説明

マイクロマシニング構成素子及びマイクロマシニング構成素子を製作するための方法

【課題】マイクロマシニング構成素子の機能欠陥を招く大きな圧力負荷及び剪断力を吸収するための機械的に安定した接触部を提供する。
【解決手段】第1のウェハである機能層2と、それに対応する第2のウェハであるキャップウェハ3とにおいて、機能層2の機能範囲5を取り囲むように、機能層2に設けた溝6と、キャップウェハ3に設けたピン構造7とが勘合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロマシニング構成素子、特にマイクロマシニングセンサであって、第1のウェハ及び第2のウェハを有しており、第1のウェハが少なくとも1つの構造要素を有しており且つ第2のウェハが少なくとも1つの対応構造要素を有している形式のものに関する。更に本発明は、前記マイクロマシニング構成素子を製作するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような形式のマイクロマシニング構成素子は一般に公知である。例えば、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10037821号明細書から公知のマイクロマシニング構成素子は、2つの対向位置する機能層を有しており、これらの機能層は結合媒体層を介して作用結合されており、更に、当該機能層は前記作用結合領域に凹所を有している。機能層間で、これらの機能層の主要延在平面に対して平行に生じる相対運動は、前記作用結合によってしか防止されない。但し特に、当該のマイクロマシニング構成素子のキャップ付与に際しては比較的大きな圧力及び力が発生するので、前記層は大きな圧力負荷及び剪断力に晒されている。極端なケースでは、このことは作用結合部における亀裂形成、層間の付着損失、機能範囲の不密性及び/又はマイクロマシニング構成素子の機能欠陥を招く。前記のような力を吸収するための機械的に安定した接触部は、従来技術では設けられていない。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第10037821号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、公知の欠点を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために本発明では、第1のウェハの主要延在平面に対して平行な、第1のウェハの第2のウェハに対する相対運動が、主として前記構造要素と対応構造要素との間に圧縮負荷又は引張り負荷を生ぜしめるように、前記構造要素及び対応構造要素が形成されているようにした。
【0005】
更に、前記課題を解決するために本発明では、第1の方法ステップにおいてキャップウェハに第1の保護層を付与し且つ構造化し、第3の方法ステップにおいて前記キャップウェハをエッチングし、第4の方法ステップにおいて前記第1の保護層を少なくとも部分的に除去し、第5の方法ステップにおいて前記キャップウェハを改めてエッチングし、第9の方法ステップにおいて前記キャップウェハを機能層と結合し、これにより、ピン構造が前記機能層の溝に係合して、溝表面の少なくとも1部分領域に機械的な固着結合を生ぜしめるようにした。
【発明の効果】
【0006】
それぞれ独立請求項に記載した、本発明によるマイクロマシニング構成素子及び該マイクロマシニング構成素子を製作するための方法は、従来技術と比較して、第1のウェハと第2のウェハとの間に、特にキャップウェハと機能層との間の剪断力に対して著しく安定した機械的な結合部が得られるという利点を有している。構造要素と対応構造要素とは、主要延在平面内での第1のウェハの第2のウェハに対する相対運動が、主として構造要素と対応構造要素との間の圧縮負荷又は引張り負荷をもたらすように形成されている。剪断力を圧縮負荷として吸収し且つ補償する構造要素及び対応構造要素を用いたウェハ間の剪断力の補償は、従来技術において剪断力の吸収について開示された材料接続的な結合部よりも、当然著しく高い安定性及び負荷能力を有している。更に、このような構造は慣例のスタンダードプロセスにおいて公知の手段で比較的簡単に延いては廉価に製作可能である。従来技術と比較して、有利にはウェハ間の材料接続部を形成するための別の方法ステップが省かれている。有利には、前記構造要素及び対応構造要素は、摩擦接続的及び/又は形状接続的な結合部が当該構造要素と対応構造要素との間、若しくは第1のウェハと第2のウェハとの間に、例えば構造要素と対応構造要素、若しくは第1のウェハと第2のウェハとが互いに押しつぶされることによって生じるように形成されている。当該のマイクロマシニング構成素子は、特に有利にはマイクロマシニングセンサを含んでいる。
