説明

マイクロ波ランプ用の筐体、マイクロ波ランプ、光源装置、プロジェクター

【課題】マイクロ波の漏洩を防止してマイクロ波エネルギーを効率よくプラズマに伝送することが可能とされ、光の取り出し効率を高めることができるマイクロ波ランプ用の筐体、発光効率の高いマイクロ波ランプ、光源装置、プロジェクターを提供する。
【解決手段】本発明のマイクロ波ランプ用の筐体13は、中心導体8A,8Bと、一方に開口端を有する導体筒部7と、中心導体8Bにマイクロ波を供給するコネクター4A,4Bとを備え、マイクロ波の波長をλg、nを0以上の整数、mを自然数とすると、導体筒部7は、軸方向長さがλg/4のm倍とされTEMモードのマイクロ波を共振させる共振部と、軸方向長さがλg/4のm倍とされ共振部とコネクター4A,4Bとのインピーダンスマッチングを行うマッチング部と、軸方向長さがλg/16のm倍とされコネクターとマッチング部との間に設けられたインピーダンスキーパー部と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波ランプ用の筐体、マイクロ波ランプ、光源装置、プロジェクターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクターに用いられる光源装置として、マイクロ波放電方式を用いた無電極放電ランプの開発が盛んに行われている。無電極放電ランプは、従来の白熱灯や高圧水銀ランプ等の電極放電式ランプと異なり、発光管の内部に放電用の電極を有していない(例えば、特許文献1〜3)。このため、フィラメントや電極の消耗が抑制されることとなり、長寿命光源として期待されている。
【0003】
このような無電極放電ランプとしては、マイクロ波にアンテナの原理を利用した共振をさせて、発光管にマイクロ波エネルギーを供給することにより発光させる構造がある。例えば、特許文献4,5では、発光物質が封入された発光管の発光空間に一対の電極を突出させるとともに、互いに所定の間隔をおいて対向配置させることによって、発光部の中心に高インピーダンス部を形成している。そして、一対の電極の一方にマイクロ波発生用の電源を発生して発光部から光を射出させている。
また、金属外壁で覆われた伝送路にて伝播するTEもしくはTMモードのマイクロ波を使用した円筒型キャビティ構造も提案されており、特許文献6では、アルミナなどの誘電体を使用した円筒型キャビティが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−102005号公報
【特許文献2】特開2001−256926号公報
【特許文献3】特開2002−75290号公報
【特許文献4】特開2007−115547号公報
【特許文献5】特開2007−115534号公報
【特許文献6】特表2004−505429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記文献の技術のうち、アンテナの原理を利用して発光させる構造の場合には供給するマイクロ波の漏洩が懸念され、円筒型キャビティ構造の場合には光を前方向に取り出しにくいという問題があった。また、従来の構成の場合、入端側のインピーダンス整合が不十分なため、発光効率を向上させることが困難であった。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、マイクロ波の漏洩を防止するとともに、マイクロ波エネルギーをプラズマ部分に閉じ込めた共振構造であり、伝送路と共振部分をTEMモードとすること、且つインピーダンスマッチングを行うことによりプラズマへの電力を効率良く伝送することが可能とした。さらに、光の取り出し効率を高めることができるマイクロ波ランプ用の筐体である。以上の点から、発光効率の極めて高いマイクロ波ランプ、光源装置、プロジェクターを提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマイクロ波ランプ用の筐体は、上記課題を解決するために、少なくとも一端が開口端とされた導体筒部と、前記導体筒部の中心軸に沿って配置された中心導体と、前記中心導体の一端に接続されたコネクターとを備えたマイクロ波ランプ用の筐体であって、マイクロ波の波長をλg、nを0以上の整数、mを自然数とするとき、前記中心導体は、前記中心軸方向において前記開口端からλg/4の2n倍の位置に発光管の取付部を有し、前記導体筒部は、前記中心軸方向の長さがλg/4のm倍とされTEMモードのマイクロ波を共振させる共振部と、前記中心軸方向の長さがλg/4のm倍とされ前記共振部と前記コネクターとのインピーダンスマッチングを行うマッチング部と、前記中心軸方向の長さがλg/16のm倍とされ前記コネクターと前記マッチング部との間に設けられたインピーダンスキーパー部と、を有し、前記マッチング部の内径は、前記共振部側から前記インピーダンスキーパー部側へ向かって縮径されているとともにその内面が放物線を軸周りに回転させて得られる面であり、前記導体筒部の内面には、前記マイクロ波の共振長を決める凸部が設けられ、前記凸部は、前記mが偶数の場合に前記開口端からλg/4のn倍の位置に設けられ、前記mが奇数の場合には前記共振部と前記インピーダンスキーパー部との境界位置に設けられることを特徴とする。
【0008】
本発明は、導体筒部の内側に発光管を取り付け可能なマイクロ波ランプ用の筐体であって、インピーダンスキーパー部によってマイクロ波の安定化を図りつつ、インピーダンスマッチング部によって入力端側(コネクター)とのインピーダンスの整合を行い、共振部によってプラズマに効率よくマイクロ波のエネルギーを伝送することを可能としたものである。マイクロ波ランプの構成要件となる筐体に共振およびインピーダンス整合機能を付与することによって、構成の簡素化を図れるとともにマイクロ波の伝送効率の向上が実現される。
