし、疎水性ビニルモノマーであってもよいし、疎水性ビニルモノマーと親水性ビニルモノマーとの混合物であってもよい。適当なビニルモノマーとしては、特に、コンタクトレンズ製造に通常に使用されるビニルモノマーがある。
【0057】
疎水性ビニルモノマー、又は疎水性ビニルモノマーと親水性ビニルモノマーとの、疎水性ビニルモノマーを少なくとも50重量%含有する混合物を使用することが好ましい。このようにして、水分含量を実質的に下げることなく、ポリマーの機械的性質を改善することができる。従来の疎水性ビニルモノマー及び従来の親水性ビニルモノマーの両方が本発明による放射線硬化性プレポリマーとの共重合に適している。
【0058】
適当な疎水性ビニルモノマーとしては、非限定的に、C1〜C18アルキルアクリレート及びメタクリレート、C3〜C18アルキルアクリルアミド及びメタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニル−C1〜C18アルカノエート、C2〜C18アルケン、C2〜C18ハロアルケン、スチレン、C1〜C6アルキルスチレン、アルキル部分が炭素原子1〜6個を有するビニルアルキルエーテル、C2〜C10ペルフルオロアルキルアクリレート及びメタクリレート又は対応する部分的にフッ素化されたアクリレート及びメタクリレート、C3〜C12ペルフルオロアルキル−エチル−チオカルボニルアミノエチル−アクリレート及びメタクリレート、アクリルオキシ及びメタクリルオキシ−アルキルシロキサン、N−ビニルカルバゾール、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸などのC1〜C12アルキルエステルがある。好ましいものは、たとえば、炭素原子3〜5個のビニル性不飽和カルボン酸のC1〜C4アルキルエステル又は炭素原子5個までのカルボン酸のビニルエステルである。
【0059】
適当な疎水性ビニルモノマーの例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、スチレン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、1−ブテン、ブタジエン、メタクリロニトリル、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、ペルフルオロヘキシルエチル−チオ−カルボニル−アミノエチル−メタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロ−イソプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロブチルメタクリレート、トリス−トリメチルシリルオキシ−シリル−プロピルメタクリレート、3−メタクリルオキシプロピル−ペンタメチル−ジシロキサン及びビス(メタクリルオキシプロピル)−テトラメチル−ジシロキサンがある。
【0060】
適当な親水性ビニルモノマーとしては、非限定的に、ヒドロキシ置換低級アルキルアクリレート及びメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、低級アルキルアクリルアミド及びメタクリルアミド、エトキシル化アクリレート及びメタクリレート、ヒドロキシ置換低級アルキルアクリルアミド及びメタクリルアミド、ヒドロキシ置換低級アルキルビニルエーテル、エチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルピロール、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルピロリドン、2−もしくは4−ビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、アミノ−(「アミノ」は第四級アンモニウムをも含む)、モノ低級アルキルアミノ−もしくはジ低級アルキルアミノ−低級アルキルアクリレート及びメタクリレート、アリルアルコールなどがある。好ましいものは、たとえば、ヒドロキシ置換C2〜C4アルキル(メタ)アクリレート、五ないし七員N−ビニルラクタム、N,N−ジC1〜C4アルキルメタクリルアミド及び全部で3〜5個の炭素原子を有するビニル性不飽和カルボン酸である。
【0061】
適当な親水性ビニルモノマーの例としては、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、アリルアルコール、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、グリセロールメタクリレート、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミドなどがある。
【0062】
好ましい疎水性ビニルモノマーは、メチルメタクリレート及び酢酸ビニルである。好ましい疎水性ビニルモノマーは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニルピロリドン及びアクリルアミドである。
【0063】
有利には、光開始剤又は熱開始剤が本発明の組成物に加えられる。光開始剤の量は広い範囲から選択することができ、ポリマー1gあたり0.05gまで、特にポリマー1gあたり0.003gまでの量が好ましいことがわかった。
【0064】
本発明の組成物は、淡い可視色をつけることができる着色添加物をさらに含むことができる。そのような色は、眼科用レンズの取り扱いを容易にすることができる。いかなる公知の適当な着色添加物を使用してもよい。好ましくは、淡い青もしくは淡い緑又は他の淡い可視色をつけることができる銅フタロシアニンが着色添加物として使用される。
【0065】
本発明の組成物は、場合によっては、他の添加物、たとえば架橋剤、抗微生物剤などを含むことができる。
【0066】
好ましくは、本発明の組成物は水性組成物である。
【0067】
場合によっては、溶媒が本発明の組成物中に存在してもよい。いかなる公知の適当な溶媒を使用してもよい。典型的な溶媒としては、アルコール、たとえば低級アルカノール、たとえばエタノール又はメタノール、さらにはカルボン酸アミド、たとえばジメチルホルムアミド、極性非プロトン性溶媒、たとえばジメチルスルホキシド又はメチルエチルケトン、ケトン、たとえばアセトン又はシクロヘキサノン、炭化水素、たとえばトルエン、エーテル、たとえばTHF、ジメトキシエタン又はジオキサン及びハロゲン化炭化水素、たとえばトリクロロエタンならびに適当な溶媒の混合物、たとえば水とアルコールとの混合物、たとえば水/エタノール又は水/メタノール混合物があるが、これらに限定されない。当業者は、溶媒を選択する方法を理解するであろう。
【0068】
安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料を調製するための本発明の組成物は、医療装置、好ましくは眼科用装置、より好ましくはコンタクトレンズの製造において用途を見いだすことができる。
【0069】
もう一つの態様では、本発明は、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料で製造された医療装置、好ましくは眼科用装置、より好ましくはコンタクトレンズを製造する方法であって、(1)(a)少なくとも1個の式(I)のポリ(オキシアルキレン)単位及びエチレン性不飽和基を有するプレポリマー、(b)生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩、(c)場合によっては、光開始剤又は熱開始剤、ならびに(d)場合によっては、1種以上のビニルモノマーを含む重合性流体組成物を得る工程と、(2)一定量の重合性流体組成物を、医療装置を製造するための型に導入する工程と、(3)重合性流体組成物を型の中で化学線的又は熱的に重合させて、少なくとも1個の式(I)の単位を有するポリマーネットワーク及びポリマーネットワークに架橋していない生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を有する医療装置を形成する工程とを含み、生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩が、医療装置が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するように医療装置の安定性を改善するのに有効な量で存在するものである方法を提供する。
【0070】
重合性流体組成物は、そのものは公知の方法、特に従来の計量分配、たとえば所望量の滴下によって型に導入することができる。
【0071】
適切な使い捨て型は、たとえばポリプロピレン製である。再使用可能な型に適した材料は、たとえば石英、サファイアガラス又は金属である。