【0007】
従属請求項に記載した構成手段により、独立請求項に記載したマイクロマシニング構成素子の有利な改良が可能である。
【0008】
本発明によるマイクロマシニング構成素子の有利な構成では、第1のウェハが更に構造要素を有しており且つ第2のウェハが更に対応構造要素を有しており、これらの構造要素と対応構造要素とが、主要延在平面に対して垂直な、第1のウェハの第2のウェハに対する相対運動が、主として別の圧縮負荷又は引張り負荷を、前記構造要素と対応構造要素との間に生ぜしめるように形成されている。これにより特に有利には、第1のウェハと第2のウェハとの間の相対運動も、主要延在平面に対して垂直に延びる圧縮負荷部及び/又は引張り負荷部により補償される。従って特に有利には、第1のウェハと第2のウェハとの間に作用する力成分が任意の方向で圧縮負荷及び/又は引張り負荷に変化可能なので、比較的大きな力が吸収される若しくは補償可能である。即ち、当該のマイクロマシニング構成素子は、従来技術との比較において、任意に方向付けられた外部圧力及び剪断力に対して著しく高い安定性を有している。
【0009】
本発明によるマイクロマシニング構成素子の別の有利な構成では、第1及び/又は第2のウェハが、シール領域によって包囲された機能範囲を有しており、この機能範囲は、有利には主要延在平面内で完全にシール領域により取り囲まれている。更に、この包囲型のシール領域は、機能範囲内の雰囲気、特に過剰圧力又は負圧の完全なシールを、第1及び第2のウェハ間、構造要素と対応構造要素との間及び/又は別の構造要素と別の対応構造要素との間の平らな接触部により、特に結合媒体を介して可能にする。有利には、第2のウェハと第1のウェハとは、これらの第1及び第2のウェハ間の直接的な機械的な接触部が、圧縮負荷又は引張り負荷領域及び/又はシール領域だけに、特に結合媒体を介して設けられているように、互いに間隔をあけられている。従って、有利には圧縮負荷又は引張り負荷領域における結合媒体の最適な押しつぶしが可能となり且つ/又は第1及び第2のウェハ間に場合によっては生じる微粒子が、ウェハ相互の相対的な位置及び位置調整並びに接着クオリティーにネガティブな影響を及ぼすことはない。これにより、特に有利には製作誤差が著しく向上される。特に有利には、機能範囲の電気的な接触接続用の埋設された導体路構造が設けられている。
【0010】
本発明によるマイクロマシニング構成素子の更に別の有利な構成では、少なくとも1つの構造要素及び/又は対応構造要素のシール領域及び/又は少なくとも1部分領域に、結合媒体、特にシールガラスが付与され、この場合、この結合媒体は機能範囲をシールするために設けられており、特に第1のウェハと第2のウェハとの間の機械的な固着結合を生ぜしめる。有利には、シール領域に結合媒体を付与することにより、機能範囲の雰囲気のシールが簡単に可能になる。結合媒体を部分的に圧縮負荷又は引張り負荷領域、構造要素、別の構造要素、対応構造要素及び/又は別の対応構造要素に配置することにより、第1及び第2のウェハ間の機械的な固着結合、特に接着結合が保証されると同時に、構造要素、別の構造要素、対応構造要素及び/又は別の対応構造要素間に直接的な圧縮負荷部が、有利にはシールガラスを介して設けられている。
【0011】
本発明によるマイクロマシニング構成素子の更に別の有利な構成では、構造要素及び/又は別の構造要素が少なくとも部分的に溝として形成されており、対応構造要素及び/又は別の対応構造要素が少なくとも部分的にピン構造として形成されており、このピン構造は少なくとも部分的に前記溝に係合するように設けられており、この場合、特に前記溝及び/又はピン構造は、機能範囲を主要延在平面内で完全に取り囲んでいる。有利には、圧縮負荷又は引張り負荷領域及びシール領域は、第1及び第2のウェハの共通の溝及びピン構造によって可能となり、この場合、機能領域を完全に取り囲む溝及びピン構造は、前記ウェハ間の相対的な剪断力に最大限に耐えられる、ウェハの機械的な位置固定を生ぜしめる。溝表面とピン構造表面との間の結合媒体の有利な付与に基づき、この結合媒体はシール剤として働くと同時に、第1及び第2のウェハ間に機械的な固着結合、特に接着結合を生ぜしめるために働く。特に有利には、付加的に溝及びピン構造の外位に、第1及び第2のウェハ間の少なくとも1つの別の機械的な接触部が設けられている。
