説明

マイクロカプセルの製造方法

【課題】 O−アセチルリシノレイン酸メチル等の脂肪酸エステル中に農薬化合物を含有するマイクロカプセル製剤であって、農薬化合物の放出タイミングを遅くする技術を提供すること。
【解決手段】
(1)農薬化合物、
式(I)


(式中、Xは−CH2−CH2−又は−CH=CH−を表し、R1はC1−C4アルキル基を表し、R2はC1−C4アルキル基を表す。)
で示される化合物、及び
ポリイソシアネートの混合物を20〜60℃で3時間以上保持し、
(2)その後、得られた混合物をポリオール又はポリアミンを含有する水に加え、水中に液滴を調製し、
(3)該液滴の周囲にポリウレタン又はポリウレアの皮膜を形成するマイクロカプセルの製造方法によって製造されるマイクロカプセルは、従来のマイクロカプセル製剤より農薬化合物の放出が制御されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロカプセルの製造方法及び該製造方法で製造されるマイクロカプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
O−アセチルリシノレイン酸メチル等の脂肪酸エステル中に農薬化合物が懸濁された液滴が樹脂で被覆されてなるマイクロカプセルが、知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−186497
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
農薬化合物のマイクロカプセル製剤は、製剤中の農薬化合物の放出タイミングを制御することを目的とする製剤である。
本発明は、O−アセチルリシノレイン酸メチル等の脂肪酸エステル中に農薬化合物を含有するマイクロカプセル製剤であって、農薬化合物の放出タイミングを遅くする技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
我々は、マイクロカプセルを製造する際に、農薬化合物、O−アセチルリシノレイン酸メチル等の脂肪酸エステル及びポリイソシアネートの混合物であって、20〜60℃で3時間以上保持した混合物を用いてマイクロカプセルを製造すると、マイクロカプセルから農薬化合物が放出されるタイミングが遅くなることを見出した。また、かかる製造方法によって製造されたマイクロカプセルは、光安定性が従来のものよりも優れるものであることも見出した。
本発明は、以下のものである。
【0006】
[1] (1)農薬化合物、
式(I)

(式中、Xは−CH2−CH2−又は−CH=CH−を表し、R1はC1−C4アルキル基を表し、R2はC1−C4アルキル基を表す。)
で示される化合物、及び
ポリイソシアネートの混合物を20〜60℃で3時間以上保持し、
(2)その後、得られた混合物をポリオール又はポリアミンを含有する水に加え、水中に液滴を調製し、
(3)該液滴の周囲にポリウレタン又はポリウレアの皮膜を形成するマイクロカプセルの製造方法。
【0007】
[2] 固体農薬化合物と式(I)で示される化合物との重量比が農薬化合物/式(I)で示される化合物=10/100〜100/100である[1]記載のマイクロカプセルの製造方法。
【0008】
[3] 式(I)で示される化合物が、O−アセチルリシノレイン酸のC1−C4アルキルエステルである[1]又は[2]記載のマイクロカプセルの製造方法。
【0009】
[4] 式(I)で示される化合物が、O−アセチルリシノレイン酸メチルである[1]又は[2]記載のマイクロカプセルの製造方法。
【0010】
[5] 農薬化合物が固体農薬化合物である[1]〜[4]いずれか1項記載のマイクロカプセルの製造方法。
【0011】
[6] 農薬化合物がネオニコチノイド化合物である[1]〜[4]いずれか1項記載のマイクロカプセルの製造方法。
【0012】
[7] 農薬化合物がクロチアニジンである[1]〜[4]いずれか1項記載のマイクロカプセルの製造方法。
【0013】
[8] [1]〜[7]いずれか1項記載のマイクロカプセルの製造方法で製造されたマイクロカプセル製剤。
【発明の効果】
【0014】
本発明のマイクロカプセルの製造法によって、従来のマイクロカプセル製剤より農薬化合物の放出が制御されたマイクロカプセル製剤を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のマイクロカプセルの製造方法は、
(1)固体農薬化合物、
式(I)

(式中、Xは−CH2−CH2−又は−CH=CH−を表し、R1はC1−C4アルキル基を表し、R2はC1−C4アルキル基を表す。)
で示される化合物、及び
ポリイソシアネートの混合物を20〜60℃で3時間以上保持する第1工程、
(2)その後、該混合物をポリオール又はポリアミンを含有する水に加え、水中に液滴を調製する第2工程、
(3)該液滴の周囲にポリウレタン又はポリウレアの皮膜を形成する第3工程を含む。
【0016】
本発明において、農薬化合物としては、固体農薬化合物が好ましい。本発明において固体農薬化合物とは、通常、融点が15℃以上、好ましくは融点が50℃以上の農薬活性を有する化合物を意味する。本発明における固体農薬化合物は、融点が15℃以上、好ましくは融点が50℃以上の農薬活性を有する化合物であって、且つ上記式(I)で示される化合物に対する溶解度が5重量%以下である化合物がさらに好ましい。
【0017】
本発明に用いられる農薬化合物としては、例えば殺虫化合物、殺菌化合物、除草化合物、昆虫成長制御化合物、植物生長調節化合物、及び昆虫忌避化合物を挙げることができる。
【0018】
殺虫化合物としては、例えばプロポキサー、イソプロカルブ、キシリルカルブ、メトルカルブ、XMC、カルバリル、ピリミカルブ、カルボフラン、メソミル、フェノキシカルブ、アラニカルブ、メトキサジアゾン等のカーバメート化合物;アセフェート、フェントエート、バミドチオン、トリクロルホン、モノクロトホス、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、ホサロン、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、ピリダフェンチオン、キナルホス、メチダチオン、メタミドホス、ジメトエート、フェルモチオン、アジンホスエチル、アジンホスメチル、サリチオン等の有機リン化合物;イミダクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリド、クロチアニジン、チアメトキサム等のネオニコチノイド化合物;4−クロロ−2−(2−クロロ−2−メチルプロピル)−5−(6−ヨード−3−ピリジルメトキシ)ピリダジン−3(2H)−オン、カルタップ、ブプロフェジン、チオシクラム、ベンスルタップ、フェノキシカルブ、フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリダベン、ヒドラメチルノン、チオジカルブ、クロルフェナピル、フェンプロキシメート、ピメトロジン、ピリミジフェン、テブフェノジド、テブフェンピラド、トリアザメート、インドキサカルブ、スルフルラミド、ミルベメクチン、アベルメクチン、及びパラジクロロベンゼンを挙げることができる。
【0019】
殺菌化合物としては、例えばベノミル、カルベンダジム、チアベンダゾール、チオファネートメチル等のベンズイミダゾール化合物;ジエトフェンカルブ等のフェニルカーバメート化合物;プロシミドン、イプロジオン、ビンクロゾリン等のジカルボキシイミド化合物;ジニコナゾール、プロペナゾール、エポキシコナゾール、テブコナゾール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、フルシラゾール、トリアジメフォン等のアゾール化合物;メタラキシル等のアシルアラニン化合物;フラメトピル、メプロニル、フルトラニル、トリフルザミド等のカルボキシアミド化合物;トルクロホスメチル、フォセチルアルミニウム、ピラゾホス等の有機リン化合物;ピリメサニル、メパニピリム、シプロジニル等のアニリノピリミジン化合物;フルジオキソニル、フェンピクロニル等のシアノピロール化合物;クロロタロニル、マンゼブ、キャプタン、フォルペット、トリシクラゾール、ピロキロン、プロベナゾール、フサライド、シモキサニル、ジメトモルフ、ファモキサドン、オキソリニン酸及びその塩、フルアジナム、フェリムゾン、ジクロシメット、クロベンチアゾン、イソバレジオン、テトラクロオロイソフタロニトリル、チオフタルイミドオキシビスフェノキシアルシン、及び3−ヨード−2−プロピルブチルカーバメイトを挙げることができる。
【0020】
除草化合物としては、例えばアトラジン、メトリブジン等のトリアジン化合物;フルオメツロン、イソプロチュロン等のウレア化合物;ブロモキシニル、アイオキシニル等のヒドロキシベンゾニトリル化合物;ペンディメサリン、トリフルラリン等の2、6―ジニトロアニリン化合物;2,4−D、ジカンバ、フルロキシピル、メコプロップ等のアリールオキシアルカノイック酸化合物及びその塩;ベンスルフロンメチル、メツルフロンメチル、ニコスルフロン、プリミスルフロンメチル、シクロスルファムロン等のスルホニルウレア化合物;イマザピル、イマザキン、イマゼタピル等のイミダゾリノン化合物及びその塩;サルフェントラゾン、パラコート、フルメツラム、トリフルスルフロンメチル、フェノキサプロップ−p−エチル、シハロホップブチル、ジフルフェニカン、ノルフルラゾン、イソキサフルトール、グルフォシネートアンムニウム塩、グリフォセート塩、ベンタゾン、ベンチオカーブ、メフェナセット、プロパニル、フルチアミド、フルミクロラックペンチル、及びフルミオキサジンを挙げることができる。
