説明

マグネシウム化合物及びその製造方法及びそれを用いた植物プランクトン除去方法及び汚水処理方法

【課題】水面近傍にマグネシウムイオンを供給してアオコ等の植物性プランクトンや汚水中のリン酸及びアンモニア性窒素の回収を容易にするマグネシウム化合物及びその製造方法及びそれを用いたラン藻類等の植物性プランクトンの除去方法及び汚水処理方法を提供することである。
【解決手段】酸化マグネシウムと、塩酸又は塩化マグネシウムと、水とを混合してスラリー状のマグネシウム化合物を生成するスラリー作製工程S1と、スラリー状のマグネシウム化合物に発泡手段を用いて発泡体を形成する発泡体形成工程S2と、発泡体形成工程の前又は後に、あるいは硬化工程の後に、マグネシウム化合物を粒状に分割する分割工程S3と、発泡体を養生して固化する硬化工程S4とを有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネシウムイオン供給体となるマグネシウム化合物及びその製造方法及びそれを用いたラン藻類除去方法及び汚水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、湖沼や溜め池では夏季から秋季にかけて窒素やリンの富栄養化に伴ってアオコ等のラン藻類が発生する。アオコが多量に発生すると、水中の溶存酸素を消費するため生態系が崩れ、水は濁って異臭を放つとともに景観が著しく悪化し、また、この湖沼の水を水道に利用する場合にはカビ臭の原因となっている。このように発生したアオコを湖沼や溜め池から回収又は除去する方法には、オゾン除去法、電気分解法、超電磁磁気法や衝撃法等があるが、いずれについても設備費が高く、操作が煩雑で、しかもランニングコストが嵩むという課題を抱えていた。そこで、操作が簡単で経費を抑えたアオコ等のラン藻類の回収方法が考えられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「アオコ発生の抑制・除去方法」という名称で、浮遊性の不定形資材を用いてアオコの発生の抑制や除去を行うアオコ発生の抑制及び除去方法に関する発明が開示されている。
この特許文献1に開示された発明は、浮遊性フェンスに囲繞された水面を形成し、この水面に最大吸水時の比重が1未満の多孔質の粗粒からなる不定形資材を投入して浮遊させて、ある期間経過後に投入した不定形資材を陸揚げするものである。
多孔質の粗粒には膨張石等が用いられ、このような粗粒からなる不定形資材を水面に浮遊させると、太陽エネルギーを遮断して水面下の水温上昇を防止するとともに太陽光を遮蔽するので、アオコの生育及び増殖を抑制することができる。また、表面積が大きい多孔質の部分には、発生したアオコを付着吸収することができ、アオコが付着した不定形資材を陸揚げすることによって容易にアオコを回収することができる。また、回収された不定形資材は加熱処理を施すことによって再利用が可能となっている。
【0004】
また、リン酸やアンモニア性窒素を含む廃水中にマグネシウムイオンを作用させて生成する結晶性のリン酸マグネシウムアンモニウムを回収することにより廃水中のリンや窒素を除去することが一般に行われている。このマグネシウムイオンを利用して汚水中のリンの除去を行うものとして、例えば、特許文献2には、「水処理装置」という名称で、効率的な生物分解処理とマグネシウムイオンによる無機態リンの除去を行う水処理装置に関する発明が開示されている。
この特許文献2に開示された発明は、主に、水域内の水にマグネシウムイオン供給剤を供給するマグネシウムイオン供給装置と、紐状接触材を含浸させた槽を備える生物分解処理装置から構成されている。
このような構成の水処理装置では、紐状含浸材に付着した微生物によって被処理水中のアオコ等の有機物が分解されて有機態リンが無機態リンに変換され、そして、この無機態リンは、マグネシウムイオン供給装置によって供給されるマグネシウムイオンによって難溶性化合物化して固定除去するので、無機態リンが被処理水域内に留まって再度水域内の生物成長に利用されることを防止して富栄養化された水域内の水質浄化を行っている。マグネシウムイオン供給装置に投入されるマグネシウムイオン供給剤は、液状、固体状或いはスラリー状であり、特に、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムの1種又は2種以上で構成された苦土系粉粒体であると、長期に亘ってマグネシウムイオンの供給を持続することができる。
【0005】
また、マグネシウム系スラリーに関しては、酸化マグネシウムをスラリー状にして利用する技術として、特許文献3には、「酸化マグネシウム−水酸化マグネシウムスラリー」という名称で、高濃度のマグネシウム系スラリーに関する発明が開示されている。
この特許文献3に開示された発明は、比表面積が15m3/g以下の酸化マグネシウム5〜60重量%と、水酸化マグネシウム5〜40重量%と、水とから構成され、スラリーを構成する粒子の95%以上が粒径44μm以下で、塩酸未溶解残渣が5%以下のものであり、水酸化マグネシウムに微粉砕した酸化マグネシウムを配合することにより、水酸化マグネシウムに換算して極めて濃度の高いスラリーを作製している。また、水酸化マグネシウムの含有率や、酸化マグネシウムの含有率及び比表面積を調整することによって適切なスラリー粘度の維持を可能としている。
【特許文献1】特開平9−233968号公報
【特許文献2】特開平9−215989号公報
【特許文献3】特開昭59−98728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の技術では、投入する不定形資材の多孔質部分にアオコを付着させて不定形資材ごと回収するという簡単な方法でアオコの回収を可能にしているが、不定形資材へのアオコの付着は偶発的なものであり時間を要する上にその付着量が少ないので効率的ではないという課題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載された従来の技術では、アオコ等の有機物を分解して生成する無機態リンにマグネシウムイオンを作用させる構成であり、処理工程が多く、要する設備費が嵩むのでコスト高になるという課題があった。また、マグネシウムイオンを直接アオコ等の有機物に作用させるという発想は開示されていない。
【0008】
そして、特許文献3に記載された従来の技術では、得られる酸化マグネシウム−水酸化マグネシウムスラリーはマグネシウムイオン供給体として利用できるが、このようなスラリーは水よりも比重が重く、水中においては沈降するので水面近傍にマグネシウムイオンを供給する場合には不適であるという課題があった。
また、特許文献3に係る酸化マグネシウム−水酸化マグネシウムスラリーは、固体ではないので、使用後水中から容易に分離回収ができない可能性が高かった。
【0009】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、水面近傍にマグネシウムイオンを供給してマイナスに帯電した植物プランクトンや汚水中のリン酸及びアンモニア性窒素の回収を容易にするマグネシウム化合物及びその製造方法及びそれを用いたラン藻類除去方法及び汚水処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明であるマグネシウム化合物は、 酸化マグネシウムと、塩酸又は塩化マグネシウムと、水とから生成するマグネシウム化合物であって、このマグネシウム化合物は、被散布対象である液体中にマグネシウムイオンを溶出することを特徴とするものである。
