説明

マグネシウム基複合粉末、マグネシウム基合金素材およびそれらの製造方法

【課題】 高温加熱を施さなくても、微細なMgSi粒子を多量に含有する高剛性および高強度のマグネシウム合金を提供する。
【解決手段】 MgSi粒子分散型マグネシウム基複合材料を作るための出発原料となるマグネシウム基複合粉末は、マグネシウム合金の素地を構成する主成分となるMg基粉末7と、その表面にバインダ9を介して付着したMgSi粒子とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高剛性を有するMgSiを含むマグネシウム基複合粉末およびマグネシウム基合金素材ならびにそれらの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マグネシウム合金は、その低比重による軽量化効果を特徴とし、主に携帯電話や携帯音響機器の筐体において広く製品化・実用化されている。製品や部材の設計においては、素材の強度や硬さといった機械的特性の他に、剛性が重要な材料因子となる。
【0003】
例えば、オートマチックトランスミッション(AT)用ハウジング(ケース)にマグネシウム合金を適用する際、現在用いられているアルミニウム合金(例えば、ADC12)と同等の引張強さやクリープ強度を有する場合であっても、既存のマグネシウム合金の剛性(ヤング率)はアルミニウム合金の約60%前後であるため、同じ寸法・肉厚では荷重が付与された場合に撓み・変形が生じる。それゆえに、これまでマグネシウム合金の実用化においては、適用する製品・部材によっては厚肉化設計が必要となり、軽量化効果が得られないという問題があった。
【0004】
マグネシウム合金をはじめ、金属材料の剛性向上には、その金属材料よりも高い剛性を有する化合物粒子を分散させる方法、いわゆる複合材料の利用が一般に有効である。例えば、マグネシウムシリサイド(MgSi)はヤング率が120GPaであり、一般のマグネシウム合金のヤング率(43〜44GPa)に比べて顕著に大きいことから、その粒子を合金中に分散した複合材料においては剛性向上が期待できる。
【0005】
しかしながら、溶解・鋳造法によりMg−Si系合金を製造する場合、Si含有量が重量基準で約1%付近に共晶点が存在するため、1重量%を遥かに超えるSiを添加した場合、Mgとの反応によって生成するMgSiは粗大成長する。このような粗大なMgSi粒子を含むマグネシウム合金では、その粒子での応力集中による強度・靭性の低下が生じることや、MgとSiとの反応による発熱を伴うことで溶解過程での爆発などの危険性がある。また粗大なMgSi粒子が存在することで金型内への鋳込み性能(鋳造性)が低下し、鋳造合金素材内部に多数の欠陥や空孔が存在するといった問題が生じる。それゆえに、AS21合金(Mg−2%Al−1%Si)やAS41合金(Mg−4%Al−1%Si)などが溶解・鋳造法によって製造可能なMgSi含有マグネシウム合金である。しかしながら、1重量%程度のSiを添加した場合、生成するMgSi粒子の体積分率が全体の1%程度にも満たないため、マグネシウム合金の剛性を著しく向上させることは困難である。
【0006】
他方、S.K.THAKURら(出典:Metallurgical and Materials Transactions A, Vol. 35A, March 2004, p.1167-1176)は、Si粉末を含む3種類の混合粉末を固化したプリフォームを事前に形成し、ここに溶解したマグネシウム合金を加圧しながら浸透させる溶浸(infiltration)法によってMgSi粒子を含むマグネシウム合金を製造する方法を提案している。しかしながら、この方法では、溶解したMg合金とSiとの反応によって合成するMgSiは、その反応過程で粒成長を伴い、結果として70〜100μm程度の粗大なMgSi粒子としてマグネシウム合金中に存在する。その結果、上述したような種々の性能上の問題を生じる。
【非特許文献1】Metallurgical and Materials Transactions A, Vol. 35A, March 2004, p.1167-1176
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明者は、特願2003−2602号(2003年1月8日出願)において、粉末冶金法を用いて、MgSi粒子が分散するマグネシウム基複合材料を製造する技術を開示した。ここでは、機械的結合法あるいはバインダを用いた接着法によって微細なSi粉末またはSiO粉末をマグネシウム基合金粉末の表面に付着したマグネシウム複合粉末およびその製造方法を提案している。さらに、このような複合粉末に対して温間塑性加工を施し、その過程でMgと、SiまたはSiOとの固相反応を利用してMgSi粒子を生成し、最終的に内部にこのMgSi粒子を均一に分散させたマグネシウム基複合材料を得ることを提案している。
【0008】
