説明

マイクロデバイスの分類

粒子または他のマイクロデバイスは、磁場内で向きを定められる分離した領域(例えば磁気バー)を有してアレイにおいて配置され、マイクロデバイスの異なる方向づけの機能としてアレイからマイクロデバイスの適当なサブセットを取り除く状態の下で除去する力を適用して分類される。方法はまた、磁気相補性によってマイクロデバイスの集合を分類するため、磁気パターンを使用するように考察される。好適な方法は、マイクロデバイス(マイクロデバイス)を分類するために捕獲および解放過程を使用し、従来のソータとは異なり、高速の粒子流れを必要としない。また考察されるのは、マイクロデバイスが相互に異なった磁気コード、および、相互に異なった重合体または他の化学部分の領域を有するマイクロデバイス・ライブラリである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年1月24日出願の米国仮出願60/886370号および2007年1月24日出願の米国仮出願60/886373号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、マイクロデバイスの集合をサブセットに分類するための物理的力の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に使われる粒子分類技術は、デバイスまたはチャネルを通じた粒子の動きに基づく。分類速度は粒子の流れ速度次第であり、高速の流れは粒子に損害を与える可能性がある。粒子の流れを導くのには狭いチャネルにおける粒子の分類は遅く妨害を受けやすいので、概して使用されるチャネルは、分類される粒子よりも直径が本質的に大きい。従って、分類方法は時に特定の流れに粒子を向けるための静電荷の使用を含む−この方法は密度の高い粒子には適していない。システムの大部分は、分類手順の間、粒子を識別するための光学信号(一般に蛍光)の読み込みに依存する。細胞および粒子ソータがおよそ粒子10/分の速度を達成することができ、この速度は粒子の検出に関連する一方で、高純度割合への粒子の分離は一般に二桁またはそれ以上遅い。
【0004】
本出願は、さまざまな特許、特許出願および刊行物を参照する。これらのすべての内容は、それらの全部において本明細書に引用により組み込まれたものとする。本明細書に引用した参照における用語の定義または使用が本明細書において提供される用語の定義と矛盾または反対である場合、本明細書において提供される用語の定義が適用され、参照における用語の定義は適用されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、磁場で向きを定められ、かつ、マイクロデバイスの異なる向きの機能としてアレイからマイクロデバイスの適当なサブセットを除去する条件の元で除去力を適用することにより分類される分離した(*訳注1)領域(例えば磁気バー)を有するアレイにおいて、粒子または他のマイクロデバイスが配置されたシステムおよび方法を提供する。
【0006】
好ましい実施態様の一態様において、少なくとも、いくつかの分離した領域は、一以上のバンドを生ずるように、平行であるがバンドからオフセットされる他の一以上の領域と十分に整列配置されることができる。隣接した領域は、0.1から500μmの相互領域の距離により好都合にも分けることができる。文脈から明らかでない限り、本明細書において記載されるすべての範囲は終端点を含む。
【0007】
領域は好ましくは、永久にまたは一時的にのみ磁化される磁化された材料の本質的に平行したバーを含む。バーは、低いまたは高い保磁度、および、低いまたは高い残留磁気のいかなる組合せも有することができる。与えられた領域は、1、2、3またはより多いこの種のバーを含むことができる。
【0008】
好適な分類は、次のステップを含む:一組のマイクロデバイスをアレイに配置すること;アレイでマイクロデバイスのサブセットの磁気相互作用を変えるように磁場をマイクロデバイスに適用すること;および、アレイからマイクロデバイスのサブセットを選択的に除去すること。磁力の適用および選択的な除去のステップは好都合にも、少なくとも5回実行されることができる。
【0009】
実際には、アレイは組合せ化学を実行するために用いることができる。例えば、複数の磁気的に向きを定めることができるマイクロデバイスを提供することができ、その各々が比較的高い化学反応性(「化学的に活性の部位)を有する活性の部位を含み、その各々が個々の任意にユニークなコードを含み;マイクロデバイスを少なくとも第1および第2の集合に分け;第1および第2の集合におけるマイクロデバイスの反応性の部位で異なる反応を実行し;そして、少なくともマイクロデバイスの第1および第2の集合の部分を再結合する。手順は、3番目および4番目などにおいて繰り返すことができる。上の説明に基づいて、10、10、10またはより大きな数の選択さえ支えることができるコードを用いてアレイ上の向きの機能として、少なくとも部分的にいくつかのマイクロデバイスを分類できることが特に考えられる。再び結合された第1および第2の集合から少なくとも第3および第4の集合にマイクロデバイスを分けるのを容易にするために分類のステップを使用することができることもまた考えられる。
【0010】
他の観点から見ると、本発明の内容は、磁気相補性によってマイクロデバイスの集合を分類するため、磁気パターンの使用方法を含むと見ることができる。好適な方法は、マイクロデバイス(複数のマイクロデバイス)を分類するために捕獲および解放手順を使用し、従来のソータとは異なり、高速の粒子の流れを必要としない。粒子の密度および容積は、磁気相補性による分類と干渉しない。分類がバッチ手順で行われることができるので、非常に効果的な速度の粒子分類および分離−およそ10マイクロデバイス/分が達成可能である。これは、従来のFACS(蛍光活性細胞分類)またはフローサイトメトリー・ベースの器具の速度より4−6桁位置大きい。さらに、特定の適用が光学読出用デバイスの使用から恩恵をうけることができるにもかかわらず、本発明の内容の多くの実施態様は、この種のデバイスの使用を必要としない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
考察された物理的な実施態様は、以下の構成要素を含むことができる:
【0012】
1)一組の磁気的にコード化されたマイクロデバイス。このマイクロデバイスは、磁化不可能な基板と、磁気的に識別可能なコードを含む磁化可能な材料とを含む。個々のマイクロデバイスは、500ミクロンから1ミクロン未満までサイズが変動することができる。
【0013】
2)磁気相補性によって、拘束および非拘束マイクロデバイスを含む一組のマイクロデバイスをサブセットに分けることができる分類チップ。この分類チップは、基板と磁気的に識別可能なコード化領域とを含む。好ましい実施態様において、分類チップは各々複数のコード化領域を含む。コード化領域はその隣接したコード化領域と本質的に同一である、または、それはその隣接したコード化領域とは異なる。
【0014】
3)磁場発生器。磁場発生器は電磁気式である、または、永久磁石またはこの二つの組合せを含むことができる。好ましい実施態様は、分類チップの表面上に均一の場を生成することができる電磁発生器を含む。
【0015】
4)分類チップから非拘束マイクロデバイスを除去するための力発生器。好ましい実施態様は、単独でまたは磁力発生器と結合して流体力を用いるものを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の内容はまた、表示方法を含み、次の構成を含む:一組のマイクロデバイスの提供であって、その異なるものは異なる磁気コードを含むような提供;マイクロデバイスをアレイに加えて、磁気コードの異なるものを補足する、第1および第2の配置部位を有するアレイの提供;および、マイクロデバイスの異なるサブセットがそれぞれ第1および第2の部位を選択するような、外側の磁場のアレイへの適用。このような方法は好都合にも、第1および第2の配置部位とは異なる磁気コードを補足する少なくとも追加的な八つの配置部位を含むことができる。
【0017】
また考えられるのは、各々が相互に異なる磁気コードと相互に異なった化学成分を有する領域とを有する少なくとも第1、第2および第3のマイクロデバイスを含むマイクロデバイス・ライブラリである。このようなライブラリにおいて、相互に異なる化学成分は、重合体(例えばペプチドまたは核酸)または非重合体である可能性がある。またさらに、本発明の内容は、そのようなライブラリを用いて発明される、発展されるまたは調査される化学的実体を含む。
【0018】
特許請求された本発明および従来技術を通じて達成されたものの効果を要約するために、本発明の内容の特定の目的および利点は、本明細書において記載される。もちろん、そのような目的または効果のすべてがいかなる具体例によって必ず達成される必要はないと理解される。したがって、例えば当業者は、発明の概念が、本明細書において教示または提案されるように、他の目的または効果を達成する必要なく本明細書において教示される一つの効果または複数の効果を達成または最適化する方法で具体化または実行することができることを認識する。
【0019】
本明細書において記載されている実施態様のすべては、本発明の内容の範囲内に含まれることを意図する。これらのおよび他の実施態様は、添付の図を参照して以下の好ましい実施態様の詳細な説明から当業者に直ちに明らかになり、その内容は開示されるいかなる特定の好ましい実施態様に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】左パネル:二つのバー(各々のバーは三つ指の端を有する)の磁気コードと非磁性光学的コード(OCR文字437)とを含む同じタイプのマイクロデバイスの上向きと下向き。磁気コードは、xおよびy軸(マイクロデバイスの長い軸)に関して、マイクロデバイス内で対称的に位置するが、マイクロデバイスの底面からの1ミクロンであり、マイクロデバイスの上面からの1.8ミクロンであるz軸に関して非対称に位置する。配列チップの磁気要素は、上面の0.46ミクロン下に位置決めされる。中央パネル:磁気バーの長い軸に平行して配列する磁界がある場合に配列されたマイクロデバイスの上向きと下向きの混合。右パネル:下向きのマイクロデバイスのみを持ち上げる磁界(z軸)を適用する間の同じ図。
【0021】
【図2A−2C】六つの位置コード化体系(n=6):A.一つの要素(k=1)および二つの要素(k=2)のコードの表示の列挙;B. 三つの要素(k=3)のコードの表示の列挙;C.四つの要素(k=4)五つの要素(k=5)、および六つの要素(k=6)のコードの表示の列挙。
【0022】
【図3】図2に示すコード化体系の分類に適している直角配列しているパターンの三つの要素の10の対。
【0023】
【図4】三つの6位置コードに対応する18の位置コード。各々の6位置コードのための三つの要素(k=3)を用いて、各々の6位置コードのための20の表示が得られる(図2Bに示すように)。このようなコードは、自然に発生するアミノ酸のすべての組合せを含むトリペプチド・ライブラリをコード化するために用いることができる。
