説明

ポンプ

【課題】経年劣化の少ない、より簡単な構造のポンプを提供する。
【解決手段】第1のチューブの第1の部位に設けられた第1の弁と、前記第1のチューブの第2の部位に設けられた第2の弁と、前記第1のチューブの内側に固定された第1のアクチュエーターと、を含み、前記第1のアクチュエーターは、酸化還元応答化合物と液晶性部位とを有し、前記液晶性部位で規定される方向に収縮又は膨張し、前記第1の弁及び前記第2の弁の各々は、前記第1のアクチュエーターの収縮又は膨張に応じて開閉することを特徴とするポンプ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば液体又は気体などの流体を搬送するための機械要素に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体を搬送するための機械要素のひとつにポンプと呼ばれるものがある。ポンプは機械的なエネルギーを流体における圧力、運動エネルギーに変換させる機械であり、様々な様式が存在する。たとえば、羽根状の回転子を使うターボ型のポンプとしては遠心ポンプ、斜流ポンプ及び軸流ポンプなどがあり、一定の容積にある流体に容積変化をおこさせ運動エネルギーを与える容積型ポンプとしてはピストンポンプ、ブランジャーポンプ及びダイヤフラムポンプなどがある。ターボ型ポンプは非容積型ポンプとも呼ばれ、非容積型ポンプ及び容積型ポンプ以外にも、特殊型ポンプと呼ばれるものがあり、特殊型ポンプとしては水或いは蒸気の噴射力を利用したポンプ及び圧縮空気を利用したポンプなどがある。
【0003】
ポンプには上述した種類があるが、上述した種類に関わらず、微少量の流体を搬送するものをマイクロポンプと呼ぶ場合がある。マイクロポンプには、容積型ポンプの種類が比較的多く、流体を搬送するチューブに圧力を加えて変形させる例や、ダイヤフラムとアクチュエーターとを結合して作成された例が多い。たとえば、特許文献1には、ピエゾ振動子でダイヤフラムを変形させてポンプ動作を行わせるマイクロポンプが記載されている。また、特許文献2には、弾性を有するチューブを押圧する複数のフィンガーと該複数のフィンガーの各々を往復運動させるカム構造とカム構造を駆動するためのアクチュエーターとしてモーターを有するマイクロポンプが記載されている。また、特許文献3には、圧電素子による複数のリング状のアクチュエーターにチューブを通したマイクロポンプが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−299968号公報
【特許文献2】特開2009−74534号公報
【特許文献3】特開昭62−247183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、チューブに圧力を加えて変形させる場合はチューブを変形させない場合に比較してチューブの経年劣化を早めることになる。また、アクチュエーターとしてモーターなどを用いる場合にはアクチュエーターが発生するノイズが周囲の機器の動作を妨げる場合がある。マイクロポンプは医療用として用いられることがあり、医療機器へのノイズの発生は致命的なトラブルを発生させる可能性がある。また、ダイヤフラムを用いる場合には、ダイヤフラムの変形がポンプの外形に影響しないようにするためには、流体を通す部分以外にダイヤフラムの変形に必要な空間を設けなくてはならず、この分構造が複雑になるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題若しくは問題の少なくともひとつを解決するためになされたものであり、以下の適用例又は実施形態として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
本適用例にかかるポンプは、第1のチューブの第1の部位に設けられた第1の弁と、前記第1のチューブの第2の部位に設けられた第2の弁と、前記第1のチューブの内側に固定された第1のアクチュエーターと、を含み、前記第1のアクチュエーターは、酸化還元応答化合物と液晶性部位とを有し、前記液晶性部位で規定される方向に収縮又は膨張し、前記第1の弁及び前記第2の弁の各々は、前記第1のアクチュエーターの収縮又は膨張に応じて開閉することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、第1のアクチュエーターの収縮又は膨張により第1の弁及び第2の弁の各々が開閉することで第1のチューブ内への流体の取り込みと第1のチューブ外への流体の排出を行うことができ、第1のチューブを変形させることにより流体の取り込み及び排出を行うものではないことから、ポンプの動作の伴う第1のチューブの劣化の早さの低減を図ることができる。また、第1のアクチュエーターの収縮又は膨張は酸化還元応答によるものであることから、アクチュエーターから発生するノイズの低減を図ったポンプを構成することができる。また、ダイヤフラムの変形のための空間も必要がなく、構造の簡単なポンプを提供することができる。
