マイクロ粒子の製造方法
100μm以下の中央粒径を有するマイクロ粒子は、エタノール等の溶媒相における生物活性物質およびベヒクルを流動パラフィン等の非溶媒相において乳化させ、次に溶媒を蒸発させる溶媒蒸発方法によって作られる。乳化は、8以下の親水性/親油性バランスを有する界面活性剤の混合物を用いて安定化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ粒子、特に胃腸管で遅延および/または持続の医薬放出を可能とするポリマーによってカプセル化した医薬のマイクロ粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
胃腸(GI)管の部位特異的領域を医薬の標的とさせるpH感受性ポリマーを使用するという概念は新しいものではない。胃腸刺激剤または不安定な医薬は日常的に腸溶性被覆錠剤またはペレットシステムとして投与され、適度に高い溶解限界pHを有するポリマーを選択することによって、末端回腸/結腸領域に特異的な炎症性腸疾患の治療のために、この領域を標的とすることが試みられてきた。
【0003】
しかし、これらの方法はそれらの制限がないというわけではない。これらシステムの大きなサイズは通常、特に食後に投与されると、胃が空になるのが遅れて、医薬作用の遅れた予測不能な開始がもたらされるだろう。大きな一体構造システムのGIの移動時間は多粒子システムのものよりさらに変化を受けやすく、このことは生物学的利用の変化を導きうる。
【0004】
マイクロ粒子はそれらの小さいサイズのために胃内容物中に浮遊するために、食事をした状態と絶食した状態の両方で幽門を通って急速に空になると予想されよう。小腸の通過はさらに再現性があるはずで、結腸の通過はさらに遅いはずで、結腸を標的とする剤形がそのまま排出される可能性を低減する。また、pH閾値にいったん達すると、マイクロ粒子システムの高い表面積はより速い医薬の放出を可能とするに違いない。従って医薬の溶解はより急速であると期待され、これは、結腸領域の限られた液量を考慮すると、結腸領域を標的とする医薬にとって特別な利点である。タンパク質およびペプチド投与の部位として結腸の可能性に関して、マイクロカプセル化はそのような医薬を投与システムに入れる好ましい方法であろうし、これらの変化しやすい分子に対して、ペレットや錠剤調製物よりもはるかに小さい機械的応力を与えるだけである。
【0005】
広い範囲の改良放出ポリマーは、持続放出および遅延放出の処方物のために医薬工業によって錠剤、ペレットおよびカプセルの被覆として用いられている。持続放出ポリマーの例はセルロース誘導体であるエチルセルロースと酢酸セルロール、アンモニオメタクリレート共重合体(例えばEudragit RSおよびRL)、およびポリ酢酸ビニルである。遅延放出のために、ポリマーは胃腸管内のある領域のpHに相当する限界pH以上で一般的に可溶性である(例えば、腸を標的とするEudragit L100−55(pH 5.5)およびL100(6.0)および結腸を標的とするEudragit S100(7.0)およびP4135(7.0〜7.4))。特に、Eudragit L100およびEudragit S100のマイクロ粒子を作り出すこれまでの試みはこれまで成功せず、不十分な形態と医薬放出の不十分な制御の粒子がもたされ、均質化、(良好なエマルジョンの生産および/または溶媒除去のための)温度の注意深い調節または界面活性剤の添加速度を伴う複雑な生産方法を伴った(Gotoら(1986年)、Morishitaら(1991年)、Squillanteら(2003年))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
慣用の剤形を超えるマイクロ粒子システムの理論的な利点を鑑みて、本出願人は、不十分な形態と医薬放出の不十分な制御のマイクロ粒子の生産をもたらした問題を克服することを試みることにした。Eudragit L/S100のマイクロ粒子の生産のために
マイクロカプセル化の一般的に用いられる方法である乳化/溶媒蒸発法を最適化し、この最適化された方法を他の改良放出ポリマーに適用することにした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この乳化/溶媒蒸発法は概念的には単純な3工程法である。
工程1では、(医薬が分散するか、または優先的に溶解する)適当な溶媒にポリマーを溶解する。この溶媒は「内部相」としても知られる。次に、医薬とポリマーの溶液を、エマルジョンの安定性を向上させる界面活性剤を通常含む非溶媒(または「外部」)相中に乳化させる。
【0008】
工程2では、通常、撹拌下で溶媒を蒸発させる。
(工程2が達成されたら)工程3では、粒子を凝固し、ろ過により分離して、きれいにすることができる。
【0009】
初期段階の安定的なエマルジョンの形成は、分離したマイクロ粒子を単離するべき場合に重要である。溶媒の選択は、それがポリマー溶液から非溶媒相に移動し、蒸発により除去される速度に依存してマイクロ粒子の形態に影響を及ぼすことも見出された。選択された溶媒中のポリマーの溶解度および沸点は、粒子がどの程度に速く凝固するかに影響を与える因子である。この製法中、形成する「粒子」は、液体エマルジョン小滴から、半固体の「粘着性」粒子へ、さらに凝固した別々の粒子へと進展するだろう。粒子が半固体の形態にある時間は形成粒子の凝結および最終生成物の全体的な形態に影響を及ぼすと予想される。
【0010】
Eudragit L100およびS100をマイクロカプセル化するこれまでの試みは不十分な形態の粒子をもたらした(GotoらおよびMorishitaらを参照)。
【0011】
Acta Technologiae et Legis Medicamenti,2003,14(1),53−66(Mateovic)は、界面活性剤(ステアリン酸マグネシウム、スパン(Span) 20およびステアリン酸マグネシウムとスパン20の組合せ)を使用する溶媒蒸発方法によって、Eudragrit(登録商標)RSの微小球の調製を開示する。得られた微小球は篩い分けされ、医薬含量と溶解とが315〜400μmの画分に関して決定された。しかし、この方法により作られた粒子は意図されたように機能しない。生物接着ポリマー含量に関してでさえ、非水溶性のEudragit
RSは粒子から医薬の放出を延長するように明らかに意図されているが、実際は医薬の100%が1時間以内に放出される。従って、この処方物は即時放出処方物(この定義は45分以内に70%放出である)として挙動する。
【0012】
本発明の第1の態様にしたがえば、生物活性物質を分散ないし溶解させ、かつ媒体(Vehicle)を溶解させた溶媒を準備し、乳化を非溶媒相で実施して、溶媒相に該生物活性物質と媒体を含むエマルジョンを作り、溶媒を蒸発させてマイクロ粒子を残すことを含むマイクロ粒子の製造方法において、少なくとも2種類の界面活性剤の混合物が該エマルジョンを安定化するために用いられ、該混合物のHLB(親水性/親油性バランス)が10以下であることを特徴とする生物活性物質と媒体を含むマイクロ粒子の製造方法が提供される。
【0013】
現在まで、pH依存性放出ポリマーを用いる場合、医薬放出を制御する問題が存在する。この問題を解決するために、充填された医薬を生体内で効果的に運ぶために、マイクロ粒子は比較的大きくなければならない(ミリメートルのオーダーでおそらく中位径を有する)と考えられている。なぜなら、比較的大きい表面積を有する小さい粒子は酸性条件下で非常に速く医薬を放出すると考えられているためである。本発明者らは、さらに小さい
大きさのマイクロ粒子を形成することにより向上した医薬溶解速度を得ることができるという驚くべき発見をした。特に、100μm以下、好ましくは20〜60μm、最も好ましくは30〜50μmの中位径を有するマイクロ粒子が本発明の方法により作ることができることを見出した。
【0014】
本方法等の乳化方法が多様な大きさの広範なマイクロ粒子をもたらすことが理解されるだろう。特に、粒子の直径は、ごく少数の粒子が極端な直径を有し、大部分が平均直径を有するいわゆる「正規分布」を採用するように思われる。従って、一部の先行技術の方法は100μm以下の直径を有する一部のマイクロ粒子をもたらすだろう。しかし、中位径が100μm以下のマイクロ粒子の分布をもたらす先行技術の方法は存在しないと考えられる。
