説明

マイクロアレイ上での逆転写

本発明は、遺伝子の新規検出方法を提供する。注目のRNA分子を検出するための方法であって、特定のRNA分子に対し比類なく相補的なオリゴヌクレオチドプライマーが、逆転写酵素又は逆転写酵素活性を有する任意な酵素で標的RNAを逆転写するためのプライマーとして使用される方法が提供される。本発明は、試料中のプローブと結合した標的RNAの逆転写の伸長産物内に検出可能標識を取り込むことによって標的RNAを標識又は変換する必要性を排除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸生物学の分野に関する。具体的には、本発明は、マイクロアレイ上での核酸の検出の分野に関する。更に具体的には、本発明は、逆転写を用いたマイクロアレイ上での特定のRNAの検出、に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の生細胞における遺伝子発現パターンは、その現状に特有のものである。細胞の状態又は型におけるほぼ全ての差異は、1又は複数の遺伝子のRNAレベルの差異に反映される。特徴付けられていない遺伝子の発現パターの比較は、それらの機能に対する手がかりを提供することがある。何百又は何千の遺伝子の発現のハイスループット解析は、(a)複合的な遺伝子疾患の同定、(b)病原体(例えばウイルス及び細菌、酵母及び原生動物等の微生物)の解析及び検出、(c)組織と病状との間での、経時的な、ディファレンシャルな遺伝子発現の解析、及び(d)創薬及び毒物学研究、において役立つことがある。例えば、ある遺伝子の発現レベルの増大又は低下は、発ガン遺伝子が腫瘍形成のポジティブな制御因子であり、一方、腫瘍抑制遺伝子が腫瘍形成のネガティブな制御因子であるように、ガンの生物学と相関している(Marshall, Cell, 64: 313-326 (1991); Weinberg, Science, 254: 1138-1146 (1991))。しかしながら、少量のそのような発現した遺伝子材料の検出は、生物学的研究及び臨床的診断における大きな課題である。
【0003】
異なる生物学的供給源における遺伝子発現レベルを検出し、そして比較するための多数の方法が当業界で知られている。そのようなRNAレベルの検出のための1つの標準的な方法はノーザンブロットである。この技術において、RNAは試料から抽出され、そしてRNA解析に適した種々のゲルのうちのいずれかに添加され、これらは続いて、標準的な方法に従い(例えば、Sambrook, J., et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (2nd ed. 1989)を参照のこと)、サイズごとにRNAを分離する試験にかけられる。続いてゲルをブロッティングし(上記Sambrookに記載の通り)、そして注目のRNAの検出のためにプローブとハイブリダイズする。ノーザンブロットは診断目的では滅多に使用されず;それらは主に研究目的で使用される。
【0004】
DNAマイクロアレイ技術の近年の発展は、多数の標的分子の大規模アッセイを単一の固相支持体上で実施することを可能にしている。米国特許第5,837,832号(Chee et al.)及び関連特許出願には、試料中の特定の核酸配列のハイブリダイゼーション及び検出のためのオリゴヌクレオチドのアレイの固定が記載されている。注目の標的ポリヌクレオチドはDNAチップとハイブリダイズし、そして特定の配列の変化が、標的ポリヌクレオチドの優先度及び別々のプローブ位置でのハイブリダイゼーションの程度に基づき検出される。アレイの1つの重要な用途は、ディファレンシャルな遺伝子発現の解析におけるものであり、ここで、異なる細胞、しばしば注目の細胞とコントロールの細胞、における遺伝子発現が比較され、そして各細胞間の遺伝子発現のあらゆる差異が同定される。そのような情報は、既知の環境における特定の細胞又は組織の型において発現する遺伝子の型の同定にとって有用である。アレイの経済学は、多数の遺伝子についての転写事象の迅速な検出のために高密度なデザインのマイクロアレイ用プラットホームを提供する。
【0005】
典型的には、注目の試料由来のRNAは、標識されたcDNAを得るために逆転写にかけられる。米国特許第6,410,229号(Lockhart et al.)を参照のこと。cDNAは、続いて、既知の順番でチップ又はほかの表面上にアレイされた既知の配列のオリゴヌクレオチド又はcDNAとハイブリダイズされる。標識されたcDNAがハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの位置は、当該cDNAの配列情報を提供し、一方、標識されてハイブリダイズされたRNA又はcDNAの量は、注目のRNA又はcDNAマイクロアレイの推定上の相対的表示を提供する。Schena, et al. Science 270:467-470 (1995)を参照のこと。例えば、ヒトのガンにおける遺伝子発現パターンを解析するためのcDNAマイクロアレイの使用は、DeRisi等により説明されている(Nature Genetics 14:457-460 (1996))。
【0006】
米国特許第5,888,819号(Goelet, et al.)は、注目の核酸における特定の位置でのヌクレオチド塩基の同一性を決定する方法であって、注目の核酸における特定の位置でのヌクレオチド塩基の同一性を決定するための核酸鋳型依存性プライマーの少なくとも2つの異なるターミネーターの使用を包含する方法を開示する。この方法は、dATP、dCTP、dGTP、又はdTTPの不在下での標識されたターミネーターの使用を包含するので、前記プライマー多くとも1個のヌクレオチドが伸長されうる。
【0007】
米国特許第6,352,829号(Chenchik et al.)は、2又はそれ以上の生理学的供給源間のRNAプロファイルの差異を解析する方法であって、各供給源由来のRNAと代表的な数の遺伝子特異的プライマーとを接触させ、そして次に標識cDNAの結果として生じた亜集団をオリゴヌクレオチドプライマーとハイブリダイズすることにより解析する方法を開示している。
【0008】
現在のハイブリダイゼーションベースの配列変異アッセイには複数の問題が伴い、その結果、それらの利用が制限されている。Hacia (1999) Nature Genetics Supp. 21: 42-47を参照のこと。例えば、ハイブリダイゼーションアッセイの精度は乏しいままである。あらゆる2つの配列に適用される同一の実験アプローチは、非常に異なる精度を伴う結果を生成することがある。マイクロアレイ解析の制限には、更に、小容量及び少量のマイクロアレイ検出にのみ利用可能な核酸を検出するという困難性が含まれる。核酸ハイブリダイゼーションに基づくあらゆる技術のように、マイクロアレイハイブリダイゼーションの感度は、利用可能な標的核酸の数、すなわち遺伝子発現の存在量により大きく制限される。
【0009】
現在、これらの制限は、核酸の標的に対して付着される標識シグナル(例えば、蛍光タグ)を増幅し、そして/あるいは検出することによりある程度まで克服されている。これらの方法の弱点は、標的RNAを検出するために、それは最初に、通常標識されたcDNAへの変換を介して標識されなければならないということである。RNAの標識方法は高価で時間がかかり、そして標識の効率の配列特異的な差異に起因して特定のmRNAの相対的な存在量についての検出結果を変化させるようである。マイクロアレイ上で1又は複数の標的RNAを検出するより効率的で感度の良い方法を開発することは当業界で重大な利点である。
【0010】
ある方法において、逆転写は天然のヌクレオチドの存在下で実施され、そして生じたRNA/DNA二本鎖はRNA−DNA二本鎖に対する抗体によって直接検出される。米国特許第6,227,579号(Lazar et al.)は、各プライマーが注目のRNA分子に特有である、逆転写プライマーのアレイが逆転写酵素を用いてRNAを逆転写するのに使用される注目の標的RNA分子を、(それらを標識することなく)注目の標的RNA分子を検出する方法を記載している。抗二本鎖RNA:DNA分子ハイブリッド抗体が、固相上で当該ハイブリッドを検出するために使用される。捕獲又は検出のためのRNA:DNAハイブリッド抗体は、Kitawaga, Y. and Stollar, B. D., Mol. Immunology 19:413-420 (1982)の方法により、又は米国特許第4,732,847号(Stuart et al.)に記載の方法に従い調製される。RNA/DNAハイブリッドの検出がRNA/DNAハイブリッド特異的抗体の使用によって実施されるので、この方法における使用のための逆転写酵素は、RNアーゼH機能を欠くように仕立てられなければならない。
【0011】
好ましくは、抗ハイブリッド抗体の標識は、酵素、蛍光分子又はビオチン−アビジン複合体であり、そして非放射性である。当該標識は、続いて当業界で周知な常用の手段、例えばカロリメーター、ルミノメーター、又は蛍光検出器により検出されうる。
【0012】
感度の増大又は精度の上昇に伴い、何百何千ものRNA標識の迅速なハイスループット解析の必要性が存在している。標的RNAの標識に関連する欠点を回避することにより、遺伝子発現レベルの検出の効率及び精度を向上させる必要性が存在している。
【発明の開示】
【0013】
本発明の要約
本発明は、常用のハイブリダイゼーションベースのアプローチと比較した場合に、より高い感度、より良い精度及びより少ない時間消費での遺伝子発現の検出方法を提供する。
【0014】
本発明は、注目のRNA分子を検出する方法であって、注目の特定RNA分子に対し比類なく相補的なオリゴヌクレオチドプライマーが、そのようなRNAを逆転写酵素又は逆転写酵素活性を有する任意な酵素で逆転写するためのプライマーとして使用される方法、に関する。
【0015】
1つの側面において、本発明は、試料中の標的RNAの逆転写伸長産物に検出可能な標識を取り込むことにより標的RNAを標識又は変換する必要性を排除する。
【0016】
1つの側面において、本発明は、より短いプライマーを逆転写酵素反応に用いることにより検出精度を増強する。
【0017】
別の側面において、本発明は、特注の逆転写酵素(RT)を用いる必要性を排除し、そしてRNアーゼH型ヌクレアーゼ活性を欠く、又は欠かない逆転写酵素を用いて使用されうる。
【0018】
本発明の1つの側面において、試料中の標的RNAを検出する方法であって、(a)標的RNAと相補的な配列を含んで成るDNAプライマーを含んで成るアレイを準備し;(b)当該プライマーとRNA試料とを、当該プライマーと標的RNAとの間の特異的なハイブリダイゼーションを促進する条件下で接触させ:(c)プライマー−RNAヘテロ二本鎖と逆転写酵素とを、当該RNAのcDNAへの逆転写を可能にする条件であって、検出可能な標識が当該cDNA内に取り込まれるような条件下でインキュベートし;そして(d)逆転写酵素により合成された新生cDNA鎖内に取り込まれた検出可能な標識を検出すること、を含んで成り、ここで、当該cDNAにおける標識の存在が、試料中の標的RNAの存在を示唆する、方法、を提供する。当該方法は更に、(e)試料細胞中の標的RNAの存在又は不在を、参照細胞のものと比較することを含んでもよい。別の態様において、当該方法は、(e)試料細胞中の標的RNAのレベルを決定し、そして参照細胞におけるレベルと比較すること、を含んで成る。
【0019】
1つの態様において、多数のDNAプライマーが試料中の多数の標的RNAを検出するのに準備され、ここで、各プライマーは異なる標的RNA分子と相補的であり、そして各プライマーは固形の支持体上の別個の且つ同定可能な位置にある。
【0020】
1つの態様において、検出可能な標識は、放射標識された分子、蛍光分子、及び色素生産性分子、から成る群から選択される。別の態様において、検出可能な標識は、新生のポリヌクレオチド内に取り込まれた第二の標識と結合する分子と複合される。
【0021】
1つの態様において、当該試料は細胞由来であり、そして少なくとも1つの標的RNAの存在又は不在は、感染、病状、病状に対する素因、発生上の状態、物理的状態、化学的状態及び生物学的状態、から成る群から選択される状態を示唆する。
【0022】
別の態様において、前記プライマーは、当該プライマーの3’末端が遊離するように、共有結合により基板上に固定される。当該共有結合は、シッフ塩基、光開裂可能な結合、静電結合、ジスルフィド結合、ペプチド結合、ジエステル結合、及び選択的に放出可能な結合、から成る群から選択されうる。1つの態様において、当該プライマーは、当該プライマーの3’末端が遊離するように、非共有結合的なカップリングにより基板上に固定される。非共有結合的なカップリングは、静電的相互作用、水素結合、抗体−抗原カップリング、ビオチン−アビジン相互作用、ビオチン−ストレプトアビジン相互作用、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)プロテインA−IgG抗体Fcフラグメント相互作用、及びストレプトアビジン/プロテインAキメラ、から成る群から選択されうる。
【0023】
1つの態様において、基板は、プラスチック、セラミック、ナイロン、ポリエステル、金属、樹脂、ゲル、メンブレン、ニトロセルロース膜、板、ビーズ、薄膜、ガラス、シリンダー、タグ付きビーズ、磁気ビーズ、光ファイバー、及び繊維織物、から成る群から選択される。
【0024】
本発明の複数の側面において、RNA試料は生物学的供給源から単離され、RNA試料は生物学的供給源からの単離後に増幅されることがあり、RNA試料はin vitroでの転写によって調製され、そしてRNA試料は少なくとも1つの発現調節RNAを含んで成る。
【0025】
1つの態様において、プライマーは、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、及びSP6 RNAポリメラーゼから成る群から選択されるDNA依存性RNAポリメラーゼのプロモーターについての配列を含んで成る。
【0026】
1つの態様において、前記方法は更に、(e)特にTaq DNAポリメラーゼ、Tth1 DNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、又は熱安定性逆転写酵素を用いてin situで実施されるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってcDNA鎖を増幅させること、を含んで成る。
【0027】
