説明

ポンプ付き容器

【課題】容器本体を不透明とした場合にも、内容物の残量を視覚的に確認することができるポンプ付き容器を提供する。
【解決手段】本発明は、口部111が肩部112を介して胴部113に繋がる容器本体110と、この本体110の口部111に装着されるポンプ120と、ポンプ120を動作させて内容物を噴出するノズルヘッド130と、胴部113内側に摺動可能に配置され内容物の噴出に伴って生じる負圧により内容物を押し上げつつ上昇する中皿140とを有するポンプ付き容器100である。容器100は、胴部113内側の、中皿140よりも口部111側に摺動可能に配置され、中皿140との相互間に内容物の充填空間Rを形成する上皿150を有する。この上皿150は、肩部112に設けた貫通孔112aを通して肩部112から突出し、充填空間R内に生じた負圧に伴う上皿150の下降によって容器本体110に収容される突起155を備える。突起155には、表示Iを施した表示部材160を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ動作により容器本体の内容物を噴出させるにあたり発生する負圧を解消すべく、当該容器本体の胴部内側に、かかる負圧により内容物を押し上げつつ上昇する中皿を備えたポンプ付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
こうした従来のポンプ付き容器には、容器本体の胴部を不透明することにより内容物の残量が確認できない問題を解消すべく、中皿の背面に球形の固体を取り外し可能に設け、この固体を中皿が上死点に達したタイミングで容器本体の底部に落下させることにより、聴覚的に残量確認できるものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−320886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、その一方で、容器本体を不透明にした場合の内容物の残量確認を聴覚的に行うのではなく、あくまで、視覚的に行うことができるものも、需要として大きいと考えられる。
【0004】
本発明の解決すべき課題は、容器本体を不透明とした場合にも、内容物の残量を視覚的に確認することができるポンプ付き容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、内容物を充填する口部を備え当該口部が肩部を介して胴部に繋がる容器本体と、この容器本体の口部に装着されるポンプと、このポンプに繋がりその押下げ及び復帰の繰り返しにより当該ポンプを動作させて内容物を噴出するノズルヘッドと、前記容器本体の胴部内側に摺動可能に配置され内容物の噴出に伴って生じる負圧により内容物を押し上げつつ上昇する中皿とを有するポンプ付き容器であって、前記容器本体の胴部内側の、前記中皿よりも口部側に摺動可能に配置され、当該中皿との相互間に内容物の充填空間を形成する上皿を有し、この上皿は、前記容器本体の前記肩部を通して前記肩部から突出し、前記充填空間内に生じた負圧に伴う当該上皿の下降によって前記容器本体に収容される突起を備えることを特徴とするものである。
【0006】
本発明において、前記上皿は、前記容器本体の前記口部内側を通る筒状部を有し、この筒状部は、その外側に、当該筒状部から外向きに突出して前記口部に接触する凸部を備えることが好ましい。
【0007】
また、本発明において、前記突起は、上皿の少なくとも1箇所に設ければよいが、前記肩部の全周を間欠的に包囲するように設けてもよい。
【0008】
本発明にあっては、前記突起に、直接表示を施すことも、表示を施した表示部材を設けることもできる。なお、以下、本明細書において、「表示」とは、文字、図形、記号、色彩、模様又はこれらの結合等の視覚的に訴えるものをいう。また、表示を施す方法としては、印刷やラベリング等の方法が挙げられる。
【0009】
