説明

マイクロ流体の方法および質量を二種の不混和性相間で移送する装置

【課題】電気的な力を用いて該マイクロ流体装置に組み込まれた化学分析装置に小液滴を移送する工程、および化学的に該小液滴を分析する工程を含む方法を実施する装置を提供する。
【解決手段】液体である第一の相(P1)と、第一の相と不混和性であって流体である第二の相(P2)との間の少なくとも一種類の溶質(S)の質量を移送する方法であって、該液体である第一の相(P1)の少なくとも一つの小液滴(G)を、該流体である第二の相(P2)で満たされた空間(50)内の電気的な力(電気濡れもしくは誘電泳動)を用いて、マイクロ流体装置内で動かすことを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に液体−流体抽出用であり、主に分析的な用途における、二つの不混和性相間で質量を移送する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体−流体抽出は、工業化学および分析化学において一般に使用される操作単位であり、少なくとも一種の溶質の質量を、液体の第一の相と、第一の相とは不混和性の流体(液体もしくはガス状の)である第二の相の間で移送することから成る。この伝達を促進するためには、相の間の接触領域を相の体積で割った比を最大にする必要があることがよく知られている。これは一般に、片方の相をもう一方の相中に分散すること、例えばビーカー中で電磁撹拌機を用いて分散させ、次にこれを沈降させて相を分離することによって達成される。
【0003】
国際特許公開公報WO96/12540は、二つの不混和性の流体相の間で、平面多孔質膜を通して溶質を移送する方法を開示している。ある相から他の相への溶質の伝達は、膜中の孔を通して起こり、この孔がなければ二種の流体の間の平面界面が不安定になる。二つの相は決して混ざらないため、独立して回収される。
【0004】
H.リウおよびP.ダスグプタ(H.Liu and P.Dasgupta)著、「一滴の分析化学。マイクロドロップの溶剤抽出 (Analytical chemistry in a drop. Solvent extraction in a microdrop)」、「分析化学(Analytical Chemistry)」、68巻、p1817、1996年6月1日、は、マイクロリットル規模における液体−液体抽出の分析的な応用を開示する。この記事においては、約1マイクロリットル(μL)の体積を有するクロロホルムの小液滴を、連続的に更新される水溶液のより大きな液滴内に懸濁させる。溶質は水性相から有機相へ通過しており、レーザースペクトロメトリーによって検出される。この方法は、分析に非常に少量の溶媒および物質しか必要とせず、非常に高い表面/体積比を得ることを可能にする。しかしながら、ばらばらのマイクロ流体の素子を組み立てるには注意を要するため、実行は煩雑である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、小規模(マイクロリットル)の、主に分析用途向けの液体−流体抽出法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのような方法は、単純かつ急速でありながら、最大にすべき二つの流体の間の交換を可能にするという利点がある。この方法を実行するために必要な設備は、単純かつ安価である必要がある。そのような方法は、より複雑なマイクロ流体化学的方法で工程を構成することが可能である。例えば、少量の試薬の精製もしくは溶媒の小液滴からの反応生成物の抽出に適用することが出来る。あるいは、分析する溶液中に微量の溶質が存在する場合、溶媒中の溶質を濃縮するためにこの方法を使用することができ、それによって溶質を検出することが可能となる。
【0007】
本発明が基礎とする考えは、液体である第一の相の小液滴(マイクロリットル単位、もしくは数百ナノリットルもしくは数十ナノリットル単位の体積を有する)を、「流体チップ」型のマイクロ流体装置を用いることにより、流体(液体もしくはガス状の)である第二の相のより大きな体積(例えば約10マイクロリットル〜数ミリリットルの範囲内)内で移動させるというものである。「マイクロ流体装置」という用語は、本明細書中では、1ミリリットル未満、一般に数百ナノリットル〜数百マイクロリットルの範囲の体積の液体の操作を可能にする装置の意味で使用する。そのような装置は、非常に低いコストで、フォトリソグラフィーおよび薄層沈着等のマイクロエレクトロニクスから派生した製造技法を用いて大量生産が可能である。この技術の他の利点は、チップ型の装置は、内蔵の分析装置を備えることができるという事実に存在する。
【0008】
従って本発明は、液体である第一の相と、第一の相とは不混和性の流体(液体もしくはガス状の)である第二の相の間で、少なくとも一種の溶質の質量を移送する方法を提供し、この方法は、該液体である第一の相の少なくとも一つの小液滴を、該流体第二の相で満たされた空間内の電気的な力からの駆動のもとにマイクロ流体装置内で移動させることを含むことを特徴とする。該小液滴は、一般に1ナノリットル(nL)〜10μL範囲内、好ましくは100nL〜1μLの範囲内の体積を有する。
【0009】