特願2003−2602号に開示された技術により得られるマグネシウム基複合材料は、高い引張強さを示すが、Mgと、SiまたはSiOとの反応に必要な高温加熱(例えば、400〜550℃程度)が必要である。その際にマグネシウム結晶粒の粗大化を伴う。言い換えると、更なる高強度化を実現するには加熱温度の低温化が有効であるが、上記の固相反応の関係から、例えば、300℃前後といった低温加熱化は困難である。
【0009】
本発明の目的は、高温加熱を施さなくても、微細なMgSi粒子を多量に含有する高剛性および高強度のマグネシウム合金を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者は、MgSi粒子を分散させているマグネシウム基複合材料を製造するには、Mg基粉末の表面および/または素地内部にMgSi粒子が存在するマグネシウム基複合粉末を用いることが有効であることを見出した。特願2003−2602号に開示されたようなSi粒子を用いて、Mg粉体との固相反応によりMgSi粒子を合成する方法ではなく、MgSi粒子を用いることにより、以下の利点が得られることを見出した。
【0011】
(1)上記のSi−Mg反応を促進させるために要する、400〜550℃付近までの高温加熱が不要となり、その結果、素地のMg結晶粒の粗大・成長を抑えることでMg基合金の強度低下を抑制できる。
【0012】
(2)Si−Mg反応過程における発熱現象を回避することでMgSi粒子およびMg結晶粒の粗大化を抑制できる。
【0013】
要するに、上述したようなMgとSiとの固相反応に必要な高温加熱を施さなくとも、200〜400℃程度での温間押出加工によってマグネシウム基合金の製造が可能となる。その結果、微細なMgSi粒子を多量に含有する高剛性かつ高強度のマグネシウム基合金を得ることができる。
【0014】
本発明に従ったマグネシウム基複合粉末は、マグネシウム基粉末と、マグネシウム基粉末の表面および素地内部の少なくともいずれか一方に分散しているマグネシウムシリサイド(MgSi)とを備える。
【0015】
上記のマグネシウム基複合粉末において、MgSiの最大粒子径は、50μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは5μm以下である。また、当該マグネシウム基複合粉末に対するMgSiの含有量は、好ましくは、体積基準で5〜60%である。
【0016】
本発明に従ったマグネシウム基合金素材は、上記のマグネシウム基複合粉末を圧粉成形して焼結したものであり、素地中にMgSi粒子を分散させている。
【0017】
一つの実施形態では、本発明に従ったマグネシウム基複合粉末の製造方法は、次の工程を備える。
a) マグネシウム(Mg)基粉末およびマグネシウムシリサイド(MgSi)粒子を準備する工程。
b) Mg基粉末の表面にバインダを塗布する工程。
c) バインダを塗布したMg基粉末とMgSi粒子とを混合・攪拌して、Mg基粉末の表面にMgSi粒子を結合させる工程。
【0018】
他の実施形態では、本発明に従ったマグネシウム基複合粉末の製造方法は、次の工程を備える。
a) マグネシウム(Mg)基粉末およびマグネシウムシリサイド(MgSi)粒子を準備する工程。
b) Mg基粉末とMgSi粒子とを配合した後に機械的に混合して、Mg基粉末の表面にMgSi粒子を機械的に結合させる工程。
【0019】
上記の方法において、Mg基粉末の表面にMgSi粒子を機械的に結合させる手法は、例えば、配合粉末をボールミル、混合粉砕ミル、ローラーコンパクタ、または圧延機等を用いて機械的に混合することである。
【0020】
さらに他の実施形態では、本発明に従ったマグネシウム基複合粉末の製造方法は、次の工程を備える。
a) マグネシウム(Mg)基粉末およびマグネシウムシリサイド(MgSi)粒子を準備する工程。
b) Mg基粉末とMgSi粒子とを混合する工程。
c) 混合粉末を金型内で圧粉成形してMgSi粒子が分散したMg基圧粉成形体を作製する工程。
d) Mg基圧粉成形体を焼結してMgSi粒子が分散したMg基焼結合金を作製する工程。
e) Mg基焼結合金を機械的に粉砕または切削加工して粉体粉末化する工程。
【0021】
さらに他の実施形態では、本発明に従ったマグネシウム基複合粉末の製造方法は、次の工程を備える。
a) マグネシウム(Mg)基粉末およびシリコン(Si)粒子を準備する工程。
b) Mg基粉末とSi粒子とを混合する工程。
c) 混合粉末を金型内で圧粉成形してSi粒子が分散したMg基圧粉成形体を作製する工程。
d) Mg基圧粉成形体を加熱しMgとSiとの反応によってMgSiを合成すると同時に、MgSi粒子が分散したMg基焼結合金を作製する工程。
e) Mg基焼結合金を機械的に粉砕または切削加工して粉体粉末化する工程。
【0022】
さらに他の実施形態では、本発明に従ったマグネシウム基複合粉末の製造方法は、次の工程を備える。
a) マグネシウム基溶湯中にマグネシウムシリサイド(MgSi)粒子を投入して攪拌する工程。
b) 溶湯を型に鋳込んで鋳造素材を作製する工程。