【0024】
【図5】四つの位置コード化体系(n=4):一つの要素(k=1)、二つの要素(k=2)、三つの要素(k=3)および四つの要素(k=4)コードの表示の列挙。
【0025】
【図6】非対称のマイクロデバイスの実施例。マイクロデバイスは、磁気要素の非対称の形状または非対称の配置またはその両方を含む。磁気要素は、磁気コードおよび磁気整列部材を含むことができる;実施例において、磁気整列部材はより太いバーとして示される。
【0026】
【図7】五つの要素(k=5)コードおよび非対称のアレイバーを含む八つの位置コード化体系(n=8)を含むマイクロデバイスの表示の列挙。
【0027】
【図8】図7に示されるマイクロデバイスの分類に適する直角の4つの要素の直角アレイパターンの35の対。
【0028】
【図9】4セットのマイクロデバイスを生じるための多数の分割分類の手順の概略図。多数の分割分類手順において、マイクロデバイスのプールはグループに分けられ、そしてそのグループはさらに分けられる。この例では、プールは最初に二つのサブグループに分けられ、各々のサブグループはそれからさらに二つのグループに分けられる。
【0029】
【図10】四つのグループのマイクロデバイスを生じるために連続した分類手順の概略図。連続した分類手順において、マイクロデバイスのプールは、段階を追った方法でグループに分けられる。この例では、プールは四つのグループに分けられる。
【0030】
【図11】最小限の数の分類チップを用いた四つのグループのマイクロデバイスを生じるために連続した分類手順の概略図。第三の分類ステップ後に解放されたマイクロデバイスは、同じ群のすべての部材である。従って、図10の最終的な分類チップは群のすべての部材を捕獲し、厳密には必要でない。
【0031】
【図12】最小限の数の分類チップを用いた四つのグループのマイクロデバイスを生じるために多数の分割の分類手順の概略図。各々の分類ステップ後に解放されるマイクロデバイスは、同じ群またはサブグループのすべての部材である。従って、図9の三つの分類チップは、群またはサブグループのすべての部材を捕獲し、厳密に必要でない。分類チップは図9のように番号をつけられる。
【0032】
【図13】四つのグループのマイクロデバイスを生じるために多数の分割分類手順の概略図。そこで各々の群は捕獲されて、分類チップから抜き取られる。分類チップは図9および12のように番号をつけられる。
【0033】
【図14】図2Cに示されるn=6 k=5コード化体系を三つのグループへ分類するのに適している直角の四つの要素のアレイパターンの15セット。
【0034】
【図15】位置(上の表示)につき二つの配置、位置(下の表示)につき二つの配置を有する二つの4位置コードを有する一つの8位置コードとして示される16の位置コード化スペース。
【0035】
【図16】四つの位置コード化体系(n=4、k=3、m=2)のための表示の列挙。
【0036】
【図17】上のパネル:位置(n=8 m=2)につき二つの配置を有する8位置コード。下のパネル:位置(n=8 m=3)につき三つの配置を有する8位置コード。左側は満たされるすべての可能な位置の一般の表示を示し、右側はk=7表示の具体例を示す。磁気要素は、上下のパネルに示されるマイクロデバイスと同じサイズである。
【0037】
【図18】低保磁度の配列チップにおける低保磁度マイクロデバイスのアレイの概略図。左側は、配列チップ上のバーのアレイパターンを示す。右側は、配列されるマイクロデバイスと同じパターンを示す。矢印は外側の磁場の方向を示す。
【0038】
【図19】低保磁度分類チップ上の四つの位置の単一の要素コード(n=4 k=1)を含む低保磁度マイクロデバイスのアレイの概略図。左側は、分類チップ上のバーの分類パターンを示す−すべてのアレイの位置は等しい。右側は、配列された形式のすべての四つのコードを含むマイクロデバイスと同じ分類チップを示す。矢印は、外側の磁場の方向を示す。
【0039】
【図20】低保磁度分類チップ上の四つの位置の単一の要素コード(n=4 k=1)を含む低保磁度マイクロデバイスの分類の概略図。左側は、分類チップ上に配列される四つの位置コードのすべての四つのコードを含むマイクロデバイスを示す。右側は、磁気の揚力を適用して、持ち上げられたマイクロデバイスを除去した後の同じ配列されたマイクロデバイスを示す。分類チップと相補的なコードを有するそれらのマイクロデバイスのみが保持される−選択基準は整列配置される一つのコード化要素であった。矢印は、外側の磁場の方向を示す。
【0040】
【図21】配列されたマイクロデバイスのバーが同時に部分的にそして完全に配列チップのバーに重なる低保磁度分類チップの概略図。
【0041】
【図22】配列されたマイクロデバイスのバーが同時に部分的にそして完全に配列チップ上のバーに重なる低保磁度分類チップの一部の実際の表示。右側には、分類チップに分類される一対のマイクロデバイスがある;上のマイクロデバイスは、正確に分類チップ上の五つのバーのパターンに一致し、一方で、下のマイクロデバイスは、分類チップ上のバーの二つに一致するのみである。
【0042】
【図23】分類手順の実際の表示。左パネル:図22に示されるタイプの二つの異なるマイクロデバイスの配列された混成を含む図21および22に示されるタイプの分類チップの部分;中央パネル:マイクロデバイスのうちの一つだけを持ち上げる磁界の適用の間の同じ図;右パネル:持ち上げられた(非拘束)マイクロデバイスを除去する流体力の適用後の同じ図。
【0043】
【図24】高保磁度の配列チップ上での低保磁度マイクロデバイスのアレイの概略図。左側は、外側の磁界が配列チップの磁気要素の磁化の方向と平行に整列配置した場合に配列されるマイクロデバイスを示す。右側は、外側の磁界が配列チップの磁気要素の磁化の方向と逆平行に整列配置した場合に配列されるマイクロデバイスを示す。矢印は、外側の磁場の方向を示す。
【0044】
【図25】高保磁度の分類チップ上の32の位置の15要素コード(n=32 k=15; >565,000,000コード)を含む低保磁度マイクロデバイスのアレイの概略図。左側は分類チップ上の分類バーのパターンを示す−すべての配列位置は等しい。右側は、配列される32位置コードを含むマイクロデバイスを有する同じ分類チップを示す。矢印は、外側の磁場の方向を示す。外側の磁場は、分類チップ上の磁気要素の磁化の方向と逆平行に整列配置される。
【0045】
【図26】高保磁度分類チップ上の32の位置の15要素コード(n=32 k=15)を含む低保磁度マイクロデバイスの分類の概略図。左側は、分類チップ上に配列される32位置コードを含むマイクロデバイスを示す。右側は、磁気揚力の適用および持ち上げられたマイクロデバイスの除去後の同じ配列されたマイクロデバイスを示す。分類チップと相補的なコードを有するそれらのマイクロデバイスのみが保持され、−選択基準は整列配置される八つのコード化要素より大きいまたは等しい。矢印は、外側の磁場の方向を示す。
【0046】
【図27】各々の配列位置がユニークである高保磁度分類チップの一部の概略図。
【0047】
【図28】二つの異なる配置部位を含む低保磁度分類チップの一部の概略図。右には、分類チップ上に配列されることができる一対のマイクロデバイスがある。
【0048】
【図29】二つの異なる配置部位を含む低保磁度分類チップの一部の実際の表示。右には、分類チップ上に配列される一対のマイクロデバイスがある。
【0049】
【図30】図29に示されるタイプの二つの異なるマイクロデバイスの配列された混成を含む図28および29に示されるタイプの分類チップの部分を示すランダムでない配列手順の実際の表示。
【定義の詳細な説明】
【0050】
別途定められない限り、本明細書において用いられるすべての専門的かつ科学的な語は本発明が属する技術の当業者に一般によく理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において関連するすべての特許、出願、公表出願および他の刊行物は、それらのすべてにおいて引用により組み込まれたものとする。本出願で説明される定義が、本明細書に引用した特許、出願、公表された出願および他の刊行物にて説明される定義と反対であるまたは矛盾する場合、本出願に記載される定義が本明細書に引用した定義よりも優先される。例えば、定義が本出願で記載されず、本明細書に引用した定義の間で定義が矛盾する場合、本願と同じ出願日である、「磁気アセンブリによって形成されるマイクロデバイスアレイ」と名付けられた出願中の米国特許出願第12/018319において与えられる定義が優先される。
【0051】
ここで使用される材料の「保磁度」は、飽和にされた材料の磁化の後ゼロまでその材料の磁化を減らすのに必要な適用された磁場の強度を指す。保磁度は、通常エルステッド装置において測定される。材料の保磁度より大きい磁場は、その磁化の方向を変えるよう強制するためにその材料に適用されなければならない。「高保磁度」材料は、しばしば永久磁石と称される。
【0052】
ここで使用される「磁化の予め定められた優先軸」は、製造過程およびマイクロデバイスの設計についての知識により前もって決めることができる磁化の優先軸を意味する。マイクロデバイスの「磁化の予め定められた優先軸」は、そのマイクロデバイスの設計の基本的な態様であり、例えば、この適用に示される多くの実施態様において用いられるようにCoTaZrのバー形の要素は、磁気バーの長い軸に平行である磁化の予め定められた優先軸を有する。「磁化の予め定められた優先軸」は、マイクロデバイスの磁気要素の形状、組成および構造上の構成に依存するマイクロデバイスの特性である。この適用に示される多数の実施態様において用いられるCoTaZrのバー形の要素は、バーの長い軸に対して平行である磁化の予め定められた優先軸を有する;対照的に、磁性材料のランダムな分布を有する従来の磁気ビーズは、磁化の予め定められた優先軸を有しない。磁化の予め定められた優先軸に沿って誘発された磁化は(その絶対量において)、マイクロデバイスの他のいかなる軸に沿って誘発された磁化より大きいまたは少なくとも等しい。一般に、本発明のマイクロデバイスが適用された磁場および誘導された磁化の相互作用下で回転またはそれ自体の向きを定めるため、マイクロデバイスの磁化の予め定められた優先軸に沿った誘発された磁化(その絶対量において)は、少なくとも一つの他の軸に沿ってマイクロデバイスの誘発された磁化よりも少なくとも20%多くなければならない。好ましくは、本発明のマイクロデバイスの磁化の予め定められた優先軸に沿った誘発された磁化(その絶対量において)、少なくとも一つの他の軸に沿ったマイクロデバイスの誘発された磁化より少なくとも50%、70%または90%多くなければならない。さらにより好ましくは、本発明のマイクロデバイスの磁化の予め定められた優先軸に沿った誘発された磁化(その絶対量において)は、少なくとも一つの他の軸に沿ったマイクロデバイスの誘発された磁化の少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、50倍または100倍でさえなければならない。ここで使用される磁気選択基準の適切な選択により、群のすべての部材は、直角分類セットの一つの部材によって、捕獲されることができる(拘束されたままである)ように、分類チップの「直角」の一組は、スペースをグループに分ける。
