説明

マスカラ用防水性組成物

【課題】マスカラ装着者が、好ましい非防水性マスカラの通常使用を維持しながら、まつ毛の防水を望んでいるときに選択することができる手段を提供する。
【解決手段】本発明はゲル化剤としてスチレン−エチレン−プロピレンコポリマー、被膜形成剤および揮発性オイルを含む、まつ毛に適用するための防水性もしくは耐水性組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はまつ毛に適用するための化粧品組成物に関する。より詳細には、本発明は防水性マスカラのための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水が実質的に不透性であるマスカラが望まれる多くの状況が存在する。雨の中での歩行、水泳、ジョギングまたは他の精力的な肉体的運動は、全て、平均的なマスカラの耐久性の限界を試験するような活動である。それでも、新たな活動を開始するときに、あるマスカラから別のマスカラに変更することはしばしば困難であるかまたは不可能である。このことは、装着者は、将来のある時点で防水性マスカラが必要であろうという理由だけで、それを必要としない環境下においても防水性マスカラを永続的に使用しなければならないであろうということを意味する。しかしながら、防水性マスカラは非常に濃く、そして重く、また、除去するのが非常に困難であるから、多くの女性は防水性マスカラを通常に使用することは魅力的でないと思っている。この為、使用者は、実際に好んではいるが、予期しない豪雨時にまつ毛から頬にマスカラが移動する危険をおかす非防水性マスカラを使用するか、または、美観的に好ましくないが、活動に関係なく、まつ毛に信頼できるように固定される防水性マスカラを使用するかの選択を強いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、今回、マスカラ装着者が、好ましい非防水性マスカラの通常使用を維持しながら、まつ毛の防水を望んでいるときに選択することができる手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はまつ毛に適用するための化粧品組成物に関し、この組成物は揮発性オイル溶剤、被膜形成剤およびゲル化剤としてスチレン−エチレン−プロピレンコポリマーを含む。この組成物はマスカラのための防水剤として有用であり、それは必要なときにマスカラの上に適用することができる。この組成物は防水性マスカラ製品のためのベースを提供し、それは顔料を組成物に添加することにより得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
まつ毛のための防水性組成物は以前に記載されており、例えば、WO92/19215に記載されている。そこに開示されている配合物は基礎要素において本発明の配合物と類似しているが、ゲル化剤としてスチレン−エチレン−プロピレンコポリマーを開示していない。この有用なコポリマーは当業界において知られており、そしてEP497 144に記載されているように、化粧品組成物中に使用されているが、まつ毛に適用するための組成物またはまつ毛のための防水性組成物においては開示されていない。驚くべきことに、防水性組成物中の主ゲル化剤としてこのようなコポリマーを使用することにより有利な効果を得ることができる。マスカラ上に適用する組成物の1つの重要な点はそれが透明であることであり、それにより、マスカラの色は透過して輝く。しかしながら、全てのゲル化剤が常に透明な製品を製造するわけではない。例えば、WO92/19215は好ましいクレーをベースとするゲル化剤、ベントン(bentone)を開示しており、それは、単体で用いるときに、必ずしも透明なゲルを生じるわけではない。さらに、使用する被膜形成剤によっては、唯一のゲル化剤としてベントンのようなクレーをベースとするゲル化剤を使用すると、不安定であり、ゲルマトリックスから溶剤および軟化剤が滲出してしまう製品を生じることがある。対照的に、スチレン−エチレン−プロピレンコポリマーをゲル化剤として使用すると、マスカラの上に適用したときにマスカラを曇らすことのない透明で光沢のある製品を生じ、このように製造された製品は長時間にわたる安定性も保持し、それにより優れた製品が生じる。
【0006】
本発明のコポリマーゲル化剤は、式S−EP(式中、Sはスチレンモノマーを含むブロックを意味し、そしてEPはエチレンおよびプロピレンモノマーを含むブロックを意味する)を有する粒状ジブロックコポリマーである。これらの材料は当業界においてよく知られており、そして、例えば、Shell Chemical Company,Oak Brook,IllinoisからKraton(商標)Gゴムの商品名で市販されている。特に好ましい材料は、Kraton(商標)G-1701Xである。配合物中に使用されるゲル化剤の量は組成物全体の約1〜15重量%、好ましくは5〜10重量%である。
【0007】
