説明

ポンプピットの蓋

【課題】海水ポンプの取り外し時において津波が発生した場合に、海水がポンプ室内に浸入することを好適に防止することができるポンプピットの蓋を提供する。
【解決手段】海水ポンプ50が取り付け取り外し可能に設置されるポンプピット4に装着されるポンプピットの蓋10であって、海水ポンプ50が取り外された状態のポンプピット4の開口の縁部に取り付けられ、当該開口を水密に塞ぐ基部11を備えた構成とした。基部11には、開口の縁部に設けられた海水ポンプ50の取付用のボルト孔5aに対応したボルト挿入孔11cが設けられる。基部11は、ハッチ12と、ポンプピット4内に挿入配置される作業架台13と、を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水を汲み上げて利用する取水設備に設けられたポンプピットの蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原子力発電プラントを利用して発電する発電所では、取水設備のポンプ室に設けられたポンプピットを通じて外洋に連通する取水路から海水を汲み上げ、この汲み上げた海水を原子力発電プラントの冷却系等に供給することが行われている。
近年、取水設備において、予備の海水ポンプを設置することが行われており、海水ポンプの点検や検査を行う際には、予備の海水ポンプに切り替えることにより、プラントの運転を継続したり、緊急時の運転に対応するようにしたりすることが行われている。
【0003】
海水ポンプの点検や検査時には、クレーンを用いてポンプピットから海水ポンプを吊り上げて取り外しを行っている。そして、海水ポンプを取り外した後は、ポンプピットの開口を鉄板や木製の板で塞いだ状態にして、ポンプピット内へ誤って作業者が転落する等の事故が起きるのを防止していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−243889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、想定される津波の高さを考慮して、津波の際にも原子力発電プラントの運転に支障のないように海水ポンプの据付レベルおよび取水路の設定レベルが決められている。
特に、地震国である我国では、地震の従属事象である津波に対して特別な考慮がなされており、地震による高波に関しては、例えば、海水ポンプの機能が維持されるようにするために海水ポンプのモータ部が海水によって冠水しないよう、海水ポンプの設置レベルを設定している。
【0006】
しかしながら、前記した点検や検査時等における海水ポンプの取り外し時に、想定以上の津波が発生して高波が襲来した場合には、ポンプピットの開口に被せた鉄板等の隙間からポンプ室内に海水が浸入するおそれがあった。このような海水の浸入を生じてしまうと、ポンプ室内に設置された予備の海水ポンプや他の海水ポンプの作動に支障を来たすおそれがあった。
【0007】
本発明の目的は、海水ポンプの取り外し時において津波が発生した場合に、海水がポンプ室内に浸入することを好適に防止することができるポンプピットの蓋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、海水ポンプが取り付け取り外し可能に設置されるポンプピットに装着されるポンプピットの蓋であって、海水ポンプが取り外された状態の前記ポンプピットの開口の縁部に取り付けられ、当該開口を水密に塞ぐ基部を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ポンプピットから海水ポンプを取り外した後にポンプピットの開口の縁部に基部を装着することで、ポンプピットの開口を水密に塞ぐことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、海水ポンプの取り外し時において津波が発生した場合に、ポンプピットを通じて海水がポンプ室内に浸入することを好適に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るポンプピットの蓋が装着されたポンプ室の構造を示す概略断面図である。
【図2】ポンプピットの蓋の平面図である。
【図3】ポンプピットの蓋の側面図(一部断面)である。
【図4】ポンプピットの蓋の分解斜視図である。
【図5】(a)(b)は、海水ポンプを取り外す際の様子を示す説明図、(c)(d)は、ポンプピットの蓋を組み付ける際の様子を示す説明図である。
【図6】(a)は点検時の様子を示す説明図、(b)(c)は津波発生時の様子を示す説明図である。
【図7】海水ポンプの配置例を示す模式平面図である。
