マイクロチップ搭載用基体、マイクロチップ搭載装置、板状部材間電気及び流路接続構造
【課題】 内部流路と導体とを有するマイクロチップを搭載するのに好適なマイクロチップ搭載装置を提供する。
【解決手段】 マイクロチップ搭載装置11は、セラミック基板14と、そのセラミック基板14に搭載されたマイクロチップ12とを備える。セラミック基板14は基体側内部流路41と基体側導体35とを有し、マイクロチップ12はチップ側内部流路23とチップ側導体21,24とを有する。マイクロチップ搭載装置11において、チップ側内部流路23と基体側内部流路41とが流路的に接続され、チップ側導体21,24と基体側導体35とが電気的に接続され、基体側内部流路41を経由してチップ側内部流路23に流体が導かれる。
【解決手段】 マイクロチップ搭載装置11は、セラミック基板14と、そのセラミック基板14に搭載されたマイクロチップ12とを備える。セラミック基板14は基体側内部流路41と基体側導体35とを有し、マイクロチップ12はチップ側内部流路23とチップ側導体21,24とを有する。マイクロチップ搭載装置11において、チップ側内部流路23と基体側内部流路41とが流路的に接続され、チップ側導体21,24と基体側導体35とが電気的に接続され、基体側内部流路41を経由してチップ側内部流路23に流体が導かれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部流路と導体とを有するマイクロチップを搭載するマイクロチップ搭載用基体、マイクロチップ搭載装置、板状部材間電気及び流路接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、遺伝子検査を行うDNAチップなど、バイオセンサを組み込んだマイクロチップが開発されている。これらマイクロチップの中には、血液などの被検知液体をセンサ電極に導くために、チップ内部に流路を設けたものがある。従来、この種のマイクロチップは、チップ内部の流路に流路的に接続可能な治具に納められたり、電気信号を得るための測定器に接続されたりした状態で使用される(例えば、非特許文献1,2参照)。しかし、この種のマイクロチップを用いた測定システムでは、流路的な接続と電気的な接続とが同時に行えるような構成になっていない。ゆえに、実際の測定は煩雑なものとなる。
【0003】
また、マイクロチップの中には、センサ信号を電気的に取得するために、センサ電極に加えて処理回路部を備えたチップも開発されている。センサ信号を外部装置へ出力するために、このマイクロチップは、配線層を有するパッケージ(基板)上に搭載されるようになっている。
【0004】
図20には、そのマイクロチップの一例を示している。図20に示されるように、マイクロチップ100には、チップ内部に被検知液体を流すための流路110が、シリコン微細加工技術を用いて形成されている。また、その流路110の途中には、センサ電極120が設けられている。
【0005】
また、マイクロチップ100の上面には、流路110の入口及び出口となる開口部111,112がそれぞれ形成されている。それらの開口部111,112には、被検知液体をチップ内部に導くため(またはチップ内部を通過した被検知液体をチップ外部に排出するため)のパイプ130が接続されている。そして、マイクロチップ100は、パッケージ(具体的にはセラミック基板)140の上に搭載され、パッケージ140の有する配線141に対して電気的に接続されている。
【非特許文献1】“MEMSの現状と将来展望 MEMS技術を用いるマイクロフロー型バイオセンサの開発”(「表面技術」 VOL.54 No.10(660-664頁)(2003.))
【非特許文献2】“研究概要”、[online]、北陸先端科学技術大学院大学 材料科学研究科 機能科学専攻 生体機能材料講座 民谷・高村研究室、[平成17年5月31日検索]、インターネット<URL:http://www.jaist.ac.jp/ms/labs/tamiya/research/chip/chip_tech2.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、マイクロチップ100は非常に小さく、流路110の開口部111,112はそれよりもさらに小さいため、開口部111,112に対するパイプ130の取り付けは極めて困難である。それゆえ、パイプ130の取り付けを容易にするためには、開口部111,112の径をある程度大きくしておく必要がある。この場合、マイクロチップ100における開口部111,112の占有面積が増大し、結果として、チップサイズが大きくなり集積度が低下してしまう。また、パイプ130とマイクロチップ100との取付強度を十分に確保することができず、マイクロチップ100を取り扱う際に加わるストレスや振動によってパイプ130が外れたり、あるいは、マイクロチップ100そのものが破壊されたりするといった問題が生じてしまう。さらに、コンタミネーションの回避のためにマイクロチップ100を測定毎に交換する(使い捨てにする)場合、パイプ130の取り付けからすべて新規に行わなければならず、交換のための作業が煩雑となるといった問題も生じていた。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、内部流路と導体とを有するマイクロチップを搭載するのに好適なマイクロチップ搭載用基体、マイクロチップ搭載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、チップ側内部流路とチップ側導体とを有するマイクロチップを搭載するための基体であって、前記チップ側内部流路と流路的に接続可能な基体側内部流路と、前記チップ側導体と電気的に接続可能な基体側導体とを有するマイクロチップ搭載用基体がある。
【0009】
また、上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては、基体側内部流路と基体側導体とを有する基体と、チップ側内部流路とチップ側導体とを有し、前記基体上に搭載されたマイクロチップとを備え、前記チップ側内部流路と前記基体側内部流路とが流路的に接続され、前記チップ側導体と前記基体側導体とが電気的に接続され、前記基体側内部流路を経由してチップ側内部流路に流体を導くことが可能なことを特徴とするマイクロチップ搭載装置がある。
【0010】
従って、上記手段1及び手段2によると、基体には電気信号を伝達するための基体側導体に加えて被検出流体などを流すための基体側内部流路が形成されており、マイクロチップを基体に搭載する際には、導体同士の接続と内部流路同士の接続とが行われる。このようにすれば、基体に管を接続すればよく、マイクロチップに管を直接接続する必要がないため、チップ側内部流路の開口部を小さくした場合でも内部流路同士の接続を確実に行うことができる。そのため、マイクロチップにおける内部流路の開口部の占有面積を抑えることができ、マイクロチップの集積度を向上させることができる。またこの場合、内部流路に対する管の取付強度を十分に確保することができ、信頼性の高いマイクロチップ搭載装置を実現することができる。さらに、チップ交換時には従来のように管をマイクロチップに取り付ける必要がないため、その交換時の作業性を向上させることができる。
【0011】
上記手段1,2における基体としては、セラミック材料、樹脂材料、金属材料などを主体として構成された基体を挙げることができる。この基体の形状は特に限定されないが、少なくとも1つの主面を有するものであることがよく、例えば平板状の基板を用いることが好適である。
【0012】
セラミック材料を主体として構成された基板の具体例としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化珪素、窒化珪素などのセラミック材料からなる基板などがある。また、樹脂材料を主体として構成された基板の具体例としては、EP樹脂(エポキシ樹脂)基板、PI樹脂(ポリイミド樹脂)基板、BT樹脂(ビスマレイミド・トリアジン樹脂)基板、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)基板などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料からなる基板を使用してもよい。あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料からなる基板等を使用してもよい。さらに、金属材料を主体として構成された基板の具体例としては、銅基板、銅合金からなる基板、銅以外の金属単体からなる基板、銅以外の合金からなる基板などを挙げることができる。なお、基体の内部流路に水などの液体を導く場合、絶縁性に優れるセラミック基板や樹脂基板を用いることが好ましい。
【0013】
前記マイクロチップ搭載用基体の基体側導体は基体表面に形成されていてもよく、基体内部に形成されていてもよい。これらの導体の層間接続を図るために、基体内部にビアホール導体が形成されていてもよい。なお、かかる導体は、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などからなる導電性金属ペーストを印刷または充填することにより形成される。そして、このような導体には、マイクロチップに対して入出力される電気信号が流れるようになっている。
【0014】
前記マイクロチップ搭載用基体には、マイクロチップ以外の電子部品や素子が1つ以上設けられていてもよい。前記電子部品の具体例としては、チップトランジスタ、チップダイオード、チップ抵抗、チップコンデンサ、チップコイルなどを挙げることができる。これらの電子部品は、能動部品であっても受動部品であってもよい。前記素子の具体例としては、薄膜トランジスタ、薄膜ダイオード、薄膜抵抗、薄膜コンデンサ、薄膜コイルなどを挙げることができる。これらの素子は、能動素子であっても受動素子であってもよい。そして、前記基体上には、前記電子部品同士、前記半導体素子同士、あるいは前記電子部品と前記半導体素子とを接続する配線層が形成されていてもよい。なお、かかる配線層は、前記配線基板の内部に形成されていてもよい。
【0015】
前記マイクロチップ搭載用基体は、前記マイクロチップを接合すべき領域として設定されたチップ接合領域と、前記チップ接合領域内に配置された複数の基体側接続端子とを有する。このマイクロチップ搭載用基体において、前記基体側内部流路の有する基体側第1開口部が前記チップ接合領域内に配置され、前記基体側内部流路の有する基体側第2開口部が前記チップ接合領域外に配置されていることが好ましい。この場合、マイクロチップ搭載用基体におけるチップ接合領域には、複数の基体側接続端子と基体側内部流路の基体側第1開口部が配置されるため、基体側接続端子による電気的な接続と基体側第1開口部による流路的な接続とを同時に行うことができる。これにより、マイクロチップ搭載用基体へのマイクロチップの搭載を容易かつ迅速に行うことができる。
【0016】
