説明

マイクロ総合分析システム

【課題】 検査チップの底部に設けられた廃液貯留部内に収容された検体などの廃液が漏れ出すことなく、安全に所望の検査を行うことのできるマイクロ総合分析システムを提供すること。
【解決手段】 検査チップに、生体物質と試薬との反応およびその検出の際に生じる廃液を貯留する廃液貯留部が設けられ、廃液貯留部内に廃液を保持する吸水体を有することにより、検査チップの底部に設けられた廃液貯留部内に収容された検体などの廃液が漏れ出すことなく、安全に所望の検査を行うことのできるマイクロ総合分析システムを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体中に含まれる生体物質と試薬との混合、反応、および該反応の検出が行われる一連の微細流路が形成された検査チップをシステム本体に装着し、マイクロポンプユニットにより検査チップの微細流路における送液を行いながら、該検査チップにおける生体物質と試薬との混合、反応、および該反応の検出を自動的に行うマイクロ総合分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロマシン技術および超微細加工技術を駆使することにより、従来の試料調製、化学分析、化学合成などを行うための装置、手段(例えばポンプ、バルブ、流路、センサーなど)を微細化して1チップ上に集積化したシステムが開発されている。
【0003】
これは、μ−TAS(Micro Total Analysis System)、バイオリアクタ、ラブ・オン・チップ(Lab−оn−chips)、バイオチップとも呼ばれ、医療検査・診断分野、環境測定分野、農産製造分野でその応用が期待されている。
【0004】
とりわけ遺伝子検査に見られるように、煩雑な工程、熟練した手技、機器類の操作が必要とされる場合には、自動化、高速化および簡便化されたミクロ化分析システムとしてのマイクロリアクタは、コスト、必要試料量、所要時間のみならず、時間および場所を選ばない分析を可能とすることによる効果は絶大である。
【0005】
このように臨床検査を始めとする各種検査を行う現場では、場所を選ばず迅速に結果を出すチップタイプのマイクロリアクタにおける測定においても、その定量性、解析の精度などが重要視される。
【0006】
また、マイクロリアクタはそのサイズ、形態の点から厳しい制約があるため、シンプルな構成かつ高い信頼性を有する送液システムを確立することが課題となる。
本発明者らは、遺伝子増幅反応およびその検出に好適なマイクロ総合分析システムを既に提案している(特許文献1〜6)。
【0007】
また、精度が高く、信頼性に優れるマイクロ流体制御素子に好適なマイクロポンプシステムを本発明者らはすでに提案している(特許文献7および特許文献8)。
このようなマイクロ総合分析システムでは、マイクロポンプによって検査チップの微細流路内における試薬等の送液を、駆動液を検査チップ内に取り込むことにより行っている。
【0008】
具体的には、特許文献7、8に開示された構成を有するピエゾ素子を用いたピエゾポンプなどをチップに複数設けたマイクロポンプユニットと、検査チップとを、例えば互いの流路開口が合致するようにマイクロポンプユニットのチップ面と検査チップのチップ面とを密着させることによって、ポンプ側の流路と検査チップ側の流路とを連通させている。
【0009】
さらにポンプに接続されたアクチュエータの働きにより、駆動液を検査チップへと液送することができる。
【特許文献1】特願2004−138959号
【特許文献2】特願2004−169912号
【特許文献3】特願2004−310744号
【特許文献4】特願2004−312313号
【特許文献5】特願2004−312314号
【特許文献6】特願2004−312315号
【特許文献7】特開2001−322099号公報
【特許文献8】特開2004−108285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、このようなマイクロ総合分析システムで用いられる検査チップは、検査チップに導入できる検体量が容積の関係上限られていることから、そうした検体量では測定可能な範囲内に収まらない場合があり、検体の予備的な濃縮または分離の操作、または微量の反応生成物を高感度でしかも簡便に検出、定量できる機構を検査チップに搭載することが必要とされる。
【0011】
特に、血液などの生体液を検体とする場合、そのままでは分析に用いることができないことが多く、通常は何らかの前処理を加えることとなっている。
この場合、前処理に使用された液体や検体は、処理後において不要となり、検査チップの底部に設けられた廃液貯留部に収容され、さらに所望の検査を終えた検査チップは、廃液貯留部に廃液を収容したまま、回収され焼却処分されるのが通常である。
【0012】
しかしながら、このような検査チップは、廃液貯留部が気密性を有しているため通常の使用状況においては廃液漏れの心配は少ないものの、検査チップに万が一の不具合が生じた場合には、システム本体内で廃液漏れを生じてしまうことと成りうる。
【0013】
特に、検査チップの回収処分時には煩雑な取り扱いとなり易く、検査チップからの廃液漏れの危険性はますます高くなる。