【図8】空気圧調整時の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明のポンプピットの蓋を適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、「上」「下」は、図1に示す方向を基準とする。
以下の説明では、ポンプピットの蓋を原子力発電所の冷却系に海水を供給する取水設備のポンプ室に適用されるものを説明するが、ポンプピットの蓋が適用される設備やプラント等を限定する趣旨ではない。
【0013】
図1に示すように、本実施形態のポンプピットの蓋10が適用される取水設備のポンプ室1は、高壁2,2で仕切られており、床Gの下方には、海洋に通じる取水路3が設けられている。高壁2,2の上端には、レール2a,2aを介して門型のクレーン2bが設置されている。クレーン2bは、レール2a,2aに沿って(高壁2,2に沿って)移動可能に設けられており、後記するように海水ポンプ50(図5(a)参照)やポンプピットの蓋10を吊り下げることができる。
なお、ポンプ室1に隣接して、後記する海水ポンプ50(図5(a)参照、以下同じ)の点検・保管室8(図7参照)が設けられている。
【0014】
ポンプ室1の床Gには、丸形縦孔状のポンプピット4が形成されている。ポンプピット4は、取水路3に連通しており、取水路3に流入した海水の取水口として機能する。ポンプピット4には、通常、海水ポンプ50(図5(a)参照、以下同じ)が挿入されて取り付けられるようになっている。海水ポンプ50によって汲み上げられた海水は、原子力発電所の冷却系、例えば、原子炉等冷却設備に供給されるようになっている。海水ポンプ50は、点検時やメンテナンス時に後記するようにしてクレーン2bで吊り上げられてポンプピット4から取り外される。
【0015】
なお、ポンプピット4に海水ポンプ50が取り付けられた状態で、図5(a)に示すように、ポンプピット4の内周面4aと海水ポンプ50の吸込ノズル50aとの間には、間隙S1が形成されるようになっている。この間隙S1によって、吸込ノズル50aにより汲み上げられた海水の流速が確保されるようになっている。
【0016】
ポンプピット4の開口の周縁部には、図1〜図3に示すように、円環状の基礎G1が水密に設置されている。また、基礎G1の上面には、基礎G1よりも外周部が小径とされた円環状のベース部5が基礎G1と同心円状に設置されている。
図3に示すように、ベース部5の内周部は、基礎G1の内周部よりも小径とされており、基礎G1の内周部よりも内側に位置している。
これらの基礎G1およびベース部5は、アンカーボルト6によって床Gに対して一体的に固定されている。基礎G1とベース部5との間には、シール材として合成ゴム製等のリング状のパッキン7が介設されている。このようなパッキン7により、後記するような津波時において、基礎G1とベース部5との水密性が確保されている。
【0017】
図3に示すように、ベース部5には、ポンプピットの蓋10の取付用のボルト孔5aが設けられている。ポンプピットの蓋10は、このボルト孔5aにボルト15を水密に締結することによって、ベース部5に固定される。
海水ポンプ50にも、このボルト孔5aに対応する図示しないボルト孔が設けられており、ボルト孔5aにボルト15を締結することによって、ベース部5に海水ポンプ50が固定されるようになっている。つまり、ボルト孔5aは海水ポンプ50とポンプピットの蓋10の共用の取付孔となっている。
なお、海水ポンプ50もベース部5との間に図示しないパッキンを介設して取り付けられ、このパッキンによって海水ポンプ50は、ベース部5に水密に固定されるようになっている。したがって、海水ポンプ50がポンプピット4に取り付けられた状態で、ポンプピット4の開口は、海水ポンプ50で水密に塞がれており、津波の発生によりポンプピット4の水位が上昇したとしても、海水がポンプ室1内に浸入することが好適に阻止されている。
【0018】
ポンプピットの蓋10は、図2,図3に示すように、基部11と、ハッチ12と、作業架台13と、手摺14と、を備えて構成されている。
基部11は、図3に示すように、断面略ハット形状を呈しており、円板部11aと、円板部11aの内側から上方へ向けて立ち上がる円筒状の立上部11bとを備えている(図4参照)。円板部11aと立上部11bとは、溶接等により一体的に接合されて基部11をなすが、これらを予め一体的に成形してもよい。
円板部11aには、ベース部5に設けられたボルト孔5aに対応したボルト挿入孔11cが設けられている。これにより、ボルト挿入孔11cを通じてベース部5のボルト孔5aにボルト15を締結することにより、円板部11aがベース部5に固定され、ポンプピットの蓋10がベース部5に固定されるようになっている。
円板部11aの下面とベース部5の上面との間には、シール材として合成ゴム製等のリング状のパッキン7aが介設されている。