また、本発明によれば、前記ポンプは、前記容器本体の肩部を覆い、前記突起を透視可能な透明又は半透明な外装カバーを備えることが好ましい。この場合も、外装カバーと前記突起との少なくとも一方に、表示を施すことができる。更に、本発明において、透明又は半透明とは、無色に限らず有色の場合も含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器本体の胴部内側に、中皿との相互間に内容物の充填空間を形成する上皿を有し、この上皿に容器本体の肩部を通って突出する突起を設け、当該突起が、前記充填空間内に生じた負圧に伴う当該上皿の下降によって前記容器本体に収容されるため、容器本体全体を不透明とした場合にも、容器本体の肩部から突出した突起の高さ変化や、当該突起が容器本体に完全に収容されて目視できなくなることにより、内容物の残量を視覚的に確認することができる。
【0011】
特に、前記上皿に、前記容器本体の前記口部内側を通る筒状部を有し、この筒状部は、その外側に、当該筒状部から外向きに突出して前記口部に接触する凸部を設ければ、当該凸部によって前記上皿を補助的に保持することになるため、例えば、ノズルヘッドからの内容物の噴出にあたり、中皿が上死点に到達までは、前記充填空間内に負圧が発生しても、前記上皿は下降することなく、前記中皿のみが前記充填空間の内容物を押し上げつつ上昇するが、当該中皿が上死点に到達した後、更に、内容物を噴出させると、前記充填空間内に生じた更に大きな負圧により、前記上皿は始めて、充填空間内の負圧によって前記中皿に向かって下降する。こうした構成によれば、内容物の残りが本当に少ない好適なタイミングで内容物の残量を視覚的に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の好適な形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の第一の形態であるポンプ付き容器100の未使用状態を一部断面で示す側面図であり、図2は、同形態の中皿140が上死点に到達した状態を一部断面で示す側面図である。更に、図3は、同形態の使用済み状態を一部断面で示す側面図である。
【0014】
図面において、符号110は、内容物を充填する筒状の口部111を有し当該口部111が平坦な肩部112を介して筒状の胴部113に一体に繋がる容器本体である。容器本体110は、不透明な遮光性の色彩を有する合成樹脂からなり、胴部113の口部111と対向する端部には、外気導入孔hを有する底蓋部114が別体に取り付けられている。
【0015】
符号120は、口部111に装着されるポンプである。また、符号130は、ポンプ120に繋がりその押下げ及び復帰の繰り返しにより当該ポンプ120を動作させて内容物を噴出するノズルヘッドである。
【0016】
詳細には、ポンプ120は、口部111外側で当該口部111に着脱可能にねじ止めされる装着筒部121aを有し、この装着筒部121aの内側には、天壁121bを介して口部111の内側を筒状に垂下するシール壁121cが一体に成形されている。天壁121bとシール壁121cとの相互間には、口部111の上端に配したシールリングSを介してシリンダ122が取り付けられている。
【0017】
シリンダ122は、口部111の内側を垂下して肩部112の直下に吸引口120aを有する。吸引口120aの裏側には、シリンダ122内に配置したリーフ弁に代表される逆止弁Bを装着されており、シリンダ122内からの逆流を防止する。
【0018】
更に、シール壁121cは、当該シール壁121cの内側に、環状溝dを形成する内筒部121dが一体に成形されている。この内筒部121dは、シリンダ122の内側に嵌合し、環状溝dには、ノズルヘッド130を弾支するリターンスプリングSrが配置されている。
【0019】
ノズルヘッド130は、その裏面から一体に垂下し、その内側に吐出口130aに通じる内部通路を形成する案内筒部131を一体に有する。この案内筒部131は、内筒部121dの内側にシール状態に嵌合し、その内側には、ピストン123が摺動可能に保持されている。更に、案内筒部131は、その内側に、ピストン123の抜け止めの機能を有し、ピストン123と共に、逆止弁Bで閉じられたシリンダ空間Roを加圧するポンププランジャ124が嵌合保持されている。
【0020】
一方、装着筒部121aの外側には、当該装着筒部121aとの相互間に環状溝を形成する筒状に起立した外装カバー121eが一体に成形されている。この外装カバー121eは、小径部121e1と透明又は半透明な大径部121e2とからなり、大径部121e2の下端が容器本体110の肩部112まで垂下し、その下端が肩部112との相互間に形成される隙間Cをほぼ覆い隠すように構成されている。