また、上記寸法とされた導体筒部により、TEMモードを使った共振を発生させることにより、マイクロ波の漏洩を効果的に防止することができる。さらに、この導体筒部に対して上記位置に発光管が取り付けられることで、発光管の中心でマイクロ波エネルギーを最大にさせることができる。このため、高輝度発光のランプが得られる。
また、インピーダンスマッチング部における内面が放物線を軸周りに回転させて得られる面であるので、発光管からの発光光を平行光として開口端側へ反射させることが可能となり、光の取り出し効率を向上させることができる。
また、外部導体の内側に凸部を設けてスタブ構造とすることによって、TEM共振モードの次数が決まり、効果的な共振構造となる。これにより、マイクロ波の通過特性を改善することができ、マイクロ波の利用効率が向上する。
【0009】
本発明のマイクロ波ランプ用の筐体は、上記課題を解決するために、少なくとも一端が開口端とされた導体筒部と、前記導体筒部の中心軸に沿って配置された中心導体と、前記中心導体の一端に接続されたコネクターと、前記共振部と前記中心導体とを接続するショート部材と、を備えたマイクロ波ランプ用の筐体であって、前記マイクロ波の波長をλg、nを0以上の整数、mを自然数とするとき、マイクロ波の波長をλg、nを0以上の整数、mを自然数とするとき、前記中心導体は、前記中心軸方向において前記開口端からλg/4の2n+1倍の位置に発光管の取付部を有し、前記導体筒部は、前記中心軸方向の長さがλg/4のm倍とされTEMモードのマイクロ波を共振させる共振部と、前記中心軸方向の長さがλg/4のm倍とされ前記共振部と前記コネクターとのインピーダンスマッチングを行うマッチング部と、前記中心軸方向の長さがλg/16のm倍とされ前記コネクターと前記マッチング部との間に設けられたインピーダンスキーパー部と、を有し、前記マッチング部の内径は、前記共振部側から前記インピーダンスキーパー部側へ向かって縮径されているとともに、その内面が放物線を軸周りに回転させて得られる面であり、前記導体筒部の内面には、前記マイクロ波の共振長を決める凸部が設けられ、前記凸部は、前記mが偶数の場合に前記開口端からλg/4のn倍の位置に設けられ、前記mが奇数の場合には前記共振部と前記インピーダンスキーパー部との境界位置に設けられることを特徴とする。
【0010】
本発明は、導体筒部の内側に発光管を取り付け可能なマイクロ波ランプ用の筐体であって、インピーダンスキーパー部によってマイクロ波の安定化を図りつつ、インピーダンスマッチング部によって入力端側(コネクター)とのインピーダンスの整合を行い、共振部によってプラズマに効率よくマイクロ波のエネルギーを伝送することを可能としたものである。マイクロ波ランプの構成要件となる筐体に共振およびインピーダンス整合機能を付与することによって、構成の簡素化を図れるとともにマイクロ波の伝送効率の向上が実現される。
また、上記寸法とされた導体筒部により、TEMモードを使った共振を発生させることにより、マイクロ波の漏洩を効果的に防止することができる。さらに、この導体筒部に対して上記位置に発光管が取り付けられることで、発光管の中心でマイクロ波エネルギーを最大にさせることができる。このため、高輝度発光のランプが得られる。
また、インピーダンスマッチング部における内面が放物線を軸周りに回転させて得られる面であるので、発光管からの発光光を平行光として開口端側へ反射させることが可能となり、光の取り出し効率を向上させることができる。
また、外部導体の内側に凸部を設けてスタブ構造とすることによって、TEM共振モードの次数が決まり、効果的な共振構造となる。これにより、マイクロ波の通過特性を改善することができ、マイクロ波の利用効率が向上する。
【0011】
また、前記導体筒部の内面が、y=16.5Xの式で表わされる放物線を軸周りに回転させて得られる面であることが好ましい。
本発明によれば、マッチングの内面が上式によって表わされる放物線を軸周りに回転させて得られる面であるので、コネクター側と発光管側とのインピーダンス整合を良好に行うことができ、マイクロ波の電力の反射を抑えることができる。これにより、マイクロ波電力の伝送効率を向上させることができる。
【0012】
また、前記中心導体にコイルが外装され、もしくは前記中心導体に凹凸を設けてスタブ構成とされていることが好ましい。
本発明によれば、コイルもしくはスタブにより正のリアクタンスを作ることによって、発光管の負のリアクタンスをキャンセルさせることができ、マイクロ波電力をプラズマ中に有効に伝達させることが可能となる。
【0013】
また、前記凹凸部が、前記外部導体の中心軸を介して対向配置される一対の金属片であることが好ましい。
本発明によれば、外部導体の内側に一対の金属片を設けることによって、TEM共振モードの次数が決まり、効果的な共振構造となり、マイクロ波の利用効率が向上する。
【0014】
本発明のマイクロ波ランプは、先に記載のマイクロ波ランプ用の筐体と、マイクロ波によって励起される発光物質が封入され且つ前記筐体内に取り付けられる発光管と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、マイクロ波の漏洩を効果的に防止するとともにその伝送効率を高めることが可能なマイクロ波ランプ用の筐体を備えたことにより、発光効率の良いマイクロ波ランプが得られる。よって、低電力で高輝度発光可能なランプが得られる。発光管にはアーク放電ランプのように必ずしも発光管内に電極がなくても良い。
【0016】