【0015】
界面活性剤の混合物のHLBは好ましくは8以下、さらに好ましくは2〜7(もしくは2〜5)、最も好ましくは3〜5(もしくは3〜4)である。
【0016】
「界面活性剤」とは、炭化水素鎖である疎水性部分と、付属のイオン性基または極性基等の親水性部分とを有する分子を意味する。例えば、水中油または油中水のエマルジョン製法を実施する場合、炭化水素(または「脂肪」)部分が油相と相互作用し、極性/イオン(「非脂肪」)部分が水相と相互作用することによりエマルジョンを安定化させるように界面活性剤分子は配向した状態になることができる。そのような分子は(極性と非極性の両方の分子と相互作用するので)「両性」と称され、ここでいう「界面活性剤」は「両性界面活性剤」を意味する。それは消泡剤等の非両性界面活性剤を包含しない。
【0017】
簡単に言えば、HLBは5で割ることによって求められる界面活性剤分子の親水性部分のモルパーセントである。したがって、完全に親水性の分子は20のHLB値を有し、完全に疎水性の分子はゼロのHLB値を有するだろう。ほとんどの界面活性剤は両性であり、0〜20のHLB値を有し、それら界面活性剤をエマルジョンの2相間の界面で配向させることができるために、該エマルジョンを上記のように安定化させる。
【0018】
界面活性剤の混合物は好ましくは2種類だけの界面活性剤の等モル混合物であり、ソルビタンモノオレエートとソルビタンジオレエートからなってよい。他の界面活性剤の組合せとして、ツイーン(Tween) 80とスパン 85;スパン 80とスパン 85;スパン 85とスパン 20;スパン 80とスパン 20;またはそれらいずれかの2つの組合せが挙げられる。
【0019】
特に好ましい実施形態において、ソルビタンセスキオレエートを界面活性剤として使用して該エマルジョンを安定化させている。ソルビタンセスキオレエートはアラセル 83の商品名でユニケマ(Uniquema)から入手可能で、ソルビタンモノオレエートとソルビタンジオレエートの等モル混合物である。
【0020】
理論に拘束されたくない1つの考えられる解釈は、エマルジョンを安定させるために分子レベルで機能しているのは2種類以上の界面活性剤の組合せ(アラセル(Arlacel) 83の場合、ソルビタンモノオレエートとソルビタンジオレエートの等モルの組合せ)だということである。しかし、この複合界面活性剤は適切な範囲のHLBをさらに有するべきだと考えられる。
【0021】
別の実施形態では、少なくとも2種類の界面活性剤の該混合物はスパン 20とスパン
80の組み合わせを含まない。
【0022】
媒体は、胃腸管において生物活性物質の(好ましくは)pH依存性および/またはpH
非依存性の放出を可能とするポリマーであってよい。ポリマーの好ましい種類の具体例はアクリル系ポリマー(メタクリレート等)、セルロース系ポリマーまたはポリビニル系ポリマーである。「系」とは、ポリマー鎖の一部(好ましくは実質的な部分)が当該基を含むことを意味する。
【0023】
特に好ましいポリマーはEudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)P4135、Eudragit(登録商標)RS100またはエチルセルロースを含む。しかし、一実施形態の媒体はEudragit(登録商標)RS単独でない。
【0024】
本方法は、広い範囲の医薬のマイクロ粒子を形成するのに用いることができると考えられる。
【0025】
溶媒(内部相)は好ましくは純粋なエタノールであるが、医薬およびポリマーの溶解性によって有機溶媒の多様な混合物を利用してもよい。非溶媒(外部相)は好ましくは流動パラフィンである。
【0026】
本発明者らは新規な乳化/溶媒蒸発法を開発し、とりわけEudragit L100−55、L100、S100およびP4135ならびにこれらポリマーの混合物の医薬充填のpH応答性ポリマー粒子の製造を可能にしたと考える。本発明者らは、非水溶性ポリマーであるEudragit RS100とエチルセルロースの成功したマイクロカプセル化を示した。
【0027】
本発明者らは特にEudragit L100およびS100の粒子の生産のためにアラセル 83(ソルビタンセスキオレエート)の有用性を示し、本発明者らの方法が将来のスケールアップのためにその単純化と可能性ならびに最終製品の品質という点において、他の文献の方法よりも優れていると考える。
【0028】
粒子は経口投与に理想的なサイズ(30〜50μmのサイズ範囲)であり、その優れた形態は良好な流動性を付与し、効率的で再現性のあるカプセル充填を可能とするに違いない。粒子はまた緩衝性懸濁液を用いる投与にも適するだろう。
【0029】
本発明者らはインビトロにおけるEudragit L100−55、L100およびS100のpH応答性の放出プロフィールを示した。胃pHでは、すべてのpH応答性マイクロ粒子からの医薬放出は最小値であるが、ポリマーの閾値以上では急速である。L100およびS100マイクロ粒子からの医薬放出を特徴付けるためにpH変化法が用いられている。L100およびS100のそれぞれのマイクロ粒子に関して、酸中では10%未満の放出が2時間後に起こり、pHが腸/結腸レベルにいったん上がると、100%の医薬放出の時間が5分以内となるように医薬充填を操作することができる。
【0030】
本発明の第2の態様において、上記方法により得ることのできるマイクロ粒子の組成物が提供される。
【0031】
本発明の第3の態様において、効果的な量の前記マイクロ粒子を患者に投与することを含む医学治療法が提供される。
【0032】
本発明の第4の態様において、生物活性物質を分散ないし溶解させ、かつ媒体を溶解させた溶媒を準備し、乳化を実施して、溶媒相に生物活性物質と媒体を含むマイクロ粒子のエマルジョンを作り、溶媒を蒸発させてマイクロ粒子を残すことを含むマイクロ粒子の製
造方法において、ソルビタンジオレエートが前記エマルジョンを安定化させるために用いられることを特徴とする生物活性物質と媒体を含むマイクロ粒子の製造方法が提供される。
【0033】
本発明者らは、異なる物理化学的性質を有する多数のモデル医薬を良好な効率で封入したが、本方法は広い範囲の薬剤をマイクロカプセル化できると考える。タンパク質医薬やペプチド医薬のカプセル化も可能であろうし、これらの変化しやすい医薬は、従来の錠剤化や造粒法よりも本調合方法により不活化されることほとんどないと思われる。
【0034】
本製法で使用される薬品はすべて広く利用でき、比較的安価で安全である。本発明者らは、有機溶媒の混合物および好ましくはエタノールのみを用いてさらに有毒な溶媒を用いることを避けてマイクロカプセル化が可能であることを示した。本製法に用いられる装置も広く利用可能である。
【0035】
現在、Eudragit L100とS100粒子の大規模生産のための方法は存在しない。噴霧乾燥は、ポリマーの熱可塑的性質および紐状の凝集物を形成する傾向から成功しないことが証明されている。これにより、本発明者らが開発した方法が最も実行可能な別法となる。
参考文献
Goto, S., Kawata, M., Nakamura, M., Maekawa, K., Aoyama, T.(1986)Eudragit E, L and S(acrylic resins)microcapsules as pH sensitive release preparations of ketoprofen. J. Microencapsulation 3 (4), 305−316.
Morishita, I., Morishita, M., Machida, Y., Nagai, T.(1991)Controlled release microspheres based on Eudragit L100 for the
oral administration of erythromycin. Drug Design and Delivery 7,309−319.
Squillante, E., Morshed, G., Bagchi, S.,
Mehta, K.A.(2003)Microencapsulation of β−galactosidase with Eudragit L100. J. Microencapsulation 20(2), 153−167.
