説明

マイクロリアクター

【課題】 本発明は、微細流路用凹部や液体クロマトグラフ用凹部を形成した2枚の基板
を接着剤で接着しても、微細流路や液体クロマトグラフが詰まることのないマイクロリア
クターを提供する
【解決手段】幅が0.1〜3000μmの微細流路用凹部の周囲を囲むように凸部が形成
されている下部基板と、前記微細流路用凹部に嵌合可能な凸部と該凸部を介してその両側
に前記下部基板に形成されている凸部が嵌合可能な凹部が形成されている上部基板よりな
り、それぞれの凸部が他基板の凹部に嵌合されて、下部基板と上部基板が積層されてなる
、下部基板と上部基板の間に幅及び高さが0.1〜3000μmの微細流路が形成されて
いることを特徴とするマイクロリアクター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2枚の基板の間に微細流路が形成されたマイクロリアクターに関
する。
【背景技術】
【0002】
近年、シリコンなどの基板上にフォトリソグラフィーなどの半導体加工技術を用いて微
細な流路や構造体を形成し、流路内で様々な化学反応を行わせることにより既存の分析装
置の小型化や、化学プラントの小型・高機能化を行うとするマイクロリアクターの研究が
活発に行われており、マイクロリアクターにおいて、精度よく測定対象物を測定するには
、測定対象物を分離濃縮する必要があり、液体クロマトグラフを微細流路の途中に併設す
る方法が検討されている。
【0003】
上記マイクロリアクターに微細流路や液体クロマトグラフを形成するには、微細流路用
凹部や液体クロマトグラフ用凹部を形成した2枚の基板を積層して微細流路や液体クロマ
トグラフを形成する(例えば、特許文献1参照)ことが一般的であり、積層は接着剤で接
着することにより行われている。
【特許文献1】特開2001−70784号公報
【0004】
しかしながら、基板の表面に接着剤を塗布し、積層して接着剤で接着しようとすると、
接着剤が流動して、微細流路用凹部や液体クロマトグラフ用凹部に流れ込み微細流路や液
体クロマトグラフが詰まってしまうという欠点があった。また、接着剤の成分によっては
、被検出物への汚染という問題もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記欠点に鑑み、微細流路用凹部や液体クロマトグラフ用凹部を形成
した2枚の基板を接着剤で接着しても、微細流路や液体クロマトグラフが詰まることのな
いマイクロリアクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のマイクロリアクターは、幅が0.1〜3000μmの微細流路用凹部の
周囲を囲むように凸部が形成されている下部基板と、前記微細流路用凹部に嵌合可能な凸
部と該凸部を介してその両側に前記下部基板に形成されている凸部が嵌合可能な凹部が形
成されている上部基板よりなり、それぞれの凸部が他基板の凹部に嵌合されて、下部基板
と上部基板が積層されてなる、下部基板と上部基板の間に幅及び高さが0.1〜3000
μmの微細流路が形成されていることを特徴とする。
【0007】
上記、下部基板及び上部基板の素材は、特に限定されるものではなく、例えば、従来か
ら使用されてきている、ガラス、蛍光ガラス、石英、セラミックス、シリコン等の無機材
料が挙げられる。これら無機材料は耐薬品性、耐熱性等が優れており、例えば、半導体微
細加工技術において広く用いられている光リソグラフィー技術を利用すれば、ガラスやシ
リコン基板上にミクロンオーダーの溝を自在に形成することができる。
【0008】
しかしながら、マイクロリアクターを大量に、容易に且つ安価に生産し、かつ廃棄出来
ることも重要である。このような場合、材料そのものが高価であるシリコンや量産性の低
いガラスの使用は望ましいとはいえない。
【0009】
又、医療の現場においては、ガラス製の製品を使う場合には、廃棄の際に適切な処理費
用を支払うことが義務付けられており、それ以外にも軽い、割れない等のメリットがあり
、さらには、転写金型を利用した射出成形やホットプレス成形を行うことにより、非常に
高い生産性にて表面に溝や孔を形成することが可能であることから、基板は高分子樹脂か
ら形成されるのが好ましい。