c) 鋳造素材を機械的に粉砕または切削加工して粉体粉末化する工程。
【0023】
さらに他の実施形態では、本発明に従ったマグネシウム基複合粉末の製造方法は、次の工程を備える。
a) マグネシウム(Mg)基粉末およびマグネシウムシリサイド(MgSi)粒子を準備する工程。
b) Mg基粉末とMgSi粒子とを混合する工程。
c) 混合粉末を金型内で圧粉成形してMgSi粒子が分散したMg基圧粉成形体を作製する工程。
d) Mg基圧粉成形体を溶解・鋳造してMgSi粒子分散Mg基鋳造素材を作製する工程。
e) 鋳造素材を機械的に粉砕または切削加工して粉体粉末化する工程。
【0024】
さらに他の実施形態では、本発明に従ったマグネシウム基複合粉末の製造方法は、次の工程を備える。
a) マグネシウム(Mg)基粉末およびシリサイド(Si)粒子を準備する工程。
b) Mg基粉末とSi粒子とを混合する工程。
c) 混合粉末を金型内で圧粉成形してSi粒子が分散したMg基圧粉成形体を作製する工程。
d) Mg基圧粉成形体を加熱してMgとSiとの反応によってMgSiを合成すると同時に、MgSi粒子が分散したMg基焼結合金を作製する工程。
e) Mg基焼結合金を溶解・鋳造してMgSi粒子分散Mg基鋳造素材を作製する工程。
f) 鋳造素材を機械的に粉砕または切削加工して粉体粉末化する工程。
【0025】
本発明に従ったマグネシウム基合金素材の製造方法は、上述したマグネシウム基複合粉末を圧粉成形する工程と、この圧粉成形体を200〜400℃の不活性ガス雰囲気または非酸化性ガス雰囲気で加熱する工程と、加熱後直ちに圧粉成形体を押出加工して緻密化する工程とを備える。
【0026】
本発明の特徴および作用効果については、以下の項に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(1)マグネシウム基複合粉末
(A)MgSiの含有量
マグネシウム基複合粉末全体を100%とした場合、体積基準で5〜60%のMgSiを含有する。また本複合粉末を固化して得られるマグネシウム基合金の機械加工性(切削性)の観点から、より好ましいMgSiの含有量は体積基準で20〜40%である。MgSi粒子の含有量が5%未満の場合、十分な剛性を有するマグネシウム合金が得られない。他方、MgSi粒子の含有量が60%を超える場合、MgSi粒子を含むマグネシウム基複合粉末においてMgSi粒子の偏析・凝集が生じ、このような粉末を固化して得られるマグネシウム基合金において強度や靭性の低下が生じる。アルミニウム合金と同等レベルの剛性を有し、しかも優れた強度と被削性を確保するためのより好ましいMgSi粒子の含有量は体積基準で20〜40%である。
【0028】
(B)MgSiの最大粒子径
マグネシウム基複合粉末に含まれるMgSiの最大粒子径は50μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。MgSi粒子の最大粒子径が50μmを超えると、得られるマグネシウム基合金の機械的特性や被削性が低下するといった問題が生じる。その値が20μm以下の場合、40体積%を超えるMgSi粒子を含む場合であっても良好な被削性が維持できる。さらにMgSi粒子の最大粒子径が5μm以下の場合には、マグネシウム基合金の被削性が向上すると同時に、微細なMgSi粒子の分散によって本合金の引張強さが向上する。
【0029】
(C)剛性(ヤング率)
マグネシウム基合金のヤング率は48〜90GPaである。ヤング率が48GPa未満であれば、既存のマグネシウム合金のヤング率に対する増加率が10%以下となり、自動車用カバー・ケース関連部品やパソコン・携帯機器などの筐体部品などに適用することは困難である。他方、前記の通り、ヤング率が90GPaを超える場合には、MgSiの含有量が体積基準で60%を超えることとなるために合金素材の靭性や被削性が低下する。
【0030】
(2)マグネシウム基複合粉末の製造方法
(A)バインダによる接着を用いたマグネシウム基複合粉末
図1および図2は、バインダ溶液を用いたMg基複合粉末の製造方法を示し、図3は、これらの方法によって得られたMg基複合粉末の断面構造を模式的に示している。
【0031】
本方法では、湿式造粒機やスプレードライヤーを用いて複合粉末を製造する。図1に示す方法では、容器1内にMg基粉末とMgSi粒子との混合物2を投入し、温風3を容器1の下部から供給してこの混合物2を浮遊させる。その状態で、バインダ溶液4を上部から混合物2に噴霧して各粒子の表面にバインダを塗布しながら、同時に高温乾燥させる。その結果、図3に示すように、Mg基粉末7の表面にバインダ9を介してMgSi粒子8が付着・結合する。
【0032】
図2に示す方法では、容器1内に比較的低風量でMg基粉末とMgSi粒子との混合物2を浮遊させた状態で、バインダ溶液4を風流方向に対して垂直に下部から噴霧している。
【0033】
また、図示していないが、バインダ溶液中にMgSi粒子を混合・攪拌し、このバインダ溶液を、温風によって浮遊したMg基粉末に対して噴霧して塗布することにより、同様にMg基粉末表面にバインダを介してMgSi粒子を付着・結合させることができる。