【0009】
[適用例2]
上記適用例にかかるポンプにおいて、前記第1のアクチュエーターは、交流電流による制御により収縮及び膨張を繰り返すことが好ましい。
【0010】
この構成によれば、第1のアクチュエーターが交流電流により収縮又は膨張を繰り返すことで、交流電流の周期を制御することにより第1のアクチュエーターの収縮又は膨張の制御を容易に行うことができる。また、これにより、ポンプの排出量の制御が容易となる。
【0011】
[適用例3]
上記適用例にかかるポンプにおいて、前記第1のチューブにおいて、前記第1の部位及び前記第2の部位以外の部分は閉じられていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、第1の部位及び第2の部位の2つの部位で第1のチューブにおける流体の取り入れ口及び流体の排出口を構成することができ、排出量の制御が容易なポンプを構成することができる。
【0013】
[適用例4]
上記適用例にかかるポンプにおいて、前記第1の部位に第1のタンクが接続されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、上記適用例にかかるポンプを、第1のタンクに対する流体の出し入れに用いることができる。
【0015】
[適用例5]
上記適用例にかかるポンプにおいて、更に、第2のチューブと、を含み、前記第2のチューブは、第3の部位に設けられた第3の弁と、第4の部位に設けられた第4の弁と、内側に固定された第2のアクチュエーターと、を有し、前記第2のアクチュエーターは、酸化還元応答化合物と液晶性部位とを有し、前記液晶性部位で規定される方向に収縮又は膨張し、前記第3の弁及び前記第4の弁の各々は、前記第2のアクチュエーターの収縮又は膨張に応じて開閉することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、第1のチューブのポンプと同様の形式をとる第2のチューブのポンプを有することで、複数のポンプ機能を備えた構造の容易なポンプを構成することができる。
【0017】
[適用例6]
上記適用例にかかるポンプにおいて、前記第2のアクチュエーターは、交流電流による制御により、収縮及び膨張を繰り返すことが好ましい。
【0018】
この構成によれば、第2のチューブのポンプの制御を第1のチューブのポンプと同様な手法で行うことができ、制御の容易な複数のポンプ機能を備えた、簡易な構造のポンプを構成することができる。
【0019】
[適用例7]
上記適用例にかかるポンプにおいて、前記第2のチューブにおいて、前記第3の部位及び前記第4の部位以外の部分は閉じられていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、第3の部位及び第4の部位の2つの部位で第2のチューブにおける流体の取り入れ口及び流体の排出口を構成することができ、排出量の制御が容易なポンプを構成することができる。
【0021】
[適用例8]
上記適用例にかかるポンプにおいて、前記第3の部位に第2のタンクが接続されていることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、第2のチューブのポンプを、第2のタンクに対する流体の出し入れに用いることができる。
【0023】
[適用例9]
上記適用例にかかるポンプにおいて、更に、第3のチューブと、を含み、前記第2の部位及び前記第4の部位は、前記第3のチューブに接続されていることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、第2の部位及び第4の部位を排出口として用いた場合には、第3のチューブにおいて第1のチューブのポンプから排出される流体と第2のチューブから排出される流体とを混合させることができ、上記の適用例にかかるポンプを調合器として使用することができる。また、第2の部位及び第4の部位を取り入れ口として用いた場合には第3のチューブから供給される流体を所定の量取り込み第1の部位及び第3の部位から出力する分配器として用いることができる。また、第2の部位及び第4の部位のいずれか一方を排出口として用い他方を取り入れ口として用いた場合には、一方のポンプから第3のチューブに排出された流体を他方のポンプで取り込むことができる。