【0021】
昆虫成長制御化合物としては、例えばジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ルフェヌロン、ヘキサフルムロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、シロマジン、ジアフェンチウロン、ヘキシチアゾクス、ノヴァルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)フェニル]ウレア、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]ウレア等のベンゾイルウレア化合物、ピリプロキシフェンなどを挙げることができる。植物生長調節化合物としては、マレイン酸ヒドラジド、クロルメカット、エテフォン、ジベレリン、メピカットクロライド、チジアズロン、イナベンファイド、パクロブトラゾール、及びウニコナゾールを挙げることができる。
昆虫忌避化合物としては、例えば1S,3R,4R,6R−カラン−3,4−ジオール、及び2,5−ピリジンジカルボン酸ジプロピルを挙げることができる。
【0022】
本発明において、式(I)におけるR1及びR2のC1−C4アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。式(I)で示される脂肪酸エステルは、リシノレイン酸又は12−ヒドロキシステアリン酸のカルボキシル基を低級アルコール化合物との縮合によりアルコキシカルボニル基とし、さらにヒドロキシ基を低級脂肪酸との縮合によりアシルオキシ基とすることにより得ることができる。
式(I)で示される化合物の例としては、例えばO−アセチルリシノレイン酸のC1−C4アルキルエステル、及び12−アセトキシステアリン酸のC1−C4アルキルエステルが挙げられる。
式(I)で示される化合物としては、より具体的には例えば、
O−アセチルリシノレイン酸メチル〔CH3(CH25CH(OCOCH3)CH2CH=CH(CH27CO2CH3〕、
O−アセチルリシノレイン酸エチル〔CH3(CH25CH(OCOCH3)CH2CH=CH(CH27CO2CH2CH3〕、
O−アセチルリシノレイン酸ブチル〔CH3(CH25CH(OCOCH3)CH2CH=CH(CH27CO2(CH23CH3〕、
12−アセトキシステアリン酸メチル〔CH3(CH25CH(OCOCH3)(CH210CO2CH3〕、及び
12−アセトキシステアリン酸ブチル〔CH3(CH25CH(OCOCH3)(CH210CO2(CH23CH3
が挙げられる。
【0023】
本発明において、ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンとの付加物、ヘキサメチレンジイソシアナート3分子のビウレット縮合物、トリレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアナートのイソシアヌレート縮合物、ヘキサメチレンジイソシアナートのイソシアヌレート縮合物、イソホロンジイソシアナートのイソシアヌレート縮合物、ヘキサメチレンジイソシアナートの一方のイソシアナート部が2分子のトリレンジイソシアナートと共にイソシアヌレート体を構成し他方のイソシアナート部が2分子の他のヘキサメチレンジイソシアナートと共にイソシアヌレート体を構成するイソシアナートプレポリマー、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、及びトリメチルヘキサメチレンジイソシアナートが挙げられる。
【0024】
本発明において、固体農薬化合物と式(I)で示される化合物との重量比は、固体農薬化合物/(I)で示される化合物が通常10/100〜100/100、好ましくは20/100〜40/100である。
本発明に使用されるポリイソシアネートの量は、通常、製造されるマイクロカプセルの皮膜の量に応じて決定される。製造されるマイクロカプセルの皮膜の量は、製造されるマイクロカプセル全量に対して、通常5〜45重量%、好ましくは10〜30重量%である。本発明に使用されるポリイソシアネートの量は、このマイクロカプセルの皮膜の量に対して、通常、25〜90重量%、好ましくは40〜70重量%である。
【0025】
農薬化合物は通常式(I)で示される化合物に溶解されているか、又は懸濁されている。
農薬化合物が式(I)で示される化合物に溶解されている場合、第1工程の農薬化合物、式(I)で示される化合物、及びポリイソシアネートの混合物は、農薬化合物、式(I)で示される化合物、及びポリイソシアネートを混合することで調製することができる。
農薬化合物が固体農薬化合物である場合は、固体農薬化合物の式(I)で示される化合物への溶解度と固体農薬化合物と式(I)で示される化合物の重量比により、該固体農薬化合物を式(I)で示される化合物に懸濁されたものとなる。式(I)で示される化合物に懸濁されている場合、第1工程の固体農薬化合物、式(I)で示される化合物、及びポリイソシアネートの混合物は、例えば、固体農薬化合物を式(I)で示される化合物中で粉砕して懸濁液を得て、得られた懸濁液にポリイソシアネートを加えることで調製することができる。
【0026】
固体農薬化合物を式(I)で示される化合物中で粉砕する方法としては、例えば、式(I)で示される化合物に、固体農薬化合物及び必要により粉砕用のビーズ等を加え、粉砕機を用いて湿式粉砕する方法が挙げられる。用いられる粉砕機としては、例えば、ビーズミル、ボールミル、ロッドミル等のミル、及びロータ・ステータ型ホモジナイザーが挙げられる。粉砕機としては、具体的には例えばアトライター(三井三池化工機製)、ダイノミル(WILLY A. BACHOFEN AG. MASHINENFABRIK社製)、コロイドミル(PRIMIX株式会社製)、及びパールミル(芦沢鉄工製)が挙げられる。ロータ・ステータ型ホモジナイザーとしては、具体的には例えばポリトロンホモジナイザー(KINEMATICA AG社製)が挙げられる。
式(I)で示される化合物の存在下に固体農薬化合物を湿式粉砕すると、該固体農薬化合物の粒子が均一に分散し、また粉砕後の粒子同士が凝集することが殆どなく、湿式粉砕時の懸濁液の粘度もあまり高くならないことから、粉砕機に対する動力負荷が小さく、製造が容易である。
【0027】
固体農薬化合物を式(I)で示される化合物中で粉砕する操作は、2以上の操作に分けて行うこともできる。例えば、固体農薬化合物を式(I)で示される化合物中で粉砕する際に、第1の操作で固体農薬化合物を粗く粉砕し、第2の操作で固体農薬化合物をさらに細かく粉砕することも可能である。固体農薬化合物を式(I)で示される化合物中で粉砕する操作を2つの操作で行う方法としては、例えば第1の操作を粉砕機としてロータ・ステータ型ホモジナイザーを用い、第2の操作にミルを用いる方法が挙げられる。
【0028】
固体農薬化合物が式(I)で示される化合物に懸濁されている場合、式(I)で示される化合物に懸濁されている固体農薬化合物粒子の粒子径は、通常、体積中位径で10μm以下、好ましくは1〜5μmの範囲内である。また、式(I)で示される化合物に懸濁されている固体農薬化合物粒子は、10μm以上の粒径を有する粒子の累積体積が10%以下であることが好ましい。
【0029】
本発明において、農薬化合物、式(I)で示される化合物、及びポリイソシアネートの混合物には、さらに他の有機溶媒が含有されていてもよい。該有機溶媒としては、例えばトリメチルペンタン等の脂肪族炭化水素、フェニルキシリルエタン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等の芳香族炭化水素、2−エチルヘキシルエーテル等のエーテル、マシン油等の鉱物油、及び綿実油等の植物油が挙げられる。該有機溶媒が含有される場合の該有機溶媒量は、通常、式(I)で示される化合物に対する重量割合で、1/2以下、好ましくは3/7以下、さらに好ましくは1/4以下である。
【0030】
本発明のマイクロカプセルの製造法の第1工程は、上記のようにして得られた農薬化合物、式(I)で示される化合物、及びポリイソシアネートの混合物を20〜60℃で3時間以上、好ましくは20〜40℃で5時間以上保持する工程である。
農薬化合物、式(I)で示される化合物、及びポリイソシアネートの混合物を20〜60℃で保持する際には、該混合物を攪拌してもよく、静置してもよい。また、この第1工程では、通常、該混合物が20〜60℃に保たれるように管理される。
【0031】
本発明のマイクロカプセルの製造法の第2工程は、第1工程で得られた混合物をポリオール又はポリアミンが含有される水に加え、水中に液滴を調製する工程である。
