説明

マイクロ波アプリケータ

同軸的電気入力部材(4)と、誘電体(2)が充填された導波路(1)とを備え、同軸的入力部材の内側導体(7)は導波路(1)の末端面(8)まで進行するマイクロ波をTM01モードにて発射すべく導波路(1)の一端内で長手方向に延在することから、末端面が治療対象の生物学的組織により接触されたときにはマイクロ波が送出される、マイクロ波アプリケータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的組織を加熱するのに適したマイクロ波アプリケータ(microwave applicator)、および、表面組織を加熱治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は先に、高い誘電率(permittivity)の誘電体を含む小径の導波路を備えた手術用のマイクロ波アプリケータを提案した。同軸的な電気入力によれば誘電体内でマイクロ波はTE11モードで生成されると共に、該マイクロ波は導波路の末端面から放射される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
第1の形態に依れば、本発明は、同軸的電気入力部材と、誘電体が充填された導波路とを備え、同軸的入力部材の中央導体は、導波路の末端面まで進行するマイクロ波を好適にはTM01モードにて発射すべく導波路の一端内で長手方向に延在することから、治療対象の生物学的組織と接触したときに、末端面からはマイクロ波が送出されるという、マイクロ波アプリケータに在る。
【0004】
TM01モードが好適である、と言うのも該モードは、一般的に使用される基本的なTE11モードよりも同軸的入力部材に良好に整合する電界パターンを有するからである。TM01によれば、同軸的入力部材と導波路との間の遷移部も簡素化される。中央導体は、円形の導波路内に好適に同軸的に整列されると共に、導波路内で短距離だけ延在することで、特に導波路の長さおよび直径などの該導波路の全体的寸法と、誘電体の誘電率および電気入力の周波数とに対して整合する。
【0005】
導波路の末端面は好適には平坦であり、且つ、該末端面は、該末端面に接触する生物学的組織内へと進行する平行波面であって最小限の横方向広がりを有する平行波面を備えたマイクロ波エネルギを放射する。マイクロ波の貫通の深度は、周波数および電気的入力パワーに依存するが、典型的には、顕微手術における組織の局所的加熱治療に対しては短距離の貫通のみが必要とされる。代替実施形態においては、末端面は、平坦である代わりに僅かに膨出状とされると共に、導波路の軸心に対して中心合わせされ得る。
【0006】
本発明の別の特に重要な特徴は、導波路における共振を利用する機能であることから、各々における誘電体の変化により引き起こされるという入力端部における遷移部からの反射と末端面からの反射とは、末端面が生物学的組織に接触しているときには位相を異にすることから前方送出が増進され、且つ、末端面が生物学的組織と接触しないときには同位相であることから反射が増進される。故に、治療対象の生物学的組織と接触しているときには末端面からマイクロ波エネルギが何らか感知できる程度だけ送出され、このことが動作のモードにおける重要な安全特徴である。
【0007】
第2の形態に依れば本発明は、導波路と、該導波路の末端まで進行し且つ治療対象の生物学的組織内へと送出される好適にはTM01モードにてマイクロ波を発射すべく、導波路の一端内で長手方向に延在する中央導体を備えた同軸的電気入力部材とを備え、導波路内には、該導波路に沿い進行するマイクロ波を反射すべく該導波路の横方向に延在する低損失の誘電物質から成るダイヤフラムが配備され、ダイヤフラムの長手方向位置は、導波路接合部とダイヤフラムとからの反射波のコヒーレント(coherent)な付加が協働して、同軸的導波路接合部からの反射を打ち消す正しい大きさおよび位相の波を生成する様に、導波路の各端部に関して選択されるという、マイクロ波アプリケータに在る。
【0008】
好適には、ダイヤフラムの厚み、および、それを構成する誘電物質の誘電率は、同軸的入力部材内の後方反射を最適に打ち消す様に、ダイヤフラムからのマイクロ波の後方反射の大きさを決定すべく選択される。
【0009】
好適には、導波路には空気が充填され、且つ、導波路の末端は治療されるべき表面組織に対して接触(もしくは略接触)し得る。
【0010】
本発明の第1もしくは第2の形態のマイクロ波アプリケータは、導波路の末端面が治療のために表面組織と接触されるという、表面組織を加熱治療する方法において使用されることができる。
【0011】