好ましくは、本発明の方法は、該電気的な力で該マイクロ流体装置内に該液滴を注入もしくは生成する地点と、抽出および/もしくは分析区域との間の経路に沿って該小液滴を動かすことを含み、該経路は、該液滴が該流体である第二の相で満たされた該空間の少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%、およびさらに好ましくは少なくとも80%を含む一部を通って流れるような方法で決定される。
【0010】
該経路は、擬似ランダム経路でもよい。
【0011】
該流体である第二の相は、該マイクロ流体装置の該空間内を、該電気的な力を用いて、その速度を該液体である第一の相の該小液滴が動くことを可能にするのに十分な遅さの値に維持しながら流れるという利点がある。
【0012】
本発明の一実施形態では、該液体である第一の相は、初めは溶質を含み、該流体である第二の相は、該液体第一の相以上に該溶質への親和性を示し、それによって該小液滴を溶質中で消耗する(脱濃縮抽出)。
【0013】
本発明の別の実施形態では、該流体である第二の相は、初めは溶質を含み、該液体である第一の相は、該流体である第二の相より大きな該溶質への親和性を示し、それによって該小液滴が溶質内で濃縮される(濃縮抽出)。
【0014】
本発明の実施形態では、液体である第一の相の該小液滴は、該液体である第一の相と該流体である第二の相の間の導電性の差を利用した電気濡れによって動かされ、該相は、電極の行列を支える底板と、該底板と平行であり電極の該行列と向かい合う対電極を支える天板との間に延びる空間内に維持される。
【0015】
該液体である第一の相が、該流体である第二の相より低い導電性を示す場合、該小液滴は、始動電極に対応する位置から目的の電極に対応する位置に、該目的の電極を該対電極と同じ電位に維持することによって動かされ、一方電位差が、該対電極と始動電極また隣接する電極同士の間で確立される。
【0016】
逆に、該液体である第一の相が該流体である第二の相より高い導電性を示す場合、該小液滴は、始動電極に対応する位置から目的の電極に対応する位置に、該目的の電極と該対電極との間の電位差を確立することによって動かされ、一方該始動電極および隣接する電極同士は、該対電極と同じ電位に維持される。
【0017】
該液体である第一の相と該流体である第二の相の間の該導電性の差は、一般に10倍以上であり、好ましくは100倍以上である。
【0018】
別の実施形態では、該液体である第一の相の該小液滴は、該液体である第一の相と該流体である第二の相の間の誘電率差を利用した誘電泳動によって動かされる。一般に、該液体である第一の相と該流体である第二の相との間の該誘電率の差は、少なくとも10%であり、好ましくは少なくとも50%である。
【0019】
本発明の方法は、該電気的な力を用いて該小液滴を該マイクロ流体装置に組み込まれた化学分析装置に伝達する工程、および化学的に該液滴を分析する工程を含んでもよい。該分析工程は、該小液滴の分光学的分析、および/もしくは質量分析計で該小液滴を電気噴霧する工程を含んでもよい。
【0020】
また本発明は、そのような方法を実施する装置を提供し、以下のものを備える。
【0021】
・電極の行列を有する底板;
・電極の該行列と向かい合う対電極;
・該底板の表面上の、液体である第一の相の小液滴の注入手段もしくは生成手段;
・該液体である第一の相の小液滴を浸漬する、該底板の表面上の、流体である第二の相の注入手段;および
・該流体である第二の相の体積内での該小液滴の動きを定義するため、該行列および該対電極の各電極の間の電位差を独立して確立する制御装置。
【0022】
特定の実施形態では:
装置は、さらに該小液滴を化学的に分析する手段を備える。
【0023】
装置は、さらに該底板の表面上での流体である第二の相の流れを確立するために、流体である第二の相を排出する手段を備える。
【0024】
装置はさらに、該底板と平行であり、該底板と協働して、該流体である第二の相で満たされ得る空間を郭成し、該対電極を支える天板を備える。
【0025】
該対電極は、該流体相の少なくとも一方に浸漬されたもしくは張力をかけられた少なくとも一つの導線で構成される。
【0026】
該小液滴が、該流体である第二の相の体積の少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%を通って流れることを可能にする経路に沿った該小液滴の動きを定義する該制御装置を設ける。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、添付図面を参照して次の記載を読むことにより理解が容易と成るであろう。
【0028】
本発明が基礎とする原理は、図1の助けを得て理解され得る。10nl〜10μL範囲、例えば、好ましくは100nl〜1μLの範囲の体積を有する液体である第一の相P1の小液滴Gは、底板10と天板20の間に延びる空間50内に入れられ、第一の相と不混和性である流体である第二の相P2に浸漬される。例えば、第一の相P1を、クロロホルムもしくは四塩化炭素等の有機溶媒によって構成してもよく、一方、第二の相P2は水溶液である。第二の相P2は、初めは、第一の相P1に高い親和性を示す溶質Sを含む。溶質Sは、原子、イオン、単純もしくは複雑な分子、細胞、もしくはウイルス等の生物学的存在によって構成されてもよい。また溶質は、相P1の原料のうち一つに親和性を有してもよい。Sを取り込んだ化学錯体もしくは沈殿物が、次に受容相P1中に形成される。また溶質Sは、例えばSがバクテリアである場合、抗原/抗体反応を行う抗原であってもよい。同様に、相P1中への可溶性が高く該相中に移送することが容易な実体(錯体、沈殿物、・・・)を構成するため、化学化合物を相P2内に導入してもよく、ここで、その実体はそのままで存在してもよく、もしくは再び変換されてもよい。