【0010】
上記高分子樹脂の種類は、特に限定されるものではないが、加熱により簡単に表面加工
出来るという点では、熱可塑性樹脂が好ましく、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリス
チレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリル系樹脂、
ポリカーボネート系樹脂、ポリジメチルシロキサンなどのシリコン系樹脂等が挙げられる

【0011】
マイクロリアクターは、測定物質を吸着・脱離するために、様々なpHの流体を用いる
ことが多いので、耐酸・アルカリ性を有する樹脂、例えば、ポリオレフィン系樹脂やポリ
アクリル系樹脂がより好ましい。
【0012】
一方、熱硬化性樹脂は、加熱により可塑化して簡単に表面加工するという利点は有さな
いが、予め硬化剤等を混合した前駆体液を転写金型に導入しておき、樹脂表面を賦形する
ことが可能である。
【0013】
この場合、前駆体が液状のため、転写金型の形状をより忠実に転写するという利点があ
る。又、一般に、静的に硬化された樹脂は、低い線膨張率、低い成形収縮率を示すことか
らも、有利に用いることができる。このような熱硬化樹脂としては、コストや易取扱い性
の点から、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂等を有利に用いることができる。
【0014】
又、微細流路表面を耐薬品性の改善、圧力損失の低減、流体制御等を目的として、各種
試薬で改質してもよい。特に、高分子樹脂基板の場合は、耐候性の改善や機械的強度の改
善、耐薬品性の向上などを目的として、各種試薬、添加剤による基板そのものの改質も良
い。
【0015】
又、基板の大きさは特に限定されるものではないが、大きくなるとマイクロリアクター
としてのハンドリング性が低下するので400cm2 以下が好ましく、厚さは0.01〜
100mmが好ましい。
【0016】
次に図面を参照して説明する。図1は請求項1記載のマイクロリアクターの一例を示す
要部断面図である。
【0017】
図中1は下部基板であり、2は上部基板である。下部基板1には、幅が0.1〜300
0μmの微細流路用凹部3が形成され、微細流路用凹部3の側壁に沿うように微細流路用
凹部3の周囲を囲んでいる凸部4、4が形成されている。
【0018】
上部基板2には、微細流路用凹部3に嵌合可能な凸部6が形成され、凸部6を介してそ
の両側に、凸部4、4が嵌合可能な凹部5、5が形成されている。凸部6の高さは凹部5
の深さと同一高さになされている。
【0019】
下部基板1と上部基板2は、凸部4、4が凹部5に嵌合されると共に凸部6が微細流路
用凹部3に嵌合されて積層され、接着剤で接着されて、幅及び高さが0.1〜3000μ
mの微細流路7が形成されてマイクロリアクターが構成されている。
【0020】
尚、8は空隙部であり、凸部4の高さを凹部5の深さより若干高くすることにより形成
されており、下部基板1と上部基板2を接着するための接着剤の剰余分が収納されている

【0021】
微細流路7は下部基板1と上部基板2を積層し、微細流路用凹部3に凸部6を嵌合する
ことにより形成されるので、微細流路用凹部3の下部基板1の表面からの深さは0.1〜
3000μmが好ましく、凸部6の高さを調節することにより微細流路7の高さを調節す
ることができる。
【0022】
又、下部基板1と上部基板2を接着剤で固定する際に、下部基板1及び/又は上部基板
2表面に塗布された接着剤が下部基板1と上部基板2により押圧されて微細流路7に侵入
しないように微細流路用凹部3と凸部6は水密に嵌合されるのが好ましい。
【0023】
微細流路7は、測定物質を含有する液体試料や液体クロマトグラフで使用する溶離液等
が流動可能であることが必要であるが、大きくなると液体クロマトグラフで分離された測
定物質が微細流路内で拡散し、分離性能が低下するので、その幅及び高さは0.1〜30
00μmであり、好ましくは1〜1000μmである。
【0024】
凸部4は凹部5に嵌合され、下部基板1と上部基板2は位置調整され、固定されるので
凸部4の幅は50〜2500μmが好ましく、高さは20〜500μmが好ましい。又、