次に、本発明は添付図面を参照して例示的に記述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1のマイクロ波アプリケータは、アルミニウム箔3の外層により覆われた誘電体2から成る円筒体により形成される導波路1と、同軸ケーブルの外側導体5が銅製フェルール6を介してアルミニウム・テープ3に電気的に接続される様に一端にて導波路に接続された撓曲可能な同軸ケーブル式入力電力供給部4とを備え、且つ、同軸ケーブルの内側導体7は誘電体2内へと短距離lだけ軸心方向に延在する。導波路1の末端面8は平坦であると共に、FEPもしくはパラレン(paralene)などの非粘着性のポリマ被覆の層で覆われる。
【0013】
導波路1は好適には、TM01モードで動作する。
【0014】
典型的には、このマイクロ波アプリケータが9.2GHzの周波数で作動するためには、導波路の寸法は以下の通りである:全長L=12.9mm、直径D=5.2mm、l=5.9mm;および誘電体の誘電率k=25。誘電体は典型的に、エマーソン・アンド・カミング社(Emerson & Cummings)により販売されているHik500f誘電物質である。
【0015】
種々の周波数における図1のマイクロ波アプリケータの性能は、図2のグラフにより示されるが、グラフSは、アプリケータの末端面8が空気中に在るときの反射係数S11の変化を示し、且つ、グラフTは、治療対象の生物学的組織に対してアプリケータの末端面8が接触しているときの反射係数S11の変化を示している。図2のグラフTにおいて意図された9.2GHzの作動周波数にて明確に例証されるS11の値の低下は、良好なマイクロ波の整合を表している。これらの条件下で、アプリケータは生物学的組織内へと最大のマイクロ波エネルギを送出するが、もし組織との接触が中断されて空気中またはCO2などの気体中とされると、送出されるエネルギは相当に低いレベルへと直ちに低下する、と言うのも、エネルギは同軸ケーブル式入力電力供給部4に対して戻し反射されるからである。
【0016】
図1に示されたマイクロ波アプリケータは、製造が比較的に安価であることから顕微手術に対する使い捨て式製品として販売され得ることは理解される。
【0017】
5.2mmの小径であるという図1のマイクロ波アプリケータは、生物学的物質に接触したときに末端の近傍で制御様式にて局所的加熱効果を生成すべく腹腔鏡式手術(laproscopic surgery)においてトロカールを介して挿入するに適している。
【0018】
たとえば斯かるアプリケータは、卵巣癌の治療のためにもしくは子宮内膜症の治療のために小寸の表面腫瘍を破壊すべく、または、任意の表面病巣を破壊すべく使用され得る。
【0019】
図3に示された本発明の第2実施形態は、図1のそれと構成が同様であり、等しい構成要素に対しては同一の参照番号が用いられる。但し、導波路1は、典型的に2mm厚さの堅固なアルミニウム筒状壁部13を備えると共に、誘電体2は、誘電率K=25を有する安定化ジルコニア(TECHNOX(登録商標)2000)などの硬質のセラミック材料から成る。この誘電物質によれば、アプリケータに対しては、図1のアプリケータに対するたとえば45ワットのパワー・レベルと比較して、典型的には200ワットまでの更に高いパワー・レベルを取り扱う機能が与えられる。導波路1は好適には、TM01モードで作動する。
【0020】
図3のアプリケータは、2.45GHzの低い周波数で作動すべく設計されると共に、大きい長さ=50mmおよび直径D=20mmも有する。直径Dは、作動周波数と誘電率Kとにより決定されると共に、適切なサイズの面積を有する組織を治療し得るべく選択されるものであり、図1と比較して大きな面積は大きなパワーとバランスがとられることで、企図治療に対し末端8にては適切な出力密度が提供されることは理解される。
【0021】
中央導体7の突出部lは誘電体2内へと25mm延在し、且つ、外側導体5と同軸ケーブル入力部4の誘電体と導波路1との間にはエアギャップ9が配備されることで、同軸ケーブルの誘電体充填物の膨張が許容される。
【0022】
より大寸の末端8を備えた図3のアプリケータは、たとえば肝臓における一次的および二次的な腫瘍などの大寸の表面破壊腫瘍の治療に対して更に適している。
【0023】
より小寸の肝臓腫瘍の治療に適した本発明の代替実施例においては、図3のものと同一の構成が使用されるが、安定化ジルコニア製の誘電体は誘電率K=10を有するアルミナにより置換され、且つ、各寸法は以下の通りである:L=18mm;D=10mm;l=11mm;および作動周波数は9.2GHzである。このアプリケータは、図3のものよりも小面積の組織を治療するが、付随する損傷は更に少ない。
【0024】