本発明の光源装置は、マイクロ波ランプと、マイクロ波を発生させるマイクロ波電源と、前記マイクロ波電源において発生したマイクロ波を前記マイクロ波ランプへと伝送するマイクロ波伝送線路と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、上記マイクロ波ランプを備えているため、マイクロ波の漏洩を効果的に防止できるとともに、発光効率に優れた光源装置を提供することができる。
【0017】
本発明のプロジェクターは、先に記載の光源装置を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、先に記載の本発明の光源装置を備えているため、視認性に優れた高性能なプロジェクターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態の光源装置の全体構成を示す模式図。
【図2】第1実施形態のマイクロ波ランプの概略構成を示す図。
【図3】第2実施形態における光源装置のマイクロ波ランプの構成を示す図。
【図4】第3実施形態における光源装置のマイクロ波ランプの構成を示す断面図。
【図5】プロジェクターの一実施例を示す概略構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態である光源装置の全体構成を示す模式図、図2(a)は、マイクロ波ランプ12の概略構成を示す断面図、図2(b)は開口端側から見た側面図、図2(c)は入力端側から見た側面図である。
本実施形態では、各部位における具体的な設計寸法がマイクロ波の波長λgに応じて決定されている。波長λgは光速/(周波数・√ε)によって求められ、空気中の周波数が2.45GHz帯(Industry, Science, and Medical:ISMバンド)のマイクロ波を用いた場合、波長λgが122.44mmとなる。以下、各構成の寸法表記において、nを0以上の整数、mを自然数とする。また、同軸構造のインピーダンスは、導体筒部の内径(D)及び中心導体の外径(d)の比で決まり、Z=138/√ε・log(D/d)と表示される。従って、導体筒部の内径もしくは中心導体の外径が決まれば一意に決まる。
【0021】
本実施形態の光源装置1は、図1に示すように、マイクロ波電源2、マイクロ波伝送線路3、およびマイクロ波ランプ12を主体として、2.45GHz帯のTEMモードのマイクロ波(高周波電磁波)に対応すべく構成されたものである。
【0022】
マイクロ波電源2は、2.45GHz帯のTEMモードのマイクロ波を発生させるもので、マイクロ波伝送線路3を介してマイクロ波ランプ12に接続されている。
【0023】
マイクロ波伝送線路3は、マイクロ波電源2で発生させたマイクロ波をマイクロ波ランプ12へ伝送するために用いられ、特性インピーダンスが50Ωに保持されている。これにより、損失を生じさせることなく効率よくマイクロ波電力をマイクロ波ランプ12へ供給することができる。このマイクロ波伝送線路3の端部には第1コネクター4Aが設けられている。
【0024】
第1コネクター4A(雄側)は、マイクロ波ランプ12に設けられた第2コネクター4B(雌側)と結合することにより、マイクロ波伝送線路3とマイクロ波ランプ12の給電用アタッチメント9とを電気的に接続する。第1コネクター4Aは、特性インピーダンスがマイクロ波伝送線路3の特性インピーダンスと同じ50Ωに整合された低損失タイプのもので、ここではN型コネクターが用いられている。
【0025】
マイクロ波ランプ12は、図2(a)に示すように、導体筒部7、給電用アタッチメント9、第2コネクター4Bを具備するマイクロ波ランプ用の筐体13と、ランプ部6とを備えて構成されている。
【0026】
本実施形態の導体筒部7は、少なくとも一端が開口端とされたオープン型同軸構造であって、給電用アタッチメント9に接続されて固定されたランプ部6に対してマイクロ波を集中させる機能を有する。この導体筒部7は、互いの内径を異ならせた複数の貫通孔71,72,73によって構成される内部空間Kを有し、各貫通孔71,72,73の内径D1,D2,D3の関係がD1<D3、D2≦D1,D2≦D3、となっている。このうち貫通孔72についてはその内径D2が軸方向に変化しており、具体的には貫通孔73側から貫通孔71側にかけて漸次縮径している。
【0027】
本実施形態においては、TEM共振のモードの次数を決めるため、導体筒部7の内側が凹凸構造とされている。具体的には、開口端側(プラズマ発光部)からλg/4のn倍だけ離れた位置(貫通孔73の軸方向中央)に板状の一対の金属片7c,7c(凸部)が設けられている。これら金属片7c,7cは中心軸Oを介して対向配置され、導体筒部7の内面に立設された状態で設けられている。このように、金属片7c,7cを導体筒部7の内壁から中心へ突出させることによりマイクロ波の通過特性を改善することができ、また、この突出量や設置位置を変えることにより、マイクロ波の位相調整を行うことが可能となる。
このような導体筒部7には、光が射出される開口70(図2(b))とは軸方向反対側の端部に位置する貫通孔71内に第2コネクター4Bが取り付けられている。
【0028】
第2コネクター4Bは、プラグ41と、プラグ41に設けられた板状のマウンター42と、このマウンター42の軸部45側に設けられたパッキン43と、マウンター42を導体筒部7に固定するためのビス穴44とを備えている(図2(c))。パッキン43は、絶縁性を有する材料(空気でもよい)からなっており、プラグ41の軸部45の周りに環状に設けられている。このような第2コネクター4Bに、マイクロ波伝送線路3側の第1コネクター4Aが接続されることで、マイクロ波伝送線路3からマイクロ波ランプ12内にマイクロ波が供給されることになる。この第2コネクター4Bについても50Ωに整合されたN型コネクターを採用する。