この工程で水にポリオールを含有させた場合には、ポリウレタン皮膜のマイクロカプセルが製造される。この工程で水にポリアミンを含有させた場合には、ポリウレア皮膜のマイクロカプセルが製造される。
ポリオールが含有される水は、例えば、水とポリオールとを混合することにより調製することができる。ポリアミンが含有される水は、例えば、水とポリアミンとを混合すること又はポリアミンの塩とを混合することにより調製することができる。
【0032】
本発明において、ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、及びシクロプロピレングリコールが挙げられる。本発明において、ポリアミンとしては、例えばエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、及びトリエチレンテトラミンが挙げられる。
本発明に使用されるポリオール又はポリアミンの量は、通常、製造されるマイクロカプセルの皮膜の量に応じて決定される。本発明に使用されるポリオールの量は、マイクロカプセルの皮膜の量に対して、通常、5〜80重量%、好ましくは20〜60重量%である。本発明に使用されるポリアミンの量は、マイクロカプセルの皮膜の量に対して、通常、5〜80重量%、好ましくは20〜60重量%である。
【0033】
第2工程に用いられる水の重量は、通常、第1工程で得られた混合物の重量に対して0.8〜2倍の範囲内である。第2工程で用いられる水には、脱イオン水が用いるのが好ましく、必要に応じて、増粘剤が添加されていてもよい。
増粘剤としては、例えばザンタンガム、ラムザンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ウェラントガム等の天然多糖類;ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子;カルボキシメチルセルロース等の半合成高分子;アルミニウムマグネシウムシリケート、スメクタイト、ベントナイト、ヘクトライト、乾式シリカ等の鉱物質粉末;及びアルミナゾルが挙げられる。
【0034】
第2工程において、水中に液滴を調製する方法としては、例えば第1工程で得られた混合物をポリオール又はポリアミンが含有される水に加え、その後、攪拌機で拡販する方法が挙げられる。この際に用いられる攪拌機としては、例えばプロペラ攪拌機、タービン攪拌機、及び高速せん断攪拌機が挙げられる。攪拌機の具体例としては、PRIMIX株式会社製のT.K.ホモミキサー、T.K.ホモミックラインフロー、T.K.パイプラインホモミクサー及びT.K.フィルミックス;エム・テクニック株式会社製のクレアミックス;KINEMATICA製のポリトロンホモジナイザー及びメガトロンホモジナイザー;及び月島機械株式会社製のスープラトンが挙げられる。
【0035】
本発明のマイクロカプセルの製造方法で製造されるマイクロカプセルの粒子径は、第2工程で調製される液滴の粒子径とほぼ同じである。第2工程で調製される液滴の粒子径及び本発明のマイクロカプセルの製造法で製造されるマイクロカプセルの粒子径は、体積中位径にして、通常1〜80μm、好ましくは5〜50μmの範囲内である。
【0036】
第2工程で得られる水中に存在する液滴は、式(I)で示される化合物中にポリイソシアネートが溶解したものである。このため液滴に含有されるポリイソシアネートと、水中に存在するポリオール又はポリアミンとが、該液滴の界面で重合する。その結果、該液滴の周囲にポリウレタン又はポリウレアの皮膜が形成され、マイクロカプセルが水性懸濁物として得られる。
【0037】
皮膜を形成する樹脂がポリウレタン樹脂の場合、例えば第2工程で得られた液滴の水分散液を攪拌下に40〜80℃に加熱し、0.5〜48時間程度保持することで、液滴の周囲にポリウレタン樹脂の被膜が形成される。被膜を形成する樹脂がポリウレア樹脂の場合、例えば液滴の水分散液の液性を中性〜弱アルカリ性に調整して、0〜50℃で0.5〜48時間程度保持すことで、液滴の周囲にポリウレア樹脂の被膜が形成される。
【0038】
上記の製造方法によって、マイクロカプセルが水懸濁状組成物として製造される。
上記の製造方法により製造されたマイクロカプセルは、水懸濁状組成物から遠心分離、濾過、スプレードライ等によりマイクロカプセルの粉末状製剤として使用することができる。
【0039】
また、上記の製造法によって製造されたマイクロカプセルの水懸濁状組成物に、更に増粘剤、凍結防止剤、防腐剤、比重調節剤、pH調節剤、水等を添加して使用することもできる。この場合、上記の製造法によって製造されたマイクロカプセルは、例えば、固体農薬化合物を水性懸濁組成物全量中に0.1〜30重量%含有する農薬組成物として使用される。
かかる増粘剤としては、先に例示したものが挙げられる。凍結防止剤としては、例えばプロピレングリコールが挙げられる。防腐剤としては、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エステル;5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾリン誘導体、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、及びサリチル酸誘導体が挙げられる。防腐剤としては、具体的には例えばバイオホープL(ケイ・アイ化成株式会社製)、プロキセルGXL(防腐剤、アシビア株式会社製)が挙げられる。比重調節剤としては、例えば硫酸ナトリウム等の水溶性塩、尿素等の水溶性化合物が挙げられる。pH調節剤としては、例えばリン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、及び水酸化ナトリウムが挙げられる。
【0040】
固体農薬化合物が殺虫有効成分である場合、本発明のマイクロカプセルを含有する農薬組成物を、害虫又は害虫の生息場所に、固体農薬化合物の量で0.1〜1000g/1000m2程度、好ましくは1〜100g/1000m2程度の割合で散布することにより施用される。
【0041】
本発明のマイクロカプセルの製造方法によって製造されるマイクロカプセルの態様を以下に示す。
【0042】
農薬化合物、
式(I)

(式中、Xは−CH2−CH2−又は−CH=CH−を表し、R1はC1−C4アルキル基を表し、R2はC1−C4アルキル基を表す。)
で示される化合物、及びポリイソシアネートの混合物を20〜60℃で3時間以上保持し、その後、該混合物をポリオール又はポリアミンが含有される水に加え、水中に液滴を調製し、該液滴の周囲にポリウレタン又はポリウレアの皮膜を形成するマイクロカプセルの製造方法によって製造されたマイクロカプセル(以下、本発明マイクロカプセルと記す。)。
【0043】
本発明マイクロカプセルであって、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、且つ粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であるマイクロカプセル。
本発明マイクロカプセルであって、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、且つ体積中位径/膜厚が25〜150であるマイクロカプセル。
【0044】
本発明マイクロカプセルであって、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、皮膜がポリウレタンであるマイクロカプセル。
本発明マイクロカプセルであって、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、体積中位径/膜厚が25〜150であり、皮膜がポリウレタンであるマイクロカプセル。
【0045】
本発明マイクロカプセルであって、農薬化合物と式(I)で示される化合物との重量比が農薬化合物/式(I)で示される化合物=20/100〜40/100であり、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、且つ粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であるマイクロカプセル。
本発明マイクロカプセルであって、農薬化合物と式(I)で示される化合物との重量比が農薬化合物/式(I)で示される化合物=20/100〜40/100であり、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、且つ体積中位径/膜厚が25〜150であるマイクロカプセル。
【0046】
本発明マイクロカプセルであって、農薬化合物と式(I)で示される化合物との重量比が農薬化合物/式(I)で示される化合物=20/100〜40/100であり、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、皮膜がポリウレタンであるマイクロカプセル。
本発明マイクロカプセルであって、農薬化合物と式(I)で示される化合物との重量比が農薬化合物/式(I)で示される化合物=20/100〜40/100であり、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、体積中位径/膜厚が25〜150であり、皮膜がポリウレタンであるマイクロカプセル。