【0034】
また別の方法として、所定量のMg基粉末を容器に投入し、その中にバインダとなるオレイン酸をMg基粉末に対して重量比率で0.2〜0.5%添加した後、容器全体を振動あるいは回転させることで容器内のMg基粉末表面にオレイン酸を塗布する。その後、容器にMgSi粒子を添加し、再度容器を振動あるいは回転させて、オレイン酸が塗布されたMg基粉末表面にMgSi粒子を付着させる。このようにして、図3に示すようなMg基複合粉末が得られる。
【0035】
(B)機械的結合によるマグネシウム基複合粉末
一方、機械的に結合させる方法としては、Mg基粉末とMgSi粒子とを混合した状態でボールミルや混合粉砕ミル、ローラーコンパクタ、圧延機などに投入し、圧縮・せん断加工などを混合粉体に付与することで、Mg基粉末表面にMgSi粒子が機械的に結合・付着したMg基造粒物が得られる。必要に応じて、この造粒物から粉砕・篩粉機によって図4に示すような断面構造を有する所定の寸法・形状を有するMg基複合粉末を得ることができる。図4に示すMg基複合粉末15では、Mg基粉末7の表面にMgSi粒子8が機械的に結合して付着している。
【0036】
(C)MgSi粒子分散Mg基焼結合金を用いたマグネシウム基複合粉末
(a)図5に示す方法
出発原料としてMg基粉末とMgSi粒子とを準備し、両者を所定の配合比率で混合・攪拌した後、金型内に充填し、加圧固化することでMgSi粒子が分散したMg基圧粉成形体を作製する。
【0037】
上記の圧粉成形体を不活性ガスあるいは非酸化性ガスあるいは真空中でMg基粉末の融点未満で加熱することで、Mg基粉末間での固相拡散によってMgSi粒子分散型Mg基焼結合金が得られる。
【0038】
上記のMgSi粒子分散型Mg基焼結合金をボールミルやクラッシャーミルなどの粉砕機あるいは切削等の機械加工によって粉体化することにより、図6に示すような断面構造で所定の寸法・形状を有するMg基複合粉末16が得られる。図6に示すMg基複合粉末16では、主としてMg基粉末7の素地の内部にMgSi粒子が分散している。
【0039】
なお、上記のMgSi粒子分散型Mg基焼結合金において、体積基準でMgSi粒子の含有量が60%を超える場合、MgSi粒子の偏析・凝集が生じ、また切削加工における工具寿命の低下といった被削性の問題が生じる。かかる観点から、MgSi粒子の含有量は60%以下が望ましい。
【0040】
(b)図7に示す方法
出発原料としてMg基粉末とSi粒子とを準備し、両者を所定の配合比率で混合・攪拌した後、金型内に充填し、加圧固化することでSi粒子が分散したMg基圧粉成形体を作製する。
【0041】
上記の圧粉成形体を不活性ガスあるいは非酸化性ガスあるいは真空中でMg基粉末の融点未満で加熱することにより、Si−Mg間での固相反応によるMgSi合成と同時に、Mg基粉末間での固相拡散によってMgSi粒子分散型Mg基焼結合金を得る。
【0042】
上記のMgSi粒子分散型Mg基焼結合金をボールミルやクラッシャーミルなどの粉砕機あるいは切削等の機械加工によって粉体化することにより、図6に示すような構造で所定の寸法・形状を有するMgSi粒子を含むMg基複合粉末が得られる。
【0043】
(D)MgSi粒子分散Mg基鋳造合金を用いたマグネシウム基複合粉末
(a)図8に示す方法
出発原料として準備したMgSi粒子をMg基合金溶湯に投入して攪拌した後に、型内に鋳込む。型から取り出したMg基鋳造合金中には、添加したMgSi粒子が均一に分散している。
【0044】
上記の鋳造合金をボールミルやクラッシャーミルなどの粉砕機あるいは切削等の機械加工によって粉体化することにより、図6に示すような断面構造で所定の寸法・形状を有するMgSi粒子を含むMg基複合粉末が得られる。なお、MgSi粒子を投入した後のMg基合金溶湯の溶解温度は、Mg−Si平衡状態図においてMgとMgSiとの固相線温度未満とする。逆に固相線温度以上に加熱すると、MgSiがMg基合金溶湯中に固溶し、鋳込んだ後の凝固過程でMgSiが粗大・成長するといった問題が生じる。
【0045】
(b)図9に示す方法
出発原料としてMg基粉末とMgSi粒子とを準備し、両者を所定の配合比率で混合・攪拌した後、金型内に充填し、加圧固化してMgSi粒子が分散したMg基圧粉成形体を作製する。この圧粉成形体をるつぼ内に投入して加熱し、MgSi粒子が分散するMg基合金溶湯を作製する。十分に溶湯を攪拌した後に型内に鋳込む。
【0046】
型から取り出したMg基鋳造合金中には、添加したMgSi粒子が均一に分散しており、この合金をボールミルやクラッシャーミルなどの粉砕機あるいは切削等の機械加工によって粉体化することにより、図6に示すような断面構造で所定の寸法・形状を有するMgSi粒子を含むMg基複合粉末が得られる。
【0047】
(c)図10に示す方法
出発原料としてMg基粉末とSi粒子とを準備し、両者を所定の配合比率で混合・攪拌した後、金型内に充填し、加圧固化することにより、Si粒子が分散したMg基圧粉成形体を作製する。