凹部5の幅は凸部4が嵌合しうる幅であり、深さは20〜500μmが好ましい。
【0025】
又、下部基板1と上部基板2を接着するために塗布された接着剤の剰余分を収納できる
ように空隙部が実質的に形成されるのが好ましく、上部基板2の凹部5の深さは下部基板
1の凸部4の高さより5μm以下深いのが好ましい。
【0026】
上記接着剤としては、下部基板1と上部基板2を接着しうる接着剤であれば従来公知の
任意の接着剤が使用可能であるが、溶媒の乾燥が困難であるので、無溶剤の接着剤が好ま
しく、例えば、ホットメルト型接着剤、光硬化性接着剤、熱硬化性接着剤、湿気硬化性接
着剤、粘着剤等が好ましい。
【0027】
尚、マイクロリアクターが3枚以上の基板で形成されている場合には、隣り合う基板の
いずれかを上部基板と下部基板として理解して微細流路用凹部、凸部等を形成して積層す
ることにより微細流路を形成すればよい。
【0028】
請求項2記載のマイクロリアクターは、幅が0.1〜3000μmの微細流路用凹部と
、該微細流路用凹部に挟まれて液体クロマトグラフ用カラム用凹部が形成されていると共
に、微細流路用凹部と液体クロマトグラフ用カラム用凹部の周囲を囲むように凸部が形成
されている下部基板と、前記微細流路用凹部と液体クロマトグラフ用カラム用凹部に嵌合
可能な凸部と該凸部を介してその両側に前記下部基板に形成されている凸部が嵌合可能な
凹部が形成されている上部基板よりなり、それぞれの凸部が他基板の凹部に嵌合されて、
下部基板と上部基板が積層されてなる、下部基板と上部基板の間に幅及び高さが0.1〜
3000μmの微細流路と、該微細流路に挟まれて液体クロマトグラフ用カラム部が形成
され、該カラム部に液体クロマトグラフ用充填材が充填されていることを特徴とする。
【0029】
上記液体クロマトグラフ用カラム部は、微細流路に挟まれて形成されており、カラム部
に液体クロマトグラフ用充填材を充填し、測定物質を含有する液体試料を通過させ、測定
物質を吸着させた後、溶離液を通過させ測定物質を離脱させることにより、測定物質の濃
縮、分離等の機能を有する領域である。
【0030】
上記液体クロマトグラフ用カラム部の形状は、特に限定されないが、液体試料や溶離液
が均一に流入あるいは流出するように、微細流路側から液体クロマトグラフ用カラム部の
入口方向あるいは出口方向を見た場合左右対称であるのが好ましい。
【0031】
又、液体クロマトグラフ用カラム部の体積は、特に限定されないが、使用する際に想定
される目的の測定物質の最大量より、カラム部での分離、吸着必要量を想定し、大きさを
決定すればよい。
【0032】
液体クロマトグラフ用カラム用凹部には、その周囲を囲むように凸部が形成され、上部
基板には液体クロマトグラフ用カラム用凹部に嵌合可能な凸部と該凸部を介してその両側
に前記下部基板に形成されている凸部が嵌合可能な凹部が形成されているが、これら凸部
及び凹部の構成は前述した通りである。
【0033】
上記液体クロマトグラフ用カラム部には液体クロマトグラフ用充填材が充填されている
。液体クロマトグラフ用カラム部に液体クロマトグラフ用充填材を充填する方法は、特に
限定されるものではなく、例えば、下部基板と上部基板を積層して液体クロマトグラフ用
カラム部を形成すると共に下部基板又は上部基板に液体クロマトグラフ用カラム部に連通
した充填材注入口を穿設し、次に、液体クロマトグラフ用充填材の懸濁液を充填したディ
スペンサーを充填材注入口に接続し加圧して液体クロマトグラフ用充填材の懸濁液を液体
クロマトグラフ用カラム部に注入し、注入後、シール材で充填材注入口を封止する方法が
挙げられる。
【0034】
液体クロマトグラフ用充填材は、一般に液体クロマトグラフで使用されている微粒子の
充填剤であれば特に限定されず、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリメ
タクリレート樹脂、ポリヒドロキシメタクリレート樹脂、ポリビニルアルコール、シリカ
、アルミナ等の微粒子が挙げられる。
【0035】
又、適当な担体に、液体試料内の目的とする測定物質と相互作用する官能基や原子団を
固定化した充填材であってもよい。
【0036】