【0025】
[適用例10]
上記適用例にかかるポンプにおいて、前記第1のチューブは、内側に固定された第3のアクチュエーターを含み、前記第3のアクチュエーターは酸化還元応答化合物と液晶性部位とを有し、電流による制御により、前記液晶性部位で規定される方向に収縮又は膨張することが好ましい。
【0026】
この構成によれば、第3のアクチュエーターを有することで、アクチュエーターの動作を、第1のアクチュエーターのみを動作させる場合、第3のアクチュエーターのみを動作させる場合、又は、第1のアクチュエーター及び第3のアクチュエーターを動作させる場合のいずれかとすることにより、第1のチューブのポンプにおける一回の流体の取り込み量又は排出量を変えることができる。
【0027】
[適用例11]
上記適用例にかかるポンプにおいて、前記第2のチューブは、内側に固定された第4のアクチュエーターを含み、前記第4のアクチュエーターは酸化還元応答化合物と液晶性部位とを有し、電流による制御により、前記液晶性部位で規定される方向に収縮又は膨張することが好ましい。
【0028】
この構成によれば、第4のアクチュエーターを有することで、アクチュエーターの動作を、第2のアクチュエーターのみを動作させる場合、第4のアクチュエーターのみを動作させる場合、又は、第2のアクチュエーター及び第4のアクチュエーターを動作させる場合のいずれかとすることにより、第2のチューブのポンプにおける一回の流体の取り込み量又は排出量を変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態におけるポンプの概略図。
【図2】第1実施形態におけるポンプの動作を示す図。
【図3】第1実施形態におけるポンプの動作を示す図。
【図4】第1実施形態におけるポンプの使用例(実施例1)を示す図。
【図5】第1実施形態におけるポンプの使用例(実施例2)を示す図。
【図6】第2実施形態におけるポンプの概略図。
【図7】第3実施形態におけるポンプの概略図。
【図8】第4実施形態におけるポンプの概略図。
【図9】アクチュエーターの動作原理を説明するための模式図。
【図10】アクチュエーターの概略図。
【図11】アクチュエーターの変形例。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。尚、記載する図は、構造上内部にあり、直接見ることができない構造物を透過させて記載している。
【0031】
まず、アクチュエーターの動作について図9及び図10を用いて説明する。図9は、アクチュエーターを構成する酸化還元応答化合物と液晶性部位とが結合された分子構造の一部を示した図である。アクチュエーターは、図9−(a)及び図9−(b)で示すように、ユニットF、ユニットG及びユニットHから構成されている。ユニットFは軸回転可能な部位であり、例えばフェニル基若しくはチオフェン環などで形成される。ユニットGは酸化還元反応により結合若しくは分離が行われる部位であり、例えばベンゾジチオリル基などにより形成される。また、ユニットHはユニットGの酸化還元反応に応じて回転するユニットFの回転方向を規定するための部位であり、液晶性を有する部位が含まれる。ユニットFの回転軸方向は、ユニットHに含まれる液晶性を有する部位の配向性によって規定されるものであるが、液晶性を有する部位の配向性は、例えば、延伸法や偏向紫外線照射法などにより配向方向を決めることが可能である。
【0032】
酸化還元応答化合物が酸化された状態となるのは、酸化還元応答化合物から所定の電子が剥奪された状態であり、この状態の分子構造を示したのが図9−(a)である。また、酸化還元化合物が還元された状態というのは、酸化還元応答化合物に所定の電子が供給された状態であり、この状態の分子構造を示したのが図9−(b)である。還元された状態においては、ユニットG同士(たとえば、S1及びS2)が供給された電子により結合する。これにより、ユニットFにおいて、ユニットHに含まれる液晶性を有する部位の配向性を維持する形で軸回転が行われる。このため、分子構造が折りたたまれた形に変化することで、酸化還元応答化合物がユニットHに含まれる液晶性を有する部位の配向の方向に収縮する。この状態から酸化還元応答化合物が酸化されるとユニットG同士における結合が解除され、ユニットFにおいて、ユニットHに含まれる液晶性を有する部位の配向性を維持する形で軸回転が行われ、図9−(b)の状態から図9−(a)の状態に変化する。このように酸化及び還元を繰り返すことで、酸化還元応答化合物は収縮及び膨張を繰り返す。