【0012】
本発明によるマイクロマシニング構成素子の更に別の有利な構成では、機能範囲が少なくとも1つの可動のエレメントを有しており、この可動のエレメントは第1及び/又は第2のウェハに対して可動に設けられており、しかも、第1及び/又は第2のウェハは、第1の主要延在平面に対して垂直に運動する構造体の最大変位の機械的な制限部として働くストッパを有している。有利にはこのストッパによって、可動の構造体の最大変位を良好に規定することができ、これにより、可動の構造体の過剰変位に際する過剰伸長若しくは過剰負荷による、当該の可動の構造体の損傷が防止される。
【0013】
本発明によるマイクロマシニング構成素子の更に別の有利な構成では、第1のウェハが機能層を有しており且つ第2のウェハがキャップウェハを有しているか、又は第1のウェハがキャップウェハを有しており且つ第2のウェハが、有利には半導体材料、特に有利にはシリコンから成る機能層を有している。従って有利には、コンベンショナルな機能層のキャップ付与が、従来技術に対する前記利点を備えたマイクロマシニング構成素子によって可能になる。
【0014】
本発明は更に、マイクロマシニング構成素子を製作するための方法を対象としており、第1の方法ステップにおいて、キャップウェハに第1の保護層を付与し且つ構造化し、第3の方法ステップにおいてキャップウェハをエッチングし、第4の方法ステップにおいて第1の保護層を少なくとも部分的に除去し、第5の方法ステップにおいてキャップウェハを改めてエッチングし、第9の方法ステップにおいて、ピン構造が機能層の溝に係合し且つ溝表面の少なくとも1部分領域に機械的な固着結合部が生じるように、キャップウェハを機能層と結合する。有利には、特に剪断力に対して従来技術と比べて著しく安定した機械的な結合部が、キャップウェハと機能層との間で可能になると同時に、機能範囲の雰囲気のシールが行われる。特に、ピン・溝構造が設けられており、この場合、ピンは溝に突入して係止する。
【0015】
有利な改良では、第1の方法ステップの後の第2の方法ステップにおいて、マスキング層及び/又は第2の保護層をキャップウェハに付与し且つ構造化し、第6の方法ステップにおいて前記マスキング層及び/又は第2の保護層を除去し、第7の方法ステップにおいてピン構造を形成するためにキャップウェハの別のエッチング過程を実施し、第9の方法ステップの前に第8の方法ステップにおいて、第1の保護層を選択的に除去する。これにより有利には、機能層とキャップウェハとの間の直接的な接触を可能にする、キャップウェハのストッパが簡単に製作される。このようにして、特に前記ストッパ構造は、可動の構造体の上位で、これらの可動の構造体に対して正確に規定された間隔をあけて、キャップウェハにおいて位置決め可能である。
【0016】
本発明によるマイクロマシニング構成素子の更に別の有利な構成手段では、第8及び第9の方法ステップ間に第10の方法ステップが挿入され、この場合、ピン構造に結合媒体を付与する。有利には、この結合媒体は溝とピン構造との間の中間室に適合しており、延いてはキャップウェハと機能層との間の機械的な固着結合をもたらす。
【0017】
本発明によるマイクロマシニング構成素子の更に別の有利な構成手段では、第10の方法ステップが、結合媒体としてのガラス、特にシールガラスの付与を含んでおり、この場合、前記ガラスはスクリーン印刷プロセスで付与され且つプレベークプロセスでガラス化される。これにより有利には、結合媒体を用いたキャップウェハと機能層との結合法が簡単に実現化される。
【0018】
本発明によるマイクロマシニング構成素子の更に別の有利な構成手段では、第1の方法ステップにおけるキャップウェハへの第1の保護層の付与と構造化との間に、部分方法ステップが挿入され、この場合、第3の保護層、例えばアルミニウム層を付与し且つ構造化し、更に、第5の方法ステップと第6の方法ステップとの間に、前記第3の保護層を除去するための第11の方法ステップが挿入される。従って有利には、キャップウェハに別の機械的な接触領域が生ぜしめられ、これにより、完成したマイクロマシニング構成素子の機能層によるキャップウェハの支持が可能になる。第3の保護層を付与し且つ構造化することにより、支持部は簡単に寸法決めされ且つ機能層の対応する接触構造に適合される。