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の多くの好適な実施形態が以下の図面を参照して開示する。
スパン 85を界面活性剤として使用する予備実験を実施して溶媒混合物の選択を最適化した。アセトンとエタノールまたはメタノールとの異なる比率の30mL混合物が試みられ、おそらく低い沸点およびポリマーEudragit S100に対する低い親和性によるメタノールの速い蒸発のために、アセトン/メタノール混合物がアセトン/エタノールよりもよく働くことがわかった。メタノールを単独で使用した場合、大きく、中空で時々割れた粒子が作られた。アセトン単独ではマイクロ粒子が作られなかった。アセトンの比率を高めると大きさが減少したが、凝集度を高めるように思われた。20mLアセトン/10mLメタノールは、SEM分析により判断して最適の溶媒混合物であり、これを将来の実験に用い、界面活性剤を変えることとした。
【0037】
本発明者らは、1〜10の範囲のHLBを有する界面活性剤を調べることにした。したがって、この範囲内の界面活性剤とこの範囲に近い界面活性剤を得て、流動パラフィンを非溶媒として用いる単純な系を、1000rpmとしたHeidolph RZR1スタ
ーラーの頭上式のプロペラー攪拌を用いて試した。
【0038】
30mLアセトン/メタノール(2:1)の混合物を用いて、3gのEudragit
S100ポリマーを溶解した。これらの実験ではマイクロ粒子の形成のみを調べることを意図したので、医薬は加えなかった。攪拌と溶媒蒸発を一晩進行させて、翌日、生成物をガラスろ過器を用いる減圧ろ過で集め、3回それぞれ50mlのヘキサンで洗浄して残留する流動パラフィンを除去し、真空オーブンで24時間乾燥した。
【0039】
すべての実験はトリプリケートで実施し、最適化プロセスで使用されたポリマーは常にEudragit S100だった。
【0040】
以下の界面活性剤を最初に1%の濃度で、必要ならば2%および3%で用いた; スパン 85(HLB 1.8)、スパン 80(HLB 4.3)、スパン 20(HLB
8.6)、ブリジ(Brij) 92(HLB 4.9)、ブリジ 52(HLB 5.3)およびソルビタンセスキオレエート(アラセル 83)(HLB 3.7)。
【0041】
粒子は最初に光学顕微鏡(ニコン マイクロフォト FXA)により4倍と10倍の対物倍率で調べ、イメージを、JVCビデオカメラを使用して取り込んだ。全体的な形態と凝集度を示すことは可能であったが、マイクロ粒子の表面特性を詳しく観察するために、有望な粒子のSEMを取った。マイクロ粒子をSEMの接着パッドに固定し、高真空蒸発器(エミテク(Emitech) K550)で金スパッターモジュールを使用して金で被覆した。
【0042】
10kVで走査電子顕微鏡(フィリップス XL30 TMP)を用いて試料を調べた。
【0043】
[結果]
<比較例1:スパン界面活性剤の使用>
スパン 85を界面活性剤として使用した場合、Eudragit S100は光学顕微鏡で見たときに凝集粒子を作るように思われた。SEMの分析により、おそらく溶媒蒸発中の粒子の凝集に由来する半形成の凝集粒子の存在が確認された(図1を参照)。スパン 85は分離マイクロ粒子の形成を可能にするように十分にエマルジョンを安定化しないと結論付けることができる。
【0044】
スパン 80は直径1mmを超えるポリマーの大きな非粒子状の塊りを作り、この生成物のさらなる分析は必要とされなかった。
【0045】
スパン 20は、細い紡錘様のポリマー繊維(データは示さず)を作り、この生成物さらなる分析も必要とされなかった。
【0046】
スパン 65は室温でクリーム/黄色の固体であり、加熱後は流動パラフィンと非混和性であった。さらに、それはアセトン/メタノールの混合物に溶解しないため、エマルジョンを安定させてマイクロ粒子を作ることはできなかった。
【0047】
<比較例2:ブリジ界面活性剤の使用>
次に、適当なHLB値を有する2種類のブリジ(HLB 5.3を有するブリジ 52およびHLB 4.9を有するブリジ 92)を試みた。ブリジ 52は室温でロウ状の固体で、ブリジ 92は液体である。ブリジ 52および92は1%、2%および3%の濃度で試みた。
【0048】
1%のブリジ 92の濃度で、本発明者らは半形成の球形粒子の凝集を再び見る。濃度を2%および3%まで高めることにマイクロ粒子の形態の肯定的な影響がなく、3%試料の形態は3試料のうち最も悪いように思える(図2A、2Bおよび2Cを参照)。
【0049】
室温で、ブリジ 52は固体であり、流動パラフィンと混和性がないが、加熱すると、1%のブリジ 52は流動パラフィンに溶解でき、冷却すると沈殿しなかった。それはアセトン/メタノールの混合物に可溶であった。これらの処方法の両方とも図2Dおよび2Eで見られるように凝集粒子を作った。
【0050】
流動パラフィン相にブリジ 52を取り込ませる加熱は図2Dと2Eからわかるように界面活性剤を内部相に溶解するために好ましいように思える。前の処方方法を使用して作られる粒子は外見がさらに球形で、多分散性が低く、小さなサイズを有する。しかし、該粒子はそれでも凝集している。
【0051】
<例3:ソルビタンセスキオレエート(アラセル 83)の界面活性剤としての使用>
界面活性剤(アラセル 83)をシステムに1%、2%および3%の濃度で導入した(図3A、3Bおよび3Cを参照)。アラセル 83は、スパンと類似する、3.7のHLB値を有するソルビタン脂肪酸エステルであり、ソルビタンモノオレエートとソルビタンジオレエートの等モル混合物である。すべての濃度において、それはマイクロ粒子の外見に劇的な効果を有し、球形で、非凝集で、非多孔性の粒子を必要とされるサイズ範囲で作った。また、試料は単分散であるように見えた。
【0052】
<例4>
目的: 約3.7の共同HLBを有する多様な界面活性剤を用いるマイクロ粒子の形成を調べる。
方法: 14.4%のツイーン 80と85.6%のスパン 85との混合物および56.5%のスパン 80と43.5%のスパン 85との混合物を流動パラフィンに1%の濃度で加えた。両混合物ともアラセル 83と同じ3.7のHLB値を有する。乳化/溶媒蒸発法は前と同じように実施した。
結果: 粒子のSEMを以下の図4Aおよび4Bに示す。
結論: 3.7の共同HLBを有する2種類の界面活性剤の混合物はエマルジョンを安定化して、許容される形態のマイクロ粒子の生産を容易にできるように思われる。
【0053】
<例5>
提案されたマイクロカプセル化法はEudragit L100、およびL100とS100との混合物にも使用することができる。
目的: アラセル 83を使用してEudragit L100および混合Eudragit L/S100のマイクロ粒子を作る。
方法: 3gのEudragit L100、およびEudragit L100とS100の1:1の3gの混合物を前と同じように30mLのアセトン/メタノール1:1に溶解し、1%のアラセル 83を含有する200mlの流動パラフィンに乳化した。
結果: 両方の場合で、Eudragit S100粒子に匹敵する優れた形態の粒子が形成された(図5を参照)。pH6.0〜6.8で医薬を放出するマイクロ粒子を作り出すことはこれで可能にちがいない。
【0054】
<例6>
次のステップにおいて、スパン 85が界面活性剤として使用された場合に最もよく働いた溶媒混合物を試みた。
目的: 乳化/溶媒蒸発法により作られたEudragit S100マイクロ粒子の形態に対する内部相溶媒の効果を研究する。
方法:
3gのEudragit S100をアセトンとメタノールかエタノールとの異なる混合物に溶解すること以外は以前と同じように実験を行なった。200mL流動パラフィン中の1%のアラセル 83を外部相として使用した。使用される溶媒組成を下記の表に示すが、これらの組成はスパン 85を流動パラフィンに使用した予備実験から決定され、ここで本発明者らは1:1〜5:1の範囲のアルコール/アセトンの溶媒組成が最適であって、マイクロ粒子の形態に影響を与えうること、アセトン/メタノール混合物がアセトン/エタノールよりも効果的であることを発見した。
【0055】
【表1】
【0056】
結果: 上記実験からのSEMを図6A〜6Eに示す。
結論: 上記実験の結果から、アセトンとメタノールかエタノールとの多様な組合せが優れた形態を有するEudragit S100マイクロ粒子の形成を可能とした。溶媒の選択はマイクロ粒子の形態にほとんど影響を持たない。これは、界面活性剤の選択がポリマー溶媒の選択よりも重大であるという証拠を提供する。すべての粒子は凝集せず、非多孔性で、所望の大きさの範囲に存在する。
【0057】
<例7>
L100、S100およびL100−55のマイクロ粒子の生産のための単独溶媒としてのエタノールの使用
生産方法を単純化し、かつマイクロ粒子中の残留溶媒による毒性の懸念を減らすために、アセトンやメタノールよりも毒性の低いエタノールだけを分散相溶媒として用いて粒子をつくることは望ましいであろう。したがって、3gのL100−55、L100およびS100を溶解するために30mlのエタノールをそれぞれ用いた。1%(w/w)のアラセル 83を界面活性剤として含有する200mlの流動パラフィンを用いて、乳化/溶媒蒸発を前と同じように用いた。マイクロ粒子のSEMを図7A〜7Cに示す。
結論
SEMは、L100−55、L100およびS100に関して、単一の比較的無毒な溶媒を使用して優れた形態の粒子を使用できることを示す。
【0058】
<例8:Eudragit RS100、およびL100とS100とのRS100の混合物の使用>
非水溶性ポリマーであるEudragit RS100のマイクロカプセル化を単独で、およびL100とS100との組合せで試みた。RS100単独は徐放の用途に用いることができ、pH依存性のEudragitと併用されたRS100は、これらポリマーからの放出を変えるだろう。3gのRS100は30mLアセトンと30mlアセトン/エタノール(1:1)とに可溶であったが、30mLエタノールには可溶でなかった。RS100/L100とRS100/S100のそれぞれの1:1混合物は3種類すべての
溶媒混合物に可溶であった。得られた生成物のSEMを表8A〜8Hに示す。
結論
RS100を単独またはL100またはS100との組合せで使用する場合に本方法は良好な粒子を作ることをSEMは示す。RS100はpH応答性マイクロ粒子システムからの医薬の放出を遅らせることが予想される。RS/Sの組合せは、純粋にpH応答性のシステムから起こる可能性のある投薬物の一括放出とは対照的に、結腸領域での医薬の持続的な放出を可能とするだろう。そのようなシステムは、炎症性腸疾患の局所的治療に利点があり、医薬の全体的な早期放出と全身的な吸収を防止するだろうが、小微粒子システムの長期の結腸での保持のために、顕著な医薬放出が生じる前に排泄されることはないであろう。
【0059】
同様に、RS/Lの混合物は小腸の全長にわたって調節された放出を可能とするだろう。RS100から形成された粒子は、持続的な放出の用途を有するだろうし、特にEudragit範囲のポリマーに関して本発明者らのマイクロカプセル化法の多様性をも示す。