また、マイクロチップ搭載用基体において、基体側内部流路の有する基体側第1開口部及び基体側第2開口部が、いずれも前記チップ接合領域外に配置されていてもよい。この場合、マイクロチップ搭載用基体におけるチップ接合領域内では、基体側接続端子による電気的な接続が行われ、チップ接合領域外では、基体側内部流路の開口部による流路的な接続が行われる。この構成において、水などを含む液体を基体側内部流路及びチップ側内部流路に導く場合、電気的な接続部分から離れた位置で内部流路の接続を行うことができるため、基体側接続端子やチップ側導体の絶縁を確実に行うことができる。
【0017】
前記基体側第2開口部が前記基体の外周部に配置されていることが好ましい。この構成によると、基体側第2開口部がマイクロチップからある程度離間するため、流体を導くための管(パイプやチューブなど)を、マイクロチップに誤って接触させることなく、第2開口部に確実に取り付けることができる。また、基体の外周部であれば比較的スペースに余裕があるため、管同士が互いに干渉しにくくなるという利点もある。
【0018】
さらに、前記基体側第2開口部には、管を装着するための管継手が取り付けられていることが好ましい。この管継手を取り付けることにより、基体側第2開口部に管を容易に装着することができる。
【0019】
前記マイクロチップは、前記チップ側内部流路内に配置されたセンサ部と、前記センサ部から出力された信号を電気的に処理する処理回路部とを有する半導体センサマイクロチップであることが好ましい。このようなマイクロチップとしては、DNAセンサチップ、ヘモグロビン量センサチップ、pHセンサチップなどを挙げることができる。勿論、マイクロチップとしては、センサ部のないものでもよく、例えば、チップ内部に電気回路とその回路を冷却するための冷却用流路とが形成されるチップでもよい。さらに、マイクロチップとしては、半導体材料(例えばシリコン等)からなる半導体集積回路チップ(ICチップ)以外に、例えば、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)の加工技術を用いて製造されるチップでもよい。
【0020】
また、前記マイクロチップは、前記基体に接合された被接合面と、前記被接合面内に配置された複数のチップ側接続端子とを有し、前記チップ側内部流路の有するチップ側開口部が前記被接合面内に配置されている。このマイクロチップを搭載する基体は、前記マイクロチップの前記被接合面が接続されたチップ接合領域と、前記チップ接合領域内に配置され、前記複数のチップ側接続端子と電気的に接続された複数の基体側接続端子とを有する。この基体において、前記基体側内部流路の有する基体側第1開口部が、前記チップ接合領域内に配置されかつ前記チップ側開口部に流路的に接続され、前記基体側内部流路の有する基体側第2開口部が、前記チップ接合領域外に配置されていることが好ましい。かかるマイクロチップ搭載装置においては、チップ側接続端子と基体側接続端子とによる電気的な接続と、チップ側開口部と基体側第1開口部とによる流路的な接続とを同時に行うことができる。これにより、基体へのマイクロチップの搭載を容易かつ迅速に行うことができる。
【0021】
前記マイクロチップの前記被接合面は、透孔を有する樹脂薄膜によって前記基体の前記チップ接合領域に接着または融着されるとともに、前記基体側第1開口部と前記チップ側開口部とが流路的に、かつ前記基体側導体と前記チップ側導体とが電気的に、前記透孔を介して接続されることが好ましい。このように、基体とマイクロチップとを樹脂薄膜を介して接合することにより、基体にマイクロチップを確実に取り付けることができ、マイクロチップ搭載装置の信頼性をより高めることができる。また、基体側第1開口部とチップ側開口部との接続部分に高いシール性も確保することができる。
【0022】
また、上記課題を解決するための別の手段(手段3)としては、第1内部流路と第1板状部材側導体とを有する第1板状部材と、第2内部流路と第2板状部材側導体とを有し、前記第1板状部材上に搭載された第2板状部材とを備え、前記第2内部流路と前記第1内部流路とが流路的に接続され、前記第2板状部材側導体と前記第1板状部材側導体とが電気的に接続され、前記第1内部流路を経由して前記第2内部流路内に流体を導くことが可能なことを特徴とする板状部材間電気及び流路接続構造がある。
【0023】
従って、この手段3の構成によれば、第1板状部材上に第2板状部材を搭載する際に、各部材に形成された内部流路同士の接続と導体同士の接続とが同時に行われる。このようにすると、板状部材における導体回路の集積度を向上させることができる。
【0024】
なお、本発明においては、矩形平板状に形成されたマイクロチップも板状部材に含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
[第1の実施の形態]
【0026】
以下、本発明をマイクロチップ搭載装置に具体化した第1の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施の形態のマイクロチップ搭載装置11の概略構成を示す断面図であり、図2は、そのマイクロチップ搭載装置11の平面図である。
【0027】
図1に示されるように、マイクロチップ搭載装置11は、マイクロチップ12と、樹脂薄膜としてのインターポーザ13と、マイクロチップ搭載用基体としてのセラミック基板14とを備える。なお、マイクロチップ搭載装置11におけるパッケージの形態としては、BGA(ボールグリッドアレイ)を採用しているが、このBGAのみに限定されるものではなく、例えばPGA(ピングリッドアレイ)やLGA(ランドグリッドアレイ)等であってもよい。
【0028】
マイクロチップ12は、シリコンからなる半導体センサマイクロチップであり、遺伝子診断を行うためのDNAセンサとしての機能を有する。マイクロチップ12は長方形平板状に形成された板状部材であり、その下面側には複数のバンプ状の接続端子(チップ側接続端子)21が格子状に設けられている。マイクロチップ12は、それら接続端子21を介して、セラミック基板14と電気的に接続される。マイクロチップ12の内部には、フォトリソグラフィや異方性エッチングなどのシリコン微細加工技術を用いて、被検知液体(DNAを含む溶液)を流すための内部流路(チップ側内部流路)23が形成されている。その内部流路23の途中には、センサ電極(センサ部)24が形成されている。なお、センサ電極24の表面には図示しないプローブDNAが固定化されている。これらのプローブDNAは、それぞれ異なる塩基配列を有しており、その塩基配列と相同性が高いDNA(ターゲットDNA)とハイブリダイズするようになっている。
【0029】
図1,図2に示されるように、本実施の形態のマイクロチップ12では、その長手方向に沿って平行となるように2本の内部流路23が形成されている。その内部流路23の開口部(チップ側開口部)25は、マイクロチップ12の下面(セラミック基板14との被接合面)26に配置されている。さらに、マイクロチップ12の内部には、センサ電極24から出力される信号を電気的に処理する処理回路部27が形成されている。
【0030】
本実施の形態のマイクロチップ12では、センサ電極24に電圧を加えた状態で、プローブDNAに検知対象となるターゲットDNAが結合すると、そのセンサ電極24に所定の電流が流れる。すると、処理回路部27は、その電流を検出してそれに応じた検出信号を出力する。この検出信号は、マイクロチップ12の接続端子21に伝達され、さらに、セラミック基板14を介して図示しないマザーボードに設けられた解析装置に入力されるようになっている。なお、マイクロチップ12における接続端子21、センサ電極24、及び処理回路部27などによりチップ側導体が構成される。
【0031】
セラミック基板14は、略長方形状に形成された板状部材である。かかるセラミック基板14は複数のセラミック層31〜34からなる、いわゆる多層配線基板であって、基体側導体としての金属配線層35を備えている。セラミック基板14において、上面に形成された金属配線層35の一部には、マイクロチップ12をフリップチップ接続するための複数の接続パッド(基体側接続端子)36が形成されている。これら各接続パッド36は、マイクロチップ12を接合すべき領域として設定されたチップ接合領域(マイクロチップ12の被接合面26に対応する領域)37に配置されており、マイクロチップ12の各接続端子21と電気的に接続されている。
【0032】
また、金属配線層35はセラミック基板14の内層にも形成されている。このセラミック基板14はビアホール導体38も備えており、層の異なる金属配線層35同士はビアホール導体38を介して層間接続されている。また、セラミック基板14の下面には複数の接続パッド39が格子状に形成されている。本実施形態の場合、金属配線層35、接続パッド36,39、及びビアホール導体38は、いずれも銅(Cu)からなる。また、各接続パッド39には、はんだバンプ40が設けられている。そして、そのはんだバンプ40を介して、図示しないマザーボード側とセラミック基板14側とが電気的に接続される。
【0033】
さらに、セラミック基板14の内部には、前記マイクロチップ12の内部流路23と流路的に接続可能な内部流路(基体側内部流路)41が形成されている。図1,図2に示されるように、本実施の形態のセラミック基板14では、その長手方向に沿って平行となるように3本の内部流路41が形成されている。それらの内部流路41の開口部42,43は、セラミック基板14の上面に設けられている。
【0034】
本実施の形態のセラミック基板14では、内部流路41の有する一方の開口部(基体側第1開口部)42がチップ接合領域37内に配置され、他方の開口部(基体側第2開口部)43がチップ接合領域37外に配置されている。そして、セラミック基板14の第1開口部42が、マイクロチップ12側の開口部25に流路的に接続されている。また、第2開口部43はセラミック基板14の外周部に配置され、その第2開口部43には、金属製の管継手44が接着剤等により取り付けられている。これらの管継手44には、管としてのパイプ45がそれぞれ接続されている。よって、被検知液体は、一方のパイプ45を経て内部流路41内に導かれた後、内部流路23を通過し、再び内部流路41を通過して他方のパイプ45から排出されるようになっている。
【0035】
なお、本実施の形態では、セラミック基板14に形成された3本の内部流路41のうちの2本がマイクロチップ12に形成された内部流路23に接続され、残り1本の内部流路(中央に位置する内部流路)は被検知液体が流れない未使用の内部流路となっている。
【0036】
インターポーザ13は、PTFEやPFAなどのフッ素系樹脂、PDMS樹脂、PEEK樹脂、メタクリル樹脂(PMMA)などからなるシート状の樹脂薄膜であり、マイクロチップ12の被接合面26をセラミック基板14のチップ接合領域37に対して接着または融着させている。このインターポーザ13において、マイクロチップ12とセラミック基板14との電気的な接続や流路的な接続に対応する位置には、周知の孔加工によって透孔47,48が形成されている。つまり、これら透孔47,48を介して、基板側の第1開口部42がチップ側の開口部25に流路的に接続されるとともに、基板側の接続パッド36がチップ側の接続端子21に電気的に接続されている。なお、インターポーザ13における孔加工の具体例としては、ドリル加工、パンチ加工、エッチング加工、レーザ加工などがある。
