ポータブルトイレ
【課題】
便座上に載置されたクション体が、便座に着座した人と誤認されないようにすること。
【解決手段】
赤外線センサが便座に着座した人を検知したときに限り、前記人の局部への温水の噴射を可能とする洗浄機構を備え、ポータブルトイレにおいて、前記便座上に載置されるクション体に、赤外線吸収シートを設けた。
便座上に載置されたクション体が、便座に着座した人と誤認されないようにすること。
【解決手段】
赤外線センサが便座に着座した人を検知したときに限り、前記人の局部への温水の噴射を可能とする洗浄機構を備え、ポータブルトイレにおいて、前記便座上に載置されるクション体に、赤外線吸収シートを設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポータブルトイレに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者時代の到来とともに在宅の寝たきり老人の介護が大きな社会問題となりつつある。この介護に際しては特に排泄物の処理が大変である。かような事情に鑑み、寝室・病室などの室内に家具の如く置いておくことができるポータブルトイレが種々市販されるようになってきた。しかして、例えば特許文献1に開示されるようなポータブルトイレは、洗浄ノズルより洗浄水を人体局部に向けて噴射・洗浄する局部洗浄装置を備えており、入浴すること自体が困難な病人等においても、用足し後に局部を清浄に保つことを可能ならしめている。そして、ポータブルトイレの使用者若しくは介護者が、リモコン装置を操作して局部洗浄装置を作動させるようになっている。
【特許文献1】特開2002−209796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示されたポータブルトイレを用いれば確かに、洗浄ノズルより洗浄水を人体局部に向けて噴射・洗浄する局部洗浄装置により、入浴すること自体が困難な病人等においても、用足し後に局部を清浄に保つことが可能になる。しかも、局部洗浄装置の作動はリモコン装置を操作することにより、簡易に行え、絶賛に値すると言っても過言ではない。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたポータブルトイレには、実用上、改善の余地が残されている。すなわち、このポータブルトイレは、要介護者の居室に据え置かれるが、このポータブルトイレを使用する要介護者は、所謂「寝たきり」ではないので、イスに座って休息をとりたいこともある。この場合、イスを別途、据え置くことも考えられるが、居室のスペースに余裕が無い限り、それは困難である。この場合、ポータブルトイレの便座上にクッション体を載置して、イスの代替機能を果たすようにすることが考えられるが、便座上にクッション体を置いたとき、便座近傍に設置された赤外線センサが、クッション体を人と誤認し、局部洗浄装置が作動可能状態にある。この状態の下、要介護者がリモコン装置を嬲ったり、要介護者の居室を訪れた幼児・子供がリモコンを悪戯して操作した場合、洗浄水が噴射されて、クッション体が濡れてしまうという不具合惹起の危惧がある。
【0005】
それ故に、本発明は、かような不具合が惹起されないようにすることを、その技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために講じた技術的手段は、請求項1に記載のように、
「赤外線センサが便座に着座した人を検知したときに限り、前記人の局部への温水の噴射を可能とする洗浄機構を備え、ポータブルトイレにおいて、前記便座上に載置されるクション体に、赤外線吸収シートを設けたことを特徴とするポータブルトイレ」
を構成したことである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、クション体を便座上に載置しても、クション体に設けられた赤外線吸収シートが赤外線センサの機能を無効化するので、赤外線センサがクション体を便座に着座した人と誤認することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の温水洗浄便座装置を具体化した一実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1〜図3において、ポータブルトイレ10は、イス部20を備える。イス部20には、前後方向にスライド可能な支持板22が設けられる。支持板22には孔24が形成されている。樹脂製の外バケツ30が孔24の内部に嵌入されており、外バケツ30の縁部32が支持板22と係合している。かようにして、外バケツ30は、支持板22に懸架される。
【0010】