本発明は、このような現状に鑑み、検査チップの底部に設けられた廃液貯留部内に収容された検体などの廃液が漏れ出すことなく、安全に所望の検査を行うことのできるマイクロ総合分析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前述したような従来技術における課題および目的を達成するために発明されたものであって、本発明のマイクロ総合分析システムは、
検体または該検体を流路内で処理した処理液に含まれる測定対象の生体物質と、
試薬収容部に収容された試薬とを、
反応部位を構成する流路へ送液して合流させ、
これらを反応させた後、得られた反応生成物質もしくはその処理物質を、
検出部位を構成する流路へ送液して測定する一連の微細流路が設けられるとともに、
マイクロポンプに連通させるための流路開口を有するポンプ接続部が設けられた検査チップと、
システム本体と、を備え、
前記システム本体は、
ベース本体と、
複数のマイクロポンプと、
検査チップに連通させるための流路開口を有するチップ接続部と、が設けられ、
前記ベース本体内に配置されたマイクロポンプユニットと、を備え、
検査チップの前記ポンプ接続部とマイクロポンプユニットの前記チップ接続部とを液密に密着させた状態で検査チップをベース本体内に装着した後、該検査チップにおける生体物質と試薬との反応およびその検出を自動的に行うマイクロ総合分析システムであって、
前記検査チップに、
前記生体物質と試薬との反応およびその検出の際に生じる廃液を貯留する廃液貯留部が設けられ、
前記廃液貯留部内に廃液を保持する吸水体を有することを特徴とする。
【0015】
このように構成することによって、廃液貯留部に収容された廃液が、吸水体によって確実に保持されるため、検体などの廃液がシステム本体内に漏れ出すことなく、安全に所望の検査を行うことができる。
【0016】
また、本発明のマイクロ総合分析システムは、
前記吸水体が、
吸水性樹脂からなることを特徴とする。
【0017】
このように構成することによって、廃液貯留部に収容された廃液が、吸水性樹脂によって確実に保持されるため、検体などの廃液がシステム本体内に漏れ出すことなく、安全に所望の検査を行うことができる。
【0018】
また、本発明のマイクロ総合分析システムは、
前記吸水性構造物が、
スポンジからなることを特徴とする。
【0019】
このように構成することによって、廃液貯留部に収容された廃液が、スポンジによって確実に保持されるため、検体などの廃液がシステム本体内に漏れ出すことなく、安全に所望の検査を行うことができる。
【0020】
また、本発明のマイクロ総合分析システムは、
前記システム本体は、
前記検査チップの微細流路内において生体物質と試薬とを反応させた後、
検出部位を構成する流路においてその検出を光学的に行う検出装置と、
前記マイクロポンプによる送液を制御するポンプ制御装置と、
前記検査チップの所定部位における温度を制御する温度制御装置と、を備えることを特徴とする。
【0021】
このように構成することによって、システム本体内で確実に検体に対する所望の検査を行うことができる。
また、本発明のマイクロ総合分析システムは、
前記マイクロポンプが、
流路抵抗が差圧に応じて変化する第1流路と、
差圧の変化に対する流路抵抗の変化割合が第1流路よりも小さい第2流路と、
第1流路および第2流路に接続された加圧室と、
該加圧室の内部圧力を変化させるアクチュエータと、
を備えたマイクロポンプであることを特徴とする。
【0022】
このように構成することによって、確実に駆動液を検査チップ内に取り入れることができる。
このため、システム本体内で確実に検体に対する所望の検査を行うことができる。
【0023】
また、本発明のマイクロ総合分析システムは、
前記マイクロポンプが、
可変容積のポンプチャンバーを含むポンプハウジングを備えた容積型ポンプであって、
前記ポンプチャンバーを形成する壁は柔軟性ダイアフラムなどの可動変形可能な壁部材
から構成され、
前記ダイアフラムの運動と形状変化はポンプチャンバーの容積を変化させ、
それにより変位作用をしめし、
前記ポンプチャンバーはポンプの吸入側に流体入口と、
その加圧側に流体出口とを備え、
前記容積型ポンプは、
前記流体入口と前記流体出口の少なくとも一つは、
一方の流路方向でノズルを構成し、他方の流路方向で拡散部を構成した圧縮構成要素を含み、
前記圧縮構成要素での圧力降下が、
一つの同じ流体に対して拡散方向よりもノズル方向において大きいことを特徴とする。
【0024】
このように構成することによって、流体入口と流体出口の両方またはいずれかに弁を用いることがなくても、確実に駆動液を検査チップ内に取り入れることができ、システム本体内で確実に検体に対する所望の検査を行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、検査チップの底部に設けられた廃液貯留部内に収容された検体などの廃液が漏れ出すことなく、安全に所望の検査を行うことのできるマイクロ総合分析システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は、本発明のマイクロ総合分析システムの実施例を示した概略斜視図、図2は、図1のマイクロ総合分析システムのベース本体に検査チップを装着した状態を示したベース本体内部の概略図、図3は、図1のマイクロ総合分析システムの検査チップを示した概略斜視図、図4は、本発明のマイクロ総合分析システムの吸水体を説明する概略図である。