【0037】
次に、上記構成のマイクロチップ搭載装置11の製造方法を図3〜図9を用いて説明する。
【0038】
先ず、以下の手順により、セラミック基板14を製作する。
【0039】
セラミック粉末、有機バインダ、溶剤、可塑剤などを均一に混合・混練してなる原料スラリーを作製し、この原料スラリーを用いてドクターブレード装置によるシート成形を行って、図3に示すような所定厚みのグリーンシート51,52,53,54を複数枚形成する。図4に示すように、これらグリーンシート51〜54における所定部分にパンチ加工や溝加工を施して、ビアホール用孔55、流路用孔56、及び流路用貫通溝57を形成する。この段階ではまだセラミックが未焼結状態であるので、パンチ加工や溝加工を比較的簡単にかつ低コストで行うことができる。
【0040】
次に、図5に示すように、ペースト印刷装置(図示略)を用いてビアホール用孔55の中にビアホール導体用の銅ペースト58を充填する。また、グリーンシート51〜54の表面に銅ペースト59を印刷することにより、後に金属配線層35等となる印刷層を形成する。
【0041】
そして、これら複数枚のグリーンシート51〜54を積層してプレスすることにより一体化し、グリーンシート積層体とする。次に、周知の手法に従って乾燥工程や脱脂工程などを行った後、さらにセラミックが焼結しうる700℃〜1000℃程度の温度にて焼成工程を行う。これにより、グリーンシート積層体(セラミック未焼結体)を焼結させ、セラミック基板14とする。この時点でセラミックは硬質化しかつ収縮すると同時に、銅ペーストも焼結して硬質化する。その結果、図6に示すように、金属配線層35や内部流路41を有するセラミック基板14が製造される。
【0042】
その後、図7に示すように、はんだ印刷及びリフローを行って、セラミック基板14上面の接続パッド36上にはんだバンプ60を形成する。続いて、図8に示すように、画像認識装置(図示略)を用いてセラミック基板14に対するマイクロチップ12の位置合わせを行ったうえで、そのマイクロチップ12をセラミック基板14に搭載する。ここでは、セラミック基板14側の接続パッド36と、マイクロチップ12側の接続端子21とを接合し、セラミック基板14とマイクロチップ12との電気的な導通を図る。またこのとき、セラミック基板14とマイクロチップ12の間に、透孔47,48を加工したインターポーザ13を配置して加熱・加圧することにより、インターポーザ13が軟化してマイクロチップ12とセラミック基板14との両部材に溶着する。その後、冷却されることでインターポーザ13が硬質化して接着シートとして機能する。このインターポーザ13を介在させることにより、セラミック基板14側の内部流路41とマイクロチップ12側の内部流路23との流路的な接続が確実に行われる。
【0043】
さらに、図9に示すように、はんだ印刷及びリフローを行って、セラミック基板14の下面の接続パッド39にはんだバンプ40を形成し、セラミック基板14における内部流路41の第2開口部43に管継手44を接着する。その結果、図1のマイクロチップ搭載装置11を得ることができる。この後、さらにセラミック基板14上の管継手44にパイプ45を接続すれば、マイクロチップ搭載装置11に被検知液体を導入可能な状態となる。
【0044】
なお、本実施の形態に用いられるセラミック基板14は、マイクロチップ12の専用基板ではなく、接続パッドや流路の数が異なる複数種類のマイクロチップを実装可能な標準化基板として実現されている。具体的には、セラミック基板14における接続パッド36及び内部流路41の位置やサイズを合わせてマイクロチップを形成すれば、1本の内部流路23や3本の内部流路23が形成されたチップでもセラミック基板14に搭載することが可能である。
【0045】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0046】
(1)本実施の形態のマイクロチップ搭載装置11において、セラミック基板14には接続パッド36などの金属配線層35に加えて基体側内部流路41が形成されている。また、マイクロチップ12をセラミック基板14に搭載する際には、チップ側の接続端子21と基板側の接続パッド36とが電気的に接続されるとともに、チップ側内部流路23と基体側内部流路41とが流路的に接続される。このようにすると、マイクロチップ自体にパイプを接続する従来技術(図20参照)と比較して、マイクロチップ12におけるチップ側内部流路23の開口部25の面積を小さくすることができ、マイクロチップ12の集積度を向上させることができる。
【0047】
(2)本実施の形態のマイクロチップ搭載装置11の場合、セラミック基板14におけるチップ接合領域37には、複数の接続パッド36と内部流路41の第1開口部42が配置されるため、電気的な接続と流路的な接続とを同時に行うことができる。その結果、セラミック基板14へのマイクロチップ12の搭載を容易にかつ迅速に行うことができる。
【0048】
(3)本実施の形態の場合、セラミック基板14において内部流路41の第2開口部43が外周部に配置されているので、第2開口部43をマイクロチップ12からある程度離間させることができる。このため、基板中央に位置するマイクロチップ12に接触することなく、パイプ45を第2開口部43に確実に装着することができる。特に、本実施の形態では、第2開口部43に管継手44が取り付けられているので、パイプ45を容易に装着することができる。また、セラミック基板14の外周部であれば比較的スペースに余裕があるため、パイプ45同士が互いに干渉しにくくなるという利点もある。
【0049】
(4)本実施の形態の場合、セラミック基板14とマイクロチップ12との接合部にインターポーザ13を介在させたので、接着強度を十分に確保することができ、マイクロチップ搭載装置11の信頼性をより高めることができる。また、第1開口部42とチップ側開口部25との接続部分に高いシール性も確保することができる。よって、両者の接続部分からの液漏れを未然に防止することができる。しかも、流路的接続部分に高いシール性を確保した結果、流路的接続部分を電気的接続部分と近接させて配置することが可能となる。
【0050】
(5)本実施の形態のマイクロチップ搭載装置11において、セラミック基板14に搭載したマイクロチップ12を交換する場合には、介在するインターポーザ(樹脂薄膜)13を熱的、化学的に分解することにより、マイクロチップ12をセラミック基板14から容易に取り除くことができる。この場合、マイクロチップ12のみを交換すれば、マイクロチップ搭載装置11を複数回使用することができ、実用上好ましいものとなる。
【0051】
[第2の実施の形態]
【0052】
以下、本発明を具体化した第2の実施の形態を図10に基づき詳細に説明する。
【0053】
図10に示されるように、本実施の形態におけるマイクロチップ搭載装置61の基体62は、上部部材63及び下部部材64からなり、マイクロチップ12を覆うように設けられている。マイクロチップ12は、その上面に内部流路23の開口部25が形成されている点が上記第1の実施の形態と相違し、それ以外の構成(接続端子21やセンサ電極24など)は同一構成となっている。
【0054】
下部部材64は、複数のセラミック層31〜34からなる多層配線基板(セラミック基板)である。下部部材64には、第1の実施の形態のセラミック基板14と同様に、マイクロチップ12と電気的な接続を行うための接続パッド36を含む金属配線層35が形成されている。この下部部材64においても、マイクロチップ12が接合される領域が、チップ接合領域37となる。
【0055】
また、本実施の形態では、金属配線層35を有する下部部材64に内部流路は形成されておらず、上部部材63に内部流路(基体側内部流路)65が形成されている。つまり、上部部材63における内部流路65の開口部は、いずれもチップ接合領域37外に配置されている。
【0056】
そして、上部部材63の内部流路65は、チップ上面に設けられた樹脂薄膜66の透孔67を介して、マイクロチップ12の内部流路23に流路的に接続されている。さらに、上部部材63の上面には内部流路65の開口部69が配置され、この開口部69にはパイプ45を接続するための管継手44が取り付けられている。
【0057】
上部部材63における内部流路65は、上記第1の実施の形態のセラミック基板14と同様の方法(パンチ加工や溝加工によって流路用孔56や流路用貫通溝57を形成したグリーンシート51〜54を積層する方法)により形成することもできるが、下記のような形成方法を採用することができる。すなわち、図11に示すように、第1のグリーンシート71の上面において、内部流路65として予定された領域に粉末ペーストにより流路パターン72を形成する。なお、この粉末ペーストとしては、焼成時に燃焼ないし分解して消失する材質のペースト、例えば主にカーボン粉末で構成されたペーストが用いられる。その後、図12に示すように、第1のグリーンシート71の上面に第2のグリーンシート73の下面を重ね合わせて、プレスすることにより各グリーンシート71,73を接合する。そして、周知の手法に従って乾燥工程や脱脂工程などを行った後、さらにセラミックの焼成工程を行う。ここで、流路パターン72は焼成時に蒸発するため、図13に示すように、各グリーンシート71,73を焼成してなる上部部材63に内部流路65の空間が形成される。なお、上記第1の実施の形態におけるセラミック基板14の内部流路41も、図11〜図13に示すような方法で形成してもよい。
【0058】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0059】
(1)本実施の形態のマイクロチップ搭載装置61では、基体62を構成する上部部材63に基体側内部流路65が形成され、下部部材64に基体側導体としての金属配線層35が形成されている。そして、この基体62にマイクロチップ12を搭載する際には、チップ側の導体(接続端子21)と基板側の導体(接続パッド36)とが電気的に接続されるとともに、チップ側の内部流路23と基板側の内部流路65とが流路的に接続される。このようにすれば、上記第1の実施の形態と同様に、マイクロチップ12における内部流路23の開口部25の面積を小さくすることができ、マイクロチップ12の集積度を向上させることができる。
【0060】
(2)本実施の形態のマイクロチップ搭載装置61の場合、上部部材63に設けられた内部流路65の開口部69は、いずれもチップ接合領域37外に配置されている。この場合、下部部材64とマイクロチップ12とにおける電気的な接続部分から離れた位置で、上部部材63側の内部流路65とマイクロチップ12側の内部流路23との接続が行われるため、下部部材64やマイクロチップ12における導体の絶縁を確実に行うことができる。
【0061】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0062】