【0019】
円板部11aの上面には、図3,図4に示すように、手摺14が立設されている。手摺14は、枠状を呈しており、図4に示すように、縦杆14aと横杆14bとからなる。この手摺14には、後記するように基部11の立上部11bの開口を通じて作業員が出入りする際の補助として利用することができ、また、作業員の落下防止のための安全器具の係留部としても利用することができる。
【0020】
立上部11bには、図4に示すように、空気流入弁17が設けられている。空気流入弁17は、立上部11bの内側と外側とを連通または遮断する弁である。この空気流入弁17は、後記するように、ポンプピット4内の水位が上昇した後に水位が下降して、ポンプピット4内の圧力が負圧状態となったときに開かれることで、ポンプピット4内の負圧状態を解消する役割をなす。
【0021】
立上部11bの上端部には、ハッチ12がヒンジ部16を介して開閉可能に設けられている。ヒンジ部16は、立上部11bの上端外周部に設けられた支持部16bと、ハッチ12の外周端部に設けられた揺動支持部16dと、支持部16bの支持孔16b1と揺動支持部16dの支持孔16d1とに挿通支持される支軸16cと、を含んで構成されている。
ここで、揺動支持部16dには、手動開閉操作の操作力をアシストする図示しないアシスト機構が設けられている。このアシスト機構は、ハッチ12を開く際に開操作の操作力をアシストし、ハッチ12を閉じる際に閉操作の操作力をアシストするようになっている。いずれのアシストにおいても、作業員一人の操作力でハッチ12のスムーズな開閉が可能となるように構成されている。なお、アシスト機構は、支持部16b側に設けてもよい。
【0022】
ハッチ12は、図2に示すように、平面視で円形を呈しており、上部にはハッチ12の開閉操作をするためのハンドル12aが回動可能に設けられている。ハッチ12は、図示しない封止機構(シール機構)を有し、封止機構は、ハンドル12aの回動に連動して立上部11bの上端部にハッチ12を密着させる役割をなす。これにより、立上部11bの開口がハッチ12で気密に封止されるようになっている。
【0023】
作業架台13は、ポンプ50を取り外した後、図1に示すように、基部11の下部に一体的に取り付けられ、後記するように作業員が入り込んで作業することのできる大きさを備えた枠体である。作業架台13は、錆に強い加工が施された金属製の部材からなり、図4に示すように、縦枠13aと、円形の横枠13e,13fと、円板状の底板部13bと、を溶接等により有底円筒状に枠組みして構成されている。底板部13bには、水抜き用の複数の貫通孔13b1が形成されている。また、作業架台13の下部外周は、作業員の足元周りを覆うようにして、円筒状の板部材13cで覆われている。
また、作業架台13の内部には、作業員の昇降用の梯子13dが備わる。梯子13dは、上端部が基部11の立上部11b内に延設配置される長さを備えることが好ましい。なお、梯子13dは、錆に強い加工が施された金属製の部材から構成することができるが、折り畳み収容自在な縄梯子としてもよい。
【0024】
次に、海水ポンプ50の点検時におけるポンプピットの蓋10の装着手順について説明する。
まず、図5(a)に示すように、ポンプピット4に海水ポンプ50が取り付けられている状態から、海水ポンプ50を取り外す。海水ポンプ50の取り外し時には、海水ポンプ50をベース部5に固定しているボルト15(図3参照)を取り外し、ベース部5に対する海水ポンプ50の固定を解除する。
その後、図5(b)に示すように、クレーン2bで海水ポンプ50を上方へ吊り上げて、ポンプピット4から海水ポンプ50を引き抜く。このようにして、重量を有する海水ポンプ50を取り外すことができる。
なお、取り外した海水ポンプ50は、ポンプ室1に隣接して設けられた点検・保管室8(図8参照、以下同じ)等に運ばれて点検される。
【0025】
その後、図5(c)に示すように、点検・保管室8等に保管しておいたポンプピットの蓋10をクレーン2bで吊り上げ、海水ポンプ50の取り外されたポンプピット4の上方位置に移動する。そして、図5(d)に示すように、ポンプピット4の開口を通じてポンプピット4内に作業架台13を挿入しつつ、ベース部5に基部11を載置する。このとき、図3に示すように、参照基部11の円板部11aのボルト挿入孔11cを、ベース部5のボルト孔5aに位置合わせしてベース部5に基部11を載置する。
【0026】
そして、ボルト挿入孔11cを通じてベース部5のボルト孔5aにボルト15を締結する。
これにより、海水ポンプ50が取り外されることで床Gに開口したされたポンプピット4の開口部を、ポンプピットの蓋10により水密に塞ぐことができる。したがって、海水ポンプ50の取り外し時に、想定以上の津波が発生して高波が襲来しても(潮位が上昇しても)、これをポンプピットの蓋10で抑えることができ、ポンプ室1内に海水が浸入することを阻止することができる。