【0048】
上記の圧粉成形体を不活性ガスあるいは非酸化性ガスあるいは真空中でMg基粉末の融点未満で加熱することにより、Si−Mg間での固相反応によるMgSi合成と同時に、Mg基粉末間での固相拡散によってMgSi粒子分散型Mg基焼結合金が得られる。
【0049】
上記の焼結合金をるつぼ内に投入して加熱し、MgSi粒子が分散するMg基合金溶湯を作製する。十分に溶湯を攪拌した後に型内に鋳込む。型から取り出したMg基鋳造合金中には、添加したMgSi粒子が均一に分散しており、この合金をボールミルやクラッシャーミルなどの粉砕機あるいは切削等の機械加工によって粉体化することにより、図6に示すような断面構造で所定の寸法・形状を有するMgSi粒子を含むMg基複合粉末が得られる。
【0050】
なお、切削加工の際に用いた切削油はMg基複合粉末に付着するため、洗浄処理により切削油成分を除去した上で原料として用いる。
【0051】
(3)マグネシウム基合金素材
上記のMgSi粒子を含むMg基複合粉末を出発原料とし、これを成形固化することでMgSi粒子が分散するMg基合金が得られる。
【0052】
Mg基複合粉末を圧粉成形した後、これを加熱して押出加工あるいは鍛造加工あるいは圧延加工を施すが、その際の成形体の加熱温度は200〜400℃程度が好ましい。200℃を下回ると、押出加工が困難となる場合が生じる。他方、400℃を超えると、押出加工速度の高速化に伴い、押出加工後の素材の温度が上昇し、結晶粒の粗大化による強度低下を招く場合もある。
【0053】
上記のようにして得られたMg基合金の素地中には、微細なMgSi粒子が均一に分散している。合金中に分散するMgSi粒子の粒子径は、Mg基複合粉末中の粒子径と同じであることから、Mg基合金中のMgSi粒子の最大粒子径は50μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。またMg基合金におけるMgSiの含有量は、体積基準で5〜60%である。その結果、高剛性かつ高強度を有するMg基合金の製造が可能となる。
【実施例1】
【0054】
純Mg粉末(純度99.9%,平均粒子径350μm)とSi粉末(純度99.9%,平均粒子径22μm)を準備し、両粉末をMg:Si=2:1(モル比)で配合した後、ボールミルを用いて30分間混合処理を行った。その混合粉末をカーボン製型(内径35mmφ)に充填した状態で放電プラズマ焼結装置にセットして、真空中で圧力100MPa,試料温度600℃となるように調整して15分間の焼結を施した。その結果、MgSiからなる外径35mmφ,厚み12mmの円盤状試料を得た。
【0055】
上記の円盤状試料をジェットミル加工機によって粉砕し、最大粒子径が15μm以下となるように微細粉砕・篩粉処理を行うことで出発原料であるMgSi粒子を作製した。他方、Mg基粉末として直径2mm程度のAZ31(公称組成Mg−3Al−1Zn/mass%)合金粉末を出発原料として準備した。
【0056】
図5に示す方法に基づき、先ずAZ31粉末とMgSi粒子とを所定の比率で混合し、直径60mmφの金型に充填して400MPaの圧力を付与して圧粉成形体を作製した。この圧粉成形体に対して窒素ガス雰囲気中で550℃×1時間の焼結を施すことにより、MgSi粒子が分散したAZ31焼結合金を得た。そして切削加工によって、この焼結合金から直径0.5〜3mm程度のMg基複合粉末を作製した。
【0057】
Mg基複合粉末全体に対してMgSi粒子の含有量が体積基準で16%とした場合における複合粉末の断面組識観察結果を図11に示す。粒子径が15μm以下のMgSi粒子は偏析や凝集することなくAZ31素地中に均一に分散しており、本発明によるMg基複合粉末が得られた。
【実施例2】
【0058】
図7に示す方法に基づき、先ず純Mg粉末(純度99.9%,平均粒子径350μm)とSi粉末(純度99.9%,平均粒子径22μm)を準備し、両粉末を所定の比率で配合した後、ボールミルを用いて30分間混合処理を行った。その混合粉末を直径60mmφの金型に充填して400MPaの圧力を付与して圧粉成形体を作製した。
【0059】
上記の圧粉成形体を真空中で590℃×1時間の加熱処理を施すことにより、SiとMgとの固相反応によるMgSi粒子を合成し、同時にMg粉末間での焼結を促進させることでMgSi粒子分散Mg焼結材を得た。そしてボールミルによってこの焼結素材を粉砕して直径0.3〜1mm程度のMg基複合粉末を作製した。
【0060】
Mg基複合粉末全体に対してMgSi粒子の含有量が体積基準で7%とした場合におけるMg基複合粉末のX線回折結果を図12に示す。MgとMgSiのピークのみが検出されており、出発原料に用いたSiのピークはないことから、Mgと完全に反応してMgSiの合成に消費された。またMgOのピークもないことから焼結過程における酸化も生じていない。
【0061】