上記構成の発明は、酸化マグネシウムと塩酸又は塩化マグネシウムと水とが反応することで、固形の化合物を生成するという作用を有する。
また、この固形の化合物は、被散布対象である液体に散布された際に、液体中にマグネシウムイオンを溶出するという作用を有する。
さらに、このマグネシウムイオンは、被散布対象である液体中のマイナス電荷を中和するという作用を有する。
【0011】
また、請求項2に記載の発明であるマグネシウム化合物は、請求項1記載のマグネシウム化合物であって、マグネシウム化合物は、多孔体として形成されることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1記載の発明と同様の作用に加え、固形状のマグネシウム化合物が気孔を包含することで、マグネシウム化合物の比重を低下させるという作用を有する。
【0012】
また、請求項3に記載の発明であるマグネシウム化合物は、請求項1又は請求項2に記載のマグネシウム化合物であって、マグネシウム化合物は、被散布対象である液体よりも比重が小さいことを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1又は請求項2に記載のそれぞれの発明と同じ作用に加え、固形状のマグネシウム化合物を被散布対象である液体中に浮遊させるという作用を有する。
【0013】
また、請求項4に記載の発明であるマグネシウム化合物製造方法は、酸化マグネシウムと、塩酸又は塩化マグネシウムと、水とを混合してスラリー状のマグネシウム化合物を生成するスラリー作製工程と、スラリー状のマグネシウム化合物に発泡手段を用いて発泡体を形成する発泡体形成工程と、発泡体を養生して固化する硬化工程とを有するものである。
上記構成のマグネシウム化合物製造方法では、酸化マグネシウムと塩酸又は塩化マグネシウムと水が反応し、スラリー状のマグネシウム化合物を生成という作用を有する。また、発泡手段を用いることによりスラリー状のマグネシウム化合物は発泡体を形成するという作用を有する。そして、スラリー状で発泡体となるマグネシウム化合物は養生することによって固化するという作用を有する。
【0014】
そして、請求項5に記載の発明であるマグネシウム化合物製造方法は、請求項4に記載のマグネシウム化合物製造方法において、発泡体形成工程の前又は後に、あるいは硬化工程の後に、マグネシウム化合物を粒状に分割する分割工程を有するものである。
上記構成のマグネシウム化合物の製造方法では、請求項4に記載の発明と同じ作用に加えて、発泡体形成工程の前又は後に行う分割工程では、スラリー状のマグネシウム化合物を分割して粒状体を形成した後、硬化工程においてマグネシウム化合物は固化するという作用を有する。また、硬化工程の後に行う分割工程では、固化した状態でマグネシウム化合物は分割されて粒状体を形成するという作用を有する。
【0015】
そして、請求項6に記載の発明であるマグネシウム化合物の製造方法は、請求項4に記載のマグネシウム化合物の製造方法において、発泡体形成工程における発泡手段は、アルミニウム又は亜鉛又は錫からなる金属粉末と水酸化ナトリウムの混合による化学反応であるものである。
上記構成のマグネシウム化合物の製造方法では、請求項4に記載の発明と同じ作用に加えて、発泡手段は、アルミニウム又は亜鉛又は錫からなる金属粉末と水酸化ナトリウムの混合による化学反応によって発泡するという作用を有する。
【0016】
そして、請求項7に記載の発明であるマグネシウム化合物の製造方法は、請求項4に記載のマグネシウム化合物の製造方法において、発泡体形成工程における発泡手段は、エアーポンプによる気泡の供給であることを特徴とするものである。
上記構成のマグネシウム化合物の製造方法では、請求項4に記載の発明の作用に加えて、発泡手段は、エアーポンプによって気泡を形成するという作用を有する。
【0017】
また、請求項8に記載の発明であるマグネシウム化合物は、請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載のマグネシウム化合物製造方法により製造されることを特徴とするものである。
上記構成のマグネシウム化合物は、請求項2に記載のマグネシウム化合物と同じ作用を有する。
【0018】
そして、請求項9に記載の発明である植物性プランクトン除去方法は、請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項8に記載のマグネシウム化合物を湖沼又は河川又は海洋に散布して、植物性プランクトンを凝集させた後に、マグネシウム化合物及び凝集した植物性プランクトンを回収して湖沼又は河川又は海洋から植物性プランクトンを除去することを特徴とするものである。
上記構成のマグネシウム化合物を用いた植物性プランクトン除去方法では、湖沼又は河川又は海洋に散布されたマグネシウム化合物は、水中においてマグネシウムイオンを溶出するという作用を有する。
そして、このマグネシウムイオンは、マイナスに帯電して互いに反発し合う植物性プランクトンを電気的に中和して物性プランクトン同士の反発力を緩和するという作用を有する。
【0019】
最後に、請求項10に記載の発明である汚水処理方法は、請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項8に記載のマグネシウム化合物をリン酸及びアンモニア性窒素を含む汚水に散布して、リン酸マグネシウムアンモニウムを析出させた後に、マグネシウム化合物及び析出したリン酸マグネシウムアンモニウムを回収して汚水からリン酸及びアンモニア性窒素を除去することを特徴とするものである。
上記構成のマグネシウム化合物を用いた汚水処理方法では、マグネシウム化合物をリン酸及びアンモニア性窒素を含む汚水に散布すると、マグネシウム化合物から溶出するマグネシウムイオンによって難溶解性のリン酸マグネシウムアンモニウムを析出させるという作用を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1記載のマグネシウム化合物は、被散布対象である液体中に継続的にマグネシウムイオンを供給するという効果を有する。
また、請求項1記載のマグネシウム化合物は、固形であるため使用後、被散布対象である液体から分離回収することができるという効果を有する。
【0021】
本発明の請求項2記載のマグネシウム化合物は、請求項1記載の発明と同じ効果を有する。
また、請求項2に記載の発明は、その内部に気泡を包含した多孔体を形成することで、固形状のマグネシウム化合物の比重が、被散布対象である液体の比重よりも小さくなった場合に、固形状のマグネシウム化合物を浮遊させることができるという効果を有する。
この場合、被散布対象である液体の表面近傍に局所的にマグネシウムイオンを溶出させることができるという効果を有する。
【0022】
本発明の請求項3記載のマグネシウム化合物は、請求項2記載のマグネシウム化合物と同じ効果を有する。
【0023】
本発明の請求項4に記載のマグネシウム化合物の製造方法によれば、被散布対象である液体に散布した場合に、この液体中に継続的にマグネシウムイオンを供給する固形状のマグネシウム化合物を製造できるという効果を有する。
この結果、溶出したマグネシウムイオンにより、被散布対象である液体中の陰イオンを電気的に中和することができるという効果を有する。
また、請求項4に記載の発明において、スラリー状のマグネシウム化合物を形成することで、続く発泡体形成工程において気泡を発生させた際にマグネシウム化合物内部において発泡状態を維持することができるという効果を有する。