【0027】
ここで、ポンプピットの蓋10の装着後にポンプピット4内を点検する際には、図6(a)に示すように、ハンドル12aを操作してハッチ12を開き、立上部11bから梯子13dを通じて作業架台13内に降りる。
この場合、図示しないアシスト機構による操作力のアシストによって、一人の操作力によりハッチ12を容易に開くことができる。そして、作業架台13内に降りる際(ハッチ12を通じて立上部11b内の梯子13dに足を掛ける際等)には、基部11の手摺14につかまることができ、また、手摺14を作業員の落下防止のための安全器具の係留部として利用することもできる。
【0028】
ポンプピット4の点検作業としては、ポンプピット4の内周面4aに付着した貝殻やその他の汚れ等の清掃、内周面4aの補修等がある。これらの作業は、いずれも作業架台13の縦枠13a(図4参照)の隙間から直接手を内周面4aに伸ばしたり、清掃用具や工具を使用したりすることで行うことができる。
ここで、図4に示すように、作業架台13の底板部13bには、複数の貫通孔13b1が形成されているので、作業架台13の底板部13bが浸かる高さに水位(潮位)が上がって、作業架台13の下部内側(円筒状の板部材13cの内側)に海水が浸入し、その後、水位が下がっても、複数の貫通孔13b1を通じて底板部13b上の海水を排水することができる。
また、作業架台13の下部が円筒状の板部材13cで覆われているので、足元等に置いた清掃具や工具等、さらには清掃したゴミ等を誤って取水路3内に落としてしまうのを好適に防止することができる。
【0029】
また、このようなポンプピット4の点検作業中において、地震等による津波が発生した場合には、梯子13dを昇って作業架台13内から速やかに退避してハッチ12を閉じ、図6(b)に示すように、ハンドル12aを操作してハッチ12を閉塞する。
これにより、図6(c)に示すように、津波が襲来して、潮位が上昇してポンプピット4内が海水で満たされる状況となっても、水密に取り付けられたポンプピットの蓋10によって、ポンプ室1内への海水の浸入が遮断される。
ハッチ12を閉じる際には、ハッチ12を開く際と同様に、図示しないアシスト機構による操作力のアシストによって、一人の操作力で容易に閉じることができる。つまり、津波発生から津波来襲までの短時間に、ハッチ12を水密に閉塞することが可能である。
【0030】
図7はポンプ室における海水ポンプの配置例を示す説明図である。この例では2つのポンプ室1,1を備えており、各ポンプ室1,1には、規格の異なる(ポンプピット4の径の異なる)複数の海水ポンプ51〜53が2つずつ設置されている。ポンプ室1,1の隣には、点検・保管室8が設けられている。
【0031】
このようなポンプ室1,1においては、各海水ポンプ51〜53が2つずつ配置されているので、例えば、そのうちの1つの海水ポンプ51をポンプピット4から取り外して点検している間、外した部分にポンプピットの蓋10を設置して、残りの1つの海水ポンプ51で原子力発電プラントの運転を継続したり、緊急時の運転に対応するようにしたりすることができる。
【0032】
このような構成とすることにより、各海水ポンプ51〜53の運転を確保しつつ点検等を同時進行で実施することができる。
【0033】
次に、このようなポンプピットの蓋10の装着時において、ハッチ12が閉じられていることにより、ポンプピット4内が負圧状態となった場合の対処について説明する。
例えば、図8に示すように、高潮等によってポンプピット4内の水位が位置W1に上昇し、その後、水位が位置W2まで下降した状態では、ポンプピット4内が負圧状態となるおそれがあり、ハッチ12を開く操作に支障を来たし易い。
【0034】
このような場合には、基部11の立上部11bの空気流入弁17を操作し、ハッチ12が閉じられた状態のまま立上部11bの内側と外側とを連通する。そうすると、ポンプピット4内が負圧状態であることから、空気流入弁17を通じてポンプ室1内の空気がポンプピット4内に流入する。これにより、ポンプピット4内の負圧状態が解消されることとなり、その結果、ハッチ12を開くことが可能となる。
つまり、ポンプピット4内の水位の変化に起因するポンプピット4内の負圧状態を、ポンプ室1内から空気流入弁17を操作することによって容易に解消することができ、ハッチ12を容易に開操作することができる。
【0035】