外バケツ30の内部には、樹脂製の内バケツ40が収容される。この内バケツ40の開口部は、不使用時は、蓋50で閉塞される。
【0011】
支持板22の後方部には洗浄部60が装着される。洗浄部60は、ケース62と、ケース62に枢着された便座64と、ケース62内に設置された洗浄機構90(図10)とから構成される。洗浄機構90は、後で説明するように、内バケツ40を開放状態にし、便座62に着座した使用者が排泄した後、リモコン100を操作すると、ノズルから温水が使用者の肛門(女性陰部)に噴射されて、洗浄がなされるようになっている。
【0012】
ポータブルトイレ10は、使用されない時は、図1に示されるように、内バケツ40の開口部が蓋50で閉塞され、このような状態で、便座62が使用位置におかれる。ポータブルトイレ10を使用する場合、つまり要介護者が排泄しようとする場合、介護者は、まず、まず、便座62を起立させて(図3)、支持板22を少し前方に引き出し(図4)、蓋50を取って内バケツ40を開放状態とし(図5)て、支持板22を元に戻し、便座62を使用位置にする。そして、要介護者が便座62に着座して排泄し、温水洗浄がなされる。排泄物(大便・小便)は、内バケツ40内に収容される。
【0013】
かような一連の排泄行為が終了すると、内バケツ40内に収容される排泄物をトイレ室の便器(若しくは汚物流し)に捨てる必要があるので、支持板22が少し前方に引き出され、内バケツ40内が取り出される(図6)。以下の詳しく述べるように、内バケツ40は、排泄物が収容された容器本体42の、把手44に対する相対回動が阻止される構成となっているので、少し前方にする。
【0014】
尚、上記において支持板22を少し前方に引き出すのは、上方に取り出そうとする蓋50・内バケツ40とノズルとの干渉を回避するためである。
【0015】
図7〜図9に依拠して、内バケツ40について、詳細に説明する。
【0016】
内バケツ40は、容器本体42と、把手44とを備える。把手44は逆U字型をなしており、その遊端部44a・44aは、容器本体42の長手方向の略外面中央部に一体のピン46・46と回転自在に連結されている。つまり、逆U字型をなす把手44の双方の遊端部44a・44aを容器本体42のピン46・46に枢着することにより、把手44が、双方の枢着点たるピン46・46を結ぶ枢軸Xを中心として、容器本体42に対して回動可能とされる。
【0017】
容器本体42の、枢軸Xの右側の端部には、非使用位置にある把手を休止位置に保持する休止体49が一体形成されている。また、容器本体42の、枢軸Xの左側の上面部には、外方向に突出する上縁部48・48が一体形成されており、その端部48a・48aが、起立された状態の把手44の遊端部44a・44aと、所定の間隔をおいて対峙している。
【0018】
図7及び図8から明らかなように、容器本体42は、枢軸Xに関して左右対称ではなく、右側の容積が大きく設定されている。しかして、排泄物は、容器本体42の右側部分に主として収容されるので、枢軸Xの中心と排泄物を収容した容器本体42の重心とは同一鉛直線上にはなく、容器本体42が外バケツ30内で着座した状態で、起立した把手44を持ち上げたとき、容器本体42は枢軸Xの周りを時計方向に回動しようとする。しかし、把手44の遊端部44a・44aが、容器本体42の上縁部48・48の端部48a・48aと係合し、更なる回動を阻止する。これにより、容器本体42の大きな回動に伴う排泄物のこぼれが防止される。
【0019】
洗浄装置90は、前に少し述べたように、リモコン装置100を操作して、肛門若しくは女性陰部を温水洗浄するものである。この点について、以下、図9及び図10を参照しながら、詳細に説明する。
【0020】
図9に示されるように、洗浄装置90は、ケース62内に収容されたタンク91を備える。タンク91内には、ヒータ92その他の手段(図示略)で所定の温度に昇温・維持された洗浄温水が貯留される。ポンプPが作動したとき、イスの後部に設置された補助タンク93内に貯留された温水がタンク91内に圧送されて、配管99、第1位置(第2位置)にある切換弁94及び分岐管99a(分岐管99b)aを介して、肛門洗浄ノズル95(ビデ洗浄ノズル96)に供給される。そして、この温水の水圧で肛門洗浄ノズル95(ビデ洗浄ノズル96)が前方に所定距離だけ伸長し、肛門洗浄ノズル95(ビデ洗浄ノズル96)の先端の噴出口から、温水が、肛門(女性陰部)に向けて噴射される。
【0021】
