説明

ポータブル電子デバイスのバックアップ電源システム及びバックアップ電力の供給方法

【課題】ポータブル電子デバイスのバックアップ電源システム及びバックアップ電力の供給方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、ポータブル電子デバイスのバックアップ電源システム、及び、バックアップ電力の供給方法を開示し、予め設定したポータブル電子デバイスをパックアップ電池の給電状態下の所定消費電力状態で作動させることができると共に主電池の抜き取りの有無の検出を介することで、利用者がポータブル電子デバイスをシャットダウンしなくてもポータブル電子デバイス内の主電池を直接交換できることで、時間の節約という目的を達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポータブル電子デバイスのバックアップ電源システム及びバックアップ電力の供給方法に関し、特に、シャットダウンしなくてもポータブル電子デバイスの主電池を交換できるバックアップ電源システム及びバックアップ電力の供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯電話、携帯情報端末等の一般的なポータブル電子デバイスは、軽薄短小の設計をベースとし、通常でも電池1個のみ搭載されている。このため、ポータブル電子デバイスの電池電力が間もなく切れそうになった時、利用者はデータの消失を避けるため、まず現在操作しているデータを保存してからポータブル電子デバイスをシャットダウンし、シャットダウン処理を終えてから電池を交換でき、この電池を交換してからポータブル電子デバイスを再起動させ電池交換前の使用状態に戻している。
【0003】
しかしながら、電子デバイスの起動とシャットダウンはある程度時間を必要とし、これら時間の消費は往々にして利用者に迷惑となり、更にポータブル電子デバイスで処理していた最中に重要な事項をすぐに中断しなければならない。これは、日増しに増加しているポータブル電子デバイスにとって、明らかに利用者の重要な要因になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、利用者がポータブル電子デバイスをシャットダウンしなくてもポータブル電子デバイス内の主電池を交換させることができることである。
【0005】
本発明の別の目的は、主電池を交換した後、迅速にポータブル電子デバイスを正常に戻らせることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的及びその他の目的を達成するため、本発明のポータブル電子デバイスのバックアップ電源システムは、主電池の交換時に電力を該ポータブル電子デバイスに供給するのに用いられ、パックアップ電池と、該パックアップ電池に接続することで、該パックアップ電池の給電経路をオン或いはオフにするスイッチングユニットと、該スイッチングユニットに接続し、該ポータブル電子デバイスを所定消費電力状態に設定する設定信号を受信するために用いられ、且つ該主電池が給電を停止した時、該スイッチングユニットの給電経路をオンにし、該ポータブル電子デバイスを該パックアップ電池の給電状態で作動させることができる制御ユニットと、を含む。
【0007】
上述の目的及びその他の目的を達成するため、本発明で提供するポータブル電子デバイスのバックアップ電力の供給方法には、該ポータブル電子デバイスが該パックアップ電池の給電状態下でも作動できる所定消費電力状態に設定されているかを検出するステップと、該ポータブル電子デバイスの主電池が給電を停止したのかを検出するステップと、上記検出ステップの結果が全て「はい」と判断した時、パックアップ電池に切り替えて該ポータブル電子デバイスの負荷に必要な電力を供給するステップと、を含む。
【0008】
本発明の一実施例において、該制御ユニットは、該設定信号の受信、該主電池の給電停止、且つ該ポータブル電子デバイスが外部電源に接続しない時、該スイッチングユニットの給電経路をオンにすることができるためのものである。
【0009】
本発明の一実施例において、判断ステップ前において、該ポータブル電子デバイスが外部電源に接続しているかを検出するステップを更に含む。
【0010】
本発明の一実施例において、該所定消費電力状態は、該ポータブル電子デバイスで選択した特定機能の動作を保持させ、他の選択されなかった機能の動作を無効にさせる。
【0011】
本発明の一実施例において、該所定消費電力状態は低消費電力状態とする。
【発明の効果】
【0012】
これにより、該所定消費電力状態下の消費電力量とパックアップ電池の電源容量間の整合を介し、ポータブル電子デバイスの性質によって特定電池容量のパックアップ電池を配置することで、ポータブル電子デバイスの電池を交換した後でも速やかに特定機能に戻れるようにでき、更には主電池の交換時にも、やはり特定機能の作動を維持でき、従って起動やシャットダウンのスタンバイ時間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例におけるバックアップ電源システムの機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施例におけるバックアップ電力の供給方法のフローチャートである。