・上記各実施の形態では、パイプ45を接続する基体側の開口部43,69をセラミック基板14や上部部材63の上面に設けるものであったがこれに限定されるものではない。図14に示すマイクロチップ搭載装置81のように、開口部43をセラミック基板14の側面に設けてもよいし、図15に示すマイクロチップ搭載装置82のように、開口部69を上部部材63の側面に設けてもよい。なお、図15のマイクロチップ搭載装置82では、マイクロチップ12における内部流路23の開口部25もチップ側面に設けられている。さらに、図16に示すマイクロチップ搭載装置83のように、開口部43をセラミック基板14の下面に設けてもよい。なお、図14のマイクロチップ搭載装置81及び図16のマイクロチップ搭載装置83において開口部43が形成される位置以外の構成は、図1のマイクロチップ搭載装置11と同じである。また、図15のマイクロチップ搭載装置82において基体62側の開口部69が形成される位置及びマイクロチップ12側の開口部25が形成される位置以外の構成は、図10のマイクロチップ搭載装置61と同じである。従って、図14のマイクロチップ搭載装置81及び図16のマイクロチップ搭載装置83では、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができ、図15のマイクロチップ搭載装置82では、上記第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0063】
・上記各実施の形態のマイクロチップ搭載装置11,61,81,82,83では、セラミック基板14,64の上面にマイクロチップ12を搭載する構成を採用したが、図17や図18のマイクロチップ搭載装置84,85のように、セラミック基板86の下面にマイクロチップ12を搭載するよう構成してもよい。具体的には、マイクロチップ搭載装置84,85では、セラミック基板86に、マイクロチップ12の接続端子21と電気的に接続する基体側導体(接続パッドを含む金属配線層やビアホール導体)87が設けられるとともに、マイクロチップ12側の内部流路23に流路的に接続する内部流路88が設けられている。そして、図17のマイクロチップ搭載装置84では、セラミック基板86の下面においてマイクロチップ12の周囲に、例えばセラミックからなる基体89が設けられている。この基体89には、セラミック基板86の導体87と電気的に接続する導体(接続パッドを含む金属配線層やビアホール導体など)90が形成されている。また、図18のマイクロチップ搭載装置85では、セラミック基板86の下面においてマイクロチップ12を覆うように基体91が設けられる点が、図17のマイクロチップ搭載装置84と異なる。なお、この基体91にも、セラミック基板86の導体87と電気的に接続する導体(接続パッドを含む金属配線層やビアホール導体など)92が形成されている。これらマイクロチップ搭載装置84,85においても、電気的な接続と流路的な接続とを同時に行うことができ、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0064】
・図19のマイクロチップ搭載装置94のように、チップ側内部流路23の有する一方の開口部25にパイプ45を接続する一方、他方の開口部25をセラミック基板14の内部流路41の開口部42に接続するよう構成してもよい。このように構成しても、マイクロチップにおける各開口部にパイプを接続した従来技術の場合(図20参照)と比較して、マイクロチップ12の集積度を向上させることができる。
【0065】
・上記各実施の形態の場合、セラミック基板14,64に1つのマイクロチップ12が搭載されるものであったが、複数のマイクロチップ12が搭載される搭載装置に具体化してもよい。この場合、それぞれのマイクロチップ12で、異なる成分の解析を行うようにマイクロチップ搭載装置を構成することができ、複数種類の成分解析を行う解析システムを大型化することなく実現できる。さらに、被検知液体がセラミック基板の流路を経由して各マイクロチップに順次導かれるので、各成分解析に必要となる被検知液体の量を最小限に抑えることができる。
【0066】
・マイクロチップ12及びセラミック基板14,62,86に形成した流路23,41,65,88はDNAを含む被検知液体を流す流路であったが、チップ冷却用の冷却液などを流す流路であってもよい。勿論、液体以外に気体などの流体を流すマイクロチップおよびセラミック基板を有するマイクロチップ搭載装置に具体化してもよい。
・上記各実施の形態では、マイクロチップ12を搭載するマイクロチップ搭載装置11,61,81〜85,94に具体化したが、これ以外に、例えば内部流路及び導体を有する基板とマザーボード間における電気及び流路接続構造に本発明を具体化してもよい。
【0067】
次に、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0068】
(1)チップ側内部流路とチップ側導体とを有するマイクロチップを搭載するための基体であって、前記チップ側内部流路と流路的に接続可能な基体側内部流路と、前記チップ側導体と電気的に接続可能な基体側導体とを有し、その上面に前記マイクロチップを接合するためのチップ接合領域が設定されるマイクロチップ搭載用基体。
【0069】
(2)前記チップ接合領域に、前記マイクロチップの下面に設けられたチップ側接続端子と電気的に接続可能な基体側接続端子と、前記マイクロチップの下面に設けられた前記チップ側内部流路の開口部と流路的に接続可能な前記基体側内部流路の開口部とを有することを特徴とする技術的思想(1)に記載のマイクロチップ搭載用基体。
【0070】
(3)チップ側内部流路とチップ側導体とを有するマイクロチップを搭載するための基体であって、上部部材と下部部材とからなり、前記上部部材に前記チップ側内部流路と流路的に接続可能な基体側内部流路を有し、前記下部部材に前記チップ側導体と電気的に接続可能な基体側導体を有するマイクロチップ搭載用基体。
【0071】
(4)複数のセラミック層を積層して構成され、チップ側内部流路とチップ側導体とを有するマイクロチップを搭載するための基体であって、前記チップ側内部流路と流路的に接続可能な基体側内部流路と、前記チップ側導体と電気的に接続可能な基体側導体とを有するマイクロチップ搭載用基体の製造方法において、未焼結状態の複数のグリーンシートを加工することにより、前記基体側内部流路を形成するための流路用孔及び流路用貫通溝を設ける工程と、前記複数のグリーンシートを積層して一体化する工程と、前記グリーンシートの積層体を焼結させる工程とを含むことを特徴とするマイクロチップ搭載用基体の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】第1の実施の形態のマイクロチップ搭載装置を示す断面図。
【図2】第1の実施の形態のマイクロチップ搭載装置を示す平面図。
【図3】マイクロチップ搭載装置の製造方法を示す説明図。
【図4】マイクロチップ搭載装置の製造方法を示す説明図。
【図5】マイクロチップ搭載装置の製造方法を示す説明図。
【図6】マイクロチップ搭載装置の製造方法を示す説明図。
【図7】マイクロチップ搭載装置の製造方法を示す説明図。
【図8】マイクロチップ搭載装置の製造方法を示す説明図。
【図9】マイクロチップ搭載装置の製造方法を示す説明図。
【図10】第2の実施の形態のマイクロチップ搭載装置を示す断面図。
【図11】流路の形成方法を示す説明図。
【図12】流路の形成方法を示す説明図。
【図13】流路の形成方法を示す説明図。
【図14】別例のマイクロチップ搭載装置を示す断面図。
【図15】別例のマイクロチップ搭載装置を示す断面図。
【図16】別例のマイクロチップ搭載装置を示す断面図。
【図17】別例のマイクロチップ搭載装置を示す断面図。
【図18】別例のマイクロチップ搭載装置を示す断面図。
【図19】別例のマイクロチップ搭載装置を示す断面図。
【図20】従来のマイクロチップ搭載装置を示す断面図。
【符号の説明】
【0073】
11,61,81,82,83,84,85,94…マイクロチップ搭載装置
12…マイクロチップ
13…樹脂薄膜としてのインターポーザ
14,62,86…基体としてのセラミック基板
21…チップ側導体を構成する接続端子
23…チップ側内部流路
24…センサ部としてのセンサ電極
25…チップ側開口部
26…被接合面
27…処理回路部
35…基体側導体を構成する金属配線層
36…基体側接続端子
37…チップ接合領域
38…基体側導体を構成するビアホール導体
39…基体側導体を構成する接続パッド
41,65,88…基体側内部流路
42…基体側第1開口部
43,69…基体側第2開口部
44…管継手
45…管としてのパイプ
47,48…透孔
63…基体を構成する上部部材
64…基体を構成する下部部材
87…基体側導体
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部流路と導体とを有するマイクロチップを搭載するマイクロチップ搭載用基体、マイクロチップ搭載装置、板状部材間電気及び流路接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、遺伝子検査を行うDNAチップなど、バイオセンサを組み込んだマイクロチップが開発されている。これらマイクロチップの中には、血液などの被検知液体をセンサ電極に導くために、チップ内部に流路を設けたものがある。従来、この種のマイクロチップは、チップ内部の流路に流路的に接続可能な治具に納められたり、電気信号を得るための測定器に接続されたりした状態で使用される(例えば、非特許文献1,2参照)。しかし、この種のマイクロチップを用いた測定システムでは、流路的な接続と電気的な接続とが同時に行えるような構成になっていない。ゆえに、実際の測定は煩雑なものとなる。
【0003】
また、マイクロチップの中には、センサ信号を電気的に取得するために、センサ電極に加えて処理回路部を備えたチップも開発されている。センサ信号を外部装置へ出力するために、このマイクロチップは、配線層を有するパッケージ(基板)上に搭載されるようになっている。
【0004】
図20には、そのマイクロチップの一例を示している。図20に示されるように、マイクロチップ100には、チップ内部に被検知液体を流すための流路110が、シリコン微細加工技術を用いて形成されている。また、その流路110の途中には、センサ電極120が設けられている。
【0005】
また、マイクロチップ100の上面には、流路110の入口及び出口となる開口部111,112がそれぞれ形成されている。それらの開口部111,112には、被検知液体をチップ内部に導くため(またはチップ内部を通過した被検知液体をチップ外部に排出するため)のパイプ130が接続されている。そして、マイクロチップ100は、パッケージ(具体的にはセラミック基板)140の上に搭載され、パッケージ140の有する配線141に対して電気的に接続されている。
【非特許文献1】“MEMSの現状と将来展望 MEMS技術を用いるマイクロフロー型バイオセンサの開発”(「表面技術」 VOL.54 No.10(660-664頁)(2003.))