1つの態様において、試料中の標的RNAを検出する方法であって、(a)標的RNAの配列と相補的な配列を含んで成る少なくとも1つのDNAプライマーを含んで成るマイクロアレイを準備し;(b)当該マクロアレイとRNA試料とを、前記プライマーと前記標的RNAとの間の特異的なハイブリダイゼーションを可能にする条件下で接触させ;(c)プライマー−RNAヘテロ二本鎖と逆転写酵素とを、当該RNANのcDNAへの転写を可能にする条件下でインキュベートし;そして(d)前記逆転写酵素によって合成されたcDNA−RNAヘテロ二本鎖を検出すること、を含んで成り、ここで、cDNA−DNAヘテロ二本鎖の存在が、試料中の標的RNAの存在を示唆し、ここで、当該検出はDNA−RNAハイブリッドに対する抗体によって媒介されない、方法を提供する。幾つかの態様において、検出可能な標識は、新生ポリヌクレオチドに結合する分子と複合される。1つの態様において、この方法は更に、(e)熱安定性逆転写酵素を準備し;そして(f)多サイクルのプライマー伸長反応を、温度が各サイクルの間cDNA−RNAハイブリッドの融点を超している条件下で実施すること、を含んで成る。
【0028】
1つの態様において、cDNA−RNAヘテロ二本鎖は二本鎖ポリヌクレオチドに特異的に結合する検出可能な試薬によって検出され、ここで、当該検出可能な試薬が、インターカレート化合物、ポリヌクレオチド二本鎖依存性蛍光消光化合物、DAPI、臭化エチジウム、チアゾールオレンジ、ビス−ベンズイミド及びアクリジンオレンジ、から成る群から選択されてもよい。別の態様において、検出可能な試薬は、当該試薬に結合する第二の検出可能分子によって間接的に検出可能である。
【0029】
本発明は更に、試料中の標的RNAを検出するための方法であって:(a)当該標的RNAと相補的な配列を含んで成るDNAプライマーを含んで成るアレイを準備し;(b)当該プライマーとRNA試料とを、当該プライマーと標的RNAとの間の特異的なハイブリダイゼーションを促進する条件下で接触させ;(c)プライマー−RNAヘテロ二本鎖と熱安定性逆転写酵素とを、当該RNAのcDNAへの逆転写を可能にして検出可能標識が当該cDNA内に取り込まれるような条件下でインキュベートし;(d)少なくとも2サイクルのハイブリダイゼーションと逆転写を、RNA:cDNA二本鎖の融点より高い温度を含んで成る条件下で実施し;そして(e)前記逆転写酵素によって合成された新生cDNA鎖内に取り込まれた検出可能標識を検出すること、を含んで成り、ここで、前記cDNAにおける前記標識の存在が試料中の標的RNAの存在を示唆する、方法、を提供する。
【0030】
この方法の幾つかの態様において、ハイブリダイゼーションと逆転写の段階はRNアーゼH阻害剤の存在下で実施され、あるいは熱安定性逆転写酵素がRNアーゼH機能を欠いている。
【0031】
参照配列と比較した場合の標的ポリヌクレオチドの配列変異を同定するためのキットであって、a)固相支持体上に固定された少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーのアレイであって、各オリゴヌクレオチドプライマーが、標的RNAに対して相補的な配列を含んで成るよう選択され、そしてアレイの同定可能な且つ別個の領域を占めるアレイ;b)当該アレイ上での逆転写反応に適した試薬;及びc)当該アレイ上での新生cDNA鎖を検出するための検出手段、を含んで成るキットが提供される。当該キットは更に、逆転写反応の間に新生cDNA鎖内に取り込まれる検出可能標識を含んで成ることもある。
【0032】
本発明の方法は、相対的に小さいプライマーの特異的なハイブリダイゼーションに基づいた相対的に大きなシグナルの検出を可能にする。プローブハイブリダイゼーションを包含する検出方法と比較して、この方法は、検出の特異性の増大を可能にする。当該方法はまた、標的RNAの標識の事前の標識を回避する。開示した方法において利用される逆転写プライマーは相対的により短く、そしてそれ故に非特異的ハイブリダイゼーションの影響をほとんど受けない。開示した方法によって生じる特異性及びシグナルは、熱安定性逆転写酵素を用い、そして多サイクルの、高温、例えばプライマーと標的RNAとの間のハイブリッドの融点付近の温度での逆転写を実施することによって更に増大することができる。
【0033】
本発明の詳細な説明
本発明は、注目のRNA分子の検出方法であって、注目の特定RNA分子と相補的なオリゴヌクレオチドプライマーが、逆転写活性を有する酵素でそのようなRNAを逆転写するためのプライマーとして使用される方法、に関する。伸長されたプライマーは、直接的又は間接的に標識され、そして適切な手段によって検出される。当該方法の態様の概略図を図1A〜1Dに示す。支持体上の別個の部位に付着される3’末端を有するプライマー/プローブのアレイを提示する(図1A)。当該アレイは、当該プライマー/プローブと相補的な標的RNAがハイブリダイゼーションにより当該アレイ上に固定されるようにRNA試料と接触される(図1B)。固定化された標的RNAは、RNA依存性DNAポリメラーゼにより、プライマーとして前記プライマー/プローブを用い、検出可能に標識されたデオキシリボヌクレオチドの存在下で逆転写される(図1C)。RNアーゼ活性による標的RNAのその後の分解は、それぞれ別個の部位で生成する検出可能シグナルに影響を及ぼさない(図1D)。
【0034】
注目の標的RNA配列を含む試料は、混合された核酸の集団、例えば組織由来mRNA抽出物、in vitro転写アッセイの最終産物、既定量のコントロールRNA等からなることがある。
【0035】
1つの態様において、オリゴヌクレオチドプライマーは、注目の核酸配列とハイブリダイズするよう設計され、且つアレイの別個の領域を占める各プライマーにより、マイクロアレイフォーマットの固相支持体に固定化される。固相支持体上のマイクロアレイは、最大約1,000,000個のプライマーを含んで成ることがある。そのようなものとして、当該方法は最大約1,000,000個の異なる標的RNA配列を検出するのに有用である。多くの利用にとって、前記固相上に存在しうる群の数に下限がないことは明らかであるが、群数が多いことが望ましい。
【0036】
標的RNAの逆転写から生じる固定化されたcDNAは、種々の方法で直接的に検出されうる。最初に、逆転写は、逆転写の間に合成されたcDNA内に取り込むことができる修飾されたヌクレオチドの存在下で実施されうる。例えば、当該ヌクレオチドは、放射標識し、又は蛍光発生色素又は色素生産性色素を取り込むことによって直接的にタグを付けられる。そのようなヌクレオチドは、転写終結因子の存在下での、アレイされたプライマーからの逆転写を包含する方法と比較して、RNA鋳型に沿った検出可能新生cDNAの伸長を可能にする。
【0037】
この方法は、逆転写がより短いプライマーで達成することができ、且つ非特異的なミスプライミングの影響をほとんど受けないので、プローブハイブリダイゼーションを包含する現状の方法よりも大きな検出特異性を提供する。
【0038】
A.定義
本明細書で使用する場合、「ポリヌクレオチド」は、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドのいずれかの、あらゆる長さのポリマー形式のヌクレオチドである。この用語は、この分子の一次構造だけを意味する。従って、この用語は、二本鎖−及び一本鎖DNA及びRNAを含む。また、それは既知の型の修飾、例えば当業界で知られている標識、メチル化、「キャップ」、1又は複数の天然ヌクレオチドのアナログによる置換、ヌクレオチド間修飾、例えば非荷電性連結(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)によるもの、ペンダント部分を含むもの、例えば、(例えばヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジン等を含む)タンパク質を含むもの、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレン等)によるもの、キレート剤(例えば、金属、放射性金属等)を含むもの、アルキル化剤を含むもの、修飾された連結(例えば、アルファ−アノマー核酸等)によるもの、並びに修飾されていない形式のポリヌクレオチドによるものである。
【0039】
用語「プライマー」は、本明細書で使用する場合、ポリヌクレオチドに対して相補的なプライマー伸長産物の合成が触媒される条件下に置かれた場合、相補鎖に沿ったポリヌクレオチド合成の開始地点として働くことができるオリゴヌクレオチドを意味する。前記条件には、4つのヌクレオチド三リン酸及びヌクレオシドアナログ並びに1又は複数の重合化用物質、例えばDNAポリメラーゼ及び/又は逆転写酵素の、適切な緩衝液(「緩衝液」には、補因子であるか、あるいはpH,イオン強度等に影響を及ぼす物質(substituent)が含まれる)中で且つ適当な温度での存在、が含まれる。プライマーは、ポリメラーゼのための物質の存在下で伸長産物の合成をプライミングするほど十分に長くなければならない。典型的なプライマーは、少なくとも約5ヌクレオチドの長さの、標的配列と実質的に相補的な配列を含むが、やや長いプライマーが好ましい。通常、プライマーは約15〜26ヌクレオチドを含むが、より長いプライマー、最大35ヌクレオチドもまた利用されうる。
【0040】
プライマーは、標的配列、すなわち検出されるべき特定配列であって、これにアニーリングできるものと実質的に相補的な配列を常に含む。プライマーは、任意に、プロモーター配列も含む。用語「プロモーター配列」は、認識された配列と結合し、且つRNA転写産物が産生される転写過程を開始するRNAポリメラーゼによって特異的に認識される一本鎖核酸配列を定義する。原理上、開始配列を認識することができる既知の利用可能なポリメラーゼが存在している、あらゆるプロモーター配列を用いることができる。既知の有用なプロモーターは、幾つかのバクテリオファージポリメラーゼ、例えばバクテリオファージT3、T7又はSP6によって特異的に認識されるものである。本発明の態様において、プライマーはまたプローブの役割を果たし、これは典型的には基板上に固定されており、これに標的RNAがハイブリダイズする。
【0041】
本明細書で使用する場合、用語「タグ」、「配列タグ」又は「プライマータグ配列」は、内部にタグを有する一群のポリヌクレオチドを同定する役割を果たす、特定の核酸配列を有するオリゴヌクレオチドを意味する。同一の生物学的供給源に由来するポリヌクレオチドは、その後の解析においてポリヌクレオチドがその元の供給源に従い同定されうるように、特定の配列タグで共有結合的にタグを付される。当該配列タグはまた、核酸増幅反応のプライマーとしての役割も果たす。
【0042】
「マイクロアレイ」は、好ましくは別個の領域の、それぞれが既定の面積を有する、線形(linear)又は二次元アレイであって、固相の支持体表面上に形成されるアレイである。マイクロアレイ上の別個の領域の密度は、単一の固相支持体の表面上で検出されうるポリヌクレオチドの総数により決定され、好ましくは少なくとも約50/cm2、更に好ましくは少なくとも約100/cm2、より更に好ましくは少なくとも約500/cm2、そしてまた更に好ましくは少なくとも約1,000/cm2である。本明細書で使用する場合、DNAマイクロアレイは、標的ポリヌクレオチドを増幅又はクローン化するのに使用するチップ又は他の表面上に据えられたオリゴヌクレオチドプライマーのアレイである。アレイにおけるそれぞれの特定のプライマー群の位置が分かっているので、標的ポリヌクレオチドの同一性は、マイクロアレイにおける特定の位置とのそれらの結合に基づいて決定されうる。
【0043】
「リンカー」は、制限部位を含む合成オリゴデオキシリボヌクレオチドである。リンカーは、その後のベクター分子内へのDNAフラグメントのクローニングに使用されうる制限部位を作り出すために、当該DNAフラグメントの末端に平滑末端でライゲーションされうる。
【0044】
用語「標識」は、アッセイ試料における標的ポリヌクレオチドの存在を示唆する検出可能シグナルを産生することが可能な組成物を意味する。適当な標識には、放射性同位体、ヌクレオチド発色団、酵素、基質、蛍光分子、化学発光部分、磁気粒子、生物発光部分等が含まれる。そのようなものとして、標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、化学的、又は任意な他の適切な手段、によって検出可能な任意の組成物である。用語「標識」は、検出可能な物理学的特性を有する任意の化学的な基又は部分あるいは化学的な基又は部分に検出可能な物理的特性を示させることができる任意の化合物、例えば検出可能な産物への基質の変換を触媒する酵素を意味する。用語「標識」はまた、特定の物理学的特性の発現を阻害する化合物を包含する。標識はまた、結合する対のメンバーである化合物であってもよく、これらのその他のメンバーは検出可能な物理学的特性を有する。
【0045】
用語「支持体」は、常用の支持体、例えばビーズ、粒子、ディップスティック、ファイバー、フィルター、メンブレン及びシラン又はケイ酸塩の支持体、例えばスライドガラス、を意味する。
【0046】
用語「増幅する」は、例えば、追加の標的分子、又は標的様分子、又は標的分子と相補的な分子、であって、試料中の標的分子の存在が原因で作り出される分子、を含みうる増幅産物を作り出すことを意味するよう広い意味で使用される。標的が核酸である状況において、増幅産物は、DNA又はRNAポリメラーゼあるいは逆転写酵素により酵素的に作ることができる。
【0047】
本明細書で使用する場合、「生物学的試料」は、個体から単離される組織又は体液、限定しないが、例えば血液、血漿、血液、髄液、リンパ液、皮膚の外側の部分、呼吸器、腸管、及び泌尿生殖器、涙、唾液、乳汁、細胞(限定しないが、血球を含む)、腫瘍、器官、の試料、更にはin vitroでの細胞培養成分の試料、を意味する。
【0048】
用語「生物学的供給源」は、本明細書で使用する場合、標的ポリヌクレオチドの由来となる供給源を意味する。当該供給源は、上述のような、限定しないが細胞、組織又は体液を含む、任意の「試料」形態のものであってもよい。「異なる生物学的供給源」とは、同一の個体の異なる細胞/組織/器官、あるいは同一の種の異なる個体由来の細胞/組織/器官、あるいは異なる種由来の細胞/組織/器官、を意味することがある。
【0049】
A.標的RNA
使用するRNA鋳型は、通常、注目の生物学的供給源から精製される。最初のmRNA試料は、単細胞生物、例えば酵母を含む生理学的供給源、真核生物供給源、又は植物及び動物、特に哺乳類を含む多細胞生物、並びに当該哺乳類由来の器官、組織及び細胞を含む多細胞生物、任意の体液(例えば、血液、尿、唾液、痰、胃液等)、培養細胞、生検、又は他の組織調製物に由来してもよい。細胞、組織、器官及び生体自体から核酸を単離するためのプロトコールは、Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Press, 1989)に記載されており、これは引用によってその全体が本明細書に組み入れられる。そのような方法は、典型的に、1又は複数の組織/細胞のホモジェナイゼーション、核酸/タンパク質抽出、クロマトグラフィー、遠心、親和性結合等に対し元の生物学的供給源をかけることを包含する。当該方法はまた、事前のRNA単離無しに、細胞全体の可溶化物に対しても実施されうる。Klebe, R. J. et al. (1996) BioTechniques 21, 1094. 当該方法はまた、in vitroで転写されたRNA、並びにT3、T7、SP6又はQβ RNAポリメラーゼで転写されたRNA、に対しても実施されうる。