【0072】
製造される成形品がコンタクトレンズであるならば、それらは、そのもの公知の方法で、たとえば、たとえば米国特許第3,408,429号に記載されているように、従来の「スピンキャスト型」で製造することもできるし、たとえば米国特許第4,347,198号、第5,508,317号、第5,583,463号、第5,789,464号及び第5,849,810号に記載されているように、いわゆるフルモールド法によって静止形態で製造することもできる。
【0073】
組成物の架橋/重合は、型の中で化学線的(たとえば、UV線照射、γ線又はX線照射のような化学線照射によって)又は熱的に開始させることができる。
【0074】
成形品を型から取り出すことができる型の開放は、そのもの公知の方法で実施することができる。
【0075】
本発明にしたがって製造される成形品が、本発明にしたがってビニルモノマーの非存在下ですでに精製された架橋性プレポリマーから無溶媒で製造されるコンタクトレンズであるならば、通常、成形品を取り出したのち、抽出のような精製工程を続けて実施する必要はない。理由は、使用されるプレポリマーが望ましくない低分子量成分を含有しないからである。その結果、架橋生成物もまた、そのような成分を含まず、又は実質的に含まず、後続の抽出をなしで済ますことができる。したがって、コンタクトレンズは、通常の方法で、水和によって、すぐに使えるコンタクトレンズに直接転換することができる。非常に異なる水分含量を有するすぐに使えるコンタクトレンズを得ることができるような適切な水和の実施態様は当業者には公知である。コンタクトレンズ(特にヒドロゲルコンタクトレンズ)は、たとえば、水中、塩水溶液、特に1000ml中で約200〜450ミリオスモル(単位:mOsm/ml)、好ましくは約250〜350mOsm/ml、特に約300mOsm/mlの浸透圧モル濃度を有する塩水溶液中、又は水もしくは塩水溶液と生理的に適合性の極性有機溶媒、たとえばグリセロールとの混合物中で膨潤させる。好ましいものは、水又は塩水溶液中での物品の膨潤である。
【0076】
水和に使用される塩水溶液は、有利には、生理的に適合性の塩、たとえばコンタクトレンズケアの分野で従来から使用されている緩衝塩、たとえばリン酸塩又はコンタクトレンズケアの分野で従来から使用されている等張化剤、たとえば特にアルカリハロゲン化物、たとえば塩化ナトリウム又はそれらの混合物の溶液である。特に適当な塩溶液の一例は、pH値及び浸透圧モル濃度に関して天然の涙液に適合された人工の、好ましくは緩衝された涙液、たとえば、浸透圧モル濃度及びpH値がヒト涙液の浸透圧モル濃度及びpH値に対応する非緩衝又は好ましくはたとえばリン酸緩衝剤によって緩衝された食塩溶液である。
【0077】
水和に使用される塩水溶液は、好ましくは、生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を、組成物から製造されたポリ(オキシアルキレン)含有ポリマーの安定性を改善するのに十分な量で含有する。
【0078】
上記水和流体は、好ましくは、望ましくない成分を少なくとも実質的に含まない。これは、もっとも好ましくは、純水又は上記のような人工涙液である。
【0079】
本発明にしたがって製造される成形品が、本発明にしたがってビニルモノマーの非存在下ですでに精製された架橋性プレポリマーの水溶液から製造されるコンタクトレンズであるならば、架橋物が不純物を含有する可能性は低い。したがって、後続の抽出を実施する必要はない。架橋は本質的に水性の溶液中で実施されるため、さらには後続の水和を実施することも不要である。したがって、この方法によって得られるコンタクトレンズは、有利な実施態様によると、抽出なしでも所期の用途に適するという事実に関して注目に値する。これに関連して、所期の用途とは、コンタクトレンズを人の眼で使用することができることをいう。
【0080】
本発明にしたがって得られるコンタクトレンズは、コンタクトレンズ中で検出されるギ酸及び/又は他の崩壊副生成物の量の減少を有することを特徴とする、低い酸化崩壊感受性を有する。コンタクトレンズはより長い貯蔵寿命を有することができる。そのうえ、ギ酸形成の減少のおかげで、本発明にしたがって得られるコンタクトレンズは装用者の眼を刺激しない。
【0081】
当然、上述したすべての利点はコンタクトレンズだけに当てはまるのではなく、本発明による他の成形品、たとえば本発明にしたがって得られる埋植性医療装置にも当てはまる。本発明による成形品の製造中の異なる有利な側面が合わさって、特に大量生産品、たとえば1日用及び/又は1週用コンタクトレンズとしての成形品の適性につながる。
【0082】
さらに別の態様では、本発明は、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料で製造された医療装置、好ましくは眼科用装置、より好ましくはコンタクトレンズを製造する方法であって、(1)(a)少なくとも1個の式(I)のポリ(オキシアルキレン)単位及びアミノ、カルボキシ、ヒドロキシル又はイソシアナト基である官能基を有するモノマー又はプレポリマー、ならびに(b)有機ジアミン、有機ポリアミン、有機二塩基酸、有機多塩基酸、有機ジオール、有機ポリオール、有機ジイソシアネート又は有機ポリイソシアネートを含む反応性混合物を、成分(a)及び(b)が互いに反応してポリウレア及び/又はポリウレタンネットワークを形成するという条件で、反応射出成形(RIM)法を使用することにより、型に導入して医療装置を形成する工程と、(2)医療装置を型から取り出す工程と、(3)医療装置が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するように医療装置の安定性を改善するのに有効な量の生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩で医療装置を含浸する工程とを含む方法を提供する。
【0083】
RIM法は、二つ以上のモノマー流を型の中で反応させてポリマーを形成する公知の成形法であり、L. T. ManzioneによってThe Encyclopedia of Polymer Science and Engineering; 2nd Edition Vol 14, pg. 72で詳細に記載されている。
【0084】
好ましい実施態様では、反応性混合物は、ポリウレア及び/又はポリウレタンネットワークとで相互貫入する異なるポリマーネットワークを形成するために、エチレン性不飽和基を有する1種以上のプレポリマー又は1種以上のビニルモノマーをさらに含むことができる。
【0085】
さらなる態様で、本発明は、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料及びポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善するのに十分な量で存在する生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を含む医療装置であって、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が、少なくとも1個の式(I)
−O−(R1−O)n−(R2−O)m−(R3−O)p− (I)
(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、直鎖状又は分岐鎖状のC2〜C6アルキレンであり、n、m及びpは、互いに独立して、0〜100の数であり、(n+m+p)の和は5〜100である)の単位を有するポリマーネットワークを有し、生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩が、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料中に分布しているが、ポリマーネットワークに架橋していない医療装置を提供する。生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩は、医療装置が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の好ましくは少なくとも1.5倍の減少率、より好ましくは少なくとも3倍の減少率、さらに好ましくは少なくとも5倍の減少率、もっとも好ましくは少なくとも10倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するように医療装置の安定性を改善するのに有効な量で存在する。
【0086】