【0019】
本発明によるマイクロマシニング構成素子の更に別の有利な構成手段では、第7及び第8の方法ステップ間又は第8及び第9の方法ステップ間に、第12及び第13の方法ステップが挿入され、この場合、第12の方法ステップにおいて、第1の主要延在平面に対して平行な別の主要延在平面をそれぞれ有する、キャップウェハの第1の表面と第2の表面とに第4の保護層を設け、第13の方法ステップにおいてキャップウェハにエッチング部をエッチングし且つ/又はトレンチし、この場合、エッチング過程は、特に第1の主要延在平面に対して垂直な第1の方向及び/又はこの第1の方向に対して逆平行の第2の方向から実施し、この場合有利には、当該エッチング部の前記第1の方向に対して平行な伸長は、キャップウェハの前記第1の方向に対して平行な伸長に等しい。有利には、キャップウェハのエッチングは、機能層の電気的な接触接続を、特にこの機能層に設けられたボンディングパッドにより可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面につき詳しく説明する。
【0021】
異なる図面において、同一構成部材には常に同一符号を付してあるので、通常は一回ずつしか説明しない。
【0022】
図1には、本発明によるマイクロマシニング構成素子1の第1実施例が概略的な側面図で示されており、このマイクロマシニング構成素子1は、機能層2とキャップウェハ3とを有しており、このキャップウェハ3は機能層2の第1の主要延在平面4に対して平行に位置調整されており、機能層2は機能範囲5を有しており、この機能範囲5は、機能層2に設けられた、第1の主要延在平面4に対して垂直な溝6によって少なくとも部分的に取り囲まれており、更に、キャップウェハ3は第1の主要延在平面4に対して垂直なピン構造7を有しており、このピン構造7は、前記溝6に係合しており且つ少なくとも1部分領域において溝表面と機械的に固着結合されている。ピン構造7と溝6とは、構造要素2″及び別の構造要素2′、並びに対応構造要素3″及び別の対応構造要素3′を有している。溝‐ピン構造6,7のシール及び圧縮負荷領域又は引張り負荷領域6′は、特に結合媒体12、有利にはシールガラスを有しており、このシールガラスは、キャップウェハ3と機能層2の溝6の領域との間の空間を満たして、キャップウェハ3と機能層2との間の気密にシールされた機械的な固着結合部を形成する。更に、キャップウェハ3と機能層2とは、複数の部分領域において有利には直接的な接触部8を有している。機能範囲5は、特に不動のエレメント60と可動のエレメント9とを有しており、この場合、可動のエレメント9はキャップウェハ3及び/又は機能層2に対して可動に設けられており、この場合、キャップウェハ3はストッパ10を有しており、このストッパ10は、第1の主要延在平面4に対して垂直な可動の構造9の最大変位11の機械的な制限部として働く。更に、マイクロマシニング構成素子1は、機能範囲5の接触接続用に埋設された導体路構造23を有しており、この場合、特に可動のエレメント9及び/又は不動のエレメント60が、導体路23及びコンタクト構造22を介して、機能層2の領域に設けられたコンタクト61と電気的に接触接続可能である。有利には、結合媒体12が付加的に直接的な接触部8の領域に配置されている。
【0023】
図2には、本発明によるマイクロマシニング構成素子1の第2実施例の概略的な側面図が示されており、当該のマイクロマシニング構成素子1は、図1に示した第1実施例のマイクロマシニング構成素子とほぼ同じであり、この場合はキャップウェハ3と機能層2とが、これらのキャップウェハ3と機能層2との間の直接的な機械的接触部が単に溝‐ピン構造6,7だけに、特に結合媒体12を介して設けられているように、互いに隔てられているに過ぎない。
【0024】
図3には、本発明によるマイクロマシニング構成素子1の第3実施例が概略的な側面図で示されており、当該のマイクロマシニング構成素子1はほぼ、図1に示した第1実施例のマイクロマシニング構成素子に対応している。この場合、キャップウェハ3は付加的に別の機械的な接触部8を機能範囲5に有しており、この別の機械的な接触部8は、キャップウェハ3の付加的な別の対応構造要素30を機械的に支持するために役立ち、特にキャップウェハ3が主要延在方向4に対して垂直に曲がることを防止する。
