説明

マイクロニードル孔バイアビリティを向上させるための方法及び組成物

本明細書は、1又は複数の医薬活性剤を哺乳類に経皮投与する方法を記載する。当該方法は、マイクロニードル及び1又は複数のCOX阻害剤を併用して、1又は複数の活性医薬剤を対象の皮膚に投与することを含んでなり、それによりCOX阻害剤は、マイクロニードルの適用により作られる孔の開口を延長することにより、当該活性薬剤の吸収を促進させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年11月29日に出願された米国仮出願第60/990,972号の利益を主張する。本出願は、参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0002】
本明細書では、哺乳類に対する1又は複数の活性医薬剤の経皮送達のための、マイクロニードル治療した皮膚と併用するシクロオキシゲナーゼ(「COX」)阻害剤の使用を記載する。
【背景技術】
【0003】
マイクロニードル治療の使用による活性医薬剤の経皮送達の向上は、経皮薬物送達の分野における重要な研究領域になってきている。マイクロニードルは、一般に、長さ約20μmから約1000μmの構造で、表皮の最外層(角質層)に穴を開けて、1又は複数の活性医薬成分を送達できる、大スケール(それを通って送達される活性医薬剤の大きさと比較して)の開口又は孔を作り出すことができると考えられている。マイクロニードルの侵入深さは、経皮薬物送達を向上させるには十分であるが、神経末端を刺激するには十分でない。したがって、マイクロニードルの使用は無痛である。この態様、並びにそれらの経済的及び容易な使用により、マイクロニードル技術を組み込むシステムは、経皮薬物送達のための魅力的な代替法となる。
【0004】
マイクロニードル技術と併用して送達される活性医薬剤は、巨大オリゴヌクレオチドから、インスリン及び高水溶性化合物まで多岐にわたる。経皮輸送の向上を支援するように皮膚の構造を物理的に変化させる他の方法と比較して、マイクロニードル送達は比較的単純な技術である。マイクロニードルは、浸透性を増加させ、且つ皮膚感覚を低下させるため全てマイクロマシン化され、生体分解性ポリマー、シリコン、及びステンレス鋼等の様々な状態で提供される。様々な研究者等が、マイクロニードル治療した皮膚の、マイクロニードルにより作られる水性の孔を通る、主に水可溶性化合物の浸透性の向上に与える影響について研究している。マイクロニードルの使用により、非ウイルス性遺伝子治療ベクター、デスモプレシン、インスリン、及びナルトレキソン等の多くの化合物の浸透性を向上できることが示されている。さらに、マイクロニードルの適用は、26ゲージ皮下注射針と比較して、無痛であることが示されている。
【0005】
マイクロニードルの有効性は、マイクロニードルにより作られる孔が、角質層において、十分に開き、且つ「治癒しない」状態を維持する期間に依存する。活性医薬剤送達の向上が継続できるのはこの期間である。近年、経表皮水分損失、顕微鏡観察、及び薬物動態解析を含む多数の実験を介して、孔の寿命及びバイアビリティについて、多くの測定がなされている。経表皮水分損失(「TEWL」)は、皮膚からの水分蒸発の速度を測定する。TEWL値は、通常損傷皮膚において測定され、皮膚修復の機能として経時による水分損失を決定する。水分損失を測定する装置である蒸発計を用いることにより、皮膚形態における損傷又は変化を、「正常な」皮膚と比較して、水分損失速度の増加により決定することができる。TEWLの計測は、浸透障壁の状態を観察するための有効な測定である。
【0006】
パッチ等の閉鎖被覆は、マイクロニードルにより作られる孔を維持するために使用することができる。マイクロニードル配列を皮膚の上に置き、閉鎖パッチ処理を行わずにこれを除去すると、皮膚は急速に治癒し、TEWLの計測値は、30分以内にベースラインに戻った。対照的に、閉鎖環境下では、マイクロニードルにより作られる孔は、少なくとも48〜72時間、開いた状態を維持することが実証されている。同様に、染色後の顕微鏡観察から、孔が72時間まで存在することが明らかになっている。6−β−ナルトレキソール塩酸塩で処理した無毛ギニアブタにおいて、未処理の皮膚と比較して、マイクロニードル暴露及び閉鎖後48時間にわたり、マイクロニードル孔バイアビリティの顕著な向上が観察された。16%のナルトレキソン塩酸塩ゲルを、マイクロニードル予備治療後の6人の健常人ボランティアに投与した場合、ナルトレキソンの治療レベル(2.5±1.1ng/mL)に到達したことも示されている。さらに、マイクロニードルと併用して使用される場合、2時間以内で一定状態のナルトレキソン濃度に到達し、これを48時間維持したことが観察されている。これらの結果は、皮膚へのマイクロニードルの適用は、経口、注入及び従来の受動的な経皮送達に替わる送達経路を提供することを示す。
【0007】
マイクロニードルが作製した孔と併用して閉鎖技術(例えば、パッチ)を使用しても、マイクロニードルにより作られる孔の寿命をさらに延長することが望まれる。かかる孔開口期間の増加は、用量投与の間の間隔を延長させることができる。言い換えれば、孔開口期間の増加により、活性成分が投与されるべき頻度を低減することができる。投薬頻度の低減は、患者の受容及びコンプライアンスに正の影響を与える。すなわち、活性医薬剤の経皮送達の速度、期間、及び程度を増加させるために、マイクロニードルにより作られる孔のバイアビリティをさらに向上させる望まれるはずである。
【0008】
COX酵素は、アラキドン酸からプロスタグランジン、特にPGE2の生合成において重要な役割を担っている。アラキドン酸からのプロスタグランジンの生合成に関連する細胞的及び遺伝子的事象におけるCOX酵素の役割を、図8に例示する。PEG2等のプロスタグランジンは、創傷に対する炎症反応の調整及び制御において本質的な役割を担う。プロスタグランジン濃度局在化の増加が、治癒プロセスを促進させる炎症応答の増加を引き起こす。COX酵素は、両方の酵素を発現する遺伝子に特異的なCOX−1及びCOX−2に分類される。COX−1は構成的に発現され、一方COX−2は誘導酵素である。マイクロニードル治療した皮膚の場合、皮膚への損傷の結果としてCOX−2が発現される。
【0009】
COX酵素の阻害は、プロスタグランジンの生成を低減させる。非ステロイド抗炎症薬物(NSAIDS)は、COX酵素を阻害し、且つ創傷への炎症応答を低減させるために長い間使用されている。以下で詳細に記載する通り、NSAIDSは、それらがCOX−1もしくはCOX−2(特異的)、又は両方(すなわち、非特異的阻害)を阻害するかに基づき分類されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここで、マイクロニードルと併用するCOX阻害剤の投与は、マイクロニードルにより作られる孔が開いた状態を維持する期間を増加させることがわかった。
【0011】
要約
本明細書に記載の実施態様には、マイクロニードル配列を、COX阻害剤であってもそうでなくてもよい活性医薬剤の経皮投与と併用して使用する場合、マイクロニードルにより作られる孔のバイアビリティを向上させる剤(例えば、COX阻害剤)の使用が含まれる。
【0012】
他の実施態様、目的、特徴及び利点は、以下の実施態様の詳細な記載で説明され、そして部分的には、請求される発明の記載から明らかになるか、又は請求される発明の実施により理解することができる。これらの目的及び利点は、明細書及びその請求の範囲において具体的に指摘されるプロセス及び組成物により、理解及び実現されるはずである。先述の要約は、本明細書に開示されるいくつかの実施態様の端的且つ一般的な概要として考慮されることを理解させるものであり、単に読み手の利益及び利便性のためとして提供され、そして添付される請求の範囲が適法に権利を受ける範囲、又は同等の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、対象1における、マイクロニードル治療した皮膚とプラセボの併用、及びプラセボ単独について、時間の関数で経表皮水分損失を示す。
【図2】図2は、対象2における、マイクロニードル治療した皮膚とプラセボの併用、及びプラセボ単独について、時間の関数で経表皮水分損失を示す。
【図3】図3は、対象1における、マイクロニードル治療した皮膚と3%セレコキシブの併用、及びセレコキシブ単独について、時間の関数で経表皮水分損失を示す。
【図4】図4は、対象2における、マイクロニードル治療した皮膚と3%セレコキシブの併用、及びセレコキシブ単独について、時間の関数で経表皮水分損失を示す。
【図5】図5は、マイクロニードル治療した皮膚と3%ジクロフェナクゲル(Solaraze(登録商標))の併用、3%ジクロフェナクゲル(Solaraze(登録商標))単独、マイクロニードルと閉鎖の併用、及び未処理の皮膚について、時間の関数で経表皮水分損失を示す。
【図6】図6は、対象1における、マイクロニードルと3%ジクロフェナクゲル(Solaraze(登録商標))の併用、及び3%ジクロフェナクゲル(Solaraze(登録商標))単独について、時間の関数で経表皮水分損失を示す。
【図7】図7は、対象2における、マイクロニードルと3%ジクロフェナクゲル(Solaraze(登録商標))の併用、及び3%ジクロフェナクゲル(Solaraze(登録商標))単独について、時間の関数で経表皮水分損失を示す。
【図8】図8は、アラキドン酸からのプロスタグランジンの生合成に関連する、細胞的及び遺伝子的事象のカスケードを示す。図8は、L.F.Fecker等, The role of apoptosis in therapy and prophylaxis of epithelial tumours by nonsteroidal antiinflammatory drugs(NSAIDs),156 Suppl.3 British J Derm.25−33(2007)に当初掲載された図を修正したものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、様々な形態で具体化できるが、複数の実施態様についての以下の記載は、本開示が、請求される主題の例示として考慮されるべきであることを理解させ、添付の請求の範囲を、例示される特定の実施態様に限定する意図はない。本開示で使用される表題は、利便性のためだけに提供され、決して請求の範囲を限定すると解されるべきではない。任意の表題の下、例示される実施態様は、任意の他の表題の下、例示される実施態様と組み合わせてもよい。