なお、上述した第2コネクター4Bの構造は一例であってこれに限定されない。
【0029】
給電用アタッチメント9は、導体筒部7の中心軸Oに沿って延在する一対の中心導体8A,8Bを有してなり、導体筒部7の内部空間Kにおいて互いの先端同士を対向させて配置されている。中心導体8A,8Bは、熱膨張係数が小さく耐熱性が高い導電材料からなっている。これら一対の中心導体8A,8Bのうち、中心導体8Bはその一端が第2コネクター4Bに接続されて固定され、他方の中心導体8Aはランプ部6を介して中心導体8Bと同軸をなすように保持されている。
【0030】
中心導体8A,8Bは、各々の先端側に、後述するランプ部6の各細管部16b,16cをそれぞれ挿入させるための挿入穴9a,9bが形成されており、所定間隔をおいて対向する先端同士の間に膨出部16aを露出させた状態でランプ部6を保持できるようになっている。中心導体8Aの外径dは、ランプ部6の光の取り出しを考慮して0.5〜3.0mmの範囲内で設定され、ここでは2mmとなっている。一方、中心導体8Bは軸方向に外径が異ならせてあり、両側の先端部8a及び基端部8cの外径d1,d3に比べて縮径部8bの外径d2が縮径されている。先端部8a及び縮径部8bの外径d1,d2は、導体筒部7の内面7bの曲率に沿って設定され、後述するインピーダンス整合作用が得られる形状にする。また、基端部8c側の軸心部分には挿入穴9cが形成されており、この挿入穴9c内に軸部45が挿入された状態で第2コネクター4Bと中心導体8Bとが電気的に接続されている。
なお、本実施形態においては中心導体8A側にコイル18が巻回されている。コイル18は、中心導体8Aの先端側であってランプ部6近傍に配置される。
【0031】
ランプ部6は、発光物質が封入された発光管16と一対の電極11A,11Bとを備えてなり、中心軸O上に配置されている。発光管16は、石英ガラス等を用いて、中央部分が球状の膨出した膨出部16aと、膨出部16aの両側に延在する細管部16b、16cとが一体成形されたものである。
【0032】
膨出部16a内に形成された発光空間には、マイクロ波の入力を受けて発光する発光物質が封入されている。発光物質としては、例えば水銀、希ガス、ハロゲン化合物を用いることができる。なお、発光物質を超高圧封入することで、マイクロ波の励起によって十分な輝度を得ることができる。膨出部16aの外径は約6mm以下が好ましい。
【0033】
電極11A,11Bは、熱膨張係数が小さく耐熱性が高い導電材料を用いて形成され、膨出部16aの発光空間内において互いの先端側を対向させて、所定の間隔(以下、ギャップgという。)をおいて配置されている。点光源に近い高輝度発光を得るためには、電極11A,11B同士のギャップgがなるべく小さくなるように配置することが好ましい。
【0034】
このようなランプ部6は、導体筒部7内の最も高い電界位置に配置、本実施形態では、導体筒部7の開口70からλg/4の2n倍の位置(0、λ/2、λ、λ・3/2、…)において中心導体8A,8Bに設けられた取付部(不図示)に取り付けられている。図2(a)中においては、上記ギャップgの中央部分が導体筒部7の貫通孔72,73の境界と一致している。
【0035】
ここで、光源装置1の全体としてのエネルギー効率を高めるために重要なことは、マイクロ波伝送線路3(コネクター4A,4B)の特性インピーダンスとランプ部6の入力インピーダンスとを整合させることである。すなわち、ランプ部6からマイクロ波伝送線路3(コネクター4A,4B)への反射波を低減して、反射による伝送損失を低減することである。
【0036】
そこで、本実施形態における光源装置1は、マイクロ波ランプ12におけるマイクロ波の入力端側から、マイクロ波電力の変動を抑えるインピーダンスキーパー部5Aと、入力側とのインピーダンスマッチングを行うインピーダンスマッチング部5Bと、マイクロ波電力を共振させる共振部5Cと、を順に有した構成となっている。
【0037】
一般的な高圧水銀ランプやメタルハライドランプのプラズマ発光時におけるインピーダンスZが50〜250Ω−j10〜30Ωであるので、ランプ部6(100torr)のプラズマ発光のインピーダンスZ=200Ω−j10Ωをもつ発光管を用いた場合、コネクター4A,4B(50Ω)と共振部5C(200Ω)との間でインピーダンスマッチングが必要となる。
そこで、本実施形態においては、コネクター4A,4B側のインピーダンスと共振部5C側のインピーダンスとの整合を行うためのインピーダンスマッチング部5Bを備えることにより、共振部5Cからの反射波を抑える構成とした。
【0038】
まず、インピーダンスキーパー部5Aは、マイクロ波伝送線路3から供給されたマイクロ波電力をインピーダンスマッチング部5Bへとスムーズに伝達させる機能を有し、特性インピーダンスが50Ωとなっている。インピーダンスキーパー部5Aにおける導体筒部7の軸方向長さL1はλg/16のm倍で規定され、その内部空間Kはフッ素樹脂(本実施形態ではテフロン(登録商標)を用いた)やセラミックスなどの誘電体23で満たされている。テフロン(登録商標)で満たした場合、Z=138/√ε・log(D/d)式から、電源回路の特性インピーダンス50Ωに合わるため、その内径D1は26.8mmとなる。このインピーダンスキーパー部5Aは、ランプ部6の負荷変動があった場合でも安定的にTEMモードを補償する。
【0039】
インピーダンスマッチング部5Bは、インピーダンスキーパー部5Aと共振部5Cとの間においてこれらのインピーダンス整合を行う機能を有し、導体筒部7の軸方向長さL2がλg/4のm倍となっている。
【0040】