【0025】
図4a〜図4eには、本発明によるマイクロマシニング構成素子の第1実施例を種々異なる先行構造に基づいて製作するための様々な方法ステップが概略的に示されており、この場合、図4aに示した第1の先行構造に基づく第1及び第2の方法ステップにおいて、キャップウェハ3に第1の保護層20と第2の保護層21とがそれぞれ付与され且つ構造化され、図4bに示した第2の先行構造に基づく第3及び第4の方法ステップにおいて、キャップウェハ3にエッチング40が施され且つ第1の保護層20が少なくとも部分的に除去され、図4cに示した第3の先行構造に基づく第5の方法ステップにおいて、キャップウェハ3が改めてエッチング41を施される。図4dに示した第4の先行構造に基づく第6及び第7の方法ステップでは、第2の保護層21が少なくとも部分的に除去され且つピン構造7を形成するために、キャップウェハ3の別のエッチング過程42が実施される。図4eに示した第5の先行構造に基づく第8、第9及び第10の方法ステップでは、第1の保護層20が選択的に除去され且つピン構造7に結合媒体、有利にはシールガラスが付与され、更に、ピン構造7が機能層2の溝6に係合し且つ機械的な固着結合が溝表面6′の少なくとも1部分領域に生じるように、キャップウェハ3が機能層2に結合される。
【0026】
図5a〜図5eには、本発明によるマイクロマシニング構成素子の第2実施例を別の種々異なる先行構造に基づいて製作するための様々な方法ステップが概略的に示されており、この場合、図5aに示した第6の先行構造に基づく第1及び第2の方法ステップ及び付加的な1部分方法ステップにおいて、キャップウェハ3に第1の保護層20、第2の保護層21及び第3の保護層16がそれぞれ付与され且つ構造化される。図5bには、第7の先行構造に基づく第3及び第4の方法ステップが示されており、図5cには、第8の先行構造に基づく第5の方法ステップが示されている。図5dに示した第9の先行構造に基づく第6及び第7の方法ステップでは、第3の保護層16及び第2の保護層21、並びに機能範囲5の機械的な支持部3の領域30における第1の保護層20が除去され且つピン構造7を形成するために、キャップウェハ3の別のエッチング過程42が実施される。第8、第9及び第10の方法ステップは、図5eにおいて第10の先行構造に基づき示されている。
【0027】
図6a〜図6cには、本発明によるマイクロマシニング構成素子の別の実施例を更に別の種々異なる先行構造に基づいて製作するための、更に別の様々な方法ステップが概略的に示されており、この場合、それぞれ図5a〜図5cに示した第11、第12及び第13の先行構造に基づき、第7及び第8の方法ステップ間又は第8及び第9の方法ステップ間に、それぞれ第12及び第13の方法ステップが挿入される。第12の方法ステップは、キャップウェハ3の表面への第4の保護層19の付与を含んでおり、この場合、有利にはキャップウェハ3の両面14,15に、それぞれ主要延在平面4に対して垂直な方向17,18で付与することが規定されている。第13の方法ステップは、キャップウェハ3にエッチング部13を製作するための、例えば水酸化カリウム(KOH)を用いた湿式化学エッチング及び/又はキャップウェハ3のトレンチ13を含んでおり、この場合、図5aには第11の先行構造に基づく、主要延在平面4に対して垂直な方向17からの、キャップウェハ3の片面14からの湿式化学エッチング過程が示されており、図5bには第12の先行構造に基づく、主要延在平面4に対してそれぞれ垂直な方向17,18からの、キャップウェハ3の両面14,15からの両面エッチング過程が示されており、第5cには第13の先行構造に基づく、主要延在平面4に対して垂直な方向17からの、キャップウェハ3のトレンチ過程が示されている。特に図5cに示した第13の先行構造の形成については、図5bに示した第12の先行構造の、例えば水酸化カリウムを用いた両面エッチング過程におけるエッチング時間が、両面14,15間に主要延在平面4に対して垂直なフランク(110平面)が形成されるように選択されるということが規定されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明によるマイクロマシニング構成素子の第1実施例の概略的な側面図である。