図4に示されたマイクロ波アプリケータは、一端にて当該空気充填導波路11に接続される撓曲可能な同軸ケーブル式入力電力供給部に対する入力接続部14を備えたアルミニウム筒状壁部13により形成された空気充填導波路11を備える。壁部13の外側面は、UPVCスリーブ16により覆われる。同軸ケーブルの外側導体は、真鍮製継手17を介して壁部13に電気接続され、且つ、同軸ケーブルの内側導体は、導波路11内へと短距離lだけ軸心方向に延在する導体15に対して接続される。PTFEブッシュ18は、導体15と継手17との間を分離して電気絶縁体を形成する。導波路内において開放端部の近傍にて溝区画21内には横方向に向けてパースペックス(Perspex)ダイヤフラム20が配置されるが、該区画21は、ダイヤフラムを開放端部18から距離wだけ離間する。ダイヤフラム20は、厚みtを有する。導波路11は好適には、TM01モードで作動する。
【0025】
このアプリケータの作動周波数は7GHzであり、且つ、各寸法は典型的には、L=108mm;D=42mm;l=13mm;w=27.7mm;およびt=4.3mmである。これらの寸法は、ダイヤフラムの作動周波数および誘電率に関して選択されることから、治療されるべき表面組織に対して導波路の開放端部が使用時に接触されたとき、組織からのマイクロ波の後方反射と、同軸ケーブル14と導波路11との間の遷移部からのマイクロ波の後方反射とは、ダイヤフラムからの反射により実質的に打ち消されることから、同軸ケーブル内における反射が減少される。この平衡化状況において、マイクロ波エネルギの大部分は治療されつつある組織に対して送出される。特に、ダイヤフラム20の厚みtおよびそれを構成する材料の誘電率kにより、該ダイヤフラムからのマイクロ波の後方反射の大きさが決定される。導波路11の各端部に対するダイヤフラム20の位置が、マイクロ波の夫々の後方反射の相対位相を決定する。
【0026】
図4における如きマイクロ波アプリケータは特に、治療されつつある組織に対するプローブの端部の接触が最小限であることから、乾癬(psoriasis)の治療などの皮膚治療に対して適切であろう。好適には、開放端部における導波路11の縁部に対しては、組織との係合のためにシリコーン・ゴムなどの他の一定の防護物(22)が被覆もしくは嵌装され得る。
【0027】
図5には本発明の代替実施形態が示され、マイクロ波アプリケータは、取手33を有する堅い管32の一端に支持された導波路31と、この管の他端における入力パワー接続部34とを備える。該アプリケータは、取手33により保持かつ操作されると共に、導波路31は治療ヘッドを形成する。管32を貫通して同軸ケーブル35が延在し、該ケーブルは導波路31に入力パワー接続部34を接続する。
【0028】
導波路31は、入力端部にてアルミニウム製端部キャップ37に接続された筒状アルミニウム製スリーブ36を備える。アルミニウム製支持ブッシュ38は、一端にて端部キャップ37内の中央ボア39に接続され、且つ、他端にては、同軸ケーブル35が該ブッシュを貫通し得る如く管32に接続される。同軸ケーブル35の外側導体40は、露出されると共に端部キャップ37に電気接続され、且つ、同軸ケーブル35の内側導体41は、露出されて導波路31内へと軸心方向に突出する。スリーブ36内にはTECHNOX(登録商標)2000セラミックから成る誘電体製の円筒体42が嵌合され、該円筒体には内側導体41を受容する中央ボア43が形成される。同軸ケーブルの誘電体充填物45の端部と導波路の誘電体42との間には、エアギャップ44が形成される。
【0029】
取手33はアルミニウムから加工されると共に、その入力端部においては入力パワー接続部34を受容すべく同心的凹所45を有する。取手における中央ボア46は、同軸ケーブル35を収容する。
【0030】
導波路31は好適には、TM01モードで作動する。
【0031】
典型的には、このアプリケータは2.45GHzで作動すべく設計され、且つ、導波路の各寸法は、長さL=50mmおよび内径D=20mmのスリーブ36、露出長さ=11.8mmの内側導体41、および、長さ2mmのエアギャップ44を有する。管32は、典型的にはステンレス鋼であると共に、8mmの直径と250mmの長さ、または、治療されつつある組織に到達する他の適切な長さを有する。管32は、その丈に沿う一つ以上の箇所46にて側方に屈曲されることで、治療ヘッドの放射線照射端面47が治療対象組織に対して表面同士で係合され得る容易さが改善され得る。
【0032】