【0060】
[概念の実証: インビトロの医薬放出のプロフィール]
<例9〜15>
図9〜14は、異なるpH媒質中のマイクロ粒子に関して、USPIIパドル装置を使用した場合の下記のインビトロの医薬放出のプロフィールを示す。すべてのマイクロ粒子は界面活性剤としてアラセル 83を用いて形成させた。
【0061】
図9は、pH1.2〜6.8におけるEudragit L100(10:1)粒子からのプレドニゾロンの放出を示す。これは一連の異なる6例の平均化プロフィールである。
【0062】
図10は、pH1.2〜7.4におけるEudragit S100マイクロ粒子および同等のS100被覆錠剤システムからのプレドニゾロン放出の比較を示す。
【0063】
図11は、異なる医薬充填量を有するEudragit S100マイクロ粒子からのプレドニゾロン放出の比較である。
【0064】
図12は、非水溶性のEudragit RSが結腸pHでS100粒子からの放出を持続させることを実証する、pH1.2〜7.4におけるEudragit RS/Sマイクロ粒子(1:1)からのプレドニゾロンの放出を示す。
【0065】
図13は、バッチ毎の再現性を示す、pH1.2〜7.4におけるEudragit S100/プレドニゾロン(5:1)マイクロ粒子の6バッチに関する放出プロフィールを示す。
【0066】
図14は、胃のpHで2時間、近位腸のpHで1時間、および結腸のpHで2時間おいたEudragit RS/S(1:1)マイクロ粒子からのプレドニゾロン放出を示すプロフィールである。プレドニゾロンの放出は最初の3時間ほとんど見られないが、pHが7.4に変わるとき、医薬の大部分が約1時間にわたって放出される。これは4種類の異なる試料の平均プロフィールである。
【0067】
図15は、pH1.2〜7.4でのRS/S100(50:50)をエチルセルロース/S100(50:50)と比較した放出プロフィールである。これは、それぞれS100と組み合わせた2種類の非水溶性ポリマーの持続的な放出のプロフィールを達成する能力を基本的に比較している。エチルセルロースはよく機能するように思えるが、いずれか
の非水溶性ポリマーを異なる比率で混合すると、目的に応じた異なる放出プロフィールが得られるだろう。
【0068】
<例16>
ここでは、界面活性剤を混合し、2種類の界面活性剤がともに働きエマルジョンを安定させて、許容されるマイクロ粒子を作るHLB範囲を特定した:
(a)50%のスパン 80/50%のスパン 85(HLB 3)
(b)53%のスパン 85/47%のスパン 20(HLB 5)
(c)60%のスパン 80/40%のスパン 20(HLB 6)
(d)35%のスパン 80/65%のスパン 20(HLB 7)
(上記のHLB値は1桁の有効数字で表されている)。
【0069】
すべてが1%w/w濃度で前と同じように用いられた。マイクロ粒子は顕微鏡で調べて、許容される形態学を持つと判断された。医薬を充填した粒子を調製し(5:1 Eudragit S/プレドニゾロン)、インビトロの医薬放出を評価した(pH1.2で2時間、次にpH7.4に上げた)。
【0070】
すべての粒子がポリマーの溶解限界pHによって指示されるように挙動した(すなわち、酸中の2時間インキュベーション後、医薬の放出はほとんどなく、pH変化後は迅速かつ完全に医薬が放出した)(図16を参照)。
【0071】
<例17>
図17は、pH1.2〜7.4におけるEudragit S100マイクロ粒子からのベンドロフルメタジン、プレドニゾロンおよびブデゾニド放出の比較を示す。これは、3種類すべての医薬に関して、pHが胃pHから結腸pHに変化するにしたがって、充填された医薬のほとんどすべてが急速に放出されることを示す。
【0072】
<例18>
図18A、18Bおよび18Cは、1%のアラセル 83を界面活性剤として用い、エチルセルローズN100、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP50)およびポリビニルアセテートフタレート(PVAP)をそれぞれの場合でポリマーとして用いて作られたマイクロ粒子のSEMを示す。医薬溶解の働きはこれらのマイクロ粒子によってはなされず、実際、PVAPマイクロ粒子が本発明の条件に入るには大きすぎるようである。それにもかかわらず、セルロース系およびポリビニール系のポリマーでマイクロ粒子を形成できることを示すためにこれらの結果を付け加える。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図2A】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図2B】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図2C】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図2D】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図2E】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図3A】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図3B】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図3C】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図4A】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図4B】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図5】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図6A】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図6B】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図6C】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図6D】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図6E】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図7A】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図7B】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図7C】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図8A】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図8B】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図8C】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図8D】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図8E】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図8F】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図8G】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図8H】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図9】本発明にしたがって作られる多様なマイクロ粒子からの医薬放出のプロフィールを示す。
【図10】本発明にしたがって作られる多様なマイクロ粒子からの医薬放出のプロフィールを示す。
【図11】本発明にしたがって作られる多様なマイクロ粒子からの医薬放出のプロフィールを示す。
【図12】本発明にしたがって作られる多様なマイクロ粒子からの医薬放出のプロフィールを示す。
【図13】本発明にしたがって作られる多様なマイクロ粒子からの医薬放出のプロフィールを示す。
【図14】本発明にしたがって作られる多様なマイクロ粒子からの医薬放出のプロフィールを示す。
【図15】本発明にしたがって作られる多様なマイクロ粒子からの医薬放出のプロフィールを示す。
【図16】本発明にしたがって作られる多様なマイクロ粒子からの医薬放出のプロフィールを示す。
【図17】本発明にしたがって作られる多様なマイクロ粒子からの医薬放出のプロフィールを示す。
【図18A】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図18B】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図18C】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ粒子、特に胃腸管で遅延および/または持続の医薬放出を可能とするポリマーによってカプセル化した医薬のマイクロ粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
胃腸(GI)管の部位特異的領域を医薬の標的とさせるpH感受性ポリマーを使用するという概念は新しいものではない。胃腸刺激剤または不安定な医薬は日常的に腸溶性被覆錠剤またはペレットシステムとして投与され、適度に高い溶解限界pHを有するポリマーを選択することによって、末端回腸/結腸領域に特異的な炎症性腸疾患の治療のために、この領域を標的とすることが試みられてきた。
【0003】
しかし、これらの方法はそれらの制限がないというわけではない。これらシステムの大きなサイズは通常、特に食後に投与されると、胃が空になるのが遅れて、医薬作用の遅れた予測不能な開始がもたらされるだろう。大きな一体構造システムのGIの移動時間は多粒子システムのものよりさらに変化を受けやすく、このことは生物学的利用の変化を導きうる。
【0004】
マイクロ粒子はそれらの小さいサイズのために胃内容物中に浮遊するために、食事をした状態と絶食した状態の両方で幽門を通って急速に空になると予想されよう。小腸の通過はさらに再現性があるはずで、結腸の通過はさらに遅いはずで、結腸を標的とする剤形がそのまま排出される可能性を低減する。また、pH閾値にいったん達すると、マイクロ粒子システムの高い表面積はより速い医薬の放出を可能とするに違いない。従って医薬の溶解はより急速であると期待され、これは、結腸領域の限られた液量を考慮すると、結腸領域を標的とする医薬にとって特別な利点である。タンパク質およびペプチド投与の部位として結腸の可能性に関して、マイクロカプセル化はそのような医薬を投与システムに入れる好ましい方法であろうし、これらの変化しやすい分子に対して、ペレットや錠剤調製物よりもはるかに小さい機械的応力を与えるだけである。
