説明

マイクロバブル・炭酸泉発生装置の吐出ノズル

【課題】浴槽用等のマイクロバブル・炭酸泉発生装置に用いる吐出ノズルおいて、空気や二酸化炭素のマイクロバブルの発生と炭酸泉の発生に適した吐出ノズルを提供すること。
【解決手段】吐出ノズルは、可動部1と固定部2からなる。可動部1は、ネジ15により固定部2に摺動可能に取付けてあり、摺動用凹部22、摺動用開口部21に沿って移動する。可動部1の吐出開口部12には、2枚の金網111の保持部材11を嵌めてある。固定部2は、空気或いは二酸化炭素の溶解水を供給するホースの結合部25備え、ホース結合部25の底部には、減圧用の孔23を形成してある。空気或いは二酸化炭素のマイクロバブルを発生するときは、可動部1を破線の位置へ移動し、炭酸泉を発生するときは、実線の位置へ移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、浴槽、水槽、プール、洗浄装置、殺菌装置等に用いるマイクロバブル・炭酸泉発生装置の吐出ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来浴槽に空気又は二酸化炭素のマイクロバブルと炭酸泉を発生できるマイクロバブル・炭酸泉発生装置が提案されている(特許文献1参照)。
図5(a)は、従来のマイクロバブル・炭酸泉発生装置の構成の概要を示す。
浴槽561の水562は、吸込口551から吸込まれ、ポンプ51、管結合部52を介して吐出ノズル552へ供給され、吐出ノズル552から浴槽561の水562中へ吐出(噴射)される。その際空気は、空気取込口541から取込まれ、電磁弁531を介して管結合部52へ供給され、管結合部52において水に混入する。一方ボンベ542の二酸化炭素ガスは、電磁弁532を介して管結合部52へ供給され、管結合部52において水に混入する。電磁弁531,532は、選択的に開閉し、一方が開いているとき他方は閉じている。したがって電磁弁531が開いているとき、空気が取込まれ、電磁弁532が開いているとき、二酸化炭素ガスが取込まれる。
水に取込まれた空気又は二酸化炭素ガスは水に溶解し、その溶解水は、吐出ノズル552から水562中へ吐出される。その際、溶解水中の空気又は二酸化炭素の一部は、マイクロバブル563になる。二酸化炭素がマイクロバブル化しないで残存する溶解水は、炭酸泉となる。
【0003】
図5(a)のマイクロバブル・炭酸泉発生装置の場合、水に混入した空気又は二酸化炭素ガスは、水に溶解する量が少ないため、マイクロバブル563の発生量も少ない。
そこで本願発明者は、図5(b)のマイクロバブル・炭酸泉発生装置を提案し出願した(特願2007−78037号)。
図5(b)のマイクロバブル・炭酸泉発生装置について説明する。
浴槽671の水672は、吸込口661から吸込まれ、ポンプ61により気液混合タンク651の水噴射ノズル641へ供給される。また空気は、オリフィス固定弁631から取込まれ、電磁弁621が開いているとき、吸込口661から吸込まれた水に混入する。またボンベ632の二酸化炭素ガスは、電磁弁622を介して気液混合タンク651のガス噴射ノズル642へ供給される。電磁弁621,622は、選択的に開閉し、一方が開いているとき他方は閉じている。
【0004】
気液混合タンク651の水噴射ノズル641は、電磁弁621が開いているとき、空気の混入した水を噴射し、電磁弁621が閉じているとき、水のみを噴射する。また気液混合タンク651のガス噴射ノズル642は、電磁弁622が開いているとき、二酸化炭素ガスを噴射する。
電磁弁621が開いているときは、水噴射ノズル641から水と空気が噴射して、衝突板を備えた衝突部材652に衝突して跳ね返るとともに、水653を吹き上げて撹拌する。その撹拌により空気は、水653に高濃度で溶解する。また電磁弁622が開いているときは、ガス噴射ノズル642から二酸化炭酸ガスが噴射し、水噴射ノズル641から水が噴射して、水と二酸化炭酸ガスは、気液混合タンク651内で撹拌される。その撹拌により二酸化炭酸ガスは、高濃度で水653に溶解する。
空気又は二酸化炭酸ガスの溶解した水653は、吐出ノズル662から水672中へ吐出される。その際水653に溶解した空気又は二酸化炭酸は、マイクロバブル673となる。