【図2】本発明によるマイクロマシニング構成素子の第2実施例の概略的な側面図である。
【図3】本発明によるマイクロマシニング構成素子の第3実施例の概略的な側面図である。
【図4】図4a〜図4eは、本発明によるマイクロマシニング構成素子の第1実施例を製作するための方法ステップを概略的に示した図である。
【図5】図5a〜図5eは、本発明によるマイクロマシニング構成素子の第3実施例を製作するための方法ステップを概略的に示した図である。
【図6】図6a〜図6cは、本発明によるマイクロマシニング構成素子の別の実施例を製作するための別の方法ステップの先行構造を概略的に示した図である。
【符号の説明】
【0029】
1 マイクロマシニング構成素子、 2 機能層、 3 キャップウェハ、 3′ 別の対応構造要素、 3″ 対応構造要素、 4 主要延在平面、 5 機能範囲、 6 溝、 6′ 溝表面、 7 ピン構造、 8 接触部、 9 可動のエレメント、 10 ストッパ、 11 最大変位、 12 結合媒体、 13 エッチング部、 20 第1の保護層、 21 第2の保護層、 23 導体路構造、 40 エッチング、 41 エッチング、 60 不動のエレメント、 61 コンタクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロマシニング構成素子(1)であって、第1のウェハ(2)及び第2のウェハ(3)を有しており、第1のウェハ(2)が少なくとも1つの構造要素(2″)を有しており且つ第2のウェハ(3)が少なくとも1つの対応構造要素(3″)を有している形式のものにおいて、
第1のウェハ(2)の主要延在平面(4)に対して平行な、第1のウェハ(2)の第2のウェハ(3)に対する相対運動が、主として前記構造要素(2″)と対応構造要素(3″)との間に圧縮負荷又は引張り負荷を生ぜしめるように、前記構造要素(2″)及び対応構造要素(3″)が形成されていることを特徴とする、マイクロマシニング構成素子。
【請求項2】
第1のウェハ(2)が別の構造要素(2′)を有しており且つ第2のウェハ(3)が別の対応構造要素(3′)を有しており、主要延在平面(4)に対して垂直な、第1のウェハ(2)の第2のウェハ(3)に対する相対運動が、主として前記別の構造要素(2′)と別の対応構造要素(3′)との間に圧縮負荷又は引張り負荷を生ぜしめるように、前記別の構造要素(2′)及び別の対応構造要素(3′)が形成されている、請求項1記載のマイクロマシニング構成素子。
【請求項3】
第1及び/又は第2のウェハ(2,3)が、シール領域(6′)により包囲された機能範囲(5)を有しており、該機能範囲(5)が、有利には主要延在平面(4)内で完全に前記シール領域(6′)により包囲されている、請求項1又は2記載のマイクロマシニング構成素子。
【請求項4】
前記シール領域(6′)に、及び/又は少なくとも1つの構造要素及び/又は対応構造要素(2′,2″,3′,3″)の少なくとも1部分領域に、結合媒体(12)、特にシールガラスが設けられており、前記結合媒体(12)が、機能範囲(5)をシールするために設けられており且つ特に第1及び第2のウェハ(2,3)間に機械的な固着結合を生ぜしめる、請求項1から3までのいずれか1項記載のマイクロマシニング構成素子。
【請求項5】
構造要素(2″)及び/又は別の構造要素(2′)が、少なくとも部分的に溝(6)として形成されており、対応構造要素(3″)及び/又は別の対応構造要素(3′)が、少なくとも部分的にピン構造(7)として形成されており、該ピン構造が、少なくとも部分的に前記溝(6)に係合するように設けられており、特に前記溝(6)及び/又はピン構造(7)が、機能範囲(5)を主要延在平面(4)内で完全に取り囲んでいる、請求項1から4までのいずれか1項記載のマイクロマシニング構成素子。
【請求項6】
機能範囲(5)が少なくとも1つの可動のエレメント(9)を有しており、該可動のエレメント(9)が、第1及び/又は第2のウェハ(2,3)に対して可動に設けられており、第1及び/又は第2のウェハ(2,3)が、前記可動のエレメント(9)の第1の主要延在平面(4)に対して垂直な最大変位(11)の機械的な制限部として働くストッパ(10)を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のマイクロマシニング構成素子。