【0053】
ここで使用される「拘束された」マイクロデバイスは、分類チップ上の分類ステップの間、配列された位置にあるものである。「非拘束」マイクロデバイスは、分類チップ上の分類ステップの間、配列された位置にないものである。分類ステップの間、「配列された」マイクロデバイスは、分類チップとの磁気関連による分類チップの表面に本質的に平行である位置において保たれるものである。「抜き取られた」マイクロデバイスは、分類手順における前のステップの「拘束された」マイクロデバイスであったものであるが、「非拘束」になったものである。拘束された、非拘束の、および、抜き取られたというのは、単一の分類チップに発生する手順を指す。例えば、一まとまりの磁気的に符合化されたマイクロデバイスは、分類チップに配置されて、配列される。磁場に対応する磁気選択基準は、分類チップの表面から持ち上げられ、分類チップの表面に本質的に垂直に向きを定めることによって、非拘束になっているマイクロデバイスのサブセットに結果としてなるように適用される。これらの非拘束マイクロデバイスは、あるタイプの力発生器を使用して除去される。残りの拘束されたマイクロデバイスは、それから磁場の適用および/またはあるタイプの力発生器により抜き取られる。ここで使用される非拘束は、分類手順の間、分類チップから除去されるマイクロデバイスの第一のサブセットを指し、一方で、分類チップから除去されるマイクロデバイスのすべての次のサブセットは抜き取られることを示す。ある例では、唯一の非拘束サブセットは、壊れて不完全なマイクロデバイスと一致して、部材を有することができない。
【詳細な説明】
【0054】
マイクロデバイス:詳細な説明
【0055】
マイクロデバイスは、マイクロデバイスの分類を可能にする磁気的に識別可能なコードを含む。マイクロデバイスは磁化可能な物質を含み、磁化の優先軸を有することができる。マイクロデバイスに組み込まれる追加的な特徴は、光認識可能なコード化パターンを含むがこれに限定されない。光認識可能なコード化パターンを含むこのようなマイクロデバイスの特性は、米国特許第7,015,047号において列挙される。米国特許第7,015,047号は、磁気アセンブリ手順と共存できるマイクロデバイスのサブセットを議論する。
【0056】
マイクロデバイスは、いかなる形状も有することができる。それらは平坦面を有することができるが、平坦面を有する必要はない;それらは、ビーズに類似することができる。平坦なディスクは、好適な実施態様である。円、正方形、卵形、長方形、六角形、三角形および不規則な形状として成形されるマイクロデバイスは、磁気アセンブリ配列手順にすべて従う。マイクロデバイスは、いかなる適切な寸法であることができる。例えば、マイクロデバイスの厚みは、約0.1ミクロンから約500ミクロンまでである可能性がある。好ましくは、マイクロデバイスの厚みは約1ミクロンから約200ミクロンまでである。より好ましくは、マイクロデバイスの厚みは約1ミクロンから約50ミクロンまでである。特定の実施態様において、マイクロデバイスは、約10の二乗ミクロンから約1,000,000の二乗ミクロンまでの表面積を有する長方形の形状である(例えば1000ミクロン掛ける1000ミクロン)。特定の他の実施態様において、マイクロデバイスは約1ミクロンから約500ミクロンまでの単一の寸法を有する不規則な形状である。
【0057】
マイクロデバイスは、一つのまたは多くの磁化可能な要素を含むことができる。マイクロデバイスは、磁化の予め定められた優先軸を有することができる。
【0058】
マイクロデバイス内の個々の磁気要素は、いかなる幅、長さ、厚みおよび形状であることができる。マイクロデバイス内の個々の磁気要素は、類似したまたは異なる磁気特性を有する異なる材料から構成されることができる。
【0059】
いかなる適切な磁化可能な材料も本発明のマイクロデバイスにおいて使われることができる。一例において、使用される磁化可能な物質は、常磁性の物質、フェリ磁性体、強磁性体または超常磁性の物質である。好ましくは、磁化可能な物質は、例えば鉄、ニッケル、銅、コバルト、マンガン、タンタルおよびジルコニウムのような遷移金属組成またはその合金である。好適な実施態様において、磁化可能な物質は金属酸化物である。さらに好適な材料は、ニッケル鉄(NiFe)およびコバルトを含む。追加的な好適な材料は、例えばCoTaZr、コバルト鉄(CoFe)、コバルト・ニッケル鉄(CoNiFe)、コバルト・ニオブ・ジルコニウム(CoNbZr)、コバルト・ニオブ・ハフニウム(CoNbHf)およびコバルト・タンタル・ハフニウム(CoTaHf)のようなコバルトの合金を含む。好ましくは、このような特徴は磁化の優先軸を有するバーの形状である。矩形の形状に加えて、用語「バー」は、磁化の優先軸を呈する細長いピラミッド状の形状のような僅かに不規則な形状と同様にロッドのような形状を含む。バーは固い必要はなく、以下のように切抜きまたは穴を含むことができる。磁化可能な物質は、完全にマイクロデバイスを含む非磁化可能な基板内部に(封入される)および、マイクロデバイスを含む非磁化可能な基板に付着して完全に外側に位置する、または、その中間のどこかに位置することができる。好ましくは、例えばミクロ機械加工またはリソグラフィ技術を用いて磁化可能な物質はパターン化され、その三次元形状はマイクロデバイスの設計の周知の特徴である。
【0060】
マイクロデバイスが液状アレイ形式の分析を行うために用いられるので、従来の液状およびビーズ処理装置(例えば分注器)を用いて便利に等分または分配されることができて好都合である。したがって、磁場がない場合、それらが自己関連をしないことが望ましい。それゆえに、低い残存(すなわち、外部の磁場が取り除かれた後、媒体に残される磁化)は、望ましい品質である。CoTaZrのようなコバルト合金および酸化鉄(Fe)は、この基準を満たす磁性材料の好適な実施例である。
【0061】
好ましい実施態様において、マイクロデバイスは、米国特許第7,015,047号にて記載されるように、多数の層から構成されるなる非磁性基板を含む。この非磁性基板は、光学符合化パターンおよび穴を含む他の特徴を含むことができる。追加的な特徴が含まれ、マイクロ電気機械系(MEMS)において使用するもののような平面微細加工装置と共存できる広範囲な特徴のいずれかはマイクロデバイスの非磁化可能な基板に組み込むことができる。好ましい実施態様において、マイクロデバイスは、マイクロデバイス内でMEMSタイプのセンサが利用されることができる電気コンタクトパッドおよび回路を含む。この回路は、コンタクトパッドおよびセンサエレメントだけがマイクロデバイスの表面にさらされるように、マイクロデバイスの基板内で好ましくは封入される電気伝導材料から構成される。マイクロデバイスの表面上のコンタクトパッドは、配列チップ上の相補型コンタクトパッドによって、マイクロデバイスを電力源および/または検出装置に接続するために用いることができる。好ましい実施態様において、電気回路構成はユニークな構成の各々のマイクロデバイス内で配置され、したがって、マイクロデバイス・コンタクトパッドと配列チップの相補パッドとの間の接続は、マイクロデバイスの識別を決定するために用いてもよい。
【0062】
ある実施態様において、マイクロデバイスは、化学または生物学的成分の付着に適している化学的反応表面を含む。他の実施態様では、この表面は、穴またはくぼみに存在する。一実施態様において、この表面はシランによって生じる(例えば、アミノプロピルトリメトキシシラン、ジシトキシプロピルトリメトキシシラン)。他の一実施態様において、反応表面が、試薬を含むチオールによって生じる(例えば11−メルカプタンデカン酸)。もう一つの実施態様では、反応表面は自己集合した単分子層である(例えば、Ulman Chem. Rev. 96: 1533-1554 (1996) による「自己集合型単分子層の形成および構造」、および、Love et al. Chem. Rev. 105: 1103-1169 (2005) による「微小工学の形状として金属上のチオレートの自己集合型単分子層」で検討された)。反応表面は、バッチ技術を用いてマイクロデバイスに生成されることができる(例えば、マイクロデバイスの露出した二酸化ケイ素表面上の反応表面を生成するため、シランのような適当な試薬の水溶液に入れられる一組のマイクロデバイス)。代替的に、反応表面は、ウェーハからのそれらの解放前にマイクロデバイスに生成されることができる(製造過程の間か後に)。反応表面は、(気相または液相のシラン化により)ウェーハ上のすべてのマイクロデバイスに適用されることができる、または、反応表面は、ウェーハ上のマイクロデバイスのサブセットのみにまたは個々のマイクロデバイス上の特定の場所にさえ適用されるように、特定の位置での沈澱(例えばインクジェット式の)またはマスキング(例えばフォトリソグラフィ)を用いてウェーハの特定の位置で適用されることができる。さらなる実施態様において、このような特定の位置の過程は、個々のマイクロデバイス上のユニークな化合物を生じるために用いることができる。このような技術は、DNAマイクロアレイを生じるために広く使われていて、安定した技術である(例えば、Pirrung Chem. Rev. 97, 473-488 (1997)「空間的にアドレス指定可能な組合せのライブラリ」、および、Gao その他 Biopolymers, 73:579-596 (2004)による「オリゴヌクレオチド・マイクロアレイのIn situの合成」を参照のこと)。さらなる実施態様において、個々のマイクロデバイス上の反応表面の位置は、パターン化されることができる。このようなパターン化は、材料が表面の修正から保護するために用いられるマスキングによって生成されることができ、例えばフォトレジスト層は二酸化ケイ素穴を囲むために用いることができ、そして、穴表面のシラン化に続き、フォトレジストは、シラン化されない表面を現すために溶かすことができる。パターン化はまた、異なる材料の使用によって達成されることができる。例えば、金の表面は二酸化ケイ素表面に作成されることができ、カルボキシル・アルキル・チオールとの反応は、金のみの上にカルボキシル表面を生じる。個々のマイクロデバイスは、単一のまたは多くのパターン化された反応表面を含むことができる。このような方法は、特にDNAおよびタンパク質マイクロアレイの製造に適用される場合の製造および化学文献において確立している。追加的な実施態様において、化学的反応表面は、強力な位相合成において使用されるリンカー分子と対応する。多数のこのようなリンカー分子は、組合せ化学の当業者にとって公知である(例えば、Jung, G.,組合せの化学、Weinheim、Wiley-VCH、1999;「薬発見のための化学ライブラリの広範囲な調査」、および、Dolle その他 Journal of Combinatorial Chemistry, 9:855-902 (2007)による化学生物学; 2006」を参照のこと)。
【0063】