【0029】
矢印FSで表されるように、溶質FSの流れは、二つの相の界面を、相P2から相P1に向かって通っている。もし二つの相P1およびP2が静止状態であれば、質量は、分子の拡散効果のみによって移送され、特に第二の相P2で満たされた空間50の体積が小液滴Gと比較して大きければ、非常にゆっくりと平衡状態に達する。これが、本発明の方法が、該液滴が該空間50を通って流れるように該小液滴(矢印V1)を動かすことを含む理由である。従って、一旦溶質Sがマイクロ流体装置の部位から抽出されると、小液滴Gは消耗された部位を離れ、溶質がより多く存在する区域に向かって移動する。また、この動きは、小液滴Gに含まれるものが混合されることを可能にし(図1の乱流C)、従って、溶質Sそれ自体の濃度が均一となり、その結果抽出が促進される。小液滴の動きによって誘発されるそのような均一化効果は、J.R.バーンズおよびC.ラムショー(J.R.Burns and C.Ramshaw)著、「細管内のスラグの流れを用いた多相系における急激な反応の増強(The intensification of rapid reactions in multiphase systems using slug flow in capillaries)」、「ラブ・オン・ア・チップ(Lab on a chip)」、2001年、p10−15、2001年8月9日、インターネットで公開、に記載されている。しかしながら、この記事が取り上げる状態は非常に異なるものであり、ここでは小液滴は、周囲の液相にもしくは周囲の液相からいかなる質量も移送されない、化学反応が行われる場所である。
【0030】
そのような状態下では小液滴中の溶質Sおよび液体である第二の相中での溶質Sの濃度CおよびCは、濃度が急速に変化する二つの拡散フィルムの例外を除いて均一であると考えられる。定常状態に達する場合、界面での濃度は、界面抵抗がゼロであると仮定し、またHが第一の相と流体である第二の相の間の溶質Sに対する分配係数である場合(小液滴中の溶質を濃縮することが望ましい場合、H>1)、各々CおよびC=H.Cと等しくなる。単位接触面積当たりの溶質の相P2から相P1へ伝達する速度は、以下の式によって得られる。
【0031】
v = K(H.C−C) = K(H−1)C
この式は、理論的に達成され得る小液滴中の溶質の最大濃度が、H.Cと等しいことを示す。全体的な伝達コンダクタンスKは、以下の通り表すことができる:
K = (H/k + 1/k−1
式中、i=1、2の場合、k=D/eであり、ここでDは相(P1、P2)中の分子の拡散係数であり、ここでeは対応する拡散フィルムの厚さである。
【0032】
好ましくは、流体である第二の相P2は、継続的に更新されるようマイクロ流体装置(矢印V2)内を流れる。これにより、溶質S中で消耗された相P2が連続的に取り除かれるため、改良すべき方法の動力学が可能となる。また、この方法で、寸法が小さな装置を用いながら、相P2の大きな体積を小液滴Gと接触させることが可能である。相P2の速度V2は、液体である第一の相P1内に小液滴Gが閉じ込められないよう十分小さいものである必要がある。最大許容速度V2は、環境、特に二つの相P1およびP2のそれぞれの表面上の相対的な濡れ、および小液滴Gを動かすために使用される電気的な力の大きさに依存する。流体である第二の相P2の流量は、例えば毎分10ナノリットル(nL/min)〜数μL/minの範囲内にあってもよい。
【0033】
あるいは、本発明の方法を、液体である第一の相P1を精製するために使用することができる。そのような環境では(「脱濃縮抽出)、液体である第一の相P1は、初めは溶質Sを含み、流体である第二の相P2は、該液体である第一の相P1以上に該溶質Sへの親和性を示し、それによって溶質S中で該小液滴Gが消耗される。
【0034】
図2Aに示すように、供給源に接続された針等の、液体である第一の相P1を注入する装置22は、天板20に形成された開口23を通って、該天板10と底板20の間の空間50内へと通過しており、空間50は、流体(液体もしくはガス状の)である第二の相P2で満たされている。小液滴Gは、動力として使用される電気的な力を用いて形成されていてもよい。電極11の電位および対電極21の電位は、針22から離隔する方向に向かう液体の流れを生成するような方法で確立され、該流れは次に小液滴に分かれるよう「押さえつけられる」。この技術は、R.B.フェア、V.スリニヴァサン、H.レン、P.パイク、V.K.パムラ、およびM.G.ポラック(R.B.Fair, V.Srinivasan, H.Ren, P.Paik, V.K.Pamula, and M.G.Pollak)著、「内蔵マイクロ流体機器用の電気濡れに基づくチップ上のサンプル処理(Electrowetting−based on−chip sample processing for integrated microfluidics)」、IEEE国際電子デバイス会議(IEEE International Electron Devices Meeting (IEDM))、2003年、に記載されている。