【0027】
図1に示したマイクロ総合分析システム10は、ベース本体12の内部にマイクロポンプユニット26、ポンプ制御装置28、温度制御装置38、検出装置44などが収納されたシステム本体と、検査チップ50とから構成されている。
<検査チップ>
図3に概略を示したように検査チップ50は、DNA増幅試薬収容部56aの上流に設けられたポンプ接続部64と、マイクロポンプユニット26のチップ接続部66とを接続した後、マイクロポンプの働きにより駆動液31を検査チップ50内に導入する。
【0028】
また、検査チップ50内に導入された駆動液31は、DNA増幅試薬収容部56a内の試薬を送り出し、さらにこの試薬を三分割することとなる。
そして、検体から抽出されたDNAを収容される検体DNA収容部52a、ポジティブコントロール収容部52b、ネガティブコントロール収容部52cのそれぞれの上流から駆動液31を導入し、これらの収容部に収容されている試薬を押し出すことにより上記のDNA増幅試薬収容部56a内の試薬と混合され、増幅反応部57で所定の温度と時間で増幅反応が行われた後、それぞれが二分割され検出部39に送られる。
【0029】
さらに、検出部39で増幅されたDNAは固定化され、それぞれ検体DNA増幅物検出試薬収容部56b内の検体DNA増幅物検出試薬と、インターナルコントロール増幅物検出試薬収容部56c内のインターナルコントロール増幅物検出試薬により染色されることとなる。
【0030】
そして、染色の度合いを例えば、LED40などの発光素子とホトダイオード42など
の受光素子からなる光学的検出装置44により必要な情報が取り出され標的のDNAの有無を判定する。
【0031】
なお、検出部39の下流には、検出後の混合廃液を貯留するための廃液収容部に通じる排出部32がある。
また各液通路には、エアー抜きや液体の合流のタイミングを合わせるための撥水バルブや、混合状態が不安定な先頭部を廃棄する機構などが設けられ、液体が精密に流れることができるように構成されている。
【0032】
なお、このような検査チップ50は、プラスチック樹脂、ガラス、シリコン、セラミックスなどの1以上の部材を適宜組み合わせて作製される一枚のチップである。
好ましくは、検査チップ50の微細流路および躯体は、加工が容易であり安価であり、焼却廃棄が容易なプラスチック樹脂で形成される。
【0033】
例えばポリスチレン樹脂は、成型性に優れ、ストレプトアビジンなどを吸着する傾向が強く、微細流路上に検出部位を容易に形成することができる。
微細流路は、幅および深さが例えば約10μm〜数百μmに形成される。
【0034】
また、蛍光物質または呈色反応の生成物などを光学的に検出するために、検査チップ50の表面のうち少なくとも微細流路の検出部位を覆う検出部39は透明である部材であり、好ましくは透明なプラスチックとなっていることが必要である。
【0035】
本発明のマイクロ総合分析システム10は、特に遺伝子または核酸の検査に好適に用いることができる。
その場合、検査チップ50の微細流路はPCR増幅に適した構成とされるが、遺伝子検査以外の生体物質についても基本的な流路構成はほぼ同一になるといえる。
【0036】
通常は検体前処理部、試薬類、プローブ類を変更すればよく、その場合、送液エレメントの配置、数などは変化するであろう。
当業者であれば、例えばイムノアッセイ法のために必要な試薬類などを検査チップ50に搭載し、若干の流路エレメントの変更、仕様の変更を含む修正を施すことにより、分析の種類を容易に変更することができる。
【0037】
ここにいう遺伝子以外の生体物質とは、各種の代謝物質、ホルモン、タンパク質(酵素、抗原なども含む)などをいう。
検査チップ50の好ましい一態様では、一つの検査チップ内において、検体もしくは検体から抽出したアナライト物質(例えばDNA)が注入される検体収容部と、
検体の前処理を行う検体前処理部と、
プローブ結合反応、検出反応(遺伝子増幅反応または抗原抗体反応なども含む)などに用いる試薬が収容される試薬収容部と、
ポジティブコントロールが収容されるポジティブコントロール収容部と、
ネガティブコントロールが収容されるネガティブコントロール収容部と、
プローブ(例えば、遺伝子増幅反応により増幅された検出対象の遺伝子にハイブリダイズさせるプローブ)が収容されるプローブ収容部と、
これらの各収容部に連通する微細流路と、
前記各収容部および流路内の液体を送液する別途のマイクロポンプに接続可能なポンプ接続部64と、が設けられている。
【0038】
この検査チップ50には、ポンプ接続部64を介してマイクロポンプが接続され、各収容部に収容された検体もしくは検体から抽出した生体物質(例えばDNAまたはそれ以外
