説明

マイクロメーター以下の機構をボイドを形成することなく満たすための抑制剤を含む金属メッキ用組成物

本発明に従えば、少なくとも1種の金属イオンの供給源、及び少なくとも1種の添加剤を含む組成物であって、
前記少なくとも1種の添加剤は、
a)縮合により、式(I)
X(OH) (I)
の少なくとも1種のポリアルコールから誘導される多価アルコール縮合化合物と、
b)少なくとも1種のアルキレンオキシドと、
を反応させ、ポリオキシアルキレン側鎖を含む多価アルコール縮合物を形成することによって得ることができ、ここで、
nは、3〜6の整数であり、及びXは、n−価の直鎖状、又は枝分かれした、2〜10個の炭素原子を有し、及び置換されていても良く、又は置換されていなくても良い脂肪族、又は脂環式の基であることを特徴とする組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
小さな機構、例えばビア及びトレンチを、銅電気メッキで満たすことは、半導体製造方法の本質的な部分である。有機物質を添加剤として、電気メッキ溶液中に存在させることが、銅ラインで、基材表面上に金属堆積物を均一に形成するために、及び欠陥、例えばボイド及びシームを回避するために重要な事項であり得ることが公知である。
【0002】
添加剤のあるクラスは、いわゆるサプレッサー(suppressor)、又は抑制剤(suppressing agent)である。サプレッサーは、ビア又はトレンチ(溝)等の小さな機構を実質的にボトムアップ充填(底上げ充填)するために使用される。機構が小さくなると、添加剤は、ボイドとシームを回避するために、より高性能になる必要がある。文献では、種々の異なる抑制化合物が記載されている。サプレッサーの最も使用されているクラスは、ポリエーテル化合物、例えばポリグリコール、又はポリアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシドプロピレンオキシドコポリマーである。
【0003】
このようなポリエーテル化合物は、一つ以上のヒドロキシル基を含むアルコール開始剤、例えばグリコール又はグリセロールを、ポリアルキレンオキシドと反応させることによって製造される。
【0004】
特許文献1(US2002/0043468)には、ポリマー骨格の枝に配置された官能基を含む、酸素又は窒素を含んだ抑制剤が開示されている。通常、枝分れしたサプレッサーは、分子量が、約10.000以上の範囲である。
【0005】
特許文献2(US2004/0217009A1)には、直鎖状又は星−形状であっても良い、ポリ(アルキレンオキシド)ランダムコポリマーが開示されている。
【0006】
機構、例えばビア又はトレンチのアパーチャー径(aperture size)が、100ナノメーター未満、及び更に50ナノメーター未満に低下すると、インターコネクト(相互結合体)の銅を使用した充填は、特に技術が必要になる。この理由は、銅の電気メッキの前の銅種の堆積は、不均一になり、非正角状であり、従って、特に アパーチャー(開口)の頂部でのアパーチャー径が減少するからである。特に、頂部開口部で種が張り出したアパーチャー、又は凸状のアパーチャーは、充填するのに技術を有し、及び機構の側壁とアパーチャーの開口部分で銅の成長を特に効果的に抑制することが必要とされる。
【0007】
図3は、充填するべき機構の開口部に種の衝突(影響:impact)を示す、種付けされた基材を示している。種は暗い灰色の基材上に、明るい灰色の層によって示されている。図3に示すように、種の張り出しが増加し、機構のサイズ(寸法)が収縮するという問題があり、抑制剤が側壁の銅の成長(図2a〜2cの2”)を完全に回避することができなければ、開口部に近接するトレンチの上半分にピンチ−オフボイドが形成される深刻な危険性がある。図に見られるように、開口部は、(種層が18ナノメーター〜16ナノメーターの有効アパーチャーサイズになることなく)幅の半分未満に低下している。種付けされた機構は、凸状形状(convex shape)を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US2002/0043468
【特許文献2】US2004/0217009A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、良好な超充填(superfilling)特性を有する、銅電気メッキ添加剤を提供することにあり、特に、金属メッキ溶液、好ましくは銅メッキ溶液を使用して、ナノメーター及びマイクロメータースケールの機構(feature)の、実質的にボイドの無い、及びシームの無い充填を提供することができる抑制剤を提供することにある。本発明の更なる目的は、凸状形状を有する機構の、実質的にボイドの無い及びシームの無い充填を提供することができる、銅電気メッキ添加剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、抑制剤としてポリオキシアルキル化された多価アルコール縮合物を使用することが、(特に、極めて小さいアパーチャーサイズ、及び/又は高いアスペクト比を有する機構を充填するのに使用される場合、)卓越した超充填特性を示すことがわかった。本発明は、種の張り出し問題を処理し、及び(非正角(non-conformal)の銅種にもかかわらず、)実質的に欠陥の無いトレンチの充填を与える、非常に効果的で強い抑制剤の新しいクラスを提供する。
【0011】
従って、本発明は、金属イオンの供給源、及び少なくとも1種のポリアルキル化されたポリアルコール縮合物を含む、電気メッキ金属用の組成物を提供する。
【0012】
本発明に従えば、少なくとも1種の金属イオンの供給源、及び少なくとも1種の添加剤を含む組成物であって、
前記少なくとも1種の添加剤は、
a)縮合により、式(I)
X(OH)m (I)
の少なくとも1種のポリルコールから誘導される多価アルコール縮合化合物と、
b)少なくとも1種のアルキレンオキシドと、
を反応させ、ポリオキシアルキレン側鎖を含む多価アルコール縮合物を形成することによって得ることができ、ここで、
mは、3〜6の整数であり、及びXは、m−価の直鎖状、又は枝分かれした、2〜10個の炭素原子を有し、及び置換されていても良く、又は置換されていなくても良い脂肪族、又は脂環式の基であることを特徴とする組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1aは、銅層で種付けされた誘電体1(誘電体基材1)を示しており、図1bは、電気メッキによって銅層が、誘電体上に堆積(メッキ)されてた状態を示しており、図1cは、銅の過積載が、化学的、機械的な平坦化(CMP)によって除去された状態を示している。
【図2】図2aは、側壁の被覆が完了し、及び側壁での銅成長が完全に抑制された、完全に作用する抑制剤の効果を示し、図2bは、ボトムアップの銅成長が主として進行する一方、側壁銅成長が僅かに進行する結果、全体的にU−形状の成長前部が得られた状態を示し、図2cは、効力の弱いサプレッサーを使用し、側壁銅成長が、相当に進行したV−形状の成長前部が進行した状態を示した図である。
【図3】銅で種付けしたウエハー基材の機構寸法を示した図である。
【図4】図4a及び図4bは、得られた電気メッキされた銅層のSEM画像を示した図である。
【図5】図5a及び図5bは、電気メッキされた銅層を断面化し、そしてSEM検査によって調査した結果を示している。
【図6】図6a及び6bは、電気メッキされた銅層のSEM画像を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の有利な点は、ポリオキシアルキル化されたポリアルコール縮合物が提供され、これにより、驚くべきことに、小さな機構について、卓越したボトム−アップ充填の銅成長が得られると同時に、側壁での銅成長が完全に抑制され、これらにより、平坦に成長する最前部(front)がもたらされ、そして従って実質的に欠陥の無いトレンチ又はビアの充填が得られることにある。本発明の側壁での銅成長の強い抑制は、非正角(non-conformal)の銅の種付けがされた機構を、実質的にボイドの無い状態で充填することを可能にする。更に、本発明は、全体的に均一なボトム−アップ充填(底上げ充填)を、機構が密な領域の隣合う機構に与える。
【0015】
本発明に従う抑制剤は、小さい機構、特に30ナノメーター以下のアパーチャーサイズを有するものを充填するのに、特に有用である。
【0016】
好ましい組成では、ポリアルコール縮合物(多価アルコール縮合物)が、ポリアルコール(多価アルコール)の単独縮合物、又は2種以上のポリアルコールの共−縮合物であり、前記ポリアルコール縮合物は、2〜50個、好ましくは2〜30個、特に好ましくは2〜10個、及び最も好ましくは2〜5個のポリアルコール単位を含む。
【0017】
本発明に従う添加剤は、多価アルコール縮合物を、1種以上のアルキレンオキシドと反応させることによって得ることができる。ここで多価アルコール(polyhydric alcohl)は、ポリアルコール(polyalcohol)又はポリオールとも称される。