磁気要素を含むマイクロデバイスが外部の磁場に置かれる場合、磁気ダイポールはマイクロデバイスにおいて誘導される。マイクロデバイスが磁化の優先軸を有するので、妨げられない限り、それは外部の磁場の力の線と磁化のその優先軸を整列配置するために回転する。回転する外部の磁場に置かれる場合、マイクロデバイスは従来の磁気ビーズとは異なり、回転して、ミニ撹拌バーとして実質的に役立つ。したがって、アレイに関するいかなる考慮は別にしても、マイクロデバイスが強く外部の磁場に反応することが望ましい。CoTaZr合金のような高飽和磁化を有する材料から構成される磁気要素は、好ましい実施態様である。
分類チップ:詳細な説明
【0064】
分類チップは、磁性および非磁性体の両方から構成される。分類チップは、最初にマイクロデバイスを配置することによってその機能を実行し、そのようなものとして、専門的な配列チップがある−一般の配列チップの特性および特徴は、「磁気アセンブリによって形成されるマイクロデバイスアレイ」と名付けられ、本願と同じ出願日の出願中の米国特許出願番号第12/018319号に記載されていて、ここで開示される分類チップに適用されることができる。いかなる適切な磁化可能な材料も、分類チップにおいて使われることができる。一つの実施態様において、使用される磁化可能な物質は、常磁性の物質、強磁性体、フェリ磁性体または超常磁性物質である。好ましくは、磁化可能な物質は、例えば鉄、ニッケル、銅、コバルト、マンガン、タンタルおよびジルコニウムのような遷移金属組成またはその合金である。好適な実施態様において、磁気物質は金属酸化物である。さらに好適な材料は、NiFeおよびコバルトを含む。追加的な好適な材料は、例えばCoTaZr、CoFe、CoNiFe、CoNbZr、CoNbHfおよびCoTaHfのようなコバルトの合金を含む。好ましくは、このような特徴は、磁化の優先軸を有するバーの形状である。多くの用途において、分類チップの残りの磁化は、望ましい品質である。マイクロデバイスと類似して、分類チップの磁化可能な物質、完全に分類チップを含む非磁化可能な基板内部に(封入される)および、完全に、外側は分類チップを含む非磁化可能な基板に付着して完全に外側に位置する、または、その中間のどこかに位置することができる。好ましい実施態様では、ガラス製基板の上に磁気要素を置き、二酸化ケイ素が平面または本質的に平面の表面を形成するように二酸化ケイ素でそれらを封入する。さらなる好ましい実施態様では、シリコン基板の上に磁気要素を置き、二酸化ケイ素が平面または本質的に平面の表面を形成するように二酸化ケイ素でそれらを封入する。
【0065】
この用途に示される実施態様が低い残留磁気および低い保磁度を有するCoTaZrバーを含む分類チップを使用するにもかかわらず、これらの特性は、磁気アレイのアセンブリまたは分類過程には必要でない。外部の磁場がない場合、高い残留磁気によりマイクロデバイスがチェーンまたはかたまりになるように磁気的に集合させるので、一般に、マイクロデバイスがそれを含むのは望ましくない;とはいえ、アレイの磁界が取り除かれた場合に組み立てられたアレイが完全なままであるために分類チップ内に含まれる磁気要素が前記特性を有することは、望ましい。
【0066】
分類チップ内の個々の磁石要素は、異なる設計で構成されることができる。磁気要素は、いかなる形状およびサイズである可能性がある。個々の磁気要素は、他の全ての要素とは別であるまたはそのような要素のサブセットを含む。個々の磁気要素は、類似したまたは異なる磁気特性を有する異なる材料から構成されることができる。好ましくは、磁気要素は、磁化の優先軸を有するバーの形状である。より好ましくは、磁気要素は、磁化の予め定められた優先軸を有する。矩形の形状に加えて、用語「バー」は、磁化の優先軸を呈する細長いピラミッド状の形状のような僅かに不規則な形状と同様にロッドのような形状を含む。バーは固い必要はなく、切抜きまたは穴を含むことができる。
【0067】
好ましい実施態様は、高い透過性強磁性材料から構成されるバーである磁気要素である。これらのバーは、矩形であるまたは本質的に矩形である。図1に示され、米国特許第7,015,047号に記載されたもののように「指」を含むバーは、他の好ましい実施態様である。これらの指は、短い(例えばバーの全長の1−2%)または、長い(例えば、バーのほとんど全長)またはその中間のどこかであってもよい。
【0068】
非磁化可能な基板は、シリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、プラスチック、ガラス、セラミック、重合体、金属(例えば金、アルミニウム、チタン、その他)を含むいかなる適切な材料、または他の類似した材料またはこのような材料の組合せから構成することができる。好適な実施態様において、材料は二酸化ケイ素である。好適な他の実施態様において、材料はガラスである。基板は単一の層から構成される、または、多数の層から構成されることができる。分類チップ基板は、平らまたは本質的に平らである可能性があるが、その必要はない。分類チップにおいて、ある用途において望ましいように、マイクロデバイスの正確な配置を保証するため、マイクロデバイスの「収容」を可能にするくぼみが存在することができる。例えば、これらのくぼみは、平らにされるマイクロデバイスの収容のための平面部を有する、または、それらはビーズまたはビーズのようなマイクロデバイスの収容のために球状である可能性がある。好ましい一実施態様において、くぼみは、例えば矩形のマイクロデバイスを保つ矩形の穴のように、個々の平面マイクロデバイスの形状に適合するように設計されている。
【0069】
装置領域あたりの配置部位の数は、分類チップ上の磁気要素のサイズおよび間隔に依存している。例えば、大きさが60x75ミクロンである図1に示されるサイズのマイクロデバイスを配列する分類チップは、平方ミリメートルにつきほぼ100のマイクロデバイスを配列することができる。他の実施態様において、密度はより高い。例えば、大きさが20x25ミクロンであるマイクロデバイスは、配列され、平方ミリメートルにつきほぼ1,000マイクロデバイスの密度で分類することができる。
【0070】
分類チップは、必ずしも分類過程を容易にする必要がない追加的な特徴を含むことができる。平面微細加工装置と共存できる広範囲の特徴のいずれかは、例えばMEMSにおいて使用するもののように分類チップの非磁化可能な基板に組み込まれることができる(例えばLiu, C, Foundations of MEMS, Pearson Prentice Hall, Upper Saddle River, NJ, 2006; Gad-el-Hak, M., MEMS (Mechanical Engineering), CRC Press, Boca Raton, 2006を参照のこと)。好適な例はマイクロチャネルである。そのようなチャネルは、例えば分類チップ表面からのマイクロデバイスのように、試薬および他の材料を届けておよび/または除去するために用いることができる。追加的な好適な例は、電子および光学マイクロセンサMEMSにおいて使用するものを含む(例えば Gardner, J. W. その他 Microsensors, MEMS, and Smart Devices, John Wiley & Sons, West Sussex, 2001を参照のこと)。
【0071】
分類チップの磁気要素は、マイクロデバイスのそれらと相補的でなければならないが、必ずしも寸法または形状においてマイクロデバイスに適合させる必要はない。
製造
【0072】
マイクロデバイスおよび分類チップは、様々な過程のいずれかを使用して製造されることができる。好ましい実施態様においてそれらは、従来マイクロ機械加工および半導体製造方法のバリエーションを用いて生成される。このような方法は、写真リソグラフィまたはMEMS製造技術を議論する評論および教科書に記載されたものと同様に(例えば、Banks, D., Microengineering, MEMS, and Interfacing: A Practical Guide, CRC Press, 2006)、米国特許第7,015,047号および米国特許出願第2002/0081714号において記載および参照される。
【識別可能な磁気コード】
【0073】
磁気的に符合化されたマイクロデバイスは、マイクロデバイスの分類を可能にする磁気的に識別可能なコードを含む。磁気的に識別可能なコードは、磁気手段によって互いに区別することができるコードである。磁気的に識別可能なコードは、強さまたはそれらの磁性材料の分配において異なる。好ましい実施態様は、基板の範囲内での磁気要素の分配を含む。このような分配はいかなる軸に沿って生じることができる(x、yまたはz軸:x軸がマイクロデバイスの長い軸であり(長さ)、y軸がマイクロデバイスの2番目に長い軸であり(幅)、z軸がマイクロデバイスの短い軸である(高さ))。図1は、マイクロデバイスのz軸に沿ってそれらの磁気要素の配置のみにおいて異なる磁気要素を含むマイクロデバイスが区別される方法の例を示す。その例において、磁気バーを含む配列されたマイクロデバイスは、配列チップにおいて磁気バーの長い軸と平行である磁気アレイの磁界にさらされる。配列チップの面と直角をなす第2の磁場は、それから提供される。上向きのマイクロデバイスは、配列チップの磁気要素から1.46ミクロンの磁気要素を有し;対照的に、下向きのマイクロデバイスは、配列チップの磁気要素から2.26ミクロンの磁気要素を有する。この距離の違いが、下向きマイクロデバイスが磁気手段によって選択的に配列チップ表面から持ち上げられるように十分に大きい、配列チップの磁気要素と上向きおよび下向きマイクロデバイスとの間の磁力の違いにつながる。
【0074】
磁気コードは、単一の要素だけを含むことができ、まだ識別可能である(例えば、図1に示されるタイプの配列チップに配列される場合、1ミクロンの二酸化ケイ素によって封入される単一の棒磁石は、1.1ミクロンの二酸化ケイ素によって封入される単一の棒磁石と識別可能である。同様に、分類チップ上のマイクロデバイスのドッキング場所が、適切にドッキングしたマイクロデバイスの運動を制限する場合(例えば穴またはポストで)、x,y面の単一の要素コードもまた識別可能である。さらに、サイズ、形状および磁気要素を含む材料において異なる単一の要素コードは、識別可能である。
【0075】
拘束されたマイクロデバイスを保持する一方で適当な閾値が非拘束のマイクロデバイスを持ち上げるために存在するように、保持されるコードを含む適切に配列されたマイクロデバイスの磁力と、非拘束の断片において取り除かれるコードを含む適切に配列されたマイクロデバイスとの間に個別的な違いがある限り、コードを形成する磁気要素は、大きさにおいて同一である必要はない。
【0076】
好ましい実施態様は、識別可能なコードのための磁性材料の分配の違いがマイクロデバイスのx,y面内に属することである。手本となるそのようなコードの表現は、バーコードを含む。バーコード設計過程の二つの主たる構成要素は、コードの数およびそれらが分けられる方法である。
【コード化スペース】
【0077】
k要素を含むスペースnによって符合化されるコードの総数は、eqn 1において定められる。
(1)コード化スペース=n!/k!(n−k!)