図6には、図5のものと同様に、堅い管52の一端における治療ヘッドを形成する導波路51と、管52の他端における(不図示の)取手および入力パワー接続部とを備える本発明の別実施形態が示される。導波路51は、筒状スリーブ54と、管52および同軸ケーブル57を受容する開孔56を有する端壁55とを備えたアルミニウム加工構成要素から成る。スリーブ54の内側にはHik500fから成る誘電体58の円筒体が嵌合され、該円筒体には同軸ケーブル57の内側導体60を受容する中央ボア59が形成される。ケーブル57の外側導体61は、端壁55に対して電気的に接続され、且つ、ケーブル57の誘電体充填物63の端部と誘電体58との間にはエアギャップ62が形成される。
【0033】
典型的には、このアプリケータは、9.2GHzにて作動すべく設計されると共に、導波路の各寸法は、長さL=16mmおよび内径10mmのスリーブ54、13mmの露出長さを備える内側導体60、および、2mmのエアギャップ62を備える。
【0034】
図1および図3のアプリケータと同様に図5および図6のマイクロ波アプリケータは、腫瘍もしくは他の表面病巣を治療すべく又は子宮内膜症の治療のために使用され得る。治療ヘッドは、トロカールを介して又は大寸の切開を介して直接的に、患者の身体における開口を介して挿入される。次に、アプリケータは、腫瘍もしくは病巣の近傍における治療対象組織に対して治療ヘッドの端面を表面同士で接触させるべく操作される。次に、治療ヘッドの端面から発せられたマイクロ波放射(microwave radiation)は、腫瘍もしくは病巣および周囲組織に対して送出され、それを除去(ablate)する。このプロセスは必要に応じて反復されることで、治療が完了する前に異なる箇所における複数の腫瘍もしくは病巣が除去され得る。
【0035】
本発明に係るマイクロ波アプリケータはまた、治療ヘッドの端面を出血組織に接触させると共に放射線を送出して出血組織を除去することで、該組織からの血液の流れを停止させるためにも使用され得る。
【0036】
上記の医療処置の方法は、図示されたマイクロ波アプリケータを使用するが、本発明は概略的に、組織内へと放射線を送出すべく表面接触で係合し得る放射線照射表面を備えた治療ヘッドを有する任意の形態のマイクロ波アプリケータを用いて特に肝臓などの組織の表面上もしくは組織内の腫瘍もしくは病巣を治療する方法にも関していることは理解すべきである。
【0037】
図7は、患者の肝臓70上の表面腫瘍の医療処置を示している。患者の腹部に対して切開がなされ、腹壁が鉗子71により保持されることで腹腔内への開口が生成される。次に肝臓は周囲組織から解放されることから、肝臓は治療のためにアクセスされ得る。肝臓の状態が評価されると共に、肝臓の一部を摘出し且つ/又は肝臓の一部を除去すべきかという、行われるべき治療に関する判断が為される。図において肝臓は、除去を要する複数の表面腫瘍72を有するものとして示される。好適には図1から図6の内の任意の図に示された如きマイクロ波アプリケータ73が操作され、治療ヘッドの端面が腫瘍に対して整列され且つ該端面は腫瘍と接触される。次に、アプリケータに対する電力供給がON投入されることから、アプリケータは、腫瘍に対して照射されて腫瘍を除去するマイクロ波を生成する。次に、アプリケータは、パワーが減少されるかもしくはOFF切断される以前に又は以後に、肝臓表面から離間揚動される。次に、表面腫瘍の各々を順番に除去すべく、上記プロセス全体が複数回反復される。
【0038】
肝臓内のまたは肝臓の表面上の腫瘍の箇所および程度を評価すべく、リアルタイムで術中の超音波スキャンが使用される。また、個々の腫瘍を治療するときに達成される除去の程度は、術中の超音波スキャンを用いて評価される。除去された組織は、スキャン出力で見たときにはアプリケータの端面から発散する“熱雲(thermal cloud)”として現れる。故に治療は、腫瘍全体とその回りの安全域とを“熱雲”が包囲するまで継続される。
【0039】
単一もしくは複数の腫瘍が更に大寸であれば、肝臓の一部の摘出が必要なこともある。これは肝臓を切断することで行われるが、出血が引き起こされる。そのときにマイクロ波アプリケータは、出血表面に対して治療ヘッドの端面を接触させ且つアプリケータに対してパワーをON投入して出血表面を除去することにより、出血を止めるべく用いられる。この手順は次に、出血表面の全体に亙り反復される。
【0040】
肝臓の治療が完了したなら、腹部は塩水溶液により洗浄され、腹壁は縫合される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態に係る撓曲可能な腹腔鏡式のマイクロ波アプリケータの軸方向断面図である。
【図2】末端が空気内に在る場合(グラフS)および生物学的組織に接触している場合(グラフT)における図1のアプリケータのマイクロ波周波数に対する反射係数のグラフである。