【0015】
本明細書で使用される場合、「孔バイアビリティ」なる用語は、活性医薬剤の経皮投与を必要とする哺乳類の皮膚に、1又は複数のマイクロニードルの侵入により作られた、孔、穴又はチャネル、並びに、得られた孔が、十分に開くかもしくは「治癒しない」状態を維持し、それにより、全身もしくは局所的に送達されるべき活性医薬剤の経皮送達が可能となる寿命の期間のことを言い、これによりマイクロニードル治療を施す間隔を延長できる。
【0016】
本明細書に記載されるある実施態様には、疾患症状を治療するための活性医薬剤の経皮送達が必要な哺乳類の皮膚に浸透するよう配置されるマイクロニードルの配列と併用して使用される、第一のCOX阻害剤を含む、薬物送達システムがある。さらなる実施態様によれば、本明細書に記載される薬物送達システムは、疾患症状を治療する哺乳類に経皮送達される活性医薬剤も含む。疾患症状の治療に必要な活性医薬剤は、COX阻害剤であってもそうでなくてもよい。他の実施態様によれば、COX阻害剤は、COX−1阻害剤である。さらなる実施態様によれば、COX阻害剤は、COX−2阻害剤である。別の実施態様によれば、COX阻害剤は、COX−1及びCOX−2阻害剤の両方(すなわち、非特異的COX阻害剤)である。さらなる実施態様によれば、COX阻害剤は、任意の医薬活性状態(例えば、塩、エステル、プロドラッグ等)であってよい。
【0017】
マイクロニードル治療した皮膚と併用して使用する場合、孔バイアビリティの向上に有用である、第一のCOX阻害剤を含んでなる組成物も、本明細書に記載される。さらなる実施態様によれば、当該組成物は、哺乳類に経皮送達される第一の活性医薬剤をさらに含んでなる。さらなる実施態様によれば、当該組成物は、第一の医薬賦形剤をさらに含んでなる。別の実施態様によれば、当該COX阻害剤は、COX−1阻害剤である。さらなる実施態様によれば、当該COX阻害剤は、COX−2阻害剤であり、別の実施態様によれば、COX阻害剤は、COX−1及びCOX−2阻害剤の両方である。さらなる実施態様によれば、当該COX阻害剤は、医薬的に許容される任意の状態(例えば、塩、エステル、プロドラッグ等)であってよい。さらなる実施態様によれば、当該活性医薬剤は、COX阻害剤である。よりさらなる実施態様によれば、当該活性医薬剤は、マイクロニードル治療した皮膚と併用して使用する場合、孔バイアビリティを向上させるために投与されるものと同じCOX阻害剤である。さらなる実施態様によれば、当該活性医薬剤は、マイクロニードル治療した皮膚と併用して使用する場合、孔バイアビリティを向上させるために投与されるCOX阻害剤以外の、COX阻害剤である。別の実施態様によれば、当該活性医薬剤はCOX阻害剤ではない。
【0018】
皮膚のマイクロニードル治療により哺乳類の1又は複数の疾患症状を治療する方法であって、哺乳類の皮膚のマイクロニードル治療と併用するCOX阻害剤の局所使用によりバイアビリティを持続させる方法も、本明細書に記載される。別の実施態様によれば、当該COX阻害剤は、COX−1阻害剤である。さらなる実施態様によれば、当該COX阻害剤は、COX−2阻害剤であり、別の実施態様によれば、COX阻害剤は、COX−1及びCOX−2阻害剤の両方である。さらなる実施態様によれば、当該COX阻害剤は、医薬的に許容される任意の状態(例えば、塩、エステル、プロドラッグ等)であってよい。
【0019】
本明細書に記載のさらなる実施態様には、マイクロニードル孔バイアビリティを向上させるか又は延長するための方法であって、哺乳類の皮膚に孔を作るマイクロニードル配列の使用、及びCOX阻害剤の局所適用を含み、ここで、活性医薬剤の経皮送達の速度及び程度が増加するように、マイクロニードル孔が向上したバイアビリティを有する方法がある。別の実施態様によれば、当該COX阻害剤は、COX阻害剤である。さらなる実施態様によれば、当該COX阻害剤は、COX−2阻害剤であり、別の実施態様によれば、COX阻害剤は、COX−1及びCOX−2阻害剤の両方である。さらなる実施態様によれば、当該COX阻害剤は、医薬的に許容される任意の状態(例えば、塩、エステル、プロドラッグ等)であってよい。
【0020】
マイクロニードル配列
本明細書に記載の化合物及び医薬組成物は、マイクロメートルスケールの輸送経路を作る、経皮薬物送達のためのマイクロニードルとの併用に適する。マイクロニードルは、活性医薬剤の局所的又は全身的送達のため、皮膚中に、及び/又は皮膚を通って分子を輸送するための、最小限侵襲手段を提供する。マイクロニードル配列により作られたチャネル又は孔は、臨床レベルでは非常に小さい。しかしながら、当該チャネル又は孔は、均一な微小分子よりも数オーダー大きいために、かかるチャネル又は孔は、皮膚浸透性を顕著に向上させることが示されている。
【0021】
マイクロニードルは、中実であっても中空であってもよく、多くの生体適合物質、例えば、シリコン、生体分解性ポリマー、及びステンレス鋼から作製される。中実マイクロニードルは、皮膚にチャネル又は孔を作り、その後皮膚表面に経皮パッチを適用するために使用できる。あるいは、中実マイクロニードルは、最初に活性医薬剤で被覆し、その後皮膚に挿入することができる。中空マイクロニードルも、マイクロニードルの穴を通って、皮膚への活発な浸透を促進させるために使用される。本明細書に記載の請求される発明についての様々な実施態様での使用に適する、いくつかのマイクロニードル技術の概説のために、例えば、Prausnitz,Microneedles for transdermal drug delivery,Adv.56 Drug.Deliv.Rev.581−587(2004)を参照されたい。
【0022】
中実マイクロニードルは、小分子からタンパク質、ナノ粒子まで変化する化合物について、皮膚浸透性を4オーダー分まで増加できることが多くの研究により実証されている。Henry等、Microfabricated microneedles:a novel approach to transdermal drug delivery 87 J.Pharm.Sci.922−925(1998);McAllister等、Microfabricatedneedles for transdermal dhivulery of macromolecules and nanoparticles:fabrication methods and transport studies, 100 Proc.Nat’l Acad.Sci.13755−13760(2003);Lin等、Transdermal derivery of antisense oligonucleotides with microprojection patch (Macroflux) technology,18(12) Pharm.Res.1787−1793(2001);及びCormier等、Transdermal derivery of desmopressin using a coated microneedle array patch system,97 J.Control.Release.503−511 (2004)がある。
【0023】
中空マイクロニードルでも、インスリン等の微小分子の送達が示されている。McAllister,Proc.Nat’l Acad.Sci.13755−13760;Martanto等、Transdermal derivery of insulin using microneedles in vivo,21 Pharm.Res.947−952(2004)を参照されたい。ヒトボランティアにおけるマイクロニードル挿入は、滑らかな表面が皮膚に適用された、又は「1片のテープの感覚」が皮膚に適用された、などと記載される感覚をもたらした。Kaushik等、Lack of pain associated with microfabricated microneedles,92 Anesth.&Analg.502−504(2001)。
【0024】
本明細書に記載の化合物及び組成物と共に使用するための、好適なマイクロニードル配列は、先述の参考文献、及び2008年1月10日に、US2008−0008745A1として公開された、米国特許出願第11/812,249号に記載されている。
【0025】
ある実施態様によれば、中実マイクロニードル接着パッチを、皮膚への挿入のために加工することができる。別の実施態様によれば、固定化マイクロニードル形状は、赤外レーザー(Resonetics Maestro,Nashua,NH,USA)を用いて75μm厚のステンレス鋼シート(Trinity Brand Industries,SS 304;McMaster−Carr,Atlanta,GA,USA)に切り分けて、その金属物質の面に対して垂直に、手で曲げることができる。皮膚に対するパッチのより良好な挿入及び接着のために、マイクロニードル配列をまとめて接着パッチとしてもよい。当該接着は、流動的な皮膚組織と、硬いマイクロニードル物質との間の機械的不一致を相殺することにより、皮膚に対してマイクロニードルを堅く保持させる働きをする。マイクロニードルパッチは、清浄のために層流フード中で組み立て、その後使用前にエチレンオキシドを用いて滅菌してもよい(AN 74j、Andersen Sterilizers,Haw River,NC,USA)。
【0026】
別の実施態様によれば、マイクロニードル配列を加工して、マイクロニードルの5×10配列中に配列させた50個のマイクロニードル含んでなるパッチを作製することができる。ある実施態様によれば、好適な個々のマイクロニードルは、底部を長さ約620μm、幅約160μm、先端を半径約1μm未満とすることができる。
【0027】
COX阻害剤