【0050】
開示した方法は、試料中に存在しうる1又は複数の特定のRNA分子、例えば異なる生物(例えば、ウイルス、細菌、真菌、植物、及び動物)由来のRNA、あるいは感染、病状、又は病状に対する素因を示唆するRNA、の存在を検出するために使用することができる。当該方法はまた、微生物のクラス又は関連する病態の群を検出するために使用することができる。
【0051】
当該方法はまた、増幅された標的RNAと共に使用することもできる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)手順は、プロモーター配列を、当該PCR反応に使用するプライマーのうちの1つに取り込み、そして次に、複数のサイクルのPCR手順による増幅の後、一本鎖RNAの転写のための鋳型として二本鎖DNAを用いることによって、RNA転写と組み合わされた(Murakawa et al. DNA 7:827-295 (1988)を参照のこと)。このPCRとin vitro転写(IVT)との組み合わせは、フィデリティーを損なうことなく少ない出発数の細胞から比較的多量のRNAを生成することを可能にし、これは米国特許第6,271,002号(Linsley et al.)に記載されており、これは引用によってその全体が本明細書に組み入れられる。核酸配列を増幅させる他の方法も商業的に利用可能である。これらの方法には、Wu, D. Y and Wallace, R. B, Genomics 4:560-569 (1989) and Barringer, K. J., et al., Gene 89:117-122 (1990)で説明されているライゲーション増幅反応(LCR);Kwoh, D. Y., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173-1177 (1989)で説明されている転写ベースの増幅反応;配列開始反応(Sequence Initiation Reaction, SIR)、連続増幅反応(continuous amplification reaction(CAR))RNA(米国特許第5,981,179号を参照のこと)、が含まれる。それぞれの場合において、増幅産物はRNAであり、あるいは増幅過程の間DNA依存性RNAポリメラーゼのためのプロモーターを取り込むことによってRNAに変換されうる。このRNAは続いて、本発明の方法によって検出される。
【0052】
B.オリゴヌクレオチドプライマーのアレイ
1.プライマーの選択
本発明は、固定され且つ分離されたオリゴヌクレオチドプライマー群を含んで成る、調製済みの固相支持体を提供する。当該プライマーは、例えば、標準的なPCRプライマー選択プログラム、例えばマサチューセッツ工科大(MIT)のPrimer3を用いて選択され、あるいは設計されうる。本発明に従うプライマーの態様において、それらは「捕獲プローブ」として使用され、そして、このために、生物学的試料中に含まれる標的核酸を捕獲するために基板上に固定される。本発明に従うプライマー/プローブは、逆転写産物の伸長を可能にする遊離3’末端を有する必要がある。好ましい態様において、プライマー/プローブは5’末端を介して基板に固定される。
【0053】
固相支持体は、最大1,000,000以上のプライマーが既定のパターンに従い別個の領域に固定されうる領域を提供する。調製済みの固相支持体は、当該支持体上の任意な所定の位置にある当該プライマー又はプライマー対の関連する文書記録又は電子記録を有することがあり、そしてその結果、固定化された標的の支持体上での位置も同様に同定されうる。好ましくは、プライマーの量(すなわちプライマー分子数又はプライマー濃度)は、所定の固相支持体上でそれぞれ与えられた位置でほぼ同じであろう(例えば、DNAマイクロアレイフォーマットにおいて、最大約1,000,000の標的ポリヌクレオチドを増幅又は検出するのに10、100、1000〜10,000、100,000、最大約1,000,000のプライマーを有する)。
【0054】
固相支持体は、検出されうるポリヌクレオチドに基づき、特定の用途のためのプライマー配列により調製されうる。当該オリゴヌクレオチドプライマーは、増幅される標的ポリヌクレオチドの配列及び質を特に考慮して、特定の逆転写酵素に適した任意の長さのものであってもよい。一例として、当該プライマーは、約4〜約100ヌクレオチドの長さであってもよく、態様によっては10、20又は30ヌクレオチドの長さであり、そして他の態様においては4〜30ヌクレオチドの長さである。当該プライマーは、第一鎖のcDNA合成にとって十分な条件下で。標識された核酸の生成の間に相補的な鋳型配列に対し、当業者に知られている条件下でハイブリダイズするほど十分特異的である。プライマー配列と、それらが標識された核酸の生成の間にハイブリダイズするそれらの相補的な鋳型(標的RNA)配列とのミスマッチ数は、FASTA(デフォルト設定)で決定した場合、概して15%を超えず、通常10%を超えず、そして好ましくは5%を超えない。本発明の核酸プライマーは、核酸塩基の若干の欠失、付加及び/又は置換を、そのような変化が得られる収率又は生成物にかなりの程度まで悪影響を及ぼさない範囲まで含むことがある。
【0055】
オリゴヌクレオチドプライマーは、通常核酸において見られる天然の複素環塩基(ウラシル、シトシン、チミン、アデニン及びグアニン)、並びに修飾塩基及び塩基類似体を含んでもよい。標的配列に対する前記プライマーのハイブリダイゼーションに適合するあらゆる修飾塩基又は塩基類似体が本発明の実施において有用である。
【0056】
当該プライマーの糖又はグリコシド部分は、デオキシリボース、リボース、及び/又はこれらの糖の修飾型、例えば2’−O−アルキルリボースを含んで成ることもある。好ましい態様において、糖部分は2’−デオキシリボースであるが、プライマーの標的配列にハイブリダイズする能力に適合するあらゆる糖部分を使用することができる。
【0057】
1つの態様において、プライマーのヌクレオシド単位は、当業界で周知なように、ホスホジエステルバックボーンにより連結される。追加の態様において、ヌクレオチド間の連鎖は、限定しないが、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、スルファミン酸塩(例えば、米国特許第5,470,967号)及びポリアミド(すなわち、ペプチド核酸)を含む、プライマーの特異的ハイブリダイゼーションに適合する、当業者に知られている任意の連鎖を含む。ペプチド核酸は、Nielsen et al. (1991) Science 254: 1497-1500;米国特許第5,714,331号、及びNielsen (1999) Curr. Opin. Biotechnol. 10:71-75に記載されている。
【0058】
幾つかの態様において、プライマーはキメラ分子であってもよく、すなわち、複数の型の塩基又は糖のサブユニットを含んでもよく、そして/あるいは連鎖は同一のプライマーにおいて複数の型のものであってもよい。プライマーは、当業界で知られているように、その標的配列に対するハイブリダイゼーションを容易にするための部分、例えばインターカレーター及び/又はマイナーグルーブ結合物質を含んで成ることもある。
【0059】
塩基、糖、及びヌクレオシド、及びヌクレオシド間のバックボーンの変更、及びプライマー上の任意のペンダント基の存在は、配列特異的な形式でその標的配列と結合するプライマーの能力に適合するものである。多数の構造的修飾であって、知られており、且つ発展されうるものは、これらの制限の範囲内で可能である。更に、プライマーを形成する種々の複素環塩基、糖、ヌクレオシド及びヌクレオチドの調製、並びに特定の予め決定された配列のオリゴヌクレオチドの調製のための合成方法は当業界で十分発展しており、そして周知である。オリゴヌクレオチド合成にとって好ましい方法は、米国特許第5,419,966号の教示に立脚している。
【0060】
オリゴヌクレオチドプライマーは、特定の操作、例えばPCR、増幅された標的ポリヌクレオチドの単離等を補助し、そして容易にするであろう任意の特別な追加の部分又は配列により設計されることがある。例えば、プライマーは、標的配列に対して相補的なもの以外の配列を含んで成ることもある。そのような配列は、通常、当該プライマーにおいて標的相補配列の上流(すなわち5’側)である。例えば、1又は複数の制限酵素認識部位を含んで成る配列(いわゆる「リンカー」又は「アダプター」)は、プライマー内で、標的相補配列の上流に存在する場合、増幅産物のクローニング及びその後の操作を容易にする。プライマー内での包含にとって有用な他の配列には、配列決定プライマーに対して相補的なもの及びバクテリオファージRNAポリメラーゼ、例えばT3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ及び/又はSP6 RNAポリメラーゼのためのプロモーターを特定するためのもの、が含まれる。態様によっては、プローブは部分的に一本鎖で且つ部分的に二本鎖であってもよく、ここで、当該一本鎖領域は標的RNA配列と相補的であり、且つ当該二本鎖領域は追加の特徴、例えば制限部位、又はRNAポリメラーゼのためのプロモーターを含んで成るものである。
【0061】
有利には、本発明に従うプローブは、シグナル増幅を可能にするような構造的特徴であって、例えば、Urdea et al. (Nucleic Acids Symp. Ser., 24:197-200 (1991)又は欧州特許EP−0225,807に記載の分枝鎖DNAプローブのようなものを有することがある。
【0062】
本発明の1つの側面において、マイクロアレイプライマーは、標的ポリヌクレオチド内の注目する全領域を網羅するよう規定される。好ましくは、プライマーは、標的RNAの5’末端から多少距離が離れた下流の領域と相補的な配列を有するよう設計される。当該距離は、検出可能な標識を組み込む必要性、あるいはハイブリダイズしたプライマーと離れて逆転写された新生DNA鎖の検出を可能にする必要性により決定される。多数のプライマーが、標的RNAにおける多型及び/又は二次構造、データの重複等を説明すべく、特定の標的RNAのために設計されうる。多数の標的ポリヌクレオチドが本発明に従い検出されうる場合、特定の標的ポリヌクレオチドに相当するそれぞれのプライマー又はプライマー群は、マイクロアレイの別個の領域内に配置される。
【0063】
プローブは、溶液中、例えばウェル内又はマイクロトレイの表面上にあってもよく、あるいは固形の支持体に付着されていてもよい。使用されうる固形の支持体材料の例には、プラスチック、セラミック、金属、樹脂、ゲル及びメンブレンが含まれる。有用な固形の支持体の型には、プレート、ビーズ、マイクロビーズ、ハイブリダイゼーションチップ、メンブレン、結晶、セラミック及び自己集合単層が含まれる。好ましい態様は、二次元又は三次元マトリックス、例えば多数のプローブ結合部位を有するゲル又はハイブリダイゼーションチップを含んで成る(Pevzner et al., J. Biomol. Struc. & Dyn. 9:399-410, 1991; Maskos and Southern, Nuc. Acids Res. 20:1679-84, 1992)。ハイブリダイゼーションチップは、その後標的核酸とハイブリダイズされる非常に大きなプローブアレイを構築するために使用されうる。当該チップのハイブリダイゼーションパターンの解析は、標的ヌクレオチド配列の同定を補助することがある。パターンは人の手で又はコンピューターで解析されることがあるが、ハイブリダイゼーションによる位置的な配列決定自体がコンピューター解析及び自動化に役立つ。配列再構築のために開発されているアルゴリズム及びソフトウェアは、本明細書に記載の方法に応用可能である(R. Drmanac et al., J. Biomol. Struc. & Dyn. 5:1085-1102, 1991; P. A. Pevzner, J. Biomol. Struc. & Dyn. 7:63-73, 1989)。
【0064】
2.固相支持体へのプローブのカップリング
核酸プローブは、共有結合により、例えばカップリング剤を用いた複合により、又は、共有結合又は非共有結合、例えば静電的相互作用、水素結合、抗体−抗原カップリングにより、あるいはそれらの組み合わせにより固形の支持体に付着されうる。付着の後、プローブの3’末端は、逆転写反応の間伸長のために遊離のままでなければならない。典型的なカップリング剤には、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)プロテインA−IgG抗体Fcフラグメント相互作用、及びストレプトアビジン/プロテインAキメラ(T. Sano and C. R. Cantor, Bio/Technology 9:1378-81 (1991))、あるいはこれらの物質の誘導体又は組み合わせが含まれる。核酸は、光開裂可能な結合、静電結合、ジスルフィド結合、ペプチド結合、ジエステル結合又はこれらの種々の結合の組み合わせにより固形支持体に付着されうる。アレイはまた、選択的に放出可能な結合、例えば、4,4’−ジメトキシトリチル又はその誘導体により固形支持体に付着されうる。有用であることが明らかとなっている誘導体には、3又は4[ビス−(4−メトキシフェニル)]−メチル−安息香酸、N−スクシンイミジル3又は4[ビス−(4−メトキシフェニル)]−メチル−安息香酸、N−スクシンイミジル3又は4[ビス−(4−メトキシフェニル)]−クロロメチル−安息香酸、及びこれらの酸の塩が含まれる。
【0065】
好ましい態様において、DNAプローブは、ガラス表面に対し共有結合的に付着した第一級アルデヒド基を含む基板を用いたシッフ塩基反応により5’末端で付着する(ArrayIt(TM) SuperAldehyde Substrate, TeleChem International Inc., Sunnyvale, Calif.)。5’−アミノリンカーは、オリゴヌクレオチド合成の間に直接的にオリゴヌクレオチドを修飾することによりオリゴヌクレオチドプローブと共有結合的に付着する。表面化学に適した5’−アミノ修飾の例には、NH2(CH26リンカー、光開裂可能C6アミノ−モディファイヤー、及びPCアミノ−モディファイヤーホスホルアミド(Glen Research Corp., Sterling, Va.)が含まれる。5’−アミノリンカーは、チップ表面上のアルデヒド基とのシッフ塩基反応を介して、シリル化されたスライドに対するアミノ含有DNAの選択的な結合を可能にする。DNA上の第一級アミノリンカーは、基板上のアルデヒド基と反応して共有結合を形成する。付着は、シッフ塩基形成へと導く脱水反応(低湿度での乾燥)によって安定化される。特異的且つ共有結合的な5’末端の付着は、遺伝子発現及び遺伝子型同定の利用のために、高度に安定しており、且つ許容される付着を提供する。5’末端による付着は、プローブの3’末端を、逆転写酵素による伸長のために遊離したままにする。
【0066】