気液混合タンク651は、円筒状で内径は上部73mm、下部68mm、高さ130mmである。気液混合タンク651内の気体領域(水653以外の領域)の空気圧或いは二酸化炭素ガス圧は、所定値(例えば空気圧0.25MPa、二酸化炭素ガス圧0.18MPa)に設定する。
【0005】
【特許文献1】特開2006−320675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者は、従来の図5(b)のマイクロバブル・炭酸泉発生装置について種々試験したところ、空気又は二酸化炭酸のマイクロバブルの発生量は、水に溶解している空気又は二酸化炭酸の溶解濃度が同じ場合、吐出ノズルの構造により異なることを突き止めた。
そこで本願発明は、マイクロバブル・炭酸泉発生装置に用いる、マイクロバブルと炭酸泉の発生に適した構造の吐出ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、その目的を達成するため、請求項1に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置の吐出ノズルは、固定部と可動部からなり、固定部は空気又は二酸化炭素の溶解水を減圧する減圧部を備え、可動部は乱流発生部材を備え、可動部を前記減圧部に着脱できることを特徴とする。
請求項2に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置の吐出ノズルは、請求項1に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置の吐出ノズルにおいて、前記乱流発生部材は、金網であることを特徴とする。
請求項3に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置の吐出ノズルは、請求項2に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置の吐出ノズルにおいて、前記金網は複数枚重ねてあることを特徴とする。
請求項4に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置の吐出ノズルは、請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置の吐出ノズルにおいて、前記可動部の着脱は、摺動式であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願発明の吐出ノズルは、固定部と可動部からなり、固定部は減圧部を備え、可動部は乱流発生部材を備えているから、可動部を固定部の減圧部に着脱することにより、空気や二酸化炭素のマイクロバブルを効率よく発生したり、マイクロバブルの発生を抑制して炭酸泉を効率よく発生したりすることができる。したがって吐出ノズルの可動部を固定部の減圧部に着脱するだけで、マイクロバブル・炭酸泉発生装置をマイクロバブルの発生に利用することも、また炭酸泉の発生に利用することもできる。
本願発明の吐出ノズルは、可動部の乱流発生部材に金網を用いているから、乱流部材を安価に製造することができ、かつその金網を重ねるだけでマイクロバブルの発生効率を高くすることができる。
本願発明の吐出ノズルは、可動部を摺動式に形成してあるから、可動部を固定部の減圧部に簡単に着脱できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1〜図3により本願発明の実施例を説明する。なお各図に共通の部分は、同じ符号を使用している。
【実施例】
【0010】
図1、図2は、本願発明の実施例に係る吐出ノズの構成を示す。
図1は、吐出ノズルの組立構造を示し、図1(a)は、平面図、図1(b)は、図1(a)のX1部分の矢印方向の断面図である。図2は、図1(b)に相当する部分の分解図を示す。
図1において、吐出ノズルは、可動部1と固定部2からなり、可動部1と固定部2は、ネジ15によって一体的に組立ててある。可動部1は、手動で、図1(a)の実線の位置(上側)から破線の位置(下側)へ、或いは破線の位置の位置から実線の位置へ移動させることができる。
【0011】