上記相互作用としては、例えば、物理的吸着や、イオン結合、配位結合、キレート結合
、疎水性相互作用、分子内極性による相互作用などが挙げられる。
【0037】
上記のような相互作用をする官能基や原子団としては、例えば、スルホ基、第4級アン
モニウム基、オクタデシル基、オクチル基、ブチル基、アミノ基、トリメチル基、シアノ
プロピル基、アミノプロピル基、ニトロフェニルエチル基、ピレニルエチル基、ジエチル
アミノエチル基、スルホプロピル基、カルボキシル基、カルボキシメチル基、スルホキシ
エチル基、オルトリン酸基、ジエチル(2−ヒドロキシプロピル)アミノエチル基、フェ
ニル基、イミノジ酢酸基、エチレンジアミン、硫黄原子を含むキレート形成基、例えば、
各種メルカプト基、ジチオカルバミン酸基、チオ尿素基などの官能基や、アビジン、ビオ
チンゼラチン、ヘパリン、リジン、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、プロテイン
A、プロテインG、フェニルアラニン、ヒママメレクチン、デキストラン硫酸、アデノシ
ン5’リン酸、グルタチオン、エチレンジアミン二酢酸、プロシオンレッド、アミノフェ
ニルホウ酸、牛血清アルブミン、ポリヌクレオチド(例えばDNA)、タンパク質(例え
ば抗体)等の原子団が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種類以上が同
時に用いられてよい。
【0038】
又、上記担体としては、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリメタクリ
レート樹脂、ポリヒドロキシメタクリレート樹脂、ポリビニルアルコール、シリカ、アル
ミナなどの液体クロマトグラフィーで用いられる担体材料、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン及びエチレンープロピレン共重合体等に代表されるポリオレフィン;エチレンーテトラ
フルオロエチレン共重合体、エチレンークロロトリフルオロエチレン共重合体に代表され
るオレフィン−ハロゲン化オレフィン共重合体;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ
化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等に代表されるハロゲン化ポリオレフィ
ン及びポリスルホン等;セルロース系の多孔膜等の多孔質膜材料、綿や麻などの植物性繊
維;絹や羊毛などの動物性繊維に代表される各種の天然繊維あるいは再生繊維;ポリエス
テル繊維やポリアミド繊維等の各種合成繊維等の繊維状材料、多孔質セラミック、多孔質
ガラス等のモノリス型多孔質無機材料あるいは;ポリアクリルアミドゲル、スチレンジビ
ニルベンゼン共重合体等を多孔質化したモノリス型多孔質有機材料が挙げられる。
【0039】
上記担体は、その表面を耐薬品性の改善あるいは、圧力損失の低下、分離性能の改善な
どを目的として各種表面修飾剤で処理されてもよい。又、これらは単独で用いられてもよ
いし、2種類以上が同時に用いられてよい。
【0040】
官能基や原子団の担体への固定化方法は、特に限定されず、例えば、担体中に含まれる
官能基、例えば、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基などと官能基を直接
反応させる方法、酸無水物などの架橋剤で担体を処理し、官能基を架橋剤と反応させる方
法等が挙げられる。
【0041】
上記担体の形状は、特に限定されないが、圧力損失の低下が少なく、液体試料と担体の
接触効率が高いほうが好ましいので、粒状あるいはモノリス状が好ましい。
【0042】
又、粒状の場合、大きさは特に限定されないが、液体試料と担体を効率的に接触させる
ためには、その直径が微細流路の断面の短径以下が好ましく、より好ましくは、その1/
2以下である。
【0043】
液体クロマトグラフ用カラム部の上流側入口付近及び下流側出口付近に、液体クロマト
グラフ用カラム部に充填された液体クロマトグラフ用充填材が、液体クロマトグラフ用カ
ラム部から流出することを防止するためにフィルターが設置されてもよく、フィルターは