【0047】
本発明マイクロカプセルであって、防腐剤としてのイソチアゾリン誘導体を含有し、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、且つ粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であるマイクロカプセル。
本発明マイクロカプセルであって、防腐剤としてのイソチアゾリン誘導体を含有し、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、且つ体積中位径/膜厚が25〜150であるマイクロカプセル。
【0048】
本発明マイクロカプセルであって、防腐剤としてのイソチアゾリン誘導体を含有し、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、皮膜がポリウレタンであるマイクロカプセル。
本発明マイクロカプセルであって、防腐剤としてのイソチアゾリン誘導体を含有し、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、体積中位径/膜厚が25〜150であり、皮膜がポリウレタンであるマイクロカプセル。
【0049】
本発明マイクロカプセルであって、防腐剤としてのイソチアゾリン誘導体を含有し、農薬化合物と式(I)で示される化合物との重量比が農薬化合物/式(I)で示される化合物=20/100〜40/100であり、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、且つ粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であるマイクロカプセル。
本発明マイクロカプセルであって、防腐剤としてのイソチアゾリン誘導体を含有し、農薬化合物と式(I)で示される化合物との重量比が農薬化合物/式(I)で示される化合物=20/100〜40/100であり、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、且つ体積中位径/膜厚が25〜150であるマイクロカプセル。
【0050】
本発明マイクロカプセルであって、防腐剤としてのイソチアゾリン誘導体を含有し、農薬化合物と式(I)で示される化合物との重量比が農薬化合物/式(I)で示される化合物=20/100〜40/100であり、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、皮膜がポリウレタンであるマイクロカプセル。
本発明マイクロカプセルであって、防腐剤としてのイソチアゾリン誘導体を含有し、農薬化合物と式(I)で示される化合物との重量比が農薬化合物/式(I)で示される化合物=20/100〜40/100であり、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、体積中位径/膜厚が25〜150であり、皮膜がポリウレタンであるマイクロカプセル。
【0051】
本発明マイクロカプセルであって、防腐剤としてのイソチアゾリン誘導体及びpH調節剤を含有し、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、且つ粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であるマイクロカプセル。
本発明マイクロカプセルであって、防腐剤としてのイソチアゾリン誘導体を含有し、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、且つ体積中位径/膜厚が25〜150であるマイクロカプセル。
【0052】
本発明マイクロカプセルであって、防腐剤としてのイソチアゾリン誘導体及びpH調節剤を含有し、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、皮膜がポリウレタンであるマイクロカプセル。
本発明マイクロカプセルであって、防腐剤としてのイソチアゾリン誘導体及びpH調節剤を含有し、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、体積中位径/膜厚が25〜150であり、皮膜がポリウレタンであるマイクロカプセル。
【0053】
本発明マイクロカプセルであって、防腐剤としてのイソチアゾリン誘導体及びpH調節剤を含有し、農薬化合物と式(I)で示される化合物との重量比が農薬化合物/式(I)で示される化合物=20/100〜40/100であり、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、且つ粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であるマイクロカプセル。
本発明マイクロカプセルであって、防腐剤としてのイソチアゾリン誘導体及びpH調節剤を含有し、農薬化合物と式(I)で示される化合物との重量比が農薬化合物/式(I)で示される化合物=20/100〜40/100であり、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、且つ体積中位径/膜厚が25〜150であるマイクロカプセル。
【0054】
本発明マイクロカプセルであって、防腐剤としてのイソチアゾリン誘導体及びpH調節剤を含有し、農薬化合物と式(I)で示される化合物との重量比が農薬化合物/式(I)で示される化合物=20/100〜40/100であり、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、皮膜がポリウレタンであるマイクロカプセル。
本発明マイクロカプセルであって、防腐剤としてのイソチアゾリン誘導体及びpH調節剤を含有し、農薬化合物と式(I)で示される化合物との重量比が農薬化合物/式(I)で示される化合物=20/100〜40/100であり、粒子径が5μm以下のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、粒子径が50μm以上のマイクロカプセルの累積体積が20%未満であり、体積中位径/膜厚が25〜150であり、皮膜がポリウレタンであるマイクロカプセル。
【実施例】
【0055】
以下、製造例、試験例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
【0056】
製造例1
クロチアニジン250gとO−アセチルリシノレイン酸メチル(リックサイザーC−101、伊藤製油社製、含量95.5%)750gとを混合した(得られた混合物を混合物1−1と記す。)。混合物1−1をロータ・ステータ型ホモジナイザー(ポリトロンホモジナイザー、KINEMATICA AG社製)で攪拌し、混合物1−1に含有されるクロチアニジンを約10分間粉砕した(得られた混合物を混合物1−2と記す。)。混合物1−2中のクロチアニジン粒子の体積中位径は、0.5mmであった。
ダイノミル(WILLY A. BACHOFEN AG. MASHINENFABRIK社製、ベッセルサイズ600ml、直径1mmの球状ガラス1150gを充填、攪拌はねの回転速度:周速12m/sec)に、混合物1−2を3L/hrの速度で加え、クロチアニジン粒子をさらに粉砕した(得られた混合物を混合物1−3と記す。)。混合物1−3中のクロチアニジン粒子の体積中位径は2.4μmであり、10μm以上の粒子の割合が累積体積として1.6%であった。
混合物1−3 100gに20℃で、ポリイソシアネート(スミジュール L−75、住化バイエルウレタン社製)21.6gを加えた(得られた混合物を混合物1−4と記す。)。混合物1−4を20℃で24時間保持した(得られた混合物を混合物1−5と記す。)。
水(脱イオン水)108.8gにエチレングリコール12.4g及びアラビアガム(アラビコールSS、三栄薬品貿易社製)12.6gを加え、水相を調製した。この水相の全量と混合物1−5の全量とを混合した(得られた混合物を混合物1−6と記す。)。
混合物1−6を、室温、T.Kオートホモミキサー(PRIMIX社製ホモジナイザー;回転数;9000rpm)で攪拌し、水中に液滴を調製した(得られた混合物を混合物1−7と記す。)。
混合物1−7を60℃で24時間攪拌して、クロチアニジンのマイクロカプセルの水性懸濁組成物(以下、水性懸濁組成物1と記す。)を得た。
得られたマイクロカプセルは体積中位径が20.9μmであり、5μm以下のマイクロカプセルの割合が累積体積として8.9%であり、50μm以上のマイクロカプセルの割合が累積体積として0%であった。
【0057】
製造例2
クロチアニジン250gとO−アセチルリシノレイン酸メチル(リックサイザーC−101、伊藤製油社製、含量95.5%)750gとを混合した(得られた混合物を混合物2−1と記す。)。混合物2−1をロータ・ステータ型ホモジナイザー(ポリトロンホモジナイザー、KINEMATICA AG社製)で攪拌し、混合物2−1に含有されるクロチアニジンを約10分間粉砕した(得られた混合物を混合物2−2と記す。)。混合物2−2中のクロチアニジン粒子の体積中位径は、0.5mmであった。