【非特許文献2】“研究概要”、[online]、北陸先端科学技術大学院大学 材料科学研究科 機能科学専攻 生体機能材料講座 民谷・高村研究室、[平成17年5月31日検索]、インターネット<URL:http://www.jaist.ac.jp/ms/labs/tamiya/research/chip/chip_tech2.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、マイクロチップ100は非常に小さく、流路110の開口部111,112はそれよりもさらに小さいため、開口部111,112に対するパイプ130の取り付けは極めて困難である。それゆえ、パイプ130の取り付けを容易にするためには、開口部111,112の径をある程度大きくしておく必要がある。この場合、マイクロチップ100における開口部111,112の占有面積が増大し、結果として、チップサイズが大きくなり集積度が低下してしまう。また、パイプ130とマイクロチップ100との取付強度を十分に確保することができず、マイクロチップ100を取り扱う際に加わるストレスや振動によってパイプ130が外れたり、あるいは、マイクロチップ100そのものが破壊されたりするといった問題が生じてしまう。さらに、コンタミネーションの回避のためにマイクロチップ100を測定毎に交換する(使い捨てにする)場合、パイプ130の取り付けからすべて新規に行わなければならず、交換のための作業が煩雑となるといった問題も生じていた。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、内部流路と導体とを有するマイクロチップを搭載するのに好適なマイクロチップ搭載用基体、マイクロチップ搭載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、チップ側内部流路とチップ側導体とを有するマイクロチップを搭載するための基体であって、前記チップ側内部流路と流路的に接続可能な基体側内部流路と、前記チップ側導体と電気的に接続可能な基体側導体とを有するマイクロチップ搭載用基体がある。
【0009】
また、上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては、基体側内部流路と基体側導体とを有する基体と、チップ側内部流路とチップ側導体とを有し、前記基体上に搭載されたマイクロチップとを備え、前記チップ側内部流路と前記基体側内部流路とが流路的に接続され、前記チップ側導体と前記基体側導体とが電気的に接続され、前記基体側内部流路を経由してチップ側内部流路に流体を導くことが可能なことを特徴とするマイクロチップ搭載装置がある。
【0010】
従って、上記手段1及び手段2によると、基体には電気信号を伝達するための基体側導体に加えて被検出流体などを流すための基体側内部流路が形成されており、マイクロチップを基体に搭載する際には、導体同士の接続と内部流路同士の接続とが行われる。このようにすれば、基体に管を接続すればよく、マイクロチップに管を直接接続する必要がないため、チップ側内部流路の開口部を小さくした場合でも内部流路同士の接続を確実に行うことができる。そのため、マイクロチップにおける内部流路の開口部の占有面積を抑えることができ、マイクロチップの集積度を向上させることができる。またこの場合、内部流路に対する管の取付強度を十分に確保することができ、信頼性の高いマイクロチップ搭載装置を実現することができる。さらに、チップ交換時には従来のように管をマイクロチップに取り付ける必要がないため、その交換時の作業性を向上させることができる。
【0011】
上記手段1,2における基体としては、セラミック材料、樹脂材料、金属材料などを主体として構成された基体を挙げることができる。この基体の形状は特に限定されないが、少なくとも1つの主面を有するものであることがよく、例えば平板状の基板を用いることが好適である。
【0012】
セラミック材料を主体として構成された基板の具体例としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化珪素、窒化珪素などのセラミック材料からなる基板などがある。また、樹脂材料を主体として構成された基板の具体例としては、EP樹脂(エポキシ樹脂)基板、PI樹脂(ポリイミド樹脂)基板、BT樹脂(ビスマレイミド・トリアジン樹脂)基板、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)基板などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料からなる基板を使用してもよい。あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料からなる基板等を使用してもよい。さらに、金属材料を主体として構成された基板の具体例としては、銅基板、銅合金からなる基板、銅以外の金属単体からなる基板、銅以外の合金からなる基板などを挙げることができる。なお、基体の内部流路に水などの液体を導く場合、絶縁性に優れるセラミック基板や樹脂基板を用いることが好ましい。
【0013】
前記マイクロチップ搭載用基体の基体側導体は基体表面に形成されていてもよく、基体内部に形成されていてもよい。これらの導体の層間接続を図るために、基体内部にビアホール導体が形成されていてもよい。なお、かかる導体は、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などからなる導電性金属ペーストを印刷または充填することにより形成される。そして、このような導体には、マイクロチップに対して入出力される電気信号が流れるようになっている。
【0014】
前記マイクロチップ搭載用基体には、マイクロチップ以外の電子部品や素子が1つ以上設けられていてもよい。前記電子部品の具体例としては、チップトランジスタ、チップダイオード、チップ抵抗、チップコンデンサ、チップコイルなどを挙げることができる。これらの電子部品は、能動部品であっても受動部品であってもよい。前記素子の具体例としては、薄膜トランジスタ、薄膜ダイオード、薄膜抵抗、薄膜コンデンサ、薄膜コイルなどを挙げることができる。これらの素子は、能動素子であっても受動素子であってもよい。そして、前記基体上には、前記電子部品同士、前記半導体素子同士、あるいは前記電子部品と前記半導体素子とを接続する配線層が形成されていてもよい。なお、かかる配線層は、前記配線基板の内部に形成されていてもよい。
【0015】
前記マイクロチップ搭載用基体は、前記マイクロチップを接合すべき領域として設定されたチップ接合領域と、前記チップ接合領域内に配置された複数の基体側接続端子とを有する。このマイクロチップ搭載用基体において、前記基体側内部流路の有する基体側第1開口部が前記チップ接合領域内に配置され、前記基体側内部流路の有する基体側第2開口部が前記チップ接合領域外に配置されていることが好ましい。この場合、マイクロチップ搭載用基体におけるチップ接合領域には、複数の基体側接続端子と基体側内部流路の基体側第1開口部が配置されるため、基体側接続端子による電気的な接続と基体側第1開口部による流路的な接続とを同時に行うことができる。これにより、マイクロチップ搭載用基体へのマイクロチップの搭載を容易かつ迅速に行うことができる。
【0016】
また、マイクロチップ搭載用基体において、基体側内部流路の有する基体側第1開口部及び基体側第2開口部が、いずれも前記チップ接合領域外に配置されていてもよい。この場合、マイクロチップ搭載用基体におけるチップ接合領域内では、基体側接続端子による電気的な接続が行われ、チップ接合領域外では、基体側内部流路の開口部による流路的な接続が行われる。この構成において、水などを含む液体を基体側内部流路及びチップ側内部流路に導く場合、電気的な接続部分から離れた位置で内部流路の接続を行うことができるため、基体側接続端子やチップ側導体の絶縁を確実に行うことができる。
【0017】
前記基体側第2開口部が前記基体の外周部に配置されていることが好ましい。この構成によると、基体側第2開口部がマイクロチップからある程度離間するため、流体を導くための管(パイプやチューブなど)を、マイクロチップに誤って接触させることなく、第2開口部に確実に取り付けることができる。また、基体の外周部であれば比較的スペースに余裕があるため、管同士が互いに干渉しにくくなるという利点もある。
【0018】
さらに、前記基体側第2開口部には、管を装着するための管継手が取り付けられていることが好ましい。この管継手を取り付けることにより、基体側第2開口部に管を容易に装着することができる。
【0019】
前記マイクロチップは、前記チップ側内部流路内に配置されたセンサ部と、前記センサ部から出力された信号を電気的に処理する処理回路部とを有する半導体センサマイクロチップであることが好ましい。このようなマイクロチップとしては、DNAセンサチップ、ヘモグロビン量センサチップ、pHセンサチップなどを挙げることができる。勿論、マイクロチップとしては、センサ部のないものでもよく、例えば、チップ内部に電気回路とその回路を冷却するための冷却用流路とが形成されるチップでもよい。さらに、マイクロチップとしては、半導体材料(例えばシリコン等)からなる半導体集積回路チップ(ICチップ)以外に、例えば、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)の加工技術を用いて製造されるチップでもよい。
【0020】
また、前記マイクロチップは、前記基体に接合された被接合面と、前記被接合面内に配置された複数のチップ側接続端子とを有し、前記チップ側内部流路の有するチップ側開口部が前記被接合面内に配置されている。このマイクロチップを搭載する基体は、前記マイクロチップの前記被接合面が接続されたチップ接合領域と、前記チップ接合領域内に配置され、前記複数のチップ側接続端子と電気的に接続された複数の基体側接続端子とを有する。この基体において、前記基体側内部流路の有する基体側第1開口部が、前記チップ接合領域内に配置されかつ前記チップ側開口部に流路的に接続され、前記基体側内部流路の有する基体側第2開口部が、前記チップ接合領域外に配置されていることが好ましい。かかるマイクロチップ搭載装置においては、チップ側接続端子と基体側接続端子とによる電気的な接続と、チップ側開口部と基体側第1開口部とによる流路的な接続とを同時に行うことができる。これにより、基体へのマイクロチップの搭載を容易かつ迅速に行うことができる。
【0021】
前記マイクロチップの前記被接合面は、透孔を有する樹脂薄膜によって前記基体の前記チップ接合領域に接着または融着されるとともに、前記基体側第1開口部と前記チップ側開口部とが流路的に、かつ前記基体側導体と前記チップ側導体とが電気的に、前記透孔を介して接続されることが好ましい。このように、基体とマイクロチップとを樹脂薄膜を介して接合することにより、基体にマイクロチップを確実に取り付けることができ、マイクロチップ搭載装置の信頼性をより高めることができる。また、基体側第1開口部とチップ側開口部との接続部分に高いシール性も確保することができる。
【0022】
また、上記課題を解決するための別の手段(手段3)としては、第1内部流路と第1板状部材側導体とを有する第1板状部材と、第2内部流路と第2板状部材側導体とを有し、前記第1板状部材上に搭載された第2板状部材とを備え、前記第2内部流路と前記第1内部流路とが流路的に接続され、前記第2板状部材側導体と前記第1板状部材側導体とが電気的に接続され、前記第1内部流路を経由して前記第2内部流路内に流体を導くことが可能なことを特徴とする板状部材間電気及び流路接続構造がある。
【0023】
従って、この手段3の構成によれば、第1板状部材上に第2板状部材を搭載する際に、各部材に形成された内部流路同士の接続と導体同士の接続とが同時に行われる。このようにすると、板状部材における導体回路の集積度を向上させることができる。
