説明

ポンプ及びこれを搭載したポンプ駆動機器

【課題】樹脂モールドの際に大きな成型圧が働いても、これによってステータ側に位置ずれが生じることを抑える。
【解決手段】コイル3が巻線されるステータ4、マグネット6を有するロータ7、羽根車20、分離板8、羽根車20が収容されるポンプ室21を形成するポンプケース22を備えるポンプである。ステータ4では、ステータコア14覆う絶縁カバー15に対してコイル3が巻線される。分離板8は分離板側突起部34を有し、絶縁カバー15はステータ側突起部31を有する。分離板側突起部34がステータ側突起部31に当ることで、ステータ4の分離板8に対する位置決めがなされる。この位置決めされた状態で、ステータ4が樹脂モールドされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータのコイルに通電することでロータと羽根車を一体に回転駆動させるポンプと、これを搭載したポンプ駆動機器に関する。
【背景技術】
【0002】
機器を駆動させるためのポンプとして、分離板によってステータ側とロータ側を分離するように設けたポンプが知られている。
【0003】
特許文献1には、この種のポンプを組み立てる際に、ステータと分離板との間で位置決めを行うための位置決め手段が記載されている。ここでの位置決め手段は、ステータの内周側にスリット状の溝を設け、分離板の外周側には径方向に延びるリブを設け、前記溝内に前記リブを嵌入させるものである。この手段によれば、ステータと分離板を、周方向に位置決めすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−38069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のポンプでは、ステータと分離板の間において周方向の位置決めはできるが、径方向には位置ずれが生じやすいという問題があった。特に、ステータ側において樹脂モールドを行う際には、ステータに対して大きな成型圧が働き、この成型圧により径方向にずれが生じた状態で樹脂モールドされた場合には、ポンプ性能の低下を招くことになる。
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みて発明したものであって、樹脂モールドの際に大きな成型圧が働いても、これによってステータ側に位置ずれが生じることを抑えることのできるポンプや、このポンプを搭載したポンプ搭載機器を提案することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明を、下記構成を具備するポンプとする。
【0008】
本発明のポンプは、コイルが巻線されるステータと、マグネットを有するロータと、前記ロータと一体に回転する羽根車と、ステータ側とロータ側を仕切るように配置される分離板と、前記羽根車が収容されるポンプ室とを備えるポンプであって、前記ステータは、ステータコアと、前記ステータコアを覆う絶縁カバーとを有し、前記絶縁カバーに対して前記コイルが巻線されるものであり、前記分離板は、前記ステータ側に向けて突設される分離板側突起部を有し、前記絶縁カバーは、前記分離板側に向けて突設されるステータ側突起部を有し、前記分離板側突起部が、前記ステータ側突起部が有する径方向外側の面と径方向内側の面の一方または両方に当ることで、前記ステータの前記分離板に対する位置決めがなされ、この位置決めされた状態で、前記ステータと前記制御回路板が一体に樹脂モールドされるように設けたことを特徴とする。
【0009】
本発明のポンプでは、前記分離板側突起部を、前記ステータ側突起部に対して更に周方向に当たるように設けることが好ましい。
【0010】
前記分離板側突起部が、隙間をあけて複数配置され、前記隙間には、隣接する前記分離板側突起部の間を滑らかにつなぐ凹状の樹脂導入部が形成されていることも好ましい。
【0011】
前記分離板側突起部を、平板状に形成していることも好ましい。
【0012】
そして、前記課題を解決するため、本発明を、上記構成を具備するポンプを搭載したポンプ駆動機器とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、樹脂モールドの際に大きな成型圧が働いても、これによってステータ側に位置ずれが生じることを抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態1のポンプの断面図である。
【図2】同上のポンプの分解斜視図である。
【図3】同上のポンプの樹脂モールド前のステータの構造を示す斜視図である。
【図4】図3の分解斜視図である。
【図5】同上のポンプに備える第2絶縁カバーの斜視図である。