このコポリマーは揮発性オイルおよび被膜形成剤と混合されて防水性組成物を提供する。揮発性オイルの使用により、非常に速乾性の製品が提供され、そして最大の防水性が付与される。組成物中における使用に適する揮発性オイルは、制限するわけではないが、環式シリコーンおよび直鎖シリコーンの両方、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサン、または、8〜20個の炭素原子を有する直鎖もしくは枝分かれ鎖炭化水素、例えば、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカンおよびC8-20イソパラフィンを含む。好ましい揮発性オイルは、Permethyl Corp.,Frazer,PennsylvaniaからPermethyl(商標)99Aの商品名で市販されているようなC9-12脂肪族炭化水素である。揮発性オイルは組成物全体の約1〜90重量%、好ましくは約50〜85重量%を占める。
【0008】
第二の成分は被膜形成剤である。被膜形成剤の使用により、組成物の耐摩耗性が改良され、そして、また、メークアップ製品に耐移行性を付与することができる。被膜形成剤は目の周囲における使用に化粧品において許容されるいずれのものであってもよい。有用な被膜形成剤の例は、天然ワックス、ポリマー、例えば、ポリエチレンポリマー、PVPのコポリマー、エチレン酢酸ビニル、ジメチコンガム、および樹脂、例えば、セラック、ポリテルペンおよび種々のシリコーン樹脂、例えば、トリメチルシロキシシリケートを含む。被膜形成剤は約0.1〜50%、より好ましくは約1〜20%の量で使用される。特に好ましい被膜形成剤はPVP/エイコセンコポリマーであり、それは滑らかで、不粘着性の被膜をまつ毛の上に形成する。このようなコポリマーはGAFから商品名Ganex(商標)で市販されている。
【0009】
好ましい態様において、組成物は不揮発性オイル成分を5%未満で含み、そして好ましくは全く含まない。不揮発性オイルの使用は被膜形成剤の可塑化を起こさせることがあり、それにより、製品のシミ付け耐性を抑制することがある。このように、不揮発性オイルが存在しないと、より高い耐摩耗性の製品を生じる。Ganex(商標)のような可撓性被膜形成剤を使用するときには、不揮発性オイルがそれを軟化させる必要はないが、もし、より硬く、または、より脆い被膜形成剤が使用されるならば、製品の望ましいコンシステンシーを得るために少量の不揮発性オイルが必要なことがある。
【0010】
本発明の防水性組成物は、また、さらなる任意の成分をも含んでよい。例えば、1種以上の防腐剤もしくは酸化防止剤を配合物に添加することが望ましいであろう。適切な防腐剤はプロピルパラベン、ブチルパラベン、それらの混合物、または、それらのイソ形態、並びに、BHAまたはBHTを含むことができる。
【0011】
本発明の別の態様において、組成物は防水性マスカラのためのベースを提供する。この態様において、組成物は1種以上の着色剤または顔料を含む。目の領域における使用に適するいずれの顔料を用いてもよい。有用な顔料の例は、金属酸化物、例えば、チタンもしくは鉄の酸化物、ビスマスオキシクロリド、カルミン、酸化クロムもしくは水酸化クロムグリーン、群青、フェロシアン化第二鉄、フェロシアン化第二鉄アンモニウム、マイカ、FD&CブルーNo.1、FD&CレッドNo.40、FD&CイエローNo.5およびFD&CグリーンNo.5である。顔料は、通常、組成物の全体として約20%以下、好ましくは約1〜10%の量で使用されるであろう。
【0012】
もし、防水性組成物をマスカラとして使用しようとするならば、追加の成分、特にワックスまたは他のゲル化剤のような粘性化剤を約1〜10%、好ましくは約5%以下の量で添加することが望ましいことがある。ワックスは、目の周囲において使用するのに適切である合成ワックスもしくは天然ワックスのいずれであってもよく、好ましくは、ワックスはカルナウバろもしくはカンデリラろうのような植物由来のものである。ゲル化剤は、例えば、ベントン(bentone)、トリグリセリド、ステアリン酸アルミニウム、C18-36酸グリコールエステル、グリセリルトリベヘネート等であってよい。他の粘性化剤は、アルギネート、カルボマー(carbomers)、セルロース、ガム、カラジーナン(carageenans)、デンプンまたはシリケートを含む。充填剤も必要に応じて、約1〜20%、好ましくは約1〜10%の量で添加されてよく、これらは、例えば、シリカ、PMMA、ナイロン、アルミナ、硫酸バリウムまたはこのような組成物中に通常に使用されている他の充填剤のいずれかであってよい。
【0013】
本発明のまつ毛用組成物は消費者により容易に使用される。単純な防水剤として、製品は、マスカラが完全に乾燥した後に、マスカラの既存コーティングの上に、上まつ毛および/または下まつ毛に適用される。組成物が防水性マスカラとして使用されるならば、まつ毛に直接に、または、まつ毛プライマーのコーティングの上に単純に適用される。
【0014】
本発明は次の制限しない例によりさらに例示される。
【実施例】
【0015】
例1
本発明による配合物を次の通りに調製する。
【表1】

【0016】
フェーズ2成分をフェーズ1成分中に約90℃で溶解し、均質になるまで混合する。その後、フェーズ3成分を90℃に加熱し、均質に混合し、その後、混合したフェーズ1および2に添加し、完全に混合し、その後、冷却して最終製品を製造する。
【0017】
例2