好ましい実施態様では、本発明の医療装置は、(a)エチレン性不飽和基及び少なくとも1個の式(I)のポリ(オキシアルキレン)単位を含むプレポリマー、(b)製造されるポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善するのに十分な量の水溶性かつ生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩、(c)場合によっては、光開始剤又は熱開始剤、ならびに(d)場合によっては、1種以上のビニルモノマーを含む組成物の重合物である。
【0087】
もう一つの好ましい実施態様では、(a)少なくとも1個の式(I)のポリ(オキシアルキレン)単位及びアミノ、カルボキシ、ヒドロキシル又はイソシアナト基である官能基を有する少なくとも1種のモノマー又はプレポリマー、ならびに(b)有機ジアミン、有機ポリアミン、有機二塩基酸、有機多塩基酸、有機ジオール、有機ポリオール、有機ジイソシアネート及び有機ポリイソシアネートの少なくとも1種を含む反応性混合物の重合物であるポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料中に、成分(a)及び(b)が互いに反応してポリウレア及び/又はポリウレタンネットワークを形成するという条件で、生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を含浸させる。より好ましくは、反応性混合物はさらに、1種以上のビニルモノマー又はエチレン性不飽和基を有するプレポリマーを含む。これらのモノマー又はプレポリマーは、化学線照射を受けると、ポリウレア及び/又はポリウレタンネットワークに相互貫入する異なるポリマーネットワークを形成することができる。
【0088】
もう一つのさらなる態様で、本発明は、コア材料及び/又はコーティングを含み、コア材料及びコーティングが互いに独立してポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料で製造されているものである医療装置を滅菌する方法であって、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するようにポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善するのに十分な量の水溶性かつ生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を含有する溶液中で医療装置をオートクレーブ処理することを含む方法を提供する。
【0089】
医療装置は、当業者に公知の方法にしたがって、ポリ(オキシアルキレン)含有材料でコーティングすることができる。典型的なコーティング技術としては、浸漬コーティング、吹付けコーティング、塗装、ナイフコーティング及び捺染があるが、これらに限定されない。
【0090】
なおさらなる態様で、本発明は、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料で製造された眼科用装置を滅菌及び/又は貯蔵するための水溶液であって、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善するのに十分な量の生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を有し、1000ml中で約200〜450ミリオスモルの浸透圧モル濃度(単位:mOsm/ml)を有し、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するようにポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善することができる水溶液を提供する。
【0091】
本発明の水溶液は、約250〜350mOsm/ml、より好ましくは約300mOsm/mlの浸透圧モル濃度を有する。本発明の水溶液は、生理的に適合性の塩、たとえばコンタクトレンズケアの分野で従来から使用されている緩衝塩、たとえばリン酸塩又はコンタクトレンズケアの分野で従来から使用されている等張化剤、たとえば特にアルカリハロゲン化物、たとえば塩化ナトリウムを含むことができる。本発明の水溶液はさらに、生理的に適合性の極性有機溶媒、たとえばグリセロールを含むことができる。
【0092】
前記開示は、当業者が本発明を実施することを可能にするであろう。具体的な実施態様及びその利点を読者がよりよく理解することができるよう、以下の非限定的な実施例を参照されたい。しかし、以下の実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0093】
実施例1
Jeffamine XTJ-501(CAS登録番号65605-39-9)68.63g、Jeffamine XTJ-502(CAS登録番号65605-36-9、いずれもHuntsman社)16.04g及びジエチレントリアミン(Aldrich Chemicals)2.14gをジャケット付き1リットル反応器中に秤量した。テトラヒドロフラン(Aldrich)370g及び脱イオン水200gを反応器に加え、内容物を撹拌して溶解させた。滴定のための試料を採取した(理論値0.335に対して0.332mAeq/g)。次いで、窒素下で撹拌しながら反応器を0℃に冷却した。イソホロンジイソシアネート(Aldrich Chemicals、入荷したままの状態で使用)21.74gをTHF35gに溶解し、45分かけて滴下した。溶液を高温で1時間撹拌したのち、試料を抜き取り、滴定した(理論値0.335に対して0.33mAeq/g)。次いで、シクロヘキシルイソシアネート(Aldrich Chemicals、入荷したままの状態で使用)3.5gを一度に加え、反応器を0℃で1時間撹拌した。次いで、生成物を2リットルフラスコにデカントし、追って反応器に水400mlを加えた。合わせた生成物を回転エバポレータで53℃/83mBar極限真空で濃縮して、テトラヒドロフランを本質的に含まない溶液を得た。次いで、この溶液を、水20リットルとともに3キロダルトン膜を使用して限界ろ過した。そして、得られた精製溶液を回転エバポレータで固形分50%まで濃縮した。
【0094】
実施例2
Aldrich Chemicalsから市販されている分子量約2000のポリ(エチレングリコール)70gを水70gに溶解した。
【0095】
実施例3
アスコルビン酸ナトリウム(Aldrich)2.00gを水20gに溶解した。水中10%アスコルビン酸(Aldrich Chemicals)100μlの添加によってpHを6.92に調節した。Irgacure(登録商標)2959(Ciba Specialty Chemicalsから市販されている2−ヒドロキシ−4′−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオフェノン)1.00gをアスコルビン酸緩衝剤8.83gと混合したのち、水100gで希釈した。この混合物をやさしく加熱及び撹拌しながら溶解して明澄な溶液を得た。
【0096】
実施例4
クエン酸ナトリウム二水和物(Aldrich)2.00gを水に20gとともに溶解した。水中10%であるクエン酸二水素ナトリウム(Aldrich Chemicals)約300μlの添加によってpHを7.04に調節した。Irgacure(登録商標)2959 1.00gをクエン酸緩衝剤13.11gと混合したのち、水100gを加えた。この混合物をやさしく加熱及び撹拌しながら溶解して明澄な溶液を得た。
【0097】
実施例5
ソルビトール(Aldrich Chemicals)2.00gを水20gに溶解した。Irgacure(登録商標)2959 1.00gをソルビトール緩衝剤8.12gと混合したのち、水100gで希釈した。この混合物をやさしく加熱及び撹拌しながら溶解して明澄な溶液を得た。
【0098】
実施例6
4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシ遊離ラジカル(以下、4−ヒドロキシ−TEMPO)1.875gを水で25mlまで希釈した。
【0099】
実施例7
Irgacure 2959(Ciba Specialty Chemicals)1.00gを水99.00gに溶解した。
【0100】
実施例8
実施例2からのポリマー10.00gを実施例7からの溶液0.7425と混合し、水12.00gで希釈して、PEG/Irgacure(登録商標)の混合比100:0.15の混合物を得た。
【0101】
実施例9
実施例2からのポリマー10.00gを実施例7からの溶液1.896gと混合し、水12.00gで希釈して、PEG/Irgacure(登録商標)混合物を得た。
【0102】
実施例10