の生体物質)と、各試薬収容部に収容された試薬とを流路へ送液し、微細流路の反応部位、例えば遺伝子増幅反応(タンパク質の場合、抗原抗体反応など)の部位で混合して反応させた後、その下流側流路にある検出部へ、この反応液を処理した処理液と、プローブ収容部に収容されたプローブとを送液し、流路内で混合してプローブと結合(またはハイブリダイゼーション)させ、この反応生成物に基づいて生体物質の検出を行う。
【0039】
また、ポジティブコントロール収容部に収容されたポジティブコントロールおよびネガティブコントロールに収容されたネガティブコントロールについても同様に上記反応および検出を行う。
【0040】
検査チップ50における検体DNA収容部52aは、検体の一時収容および混合部への検体供給を行う。
検体DNA収容部52aは、外部への漏失、感染および汚染を防ぎ、密封性を確保するために、ゴム状材質などの弾性体からなる栓が形成されているか、あるいはポリジメチルシロキサン(PDMS)などの樹脂、強化フィルムで覆われていることが望ましい。
【0041】
例えば、当該ゴム材質の栓を突き刺したニードルまたは蓋付き細孔を通したニードルでシリンジ内の検体を注入する。
前者の場合、ニードルを抜くとその針穴が直ちに塞がることが好ましい。
【0042】
あるいは他の検体注入機構を設置してもよい。
検体DNA導入部52aに注入された検体は、必要に応じて、試薬との混合前に、例えば検体と処理液とを混合することによって前処理される。
【0043】
好ましい検体前処理として、分析対象物(アナライト)の分離または濃縮、除タンパクなどが含まれる。
したがって検体前処理部は、分離フィルター、吸着用樹脂、ビーズなどを含んでもよい。
【0044】
検査チップ50の各試薬収容部には、必要な試薬類が予め所定の量だけ封入されている。
したがって使用時にその都度、試薬を必要量充填する必要はなく、即に使用可能の状態になっている。
【0045】
検体中の生体物質を分析する場合、測定に必要な試薬類は、通常それぞれ公知である。
例えば、検体に存在する抗原を分析する場合、それに対する抗体、好ましくはモノクローナル抗体を含有する試薬が使用される。
【0046】
抗体は、好ましくはビオチンおよびFITCで標識されている。
遺伝子検査用の試薬類には、遺伝子増幅に用いられる各種試薬、検出に使用されるプローブ類、発色試薬とともに、必要であれば前記の検体前処理に使用する前処理試薬も含めてもよい。
【0047】
また試薬と試薬との混合、および検体と試薬との混合は、単一の混合部で所望の比率で混合してもよく、あるいは何れかもしくは両方を分割して複数の合流部を設け、最終的に所望の混合比率となるように混合してもよい。
【0048】
そうした反応部位の態様は特に限定されるものではなく、様々な形態および様式が考えられる。
一例としては、試薬を含む2以上の液体を合流させる合流部(流路分岐点)から先に、
各液が拡散混合される微細流路が設けられ、この微細流路の下流側端部から先に設けられた、該微細流路よりも広幅の空間からなる液溜めにおいて反応が行われる。
【0049】
DNA増幅方法としては、多方面で盛んに利用されているPCR増幅法を使用することができる。
その増幅技術を実施するための諸条件が詳細に検討され、改良点も含めて各種文献などに記載されている。
【0050】
PCR増幅法においては、3つの温度間で昇降させる温度管理が必要になるが、マイクロチップに好適な温度制御を可能とする流路デバイスが、すでに本発明者らにより提案されている(特開2004−108285号)。
【0051】
このデバイスシステムを本発明のチップの増幅用流路に適用すればよい。
これにより、熱サイクルが高速に切り替えられ、微細流路を熱容量の小さいマイクロ反応セルとしているため、DNA増幅は、手作業で行う従来の方式よりはるかに短時間で行うことができる。
【0052】
PCRの改良として最近開発されたICAN(Isothermal chimera
primer initiated nucleic acid amplification)法は、50〜65℃における任意の一定温度の下にDNA増幅を短時間で実施できる特徴を有する(特許第3433929号)。
【0053】
したがって、ICAN法は、本発明の検査チップ50では、簡便な温度管理で済むために好適な増幅技術である。
手作業では、1時間かかる本法は、本発明のバイオリアクタにおいては、10〜20分、好ましくは15分で解析まで終わる。
【0054】
また、微細流路上の検出部位に吸着されたビオチン親和性タンパク質(アビジン、ストレプトアビジン、エクストラアビジン(R)、好ましくはストレプトアビジン)はプローブ物質に標識されたビオチン、または遺伝子増幅反応に使用されるプライマーの5’末端に標識されたビオチンと特異的に結合する。
【0055】
これにより、ビオチンで標識されたプローブまたは増幅された遺伝子が本検出部位でトラップされる。
分離されたアナライトまたは増幅された目的遺伝子のDNAを検出する方法は特に限定されないが、好ましい態様として基本的には以下の工程で行われる。
【0056】
すなわち、
(1a) 検体もしくは検体から抽出したDNA、あるいは検体もしくは検体から抽出したRNAから逆転写反応により合成したcDNAと、5’位置でビオチン修飾したプライマーとを、これらの収容部から下流の微細流路へ送液する。