【0018】
ポリアルコール縮合物は、形式的には、縮合によって、すなわち少なくとも2個の単位を結合させてエーテル結合を形成し、そして水を分離することによって、多価アルコールから誘導することができる(ここで、多価アルコール縮合物が縮合によって得られるか否かとは無関係である)。
【0019】
多価アルコール縮合物のモノマー単位は、式(I)
X(OH)m (I)
(但し、mが3〜6の整数で、及びXがm−価の直鎖状、又は枝分れした、2〜10個の炭素原子を有する脂肪族、又は脂肪環式基である)
によって表されるポリアルコールである。
【0020】
式(I)の適切なポリオールは、脂肪族ポリオール、例えばグリセロール、トリ(ヒドロキシメチル)エタン、トリ(ヒドロキシメチル)プロパン、ペンタエリチリト、又はソルビトール、及び脂環式ポリオール、例えば1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン及びこれに類似するものである。
【0021】
ポリアルコール縮合物は単独縮合物であっても、共−縮合物であっても良い。
【0022】
好ましい実施の形態では、ポリアルコール縮合物はグリセロール単位を含む。
【0023】
好ましいポリアルコール単独−縮合物は、式(IIa)
【0024】
【化1】

で表されるグリセロールの縮合物である。
【0025】
例えば、グリセロール縮合物(IIa)は、グリセロール分子を(水を除去して)縮合することによって合成することができる。グリセロールの(重)縮合は、(触媒としての量の酸又は塩基の存在下に、グリセロールを加熱し、水を除去することによって)この技術分野の当業者にとって原則として公知の方法によって行うことができる。グリセロールの縮合のための適切な方法は、例えばUS7026363B2及びWO2004/108863A1に開示されている。
【0026】
グリセロール縮合物は、通常、2〜約50個のグリセロール単位(a=2〜50)を含む。2〜30個のグリセロール単位を含むグリセロール縮合物が好ましい。2〜10個のグリセロールを含むグリセロール縮合物がより好ましく、2〜5個のグリセロールを含む化合物(IIa)が最も好ましい。
【0027】
好ましいポリアルコール単独−縮合物は、式(IIb)
【0028】
【化2】

【0029】
(但し、nが1〜6の整数であり、及びYがn−価の直鎖状、又は枝分かれした、置換されても良く、置換されていなくても良い、1〜10個の炭素原子を有する脂肪族、又は脂環式基である)
によって記載されるグリセロール縮合物である。Yは、「開始剤(スターター)」とも称されて良い。
【0030】
bは、1〜30の整数で、ここでbは、各ポリマーアームnについて異なることができる。好ましくはbは、1〜15の整数である。最も好ましいものは、bが1〜5の整数である化合物(IIb)である。
【0031】
任意に、ポリグリセロール縮合物(IIb)は、グリセロールカーボネート又はグリシドールの重合によって得ることもできる。
【0032】
重合反応のための適切な開始剤は、1個のヒドロキシル基を有する成分、及び/又は2個のヒドロキシル基を有する成分、及び/又はポリアルコールである。ヒドロキシル基を1個有する適切な成分は、脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、及び脂環式アルコール、例えばシクロヘキサノールである。ヒドロキシル基を2個有する適切な成分は、脂肪族ジオール、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、ポリアルキレングリコール、及びこれらに類似するものである。
【0033】
好ましい実施の形態では、Yは、トリ(ヒドロキシメチル)プロパンであり、すなわちグリセロール縮合物(IIb)は、グリセロールカーボネートとトリ(ヒドロキシメチル)プロパンの反応生成物である。他の好ましい実施の形態では、ポリグリセロール縮合物(IIb)は、グリセロールカーボネートとペンタエリチリトールポリエチレングリコールオリゴマーの反応生成物である。
【0034】
グリセロールカーボネートの重合を、通常の塩基性触媒、例えばアルカリ金属ヒドロキシド、好ましくはカリウムヒドロキシド、又はアルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシド、又はカリウムtert−ブチレートの存在下に行うことが好ましい。反応は、原則として公知の方法で、大気圧で窒素下に、100〜250℃、好ましくは120〜200℃、及びより好ましくは140〜180℃で行うことができる。
【0035】
更なる好ましいポリアルコール単独−縮合物は、式(IIc)
【0036】
【化3】

によって表されるペンタエリチリトールの縮合物である。
【0037】
好ましい実施の形態では、ポリアルコール縮合物(I)は、ペンタエリチリトールの二量体(c=2)又は三量体(c=3)である。ペンタエリチリトールの二量体及び三量体は市販されている。ペンタエリチリトール縮合物を合成するための適切な方法は、例えばUS2441555に開示されている。
【0038】
好ましいポリアルコール共−縮合物は、グリセロールと、2個のヒドロキシル基を有する更なるアルコールの共−縮合物である。2個のヒドロキシル基を有する適切なアルコールは、脂肪族ジオール、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール、ポリアルキレングリコールコポリマー、例えばポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールコポリマー、及びこれらに類似するものである。このようなコポリマーは、(IIa)の合成ために適用される手順に従って合成することができる。
【0039】
グリセロールを含むポリアルコール縮合物のための種々の合成手順についての概要がWO2007049950A2に記載されている。
【0040】
更なる好ましいポリアルコール共−縮合物は、ペンタエリチリトール、及び上述した、2個のヒドロキシル基を有する更なる成分の縮合物である。
【0041】
電気メッキ溶液中で使用される最終的な抑制剤を得るために、ポリアルコール縮合物をポリアルコキシル化する必要がある。
【0042】
ポリアルコキシル化されたポリアルコール縮合物は、ポリアルコール縮合物とアルキレンオキシドの反応生成物である。アルコキシル化したポリアルコール縮合物は、ポリアルコール縮合物中に存在するOH基をアルキレンオキシドと反応させて末端ポリエーテル基を形成することによって見ることができる。アルコキシル化されたポリアルコール縮合物は、それ自体公知である。例えば、US7026363B2には、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドによって、グリセロール縮合物をアルコキシル化することが記載されている。
【0043】
通常、適切なアルキレンオキシドは、C2−〜C12−アルキレンオキシド、又はスチレンオキシドである。対応するアルキレンオキシドの例は、エチレンオキシド、及びプロピレンオキシド、及び1−ブテンオキシド、2,3−ブテンオキシド、2−メチル−1,2−プロペンオキシド(イソブテンオキシド)、1−ペンテンオキシド、2,3−ペンテンオキシド、2−メチル−1,2−ブテンオキシド、3−メチル−1,2−ブテンオキシド、2,3−ヘキセンオキシド、3,4−ヘキセンオキシド、2−メチル−1,2−ペンテンオキシド、2−エチル−1,2−ブテンオキシド、3−メチル−1,2−ペンテンオキシド、デセンオキシド、4−メチル−1,2−ペンテンオキシド、又はスチレンオキシドを含む。エチレンオキシドとアルキレンオキシドのコポリマー中のエチレンオキシドの含有量は、10〜90質量%、より好ましくは10〜50質量%、最も好ましくは25〜40質量%である。
【0044】
エチレンオキシド、プリピレンオキシド、及びブチレンオキシド、又はこれらの組合せから選ばれる(1種以上の)アルキレンオキシドを使用することが好ましい。
【0045】
より好ましくは、ポリオキシアルキレン側鎖は、エチレンオキシドの、プロピレンオキシド、又はブチレンキシド、又はプロピレンオキシドとブチレンオキシドとのコポリマーである。
【0046】
好ましくは、高級アルキレンオキシドが(たいていは特性の微調整のために少量で)通常使用される。通常、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドの量は、使用される全てのアルキレンオキシドの合計に対して、少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%、最も好ましくは100質量%である。
【0047】
最も好ましくは、アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、及びプロピレンオキシド、又はこれらの混合物から選ばれる。最終的な生成物中のオキシエチレンとオキシプロピレン単位の質量割合は、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは10:90〜50:50、最も好ましくは、25:75〜40:60である。