【0024】
なお、本発明においては、矩形平板状に形成されたマイクロチップも板状部材に含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
[第1の実施の形態]
【0026】
以下、本発明をマイクロチップ搭載装置に具体化した第1の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施の形態のマイクロチップ搭載装置11の概略構成を示す断面図であり、図2は、そのマイクロチップ搭載装置11の平面図である。
【0027】
図1に示されるように、マイクロチップ搭載装置11は、マイクロチップ12と、樹脂薄膜としてのインターポーザ13と、マイクロチップ搭載用基体としてのセラミック基板14とを備える。なお、マイクロチップ搭載装置11におけるパッケージの形態としては、BGA(ボールグリッドアレイ)を採用しているが、このBGAのみに限定されるものではなく、例えばPGA(ピングリッドアレイ)やLGA(ランドグリッドアレイ)等であってもよい。
【0028】
マイクロチップ12は、シリコンからなる半導体センサマイクロチップであり、遺伝子診断を行うためのDNAセンサとしての機能を有する。マイクロチップ12は長方形平板状に形成された板状部材であり、その下面側には複数のバンプ状の接続端子(チップ側接続端子)21が格子状に設けられている。マイクロチップ12は、それら接続端子21を介して、セラミック基板14と電気的に接続される。マイクロチップ12の内部には、フォトリソグラフィや異方性エッチングなどのシリコン微細加工技術を用いて、被検知液体(DNAを含む溶液)を流すための内部流路(チップ側内部流路)23が形成されている。その内部流路23の途中には、センサ電極(センサ部)24が形成されている。なお、センサ電極24の表面には図示しないプローブDNAが固定化されている。これらのプローブDNAは、それぞれ異なる塩基配列を有しており、その塩基配列と相同性が高いDNA(ターゲットDNA)とハイブリダイズするようになっている。
【0029】
図1,図2に示されるように、本実施の形態のマイクロチップ12では、その長手方向に沿って平行となるように2本の内部流路23が形成されている。その内部流路23の開口部(チップ側開口部)25は、マイクロチップ12の下面(セラミック基板14との被接合面)26に配置されている。さらに、マイクロチップ12の内部には、センサ電極24から出力される信号を電気的に処理する処理回路部27が形成されている。
【0030】
本実施の形態のマイクロチップ12では、センサ電極24に電圧を加えた状態で、プローブDNAに検知対象となるターゲットDNAが結合すると、そのセンサ電極24に所定の電流が流れる。すると、処理回路部27は、その電流を検出してそれに応じた検出信号を出力する。この検出信号は、マイクロチップ12の接続端子21に伝達され、さらに、セラミック基板14を介して図示しないマザーボードに設けられた解析装置に入力されるようになっている。なお、マイクロチップ12における接続端子21、センサ電極24、及び処理回路部27などによりチップ側導体が構成される。
【0031】
セラミック基板14は、略長方形状に形成された板状部材である。かかるセラミック基板14は複数のセラミック層31〜34からなる、いわゆる多層配線基板であって、基体側導体としての金属配線層35を備えている。セラミック基板14において、上面に形成された金属配線層35の一部には、マイクロチップ12をフリップチップ接続するための複数の接続パッド(基体側接続端子)36が形成されている。これら各接続パッド36は、マイクロチップ12を接合すべき領域として設定されたチップ接合領域(マイクロチップ12の被接合面26に対応する領域)37に配置されており、マイクロチップ12の各接続端子21と電気的に接続されている。
【0032】
また、金属配線層35はセラミック基板14の内層にも形成されている。このセラミック基板14はビアホール導体38も備えており、層の異なる金属配線層35同士はビアホール導体38を介して層間接続されている。また、セラミック基板14の下面には複数の接続パッド39が格子状に形成されている。本実施形態の場合、金属配線層35、接続パッド36,39、及びビアホール導体38は、いずれも銅(Cu)からなる。また、各接続パッド39には、はんだバンプ40が設けられている。そして、そのはんだバンプ40を介して、図示しないマザーボード側とセラミック基板14側とが電気的に接続される。
【0033】
さらに、セラミック基板14の内部には、前記マイクロチップ12の内部流路23と流路的に接続可能な内部流路(基体側内部流路)41が形成されている。図1,図2に示されるように、本実施の形態のセラミック基板14では、その長手方向に沿って平行となるように3本の内部流路41が形成されている。それらの内部流路41の開口部42,43は、セラミック基板14の上面に設けられている。
【0034】
本実施の形態のセラミック基板14では、内部流路41の有する一方の開口部(基体側第1開口部)42がチップ接合領域37内に配置され、他方の開口部(基体側第2開口部)43がチップ接合領域37外に配置されている。そして、セラミック基板14の第1開口部42が、マイクロチップ12側の開口部25に流路的に接続されている。また、第2開口部43はセラミック基板14の外周部に配置され、その第2開口部43には、金属製の管継手44が接着剤等により取り付けられている。これらの管継手44には、管としてのパイプ45がそれぞれ接続されている。よって、被検知液体は、一方のパイプ45を経て内部流路41内に導かれた後、内部流路23を通過し、再び内部流路41を通過して他方のパイプ45から排出されるようになっている。
【0035】
なお、本実施の形態では、セラミック基板14に形成された3本の内部流路41のうちの2本がマイクロチップ12に形成された内部流路23に接続され、残り1本の内部流路(中央に位置する内部流路)は被検知液体が流れない未使用の内部流路となっている。
【0036】
インターポーザ13は、PTFEやPFAなどのフッ素系樹脂、PDMS樹脂、PEEK樹脂、メタクリル樹脂(PMMA)などからなるシート状の樹脂薄膜であり、マイクロチップ12の被接合面26をセラミック基板14のチップ接合領域37に対して接着または融着させている。このインターポーザ13において、マイクロチップ12とセラミック基板14との電気的な接続や流路的な接続に対応する位置には、周知の孔加工によって透孔47,48が形成されている。つまり、これら透孔47,48を介して、基板側の第1開口部42がチップ側の開口部25に流路的に接続されるとともに、基板側の接続パッド36がチップ側の接続端子21に電気的に接続されている。なお、インターポーザ13における孔加工の具体例としては、ドリル加工、パンチ加工、エッチング加工、レーザ加工などがある。
【0037】
次に、上記構成のマイクロチップ搭載装置11の製造方法を図3〜図9を用いて説明する。
【0038】
先ず、以下の手順により、セラミック基板14を製作する。
【0039】
セラミック粉末、有機バインダ、溶剤、可塑剤などを均一に混合・混練してなる原料スラリーを作製し、この原料スラリーを用いてドクターブレード装置によるシート成形を行って、図3に示すような所定厚みのグリーンシート51,52,53,54を複数枚形成する。図4に示すように、これらグリーンシート51〜54における所定部分にパンチ加工や溝加工を施して、ビアホール用孔55、流路用孔56、及び流路用貫通溝57を形成する。この段階ではまだセラミックが未焼結状態であるので、パンチ加工や溝加工を比較的簡単にかつ低コストで行うことができる。
【0040】
次に、図5に示すように、ペースト印刷装置(図示略)を用いてビアホール用孔55の中にビアホール導体用の銅ペースト58を充填する。また、グリーンシート51〜54の表面に銅ペースト59を印刷することにより、後に金属配線層35等となる印刷層を形成する。
【0041】
そして、これら複数枚のグリーンシート51〜54を積層してプレスすることにより一体化し、グリーンシート積層体とする。次に、周知の手法に従って乾燥工程や脱脂工程などを行った後、さらにセラミックが焼結しうる700℃〜1000℃程度の温度にて焼成工程を行う。これにより、グリーンシート積層体(セラミック未焼結体)を焼結させ、セラミック基板14とする。この時点でセラミックは硬質化しかつ収縮すると同時に、銅ペーストも焼結して硬質化する。その結果、図6に示すように、金属配線層35や内部流路41を有するセラミック基板14が製造される。
【0042】
その後、図7に示すように、はんだ印刷及びリフローを行って、セラミック基板14上面の接続パッド36上にはんだバンプ60を形成する。続いて、図8に示すように、画像認識装置(図示略)を用いてセラミック基板14に対するマイクロチップ12の位置合わせを行ったうえで、そのマイクロチップ12をセラミック基板14に搭載する。ここでは、セラミック基板14側の接続パッド36と、マイクロチップ12側の接続端子21とを接合し、セラミック基板14とマイクロチップ12との電気的な導通を図る。またこのとき、セラミック基板14とマイクロチップ12の間に、透孔47,48を加工したインターポーザ13を配置して加熱・加圧することにより、インターポーザ13が軟化してマイクロチップ12とセラミック基板14との両部材に溶着する。その後、冷却されることでインターポーザ13が硬質化して接着シートとして機能する。このインターポーザ13を介在させることにより、セラミック基板14側の内部流路41とマイクロチップ12側の内部流路23との流路的な接続が確実に行われる。
【0043】
さらに、図9に示すように、はんだ印刷及びリフローを行って、セラミック基板14の下面の接続パッド39にはんだバンプ40を形成し、セラミック基板14における内部流路41の第2開口部43に管継手44を接着する。その結果、図1のマイクロチップ搭載装置11を得ることができる。この後、さらにセラミック基板14上の管継手44にパイプ45を接続すれば、マイクロチップ搭載装置11に被検知液体を導入可能な状態となる。
【0044】
なお、本実施の形態に用いられるセラミック基板14は、マイクロチップ12の専用基板ではなく、接続パッドや流路の数が異なる複数種類のマイクロチップを実装可能な標準化基板として実現されている。具体的には、セラミック基板14における接続パッド36及び内部流路41の位置やサイズを合わせてマイクロチップを形成すれば、1本の内部流路23や3本の内部流路23が形成されたチップでもセラミック基板14に搭載することが可能である。
【0045】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0046】
(1)本実施の形態のマイクロチップ搭載装置11において、セラミック基板14には接続パッド36などの金属配線層35に加えて基体側内部流路41が形成されている。また、マイクロチップ12をセラミック基板14に搭載する際には、チップ側の接続端子21と基板側の接続パッド36とが電気的に接続されるとともに、チップ側内部流路23と基体側内部流路41とが流路的に接続される。このようにすると、マイクロチップ自体にパイプを接続する従来技術(図20参照)と比較して、マイクロチップ12におけるチップ側内部流路23の開口部25の面積を小さくすることができ、マイクロチップ12の集積度を向上させることができる。
【0047】
(2)本実施の形態のマイクロチップ搭載装置11の場合、セラミック基板14におけるチップ接合領域37には、複数の接続パッド36と内部流路41の第1開口部42が配置されるため、電気的な接続と流路的な接続とを同時に行うことができる。その結果、セラミック基板14へのマイクロチップ12の搭載を容易にかつ迅速に行うことができる。