インピーダンスマッチング部5Bにおける導体筒部7の内径D2は、共振部5C側からインピーダンスキーパー部5Aにかけて変化しており、その内面7bが緩やかなカーブを描いている。また、上述したようにこのインピーダンスマッチング部5Bにおける中心導体8Bの外径が軸方向に異なっており、先端部8aが部分的に拡径した形状となっている。これらにより、インピーダンスキーパー部5Aと共振部5Cとのマッチングが良好に行われ、マイクロ波の反射が防止される。
本実施形態では、インピーダンスマッチング部5Bにおける導体筒部7の内面7bを放物線や楕円線を描くような曲面状にし、インピーダンスマッチングだけでなくランプ部6の発光光を開口70側へ反射させている。以下、内面7bを反射面と呼ぶこともある。
【0041】
本実施形態では、内面7bの曲面が下式(1)で定義する放物線を軸Oの周りに回転させて得られる曲面とする。
y=16.5X ・・・(1)
【0042】
この式(1)から得られる曲線からずれるとマッチングがずれて電力の反射が発生する。マイクロ波伝送線路3から99%以上の電力が供給されることを前提とすると、式(1)の二次係数は13〜20の範囲内であればよい。つまり、式(2)および式(3)で描かれる範囲にある任意の曲線でも同様に、電力の反射を1%以下に抑えることができる。
y=13X ・・・(2)
y=20X ・・・(3)
【0043】
共振部5C及び金属片7cは、内部空間K内でマイクロ波を共振させる機能を有し、特性インピーダンスが200Ωとなっている。本実施形態において、この共振部5Cにおける軸方向長さL3はλg/4のm倍で規定される。また、共振部5Cにおける導体筒部7の内径D3は56mmとなっている。
TEM共振モードの次数を決める一対の金属片7c,7cは、ランプ部6の位置からλg/4離れた位置に中心軸Oを介して互いに対向配置されている。
【0044】
本実施形態の光源装置1は、インピーダンスキーパー部5A、インピーダンスマッチング部5B、共振部5Cを有するマイクロ波ランプ12を備えており、マイクロ波伝送線路3側と共振部5C側とのインピーダンスの整合を行えるようになっている。このように、マイクロ波ランプ12(導体筒部7)自体にインピーダンス整合機能を付与することによって外部にマッチング回路を設ける必要がなくなり、ランプ12の構成部材のみで上記作用を実現することができる。これにより、装置構成の簡素化を図りつつマイクロ波の伝送効率を向上させることが可能となる。
【0045】
また、例えば、第1コネクター4Aの温度上昇によりインピーダンスが50Ωから多少ずれた場合でも、ランプ12の電力入力端側にインピーダンスが50Ωとされたインピーダンスキーパー部5Aを設けておくことにより、入力側のインピーダンスの変動を許容することができる。これにより、電力の反射が抑えられて、コネクター4A,4Bの故障を防止することが可能である。また、このインピーダンスキーパー部5Aによりランプ部6の負荷変動があった場合でも安定的にTEMモードを補償することが可能なため、結果としてマイクロ波エネルギーを効率よくプラズマに伝送することができ、発光光率に優れた光源装置1が得られる。
【0046】
さらに、放物面とされた導体筒部7の内面7bによってランプ部6の発光光を平行光として開口70側へ反射させることができるため、光の取り出し効率が向上する。このため、別体のリフレクターを導体筒部7内に設置しなくてもランプ部6の発光光を十分に取り出すことが可能である。
また、導体筒部7の開口端からλg/4の2n倍の位置にランプ部6が配置されていることから、このランプ部6にマイクロ波電流の定在波の振幅の腹が位置することになり、高輝度発光が得られる。
また、開口端からλg/4のn倍の位置に金属片7cが配置されていることにより、TEM共振モードの次数が決まり、効果的な共振構造となり、マイクロ波の利用効率が向上する。
【0047】
また、本実施形態においては、中心導体8Aにコイル18を外装させている。ランプ部6のインピーダンスはR±jX(実数+虚数)で表され、実数部分だけでなく負のリアクタンス成分を持っている。このため、中心導体8Aにコイルを設けることで正のリアクタンスを作り、ランプ部6の負のリアクタンスを精度良くキャンセルさせることによってマイクロ波電力をプラズマ中に有効に伝達させることとした。
また、マイクロ波ランプ12のインピーダンスキーパー部5A、インピーダンスマッチング部5B、共振部5Cを上記寸法構成とすることにより、マイクロ波の漏洩が防止されて、周辺機器へ悪影響を及ぼすおそれがないといった効果が得られ、信頼性を向上させることができる。
したがって、本実施形態の光源装置1は、低電力で高輝度発光可能な高信頼性の光源となる。
【0048】
なお、中心導体8Bの形状は上記構成に限られず、例えば、軸方向に外径が漸次変化するようなテーパ形状としてもよく、導体筒部7の内面7bの形状によって優れたマッチング効果が得られるような形状とする。
【0049】
[具体例1]
本例では、2.45GHz帯のTEMモードのマイクロ波に対応するように構成された光源装置1について示し、図1および図2を参照する。上述したように、光源装置1における具体的な寸法は、マイクロ波の波長λgに応じて決定し、122.45mmとなる。
以下に、本具体例における光源装置1のマイクロ波ランプ12の各寸法について示す。
ランプ点灯時のインピーダンスZ:100Ω
(インピーダンスキーパー部5A)
導体筒部7の軸方向長さL1:7.6mm(λg/16)
導体筒部7の内径D1:26.8mm
導体筒部7と中心導体8の内部空間K:テフロン(登録商標)等の誘電体23で満たす。
(インピーダンスマッチング部5B)
導体筒部7の軸方向長さL2:30.61mm(λg/4)