【0048】
2種以上の異なるアルキレンオキシドが使用される場合、形成されたポリオキシアルキレン基は、ランダムコポリマー、交互コポリマー、傾斜コポリマー、又はブロックコポリマーであっても良い。ランダムコポリマーが好ましい。
【0049】
ポリアルコキシル化されたポリアルコール縮合物の分子量Mwは、好ましくは500〜30000g/mol、より好ましくは1000〜20000g/mol、より好ましくは2000〜15000g/mol、及び更に好ましくは3000〜10000g/molである。最も好ましくは、4000〜8000g/molの分子量である。
【0050】
アルコキシル化の平均度合は、ポリアルコール縮合物当たり、約10〜約500個、好ましくは約30〜約400個、より好ましくは約50〜約300個、最も好ましくは約60〜約200個のアルキレンオキシド単位である。
【0051】
ポリアルキレンオキシド単位の合成は、この技術分野の当業者にとって公知である。総合的な詳細は、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,6th Edition,Electronic Releaseの“Polyoxyalkylenes”に記載されている。
【0052】
アルコキシル化を、通常の塩基性触媒、例えばアルカリ金属ヒドロキシド、好ましくはカリウムヒドロキシド、又はアルカリ金属アルコキシド、例えばナトリムメトキシド、又はカリウムtert−ブチレートの存在下に行うことが好ましい。アルコキシル化は、原則として公知の方法で、圧力反応器内で、40〜250℃、好ましくは80〜200℃、及びより好ましくは100〜150℃で行うことができる。アルキレンオキシドを正確に計量して加えるために、アルコキシル化の前に、ポリアルコール縮合物(II)のOH基の数を測定することが推奨される。ポリアルコール縮合物(II)の融点が、反応温度を超える場合、ポリアルコール縮合物(II)は、アルコキシル化反応の前に、不活性溶媒内で懸濁する。適切な溶媒は、トルエン、キシレン、及びN,N−ジメチルホルムアミドである。
【0053】
ポリアルコキシル化されたポリアルコール縮合物は、任意に、更なる反応工程で官能化されても良い。追加的な官能化は、アルコキシル化されたポリアルコール縮合物の特性を改質(変性)するように作用することができる。アルコキシル化されたポリアルコール縮合物の末端ヒドロキシル基は、一般式−(alkoxy)s−Z(但し、Zが任意の所望の基であり、及びsが1〜200である)の基を形成する官能化のために、適切な試薬と反応することができる。官能化剤によって、鎖末端は疎水化されるか、又はより強く親水化されることができる。
【0054】
末端ヒドロキシル基は、硫酸又はこの誘導体を使用してエステル化することができ、これにより末端サルフェート基を有する生成物が形成される(サルファテーション)。同様に、末端リン基を有する生成物を、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、POCl3、P410を使用して得ることができる(フォスファテーション)。
【0055】
更に、一般式−(alkoxy)s−Z(但し、Zがアルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリル又はアリール基である)のエーテル末端のポリアルコキシ基を形成するように、末端OH基もエーテル化されて良い。好ましくは、Zは、メチル、エチル、ベンジル、アセチル、又はベンゾイルである。
【0056】
本発明の更なる実施の形態は、上述した組成物を含む金属メッキ溶液を、寸法が30ナノメートル以下のアパーチャーを有する機構を含む基材上に金属を堆積させるために使用する方法である。
【0057】
本発明の更なる実施の形態は、
a)本発明に従う組成物を含む金属メッキ溶液を基材と接触させる工程、及び
b)金属層を基材に堆積させるのに十分な時間、電流密度を基材に施す工程、
によって基材上に金属層を堆積させるための方法である。
【0058】
好ましくは、基材が、マイクロメーター以下の寸法の機構を含み、及び堆積が、マイクロメーター以下の寸法の機構を満たすように行われる。最も好ましくは、マイクロメーター以下の寸法の機構は、1〜30ナノメートルの(有効)アパーチャー寸法、及び/又は4以上のアスペクト比を有する。より好ましくは、機構は、25ナノメートル以下のアパーチャー寸法、最も好ましくは20ナノメートル以下のアパーチャー寸法を有する。
【0059】
本発明に従うアパーチャー寸法は、メッキ前、すなわち銅種堆積の後の機構の最も小さい直径、又は自由距離(free distance)を意味する。ここで「アパーチャー」及び「開口部」は、同意語として使用されている。凸状形状は、メッキ前の機構の最大の直径又は自由距離より、少なくとも25%、好ましくは30%、最も好ましくは50%小さいアパーチャーサイズを有する機構である。
【0060】
本発明に従うメッキ溶液は、4以上、好ましくは6以上の高いアスペクト比を有する機構のために、特に適切である。
【0061】
種々の金属メッキ溶液を本発明に使用して良い。金属電気メッキ溶液は、典型的には、金属イオン供給源、電解質、及びポリマー性抑制剤を含む。
【0062】
金属イオン供給源は、堆積される金属イオンを電気メッキ溶液中に十分な量で放出可能な(即ち、少なくとも部分的に電気メッキ溶液中に溶解性である)任意の化合物であって良い。金属イオン供給源がメッキ溶液中に可溶性であることが好ましい。適切な金属イオン供給源は、金属塩であり、及び金属サルフェート、金属ハロゲン化物、金属アセテート、金属ニトレート、金属フルオロボレート、金属アルキルスルホネート、金属アリールスルホネート、金属サルファメート、金属グルコネート、及びこれらに類似するものを含む(但し、これらに限定されるものではない)。
【0063】
金属が銅であることが好ましい。金属イオンの供給源が、銅サルフェート、銅クロリド、銅アセテート、銅シトレート、銅ニトレート、銅フルオロボレート、銅メタンスルホネート、銅フェニルスルホネート、及び銅p−トルエンスルホネートであることが更に好ましい。銅サルフェートペンタハイドレート、及び銅メタンスルホネートが特に好ましい。このような金属塩は、通常、市販されており、そして更なる精製を行うことなく使用しても良い。
【0064】
金属電気メッキの他、この組成物を金属含有層の無電解メッキ(無電解堆積)に使用しても良い。この組成物は、Ni、Co、Mo、W及び/又はReを含むバリア層の堆積に特に使用されて良い。この場合、金属イオンの他に、III族及びV族の更なる元素、特にB及びPが、無電解メッキに存在しても良く、及び従って金属と一緒に共−堆積(共−沈殿)されて良い。
【0065】
金属イオン供給源は、本発明で、基材上への電気メッキのための十分な金属イオンを提供する任意の量で使用されて良い。適切な金属イオン供給源は、スズ塩、銅塩、及びこれらに類似するものを含むが、これらに限定されるものではない。金属が銅の場合、銅塩は、典型的には、約1〜約300g/メッキ溶液Lの範囲の量で存在する。金属塩の混合物が、本発明に従い電気メッキされても良い。従って、合金、例えばスズが2質量%以下の銅−スズが、本発明に従って有利にメッキされても良い。このような混合物中の各金属塩の量は、メッキされる特定の合金に依存し、そしてこの技術分野の当業者にとって公知である。
【0066】
通常、金属イオン供給源、及び本発明に従う少なくとも1種の抑制剤に加え、本金属電気メッキ組成物は電解質、即ち、酸性又はアルカリ性電解質、金属イオンの1種以上の供給源、任意にハロゲン化物イオン、及び任意に、他の添加剤、例えば促進剤、及び/又はレベラー(平滑剤)を含むことが好ましい。このような溶液は、典型的には水性である。水は、広い範囲の量で存在して良い。如何なる種類の水、例えば蒸留水、脱イオン化した水又は水道水も使用して良い。
【0067】
本発明の電気メッキ溶液は、成分を如何なる順序で組み合わせて製造しても良い。無機成分、例えば金属塩、水、電解質、及び任意のハロゲン化物イオン供給源が溶液容器に最初に加えられ、次に有機成分、例えば平滑剤、促進剤、抑制剤、界面活性剤等が加えられることが好ましい。
【0068】
典型的には、本発明のメッキ溶液は、10〜65℃の温度、又はこれ以上の、任意の温度で使用されても良い。メッキ溶液の温度は、好ましくは10〜35℃、及びより好ましくは15〜30℃である。
【0069】
適切な電解質は、例えば硫酸、酢酸、ホウフッ化水素酸、アルキルスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、及びトリフルオロメタンスルホン酸、アリールスルホン酸、例えばフェニルスルホン酸、及びトルエンスルホン酸、スルファミン酸、塩酸、リン酸、テトラアルキルアンモンニウムヒロドキシド、好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びこれらに類似するものを含む。酸は、典型的には、約1〜約300g/lの範囲の量で存在し、アルカリ性電解質は、典型的には、約0.1〜約20g/lの量で存在し、又はそれぞれ8〜13のpHをもたらし、及びより典型的には、9〜12のpHをもたらす。