【図3】本発明の第2実施形態に係るマイクロ波アプリケータの軸方向断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係るマイクロ波アプリケータの軸方向断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係るマイクロ波アプリケータの軸方向断面図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係るマイクロ波アプリケータの軸方向断面図である。
【図7】本発明に従い医療処置で使用されるマイクロ波アプリケータの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸的電気入力部材(4)と、誘電体(2)が充填された導波路(1)とを備え、
前記同軸的入力部材(4)の内側導体(7)は、前記導波路(1)の末端面(8)まで進行するマイクロ波モードを発射すべく前記導波路(1)の一端内で長手方向に延在することから、前記末端面(8)が治療対象の生物学的組織により接触されたときには、マイクロ波が送出される、
マイクロ波アプリケータ。
【請求項2】
前記内側導体(7)は、前記導波路(1)に対して軸心的に整列される、請求項1に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項3】
前記導波路(1)は、円形の導波路である、請求項1または請求項2に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項4】
前記末端面(8)は、実質的に平坦であり、且つ、前記導波路(1)の軸心に対して直交する、先行請求項のいずれか一つの請求項に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項5】
前記末端面(8)は、平坦であるかもしくは僅かに膨出状とされると共に前記導波路(1)の軸心に対して中心合わせされる、請求項1から請求項3のいずれか一つの請求項に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項6】
前記末端面(8)は、ポリマ被覆(22)を有する、先行請求項のいずれか一つの請求項に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項7】
前記導波路(1)の長さおよび直径、前記導波路内における前記内側導体(7)の長さ、および、前記誘電物質(2)の誘電率は、企図された作動周波数にて前記導波路が共振する様に選択される、先行請求項のいずれか一つの請求項に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項8】
前記導波路(1)は、作用において、
前記末端面(8)が、治療対象の生物学的組織と接触したときには、該末端面(8)および前記入力部材(4)から前記導波路に対する夫々の反射の相対位相により、前記末端面からの前方送出が強化され、且つ、
前記末端面(8)が、空気もしくは気体中に在るときには、前記末端面(8)および前記入力部材(4)から前記導波路に対する夫々の反射の相対位相により、前記入力部材(4)に対する反射が強化される、
様に適合される、先行請求項のいずれか一つの請求項に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項9】
導波路(1)と、
前記導波路の末端(8)まで進行し且つ治療対象の生物学的組織内へと送出されるマイクロ波をTM01モードにて発射すべく前記導波路の一端内で長手方向に延在する内側導体(7)を備えた同軸的電気入力部材(4)と、を備え、
前記導波路(1)内には、該導波路に沿い進行するマイクロ波を反射すべく該導波路の横方向に延在する低損失の誘電物質から成るダイヤフラム(20)が配備され、
前記ダイヤフラム(20)の長手方向位置は、前記ダイヤフラム(20)と前記導波路(1)の各端部とからの反射の位相が前記同軸的入力部材(4)内の後方反射を減少し又は打ち消す役割を果たす様に、前記導波路(1)の各端部に関して選択される、
マイクロ波アプリケータ。
【請求項10】
前記ダイヤフラム(20)の厚み、および、それを構成する誘電物質の誘電率は、前記同軸的入力部材内の後方反射を最適に打ち消す様に、前記ダイヤフラム(20)からのマイクロ波の後方反射の大きさを決定すべく選択される、請求項9に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項11】
空気が充填される、請求項9または請求項10に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項12】