また、光学顕微鏡による組識観察の結果、粉末素地中に分散するMgSiの平均粒子径は約24μmであり、出発原料であるSi粉末の粒子径と同等であることから、上記のMgとの反応過程において顕著な粗大粒成長は生じていない。その結果、本発明が規定するMgSi粒子が均一に素地中に分散するMg基複合粉末が得られた。
【実施例3】
【0062】
純Mg粉末(純度99.9%,平均粒子径350μm)とSi粉末(純度99.9%,平均粒子径22μm)を準備し、両粉末をMg:Si=2:1(モル比)で配合した後、ボールミルを用いて30分間混合処理を行った。その混合粉末をカーボン製型(内径35mmφ)に充填した状態で放電プラズマ焼結装置にセットして、真空中で圧力100MPa、試料温度600℃となるように調整して30分間の焼結を施した。その結果、MgSiからなる外径35mmφ,厚み18mmの円盤状試料を得た。
【0063】
上記の円盤状試料をジェットミル加工機によって粉砕し、最大粒子径が10μm以下となるように粉砕・篩粉処理を行い、出発原料であるMgSi粒子を作製した。
【0064】
図8に示す方法に基づき、先ずカーボン製坩堝にAZ61(公称組成Mg−6Al−1Zn/mass%)合金溶湯を準備した。溶湯温度を720〜740℃で管理した状態で上記のMgSi粒子を所定の比率で添加して十分に攪拌した後に、金型に鋳込み、MgSi粒子が分散するAZ61鋳造合金素材を作製した。
【0065】
上記の鋳造合金から、切削加工によって直径0.5〜3mm程度のAZ61合金からなるMg基複合粉末を作製した。表1に鋳造合金素材全体に対するMgSi粒子の含有量(体積基準)を示す。また、得られた複合粉末の断面組識観察の結果と粉末を作製する際の切削加工における超硬製工具の損傷状況を同表に示す。
【0066】
本発明例である試料No.1〜5では、適正量のMgSiを含むことでMg基複合粉末においてMgSi粒子の偏析や凝集は生じることなく、MgSi粒子は素地中に均一に分散している。また、切削加工によりMg基複合粉末を作製する際の工具摩耗(損傷状況)に関しても僅かに軽微な擦れ跡が確認されるものの、問題ない状態である。
【0067】
他方、比較例である試料No.6においては、MgSi含有量が65%と多いために、粉末素地においてMgSi粒子の凝集が発生し、また切削加工により粉末を作製する際において鋳造合金が硬質のMgSiを多量に含むために、工具において深い損傷が発生すると同時に、その損傷部分にMgが凝着するといった問題が生じる。
【0068】
【表1】

【実施例4】
【0069】
純Mg粉末(純度99.9%,平均粒子径350μm)とSi粉末(純度99.9%,平均粒子径22μm)を準備し、両粉末をMg:Si=2:1(モル比)で配合した後、ボールミルを用いて30分間混合処理を行った。
【0070】
上記の混合粉末をカーボン製型(内径35mmφ)に充填した状態で放電プラズマ焼結装置にセットして、真空中で圧力100MPa,試料温度600℃となるように調整して15分間の焼結を施した。その結果、MgSiからなる外径35mmφ,厚み12mmの円盤状試料を得た。
【0071】
上記の円盤状試料をジェットミル加工機によって粉砕した。その際に粉砕加工条件を変更することで最大粒子径が異なるMgSi粒子を作製した。
【0072】
図9に示す方法に基づき、Mg基粉末として直径3mmのAM60(公称組成Mg−6Al−0.5Mn/mass%)合金粉末を出発原料として準備し、これとMgSi粒子を所定の比率で混合し、直径60mmφの金型に充填して400MPaの圧力を付与して圧粉成形体を作製した。
【0073】
次に、カーボン製坩堝内のAM60合金溶湯(溶湯温度;720〜740℃)に圧粉成形体を投入して十分に攪拌した後に、金型に鋳込み、MgSi粒子が分散するAM60鋳造合金素材を作製した。そして切削加工によって、この鋳造合金からAM60合金を素地とするMg基複合粉末(直径;0.5〜3mm)を作製した。なお、得られたMg基鋳造合金におけるMgSiの含有量は体積基準で22%である。
【0074】
上記のMg基複合粉末素地中に分散するMgSi粒子の最大粒子径を算出すべく、複合粉末の断面構造を光学顕微鏡により観察し、その結果から画像解析によりMgSi粒子の最大粒子径を求めた。その結果を表2に示す。また鋳造合金からMg基複合粉末を作製する際の切削加工における超硬製工具の損傷状況を同表に示す。
【0075】
本発明例である試料No.7〜10では、鋳造合金において適正な粒子径を有するMgSiを含むことで、粉末を切削加工によって作製する際の工具摩耗・損傷は生じることなく、良好な表面性状である。
【0076】
他方、比較例である試料No.11〜12においては、鋳造合金に含まれるMgSiの最大粒子径が50μmを超えて大きいために、切削加工の際に工具において深い損傷が発生すると同時に、その損傷部分にMgが凝着するといった問題が生じる。
【0077】
【表2】

【実施例5】
【0078】