【0070】
このような電解質は、任意に、(銅クロリド又は塩酸中のものとして)ハロゲン化物イオン、例えば塩素イオンの供給源を含んでも良い。本発明では、ハロゲン化物イオンは、広い範囲の濃度、例えば約0〜約500ppmの濃度で使用して良い。典型的には、ハロゲン化物イオンの濃度は、メッキ溶液に対して約10〜約100ppmの範囲である。電解質は、好ましくは硫酸、又はメタンスルホン酸、及び好ましくは、スルホン酸又はメタンスルホン酸とクロリドイオンの供給源の混合物である。本発明で有用な酸及びハロゲン化物イオンの供給源は、通常市販されており、そして更なる精製を行うことなく使用して良いものである。
【0071】
本組成物は更に、少なくとも1種の促進剤、及び/又は少なくとも1種の平滑剤(leveling agent)を含むことが好ましい。
【0072】
本発明に従うメッキ溶液中に、任意の促進剤(しばしばアクセレレーター:acceleratorとも称される)を、本発明に従うメッキ溶液中に有利に使用しても良い。本発明にとって有用なアクセレレーターは、1個以上の硫黄原子を含む化合物、及びスルホン酸/ホスホン酸、又はその塩を含むが、これらに限定されるものではない。
【0073】
通常好ましいアクセレレーター(促進剤)は、一般構造MO3X−R21−(S)p−R22を有している。
【0074】
ここで、
−Mが、水素、又はアルカリ金属(好ましくはNa又はK)であり、
−XがP又はSであり、
−p=1〜6、
−R21が、C1〜C8アルキル基、又はヘテロアルキル基、アリール基、又はヘテロ芳香族基から選ばれる。ヘテロアルキル基は、1個以上のヘテロ原子(N、S、O)及び1〜12個の炭素原子を有している。炭素環式のアリール基は、典型的なアリール基、例えば、フェニル、ナフチルである。ヘテロ芳香族基は、適切なアリール基でもあり、及び1個以上のN、O又はS原子、及び1〜3個の、分離した環又は縮合環を含む。
−R22が、H又は(−S−R21’XO3M)から選ばれ、ここで、R21’は、R21と同一又は異なるものである。
【0075】
より特定的には、有用なアクセレレーターは、以下の式を含むものである:
MO3S−R21−SH
MO3S−R21−S−S−R21’−SO3
MO3S−Ar−S−S−Ar−SO3
(ここで、R21及びR21’は上記に定義したものであり、及びArはアリールである。)
【0076】
特に好ましい促進剤は以下のものである:
−SPS:ビス−(3−スルホプロピル)−ジスルフィドジソジウム塩
−MPS:3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸、ナトリウム塩。
【0077】
アクセレレーターの(単独で又は混合物中に使用される)他の例は次のものであるが、これらに限定されるものではない:MES(2−メルカプトエタンスルホン酸、ナトリウム塩);DPS(N,N−ジメチルジチオカルバミン酸(3−スルホプロピルエステル)、ナトリウム塩);UPS(3−[(アミノ−イミノメチル)−チオ]−1−プロピルスルホン酸);ZPS(3−(2−ベンズチアゾリルチオ)−1−プロパンスルホン酸、ナトリウム塩);3−メルカプト−プロピルスルホン酸−(3−スルホプロピル)エステル;メチル−(ω−スルホプロピル)−ジスルフィド,ジソジウム塩;メチル−(ω−スルホプロピル)−トリスルフィド,ジソジウム塩。
【0078】
このようなアクセレレーターは、典型的には、メッキ溶液の合計質量に対して、約0.1ppm〜約3000ppmの量で使用される。本発明にとって有用なアクセレレーターの特に適切な量は、1〜500ppm、及びより特定的には、2〜100ppmである。
【0079】
如何なる追加的なサプレッサー(抑制剤)も、本発明に有利に使用して良い。本発明にとって有用なサプレッサーは、ポリマー性材料、特にヘテロ原子置換基及びより特定的には酸素置換基を有するものを含むが、これらに限定されるものではない。適切なサプレッサーは、ポリエチレングリコールコポリマー、特に、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールコポリマーを含む。適切なサプレッサーのエチレンオキシドとプロピレンオキシドの配列は、ブロック、交互、傾斜(勾配)、又はランダムであって良い。ポリアルキレングリコールは、更なるアルキレンオキシド形成ブロック、例えばブチレンオキシドを含んでも良い。好ましくは、適切なサプレッサーの平均分子量は、約2000g/モルを超える。適切なポリアルキレングリコールの出発分子は、アルキルアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、及びこれらに類似するもの、アリールアルコール、例えばフェノール、及びビスフェノール、アルカリルアルコール、例えばベンジルアルコール、ポリオール開始剤、例えばグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリチリトール、ソルビトール、炭水化物、例えばサッカロース、及びこれらに類似するもの、アミン、及びオリゴアミン、例えばアルキルアミン、アリールアミン、例えばアニリン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、及びこれらに類似するもの、アミド、ラクタム、複素環式アミン、例えばイミダゾール及びカルボン酸であっても良い。任意に、ポリアルキレングリコール抑制剤がイオン基、例えばサルフェート、スルホネート、アンモニウム、及びこれらに類似するものによって官能化されても良い。
【0080】
サプレッサーが使用される場合、これらは、典型的には、溶液の質量に対して、約1〜約10000ppmの範囲、好ましくは約5〜約10000ppmの範囲の量で存在する。
【0081】
本発明に従う金属メッキ溶液中に、平滑剤(leveling agent)を有利に使用することができる。ここで、「平滑剤」と「レベラー」は同意語として使用される。
【0082】
適切な平滑剤は、1種以上のポリエチレンイミン、及びこれらの誘導体、四級化ポリエチレンイミン、ポリグリシン、ポリ(アリルアミン)、ポリアニリン、ポリウレア、ポリアクリルアミド、ポリ(メラミン−コ−ホルムアルデヒド)、アミンとエピクロロヒロリンの反応生成物、アミン、エピクロロヒドリン、及びポリアルキレンオキシドの反応生成物、アミンと、ポリエポキシド、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピロリドン、又はこれらのコポリマーの反応生成物、ニグロシン、ペンタメチル−パラ−ロザニリンヒドロハライド、ヘキサメチル−パラロザニリンヒドロハライド、トリアルカノールアミン、及びその誘導体、又は式N−R−S(但し、Rが、置換されたアルキル、無置換のアルキル、置換されたアリール、又は無置換のアリールである)の官能基を含む化合物を含むが、これらに限定されるものではない。代表例では、アルキル基は、(C1〜C6)アルキル、及び好ましくは(C1〜C4)アルキルである。通常、アリール基は、(C6〜C20)アリール、好ましくは(C6〜C10)アリールを含む。このようなアリール基は、更に、ヘテロ原子、例えば硫黄、窒素、及び酸素を含む。アリール基が、フェニル、又はナフチルであることが好ましい。式N−R−Sの官能基を含む化合物が一般に知られており、一般に市販されており、及び更に精製することなく使用しても良い。
【0083】
N−R−Sの官能基を含むこのような化合物の中では、硫黄(「S」)及び/又は窒素(「N」)が単結合、又は二重結合でこのような化合物に付着されていても良い。硫黄が単結合で、このような化合物に付着している場合には、硫黄は他の置換基、例えば水素、(C1〜C12)アルキル、(C2〜C12)アルケニル、(C6〜C20)アリール、(C1〜C12)アルキルチオ、(C2〜C12)アルケニルチオ、(C6〜C20)アリールチオ、及びこれらに類似するもの(これらに限定されるものではない)を有することができる。同様に、窒素は、1つ以上の置換基、例えば水素、(C1〜C12)アルキル、(C2〜C12)アルケニル、(C7〜C10)アリール、及びこれらに類似するもの(これらに限定されるものではない)を有することができる。N−R−S官能基は非環式、又は環式であって良い。環式N−R−S官能基を含む化合物は、窒素、又は硫黄、又は窒素と硫黄の両方を環系内に有するものを含む。
【0084】
「置換されたアルキル」は、アルキル基上の1個以上の水素が、他の置換基礎、例えばシアノ、ヒドロキシ、ハロ、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、チオール、ニトロ、及びこれらに類似するもの(これらにも限定されるのではない)で置換されていることを意味する。「置換されたアリール」は、アリール環上の1個以上の水素が、1つ以上の置換基、例えばシアノ、ヒドロキシ、ハロ、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C1〜C6)アルキルチオ、チオール、ニトロ、及びこれらに類似するもの(これらにも限定されるのではない)で置換されていることを意味する。「アリール」は、炭素環式、及び複素環式芳香族系、例えばフェニル、ナフチル、及びこれらに類似するものを含むが、これらに限定されるものではない。