本明細書で使用される場合、COX阻害剤なる用語は、シクロオキシゲナーゼ又はCOXとしても知られるプロスタグランジンG/Hの生成を阻害することにより、哺乳類におけるプロスタグランジン生合成を阻止又は低減させる化合物のことを言う。シクロオキシゲナーゼには2つの形態、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)がある。本明細書で使用される場合、COX阻害剤なる用語は、(i)COX−1酵素を主として又は排他的に阻害する化合物;(ii)COX−2酵素を主として又は排他的に阻害する化合物;及び(iii)COX−1及びCOX−2酵素の両方を阻害する化合物(すなわち、非特異的阻害剤)を含む。COX阻害剤は、治癒プロセスを減速させることにより孔バイアビリティの向上させる働きをし、そして(i)マイクロニードルの投与、(ii)調製物、又は(iii)患者に送達される活性医薬剤のいずれかにより引き起こされる局所的炎症を低減させる働きをすることが、現在理解されている。
【0028】
本明細書に記載の様々な実施態様における使用に適するCOX阻害剤の例には、アスピリン、ジフルニサル、オルサラジン、サルサラート、スルファサラジン、アセトアミノフェン、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルメチン、ケトロラク、ジクロフェナク、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルビプロフェン、オキサプロジン、ピロキシカム、メロキシカム、ナブメトン、セレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、バルデコキシブ、ニメスリド(nimesuhde)、モフェゾラク、SC−560、FR122047、及びDuP−697がある。さらなるCOX阻害剤は、Merck Index、Thirteenth Ed.,The Physicians Desk Reference,58th Ed.,並びにGoodman及びGilmans,”The Pharmacological Basis of Therapeutics,11th Edに記載されている。
【0029】
COX阻害剤の医薬的に許容される状態には、哺乳類の経皮送達に適するものが含まれる。本明細書に記載のCOX阻害剤は、哺乳類への投与に適する任意の状態でよく、例えば、遊離塩基、遊離酸、エステル、水和物、無水物、エナンチオマー、異性体、互変異性体、多形体、誘導体等の状態がある。
【0030】
COX阻害剤の医薬的に許容される塩には、哺乳類への投与に適する塩が含まれ、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸(mesylic acid)、ステアリン酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ベータ−ヒドロキシブチル酸及びガラクツロン酸がある。医薬的に許容される塩の上記の列挙は、網羅することを意味するものではなく、当該技術分野の当業者が他のCOX阻害剤の医薬的に許容される塩を調製してもよいことを理解するように、単に例示するものである。
【0031】
ある実施態様によれば、好適な酸と遊離塩基の反応を介して、遊離塩基状態から酸付加塩を調製することができる。酸付加塩を調製するための好適な酸には、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等の有機酸、並びに塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸がある。有機酸及び無機酸の上記の列挙は、網羅することを意味するものではなく、当該技術分野の当業者が他のCOX阻害剤の医薬的に許容される塩を調製してもよいことを理解するように、単に例示するものである。他の実施態様によれば、酸付加塩は、好適な塩基での処理により、遊離塩基に再変換される。さらに他の実施態様によれば、塩基性塩は、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩である。
【0032】
活性医薬剤
本明細書で使用される場合、「活性医薬剤」なる用語は、任意の化学物質、タンパク質、ペプチド、又はヌクレオチドを含み、所望の治療結果に到達するために哺乳類に投与される剤である。活性医薬剤の例は、Merck Index:An Encyclopedia of Chemicals, Drugs, and Biologicals,14th Edition; Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,11th Edition;Physicians Desk Reference 2008,62 Edition;Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th Edition、に記載があり、これらは参照により本明細書に組み込まれる。ある実施態様によれば、活性医薬剤はCOX阻害剤である。さらなる実施態様によれば、マイクロニードルにより作られる孔開口のバイアビリティを維持するために投与されるCOX阻害剤は、活性医薬剤として投与されるCOX阻害剤と同じである。別の実施態様によれば、マイクロニードルにより作られる孔開口のバイアビリティを維持するために投与されるCOX阻害剤は、活性医薬剤として投与されるCOX阻害剤と異なる。さらなる実施態様によれば、活性医薬剤は、COX阻害剤以外の剤である。
【0033】
ある実施態様によれば、活性医薬剤は、全身的治療結果に到達するために投与される。ある実施態様によれば、本明細書に記載の組成物及び薬物送達システムは、活性医薬剤の経皮送達に適する。さらなる実施態様によれば、本明細書に記載の組成物及び薬物送達システムは、全身的治療的利益に到達するため、活性医薬剤の経皮送達に適する。さらなる実施態様によれば、本明細書に記載の組成物及び薬物送達システムは、活性医薬剤の局所投与に適する。例として、且つ本明細書に記載の発明に限定されることなく、局所投与には、限定するものではないが、皮膚の表皮及び真皮への投与があり得る。さらなる実施態様によれば、本明細書に記載の組成物及び薬物送達システムは、局所的治療的利益に到達するための、活性医薬剤の投与に適する。例として、且つ本明細書に記載の発明に限定されることなく、局所的治療効果には、限定するものではないが、皮下、筋肉及び投与領域近傍の関節における治療効果があり得る。別の実施態様によれば、本明細書に記載の組成物及び薬物送達システムは、腹部、背中、胸部、脚、腕、頭皮又は他の好適な皮膚表面の中又は上での使用のために適しており、マイクロニードル配列と併用して使用されるマイクロニードル含有パッチとして、又はマイクロニードル配列との併用に適する他の形態で、例えば、任意に閉鎖できる、軟膏、クリーム、懸濁物、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、泡又はオイル等として製剤化されてもよい。
【0034】
別の実施態様によれば、単回投薬単位は、第一のCOX阻害剤及び治療有効量、又は治療及び/又は予防有効量の活性医薬剤を含んでなる。本明細書で使用される場合、「治療有効量」又は「治療及び/又は予防有効量」なる用語は、特定の治療背景が求める可能性があるような、所要又は所望の治療及び/又は予防応答を十分に引き出す、化合物又は剤の量のことを言う。本明細書で使用される単回投薬単位には、少なくとも第一のCOX阻害剤を組み込み、活性医薬剤を送達できる孔を形成するマイクロニードル配列で皮膚を処理した後に適用できる、個々のパッチがある。
【0035】
対象にとって、治療及び/又は予防有効量の薬物は、とりわけ、対象の体重、及び当該技術分野における通常の知識を有するものに既知である他の因子に依存すると解されるはずである。本明細書において、治療剤又はその組成物を投与できる「対象」には、性別を問わず、任意の年齢のヒト対象等の哺乳類が含まれ、また任意の非ヒト動物、特に家庭動物、家畜、又は愛玩動物、例示的には、ネコ、ウシ、ブタ、イヌ又はウマ、並びに、ギニアブタ及び霊長類等の実験用動物が含まれる。
【0036】
別の実施態様によれば、本明細書に記載の組成物は、経皮投与可能な組成物中、第一の活性医薬剤を、総量で、約0.1重量%〜95重量%、例えば、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0 9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2重量%、約22.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%又は約95重量%含んでなる。
【0037】
本明細書に記載の方法を用いて経皮投与できる活性医薬剤は限定されない。実際、活性医薬剤の経皮投与に存在する従来の限定又は制限、例えば分子量もしくはサイズ、分子電荷、又は水/オクタノール分配係数等は、活性医薬剤が、マイクロニードル及び本明細書に記載のCOX阻害剤と共に投与される場合、限定因子ではない。実際、タンパク質、抗体、ペプチド、DNA、ワクチン及びナノ粒子等、他の経皮受動拡散システムには別の面で典型的に不適であると考えられるはずの、非常に巨大な分子を、局所的及び/又は全身的作用のために、皮膚を通して送達させることができる。さらに、水溶性の活性医薬剤は、以前から、角質層の脂質性質により経皮送達に不適であると考えられている。しかしながら、マイクロニードル及び本明細書に記載のCOX阻害剤の使用は、水溶性が高い化合物でさえ、皮膚のマイクロニードル治療により作られた孔を介して経皮送達ができる。すなわち、任意の種類又は分類の活性医薬剤を、皮膚のマイクロニードル治療、及び本明細書に記載のCOX阻害剤の使用を併用して送達することができる。
【0038】
疾患症状の治療方法
哺乳類の皮膚に侵入しているマイクロニードルにより作られる孔を通って活性医薬剤を経皮送達することにより、哺乳類における1又は複数の疾患症状を治療する方法が本明細書で記載される。得られた孔は、マイクロニードル配列の使用と併用するCOX阻害剤の局所使用により、活性医薬剤の送達のために、好適なバイアビリティを維持している。他の実施態様によれば、COX阻害剤は、COX−1阻害剤、COX−2阻害剤、又はCOX−1及びCOX−2両方の阻害剤があり得る。さらなる実施態様によれば、COX阻害剤は、任意の医薬的に許容される状態であってよい。治療される疾患症状は、限定されず、且つ治療のために必要とされる活性医薬剤を、マイクロニードル配列と、本明細書に記載のCOX阻害剤の使用により経皮送達できる、任意の症状であってよい。例として、且つ本明細書に記載の発明に限定されることなく、治療される疾患症状には、疼痛障害、心臓血管障害、呼吸器障害、胃腸障害、腎障害、精神障害、内分泌障害、産婦人科障害、免疫障害、骨関節障害、血液障害、腫瘍障害、栄養障害、及び感染性疾患があり得る。例示される障害を治療する特定の活性医薬剤の使用は、当該技術分野における当業者に既知であり、The Physicians Desk Reference,58th Ed.、並びにGoodman及びGilmans,”The Pharmacological Basis of Therapeutics,”11th Edに例示されている。