そして、発泡状態が維持されたまま養生、固化することで、得られるマグネシウム化合物を多孔体にすることができるという効果を有する。この結果、マグネシウム化合物の比重が被散布対象である液体よりも小さい場合には、液体中にマグネシウム化合物を浮遊させることができるという効果を有する。
【0024】
そして、本発明の請求項5に記載のマグネシウム化合物の製造方法は、請求項4記載の発明と同じ効果に加え、発泡体形成工程の前又は後に、スラリー状のマグネシウム化合物を分割した場合、形状の整った粒状体を形成することができるという効果を有する。
一方、硬化工程の後に、固化した状態でマグネシウム化合物を分割した場合、短時間で大量の粒状体を形成することができ、本発明に係るマグネシウム化合物を容易に大量生産できるという効果を有する。
【0025】
本発明の請求項6に記載のマグネシウム化合物の製造方法は、請求項4記載の発明と同じ効果に加え、化学的手段によりスラリー状のマグネシウム化合物を発泡させるため、例えば、エアーポンプ等の物理的手段により発泡させる場合のように発泡のための設備を設ける必要がなく、本発明に係るマグネシウム化合物の生産量が比較的少ない場合に、設備にかかるコストを節約できるという効果を有する。
また、発泡工程の前に分割工程を有する場合に、分割された状態のスラリー状のマグネシウム化合物を個別に発泡させることができるという効果を有する。
【0026】
本発明の請求項7に記載のマグネシウム化合物の製造方法は、請求項4記載の発明と同じ効果に加え、例えば、エアーポンプ等の物理的手段によりスラリー状のマグネシウム化合物を発泡させるため、一旦エアーポンプ等の設備を設けた後は、化学的手段により発泡させる場合のように、スラリー状のマグネシウム化合物に気泡の発生に必要な物質を都度投入する必要がない。このため、本発明に係るマグネシウム化合物を大量に生産する場合に、原材料費に係るコストを削減できるという効果を有する。
【0027】
また、本発明の請求項8に記載のマグネシウム化合物は、請求項2に記載の発明と同じ効果を有する。
【0028】
また、本発明の請求項9に記載の植物性プランクトン除去方法では、散布されるマグネシウム化合物から溶出するマグネシウムイオンの作用により、マイナスに帯電した植物性プランクトンを電気的に中和して水面近傍に凝集させることができるという効果を有する。従って、大量発生した植物性プランクトンの回収を容易にするという効果を有する。
また、大量発生した植物性プランクトンの回収に係る作業や装置を簡易にすることができるので、人件費や設備費を低減することができるという効果を有する。
さらに、植物性プランクトンは水中の窒素やリンを摂取して大量発生する。このため大量発生した植物性プランクトンを回収することはすなわち、窒素やリンといった富栄養化物を水中から除去することでもある。この結果、例えば湖沼又は河川又は海洋の水質を良好に改善するという効果を有する。
【0029】
最後に、本発明の請求項10に記載のマグネシウム化合物を用いた汚水処理方法では、散布されるマグネシウム化合物からはマグネシウムイオンが溶出するので、このマグネシウムイオンと汚水中のリン酸及びアンモニア性窒素を化学反応させることで難溶解性のリン酸マグネシウムアンモニウムを生成させ、生成したリン酸マグネシウムアンモニウムを回収することにより簡単に汚水中のリン酸及びアンモニア性窒素を除去することができるという効果を有する。この結果、汚水の水質浄化を行うことができるという効果を有する。
また、本発明の請求項10に記載の発明においては、リン酸やアンモニウムを含有する汚水に本発明に係るマグネシウム化合物を散布するだけでよいので、汚水に継続的に或いは定期的にマグネシウムイオンを供給する必要がない。従って、特に、規模の小さい汚水処理設備において、設備にかかるコストを削減できるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明のマグネシウム化合物に係る最良の実施の形態について図1乃至図4を参照しながら説明する。(特に、請求項1乃至請求項3に対応。)
図1(a)は本発明の本実施の形態に係るマグネシウム化合物の実物写真であり、(b)は同じくマグネシウム化合物を水に浮遊させた状態を示す実物写真である。
図1(a)において、マグネシウム化合物1は、白色で0.5〜1cm程度の多孔質の粒状体である。すなわち、気孔を包含した多孔体である。
図1(b)に示すように、マグネシウム化合物1の比重は1よりも小さく、軽量であるため、マグネシウム化合物1をビーカー2内の水3に投入すると、水中に沈降することなく、水面に浮上した状態が維持される。
また、マグネシウム化合物1は、酸化マグネシウムに塩酸又は塩化マグネシウムと水を混合して生成されるセメント硬化物の一種であり、被散布対象である、液体中においてマグネシウムイオンを溶出するものである。そして、このマグネシウムイオンは陽イオンであるので、水中においてマイナスに荷電する対象物を電気的に中和したり、水中に溶解する物質と化学反応を起こして化合物を生成するという効果を有する。
また、被散布対象である液体が汽水や海水であっても同様の効果を有する。
【0031】
具体的には、例えば、湖沼や溜め池に発生するアオコ等のラン藻類はマイナスに荷電して互いに反発し合って分散しているが、マグネシウム化合物1を散布すると、溶出するマグネシウムイオンによってアオコは電気的に中和されてアオコ同士の反発力が弱まり、分散していたアオコを凝集させることができる。このため、大量に発生したアオコの回収を極めて容易にするという効果を有する。
また、赤潮の原因である植物性プランクトンについてもアオコと同様にマイナスに荷電していると考えられ、このようなラン藻類等の植物性プランクトンの回収についても容易にするという効果を有する。
なお、本発明に係るマグネシウム化合物1を用いて除去することができる植物性プランクトンとは、海水又は汽水又は淡水中において水の動きに逆らって自ら位置を変えることができない生物群のうち、特に体内で光合成を行う浮遊生物であり、かつ、体表面がマイナスに荷電しているものである。このような植物性プランクトンを構成する生物群としては、ラン藻類、ケイ藻類、緑藻類、植物性鞭毛虫類等が挙げられる。
さらに、先にも述べたが、ラン藻類等の植物性プランクトンは水中の窒素やリンを摂取して大量発生する。このため大量発生したラン藻類等の植物性プランクトンを回収することはすなわち、窒素やリンといった富栄養化物を水中から除去することになる。
従って、本実施の形態に係るマグネシウム化合物1を散布して、凝集したラン藻類等の植物性プランクトンを回収することで、湖沼や河川、あるいは海洋から間接的に窒素やリンを除去することができるので、この結果、湖沼や河川、あるいは海洋の水質を良好に改善きるという特に優れた効果を有する。
さらに、本発明に係るマグネシウム化合物1から供給されるマグネシウムイオンは、例えば、マイナスに帯電する土壌粒子、さらに、浚渫等により生じて水中でマイナスに帯電する有機性の湖沼等の底泥を電気的に中和して沈降させるという効果を有する。この結果、水中の濁度を低減するという効果も有する。
なお、本発明に係るマグネシウム化合物1から供給されるマグネシウムイオンは、水質汚濁に係る環境基準や水道法の水質基準の項目に該当するものではなく、医薬品としても使用されるものである。従って、湖沼や溜め池に散布してもカルシウムイオンのように強アルカリ性を示すことがない。このため、万一、湖沼や海洋に散布した後に、放置されたとしても外部環境を汚染したり、生体に悪影響を及ぼす心配がなく安全である。