【0085】
ポリアルカノールアミン、アルコキシル化されたポリアルカノールアミン、官機化されたポリアルカノールアミン、及び官能化されたアルコキシル化されたポリアルカノールアミンが、銅電気メッキ溶液中の特に好ましい平滑剤である。このようなポリアルカノールアミンは、ヨーロッパ特許出願番号08172330.6に記載されており、これによりこの文献はここに導入される。
【0086】
ポリアルカノールアミンは、一般式N(R11−OH)3(XIa)の少なくとも1種のトリアルカノールアミン、及び/又は一般式R12−N(R11−OH)2(XIb)の少なくとも1種のジアルカノールアミンを縮合し、ポリアルカノールアミン(XII)を得ることにより得ることができる(工程A)。ここで、R11基は、それぞれが独立して、二価の直鎖状、及び枝分れした、2〜6個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基から選ばれ、及びR12基は、それぞれ、独立して、水素、及び1〜30個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式、及び芳香族炭化水素(これらの全ては、直鎖状、又は枝分れしていて良い)から選ばれる。
【0087】
アルカノールアミンは、それ自体として使用可能であり、又は任意に、アルコキシル化、官能化、又はアルコキシル化及び官能化されて、アルコキシル化されたポリアルカノールアミン(XIII)、官能化されたポリアルカノールアミン(XIV)、又は官能化された、アルコキシル化されたポリアルカノールアミン(XV)を得ても良い。
【0088】
アルコキシル化されたポリアルカノールアミン(XIII)は、(アルコキシル化の平均程度が、OH基、及び−存在する場合には−第2級アミノ基(secondary amino group)当たり、0.1〜200であるという条件で)ポリアルカノールアミン(XII)を、C2−〜C12−アルキレンオキシド、スチレンオキシド、グリシドール、又はグリシジルエーテルでアルコキシル化することにより得ることができる(工程B)。
【0089】
官能化されたポリアルカノールアミン(XIV)は、ポリアルカノールアミン(XII)を、ヒドロキシル基及び/又はアミノ基と反応可能な、適切な官能化試薬で官能化することによって得ることができる(工程C)。
【0090】
官能化された、アルコキシル化されたポリアルカノールアミン(XV)は、アルコキシル化されたポリアルカノールアミン(XIII)を、ヒドロキシル基、及び/又はアミノ基と反応可能な、適切な官能化試薬で官能化することによって得ることができる(工程D)。
【0091】
工程(A)で使用される、トリアルカノールアミン(XIa)及び/又はジアルカノールアミン(XIb)は、一般式N(R11−OH)3(XIa)、及びR12−N(R11−OH)2(XIb)を有する。
【0092】
11基は、各場合において、独立して、二価の直鎖状、又は枝分れした、2〜6個の炭素原子、好ましくは2個又は3個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基である。このような基の例は、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、2−メチルプロパン−1,2−ジイル、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ブタン−1,3−ジイル(=1−メチルプロパン−1,3−ジイル)、ブテン−1,2−ジイル、ブタン−2,3−ジイル、2−メチルブタン−1,3−ジイル、3−メチルブタン−1,3−ジイル(=1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジイル)、ペンタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイル、ペンタン−2,5−ジイル、2−メチルペンタン−2,5−ジイル(=1,1−ジメチルブタン−1,3−ジイル)及びヘキサン−1,6−ジイルを含む。これらの基は、好ましくは、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、又はプロパン−1,2−ジイルである。
【0093】
12基は、水素、及び/又は1〜30個の炭素原子、好ましくは1〜20個の炭素原子、より好ましくは1〜10個の炭素原子を有する、直鎖状、又は枝分れした、脂肪族、脂環式、及び/又は芳香族炭化水素基である。芳香族基は当然、脂肪族置換基を有していても良い。R2は、好ましくは、水素、又は1〜4個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基である。
【0094】
好ましいトリアルカノールアミン(XIa)の例は、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、及びトリブタン−2−オラミン、特に好ましくは、トリエタノールアミンである。
【0095】
好ましいジアルカノールアミン(XIb)の例は、ジエタノールアミン、N−メチル−ジエタノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−N−メチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシブチル)−N−メチルアミン、N−イソプロピルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−sec−ブチルジエタノールアミン、N−シクロヘキシルジエタノールアミン、N−ベンジルジエタノールアミン、N−4−トリルジエタノールアミン、又はN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリンを含む。特に好ましくは、ジエタノールアミンである。
【0096】
トリアルカノールアミン(XIa)及び/又はジアルカノールアミン(XIb)に加え、2個のヒドロキシル基、及び/又はアミノ基を有する更なる成分(XIc)を、重縮合のために任意に使用することができる。
【0097】
成分(XIa)及び/又は(XIb)及び任意に(XIc)の重縮合は、この技術分野の当業者にとって原則として公知の方法で、成分を加熱して水を除去しながら行うことができる。適切な方法は、例えばEP441198A2に開示されている。各場合において、異なる成分(XIa)、(XIb)又は(XIc)の混合物を使用することもできる。
【0098】
縮合は、代表例では、120〜280℃の温度、好ましくは150〜260℃の温度、及びより好ましくは180〜240℃の温度で行われる。形成された水は、好ましくは蒸留除去される。反応時間は、典型的には、1〜16時間、好ましくは2〜8時間である。縮合の程度は、反応温度と時間を使用して、単純な方法で制御することができる。
【0099】
重縮合は、好ましくは酸、好ましくは亜リン酸(H3PO3)及び/又は次亜リン酸(H3PO2)の存在下に行なわれる。好ましい量は、縮合される成分に対して、0.05〜2質量%、好ましくは0.1〜1質量%である。酸に加え、追加的な触媒、例えばハロゲン化亜鉛、又はアルミニウムサルフェートを、適切であれば酢酸との混合物中に(例えばUS4505839に開示されているように)使用することも可能である。
【0100】
得られるポリアルカノールアミン(XII)の粘度は、代表例では1000〜50000mPa.s、好ましくは2000〜20000mPa.s、及びより好ましくは3000〜13000mPa.sである(それぞれ薄めていない生成物を20℃で測定)。
【0101】
得られたポリアルカノールアミン(XII)の平均モル質量Mn(数平均)は、代表例では、250〜50000g/モル、好ましくは500〜40000g/モル、より好ましくは1000〜20000g/モル、及び最も好ましくは1000〜7500g/モルの範囲である。
【0102】
得られるポリアルカノールアミン(XII)の平均モル質量Mw(質量平均)は、代表例では、250〜50000g/モル、好ましくは500〜30000g/モル、より好ましくは1000〜20000g/モルの範囲である。
【0103】
得られるポリアルカノールアミン(XII)は、多分散性(Mw/Mn)が、1〜10の範囲、及び特に1〜5の範囲である。
【0104】
ポリアルカノールアミン(XII)は、第2の工程(B)で、任意にアルコキシル化することができる。この工程では、OH基及び存在する(何れかの)第2級アミノ基が、アルキレンオキシドと反応して、末端ポリエーテル基を形成する。
【0105】