かような洗浄装置90の作動は、便座への使用者の着座が確認された後、図10に示されるようなリモコン装置100からの赤外線信号が第1センサ97で受光されたとき、この信号に従って制御装置CPUが、ポンプPの駆動及び切換弁94を作動することによりなされる。しかして、赤外線センサたる第2センサ98から照射される赤外線の反射光線が確認されたとき(確認されないとき)、着座(非着座)と、制御装置CPUにより認識されるが、洗浄装置90がスタンバイの状態になるのは、着座(非着座)が制御装置CPUにより確認された後である。これは、非着座の状態で、例えばリモコン装置100が操作されて、洗浄温水がノズル95(若しくは96)から室内に放射されて床が濡れるのを防止するためである。
【0022】
しかして、図11に示されるように、便座64上にクッション体110が載置され、ポータブルトイレが安楽椅子としても使用されることがある。この場合、第2センサ98がクション体110を検知することにより、制御装置CPUが便座64へ使用者が着座していると誤認し、洗浄装置90がスタンバイの状態になる。この状態で、リモコン装置100が操作されると、洗浄温水がノズル95(若しくは96)から噴射されてクション体110を濡らす危惧がある。そこで、かような不具合が惹起されないような手当てがなさせている。すなわち、クション体110に、第2センサ98と対峙する位置に、赤外線吸収シート111が設けられている。第2センサ98から放射される赤外線が、この赤外線吸収シート111に吸収されて、第2センサ98の機能が事実上、無効化されるので、便座64上に載置されたクション体110が、便座64に着座した人と誤認されることがなく、着座なしに洗浄装置90がスタンバイの状態になり、上記した不具合が惹起されることはない。
【0023】
上記したように、洗浄機構90は、リモコン装置100との間の赤外線通信によって、操作される。しかして、洗浄機構90がリモコン装置100により操作されるのは、リモコン装置100からの赤外線信号が第1センサ97で受光されることが前提となっている。リモコン装置100から発せられる赤外線信号が、一直線に進んで、第1センサ97で受光されれば問題はないが、リモコン装置100から発せられる赤外線信号が、天井に反射した後(床面及び天井に反射した後)第1センサ97で受光されることが有り得る。この場合、信号伝達が上手くいかない可能性ある。また、介護施設の大部屋で、パーティションを隔てた状態で、同じ型のポータブルトイレが、略同時に使用されることを想定した場合、一方のポータブルトイレの使用者がビデ洗浄しようとリモコン装置を操作した場合、このリモコン装置から出た信号が、男性が着座している他方のポータブルトイレで受光さると、洗浄温水が男性の顔面を直撃することになる(男性が要介護者である場合、着座の際は前かがみになるから)。信号伝達の円滑化に加え、かようなハップニングへの対応も考慮して、リモコン装置100と制御装置CPUとが、コード130で連結されるようになっている。具体的には、コード130の一端部及び他端部に接続されたプラグ131及び132が、制御装置CPU側のジャック141及びリモコン装置100側のジャック142に夫々挿脱自在に嵌着可能ならしめることにより、リモコン装置100から制御装置CPUへの信号伝達が確実に、しかも他のポータブルトイレに影響を与えずに、確実に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態に係るポータブルトイレの斜視図である。
【図2】図1のポータブルトイレの分解斜視図である。
【図3】図1のポータブルトイレの使用開始前、便座を起立させたときの、斜視図である。
【図4】図1のポータブルトイレの使用開始前、図3の状態を齎した後、支持板を引き出したときの、斜視図である。
【図5】図1のポータブルトイレの使用開始前、図4の状態を齎した後、蓋を引き上げたときの、斜視図である。
【図6】図1のポータブルトイレの使用開始後、内バケツを引き上げようとするときの、斜視図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るバケツ単体の側面図である。
【図8】図7のバケツ単体の平面図である。
【図9】洗浄機構の側面図である。
【図10】リモコン装置の正面図である。
【図11】便座にクション体を載置したときの側面図である。
【符号の説明】
【0025】
40 バケツ(内バケツ)
42 容器本体
44 把手
48 上縁部(回動防止手段)
64 便座
90 洗浄機構
98 赤外線センサ
100 リモコン装置
110 クション体
130 コード
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポータブルトイレに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者時代の到来とともに在宅の寝たきり老人の介護が大きな社会問題となりつつある。この介護に際しては特に排泄物の処理が大変である。かような事情に鑑み、寝室・病室などの室内に家具の如く置いておくことができるポータブルトイレが種々市販されるようになってきた。しかして、例えば特許文献1に開示されるようなポータブルトイレは、洗浄ノズルより洗浄水を人体局部に向けて噴射・洗浄する局部洗浄装置を備えており、入浴すること自体が困難な病人等においても、用足し後に局部を清浄に保つことを可能ならしめている。そして、ポータブルトイレの使用者若しくは介護者が、リモコン装置を操作して局部洗浄装置を作動させるようになっている。