【0057】
反応部位の微細流路内で、遺伝子を増幅する工程、微細流路内で増幅された遺伝子を含む増幅反応液と変性液とを混合して、増幅された遺伝子を変性処理により一本鎖にし、これと末端をFITC(fluorescein isothiocyanate)で蛍光標識したプローブDNAとをハイブリダイズさせる。
【0058】
次いで、ビオチン親和性タンパク質を吸着させた微細流路内の検出部位に送液し、前記増幅遺伝子を微細流路内の検出部位にトラップする。(増幅遺伝子を検出部位でトラップした後に蛍光標識したプローブDNAとをハイブリダイズさせてもよい。)
(1b) 検体に存在する抗原、代謝物質、ホルモンなどのアナライトに対する特異的な抗体、好ましくはモノクローナル抗体を含有する試薬を検体と混合する。
【0059】
その場合、抗体は、ビオチンおよびFITCで標識されている。
したがって抗原抗体反応により得られる生成物は、ビオチンおよびFITCを有する。
これをビオチン親和性タンパク質(好ましくはストレプトアビジン)を吸着させた微細流路内の検出部位に送液し、ビオチン親和性タンパク質とビオチンとの結合を介して該検出部位に固定化する。
(2) 上記微細流路内にFITCに特異的に結合する抗FITC抗体で表面を修飾した金コロイド液を流し、これにより固定化したアナライト・抗体反応物のFITCに、あるいは遺伝子にハイブリダイズしたFITC修飾プローブに、その金コロイドを吸着させる。
(3) 上記微細流路の金コロイドの濃度を光学的に測定する。
<システム本体>
図1に示したように、ベース本体12には、その正面部分に、検査チップ50を内部に取り入れるための検査チップ出入口14と、ベース本体12内で行われる所定の検査結果を出力する表示部18とが設けられている。
【0060】
検査チップ50は、チップ搬送トレイ22上に載置された後、検査チップ出入口14からベース本体12内に取り入れられ、装着される。
ベース本体12の内部には、図2に示したように、チップ搬送トレイ22上に載置された検査チップ50における送液、反応、検出等を制御するための各種の装置が設けられている。
【0061】
さらに、検査チップ50上に接触して試薬等の温度、特に反応部流路における温度を制御するペルチェ素子34およびヒーター36からなる温度制御装置38を備えている。
また、検査チップ50の検出部流路に存在する検出対象の物質を検知するために光を照射するLED40および透過した光を受光するホトダイオード42から成る検出装置44を備えている。
【0062】
マイクロ総合分析システム10のシステム本体には、マイクロポンプユニット26、マイクロポンプを制御するポンプ制御装置28、温度を制御する温度制御装置38および検出装置44などがベース本体12に一体化されている。
【0063】
予め試薬58が封入された検査チップ50の検体収容部52に検体液を注入して、その検査チップ50をシステム本体に装着すると、送液用のマイクロポンプを作動させるための機構的連結がなされる。
【0064】
したがってシステム本体に検査チップ50を装着すると、検査チップ50の流路60は作動状態となる。
分析が開始されると、検体および試薬類の送液、混合に基づく遺伝子増幅、アナライトとプローブとの結合などの反応、反応物の検出および光学的測定が、一連の連続的工程として自動的に実施され、測定データが、必要な条件、記録事項とともにファイル内に格納され、生体物質の測定が自動的に行われる。
【0065】
送液、温度、反応の各制御に関わる制御系、光学的検出、データの収集および処理を受け持つユニットは、マイクロポンプおよび光学装置とともにシステム本体を構成する。
このシステム本体は、これに検査チップ50を装着することにより各検体サンプルに対して共通で使用される。
【0066】
遺伝子増幅などの反応およびその検出は、送液順序、容量、タイミングなどについて予め設定された条件として、マイクロポンプおよび温度の制御、光学的検出のデータ処理とともにプログラムとしてシステム本体に搭載されたソフトウェアに組み込まれている。
【0067】
検査チップ50の微細流路内における反応を検出する検出装置44は、検査項目ごとの分析流路上の検出部位に対して、例えばLED40などから測定光を照射し、ホトダイオード42、光電子増倍管などの光学的な検出手段で透過光もしくは反射光を検出する。
【0068】
本発明のマイクロ総合分析システム10は、いずれのコンポーネントも小型化され、持ち運びに便利な形態としているために、使用する場所および時間に制約されず、作業性、操作性が良好である。
【0069】
場所、時間を問わずに迅速に測定することができるために、緊急医療での利用や、在宅医療での個人的な利用も可能である。
また、送液に使用するマイクロポンプユニット26がシステム本体側に組み込まれているために、検査チップ50はディスポーサブルタイプとして好適に使用できる。
【0070】
マイクロポンプユニット26には、例えば、検体収容部52、複数の試薬収容部56、ポジティブコントロール収容部52b、ネガティブコントロール収容部52cなど、上流側から駆動液31によって押し出して送液すべき部位の数に対応して複数のマイクロポンプが設けられている。