【0005】
広い範囲の改良放出ポリマーは、持続放出および遅延放出の処方物のために医薬工業によって錠剤、ペレットおよびカプセルの被覆として用いられている。持続放出ポリマーの例はセルロース誘導体であるエチルセルロースと酢酸セルロール、アンモニオメタクリレート共重合体(例えばEudragit RSおよびRL)、およびポリ酢酸ビニルである。遅延放出のために、ポリマーは胃腸管内のある領域のpHに相当する限界pH以上で一般的に可溶性である(例えば、腸を標的とするEudragit L100−55(pH 5.5)およびL100(6.0)および結腸を標的とするEudragit S100(7.0)およびP4135(7.0〜7.4))。特に、Eudragit L100およびEudragit S100のマイクロ粒子を作り出すこれまでの試みはこれまで成功せず、不十分な形態と医薬放出の不十分な制御の粒子がもたされ、均質化、(良好なエマルジョンの生産および/または溶媒除去のための)温度の注意深い調節または界面活性剤の添加速度を伴う複雑な生産方法を伴った(Gotoら(1986年)、Morishitaら(1991年)、Squillanteら(2003年))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
慣用の剤形を超えるマイクロ粒子システムの理論的な利点を鑑みて、本出願人は、不十分な形態と医薬放出の不十分な制御のマイクロ粒子の生産をもたらした問題を克服することを試みることにした。Eudragit L/S100のマイクロ粒子の生産のために
マイクロカプセル化の一般的に用いられる方法である乳化/溶媒蒸発法を最適化し、この最適化された方法を他の改良放出ポリマーに適用することにした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この乳化/溶媒蒸発法は概念的には単純な3工程法である。
工程1では、(医薬が分散するか、または優先的に溶解する)適当な溶媒にポリマーを溶解する。この溶媒は「内部相」としても知られる。次に、医薬とポリマーの溶液を、エマルジョンの安定性を向上させる界面活性剤を通常含む非溶媒(または「外部」)相中に乳化させる。
【0008】
工程2では、通常、撹拌下で溶媒を蒸発させる。
(工程2が達成されたら)工程3では、粒子を凝固し、ろ過により分離して、きれいにすることができる。
【0009】
初期段階の安定的なエマルジョンの形成は、分離したマイクロ粒子を単離するべき場合に重要である。溶媒の選択は、それがポリマー溶液から非溶媒相に移動し、蒸発により除去される速度に依存してマイクロ粒子の形態に影響を及ぼすことも見出された。選択された溶媒中のポリマーの溶解度および沸点は、粒子がどの程度に速く凝固するかに影響を与える因子である。この製法中、形成する「粒子」は、液体エマルジョン小滴から、半固体の「粘着性」粒子へ、さらに凝固した別々の粒子へと進展するだろう。粒子が半固体の形態にある時間は形成粒子の凝結および最終生成物の全体的な形態に影響を及ぼすと予想される。
【0010】
Eudragit L100およびS100をマイクロカプセル化するこれまでの試みは不十分な形態の粒子をもたらした(GotoらおよびMorishitaらを参照)。
【0011】
Acta Technologiae et Legis Medicamenti,2003,14(1),53−66(Mateovic)は、界面活性剤(ステアリン酸マグネシウム、スパン(Span) 20およびステアリン酸マグネシウムとスパン20の組合せ)を使用する溶媒蒸発方法によって、Eudragrit(登録商標)RSの微小球の調製を開示する。得られた微小球は篩い分けされ、医薬含量と溶解とが315〜400μmの画分に関して決定された。しかし、この方法により作られた粒子は意図されたように機能しない。生物接着ポリマー含量に関してでさえ、非水溶性のEudragit
RSは粒子から医薬の放出を延長するように明らかに意図されているが、実際は医薬の100%が1時間以内に放出される。従って、この処方物は即時放出処方物(この定義は45分以内に70%放出である)として挙動する。
【0012】
本発明の第1の態様にしたがえば、生物活性物質を分散ないし溶解させ、かつ媒体(Vehicle)を溶解させた溶媒を準備し、乳化を非溶媒相で実施して、溶媒相に該生物活性物質と媒体を含むエマルジョンを作り、溶媒を蒸発させてマイクロ粒子を残すことを含むマイクロ粒子の製造方法において、少なくとも2種類の界面活性剤の混合物が該エマルジョンを安定化するために用いられ、該混合物のHLB(親水性/親油性バランス)が10以下であることを特徴とする生物活性物質と媒体を含むマイクロ粒子の製造方法が提供される。
【0013】
現在まで、pH依存性放出ポリマーを用いる場合、医薬放出を制御する問題が存在する。この問題を解決するために、充填された医薬を生体内で効果的に運ぶために、マイクロ粒子は比較的大きくなければならない(ミリメートルのオーダーでおそらく中位径を有する)と考えられている。なぜなら、比較的大きい表面積を有する小さい粒子は酸性条件下で非常に速く医薬を放出すると考えられているためである。本発明者らは、さらに小さい
大きさのマイクロ粒子を形成することにより向上した医薬溶解速度を得ることができるという驚くべき発見をした。特に、100μm以下、好ましくは20〜60μm、最も好ましくは30〜50μmの中位径を有するマイクロ粒子が本発明の方法により作ることができることを見出した。
【0014】
本方法等の乳化方法が多様な大きさの広範なマイクロ粒子をもたらすことが理解されるだろう。特に、粒子の直径は、ごく少数の粒子が極端な直径を有し、大部分が平均直径を有するいわゆる「正規分布」を採用するように思われる。従って、一部の先行技術の方法は100μm以下の直径を有する一部のマイクロ粒子をもたらすだろう。しかし、中位径が100μm以下のマイクロ粒子の分布をもたらす先行技術の方法は存在しないと考えられる。
【0015】
界面活性剤の混合物のHLBは好ましくは8以下、さらに好ましくは2〜7(もしくは2〜5)、最も好ましくは3〜5(もしくは3〜4)である。
【0016】
「界面活性剤」とは、炭化水素鎖である疎水性部分と、付属のイオン性基または極性基等の親水性部分とを有する分子を意味する。例えば、水中油または油中水のエマルジョン製法を実施する場合、炭化水素(または「脂肪」)部分が油相と相互作用し、極性/イオン(「非脂肪」)部分が水相と相互作用することによりエマルジョンを安定化させるように界面活性剤分子は配向した状態になることができる。そのような分子は(極性と非極性の両方の分子と相互作用するので)「両性」と称され、ここでいう「界面活性剤」は「両性界面活性剤」を意味する。それは消泡剤等の非両性界面活性剤を包含しない。
【0017】
簡単に言えば、HLBは5で割ることによって求められる界面活性剤分子の親水性部分のモルパーセントである。したがって、完全に親水性の分子は20のHLB値を有し、完全に疎水性の分子はゼロのHLB値を有するだろう。ほとんどの界面活性剤は両性であり、0〜20のHLB値を有し、それら界面活性剤をエマルジョンの2相間の界面で配向させることができるために、該エマルジョンを上記のように安定化させる。
【0018】
界面活性剤の混合物は好ましくは2種類だけの界面活性剤の等モル混合物であり、ソルビタンモノオレエートとソルビタンジオレエートからなってよい。他の界面活性剤の組合せとして、ツイーン(Tween) 80とスパン 85;スパン 80とスパン 85;スパン 85とスパン 20;スパン 80とスパン 20;またはそれらいずれかの2つの組合せが挙げられる。
【0019】
特に好ましい実施形態において、ソルビタンセスキオレエートを界面活性剤として使用して該エマルジョンを安定化させている。ソルビタンセスキオレエートはアラセル 83の商品名でユニケマ(Uniquema)から入手可能で、ソルビタンモノオレエートとソルビタンジオレエートの等モル混合物である。
【0020】
理論に拘束されたくない1つの考えられる解釈は、エマルジョンを安定させるために分子レベルで機能しているのは2種類以上の界面活性剤の組合せ(アラセル(Arlacel) 83の場合、ソルビタンモノオレエートとソルビタンジオレエートの等モルの組合せ)だということである。しかし、この複合界面活性剤は適切な範囲のHLBをさらに有するべきだと考えられる。
【0021】
別の実施形態では、少なくとも2種類の界面活性剤の該混合物はスパン 20とスパン
80の組み合わせを含まない。
【0022】
媒体は、胃腸管において生物活性物質の(好ましくは)pH依存性および/またはpH
非依存性の放出を可能とするポリマーであってよい。ポリマーの好ましい種類の具体例はアクリル系ポリマー(メタクリレート等)、セルロース系ポリマーまたはポリビニル系ポリマーである。「系」とは、ポリマー鎖の一部(好ましくは実質的な部分)が当該基を含むことを意味する。
【0023】
特に好ましいポリマーはEudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)P4135、Eudragit(登録商標)RS100またはエチルセルロースを含む。しかし、一実施形態の媒体はEudragit(登録商標)RS単独でない。
【0024】
本方法は、広い範囲の医薬のマイクロ粒子を形成するのに用いることができると考えられる。
【0025】
溶媒(内部相)は好ましくは純粋なエタノールであるが、医薬およびポリマーの溶解性によって有機溶媒の多様な混合物を利用してもよい。非溶媒(外部相)は好ましくは流動パラフィンである。
【0026】
本発明者らは新規な乳化/溶媒蒸発法を開発し、とりわけEudragit L100−55、L100、S100およびP4135ならびにこれらポリマーの混合物の医薬充填のpH応答性ポリマー粒子の製造を可能にしたと考える。本発明者らは、非水溶性ポリマーであるEudragit RS100とエチルセルロースの成功したマイクロカプセル化を示した。
【0027】
本発明者らは特にEudragit L100およびS100の粒子の生産のためにアラセル 83(ソルビタンセスキオレエート)の有用性を示し、本発明者らの方法が将来のスケールアップのためにその単純化と可能性ならびに最終製品の品質という点において、他の文献の方法よりも優れていると考える。
【0028】
粒子は経口投与に理想的なサイズ(30〜50μmのサイズ範囲)であり、その優れた形態は良好な流動性を付与し、効率的で再現性のあるカプセル充填を可能とするに違いない。粒子はまた緩衝性懸濁液を用いる投与にも適するだろう。
【0029】
本発明者らはインビトロにおけるEudragit L100−55、L100およびS100のpH応答性の放出プロフィールを示した。胃pHでは、すべてのpH応答性マイクロ粒子からの医薬放出は最小値であるが、ポリマーの閾値以上では急速である。L100およびS100マイクロ粒子からの医薬放出を特徴付けるためにpH変化法が用いられている。L100およびS100のそれぞれのマイクロ粒子に関して、酸中では10%未満の放出が2時間後に起こり、pHが腸/結腸レベルにいったん上がると、100%の医薬放出の時間が5分以内となるように医薬充填を操作することができる。