また、例えば、し尿等の汚水、すなわちリン酸やアンモニウムを含有する汚水に直接散布するだけで、マグネシウム化合物1から供給されるマグネシウムイオンが、水中のリン酸やアンモニアと反応して難溶性物質である結晶性リン酸マグネシウムアンモニウムからなる白色沈殿物を生成する。このため、廃水中のリンや窒素を直接除去することができるという効果を有する。
さらに、この場合、リン酸やアンモニウムを含有する汚水に本発明に係るマグネシウム化合物1を散布するだけマグネシウムイオンが継続的に汚水中に供給されるので、従来の汚水処理設備のように、汚水に継続的に或いは定期的にマグネシウムイオンを供給するための設備を設ける必要がない。従って、特に、規模の小さい汚水処理設備おいて設備にかかるコストを削減できるという効果を有する。
【0032】
続いて、本発明に係るマグネシウム化合物1のマグネシウムイオンの溶出性を調査する目的で、塩酸の添加量を変えて作製した試料A〜Cを用いて以下に示すような実験1を行った。この実験1の結果を表2,3及び図2を参照しながら説明する。
なお、試料A〜Cを作製する際に、酸化マグネシウム4g(0.1モル)当たりに添加した塩酸及び水酸化ナトリウムの濃度及び添加量は以下の表1に示すとおりである。
【0033】
【表1】

【0034】
本発明に係るマグネシウム化合物1のマグネシウムイオンの溶出性に関する実験は以下の手順により行った。まず、イオン交換水2Lをビーカーに入れ、塩酸の添加量を変えて作製した本発明に係るマグネシウム化合物1である試料A〜Cを、それぞれ5個ずつビーカー内に添加して静置した。そして、一定時間毎にマグネシウムイオン濃度を測定行った。その結果を、表2、3及び図2に示す。
なお、本試験に使用した試料A〜Cに係るマグネシウム化合物1の1個当たりの平均質量は0.12gであった。
【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
図2(a),(b)はいずれも本発明に係るマグネシウム化合物である試料A〜Cを2Lのイオン交換水に添加した際の水中におけるマグネシウムイオン濃度の変化を示すグラフである。
試料A〜Cを添加したそれぞれのビーカーにおけるマグネシウムイオン濃度は、図2(a)に示すように、試料A〜Cの添加直後から徐々に上昇し、特に、塩酸の添加量の多い試料Cを添加したビーカーのマグネシウムイオン濃度が最も高かった。この結果から、試料A〜Cはいずれもマグネシウムイオン供給体として作用しているといえる。
さらに、試料A〜Cの添加後8日を経過するまでそれぞれのビーカーにおけるマグネシウムイオン濃度の測定を継続したところ、図2(b)に示すように、経時変化に伴いそれぞれのビーカーにおけるマグネシウムイオン濃度の上昇が認められ、塩酸の添加量の多い試料Cを添加したビーカーのマグネシウムイオン濃度が最も高かった。
上述のような結果から、本発明に係るマグネシウム化合物1である試料A〜Cからは継続的にマグネシウムイオンが供給されていると言える。
従って、本発明に係るマグネシウム化合物1は、被散布対象である液体中においてマグネシウムイオンを溶出するので、水中に添加又は散布することで、電気的中和反応や、化学反応に必要なマグネシウムイオンを継続的に水中に供給することができるという効果を有するものである。
また、本発明に係るマグネシウム化合物1は、その作成時に添加する塩酸の量が多いほどマグネシウムイオンの溶出量が多い。このため、本発明に係るマグネシウム化合物1を作製する際に、可能な限り多量の塩酸を添加することでマグネシウムイオン供給能力の高いマグネシウム化合物1を作製することができる。
さらに、本発明に係るマグネシウム化合物1を水中に添加した際に、マグネシウムイオンの解離は長時間にわたり徐々に進行するので、マグネシウムイオンによるアオコの凝集効果や濁度除去効果、さらには汚水浄化効果が持続するという効果を有する。そして、被散布対象である液体、すなわち水よりも比重が小さいため水面に浮遊し、そのまま長期間放置した場合でも沈降しないので、水面近傍にマグネシウムイオンを持続的に供給できるという優れた効果を有するのである。
【0038】
次に、本実施の形態に係るマグネシウム化合物を用いたアオコの凝集効果や、泥水の濁度除去効果を実証するための実験2,3について図3乃至図5を参照しながら説明する。
まず、マグネシウム化合物を添加した際のアオコの容積変化を調査した実験2について図3を参照しながら説明する。
アオコの凝集効果を実証する実験2は以下のような手順で実施した。
まず、円筒型の500mLのビーカーに、河川水500mLと溜め池から採取したアオコ(ミクロキスティス)を添加し、アオコ濃度(クロロフィルa)を2.2mg/Lに調整したものを試料として準備した。
次に、この試料を十分に撹拌してから1時間静置し、アオコを表層に集積させた。続いて、500mLビーカーに表層を覆う程度の量の本発明に係るマグネシウム化合物1を添加して静置した。なお、500mLビーカーに添加したマグネシウム化合物1は、合計で5.0gであり、その個数は35個であった。また、この度の実験2には、上述の実験1に使用した試料Aと同じマグネシウム化合物1を使用した。
実験開始から3日経過後、コマゴメピペットで500mLビーカーのアオコを50mLメスシリンダーに分取し、静置した状態で1時間毎のアオコの容積を測定した。また、比較対照として、マグネシウム化合物1を添加しない場合のアオコの容積変化についても併せて調査した。上述のような実験2の結果を表4及び図3に示す。
【0039】
【表4】

【0040】
図3は、本実施の形態に係るマグネシウム化合物を添加した際のアオコの容積変化を示すグラフである。
表4及び図3に示すように、実験開始から3日経過後に50mLメスシリンダーに分取したアオコの容積は、本発明に係るマグネシウム化合物1を添加しない試料では43mLであったのに対して、マグネシウム化合物1を添加した試料の容積は16mLにまで減少していた。
さらに、50mLメスシリンダーに分取した後1時間経過した時点で、マグネシウム化合物1を添加した試料では、アオコの容積は6mLにまで減少し、最終的に、すなわち、アオコを分取した後3.5時間を経過して時点でアオコの容積は5mLにまで減少した。
これに対し、マグネシウム化合物1を添加しない方の試料においては、時間の経過とともにアオコの容積に若干の減少が認められたものの、アオコを50mLメスシリンダーに分取して3.5時間を経過した時点でのアオコの容積は30mLであった。このように、マグネシウム化合物1を添加した試料では、最終的に、アオコの容積がマグネシウム化合物1を添加する前の1/6にまで減少した。
以上のような実験結果から、本発明に係るマグネシウム化合物1は、アオコの容積を減少させる効果、すなわち、アオコの凝集効果を有すると言える。
なお、この度の実験2では、マグネシウムイオンの溶出量が比較的少ないマグネシウム化合物1を、すなわち、塩酸添加量の少ないマグネシウム化合物1を使用して実験を行ったが、マグネシウムイオンの溶出量が多いマグネシウム化合物1を、すなわち、マグネシウム化合物1の作製時の塩酸添加量が多いマグネシウム化合物1を使用すれば、マグネシウム化合物1の添加量が少ない場合でも高いアオコの凝集効果を期待できる。この場合、大量のアオコを凝集させるために必要なマグネシウム化合物1を少なくできるので経済的である。
【0041】