【0033】
次に、図10−(a)にアクチュエーター80の概略外観図を示す。図10−(b)は、収縮した状態のアクチュエーター80の断面図である。また、図10−(c)は、膨張した状態のアクチュエーター80の断面図である。アクチュエーター80は、内部電極81、高分子電解質82、酸化還元応答化合物83及び外部電極84を含む。高分子電解質82にとって、酸化還元応答化合物83は電極として振舞う。アクチュエーター80の外部から内部電極81と外部電極84との間に内部電極81の方が高くなるように電位差を与えると酸化還元応答化合物83において還元反応がおきる。これによりアクチュエーター80は収縮して図10−(b)のようになる。逆に内部電極の方が低くなるように電位差を与えると酸化還元応答化合物83において酸化反応がおきる。これによりアクチュエーター80は膨張して図10−(c)のようになる。よって、内部電極81と外部電極84との間に交流電流を与えることにより、アクチュエーター80の収縮及び膨張の実行を繰り返し起こさせることが可能となる。
【0034】
上述したアクチュエーター80を用いたポンプの実施形態を以降に説明する。
【0035】
(第1実施形態)
図1−(a)〜(c)に本発明を適用したポンプ10の概略図を示す。ポンプ10は、チューブ11、アクチュエーター12、第1の弁13及び第2の弁14を有する。図1−(a)は、ポンプ10の斜視図である。図1−(b)は、ポンプ10を図1−(a)にBで示した矢印の向きの方向から見た場合の図である。また、図1−(c)は、ポンプ10を図1−(a)にAで示した矢印の向きの方向から見た場合の図である。アクチュエーター12はチューブ11の内側に固定されている。また、第1の弁13はチューブ11の内側の方向にのみ開き、第2の弁14はチューブ11の外側の方向にのみ開く。
【0036】
アクチュエーター12には図示していない配線がチューブ11の外部から接続されており、該配線を介して流れる電流によりアクチュエーター12の収縮又は膨張の動作が制御される。図1において、アクチュエーター12はチューブ11の横方向となる壁面に固定されているが、これは図示の便宜上のものであり、アクチュエーター12は、第1の弁13の開閉に邪魔にならない場所、及び、第1の弁13及び第2の弁14により開く部分を塞ぐことにならない場所、であるならばチューブ11の内側の何処に固定されていてもよい。
【0037】
次に、ポンプ10の動作を図2及び図3を用いて説明する。図2で示したのは、アクチュエーター12が膨張するときのポンプ10の状態である。図2−(a)は図1−(a)と同じ斜視図であり、図2−(b)は図1−(b)と同じ方向から見た図である。アクチュエーター12が膨張する(図2−(a)のCは膨張の動きを示すもの)ときは第1の弁13が閉じると共に第2の弁14が開き、第2の弁14が開いたことによりできる開口部からアクチュエーター12の膨張分に相当する体積の流体がチューブ11の外部に排出される。
【0038】
図3で示したのは、アクチュエーター12が収縮するときのポンプ10の状態である。図3−(a)は図1−(a)と同じ斜視図であり、図3−(b)は図1−(b)と同じ方向から見た図である。アクチュエーター12が収縮する(図3−(a)のDは収縮の動きを示すもの)ときは第1の弁13が開くと共に第2の弁14が閉じ、第1の弁13が開いたことによりできる開口部からアクチュエーター12の収縮分に相当する体積の流体がチューブ11の内部に取り込まれる。
【0039】
アクチュエーター12に交流電流を与えることにより、アクチュエーター12は収縮及び膨張を繰り返し、第1の弁13が開くことによりチューブ11の内部に取り込まれた流体が第2の弁14が開くことによりチューブ11の外部に排出され、ポンプ10がポンプとして機能することになる。
【実施例1】
【0040】
図4には、第1のタンク15を第1の弁13側に接続したポンプ10を示している。ポンプ10が上述したアクチュエーター12の動作によってポンプとしての機能を果たすことにより、第1のタンク15に収められた流体を、アクチュエーター12の容積の変化率と交流電流の周期とで決まる所定の量を排出することが可能となる。
【実施例2】
【0041】