ダイノミル(WILLY A. BACHOFEN AG. MASHINENFABRIK社製、ベッセルサイズ600ml、直径1mmの球状ガラス1150gを充填、攪拌はねの回転速度:周速12m/sec)に、混合物2−2を3L/hrの速度で加え、クロチアニジン粒子をさらに粉砕した(得られた混合物を混合物2−3と記す。)。混合物2−3中のクロチアニジン粒子の体積中位径は2.7μmであり、10μm以上の粒子の割合が累積体積として1.9%であった。
混合物2−3 100gに40℃で、ポリイソシアネート(スミジュール L−75、住化バイエルウレタン社製)21.6gを加えた(得られた混合物を混合物2−4と記す。)。混合物2−4を40℃で5時間保持した(得られた混合物を混合物2−5と記す。)。
水(脱イオン水)108.8gにエチレングリコール12.4g及びアラビアガム(アラビコールSS、三栄薬品貿易社製)12.6gを加え、水相を調製した。この水相の全量と混合物2−5の全量とを混合した(得られた混合物を混合物2−6と記す。)。
混合物2−6を、室温、T.Kオートホモミキサー(PRIMIX社製ホモジナイザー;回転数;9000rpm)で攪拌し、水中に液滴を調製した(得られた混合物を混合物2−7と記す。)。
混合物2−7を60℃で24時間攪拌して、クロチアニジンのマイクロカプセルの水性懸濁組成物(以下、水性懸濁組成物2と記す。)を得た。
得られたマイクロカプセルは体積中位径が17.7μmであり、5μm以下のマイクロカプセルの割合が累積体積として11.6%であり、50μm以上のマイクロカプセルの割合が累積体積として0%であった。
【0058】
製造例3
クロチアニジン250gとO−アセチルリシノレイン酸メチル(リックサイザーC−101、伊藤製油社製、含量95.5%)750gとを混合した(得られた混合物を混合物3−1と記す。)。混合物3−1をロータ・ステータ型ホモジナイザー(ポリトロンホモジナイザー、KINEMATICA AG社製)で攪拌し、混合物3−1に含有されるクロチアニジンを約10分間粉砕した(得られた混合物を混合物3−2と記す。)。混合物3−2中のクロチアニジン粒子の体積中位径は、0.5mmであった。
ダイノミル(WILLY A. BACHOFEN AG. MASHINENFABRIK社製、ベッセルサイズ600ml、直径1mmの球状ガラス1150gを充填、攪拌はねの回転速度:周速12m/sec)に、混合物3−2を3L/hrの速度で加え、クロチアニジン粒子をさらに粉砕した(得られた混合物を混合物3−3と記す。)。混合物3−3中のクロチアニジン粒子の体積中位径は2.5μmであり、10μm以上の粒子の割合が累積体積として1.8%であった。
混合物3−3 100gに30℃で、ポリイソシアネート(スミジュール L−75、住化バイエルウレタン社製)21.6gを加えた(得られた混合物を混合物3−4と記す。)。混合物3−4を30℃で20時間保持した(得られた混合物を混合物3−5と記す。)。
水(脱イオン水)108.8gにエチレングリコール12.4g及びアラビアガム(アラビコールSS、三栄薬品貿易社製)12.6gを加え、水相を調製した。この水相の全量と混合物3−5の全量とを混合した(得られた混合物を混合物3−6と記す。)。
混合物3−6を、室温、T.Kオートホモミキサー(PRIMIX社製ホモジナイザー;回転数;9000rpm)で攪拌し、水中に液滴を調製した(得られた混合物を混合物3−7と記す。)。
混合物3−7を60℃で24時間攪拌して、クロチアニジンのマイクロカプセルの水性懸濁組成物(以下、水性懸濁組成物3と記す。)を得た。
得られたマイクロカプセルは体積中位径が22.5μmであり、5μm以下のマイクロカプセルの割合が累積体積として7.9%であり、50μm以上のマイクロカプセルの割合が累積体積として0.4%であった。
【0059】
製造例4
クロチアニジン250gとO−アセチルリシノレイン酸メチル(リックサイザーC−101、伊藤製油社製、含量95.5%)750gとを混合した(得られた混合物を混合物4−1と記す。)。混合物4−1をロータ・ステータ型ホモジナイザー(ポリトロンホモジナイザー、KINEMATICA AG社製)で攪拌し、混合物4−1に含有されるクロチアニジンを約10分間粉砕した(得られた混合物を混合物4−2と記す。)。混合物4−2中のクロチアニジン粒子の体積中位径は、0.5mmであった。
ダイノミル(WILLY A. BACHOFEN AG. MASHINENFABRIK社製、ベッセルサイズ600ml、直径1mmの球状ガラス1150gを充填、攪拌はねの回転速度:周速12m/sec)に、混合物4−2を3L/hrの速度で加え、クロチアニジン粒子をさらに粉砕した(得られた混合物を混合物4−3と記す。)。混合物4−3中のクロチアニジン粒子の体積中位径は2.5μmであり、10μm以上の粒子の割合が累積体積として1.8%であった。
混合物4−3 100gに40℃で、ポリイソシアネート(スミジュール L−75、住化バイエルウレタン社製)9.8gを加えた(得られた混合物を混合物4−4と記す。)。混合物4−4を40℃で20時間保持した(得られた混合物を混合物4−5と記す。)。
水(脱イオン水)108.8gにエチレングリコール5.6g及びアラビアガム(アラビコールSS、三栄薬品貿易社製)12.6gを加え、水相を調製した。この水相の全量と混合物4−5の全量とを混合した(得られた混合物を混合物4−6と記す。)。
混合物4−6を、室温、T.Kオートホモミキサー(PRIMIX社製ホモジナイザー;回転数;9000rpm)で攪拌し、水中に液滴を調製した(得られた混合物を混合物4−7と記す。)。
混合物4−7を60℃で24時間攪拌して、クロチアニジンのマイクロカプセルの水性懸濁組成物(以下、水性懸濁組成物4と記す。)を得た。
得られたマイクロカプセルは体積中位径が19.8μmであり、5μm以下のマイクロカプセルの割合が累積体積として9.4%であり、50μm以上のマイクロカプセルの割合が累積体積として0.4%であった。
【0060】
製造例5
クロチアニジン250gとO−アセチルリシノレイン酸メチル(リックサイザーC−101、伊藤製油社製、含量95.5%)750gとを混合した(得られた混合物を混合物5−1と記す。)。混合物5−1をロータ・ステータ型ホモジナイザー(ポリトロンホモジナイザー、KINEMATICA AG社製)で攪拌し、混合物5−1に含有されるクロチアニジンを約10分間粉砕した(得られた混合物を混合物5−2と記す。)。混合物5−2中のクロチアニジン粒子の体積中位径は、0.5mmであった。
ダイノミル(WILLY A. BACHOFEN AG. MASHINENFABRIK社製、ベッセルサイズ600ml、直径1mmの球状ガラス1150gを充填、攪拌はねの回転速度:周速12m/sec)に、混合物5−2を3L/hrの速度で加え、クロチアニジン粒子をさらに粉砕した(得られた混合物を混合物5−3と記す。)。混合物5−3中のクロチアニジン粒子の体積中位径は2.9μmであり、10μm以上の粒子の割合が累積体積として3.4%であった。
混合物5−3 100gに40℃で、ポリイソシアネート(スミジュール L−75、住化バイエルウレタン社製)21.6gを加えた(得られた混合物を混合物5−4と記す。)。混合物5−4を40℃で10時間保持した(得られた混合物を混合物5−5と記す。)。
水(脱イオン水)108.8gにエチレングリコール12.4g及びアラビアガム(アラビコールSS、三栄薬品貿易社製)12.6gを加え、水相を調製した。この水相の全量と混合物5−5の全量とを混合した(得られた混合物を混合物5−6と記す。)。
混合物5−6を、室温、T.Kオートホモミキサー(PRIMIX社製ホモジナイザー;回転数;9000rpm)で攪拌し、水中に液滴を調製した(得られた混合物を混合物5−7と記す。)。
混合物5−7を60℃で24時間攪拌して、クロチアニジンのマイクロカプセルの水性懸濁組成物(以下、水性懸濁組成物5と記す。)を得た。
得られたマイクロカプセルは体積中位径が19.6μmであり、5μm以下のマイクロカプセルの割合が累積体積として9.1%であり、50μm以上のマイクロカプセルの割合が累積体積として0.3%であった。
【0061】
製造例6
クロチアニジン250gとO−アセチルリシノレイン酸メチル(リックサイザーC−101、伊藤製油社製、含量95.5%)750gとを混合した(得られた混合物を混合物6−1と記す。)。混合物6−1をロータ・ステータ型ホモジナイザー(ポリトロンホモジナイザー、KINEMATICA AG社製)で攪拌し、混合物6−1に含有されるクロチアニジンを約10分間粉砕した(得られた混合物を混合物6−2と記す。)。混合物6−2中のクロチアニジン粒子の体積中位径は、0.5mmであった。
ダイノミル(WILLY A. BACHOFEN AG. MASHINENFABRIK社製、ベッセルサイズ600ml、直径1mmの球状ガラス1150gを充填、攪拌はねの回転速度:周速12m/sec)に、混合物6−2を3L/hrの速度で加え、クロチアニジン粒子をさらに粉砕した(得られた混合物を混合物6−3と記す。)。混合物6−3中のクロチアニジン粒子の体積中位径は2.9μmであり、10μm以上の粒子の割合が累積体積として3.4%であった。