【0078】
例えば、図2に示すようにコードの6の利用できる位置を有するバーコードを考慮する。これは、eqn 1におけるn=6と一致する。kの6の可能な値がある。k=1において、6の可能なコードがある; k=2において、15の可能なコードがある; k=3において、20の可能なコードがある; k=4において、15の可能なコードがある; k=5において、6の可能なコードがある; k=6において、一つだけの可能なコードがある。すべてのコードを直角グループに分けるために、バーのいくつかのサブセットが、捕獲のために使われなければならない。直角の捕獲バーのいかなる組合せも図2に示すように使われることができるので、k=1において、コード化スペースは、2,3,4,5または6のグループに分けることができる。例えば、二つの直角の捕獲グループを考慮すると、各々の部材は図3に示すように三つのバーを含む。各々のコード化マイクロデバイスは、各々の捕獲チップと重複する1またはゼロのバーを有する−一つの捕獲チップと重複する一つのバーを有する場合、それは他の部材とのゼロ重複を有する。
【0079】
k=2において、状況はより複雑である。図3に示されるタイプの二つの直角グループに分けられる捕獲バーを用いて、各々のコード化マイクロデバイスは、捕獲チップと重複する2,1,またはゼロのバーを有する。与えられた対において、二つのバー重複を有する六つのマイクロデバイスコードのみ、および、一つのバー重複のみを有する九つのコードがあり、したがって、識別することができない。ある場合は、常に平凡な解決法、すなわち一つのみのコードに正確に適合するパターンのアレイを用いて分類することができ、そのような方法は、後述するように大きな値である可能性がある。
【0080】
k=3において、再び図3に示される捕獲バー集合を使用して、各々のコード化マイクロデバイスは、捕獲チップと重複する3,2,1またはゼロのバーを有する。しかしながら、k=2の例とは異なり、三つのバーを均一に分ける方法がないので、捕獲の対のため、あらゆるコードは、直角の捕獲の対一つのみの部材と重なる少なくとも二つのバーを有する。したがって、二つ以上のバー重複の捕獲(選択)基準は、均一にコード化スペースを分けるために用いることができる。
【0081】
k=4において、各々のコード化マイクロデバイスは捕獲チップと重複する3、2、または1のバー重複を有し、k=2と同じ問題が存在する-いかなる捕獲基準を用いて区別できない九つのコードがある(二つのバーが捕獲の対の各々の部材と重複する)。
【0082】
k=5において、各々のコード化マイクロデバイスは、3または2のバー重複を有する。五つのバーを均一に分ける方法がないので、いかなる捕獲の対において、あらゆるコードは、直角の捕獲の対の一つの部材のみと重複する三つのバー重複を有する。したがって、重なっている三つのバーの捕獲基準は、均一にコード化スペースを分けるために用いることができる。k=6において、一つのコードのみがある。
【0083】
二つの同等のグループにコード化スペースを分ける以外の他の方法があり、コード化スペースは、特定の用途を満たすように分類スペースを変えるために選ばれることができる。一つの単純な例は、ペプチド合成である。自然に発生するトリペプチドのすべての組合せの生成を望む場合、これは、8000のコードを必要とし、(各々の自然に生じるアミノ酸のため)マイクロデバイスを20のグループに分割する能力を必要とする。図4は、20(n−6 k=3)のための三つの別々のコードを用いて、このような過程を符合化する方法を示す。選択基準は、各々のコードのための個々の表示になる。これは、前述の「平凡な解決法」を強力な使用法の一つである。容易に分けられるコードを結合することにより、大きい容易に割り当てられたコード化スペースが生成されることができる。
【0084】
例えば、四つのグループ分けが要求されるDNA合成に目標が定められるコード化スペースを考慮する。それは、図5に示すように、四つの部材コード(例えばn=4、k=1またはn=4、k=3)の多数のコピーを用いて前の例と同じ方法を用いて実行されることができる。
【0085】
ここまで示されたコードは、簡単な識別のために番号をつけられた。しかしながら、示されるパターンは対称形であり、そのようないくつかのコードは、回転後に他のコードと識別できなくなり、そのことにより、与えられたコード化スペースに利用できる識別可能なコードの数が減ってしまう。より効率的な方法でコード化スペースの使用が要求される場合、対称性を克服する多くの方法がある。いくつかの例は、図6に示される。これらの例は、非対称である配置バーの異なるパターンの使用を例示する。図6に示される配置バーがより大きな幅のバーである一方で、そうであるとは限らず、磁気コード要素と幅が類似している配置バーが使われることができる。代替的に、マイクロデバイスに形状において相補的である穴において、配列過程が実行される場合、非対称に成形されたマイクロデバイスは、コードの対称性を除去するために用いることができる。それは、問題になっているマイクロデバイスの全体的な対称性である。したがって、コードおよび形状の対称性平面および軸のいずれも一致しない場合、対称形のコードおよび対称形の形状は、非対称のマイクロデバイスを生ずることができる。図6は、非対称のいくつかのマイクロデバイスを示す。これらの例は図示するのみのものであり、決して網羅的なものではない。好ましい実施態様において、マイクロデバイスは配置バーを含む。バー配置の整列は、マイクロデバイス内のいかなる位置でも起こることができる。他の好ましい実施態様として、マイクロデバイスは非対称の配置バーを含む。さらに好ましい実施態様において、マイクロデバイスは配置バーおよび非対称の形状を含む。図6がx,y面のコードの非対称のアレイを示す一方で、図1に示されるマイクロデバイスのようにz軸(マイクロデバイスの高さ)に沿った磁気バーの非対称の配置により、非対称の配置もまた生成されることができる。
【0086】
説明を簡単にするため、さらなる模式的な例において、マイクロデバイス内で磁気コードを表示する場合、配置バーの非対称の対が使われる。
【0087】
ここまで挙げられた例は、直接の符合化および分類であったが、それらは、最も効果的にスペースを利用しない。一般に、すべてのスペースが同等のサイズ・グループに分けられる分類の用途のため、偶数である(2で割れる)磁気コードで、位置(コード化スペース)の総数を有し、コードにおいて占有された位置(要素)の数が奇数であることが、例示的なコード化スペースn=6、k=3およびn=6、k=5で上記に示されるように、コードの総数が二つの直角の(重複しない)アレイベースの分類ステップを用いて均一に分けられることができることを保証するので、通常最も単純である。
【0088】
n=8を考慮すると、八つの位置マトリックスコードを符合化し分類する多数の方法がある−あらゆる四つの位置における一つのバーの位置を制限するよりはむしろ八つのバーから四つのバーを選択することによって、コードの最大数は、8!/4!4!または70である。ユニークなコードを用いて、そのような表示を二つの等しくサイズ設定された直角グループに分類するのは、上記のように、kが偶数であるので、より複雑である。n=8コード化スペースは、各々のユニークな16のコードを含む二つのn=4スペースまたは四つのn=2スペースに分けることができる。しかしながら、他の例を考慮して、八つのバーから五つのバーを選択すると56のコードを生じ、これは、kの値が奇数であるので、容易に二つのサイズのグループに分けられる。図7は、照会の便宜のため数値的に1−56で示されたこの表示の網羅的な列挙を示す。二つの同等のグループにこれらのコード化マイクロデバイスを配列するため、四つのバーからなる磁気アレイバーが使われることができる。分類チップに磁気的に合わせられる少なくとも三つのバーを有するマイクロデバイスが拘束される一方で、残りのマイクロデバイスは抜き取られる。図7に示される例示的なコード化スペースのため、ユニークな四つのバー35のユニークな対が使われる。図8は、すべてのコード化スペースを二つのグループに分けるための可能な直角アレイバー・パターンを示す。表1は、直角の四つのアレイバー集合の各々の対の分割過程の完全な表示を示す。
【0089】
各々のグループは、異なる直角集合で分類過程を繰り返すことによって再分割されることができる。したがって、与えられたスペースを3対の直角集合を用いて四つのグループに分割するためには、図9にて概略的に示すように、合計六つの分類が必要である。しかしながら、グループにスペースを分割する場合、次から最後のステップの後に残るマイクロデバイスは、同じグループのすべての部材であるので、厳密には最終的なステップを実行する必要はない。したがって、最終的な分割ステップは、それが目標群のすべての部材を捕獲するので、実際には分割ステップではない。例えば、図10に示すように、グループを四つに分割する場合、最初の三つのステップのみが、図11に示すように厳密には必要である。同様に、二つのグループにスペースを分割する分類チップの集合を使用する場合、図12に示すように、三つのステップのみが厳密には必要である。したがって、四つのグループに一群のマイクロデバイスを分割するために、多数の分割分類方法および連続した分類方法は各々、三つの分類ステップを必要とするだけである。しかしながら、それは、損なわれたまたは不完全なマイクロデバイスの除去と同様に、前のステップで捕獲されるべきであったマイクロデバイスも取り除くので、最終的なステップを保持する際の利点が存在する可能性がある。多数の分割分類過程はまだ、五つのステップのみでこの品質管理過程を維持することができる。そのような好ましい実施態様は、図13に示される。
【0090】
一組のすべての可能な10−merオリゴヌクレオチド(A,C,T,Gを使用して)を生じるため、−これは1,048,576(410)のコードを必要とする−単純な連続した分類方法を多数の分割分類方法と比較する。四つのコード方法を用いて、40のコードスペースおよび40の分類ステップを使用することができた。多数の分割分類方法を用いて、少なくとも23(n=23 k=11は、1,352,078のパターンをコード化する)のコードスペースおよび50の分類ステップを使用することができた。コード化の適切な選択は、特定の用途に依存する。
【0091】
スペースが分類を可能にする方法で再分割されるように使われる様々な他のコード化オプションが存在する。これは、より大きいスペースのサブセットの選択を含むことができる−上記の図4に示された3セットのn=6 k=3の例は、n=18k=9スペースのサブセットを表す。それはまた、特定の選択基準の選択を含むことができる−そこに使うことができる広範囲に配列チップのわたる直角集合がある。例えば、図2Cにおいて、n=6 k=5グループは、選択基準が三つのバーを選ぶために三つのバーを用いる図2Cに示される直角の対を用いて、二つの等しいグループに分割されることができる。しかしながら、同じコードスペースは、図14に示すように四つのバーを選ぶために四つバーを用いて三つの等しいグループに分割されることができる。この例もまた、分類過程は三つの直角グループにスペースを分割する一方で、各々の集合内の分類チップは、集合の他の部材と同じ二つの要素を各々有することを示す。
【0092】