【0035】
流体である第二の相P2を、図示はしていないが、注入装置(例えば注射器)および除去装置(容器につながったダクト)によって循環した状態に保つ。これらの装置は、約100マイクロメートル(μm)の内径を有する細管24および25を介して相50に接続されている。
【0036】
液体である第一の相P1の小液滴Gの動きは、圧力差によって誘発することができないが、これは両方の流体相が同時に動き、望ましくないためである。従って、該小液滴を電気的な力を用いて動かす、特に電気濡れとして知られる効果を用いて動かすことに決定した。この効果は、例えば「可逆性電気濡れおよび電荷のトラッピング:モデルおよび実験(Reversible electrowetting and trapping of charge: model and experiments)」、H.J.J.ヴェルヘイエンおよびM.V.J.プリンス、ラングミュア著、1999年、15、6616−6620、に記載されている。
【0037】
「マイクロ流体への応用のための電気濡れに基づく液体小液滴の作動(Electrowetting−based actuation of liquid droplets for microfluidic applications)」、M.G.ポラック、R.B.フェア、およびA.D.シェンデロフ著、では、電気濡れを用いて絶縁材中で導電性液体の小液滴を動かすことを開示している。
【0038】
本発明の状況において、底板10の上面に配置された電極11および天板20の底面上に配置された対電極21のグリッドによって小液滴を電気的に駆動することが可能となる。
【0039】
別の形態として、対電極21を、二つの流体相のうち少なくとも一方に浸漬したもしくは張力をかけた導線で代替することができる。底板10と平行であり、張力をかけられ、対電極および小液滴ガイドの働きをする線は、「マイクロカテナリー」と言われるものである;この技術は、Y.フイエ、H.ジャンソン、D.デイリー、O.コンスタンティン、およびC.ボーシー(Y.Fouillet, H.Jeanson, D.Dary, O.Constantin, and C.Vauchier)著、「マイクロカテナリーで小液滴を動かす(Moving droplets with microcatenaries)」、「第7回小型化学および生物化学分析システム国際会議(7th International Conference on Miniaturized Chemical and Biochemical Analysis System)」、2003年10月5−9日、米国カリフォルニア州スクウォーバレー(Squaw Valley)、に記載されている。
【0040】
図2A装置では、電極11は、絶縁コーティング12によって流体相P1およびP2から分離され、対電極21は流体相P1およびP2と電気的に接触している。また別の形態として、対電極21は絶縁コーティングを有しても良い。電極11および対電極21は、個別の電気接続を介して、各電極11と対応する対電極との間の独立した電位差を確立することを可能にする制御装置に接続されている。この電位差を確立することによって、下記に実証されるように、正確に決定した経路をたどらせることが可能な小液滴Gを作動させることが可能となる。図を分かりやすくするため、該電気接続を省く。
【0041】
図2Bの平面図は、天板20が透明であるものとしてそれを通して見た状態であるが、電極11のグリッドが、注入装置22を抽出および/もしくは小液滴分析区域30に接続していることを示す。電極11アレーの周囲では、三個の接触パッドRCが示されている。実際は、アレー11中の電極と同数の接触パッドRCがあり、それらの各々は、導体路PCを介して対応する電極に接続されている。簡素化のため、アレー11の電極を、図中では四角形であるものとして示すが、実際は、それらが互いに差し込まれるよう、盛り上りを有する輪郭を示すことが有益である。このことが、小液滴Gの動きを容易にすることが知られている。
【0042】
線TGは、小液滴Gの注入装置22から該抽出および/もしくは分析区域30への経路の例を示す。経路TGは二次元かつ擬似ランダムであり、小液滴Gが流体である第二の相P2で満たされた空間50の体積のかなりの部分を通って流れることを可能にする。このようにして、分子の拡散に必要な時間が過度に長くなることを避けつつ、溶質Sで効果的に満たすことが可能となる。この状況では、「かなりの部分」とは、少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%を含む一部、さらに好ましくは約80%もしくはそれ以上を含む一部を意味する。
【0043】
また経路TGは、擬似ランダムである代わりに、通常の性質を持つものであってもよい。重要な点は、流体である第二の相P2で満たされた空間50のかなりの部分を通って小液滴Gが効果的に流れることを可能にせねばならないことである。
【0044】