【図3】本発明の別の一実施例におけるバックアップ電力の供給方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の目的、特徴及び効果を更に明確に分かりやすくするため、具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
本発明の実施例において言及する各種構成要素は、例示だけであり、本発明の実施例内に記述する機能或いは方法を達成できる構成要素を本発明に適用できることについて、当業者には明らかになるであろう。
【0016】
まず本発明の一実施例内におけるバックアップ電源システムの機能ブロックを図1を参照しながら説明する。バックアップ電源システム100には、パックアップ電池101と、スイッチングユニット103と、制御ユニット105とを含む。
【0017】
パックアップ電池101は、ポータブル電子デバイスの主電池が給電を停止した時、例えば主電池を抜き取った際、ポータブル電子デバイスの必要とする電力を供給することに用いる。以下、負荷200をポータブル電子デバイスの電力消費の総称とする。
【0018】
スイッチングユニット103は、パックアップ電池101と負荷200の間に接続することで、パックアップ電池101の負荷200に給電する経路をオン或いはオフにする。該スイッチングユニット103は、例えばトランジスタとすることができ、制御信号CSの制御を受けて、導通又は非導通に制御することで、パックアップ電池101から負荷200間までの経路をオン或いはオフにさせることができる。該スイッチングユニット103について例えば、PMOS若しくはNMOSを用いることができる。
【0019】
制御ユニット105はスイッチングユニット103に接続する。制御ユニット105は、例えばMCU或いはCPU等の制御装置とすることができる。制御ユニット105が設定信号SSを受信すると共に該主電池が給電を停止した時(例:主電池の抜き取り)、制御ユニット105が送り出した制御信号CSはスイッチングユニット103の給電経路をオンにさせ、パックアップ電池101の電力を負荷200に供給させることできる。言い換えると、当該二つの要件が同時に満たされなかった場合、制御ユニット105はスイッチングユニット103のオン動作をトリガしない。例を挙げると、ポータブル電子デバイスは利用者の操作により選択的に所定消費電力状態に設定させることができる。例えば、利用者が主電池を交換しようとする時、特定ボタンを押して設定信号SSを生成することができる。該設定信号SSはポータブル電子デバイスのシステムが低消費電力状態に入らせると共に制御ユニット105に伝送できる。ポータブル電子デバイス内のどの機能動作を継続して維持させることができるかを決定するため、利用者はパックアップ電池の電源容量の大きさによって所定消費電力状態を設定できる。
【0020】
本発明の一実施例におけるバックアップ電力の供給方法のフローチャートを、図2を参照しながら説明する。
【0021】
ステップS101は、該ポータブル電子デバイスが所定消費電力状態に入ったかを検出する。ステップS103は、該ポータブル電子デバイスの主電池が給電を停止したのかを検出する。またステップS201は、上記検出ステップの結果が全て「はい」と判断した時、ステップ301に入って該制御ユニット105を制御することで、パックアップ電池101に切り替わりポータブル電子デバイスの負荷200に必要な電力を供給できる。
【0022】
所定消費電力状態とは、利用者が主電池を交換しようとする時の特殊な作動状態をいい、例えば低消費電力状態である。この状態はパックアップ電池101の電源容量の大きさによってこの特殊作動状態中の正常に作動できる機能を定義できる。一方、実際のニーズに応じて該ポータブル電子デバイスのパックアップ電池の電源容量の大きさを決定できる。
【0023】
例を挙げると、もしも該ポータブル電子デバイスが携帯電話の場合、該パックアップ電池の電源容量の大きさは利用者が正常な通話を少なくとも1つの所定時間のみに行わせるよう設計できる。こうすることで、利用者の通話過程中に主電池がなくなりそうになった際、利用者は例えばショートカットキー等の操作でポータブル電子デバイスを主電池の交換モードに入らせることができる。この時の所定消費電力状態で通話機能を維持できるため中断することなく、従って利用者が主電池を抜き取った時、パックアップ電池が直ちに給電し、利用者が主電池の交換を終えた時、主電池の給電停止要件がなくなるため、ポータブル電子デバイスは主電池からの給電に戻る。前述の利用者が正常な通話を少なくとも1つの所定時間のみに行わせることとは、パックアップ電池の電力の全てを通話機能に供給させることができるため、携帯電話の他の機能(例えばインターネット接続機能)が一時的に停止することをいう。