混合物6−3 100gに60℃で、ポリイソシアネート(スミジュール L−75、住化バイエルウレタン社製)21.6gを加えた(得られた混合物を混合物6−4と記す。)。混合物6−4を60℃で3時間保持した(得られた混合物を混合物6−5と記す。)。
水(脱イオン水)108.8gにエチレングリコール12.4g及びアラビアガム(アラビコールSS、三栄薬品貿易社製)12.6gを加え、水相を調製した。この水相の全量と混合物6−5の全量とを混合した(得られた混合物を混合物6−6と記す。)。
混合物6−6を、室温、T.Kオートホモミキサー(PRIMIX社製ホモジナイザー;回転数;9000rpm)で攪拌し、水中に液滴を調製した(得られた混合物を混合物6−7と記す。)。
混合物6−7を60℃で24時間攪拌して、クロチアニジンのマイクロカプセルの水性懸濁組成物(以下、水性懸濁組成物5と記す。)を得た。
得られたマイクロカプセルは体積中位径が21.9μmであり、5μm以下のマイクロカプセルの割合が累積体積として8.6%であり、50μm以上のマイクロカプセルの割合が累積体積として0.1%であった。
【0062】
製造例7
クロチアニジン250gとO−アセチルリシノレイン酸メチル(リックサイザーC−101、伊藤製油社製、含量95.5%)750gとを混合した(得られた混合物を混合物7−1と記す。)。混合物7−1をロータ・ステータ型ホモジナイザー(ポリトロンホモジナイザー、KINEMATICA AG社製)で攪拌し、混合物7−1に含有されるクロチアニジンを約10分間粉砕した(得られた混合物を混合物7−2と記す。)。混合物7−2中のクロチアニジン粒子の体積中位径は、0.4mmであった。
ダイノミル(WILLY A. BACHOFEN AG. MASHINENFABRIK社製、ベッセルサイズ600ml、直径1mmの球状ガラス1150gを充填、攪拌はねの回転速度:周速12m/sec)に、混合物7−2を3L/hrの速度で加え、クロチアニジン粒子をさらに粉砕した(得られた混合物を混合物7−3と記す。)。混合物7−3中のクロチアニジン粒子の体積中位径は2.5μmであり、10μm以上の粒子の割合が累積体積として1.8%であった。
混合物7−3 100gに25℃で、ポリイソシアネート(スミジュール L−75、住化バイエルウレタン社製)21.6gを加えた(得られた混合物を混合物7−4と記す。)。混合物7−4を25℃で20時間保持した(得られた混合物を混合物7−5と記す。)。
水(脱イオン水)108.8gにエチレングリコール12.4g及びアラビアガム(アラビコールSS、三栄薬品貿易社製)12.6gを加え、水相を調製した。この水相の全量と混合物7−5の全量とを混合した(得られた混合物を混合物7−6と記す。)。
混合物7−6を、室温、T.Kオートホモミキサー(PRIMIX社製ホモジナイザー;回転数;11000rpm)で攪拌し、水中に液滴を調製した(得られた混合物を混合物7−7と記す。)。
混合物7−7を60℃で24時間攪拌して、クロチアニジンのマイクロカプセルの水性懸濁組成物(以下、水性懸濁組成物7と記す。)を得た。
得られたマイクロカプセルは体積中位径が13.6μmであり、5μm以下のマイクロカプセルの割合が累積体積として15.9%であり、50μm以上のマイクロカプセルの割合が累積体積として0%であった。
【0063】
製造例8
クロチアニジン250gとO−アセチルリシノレイン酸メチル(リックサイザーC−101、伊藤製油社製、含量95.5%)750gとを混合した(得られた混合物を混合物8−1と記す。)。混合物8−1をロータ・ステータ型ホモジナイザー(ポリトロンホモジナイザー、KINEMATICA AG社製)で攪拌し、混合物8−1に含有されるクロチアニジンを約10分間粉砕した(得られた混合物を混合物8−2と記す。)。混合物8−2中のクロチアニジン粒子の体積中位径は、0.4mmであった。
ダイノミル(WILLY A. BACHOFEN AG. MASHINENFABRIK社製、ベッセルサイズ600ml、直径1mmの球状ガラス1150gを充填、攪拌はねの回転速度:周速12m/sec)に、混合物8−2を3L/hrの速度で加え、クロチアニジン粒子をさらに粉砕した(得られた混合物を混合物8−3と記す。)。混合物8−3中のクロチアニジン粒子の体積中位径は2.5μmであり、10μm以上の粒子の割合が累積体積として1.8%であった。
混合物8−3 100gに25℃で、ポリイソシアネート(スミジュール L−75、住化バイエルウレタン社製)21.6gを加えた(得られた混合物を混合物8−4と記す。)。混合物8−4を25℃で20時間保持した(得られた混合物を混合物8−5と記す。)。
水(脱イオン水)108.8gにエチレングリコール12.4g及びアラビアガム(アラビコールSS、三栄薬品貿易社製)12.6gを加え、水相を調製した。この水相の全量と混合物8−5の全量とを混合した(得られた混合物を混合物8−6と記す。)。
混合物8−6を、室温、T.Kオートホモミキサー(PRIMIX社製ホモジナイザー;回転数;7000rpm)で攪拌し、水中に液滴を調製した(得られた混合物を混合物8−7と記す。)。
混合物8−7を60℃で24時間攪拌して、クロチアニジンのマイクロカプセルの水性懸濁組成物(以下、水性懸濁組成物8と記す。)を得た。
得られたマイクロカプセルは体積中位径が34.9μmであり、5μm以下のマイクロカプセルの割合が累積体積として0%であり、50μm以上のマイクロカプセルの割合が累積体積として16.9%であった。
【0064】
製造例9
クロチアニジン375gとO−アセチルリシノレイン酸メチル(リックサイザーC−101、伊藤製油社製、含量95.5%)750gとを混合した(得られた混合物を混合物9−1と記す。)。混合物9−1をロータ・ステータ型ホモジナイザー(ポリトロンホモジナイザー、KINEMATICA AG社製)で攪拌し、混合物9−1に含有されるクロチアニジンを約10分間粉砕した(得られた混合物を混合物9−2と記す。)。混合物9−2中のクロチアニジン粒子の体積中位径は、0.6mmであった。
ダイノミル(WILLY A. BACHOFEN AG. MASHINENFABRIK社製、ベッセルサイズ600ml、直径1mmの球状ガラス1150gを充填、攪拌はねの回転速度:周速12m/sec)に、混合物9−2を3L/hrの速度で加え、クロチアニジン粒子をさらに粉砕した(得られた混合物を混合物9−3と記す。)。混合物9−3中のクロチアニジン粒子の体積中位径は2.0μmであり、10μm以上の粒子の割合が累積体積として0%であった。
混合物9−3 100gに25℃で、ポリイソシアネート(スミジュール L−75、住化バイエルウレタン社製)21.6gを加えた(得られた混合物を混合物9−4と記す。)。混合物9−4を25℃で20時間保持した(得られた混合物を混合物9−5と記す。)。
水(脱イオン水)108.8gにエチレングリコール12.4g及びアラビアガム(アラビコールSS、三栄薬品貿易社製)12.6gを加え、水相を調製した。この水相の全量と混合物9−5の全量とを混合した(得られた混合物を混合物9−6と記す。)。
混合物9−6を、室温、T.Kオートホモミキサー(PRIMIX社製ホモジナイザー;回転数;9000rpm)で攪拌し、水中に液滴を調製した(得られた混合物を混合物9−7と記す。)。
混合物9−7を60℃で24時間攪拌して、クロチアニジンのマイクロカプセルの水性懸濁組成物(以下、水性懸濁組成物9と記す。)を得た。
得られたマイクロカプセルは体積中位径が18.4μmであり、5μm以下のマイクロカプセルの割合が累積体積として11.2%であり、50μm以上のマイクロカプセルの割合が累積体積として0%であった。
【0065】
製造例10
クロチアニジン150gとO−アセチルリシノレイン酸メチル(リックサイザーC−101、伊藤製油社製、含量95.5%)750gとを混合した(得られた混合物を混合物10−1と記す。)。混合物10−1をロータ・ステータ型ホモジナイザー(ポリトロンホモジナイザー、KINEMATICA AG社製)で攪拌し、混合物10−1に含有されるクロチアニジンを約10分間粉砕した(得られた混合物を混合物10−2と記す。)。混合物10−2中のクロチアニジン粒子の体積中位径は、0.4mmであった。
ダイノミル(WILLY A. BACHOFEN AG. MASHINENFABRIK社製、ベッセルサイズ600ml、直径1mmの球状ガラス1150gを充填、攪拌はねの回転速度:周速12m/sec)に、混合物10−2を3L/hrの速度で加え、クロチアニジン粒子をさらに粉砕した(得られた混合物を混合物10−3と記す。)。混合物10−3中のクロチアニジン粒子の体積中位径は2.9μmであり、10μm以上の粒子の割合が累積体積として3.3%であった。
混合物10−3 100gに25℃で、ポリイソシアネート(スミジュール L−75、住化バイエルウレタン社製)21.6gを加えた(得られた混合物を混合物10−4と記す。)。混合物10−4を25℃で20時間保持した(得られた混合物を混合物10−5と記す。)。