図3Aおよび3Bは、液体である第一の相P1の小液滴Gを動かす単独の工程を示す。相P1は導電性であり、流体である第二の相P2に浸漬されている。第二の相P2は実質的に非導電性であるが、これは、該液体である第一の相P1より少なくとも10倍好ましくは100倍低い導電性を示すということである。最初に、図3Aに示すように、小液滴Gは、対電極21とは異なる電位に維持される電極11”と対応して位置し、隣接の電極11’、11”’は、対電極と同じ電位に維持されている。この図および次の図中では、「アクティブ」である、つまり対電極21に対する電位差を示す電極を白で示し、対電極と同じ電位を有する電極を黒で示す。小液滴Gが安定平衡にあることは、静電気学の法則に基づいて容易に理解され得る。該小液滴を電極11”’に向かって動かすことが望ましい場合、電極11”’と対電極21との間に電位差を与えながら、始動電極11”を該対電極21と同じ電位にすればよい。問題の電位差は、一般に10ボルト(V)〜数百ボルトの範囲にある。そのような状態下では、小液滴は、毎秒数センチメートル単位の移動速度を達成し得る。
【0045】
この方法は、「電気濡れ」として知られる現象を利用しており、これは、二つの相P1およびP2の間の導電性の有意差を必要とする。同じ効果が、該相が両方とも実質的に絶縁している場合、誘電泳動によって得られ、液体である第一の相P1は、流体である第二の相P2より感知できる程度に大きい電気分極率(従って誘電率)を示す(例えば少なくとも10%大きい、また好ましくは少なくとも50%大きい)。小液滴を誘電泳動によって動かすことは、例えば、J.ヴィコウカル、J.A.シュワルツ、F.F.ベッカー、およびP.R.C.ガスコイニー(J.Vykoukal, J.A.Schwartz, F.F.Becker, and P.R.C.Grascoyne)著、「小液滴に基づく化学用のプログラム可能な誘電泳動流体プロセッサー(A programmable dielectrophoretic fluid processor for droplet−based chemistry)」、マイクロ・トータル・アナリシス・システムズ(Micro Total Analysis Systems)、2001年、p72−74、クルーワー・アカデミック・パブリッシング(Kluwer Academic Publishing)、に記載されている。
【0046】
電気的に導電性であるのが流体である第二の相P2である場合、液体である第一の相が実質的に非導電性でありながら、図4Aおよび4Bに示すように進めることが可能である。最初に小液滴Gは、対電極21と同じ電位に維持される電極11”と対応した位置にあり、隣接する電極11’および11”’は、これに対して電位差を示す。上記の場合と同様に、小液滴Gは安定平衡にある。該小液滴を電極11”’に向かって動かすことが望ましい場合、該電極を対電極21と同じ電位にしつつ、該対電極21と始動電極11”との間の電位差を確立すればよい。
【0047】
同じ効果が、該相の両方が実質的に絶縁している場合、誘電泳動によって得られ、流体である第二の相P2は、液体である第一の相P1を著しく上回る電気分極率(従って誘電率)を示す(例えば少なくとも10%大きい、好ましくは少なくとも50%大きい)。
【0048】
図3A〜4Bに示す例では、対電極21は相P1およびP2と電気的に接触しており、グリッド11の電極は、好ましくは液体である第一の相P1によって湿潤不可能な、例えばSiOもしくはPTFA等の高い誘電率を示す材料で構成されている絶縁層12によってそこから分離されている。
【0049】
当業者でれば、同様に絶縁されている対電極を用いることによって同様の結果を得ることができることを理解するであろう。
【0050】
一定の電位差(DC)を使用することを検討してきたが、当業者であれば、交流信号(AC)、例えば正弦信号を、電極11’、11”、および11”’に与えることにより、同じ結果が達成され得ることを理解するであろう。一般に、使用される周波数は、電気濡れを使用する場合は数十ヘルツ(Hz)〜数キロヘルツ(kHz)であり、誘電泳動を使用する場合は100kHz〜10メガヘルツ(MHz)である。
【0051】
質量を移送する本発明の方法には、非常に小規模の化学分析に適用することができるという利点がある。そのような環境下では、流体である第二の相P2は、化学的汚染物質もしくは核汚染物質を含み得る水溶液で構成されていてもよく、液体である第一の相P1は、該汚染物質に非常に高い親和性を示す有機溶媒で構成される。小液滴Gは、該汚染物質の検出を容易にするような方法で、該汚染物質で満たすことが可能である。例えば、相P1は、約1μLの体積を有するクロロホルムの液滴で構成することが可能であり(ここでのクロロホルム導電性は、σch = 0.4´10−11ミリジーメンス/ センチメートル (mS.cm−1))であり、相P2は、100μL〜数mLの体積を有し、溶液中に金属陽イオンPb2+を10マイクログラム/リットル(mg/L)〜100mg/Lの範囲の濃度で含む水道水槽である(導電性:0.3 < σH20 < 1mS.cm−1)。クロロホルムのマイクロドロップは、周波数3kHzにおける約100Vの電位差を用いた電気濡れによって、槽を通して動かすことが出来る。対電極21の代わりに、流体に浸漬された導線を用いて電位差を加えてもよいという利点があり、従って「蓋なしの」槽を設けることができる。クロロホルムのマイクロドロップ中で濃縮したPb2+イオンは、クロロホルムに可溶性のジチゾン(Dzz)を用いた分光光度法もしくは測色法によって、2Dzz+Pb (R) Pb(Dzz)という反応を使用することによって検出することができる。