結合は、可逆性であるか又は強力な会合が必須であろう場合には永久なものであってもよい。尚、プローブは、アレイのプローブと固形支持体との間のスペーサー部分を介して固形支持体に付着させてもよい。有用なスペーサーには、他の又は追加のカップリングパートナーに結合するための、あるいは固形支持体に対する付着を開裂可能にするための、上述のようなカップリング剤が含まれる。
【0067】
開裂可能な付着は、プローブと固形支持体との間に開裂可能な化学的部分、例えばオリゴペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴポリアミド、オリゴアクリルアミド、オリゴエチレングリセロール、約6〜20炭素原子のアルキル鎖、及びそれらの組み合わせ、によって作り出すことができる。これらの部分は、添加される化学物質、電磁放射線又は酵素により開裂されうる。酵素により開裂可能な付着の例には、プロテアーゼにより開裂されうるペプチド結合及びヌクレアーゼにより開裂されうるホスホジエステル結合が含まれる。β−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール(DTT)及び他の還元剤のような化学物質はジスルフィド結合を開裂させる。有用であると思われる他の物質には、酸化剤、水和剤及び他の選択的に活性な化合物が含まれる。電磁放射線、例えば紫外線、赤外線及び可視光は、光開裂可能な結合を開裂する。付着は可逆性であってもよい、これには例えば熱処理又は酵素処理、あるいは可逆性の化学的又は磁気的付着を用いる。放出及び再付着は、例えば、磁場又は電場を用いて実施されうる。
【0068】
本発明の固相支持体は、ヌクレオチドのハイブリダイゼーション及び合成を補助するのに適した任意の固形材料及び構造のものでもよい。好ましくは、固相支持体は、プライマーを固定することができ、且つ逆転写酵素反応を実施することができる少なくとも1つの実質的に硬質な表面を含んで成る。固形支持体は、例えば、ガラス、合成ポリマー、プラスチック、硬くメッシュのないナイロン又はセラミックから生成されてもよい。他の適当な固形支持体材料は既知であり、そして当業者にとって容易に利用可能である。固形支持体のサイズは、DNAマイクロアレイ技術にとって有用な、標準的なマイクロアレイのサイズのものでよく、そして当該サイズは、本発明の反応を実施するために使用されうる特定の機械に適合するよう仕立てられうる。
【0069】
ポリヌクレオチドマイクロアレイ因子が安定して会合する基盤は、種々の材料、例えばプラスチック、セラミック、金属、アクリルアミド、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリケイ酸塩、ポリカーボネート、テフロン(登録商標)、フルオロカーボン、ナイロン、シリコンラバー、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、ポリプロピルフメラート(polypropylfumerate)、コラーゲン、グリコサミノグリカン、及びポリアミノ酸、から作製されうる。基板は、二次元又は三次元の形態であってもよく、例えばゲル、メンブレン、薄膜、ガラス、プレート、シリンダー、ビーズ、磁気ビーズ、光ファイバー、及び繊維織物等であってもよい。アレイの好ましい形態は三次元アレイである。好ましい三次元アレイは、タグ付きビーズの一群である。それぞれのタグ付きビーズは、これに異なるプライマーを付着させている。タグは、シグナル伝達手段、例えば色(Luminex, Illumina)及び電磁場(Pharmaseq)によって検出可能であり、そしてタグ付きビーズ上のシグナルは、遠隔からでも検出可能である(例えば、光ファイバーを用いる)。
【0070】
アレイは、任意の常用な方法論に従い、例えば、ポリヌクレオチドマイクロアレイ因子を予め形成させ、そして次にそれらを表面と安定的に会合させて製造されうる。多数の異なるアレイ配置及びそれらの製造方法が当業者に知られており、そして米国特許第5,445,934号(フォトリゾグラフィーによるin situ合成)、米国特許第5,532,128号(電気的分布の差異による固相検出);米国特許第5,384,261号(機械的に方向付けられた流路によるin situ合成);及び米国特許第5,700,637号(スポッティング、プリンティング又はカップリングによる合成)において開示されており、これらの開示は、引用によってそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0071】
固形支持体は、液体を含む容器中に供されていてもよく、あるいはその一部であってもよい。例えば、固形支持体は、当該支持体上で逆転写反応を含むことができるように、固形支持体の縁に沿って密封を作り出す側面を有するチャンバー内に据えられることがある。具体例において、当該チャンバーは、逆転写反応混合物が支持体上に留まることを保証し、そして更には当該プライマーを供するのに有用な全表面を生成するために、長方形の支持体の各側面に壁を有してもよい。
【0072】
逆転写プライマーは、当該プライマー用の固形支持体(基板)に、捕獲され(Synen et al. Nucleic Acids Res. 14:5037 (1986))、接着され、又は共有結合的にカップリング(例えば、シッフ塩基形成によるもの)されてもよい。本発明のオリゴヌクレオチドプライマーは、固形支持体上の特定の位置にオリゴヌクレオチドを固着し(fix)、固定し(immobilize)、供し、そして/あるいは適用するのに利用可能な任意の手段を用いて、固形支持体表面に貼り付けられ(affixed)、固定され、供され、そして/あるいは適用される。例えば、フォトリゾグラフィー(Affymetrix, Santa Clara, CA)は、引用により本明細書に組み入れられる米国特許第5,919,523号、米国特許第5,837,832号、米国特許第5,831,070号及び米国特許第5,770,722号、に記載のような、チップ又は固形支持体の特定の位置にオリゴヌクレオチドプライマーを適用するために使用されうる。オリゴヌクレオチドプライマーはまた、Brown及びShalonの米国特許第5,807,522号(1998)に記載のような固形支持体に適用されうる。更に、プライマーは、ロボットシステム、例えばGenetic MicroSystems (Woburn, MA)、GeneMachines (San Carlos, CA)又はCartesian Technologies (Irvine, CA)により製造されているものを用いて固形支持体に適用されうる。
【0073】
あるいは、独特の遺伝子特異的配列及び標準的な配列を含んで成るポリヌクレオチドマイクロアレイ因子は、化学的カップリング手順及びインクジェット利用装置を用いて、引用によってその全体が本明細書に組み入れられるPCT出願WO95/251116(Baldeschweiler et al.)に記載のように基板の表面上で合成されうる。別の側面において、ドット(又はスロット)ブロット類似の「グリッド(gridded)」アレイは、cDNAフラグメント又はオリゴヌクレオチドを、基板表面に対して、真空系、熱、UV、機械的又は化学的な結合手順を用いて配列させ、そして連結させるために使用されうる。アレイは、手作業で、又は利用可能な機器(スロットブロット又はドットブロット装置)、材料(任意の適当な固形支持体)、及び機械(ロボット系の器具を含む)を用いることによって製造されることもあり、そして例えば、8,24,96,384,1536又は6144のオリゴヌクレオチド、あるいは市販の器具類の効率的な使用に適する2〜100万の間のその他の多数のオリゴヌクレオチドを含むことがある。
【0074】
ビーズをDNAにカップリングさせるための別の方法は、ビーズに付着したリガンド結合分子に当該DNAの末端を付着させた特定のリガンドを使用する。可能性のあるリガンド結合パートナーの対には、ビオチン−アビジン/ストレプトアビジン、又は種々の抗体/抗原の対、例えば、ジゴキシゲニン−抗ジゴキシゲニン抗体が含まれる(Smith et al., "Direct Mechanical Measurements of the Elasticity of Single DNA Molecules by Using Magnetic Beads," Science 258:1122-1126 (1992))。
【0075】
支持体に対するDNAの共有結合的な化学的付着は、当該DNA上の5’−リン酸を、コーティングされたミクロスフェアに対し、ホスホアミド酸結合を介して連結させるために用いる標準的なカップリング剤によって達成されうる。固形状の基板に対するオリゴヌクレオチドの固定方法は十分に確立されている。Pease et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91(11):5022-5026 (1994)を参照のこと。オリゴヌクレオチドを固形状の基板に対して付着させる好ましい方法は、Guo et al., Nucleic Acids Res. 22:5456-5465 (1994)に記載されている。固定は、in situ DNA合成(Maskos and Southern, Nucleic Acids Research, 20:1679-1684 (1992))によって、又は化学合成されたオリゴヌクレオチドの共有結合的な付着(Guo et al.,上記)のいずれかによって、ロボットによるアレイ技術と組み合わせて達成されうる。
【0076】
3)発現レベルの調節
発現レベルの調節は、生物学的試料中の構成的に発現した遺伝子と特異的にハイブリダイズするプローブである。発現レベルの調節は、細胞の全体的な健康及び代謝活性について調節するよう設計される。発現レベルの調節と標的核酸の発現レベルとの共変動は、遺伝子の発現レベルにおいて測定される変化又は変動が、その遺伝子の転写率に起因するのか、又は細胞の健康の一般的な変動に起因するのかを示唆する。従って、例えば、細胞が不健康であるか、又は必須の代謝物を欠いている場合、活性な標的遺伝子及び構成的に発現する遺伝子の両方の発現レベルが低下すると予測される。その逆も真である。従って、発現レベル調節遺伝子と標的遺伝子の両方の発現レベルが同時に低下又は増大するような場合、その変化は、概して細胞の代謝活性の変化によると思われ、そして標的遺伝子のディファレンシャルな発現によるものではないと思われる。反対に、標的遺伝子及び発現レベル調節遺伝子の発現レベルが同時に変動しない場合、標的遺伝子の発現レベルの変動は、その遺伝子の発現の差異に起因し、そして細胞の代謝活性の全体的な変動には起因しない。
【0077】
事実上あらゆる構成的に発現する遺伝子が、発現レベルの調節に適した標的を提供する。典型的に、発現レベル調節プローブは、構成的に発現する「ハウスキーピング遺伝子」、例えば限定しないが、ベータアクチン遺伝子、トランスフェリン受容体遺伝子、GAPDH遺伝子等のサブ配列に相補的な配列を有する。
【0078】
本発明の目的のため、標的ポリヌクレオチドはRNAである。標的ポリヌクレオチドの例には、限定しないが、mRNA、hnRNA及びウイルスRNAが含まれる。mRNA標的ポリヌクレオチドは、逆転写酵素によって媒介される増幅のための鋳型として直接的に使用されうる。それぞれの固定されたプライマー部位から派生する鎖の伸長の完了の後、ハイブリダイズしたRNAの鋳型鎖は、例えばRNアーゼHにより、固相支持体に貼り付けられた新生の相補的DNA鎖を残して破壊されうる。第二のプライマー(特異的か又は普遍的なもの)は、液相中に存在する場合、第一の新生cDNA鎖は別の新生鎖を合成する鋳型としての役割を果たし、それによりそれぞれの固定されたプライマー部位で二本鎖新生DNA分子を形成し、又は2つの固定されたプライマーに結合する。
【0079】
本発明の多数の標的ポリヌクレオチドは、1つの単一の生物学的供給源、又は、その代わりに、多数の生物学的供給源、例えば異なる種又は組織に由来してもよい。例えば、健康な固体から単離された標的ポリヌクレオチド集団は、注目の疾患を有する患者から単離された別の標的ポリヌクレオチド集団との1つの逆転写酵素反応において、上文で詳述したような当業界で知られている検出方法により2つの供給源の増幅産物の識別を可能にするであろう条件下で混合されうる。従って、本発明は、標的ポリヌクレオチドの異種間の比較解析に使用されうる。
【0080】
検出可能標識
標的RNAの検出は、プライマー/プローブに対するハイブリダイゼーションによりアレイ中の部位上で捕獲された標的RNAの逆転写によって生成したポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを検出することにより実施される。逆転写されたcDNA第一鎖は、プライマー/プローブの伸長によって形成され、そして伸長されたcDNA鎖は、放射性同位体、化学発光化合物、重金属原子、分光学的マーカー、磁気マーカー、連結された酵素、蛍光標識等で標識されうる。1つの態様において、dNTPは、合成されたcDNA鎖が標識されるように標識される。標識された部分は、シグナル産生系のメンバーを含んで成り、そしてその結果、直接的に又はシグナル産生系の1又は複数の追加のメンバーと組み合わせて、検出可能である。直接的に検出可能な標識の例には、通常共有結合により、ヌクレオチドモノマー内に取り込まれた同位体及び蛍光部分が含まれる。注目の同位体標識には、32P,33P,35S,3H,14C,125I等が含まれ、そして非同位体標識には、ビオチン、アセチルアミノフルオレン、ジゴキシゲニン、5−ブロモデスオキシウリジン、フルオレセイン等が含まれる。標識は、当業界で周知の手順、例えば非同位体的方法による直接的又は間接的に検出可能なマーカーにより、例えば質量分析標識、蛍光色素又は酵素を介して、あるいは核酸フラグメントを免疫化学的に検出可能にする種々の化学的修飾により、あるいは他の親和性反応により導入されうる。
【0081】
注目の蛍光部分又は標識には、クマリン及びその誘導体、例えば7−アミノ−4−メチルクマリン、アミノクマリン;bodipy色素、例えばBodipy FL、Cascade blue;フルオレセイン及びその誘導体、例えばフルオレセインイソチオシアネート、オレゴングリーン;ローダミン色素、例えばテキサスレッド、テトラメチルローダミン、エオシン及びエリスロシン(erythrosin);シアニン色素、例えばCy3及びCy5;ランタニドイオンの大環状錯体、例えば、quantum dye(商標);及び蛍光エネルギー転移色素、例えばチアゾールオレンジ−エチジウムへテロダイマー、TOTAB、等が含まれる。蛍光標識は、色素を有しているヌクレオチドとして直接的に導入されうるか、あるいは取り込まれたビオチンを含むヌクレオチドに対し色素−ストレプトアビジン複合体を用いて増幅後に結合されうる。蛍光定量的な標識の場合、前記方法は、典型的に励起の最大値付近の光のインプットを使用し、そして発光の最大値付近(±約10ナノメーターが多くの場合に許容される)のものを集める。レーザーを用いると、励起は励起の最大値から離れて生じることがある。態様によっては、蛍光標識は、250nm超の波長、好ましくは約350nm超の波長の光を吸収し、且つ当該吸収波長より高い約10nmの波長の蛍光を発するよう選択される。蛍光標識は、例えば、フルオレセイン(488nmの吸収最大値)、ジクロロフルオレセイン(525nmの吸収最大値)、ヘキサクロロフルオレセイン(529nmの吸収最大値)、BODIPY(商標)(530nmの吸収最大値)、ROX(550nmの吸収最大値)、テトラメチルローダミン(550nmの吸収最大値)、ローダミンX(575nmの吸収最大値)、Cy2(商標)(505nmの吸収最大値)、Cy3(商標)(550nmの吸収最大値)、Cy5(商標)(650nmの吸収最大値)、Cy7(商標)(750nmの吸収最大値)、IRD40(785nmの吸収最大値)、等であってもよい。Smith et al. (1986) Nature 321: 647-649を参照のこと。逆転写産物を標識するのに有用なヌクレオシド又はヌクレオチドの蛍光複合体は米国特許第6,340,767号(Bazin et al.)に記載されており、これは引用によって本明細書に組み入れられれる。