ポリアルカノールアミン(XII)は、更なる反応工程(C)で、任意に官能化されることができる。追加的な官能化は、ポリアルカノールアミン(XII)の特性を変性(変更)するように作用することができる。この目的のために、ポリアルカノールアミン(II)内に存在するヒドロキシル基、及び/又はアミノ基が、(ヒドロキシル基、及び/又はアミノ基と反応可能な)適切な作用剤を使用して変換される。これにより、官能化されたポリアルカノールアミン(XIV)が形成される。
【0106】
アルコキシル化されたポリアルカノールアミン(XIII)は、任意に、更なる反応工程(D)で官能化されることができる。追加的な官能化は、アルコキシル化されたポリアルカノールアミン(XIII)の特性を変性(変更)するように作用することができる。この目的のために、アルコキシル化されたポリアルカノールアミン(XIII)内に存在する、ヒドロキシル基及び/又はアミノ基が、ヒドロキシル基、及び/又はアミノ基と反応することができる適切な作用剤を使用して変換される。これにより、官能化された、アルコキシル化されたポリアルカノールアミン(XV)が形成される。
【0107】
通常、電気メッキ溶液内の平滑剤の合計量は、メッキ溶液の合計量に対して、0.5ppm〜10000ppmである。本発明に従う平滑剤は、メッキ溶液の合計量に対して、典型的には、約0.1ppm〜約1000ppmの合計量で使用され、及びより典型的には、1〜100ppmの合計量で使用されるが、これよりも多い量、又は少ない量も使用して良い。本発明に従う電気メッキ溶液は、1種以上の任意の添加剤を含んでも良い。このような任意の添加剤は、アクセレレーター、サプレッサー、界面活性剤、及びこれらに類似するものを含むが、これらに限定されるものではない。このようなサプレッサー(抑制剤)、及びアクセレレーター(促進剤)は、この技術分野では公知である。サプレッサー及び/又はアクセレレーターの使用する種類と量は、この技術分野の当業者にとって明確である。
【0108】
Cuメッキ金属のための所望の表面仕上げを提供するために、典型的には、種々の添加剤が溶液に使用されて良い。通常、1種以上の添加剤(各添加剤は、所望の機能を形成する)が使用される。有利なことには、電気メッキ溶液は、1種以上のアクセレレーター、レベラー、ハロゲン化物イオン供給源、結晶成長抑制剤、及びこれらの混合物を含んで良い。最も好ましくは、電気メッキ溶液は、アクセレレーター及びレベラーの両方を、本発明に従う抑制剤に加えて含む。他の添加剤が、本電気メッキ溶液に適切に使用されても良い。
【0109】
本発明は、金属層、特に銅層を、種々の基材、特にサブミクオン(マイクロメーター以下)で、及び種々のサイズのアパーチャーを有する基材の上に堆積させるのに有用である。例えば、本発明は、直径が小さいビア、トレンチ、又は他のアパーチャーを有する、集積回路基材、例えば半導体デバイス上に、銅を堆積させるために特に適切である。一実施の形態では、半導体デバイスが本発明に従ってメッキされる。このような半導体デバイスは、集積回路の製造に使用されるウエハーを含む(これらに限られるものではない)。
【0110】
半導体集積回路基材上への銅電気メッキの通常の方法を、図1及び2に基づいて説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
【0111】
図1aは、銅層2aで種付けされた誘電体1(誘電体基材1)を示している。図1bでは、電気メッキによって銅層2’が、誘電体1上に堆積(メッキ)されている。基材1上のトレンチ(溝)2cが充填され、そして銅2bの、「過積載(overburden)」とも称される「過メッキ(overplating)」が、構造化された基材全体の頂部に形成されている。この工程の間、任意の焼き鈍しの後、図1cに示すように、銅2bの過積載が、化学的、機械的な平坦化(CMP)によって除去される。
【0112】
基材1のトレンチ2cを電気メッキによって銅で充填する場合の重要側面は、欠陥の無い、特にボイドとシームの無い銅層を達成することである。これは、銅の成長をトレンチの底部から開始させ、トレンチの側壁での銅の成長を抑制しつつ、トレンチの口まで銅を成長させることによって達成される。図2aに示した、トレンチ充填のこの方法、いわゆる超充填又はボトム−アップ−充填は、所定の添加剤(アクセレレーター、及びサプレッサー)をメッキ溶液に加えることによって達成されることが分かった。これらの2種の添加剤の間には、繊細な相互作用が存在し、如何なる欠陥をも有することのないトレンチの充填を得るために、注意深く調節する必要がある。
【0113】
図2aに示したボトム−アップ−充填は、アクセレレーターを使用して、好ましくはトレンチの底部に銅を蓄積及び吸着させ、そしてこれにより銅成長2iii(「iii」は、「'''」を意味する)を押し上げ、及びサプレッサーを使用して、トレンチの側壁への吸着(銅成長2”)を抑制することによって達成することができる。サプレッサーの化学的構造、及び従って抑制機能に依存して、トレンチの充填は、図2a〜2cに示した、種々の形状の銅成長前部2iv(「iv」は、「''''」を意味する)を形成して進めることができる。側壁の被覆が完了し、及び側壁での銅成長2”を完全に抑制された、完全に作用する抑制剤の効果を図2aに示す。この場合、銅成長前部2ivは平坦で、ボトムアップの銅成長2iiiだけがもっぱら成長している。抑制剤の効果が大きくない場合、図2bに示した銅成長前部2ivが生じる。ボトムアップの銅成長2iiiが主として進行する一方、側壁銅成長2”が僅かに進行する結果、全体的にU−形状の成長前部2ivが得られる。効力の弱いサプレッサーは、V−形状の成長前部2ivを進行させるが、これは、図2cに示したように、側壁銅成長2”が、相当に進行するからである。V−形状の銅成長前部2ivは、トレンチが充填された場合にボイドを形成する重大な危険性をもたらす。完全に正角の銅種付をしたトレンチで、図2bに示すU−形状の銅成長前部2ivを形成することで、十分なトレンチ充填が得られる。しかしながら、図3に示したような、(機構寸法が更に縮小することに伴う、)種の張り出し問題及び/又は凸状形状の機構のために、(サプレッサーが側壁銅成長2”を完全に回避しない場合には、)開口部に近接するトレンチの上半分にピンチ−オフボイドが形成される危険性が存在する。本発明は、非正角の銅種付けであるにも拘らず、種の張り出し問題を処理し、そして欠陥の無いトレンチ充填を提供する、(高い効果を有する)強い抑制剤の新しいクラスを提供する。
【0114】
本発明の有利な点は、ボトムアップ充填(底部から上方への充填)の銅成長を極めて明確にし、側壁部の銅成長を完全に抑制する抑制剤(これにより、平坦な成長前部が得られ、そして従って、欠陥の無いトレンチ充填が得られる)が提供されることである。本発明の側壁での銅成長抑制の強い効果は、非正角に銅種付けされた機構、及び/又は凸状形状の機構を、実質的にボイドを有することなく充填することを可能にする。更に、本発明は、機構が密集した領域の隣り合う機構に、全体的に均一なボトム−アップ充填を提供する。
【0115】
本発明に従う抑制剤は更に、シリコンビア(TSV)を通しての電気メッキへの添加剤として有利に使用することができる。このようなビアは通常、数マイクロメーター〜数百マイクロメーターの寸法、及び少なくとも4、しばしば10以上という大きなアスペクト比を有している。
【0116】
典型的には、基材を本発明のメッキ溶液に接触させることによって基材が電気メッキされる。基材は、典型的にはカソードとして機能する。メッキ溶液(plating bath)は、溶解性又は非溶解性であって良いアノードを含む。任意に、カソード及びアノードは、膜で分離されて良い。典型的には、電位がカソードに与えられる。十分な電流密度が施され、そして所望の厚さを有する金属層、例えば銅層を基材上に堆積させるのに十分な時間、メッキが行われる。適切な電流密度は、1〜250mA/cm2を含むが、本発明はこの範囲に限られるものではない。集積回路の製造に銅を堆積させるために使用する場合、代表例では、電流密度は、1〜60mA/cm2の範囲である。特定の電流密度は、メッキする基材、選択される平滑剤、及びこれらに類似するものに依存する。このような電流密度の選択は、この技術分野の当業者の能力の範囲内である。施される電流は、直流(DC)、パルス電流(PC)、パルスリバース電流(PRC)、又は他の適切な電流であっても良い。
【0117】
通常、本発明が、(集積回路の製造で)金属を基材、例えばウエハー上に堆積させるために使用される場合、メッキ溶液は使用の間、攪拌される。適切な任意の攪拌手段を本発明に使用することができ、そしてこのような手段は、この技術分野では公知である。適切な攪拌手段は、不活性ガス、又は空気散布、ワークピース攪拌、衝撃、及びこれらに類似するものを含むが、これらに限られるものではない。このような手段は、この技術分野の当業者にとって公知である。本発明を、集積回路基材、例えばウエハーのメッキに使用する場合、ウエハーは、例えば1〜150RPMで回転させ、メッキ溶液を(ポンプ流動、又はスプレーによって)回転するウエハーに接触されても良い。この替わりとして、メッキ溶液の流れが、所望の金属堆積を提供するのに十分である場合には、ウエハーは回転させる必要がない。