導体筒部の内側曲線は、y=16.5X である。
中心導体8Bの先端部8aの軸方向長さL4:7.1mm
先端部8aの外径d1:10mm
縮径部8bの外径d2:5.3mm
基端部8cの外径d3:8.0mm
(発光管の点灯部分の位置)
ランプ部6の中心がインピーダンスマッチング部5Bと共振部5Cの境界位置となるように設置する。
(共振部5C)
軸方向長さL3:61.22mm(λg/2)
内径D3:50.0mm
中心導体8Aの外径d:9.484mm
金属片7cの位置:開口端側から30.62mmの位置(λg/4)
【0050】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の光源装置について図3を用いて説明する。図3(a)は、第2実施形態の光源装置のマイクロ波ランプの全体構成を示す断面図、図3(b)はマイクロ波ランプの入力端側から見た側面図である。
以下に示す本実施形態の光源装置の基本構成は上記第1実施形態と略同様であるが、開放端側にショート部材51が設けられている点、ランプ部6が共振部5C側に配置されている点、金属片7c,7cの配置位置において異なる。よって、以下の説明では、構成の異なる部分について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、図1および図2と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
【0051】
本実施形態の光源装置には、導体筒部7の開放端側にショート部材51が設けられている。ショート部材51は、アルミニウムや銅等の良伝導性の金属より形成されており、環状部材51Aとクロスバー51Bとから構成され、導体筒部7と給電用アタッチメント22(中心導体21A)にそれぞれ固定されている。このショート部材51により、導体筒部7と給電用アタッチメント22(中心導体21A)とが電気的に接続されて、導体筒部7と給電用アタッチメント22とを同電位に保持することが可能である。
【0052】
ランプ部6は、一対の中心導体21A,21Bからなる給電用アタッチメント22により導体筒部7の共振部5C側に配置されている。本実施形態では、導体筒部7の開口70からλg/4のnの奇数倍(λg/4、λg・3/4、…)の位置にランプ部6が配置されるように構成されている。
また、TEM共振を決める金属片7c,7cは、ランプ部6の中心からλg/4離れた位置、つまり、共振部5Cとインピーダンスマッチング部5Bとの境界に配置されており、これによって次数が決定される。
【0053】
給電用アタッチメント22を構成している中心導体21A,21Bは、軸方向に外径が変化することなく一定の寸法で形成されている。つまり、本実施形態ではランプ部6を共振部5C側へ配置したことから、インピーダンスマッチング部5Bにおける中心導体21Bの外径が軸方向に一定であってもインピーダンスマッチングを良好に行える。
【0054】
本実施形態の構成によれば、ショート部材51を設けることで導体筒部7と給電用アタッチメント22とを同電位にすることで、開放端が電気的にシールドされて開口70からマイクロ波が漏洩するのを阻止することが可能となる。つまり、開口端側においてマイクロ波によって発生する電界の一部が打ち消されることになり、マイクロ波の漏洩防止効果がより高まる。
【0055】
なお、ショート部材51の構成は上記したものに限られず、導体筒部7と給電用アタッチメント9とを短絡させることが可能な構成であればよいことから、例えば格子状に構成されたメッシュ部材を採用してもよい。ここで、ショート部材51としては、開口70から射出される光のうち、ショート部材51によって遮断される光を最小限に抑えられる形状が好ましい。
また、共振部5Cとインピーダンスマッチング部5Bとの境界の位置に金属片7c,7cが配置されていることにより、TEM共振モードの次数が決まり、効果的な共振構造となり、マイクロ波の利用効率が向上する。
【0056】
[具体例2]
本例では、2.45GHz帯のTEMモードのマイクロ波に対応するように構成された光源装置1について示し、図3(a),(b)を参照する。上述したように、光源装置1における具体的な寸法については、マイクロ波の波長λgに応じて決定し、122.45mmとなる。以下に、本具体例における光源装置1のマイクロ波ランプ12の各寸法について示す。
ランプ点灯時のインピーダンスZ:100Ω
(インピーダンスキーパー部5A)
導体筒部7の軸方向長さL1:7.6mm(λg/16)
導体筒部7の内径D1:26.8mm
導体筒部7と中心導体8の内部空間K:テフロン(登録商標)等の誘電体23で満たす。
(インピーダンスマッチング部5B)
導体筒部7の軸方向長さL2:30.61mm(λg/4)
導体筒部の内側曲線は、y=16.5X である。
中心導体8Bの外径d:9.484mm
(発光管の点灯部分の位置)
ランプ部6の中心が共振部5Cの開口端から30.62mm(λg/4)離れた位置となるように設置する。
(共振部5C)
軸方向長さL3:61.22mm(λg/2)
内径D3:50.0mm
中心導体8Aの外径d:9.484mm
金属片7cの位置:インピーダンスマッチング部5Bと共振部5Cとの境界位置
【0057】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態の光源装置について図4を用いて説明する。図4は、第3実施形態の光源装置のマイクロ波ランプの全体構成を示す断面図である。
本実施形態の光源装置は、図4に示すように導体筒部7の開放端側にショート部材51を備えるとともに、導体筒部7の軸方向長さ、すなわち共振部5Cの軸方向長さが上記各実施形態に比べて短く構成されており小型化されている。