【0082】
標識はまた、シグナル産生系のメンバーであって、検出可能なシグナルを提供するために前記系の1又は複数の追加のメンバーと協調して働くものであってもよい。そのような標識の例示としては、特定の結合対のメンバー、例えばリガンド、例えばビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、抗原、多価の陽イオン、キレート剤のグループ等であり、ここで、当該メンバーはシグナル産生系の追加のメンバーに特異的に結合し、ここで、追加のメンバーは、直接的又は間接的に検出可能なシグナル、例えば、蛍光部分と複合した抗体、又は基質を色素生産性産物に変換することができる酵素的部分、アルカリホスファターゼ複合型抗体、を提供する。標識は、続いて、Coutlee, et al., J. Clin. Microbiol. 27:1002-1007 (1989)に記載のように比色分析又は化学発光によって検出される。1つの態様において、結合型のアルカリホスファターゼは、Lumi-Phos(商標)S30試薬(Lumigen, Detroit, Mich)のような試薬による化学発光により、E/Lumina(商標)照度計(Source Scientific Systems, Inc., Garden Grove, Calif.)を用いて検出される。各RNA試料につき、1つが同一の標識で標識されたcDNAを生成する。
【0083】
特に有用な標識は、酵素、酵素基質、フルオロフォア、放射性同位体化合物、発色団、磁気応答性の化合物、抗体エピトープ含有化合物、ハプテン等である。例えば、標識は、熱量測定によるものであっても(calorimetric)、放射性、化学発光、酵素的又は蛍光性のものであってもよい。例えば、SYBR Green II(Molecular Probes Co., Ltd.)は、RNアーゼHによるRNA鋳型の分解後の一本鎖DNAの検出に有用なことがある。他の一般的に使用される色素には、臭化エチジウム、チアゾールオレンジ、ビス−ベンズイミド(Hoechst 33258, Hoechst AG)及びアクリジンオレンジが含まれる。
【0084】
標識はまた、リンカーを介して間接的に付着されうる。本発明の実施において有用なリンカーは、結合性のリガンドの核酸に対しての効率的な結合及びそれらに付着する標識の機能を促進するよう特異的に設計される。リンカーの使用は、米国特許第4,582,789号及び第5,026,840号に一般的に説明されている。
【0085】
標的RNAの検出
標的及びプローブは、ポリヌクレオチドプローブを固定する方法であって:固形支持体表面と安定して会合するプローブとポリヌクレオチド標的とを組み合わせる段階であって、ここで、当該プローブと標的は相補的な鎖を含んで成り、当該プローブと標的とがハイブリダイズし、そして標的RNAがそれにより固定化される条件下で組み合わせる段階;ハイブリダイズしたプローブを逆転写酵素で伸長させる段階、及び逆転写産物を検出する段階、を含んで成る方法、において使用される。
【0086】
特定の態様において、当該方法は更に、固定されたプローブを、熱安定性逆転写酵素を用いて増幅させる段階、を含んで成る。別の特定の態様において、当該方法は更に固定されたプローブを増幅し、そして次にその結果として増幅されたプローブを検出する段階、を含んで成る。
【0087】
適当なハイブリダイゼーション条件は当業者に周知であり、そしてManiatis等(上記)によりWO95/21944において概説されている。インキュベーション条件は、正確な相補的マッチ又は種々のやや低度の相補性で生じるよう調節される。プライムしたRNAの逆転写を介した第一鎖のcDNA合成に必要な種々の試薬及び緩衝液は、限定しないが、Sigma, Life Technologies, Amersham, Boehringer-Mannheimを含む種々の供給源から商業的に購入されうる。第一鎖の合成に適した緩衝液は、緩衝化物質、例えばTris−HCl、HEPES−Kであって、典型的に10〜100μMに及び、且つ6〜9のpH範囲を支持する濃度のもの;0〜200mMの濃度の一価の塩、例えばKCl、NaCl等;1〜10mMの濃度の二価の塩、例えばMgCl2、Mg(OAc)2、MnCl2、ZnCl2等;及び追加成分、例えばジチオスレイトール(DTT)、洗剤、アルブミン、グリセロール等、を含んで成る。試薬混合物の条件は、効率的な第一鎖の合成を促進するために選択される。典型的には、プライマーセットは最初に、50℃〜95℃にわたる上昇した温度でRNA試料と組み合わされ、これに0〜60℃への温度低下が続く。このことは、当該プライマーが、試料中のそれらの対応するRNAと特異的にアニーリングすることを保証する。アニーリング段階の後、プライムされたRNAは、プライムしたRNAの逆転写及び第一鎖の合成を促進するのに十分な条件dNTP及び逆転写酵素と組み合わされる。検出可能な標識は、第一鎖cDNAに取り込まれる。態様によっては、スキャナーが検出又は可視化に使用され、蛍光又は使用する任意な他の検出可能標識のレベル及びパターンが決定される。検出系は、別個の配列全てについてのハイブリダイゼーションの不在、存在、及び量を同時に測定するために使用されうる。
【0088】
ハイブリダイゼーションパターンの検出又は可視化において、核酸プローブに対する標識の強度又はシグナル値、及びスタンダードの配列プローブ由来の異なる標識の強度又はシグナル値が得られる。スタンダードの配列に相当する強度又はシグナル値は、当該実験におけるハイブリダイゼーションの総量又は単価を表し、且つコントロールの役割を果たす。マイクロアレイの各因子についてのシグナルは測定され、そして前記単価と比較される。スタンダードの標的に由来するシグナルは因子特異的なコントロールとなり、これに対しプローブからのシグナルが較正され、そして数値的に調節されうる。従って、本発明はマイクロアレイの各因子に対する定量的情報を提供する。本発明の別の利点は、1又は複数のプローブ配列及びスタンダードの配列に対する標的配列のハイブリダイゼーションが競合的でなく、それにより結果のノイズが低下することがである。
【0089】
ハイブリダイゼーションパターンは、ハイブリダイゼーションパターンを生成させるためにアレイと接触された試料中の核酸の遺伝的プロファイル、並びに、標識された核酸の由来となった生理学的供給源、についての定量的情報を決定するために使用されうる。このデータは、試料の核酸の由来となった生理学的供給源についての情報、例えば生理学的供給源である組織又は細胞において発現する遺伝子の型、並びに各遺伝子の、特に定量的観点における発現レベル、を提供する。
【0090】
本発明の方法は、2又はそれ以上の生理学的供給源由来の核酸試料を比較して、パターン間の差異を同定且つ定量し、それにより比較される生理学的供給源における特定の遺伝子のディファレンシャルな発現についての情報を提供する。従って、本発明の方法は、罹患組織及び正常組織の解析、異なる組織又は副次的な組織(subtissue)の型の解析等のためのディファレンシャルな遺伝子発現アッセイにおける用途を見出す。従って、このデータは、試料間の配列の突然変異、変異体、又は多型についての大規模な相関研究について使用されうる。
【0091】
別の態様において、スタンダードのポリヌクレオチド配列は、調節された化学量論により別個のポリヌクレオチドを含む試料中にドープされる。スタンダードの配列及び別個のポリヌクレオチドは、その結果共有結合的に付着しない。スタンダードの配列、好ましくはマイクロアレイ因子の配列とは異なる配列を有するものは、既知の量で存在し、そして、その結果その後の解析における較正物質として使用することができる。当該方法において、マイクロアレイの製作における使用のためのポリヌクレオチド含有試料は、スタンダードの配列でスパイクされる。スタンダードの配列は、基準化のコントロールとしての役割を果たす。遺伝子及びスタンダードの配列由来のポリヌクレオチドを含む試料は、続いてマイクロアレイ上に蒸着され、標識された試料及び別々に標識されたスタンダードのプローブとハイブリダイズされ、そして上述のようにハイブリダイゼーションパターンが解析される。
【0092】
逆転写が適切な標識試薬の存在下で完了した後、標識された標的のポリヌクレオチドは、マイクロアレイ上の独自のプライマー位置のそれぞれで検出されうる。標識された標的ポリヌクレオチドの検出は、標識された配列を検出するために使用される標準的な方法であって、例えば増幅され、又は新規に合成されたDNA鎖内に取り込まれた標識を検出することを含む方法によって実施されうる。従って、例えば、蛍光標識又は放射性標識は直接的に検出されうる。他の標識技術は、鎖の合成の間にDNA内に取り込まれるビオチン又はジゴキシゲニンのような標識が、標識されているか又は標識された分子自体に結合することができる抗体又は他の結合分子(例えば、アビジン、ストレプトアビジン)によって検出される、例えば、標識された分子は、蛍光分子(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド及びローダミン)と複合しているか、又は酵素で活性化可能な分子と複合した抗ストレプトアビジン抗体又は抗ジゴキシゲニン抗体であってもよい。新規に合成された分子上の標識がどのようなものであっても、そして当該標識がDNA内で直接的に存在していようが、あるいはDNAに結合する(又はDNAに結合する分子に結合する)分子に複合されていようが、当該標識(例えば、蛍光、酵素、化学発光、測熱によるもの)は、標識に依存してレーザースキャナー又はCCDカメラ、あるいはX線フィルムによって、あるいは特定の標識を検出するための任意な他の適切な手段によって検出されうる。
【0093】
標的RNAは、標識されたヌクレオチド(例えば直接的な標識のためのdNTP蛍光標識;間接的な標識のためのdNTP−ビオチン又はdTNP−ジゴキシゲニン)を用いることによって検出され、これらはこの過程の間に逆転写されたDNA内に取り込まれる。間接的に標識されたDNAの場合、検出は蛍光又は他の酵素と複合されたストレプトアビジン又は抗ジゴキシゲニン抗体によって実施される。この方法は、RNA標的の新規に逆転写された相補体に取り込まれた標識を検出することによる標的の検出を利用する。この目的のために、重合化されるようにDNA内に取り込まれうるあらゆる標識を使用することができ、例えば、上述し、且つ当業界で知られているようなフルオロ−dNTP、ビオチン−dNTP、ジゴキシゲニン−dNTPである。溶液中1又は複数のプライマーを用いて実施される逆転写は、伸長されたプライマーを検出することにより固形支持体上の位置にある増幅された標的を検出するための選択肢を提供する。従って、複数のプライマーが使用される場合、異なる供給源由来の標的鎖は固形支持体上で別々に検出されうる。
【0094】
ディファレンシャルな発現系において、異なる生物学的供給源から誘導される逆転写産物は、増幅鎖をそれらの起源に基づいて別々に標識することにより検出されうる。1つの側面において、標識は、ディファレンシャルな発現の比較についての全体的な感度が増強されるように、逆転写の間に新生鎖内に取り込まれる。
【0095】
RNA−DNA二本鎖の検出
プライマーに対するハイブリダイゼーションによりマイクロアレイ上に固定された標的RNAの逆転写により生成された産物は、DNA−RNAハイブリッド二本鎖である。好ましくは、RNアーゼHネガティブな逆転写酵素の使用は、生じたDNA−RNAハイブリッドを安定化させる。蛍光技術も核酸ハイブリッドの検出のために知られている。米国特許第5,691,146号は、標的核酸配列とハイブリダイズしない限り蛍光消光している蛍光ハイブリダイゼーションプローブの使用を記載している。米国特許第5,723,591号は、標的核酸配列に対してハイブリダイズするまで、あるいは当該プローブが消化するまで蛍光消光している蛍光ハイブリダイゼーションプローブを記載している。
【0096】
以下の引用文献は、DNAにインターカレートする蛍光二量体及びそれらの物理的特性を記載している:Gaugain et al., Biochemistry 17, 5071-5078, 1978; Gaugain et al., Biochemistry 17, 5078-5088, 1978; Markovits et al., Anal. Biochemistry 94, 259-269, 1979; Markovits, Biochemistry 22, 3231-3237, 1983; 及びMarkovits et al., Nucleic Acids Res. 13, 3773-3788, 1985。核酸への種々のインターカレート化合物のインターカレートは、Berman and Young, Ann. Rev. Biophys. Bioeng. (1986) 10:87-224に概説されている。色素とDNA又はRNAとの電気泳動上での臭化エチジウムの保持は、Angemuller and Sayavedra-Soto, Biotechniques 8, 36, 1990 and Rosen and villa-Komaroff, Focus 12, 23, 1990に記載されている。
【0097】
用途が見出されている多環式化合物には、フェナントリジン、アクリジン、ポルフィリン、フェニルインドール、及びビスベンズイミドが含まれる。用途が見出されているこれらの化合物の誘導体には、ビス−(3,8−ジアミノ−6−ヒドロキシ−6−フェニル−5,6−ジヒドロフェナントリジン、ジ−(7−ヒドロピリドカルバゾール)、テトラアクリジニルアミン、ヘキサ−アクリジニルアミン、チアゾールオレンジニ量体、5−(11−(2−メトキシ−6−クロロ−9−アミノアクリジニル)−(4,8−ジアザウンデシル)−3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナン−トリジニウムクロリド等が含まれる。
【0098】