水(脱イオン水)108.8gにエチレングリコール12.4g及びアラビアガム(アラビコールSS、三栄薬品貿易社製)12.6gを加え、水相を調製した。この水相の全量と混合物10−5の全量とを混合した(得られた混合物を混合物10−6と記す。)。
混合物10−6を、室温、T.Kオートホモミキサー(PRIMIX社製ホモジナイザー;回転数;9000rpm)で攪拌し、水中に液滴を調製した(得られた混合物を混合物10−7と記す。)。
混合物10−7を60℃で24時間攪拌して、クロチアニジンのマイクロカプセルの水性懸濁組成物(以下、水性懸濁組成物10と記す。)を得た。
得られたマイクロカプセルは体積中位径が19.9μmであり、5μm以下のマイクロカプセルの割合が累積体積として9.4%であり、50μm以上のマイクロカプセルの割合が累積体積として0%であった。
【0066】
製造例11
クロチアニジン250gとO−アセチルリシノレイン酸メチル(リックサイザーC−101、伊藤製油社製、含量95.5%)750gとを混合した(得られた混合物を混合物11−1と記す。)。混合物11−1をロータ・ステータ型ホモジナイザー(ポリトロンホモジナイザー、KINEMATICA AG社製)で攪拌し、混合物11−1に含有されるクロチアニジンを約10分間粉砕した(得られた混合物を混合物11−2と記す。)。混合物11−2中のクロチアニジン粒子の体積中位径は、0.5mmであった。
ダイノミル(WILLY A. BACHOFEN AG. MASHINENFABRIK社製、ベッセルサイズ600ml、直径1mmの球状ガラス1150gを充填、攪拌はねの回転速度:周速12m/sec)に、混合物11−2を3L/hrの速度で加え、クロチアニジン粒子をさらに粉砕した(得られた混合物を混合物11−3と記す。)。混合物11−3中のクロチアニジン粒子の体積中位径は2.9μmであり、10μm以上の粒子の割合が累積体積として3.3%であった。
混合物11−3 100gに25℃で、ポリイソシアネート(スミジュール L−75、住化バイエルウレタン社製)21.6gを加えた(得られた混合物を混合物11−4と記す。)。混合物11−4を25℃で20時間保持した(得られた混合物を混合物11−5と記す。)。
水(脱イオン水)108.8gにエチレングリコール12.4g及びアラビアガム(アラビコールSS、三栄薬品貿易社製)12.6gを加え、水相を調製した。この水相の全量と混合物11−5の全量とを混合した(得られた混合物を混合物11−6と記す。)。
混合物11−6を、室温、T.Kオートホモミキサー(PRIMIX社製ホモジナイザー;回転数;9000rpm)で攪拌し、水中に液滴を調製した(得られた混合物を混合物11−7と記す。)。
混合物11−7を60℃で24時間攪拌して、クロチアニジンのマイクロカプセルの水性懸濁組成物(以下、水性懸濁組成物11と記す。)を得た。
得られたマイクロカプセルは体積中位径が19.9μmであり、5μm以下のマイクロカプセルの割合が累積体積として9.4%であり、50μm以上のマイクロカプセルの割合が累積体積として0%であった。
水68.05g、ザンタンガム0.05g、アルミニウムマグネシウムシリケート0.1g、リン酸水素二ナトリウム0.5g及びバイオホープL(防腐剤、ケイ・アイ化成株式会社製)0.1gを混合した水溶液と水性懸濁組成物11とを混合して、マイクロカプセルの水性懸濁製剤を得た。この水性懸濁製剤のpHは7.9であった。
【0067】
製造例12
クロチアニジン250gとO−アセチルリシノレイン酸メチル(リックサイザーC−101、伊藤製油社製、含量95.5%)750gとを混合した(得られた混合物を混合物12−1と記す。)。混合物12−1をロータ・ステータ型ホモジナイザー(ポリトロンホモジナイザー、KINEMATICA AG社製)で攪拌し、混合物12−1に含有されるクロチアニジンを約10分間粉砕した(得られた混合物を混合物12−2と記す。)。混合物12−2中のクロチアニジン粒子の体積中位径は、0.5mmであった。
ダイノミル(WILLY A. BACHOFEN AG. MASHINENFABRIK社製、ベッセルサイズ600ml、直径1mmの球状ガラス1150gを充填、攪拌はねの回転速度:周速12m/sec)に、混合物12−2を3L/hrの速度で加え、クロチアニジン粒子をさらに粉砕した(得られた混合物を混合物12−3と記す。)。混合物12−3中のクロチアニジン粒子の体積中位径は2.9μmであり、10μm以上の粒子の割合が累積体積として3.3%であった。
混合物12−3 100gに25℃で、ポリイソシアネート(スミジュール L−75、住化バイエルウレタン社製)21.6gを加えた(得られた混合物を混合物12−4と記す。)。混合物12−4を25℃で20時間保持した(得られた混合物を混合物12−5と記す。)。
水(脱イオン水)108.8gにエチレングリコール12.4g及びアラビアガム(アラビコールSS、三栄薬品貿易社製)12.6gを加え、水相を調製した。この水相の全量と混合物12−5の全量とを混合した(得られた混合物を混合物12−6と記す。)。
混合物12−6を、室温、T.Kオートホモミキサー(PRIMIX社製ホモジナイザー;回転数;9000rpm)で攪拌し、水中に液滴を調製した(得られた混合物を混合物12−7と記す。)。
混合物12−7を60℃で24時間攪拌して、クロチアニジンのマイクロカプセルの水性懸濁組成物(以下、水性懸濁組成物12と記す。)を得た。
得られたマイクロカプセルは体積中位径が19.9μmであり、5μm以下のマイクロカプセルの割合が累積体積として9.4%であり、50μm以上のマイクロカプセルの割合が累積体積として0%であった。
水68.55g、ザンタンガム0.05g、アルミニウムマグネシウムシリケート0.1g、水酸化ナトリウム0.1g及びバイオホープL(防腐剤、ケイ・アイ化成株式会社製)0.1gを混合した水溶液と水性懸濁組成物12とを混合して、マイクロカプセルの水性懸濁製剤を得た。この水性懸濁製剤のpHは7.9であった。
【0068】
製造例13
クロチアニジン250gとO−アセチルリシノレイン酸メチル(リックサイザーC−101、伊藤製油社製、含量95.5%)750gとを混合した(得られた混合物を混合物13−1と記す。)。混合物13−1をロータ・ステータ型ホモジナイザー(ポリトロンホモジナイザー、KINEMATICA AG社製)で攪拌し、混合物13−1に含有されるクロチアニジンを約10分間粉砕した(得られた混合物を混合物13−2と記す。)。混合物13−2中のクロチアニジン粒子の体積中位径は、0.5mmであった。
ダイノミル(WILLY A. BACHOFEN AG. MASHINENFABRIK社製、ベッセルサイズ600ml、直径1mmの球状ガラス1150gを充填、攪拌はねの回転速度:周速12m/sec)に、混合物13−2を3L/hrの速度で加え、クロチアニジン粒子をさらに粉砕した(得られた混合物を混合物13−3と記す。)。混合物13−3中のクロチアニジン粒子の体積中位径は2.9μmであり、10μm以上の粒子の割合が累積体積として3.3%であった。
混合物13−3 100gに25℃で、ポリイソシアネート(スミジュール L−75、住化バイエルウレタン社製)21.6gを加えた(得られた混合物を混合物13−4と記す。)。混合物13−4を25℃で20時間保持した(得られた混合物を混合物13−5と記す。)。
水(脱イオン水)108.8gにエチレングリコール12.4g及びアラビアガム(アラビコールSS、三栄薬品貿易社製)12.6gを加え、水相を調製した。この水相の全量と混合物13−5の全量とを混合した(得られた混合物を混合物13−6と記す。)。
混合物13−6を、室温、T.Kオートホモミキサー(PRIMIX社製ホモジナイザー;回転数;9000rpm)で攪拌し、水中に液滴を調製した(得られた混合物を混合物13−7と記す。)。
混合物13−7を60℃で24時間攪拌して、クロチアニジンのマイクロカプセルの水性懸濁組成物(以下、水性懸濁組成物13と記す。)を得た。
得られたマイクロカプセルは体積中位径が19.9μmであり、5μm以下のマイクロカプセルの割合が累積体積として9.4%であり、50μm以上のマイクロカプセルの割合が累積体積として0%であった。
水68.05g、ザンタンガム0.05g、アルミニウムマグネシウムシリケート0.1g、リン酸水素二カリウム0.5g及びバイオホープL(防腐剤、ケイ・アイ化成株式会社製)0.1gを混合した水溶液と水性懸濁組成物13とを混合して、マイクロカプセルの水性懸濁製剤を得た。この水性懸濁製剤のpHは7.2であった。
【0069】
製造例14
クロチアニジン250gとO−アセチルリシノレイン酸メチル(リックサイザーC−101、伊藤製油社製、含量95.5%)750gとを混合した(得られた混合物を混合物14−1と記す。)。混合物14−1をロータ・ステータ型ホモジナイザー(ポリトロンホモジナイザー、KINEMATICA AG社製)で攪拌し、混合物14−1に含有されるクロチアニジンを約10分間粉砕した(得られた混合物を混合物14−2と記す。)。混合物14−2中のクロチアニジン粒子の体積中位径は、0.5mmであった。