【0039】
「治療する」、「治療した」、「治療すること」及び「治療」なる用語は、哺乳類、特にヒトにおける疾患症状に対する任意の応答、又はその予測のことを言うと一般的に解されるはずである。当該用語には、限定するものでないが、
(i)対象における疾患症状であって、当該症状に罹患し易くても、そうでなくてもよいが、当該症状であるとは未だ診断されておらず、したがって治療が当該症状のための予防的治療を構成する疾患症状の発生を阻止すること;
(ii)疾患症状を阻害すること、すなわち、疾患症状の発症、発現又は進行を、停止、減速又は遅延させること;又は
(iii)疾患症状を軽減すること、すなわち、疾患症状の退行を引き起こすこと、
が含まれる。
【0040】
医薬賦形剤
本明細書に記載の医薬組成物及び薬物送達システムは、必要ならば、1又は複数の医薬的に許容される賦形剤を含む。本明細書の「賦形剤」なる用語は、それ自身は活性医薬剤ではなく、対象に送達される活性医薬剤と併用して使用されるか、又はその取り扱い又は保存特性等の1又は複数の特徴を向上させるか、もしくは当該組成物の用量単位に形成を可能とするか、それを促進させるために、医薬組成物もしくは薬物送達システムに添加される、任意の物質を意味する。例示であり限定するものではないが、賦形剤には、溶媒、増粘剤、浸透促進剤、湿潤化剤、滑沢剤、皮膚軟化剤、好ましくない匂いもしくは風味を隠すか無効にするために添加される物質、香料、及び組成物もしくは薬物送達システムの外観もしくは質感を向上させるために添加される物質がある。かかる任意の賦形剤を、本開示の任意の剤型において使用できる。先述の賦形剤の列挙は、網羅するものではなく、当該技術分野の通常の能力を有する者が、さらなる賦形剤を利用できることが理解できるように単に例示するものである。
【0041】
賦形剤を含む本明細書に記載の組成物及び薬物送達システムは、組成物、薬物送達システム、又はその構成成分を形成するため、1又は複数の賦形剤を、治療剤と混合することを含んでなる、調剤、薬剤、薬物送達、薬物動態、医薬又は他の関連する技術分野の通常の能力を有するものに既知である、任意の技術により調製することができる。
【0042】
剤の浸透を向上させる非限定的な例には、イソステアリン酸、オクタン酸、及びオレイン酸等のC8−C22脂肪酸;オレイルアルコール及びラウリルアルコール等のC8−C22脂肪アルコール;オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、及びラウリン酸メチル等のC8−C22脂肪酸の低級アルキルエステル;アジピン酸ジイソプロピル等のC6−C22二酸のジ(低級)アルキルエステル;モノラウリン酸グリセリル等のC8−C22脂肪酸のモノグリセリド;テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル;ポリエチレングリコール、プロピレングリコール;2−(2−エトキシエトキシ)エタノール;ジエチレングリコールモノメチルエーテル;ポリエチレンオキシドのアルキルアリールエーテル;ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル;ポリエチレンオキシドジメチルエーテル;ジメチルスルホキシド;グリセロール;酢酸エチル;アセト酢酸エステル;N−アルキルピロリドン;及びテルペンがある。使用に適するさらなる浸透促進剤は、2002年8月15任意に置換されるにUS2002−011377A1として公開された米国特許出願第10/032,163号にも記載がある。
【0043】
本明細書で使用される増粘剤(akaゲル化剤)には、ポリアクリル酸(CARBOPOL(登録商標)、Noveon,Inc.、Cleveland,Ohio)、カルボキシポリメチレン、カルボキシメチルセルロース等のアニオン性ポリマー、例えば、Carbopol(登録商標)Ultrez10、Carbopol(登録商標)940、Carbopol(登録商標)945、Carbopol(登録商標)980、Carbopol(登録商標)981、Carbopol(登録商標)ETD2001、Carbopol(登録商標)EZ−2及びCarbopol(登録商標)EZ−3等のCarbopol(登録商標)ポリマーの誘導体、並びにPemulen(登録商標)ポリマー性乳化剤、及びNoveon(登録商標)ポリカルボフィル等の他のポリマー等があり得る。
【0044】
さらなる増粘剤、エンハンサー及びアジュバントは、一般的に、RemingtonのThe Science and Practice of Pharmacy、及びthe Handbook f Pharmaceutical Excipients,Arthur H.Kibbe ed 2000に記載がある。増粘剤又はゲル化剤は、組成物の所望のレオロジー特性を提供する十分量で存在する。例示的には、1又は複数の医薬的に許容される増粘剤又はゲル化剤は、総量で、約0.1重量%、約0.25重量%、約0.5重量%、約0.75重量%、約1重量%、約1.25重量%、約1.5重量%、約1.75重量%、約2.0重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3.0重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4.0重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、約5.0重量%、約5.25重量%、約5.5重量%、約5.75重量%、約6.0重量%、約6.25重量%、約6.5重量%、約6.75重量%、約7.0重量%、約7.25重量%、約7.5重量%、約7.75重量%、約8.0重量%、約8.25重量%、約8.5重量%、約8.75重量%、約9.0重量%、約9.25重量%、約9.5重量%、約9.75重量%、約10重量%、約11重量%、約11.5重量%、約12重量%、約12.5重量%、約13重量%、約13.5重量%、約14重量%、約14.5重量%又は約15重量%存在する。
【0045】
ある実施態様によれば、ゲル形成を支援するため、任意に、中和剤が存在する。好適な中和剤には、水酸化ナトリウム(例えば、水性混合物として)、水酸化カリウム(例えば、水性混合物として)、水酸化アンモニウム(例えば、水性混合物として)、トリエタノールアミン、トロメタミン(2−アミノ 2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)、アミノメチルプロパノール(AMP)、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジイソプロパノールアミン、Ethomeen C−25(Armac Indusrial Division)、Di−2(エチルヘキシル)アミン(BASF−Wyandotte Corp.,Intermediate Chemicals Division)、トリアミルアミン、JeffアミンD−1000(Jefferson Chemical Co.)、b−ジエチルアミノプロピオニトライト(American Cyanamid Co.)、Armeen CD(Armac Indusrial Division)、Alamine 7D(Henkel Corporation)、ドデシルアミン及びモルホリンがある。中和剤は、哺乳類の皮膚との接触に適するゲルを形成するために十分な量で存在する。
【0046】
さらなる実施態様によれば、調製物は、ゲル、軟膏、クリーム、又はパッチであり、医薬活性剤と、任意に1又は複数の浸透促進剤、増粘剤、エタノールもしくはプロパノール等の低級アルコール;又は水を含んでなる。別の実施態様によれば、調製物は、ゲル、軟膏、クリーム又はパッチであり、そして当該技術分野で既知の、哺乳類の皮膚との接触に適するゲル形成において、ゲル化剤を支援するために十分な量で、水酸化ナトリウム又はトリエタノールアミン、又は水酸化カリウム、又はその組み合わせをさらに含んでなる。
【0047】
本明細書に記載される組成物は、賦形剤として、1又は複数の医薬的に許容される湿潤化剤を任意に含んでなる。本開示の組成物において湿潤化剤として使用できる界面活性剤の非限定的な例には、四級アンモニウム化合物、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、及び塩化セチルピリジニウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリエチレンアルキルフェニルエーテル、例えば、ノノキシノール9、ノノキシノール10、及びオクトキシノール9、ポロキサマー(ポリオキシエチレンとポリペプチド及びキシプロピレンのブロック共重合体)、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド及びオイル、例えば、ポリオキシエチレン(8)カプリル/カプリン モノ−及びジ−グリセリド(例えば、GattefosseのLabrasol(商標))、ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油及びポリオキシエチレン(40)水素化ヒマシ油;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば、ポリオキシエチレン(20)セトステアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン(40)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、例えば、ポリソルベート20及びポリソルベート80(例えば、ICIのTween(商標)80)、プロピレングリコール脂肪酸エステル、例えば、ラウリル酸プロピレングリコール(例えば、GattefosseのLauroglycol(商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸及びその塩、例えば、オレイン酸、オレイン酸ナトリウム及びオレイン酸トリエタノールアミン、グリセリル脂肪酸エステル、例えば、モノステアリン酸グリセリル、ソルビタンエステル、例えば、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン及びモノステアリン酸ソルビタン、チロキサポール、及びその混合物がある。