化合物はアルキレンポリアミンから調製することができ、ここで、当該アルキレン基は、2〜10、通常2〜6の炭素原子のものであり、且つハロアルキル又は擬ハロアルキル(pseudohaloalkyl)で置換された蛍光多環式化合物、例えばフェナントリジン又はアクリジン、であり、これらは第三級又は第四級アミノ基の提供のために、置換されることもあり、又は置換されないこともある。前記アミノ基は、任意な常用のアルキル化剤により、蛍光化合物との反応前又は反応後のいずれかに第四級化されることがあり、あるいは最初に第三級としてアルキルアミンを用いて調製されることもあり、ここで、当該アルキル基は約1〜6、通常1〜3の炭素原子のものであろう。化合物の例示としては、N,N,N’,N”,N”,−ペンタメチル−N,N’,N”−トリス−(3,8−ジアミノ−6−ヒドロキシ−6−フェニル−5,6−ジヒドロフェナントリジン)がある。
【0099】
ヘテロ二本鎖は、別の分子に対する結合手段を提供するはずである。これは、標識が用いられる様式に依存して、広範な方法で達成することができる。例えば、ヘテロ二本鎖は、、ビオチンと複合したヌクレオチド、1又は複数のビオチンを含むことがあり、ここで、当該ビオチンは、アビジン又はストレプトアビジン(以降いずれも「アビジン」として言及する)に結合する。ビオチンは、手順、条件等に依存して、ヌクレオチドにつき1個のビオチンから、ヌクレオチドの0.1%へと変化することがある。あるいは、任意の分子が用いられることもあり、特に、注目の試料中で遭遇しそうにない小有機分子(約2kD未満)であって、これと特異的に結合する特異的な受容体又は抗体、特にモノクローナル抗体、を有するものである。従って、チロキシン、副腎皮質ステロイド、エストロゲン、レチノイン酸、マンノース等もそのような分子と特異的に結合するタンパク質と共に使用されうる。あるいは、抗体が製造されている合成分子、例えば2,4−ジニトロフェニル、バルビツール酸塩、ホスファチジルコリン等も用いられることがある。これらの分子は、内部又は末端のヌクレオチドに連結することによって、常用の自動的手段に従い合成されるDNAの合成の間に含まれることがあり、あるいは、利用可能なヒドロキシル又はアミノ基のいずれかに連結することによってDNAの合成後に添加されることがある。
【0100】
本発明に従い二本鎖核酸の濃度を更に測定するために、前記の物質は4’、6−ジアミノ−−フェニルインドール(DAPI)、臭化エチジウム(EtBr)、チアゾールオレンジ、ビスベンズアミド(Hoechst 33258、Hoechst AGの製品)及びアクリジンオレンジであってもよい。尚、SYBRグリーンI(Molecular Probes Co., Ltd.)も含まれる。
【0101】
PCR in situによる増幅
本発明の1つの態様において、逆転写によって生成するcDNA鎖は、PCR in situによって更に増幅される。PCRのために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の実施に必要な試薬と混合された適切な標的ポリヌクレオチドを含んで成る反応混合物は、固形の支持体上にそれぞれ固定されたcDNA:RNAハイブリッドと接触して据えられる。適切な標的ポリヌクレオチドは、RNA鋳型の逆転写によって生成する一本鎖cDNA、又は、PCR増幅が逆転写検出反応と連結される場合にはmRNA試料、であってもよい。反応混合物は、標的の鎖と相補的なポリヌクレオチド鎖の合成を容易にするために酵素、例えばポリメラーゼを含む。適当なポリメラーゼには、熱安定性ポリメラーゼ酵素、例えばTaq DNAポリメラーゼ、Tth1 DNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、及び熱安定性逆転写酵素が含まれる。反応混合物はまた、ポリメラーゼ連鎖反応の間に、増幅産物がPRCR後に固形の支持体上で検出されるように新生鎖内に取り込むことができる標識分子を含むことがある。当該標識は、当業界で周知の方法に従い、直接又は間接的に検出されうる。
【0102】
PCRを実施するための試薬がマイクロアレイ上に固定されたプライマーと接触した後、当該マイクロアレイは、例えば自動化されたシステム、例えばin situ PCR機器を用いて、PCRが行われるのを容易にする条件下に据えられる。PCR手順の反応条件は、in situ PCR機器のマニュアルにより推奨されているようなものであってもよく、そして、使用する鋳型の性質又はプライマーと鋳型のハイブリダイゼーションで予想されるあらゆる他の困難性を考慮して適宜変更されうる。温度及びサイクル数は、プライマーの選択及び鋳型配列、及び任意な他の関連因子、を考慮して、推奨されているように、そして必要に応じて選択されうる。マイクロアレイ上でのin situ型のPCR反応は、本質的に、例えばEmbretson et al, Nature 362:359-362 (1993); Gosden et al, BioTechniques 15(1):78-80 (1993); Heniford et al Nuc. Acid Res. 21(14):3159-3166 (1993); Long et al, Histochemistry 99:151-162 (1993); Nuovo et al, PCR Methods and Applications 2(4):305-312 (1993); Patterson et al Science 260:976-979 (1993)に記載のように実施されうる。
【0103】
検出キット
更に提供されるものとして、本発明を実施するためのキットがあり、当該キットには、プライマー−プローブ因子が別個のヌクレオチド配列及びスタンダードのポリヌクレオチド配列を含むように製作された1又は複数のマイクロアレイ、当該スタンダードの配列に対する標識されたスタンダードの相補体、及び対象の方法を実施するための教材、が含まれる。当該キットは更に、対象の発明の遺伝子発現を実施するのに必要な1又は複数の追加の成分を含んでもよく、ここで、そのような追加の成分には、酵素、例えばポリメラーゼ、逆転写酵素、エンドヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼ、dNTP、緩衝液等が含まれる。当該キットは、例えば他の方法では固形の支持体上で検出することが困難な多数の標的ポリヌクレオチドを検出するための材料及び試薬を含んでもよい。当該キットは、例えば固形の支持体、標的ポリヌクレオチドの特異的集合のためのオリゴヌクレオチドプライマー、ポリメラーゼ連鎖反応試薬及び成分、例えば、DNA合成のための酵素、標識材料、並びに洗浄のための緩衝液及び試薬、を含んでもよい。当該キットはまた、固形の支持体上で特異的な標的を増幅するための当該キットの使用のための説明書を含むことがある。当該キットが、固形の支持体上にプライマーセットが既に固定されている調製済みの固形の支持体を含む場合、そのような固形の支持体は、消費者が検出することを望む標的ポリヌクレオチドに依存して、個々のキットについて特注されてもよい。当該固形の支持体は、当該固形の支持体上の指定された位置に貼り付けられたプライマーを提供する。
【実施例】
【0104】
実施例1:細胞からの標的RNAの単離
細胞はしばしば、後期の対数増殖期に収集される。RNAは、チオシアン酸グアニジン法(Chomczynski and Sacchi, Anal Biochem. 162(1): 156-159 (1987))によって単離される。RNA単離後、核酸はエタノール沈殿される。沈殿物は遠心によりペレット化され、そして水で再溶解される。再溶解された核酸は、RNアーゼを含まないDNアーゼI(Boehringer Mannheim, Inc.)を用いて、取扱説明書に従い消化され、続いてフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)で有機抽出され、そしてエタノールで再沈殿される。
【0105】
DNアーゼI処理したRNAは、続いて遠心によりペレット化され、そして水に再溶解される。溶液中のRNAの純度及び濃度は、260nm及び280nmの波長での光学密度を決定することにより推定される(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989))。当該RNAの少ないアリコートを、ゲル電気泳動により、3%ホルムアルデヒドゲルにおいて、MOPS緩衝液(Sambrook et al.,上記)を用いて分離し、それにより、濃度の推定を確認し、そしてリボソームRNAが無傷であったか否かを決定する。このRNAを全細胞RNAと称する。
【0106】
実施例2:シッフ塩基形成による基板に対するプローブの付着
SuperAldehyde(Arraylt(商標))表面に対して一本鎖核酸及び二本鎖核酸をプリントし、そして付着させるためのプロトコールは、基板表面上で反応性アルデヒドとシッフ塩基共有結合を形成する第一級アミンで修飾されたDNAを使用し:(1)最初に、C6アミノ修飾(Glen Research)が各オリゴヌクレオチドの5’末端に付着し;(2)アミノ連結DNAを1倍Micro-Spotting Solution Plus (TeleChem)中で再懸濁し;(3)アミノ連結DNAをSuperAldehyde基板(Arraylt(商標))上にStealth Micro-Spotting Pin (TeleChem)を用いてプリントし;(4)基板を12時間室温(〜25℃)、30%の相対湿度で乾燥させ;(5)基板を2回0.2%SDS中で2分間室温で激しく振とうしながらすすいで結合しなかったDNAを除去し;(6)基板を2回脱イオン水中で2分間室温で激しく振とうしながらすすぎ;(7)基板を95〜100℃の脱イオン水中に2分間移し、DNAを変性させ;(8)基板を室温で〜5分間冷却させ;(9)基板を水素化ホウ素ナトリウム溶液で5分間室温で処理して、遊離アルデヒドを減らし(水素化ホウ素ナトリウム溶液を調製するためには、1.5gのNaBH4(Sigma)を450mlのリン酸緩衝液(PBS)に溶解し、続いて133mlの100%エタノールを添加して泡立ちを減らし、そして使用直前に調製する);(10)基板を3回0.2%SDS中で1分間それぞれ室温ですすぎ;(11)基板を1回脱イオン水中で1分間室温ですすぎ;(12)プリントされた基板を500xgで1分間の遠心により乾燥させる。処理された基板は、適切な条件下で保存した場合、1年間室温で安定である。プリントされたマイクロアレイは、続いて標的RNA試料と反応させられる。マイクロアレイ反応は、カバースリップ1cm2あたり2.0μlの体積でガラスのカバースリップのもと最も良く実施される。核酸のハイブリダイゼーション反応のために、緩衝液は典型的に5xSSC又は6xSSPE及び0.1%SDSを含み、且つ標的及びプローブの性質に依存して37℃〜65℃で実施される。
【0107】
実施例3:マイクロアレイ上での逆転写
RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)は、第一鎖cDNAの合成段階に使用される。適当なDNAポリメラーゼの例には、好熱性細菌、古細菌、レトロウイルス、酵母、ニューロスポラ、ショウジョウバエ、霊長類及びげっ歯類を含む生物由来のDNAポリメラーゼが含まれる。
【0108】
全細胞RNAを用いて実施される研究は、LiangとPardeeのディファレンシャルディスプレープロトコール(Science, 257:967-970 (1992))に従う。態様によっては、それらは、非同位体逆転写酵素反応産物の検出のために5’ビオチン化プライマーを用いることにより修飾される。これらの研究において、0.2μgの全細胞RNAが、本発明によるアンカープライマー/プローブを用いた逆転写のためにプライムされる。逆転写は、200ユニットのMMLV(モロニーマウス白血病ウイルス)の逆転写酵素(GIBCO/BRL)を用いて、50mMのTris−HCl(pH8.3)、75mMのKCl、3mMのMgCl2、10mMのDTT、500μMのdNTP、1μMのアンカープライマー及び1U/μlのRNアーゼ阻害剤の存在下で実施される。反応混合物を室温で10分間、続いて37℃で50分間インキュベートする。逆転写後、酵素は65℃に10分間加熱することにより変性される。
【0109】
逆転写酵素は、相補DNA鎖を合成するためにDNAプライマー及びRNA鋳型を必要とするRNA依存性DNAポリメラーゼである。長いcDNA鎖の合成の場合、標準的な逆転写酵素(RT)の迅速なプロセッシブ(processive)活性が、必要とする長さを生成するのに必須である。プロセッシブなRT酵素は、cDNAの第一鎖へのRNAの逆転写を実施する酵素である。伝統的には、そのようなRT酵素には、MMLV RT、AMV RT及び様々なそれ以外のものが含まれる。更に最近では、より低温域であっても、完全長cDNAの産生が優れている幾つかのプロセッシブな酵素が開発されている。例えば、MMLV遺伝子は、内因性RNアーゼH活性を排除するために突然変異されており、そしてSuperscript RT(Gibco-BRL)と称されるこの修飾された酵素は、完全長cDNAの産生に優れている。Superscript(商標)II RNアーゼH-逆転写酵素(米国特許第5,244,797号。これは引用によって本明細書に組み入れられる)は、モロニーマウス白血病ウイルスのpol遺伝子を含むE.コリからほぼ均質になるまで精製される。当該酵素は第一鎖を合成するために使用され、そして一般的に、他の逆転写酵素と比べてより高収率のcDNA及びより完全長の産物をもたらす。MoMLV RTは、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写酵素よりも弱い固有のRNアーゼH活性を有する。AMV逆転写酵素は、高温(42〜50℃)で活性を有する。RNアーゼH活性を欠く逆転写酵素は態様によって好ましいことがあるが、本発明の方法は、RNアーゼH-逆転写酵素を必要としない。
【0110】
実施例4:熱安定性RTを用いた逆転写
本発明の1つの態様において、熱安定性逆転写酵素(RT)は、一連の変性及び再生段階を通じて検出可能な一群のリニア増幅に使用される。更に、熱安定性ポリメラーゼの使用は、高温で逆転写を起こしてRNAの二次構造の効果を軽減させ、そしてそれにより追加の検出可能標識の取り込みを可能にする。
【0111】
熱安定性RT酵素は、種々の起源から発生している。米国特許第6,406,891号(Legerski)を参照のこと。熱安定性酵素とは、標準的なRT酵素で使用されるものより高い温度で、cDNAの第一鎖へのRNAの逆転写を実施する酵素である。約55℃〜約90℃に及ぶ温度の最適条件を有する多数のRT酵素が存在している。例えば、RetroAmp(商標)は70℃以上の温度で働く。
【0112】