【0048】
(3)本実施の形態の場合、セラミック基板14において内部流路41の第2開口部43が外周部に配置されているので、第2開口部43をマイクロチップ12からある程度離間させることができる。このため、基板中央に位置するマイクロチップ12に接触することなく、パイプ45を第2開口部43に確実に装着することができる。特に、本実施の形態では、第2開口部43に管継手44が取り付けられているので、パイプ45を容易に装着することができる。また、セラミック基板14の外周部であれば比較的スペースに余裕があるため、パイプ45同士が互いに干渉しにくくなるという利点もある。
【0049】
(4)本実施の形態の場合、セラミック基板14とマイクロチップ12との接合部にインターポーザ13を介在させたので、接着強度を十分に確保することができ、マイクロチップ搭載装置11の信頼性をより高めることができる。また、第1開口部42とチップ側開口部25との接続部分に高いシール性も確保することができる。よって、両者の接続部分からの液漏れを未然に防止することができる。しかも、流路的接続部分に高いシール性を確保した結果、流路的接続部分を電気的接続部分と近接させて配置することが可能となる。
【0050】
(5)本実施の形態のマイクロチップ搭載装置11において、セラミック基板14に搭載したマイクロチップ12を交換する場合には、介在するインターポーザ(樹脂薄膜)13を熱的、化学的に分解することにより、マイクロチップ12をセラミック基板14から容易に取り除くことができる。この場合、マイクロチップ12のみを交換すれば、マイクロチップ搭載装置11を複数回使用することができ、実用上好ましいものとなる。
【0051】
[第2の実施の形態]
【0052】
以下、本発明を具体化した第2の実施の形態を図10に基づき詳細に説明する。
【0053】
図10に示されるように、本実施の形態におけるマイクロチップ搭載装置61の基体62は、上部部材63及び下部部材64からなり、マイクロチップ12を覆うように設けられている。マイクロチップ12は、その上面に内部流路23の開口部25が形成されている点が上記第1の実施の形態と相違し、それ以外の構成(接続端子21やセンサ電極24など)は同一構成となっている。
【0054】
下部部材64は、複数のセラミック層31〜34からなる多層配線基板(セラミック基板)である。下部部材64には、第1の実施の形態のセラミック基板14と同様に、マイクロチップ12と電気的な接続を行うための接続パッド36を含む金属配線層35が形成されている。この下部部材64においても、マイクロチップ12が接合される領域が、チップ接合領域37となる。
【0055】
また、本実施の形態では、金属配線層35を有する下部部材64に内部流路は形成されておらず、上部部材63に内部流路(基体側内部流路)65が形成されている。つまり、上部部材63における内部流路65の開口部は、いずれもチップ接合領域37外に配置されている。
【0056】
そして、上部部材63の内部流路65は、チップ上面に設けられた樹脂薄膜66の透孔67を介して、マイクロチップ12の内部流路23に流路的に接続されている。さらに、上部部材63の上面には内部流路65の開口部69が配置され、この開口部69にはパイプ45を接続するための管継手44が取り付けられている。
【0057】
上部部材63における内部流路65は、上記第1の実施の形態のセラミック基板14と同様の方法(パンチ加工や溝加工によって流路用孔56や流路用貫通溝57を形成したグリーンシート51〜54を積層する方法)により形成することもできるが、下記のような形成方法を採用することができる。すなわち、図11に示すように、第1のグリーンシート71の上面において、内部流路65として予定された領域に粉末ペーストにより流路パターン72を形成する。なお、この粉末ペーストとしては、焼成時に燃焼ないし分解して消失する材質のペースト、例えば主にカーボン粉末で構成されたペーストが用いられる。その後、図12に示すように、第1のグリーンシート71の上面に第2のグリーンシート73の下面を重ね合わせて、プレスすることにより各グリーンシート71,73を接合する。そして、周知の手法に従って乾燥工程や脱脂工程などを行った後、さらにセラミックの焼成工程を行う。ここで、流路パターン72は焼成時に蒸発するため、図13に示すように、各グリーンシート71,73を焼成してなる上部部材63に内部流路65の空間が形成される。なお、上記第1の実施の形態におけるセラミック基板14の内部流路41も、図11〜図13に示すような方法で形成してもよい。
【0058】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0059】
(1)本実施の形態のマイクロチップ搭載装置61では、基体62を構成する上部部材63に基体側内部流路65が形成され、下部部材64に基体側導体としての金属配線層35が形成されている。そして、この基体62にマイクロチップ12を搭載する際には、チップ側の導体(接続端子21)と基板側の導体(接続パッド36)とが電気的に接続されるとともに、チップ側の内部流路23と基板側の内部流路65とが流路的に接続される。このようにすれば、上記第1の実施の形態と同様に、マイクロチップ12における内部流路23の開口部25の面積を小さくすることができ、マイクロチップ12の集積度を向上させることができる。
【0060】
(2)本実施の形態のマイクロチップ搭載装置61の場合、上部部材63に設けられた内部流路65の開口部69は、いずれもチップ接合領域37外に配置されている。この場合、下部部材64とマイクロチップ12とにおける電気的な接続部分から離れた位置で、上部部材63側の内部流路65とマイクロチップ12側の内部流路23との接続が行われるため、下部部材64やマイクロチップ12における導体の絶縁を確実に行うことができる。
【0061】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0062】
・上記各実施の形態では、パイプ45を接続する基体側の開口部43,69をセラミック基板14や上部部材63の上面に設けるものであったがこれに限定されるものではない。図14に示すマイクロチップ搭載装置81のように、開口部43をセラミック基板14の側面に設けてもよいし、図15に示すマイクロチップ搭載装置82のように、開口部69を上部部材63の側面に設けてもよい。なお、図15のマイクロチップ搭載装置82では、マイクロチップ12における内部流路23の開口部25もチップ側面に設けられている。さらに、図16に示すマイクロチップ搭載装置83のように、開口部43をセラミック基板14の下面に設けてもよい。なお、図14のマイクロチップ搭載装置81及び図16のマイクロチップ搭載装置83において開口部43が形成される位置以外の構成は、図1のマイクロチップ搭載装置11と同じである。また、図15のマイクロチップ搭載装置82において基体62側の開口部69が形成される位置及びマイクロチップ12側の開口部25が形成される位置以外の構成は、図10のマイクロチップ搭載装置61と同じである。従って、図14のマイクロチップ搭載装置81及び図16のマイクロチップ搭載装置83では、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができ、図15のマイクロチップ搭載装置82では、上記第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0063】
・上記各実施の形態のマイクロチップ搭載装置11,61,81,82,83では、セラミック基板14,64の上面にマイクロチップ12を搭載する構成を採用したが、図17や図18のマイクロチップ搭載装置84,85のように、セラミック基板86の下面にマイクロチップ12を搭載するよう構成してもよい。具体的には、マイクロチップ搭載装置84,85では、セラミック基板86に、マイクロチップ12の接続端子21と電気的に接続する基体側導体(接続パッドを含む金属配線層やビアホール導体)87が設けられるとともに、マイクロチップ12側の内部流路23に流路的に接続する内部流路88が設けられている。そして、図17のマイクロチップ搭載装置84では、セラミック基板86の下面においてマイクロチップ12の周囲に、例えばセラミックからなる基体89が設けられている。この基体89には、セラミック基板86の導体87と電気的に接続する導体(接続パッドを含む金属配線層やビアホール導体など)90が形成されている。また、図18のマイクロチップ搭載装置85では、セラミック基板86の下面においてマイクロチップ12を覆うように基体91が設けられる点が、図17のマイクロチップ搭載装置84と異なる。なお、この基体91にも、セラミック基板86の導体87と電気的に接続する導体(接続パッドを含む金属配線層やビアホール導体など)92が形成されている。これらマイクロチップ搭載装置84,85においても、電気的な接続と流路的な接続とを同時に行うことができ、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0064】
・図19のマイクロチップ搭載装置94のように、チップ側内部流路23の有する一方の開口部25にパイプ45を接続する一方、他方の開口部25をセラミック基板14の内部流路41の開口部42に接続するよう構成してもよい。このように構成しても、マイクロチップにおける各開口部にパイプを接続した従来技術の場合(図20参照)と比較して、マイクロチップ12の集積度を向上させることができる。
【0065】
・上記各実施の形態の場合、セラミック基板14,64に1つのマイクロチップ12が搭載されるものであったが、複数のマイクロチップ12が搭載される搭載装置に具体化してもよい。この場合、それぞれのマイクロチップ12で、異なる成分の解析を行うようにマイクロチップ搭載装置を構成することができ、複数種類の成分解析を行う解析システムを大型化することなく実現できる。さらに、被検知液体がセラミック基板の流路を経由して各マイクロチップに順次導かれるので、各成分解析に必要となる被検知液体の量を最小限に抑えることができる。
【0066】
・マイクロチップ12及びセラミック基板14,62,86に形成した流路23,41,65,88はDNAを含む被検知液体を流す流路であったが、チップ冷却用の冷却液などを流す流路であってもよい。勿論、液体以外に気体などの流体を流すマイクロチップおよびセラミック基板を有するマイクロチップ搭載装置に具体化してもよい。
・上記各実施の形態では、マイクロチップ12を搭載するマイクロチップ搭載装置11,61,81〜85,94に具体化したが、これ以外に、例えば内部流路及び導体を有する基板とマザーボード間における電気及び流路接続構造に本発明を具体化してもよい。
【0067】
次に、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0068】
(1)チップ側内部流路とチップ側導体とを有するマイクロチップを搭載するための基体であって、前記チップ側内部流路と流路的に接続可能な基体側内部流路と、前記チップ側導体と電気的に接続可能な基体側導体とを有し、その上面に前記マイクロチップを接合するためのチップ接合領域が設定されるマイクロチップ搭載用基体。
【0069】
(2)前記チップ接合領域に、前記マイクロチップの下面に設けられたチップ側接続端子と電気的に接続可能な基体側接続端子と、前記マイクロチップの下面に設けられた前記チップ側内部流路の開口部と流路的に接続可能な前記基体側内部流路の開口部とを有することを特徴とする技術的思想(1)に記載のマイクロチップ搭載用基体。
【0070】
(3)チップ側内部流路とチップ側導体とを有するマイクロチップを搭載するための基体であって、上部部材と下部部材とからなり、前記上部部材に前記チップ側内部流路と流路的に接続可能な基体側内部流路を有し、前記下部部材に前記チップ側導体と電気的に接続可能な基体側導体を有するマイクロチップ搭載用基体。