【図6】本発明の実施形態2のポンプの樹脂モールド前のステータの構造を示す斜視図である。
【図7】同上のポンプに備える分離板の斜視図である。
【図8】本発明の実施形態3のポンプの樹脂モールド前のステータの構造を示す斜視図である。
【図9】同上のポンプに備える分離板の斜視図である。
【図10】本発明の実施形態4のポンプに備える分離板の斜視図である。
【図11】本発明のポンプを搭載する食器洗浄器の構成図である。
【図12】本発明のポンプを搭載する給湯機器の構成図である。
【図13】本発明のポンプを搭載する洗濯機の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を、添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0016】
図1〜図5には、本発明の実施形態1のポンプを示している。図1、図2はポンプ全体の構造を示し、図3、図4は樹脂モールド前のステータ側の構造を示し、図5にはステータ4側に備えられる絶縁カバーを示している。
【0017】
図1、図2に示すように、本実施形態のポンプは、インナーロータ型であるモータブロック1と、このモータブロック1によって駆動されるポンプブロック2によって構成される。
【0018】
モータブロック1は、コイル3が巻線されるステータ4と、このコイル3への通電を制御する制御回路板5と、マグネット6を有するロータ7と、ステータ4側とロータ7側を仕切る分離板8を有する。PPS樹脂やPPE樹脂からなる分離板8は、有底筒型である椀状部9と、この椀状部9の開口縁から径方向外側に延設されるフランジ部10と有し、全体として概略ハット型の外形となっている。この分離板8が有する椀状部9の外周側にステータ4を嵌め込んだ状態で、樹脂11によって制御回路板5ごと一体に樹脂モールドされる。樹脂11としては、不飽和ポリエステル、PPS樹脂、PPE樹脂等を用いる。本実施形態のステータ4や分離板8の構造については、改めて詳述する。
【0019】
分離板8が有する椀状部9の内部には、僅かなスペースを保つようにロータ7が配置される。このロータ7は、軸方向両端の開口した環状の外形を有し、その中央にはセラミックス製の軸部材12が配置される。軸部材12の外周には軸受16が配され、この軸受16を介してロータ7が回転自在となっている。
【0020】
ポンプブロック2は、ロータ7と一体に回転する羽根車20と、この羽根車20が収容されるポンプ室21を形成するポンプケース22とを有する。ポンプケース22からは吸入管23と吐出管24が突設され、吸入管23の先端部にポンプの吸入口26が形成され、吐出管24の先端部にポンプの吐出口27が形成される。ポンプケース22は、分離板8のフランジ部10に対して、複数のネジ具13を用いて固定される。
【0021】
本実施形態のステータ4は、金属製の板状部材を軸方向に複数積層させることで略環状に形成されたステータコア14と、ステータコア14を覆うようにこれと略相似な形状に成型された絶縁カバー15とを有する。ステータコア14は、その環状部分から内側にむけて6本のティースを突出させた形状であり、絶縁カバー15は、ステータコア14の環状部分を覆う環状カバー部分と、ステータコア14のティース部分を覆う6本のティースカバー部分とを有する。このティースカバー部分に対して、それぞれコイル3が巻線される。
【0022】
ステータ4に巻線される6個のコイル3は、一対のU層のコイル3と、一対のV層のコイル3と、一対のW層のコイル3であり、各相の対をなすコイル3はそれぞれが周方向に180°ずれて配置される。各相の対をなすコイル3間をつなぐ渡り線(図示略)は、絶縁カバー15の外周面に沿って配線される。
【0023】
絶縁カバー15は、軸方向に二分割された形で樹脂成形され、ステータコア14を挟み込んだ状態で結合される。以下においては、この分割された絶縁カバー15のうち、ポンプ室21から遠い側の部材を第1絶縁カバー28とし、ポンプ室21に近い側の部材を第2絶縁カバー29とする。図5には、この第2絶縁カバー29を示している。
【0024】
第1絶縁カバー28の環状カバー部分からは、ポンプ室21から離れる方向(図中上方向)にむけて、支持柱部30を複数突設している。周方向に距離をあけて複数形成されるこれら支持柱部30によって、制御回路板5がステータ4に支持される(図3、図4参照)。
【0025】
第2絶縁カバー29の環状部分からは、ポンプ室21に近づく方向(図中下方向)にむけて、ステータ側突起部31を複数突設している。ステータ側突起部31は平坦な先端面32を有し、この先端面32が、分離板8のフランジ部10のステータ4側を向く面33に当接される。ステータ側突起部31は、周方向に等距離を隔てて複数形成される。ステータ側突起部31はそれぞれが平板状であり、径方向外側をむく外周面が、平坦面となっている。