【0021】
符号140は、胴部113内側に摺動可能に配置され容器本体110の実質上の底部となる中皿である。中皿140は、胴部113の内側に摺動可能に保持される外縁部141を有し、その内側に環状の天壁部142を介して口部111に向かって延在する隆起部143が一体に形成されている。
【0022】
隆起部143の頂部143aには、筒状部144が一体に形成されており、この筒状部144には、その上端縁から切り欠いてなるスリット140sが形成されている。中皿140は、内容物を噴出させる前の未使用状態では図1に示すように、底蓋部114から一体に立設された筒状の座壁114aに着座している。
【0023】
符号150は、容器本体110と同じ遮光性の色彩を有する合成樹脂からなり、中皿140よりも口部111側に摺動可能に配置され、当該中皿140との相互間に内容物の充填空間Rを形成する上皿である。
【0024】
詳細には、上皿150は、環状のディスク部材であって、胴部113内側に摺動可能に保持される外縁部151を有し、この外縁部151に、容器本体110の肩部112の内面112fと密着可能な基部152を介して口部111内側を起立する筒状部153が一体に形成されている。
【0025】
筒状部153には、シリンダ122の外面に摺動可能に保持されるシール部154が一体に形成されている。これにより、容器本体110の内側には、中皿140と上皿150との相互間に、ポンプ120との間の気密性が保たれた充填空間Rが形成される。
【0026】
上皿150は、その外縁部151とシール部154とによって、ポンプ120及び容器本体110の胴部内側に保持することができるが、本形態において、上皿150は、容器本体110の胴部内側に補助的に保持される手段を備える。
【0027】
詳細には、筒状部153は、図3に示すように、その外側に、この筒状部153から外向きに突出する凸部153s が一体に形成されている。この凸部153sは、筒状部153周りに沿って環状又は間欠(単数又は複数の両者を含む。)に形成されており、口部111の内面に接触することにより、上皿150は、容器本体110に対して補助的に保持される。これにより、上皿150は、充填空間R内に所定の負圧が発生するまでは、上皿150が中皿140に向かって移動しない。
【0028】
即ち、上皿150に、凸部153sを設けたことにより、凸部153sの高さや形状、その硬さ等を適宜変更すれば、上皿150が下降するタイミングを制御することができる。また、凸部153sは、上皿150を容器本体110内側に保持するものであるから、組み付け後の取り扱い時においても優れた効果を奏する。
【0029】
特に、本形態では、容器本体110の口部111は、その内側に、口部111の内面から一体に突出した環状凸部111sを有し、この環状凸部111sの上部に上皿150の凸部153sが引っ掛かって、所定の力が加えられるまでは、上皿150が中皿140に向かって移動することを阻止する。
【0030】
即ち、凸部153sは、中皿140が充填空間R内に発生した負圧により上昇し、当該中皿140が上死点に到達までは、環状凸部111sに引っかかった状態のままでその引っ掛かりは解除されないが、中皿140が上死点に到達した後に、更に内容物を噴出させることにより、充填空間R内に更に大きな負圧が生じると、この負圧によってその引っ掛かりが解除されるように設定されている。
【0031】
凸部153sと環状凸部111sとの間の引っ掛かりを解除するための設定も、例えば、口部111に形成した環状凸部111sとの引っ掛かり量や凸部153s形状、その硬さ等を適宜変更することができる。
【0032】
これにより、内容物の噴出に伴い、中皿140が上死点に到達したのち、更に内容物を噴出させれば、凸部153sと環状凸部111sとの間の引っ掛かりが、充填空間R内に生じた更に大きな負圧により解除されるため、上皿150は、容器本体110に対して移動することができ、充填空間R内に生じた負圧の増大に追従して上皿150を中皿140に向かって下降させることができる。
【0033】
更に、上皿150は、基部152から筒状部153周りに間隔を空けて起立した複数の突起155が一体に形成されている。これに対し、容器本体110の肩部112には、各々の突起155が摺動可能に貫通する複数の開口部112aが形成されている。