前記導波路は、マイクロ波をTM01モードにて発射する、先行請求項のいずれか一つの請求項に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項13】
前記導波路(1)の前記端面(8)は、表面組織と接触される、請求項1から請求項12のいずれか一つの請求項に記載のマイクロ波アプリケータを用いて表面組織を加熱治療する方法。
【請求項14】
前記表面組織は内部組織であり、且つ、前記アプリケータは治療のために身体内へと挿入される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アプリケータの挿入は、トロカールを介したものである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記表面組織は、前記身体の外皮である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
照射面からマイクロ波放射を照射し得る治療ヘッドを一端に有するマイクロ波アプリケータを配備する段階と、
前記マイクロ波アプリケータを切開部を介して身体内へと挿入する段階と、
前記照射面を治療対象領域の近傍として、前記マイクロ波アプリケータの前記ヘッドを肝臓の表面と接触させて位置決めする段階と、
前記治療対象領域を加熱するマイクロ波放射を前記照射面が照射する様に、前記マイクロ波アプリケータに給電する段階と、
を有する、身体内の肝臓を治療する方法。
【請求項18】
照射面からマイクロ波放射を照射し得る治療ヘッドを一端に有するマイクロ波アプリケータを配備する段階と、
前記照射面を治療対象の出血組織の近傍として、前記マイクロ波アプリケータの前記ヘッドを前記治療対象の生物学的組織の表面と接触させて位置決めする段階と、
前記治療対象の出血組織を加熱する放射線を前記照射面が照射する様に前記マイクロ波アプリケータに給電する段階と、
を有する、生物学的組織を治療して出血を停止させる方法。
【請求項19】
治療されるべき皮膚に接触され又はその直近にもたらされるマイクロ波照射ウィンドウであって、マイクロ波放射を照射して、治療されるべき皮膚に照射を与えるべく給電されるマイクロ波照射ウィンドウを有するマイクロ波アプリケータを用いて、乾癬などの皮膚病を治療する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸的電気入力部材(4)と、誘電体(2)が充填された導波路(1)とを備え、
前記同軸的入力部材(4)の内側導体(7)は、前記導波路(1)の末端面(8)まで進行するマイクロ波モードをTM01モードにて発射すべく前記導波路(1)の一端内で長手方向に延在することから、前記末端面(8)が治療対象の生物学的組織により接触されたときには、マイクロ波が送出される、
マイクロ波アプリケータ。
【請求項2】
前記内側導体(7)は、前記導波路(1)に対して軸心的に整列される、請求項1に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項3】
前記導波路(1)は、円形の導波路である、請求項1または請求項2に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項4】
前記末端面(8)は、実質的に平坦であり、且つ、前記導波路(1)の軸心に対して直交する、先行請求項のいずれか一つの請求項に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項5】
前記末端面(8)は、平坦であるかもしくは僅かに膨出状とされると共に前記導波路(1)の軸心に対して中心合わせされる、請求項1から請求項3のいずれか一つの請求項に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項6】
前記末端面(8)は、ポリマ被覆(22)を有する、先行請求項のいずれか一つの請求項に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項7】
前記導波路(1)の長さおよび直径、前記導波路内における前記内側導体(7)の長さ、および、前記誘電物質(2)の誘電率は、企図された作動周波数にて前記導波路が共振する様に選択される、先行請求項のいずれか一つの請求項に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項8】
前記導波路(1)は、作用において、
前記末端面(8)が、治療対象の生物学的組織と接触したときには、該末端面(8)および前記入力部材(4)から前記導波路に対する夫々の反射の相対位相により、前記末端面からの前方送出が強化され、且つ、