存在する場合には、かかる湿潤化剤は、組成物の総重量中、総量で、0.25重量%から約15重量%、約0.4%から約10%、又は約0.5%から約5%で構成される。例示的には、1又は複数の医薬的に許容される湿潤化剤は、総量で、約0.25重量%、約0.5重量%、約0.75重量%、約1重量%、約1.25重量%、約1.5重量%、約1.75重量%、約2.0重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3.0重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4.0重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、約5.0重量%、約5.25重量%、約5.5重量%、約5.75重量%、約6.0重量%、約6.25重量%、約6.5重量%、約6.75重量%、約7.0重量%、約7.25重量%、約7.5重量%、約7.75重量%、約8.0重量%、約8.25重量%、約8.5重量%、約8.75重量%、約9.0重量%、約9.25重量%、約9.5重量%、約9.75重量%又は約10重量%である。
【0048】
本明細書に記載される組成物は、賦形剤として、1又は複数の医薬的に許容される滑沢剤(抗付着剤及び/又は流動促進剤等)を任意に含んでなる。好適な滑沢剤には、個々に、又は組み合わせのいずれかで、ベハピン酸グリセリル(glyceryl behapate)(例えば、Compritol(商標)888);ステアリン酸及びその塩、例えば、マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム)、ステアリン酸カルシウム及びナトリウム;水素化植物油(例えば、Sterotex(商標));コロイド状シリカ;ワックス;ホウ酸;安息香酸ナトリウム;酢酸ナトリウム;フマル酸ナトリウム;塩化ナトリウム;DL−ロイシン;PEG(例えば、Carbowax(商標)4000及びCarbowax(商標)6000);オレイン酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム;及びラウリル硫酸マグネシウムがある。存在する場合には、かかる滑沢剤は、組成物の総重量中、約0.1重量%から10重量%。約0.2重量%から約8重量%、又は約0.25重量%から約5重量%で構成される。例示的には、1又は複数の医薬的に許容される滑沢剤は、総量で、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2.0重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、約3.0重量%、約3.1重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約3.4重量%、約3.5重量%、約3.6重量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約3.9重量%、約4.0重量%、約4.1重量%、約4.2重量%、約4.3重量%、約4.4重量%、約4.5重量%、約4.6重量%、約4.7重量%、約4.8重量%、約4.9重量%、約5.0重量%、約5.1重量%、約5.2重量%、約5.3重量%、約5.4重量%、約5.5重量%、約5.6重量%、約5.7重量%、約5.8重量%、約5.9重量%、約6.0重量%、約6.1重量%、約6.2重量%、約6.3重量%、約6.4重量%、約6.5重量%、約6.6重量%、約6.7重量%、約6.8重量%、約6.9重量%、約7.0重量%、約7.1重量%、約7.2重量%、約7.3重量%、約7.4重量%、約7.5重量%、約7.6重量%、約7.7重量%、約7.8重量%、約7.9重量%、約8.0重量%、約8.1重量%、約8.2重量%、約8.3重量%、約8.4重量%、約8.5重量%、約8.6重量%、約8.7重量%、約8.8重量%、約8.9重量%、約9.0重量%、約9.1重量%、約9.2重量%、約9.3重量%、約9.4重量%、約9.5重量%、約9.6重量%、約9.7重量%、約9.8重量%、約9.9重量%又は約10.0重量%で存在する。
【0049】
別の実施態様によれば、本明細書に記載の組成物は、任意に皮膚軟化剤を含んでなる。例示的な皮膚軟化剤には、鉱物油、鉱物油とラノリンアルコールの混合物、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ペトロラタム、ペトロラタムとラノリンアルコール、セチルエステルワックス、コレステロール、グリセリン、モノステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、レシチン、カプロン酸アリル、アルテア・オフィシナリス(althea officinalis)抽出物、アラキドリルアルコール、アルコベース(argobase)EUC、ジカプリル酸/ジカプリン酸ブチレングリコール、アカシア、アラントイン、カラギーナン、セチルジメチコン、シクロメチコン、コハク酸ジエチル、ベヘン酸ジヒドロアビエチル(dihydroabietyl behenate)、アジピン酸時オクチル、ラウリン酸エチル、パルミチン酸エチル、ステアリン酸エチル、ラウリン酸イソアミル、オクタン酸塩、PEG−75、ラノリン、ラウリン酸ソルビタン、クルミ油、コムギ胚芽油、超精製アーモンド、超精製ゴマ、超精製ダイズ、パルミチン酸オクチル、カプリル/カプリントリグリセリド及びグリセリルココエートがある。
【0050】
存在する場合には、皮膚軟化剤は、本明細書に記載の組成物中に、約1重量%から約30重量%、約3重量%から約25重量%、又は約5重量%から約15重量%の量で存在する。例示的には、1又は複数の皮膚軟化剤は、総量で、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%又は約30重量%存在する。
【0051】
ある実施態様によれば、組成物は、抗微生物保存料を含んでなる。例示的な抗微生物保存料には酸があり、限定するものではないが、例えば、安息香酸、フェノール酸、ソルビン酸、アルコール、塩化ベンゼトニウム、ブロノポール、ブチルパラベン、セトリミド、クロヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、エチルパラベン、イミデュレア(imidurea)、メチルパラベン、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルベート酸カリウム、プロピルパラベン、プロピオン酸ナトリウム、又はチメロサールがある。存在する場合、抗微生物保存料は、約0.1重量%から約5重量%、約0.2重量%から約3重量%、又は約0.3重量%から約2重量%、例えば、約0.2重量%、0.4重量%、0.6重量%、0.8重量%、1重量%、1.2重量%、1.4重量%、1.6重量%、1.8重量%、2重量%、2.4重量%、2.6重量%、2.8重量%、3.0重量%、3.2重量%、3.4重量%、3.6重量%、3.8重量%、4重量%、4.2重量%、4.4重量%、4.6重量%、4.8重量%、又は5重量%存在する。
【0052】
本明細書に記載の組成物は、任意に、1又は複数の乳化剤を含んでなる。「乳化剤」なる用語は、非極性相と極性相との間の表面張力を低下させることができる剤のことを言い、「自己乳化」剤として定義される化合物が含まれる。好適な乳化剤は、任意の分類の医薬的に許容される乳化剤に由来してよく、例えば、炭水化物、タンパク質、高分子量アルコール、湿潤化剤、ワックス及び微粉砕固体がある。存在する場合、任意の乳化剤は、組成物中、総量で、約1重量%から約15重量%、約1重量%から約12重量%、約1重量%から約10重量%、又は約1重量%から約5重量%存在する。例示的には、1又は複数の乳化剤は、総量で、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、又は約15重量%存在する。
【0053】
別の実施態様によれば、水非混和性溶媒はプロピレングリコールを含んでなり、組成物中に、総量で、約1重量%から約99重量%、例えば、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量%、又は約99重量%存在する。
【0054】
医薬剤型
本明細書で使用される場合、「経皮薬物送達システム」は、第一のCOX阻害剤と併用して使用されるマイクロニードルの第一の配列を含んでなる。本明細書に記載され且つ請求される発明の様々な別の実施態様には、(i)マイクロニードル配列装置等のマイクロニードル配列での皮膚の処理前、処理中もしくは処理後のいずれかで、皮膚表面に適用できるCOX阻害剤含有ゲルの使用;(ii)マイクロニードル配列装置等のマイクロニードル配列での皮膚の処理後、皮膚表面に適用できる、COX阻害剤及び活性医薬剤を含んでなるパッチ;(iii)マイクロニードル配列適用装置を組み込むことができるパッチ適用;(iv)マイクロニードルの一部を被覆できるCOX阻害剤;及び(v)中空マイクロニードルを通り、皮膚へ送達される調製物の一部となることができるCOX阻害剤、を含む。マイクロニードル配列装置の例には、http://www.macroflux.com/bl.htm及びhttp://www.bd.com/technologies/add/ftPlatformTechnologyがある。
【0055】