【0034】
これにより、突起155は、図1,2に示すように、上皿150の基部152を肩部112の内面112fに接触させた状態では、貫通孔112aを通して肩部112から突出するが、上皿150が下降するタイミングと同期して貫通孔112aを通して容器本体110に収容される。
【0035】
なお、上皿150の下降は、上皿150の基部152が中皿140に直接接触することによりその下降を規制してもよいが、本形態では、中皿140の外縁部141と上皿の外縁部151との干渉を防止すべく、上皿150の基部152に、その裏面から垂下して中皿140の天壁部142との接触により、天壁部142との間に隙間を形成するための脚部156が一体に形成されている。
【0036】
更に、突起155には、その上端に、「→」という残量確認用の表示Iを施した容器本体110と同じ遮光性の色彩を有する合成樹脂からなる表示部材160を固着させる。表示部材160は、その表面に残量確認用の表示Iが施され、透明又は半透明な外装カバー121eの大径部121e2から視認可能になっている。
【0037】
更に詳細には、表示部材160は、突起155の上端に保持される環状の基部161と、この基部161から一体に起立する筒状の表示部本体162とからなり、この表示部本体162に、「→」という残量確認用の表示Iを印刷又はラベリングにより施している。
【0038】
次に、本形態の作用を説明する。
【0039】
先ず使用者がノズルヘッド130を押し下げると、シリンダ空間Ro内の空気はピストン123及びポンププランジャ124により加圧され、その内圧が一定圧を超えると、ピストン123が案内筒部131の内側をスライドしてポンププランジャ124の側壁に形成した貫通孔124aを開放する。これにより、未使用時に、シリンダ空間Ro内にある空気が、貫通孔124aから案内筒部131内側の通路rを通ってノズルヘッドの吐出口130aから吐出される。
【0040】
次に、使用者がノズルヘッド130から指を離すと、リターンスプリングSrの付勢力によって当該ノズルヘッド130が上昇し、ピストン123が案内筒部131の内側をスライドしてポンププランジャ124の貫通孔124aを閉じる。これにより、ノズルヘッド130が更に上昇すると、シリンダ空間Roに負圧が発生し、逆止弁Bを開いて充填空間Rの内容物をシリンダ空間Ro内に導入する。
【0041】
以後、ノズルヘッド130の押下げ及び復帰を繰り返せば、ポンプ120のポンプ動作により吐出口130aから内容物を噴出させることができ、これと同時に、中皿140は、内容物の噴出に伴って充填空間R内に生じる負圧により内容物を押し上げつつ胴部113の内側を軸線Oに沿って上昇する。これにより、中皿140は、内容物の噴出に伴って生じる負圧を充填空間Rの容量を減少させることで解消する。
【0042】
そして、中皿140の上死点(本形態では、筒状部144の上端がシリンダ112の下端に接触した位置)に到達した後、ポンプ120を作動させ続け、更に、内容物を噴出させると、充填空間R内に更に大きな負圧が発生することにより、凸部153sと環状凸部111sとの間の引っ掛かりが解除され、上皿150は中皿140に向かって下降する。
【0043】
これにより、上皿150は、内容物の噴出に伴って生じる負圧を充填空間Rの容量を減少させることで解消すると共に、肩部112を通して突出していた突起155を容器本体110に収容する。即ち、肩部112から突出していた突起155と共に表示部材160が下降することで、内容物の少なくなったことを警告し、図3に示すように、表示部材160の表示I「→」が肩部112との接触により下降しなくなることで内容物が完全に無くなったことを視認できる。
【0044】
従って、本形態によれば、容器本体110全体を不透明とした場合にも、容器本体110の肩部112から突出した突起155(表示部材160)の高さ変化や、表示部材160が容器本体110の肩部112に接触して完全に下降しなくなることで、内容物の残量を視覚的に確認することができる。
【0045】