スチレン−エチレン−プロピレンコポリマーをゲル化剤として含む、実質的に例1に記載した通りの組成物の安定性を、ゲル化剤としてベントンのみを含む同組成物と比較する。詳細には、本発明の組成物は約7%のコポリマーを含んで調製され、2つのベントン組成物はコポリマーを含まず、約2.1%および約5.2%のベントンのみをゲル化剤として含む。調製時に本発明の組成物は均質でかつ安定であり、そして数週間の観測の間にこの状態を維持する。一方、2つのベントン含有組成物はすぐに不安定になり、ベントンは下相に分離し、水のように薄い上相ができる。
【0018】
例3
本発明の組成物の防水性を、非防水性マスカラの上に適用することにより試験する。人口まつ毛を5つのスライドガラスに接着し、その各々に同一の非防水性マスカラを適用し、マスカラを乾燥させ、その後、防水性組成物のコーティングを1つ以外の全てに適用し、この1つはコーティングを施さないままにする。同様のスライドを用意し、防水性マスカラを対照として適用する。全てのスライドを重量計量し、その後、50mLの水中で攪拌(100/分)する。スライドを乾燥し、そして再計量し、まつ毛上に残っている材料の重量を決定する。各サンプルを同様に試験する。この数値を、その後、処理後にまつ毛上に残っているマスカラの百分率を計算するために用いる。
【0019】
結果は、平均で約92〜94%のマスカラが水への暴露の後にまつ毛上に残ったことを示す。これは約95%のマスカラを保持した標準的な防水性マスカラと好都合に同等である。対照的に、コーティングを施さなかったまつ毛は約29%の平均保持値を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル化剤としてのスチレン−エチレン−プロピレンコポリマー、被膜形成剤および揮発性オイルを含む、まつ毛に適用するための防水性もしくは耐水性組成物。
【請求項2】
被膜形成剤は、天然ワックス、ポリエチレンポリマー、PVPコポリマー、エチレン酢酸ビニル、ジメチコンガム、セラック、ポリテルペンおよびシリコーン樹脂からなる群より選ばれたものである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
被膜形成剤はPVP/エイコセンコポリマーである、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
揮発性オイルは環式および直鎖シリコーン、8〜20個の炭素原子を有する直鎖もしくは枝分かれ鎖炭化水素、およびC8-20イソパラフィンからなる群より選ばれたものである、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
揮発性オイルはC9-12脂肪族炭化水素である、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
スチレン−エチレン−プロピレンコポリマーは約1〜約15%の量で存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
被膜形成剤は約0.1〜約50%の量で存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
揮発性オイルは約1〜約90%の量で存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
約1〜約15%の量のスチレン−エチレン−プロピレンコポリマー、約0.1〜約50%の量のPVP/エイコセンコポリマーおよび約1〜90%の量の揮発性オイルを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
約5〜約10%の量のスチレン−エチレン−プロピレンコポリマー、約1〜約20%の量のPVP/エイコセンコポリマー、および約50〜約85%の量の揮発性オイルを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
揮発性オイルはC9-12脂肪族炭化水素である、請求項9記載の組成物。
【請求項12】
揮発性オイルはC9-12脂肪族炭化水素である、請求項10記載の組成物。
【請求項13】
不揮発性オイルを5%未満含む、請求項9記載の組成物。
【請求項14】
不揮発性オイルを5%未満含む、請求項10記載の組成物。
【請求項15】
不揮発性オイルを実質的に含まない、請求項9記載の組成物。
【請求項16】
不揮発性オイルを実質的に含まない、請求項10記載の組成物。
【請求項17】
顔料をも含む、請求項1記載の組成物。
【請求項18】
顔料をも含む、請求項9記載の組成物。
【請求項19】
顔料をも含む、請求項10記載の組成物。
【請求項20】
まつ毛上においてマスカラを防水化するための方法であって、請求項1記載の組成物をマスカラの上に適用することを含む方法。
【請求項21】
まつ毛上においてマスカラを防水化するための方法であって、請求項9記載の組成物をマスカラの上に適用することを含む方法。

【公開番号】特開2007−137900(P2007−137900A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51860(P2007−51860)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【分割の表示】特願平11−526532の分割
【原出願日】平成10年10月29日(1998.10.29)
【出願人】(598173764)カラー アクセス,インコーポレイティド (14)
【Fターム(参考)】