【0030】
本発明の第2の態様において、上記方法により得ることのできるマイクロ粒子の組成物が提供される。
【0031】
本発明の第3の態様において、効果的な量の前記マイクロ粒子を患者に投与することを含む医学治療法が提供される。
【0032】
本発明の第4の態様において、生物活性物質を分散ないし溶解させ、かつ媒体を溶解させた溶媒を準備し、乳化を実施して、溶媒相に生物活性物質と媒体を含むマイクロ粒子のエマルジョンを作り、溶媒を蒸発させてマイクロ粒子を残すことを含むマイクロ粒子の製
造方法において、ソルビタンジオレエートが前記エマルジョンを安定化させるために用いられることを特徴とする生物活性物質と媒体を含むマイクロ粒子の製造方法が提供される。
【0033】
本発明者らは、異なる物理化学的性質を有する多数のモデル医薬を良好な効率で封入したが、本方法は広い範囲の薬剤をマイクロカプセル化できると考える。タンパク質医薬やペプチド医薬のカプセル化も可能であろうし、これらの変化しやすい医薬は、従来の錠剤化や造粒法よりも本調合方法により不活化されることほとんどないと思われる。
【0034】
本製法で使用される薬品はすべて広く利用でき、比較的安価で安全である。本発明者らは、有機溶媒の混合物および好ましくはエタノールのみを用いてさらに有毒な溶媒を用いることを避けてマイクロカプセル化が可能であることを示した。本製法に用いられる装置も広く利用可能である。
【0035】
現在、Eudragit L100とS100粒子の大規模生産のための方法は存在しない。噴霧乾燥は、ポリマーの熱可塑的性質および紐状の凝集物を形成する傾向から成功しないことが証明されている。これにより、本発明者らが開発した方法が最も実行可能な別法となる。
参考文献
Goto, S., Kawata, M., Nakamura, M., Maekawa, K., Aoyama, T.(1986)Eudragit E, L and S(acrylic resins)microcapsules as pH sensitive release preparations of ketoprofen. J. Microencapsulation 3 (4), 305−316.
Morishita, I., Morishita, M., Machida, Y., Nagai, T.(1991)Controlled release microspheres based on Eudragit L100 for the
oral administration of erythromycin. Drug Design and Delivery 7,309−319.
Squillante, E., Morshed, G., Bagchi, S.,
Mehta, K.A.(2003)Microencapsulation of β−galactosidase with Eudragit L100. J. Microencapsulation 20(2), 153−167.
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の多くの好適な実施形態が以下の図面を参照して開示する。
スパン 85を界面活性剤として使用する予備実験を実施して溶媒混合物の選択を最適化した。アセトンとエタノールまたはメタノールとの異なる比率の30mL混合物が試みられ、おそらく低い沸点およびポリマーEudragit S100に対する低い親和性によるメタノールの速い蒸発のために、アセトン/メタノール混合物がアセトン/エタノールよりもよく働くことがわかった。メタノールを単独で使用した場合、大きく、中空で時々割れた粒子が作られた。アセトン単独ではマイクロ粒子が作られなかった。アセトンの比率を高めると大きさが減少したが、凝集度を高めるように思われた。20mLアセトン/10mLメタノールは、SEM分析により判断して最適の溶媒混合物であり、これを将来の実験に用い、界面活性剤を変えることとした。
【0037】
本発明者らは、1〜10の範囲のHLBを有する界面活性剤を調べることにした。したがって、この範囲内の界面活性剤とこの範囲に近い界面活性剤を得て、流動パラフィンを非溶媒として用いる単純な系を、1000rpmとしたHeidolph RZR1スタ
ーラーの頭上式のプロペラー攪拌を用いて試した。
【0038】
30mLアセトン/メタノール(2:1)の混合物を用いて、3gのEudragit
S100ポリマーを溶解した。これらの実験ではマイクロ粒子の形成のみを調べることを意図したので、医薬は加えなかった。攪拌と溶媒蒸発を一晩進行させて、翌日、生成物をガラスろ過器を用いる減圧ろ過で集め、3回それぞれ50mlのヘキサンで洗浄して残留する流動パラフィンを除去し、真空オーブンで24時間乾燥した。
【0039】
すべての実験はトリプリケートで実施し、最適化プロセスで使用されたポリマーは常にEudragit S100だった。
【0040】
以下の界面活性剤を最初に1%の濃度で、必要ならば2%および3%で用いた; スパン 85(HLB 1.8)、スパン 80(HLB 4.3)、スパン 20(HLB
8.6)、ブリジ(Brij) 92(HLB 4.9)、ブリジ 52(HLB 5.3)およびソルビタンセスキオレエート(アラセル 83)(HLB 3.7)。
【0041】
粒子は最初に光学顕微鏡(ニコン マイクロフォト FXA)により4倍と10倍の対物倍率で調べ、イメージを、JVCビデオカメラを使用して取り込んだ。全体的な形態と凝集度を示すことは可能であったが、マイクロ粒子の表面特性を詳しく観察するために、有望な粒子のSEMを取った。マイクロ粒子をSEMの接着パッドに固定し、高真空蒸発器(エミテク(Emitech) K550)で金スパッターモジュールを使用して金で被覆した。
【0042】
10kVで走査電子顕微鏡(フィリップス XL30 TMP)を用いて試料を調べた。
【0043】
[結果]
<比較例1:スパン界面活性剤の使用>
スパン 85を界面活性剤として使用した場合、Eudragit S100は光学顕微鏡で見たときに凝集粒子を作るように思われた。SEMの分析により、おそらく溶媒蒸発中の粒子の凝集に由来する半形成の凝集粒子の存在が確認された(図1を参照)。スパン 85は分離マイクロ粒子の形成を可能にするように十分にエマルジョンを安定化しないと結論付けることができる。
【0044】
スパン 80は直径1mmを超えるポリマーの大きな非粒子状の塊りを作り、この生成物のさらなる分析は必要とされなかった。
【0045】
スパン 20は、細い紡錘様のポリマー繊維(データは示さず)を作り、この生成物さらなる分析も必要とされなかった。
【0046】
スパン 65は室温でクリーム/黄色の固体であり、加熱後は流動パラフィンと非混和性であった。さらに、それはアセトン/メタノールの混合物に溶解しないため、エマルジョンを安定させてマイクロ粒子を作ることはできなかった。
【0047】
<比較例2:ブリジ界面活性剤の使用>
次に、適当なHLB値を有する2種類のブリジ(HLB 5.3を有するブリジ 52およびHLB 4.9を有するブリジ 92)を試みた。ブリジ 52は室温でロウ状の固体で、ブリジ 92は液体である。ブリジ 52および92は1%、2%および3%の濃度で試みた。
【0048】
1%のブリジ 92の濃度で、本発明者らは半形成の球形粒子の凝集を再び見る。濃度を2%および3%まで高めることにマイクロ粒子の形態の肯定的な影響がなく、3%試料の形態は3試料のうち最も悪いように思える(図2A、2Bおよび2Cを参照)。
【0049】
室温で、ブリジ 52は固体であり、流動パラフィンと混和性がないが、加熱すると、1%のブリジ 52は流動パラフィンに溶解でき、冷却すると沈殿しなかった。それはアセトン/メタノールの混合物に可溶であった。これらの処方法の両方とも図2Dおよび2Eで見られるように凝集粒子を作った。
【0050】
流動パラフィン相にブリジ 52を取り込ませる加熱は図2Dと2Eからわかるように界面活性剤を内部相に溶解するために好ましいように思える。前の処方方法を使用して作られる粒子は外見がさらに球形で、多分散性が低く、小さなサイズを有する。しかし、該粒子はそれでも凝集している。
【0051】
<例3:ソルビタンセスキオレエート(アラセル 83)の界面活性剤としての使用>
界面活性剤(アラセル 83)をシステムに1%、2%および3%の濃度で導入した(図3A、3Bおよび3Cを参照)。アラセル 83は、スパンと類似する、3.7のHLB値を有するソルビタン脂肪酸エステルであり、ソルビタンモノオレエートとソルビタンジオレエートの等モル混合物である。すべての濃度において、それはマイクロ粒子の外見に劇的な効果を有し、球形で、非凝集で、非多孔性の粒子を必要とされるサイズ範囲で作った。また、試料は単分散であるように見えた。
【0052】
<例4>
目的: 約3.7の共同HLBを有する多様な界面活性剤を用いるマイクロ粒子の形成を調べる。
方法: 14.4%のツイーン 80と85.6%のスパン 85との混合物および56.5%のスパン 80と43.5%のスパン 85との混合物を流動パラフィンに1%の濃度で加えた。両混合物ともアラセル 83と同じ3.7のHLB値を有する。乳化/溶媒蒸発法は前と同じように実施した。
結果: 粒子のSEMを以下の図4Aおよび4Bに示す。
結論: 3.7の共同HLBを有する2種類の界面活性剤の混合物はエマルジョンを安定化して、許容される形態のマイクロ粒子の生産を容易にできるように思われる。
【0053】
<例5>
提案されたマイクロカプセル化法はEudragit L100、およびL100とS100との混合物にも使用することができる。
目的: アラセル 83を使用してEudragit L100および混合Eudragit L/S100のマイクロ粒子を作る。
方法: 3gのEudragit L100、およびEudragit L100とS100の1:1の3gの混合物を前と同じように30mLのアセトン/メタノール1:1に溶解し、1%のアラセル 83を含有する200mlの流動パラフィンに乳化した。
結果: 両方の場合で、Eudragit S100粒子に匹敵する優れた形態の粒子が形成された(図5を参照)。pH6.0〜6.8で医薬を放出するマイクロ粒子を作り出すことはこれで可能にちがいない。
【0054】
<例6>
次のステップにおいて、スパン 85が界面活性剤として使用された場合に最もよく働いた溶媒混合物を試みた。
目的: 乳化/溶媒蒸発法により作られたEudragit S100マイクロ粒子の形態に対する内部相溶媒の効果を研究する。
方法:
3gのEudragit S100をアセトンとメタノールかエタノールとの異なる混合物に溶解すること以外は以前と同じように実験を行なった。200mL流動パラフィン中の1%のアラセル 83を外部相として使用した。使用される溶媒組成を下記の表に示すが、これらの組成はスパン 85を流動パラフィンに使用した予備実験から決定され、ここで本発明者らは1:1〜5:1の範囲のアルコール/アセトンの溶媒組成が最適であって、マイクロ粒子の形態に影響を与えうること、アセトン/メタノール混合物がアセトン/エタノールよりも効果的であることを発見した。
【0055】
【表1】
【0056】
結果: 上記実験からのSEMを図6A〜6Eに示す。
結論: 上記実験の結果から、アセトンとメタノールかエタノールとの多様な組合せが優れた形態を有するEudragit S100マイクロ粒子の形成を可能とした。溶媒の選択はマイクロ粒子の形態にほとんど影響を持たない。これは、界面活性剤の選択がポリマー溶媒の選択よりも重大であるという証拠を提供する。すべての粒子は凝集せず、非多孔性で、所望の大きさの範囲に存在する。
【0057】
<例7>
L100、S100およびL100−55のマイクロ粒子の生産のための単独溶媒としてのエタノールの使用
生産方法を単純化し、かつマイクロ粒子中の残留溶媒による毒性の懸念を減らすために、アセトンやメタノールよりも毒性の低いエタノールだけを分散相溶媒として用いて粒子をつくることは望ましいであろう。したがって、3gのL100−55、L100およびS100を溶解するために30mlのエタノールをそれぞれ用いた。1%(w/w)のアラセル 83を界面活性剤として含有する200mlの流動パラフィンを用いて、乳化/溶媒蒸発を前と同じように用いた。マイクロ粒子のSEMを図7A〜7Cに示す。
結論
SEMは、L100−55、L100およびS100に関して、単一の比較的無毒な溶媒を使用して優れた形態の粒子を使用できることを示す。
【0058】
<例8:Eudragit RS100、およびL100とS100とのRS100の混合物の使用>
非水溶性ポリマーであるEudragit RS100のマイクロカプセル化を単独で、およびL100とS100との組合せで試みた。RS100単独は徐放の用途に用いることができ、pH依存性のEudragitと併用されたRS100は、これらポリマーからの放出を変えるだろう。3gのRS100は30mLアセトンと30mlアセトン/エタノール(1:1)とに可溶であったが、30mLエタノールには可溶でなかった。RS100/L100とRS100/S100のそれぞれの1:1混合物は3種類すべての
溶媒混合物に可溶であった。得られた生成物のSEMを表8A〜8Hに示す。
結論
RS100を単独またはL100またはS100との組合せで使用する場合に本方法は良好な粒子を作ることをSEMは示す。RS100はpH応答性マイクロ粒子システムからの医薬の放出を遅らせることが予想される。RS/Sの組合せは、純粋にpH応答性のシステムから起こる可能性のある投薬物の一括放出とは対照的に、結腸領域での医薬の持続的な放出を可能とするだろう。そのようなシステムは、炎症性腸疾患の局所的治療に利点があり、医薬の全体的な早期放出と全身的な吸収を防止するだろうが、小微粒子システムの長期の結腸での保持のために、顕著な医薬放出が生じる前に排泄されることはないであろう。
【0059】
同様に、RS/Lの混合物は小腸の全長にわたって調節された放出を可能とするだろう。RS100から形成された粒子は、持続的な放出の用途を有するだろうし、特にEudragit範囲のポリマーに関して本発明者らのマイクロカプセル化法の多様性をも示す。
【0060】
[概念の実証: インビトロの医薬放出のプロフィール]
<例9〜15>
図9〜14は、異なるpH媒質中のマイクロ粒子に関して、USPIIパドル装置を使用した場合の下記のインビトロの医薬放出のプロフィールを示す。すべてのマイクロ粒子は界面活性剤としてアラセル 83を用いて形成させた。
【0061】
図9は、pH1.2〜6.8におけるEudragit L100(10:1)粒子からのプレドニゾロンの放出を示す。これは一連の異なる6例の平均化プロフィールである。
【0062】
図10は、pH1.2〜7.4におけるEudragit S100マイクロ粒子および同等のS100被覆錠剤システムからのプレドニゾロン放出の比較を示す。
【0063】
図11は、異なる医薬充填量を有するEudragit S100マイクロ粒子からのプレドニゾロン放出の比較である。
【0064】
図12は、非水溶性のEudragit RSが結腸pHでS100粒子からの放出を持続させることを実証する、pH1.2〜7.4におけるEudragit RS/Sマイクロ粒子(1:1)からのプレドニゾロンの放出を示す。
【0065】
図13は、バッチ毎の再現性を示す、pH1.2〜7.4におけるEudragit S100/プレドニゾロン(5:1)マイクロ粒子の6バッチに関する放出プロフィールを示す。
【0066】
図14は、胃のpHで2時間、近位腸のpHで1時間、および結腸のpHで2時間おいたEudragit RS/S(1:1)マイクロ粒子からのプレドニゾロン放出を示すプロフィールである。プレドニゾロンの放出は最初の3時間ほとんど見られないが、pHが7.4に変わるとき、医薬の大部分が約1時間にわたって放出される。これは4種類の異なる試料の平均プロフィールである。
【0067】
図15は、pH1.2〜7.4でのRS/S100(50:50)をエチルセルロース/S100(50:50)と比較した放出プロフィールである。これは、それぞれS100と組み合わせた2種類の非水溶性ポリマーの持続的な放出のプロフィールを達成する能力を基本的に比較している。エチルセルロースはよく機能するように思えるが、いずれか
の非水溶性ポリマーを異なる比率で混合すると、目的に応じた異なる放出プロフィールが得られるだろう。
【0068】
<例16>
ここでは、界面活性剤を混合し、2種類の界面活性剤がともに働きエマルジョンを安定させて、許容されるマイクロ粒子を作るHLB範囲を特定した:
(a)50%のスパン 80/50%のスパン 85(HLB 3)
(b)53%のスパン 85/47%のスパン 20(HLB 5)
(c)60%のスパン 80/40%のスパン 20(HLB 6)
(d)35%のスパン 80/65%のスパン 20(HLB 7)
(上記のHLB値は1桁の有効数字で表されている)。
【0069】
すべてが1%w/w濃度で前と同じように用いられた。マイクロ粒子は顕微鏡で調べて、許容される形態学を持つと判断された。医薬を充填した粒子を調製し(5:1 Eudragit S/プレドニゾロン)、インビトロの医薬放出を評価した(pH1.2で2時間、次にpH7.4に上げた)。
【0070】
すべての粒子がポリマーの溶解限界pHによって指示されるように挙動した(すなわち、酸中の2時間インキュベーション後、医薬の放出はほとんどなく、pH変化後は迅速かつ完全に医薬が放出した)(図16を参照)。
【0071】
<例17>
図17は、pH1.2〜7.4におけるEudragit S100マイクロ粒子からのベンドロフルメタジン、プレドニゾロンおよびブデゾニド放出の比較を示す。これは、3種類すべての医薬に関して、pHが胃pHから結腸pHに変化するにしたがって、充填された医薬のほとんどすべてが急速に放出されることを示す。
【0072】
<例18>
図18A、18Bおよび18Cは、1%のアラセル 83を界面活性剤として用い、エチルセルローズN100、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP50)およびポリビニルアセテートフタレート(PVAP)をそれぞれの場合でポリマーとして用いて作られたマイクロ粒子のSEMを示す。医薬溶解の働きはこれらのマイクロ粒子によってはなされず、実際、PVAPマイクロ粒子が本発明の条件に入るには大きすぎるようである。それにもかかわらず、セルロース系およびポリビニール系のポリマーでマイクロ粒子を形成できることを示すためにこれらの結果を付け加える。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図2A】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図2B】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図2C】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図2D】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図2E】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図3A】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図3B】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図3C】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図4A】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図4B】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図5】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図6A】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図6B】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図6C】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図6D】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図6E】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図7A】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図7B】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図7C】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図8A】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図8B】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図8C】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図8D】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図8E】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図8F】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図8G】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図8H】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図9】本発明にしたがって作られる多様なマイクロ粒子からの医薬放出のプロフィールを示す。