コードスペースはまた、より複雑なコード化構成に分割されることができる。そのような例は、各々の位置は各々の柱が要素の一以上の可能な配置を含む列として描かれるように、間隔を再配置することによってより直ちに記載されている;柱あたりの要素配置の数は、文字mによって示される。図15に示される例は、 n=8 m=2またはn=4 m=2の二つの集合を含む16のバーコードを例示する。コードの総数は、以下の方程式で定められる:
(2)コード化スペース=n!/k!(n−k)! m
【0093】
nおよびmの与えられた値のため、使われるkの値の範囲が存在する。説明を簡単にするため、n=4 m=2の二つの集合を示す図15の下部のパネルを考慮する。マイクロデバイスを四つのグループに容易に分割するために、k=1は64のコードに導くように使われることができる。しかしながら、k=3はスペースの四つのグループへの再分割において等しく効果的であり、コード化スペースの16倍の増加、すなわち1024のコードに導く。図16は、n=4 m=2 k=3コード化表示の32のコード化パターンを示す。
【0094】
図15および16に示されるもののようなコード化表示の利点の一つは、それらがより効果的にスペースを利用するということである。柱において一つのバーのみが使われるので、バーの間のスペースの必要がなく、実際、位置には相当な重複を有することができる。したがって、図15に示すように完全に独立した16の要素コードのスペースにおいて、図17に示すのと同じサイズの24の要素を含むことができる。対応するn=8、k=7、m=3表示は、17496のコードに結果としてなる。これは、n=16 k=8表示より36%多いコードであり、分類しやすいn=16 k=7表示より50%以上多い。形式的に、n=8、k=7、m=3表示は、n=24 k=7表示のサブセットである。
【0095】
好ましい実施態様において、パターンは、コードが何であってもすべてのマイクロデバイスが分類チップ上に配列するようにすべてのマイクロデバイス上の配置バーの一般の集合を含む。分類過程が分類チップにつき一以上のパターンを用いて実行される一方、好ましい実施態様は、分類チップ上のすべての配列位置が等しいように、分類チップにつき一つだけのコードを使用する。これにより、「磁気アセンブリによって形成されるマイクロデバイスアレイ」と名付けられ、本願と同一の出願日の出願中の米国特許出願番号第12/018319号に記載の確固とした配列過程に縮小した配列過程を結果として生じる。
【0096】
分類チップ上の磁気要素の配置は、分類チップ上の磁気要素の磁気特性およびマイクロデバイスの磁気要素の磁気特性に依存している。マイクロデバイスのための好ましい実施態様は、それらの磁気要素が低保磁度および低い残留磁気を有するので、外部の磁場の非存在下で強く自己集合しないことである。このタイプのマイクロデバイスのために、広範囲にわたる磁性材料を含む分類チップが、使われることができる。一つの好ましい実施態様は、分類チップの磁気要素が低い保磁度を有することである。これらの種類の要素を有する分類チップ上でマイクロデバイスを配列および分類するため、磁気重複を使うことができ、そこで北を探す極は、南を探す極と重なる。図18は、そのようなバーを使用して配列される磁気バーの模式的な例を示す。図19および20は、非対称の配置バーを有するn=4k=1符合化マイクロデバイスのための低保磁度要素を用いた分類過程の模式的な例を示す。
【0097】
全体的な磁気強度のいかなる考慮とは別にして、マイクロデバイスのバーの長さと関連する配列チップ上のバーの長さは、重要である。「磁気電荷」が磁気領域の端の近くで集中するので、低保磁度分類チップの完全に重複するバー間の相互作用は反発的である。しかしながら、長いバーと短いバーとの間の重複の場合、特に短いバーが長いバーの中央域に重複する時、相互作用は誘引的である。より小さいバーと重なる場合の好都合な磁気相互作用を有する長いバーの能力は、望ましいアレイの相互作用の全体的な強度を増やしかつアレイおよび分類効率を改善する配列チップ・パターンを作成するために用いることができる。この手順において、配列されたマイクロデバイスの磁気バーは完全により小さいバーと重なり、一方で、二つの他のバーと部分的に重複することによって有利な相互作用に係わる。好ましい実施態様において、アレイ上で完全に重複したバーは、配列されたマイクロデバイス上の重複するバーの長さの50%未満である。好ましい実施態様において、分類チップは大きいおよび小さいバーの交替を含む。さらに好ましい実施態様において、小さいバーは、より大きいバーの隙間の60%未満である。図21は、配列されるマイクロデバイス上の磁気バーより小さい磁気バーを含む分類チップの模式的な例を示す。図22は、このタイプのバー・パターンを使用して分類される分類チップおよびマイクロデバイスの実際の例を示す。この例では、分類チップが正確にマイクロデバイスのうちの一つと一致する一方で、他のマイクロデバイスは、分類チップと同じその五つの磁気要素から二つのみを有する。したがって、3、4、または5の整列配置された磁気要素の選択基準は、これらのマイクロデバイスを区別するために用いることができる。マイクロデバイスは、サイズが60x75x3ミクロンである。図23は、分類されているこれらのマイクロデバイスの例を示す。図23の一番左のパネルは、配列された形式で図22のマイクロデバイスの各々のタイプを含む分類チップの一部を示す。持ち上げる磁界の用途の後、相補的でないマイクロデバイスは、中心パネルに示すように表面から持ち上げられる。流体力(研究所のマイクロ分注器によって供給された)の用途により、持ち上げられたマイクロデバイスが取り除かれる(図9−13において示されるように非拘束マイクロデバイスを取り除く)。拘束されたマイクロデバイスはそれから、分類ステップを完了するため、持ち上げる磁界および流体力の用途を増やすことによって、図9−13において示されるように、「抜き取られる」。
【0098】
他の好ましい実施態様は、分類チップの磁気要素が高い保磁度を有することである。これらのタイプの要素を有する分類チップ上でマイクロデバイスを配列および分類するために、磁気重複が使われることができる。低保磁度磁気要素の間で起こる磁気重複とは異なり、低保磁度磁気要素と高保磁度磁気要素との間の磁気重複は、外部の磁場上の特定の方向に依存している。図24は、高保磁度要素の磁化の平行および反平行の方向にわたる外部の磁界を有するそのようなバーを用いて配列される磁気バーの模式的な例を示す。
【0099】
高保磁度要素のため、配列および分類するために隙間が存在する必要はない。好ましい実施態様は、要素間の明確な隙間を提供しないように配置される磁気要素の配置である。図25および26は、マイクロデバイスおよび分類チップがこの基準を満たす分類されるマイクロデバイスを示す。この例では、コード化スペース(n=32、k=15)は565,000,000以上の異なるコードを含むことができるが、単一の分類チップが、周知の組成の二つのグループに効果的にマイクロデバイスを分割するために用いることができる。
【0100】
上の例は、決して制限的な意図を有しない。分類は、等しいサイズのグループにされる必要はない。加えて、同じ基準は、連続した分類サイクルにおいて使われる必要はない。例えば、第1の選択は、それらのバーを含むすべてのマイクロデバイス・パターンを選ぶために用いられる三つのバーの集合を含むことができ、一方で、第2の選択ステップは、完全な適合を要求する四つのバー、または、三つ以上のバーを含むすべての組合せを選択する五つのバーにも対応することができる。直ちに当業者にとって明らかである方法で、コード化スペースは多種多様に再分割されることができる。さらに、単一の分類チップは、マイクロデバイスを順番に抜き取ることによってスペースを分割するために用いることができる。連続したそのような抜き取り過程は、より弱く保持されたマイクロデバイスの連続した抜き取りを含む。例えば、図7に示される五つの磁気要素を含むコードにおいて、マイクロデバイスは、重なる(1、2、3または4)バーの数に基づいて単一の4要素の分類から四つの別々のグループに抜き取られることができる。例えば、そのような連続した抜き取り手順は、少数の分類チップを用いた特定のコードを分離するために用いることができる。
【0101】
持ち上げ磁界の領域において一つのみのマイクロデバイスまたは少数のマイクロデバイスのみが抜き取られるように、局所的に持ち上げる磁界を生成することによって抜き取りのための単一のマイクロデバイスを目標とすることもまた可能である。これは、小さい電磁石または小さい永久磁石を用いて実行されることができる。高密度配列状態の下で、一以上のマイクロデバイスが持ち上げられることができるが、抜き取られたマイクロデバイスは、より低い密度で再配置されることができ、過程は関心のマイクロデバイスを分離するために繰り返される。加えて、連続した抜き取りおよび局所的な持ち上げる磁界が、個々のマイクロデバイスを急速に分離するために組合せで使うことができる。
ランダムでないアレイ
(*訳注2)
分類過程は、分類チップにつき一以上のパターンを使用して実行されることができる。その状況において、マイクロデバイスは配列チップ上の特定の場所に磁気相補性により配列するように導かれる。一実施態様において、アレイは磁気コードのサブセットを含み、選択基準は、特定のアレイの場所で保持されるマイクロデバイスのサブセットを選ぶために使用することができる。他の好ましい実施態様において、配列チップは、各々の磁気コード化マイクロデバイスに対応する磁気要素のユニークなパターンを含む。そのような分子アレイは、その補完的な磁気パターンの位置により配列チップ上の特定のコード化マイクロデバイスの位置が決定されるので、もはやランダムでない。図27は、各々のアレイ位置がユニークである高保磁度配列チップ上のそのようなアレイのブロック線図を示す。図28は、二つの異なるアレイパターンがアレイ上に配列されることができる二つのマイクロデバイスと同様に使われているより単純な低保磁度配列チップの模式的な例を示す。図29は、図28の模式的な例に対応する実際の例を示す。マイクロデバイスは、60x75x3ミクロンであり、50x3x0.4ミクロンである五つの磁気要素を含む。図30は、図29に示されるマイクロデバイスおよび配列チップを使用して形成される実際のランダムでないアレイを示す。マイクロデバイスは、完全にそれらの磁気コードに適合するアレイ上の場所においてのみ配列される。
磁場発生器
【0102】
磁場発生器は電磁気である、または、それは永久磁石またはその二つの組合せを含むことができる。好ましい実施態様は、分類チップの表面の上に均一な磁界を生成することができる電磁ジェネレータを含む。
【0103】
外部磁場発生器はまた電磁気である、または、それは永久磁石またはその二つの組合せを含むことができる。分類過程における最初のステップは、マイクロデバイスのアレイである。この過程は、「磁気アセンブリによって形成されるマイクロデバイスアレイ」と名付けられ、本願と出願日が同じである出願中の米国特許出願番号第12/018319号に記載されている。いかなる特定の外部の磁場発生器の適合性は、特定の用途、特にコード化スペースおよび選択基準に依る。好ましい実施態様において、磁場発生器は、多数の軸(例えばx,y,z)に沿って磁場を導く一組の入れ子にされた電磁コイル(例えばヘルムホルツ・コイル)から構成される。