【特許文献1】特開2002−209796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示されたポータブルトイレを用いれば確かに、洗浄ノズルより洗浄水を人体局部に向けて噴射・洗浄する局部洗浄装置により、入浴すること自体が困難な病人等においても、用足し後に局部を清浄に保つことが可能になる。しかも、局部洗浄装置の作動はリモコン装置を操作することにより、簡易に行え、絶賛に値すると言っても過言ではない。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたポータブルトイレには、実用上、改善の余地が残されている。すなわち、このポータブルトイレは、要介護者の居室に据え置かれるが、このポータブルトイレを使用する要介護者は、所謂「寝たきり」ではないので、イスに座って休息をとりたいこともある。この場合、イスを別途、据え置くことも考えられるが、居室のスペースに余裕が無い限り、それは困難である。この場合、ポータブルトイレの便座上にクッション体を載置して、イスの代替機能を果たすようにすることが考えられるが、便座上にクッション体を置いたとき、便座近傍に設置された赤外線センサが、クッション体を人と誤認し、局部洗浄装置が作動可能状態にある。この状態の下、要介護者がリモコン装置を嬲ったり、要介護者の居室を訪れた幼児・子供がリモコンを悪戯して操作した場合、洗浄水が噴射されて、クッション体が濡れてしまうという不具合惹起の危惧がある。
【0005】
それ故に、本発明は、かような不具合が惹起されないようにすることを、その技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために講じた技術的手段は、請求項1に記載のように、
「赤外線センサが便座に着座した人を検知したときに限り、前記人の局部への温水の噴射を可能とする洗浄機構を備え、ポータブルトイレにおいて、前記便座上に載置されるクション体に、赤外線吸収シートを設けたことを特徴とするポータブルトイレ」
を構成したことである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、クション体を便座上に載置しても、クション体に設けられた赤外線吸収シートが赤外線センサの機能を無効化するので、赤外線センサがクション体を便座に着座した人と誤認することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の温水洗浄便座装置を具体化した一実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1〜図3において、ポータブルトイレ10は、イス部20を備える。イス部20には、前後方向にスライド可能な支持板22が設けられる。支持板22には孔24が形成されている。樹脂製の外バケツ30が孔24の内部に嵌入されており、外バケツ30の縁部32が支持板22と係合している。かようにして、外バケツ30は、支持板22に懸架される。
【0010】
外バケツ30の内部には、樹脂製の内バケツ40が収容される。この内バケツ40の開口部は、不使用時は、蓋50で閉塞される。
【0011】
支持板22の後方部には洗浄部60が装着される。洗浄部60は、ケース62と、ケース62に枢着された便座64と、ケース62内に設置された洗浄機構90(図10)とから構成される。洗浄機構90は、後で説明するように、内バケツ40を開放状態にし、便座62に着座した使用者が排泄した後、リモコン100を操作すると、ノズルから温水が使用者の肛門(女性陰部)に噴射されて、洗浄がなされるようになっている。
【0012】
ポータブルトイレ10は、使用されない時は、図1に示されるように、内バケツ40の開口部が蓋50で閉塞され、このような状態で、便座62が使用位置におかれる。ポータブルトイレ10を使用する場合、つまり要介護者が排泄しようとする場合、介護者は、まず、まず、便座62を起立させて(図3)、支持板22を少し前方に引き出し(図4)、蓋50を取って内バケツ40を開放状態とし(図5)て、支持板22を元に戻し、便座62を使用位置にする。そして、要介護者が便座62に着座して排泄し、温水洗浄がなされる。排泄物(大便・小便)は、内バケツ40内に収容される。