【0026】
分離板8からは、ポンプ室21から離れる方向にむけて分離板側突起部34を突設している。分離板側突起部34は、フランジ部10のステータ4側を向く面33上において、周方向に等距離を隔てて複数形成される。
【0027】
隣接する分離板側突起部34の隙間には、この隣接する分離板側突起部34間を滑らかにつなぐ凹状の樹脂導入部35が形成されている。図3、図4等に示すように、凸状である分離板側突起部34と、凹状である樹脂導入部35は交互に形成され、全体が環状につながっている。分離板側突起部34はそれぞれが平板状であり、径方向内側をむく内周面が、平坦面となっている。
【0028】
本実施形態のポンプでは、図3等に示すように、分離板8のフランジ部10から突設した分離板側突起部34が、ステータ側突起部31の先端部分の径方向外側の面に当ることで、ステータ4の分離板8に対する位置決めがなされる。
【0029】
このようにして位置決めされた状態で、樹脂モールドが行われる。樹脂モールドは、分離板8をモールド金型(図示略)に挿入して固定し、このモールド金型にモールド上型(図示略)を被せた状態で樹脂11を注入することで行われる。樹脂11の注入により、ステータ4と制御回路板5が一体に樹脂モールドされる。
【0030】
樹脂モールドに用いる樹脂11は、制御回路板5上の電気部品も一体にモールドするために低温成型されるものが好ましいが、その場合には樹脂11の流動性が悪くなり、大きな成型圧が必要となる。これに対して、本実施形態ではステータ4が分離板8に対して確実に位置決めされているので、大きな成形圧がステータ4に働いた場合であっても、ステータ4に径方向の位置ずれが生じることが抑えられる。また、本実施形態では、ステータ側突起部31と分離板側突起部34をそれぞれ平板状に形成し、両突起部31,34の当接部分を平坦面としているため、ステータ4の周方向の位置ずれも効果的に抑えられる。
【0031】
また、本実施形態のポンプでは、ステータ側突起部31の突出高さによって、ロータ7が有するマグネット6とステータコア14との磁気バランスを設定することができる。図1中に符号mで示すものがマグネット6の磁気的センターであり、符号sで示すものがステータコア14の磁気的センターである。両者の磁気的センターを軸方向にずらすことによって、ロータ7及び羽根車20が吸入口26側に常に引かれるように設定している。この設定により、軸受16を、これよりも吸入口26側に位置する受け板19に対して常時接触させるように設け、異常磨耗により寿命が短くなることを抑えている。
【0032】
図6、図7には、本発明の実施形態2のポンプを示している。図6は樹脂モールド前のステータ側の構造を示し、図7には分離板を示している。本実施形態の構成のうち、前述した実施形態1と同様の構成については説明を省略し、本実施形態特有の構成について以下に詳述する。
【0033】
本実施形態のポンプでは、ステータ4の位置決めを行うために分離板8側から突設される分離板側突起部34を、ステータ側突起部31の先端部のうち、径方向内側の面に当るように設けている。この分離板側突起部34も、ステータ側突起部31に対して1対1で当たるように、周方向に距離を隔てて複数形成されている。そして、分離板側突起部34と樹脂導入部35が交互に形成されることで、全体として波型の環状部分が形成されている。
【0034】
本実施形態においても、分離板側突起部34とステータ側突起部31が径方向に当たることでステータ4が位置決めされ、この位置決め状態において、ステータ4と制御回路板5が一体に樹脂モールドされる。そのため、樹脂モールドの際に大きな成型圧が働いた場合でも、ステータ4の位置ずれが防止される。
【0035】
図8、図9には、本発明の実施形態3のポンプを示している。図8は樹脂モールド前のステータ側の構造を示し、図9には分離板を示している。本実施形態の構成のうち、前述した実施形態1,2と同様の構成については説明を省略し、本実施形態特有の構成について以下に詳述する。
【0036】
本実施形態のポンプでは、分離板8側から突設される分離板側突起部34として、ステータ側突起部31の先端部のうち径方向外側の面に当るもの(以下、これを外側の分離板側突起部34という。)と、ステータ側突起部31の先端部のうち径方向内側の面に当るもの(以下、これを内側の分離板側突起部34という。)を設けている。
【0037】
外側の分離板側突起部34は、実施形態1のポンプが備える分離板側突起部34と同様の構造であり、隣接する外側の分離板側突起部34の間には、凹状の樹脂導入部35(以下、これを外側の樹脂導入部35という。)が形成されている。外側の分離板側突起部34と外側の樹脂導入部35は交互に形成され、全体が環状につながっている。