実施例2からのポリマー10.00gを実施例3からの溶液1.896gと混合し、水12.00gで希釈して、アスコルビン酸で改変されたPEG/Irgacure(登録商標)混合物を得た。
【0103】
実施例11
実施例2からのポリマー10.00gを実施例4からの溶液1.896gと混合し、水12.00gで希釈して、クエン酸で改変されたPEG/Irgacure(登録商標)混合物を得た。
【0104】
実施例12
実施例2からのポリマー10.00gを実施例5からの溶液1.8960gと混合し、水12.00gで希釈して、ソルビトールで改変されたPEG/Irgacure(登録商標)混合物を得た。
【0105】
実施例13
実施例2からのポリマー10.00gを実施例6からの溶液1.8960gと混合し、水12.00gで希釈して、4−ヒドロキシTEMPOで改変されたPEG/Irgacure(登録商標)混合物を得た。
【0106】
実施例14
実施例1からのポリマー10.00gを実施例7からの溶液0.7425と混合し、水12.00gで希釈して、PEGウレア/Irgacure(登録商標)の混合比100:0.15の混合物を得た。
【0107】
実施例15
実施例1からのポリマー10.00gを実施例7からの溶液1.896gと混合し、水12.00gで希釈して、PEGウレア/Irgacure(登録商標)混合物を得た。
【0108】
実施例16
実施例1からのポリマー10.00gを実施例3からの溶液1.896gと混合し、水で12.00gまで希釈して、アスコルビン酸で改変されたPEGウレア/Irgacure(登録商標)混合物を得た。
【0109】
実施例17
実施例1からのポリマー10.00gを実施例4からの溶液1.8960gと混合し、水12.00gで希釈して、クエン酸で改変されたPEGウレア/Irgacure(登録商標)混合物を得た。
【0110】
実施例18
実施例1からのポリマー10.00gを実施例5からの溶液1.896gと混合し、水12.00gで希釈して、ソルビトール酸で改変されたPEGウレア/Irgacure(登録商標)混合物を得た。
【0111】
実施例19
実施例1からのポリマー10.00gを実施例6からの溶液1.896gと混合し、水12.00gで希釈して、4−ヒドロキシTEMPOで改変されたPEGウレア/Irgacure(登録商標)混合物を得た。
【0112】
実施例8〜19からの上記親試料それぞれを4分割した。添え字なしの上記実施例番号(たとえば実施例11)の試料を単に冷蔵下で保持した。「T」を添えた上記ロット番号(たとえば実施例11T)の試料を、暗所中、121℃で30分間オートクレーブ処理した。「P」を添えた上記ロット番号(たとえば実施例11P)の試料を25分間のUV線露光に付した。「PA」を添えた上記ロット番号(たとえば実施例11PA)の試料を、25分間のUV線露光に付したのち、121℃で30分間オートクレーブ処理した。
【0113】
UV線露光は、MacamランプをPhilips HPA400/30S太陽灯バルブとともに使用して実施した。ランプの出力をEFOS(登録商標)液体導光器によって捕捉し、Aldrich Chemicalsから部品番号Z27696-0として市販されている円柱形セル石英キュベットに集束させた。キュベットを試験物質で満たし、液体導光器のすぐ下でアセンブリの上に配置した。ランプの光度は約1.8mW/cm2であり、露光時間は25分であり、2.7J/cm2の照射線量が暗示された。
【0114】
上記試料をイオン交換クロマトグラフィーによって分析した。使用したカラムは、ICSep ICE-ORH-801(0.65×300mm)Transgenomic、P/N ICE-99-9754であった。移動相は、流量0.8ml/minの10mN H2SO4であった。UV検出(λ=205nm)を使用してギ酸及び総未知試料を定量した。屈折率検出を使用してホルムアルデヒドを定量した(感度=512mv)。注入量は100μlであり、作動時間は240分であった。
【0115】
【表1】

【0116】
表1は、実施例11〜16で生成した試料のイオン交換クロマトグラフィーの結果を示す。すべての結果がppm(μg/ml)で示されている。空欄は、分析対象物濃度が検出限界(ギ酸の場合50ppm)未満であったことを意味する。
【0117】
【表2】

【0118】
表2は、実施例14〜19で生成した試料のイオン交換クロマトグラフィーの結果を示す。すべての結果がppm(μg/ml)で示されている。空欄は、分析対象物濃度が検出限界未満であったことを意味する。
【0119】
表から見てとれるように、照射を受け、オートクレーブ処理された試料中のギ酸レベルは、所与の群の試料に関して最高である。さらには、第二の崩壊副生成物であるホルムアルデヒドが実施例8〜13のPEG材料中に存在したが、実施例14〜19のいずれのPEGウレアポリマー中にもホルムアルデヒドは検出されていない(表2)。調合物に加えられた改変の性質は、硬化/オートクレーブ処理工程中の副生成物生成に対して劇的な影響を及ぼした。見てとれるように、ヒドロキシル基が連鎖移動剤として作用するはずであるソルビトールは、安定剤としてごくわずかな効力しか有しなかった。遊離ラジカルスカベンジャーTEMPOは、検出可能な副生成物の量の低下に対して適度な影響を及ぼして、副生成物を約25%減少させた。しかし、アスコルビン酸及びクエン酸緩衝調合物は、いずれの試料でも検出可能なギ酸をほとんど又は全く有さず、これらの物質によってもたらされる大きな安定化効果を示した。より一般的な安定剤であるソルビトール及びTEMPOに対するこれら2種の安定剤の効力は予想外であった。
【0120】
副作用の点で2種の緩衝剤の間には違いがある。これは、クロマトグラム中の「総未知試料」を観察することによって好都合に定量化される。これらの未知試料は、Irgacure分解生成物、崩壊ポリマーの高分子量断片などを表すことが知られている点で部分的には特性決定されている。一般に、非照射試料は、2×106カウントのオーダの総未知試料を有し、照射を受けると、未知試料は約9×106カウントまで増加する。クエン酸緩衝PEGは、照射前では1.8×106カウント、照射及びオートクレーブ後では8.7×106カウントをもってこの傾向をたどった。しかし、アスコルビン酸緩衝ポリエチレングリコールは、照射前では1.8×106カウント、照射後では21.3×106カウントの未知試料レベル、すなわち10倍増を示した。PEGに関して観察されたすべての傾向がPEGウレアに関して観察された。したがって、本発明の有機多塩基酸の存在で、PEG及びPEGウレアの大きな予想外の安定化が得られる。
【0121】
実施例20
ピルビン酸ナトリウム塩(Aldrich)2.45gを水100gで希釈した。15%水性水酸化ナトリウムの添加によってこの溶液のpHを7.2に調節した。Irgacure(登録商標)2959 0.5gをこの混合物49.5gに溶解した。実施例1からのポリマー5.00gをこの開始剤溶液0.75gと混合し、水で6.00gまで希釈して、ピルビン酸で改変されたPEGウレア/Irgacure(登録商標)混合物を得た。
【0122】
実施例21
2−ケトグルタル酸一ナトリウム塩(Aldrich)3.75gを水100gに溶解した。15%水性水酸化ナトリウムの添加によってこの溶液のpHを7.2に調節した。Irgacure(登録商標)2959 0.5gをこの混合物49.5gに溶解した。実施例1からのポリマー5.00gをこの開始剤溶液0.75gと混合し、水で6.00gまで希釈して、2−ケトグルタル酸で改変されたPEGウレア/Irgacure(登録商標)混合物を得た。
【0123】
実施例22
リンゴ酸(Aldrich)2.99gを水100gに溶解した。リンゴ酸二ナトリウム塩(Aldrich)2.99gを水で100gまで希釈した。少量のリンゴ酸溶液の添加によってこのリンゴ酸二ナトリウム塩溶液のpHを7.2に調節した。Irgacure(登録商標)2959 0.5gをこの混合物49.5gに溶解した。実施例1からのポリマー5.00gをこの開始剤溶液0.75gと混合し、水で6.00gまで希釈して、リンゴ酸緩衝剤で改変されたPEGウレア/Irgacure(登録商標)混合物を得た。
【0124】
上記例20、21及び22の試料を25分間のUV露光に付したのち、121℃で30分間オートクレーブ処理した。UV露光は、上記のように、MacamランプをPhilips HPA400/30S太陽灯バルブとともに使用して実施し、EFOS(登録商標)液体導光器によって指向させ、円柱形セル石英キュベットに集束させた。ランプ光度は約1.8mW/cm2であり、露光時間は25分であり、2.7J/cm2の照射線量が暗示された。
【0125】
試料をイオン交換クロマトグラフィーに付すと、以下の結果が得られた。
【0126】
【表3】

【0127】