【0013】
かような一連の排泄行為が終了すると、内バケツ40内に収容される排泄物をトイレ室の便器(若しくは汚物流し)に捨てる必要があるので、支持板22が少し前方に引き出され、内バケツ40内が取り出される(図6)。以下の詳しく述べるように、内バケツ40は、排泄物が収容された容器本体42の、把手44に対する相対回動が阻止される構成となっているので、少し前方にする。
【0014】
尚、上記において支持板22を少し前方に引き出すのは、上方に取り出そうとする蓋50・内バケツ40とノズルとの干渉を回避するためである。
【0015】
図7〜図9に依拠して、内バケツ40について、詳細に説明する。
【0016】
内バケツ40は、容器本体42と、把手44とを備える。把手44は逆U字型をなしており、その遊端部44a・44aは、容器本体42の長手方向の略外面中央部に一体のピン46・46と回転自在に連結されている。つまり、逆U字型をなす把手44の双方の遊端部44a・44aを容器本体42のピン46・46に枢着することにより、把手44が、双方の枢着点たるピン46・46を結ぶ枢軸Xを中心として、容器本体42に対して回動可能とされる。
【0017】
容器本体42の、枢軸Xの右側の端部には、非使用位置にある把手を休止位置に保持する休止体49が一体形成されている。また、容器本体42の、枢軸Xの左側の上面部には、外方向に突出する上縁部48・48が一体形成されており、その端部48a・48aが、起立された状態の把手44の遊端部44a・44aと、所定の間隔をおいて対峙している。
【0018】
図7及び図8から明らかなように、容器本体42は、枢軸Xに関して左右対称ではなく、右側の容積が大きく設定されている。しかして、排泄物は、容器本体42の右側部分に主として収容されるので、枢軸Xの中心と排泄物を収容した容器本体42の重心とは同一鉛直線上にはなく、容器本体42が外バケツ30内で着座した状態で、起立した把手44を持ち上げたとき、容器本体42は枢軸Xの周りを時計方向に回動しようとする。しかし、把手44の遊端部44a・44aが、容器本体42の上縁部48・48の端部48a・48aと係合し、更なる回動を阻止する。これにより、容器本体42の大きな回動に伴う排泄物のこぼれが防止される。
【0019】
洗浄装置90は、前に少し述べたように、リモコン装置100を操作して、肛門若しくは女性陰部を温水洗浄するものである。この点について、以下、図9及び図10を参照しながら、詳細に説明する。
【0020】
図9に示されるように、洗浄装置90は、ケース62内に収容されたタンク91を備える。タンク91内には、ヒータ92その他の手段(図示略)で所定の温度に昇温・維持された洗浄温水が貯留される。ポンプPが作動したとき、イスの後部に設置された補助タンク93内に貯留された温水がタンク91内に圧送されて、配管99、第1位置(第2位置)にある切換弁94及び分岐管99a(分岐管99b)aを介して、肛門洗浄ノズル95(ビデ洗浄ノズル96)に供給される。そして、この温水の水圧で肛門洗浄ノズル95(ビデ洗浄ノズル96)が前方に所定距離だけ伸長し、肛門洗浄ノズル95(ビデ洗浄ノズル96)の先端の噴出口から、温水が、肛門(女性陰部)に向けて噴射される。
【0021】
かような洗浄装置90の作動は、便座への使用者の着座が確認された後、図10に示されるようなリモコン装置100からの赤外線信号が第1センサ97で受光されたとき、この信号に従って制御装置CPUが、ポンプPの駆動及び切換弁94を作動することによりなされる。しかして、赤外線センサたる第2センサ98から照射される赤外線の反射光線が確認されたとき(確認されないとき)、着座(非着座)と、制御装置CPUにより認識されるが、洗浄装置90がスタンバイの状態になるのは、着座(非着座)が制御装置CPUにより確認された後である。これは、非着座の状態で、例えばリモコン装置100が操作されて、洗浄温水がノズル95(若しくは96)から室内に放射されて床が濡れるのを防止するためである。
【0022】
しかして、図11に示されるように、便座64上にクッション体110が載置され、ポータブルトイレが安楽椅子としても使用されることがある。この場合、第2センサ98がクション体110を検知することにより、制御装置CPUが便座64へ使用者が着座していると誤認し、洗浄装置90がスタンバイの状態になる。この状態で、リモコン装置100が操作されると、洗浄温水がノズル95(若しくは96)から噴射されてクション体110を濡らす危惧がある。そこで、かような不具合が惹起されないような手当てがなさせている。すなわち、クション体110に、第2センサ98と対峙する位置に、赤外線吸収シート111が設けられている。第2センサ98から放射される赤外線が、この赤外線吸収シート111に吸収されて、第2センサ98の機能が事実上、無効化されるので、便座64上に載置されたクション体110が、便座64に着座した人と誤認されることがなく、着座なしに洗浄装置90がスタンバイの状態になり、上記した不具合が惹起されることはない。