【0104】
好ましい実施態様において、磁場発生器は、ヘルムホルツ・コイルと類似しているが、ヘルムホルツ・コイルからなる個々のコイルがそれぞれに調整されることができる電磁コイルの個々の入れ子にされた集合を含む。さらに好ましい実施態様において、コイルは例えば鉄またはフェライトのような磁気コアを含む。他の好ましい実施態様として、磁場生成システムは、陽または負の極性の出力を生じることができるDC電力供給を含む。他の好ましい実施態様として、磁場生成システムは、電磁コイルを動かすことができるアンプに連結するAC電源または周波数生成器を含む。さらに好ましい実施態様において、磁場生成システムは、減磁パルスの生成に適しているAC電源を含む。
【0105】
好ましい実施態様において、磁場変化の順序がプログラムされた方法で実行されることができるように、磁場発生器は制御可能である(例えばデジタル的に制御可能な電力供給によって動かされる一組の電磁コイルによって)。
非拘束マイクロデバイスを取り除くための力発生器
【0106】
図1に示すように、磁気識別は、マイクロデバイスを拘束および非拘束状態に切り離すために使うことができる。非拘束マイクロデバイスは、揚力の用途に配置されたままでないマイクロデバイスである。
【0107】
磁気相互作用の距離依存により、マイクロデバイスを持ち上げるのに必要な力は、持ち上げられた状態にそれらを維持するのに必要な力よりも非常に大きい。したがって、非拘束マイクロデバイスが表面から持ち上げられるならば、それらを持ち上げている磁場(例えばz軸の磁界)は、非拘束マイクロデバイスを分類チップ表面に保持している磁力の強度を弱めて減少することができる。z軸の磁界が減少すると、非拘束マイクロデバイスを収集領域に引き入れるためにいかなる軸に沿っても、より大きい磁場の偏りが導かれる。流体力は好都合であり、単独でまたは磁場勾配と結合して使うことができる−低いz軸の磁界(例えば、その磁界が減少した後)で、それらの直立した形状のマイクロデバイスにおいて、容易に除去される−一滴のアルコールの分類チップ表面上の水溶液への追加でさえも、非拘束マイクロデバイスを除去するのに十分な乱れを生成する。図23に示される結果において示されるように、研究所のマイクロ分注器は特に非拘束マイクロデバイスを取り除くのに効果的である。
【0108】
好ましい実施態様は、単独または磁力発生器と組み合わせて流体力を用いるものを含む。追加的な好ましい実施態様は、米国特許出願第20020137059号にて説明したように振動力、流体力、音響力、誘電泳動力などの使用を含む。これらの力は、単独または組合せで使うことができ、これらの組合せは磁力発生器を含むことができる。
合成
【0109】
磁気分類およびアレイは、ライブラリ合成およびスクリーニングの領域では重要な利点を提供する。分子ベースのライブラリは、マイクロデバイス上へ直接合成物を合成することによって生じることができる。固相合成方法は広く使われていて、マイクロデバイス表面化学は既存の固相合成手順と共存できるように作成される。本明細書において記載されている実施態様は、ランダムな分割および混合方法においてマイクロデバイスをトラックするために用いることができる。好ましい実施態様において、合成される合成物が特定の磁気コードまたは磁気コードの部分と関連することができるように特定の合成ステップをマイクロデバイスに割り当てることができる。好ましい実施態様において、マイクロデバイスは光学コードを含む。このコードは磁気コードである、または、それは独立した非磁性層である可能性がある。分類過程は、配列されたフォーマットにおいて表示されるすべてのマイクロデバイスに結果としてなる。光学的に検出可能なコードと一緒にこの特徴は、分類過程の間にマイクロデバイスをモニタするために利用されることができる。好ましい実施態様において、光学品質検査は、配列精度を検査するために実行することができる。他の好ましい実施態様において、合成過程は、光学的に検出可能な(例えば蛍光でラベルをつけられた)保護群を用いて実行されることができる、または、結合効率の光学的に検出可能な試験は、その合成過程におけるいかなるステップでも結合効率が推定されるように実行されることができる(例えば、Lam その他 Chem. Rev. 97: 411-448 (1997) による「一つのビーズ−一つの化合物の組合せの方法」で議論される)。他の好ましい実施態様において、各々のマイクロデバイスは、各々のマイクロデバイス上の化合物の結合効率が合成過程におけるステップで決定されるようにユニークな光学コードを有する。他の好ましい実施態様として、マイクロデバイスは、コードの予め定められたサブセットが集められる独立した磁気グループコードを含む。
【0110】
本発明の実施態様は、ライブラリの製造およびスクリーニングの既存の方法における実質的な改良を提供する。急速にマイクロデバイスを分類および表示する能力によって、大きい化合物特定の分子ライブラリが生じかつ調査されることができる。化合物特定の分子ライブラリは、ライブラリの化合物が合成ステップ前に個々の分子に割り当てられるものである。大部分の分子ベースのライブラリは、分割および混合タイプの手順を含みランダムである(Lam その他 1997において検討されたように)。しかしながら、分割および混合ライブラリに含まれる特定の化合物は、生成されるライブラリが「完全に組合されない」限り決定されることができず、ライブラリが、建築ブロックのすべての可能な組合せ(例えばアミノ酸、ヌクレオチド、その他)を含むことを意味する。そのような組合せのライブラリは一般に極めて大きいので、実際には、ランダム・ライブラリの実際の組成は公知ではない。各々の分割および混合ステップの前および/または後に配列し、それらのコード化パターンの識別によりマイクロデバイスの識別し続けることにより、ランダム・ライブラリの正確な組成は決定されることができる。加えて、そのような情報によって、各々の符合化されたマイクロデバイス上の化合物の識別を知ることができ、スクリーニング過程を容易にする。対照的に、化合物特定のライブラリによって、ライブラリが化合物のいかなる所望のサブセットも含むことができる。そのような化合物特定のライブラリは、合成過程における各々のステップで公知の識別の粒子が特定の反応室に導かれる、誘導された分類過程により生じられる。NEXUS Biosystems IRORIの固相の組合せの化学合成システムを使用して生じられるライブラリは、導かれた分類過程により生じられる化合物特定のライブラリの市販の例で広く使われている。そのような市販のライブラリは、一般に10,000未満の化合物を含む。
【0111】
合成過程における各々のステップでマイクロデバイスを配列する追加的な利点は、マイクロデバイスの識別に加えて、非破壊的分析法(例えば、比色分析または蛍光発生)の使用により各々の個々のマイクロデバイスの合成ステップの結合効率の尺度が決定されることである。例えばペプチド合成の場合、個々のビーズのレベルで結合の完成を決定するために用いることができる確立した分析法が存在する(Lam その他1997)。しかしながら、ランダム・ビーズ・ライブラリにおいて、型通りに全ライブラリを復号化するために現在のビーズコード化技術は使用することができないので、この情報の効用は限られ;結合ステップの効率は95%より大きいことを決定し、ビーズの95%は、個々のビーズの主な副産物のレベルまたは純度または組成を決定しない。そのような粒子特定の情報は、ライブラリの調査(例えば機能または活動のスクリーニング)から得られる結果を解釈する時に非常に重要である。例えば、合成におけるさまざまなステップで生じる不完全な反応により、非常に異なる主な製品を含む一群のマイクロデバイスは、有意な量の類似した副産物を含むことができる。合成におけるあらゆるステップでこの情報を追跡することによって、副産物の分配が記録されることができる。センサまたは他の種類のMEMS装置を含むマイクロデバイスの能力は、マイクロデバイスが分析装置と同様に合成のための基板としても役立つことができることによって、ライブラリを調査する際に追加的な利点を提供する。
【0112】
合成過程における各々のステップでマイクロデバイスを配列する追加的な利点は、マイクロデバイスの識別に加えて、非破壊的分析法(例えば、比色分析または蛍光発生)の使用により各々の個々のマイクロデバイスの合成ステップの結合効率の尺度が決定されることである。例えばペプチド合成の場合、個々のビーズのレベルで結合の完成を決定するために用いることができる確立した分析法が存在する(Lam その他1997)。しかしながら、ランダム・ビーズ・ライブラリにおいて、型通りに全ライブラリを復号化するために現在のビーズコード化技術は使用することができないので、この情報の効用は限られ;結合ステップの効率は95%より大きいことを決定し、ビーズの95%は、個々のビーズの主な副産物のレベルまたは純度または組成を決定しない。そのような粒子特定の情報は、ライブラリの調査(例えば機能または活動のスクリーニング)から得られる結果を解釈する時に非常に重要である。例えば、合成におけるさまざまなステップで生じる不完全な反応により、非常に異なる主な製品を含む一群のマイクロデバイスは、有意な量の類似した副産物を含むことができる。合成におけるあらゆるステップでこの情報を追跡することによって、副産物の分配が記録されることができる。センサまたは他の種類のMEMS装置を含むマイクロデバイスの能力は、マイクロデバイスが分析装置と同様に合成のための基板としても役立つことができることによって、ライブラリを調査する際に追加的な利点を提供する。
【0113】
以下の例は、これらの実施態様の効用を例示するのに役立つ。100,000の化合物のライブラリの合成は、1,000万のマイクロデバイスを使用して実行される。マイクロデバイスは、化学反応性の部位を含む(例えば、適当なリンカーを示す化学反応性表面を含む穴)。ライブラリを分類するために使用される磁気コード化スペースは、100万を超える表示を有する。磁気コード化スペースは、そこに少なくとも100,000の磁気分類コードおよび10のグループコードがあるように分割される。グループコードは単に、マイクロデバイスの特定の集合がグループとして分類される磁気コード化スペースを分割する他の方法である。この特定の例において、グループコードは、ライブラリの各々の分分類コードの100のコピーのために正確に10が特定のグループコードを含むように各々の分類コードに均一に割り当てられる。したがって、各々のマイクロデバイスは、ユニークな光学コード、100の他のマイクロデバイスによって共有される磁気分類コード、および、100万の他のマイクロデバイスによって共有されるグループコードを有する。合成過程の開始の前に、合成される各々の化合物は磁気分類コードに割り当てられる。この割り当ては反応室を決定し、各々のマイクロデバイスは、合成過程において各々のステップに置かれる。マイクロデバイスは分類チップに置かれて、抜き取られたグループ(例えば図13参照)に分類され、グループは第1の合成ステップのための適当な反応容器に置かれる。適当な反応時間の後、マイクロデバイスは、洗浄され分類チップ上に配列され、光学式文字読み取り装置(例えば顕微鏡または蛍光スキャナ)置かれて、それらの光学コードが、反応をモニタするために使われた蛍光発生または比色分析の結果とともに決定されかつ記録される。他の分類過程は実行され、次の合成ステップが始まる。この過程は、ライブラリの合成が完了するまで繰り返される(例えば、10残基ペプチドのライブラリは10のそのようなサイクルを必要とする)。合成過程の終わりに、各々の光学コードの不純物が生じた割合および分配が決定される。合成に続いて、マイクロデバイスは、10のグループを生成するためにそれらのグループコードに基づいて分類される。各々のグループは、磁気コードの、各々のタイプの10のコピーを含む。この過程はライブラリの10のコピーを生成し、ライブラリの各々のコピーは各々の化合物の10のコピーを含み、そこにおいて、各々のマイクロデバイスに合成される化合物の純度が特徴付けられる。