Retrotherm(商標)RT (Epicentre technologies)は、同じ条件下でRNA−及びDNA−依存性DNAポリメラーゼ活性の両方を有し、そしてRNアーゼH活性を有さない。RetroAmp(商標)RT DNAポリメラーゼ(Epicentre technologies)は、高性能な熱安定性酵素である。Thermoscript(商標)(Gibco-BRL)は、RT−PCRを改善するための高温でのcDNA合成にとって有用であることが証明されているトリ逆転写酵素である。GeneAmp熱安定性rTth逆転写酵素(Perkin-Elmer)は、高温(60〜70℃)でのcDNAへのRNAの逆転写を触媒し、そしてその後同じ組換え熱安定性酵素であるrTthDNAポリメラーゼを使用してcDNAを増幅する。
【0113】
熱安定性ポリメラーゼの使用は、高温で逆転写を起こしてRNAの二次構造の効果を軽減させる。RetroAmp(商標)は、MasterAmp(商標)と称される10xPCRエンハンサー(ベタインを含む)を含む市販品として入手可能である。MasterAmp10xPCRエンハンサーにおけるベタイン(トリメチルグリシン)の存在はその後多数の標的配列、特に高いG+C含量又は二次構造を含むものの収率及び特異性を向上させる。ベタインは、G+Cリッチ領域の融点をA+T(U)リッチ領域と更に類似の温度にまで低下させる。これは、ポリメラーゼの停止を制限する二本鎖領域の不安定化を招き、それにより完全長産物の収率を増大させる。尚、ベタインはまた、熱変性からDNAポリメラーゼを保護することにより当該過程を増強させうる。
【0114】
典型的に逆転写反応において、50μlの反応液が氷上で2つの別個の25μlのプレミックスとして構築され、そしてRNA試料の分解を最小化するために、逆転写段階直前に一緒にされる。一方のプレミックスには、dNTP、プライマー、及びRNA鋳型が含まれる。他方のプレミックスには、それ以外の全ての反応成分が含まれる。反応液には、3.0mMのMgCl2を含んで成る1xRT−PCR緩衝液、1xMasterAmp PCRエンハンサー、0.5mMのMnSO4、400μmの各dNTP、12.5pmolの各プライマー、100ngの全RNA鋳型、及び2.5ユニットのRetroAmp(商標)RT DNAポリメラーゼ、を含む。スタンダードの反応液は、第一鎖のcDNA合成のために20分間60℃でインキュベートされる。アニーリング温度は、使用するプライマー対に依存して変化する:典型的に試料は92℃で30秒間変性され、60℃で30〜60秒間アニーリングされ、そして72℃で60秒間伸長される。態様によっては、逆転写されたDNAは、20〜35サイクルのPCR増幅にかけられることがある。例えば、RT不活性の後、RNAはRNアーゼHにより分解される。続いてPCRが実施され、ここで、20μlのcDNA反応混合物が50μlのPCR混合物に添加され、そして2分間94℃でインキュベートされる。PCR条件は、94℃で30秒間、55〜60℃で30秒間、そして68〜72℃で1〜15分間の35サイクルを包含した。この方法に使用したポリメラーゼはPlatinum Taq(商標)及びeLONGase(商標)である。
【0115】
GeneAmp熱安定性rTth逆転写酵素(Perkin-Elmer)がRNA鋳型を70℃で効率的に逆転写する能力は本発明で有用であり、これは、その二次構造が高温の反応温度で不安定なためである。高温で逆転写を実施する更なる利点であるプライマーハイブリダイゼーションの特異性、そしてその後のrTthDNAポリメラーゼによる伸長、延いては当該反応の感度、が増大する。
【0116】
実施例5:マイクロチップ上での逆転写の間の標識
ハイブリダイゼーションは、約12,000個の特徴を含むHO5(商標)マイクロアレイチップ(Mergen Ltd., San Leandro, Calif.)上で実施された。それぞれの特徴は、長さがそれぞれ30ヌクレオチドであり且つ特異的なRNA鎖と相補的な配列とハイブリダイズするよう設計された均一なオリゴヌクレオチド群である。これらの30量体はチップと離して合成され、そして末端アミン基を有する炭化水素リンカーがオリゴヌクレオチドの5’末端に付着された。オリゴヌクレオチドは、その結果、オリゴヌクレオチドの5’末端を介して形成したシッフ塩基によって基板上のアルデヒド基と共有結合的に付着し、逆転写酵素によるプライマー伸長に利用可能なように3’末端を遊離させている。好ましい態様において、オリゴヌクレオチドは、天然の「センス」RNA鎖にハイブリダイズすることができるような相補的「アンチセンス」鎖の配列を含んで成る。
【0117】
センス及びアンチセンスのコピーRNA(cRNA)転写物は、Riboprobe Combination System T3/T7 (Promega)を取扱説明書の条件に従い使用することにより、直鎖化されたcDNA鋳型から合成した。マイクロアレイ上のオリゴヌクレオチドは、安定で更に特異的な二本鎖が30℃のハイブリダイゼーション温度で形成するのに適当な環境を提供する550μlの標準的な緩衝液中で、ヒト卵巣ガン(OVC)細胞系由来の1μgのcRNAとハイブリダイズした。ハイブリダイゼーションは、一晩30℃で実施した。cRNAは、天然RNA(例えば、mRNA)と相補的な配列を含んで成り、そして分子生物学業界に精通している者になじみのある標準的な手順(Sambrook et al., 上記を参照のこと)を用いて生成された。好ましい態様において、マイクロアレイがセンス鎖と相補的なオリゴヌクレオチドから構成される場合、mRNAは予めcRNAに変換することなくマイクロアレイに対するハイブリダイゼーションに直接使用されうる。
【0118】
ハイブリダイゼーションの後、マイクロアレイは、60rpmで定期的に振とうしながら、予熱した洗浄溶液中で、以下のスケジュールに従い洗浄された:
2.0xSSC+0.1% SDS 42℃ 10分間 2回
0.2xSSC 37℃ 10分間
0.1xSSC 37℃ 10分間
【0119】
逆転写(RT)反応は:
4μlの5xRT緩衝液
2μlの0.1Mジチオスレイトール(DTT)
2μlのAMV逆転写酵素
1μlの10mM dATP
1μlの10mM dGTP
1μlの10mM dTTP
6μlの1mM dCTP
3μlの1mMビオチン−14−dCTP
を含んで成る反応混合物中、アレイ上で実施された。
【0120】
異なる態様において、ビオチン−14−dCTPの量は所望の感度により変化することがある。反応混合物をアレイに適用し、続いてこれをカバースリップで覆い、そして42℃で1時間湿度チャンバー内でインキュベートした。アレイは、オービタルシェーカー上で50rpmで定期的に回転させながら、ミルクベースのブロッキング緩衝液中で、30分間室温でブロッキングした。ストレプトアビジン溶液をアレイに適用し、そして、オービタルシェーカー上で定期的に回転させながら、4℃で30分間インキュベートした。アレイをリンゴ酸とTween-20(商標)の溶液(標準的な洗浄緩衝液)中で3回それぞれ15分間室温で洗浄した。アレイは、オービタルシェーカー上で4℃で30分間穏やかに回転させながら抗ストレプトアビジン抗体−Cy3溶液と一緒にインキュベートした。リンゴ酸とTween-20(商標)の緩衝液による洗浄は複数回繰り返された。アレイは続いて乾燥され、そしてCy3についてスキャンされた。遺伝子発現プロファイルの視覚化を図2Bに示す。
【0121】
比較のために、20μgのビオチン化したヒト卵巣ガン(OVC)細胞系RNAを標準的な手順で単離し、そして第一のcDNA鎖をポリT−T7プライマー及び逆転写酵素を用いて形成させた。cDNA鎖は、続いて、Roche Diagnosticsから市販されているキットを用いて二本鎖cDNAを作り出すための鋳型として使用された。ビオチンで標識されたプローブは、ビオチン−14−dCTPの存在下でのT7を用いたin vitro転写により生成した。ビオチン化されたRNAを同一のアレイとハイブリダイズさせ、そして遺伝子発現プロファイルを標準的な手順により視覚化した(図2A)。
【0122】
両方の方法についての結果を例示している、代表的なサブグリッド(32個のうちの1つ)を図2A−2Bに示す。グリッド上で矢印により示したものは、表1に従い使用したテストオリゴヌクレオチドとネガティブコントロールのオリゴヌクレオチドから生じたシグナルである。図2A及び2Bから理解できる通り、結果は比較可能なものであり、そしてあらゆる見かけ上の差異が感度の差異に起因すると思われる。
【0123】
【表1】

【0124】
実施例6:熱安定性逆転写を用いた多サイクルの標識
ハイブリダイゼーションは、約12,000個の特徴を含むHO5(商標)マイクロアレイチップ(Mergen Ltd., San Leandro, Calif.)上で実施される。それぞれの特徴は、長さがそれぞれ30ヌクレオチドであり且つ特異的なRNA鎖と相補的な配列とハイブリダイズするよう設計された均一なオリゴヌクレオチド群である。これらの30量体はチップと離して合成され、そして末端アミン基を有する炭化水素リンカーがオリゴヌクレオチドの5’末端に付着される。オリゴヌクレオチドは、その結果、オリゴヌクレオチドの5’末端を介して形成したシッフ塩基によって基板上のアルデヒド基と共有結合的に付着し、逆転写酵素によるプライマー伸長に利用可能なように3’末端を遊離させる。好ましい態様において、オリゴヌクレオチドは、天然の「センス」RNA鎖にハイブリダイズすることができるような相補的「アンチセンス」鎖の配列を含んで成る。
【0125】
センス及びアンチセンスのコピーRNA(cRNA)転写物は、Riboprobe Combination System T3/T7 (Promega)を取扱説明書の特定された条件に従い使用することにより、直鎖化されたcDNA鋳型から合成する。マイクロアレイ上のオリゴヌクレオチドは、安定で更に特異的な二本鎖が30℃のハイブリダイゼーション温度で形成するのに適当な環境を提供する550μlの標準的な緩衝液中で、ヒト卵巣ガン(OVC)細胞系由来の1μgのcRNAとハイブリダイズする。ハイブリダイゼーションは、一晩30℃で実施する。好ましい態様において、マイクロアレイがセンス鎖と相補的なオリゴヌクレオチドから構成される場合、mRNAは予めcRNAに変換することなくマイクロアレイに対するハイブリダイゼーションに直接使用されうる。
【0126】
ハイブリダイゼーションの後、マイクロアレイは、60rpmで定期的に振とうしながら、予熱した洗浄溶液中で、以下のスケジュールに従い洗浄される:
2.0xSSC+0.1% SDS 42℃ 10分間 2回
0.2xSSC 37℃ 10分間
0.1xSSC 37℃ 10分間
【0127】
逆転写(RT)反応は:
4μlの5xRT緩衝液
2μlの0.1Mジチオスレイトール(DTT)
2μlのRetroAmp(商標)熱安定性RT(Epicentre; 又はAMV RT)
1μlの10mM dATP
1μlの10mM dGTP
1μlの10mM dTTP
6μlの1mM dCTP
3μlの1mMビオチン−14−dCTP
を含んで成る反応混合物中、アレイ上で実施される。
【0128】
異なる態様において、ビオチン−14−dCTPの量は所望の感度により変化することがある。反応混合物をアレイに適用し、続いてこれをカバースリップで覆い、そして42℃で1時間湿度チャンバー内でインキュベートする。
【0129】
2又はそれ以上のサイクルの以下のプロトコールを実施してアッセイの感度を増大させる:
(a)94℃で2分間維持し;
(b)4℃で5分間維持し;そして
(c)42℃で60分間維持する。
【0130】
AMV逆転写酵素が開始反応で使用される場合、酵素(AMVRT)を段階(b)と(c)の間で補充してもよい。好ましくは、熱安定性RTがこのアッセイで使用される。態様によっては、リボヌクレアーゼ阻害剤(例えばRNasin(商標))が反応混合物に添加され、あるいはRNアーゼを欠いた熱安定性逆転写酵素が当該工程の間RNA鋳型の安定性を増大させるために使用される。アレイは、オービタルシェーカー上で50rpmで定期的に回転させながら、ミルクベースのブロッキング緩衝液中で、30分間室温でブロッキングする。ストレプトアビジン溶液をアレイに適用し、そして、オービタルシェーカー上で定期的に回転させながら、4℃で30分間インキュベートする。アレイをリンゴ酸とTween-20(商標)の溶液(標準的な洗浄緩衝液)中で3回それぞれ15分間室温で洗浄する。アレイは、オービタルシェーカー上で4℃で30分間穏やかに回転させながら抗ストレプトアビジン抗体−Cy3溶液と一緒にインキュベートする。リンゴ酸とTween-20(商標)の緩衝液による洗浄は複数回繰り返される。アレイは続いて乾燥され、そしてCy3についてスキャンされる。
【0131】
態様によっては、GeneAmp熱安定性rTth逆転写酵素(Perkin-Elmer)が高温(60〜70℃)でのcDNAへのRNAの逆転写を触媒するために使用され、そして適切なプライマー(例えばオリゴdT)の添加に続いて、同じ組換え熱安定性酵素であるrTthDNAポリメラーゼを使用してcDNA鎖が増幅される。
【0132】
本明細書で言及した全ての刊行物、特許及び特許出願が、全ての目的のためにそれらの全体が引用によって当該明細書に組み入れられる。
【0133】
本発明は好ましい態様及びその実施例を参照して記載したが、本発明の範囲はそれらの記載した態様のみに限定されない。当業者に自明なように、上述の発明に対する修飾及び適合は、特許請求の範囲によって規定され且つ拘束される本発明の精神及び範囲を逸脱することなくなされうる。
【0134】
前述したものは主に例示目的で提供される。当業者にとっては、本明細書に記載した本発明の作業条件、材料、手順の段階及び他のパラメーターが本発明の精神及び範囲を逸脱することなく種々の方法で更に修飾され、あるいは置換されうることは容易に理解されるであろう。従って、本発明の先の説明は、限定として解されるべきではなく、単なる例示として解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図1A−1Dは、本発明に従う態様の概略図を表す。
【図2】図2A−2Bは、標識された標的RNA(図2A)及び標識が逆転写の間に導入されるプライマー−プローブの標識された伸長を用いてのマイクロアレイ上での遺伝子発現プロファイルの視覚化を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の標的RNAを検出する方法であって。
(a)当該標的RNAと相補的な配列を含んで成るDNAプライマーを含んで成るアレイを準備し;
(b)当該プライマーとRNA試料とを、当該プライマーと標的RNAとの間の特異的なハイブリダイゼーションを促進する条件下で接触させ;
(c)プライマー−RNAヘテロ二本鎖と逆転写酵素とを、当該RNAのcDNAへの逆転写を可能にする条件であって、検出可能な標識が当該cDNA内に取り込まれるような条件下でインキュベートし;そして
(d)逆転写酵素により合成された新生cDNA鎖内に取り込まれた検出可能な標識を検出すること、を含んで成り、ここで、当該cDNAにおける標識の存在が、試料中の標的RNAの存在を示唆する、方法。
【請求項2】
(e)試料細胞中の標的RNAの存在又は不在を、参照細胞のものと比較すること、
を更に含んで成る請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(e)試料細胞中の標的RNAのレベルを決定し、そして参照細胞におけるレベルと比較すること、を更に含んで成る請求項1に記載の方法。