更に、本形態の変形例として、外装カバー121eの大径部121e2に、表示部材160の表示Iと対をなす残量確認用の表示Ioを施しても良く、この場合、大径部121e2の外表面又は裏面に、例えば、「残り0」という残量確認用の表示Ioを印刷又はラベリングすれば、表示部材160が突起155と共に、肩部112と接触する位置まで完全に降下すると、表示部材160の表示I「→」が外装カバーの表示(図面では、○として示す。)Ioを指し示すことで内容物が完全に無くなったことを確実に視認できる。
【0046】
即ち、突起155上端の表示部材160に施した残量確認用の表示I「→」が大径部121e2に施した残量確認用の表示Ioと関係し合うことにより、内容物の残量を視覚的に確認することができる。なお、この場合、表示Ioを複数施して残量メモリとしてもよい。
【0047】
また、本形態において、外装カバー121eは、その一部121e2のみ透明又は半透明としたが、外装カバー121e全体を透明又は半透明としてもよい。
【0048】
なお、本発明において、「表示」とは、「→」や「○」に限定されるものではなく、文字、図形、記号、色彩、模様又はこれらの結合等の視覚的に訴えるものであればよい。
【0049】
図4は、使用済み状態である、本発明の他の形態を一部断面で示す側面図である。なお、図5において、図1〜4と同一部分は、同一符号をもって、その説明を省略する。
【0050】
図の符号170は、着色された合成樹脂からなる表示部材である。この表示部材170も、突起155の上端に設けられており、上皿150と共に肩部112に接触するまで下降する。
【0051】
本形態では更に、外装カバー121eの大径部121e2は、図に示すように、その下端が肩部112に接触した状態の表示部材170の上端に至るまで延在し、肩部112との相互間に、表示部材170が視認できる程度の隙間Cを形成している。この場合、大径部121e2が不透明であっても、表示部材170を視認することができ、更に、埃の進入を抑えることができる。
【0052】
なお、本形態における外装カバー121eとしては、図1等にて説明の透明又は半透明のものを使用してもよい。また、本形態のように、大径部121e2の下端が短く大きな隙間Cを形成する外装カバー121eを図1等にて説明の形態に適用することも可能である。
【0053】
図5は、使い切り直前の状態である、本発明の更に他の形態を一部断面で示す側面図である。なお、図5において、図1〜4と同一部分は、同一符号をもって、その説明を省略する。
【0054】
本形態は、突起155そのものを表示体としたものであり、内容物を介して中皿140に保持されていた上皿150が中皿140に向かって下降し、肩部112を通して突出していた突起155の高さ変化や、当該突起155が容器本体110に収容されて視認できなくなることで、内容物の残量を視覚的に確認することができる。
【0055】
また、本形態にあっても、突起155に、装飾用の表示を施すこともできる。表示を施す方法としては、突起155に直接、印刷やラベリング等を施す方法が挙げられる。
【0056】
即ち、本発明によれば、少なくとも、容器本体110の胴部113内側に、中皿140との相互間に内容物の充填空間Rを形成する上皿150を有し、この上皿150に容器本体110の肩部112を通って突出する突起155を設け、当該突起155が、充填空間R内に生じた負圧に伴う当該上皿150の下降によって容器本体110に収容されるため、容器本体110全体を不透明とした場合にも、容器本体110の肩部112から突出した突起155の高さ変化や、当該突起155が容器本体110に完全に収容されて目視できなくなることにより、内容物の残量を視覚的に確認することができる。
【0057】
特に、本形態のように、容器本体110の口部111内側を通る筒状部153を有し、この筒状部153は、その外側に、当該筒状部153から外向きに突出して口部111に接触する凸部153sを設ければ、当該凸部153sによって上皿150を補助的に保持することになるため、例えば、ノズルヘッド130からの内容物の噴出にあたり、中皿140が上死点に到達までは、充填空間R内に負圧が発生しても、上皿150は下降することなく、中皿140のみが充填空間Rの内容物を押し上げつつ上昇するが、当該中皿140が上死点に到達した後、更に、内容物を噴出させると、充填空間R内に生じた更に大きな負圧により、上皿140は始めて、充填空間R内の負圧によって中皿140に向かって下降する。こうした構成によれば、内容物の残りが本当に少ない好適なタイミングで内容物の残量を視覚的に確認することができる。