【0071】
検査チップ50をシステム本体に装着することによって、検査チップ50のポンプ接続部64を介して検査チップ50へマイクロポンプが接続され、マイクロポンプとして機能する構成となっている。
【0072】
すなわち、マイクロポンプユニット26には、複数のマイクロポンプと、検査チップ50に連通させるための流路開口を有するチップ接続部66と、が設けられている。
一方、検査チップ50にはマイクロポンプに連通させるための流路開口を有するポンプ接続部64が設けられており、検査チップ50のポンプ接続部64とマイクロポンプユニット26のチップ接続部66とを液密に密着させることによって、マイクロポンプを検査チップ50の流路60へ連通させる。
【0073】
典型的には、検査チップ50におけるポンプ接続部64は、マイクロポンプに連通させるための流路開口とその周囲の接触面とからなり、マイクロポンプユニット26におけるチップ接続部66は、検査チップ50に連通させるための流路開口と、その周囲の接触面とからなる。
【0074】
検査チップ50側の流路開口とマイクロポンプユニット26側の流路開口とが合致した状態でマイクロポンプユニット26側の接触面と検査チップ50側の接触面とを密着させることによってこれらが接続される。
【0075】
密着は、例えば検査チップ50とマイクロポンプユニット26とを加圧することによって行う。
上記のチップ接続部66またはポンプ接続部64には、例えばテフロン(登録商標)のような軟質の樹脂からなるシール部材を配置して、このシール部材のシール面を検査チップ50とマイクロポンプユニット26との接触面としてもよい。
【0076】
また、マイクロポンプとしては、ピエゾポンプを用いることが好ましい。
このピエゾポンプは概略すると、流路抵抗が差圧に応じて変化する第1流路と、差圧の
変化に対する流路抵抗の変化割合がこの第1流路よりも小さい第2流路と、これらの第1流路および第2流路に接続された加圧室と、該加圧室の内部圧力を変化させるアクチュエータと、を備えており、このアクチュエータを駆動することによって正方向および逆方向に送液可能なポンプである。
【0077】
その詳細は、上記特許文献7および8に記載されている。
上記のピエゾポンプによれば、ピエゾポンプの駆動電圧および周波数を変えることによって、液体の送液方向、送液速度を制御することができる。
【0078】
一例として、シリコンウエハを公知のフォトリソグラフィー技術により所定の形状に加工したシリコン基板を用いて、エッチングによって上記のポンプ形状を形成するとともに、その上から別の基板を重ねることによりピエゾポンプを作製できる。
【0079】
フォトリソグラフィー技術によって、1枚のシリコン基板に多数のピエゾポンプが設けられたマイクロポンプユニット26を作製できる。
例えば、マイクロポンプユニット26の基板にポートを形成して、このポートを介して検査チップ50のポンプ接続部64と連通させる。
【0080】
ポートが穿孔された基板と、検査チップ50のポンプ接続部64近傍とを上下に重ね合わせることによって、マイクロポンプユニット26に検査チップ50を接続することができる。
【0081】
また、検査チップ50と接続したポートとはポンプを介して反対側のポートには、駆動液タンク30が接続される。
マイクロポンプが複数個ある場合には、これらのポンプごとに設けられた複数のポートは共通の駆動液タンク30に接続されていてもよい。
【0082】
さらに、マイクロポンプとしては、既に公知のダイヤフラムポンプを用いることもできる。
このようなダイヤフラムポンプは、その詳細は特表平8−506874に記載されているが、概略すると、容積を変化させるポンプチャンバーを含むポンプハウジングを備えた変位ポンプであって、その壁は可動部分またはダイヤフラムを含み、その変形によってポンプチャンバーの容積を変化させることができるよう構成されている。
【0083】
またポンプチャンバーは、ポンプの吸入側に流体入口と、反対の圧力側に流体出口が備えられている。
さらに、流体入口と流体出口の両方または一方に、同じ流れに対して一方の流れ方向での圧力降下が、反対の流れ方向よりも大きくなる圧縮構成要素を含んでいる。
【0084】
また、ダイヤフラムに結合された駆動手段によってダイヤフラムを振動させることにより、ポンプチャンバー内の流体容積が脈打たれ、ポンプを通じて流体を流すことができる。
【0085】
なお、このポンプの駆動手段は、コイルの正弦波によりマグネット付の板が振動し、ダイヤフラムを往復運動させる電磁式を用いるとよい。
このように構成することによって、流体入口と流体出口の両方またはいずれかに弁を用いることがなくても、確実に駆動液を検査チップ内に取り入れることができ、システム本体内で確実に検体に対する所望の検査を行うことができる。
<廃液貯留部>
図4に示したように、廃液貯留部46は、検査チップ50の底部に設けられた中空室で
ある。
【0086】
このような廃液貯留部46は、余分な検体、検体の分離・濃縮工程で生成した洗浄液、廃液、ならびに検体の反応、測定の結果、生じる廃液などをすべて収容する密閉された廃液溜りである。
【0087】