【0118】
本発明に従い、金属、特に銅が、(金属堆積物内にボイドを実質的に形成することなく)アパーチャー(孔、隙間)内に堆積される。「ボイドを実質的に形成することなく」という記載は、メッキされたアパーチャーの95%はボイドを有していないことを意味する。メッキされたアパーチャーの98%がボイドを有していないことが好ましく、メッキされたアパーチャーの全てがボイド(void)を有していないことが最も好ましい。
【0119】
本発明の方法を、概して半導体の製造について説明したが、ボイドを実質的に有しない、金属が充填された小さな機構が望まれる如何なる電解法であっても本発明は有用である。このような方法は、プリント配線板の製造方法が含まれる。例えば、本メッキ溶液は、ビア、パッド、又はプリント配線板の配線のメッキ、及びウエハー上のバンプメッキ(bump plating)に有用である。他の適切な方法は、パッケージングとインターコネクトの製造方法を含む。従って、適切な基材は、リードフレーム、インターコネクト、プリント配線板、及びこれらに類似するものを含む。
【0120】
プリント半導体基材のためのメッキ装置は、公知である。メッキ装置は、Cu電解質を含み、及び適切な材料、例えばプラスチック、又は電解メッキ溶液に対して不活性な他の材料で作られた、電気メッキタンクを含む。タンクは、特にウエハーのメッキのために、シリンダー状(円筒状)であっても良い。カソードは、タンクの上側部分に水平に配置され、そして開口部、例えばトレンチ及びビアを有するシリコンウエハー等、任意のタイプの基材であっても良い。ウエハー基材は、典型的には、Cuの種層で被覆され、又は他の金属、又は金属被覆層で被覆され、この上にメッキが開始される。Cu種層は、化学的蒸着(CDV)、物理的蒸着(PVD)、又はこれらに類似するもので施されても良い。アノードは、好ましくは、ウエハーメッキのために円形状であり、そしてタンクの下側部分に水平に配置され、これによりアノードとカソードの間に間隔を形成する。代表例では、アノードは溶解性アノードである。
【0121】
これらの溶液添加剤は、種々の用具の製造で発達した膜技術と組み合わせることが有用である。この系(システム)では、アノードは、膜によって有機溶液添加剤から分離されても良い。アノードと有機溶液添加剤を分離する目的は、有機溶液添加剤の酸化を最小限にすることである。
【0122】
カソード基材及びアノードは、配線によって、それぞれ整流器(電源)に連結されている。直流、又はパルス流のためのカソード基材は、ネット(正味)で負電荷(net negative charge)を有しており、これにより、溶液中のCuイオンがカソード基材で還元され、カソード表面上にメッキされたCu金属を形成する。酸化反応がアノードで生じる。カソード及びアノードはタンク内で、水平に、又は垂直に配置されても良い。
【0123】
金属、特に銅は、本発明に従い、金属堆積物中にボイドを実質的に形成することなく、アパーチャー内に堆積される。「ボイドを実質的に形成することなく」という記載は、メッキされたアパーチャーの95%がボイドを有しないことを意味ずる。メッキされたアパーチャーがボイドを有しないこと(ボイドフリーであること)が好ましい。
【0124】
本発明の方法が、概して半導体の製造方法について記載されたが、本発明は、実質的にボイドを有しない銅堆積が望まれる、如何なる電解的方法でも有用であって良い。従って、適切な基材は、リードフレーム、インターコネクト、プリント配線板、及びこれらに類似するものを含む。
【0125】
全ての百分率、ppm又は類似の値は、他に表示がなければ、それぞれの組成の合計質量に対する質量を示す。引用文献の全ては、これにより、ここに導入される。
【0126】
以下に実施例を使用して本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
【実施例】
【0127】
3種のEO−POコポリマーを、それぞれのポリアルコール縮合物のポリアルコキシル化によって合成した。
【0128】
ヒドロキシル価を、DIN53240に従って、ピリジン中のサンプルを無水酢酸及び酢酸と一緒に加熱し、次に水酸化カリウムで滴定することによって測定した。分子量分布を、溶離剤としてTHFを使用し、及び固体相としてPSS SDVカラムを使用して、サイズ排除クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。
【0129】
実施例1
ペンタエリチリトールエトキシレート(CAS−Nr.:30599−15−6、供給者:Aldrich、OH価 14.5mmol/g、40.0g)及びカリウムtert−ブチレート(0.80g)の混合物を、窒素の弱い流れ下に、攪拌させながら160℃に加熱した。30分後、グリセロールカーボネート(68.5g)を45分間の期間にわたって滴下させて加え、そしてバブルカウンターを使用してCO2の形成を検知した。反応物を更に4.5時間にわたり攪拌し、そして次に室温にまで冷却した。ヒドロキシル価が784.7mgKOH/gの、茶色の粘性の高い液体(79.5g)が得られた。L1720のIRスペクトルは、1600〜1900cm-1の範囲で、如何なる信号も示さず、このことは、グリセロールカーボネートの完全な変換を示していた。
【0130】
生成物(74.0g)及び追加的なカリウムtert−ブチレート(0.2g)を、2Lオートクレーブ内に配置し、そして窒素下に2バールで130℃で加熱した。1時間後、エチレンオキシド(251.1g)及びプロピレンオキシド(585.8g)の混合物を、130℃で、4時間10分の期間にわたり、部分に分けて加えた。反応を完了させるために、混合物を15時間にわたり、7バールで後反応させた。反応混合物を窒素でストリップし、そして減圧下(in vacuo)に、80℃で、揮発性成分を除去した。ヒドロキシル価が70.0mgKOH/gの、澄んだ黄色のオイル(896.5g)が得られた。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、分子量分布を測定した。多分散性(Mw/Mn)は、1.39であった。
【0131】
実施例2
トリ(ヒドロキシメチル)プロパン(50.0g)及びカリウムtert−ブチレート(2.1g)の混合物を、窒素の弱い流れ下に、攪拌させながら160℃に加熱した。1時間後、グリセロールカーボネート(118g)を45分間の期間にわたって滴下させて加え、そしてバブルカウンターを使用してCO2の形成を検知した。反応物を更に16時間にわたり攪拌し、そして次に室温にまで冷却した。生成物(182g)は、ヒドロキシル価が1042mgKOH/gであった。L1727のIRスペクトルは、1600〜1900cm-1の範囲で、如何なる信号も示さず、このことは、グリセロールカーボネートの完全な重合を示していた。
【0132】
生成物(70.0g)及び追加的なカリウムtert−ブチレート(0.6g)を、2Lオートクレーブ内に配置し、そして窒素下に2バールで130℃で加熱した。1時間後、エチレンオキシド(386.7g)及びプロピレンオキシド(902.4g)を、130℃で、4時間10分の期間にわたり、部分に分けて加えた。反応を完了させるために、混合物を15時間にわたり、7バールで後反応させた。反応混合物を窒素でストリップし、そして減圧下(in vacuo)に、80℃で、揮発性成分を除去した。ヒドロキシル価が58.3mgKOH/gの、僅かに曇った黄色−茶色のオイル(1295g)が得られた。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、分子量分布を測定した。多分散性(Mw/Mn)は、1.32であった。
【0133】
実施例3
ペンタエリチリトール三量体縮合物(CAS:78−24−0、供給者:Aldrich、45g)、キシレン(150ml)及びカリウムtert−ブチレート(0.8g)を、2Lオートクレーブ内に配置し、そして窒素下に2.5バールで130℃で加熱した。3時間後、エチレンオキシド(235.8g)及びプロピレンオキシド(550.4g)の混合物を、130℃で、4時間10分の期間にわたり、部分に分けて加えた。反応を完了させるために、混合物を15時間にわたり、7バールで後反応させた。回転蒸発器で、及び減圧下に、100℃で溶媒を除去した。曇った黄色がかったオイルが観察され、これをろ過して少量の固体の不純物を除去した。残った澄んだ黄色のオイルは、ヒドロキシル価が73.7mgKOH/gであった。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、分子量分布を測定した。多分散性:Mw/Mn=1.18。
【0134】
図3に、銅で種付けしたウエハー基材の機構寸法を示す。この基材は、以下のセクションに記載する、異なるメッキ溶液で電気メッキするために使用されたものである。銅種付けの堆積後、トレンチは、トレンチ開口部で幅が15.6〜17.9ナノメーター、トレンチの半分の高さ位置で幅が34.6〜36.8ナノメーター、及び深さが176.4ナノメーターであった。
【0135】
実施例4:
DI水、硫酸銅としての40g/l銅、10g/lの硫酸、HClとしての0.050g/lのクロリドイオン、0.028g/lのSPS、及び3.00ml/lの、DI水中、4.7wt%溶液の、実施例1で製造された抑制剤1を組み合わせてメッキ溶液を製造した。
【0136】
銅層を、図3に示した機構寸法を有する、銅種層が施されたウエハー基材上に、(ウエハー基材を上述したメッキ溶液と、25℃で接触させ、−5mA/cm2の電流密度を、それぞれ3〜6秒間施すことによって)電気メッキした。このように電気メッキされた銅層を断面化し、そして走査型電子顕微鏡(SEM)検査によって調査した。
【0137】
図4a及び4bは、得られた電気メッキされた銅層のSEM画像を示している。図4aは、部分的に充填されたトレンチを示しており、3秒のメッキの後、如何なるボイドも存在せず、及びトレンチ中に平坦な銅成長前部を明確に見ることができ、図2aに理想的に示したボトムアップ充填を明確に示している。トレンチの側壁上の銅堆積は、無視できる程小さく、トレンチの側壁での銅成長の強い抑制を示している。全ての機構開口部は、なお開いている。6sのメッキ後、全てのトレンチは、完全に、及び欠陥がない状態で充填され、図4bに示すように、全面的に均一な成長前部を示している。
【0138】
実施例5:
DI水、硫酸銅としての40g/l銅、10g/lの硫酸、HClとしての0.050g/lのクロリドイオン、0.028g/lのSPS、及び3.00ml/lの、DI水中、4.6wt%溶液の、実施例2で製造された抑制剤2を組み合わせてメッキ溶液を製造した。
【0139】
銅層を、図3に示した機構寸法を有する、銅種層が施されたウエハー基材上に、(ウエハー基材を上述したメッキ溶液と、25℃で接触させ、−5mA/cm2の電流密度を、それぞれ3秒〜6秒間施すことによって)電気メッキした。このように電気メッキされた銅層を断面化し、そしてSEM検査によって調査した。
【0140】
結果を図5a及び5bに示す。図5aに示すように、3秒のメッキは、部分的に充填された機構を与え、これは図2bに示した状態に近似しており、そして底部成長前部の隣の機構側壁に少量の堆積が存在し、全体としてU−形状の成長前部を示している。この実施例で使用された抑制剤は、実施例4で使用されたものよりも、全体として抑制が強く、従って、3秒後に、ゆっくりとした(遅い)充填となった。それにもかかわらず、6秒のメッキ後、完全な、及び欠陥のない、充填されたトレンチが、図5bに示すように全面的に均一な成長前部と共に得られた。
【0141】
実施例6
DI水、硫酸銅としての40g/l銅、10g/lの硫酸、HClとしての0.050g/lのクロリドイオン、0.028g/lのSPS、及び2.50ml/lの、DI水中、4.9wt%溶液の、実施例3で製造された抑制剤3を組み合わせてメッキ溶液を製造した。
【0142】
銅層を、図3に示した機構寸法を有する、銅種層が施されたウエハー基材上に、(ウエハー基材を上述したメッキ溶液と、25℃で接触させ、−5mA/cm2の電流密度を、それぞれ3秒〜6秒間施すことによって)電気メッキした。このように電気メッキされた銅層を断面化し、そしてSEM検査によって調査した。
【0143】
図6a及び6bは、得られた電気メッキされた銅層のSEM画像を示している。この実施例で使用された抑制剤は、この調査で試験された全ての抑制剤の中で、最も速い充填速度を与え、この一方で、十分な抑制効果を示し、図6a及び6bに示すように、欠陥のない、ギャップ充填を形成した。図6aに示した3秒のメッキ後、機構は既に充填されていた。
【図1a】

【図1b】

【図1c】

【図2a】

【図2b】

【図2c】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の金属イオンの供給源、及び少なくとも1種の添加剤を含む組成物であって、
前記少なくとも1種の添加剤は、
a)縮合により、式(I)
X(OH)m (I)
の少なくとも1種のポリアルコールから誘導される多価アルコール縮合化合物と、
b)少なくとも1種のアルキレンオキシドと、
を反応させ、ポリオキシアルキレン側鎖を含む多価アルコール縮合物を形成することによって得ることができ、ここで、
mは、3〜6の整数であり、及びXは、m−価の直鎖状、又は枝分かれした、2〜10個の炭素原子を有し、及び置換されていても良く、又は置換されていなくても良い脂肪族、又は脂環式の基であることを特徴とする組成物。
【請求項2】
金属イオンが、銅イオンを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリアルコール縮合物が、ポリアルコールの単独縮合物、又は2種以上のポリアルコールの共−縮合物であり、前記ポリアルコール縮合物が、2〜50個のポリアルコール単位を含むことを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の組成物。
【請求項4】
ポリアルコール縮合物が、グリセロール縮合物、及びペンタエリチリトール縮合物、及びこれらの混合物から選ばれることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の組成物。
【請求項5】
ポリアルコール縮合物が、以下の式
【化1】

(但し、
Yが、n−価の直鎖状、又は枝分かれした、2〜10個の炭素原子を有し、及び置換されていても良く、又は置換されていなくても良い脂肪族、又は脂環式の基であり、
aが、2〜50の整数であり、
bが、各ポリマーアームについて同一であっても良く、又は異なっていても良く、及び1〜30の整数であり、
cが、2〜3の整数であり、
nが、1〜6の整数である)
の化合物から選ばれることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の組成物。
【請求項6】
アルキレンオキシドが、エチレンオキシド、プロピレンキシド、及びブチレンオキシド、又はこれらの混合物から選ばれることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の組成物。
【請求項7】
ポリアルキレン側鎖が、エチレンオキシドとプロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシドのコポリマーであることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の組成物。
【請求項8】
エチレンオキシド及び更なるC3〜C4アルキレンオキシドのコポリマー中のエチレンオキシドの含有量が、10〜50質量%であることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
ポリオキシアルキレン側鎖が、少なくとも2個のアルキレンオキシドのランダムコポリマーであることを特徴とする請求項7又は8の何れかに記載の組成物。
【請求項10】
添加剤の分子量Mwが、3000〜10000g/molであることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の組成物。
【請求項11】
更に、1種以上の促進剤を含むことを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の組成物。
【請求項12】
更に、1種以上の平滑剤を含むことを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の組成物。
【請求項13】
寸法が30ナノメートル以下のアパーチャーを有する機構を含む基材の上に金属を堆積させるために、請求項1〜12の何れか1項に記載の組成物を含む金属メッキ溶液を使用する方法。
【請求項14】
a)請求項1〜12の何れか1項に記載の組成物を含む金属メッキ溶液を基材と接触させる工程、
b)基材上に金属層を堆積させるのに十分な時間、基材に電流密度を施す工程、
によって基材上に金属層を堆積させる方法。
【請求項15】
基材が、マイクロメーター以下の寸法の機構を含み、及び堆積がマイクロメーター及び/又はマイクロメーター以下の寸法の機構を満たすように行われることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
寸法がマイクロメーター以下の機構が、1〜30nmのアパーチャー寸法、及び/又は4以上のアスペクト比を有することを特徴とする請求項15に記載の方法。

【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【公表番号】特表2013−500394(P2013−500394A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522093(P2012−522093)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060276
【国際公開番号】WO2011/012462
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】