上述したように共振部5Cにおける軸方向長さはλg/4のm倍で規定される。先の実施形態では共振部5Cの軸方向長さがλg/2に設定されていたが、本実施形態ではλg/4の長さに設定されている。また、これに伴い、中心導体8Aの軸方向長さも短くなっている。
【0058】
本実施形態によれば、導体筒部7(共振部5C)の軸方向長さを短くすることでマイクロ波ランプ12の小型化及び軽量化を実現することが可能となる。共振部5Cにおける導体筒部7の軸方向長さを短くした場合でも、上記寸法にすることによって遮断波長が存在しないため、上記各実施形態同様にマイクロ波の伝送効率が高められるとともにマイクロ波の漏洩を効果的に防止することができる。これにより、小型で汎用性が高く信頼性に優れた光源装置が得られる。
【0059】
[具体例3]
本例では、2.45GHz帯のTEMモードのマイクロ波に対応する光源装置1の構成について示し、図4を参照する。上述したように、光源装置1における具体的な寸法については、マイクロ波の波長λgに基づいて決定した。
以下に、本具体例における光源装置1のマイクロ波ランプ12の各寸法について示す。
ランプ点灯時のインピーダンスZ:100Ω
(インピーダンスキーパー部5A)
導体筒部7の軸方向長さL1:7.6mm(λg/16)
内径D1:26.8mm
導体筒部7と中心導体8の内部空間K:テフロン(登録商標)等の誘電体23で満たす。
(インピーダンスマッチング部5B)
導体筒部7の軸方向長さL2:30.61mm(λg/4)
中心導体8Bの先端部8aの軸方向長さL4:7.1mm
先端部8aの外径d1:10mm
縮径部8bの外径d2:5.3mm
基端部8cの外径d3:8.0mm
(発光管の点灯部分の位置)
ランプ6の中心がインピーダンスマッチング部5Bと共振部5Cの境界にとなるように設置する。
(共振部5C)
導体筒部7の軸方向長さL3:30.61mm(λg/4)
内径D3:50.0mm
中心導体8Aの外径d:9.484mm
【0060】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0061】
例えば、マイクロ波ランプ12の導体筒部7の内側に別個に形成されたリフレクターを配置してもよい。例えば、このリフレクターの反射面を導体筒部7の内面7b(反射面)に対向させるようにして設けることにより、ランプ部6から放射される発光光のうち内面(反射面)7bに入射しない方向へ放射された光をリフレクターの反射面によって反射させて内面(反射面)7bへ入射させることができ、その結果、発光光の殆どを平行光として取り出すことが可能になる。これにより、ランプ部6からの放射光の利用効率がより一層向上して更なる高輝度発光が得られるようになる。
【0062】
(プロジェクター)
次に、図5を参照しつつ本発明に係るプロジェクターの一実施形態を説明する。図5に示すように、プロジェクター500は、光源装置550、液晶ライトバルブ(画像形成装置)551a、551b、551c、クロスダイクロイックプリズム552、及び投射レンズ(投射装置)553を備えている。光源装置550は、本発明の光源装置を適用したものであり、マイクロ波励起ランプ501、リフレクター502、フィルター503、レンズアレイ504、偏光変換素子505、及びコンデンサレンズ506を備えている。光源装置550から射出された光は、ダイクロイックミラー507、508、リレー光学系509等を経て、液晶ライトバルブ551a〜551cに入射する。
【0063】
ダイクロイックミラー507、508は、例えばガラス表面に誘電体多層膜を積層したものである。これにより、所定の波長帯域の色光が選択的に反射し、それ以外の波長帯域の色光が透過するようになっている。例えば、光源装置550から射出された光源光のうち、赤色光Laがダイクロイックミラー507を透過するとともに、緑色光Lb及び青色光Lcがダイクロイックミラー507で反射する。また、ダイクロイックミラー507で反射した緑色光Lb及び青色光Lcのうち、青色光Lcがダイクロイックミラー508を透過し、緑色光Lbがダイクロイックミラー508で反射する。
【0064】
ダイクロイックミラー507を透過した赤色光Laは、反射ミラーで反射し平行化レンズを経て赤色光用の液晶ライトバルブ551aに入射する。ダイクロイックミラー508で反射した緑色光Lbは、平行化レンズを経て緑色光用の液晶ライトバルブ551bに入射する。ダイクロイックミラー508を透過した青色光Lcは、リレー光学系509を経て青色光用の液晶ライトバルブ551cに入射する。
【0065】
クロスダイクロイックプリズム552は、三角柱プリズムが貼り合わされた構造となっており、その内面に赤色光Laが反射し緑色光Lbが透過するミラー面と、青色光Lcが反射し緑色光が透過するミラー面とが互いに直交して形成されている。赤色光La、緑色光Lb、青色光Lcは、これらのミラー面で選択的に反射あるいは透過して同じ側に射出される。これにより、3つの色光が重ね合わされて合成光となる。この合成光は、投射レンズ553によってスクリーン560に拡大投射される。これにより、カラー表示の映像が得られるようになっている。
【0066】
以上のようなプロジェクター500にあっては、本発明の光源装置を適用した光源装置550において光の利用効率が高くなっているので、視認性に優れた高性能なプロジェクター500になっている。また、光源装置550により漏洩電波を低減させることができ、信頼性に優れたプロジェクター500になっている。
【0067】