次に、本発明に係るマグネシウム化合物の濁度除去効果を実証するために行なった実験3について表5及び図4を参照しながら説明する。
実験3は、以下のような手順で行なった。
まず、1Lのメスシリンダーに常盤湖(山口県宇部市)の底泥100mLとイオン交換水900mLをそれぞれ加えたものを試料として供試(4試料)し、これらの試料を十分撹拌した後に、それぞれをNo.1,No.2,No.3及び対照として、No.1,No.2,No.3のそれぞれの泥水に対して、本発明に係るマグネシウム化合物1を60個,30個,15個添加し、一定時間ごとにそれぞれの濁度を積分球式濁度計(三菱化学社製「SEP−PT−706D型」)により計測した。なお、この度の実験3には、上述の実験1に使用した試料Bと同じマグネシウム化合物1を使用した。また、実験3に使用した本発明に係るマグネシウム化合物1は、全てほぼ同程度の大きさであり、個々のマグネシウム化合物1の質量の差は誤差の範囲内である。
そして、No.1,No.2,No.3及び対照における濁度の変化は、以下の表5及び図4に示す通りである。
【0042】
【表5】

【0043】
図4は本実施の形態に係るマグネシウム化合物を泥水に添加した場合の濁度変化を示すグラフである。
表5及び図4に示すように、本発明に係るマグネシウム化合物1の添加後24時間経過した時点の濁度は、マグネシウム化合物1を添加した試料No.1,No.2,No.3では、本発明に係るマグネシウム化合物の添加前の時点で濁度が約3000ppm程度あったものが、15〜33ppmにまで減少しているのに対し、マグネシウム化合物を添加していない試料(対照)においては、濁度は510ppmとなっており、依然として高い値を示したままであった。
つまり、本発明に係るマグネシウム化合物1を添加したNo.1〜3の試料において、経時とともに濁度が低下する傾向が認められ、さらに、マグネシウム化合物1の添加量が多い試料ほど濁度の減少率が大きい傾向が認められた。
これは、泥水中においてマイナスに帯電する土壌粒子や有機物質が、本発明に係るマグネシウム化合物1から解離したマグネシウムイオンにより、電気的に中和されて、反発力を失い沈降したためであると考えられる。
従って、上述のような実験3の結果から、本発明に係るマグネシウム化合物1は水中の濁度を減少させる効果を有すると言える。さらにこの効果は、添加するマグネシウム化合物1の量が多いほど顕著である。
なお、この度の実験3にも、マグネシウムイオンの溶出量が比較的少ないマグネシウム化合物1を、すなわち、塩酸添加量の少ないマグネシウム化合物1を使用して実験を行ったので、マグネシウムイオンの溶出量が多いマグネシウム化合物1を使用すれば、マグネシウム化合物1の添加量が少ない場合でも高い濁度除去効果を期待できる。この場合、大量の泥水の濁度を除去させるために必要なマグネシウム化合物1を少なくできるので経済的である。
【0044】
次に、本発明のマグネシウム化合物の製造方法に係る最良の実施の形態について図5を参照しながら説明する。(特に、請求項4乃至請求項8に対応。)
図5は本発明の本実施の形態に係るマグネシウム化合物の製造方法を示すフローチャートである。
図5に示すように、ステップS1は、酸化マグネシウムに塩酸を加えて混合し、あるいは、塩酸を撹拌しながらその中に少しづつ酸化マグネシウムを加えて混合し、スラリー状のマグネシウム化合物を作製する工程である。このステップS1では、酸化マグネシウムが塩酸及び水と反応してスラリー状のマグネシウム化合物が生成する。想定される化学式を以下に示す。
なお、このステップS1において酸化マグネシウムに塩酸を加えた際に発熱反応が起こった場合には、次の発泡工程(ステップS2)に移行する前に、スラリー状のマグネシウム化合物を20℃以下に冷却することが望ましい。この理由については後述する。
【0045】
【化1】

【0046】
またステップS1において、酸化マグネシウムに加える塩酸の量は、ステップS1の完了後に未反応の酸化マグネシウムがスラリー状のマグネシウム化合物内に残存する程度であることが望ましく、また、生成するスラリー状のマグネシウム化合物の粘度は0.9Pa・s以上とすることが望ましい。
このように、ステップS1におけるスラリー状のマグネシウム化合物の粘度を0.9Pa・s以上とすることで、後の工程である発泡体の形成工程(ステップS2)において生じた気泡をスラリー状のマグネシウム化合物内に留めることができ、その後の硬化工程(ステップS4)においても気泡を留めた状態のままマグネシウム化合物を硬化させることができるのである。
具体的には、酸化マグネシウム40g(1モル)に対して添加する好適な塩酸の量は、約0.03モルから約1モルの範囲内であることが望ましく、この場合の塩酸の濃度は約0.3Nから約6Nの範囲内であることが望ましい。
なお、ステップS1において酸化マグネシウムに添加する塩酸の量が増加するにつれて、最終生産物であるマグネシウム化合物1からのマグネシウムイオンの溶出量が増加するものの、硬化工程(ステップS4)において養生した際に乾燥が困難となる。また、一般に塩素原子の原子量は水素や酸素に比べて大きいので、本実施の形態に係るマグネシウム化合物1内における塩素(Cl)の量が多いと比重が増し、軽量化が困難となる傾向がある。
また、化1の化学式に示されるとおり、スラリー作製工程(ステップS1)において原料物質として、酸化マグネシウムと、塩化マグネシウムと、水を採用し、これらを混合しても上述のスラリー状のマグネシウム化合物と同様のスラリー状のマグネシウム化合物を生成させることが可能である。
この場合、それぞれの原料物質の好適な混合比(モル比)は、MgO:MgCl2:H2O=1:0.01〜2:5〜30である。
つまり、本発明に係るマグネシウム化合物1からマグネシウムイオンを溶出させるためには、スラリー作製工程(ステップS1)により生成するスラリー状のマグネシウム化合物がMgCl2を含有する必要がある一方で、後の硬化工程(ステップS4)においてこのスラリー状のマグネシウム化合物を硬化させるためには、スラリー状のマグネシウム化合物内に酸化マグネシウムを残存させる必要がある。なお、本実施の形態に係るマグネシウム化合物1が硬化する仕組みについては後述する。
このため、原料物質として酸化マグネシウムと、塩酸と、水を採用する場合には、酸化マグネシウムの全てが塩化マグネシウムに置換されない程度の塩酸を加えることで、また、原料物質として酸化マグネシウムと、塩化マグネシウムと、水を採用する場合には、酸化マグネシウムを直接添加することでスラリー状のマグネシウム化合物が酸化マグネシウムを含有するよう構成しているのである。
【0047】
次のステップS2は、ステップS1で生成したスラリー状のマグネシウム化合物を化学反応により発泡させて発泡体を形成する工程である。つまり、ステップS2では、ステップS1において作製したスラリー状のマグネシウム化合物に、気体を生成する物質を添加して化学反応により気体を発生させ、この気体によりスラリー状のマグネシウム化合物を発泡させているのである。
なお、化学反応により気体が発生する物質の組合せとしては、例えば、アルミニウム,亜鉛,錫等の金属粉末と、水酸化ナトリウム水溶液を用いることが可能であり、特に本実施の形態においては、金属粉末としてアルミニウムを用いている。
また、この場合に、水素(気体)を生成する際の反応式を以下に示した。
【0048】
【化2】

【0049】