前記末端面(8)が、空気もしくは気体中に在るときには、前記末端面(8)および前記入力部材(4)から前記導波路に対する夫々の反射の相対位相により、前記入力部材(4)に対する反射が強化される、
様に適合される、先行請求項のいずれか一つの請求項に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項9】
導波路(1)と、
前記導波路の末端(8)まで進行し且つ治療対象の生物学的組織内へと送出されるマイクロ波をTM01モードにて発射すべく前記導波路の一端内で長手方向に延在する内側導体(7)を備えた同軸的電気入力部材(4)と、を備え、
前記導波路(1)内には、該導波路に沿い進行するマイクロ波を反射すべく該導波路の横方向に延在する低損失の誘電物質から成るダイヤフラム(20)が配備され、
前記ダイヤフラム(20)の長手方向位置は、前記ダイヤフラム(20)と前記導波路(1)の各端部とからの反射の位相が前記同軸的入力部材(4)内の後方反射を減少し又は打ち消す役割を果たす様に、前記導波路(1)の各端部に関して選択される、
マイクロ波アプリケータ。
【請求項10】
前記ダイヤフラム(20)の厚み、および、それを構成する誘電物質の誘電率は、前記同軸的入力部材内の後方反射を最適に打ち消す様に、前記ダイヤフラム(20)からのマイクロ波の後方反射の大きさを決定すべく選択される、請求項9に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項11】
空気が充填される、請求項9または請求項10に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項12】
前記導波路(1)の前記端面(8)は、表面組織と接触される、請求項1から請求項11のいずれか一つの請求項に記載のマイクロ波アプリケータを用いて表面組織を加熱治療する方法。
【請求項13】
前記表面組織は内部組織であり、且つ、前記アプリケータは治療のために身体内へと挿入される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アプリケータの挿入は、トロカールを介したものである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記表面組織は、前記身体の外皮である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
照射面からマイクロ波放射を照射し得る治療ヘッドを一端に有するマイクロ波アプリケータを配備する段階と、
前記マイクロ波アプリケータを切開部を介して身体内へと挿入する段階と、
前記照射面を治療対象領域の近傍として、前記マイクロ波アプリケータの前記ヘッドを肝臓の表面と接触させて位置決めする段階と、
前記治療対象領域を加熱するマイクロ波放射を前記照射面が照射する様に、前記マイクロ波アプリケータに給電する段階と、
を有する、身体内の肝臓を治療する方法。
【請求項17】
照射面からマイクロ波放射を照射し得る治療ヘッドを一端に有するマイクロ波アプリケータを配備する段階と、
前記照射面を治療対象の出血組織の近傍として、前記マイクロ波アプリケータの前記ヘッドを前記治療対象の生物学的組織の表面と接触させて位置決めする段階と、
前記治療対象の出血組織を加熱する放射線を前記照射面が照射する様に前記マイクロ波アプリケータに給電する段階と、
を有する、生物学的組織を治療して出血を停止させる方法。
【請求項18】
治療されるべき皮膚に接触され又はその直近にもたらされるマイクロ波照射ウィンドウであって、マイクロ波放射を照射して、治療されるべき皮膚に照射を与えるべく給電されるマイクロ波照射ウィンドウを有するマイクロ波アプリケータを用いて、乾癬などの皮膚病を治療する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2006−501916(P2006−501916A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542605(P2004−542605)
【出願日】平成15年9月15日(2003.9.15)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004082
【国際公開番号】WO2004/033039
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(500511486)マイクロスリス リミティド (2)
【Fターム(参考)】