上記表の中の空欄は、分析対象物濃度が検出限界未満であったことを意味する。したがって、上記例から、α−オキソ二塩基酸が、PEG安定化に関し、α−オキソ一塩基酸の場合には実現されない予想外の有利な結果を有するということが見てとれる。
【0128】
実施例23
Jeffamine XTJ-501(Huntsman社)74.26g及びジエチレントリアミン(Aldrich Chemicals)3.1gをジャケット付き1リットル反応器中に秤量した。テトラヒドロフラン(Aldrich)450g及び脱イオン水250gを反応器に加え、内容物を撹拌して溶解させた。次いで、窒素下で撹拌しながら反応器を0℃に冷却した。イソホロンジイソシアネート(Aldrich Chemicals、入荷したままの状態で使用)23.34gをTHF50gに溶解し、45分かけて滴下した。溶液を室温で1時間撹拌した。20%水性炭酸ナトリウム(Aldrich)20gを反応器に加え、撹拌して混合した。次いで、塩化アクリロイル(Aldrich Chemicals、入荷したままの状態で使用)2.8gを一度に加え、反応器を0℃で30分間撹拌した。20%炭酸ナトリウム20g、次いで塩化アクリロイル2.8gによる反応混合物の処理を30分間隔でさらに2回繰り返した。次いで、生成物を2リットルフラスコにデカントし、追って反応器に水400mlを加えた。混合物を40μmガラスフィルタでろ過した。次いで、生成物を回転エバポレータで53℃/83mBar極限真空で濃縮して、テトラヒドロフランを本質的に含まない溶液を得た。次いで、この溶液を、水10リットルとともに1キロダルトン膜を使用して限外ろ過した。そして、得られた精製溶液を回転エバポレータで固形分25.33%まで濃縮した。
【0129】
実施例24
クエン酸ナトリウム二水和物(Aldrich)11.76gを、メスフラスコ中、水で1.0リットルまで希釈した。クエン酸二水素ナトリウム(Aldrich)0.8564gを、100mlメスフラスコ中、水で100mlまで希釈した。したがって、両溶液はクエン酸塩40mMであった。クエン酸二水素ナトリウム溶液を加えることによってクエン酸ナトリウム二水和物溶液を7.2までpH調節した。次いで、塩化ナトリウム8.2gを1リットルメスフラスコ中に秤量し、クエン酸緩衝剤で標点まで希釈した。
【0130】
実施例25
リン酸二ナトリウム(Aldrich)4.76g、リン酸ナトリウム(Aldrich)0.77g及び塩化ナトリウム8.2gを1リットルメスフラスコ中に秤量し、水で標点まで希釈した。
【0131】
実施例26
実施例23の固形分25.33%の溶液47.37gを回転エバポレータフラスコ中に秤量した。55℃/70〜100mBarで水19.77gを除去した。実施例7からの開始剤溶液2.4gを加え、混合物を撹拌して均質化させた。
【0132】
実施例27
実施例26によって得られた材料44mgを石英型に計量供給し、型を閉じた。次いで、MacamランプをPhilips HPA400/30S太陽灯バルブとともに使用して、型をUV露光した。ランプの出力をEFOS(登録商標)液体導光器によって捕捉し、型の中に集束させた。ランプの光度は1.85mW/cm2であり、露光時間は20秒であり、37mJ/cm2の露光エネルギーが暗示された。型を開放し、得られたコンタクトレンズをすすいた。この方法で5個のレンズを製造し、実施例24の緩衝塩水2.5mlを含むオートクレーブバイアルに入れた。次いで、レンズを5回のオートクレーブサイクルに付した(121℃/30分)。次いで、塩水を合わせ、イオン排除クロマトグラフィーによって分析した。塩水はギ酸を9ppm含有することがわかり、これは、米国労働安全衛生管理局の短期被曝限界(STEL)10ppm未満の値であった。
【0133】
実施例28
実施例26によって得られた材料44mgを石英型に計量供給し、型を閉じた。次いで、MacamランプをPhilips HPA400/30S太陽灯バルブとともに使用して、型をUV露光した。ランプの出力をEFOS(登録商標)液体導光器によって捕捉し、型の中に集束させた。ランプの光度は1.85mW/cm2であり、露光時間は20秒であり、37mJ/cm2の露光エネルギーが暗示された。型を開放し、得られたコンタクトレンズをすすいた。
【0134】
この方法で製造した5個のレンズを、実施例25の緩衝塩水2.5mlを含むオートクレーブバイアルに入れた。次いで、レンズを5回のオートクレーブサイクルに付した(121℃/30分)。次いで、塩水を合わせ、イオン排除クロマトグラフィーによって分析した。塩水はギ酸を36ppm含有することがわかった。この値は、米国労働安全衛生管理局の短期被曝限界(STEL)10ppmを大きく超え、レンズを使用に不適にするものであった。
【0135】
したがって、本発明の有機多塩基酸の利用性は、処理のどこで有機多塩基酸が使用されるかにかかわらず、予想外に等しいものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料及び生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を含む医療装置であって、
前記ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が、少なくとも1個の式(I)
−O−(R1−O)n−(R2−O)m−(R3−O)p− (I)
(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、直鎖状又は分岐鎖状のC2〜C4アルキレンであり、n、m及びpは、互いに独立して、0〜100の数であり、(n+m+p)の和は5〜100である)
の単位を有するポリマーネットワークを有し、前記生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩が、前記ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料中に分布しているが、前記ポリマーネットワークに架橋しておらず、前記生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩が、前記医療装置が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するように前記医療装置の安定性を改善するのに有効な量で存在する医療装置。
【請求項2】
眼科用装置である、請求項1記載の医療装置。
【請求項3】
前記生体適合性の有機多塩基酸が、ヒドロキシ二塩基酸、ヒドロキシ三塩基酸及びアミノ酸からなる群より選択される、請求項1記載の医療装置。
【請求項4】
前記生体適合性の有機多塩基酸がα−オキソ多塩基酸である、請求項3記載の医療装置。
【請求項5】
前記α−オキソ多塩基酸が、クエン酸、2−ケトグルタル酸及びリンゴ酸からなる群より選択される、請求項4記載の医療装置。
【請求項6】
本発明の前記医療装置が、(a)エチレン性不飽和基及び少なくとも1個の式(I)のポリ(オキシアルキレン)単位を含むプレポリマー、(b)製造されるポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善するのに十分な量の水溶性かつ生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩、(c)場合によっては、光開始剤又は熱開始剤、ならびに(d)場合によっては、1種以上のビニルモノマーを含む組成物の共重合物である、請求項5記載の医療装置。
【請求項7】
前記プレポリマーが架橋性ポリウレアである、請求項6記載の医療装置。
【請求項8】
前記プレポリマーが架橋性ポリウレタンである、請求項6記載の医療装置。
【請求項9】
眼科用装置である、請求項6記載の医療装置。
【請求項10】
前記生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩が前記ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の中に含浸しており、前記ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が、(a)少なくとも1個の式(I)のポリ(オキシアルキレン)単位及びアミノ、ヒドロキシル又はイソシアナト基である官能基を有するモノマー又はプレポリマー、ならびに(b)有機ジアミン、有機ポリアミン、有機ジオール、有機ポリオール、有機ジイソシアネート又は有機ポリイソシアネートを含む反応性混合物の共重合物であり、ただし、成分(a)及び(b)が互いに反応してポリウレア及び/又はポリウレタンネットワークを形成する、請求項5記載の医療装置。
【請求項11】