ある実施態様によれば、本明細書に記載の化合物及び医薬組成物は、マイクロニードル配列と併用されるパッチ等の経皮送達システムにおける使用に適する。例えば、本明細書に記載の化合物及び組成物は、膜調節性経皮送達システムにおける使用に適する。このシステムのある実施態様によれば、患者に経皮投与される活性医薬剤を含有するリザーバーを、薬物浸透不可能な支持体と、送達される化合物が制御されて通過する速度制御(rate controlling)ポリマー性膜から形成される、浅いコンパートメントに封入することができる。別の実施態様によれば、膜外表面は、薬物適合性のある、低刺激性接着ポリマー(例えば、シリコン又はポリアクリレート接着剤)の薄層を有し、これは、経皮システムと皮膚との緊密な接触を達成するために適用される。
【0056】
本明細書に記載の化合物及び医薬組成物はまた、マイクロニードル配列と併用する、接着拡散制御した経皮システムにおける使用に適する。これらの実施態様によれば、薬物リザーバーは、接着ポリマーにおいて、送達される(1又は複数の)活性医薬剤を直接分散させ、その後、薬物が浸透不可能な支持膜の平面シート上に、薬用接着剤を広げて、活性医薬剤リザーバーの薄層を形成させることにより、調製することができる。任意に、薬物リザーバー層の頂部に、一定厚みの、非薬用速度制御接着ポリマーの追加の層を置き、接着剤の分散を制御した薬物送達システムを作製する。得られた接着剤の分散を制御した経皮システムを、その後、事前にマイクロニードル治療を受けた皮膚の領域に適用する。
【0057】
本明細書に記載の化合物及び医薬組成物は、マイクロニードル配列と併用するマトリクス分散型システムにおける使用にも適する。これらのシステムにおいて、(1又は複数の)活性医薬剤を含有するリザーバーを、親水性又は親油性ポリマーマトリクス中の(1又は複数の)活性医薬剤を均一に分散させ、薬用ポリマーを、規定の表面積及び制御された厚み有する薬用ディスクに成形することにより形成できる。その後当該ディスクを、薬物浸透不可能な支持体から加工されたコンパートメント中の閉鎖底板に密接させる。接着ポリマーを、外周に沿って広げ、薬用ディスクの周囲に1束の接着枠を形成させる。その後、得られた分散型経皮システムを、事前にマイクロニードル治療を受けた皮膚の領域に適用する。
【0058】
本明細書で記載される化合物及び医薬組成物は、マイクロニードル配列と併用するマイクロリザーバーシステムにおける使用にも適する。これらのシステムにおいて、薬物リザーバーは、最初に水溶性ポリマーの水溶液に薬物粒子を懸濁させ、その後(1又は複数の)活性医薬剤の多数の浸出不可能な微小球体リザーバーを形成させる、高剪断の機械力により、親油性ポリマー中にそれを分散させることにより形成される。この不安定な分散は、一定の表面積及び固定した厚みを有する薬用ポリマーディスクを作製する、急速なポリマー架橋により、速やかに安定化される。薬用ディスクが、その中心に置かれ、且つ接着枠に囲まれる経皮治療システムが作製される。得られるマイクロリザーバー経皮システムを、その後、事前にマイクロニードル治療を受けた皮膚の領域に適用する。
【0059】
ある実施態様によれば、薬物及び接着剤を、1つのモノリシック層として製剤化する。当該薬物は、溶媒中で(例えば、塩化メチレン又は酢酸エチル)、接着剤(例えば、シリコン型、Dow Corning及び他の製造業者から入手可能)と共に混合することができる。その後、正確なウェットフィルムアプリケーターで、この薬物混合物を、約100ミクロン以上の均一な厚みで、ポリエステル支持体に押し出す。溶媒を、乾燥オーブン中で蒸発させ、得られた「パッチ」を適切なサイズに整える。所望の定常状態の流動速度及び接着特性が得られるまで、様々なパッチ調製物が作られるはずである。調製物における接着剤の量を変化させることと同様に、様々な接着剤を試すことができる(Nalluri,Milligan等 2005)。National Starch Chemical Company製のアクリレートビニルアセテート非硬化性圧力感受性接着剤である、DURO−TAK 387−2051と共に、モノリシックパッチを作製することにより、好適な結果が得られている。様々な溶媒(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、プロピレングリコール)を、活性医薬剤の送達速度を最適化するため、任意に、調製物に組み込むことができる。さらなる実施態様によれば、リザーバーパッチは、存在する場合、例えば、薬物がモノリシックマトリクスパッチ調製物に適合しないように、作製することができる。リザーバーシステムにおいて、(1又は複数の)活性成分及び任意の(1又は複数の)賦形剤を、ゲルとして製剤化し、放出層と、ポリエステル又は当該技術分野の当業者に既知の物質等の浸透不可能な支持体との間に密封する。アクリル接着剤を有するエチル酢酸ビニル膜が好適であることがわかった。先述の各実施態様によれば、当該パッチは、その後、事前にマイクロニードル治療を受けた皮膚の領域に適用する。
【0060】
DURO−TAK接着剤(National Starch Chemical Company,USA)により経皮送達される(1又は複数の)活性医薬剤を、様々な量で含む接着パッチ調製物を調製することができる。適切な量の接着剤及び薬物を、10分間超音波分解し、40ミル厚に設定したウェットフィルムアプリケーター(Paul N.Gardner Company,Inc.,Pompano Beach,FL)で、放出ライナー(9742 Scotchpak,3M,St.Paul,MN)にキャストし、室温に1時間、その後70℃のオーブンで10分放置することができる(任意の残存溶媒を除去するため)。その後、パッチを支持膜(CoTran 9722,3M,St.Paul,MN)で覆い、適切なサイズに切り、その後さらなる研究のためにデシケーターで保存してもよい。その後、得られたパッチを、事前にマイクロニードル治療を受けた皮膚の領域に適用する。
【0061】
さらなる実施態様によれば、パッチ調製物及びパッチ等の経皮送達システムの調製に適するさらなる接着剤には、ポリイソブチレン、アクリレート、シリコン及びその組み合わせがある。さらなる接着剤は、2008年3月27日にUS2008/0076789として公開された、米国特許出願第11/860,432号に記載がある。
【0062】
本明細書に記載の化合物及び医薬組成物は、マイクロニードル配列での処理前、処理中又は処理後のいずれかで、皮膚表面に適用できる、COX阻害剤含有ゲルの使用にも適する。さらなる実施態様によれば、COX阻害剤に加え、ゲルは、活性医薬剤も含有することができる。
【0063】
別の実施態様によれば、第一のCOX阻害剤及び活性医薬剤を組み込む経皮パッチは、マイクロニードル治療を受けている皮膚の領域に適用され、対象への活性医薬剤の経皮送達が、実質的に均一であり、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約6時間、約12時間、約24時間、約48時間、約72時間、約96時間、約5日、約6日又は約7日の期間にわたり持続するように、活性医薬剤の放出を制御することができる。本明細書に記載の方法の実施において使用できるかかる経皮パッチは、閉鎖体の形態をとることができる。実際には、第一のCOX阻害剤及び第一の活性医薬剤を含む閉鎖体を、活性医薬剤を経皮送達するマイクロニードル治療を受けている皮膚の領域に適用する。
【0064】
マイクロニードル孔バイアビリティを向上させる方法
マイクロニードル孔バイアビリティを向上させる方法は、本明細書に記載され、哺乳類の皮膚に孔を作るためのマイクロニードル配列の使用、及びマイクロニードル配列の使用と併用してCOX阻害剤を局所適用することを含んでなり、ここで、活性医薬剤の経皮送達の速度及び程度を、COX阻害剤の不使用と比較して増加させるように、得られた孔は、向上したバイアビリティを有する。他の実施態様によれば、COX阻害剤は、COX−1阻害剤、COX−2阻害剤、又はCOX−1及びCOX−2の両方の阻害剤があり得る。さらなる実施態様によれば、COX阻害剤は、任意の医薬的に許容される状態であってよい。
【実施例】
【0065】
第1項 要約
本明細書に記載の本研究の目的は、マイクロニードルにより作られる孔の、孔バイアビリティ向上を評価することであった。プロスタグランジンの低下は、マイクロニードルでの処理後、投薬間隔を延長させることになるかを決定するため、COX特異的及び非特異的な阻害剤について調べた。ジクロフェナク及びセレコキシブ等のCOX阻害剤は、2日送達期間(window)を示す従来の結果と比較して、マイクロニードル孔の向上したバイアビリティを示した。プラセボ効果は観察されなかったので、COX阻害剤は、自然な創傷治癒のために重要なプロスタグランジンの合成阻害により、通常の治癒経路を阻害することに寄与できる。
【0066】
表1に示されるクラスII、III、及びVIIのCOX阻害剤、Solaraze(登録商標)ゲル(ジクロフェナクナトリウム3%)、ケトプロフェン及びイブプロフェン10%ゲル及び3%セレコキシブゲルを、マイクロニードルへの暴露の存在下及び不存在下で、プラセボ調製物と平行して試験した。ジクロフェナクゲルは、強力な抗腫瘍効果をもたらすことが示されており、一般的に、光線角化症の治療のために処方される。イブプロフェン及びケトプロフェンは、一般的に、頭痛、筋肉痛及び捻挫、と多岐にわたる痛み及び炎症のために使用される。セレコキシブは、関節炎に関連する炎症の治療のために処方される。
【0067】
第2項 方法
1.0 目的
本研究の目的は、COX特異的及び非特異的阻害剤存在下、マイクロニードルにより作られる孔のバイアビリティの向上を評価し、且つプロスタグランジンの減少が、マイクロニードル治療後、投薬間隔の延長をもたらすかを決定することである。
【0068】
2.0 COX阻害剤
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
3.0 調製物
ジクロフェナクゲル(Solaraze(登録商標)ゲル、Doak Dermatologies,Fairfield,NJ)を購入し、バルクジクロフェナクから調製した3%ゲルと共に、市販の状態で使用した。イブプロフェン、ケトプロフェン及びセレコキシブは全て、2%非イオン性ポリマー(Klucel(登録商標)、Hercules Inc, Wilmington, DE)を含有する単純なゲルとして製剤化した。
【0072】
全てのNSAIDSは、マイクロニードルにより作られる孔のバイアビリティを向上させることにより、活性医薬成分のマイクロニードル浸透を向上させるためのアジュバントとして、ゲル調製物において0.5%〜20%の範囲で調製できる。
【0073】