また、廃液貯留部46内には、収容された廃液を保持する吸水体48が設けられており、収容された廃液を確実に吸水体48内に保持することができる。
検体収容部52に収容された検体は、検体前処理部53で前処理として検体の濃縮工程を実施する場合には、濃縮および洗浄に伴って生じる廃液を処理する必要がある。
【0088】
このときに生じる廃液は、検査チップ50の外部に排出させて処理するよりも、自動的に内部に貯留する方が煩わしくない。
好ましくは、廃液貯留部46は検査チップ50の検体前処理部53の弁部51の直下に設けられ、少なくとも検体前処理部53、流路60の反応部位、検出部位の端部などとも通じるよう構成されていると良い。
【0089】
また、廃液貯留部46は、廃液を貯留するだけの必要な容量を有する密封構造となっている。
すなわち廃液を生じる各部位と通じる貫通孔が形成されている空洞であればよい。
【0090】
廃液貯留部46は、1つの中空室でもよく、複数の区画に分けられた多区画空洞の形態であってもよい。
その容積、形状などは、特に限定されないが、検査チップ50の強度、検体収容部52、試薬収容部56などに伴うスペースの制限なども勘案される必要がある。
【0091】
例えば、廃液貯留部46の容量は、数cm四方の検査チップ50で、その底部大半に設けた場合、数百μL〜2mLとなる。
また、廃液貯留部46内の廃液が、検査チップ50の他の部分に侵入したり、外部に漏れたりすることのないよう、必要に応じて上記貫通孔の適当な場所に開閉する弁を設けてもよい。
【0092】
特に、濃度が希薄である検体では、検体前処理部53で多くの検体液を流して使用されるため、洗浄液も含めて比較的多量の廃液が生じ、このような濃縮前処理には、大容積を有する廃液貯留部46が必要である。
【0093】
このように、検査チップ50の廃液貯留部46を大容積とするためには、検査チップ50の底部のほぼ全体を、1つまたは複数の中空構造からなる廃液貯留部としてもよい。
<吸水体>
廃液貯留部46において、その内部に設けられた吸水体48は、収容される廃液を確実に保持する構成のものである。
【0094】
本実施例では、吸水体48として吸水性樹脂を用いることができる。
このような吸水性樹脂としては特に限定されるものではないが、好ましくはポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸ヒドロキシエチル、ポリエチレングリコール、さらに好ましくはポリビニルアルコール/ポリアクリル酸系の高吸収性ポリマー、デンプン/ポリアクリル酸グラフト系の高吸収性ポリマーなどの吸水性樹脂を使用することができる。
【0095】
このように吸水体48として吸水性樹脂を用いれば、検査チップ50の底部に設けられた廃液貯留部46内に収容される廃液を吸水体48内に確実に保持することができる。
また、他の実施例としては、吸水体48にスポンジを用いることができる。
【0096】
このようなスポンジの材質としては、特に限定されるものではないが、好ましくはポリウレタン、不織布、ナイロンなどから成るスポンジを用いると良く、このようなスポンジを用いることにより廃液貯留部46内に収容される廃液を確実に保持することができる。
【0097】
また、吸水体48は、廃液貯留部46の底部全体に設けると良いが、他にも廃液貯留部46内に隙間無く敷き詰めて設けても良い。
さらに、廃液の流路直下のみに設けても良く、吸水体48を設ける部位、量については、検査チップ50より排出される廃液の量に併せて適宜選択することができる。
【0098】
また、このような吸水体48の設置によれば、使用者に次の利点を提供する。
臨床検体の分析を行う作業者は、常に検体からの細菌またはウィルスなどの感染のリスクに曝されている。
【0099】
検体の取り扱い、その前処理のみならず、測定中の洗浄液、測定後の廃液などの処理も煩雑であるだけでなく、依然として感染のリスク、環境汚染の可能性が残っている。
本発明の検査チップ50は、廃液貯留部46を検査チップ50の底部に設けており、不要な検体、廃液などはすべて最後にはこの廃液貯留部46へ捨てられる流路構成となっている。
【0100】
この廃液貯留部46は、完全に検査チップ50内部に密閉されているとともに、廃液貯留部46内の吸水体によって、廃液を保持し、ディスポーサブルタイプの検査チップ50は、使用後にそのまま検査室などに備え付けられたハザードボックス内に収められ、焼却処分される。
【0101】
このように廃液貯留部46に吸水性樹脂やスポンジなどの吸水体を設けることにより、作業者は臨床検体を検査チップ50内に注入した後は、検査の間、検査後の廃棄においても一貫して全く検体などに接触する可能性はなく、感染からの安全確保が図られている。
【0102】
しかも廃棄処分も汚染のおそれがなく、安全に行うことができる。
上記実施例において、本発明のマイクロ総合分析システムの一例を示したが、本発明は何らこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、本発明のマイクロ総合分析システムの実施例を示した概略斜視図である。
【図2】図2は、本発明のマイクロ総合分析システムのベース本体に検査チップを装着した状態を説明する概略図である。