眼科用装置である、請求項10記載の医療装置。
【請求項12】
医療装置を製造する方法であって、
(1)(a)エチレン性不飽和基及び少なくとも1個の式(I)
−O−(R1−O)n−(R2−O)m−(R3−O)p− (I)
(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、直鎖状又は分岐鎖状のC2〜C4アルキレンであり、n、m及びpは、互いに独立して、0〜100の数であり、(n+m+p)の和は5〜100である)
のポリ(オキシアルキレン)単位を有するプレポリマー、(b)生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩、(c)場合によっては、光開始剤又は熱開始剤、ならびに(d)場合によっては、1種以上のビニルモノマーを含む重合性流体組成物を得る工程と、
(2)一定量の前記重合性流体組成物を、前記医療装置を製造するための型に導入する工程と、
(3)前記重合性流体組成物を前記型の中で化学線的又は熱的に重合させて、少なくとも1個の式(I)の単位を有するポリマーネットワーク及び前記ポリマーネットワークに架橋していない前記生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を有する前記医療装置を形成する工程と、
を含み、前記生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩が、前記医療装置が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するように前記医療装置の安定性を改善するのに有効な量で存在するものである方法。
【請求項13】
前記医療装置が眼科用装置である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記生体適合性の有機多塩基酸が、ヒドロキシ二塩基酸、ヒドロキシ三塩基酸、オレフィン性二塩基酸、オレフィン性三塩基酸及びアミノ酸からなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記生体適合性の有機多塩基酸がα−オキソ多塩基酸である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記α−オキソ多塩基酸が、クエン酸、2−ケトグルタル酸及びリンゴ酸からなる群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記プレポリマーが架橋性ポリウレアである、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記プレポリマーが架橋性ポリウレタンである、請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記医療装置を前記型から取り出す工程と、前記α−オキソ多塩基酸又はその生体適合性の塩を含有する水溶液中で前記医療装置を水和させる工程とをさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記水溶液が1000ml中で約200〜450ミリオスモルの浸透圧モル濃度(単位:mOsm/ml)を有する、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記α−オキソ多塩基酸又はその生体適合性の塩を含有する水溶液中で前記医療装置を滅菌する工程をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項22】
前記水溶液が1000ml中で約200〜450ミリオスモルの浸透圧モル濃度(単位:mOsm/ml)を有する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
医療装置を製造する方法であって、
(1)(a)官能基及び少なくとも1個の式(I)
−O−(R1−O)n−(R2−O)m−(R3−O)p− (I)
(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、直鎖状又は分岐鎖状のC2〜C4アルキレンであり、n、m及びpは、互いに独立して、0〜100の数であり、(n+m+p)の和は5〜100である)
のポリ(オキシアルキレン)単位を有し、前記官能基がアミノ、カルボキシ、ヒドロキシ又はイソシアナト基であるモノマー又はプレポリマー、ならびに
(b)有機ジアミン、有機ポリアミン、有機二塩基酸、有機多塩基酸、有機ジオール、有機ポリオール、有機ジイソシアネート又は有機ポリイソシアネート
を含む反応性混合物を、成分(a)及び(b)が互いに反応してポリウレア及び/又はポリウレタンネットワークを形成するという条件で、反応射出成形(RIM)法を使用することにより、型に導入して前記医療装置を形成する工程と、
(2)前記医療装置を前記型から取り出す工程と、
(3)前記医療装置が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するように前記医療装置の安定性を改善するのに有効な量の生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩で前記医療装置を含浸する工程と
を含む方法。
【請求項24】
前記医療装置が眼科用装置である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記生体適合性の有機多塩基酸がα−オキソ多塩基酸である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記α−オキソ多塩基酸又はその生体適合性の塩を含有する水溶液に前記医療装置を一定期間含浸することによって前記含浸工程を達成する、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記反応性混合物が、前記ポリウレア及び/又はポリウレタンネットワークに相互貫入する異なるポリマーネットワークを形成するために、エチレン性不飽和基を有する1種以上のプレポリマー又は1種以上のビニルモノマーをさらに含む、請求項24記載の方法。
【請求項28】
安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料であって、
(a)少なくとも1個の式(I)
−O−(R1−O)n−(R2−O)m−(R3−O)p− (I)
(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、直鎖状又は分岐鎖状のC2〜C6アルキレンであり、n、m及びpは、互いに独立して、0〜100の数であり、(n+m+p)の和は5〜100である)
の単位を有するポリマーネットワーク、及び
(b)前記ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善するのに十分な量で存在する、前記ポリマー材料中に分布しているが、前記ポリマーネットワークに架橋していない生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩
を含む安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料。
【請求項29】
前記生体適合性の有機多塩基酸が、ヒドロキシ二塩基酸、ヒドロキシ三塩基酸及びアミノ酸からなる群より選択される、請求項28記載の安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料。
【請求項30】
前記生体適合性の有機多塩基酸がα−オキソ多塩基酸である、請求項28記載の安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料。
【請求項31】
前記α−オキソ多塩基酸が、クエン酸、2−ケトグルタル酸及びリンゴ酸からなる群より選択される、請求項30記載の安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料。
【請求項32】
前記安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が、(a)エチレン性不飽和基及び少なくとも1個の式(I)の単位を含むプレポリマー、ならびに(b)前記医療装置が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するように前記医療装置の安定性を改善するのに有効な量の前記α−オキソ多塩基酸又はその生体適合性の塩を含む組成物の共重合物である、請求項30記載の安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料。