【請求項7】
第1のウェハ(2)が機能層を有しており且つ第2のウェハ(3)がキャップウェハを有しているか、又は第1のウェハ(2)がキャップウェハを有しており且つ第2のウェハ(3)が、有利には半導体材料から成る、特に有利にはシリコン製の機能層を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載のマイクロマシニング構成素子。
【請求項8】
第1の方法ステップにおいてキャップウェハ(3)に第1の保護層(20)を付与し且つ構造化し、第3の方法ステップにおいて前記キャップウェハ(3)をエッチング(40)し、第4の方法ステップにおいて前記第1の保護層(20)を少なくとも部分的に除去し、第5の方法ステップにおいて前記キャップウェハ(3)を改めてエッチング(41)し、第9の方法ステップにおいて前記キャップウェハ(3)を機能層(2)と結合し、これにより、ピン構造(7)が前記機能層(2)の溝(6)に係合して、溝表面(6′)の少なくとも1部分領域に機械的な固着結合を生ぜしめることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のマイクロマシニング構成素子(1)を製作するための方法。
【請求項9】
第1の方法ステップの後に第2の方法ステップにおいて第2の保護層(21)をキャップウェハ(3)に付与し且つ構造化し、第6の方法ステップにおいて前記第2の保護層(21)を除去し、第7の方法ステップにおいてピン構造(7)を形成するための、キャップウェハ(3)の別のエッチング過程(42)を行い、第9の方法ステップの前に第8の方法ステップにおいて第1の保護層(20)を選択的に除去する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
第8の方法ステップと第9の方法ステップとの間に第10の方法ステップを挿入し、ピン構造(7)に結合媒体(12)を付与する、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
第10の方法ステップにおいて、結合媒体(12)としてはんだ、有利には導電性又は非導電性のガラスはんだ、特に有利にはシリコンの熱膨張係数に適合された熱膨張係数を有するはんだ、更に特に有利にはシールガラスを付与し、この場合、ガラスをスクリーン印刷プロセスで付与し且つプレベークプロセスでガラス化する、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
第1の方法ステップにおけるキャップウェハ(3)への第1の保護層の付与と構造化との間に部分方法ステップを挿入し、第3の保護層(16)を付与し且つ構造化し、第5の方法ステップと第6の方法ステップとの間に、前記第3の保護層(16)を除去するための第11の方法ステップを挿入する、請求項8から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
第7の方法ステップと第8の方法ステップとの間、又は第8の方法ステップと第9の方法ステップとの間に第12の方法ステップ及び第13の方法ステップを挿入し、第12の方法ステップにおいて、それぞれ第1の主要延在平面(4)に対して平行な別の主要延在平面を有するキャップウェハ(3)の第1の表面(14)及び第2の表面(15)に第4の保護層(19)を設け、第13の方法ステップにおいてキャップウェハ(3)にエッチング部(13)をエッチングし且つ/又はトレンチし、この場合、エッチング過程を、特に第1の主要延在平面(4)に対して垂直な第1の方向(17)及び/又はこの第1の方向(17)に対して逆平行の第2の方向(18)から実施し、この場合有利には、前記エッチング部(13)の前記第1の方向(17)に対して平行な伸長が、キャップウェハ(3)の前記第1の方向(17)に対して平行な伸長に等しくなっている、請求項8から12までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−72907(P2009−72907A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240354(P2008−240354)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】