また、先のステップS1において、酸化マグネシウム4gから作製されるスラリー状のマグネシウム化合物に添加するアルミニウム粉末の量は、原料物質である酸化マグネシウムの全重量の約0.3%(約1.2mg)から約15%(約60mg)の範囲内であることが望ましい。特に本実施の形態に係るマグネシウム化合物1を作製する際には、酸化マグネシウム4gから作製されたスラリー状のマグネシウム化合物にアルミニウム粉末35mgを添加した。
また、その際同時に添加する水酸化ナトリウム水溶液の量は、酸化マグネシウム4g(0.1モル)に対して約0.006モルから約0.1モルの範囲内であることが望ましく、この場合の水酸化ナトリウム水溶液の濃度は5Nから8Nの範囲内であることが望ましい。
このステップS2では、単にスラリー状のマグネシウム化合物を発泡させることを目的としており、発泡に必要な気体が十分に供給される程度の金属粉末と水酸化ナトリウム水溶液を添加する必要がある反面、必要以上の水酸化ナトリウム水溶液を添加すると、スラリー状のマグネシウム化合物内に残存する塩化マグネシウムと水酸化ナトリウムが化学反応して、マグネシウムイオンの供給源である塩化マグネシウムが難溶性の水酸化マグネシウムに置換されてしまい、最終生産物であるマグネシウム化合物1から溶出するマグネシウムイオンの量が減少したり、スラリー状のマグネシウム化合物に過剰な水分が供給されて粘度が低下する等の不具合を生じる可能性がある。このため、添加する水酸化ナトリウム水溶液は上述のような範囲内であることが望ましい。
【0050】
また、この発泡工程(ステップS2)の際に、スラリー状のマグネシウム化合物の温度が高いと気泡の生成反応が激しく起こってしまい、スラリー状のマグネシウム化合物内に多数の小さな気泡を内包させることが困難になってしまう。従って発泡工程(ステップS2)におけるスラリー状のマグネシウム化合物温度は、20℃以下であることが望ましい。特に、先のスラリー作製工程(ステップS1)において、添加する塩酸の濃度が6Nに近づくにつれて、スラリー状のマグネシウム化合物の温度が発熱反応により上昇する傾向にあるので、その場合には上述のような温度となるように冷却する必要がある。
なお、ステップS2の発泡体の形成工程では、上記の化学的手段による発泡に代えて、例えば、エアーポンプ等の物理的手段を用いてステップS1において作製したスラリー状のマグネシウム化合物に気泡を供給して発泡体を形成することも可能である。
上述のような、化学的手段による発泡は、比較的少量の本実施の形態に係るマグネシウム化合物1を作製するのに適しているのに対して、エアーポンプ等の物理的手段を用いて発泡する方法は、本実施の形態に係るマグネシウム化合物1を大量に作成する場合に適しており、この場合、作製されるマグネシウム化合物1の原材料費を安価にできるという効果を有する。
これ以外にも、例えば、硬化する前のスラリー状のマグネシウム化合物を中空な半球状に成形し、その後、半球状に成形されたマグネシウム化合物2個の開口部分を接着剤等で相互に閉合し、球状で中空なマグネシウム化合物を形成してもよい。
この場合、球状のマグネシウム化合物の中空部分の大きさを調節することで作製されるマグネシウム化合物の比重を被散布対象である液体よりも小さくすることができ、固形のマグネシウム化合物を液体中に浮遊させることができるという効果を有する。また、この場合も、作製されるマグネシウム化合物の原材料費を安価にできるという効果を有する。
【0051】
続くステップS3は、先のステップS2において形成した発泡体を粒状に分割する工程である。
このステップS3では、例えば作製するマグネシウム化合物1が少量の場合には、発泡したスラリー状のマグネシウム化合物を、薬さじやスパテール等により分取して粒状に分割する。
なお、分取したスラリー状のマグネシウム化合物発泡体を、例えば、スポンジ等の多孔質体上に載置して養生することで、発泡体の底面も発泡状態にすることができる。
また、本実施の形態に係るマグネシウム化合物1を、比重が1よりも小さくて水面に浮遊するような多孔体とするには、後の硬化工程(ステップS4)においてスラリー状のマグネシウム化合物が硬化するまでの間、発泡状態が維持されていればよい。
従って、本実施の形態に係るマグネシウム化合物1を作成する際には、スラリー状のマグネシウム化合物を予め分割してから発泡させても良いし、発泡した状態のスラリー状のマグネシウム化合物を分割してもよい。
さらに、スラリー状のマグネシウム化合物の温度を10℃以下に保って金属粉末及び水酸化ナトリウム水溶液を添加すると、発泡するまでの時間を遅くすることができる。
よって、例えば、本実施の形態に係るマグネシウム化合物1を大量に作製する場合には、ステップS2の化学的手法において、スラリー状のマグネシウム化合物の温度を10℃以下に保って金属粉末と水酸化ナトリウム水溶液を添加することで、分割工程(ステップS3)の後に発泡体の形成工程(ステップS2)を設けることができる。
【0052】
このように、分割工程(ステップS3)の後に発泡体の形成工程(ステップS2)を設けた場合、スラリー状のマグネシウム化合物を分取する際に、生成した気泡を壊してしまう恐れがなく、良質な粒状の発泡体を作製することができるという効果を有する。
なお、分割工程(ステップS3)は、最終工程であるステップS4の硬化工程の後に設けても良い。
つまり、スラリー状のマグネシウム化合物発泡体を板状に成形した状態で硬化させ、板状に硬化したマグネシウム化合物1の発泡体を裁断して粒状に分割してもよい。この場合、スラリー状のマグネシウム化合物を分割する必要がないので、本実施の形態に係るマグネシウム化合物1を大量に生産する場合に適している。
【0053】
最後に、ステップS4は硬化工程であり、ステップS3において粒状に分割されたスラリー状のマグネシウム化合物発泡体を養生して固化する工程である。
本実施の形態に係るマグネシウム化合物1は、セメント硬化物の一種であるため、湿潤条件下において静置することで、スラリー状のマグネシウム化合物内の酸化マグネシウム、塩化マグネシウム及び水酸化マグネシウムが水和反応を起こして硬化するのである。
なお、本実施の形態に係るスラリー状のマグネシウム化合物発泡体を特別な加熱設備等を使用しないで自然に硬化させるためには、スラリー状のマグネシウム化合物発泡体を、湿度80%以上を保持した状態で、あるいは、定期的に散水して水分を補給しながら約1週間から4週間程度静置すればよい。そして、マグネシウム化合物1の養生完了した後は、風通しの良い場所で余分な水分が抜けるまで風乾すればよい。
【0054】
なお、本実施の形態に係るスラリー状のマグネシウム化合物発泡体を硬化させる際の雰囲気温度は、できるだけ高い温度であることが望ましい。また、特別な加熱設備等を使用しないで自然に硬化させるには、硬化時の雰囲気温度を約5℃〜50℃の範囲内に設定することが望ましい。より望ましくは20℃〜50℃の範囲内に設定することが好ましい。
なお、本発明に係るマグネシウム化合物1は、硬化時の雰囲気温度が50℃以上であっても硬化させることが可能である。そして、この場合、硬化工程(ステップS4)と、後述する乾燥工程を同時に行なうことも可能となり、しかも、硬化時の雰囲気温度を50℃以上に設定した場合には、硬化工程(ステップS4)にかかる時間を短縮することができるので、本発明に係るマグネシウム化合物1を、例えば、工業的に大量生産する場合に適している。