【請求項4】
多数のDNAプライマーが試料中の多数の標的RNAを検出するのに準備され、ここで、各プライマーが異なる標的RNA分子と相補的であり、そして各プライマーが固形の支持体上の別個の且つ同定可能な位置にある、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
検出可能な標識が、放射標識された分子、蛍光分子、及び色素生産性分子、から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
検出可能な標識が修飾されたヌクレオチド内に取り込まれ、更に、当該修飾されたヌクレオチドが鎖終結ヌクレオチドではない、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
検出可能な標識が、放射性標識されたdNTP、フルオロ−dNTP、ビオチン化されたdNTP又はジゴキシゲニン−dNTPのうちの少なくとも1つである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
検出可能な標識が、新生のポリヌクレオチド内に取り込まれた第二の標識と結合する分子と複合される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
アレイが少なくとも約100〜少なくとも約1,000,000のプライマーを含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
アレイが、少なくとも約1,000のプライマーを含んで成る、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
試料が細胞由来であり、且つ少なくとも1つの標的RNAの存在が、感染、病状、病状に対する素因、発生上の状態、物理的状態、化学的状態及び生物学的状態、から成る群から選択される状態を示唆する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
試料が細胞由来であり、且つ少なくとも1つの標的RNAの不在が、感染、病状、病状に対する素因、発生上の状態、物理的状態、化学的状態及び生物学的状態、から成る群から選択される状態を示唆する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
プライマーが基板上に固定されている、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
プライマーが、当該プライマーの3’末端が遊離するように、共有結合により基板上に固定されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
共有結合が、シッフ塩基、光開裂可能な結合、静電結合、ジスルフィド結合、ペプチド結合、ジエステル結合、及び選択的に放出可能な結合、から成る群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
プライマーが、当該プライマーの3’末端が遊離するように非共有結合的なカップリングにより基板上に固定されている、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
非共有結合的なカップリングが、静電的相互作用、水素結合、抗体−抗原カップリング、ビオチン−アビジン相互作用、ビオチン−ストレプトアビジン相互作用、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)プロテインA−IgG抗体Fcフラグメント相互作用、及びストレプトアビジン/プロテインAキメラ、から成る群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
基板が、プラスチック、セラミック、ナイロン、ポリエステル、金属、樹脂、ゲル、メンブレン、ニトロセルロース膜、板、ビーズ、薄膜、ガラス、シリンダー、タグ付きビーズ、磁気ビーズ、光ファイバー、及び繊維織物、から成る群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
RNA試料が生物学的供給源から単離される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
RNA試料が生物学的供給源からの単離後に増幅される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
RNA試料がin vitroでの転写によって調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
RNA試料が少なくとも1つの発現調節RNAを含んで成る。請求項1に記載の方法。
【請求項23】
プライマーがDNA依存性RNAポリメラーゼのプロモーター配列を更に含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
DNA依存性RNAポリメラーゼが、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、及びSP6 RNAポリメラーゼから成る群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
(e)in situで実施されるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってcDNA鎖を増幅させること、を更に含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
PCR反応が、Taq DNAポリメラーゼ、Tth1 DNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、又は熱安定性逆転写酵素を用いて実施される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
試料中の標的RNAを検出する方法であって、
(a)当該標的RNAの配列と相補的な配列を含んで成る少なくとも1つのDNAプライマーを含んで成るマイクロアレイを準備し;
(b)当該マクロアレイとRNA試料とを、前記プライマーと前記標的RNAとの間の特異的なハイブリダイゼーションを可能にする条件下で接触させ;
(c)プライマー−RNAヘテロ二本鎖と逆転写酵素とを、当該RNANのcDNAへの転写を可能にする条件下でインキュベートし;そして
(d)前記逆転写酵素により合成されたcDNA−RNAヘテロ二本鎖を検出すること、を含んで成り、ここで、cDNA−DNAヘテロ二本鎖の存在が、試料中の標的RNAの存在を示唆し、ここで、当該検出がDNA−RNAハイブリッドに対する抗体によって媒介されない、方法。
【請求項28】
検出可能な標識が、新生ポリヌクレオチドに結合する分子と複合される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
(e)熱安定性逆転写酵素を準備し;そして
(f)多サイクルのプライマー伸長反応を、温度が各サイクルの間cDNA−RNAハイブリッドの融点を超している条件下で実施すること、を更に含んで成る。請求項27に記載の方法。
【請求項30】
cDNA−RNAヘテロ二本鎖が、二本鎖ポリヌクレオチドに特異的に結合する検出可能な試薬によって検出される、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
検出可能な試薬が、インターカレート化合物、ポリヌクレオチド二本鎖依存性蛍光消光化合物、DAPI、臭化エチジウム、チアゾールオレンジ、ビス−ベンズイミド及びアクリジンオレンジ、から成る群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
検出可能な試薬が、当該試薬に結合する第二の検出可能分子によって間接的に検出可能である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
多数のDNAプライマーが試料中の多数の標的RNAを検出するのに準備され、ここで、各プライマーが異なる標的RNA分子と相補的であり、そして各プライマーが固形の支持体上で別個の且つ同定可能な位置にある、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
アレイが少なくとも約100〜少なくとも約1,000,000のプライマーを含んで成る、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
アレイが、少なくとも約1,000のプライマーを含んで成る、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
試料が細胞由来であり、且つ少なくとも1つの標的RNAの存在が、感染、病状、病状に対する素因、発生上の状態、物理的状態、化学的状態及び生物学的状態、から成る群から選択される状態を示唆する、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
試料が細胞由来であり、且つ少なくとも1つの標的RNAの不在が、感染、病状、病状に対する素因、発生上の状態、物理的状態、化学的状態及び生物学的状態、から成る群から選択される状態を示唆する、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
プライマーが、当該プライマーの3’末端が遊離するように、共有結合により基板上に固定されている、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
共有結合が、光開裂可能な結合、静電結合、ジスルフィド結合、ペプチド結合、ジエステル結合、及び選択的に放出可能な結合、から成る群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
プライマーが、当該プライマーの3’末端が遊離するように非共有結合的なカップリングにより基板上に固定されている、請求項27に記載の方法。
【請求項41】
非共有結合的なカップリングが、静電的相互作用、水素結合、抗体−抗原カップリング、ビオチン−アビジン相互作用、ビオチン−ストレプトアビジン相互作用、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)プロテインA−IgG抗体Fcフラグメント相互作用、及びストレプトアビジン/プロテインAキメラ、から成る群から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
基板が、プラスチック、セラミック、ナイロン、ポリエステル、金属、樹脂、ゲル、メンブレン、ニトロセルロース膜、板、ビーズ、薄膜、ガラス、シリンダー、タグ付きビーズ、磁気ビーズ、光ファイバー、及び繊維織物、から成る群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項43】
RNA試料が生物学的供給源から単離される、請求項27に記載の方法。
【請求項44】
RNA試料が生物学的供給源からの単離後に増幅される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
RNA試料がin vitroでの転写によって調製される、請求項27に記載の方法。
【請求項46】
RNA試料が少なくとも1つの発現調節RNAを含んで成る、請求項27に記載の方法。
【請求項47】
試料中の標的RNAを検出するための方法であって、
(a)当該標的RNAと相補的な配列を含んで成るDNAプライマーを含んで成るアレイを準備し;
(b)当該プライマーとRNA試料とを、当該プライマーと標的RNAとの間の特異的なハイブリダイゼーションを促進する条件下で接触させ;
(c)プライマー−RNAヘテロ二本鎖と熱安定性逆転写酵素とを、当該RNAのcDNAへの逆転写を可能にする条件であって、検出可能標識が当該cDNA内に取り込まれるような条件下でインキュベートし;
(d)少なくとも2サイクルのハイブリダイゼーションと逆転写を、RNA:cDNA二本鎖の融点より高い温度を含んで成る条件下で実施し;そして
(e)前記逆転写酵素によって合成された新生cDNA鎖内に取り込まれた検出可能標識を検出すること、を含んで成り、ここで、前記cDNAにおける前記標識の存在が試料中の標的RNAの存在を示唆する、方法。
【請求項48】
(f)試料細胞中の標的RNAの存在又は不在を、参照細胞のものと比較すること、を更に含んで成る、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
ハイブリダイゼーションと逆転写の段階が、RNアーゼH阻害剤の存在下で実施される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
熱安定性逆転写酵素はRNアーゼH機能を欠いている、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
参照配列と比較した場合の標的ポリヌクレオチドの配列変異を同定するためのキットであって、
a)固相支持体上に固定された少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーのアレイであって、各オリゴヌクレオチドプライマーが、標的RNAに対して相補的な配列を含んで成るよう選択され、そしてアレイの同定可能な且つ別個の領域を占めるアレイ;
b)当該アレイ上での逆転写反応に適した試薬;及び
c)当該アレイ上での新生cDNA鎖を検出するための検出手段、
を含んで成るキット。
【請求項52】
検出手段が、逆転写反応の間に新生cDNA鎖内に取り込まれる検出可能標識を含んで成る、請求項51に記載のキット。
【請求項53】
検出可能な標識が蛍光分子である、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
検出可能な標識が、放射性標識されたdNTP、フルオロ−dNTP、ビオチン化されたdNTP又はジゴキシゲニン−dNTPのうちの少なくとも1つである、請求項52に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−501844(P2006−501844A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543008(P2004−543008)
【出願日】平成15年9月24日(2003.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/030116
【国際公開番号】WO2004/033629
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(502236644)マーゲン リミティド (1)
【Fターム(参考)】