図5には、ポンプ10と同じ構造のポンプを2個並列して接続したポンプ20と、ポンプ20に接続した第2のタンク25と第3のタンク35とを示している。ポンプ20は、チューブ21、アクチュエーター22、第1の弁23及び第2の弁24を含む第1ポンプ部と、チューブ31、アクチュエーター32、第1の弁33及び第2の弁34を含む第2ポンプ部とを有する。第2のタンク25は第1ポンプ部の第1の弁23側に接続され、第3のタンク35は第2ポンプ部の第1の弁33側に接続されている。また、第1ポンプ部の第2の弁24側及び第2ポンプ部の第2の弁34側は、共にチューブ30に接続されている。
【0042】
第2のタンク25に収められた流体は第1ポンプ部によりチューブ30に排出され、第3のタンク35に収められた流体は第2ポンプ部によりチューブ30に排出される。これにより、第2のタンク25に収められた流体と第3のタンク35に収められた流体との混合液をチューブ30内に作成することができる。該混合液における2つの流体の混合比率は、アクチュエーター22を制御する交流電流の周期及びアクチュエーター22の容積の変化率により決まる第1ポンプ部の排出量と、アクチュエーター32を制御する交流電流の周期及びアクチュエーター32の容積の変化率により決まる第2ポンプ部の排出量と、により決まる値となる。
【0043】
(第2実施形態)
図6に本発明を適用したポンプ40を示す。ポンプ40は、チューブ41、アクチュエーター42、第1の弁43及び第2の弁44を有する。アクチュエーター42は、チューブ41の一方端を閉じる形で形成された面に固定されている。第1の弁43はチューブ41の側面に形成されている。第1の弁43の動作は第1実施形態における第1の弁13と同じであり、第2の弁44の動作は第1実施形態における第2の弁14と同じである。アクチュエーター42は、Eで示す方向に収縮又は膨張する。アクチュエーター42の収縮に伴い第1の弁43から取り込まれた流体は、アクチュエーター42の膨張に伴い第2の弁44から排出される。
【0044】
(第3実施形態)
図7に本発明を適用したポンプ50を示す。ポンプ50は、チューブ51、第1アクチュエーター52、第2アクチュエーター55、第1の弁53及び第2の弁54を有する。第1の弁53は、第1実施形態における第1の弁13に対応する。第2の弁54は、第1実施形態における第2の弁14に対応する。ポンプ50は、第1アクチュエーター52の容積の変化率と制御する交流電流の周期とで決まる所定の量と、第2アクチュエーター55の容積の変化率と制御する交流電流の周期とで決まる所定の量と、を組み合わせて排出量を決定することができる。また、第1アクチュエーター52又は第2アクチュエーター55のいずれか一方のみを動作させてもかまわない。
【0045】
(第4実施形態)
図8に本発明を適用したポンプ60を示す。ポンプ60は、チューブ61、アクチュエーター62、第1の弁63及び第2の弁64を有する。アクチュエーター62は、ワイヤー66によりチューブ61内に保持されている。ワイヤー66は、アクチュエーター62を制御するための信号線を用いてもかまわない。第1の弁63の動作は第1実施形態における第1の弁13と同じであり、第2の弁64の動作は第1実施形態における第2の弁14と同じである。アクチュエーター62の収縮に伴い第1の弁63から取り込まれた流体は、アクチュエーター62の膨張に伴い第2の弁64から排出される。
【0046】
また、上述した実施形態において、図11に示すような形のアクチュエーターを使用してもよい。図11−(a)は、ヘッド部71を有するアクチュエーター70の断面図である。アクチュエーター70は、たとえば実施形態2で説明した形態のポンプに用いることで、より排出量の大きなポンプとすることができる。図11−(b)で示すように、ヘッド部71はチューブ73の内壁に接し、ヘッド部71によりアクチュエーター70が固定されている側に搬送する流体が流れ込むのを防いでいる。図11−(c)は、ヘッド部76と蛇腹部77とを有するアクチュエーター75の断面図である。蛇腹部77は、ヘッド部76及びアクチュエーターが固定される壁面に接続され、ヘッド部76と蛇腹部77とによりアクチュエーター75内部に搬送する流体が流れ込むのを防いでいる。アクチュエーター75は、たとえば実施形態1で示した形態のポンプに用いることで、より排出量の大きなポンプとすることができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明を行ったが、チューブにおけるアクチュエーターの配置、及び、第1の弁若しくは第2の弁の配置は上述した実施形態の位置に限られるものではない。又、ひとつのチューブ内も設けるアクチュエーターの数も上述した数に限られるものではない。たとえば、上述した実施形態において第1の弁及び第2の弁の配置を入れ替えてもよく、第1の弁及び第2の弁を共にチューブの側面に形成してもかまわない。また、アクチュエーターの数も3つ以上設けてもよく、それぞれの容積の変化率も特に固定するものではない。