以上説明した本実施形態のポンプピットの蓋10によれば、ポンプピット4から海水ポンプ50を取り外した後にポンプピット4の開口の縁部(ベース部5)に基部11を装着することで、ポンプピット4の開口を水密に塞ぐことができる。したがって、海水ポンプ50の取り外し後において津波が発生しても、ポンプピット4を通じて海水がポンプ室1内に浸入することを好適に阻止することができる。これにより、ポンプ室1内に設置された予備の海水ポンプや他の海水ポンプの作動に支障を来たすおそれがなく、信頼性の高い取水設備を構築することができる。
【0036】
また、基部11には、ベース部5(開口の縁部)に設けられた海水ポンプ50の取付用のボルト孔5aに対応したボルト挿入孔11cが設けられているので、既設のベース部5のボルト孔5aをそのまま利用したボルト15の締結により、ポンプピットの蓋10を容易に固定することができる。これにより、ポンプピットの蓋10の設置の合理化を図ることができ、ポンプピットの蓋10を同形式の他の海水ポンプ50にも共用することが可能である。
また、新設の原子力発電プラントのみならず、既設の原子力発電プラントにも容易に設置することができる。
【0037】
基部11は、ポンプピット4を塞ぐ状態、およびポンプピット4を開放する状態にするハッチ12と、ポンプピット4内に挿入配置される作業架台13と、を含んで構成されているので、ポンプピットの蓋10の装着作業を行うことで作業架台13が同時に設置されることとなる。したがって、作業架台13を別途設置する必要がなくなり、設置工数が低減される。また、点検作業等を迅速かつ容易に行うことができる。
また、ハッチ12を備えているので、基部11の全体を取り外す必要がなく、ハッチ12の開閉によって容易にポンプピット4内へ入ることができる。
【0038】
ハッチ12には、手動開閉操作の操作力をアシストするアシスト機構が設けられているので、作業員一人の操作力で容易にハッチ12を開閉することができ、点検作業を迅速かつ容易に行うことができる。また、津波発生時の対処を迅速に行うことができ、ポンプピット4を通じて海水がポンプ室1内に浸入することを好適に阻止することができる。
【0039】
基部11には、手摺14が立設されているので、点検時における作業員の出入りが行い易い。また、手摺14を作業員の落下防止のための安全器具の係留部として利用することができるので、作業員の落下防止が好適に図れ、点検作業等を迅速かつ容易に行うことができる。また、津波発生時の作業員の避難も迅速に行える。
【0040】
前記実施形態では、ハッチ12がポンプピット4と略同心円とされる位置に配置されるものを示したが、これに限られることはなく、ポンプピット4の大きさ(内径の大きさ)によっては、ポンプピット4と偏心した位置にハッチ12が設けられていてもよい。
また、作業架台13は、円筒形状のものを示したが、これに限られることはなく、平面視で三角筒形状、四角筒形状、多角筒形状、楕円筒形状、長円筒形状等、種々の形状のものを採用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 ポンプ室
4 ポンプピット
5a ボルト孔
6 アンカーボルト
7 パッキン
8 保管室
10 ポンプピットの蓋
11 基部
11c ボルト挿入孔
12 ハッチ
13 作業架台
14 手摺
50 海水ポンプ
51〜53 海水ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水ポンプが取り付け取り外し可能に設置されるポンプピットに装着されるポンプピットの蓋であって、
海水ポンプが取り外された状態の前記ポンプピットの開口の縁部に取り付けられ、当該開口を水密に塞ぐ基部を備えたことを特徴とするポンプピットの蓋。
【請求項2】
前記基部には、前記開口の縁部に設けられた海水ポンプの取付用のボルト孔に対応したボルト挿入孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のポンプピットの蓋。
【請求項3】
前記基部は、前記ポンプピットを塞ぐ状態、および前記ポンプピットを開放する状態にするハッチと、前記ポンプピット内に挿入配置される作業架台と、を含んで構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポンプピットの蓋。
【請求項4】
前記ハッチには、手動開閉操作の操作力をアシストするアシスト機構が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のポンプピットの蓋。
【請求項5】
前記基部には、手摺が立設されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のポンプピットの蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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