上記液体クロマトグラフ用充填材の微粒子の平均粒径以下の孔径を有するのが好ましい。
【0044】
上記フィルターの材料としては、カラム部に充填されている液体クロマトグラフ用充填
材の微粒子の平均粒径以下の孔径を有し、液体クロマトグラフで使用される溶媒に対して
溶解しない材料であれば、特に限定されず、例えば、ステンレス、ガラス、シリカ、ポリ
エーテルエーテルケトン、ポリビニリデンジフロライド、ポリテトラフルオロエチレン、
ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース混合エステル、ポリエチ
レンテレフタレート等が挙げられる。
【0045】
上記材料を主材料とするメンブレンフィルター、ガラス繊維濾紙、モノリス状ガラス、
モノリス状ポリマーを適当なフィルター形状、例えば短冊状に切断、あるいは同形状に成
形することにより、簡便にフィルターを作製できる。
【0046】
上記材料を前述の孔径を有する状態で、例えば、短冊状に成形することにより、フィル
ターとして使用することができる。
【0047】
液体試料や溶離液を液体クロマトグラフに供給する際には液体試料や溶離液は層流の状
態で供給されるのが好ましいが、フィルターの厚みが厚くなると、液体試料や溶離液の流
れが乱され、乱流になり易いので、フィルターの厚みは1mm以下が好ましい。
【発明の効果】
【0048】
請求項1記載のマイクロリアクターの構成は上述の通りであり、位置決めが容易であり
容易に製造することができる。又、接着剤で接着しても接着剤が微細流路に流れ込むこと
がないので微細流路が詰まることかなく、設計通りのマイクロリアクターを製造すること
ができる。
【0049】
請求項2記載のマイクロリアクターの構成は上述の通りであり、位置決めが容易であり
容易に製造することができる。又、接着剤で接着しても接着剤が微細流路及び液体クロマ
トグラフ用カラム部に流れ込むことがないので微細流路及び液体クロマトグラフ用カラム
部が詰まることかなく、設計通りのマイクロリアクターを製造することができる。
【0050】
請求項3記載のマイクロリアクターの構成は上述の通りであり、位置決めがより容易で
あり、強固に積層することができる。
【0051】
請求項4記載のマイクロリアクターの構成は上述の通りであり、空隙部に余分の接着剤
を収納することができ、微細流路及び液体クロマトグラフ用カラム部に流れ込むことがよ
り確実に制御でき微細流路及び液体クロマトグラフ用カラム部が詰まることかなく、設計
通りのマイクロリアクターを製造することができる。
【0052】
請求項5記載のマイクロリアクターの構成は上述の通りであり、下部基板に形成されて
いる凸部により形成された凹部に、上部基板に形成されている凸部に水密に嵌合されてい
るので、接着剤が微細流路及び液体クロマトグラフ用カラム部に流れ込むことがより確実
に制御でき微細流路及び液体クロマトグラフ用カラム部が詰まることかなく、設計通りの
マイクロリアクターを製造することができる。
【0053】
請求項6記載のマイクロリアクターの構成は上述の通りであり、接着剤により上部基板
と下部基板は接着されているので強固に積層されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
次に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0055】
(実施例1)
図2はマイクロリアクターの一例を示す平面説明図である。下部基板1には凸部4、微
細流路用凹部3、液体クロマトグラフ用カラム部凹部及びフィルター部凹部が形成され、
上部基板2には凹部5及び凸部6が形成され、両者を重ね合わせ、各凹部に当接する凸部
を嵌入することにより、高さ300μm、幅300μmの断面形状が長方形の液体クロマ
トグラフ用カラム部9及び液体クロマトグラフ用カラム部9の上流側と下流側にフィルタ
ー部10、10が形成されている。又、高さ200μm、幅200μmの断面形状が長方
形の微細流路7が、フィルター部10の上流側と下流側に接続して形成され、液体クロマ
トグラフ用カラム部9、フィルター部10及び微細流路7の周囲には高さ10μm、幅1
000μmの断面形状が長方形の空隙部8が形成されている。