【0038】
また、内側の分離板側突起部34は、実施形態2のポンプが備える分離板側突起部34と同様の構造であり、隣接する内側の分離板側突起部34の間には、凹状の樹脂導入部35(以下、これを内側の樹脂導入部35という。)が形成されている。内側の分離板側突起部34と内側の樹脂導入部35は交互に形成され、全体が環状につながっている。
【0039】
外側と内側の分離板側突起部34は、径方向に並ぶように1対1に配置され、外側と内側の樹脂導入部35も、同じく径方向に並ぶように1対1に配置される。また、外側と内側の分離板側突起部34は、ともに平板状であり、外側の分離板側突起部34の径方向内側をむく内周面が平坦面となり、内側の分離板側突起部34の径方向外側をむく内周面も平坦面となっている。
【0040】
本実施形態では、一つのステータ側突起部31の先端部に対して、外側と内側の分離板側突起部34が一つずつ当たることで、ステータ4が径方向に位置決めされ、この位置決め状態において、ステータ4と制御回路板5が一体に樹脂モールドされる。そのため、樹脂モールドの際に大きな成型圧が働いた場合でも、ステータ4の位置ずれがより確実に防止される。
【0041】
図10には、本発明の実施形態4のポンプの分離板8を示している。本実施形態の構成のうち、前述した実施形態1−3と同様の構成については説明を省略し、本実施形態特有の構成について以下に詳述する。
【0042】
本実施形態のポンプにおいては、分離板8のフランジ部10においてステータ側突起部31が当る部分に、実施形態3と同様の分離板側突起部34に加えて、ステータ側突起部31に対して周方向の両側から当たる分離板側突起部34(以下、これを第3の分離板側突起部34という。)を設けている。
【0043】
すなわち、本実施形態の分離板8では、外側の分離板側突起部34と樹脂導入部35が交互に形成された外側環状部分と、内側の分離板側突起部34と樹脂導入部35が交互に形成された内側環状部分に加えて、外側環状部分と内側環状部分の間を径方向につなぐように、第3の分離板側突起部34が複数形成されている。
【0044】
本実施形態では、一つのステータ側突起部31の先端部に対して、外側と内側の分離板側突起部34が一つずつ当たり、且つ、周方向の両側からも第3の分離板側突起部34が当たることで、ステータ4が位置決めされる。そのため、樹脂モールドの際に大きな成型圧が働いた場合でも、ステータ4の位置ずれがより確実に防止される。
【0045】
図11〜図13には、本発明のポンプを搭載したポンプ駆動機器の例を示している。図11に示すポンプ駆動機器は食器洗浄器であり、図12に示すポンプ駆動機器は給湯機器であり、図13に示すポンプ駆動機器は洗濯機である。いずれの例においても、本発明の実施形態1−4のポンプが用いられる。
【0046】
図11の食器洗浄器では、本発明のポンプを洗浄ポンプ50及び排水ポンプ51として用いる。洗浄ポンプ50によって貯水漕52からノズル53へと水または温水を送り、これをノズル53から噴射することで食器洗浄器内に設置した食器54を洗浄する。洗浄後の水または温水は、下方に落下して貯水漕52に溜められ、洗浄ポンプ50によって再度ノズル53に送られる。所定時間洗浄した後に、洗浄ポンプ50を停止して排水ポンプ51を駆動させ、貯水漕52からの排水を行う。
【0047】
次に、再び貯水漕52内に水または温水を供給したうえで、洗浄ポンプ50によって濯ぎを行い、洗浄ポンプ50を停止して排水ポンプ51により排水を行う。以上の動作を繰り返し行い、食器洗浄が行われる。
【0048】
図12の給湯機器は、ヒートポンプユニット、貯湯ユニット、風呂、床暖房、追い炊き熱交換器、暖房熱交換器等を備えた給湯ユニットであり、本発明のポンプが給湯ユニット用のポンプ60として複数配置される。この給湯ユニットには、台所や洗面用の湯水蛇口や、お湯を貯める補助タンク61が設けられており、更に、給水口62の下流には減圧弁63が設けられ、床暖房には熱動弁64が設けられている。更に、それぞれの配管には、複数の混合弁65や安全弁66が設けられている。この給湯ユニットでは、複数のポンプ60を駆動させるとともに各弁を制御することで、湯水蛇口等に水やお湯を所望の温度及び流量で供給する。
【0049】
図13の洗濯機では、本発明のポンプを循環ポンプ70として用いる。この洗濯機では、洗濯漕71がモータ(図示略)によって回転されるとともに、循環ポンプ70によって洗濯漕71内の水が循環され、衣類等の洗濯が行われる。
【0050】