全てのゲルは、ボルテックス及び30分の超音波分解で完全に混合することにより調製した。Klucel(登録商標)は、湿潤化した場合、自然に膨張する非イオン性ポリマーであるため、ポリマー弛緩を誘導するための基材の添加は必要なかった。
【0074】
【表3】

【0075】
【表4】

【0076】
【表5】

【0077】
【表6】

【0078】
【表7】

【0079】
【表8】

【0080】
4.0 マイクロニードル研究
対象1では2つの治験が完了し、対象2では1つの治験が完了した。初期治験の間、対象1は、Solaraze(登録商標)ゲルのみで、7日間試験した。100個のマイクロニードル配列を、各試験部位に置き、ゲルで覆った。その後、当該ゲルを閉鎖支持膜(3M(商標)、Scotchpak(商標)、9733 2.05ミル ポリエステルフィルム、St.Paul,MN)で保護し、試験部位をBioclusive*テープ(Johnson and Johnson Medical Ltd,Gargrave,Skipton,UK)で固定した。ゲル試験部位と共に、マイクロニードル挿入有り及び無しのコントロール部位を、ゲル抜きで試験した。コントロール部位は、ゲル抜き100マイクロニードル挿入で、同じ方法で処理した。初期治験は7日間継続し、その後5日間の研究が続いた。
【0081】
治験2では、以下の各ゲル調製物を用いて、様々な試験部位及びコントロール部位に同じ方法で行った。プラセボ、Solaraze(登録商標)ゲル、3%ジクロフェナク、3%セレコキシブ、10%イブプロフェン、10%ケトプロフェン、及びマイクロニードル治療が有り及び無しのコントロールである。各日、保護被覆を除去し、ゲル及び閉じ込められた湿気を除去するために、Kimwipe(Kimberly−Clark,Roswell,GA)を用いて領域を拭い、そしてRG1 Evaporimeter(cyberDERM,Broomall,PA)を用いてTEWLの計測を行った。処理した領域には、調製物が再び適用され、マイクロニードルにより作られる孔の閉鎖を防ぐため速やかに覆われた。
【0082】
第3項 結果
コントロールと、ケトプロフェン及びイブプロフェンのマイクロニードル治療した領域との間では、孔バイアビリティの向上は観察されなかった。同様に、調製した3%ジクロフェナク調製物は、研究を通して、孔バイアビリティの向上に効果はなかった。これらの効果のない例は、ゲルからの浸透性が最適化されていなかったというような、調製物設計の結果による可能性がある。プラセボ調製物では効果が見られなかった。したがって、孔寿命の任意の向上は、COX阻害剤による可能性があった。図1及び2に示される通り、両方の対象における5日の研究の過程を通して、TEWLの計測値に重複が存在した。しかしながら、図3及び4にそれぞれ示される通り、3%セレコキシブのマイクロニードル治療した皮膚では、TEWL計測値の有意な向上(p<0.05)が、対象1で4日間、対象2で3日間観察された。最も有意な孔バイアビリティ向上はSolaraze(登録商標)ゲルでもたらされ、図5に示される通り、試験1で7日間にわたり、Solaraze(登録商標)ゲルでマイクロニードル治療した皮膚が、Solaraze(登録商標)ゲル単独の場合と比較して、向上したことを示す。治験の最初の3日間にわたるマイクロニードル閉鎖皮膚コントロールの低下傾向も示され、これは約48時間後のマイクロニードル孔が閉鎖することと一致する。図5は、未処理且つ非損傷のTEWL計測値も示し、これは7日間にわたる治験で、低く且つ一定の値を維持する。対象1及び2の両方における治験2は、最も少ない水分損失の増加を示す。TEWL値は、対象1及び2について、4日間(図6)及び3日間(図7)で、水分損失速度の向上が示された。
【0083】
COX−1は常に、組織に存在しているようであり、COX−2は、発現を引き起こすために積極的に誘導されるはずであるため、両方のCOX酵素が捕捉され、且つ創傷治癒をもたらす事象のカスケードを開始させるために利用できないので、非特異的COX阻害剤は、マイクロニードル孔バイアビリティを向上させる可能性がある。COX−1及びCOX−2阻害剤の両方とも、患者により装着されるパッチのための様々な時間量(例えば、約1日から約7日の間)を要する、特別に設計されたパッチについて、マイクロニードル孔のバイアビリティを向上させるよう働く可能性がある。
【0084】
本開示における(特に以下の請求の範囲に関連して)、「1つの」(a及びan)及び「その」(the)なる用語、及び類似表現の使用は、本明細書に特に指示するか、又は文脈に明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解されるべきである。本明細書に記載される全ての方法及び個別の方法は、本明細書で特に指示するか、又は文脈に明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で又は同時に行うことができる。本明細書で提供される、任意の及び全ての例、又は例示的な用語(例えば、「等」、「好ましい」、「好ましくは」)は、単に、当該化合物維持の内容をさらに例示する意図であり、添付の請求の範囲が付与される、等価なものの範囲、又は領域に制限を加えるものではない。明細書における用語は、本開示の実施に必須であるような、任意の請求しない要素を示すと解されるべきではない。
【0085】
本明細書に引用される刊行物、特許出願、及び特許等の全ての参考文献は、各参考文献は、個別的且つ具体的に指示され、且つ本明細書にその全体において示されるのと同程度まで、参照により組み込まれる。
【0086】
請求される開示の別の実施態様、例えば、請求の発明を実施するために、発明者等に既知の最良の態様が、本明細書に記載される。これらのうち、当該技術分野の通常の能力を有する者が先述の開示に接すると、開示の実施態様の変形が明らかになるはずである。発明者等は、適切な変形(例えば、特性又は実施態様を、変化させるか、又は組み合わせる)を使用する当業者を想定し、且つ発明者等は、本明細書に具体的に記載されるものとは別の方法で実施される発明を意図する。
【0087】
したがって、本発明には、適用法により認められるような、本明細書に添付される請求の範囲において記載される主題の、全ての修正及び等価物が含まれる。さらに、本明細書で特に指示するか、又は文脈に明らかに矛盾しない限り、全ての可能な変形において、上記の要素の任意の組み合わせが、本発明に包含される。
【0088】
個々の数値の使用は、当該値が「約」又は「およそ」なる語の後に置かれるように、近似として記載される。同様に、本出願において特定される様々な範囲の数値は、特に明確に指示されない限り、記載された範囲の最小値及び最大値が両方とも、「約」又は「およそ」なる語の後に置かれるように、近似として記載される。このように、記載される範囲の上下の変形は、当該範囲内の値として、実質的に同じ結果に到達するために使用できる。本明細書で使用される場合、数値を記載する場合、「約」及び「およそ」なる用語は、開示の主題が最も緊密に関連する技術分野か、問題の範囲又は要素に関連する技術分野における通常の知識を有する者にとって、平易且つ通常の意味を有するものとする。厳密な数の境界からの量の広がりは、多くの因子に依存する。例えば、特定量の変形が請求される主題の機能を有する場合、考えられる可能性のある当該因子には、その要素及び/又は効果の臨界、並びに当該技術分野における当業者に既知の他の考えが含まれる。本明細書で使用される場合、様々な数値についての、様々な量の有効数字の使用は、「約」又は「およそ」なる語の使用が、特定の数値又は範囲を拡張するためにどのように働くかを限定する意味はない。すなわち、一般的には、「約」又は「およそ」は数値を拡張する。範囲の開示は、最小値と最大値の間の全ての値、プラス、「約」又は「およそ」なる用語の使用により利用できる範囲の広がりを含む、連続範囲としても意図される。すなわち、本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で特に指示しない限り、単に、当該範囲にある個別の値について個々に言及する、簡潔な方法として機能することを意図するものであり、個別の値は、本明細書に個々に記載されているように、本明細書に組み込まれる。
【0089】
本明細書に開示される任意のデータから形成されるか、それに由来する、任意の範囲、比率及び比率の範囲は、本開示のさらなる実施態様を表し、且つそれらが明示的に示されているように当該開示の一部として含まれる、と解されるべきである。これには、有限な上限及び/又は下限を含むか、又は含まないように形成され得る範囲が含まれる。したがって、特定の範囲、比率又は比率の範囲に最も緊密に関連する技術分野における通常の能力を有する者は、かかる値が本明細書に示されるデータから、明確に記載できることを理解するはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.第一のマイクロニードルの配列、
b.第一のCOX阻害剤、及び
c.活性医薬剤、
を含んでなり、ここで第一のCOX阻害剤は活性医薬剤とは異なる、経皮薬物送達システム。
【請求項2】
前記第一のCOX阻害剤が、非特異的COX阻害剤、COX−1阻害剤、及びCOX−2阻害剤からなる群から選択される、請求項1に記載の経皮薬物送達システム。
【請求項3】
前記非特異的COX阻害剤が、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルニサル、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オルサラジン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサラート、スルファサラジン、スリンダク、及びトルメチン、からなる群から選択される、請求項2に記載の経皮薬物送達システム。
【請求項4】
前記COX−1阻害剤が、モフェゾラク、SC−560、及びFR122047からなる群から選択される、請求項2に記載の経皮薬物送達システム。
【請求項5】
前記COX−2阻害剤が、エトドラク、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ及びエトリコキシブからなる群から選択される、請求項2に記載の経皮薬物送達システム。
【請求項6】