【請求項33】
前記安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が、前記医療装置が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するように前記医療装置の安定性を改善するのに有効な量の前記α−オキソ多塩基酸又はその生体適合性の塩で含浸されたポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料であり、前記ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が、(a)エチレン性不飽和基及び少なくとも1個の式(I)の単位を含むプレポリマー、ならびに(b)場合によっては、1種以上のビニルモノマーを含む組成物の共重合物である、請求項30記載の安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料。
【請求項34】
前記安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が、前記医療装置が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するように前記医療装置の安定性を改善するのに有効な量の前記α−オキソ多塩基酸又はその生体適合性の塩で含浸されたポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料であり、前記ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が反応性混合物の重合物であり、前記反応性混合物が、(a)少なくとも1個の式(I)のポリ(オキシアルキレン)単位及びアミノ、カルボキシ、ヒドロキシル又はイソシアナト基である官能基を有するモノマー又はプレポリマー、ならびに(b)有機ジアミン、有機ポリアミン、有機二塩基酸、有機多塩基酸、有機ジオール、有機ポリオール、有機ジイソシアネート又は有機ポリイソシアネートを含み、ただし、成分(a)及び(b)が互いに反応してポリウレア及び/又はポリウレタンネットワークを形成する、請求項30記載の安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料。
【請求項35】
コア材料及び/又はコーティングを有し、前記コア材料及び前記コーティングが互いに独立してポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料で製造されているものである医療装置を滅菌する方法であって、前記ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するように前記ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善するのに十分な量の水溶性かつ生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を含有する溶液中で前記医療装置をオートクレーブ処理することを含む方法。
【請求項36】
前記生体適合性の有機多塩基酸が、ヒドロキシ二塩基酸、ヒドロキシ三塩基酸、オレフィン性二塩基酸、オレフィン性三塩基酸及びアミノ酸からなる群より選択される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記生体適合性の有機多塩基酸がα−オキソ多塩基酸である、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記α−オキソ多塩基酸が、クエン酸、2−ケトグルタル酸及びリンゴ酸からなる群より選択される、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記溶液が1000ml中で約200〜450ミリオスモルの浸透圧モル濃度(単位:mOsm/ml)を有する、請求項38記載の方法。
【請求項40】
ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料で製造された眼科用装置を滅菌及び/又は貯蔵するための水溶液であって、前記ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善するのに十分な量の生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を有し、1000ml中で約200〜450ミリオスモルの浸透圧モル濃度(単位:mOsm/ml)を有し、前記ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するように前記ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善することができる水溶液。
【請求項41】
浸透圧モル濃度が約250〜350mOsm/mlである、請求項40記載の水溶液。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料及び生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を含む眼科用装置であって、
前記多塩基酸の塩が、ナトリウム、カリウム及びアンモニウム塩からなる群より選択され、
前記ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が、少なくとも1個の式(I)
−O−(R1−O)n−(R2−O)m−(R3−O)p− (I)
(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、直鎖状又は分岐鎖状のC2〜C4アルキレンであり、n、m及びpは、互いに独立して、0〜100の数であり、(n+m+p)の和は5〜100である)
の単位を有するポリマーネットワークを有し、前記生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩が、前記ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料中に分布しているが、前記ポリマーネットワークに架橋しておらず、前記生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩が、前記眼科用装置が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するように前記眼科用装置の安定性を改善するのに有効な量で存在する眼科用装置。
【請求項2】
前記生体適合性の有機多塩基酸が、ヒドロキシ二塩基酸、ヒドロキシ三塩基酸及びアミノ酸からなる群より選択される、請求項1記載の眼科用装置。
【請求項3】
前記生体適合性の有機多塩基酸がα−オキソ多塩基酸である、請求項2記載の眼科用装置。
【請求項4】
前記α−オキソ多塩基酸が、クエン酸、2−ケトグルタル酸及びリンゴ酸からなる群より選択される、請求項3記載の眼科用装置。
【請求項5】
本発明の前記眼科用装置が、(a)エチレン性不飽和基及び少なくとも1個の式(I)のポリ(オキシアルキレン)単位を含むプレポリマー、(b)製造されるポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善するのに十分な量の水溶性かつ生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩、(c)場合によっては、光開始剤又は熱開始剤、ならびに(d)場合によっては、1種以上のビニルモノマーを含む組成物の共重合物である、請求項4記載の眼科用装置。
【請求項6】
前記プレポリマーが架橋性ポリウレアである、請求項5記載の眼科用装置。
【請求項7】
前記プレポリマーが架橋性ポリウレタンである、請求項5記載の眼科用装置。
【請求項8】
前記生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩が前記ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の中に含浸しており、前記ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料が、(a)少なくとも1個の式(I)のポリ(オキシアルキレン)単位及びアミノ、ヒドロキシル又はイソシアナト基である官能基を有するモノマー又はプレポリマー、ならびに(b)有機ジアミン、有機ポリアミン、有機ジオール、有機ポリオール、有機ジイソシアネート又は有機ポリイソシアネートを含む反応性混合物の共重合物であり、ただし、成分(a)及び(b)が互いに反応してポリウレア及び/又はポリウレタンネットワークを形成する、請求項4記載の眼科用装置。