上記の実施例3および実施例4に記載のMg基複合粉末を出発原料とし、金型成形により各粉末の圧粉体を作製した。各圧粉体を350℃に制御した窒素ガス雰囲気中で5分間加熱保持した後、直ちに押出加工(押出比37)を施して押出素材を作製した。各押出素材から引張試験片を作製し、常温での引張特性(引張強さと破断伸び)を評価すると共に、ヤング率を測定した。その結果を表3に示す。
【0079】
本発明例である試料No.1〜5および7〜10においては、優れた強度と靭性を有するマグネシウム基合金が得られており、特に試料No.4および5ではアルミニウム合金に匹敵する高剛性を有する。また、試料No.7および8に示すように合金中に分散するMgSi粒子の最大粒子径が5μmあるいは20μmを下回るような微細な場合には、強度に加えて伸びも著しく増加する。
【0080】
他方、比較例である試料No.6においては、MgSi含有量が多いためにMg基合金が脆くなり、機械加工による引張試験片の作製が困難となった。また比較例である試料No.11〜12においては、MgSiの最大粒子径が50μmを超えて大きいためにMg基合金の靭性が低下し、併せて引張強さも低下した。
【0081】
【表3】

【実施例6】
【0082】
純Mg粉末(純度99.9%,平均粒子径350μm)とSi粉末(純度99.9%,平均粒子径22μm)を準備し、両粉末をMg:Si=2:1(モル比)で配合した後、ボールミルを用いて30分間混合処理を行った。その混合粉末をカーボン製型(内径35mmφ)に充填した状態で放電プラズマ焼結装置にセットして、真空中で圧力100MPa,試料温度600℃となるように調整して30分間の焼結を施した。その結果、MgSiからなる外径35mmφ,厚み18mmの円盤状試料を得た。
【0083】
上記の円盤状試料をジェットミル加工機によって粉砕し、最大粒子径が10μm以下となるように粉砕・篩粉処理を行い、出発原料であるMgSi粒子を作製した。
【0084】
次に、容積350mlのビニール製容器に粒子径0.5〜2mmの純Mg粉末(純度99%)を200g投入し、その容器の中に0.6gのオレイン酸を添加した状態で振動ミルを用いて容器を15分間振動させることで、容器内の純Mg粉末の表面にオレイン酸を均一に塗布した。さらにこの容器の中に上記のMgSi粒子を添加(混合粉末全体に対して体積基準で13%)し、更に15分間振動を与えて純Mg粉末表面にMgSi粒子を付着させることにより、本発明が規定するMg基複合粉末を作製した。
【0085】
上記のようにして得られたMg基複合粉末のX線回折結果を図13に示す。投入原料であるMgとMgSiのピークのみが検出されており、また走査型電子顕微鏡観察の結果においても微細なMgSi粒子が粗大な純Mg粉末表面に均一に付着していることが確認された。以上のことから、オレイン酸をバインダとして用いた場合でもMg基複合粉末を作製できることが認められる。
【0086】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明によって得られるマグネシウム基合金は、従来のマグネシウム合金の性能上の課題である低剛性を大幅に向上させることでき、エンジン部品やミッション部品などの自動車用部品や構造用部材といった高剛性が求められる用途に有利に利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】Mg基粉末の表面にバインダを用いてMgSi粒子を付着させる方法の一例を示す図解図である。
【図2】Mg基粉末の表面にバインダを用いてMgSi粒子を付着させる方法の他の例を示す図解図である。
【図3】Mg基粉末の表面にMgSi粒子を付着したマグネシウム基複合粉末の一例を示す図解図である。
【図4】Mg基粉末の表面にMgSi粒子を付着したマグネシウム基複合粉末の他の例を示す図解図である。
【図5】マグネシウム基複合粉末を製造する方法の一例を示す図である。
【図6】Mg基粉末の素地中にMgSi粒子を分散させたマグネシウム基複合粉末の一例を示す図解図である。
【図7】マグネシウム基複合粉末を製造する方法の他の例を示す図である。
【図8】マグネシウム基複合粉末を製造する方法のさらに他の例を示す図である。
【図9】マグネシウム基複合粉末を製造する方法のさらに他の例を示す図である。
【図10】マグネシウム基複合粉末を製造する方法のさらに他の例を示す図である。
【図11】Mg基合金素地中にMgSi粒子を分散させているマグネシウム基複合粉末の断面組織の一例を示す顕微鏡写真である。
【図12】マグネシウム基複合粉末のX線回折結果の一例を示す図である。
【図13】マグネシウム基複合粉末のX線回折結果の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
1 容器、2 混合物、3 温風、4 バインダ溶液、7 Mg基粉末、8 MgSi粒子、9 バインダ、15 マグネシウム基複合粉末、16 マグネシウム基複合粉末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム基粉末と、前記マグネシウム基粉末の表面および素地内部の少なくともいずれか一方に分散しているマグネシウムシリサイド(MgSi)とを備えた、マグネシウム基複合粉末。