前記活性医薬剤が第二のCOX阻害剤であり、及び第一のCOX阻害剤が第二のCOX阻害剤とは異なる、請求項1に記載の経皮薬物送達システム。
【請求項7】
前記活性医薬剤がCOX阻害剤ではない、請求項1に記載の経皮薬物送達システム。
【請求項8】
前記活性医薬剤が、タンパク質、ヌクレオチド、ペプチド、抗体、ワクチン、高分子、ナノ粒子及び親水性分子からなる群から選択される、請求項1に記載の経皮薬物送達システム。
【請求項9】
a.第一のCOX阻害剤;及び
b.活性医薬剤
を含んでなり、当該活性医薬剤がマイクロニードルの使用により経皮送達され、且つ第一のCOX阻害剤は活性医薬剤とは異なる、経皮投与のための組成物。
【請求項10】
前記第一のCOX阻害剤が、非特異的COX阻害剤、COX−1阻害剤、及びCOX−2阻害剤、からなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記非特異的COX阻害剤が、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルニサル、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オルサラジン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサラート、スルファサラジン、スリンダク、及びトルメチン、からなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記COX−1阻害剤が、モフェゾラク、SC−560、及びFR122047からなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記COX−2阻害剤が、エトドラク、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ及びエトリコキシブからなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記活性医薬剤が第二のCOX阻害剤であり、及び第一のCOX阻害剤が第二のCOX阻害剤と異なる、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
前記活性医薬剤がCOX阻害剤ではない、請求項9に記載の組成物。
【請求項16】
前記活性医薬剤が、タンパク質、ヌクレオチド、ペプチド、抗体、ワクチン、高分子、ナノ粒子及び親水性分子からなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項17】
a.皮膚を第一のマイクロニードルの配列と接触させるステップ;並びに
b.(i)第一のCOX阻害剤;及び
(ii)経皮送達させる活性医薬剤、
を含んでなる組成物を適用するステップ、
を含んでなり、ここで当該第一のCOX阻害剤は活性医薬剤とは異なる、活性医薬剤を経皮投与するための方法。
【請求項18】
前記第一のCOX阻害剤が、非特異的COX阻害剤、COX−1阻害剤、及びCOX−2阻害剤からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記非特異的COX阻害剤が、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルニサル、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オルサラジン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサラート、スルファサラジン、スリンダク、及びトルメチン、からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記COX−1阻害剤が、モフェゾラク、SC−560、及びFR122047からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記COX−2阻害剤が、エトドラク、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ及びエトリコキシブからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記活性医薬剤が第二のCOX阻害剤であり、及び第一のCOX阻害剤が第二のCOX阻害剤と異なる、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記活性医薬剤がCOX阻害剤ではない、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記活性医薬剤が、タンパク質、ヌクレオチド、ペプチド、抗体、ワクチン、高分子、ナノ粒子及び親水性分子からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
a.皮膚をマイクロニードルの第一の配列と接触させるステップ;並びに
b.(i)経皮送達される活性医薬剤;及び
(ii)第一のCOX阻害剤、
の治療有効量を含んでなる組成物を適用するステップ、
を含んでなり、ここで当該第一のCOX阻害剤は活性医薬剤とは異なり、疼痛障害、心臓血管障害、呼吸器障害、胃腸障害、腎障害、精神障害、内分泌障害、産婦人科障害、免疫障害、骨関節障害、血液障害、腫瘍障害、栄養障害、及び感染性疾患からなる群から選択される症状の治療用の、医薬の製造における経皮薬物送達システムの使用。
【請求項26】
前記第一のCOX阻害剤が、非特異的COX阻害剤、COX−1阻害剤、及びCOX−2阻害剤からなる群から選択される、請求項25に記載の、医薬の製造における経皮薬物送達システムの使用。
【請求項27】
前記非特異的COX阻害剤が、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルニサル、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オルサラジン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサラート、スルファサラジン、スリンダク、及びトルメチン、からなる群から選択される、請求項26に記載の、医薬の製造における経皮薬物送達システムの使用。
【請求項28】
前記COX−1阻害剤が、モフェゾラク、SC−560、及びFR122047からなる群から選択される、請求項26に記載の、医薬の製造における経皮薬物送達システムの使用。
【請求項29】
前記COX−2阻害剤が、エトドラク、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ及びエトリコキシブからなる群から選択される、請求項26に記載の、医薬の製造における経皮薬物送達システムの使用。
【請求項30】
前記活性医薬剤が第二のCOX阻害剤であり、及び第一のCOX阻害剤が第二のCOX阻害剤と異なる、請求項25に記載の、医薬の製造における経皮薬物送達システムの使用。
【請求項31】
前記活性医薬剤がCOX阻害剤ではない、請求項25に記載の、医薬の製造における経皮薬物送達システムの使用。
【請求項32】
前記活性医薬剤が、タンパク質、ヌクレオチド、ペプチド、抗体、ワクチン、高分子、ナノ粒子及び親水性分子からなる群から選択される、請求項25に記載の、医薬の製造における経皮薬物送達システムの使用。
【請求項33】
a.経皮送達される活性医薬剤及び第一のOCX阻害剤を含んでなる組成物を投与するステップを含んでなり、ここで当該第一のCOX阻害剤は活性医薬剤とは異なる、マイクロニードル孔バイアビリティを延長する方法。
【請求項34】
前記第一のCOX阻害剤が、非特異的COX阻害剤、COX−1阻害剤、及びCOX−2阻害剤からなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記非特異的COX阻害剤が、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルニサル、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オルサラジン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサラート、スルファサラジン、スリンダク、及びトルメチン、からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記COX−1阻害剤が、モフェゾラク、SC−560、及びFR122047からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記COX−2阻害剤が、エトドラク、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ及びエトリコキシブからなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記活性医薬剤が第二のCOX阻害剤であり、及び第一のCOX阻害剤が第二のCOX阻害剤と異なる、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記活性医薬剤がCOX阻害剤ではない、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記活性医薬剤が、タンパク質、ヌクレオチド、ペプチド、抗体、ワクチン、高分子、ナノ粒子及び親水性分子からなる群から選択される、請求項33に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−505380(P2011−505380A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536227(P2010−536227)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/085195
【国際公開番号】WO2009/073630
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(510027319)オールトランツ インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】