【0052】
また、異なる溶媒の小液滴Gを連続して装置内に注入することも可能であり、その溶媒は、相P2に存在し得る溶質に対して異なる親和性を示す。その結果、質量伝達方法の実施に使用するマイクロ流体装置に化学分析手段を組み込むことは特に有益である。
【0053】
一例として、図5Aは、図2Bに示すものと同じタイプの装置の部分図であり、図中、分析区域30は、小液滴Gの位置決めをする部分31、互いに一直線をなし、該位置決め部301の両側で端部が向かい合っている第一および第二の光ファイバー302および303を含む。第一の光ファイバー302は、図3A〜4Bを参照して上記された電気的な方法を用いて位置決め部301上に運ばれる小液滴Gを照明するための光放射、例えばレーザーLAの発生源の接続用である。第二の光ファイバー302は、該小液滴Gを通過した光放射および/もしくは該小液滴によって放出される任意の蛍光放射線を捕捉し分析するための分光光度計SPへの接続用である。これによって、該小液滴G中に含まれる溶質を、分光光度法を用いて分析することが可能となる。必要に応じて、光ファイバー302および303を平面誘電導波管で代替することができる。
【0054】
あるいは、図5Bに示すように、区域30を、プレート10および20の縁端から突出し、好ましくは細長く収束した形の二つの電極312および313によって郭成されるスロット311を有する噴出口によって構成された電気噴霧ノズル310によって構成しても良い。一旦小液滴Gがノズル310のところまで運ばれると、スロット311を満たす液体の流れに変換される。約2キロボルト(kV)の電位差を電極312、313および外部の対電極の間に加えることによって、該液体流れを、イオンのガスもしくは帯電した雲状の小液滴の形で噴霧することが可能である。ノズル310を質量分析計の注入口に配置する場合、液体である第一の相P1およびその中に含まれる溶質Sについての質量分析による分析を行うことが可能である。
【0055】
また、単独の「チップ」上で複数の分析装置を組み合わせることも可能である:例えば、小液滴Gを最初に分光光度法によって分析するための区域に運び、次にそれを質量分析計内で電気噴霧する装置を考案することが可能である。
【0056】
図6は、本発明の方法を実施するための装置の製造方法を示す図である。工程A1−A4は、底板10を作成することに関し、工程B1−B2は、天板20を作成することに関し、工程C1−C2は、それらを一体に組み立てることに関する。製造方法は、マイクロエレクトロニクスから派生した技法を利用しており、マイクロ流体の分野で一般的に使用されている。
【0057】
底板10を作成するには、出発原料を一般に「Pyrex」ガラスもしくは約500μm(A1)の厚さ上で酸化させたケイ素から成る基質とし、好ましくは金製の電極(A2)およびチタンボンディング層を用いて、その上に電極のアレー11をフォトリソグラフィーによって作成する。同時に、プレート10の周辺部分に配置した接触パッドRCの一つに各電極を接続する導体路PC(図示せず)を作成する。工程A3では、絶縁層12を該電極に付着させる。例えば、該層12をSiOによって構成しても良く、プラズマ促進化学蒸着(PECVD)として知られる技術を使用して付着させてもよい。フォトリソグラフィの工程は、外部の回路をマイクロ流体装置と電気接続させることを可能にするための接触パッドを分離する働きをする。その後(A4)、高さおよび厚さが約50μm−300μmである樹脂の肉厚壁40(例えばSU−8)を、液体である第二の相P2を含む空間50を郭成するように、電極11のアレーの周りに作成する。この空間の体積は、約10μL〜100μLである。壁40は、複雑化を避けるため、図2B、5A、および5Bでは図示しない。天板20は、「Pyrex」ガラスの基質もしくはプラスチック材料(例えばポリカーボネート)の基質より作成して、そこに開口23を形成し、液体である第一の相P1を注入する(工程B1)ために、注入装置22が挿入され得るようにする。その後(工程B2)、対電極21をフォトリソグラフィによって作成する。該対電極は、好ましくは透明であるという利点を示すインジウム錫酸化物(ITO)から成り、従って本発明の方法が実行されるのを観察することが可能である。必要に応じて、底板10と同様、対電極上に絶縁層を設けることが可能である。接着剤を該肉厚樹脂壁上にシルクスクリーン印刷することによって、二つのプレートを一体に組み立てる(工程C1)。接着剤をシルクスクリーン印刷することは、接着剤層を非常に薄く(1μm−10μm)均一に塗りつけることを可能にする技術である。適切な接着剤は、スープラテック(Supratec)社が提供するDelo−Katiobond 45952である。接着剤をシルクスクリーン印刷することは、例えば特許文献WO00/77509に記載されている。その後、工程C2で、液体である第一の相P1を注入するための装置22を天板20に形成された開口内に挿入し、また、空間50内に開口し、液体である第二の相P2を供給および取り除く働きをする細管23および24(図示せず)を設置する。
【0058】
組立の後もしくは前に、小液滴Gの動きを促進するために、装置の内表面もしくは少なくともその一部に、少なくとも液体である第一の相P1で濡らされない材料を付着させることによって処理することができる。一例として、この材料は、蒸気として付着した疎水性シランであってもよく、もしくは液体として付着したテフロンであってもよい。