【0056】
アクリル製の下部基板1にディスペンサーを用いて紫外線硬化接着剤を塗布した上に、
アクリル製の上部基板に2を重ね合わせ、各凹部に当接する凸部を嵌入した後、治具で固
定した状態で紫外線を照射して接着したところ、空隙部8に接着剤が流れ込むことにより
、その空隙部8はほぼ埋め尽くされていた。
【0057】
(比較例1)
微細流路用凹部3、液体クロマトグラフ用カラム部凹部及びフィルター部凹部が形成さ
れたアクリル製の下部基板1にディスペンサーを用いて紫外線硬化接着剤を塗布した上に
、平板である、アクリル製の上部基板2を重ね合わせ、治具で固定した状態で紫外線を照
射して接着したところ、5回接着したうちの1回は微細流路に接着剤が流れ込んで微細流
路が閉鎖されていた。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明のマイクロリアクターの一例を示す要部断面図である。
【図2】本発明のマイクロリアクターの一例を示す平面説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1 下部基板
2 上部基板
3 微細流路用凹部
4 凸部
5 凹部
6 凸部
7 微細流路
8 空隙部
9 カラム部
10 フィルター部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅が0.1〜3000μmの微細流路用凹部の周囲を囲むように凸部が形成されている
下部基板と、前記微細流路用凹部に嵌合可能な凸部と該凸部を介してその両側に前記下部
基板に形成されている凸部が嵌合可能な凹部が形成されている上部基板よりなり、それぞ
れの凸部が他基板の凹部に嵌合されて、下部基板と上部基板が積層されてなる、下部基板
と上部基板の間に幅及び高さが0.1〜3000μmの微細流路が形成されていることを
特徴とするマイクロリアクター。
【請求項2】
幅が0.1〜3000μmの微細流路用凹部と、該微細流路用凹部に挟まれて液体クロ
マトグラフ用カラム用凹部が形成されていると共に、微細流路用凹部と液体クロマトグラ
フ用カラム用凹部の周囲を囲むように凸部が形成されている下部基板と、前記微細流路用
凹部と液体クロマトグラフ用カラム用凹部に嵌合可能な凸部と該凸部を介してその両側に
前記下部基板に形成されている凸部が嵌合可能な凹部が形成されている上部基板よりなり
、それぞれの凸部が他基板の凹部に嵌合されて、下部基板と上部基板が積層されてなる、
下部基板と上部基板の間に幅及び高さが0.1〜3000μmの微細流路と、該微細流路
に挟まれて液体クロマトグラフ用カラム部が形成され、該カラム部に液体クロマトグラフ
用充填材が充填されていることを特徴とするマイクロリアクター。
【請求項3】
下部基板の凸部は、幅が50〜2500μm、高さが20〜500μmであり、上部基
板の凹部の幅は下部基板の凸部が嵌合しうる幅であり、深さは20〜500μmであるこ
とを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロリアクター。
【請求項4】
上部基板の凹部の深さは、下部基板の凸部の高さより5μm以下深く、該凹部と凸部の
間に実質的に空隙が形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のマイクロ
リアクター。
【請求項5】
下部基板に形成されている微細流路用凹部に、上部基板に形成されている凸部が水密に
嵌合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のマイクロリアクター

【請求項6】
下部基板と上部基板が接着剤により接着されていることを特徴とする請求項1〜5のい
ずれか1項記載のマイクロリアクター。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−112836(P2006−112836A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−298184(P2004−298184)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】