【0058】
上述したところは、本発明の一形態を説明するものであるが、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、容器本体110は、遮光性の色彩を有する合成樹脂に限らず、遮光性の色彩を有するシュリンクラベルで覆われている場合には、その材質は問わない。また、本発明に係るポンプも、上述した形態のポンプに限らず、既存のものを使用してもよい。
【0059】
更に、突起155及び表示部材160も、肩部112から突出した状態を確認できるものであれば、容器本体110と同じ遮光性の色彩を有するものに限らない。また、上述した形態の各構成はそれぞれ、目的及び用途に応じて適宜組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第一の形態であるポンプ付き容器の未使用状態を一部断面で示す側面図である。
【図2】同形態の中皿が上死点に到達した状態を一部断面で示す側面図である。
【図3】同形態の使用済み状態を一部断面で示す側面図である。
【図4】使用済み状態である、本発明の他の形態を一部断面で示す側面図である。
【図5】使い切り直前の状態である、本発明の更に他の形態を一部断面で示す側面図である。
【符号の説明】
【0061】
100 ポンプ付き容器(第一の形態)
110 容器本体
111 口部
111s 環状凸部(容器本体側掛止部)
112 肩部
112a 開口部
113 胴部
114 底部
120 ポンプ
121a 装着筒部
121b 装着筒部
121c シール壁
121d 内筒部
121e 外装カバー
121e1 外装カバー小径部
121e2 外装カバー大径部
122 シリンダ
123 ピストン
124 ポンププランジャ
130 ノズルヘッド
131 案内筒部
140 中皿
140s スリット
141 中皿外縁部
142 中皿天壁部
143 中皿隆起部
144 中皿筒状部
150 上皿
151 上皿外縁部
152 上皿基部
153 上皿筒状部
153s 上皿側掛止部
154 上皿シール部
155 残量表示用突起
156 上皿脚部
160 表示部材
161 表示部材基部
162 表示部本体
I 表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を充填する口部を備え当該口部が肩部を介して胴部に繋がる容器本体と、この容器本体の口部に装着されるポンプと、このポンプに繋がりその押下げ及び復帰の繰り返しにより当該ポンプを動作させて内容物を噴出するノズルヘッドと、前記容器本体の胴部内側に摺動可能に配置され内容物の噴出に伴って生じる負圧により内容物を押し上げつつ上昇する中皿とを有するポンプ付き容器であって、
前記容器本体の胴部内側の、前記中皿よりも口部側に摺動可能に配置され、当該中皿との相互間に内容物の充填空間を形成する上皿を有し、
この上皿は、前記容器本体の前記肩部を通して前記肩部から突出し、前記充填空間内に生じた負圧に伴う当該上皿の下降によって前記容器本体に収容される突起を備えることを特徴とするポンプ付き容器。
【請求項2】
前記上皿は、前記容器本体の前記口部内側を通る筒状部を有し、この筒状部は、その外側に、当該筒状部から外向きに突出して前記口部に接触する凸部を備える請求項1に記載のポンプ付き容器。
【請求項3】
前記突起に、表示を施した請求項1又は2に記載のポンプ付き容器。
【請求項4】
前記突起に、表示を施した表示部材を設けた請求項1又は2に記載のポンプ付き容器。
【請求項5】
前記ポンプは、前記容器本体の肩部を覆い、前記突起を透視可能な透明又は半透明な外装カバーを備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポンプ付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−114853(P2008−114853A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296736(P2006−296736)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】