【0024】
同じように、パックアップ電池の限られた容量の下で、所定消費電力状態を利用者がインターネット接続機能を少なくとも1つの所定時間のみに行わせるよう設定でき、若しくはポータブル電子デバイスが所定消費電力状態の複数選択肢を利用者に選択させ、利用者が維持したい機能によって特定の所定消費電力状態に入らせることができる。
【0025】
更に一歩進んで、パックアップ電池は自身の充電を行うため、充電回路を通じて主電池の電力を受け入れることができる。
【0026】
次に、本発明の別の一実施例内におけるバックアップ電力の供給方法のフローチャート図3を参照しながら説明する。前記図2内で言及された2つの検出要件以外に、利用者の可能な行為を更に考えたところ、3つ目の検出要件である該ポータブル電子デバイスが外部電源(例えばAC/DC変圧器から供給)に接続しているかを検出するステップS105を更に含むことができる。上記の計3つの検出ステップの結果が全て「はい」の時、パックアップ電池に切り替わって該ポータブル電子デバイスの負荷に必要な電力を供給することができる。
【0027】
ポータブル電子デバイスをシャットダウンしなくても主電池を交換できる利便性により、利用者はポータブル電子デバイスを外部電源に接続する状況において所定消費電力状態に入ると共に主電池の交換を行う可能性もあるため、3つ目の検出要件を追加できる。その他、パックアップ電池の寿命延長或いはその他の有益な目的のため、前記3つ目の検出要件を追加できる。
【0028】
上述を取りまとめると、本発明の実施例のポータブル電子デバイスのバックアップ電源システム及びバックアップ電力の供給方法は、ポータブル電子デバイスの使用ニーズに応じて所定消費電力状態を設定でき、従って主電池を交換した後、速やかに特定機能を回復でき、更に主電池交換時にもやはり特定機能の作動を維持できることで、起動やシャットダウンのスタンバイ時間を省き、時間節約という目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0029】
100 バックアップ電源システム
101 パックアップ電池
103 スイッチングユニット
105 制御ユニット
200 負荷
CS 制御信号
SS 設定信号
S101〜S301 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブル電子デバイスが所定消費電力状態で主電池を交換時に前記ポータブル電子デバイスの作動のために電力を供給し、
パックアップ電池と、
前記パックアップ電池に接続することで、前記パックアップ電池から前記ポータブル電子デバイスへの給電経路をオン、或いは、オフにするスイッチングユニットと、
前記スイッチングユニットに接続し、前記ポータブル電子デバイスを所定消費電力状態に設定する設定信号を受信し、且つ、前記主電池が給電を停止した時、前記スイッチングユニットの給電経路をオンにし、前記ポータブル電子デバイスを前記パックアップ電池の給電状態で作動させることができる制御ユニットと、
を含むことを特徴とするポータブル電子デバイスのバックアップ電源システム。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記設定信号の受信、前記主電池の給電停止、前記ポータブル電子デバイスが外部電源に接続しない時、前記スイッチングユニットの給電経路をオンにすることができ、且つ、前記所定消費電力状態が低消費電力状態であることを特徴とする請求項1に記載のバックアップ電源システム。
【請求項3】
ポータブル電子デバイスがパックアップ電池の給電状態下でも作動できる所定消費電力状態に設定されているかを検出するステップと、
前記ポータブル電子デバイスの主電池が給電を停止したのかを検出するステップと、
上記検出ステップの結果が全て「はい」と判断した時、バックアップ電池に切り替わって前記ポータブル電子デバイスの必要な電力を供給するステップとを、
含むことを特徴とするポータブル電子デバイスのバックアップ電力の供給方法。
【請求項4】
判断ステップ前において、前記ポータブル電子デバイスが外部電源に接続しているかを検出するステップを更に含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記所定消費電力状態は、該ポータブル電子デバイスを一部の特定機能のみで作動させることを特徴とする請求項3に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−39018(P2013−39018A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−281833(P2011−281833)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(511236659)亞旭電子科技(江蘇)有限公司 (16)
【出願人】(507028952)亞旭電腦股▲ふん▼有限公司 (44)
【Fターム(参考)】