【請求項9】
眼科用装置を製造する方法であって、
(1)(a)エチレン性不飽和基及び少なくとも1個の式(I)
−O−(R1−O)n−(R2−O)m−(R3−O)p− (I)
(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、直鎖状又は分岐鎖状のC2〜C4アルキレンであり、n、m及びpは、互いに独立して、0〜100の数であり、(n+m+p)の和は5〜100である)
のポリ(オキシアルキレン)単位を有するプレポリマー、(b)生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩(有機多塩基酸の塩は、ナトリウム、カリウム及びアンモニウム塩からなる群より選択される)、(c)場合によっては、光開始剤又は熱開始剤、ならびに(d)場合によっては、1種以上のビニルモノマーを含む重合性流体組成物を得る工程と、
(2)一定量の前記重合性流体組成物を、前記眼科用装置を製造するための型に導入する工程と、
(3)前記重合性流体組成物を前記型の中で化学線的又は熱的に重合させて、少なくとも1個の式(I)の単位を有するポリマーネットワーク及び前記ポリマーネットワークに架橋していない前記生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩を有する前記眼科用装置を形成する工程と、
を含み、前記生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩が、前記眼科用装置が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するように前記眼科用装置の安定性を改善するのに有効な量で存在するものである方法。
【請求項10】
前記生体適合性の有機多塩基酸が、ヒドロキシ二塩基酸、ヒドロキシ三塩基酸、オレフィン性二塩基酸、オレフィン性三塩基酸及びアミノ酸からなる群より選択される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記生体適合性の有機多塩基酸がα−オキソ多塩基酸である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記α−オキソ多塩基酸が、クエン酸、2−ケトグルタル酸及びリンゴ酸からなる群より選択される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記プレポリマーが架橋性ポリウレアである、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記プレポリマーが架橋性ポリウレタンである、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記眼科用装置を前記型から取り出す工程と、前記α−オキソ多塩基酸又はその生体適合性の塩を含有する水溶液中で前記眼科用装置を水和させる工程とをさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項16】
前記水溶液が1000ml中で約200〜450ミリオスモルの浸透圧モル濃度(単位:mOsm/ml)を有する、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記α−オキソ多塩基酸又はその生体適合性の塩を含有する水溶液中で前記眼科用装置を滅菌する工程をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項18】
前記水溶液が1000ml中で約200〜450ミリオスモルの浸透圧モル濃度(単位:mOsm/ml)を有する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
眼科用装置を製造する方法であって、
(1)(a)官能基及び少なくとも1個の式(I)
−O−(R1−O)n−(R2−O)m−(R3−O)p− (I)
(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、直鎖状又は分岐鎖状のC2〜C4アルキレンであり、n、m及びpは、互いに独立して、0〜100の数であり、(n+m+p)の和は5〜100である)
のポリ(オキシアルキレン)単位を有し、前記官能基がアミノ、カルボキシ、ヒドロキシ又はイソシアナト基であるモノマー又はプレポリマー、ならびに
(b)有機ジアミン、有機ポリアミン、有機二塩基酸、有機多塩基酸、有機ジオール、有機ポリオール、有機ジイソシアネート又は有機ポリイソシアネート
を含む反応性混合物を、成分(a)及び(b)が互いに反応してポリウレア及び/又はポリウレタンネットワークを形成するという条件で、反応射出成形(RIM)法を使用することにより、型に導入して前記眼科用装置を形成する工程と、
(2)前記眼科用装置を前記型から取り出す工程と、
(3)前記眼科用装置が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するように前記眼科用装置の安定性を改善するのに有効な量の生体適合性の有機多塩基酸又はその生体適合性の塩(多塩基酸の塩はナトリウム、カリウム、及びアンモニウム塩からなる群より選択される)で前記眼科用装置を含浸する工程と
を含む方法。
【請求項20】
前記生体適合性の有機多塩基酸がα−オキソ多塩基酸である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記α−オキソ多塩基酸又はその生体適合性の塩を含有する水溶液に前記眼科用装置を一定期間含浸することによって前記含浸工程を達成する、請求項19記載の方法。
【請求項22】
前記反応性混合物が、前記ポリウレア及び/又はポリウレタンネットワークに相互貫入する異なるポリマーネットワークを形成するために、エチレン性不飽和基を有する1種以上のプレポリマー又は1種以上のビニルモノマーをさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項23】
安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料であって、
(a)エチレン性不飽和基、及び少なくとも1個の式(I)
−O−(R1−O)n−(R2−O)m−(R3−O)p− (I)
(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、直鎖状又は分岐鎖状のC2〜C6アルキレンであり、n、m及びpは、互いに独立して、0〜100の数であり、(n+m+p)の和は5〜100である)
の単位を含有するプレポリマー、及び
(b)生体適合性の有機α−オキソ−多塩基酸又はその生体適合性の塩(α−オキソ−多塩基酸の塩は、ナトリウム、カリウム及びアンモニウム塩からなる群より選択される)であって、ポリマー材料が、検出可能なギ酸及び場合によっては他の崩壊副生成物の量の少なくとも1.5倍の減少率を有することを特徴とする、低下した酸化崩壊感受性を有するように、有機多塩基酸又はその生体適合性の塩が、前記ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料の安定性を改善するのに十分な量で存在し、かつ前記多塩基酸又はその塩が前記ポリマー材料中に分布しているが、前記ポリマーネットワークに架橋していない、有機多塩基酸又はその生体適合性の塩
を含む組成物の共重合物である、安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料。
【請求項24】
工程(a)中のプレポリマーが、更に1種以上のビニルポリマーを含有する、請求項23の安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料。
【請求項25】
前記α−オキソ多塩基酸が、クエン酸、2−ケトグルタル酸及びリンゴ酸からなる群より選択される、請求項23又は24記載の安定化ポリ(オキシアルキレン)含有ポリマー材料。

【公表番号】特表2006−508716(P2006−508716A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554495(P2004−554495)
【出願日】平成15年11月26日(2003.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013320
【国際公開番号】WO2004/048472
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】