【請求項2】
前記MgSiの最大粒子径が50μm以下である、請求項1に記載のマグネシウム基複合粉末。
【請求項3】
前記MgSiの最大粒子径が20μm以下である、請求項1に記載のマグネシウム基複合粉末。
【請求項4】
前記MgSiの最大粒子径が5μm以下である、請求項1に記載のマグネシウム基複合粉末。
【請求項5】
当該マグネシウム基複合粉末に対する前記MgSiの含有量は、体積基準で5〜60%である、請求項1に記載のマグネシウム基複合粉末。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のマグネシウム基複合粉末を圧粉成形して焼結し、MgSi粒子が素地中に分散している、マグネシウム基合金素材。
【請求項7】
マグネシウム(Mg)基粉末およびマグネシウムシリサイド(MgSi)粒子を準備する工程と、
前記Mg基粉末の表面にバインダを塗布する工程と、
前記バインダを塗布したMg基粉末と前記MgSi粒子とを混合・攪拌して、Mg基粉末の表面にMgSi粒子を結合させる工程とを備えた、マグネシウム基複合粉末の製造方法。
【請求項8】
マグネシウム(Mg)基粉末およびマグネシウムシリサイド(MgSi)粒子を準備する工程と、
前記Mg基粉末と前記MgSi粒子とを配合した後に機械的に混合して、Mg基粉末の表面にMgSi粒子を機械的に結合させる工程とを備えた、マグネシウム基複合粉末の製造方法。
【請求項9】
マグネシウム(Mg)基粉末およびマグネシウムシリサイド(MgSi)粒子を準備する工程と、
前記Mg基粉末と前記MgSi粒子とを混合する工程と、
前記混合粉末を金型内で圧粉成形して前記MgSi粒子が分散したMg基圧粉成形体を作製する工程と、
前記Mg基圧粉成形体を焼結して前記MgSi粒子が分散したMg基焼結合金を作製する工程と、
前記Mg基焼結合金を機械的に粉砕または切削加工して粉体粉末化する工程とを備えた、マグネシウム基複合粉末の製造方法。
【請求項10】
マグネシウム(Mg)基粉末およびシリコン(Si)粒子を準備する工程と、
前記Mg基粉末と前記Si粒子とを混合する工程と、
前記混合粉末を金型内で圧粉成形して前記Si粒子が分散したMg基圧粉成形体を作製する工程と、
前記Mg基圧粉成形体を加熱しMgとSiとの反応によってMgSiを合成すると同時に、MgSi粒子が分散したMg基焼結合金を作製する工程と、
前記Mg基焼結合金を機械的に粉砕または切削加工して粉体粉末化する工程とを備えた、Mg基複合粉末の製造方法。
【請求項11】
マグネシウム基溶湯中にマグネシウムシリサイド(MgSi)粒子を投入して攪拌する工程と、
前記溶湯を型に鋳込んで鋳造素材を作製する工程と、
前記鋳造素材を機械的に粉砕または切削加工して粉体粉末化する工程とを備えた、マグネシウム基複合粉末の製造方法。
【請求項12】
マグネシウム(Mg)基粉末およびマグネシウムシリサイド(MgSi)粒子を準備する工程と、
前記Mg基粉末と前記MgSi粒子とを混合する工程と、
前記混合粉末を金型内で圧粉成形して前記MgSi粒子が分散したMg基圧粉成形体を作製する工程と、
前記Mg基圧粉成形体を溶解・鋳造してMgSi粒子分散Mg基鋳造素材を作製する工程と、
前記鋳造素材を機械的に粉砕または切削加工して粉体粉末化する工程とを備えた、マグネシウム基複合粉末の製造方法。
【請求項13】
マグネシウム(Mg)基粉末およびシリサイド(Si)粒子を準備する工程と、
前記Mg基粉末と前記Si粒子とを混合する工程と、
前記混合粉末を金型内で圧粉成形して前記Si粒子が分散したMg基圧粉成形体を作製する工程と、
前記Mg基圧粉成形体を加熱してMgとSiとの反応によってMgSiを合成すると同時に、MgSi粒子が分散したMg基焼結合金を作製する工程と、
前記Mg基焼結合金を溶解・鋳造してMgSi粒子分散Mg基鋳造素材を作製する工程と、
前記鋳造素材を機械的に粉砕または切削加工して粉体粉末化する工程とを備えた、マグネシウム基複合粉末の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜5のいずれかに記載のマグネシウム基複合粉末を圧粉成形する工程と、
前記圧粉成形体を200〜400℃の不活性ガス雰囲気または非酸化性ガス雰囲気で加熱する工程と、
前記加熱後直ちに前記圧粉成形体を押出加工して緻密化する工程とを備えた、マグネシウム基合金素材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−22380(P2006−22380A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202181(P2004−202181)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(899000024)株式会社東京大学TLO (50)
【Fターム(参考)】