【0114】
各々のマイクロデバイスがユニークな光学コードを含むライブラリにおいて、各々の化合物は、多数の光学コード(例えば10)によって表されることができる。これによって、エラーが合成過程の間に識別され、ライブラリの分析の間、無視されるまたは説明されることができる。例えば、マイクロデバイス上の光学コードは、分類過程における配列ステップ終了後モニタされることができ、したがって、15のステップ過程におけるステップ8の間、光学コード2341を含むマイクロデバイスが誤配置された場合、そのマイクロデバイス上の化合物の組成を知ることができ、それゆえに、そのマイクロデバイスのためのいかなる分析結果も、同じ磁気分類コードを共有する他のマイクロデバイスの分析に悪影響を与えず、同じ化合物を含むことになる。
【0115】
グループコードの使用は、それが多数の対象をグループへランダムに分割する際に生じるポアソン分布問題を克服するのでライブラリの多数のコピーを作る他の方法において重要な利点を提供する。
【0116】
化合物特定のライブラリ合成を可能にすることに加えて、本発明の実施態様はまた、ランダム・ライブラリの製造およびスクリーニングの相当な改良を提供する。向きを定められた粒子を表示する能力に起因する化合物特有のライブラリにあてはまる利点のすべてはまた、ランダム・ライブラリにもあてはまる。
【0117】
公知の予め定められた組成およびかなりのサイズのライブラリを合成する能力により、関心の化合物をすばやく識別するため、連続したライブラリ合成が実行されることができる。例えば、第1のライブラリのスクリーニングの後、新規な第2のライブラリは、第1のライブラリを調べることにより得られた結果に基づき設計されることができる。所望のスクリーニング結果が得られ、所望の特性を有する合成化合物が識別されるまで、過程は続けることができる。そのような合成化合物は、抑制分子、薬、結合分子、触媒その他を含む。強力なサポートで合成されるいかなる化合物も、本発明の範囲内に含まれる。
ターゲット隔離
【0118】
本明細書において記載されている実施態様は、マイクロデバイスに取り付けられ、いくつかの光学的手順によって(直接または間接的に)区別されることができる関心の部材を分離するために用いることができる。好適な例は、まばらな細胞の隔離である。複数のマイクロデバイスが単細胞を含むように、細胞の混合物はマイクロデバイスに取り付けられることができる。マイクロデバイスの配置後、関心の細胞を含むものは、光学的方法(例えば蛍光)および分離されたそれらのマイクロデバイスによって識別されることができる。細胞は、光学検出ステップの前のこの過程のいかなるステップにおいてでも光学標識で目標とされることができる。単離された細胞はそれから、さらなる分析のために使われることができる(例えば、遺伝子発現、SNP分析、プロテオミクス・プロファイリングその他)。
【0119】
本明細書における発明の概念から逸脱することなく、すでに記載されたものの他に多くの変更態様が可能であることは当業者にとって明らかである。さらに、開示を解釈する際に、すべての用語は文脈と整合した最も広い方法で解釈されるべきである。特に用語「含む」および「含んでいる」は、限定されない方法において要素、構成要素、またはステップを示すと解釈されるべきであり、そのことは、示された要素、構成要素、またはステップが存在する、または、利用される、または、明白に示されない他の要素、構成要素、またはステップと組み合わされることを示す。明細書の請求項が、A、B、C ....およびNから構成される群から選択されるものの少なくとも一つを示す場合には、その群から一つの要素のみを必要とするように、AプラスNでも、BプラスNその他でもないように本文は解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁力を出す別々の領域を有するアレイの提供と;
該領域に関してマイクロデバイスの向きを定めるための該磁力の使用と;
および、該マイクロデバイスの異なる方位の機能として該アレイから該マイクロデバイス
の適当なサブセットを取り除く状態下での、該向きを定められたマイクロデバイスへの取り除く力の適用と;を含む、マイクロデバイスの分類法。
【請求項2】
前記マイクロデバイスが0.1か500μmを含むもっとも長い線形寸法を有する、請求項1の方法。
【請求項3】
前記磁力の使用ステップの繰り返しと取り除きステップの適用とをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項4】
少なくとも10の選択を支える磁気コード化スペースを利用する一組の前記マイクロデバイスの利用をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項5】
少なくとも10の選択を支える磁気コード化スペースを利用する一組の前記マイクロデバイスの利用をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項6】
少なくとも10の選択を支える磁気コード化スペースを利用する一組の前記マイクロデバイスの利用をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項7】
磁化の予め定められた優先効果を有し、少なくとも1.2のアスペクト比を有する一組の前記マイクロデバイスの利用をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項8】
前記マイクロデバイスの向きを定めるために前記磁力を使用するステップは、前記マイクロデバイスのサブセットの部材が該サブセットの外部の外側の該マイクロデバイスの一つと関連して立たせることを含む、請求項1の方法。
【請求項9】
磁化の予め定められた優先効果を有し、少なくとも10の選択を支えることができる磁気コード化スペースを利用する前記マイクロデバイスの使用と;
および、該マイクロデバイスの向きを定めるための磁力の使用と;を含む、分類方法。
【請求項10】
前記マイクロデバイスが、0.1から500μmを含む最も長い線形寸法を有し、少なくともいくつかの該マイクロデバイスは、少なくとも10の選択を支える磁気コード化スペースを利用する、請求項1の方法。
【請求項11】
少なくともいくつかの前記マイクロデバイスが少なくとも10の選択を支える磁気コード化スペースを利用する、請求項9の方法。
【請求項12】
一組のマイクロデバイスへのアレイへの配置と;
該アレイとの該マイクロデバイスのサブセットの磁気相互作用を変える方法での該マイクロデバイスへの磁場の適用と;
および、該アレイからの該マイクロデバイスのサブセットの選択的な除去と;を含む、分類方法。
【請求項13】
集合の前記マイクロデバイスの各々は、0.1から500μmを含む最も長い線形寸法と科学的に活性の部位とを有する、請求項1の方法。
【請求項14】
前記磁力を適用するステップと前記選択的な除去ステップとの少なくとも5回の繰り返しをさらに含む、請求項13の方法。
【請求項15】
少なくとも10の選択を支えるコード化スペースを利用する複数の磁気コード化領域を利用する一組の前記マイクロデバイスの利用をさらに含む、請求項13の方法。
【請求項16】
複数の磁気的に向きを定めることができ、その各々が化学反応性の部位を含み、各々が磁気コードを含むマイクロデバイスの提供と;
少なくとも第1および第2の集合に該マイクロデバイスを分割するために該マイクロデバイスの磁気配向の使用と;
該第1および第2の集合の該マイクロデバイスの該反応性の部位における異なる反応の実行、および、該マイクロデバイスの該第1および第2の集合の少なくとも一部の再結合と;
該再結合された第1および第2の集合からの該マイクロデバイスの分割を少なくとも第3および第4の集合へ分けるため、該マイクロデバイスの磁気配向の使用と;および、
該第3および第4の集合における該マイクロデバイスの該反応性の部位での異なる反応の実行、および、該マイクロデバイスの該第3および第4の集合の少なくとも一部の再結合と;を含む、組合せの化学の実行方法。
【請求項17】
前記アレイ上の前記マイクロデバイスの方向づけの機能として、少なくともいくつかの該マイクロデバイスの少なくとも部分的な分類をさらに含む、請求項16の方法。
【請求項18】
前記再結合された第1および第2の集合から少なくとも第3および第4の集合への前記マイクロデバイスの分割を容易にするための分割ステップをさらに含む、請求項16の方法。
【請求項19】
少なくともいくつか前記コードが少なくとも10の異なった選択を支える、請求項17の方法。
【請求項20】
少なくともいくつか前記コードが少なくとも10の異なった選択を支える、請求項16の方法。
【請求項21】
一組のマイクロデバイスであって、その異なるものが異なる磁気コードを含むマイクロデバイスの提供と;
異なる該磁気コードを細くする第1および第2の配置部位を有するアレイの提供と;
該マイクロデバイスの該アレイへの追加と;
および、該マイクロデバイスの異なるサブセットがそれぞれ該第1および第2の部位を選ぶような外部の磁場の該アレイへの適用と;を含む、表示方法。
【請求項22】
前記第1および第2の配置部位からの異なる磁気コードを補足する少なくとも追加的な8の配置部位をさらに含む、請求項21の方法。
【請求項23】
各々が相互に異なる磁気コードおよび相互に異なる化学成分を有する領域を有する、第1、第2および第3のマイクロデバイスを含むら、ライブラリ。
【請求項24】
各々の前記相互に異なる化学成分が重合体である、請求項23のライブラリ。
【請求項25】
各々の前記相互に異なる化学成分がペプチドまたは核酸である、請求項23のライブラリ。
【請求項26】
請求項23の前記ライブラリの使用により調査された化学的実体。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公表番号】特表2010−517040(P2010−517040A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547309(P2009−547309)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/001014
【国際公開番号】WO2008/091696
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(509183257)アレイオミックス,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】