【0023】
上記したように、洗浄機構90は、リモコン装置100との間の赤外線通信によって、操作される。しかして、洗浄機構90がリモコン装置100により操作されるのは、リモコン装置100からの赤外線信号が第1センサ97で受光されることが前提となっている。リモコン装置100から発せられる赤外線信号が、一直線に進んで、第1センサ97で受光されれば問題はないが、リモコン装置100から発せられる赤外線信号が、天井に反射した後(床面及び天井に反射した後)第1センサ97で受光されることが有り得る。この場合、信号伝達が上手くいかない可能性ある。また、介護施設の大部屋で、パーティションを隔てた状態で、同じ型のポータブルトイレが、略同時に使用されることを想定した場合、一方のポータブルトイレの使用者がビデ洗浄しようとリモコン装置を操作した場合、このリモコン装置から出た信号が、男性が着座している他方のポータブルトイレで受光さると、洗浄温水が男性の顔面を直撃することになる(男性が要介護者である場合、着座の際は前かがみになるから)。信号伝達の円滑化に加え、かようなハップニングへの対応も考慮して、リモコン装置100と制御装置CPUとが、コード130で連結されるようになっている。具体的には、コード130の一端部及び他端部に接続されたプラグ131及び132が、制御装置CPU側のジャック141及びリモコン装置100側のジャック142に夫々挿脱自在に嵌着可能ならしめることにより、リモコン装置100から制御装置CPUへの信号伝達が確実に、しかも他のポータブルトイレに影響を与えずに、確実に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態に係るポータブルトイレの斜視図である。
【図2】図1のポータブルトイレの分解斜視図である。
【図3】図1のポータブルトイレの使用開始前、便座を起立させたときの、斜視図である。
【図4】図1のポータブルトイレの使用開始前、図3の状態を齎した後、支持板を引き出したときの、斜視図である。
【図5】図1のポータブルトイレの使用開始前、図4の状態を齎した後、蓋を引き上げたときの、斜視図である。
【図6】図1のポータブルトイレの使用開始後、内バケツを引き上げようとするときの、斜視図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るバケツ単体の側面図である。
【図8】図7のバケツ単体の平面図である。
【図9】洗浄機構の側面図である。
【図10】リモコン装置の正面図である。
【図11】便座にクション体を載置したときの側面図である。
【符号の説明】
【0025】
40 バケツ(内バケツ)
42 容器本体
44 把手
48 上縁部(回動防止手段)
64 便座
90 洗浄機構
98 赤外線センサ
100 リモコン装置
110 クション体
130 コード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線センサが便座に着座した人を検知したときに限り、前記人の局部への温水の噴射を可能とする洗浄機構を備え、ポータブルトイレにおいて、前記便座上に載置されるクション体に、赤外線吸収シートを設けたことを特徴とする、ポータブルトイレ。
【請求項2】
請求項1において、前記赤外線センサは、前記便座の後部に設置された戦場部のケース表面に設けられ、前記赤外線吸収シートは、前記赤外線センサと対面している前記クッション体の表面に設けられることを特徴とする。ポータブルトイレ。
【請求項1】
赤外線センサが便座に着座した人を検知したときに限り、前記人の局部への温水の噴射を可能とする洗浄機構を備え、ポータブルトイレにおいて、前記便座上に載置されるクション体に、赤外線吸収シートを設けたことを特徴とする、ポータブルトイレ。
【請求項2】
請求項1において、前記赤外線センサは、前記便座の後部に設置された戦場部のケース表面に設けられ、前記赤外線吸収シートは、前記赤外線センサと対面している前記クッション体の表面に設けられることを特徴とする。ポータブルトイレ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−109879(P2006−109879A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−297230(P2004−297230)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]