【0059】
完成した装置は、総面積が数平方センチメートル、厚さが数ミリメートルとなる。これは、導体路を有し、金製の線を用いて接触パッドRCに電気接続できる印刷回路によって支持してもよい(「ボンディングワイヤ」法)。あるいは、数百マイクロメートル単位の寸法の試験点を介した電気接続を提供して、バネに取り付けてもよい。そのような試験点は、FMコンタクト・テクノロジーズ(FM Contact Technologies)社から、「Feinmetall試験点」の名称で入手可能である。そして次に、同軸き線ケーブルが挿入されたより複雑な回路内へ、支持回路をプラグ接続できる。小液滴Gは、専用のソフトウェアの管理の下に、例えばナショナル・インスツルメンツ(National Instruments)社が提供する「Labview」言語を用いて、動かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明の方法を実施しながら、混合および質量伝達が行われる過程を示す。
【図2A】各々本発明の方法の実施に適したマイクロ流体装置の断面側面図および平面図である。
【図2B】各々本発明の方法の実施に適したマイクロ流体装置の断面側面図および平面図である。
【図3A】本発明のある実施形態における、導電性液体の小液滴を、非導電性流体によって構成された媒体内の電気濡れによって動かす方法のある工程を示す。
【図3B】本発明のある実施形態における、導電性液体の小液滴を、非導電性流体によって構成された媒体内の電気濡れによって動かす方法のある工程を示す。
【図4A】本発明のある実施形態における、非導電性液体の小液滴を、導電性流体によって媒体内の電気濡れによって動かす方法のある工程を示す。
【図4B】本発明のある実施形態における、非導電性液体の小液滴を、導電性流体によって媒体内の電気濡れによって動かす方法のある工程を示す。
【図5A】本発明の方法の二つの特定の実施形態の実施に適した二つのマイクロ流体装置の平面図である。
【図5B】本発明の方法の二つの特定の実施形態の実施に適した二つのマイクロ流体装置の平面図である。
【図6】図2Aおよび2Bのマイクロ流体装置の製造方法を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体である第一の相(P1)と、第一の相と不混和性であって流体である第二の相(P2)との間の少なくとも一種類の溶質(S)の質量を移送する方法であって、該液体である第一の相(P1)の少なくとも一つの小液滴(G)を、該流体である第二の相(P2)で満たされた空間(50)内の電気的な力からの駆動のもとにマイクロ流体装置内で動かすことを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
該電気的な力で該小液滴(G)を該マイクロ流体装置内に注入するもしくは発生させる点(22)と抽出および/もしくは分析区域(30)との間の二次元経路(TG)に沿って該小液滴(G)を動かすことを含む、該流体である第二の相(P2)で満たされた該空間(50)を少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも80%を含む一部を通って該小液滴(G)が流れるような方法で該経路(TG)を決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該経路(TG)が擬似ランダム経路である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
該流体である第二の相(P2)が、該液体である第一の相(P1)の該小液滴(G)が該電気的な力を用いて動くことを可能にするのに十分遅い値に維持された速度(V2)で、該マイクロ流体装置の該空間(50)内を流れる前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
該液体である第一の相(P1)が、初めは溶質(S)を含み、該流体である第二の相(P2)が、該液体である第一の相(P1)以上に該溶質(S)に対する親和性を示し、それによって該小液滴(G)が溶質(S)中で消耗される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
該流体である第二の相(P2)が、初めは溶質(S)を含み、該液体である第一の相(P1)が、該流体である第二の相(P2)を超える該溶質(S)に対する親和性を示し、それによって該小液滴(G)中の溶質(S)の濃度が高くなる、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
該液体である第一の相の該小液滴(G)を、該液体である第一の相(P1)と該流体である第二の相(P2)との間の導電性の差を利用した電気濡れによって動かし、該相(P1、P2)を電極(11)の行列および互いの電位差を確立することができる対電極(21)と接触した状態に維持する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