図2(a)において、可動部1は、円筒状の吐出開口部12、円筒状の摺動部13、円筒状のネジ取付部14を一体的に形成し、乱流発生部材の金網111の保持部材11、ネジ15、スプリング状のバネ16を備えている。摺動部13とネジ取付部14は、2個設けてある。保持部材11は、吐出開口部12に嵌め込み、バネ16は、摺動部13とネジ取付部14の間(ネジ取付部14の周囲)に嵌め込み、ネジ15は、バネ16を圧縮するようにネジ取付部14に取付けてある。なお図1の場合、金網111は、2枚重ねてあるが、1枚よりも2枚の方が、後述するようにマイクロバブルの発生効率が良い。
図2(b)において、固定部2は、摺動用開口部21、摺動用凹部22、摺動用凹部24、円筒状のホース結合部25を一体的に形成してある。そしてホース結合部25の底部には、減圧部を構成する孔23を3個形成してある。
【0012】
図1において、可動部1と固定部2は、摺動部13の頭部(或いは底部)とネジ15によって摺動用凹部22の底部(或いは摺動用凹部24の底部)を挟持するように結合して一体的に組立ててある。ネジ15は、バネ16の反発力に抗して可動部1と固定部2を締付け、その締付強度は、可動部1が摺動用凹部22に沿って手動で摺動できる程度に設定してある。可動部1が実線の位置から破線の位置へ、或いは破線の位置から実線の位置へ移動するとき、摺動部13の頭部は、摺動用凹部22に沿って摺動し、ネジ取付部14は、摺動用開口部21内を摺動し、ネジ15の頭部は、摺動用凹部24に沿って摺動する。
【0013】
ホース接続部25には、空気や二酸化炭素の溶解した水を供給するホース、例えば、図5(a)の吐出ノズル552や図5(b)の吐出ノズル662に接続されているホース(図示せず)を接続する。
可動部1が破線の位置にあるとき、ホース内の空気或いは二酸化炭素の溶解水は、減圧部の孔23から吐出開口部12内へ吐出され(噴射し)、金網111の網目を通って浴槽等へ放出される。その際溶解水は、金網111の線に衝突するため乱流が発生する。溶解水中の空気或いは二酸化炭素は、その乱流により刺激を受けて活性化するため、空気或いは二酸化炭素のマイクロバブルが大量に発生する。なお減圧部の孔23と金網111の距離は、約10mmに設定したが、その距離に限らない。
二酸化炭素のマイクロバブルの発生を抑制して二酸化炭素が溶解している水、いわゆる炭酸泉を生成するときは、可動部1を実線の位置へ移動し、二酸化炭素の溶解水を、孔23から浴槽等へ直接吐出させる。
【0014】
図5(b)のマイクロバブル・炭酸泉発生装置に本実施例の吐出ノズルを用いて空気のマイクロバブルを発生する場合、ポンプの送水量を6L(リットル)/分に設定すると、200Lの浴槽水を約3分で真っ白に白濁化することができる。同様に二酸化炭素のマイクロバブルも大量に発生させることができる。二酸化炭素は、比較的マイクロバブルになり難いが、本実施例の吐出ノズル用いて二酸化炭素のマイクロバブルを発生させた浴槽水に手を挿入すると、二酸化炭素のマイクロバブルが手の表面を完全に覆ってしまうほど大量に付着する。
なお空気や二酸化炭素のマイクロバブルは、洗浄・殺菌効果があり、炭酸泉は、保温・促温効果、治療効果等があるといわれているが、本実施例の吐出ノズルは、可動部1の位置を変えることにより、空気或いは二酸化炭素のマイクロバブルを効率よく発生したり、炭酸泉を効率よく発生したりすることができる。
【0015】
図3は、図1の吐出ノズルの変形例を示す。
図3(a)は、平面図、図3(b)は、図3(a)のX1部分の矢印方向の断面図、図3(c)は、固定部2の回転用孔部261、回転用凹部262の平面図である。
図1の吐出ノズルの可動部1は摺動するが、図3の吐出ノズルの可動部1は回転する。即ち可動部1は、円形の回転用孔部261、円形の回転用凹部262を中心に回転する。そして可動部1は、破線の位置で係止部27に係合して破線の状態に保持される。その際可動部1は、突起部28により係止部27と強く係合する。
可動部1は、図1の摺動式、図3の回転式に限らず、孔23からなる減圧部に装着・取外し可能なキャップ式のものであってもよい。即ち可動部1は、孔23からなる減圧部に着脱可能のものであればよい。
【0016】
図4は、乱流発生部材の変形例を示す。