【図10】本発明にしたがって作られる多様なマイクロ粒子からの医薬放出のプロフィールを示す。
【図11】本発明にしたがって作られる多様なマイクロ粒子からの医薬放出のプロフィールを示す。
【図12】本発明にしたがって作られる多様なマイクロ粒子からの医薬放出のプロフィールを示す。
【図13】本発明にしたがって作られる多様なマイクロ粒子からの医薬放出のプロフィールを示す。
【図14】本発明にしたがって作られる多様なマイクロ粒子からの医薬放出のプロフィールを示す。
【図15】本発明にしたがって作られる多様なマイクロ粒子からの医薬放出のプロフィールを示す。
【図16】本発明にしたがって作られる多様なマイクロ粒子からの医薬放出のプロフィールを示す。
【図17】本発明にしたがって作られる多様なマイクロ粒子からの医薬放出のプロフィールを示す。
【図18A】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図18B】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図18C】医薬/ポリマー混合物のマイクロ粒子の実施例と比較例の多様な走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物活性物質を分散ないし溶解させ、かつ媒体を溶解させた溶媒を準備し、乳化を非溶媒相で実施して、溶媒相に生物活性物質と媒体を含むエマルジョンを作り、溶媒を蒸発させてマイクロ粒子を残すことを含むマイクロ粒子の製造方法において、少なくとも2種類の界面活性剤の混合物が該エマルジョンを安定化させるために用いられ、マイクロ粒子の中位径を100μm以下とするために該混合物のHLB(親水性/親油性バランス)が8以下であることを特徴とする生物活性物質と媒体を含むマイクロ粒子の製造方法。
【請求項2】
前記HLBが2〜7である請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記HLBが3〜5である請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記HLBが3〜4である先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項5】
前記混合物がソルビタンモノオレエートとソルビタンジオレエートを含む先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項6】
前記混合物が2種類の界面活性剤の等モル混合物である先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項7】
前記媒体が、胃腸管において生物活性物質のpH依存性および/またはpH非依存性の放出を可能にするポリマーである先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項8】
前記媒体が、胃腸管において生物活性物質のpH依存性の放出を可能にするポリマーである請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記媒体がアクリル系ポリマー、セルロース系ポリマーまたはポリビニル系ポリマーである先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項10】
前記媒体がメタクリレートポリマーである請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記媒体が、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)P4135、Eudragit(登録商標)RS100またはエチルセルロースを含む先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項12】
前記媒体がEudragit(登録商標)RS単独でない請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記生物活性物質が、プレドニゾロン、ベンドロフルアジドまたはブデゾニドである先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒がエタノールであるか、またはアセトンとエタノールかメタノールとの混合物である先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項15】
前記混合物中の界面活性剤が両方ともに溶媒相に加えられるか、両方ともに非溶媒相に加えられるか、または一つが各相に加えられる先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項16】
前記非溶媒相が流動パラフィンである先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項17】
前記乳化が10〜30℃の温度で実施される先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項18】
先行するいずれかの請求項記載の方法により得ることのできるマイクロ粒子の組成物。
【請求項19】
効果的な量の請求項18記載のマイクロ粒子を患者に投与することを含む医学治療の方法。
【請求項1】
生物活性物質を分散ないし溶解させ、かつ媒体を溶解させた溶媒を準備し、乳化を非溶媒相で実施して、溶媒相に生物活性物質と媒体を含むエマルジョンを作り、溶媒を蒸発させてマイクロ粒子を残すことを含むマイクロ粒子の製造方法において、少なくとも2種類の界面活性剤の混合物が該エマルジョンを安定化させるために用いられ、マイクロ粒子の中位径を100μm以下とするために該混合物のHLB(親水性/親油性バランス)が8以下であることを特徴とする生物活性物質と媒体を含むマイクロ粒子の製造方法。
【請求項2】
前記HLBが2〜7である請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記HLBが3〜5である請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記HLBが3〜4である先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項5】
前記混合物がソルビタンモノオレエートとソルビタンジオレエートを含む先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項6】
前記混合物が2種類の界面活性剤の等モル混合物である先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項7】
前記媒体が、胃腸管において生物活性物質のpH依存性および/またはpH非依存性の放出を可能にするポリマーである先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項8】
前記媒体が、胃腸管において生物活性物質のpH依存性の放出を可能にするポリマーである請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記媒体がアクリル系ポリマー、セルロース系ポリマーまたはポリビニル系ポリマーである先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項10】
前記媒体がメタクリレートポリマーである請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記媒体が、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)P4135、Eudragit(登録商標)RS100またはエチルセルロースを含む先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項12】
前記媒体がEudragit(登録商標)RS単独でない請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記生物活性物質が、プレドニゾロン、ベンドロフルアジドまたはブデゾニドである先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒がエタノールであるか、またはアセトンとエタノールかメタノールとの混合物である先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項15】
前記混合物中の界面活性剤が両方ともに溶媒相に加えられるか、両方ともに非溶媒相に加えられるか、または一つが各相に加えられる先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項16】
前記非溶媒相が流動パラフィンである先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項17】
前記乳化が10〜30℃の温度で実施される先行するいずれかの請求項記載の方法。
【請求項18】
先行するいずれかの請求項記載の方法により得ることのできるマイクロ粒子の組成物。
【請求項19】
効果的な量の請求項18記載のマイクロ粒子を患者に投与することを含む医学治療の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【公表番号】特表2007−518780(P2007−518780A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550272(P2006−550272)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000174
【国際公開番号】WO2005/070391
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(506249196)ザ・スクール・オブ・ファーマシー (2)
【氏名又は名称原語表記】THE SCHOOL OF PHARMACY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000174
【国際公開番号】WO2005/070391
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(506249196)ザ・スクール・オブ・ファーマシー (2)
【氏名又は名称原語表記】THE SCHOOL OF PHARMACY
【Fターム(参考)】
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