【符号の説明】
【0048】
10…ポンプ、11…チューブ、12…アクチュエーター、13…第1の弁、14…第2の弁、15…第1のタンク、20…ポンプ、21…チューブ、22…アクチュエーター、23…第1の弁、24…第2の弁、25…第2のタンク、30…チューブ、31…チューブ、32…アクチュエーター、33…第1の弁、34…第2の弁、35…第3のタンク、40…ポンプ、41…チューブ、42…アクチュエーター、43…第1の弁、44…第2の弁、50…ポンプ、51…チューブ、52…第1アクチュエーター、53…第1の弁、54…第2の弁、55…第2アクチュエーター、60…ポンプ、61…チューブ、62…アクチュエーター、63…第1の弁、64…第2の弁、66…ワイヤー、70…アクチュエーター、71…ヘッド部、75…アクチュエーター、76…ヘッド部、77…蛇腹部、80…アクチュエーター、81…内部電極、82…高分子電解質、83…酸化還元応答化合物、84…外部電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のチューブの第1の部位に設けられた第1の弁と、
前記第1のチューブの第2の部位に設けられた第2の弁と、
前記第1のチューブの内側に固定された第1のアクチュエーターと、を含み、
前記第1のアクチュエーターは、酸化還元応答化合物と液晶性部位とを有し、前記液晶性部位で規定される方向に収縮又は膨張し、
前記第1の弁及び前記第2の弁の各々は、前記第1のアクチュエーターの収縮又は膨張に応じて開閉することを特徴とするポンプ。
【請求項2】
前記第1のアクチュエーターは、交流電流による制御により収縮及び膨張を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記第1のチューブにおいて、前記第1の部位及び前記第2の部位以外の部分は閉じられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記第1の部位に第1のタンクが接続されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項5】
更に、第2のチューブと、を含み、
前記第2のチューブは、第3の部位に設けられた第3の弁と、第4の部位に設けられた第4の弁と、内側に固定された第2のアクチュエーターと、を有し、
前記第2のアクチュエーターは、酸化還元応答化合物と液晶性部位とを有し、前記液晶性部位で規定される方向に収縮又は膨張し、
前記第3の弁及び前記第4の弁の各々は、前記第2のアクチュエーターの収縮又は膨張に応じて開閉することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項6】
前記第2のアクチュエーターは、交流電流による制御により収縮及び膨張を繰り返すことを特徴とする請求項5に記載のポンプ。
【請求項7】
前記第2のチューブにおいて、前記第3の部位及び前記第4の部位以外の部分は閉じられていることを特徴とする、請求項5又は6に記載のポンプ。
【請求項8】
前記第3の部位に第2のタンクが接続されていることを特徴とする、請求項5乃至7のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項9】
更に、第3のチューブと、を含み、
前記第2の部位及び前記第4の部位は、前記第3のチューブに接続されていることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項10】
前記第1のチューブは、内側に固定された第3のアクチュエーターを含み、
前記第3のアクチュエーターは酸化還元応答化合物と液晶性部位とを有し、電流による制御により、前記液晶性部位で規定される方向に収縮又は膨張することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項11】
前記第2のチューブは、内側に固定された第4のアクチュエーターを含み、
前記第4のアクチュエーターは酸化還元応答化合物と液晶性部位とを有し、電流による制御により、前記液晶性部位で規定される方向に収縮又は膨張することを特徴とする請求項5乃至10のいずれか一項に記載のポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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