図4(a1)の乱流発生部材31は、図1の金網111と同じ金網からなり、縦横の線311,312を編んで交差させてある。即ち乱流発生部材31は、空気や二酸化炭素の溶解水が通過する網目部分と衝突する線部分からなる。なお縦横の線311,312は、編む代わりに、両線を重ねて両線の端部を外枠に取付けてもよい。
図4(a2)は、図4(a1)の乱流発生部材31を2枚(実線と破線)重ねた例で、この場合には、一方の網目に他方の線が重なるように配置するとマイクロバブルの発生により有効である。金網が2枚の場合、減圧部の孔23から吐出された空気や二酸化炭素の溶解水は、各々の金網の線に衝突して水流が乱されるから強い刺激を受けて一層活性化する。したがってマイクロバブルが一層発生し易くなる。
図4(b)の乱流発生部材32は、枠321,322に線323をすだれ状に配置した例である。この場合には、線32の間が空気や二酸化炭素の溶解水の通過部分になり、線323が衝突部分になる。図4(b)の乱流発生部材32は、線323が交差するように2枚重ねると、図4(a1)の乱流発生部材31と同様の構成になる。
【0017】
図4(c)の乱流発生部材33は、金属板331に空気や二酸化炭素の溶解水が通過する孔332を多数形成した例で、孔332は通過部分になり、孔のない部分は衝突部分になる。乱流発生部材33は、所定間隔をおいて2枚重ねるとマイクロバブルの発生に有効である。その際2枚の乱流発生部材33は、孔332が重ならないように(対向しないように)、配置するとより有効である。
乱流発生部材は、図4の構造のものに限らず、空気や二酸化炭素の溶解水が通過する部分と衝突する部分を備えているものであればよい。
なお図4の乱流発生部材は、四角形に形成してあるが、図1の金網111のように円形にすることもできる。図1の吐出開口部12の形状に合わせた形状にすればよい。また乱流発生部材の線、板は、金属、合成樹脂、セラミック等の素材を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本願発明の実施例に係る吐出ノズルの構成を示す図である。
【図2】図1の吐出ノズルの分解図である。
【図3】図1の吐出ノズルの変形例を示す図である。
【図4】本願発明の実施例に係る乱流発生部材の変形例を示す図である。
【図5】従来のマイクロバブル・炭酸泉発生装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0019】
1 吐出ノズルの可動部
11 金網の保持部
111 金網
12 吐出開口部
13 摺動部
14 ネジ取付部
15 ネジ
16 バネ
2 固定部
21 摺動用開口部
22,24 摺動用凹部
23 減圧部の孔
25 ホース結合部
261 回転用凹部
262 回転用孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と可動部からなり、固定部は空気又は二酸化炭素の溶解水を減圧する減圧部を備え、可動部は乱流発生部材を備え、可動部を前記減圧部に着脱できることを特徴とするマイクロバブル・炭酸泉発生装置の吐出ノズル。
【請求項2】
請求項1に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置の吐出ノズルにおいて、前記乱流発生部材は、金網であることを特徴とするマイクロバブル・炭酸泉発生装置の吐出ノズル。
【請求項3】
請求項2に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置の吐出ノズルにおいて、前記金網は複数枚重ねてあることを特徴とするマイクロバブル・炭酸泉発生装置の吐出ノズル。
【請求項4】
請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置の吐出ノズルにおいて、前記可動部の着脱は、摺動式であることを特徴とするマイクロバブル・炭酸泉発生装置の吐出ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−289990(P2008−289990A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−137293(P2007−137293)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(506018547)
【Fターム(参考)】