ダイノミル(WILLY A. BACHOFEN AG. MASHINENFABRIK社製、ベッセルサイズ600ml、直径1mmの球状ガラス1150gを充填、攪拌はねの回転速度:周速12m/sec)に、混合物14−2を3L/hrの速度で加え、クロチアニジン粒子をさらに粉砕した(得られた混合物を混合物14−3と記す。)。混合物14−3中のクロチアニジン粒子の体積中位径は2.9μmであり、10μm以上の粒子の割合が累積体積として3.3%であった。
混合物14−3 100gに25℃で、ポリイソシアネート(スミジュール L−75、住化バイエルウレタン社製)21.6gを加えた(得られた混合物を混合物14−4と記す。)。混合物14−4を25℃で20時間保持した(得られた混合物を混合物14−5と記す。)。
水(脱イオン水)108.8gにエチレングリコール12.4g及びアラビアガム(アラビコールSS、三栄薬品貿易社製)12.6gを加え、水相を調製した。この水相の全量と混合物14−5の全量とを混合した(得られた混合物を混合物14−6と記す。)。
混合物14−6を、室温、T.Kオートホモミキサー(PRIMIX社製ホモジナイザー;回転数;9000rpm)で攪拌し、水中に液滴を調製した(得られた混合物を混合物14−7と記す。)。
混合物14−7を60℃で24時間攪拌して、クロチアニジンのマイクロカプセルの水性懸濁組成物(以下、水性懸濁組成物14と記す。)を得た。
得られたマイクロカプセルは体積中位径が19.9μmであり、5μm以下のマイクロカプセルの割合が累積体積として9.4%であり、50μm以上のマイクロカプセルの割合が累積体積として0%であった。
水68.25g、ザンタンガム0.05g、アルミニウムマグネシウムシリケート0.1g、リン酸水素二ナトリウム0.3g及びバイオホープL(防腐剤、ケイ・アイ化成株式会社製)0.1gを混合した水溶液と水性懸濁組成物14とを混合して、マイクロカプセルの水性懸濁製剤を得た。この水性懸濁製剤のpHは6.2であった。
【0070】
製造例15
クロチアニジン250gとO−アセチルリシノレイン酸メチル(リックサイザーC−101、伊藤製油社製、含量95.5%)750gとを混合した(得られた混合物を混合物15−1と記す。)。混合物15−1をロータ・ステータ型ホモジナイザー(ポリトロンホモジナイザー、KINEMATICA AG社製)で攪拌し、混合物15−1に含有されるクロチアニジンを約10分間粉砕した(得られた混合物を混合物15−2と記す。)。混合物15−2中のクロチアニジン粒子の体積中位径は、0.5mmであった。
ダイノミル(WILLY A. BACHOFEN AG. MASHINENFABRIK社製、ベッセルサイズ600ml、直径1mmの球状ガラス1150gを充填、攪拌はねの回転速度:周速12m/sec)に、混合物15−2を3L/hrの速度で加え、クロチアニジン粒子をさらに粉砕した(得られた混合物を混合物15−3と記す。)。混合物15−3中のクロチアニジン粒子の体積中位径は2.9μmであり、10μm以上の粒子の割合が累積体積として3.3%であった。
混合物15−3 100gに25℃で、ポリイソシアネート(スミジュール L−75、住化バイエルウレタン社製)21.6gを加えた(得られた混合物を混合物15−4と記す。)。混合物15−4を25℃で20時間保持した(得られた混合物を混合物15−5と記す。)。
水(脱イオン水)108.8gにエチレングリコール12.4g及びアラビアガム(アラビコールSS、三栄薬品貿易社製)12.6gを加え、水相を調製した。この水相の全量と混合物15−5の全量とを混合した(得られた混合物を混合物15−6と記す。)。
混合物15−6を、室温、T.Kオートホモミキサー(PRIMIX社製ホモジナイザー;回転数;9000rpm)で攪拌し、水中に液滴を調製した(得られた混合物を混合物15−7と記す。)。
混合物15−7を60℃で24時間攪拌して、クロチアニジンのマイクロカプセルの水性懸濁組成物(以下、水性懸濁組成物15と記す。)を得た。
得られたマイクロカプセルは体積中位径が19.9μmであり、5μm以下のマイクロカプセルの割合が累積体積として9.4%であり、50μm以上のマイクロカプセルの割合が累積体積として0%であった。
水68.35g、ザンタンガム0.05g、アルミニウムマグネシウムシリケート0.1g及びプロキセルGXL(防腐剤、アビシア株式会社製)0.2gを混合した水溶液と水性懸濁組成物15とを混合して、マイクロカプセルの水性懸濁製剤を得た。この水性懸濁製剤のpHは7.4であった。
【0071】
比較製造例1
製造例1において、混合物1−4の保持温度及び保持時間を20℃で1時間とした以外は製造例1と同様にして、水性懸濁組成物を得た(以下、比較水性懸濁組成物1と記す)。
【0072】
比較製造例2
製造例5において、混合物5−4の保持温度及び保持時間を40℃で1時間とした以外は製造例5と同様にして、水性懸濁組成物を得た(以下、比較水性懸濁組成物2と記す)。
【0073】
比較製造例3
製造例1において、混合物1−4の保持温度及び保持時間を50℃で1時間とした以外は製造例1と同様にして、水性懸濁組成物を得た(以下、比較水性懸濁組成物3と記す)。
【0074】
比較製造例4
製造例1において、混合物1−4の保持温度及び保持時間を60℃で0.5時間とした以外は製造例1と同様にして、水性懸濁組成物を得た(以下、比較水性懸濁組成物4と記す)。
【0075】
試験例1
下記表1に示す水性懸濁組成物各々0.5gと水249.5gとを混合した。この混合物を室温で2時間放置した。その後、この混合物を遠心分離機(3000rpm、15分間)で遠心分離した。遠心分離後の上澄み液約1mlをとり、そのうち10μlを高速液体クロマトグラフィーでクロチアニジン量を分析した。この分析値から上澄み液に含有されるクロチアニジン量とマイクロカプセル中に含有されるクロチアニジン量とを計算した。
【0076】
【表1】

【0077】
試験例2
下記表2に示す水性懸濁組成物各々を水で200倍に希釈した。この希釈液0.4mlを直径6cmのガラスシャーレに塗布した。その後、希釈液を室温で風乾した。このガラスシャーレを250時間太陽光に晒した(累積照度1810Lx)。
シャーレにアセトニトリル10mlを加え、かき混ぜた。この混合物10μlを高速液体クロマトグラフィーでクロチアニジン量を分析した。分析値からシャーレ中に残っているクロチアニジン量を算出した。最初にシャーレに塗布した希釈液に含有されていたクロチアニジン量に対するクロチアニジンの残存率を表2に示す。
【0078】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のマイクロカプセルの製造方法により、農薬化合物の放出タイミングをさらに遅いマイクロカプセルを製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)農薬化合物、
式(I)

(式中、Xは−CH2−CH2−又は−CH=CH−を表し、R1はC1−C4アルキル基を表し、R2はC1−C4アルキル基を表す。)
で示される化合物、及び
ポリイソシアネートの混合物を20〜60℃で3時間以上保持し、
(2)その後、得られた混合物をポリオール又はポリアミンが含有される水に加え、水中に液滴を調製し、
(3)該液滴の周囲にポリウレタン又はポリウレアの皮膜を形成するマイクロカプセルの製造方法。
【請求項2】
農薬化合物と式(I)で示される化合物との重量比が農薬化合物/式(I)で示される化合物=10/100〜100/100である請求項1記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項3】
式(I)で示される化合物が、O−アセチルリシノレイン酸のC1−C4アルキルエステルである請求項1又は2記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項4】
式(I)で示される化合物が、O−アセチルリシノレイン酸メチルである請求項1又は2記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項5】
農薬化合物が固体農薬化合物である請求項1〜4いずれか1項記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項6】
農薬化合物がネオニコチノイド化合物である請求項1〜4いずれか1項記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項7】
農薬化合物がクロチアニジンである請求項1〜4いずれか1項記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか1項記載のマイクロカプセルの製造方法で製造されたマイクロカプセル。

【公開番号】特開2010−275238(P2010−275238A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130143(P2009−130143)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】