また、ステップS1において生成するスラリー状のマグネシウム化合物における塩化マグネシウムの含有量が多い場合、すなわち、本発明に係るマグネシウム化合物1の原料物質に酸化マグネシウムと塩酸を使用する場合には、添加する塩酸のモル量が酸化マグネシウムのモル量に近づくほど、あるいは、本発明に係るマグネシウム化合物1の原料物質に酸化マグネシウムと塩化マグネシウムと水を使用する場合には、塩化マグネシウムのモル量が酸化マグネシウムのモル量の2倍に近づくほど本発明に係るマグネシウム化合物1のマグネシウムイオン供給能が向上するという利点を有する。その反面、マグネシウム化合物1が塩素を多く含有する場合、すなわち、原料物質に塩酸や塩化マグネシウムを多量に用いるとマグネシウム化合物1を容易に風乾することができないという不具合がある。
【0055】
そこで、このような塩化マグネシウムの含有量の多いマグネシウム化合物1を作製する際には、硬化工程(ステップS4)に続いて、乾燥機を用いて強制的にマグネシウム化合物1を乾燥させる乾燥工程(図示せず)を設ける必要がある。
この場合、硬化した本発明に係るマグネシウム化合物1を乾燥するのに必要な温度及び乾燥時間は、使用する乾燥機の容量や乾燥しようとするマグネシウム化合物1の量によって変動するのであるが、概ね、雰囲気温度50℃程度の温度条件下においては約8時間程度、また、雰囲気温度100℃程度の温度条件下においては約5時間程度乾燥することが望ましい。
さらに、本来風乾が可能な原料物質として塩酸又は塩化マグネシウムの添加量の少ないマグネシウム化合物1についても乾燥機を用いて乾燥することが可能である。この場合も、好適な温度及び乾燥時間は、やはり、使用する乾燥機の容量や乾燥しようとマグネシウム化合物1の量によって変動するのであるが、概ね、雰囲気温度50℃程度の温度条件下においては約5時間程度、また、雰囲気温度100℃程度の温度条件下においては約1時間程度乾燥することが望ましい。
【0056】
このように、本実施の形態に係るマグネシウム化合物の製造方法においては、スラリー状のマグネシウム化合物を発泡させた状態で硬化させることで、気孔を有する多孔体として、比重が1よりも小さくて水面に浮遊させることができ、しかも優れたマグネシウムイオン供給体として作用する多孔性のマグネシウム化合物を製造することができるという効果を有する。
なお、スラリー状のマグネシウム化合物の発泡の程度を制御することによれば、淡水だけでなく海水や汽水にも本実施の形態に係るマグネシウム化合物1を浮遊させることができる。
【0057】
続いて、上述のような本発明のマグネシウム化合物1を用いたラン藻類等の植物プランクトンの除去方法に係る最良の実施の形態について図6を参照しながら説明する。(特に、請求項9に対応)
図6は、本発明に係るマグネシウム化合物を用いたラン藻類等の植物プランクトンの除去方法を示すフローチャートである。
図6に示すように、本発明に係るマグネシウム化合物1を用いたラン藻類等の植物プランクトンの除去方法は主に、ラン藻類等の植物プランクトンが大量に発生した湖面又は川面又は海面に本発明に係るマグネシウム化合物1を散布する散布工程(ステップS10)と、その後、本発明に係るマグネシウム化合物1をそのまま放置してマグネシウムイオンを溶出させ、このマグネシウムイオンによりマイナスに荷電するラン藻類等の植物プランクトンを電気的に中和させて凝集させる凝集工程(ステップS11)と、散布したマグネシウム化合物1及び凝集したラン藻類等の植物プランクトンを回収する回収工程(ステップS12)の3つの工程により構成されるものである。
【実施例】
【0058】
図6に示されるマグネシウム化合物を用いたラン藻類の除去方法に関する実施例について図7を参照しながら説明する。図7は、マグネシウム化合物を用いたラン藻類等の植物プランクトンの除去方法の実施例を示す概念図である。
なお、図7では水質汚染の原因である植物プランクトンのうち、湖沼に発生するアオコを除去する場合を例に挙げて説明する。
図7において、まず、湖沼4の風下側でラン藻類であるアオコ5が集積していると考えられる水面に吸引口7を設置し、その水面近傍の陸地に沈殿槽6を備えるアオコ回収装置を設置する。なお、沈殿槽6はプラスチック製でその容積は2〜3m3程度で十分であるので、トラック8の荷台に積載することができ、他の場所への移動が可能となっている。
次に、アオコ5が発生している箇所にマグネシウム化合物1を散布する。このマグネシウム化合物1の散布から1〜3日経過すると、マイナスに荷電し互いに反発し合い分散して浮遊していたアオコ5は、マグネシウム化合物1から溶出する陽イオンであるマグネシウムイオンの作用によって電気的に中和されて互いの反発力を弱めて凝集する。
そして、凝集したアオコ5はマグネシウム化合物1とともに吸引口7から吸引して沈殿槽6に導き、0.5時間程度滞留させると、アオコ5及びマグネシウム化合物1が共に浮上又は沈降するので、これらを水中から分離して回収する。
ここで、図7に示すように、マグネシウム化合物1の製造条件によっては、水中で滞留させた後でも硬い状態を維持して気孔が消失することなく、沈殿槽6においてマグネシウム化合物1が沈降しない場合がある。この場合には、アオコ5とマグネシウム化合物1を沈殿槽6から浮上分離により回収する。他方、マグネシウム化合物1が沈降する場合があるが、これは水面に散布後のマグネシウム化合物1が経時とともに柔らかくなり、吸引時に細かく砕けて内部の気孔部分が消失して比重が大きくなるためである。この場合には、砕けたマグネシウム化合物1の沈降に伴いアオコ5も沈降し、共に沈殿槽から沈降分離により回収する。
【0059】
なお、回収工程(ステップS12)において回収されるラン藻類等の植物プランクトンには、マグネシウムイオンが吸着している。そして、マグネシウムイオンが吸着したラン藻類等の植物プランクトン及び回収したマグネシウム化合物1を併せて焼成(焼却)すると、ラン藻類等の植物プランクトンについては焼却される際に炭化して消失してしまうので、最終的に、酸化マグネシウムを単体で入手することができるのである。
このように回収された酸化マグネシウムは、本発明に係るマグネシウム化合物1の原料として再度利用することが可能である。また、苦土肥料としても利用することができる。
そして、このようにラン藻類等の植物プランクトンが大量に発生した湖面又は川面又は海面からラン藻類等の植物プランクトンを回収することは、すなわち、ラン藻類等の植物プランクトンが増殖する際に栄養物質として体内に取り込んだリンや窒素等の富栄養化物質を湖水又は海水から間接的に除去することでもあり、この結果、湖水又は海水における水質を浄化することができるという優れた効果を有している。
【0060】
以上、説明したように本発明に係るマグネシウム化合物1を用いたラン藻類等の植物プランクトンの除去方法によれば、ラン藻類等の植物プランクトンを除去するための設備を極めて簡素なものにすることができ、作業も簡単であるので、ラン藻類の除去に係るコストを低減することができるという効果を有する。また、回収したマグネシウム化合物1は、焼成することで酸化マグネシウムを生成させることができる。そして、この酸化マグネシウムは、マグネシウム化合物1の原料として再利用することが可能である。このため、マグネシウム化合物1を製造する際の原材料費を削減できるという効果を有する。
このように、マグネシウム化合物1の原料物質は再利用が可能であるため、ラン藻類等の植物プランクトンの除去時に使用されたマグネシウム化合物1を埋立処分等の方法により処分する必要がないので、環境への負荷も小さくできるという効果も有する。
従って、上述のようなラン藻類等の植物プランクトンの除去方法は、自治体等において着手しやすく、環境美化や生態系の保護の分野において利用価値の高いものである。
【0061】