【図3】図3は、本発明のマイクロ総合分析システムの検査チップを説明する概略斜視図である。
【図4】図4は、本発明のマイクロ総合分析システムの吸水体を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0104】
10 マイクロ総合分析システム
12 ベース本体
14 検査チップ出入口
18 表示部
22 検査チップ搬送トレイ
26 マイクロポンプユニット
28 ポンプ制御装置
30 駆動液タンク
31 駆動液
32 排出部
34 ペルチェ素子
36 ヒーター
38 温度制御装置
39 検出部
40 LED
42 ホトダイオード
44 光学的検出装置
46 廃液貯留部
48 吸水体
50 検査チップ
51 弁部
52 検体収容部
52a 検体DNA収容部
52b ポジティブコントロール収容部
52c ネガティブコントロール収容部
53 検体前処理部
56 試薬収容部
56a DNA増幅試薬収容部
56b 検体増幅物検出試薬収容部
56c インターナルコントロール検出試薬収容部
57 増幅反応部
58 試薬
60 流路
62 処理液
64 ポンプ接続部
66 チップ接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体または該検体を流路内で処理した処理液に含まれる測定対象の生体物質と、
試薬収容部に収容された試薬とを、
反応部位を構成する流路へ送液して合流させ、
これらを反応させた後、得られた反応生成物質もしくはその処理物質を、
検出部位を構成する流路へ送液して測定する一連の微細流路が設けられるとともに、
マイクロポンプに連通させるための流路開口を有するポンプ接続部が設けられた検査チップと、
システム本体と、を備え、
前記システム本体は、
ベース本体と、
複数のマイクロポンプと、
検査チップに連通させるための流路開口を有するチップ接続部と、が設けられ、
前記ベース本体内に配置されたマイクロポンプユニットと、を備え、
検査チップの前記ポンプ接続部とマイクロポンプユニットの前記チップ接続部とを液密に密着させた状態で検査チップをベース本体内に装着した後、該検査チップにおける生体物質と試薬との反応およびその検出を自動的に行うマイクロ総合分析システムであって、
前記検査チップに、
前記生体物質と試薬との反応およびその検出の際に生じる廃液を貯留する廃液貯留部が設けられ、
前記廃液貯留部内に廃液を保持する吸水体を有することを特徴とするマイクロ総合分析システム。
【請求項2】
前記吸水体が、
吸水性樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ総合分析システム。
【請求項3】
前記吸水性構造物が、
スポンジからなることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ総合分析システム。
【請求項4】
前記システム本体は、
前記検査チップの微細流路内において生体物質と試薬とを反応させた後、
検出部位を構成する流路においてその検出を光学的に行う検出装置と、
前記マイクロポンプによる送液を制御するポンプ制御装置と、
前記検査チップの所定部位における温度を制御する温度制御装置と、を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマイクロ総合分析システム。
【請求項5】
前記マイクロポンプが、
流路抵抗が差圧に応じて変化する第1流路と、
差圧の変化に対する流路抵抗の変化割合が第1流路よりも小さい第2流路と、
第1流路および第2流路に接続された加圧室と、
該加圧室の内部圧力を変化させるアクチュエータと、
を備えたマイクロポンプであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のマイクロ総合分析システム。
【請求項6】
前記マイクロポンプが、
可変容積のポンプチャンバーを含むポンプハウジングを備えた容積型ポンプであって、
前記ポンプチャンバーを形成する壁は柔軟性ダイアフラムなどの可動変形可能な壁部材から構成され、
前記ダイアフラムの運動と形状変化はポンプチャンバーの容積を変化させ、
それにより変位作用をしめし、
前記ポンプチャンバーはポンプの吸入側に流体入口と、
その加圧側に流体出口とを備え、
前記容積型ポンプは、
前記流体入口と前記流体出口の少なくとも一つは、
一方の流路方向でノズルを構成し、他方の流路方向で拡散部を構成した圧縮構成要素を含み、
前記圧縮構成要素での圧力降下が、
一つの同じ流体に対して拡散方向よりもノズル方向において大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のマイクロ総合分析システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−284323(P2006−284323A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−103524(P2005−103524)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】