該液体である第一の相(P1)が、該流体である第二の相(P2)より低い導電性を示し、該小液滴(G)を始動電極(11”)に対応する位置から目的の電極(11”’)に対応する位置まで、該目的の電極(11”’)を該対電極(21)と同じ電位に維持することによって動かし、同時に該対電極(21)と前記始動電極(11”)、また前記隣接する電極(11’)同士との間の電位差を確立する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
該液体である第一の相(P1)は、該流体である第二の相(P2)の導電性を超える導電性を示し、該小液滴(G)を、該目的の電極(11”’)と該対電極(21)との間の電位差を確立することによって始動電極(11”)に対応する位置から目的の電極(11”’)に対応する位置まで動かし、同時に該始動電極(11”)および前記隣接する電極(11’)同士を、該対電極(21)と同じ電位に維持する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
該液体である第一の相(P1)と該流体である第二の相(P2)との間の該導電性の差が、10倍以上、好ましくは100倍以上である、請求項8もしくは請求項9に記載の方法。
【請求項11】
該液体である第一の相(P1)の該小液滴(G)が、該液体である第一の相(P1)と該流体である第二の相(P2)との間の誘電率の差を利用した誘電泳動によって動かされ、該相(P1、P2)を、電極(11)の行列および互いの電位差を確立することができる対電極(21)と接触した状態に維持する、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
該液体である第一の相(P1)と該流体である第二の相(P2)との間の該誘電率の差が、10%以上であり、好ましくは50%以上である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該小液滴(G)を、該電気的な力を用いて該マイクロ流体装置に組み込まれた化学分析装置(30)に移送する工程、および化学的に該小液滴を分析する工程を含む、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
該分析工程は、該小液滴の分光学的分析を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
該分析工程は、質量分析計内で該小液滴を電気噴霧する工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
該液体である第一の相の該小液滴(G)は、10nL〜10μLの範囲、好ましくは100nL〜1μLの範囲の体積を有する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の方法を実施する装置であって、前記装置は、以下のものを備える:
・電極(11)の行列を有する底板(10);
・電極(11)の該行列と向かい合う対電極(21);
・該底板の表面(10)上で、液体である第一の相(P1)の小液滴(G)を注入するもしくは発生させる手段(22);
・該底板(10)の表面上で流体である第二の相(P2)を注入する手段(24)であって、前記流体である第二の相(P2)中に、該液体である第一の相(P1)の前記小液滴(G)を浸漬する手段;および
・該流体である第二の相(P2)の体積内での該小液滴(G)の動きを定義するため、該行列および該対電極(21)の各電極の間の電位差を独立して確立する制御装置。
【請求項18】
さらに該小液滴(G)を化学的に分析する手段(30)を備えた、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
該底板(10)の表面上での前記流体である第二の相(P2)の流れを確立するために、前記流体である第二の相(P2)を排出する手段(25)をさらに備えた、請求項17もしくは請求項18に記載の装置。
【請求項20】
該底板(10)と平行である天板(20)をさらに備え、該天板(20)は該底板(10)と協働して該流体である第二の相(P2)で満たすことができる空間(50)を郭成し、該対電極(21)を有する、請求項17〜19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
対電極が、該流体相(P1、P2)の少なくとも一方に浸漬されたもしくは張力をかけられた少なくとも一本の導線で構成される、請求項17〜19のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
該制御装置が、該該流体である第二の相(P2)の前記体積の少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%を通って小液滴(G)が流れることを可能にする経路(TG)に沿った該小液滴(G)の動きを定義するために提供される、請求項17〜21のいずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−300946(P2006−300946A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−114150(P2006−114150)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
2.テフロン
【出願人】(500511590)
【Fターム(参考)】