【0071】
(4)複数のセラミック層を積層して構成され、チップ側内部流路とチップ側導体とを有するマイクロチップを搭載するための基体であって、前記チップ側内部流路と流路的に接続可能な基体側内部流路と、前記チップ側導体と電気的に接続可能な基体側導体とを有するマイクロチップ搭載用基体の製造方法において、未焼結状態の複数のグリーンシートを加工することにより、前記基体側内部流路を形成するための流路用孔及び流路用貫通溝を設ける工程と、前記複数のグリーンシートを積層して一体化する工程と、前記グリーンシートの積層体を焼結させる工程とを含むことを特徴とするマイクロチップ搭載用基体の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】第1の実施の形態のマイクロチップ搭載装置を示す断面図。
【図2】第1の実施の形態のマイクロチップ搭載装置を示す平面図。
【図3】マイクロチップ搭載装置の製造方法を示す説明図。
【図4】マイクロチップ搭載装置の製造方法を示す説明図。
【図5】マイクロチップ搭載装置の製造方法を示す説明図。
【図6】マイクロチップ搭載装置の製造方法を示す説明図。
【図7】マイクロチップ搭載装置の製造方法を示す説明図。
【図8】マイクロチップ搭載装置の製造方法を示す説明図。
【図9】マイクロチップ搭載装置の製造方法を示す説明図。
【図10】第2の実施の形態のマイクロチップ搭載装置を示す断面図。
【図11】流路の形成方法を示す説明図。
【図12】流路の形成方法を示す説明図。
【図13】流路の形成方法を示す説明図。
【図14】別例のマイクロチップ搭載装置を示す断面図。
【図15】別例のマイクロチップ搭載装置を示す断面図。
【図16】別例のマイクロチップ搭載装置を示す断面図。
【図17】別例のマイクロチップ搭載装置を示す断面図。
【図18】別例のマイクロチップ搭載装置を示す断面図。
【図19】別例のマイクロチップ搭載装置を示す断面図。
【図20】従来のマイクロチップ搭載装置を示す断面図。
【符号の説明】
【0073】
11,61,81,82,83,84,85,94…マイクロチップ搭載装置
12…マイクロチップ
13…樹脂薄膜としてのインターポーザ
14,62,86…基体としてのセラミック基板
21…チップ側導体を構成する接続端子
23…チップ側内部流路
24…センサ部としてのセンサ電極
25…チップ側開口部
26…被接合面
27…処理回路部
35…基体側導体を構成する金属配線層
36…基体側接続端子
37…チップ接合領域
38…基体側導体を構成するビアホール導体
39…基体側導体を構成する接続パッド
41,65,88…基体側内部流路
42…基体側第1開口部
43,69…基体側第2開口部
44…管継手
45…管としてのパイプ
47,48…透孔
63…基体を構成する上部部材
64…基体を構成する下部部材
87…基体側導体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ側内部流路とチップ側導体とを有するマイクロチップを搭載するための基体であって、
前記チップ側内部流路と流路的に接続可能な基体側内部流路と、前記チップ側導体と電気的に接続可能な基体側導体とを有するマイクロチップ搭載用基体。
【請求項2】
前記マイクロチップを接合すべき領域として設定されたチップ接合領域と、前記チップ接合領域内に配置された複数の基体側接続端子とを有し、
前記基体側内部流路の有する基体側第1開口部が前記チップ接合領域内に配置され、前記基体側内部流路の有する基体側第2開口部が前記チップ接合領域外に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロチップ搭載用基体。
【請求項3】
前記マイクロチップを接合すべき領域として設定されたチップ接合領域と、前記チップ接合領域内に配置された複数の基体側接続端子とを有し、
前記基体側内部流路の有する基体側第1開口部及び基体側第2開口部が、いずれも前記チップ接合領域外に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロチップ搭載用基体。
【請求項4】
前記基体側第2開口部が前記基体の外周部に配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載のマイクロチップ搭載用基体。
【請求項5】
前記基体側第2開口部には、管を装着するための管継手が取り付けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のマイクロチップ搭載用基体。
【請求項6】
基体側内部流路と基体側導体とを有する基体と、
チップ側内部流路とチップ側導体とを有し、前記基体上に搭載されたマイクロチップと
を備え、
前記チップ側内部流路と前記基体側内部流路とが流路的に接続され、前記チップ側導体と前記基体側導体とが電気的に接続され、前記基体側内部流路を経由してチップ側内部流路に流体を導くことが可能なことを特徴とするマイクロチップ搭載装置。
【請求項7】
前記マイクロチップは、前記チップ側内部流路内に配置されたセンサ部と、前記センサ部から出力された信号を電気的に処理する処理回路部とを有する半導体センサマイクロチップであることを特徴とする請求項6に記載のマイクロチップ搭載装置。
【請求項8】
前記マイクロチップは、前記基体に接合された被接合面と、前記被接合面内に配置された複数のチップ側接続端子とを有し、
前記チップ側内部流路の有するチップ側開口部が前記被接合面内に配置され、
前記基体は、前記マイクロチップの前記被接合面が接続されたチップ接合領域と、前記チップ接合領域内に配置され、前記複数のチップ側接続端子と電気的に接続された複数の基体側接続端子とを有し、
前記基体側内部流路の有する基体側第1開口部が、前記チップ接合領域内に配置されかつ前記チップ側開口部に流路的に接続され、前記基体側内部流路の有する基体側第2開口部が前記チップ接合領域外に配置されている
ことを特徴とする請求項6または7に記載のマイクロチップ搭載装置。
【請求項9】
前記マイクロチップの前記被接合面は、透孔を有する樹脂薄膜によって前記基体の前記チップ接合領域に接着または融着されるとともに、前記基体側第1開口部と前記チップ側開口部とが流路的に、かつ前記基体側導体と前記チップ側導体とが電気的に、前記透孔を介して接続されていることを特徴とする請求項8に記載のマイクロチップ搭載装置。
【請求項10】
第1内部流路と第1板状部材側導体とを有する第1板状部材と、
第2内部流路と第2板状部材側導体とを有し、前記第1板状部材上に搭載された第2板状部材と
を備え、
前記第2内部流路と前記第1内部流路とが流路的に接続され、前記第2板状部材側導体と前記第1板状部材側導体とが電気的に接続され、前記第1内部流路を経由して前記第2内部流路内に流体を導くことが可能なことを特徴とする板状部材間電気及び流路接続構造。
【請求項1】
チップ側内部流路とチップ側導体とを有するマイクロチップを搭載するための基体であって、
前記チップ側内部流路と流路的に接続可能な基体側内部流路と、前記チップ側導体と電気的に接続可能な基体側導体とを有するマイクロチップ搭載用基体。
【請求項2】
前記マイクロチップを接合すべき領域として設定されたチップ接合領域と、前記チップ接合領域内に配置された複数の基体側接続端子とを有し、
前記基体側内部流路の有する基体側第1開口部が前記チップ接合領域内に配置され、前記基体側内部流路の有する基体側第2開口部が前記チップ接合領域外に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロチップ搭載用基体。
【請求項3】
前記マイクロチップを接合すべき領域として設定されたチップ接合領域と、前記チップ接合領域内に配置された複数の基体側接続端子とを有し、
前記基体側内部流路の有する基体側第1開口部及び基体側第2開口部が、いずれも前記チップ接合領域外に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロチップ搭載用基体。
【請求項4】
前記基体側第2開口部が前記基体の外周部に配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載のマイクロチップ搭載用基体。
【請求項5】
前記基体側第2開口部には、管を装着するための管継手が取り付けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のマイクロチップ搭載用基体。
【請求項6】
基体側内部流路と基体側導体とを有する基体と、
チップ側内部流路とチップ側導体とを有し、前記基体上に搭載されたマイクロチップと
を備え、
前記チップ側内部流路と前記基体側内部流路とが流路的に接続され、前記チップ側導体と前記基体側導体とが電気的に接続され、前記基体側内部流路を経由してチップ側内部流路に流体を導くことが可能なことを特徴とするマイクロチップ搭載装置。
【請求項7】
前記マイクロチップは、前記チップ側内部流路内に配置されたセンサ部と、前記センサ部から出力された信号を電気的に処理する処理回路部とを有する半導体センサマイクロチップであることを特徴とする請求項6に記載のマイクロチップ搭載装置。
【請求項8】
前記マイクロチップは、前記基体に接合された被接合面と、前記被接合面内に配置された複数のチップ側接続端子とを有し、
前記チップ側内部流路の有するチップ側開口部が前記被接合面内に配置され、
前記基体は、前記マイクロチップの前記被接合面が接続されたチップ接合領域と、前記チップ接合領域内に配置され、前記複数のチップ側接続端子と電気的に接続された複数の基体側接続端子とを有し、
前記基体側内部流路の有する基体側第1開口部が、前記チップ接合領域内に配置されかつ前記チップ側開口部に流路的に接続され、前記基体側内部流路の有する基体側第2開口部が前記チップ接合領域外に配置されている
ことを特徴とする請求項6または7に記載のマイクロチップ搭載装置。
【請求項9】
前記マイクロチップの前記被接合面は、透孔を有する樹脂薄膜によって前記基体の前記チップ接合領域に接着または融着されるとともに、前記基体側第1開口部と前記チップ側開口部とが流路的に、かつ前記基体側導体と前記チップ側導体とが電気的に、前記透孔を介して接続されていることを特徴とする請求項8に記載のマイクロチップ搭載装置。
【請求項10】
第1内部流路と第1板状部材側導体とを有する第1板状部材と、
第2内部流路と第2板状部材側導体とを有し、前記第1板状部材上に搭載された第2板状部材と
を備え、
前記第2内部流路と前記第1内部流路とが流路的に接続され、前記第2板状部材側導体と前記第1板状部材側導体とが電気的に接続され、前記第1内部流路を経由して前記第2内部流路内に流体を導くことが可能なことを特徴とする板状部材間電気及び流路接続構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
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【図4】
【図5】
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【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−3386(P2007−3386A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−184671(P2005−184671)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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