なお、前記実施形態では、画像形成装置として透過型の液晶ライトバルブを用いた例を示したが、反射型の液晶ライトバルブを用いることも可能である。その場合には、反射型の液晶ライトバルブを用いるのに適した光学系に適宜変更される。また、液晶ライトバルブ以外の画像形成装置を用いることも可能である。例えば、デジタルミラーデバイス等の液晶ライトバルブ以外の画像形成装置を用いても良い。
【0068】
また、本発明の光源装置をデジタルサイネージ(Digital Signage)用プロジェクターの光源として適用してもよい。また、紫外線による洗浄作用や改質効果のある紫外線ランプの光源として適用することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…光源装置、2…マイクロ波電源、3…マイクロ波伝送線路、4A…第1コネクター、4B…第2コネクター、6…ランプ部、7…導体筒部、5A…インピーダンスキーパー部、5B…インピーダンスマッチング部、5C…共振部、7b…内面(反射面)、7c…金属片(凸部)、8A,8B…中心導体、11A,11B…電極、12…マイクロ波ランプ、13…筐体、16…発光管、18…コイル、21A…中心導体、21B…中心導体、51…ショート部材、500…プロジェクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端が開口端とされた導体筒部と、前記導体筒部の中心軸に沿って配置された中心導体と、前記中心導体の一端に接続されたコネクターとを備えたマイクロ波ランプ用の筐体であって、
マイクロ波の波長をλg、nを0以上の整数、mを自然数とするとき、
前記中心導体は、前記中心軸方向において前記開口端からλg/4の2n倍の位置に発光管の取付部を有し、
前記導体筒部は、前記中心軸方向の長さがλg/4のm倍とされTEMモードのマイクロ波を共振させる共振部と、前記中心軸方向の長さがλg/4のm倍とされ前記共振部と前記コネクターとのインピーダンスマッチングを行うマッチング部と、前記中心軸方向の長さがλg/16のm倍とされ前記コネクターと前記マッチング部との間に設けられたインピーダンスキーパー部と、を有し、
前記マッチング部の内径は、前記共振部側から前記インピーダンスキーパー部側へ向かって縮径されているとともにその内面が放物線を軸周りに回転させて得られる面であり、
前記導体筒部の内面には、前記マイクロ波の共振長を決める凸部が設けられ、
前記凸部は、前記mが偶数の場合に前記開口端からλg/4のn倍の位置に設けられ、前記mが奇数の場合には前記共振部と前記インピーダンスキーパー部との境界位置に設けられることを特徴とするマイクロ波ランプ用の筐体。
【請求項2】
少なくとも一端が開口端とされた導体筒部と、前記導体筒部の中心軸に沿って配置された中心導体と、前記中心導体の一端に接続されたコネクターと、前記共振部と前記中心導体とを接続するショート部材と、を備えたマイクロ波ランプ用の筐体であって、
前記マイクロ波の波長をλg、nを0以上の整数、mを自然数とするとき、
マイクロ波の波長をλg、nを0以上の整数、mを自然数とするとき、
前記中心導体は、前記中心軸方向において前記開口端からλg/4の2n+1倍の位置に発光管の取付部を有し、
前記導体筒部は、前記中心軸方向の長さがλg/4のm倍とされTEMモードのマイクロ波を共振させる共振部と、前記中心軸方向の長さがλg/4のm倍とされ前記共振部と前記コネクターとのインピーダンスマッチングを行うマッチング部と、前記中心軸方向の長さがλg/16のm倍とされ前記コネクターと前記マッチング部との間に設けられたインピーダンスキーパー部と、を有し、
前記マッチング部の内径は、前記共振部側から前記インピーダンスキーパー部側へ向かって縮径されているとともに、その内面が放物線を軸周りに回転させて得られる面であり、
前記導体筒部の内面には、前記マイクロ波の共振長を決める凸部が設けられ、
前記凸部は、前記mが偶数の場合に前記開口端からλg/4のn倍の位置に設けられ、前記mが奇数の場合には前記共振部と前記インピーダンスキーパー部との境界位置に設けられることを特徴とするマイクロ波ランプ用の筐体。
【請求項3】
前記導体筒部の内面が、y=16.5Xの式で表わされる放物線を軸周りに回転させて得られる面であることを特徴とする請求項1または2記載のマイクロ波ランプ用の筐体。
【請求項4】
前記中心導体にコイルが外装され、もしくは前記中心導体に凹凸を設けてスタブ構成とされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のマイクロ波ランプ用の筐体。
【請求項5】
前記凹凸部が、前記外部導体の中心軸を介して対向配置される一対の金属片であることを特徴とする請求項1または2記載のマイクロ波ランプ用の筐体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のマイクロ波ランプ用の筐体と、
マイクロ波によって励起される発光物質が封入され且つ前記筐体内に取り付けられる発光管と、を備えたことを特徴とするマイクロ波ランプ。
【請求項7】
請求項6記載のマイクロ波ランプと、
マイクロ波を発生させるマイクロ波電源と、
前記マイクロ波電源において発生したマイクロ波を前記マイクロ波ランプへと伝送するマイクロ波伝送線路と、を備えたことを特徴とする光源装置。
【請求項8】
請求項7記載の光源装置を備えたことを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−60506(P2011−60506A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207217(P2009−207217)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】