以上、説明したように、本発明の実施形態1−4のポンプは、コイル3が巻線されるステータ4と、マグネット6を有するロータ7と、ロータ7と一体に回転する羽根車20と、ステータ4側とロータ7側を仕切るように配置される分離板8と、羽根車20が収容されるポンプ室21とを備える。ステータ4は、ステータコア14と、ステータコア14を覆う絶縁カバー15とを有し、絶縁カバー15に対してコイル3が巻線される。分離板8は、ステータ4側に向けて突設される分離板側突起部34を有する。絶縁カバー15は、分離板8側に向けて突設されるステータ側突起部31を有する。分離板側突起部34が、ステータ側突起部31が有する径方向外側の面と径方向内側の面の一方または両方に当ることで、ステータ4の分離板8に対する位置決めがなされる。この位置決めされた状態で、ステータ4が樹脂モールドされる。
【0051】
これにより、樹脂モールドの際に大きな成型圧が働いても、これによってステータ4が位置ずれを生じることが抑えられる。そのため、前記の各突起部31,34を成型したシンプルな構造によって、低騒音、低振動、高効率のポンプが提供可能となる。
【0052】
また、本発明の実施形態4のポンプでは、分離板側突起部34を、ステータ側突起部31に対して更に周方向に当たるように設けている。これにより、ステータ4の位置ずれが周方向においてより効果的に抑えられる。
【0053】
また、本発明の実施形態1−4のポンプにおいては、分離板側突起部34が、隙間をあけて複数配置され、前記隙間に、隣接する分離板側突起部34の間を滑らかにつなぐ凹状の樹脂導入部35が形成されている。これにより、分離板側突起部34間にも樹脂11が円滑に流れ込みやすくなり、樹脂モールドが円滑に行われる。
【0054】
また、本発明の実施形態1−4のポンプでは、分離板側突起部34を、平板状に形成している。これにより、ステータ4の周方向の位置ずれもより効果的に抑えることができ、また、分離板側突起部34を有する分離板8の成型も容易となる。
【0055】
そして、図11〜図13に示すポンプ駆動機器は、本発明の実施形態1−4のポンプを搭載している。つまり、シンプルな構造によって低騒音化、低振動化、高効率化を実現したポンプが搭載されることで、機器性能が高められるたものとなる。
【0056】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記各例の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、各例において適宜の設計変更を行うことや、各例の構成を適宜組み合わせて適用することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
3 コイル
4 ステータ
5 制御回路板
6 マグネット
7 ロータ
8 分離板
14 ステータコア
15 絶縁カバー
20 羽根車
21 ポンプ室
31 ステータ側突起部
34 分離板側突起部
35 樹脂導入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルが巻線されるステータと、マグネットを有するロータと、前記ロータと一体に回転する羽根車と、ステータ側とロータ側を仕切るように配置される分離板と、前記羽根車が収容されるポンプ室とを備えるポンプであって、前記ステータは、ステータコアと、前記ステータコアを覆う絶縁カバーとを有し、前記絶縁カバーに対して前記コイルが巻線されるものであり、前記分離板は、前記ステータ側に向けて突設される分離板側突起部を有し、前記絶縁カバーは、前記分離板側に向けて突設されるステータ側突起部を有し、前記分離板側突起部が、前記ステータ側突起部が有する径方向外側の面と径方向内側の面の一方または両方に当ることで、前記ステータの前記分離板に対する位置決めがなされ、この位置決めされた状態で、前記ステータが樹脂モールドされるように設けたことを特徴とするポンプ。
【請求項2】
前記分離板側突起部を、前記ステータ側突起部に対して更に周方向に当たるように設けたことを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記分離板側突起部が、隙間をあけて複数配置され、前記隙間には、隣接する前記分離板側突起部の間を滑らかにつなぐ凹状の樹脂導入部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記分離板側突起部を、平板状に形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のポンプを搭載したことを特徴とするポンプ駆動機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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