最後に、本発明に係るマグネシウム化合物を用いた汚水処理方法に係る最良の実施の形態について図8を参照しながら説明する。(特に請求項10に対応)
図8は本発明に係るマグネシウム化合物を用いた汚水処理方法を示すフローチャートである。
図8に示すように、本発明に係るマグネシウム化合物1を用いた汚水処理方法は主に、畜舎廃水や食品廃水や廃水処理施設の脱離液等の高濃度のリンや窒素を含む汚水中に本発明に係るマグネシウム化合物1を散布する散布工程(ステップS20)と、その後、本発明に係るマグネシウム化合物1をそのまま放置してマグネシウムイオンを溶出させ、このマグネシウムイオンと汚水中のリン酸及びアンモニアとを反応させて、リン酸マグネシウムアンモニウムの結晶性の白色沈殿物を生成させる反応工程(ステップS21)と、生成したリン酸マグネシウムアンモニウムの白色沈殿物および使用済みのマグネシウム化合物1を回収する回収工程(ステップS22)の3つの工程により構成されるものである。
このように、本発明に係るマグネシウム化合物を用いた汚水処理方法においては、畜舎廃水や食品廃水や廃水処理施設の脱離液等の高濃度のリンや窒素を含む汚水中に本発明に係るマグネシウム化合物1を散布すると、汚水の水面に浮遊するマグネシウム化合物からマグネシウムイオンが解離して、汚水中のリン酸及びアンモニアと反応して、リン酸マグネシウムアンモニウムの結晶性の白色沈殿物が生成する。そして、この沈殿物を回収することで、汚水からリン及び窒素を直接除去することができるのである。
また、散布したマグネシウム化合物1は回収して焼成すると、酸化マグネシウムが得られるので、本発明に係るマグネシウム化合物1の原料として再利用したり、或いは苦土肥料として利用することができる。
一般に適用されているリン酸マグネシウムアンモニウム造粒施設、すなわち、汚水処理設備では、汚水中に連続的に又は定期的にマグネシウムを添加するための施設等が必要であるのに対して、本発明に係るマグネシウム化合物1を用いた汚水処理方法によれば、汚水中にマグネシウム化合物1を散布するだけでよいので、高額な設備費が不要になる。特に、規模の小さい汚水処理設備の低コスト化を可能にするという効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上説明したように、本発明の請求項1乃至請求項10に記載された発明は、水面近傍にマグネシウムイオンを供給してラン藻類の除去や汚水処理を簡単に行うことができるマグネシウム化合物及びその製造方法及びそれを用いたラン藻類除去方法及び汚水処理方法を提供可能であり、湖沼を管理する自治体や廃水施設において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】(a)は本発明の本実施の形態に係るマグネシウム化合物の実物写真であり、(b)は同じくマグネシウム化合物を水に浮遊させた状態を示す実物写真である。
【図2】(a),(b)はいずれも本発明に係るマグネシウム化合物である試料A〜Cを2Lのイオン交換水に添加した際の水中におけるマグネシウムイオン濃度の変化を示すグラフである。
【図3】本実施の形態に係るマグネシウム化合物を添加した際のアオコの容積変化を示すグラフである。
【図4】本実施の形態に係るマグネシウム化合物を泥水に添加した場合の濁度変化を示すグラフである。
【図5】本発明の本実施の形態に係るマグネシウム化合物の製造方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係るマグネシウム化合物を用いたラン藻類等の植物プランクトンの除去方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係るマグネシウム化合物を用いたラン藻類等の植物プランクトンの除去方法の実施例を示す概念図である。
【図8】本発明に係るマグネシウム化合物を用いた汚水処理方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1…マグネシウム化合物 2…ビーカー 3…水 4…湖沼 5…アオコ 6…沈殿槽 7…吸引口 8…トラック


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化マグネシウムと、塩酸又は塩化マグネシウムと、水とから生成するマグネシウム化合物であって、前記マグネシウム化合物は、被散布対象である液体中にマグネシウムイオンを溶出することを特徴とするマグネシウム化合物。
【請求項2】
前記マグネシウム化合物は、多孔体として形成されることを特徴とする請求項1記載のマグネシウム化合物。
【請求項3】
前記マグネシウム化合物は、被散布対象である液体よりも比重が小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマグネシウム化合物。
【請求項4】
酸化マグネシウムと、塩酸又は塩化マグネシウムと、水とを混合してスラリー状のマグネシウム化合物を生成するスラリー作製工程と、スラリー状の前記マグネシウム化合物に発泡手段を用いて発泡体を形成する発泡体形成工程と、前記発泡体を養生して固化する硬化工程とを有することを特徴とするマグネシウム化合物製造方法。
【請求項5】
前記マグネシウム化合物製造方法は、前記発泡体形成工程の前又は後に、あるいは前記硬化工程の後に、前記マグネシウム化合物を粒状に分割する分割工程を有することを特徴とする請求項4に記載のマグネシウム化合物製造方法。
【請求項6】
前記発泡体形成工程における発泡手段は、アルミニウム又は亜鉛又は錫からなる金属粉末と水酸化ナトリウムの混合による化学反応であることを特徴とする請求項4に記載のマグネシウム化合物製造方法。
【請求項7】
前記発泡体形成工程における発泡手段は、エアーポンプによる気泡の供給であることを特徴とする請求項4に記載のマグネシウム化合物製造方法。
【請求項8】
請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載のマグネシウム化合物製造方法により製造されることを特徴とするマグネシウム化合物。
【請求項9】
請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項8に記載の前記マグネシウム化合物を湖沼又は河川又は海洋に散布して、植物性プランクトンを凝集させた後に、前記マグネシウム化合物及び凝集した植物性プランクトンを回収して前記湖沼又は河川又は海洋から植物性プランクトンを除去することを特徴とする植物性プランクトン除去方法。
【請求項10】
請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項8に記載の前記マグネシウム化合物をリン酸及びアンモニア性窒素を含む汚水に散布して、リン酸マグネシウムアンモニウムを析出させた後に、前記マグネシウム化合物及び析出したリン酸マグネシウムアンモニウムを回収して前記汚水からリン酸及びアンモニア性窒素を除去することを特徴とする汚水処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−289947(P2007−289947A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90170(P2007−90170)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(391016082)山口県 (54)
【Fターム(参考)】