マスクの製造方法とそのマスク
【課題】通気性、着用者の顔面への密着性に優れたマスクの製造方法とそのマスクの提供。
【解決手段】本発明は、マスク本体と耳掛け部を備えたマスクの製造方法であって、一枚の不織布又は複数枚の不織布からなるフィルター素材を、切り込み部を有する所定の形状に切断する工程と、切り込み部の両辺部を重ね合わせ、立体形状に組み立てると共に、両辺重合部を仮止めし、フィルター部材を形成する工程と、フィルター部材を金型内にインサートするとともに、金型を型締めし、フィルター部材の周縁部、周縁部に連続して折り曲げられ、着用者がマスクを着用したとき、着用者の顔面に密接する顔密接部、及び両辺重合部に対応する位置にキャビティを形成する工程と、金型のキャビティ内に熱可塑性エラストマーを射出し、フィルター部材と熱可塑性エラストマーとが一体に接合されたマスク本体を製造する工程とを有していることを特徴とする。
【解決手段】本発明は、マスク本体と耳掛け部を備えたマスクの製造方法であって、一枚の不織布又は複数枚の不織布からなるフィルター素材を、切り込み部を有する所定の形状に切断する工程と、切り込み部の両辺部を重ね合わせ、立体形状に組み立てると共に、両辺重合部を仮止めし、フィルター部材を形成する工程と、フィルター部材を金型内にインサートするとともに、金型を型締めし、フィルター部材の周縁部、周縁部に連続して折り曲げられ、着用者がマスクを着用したとき、着用者の顔面に密接する顔密接部、及び両辺重合部に対応する位置にキャビティを形成する工程と、金型のキャビティ内に熱可塑性エラストマーを射出し、フィルター部材と熱可塑性エラストマーとが一体に接合されたマスク本体を製造する工程とを有していることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻、口及びその周辺を包囲して、塵埃、花粉等の侵入防止、ウイルス、細菌等飛沫感染防止などを行うためのマスクの製造方法とそのマスクに関する。さらに詳しくは、マスクの顔面等への密着性を向上させたマスクを生産性高く製造できるマスクの製造方法とそのマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
マスクには、医療、病院関係者等が使用するサージカルマスク、クリーンルーム、食品加工現場等で作業する人が使用するフェイスマスク、何らかの作業に伴って発生する粉塵、ミスト等を吸引しないようにする目的の防塵マスク等いろいろなものがある。又、花粉症の人の花粉症対策のため、インフルエンザ、風邪等をひいてしまった時周囲の人に飛沫感染等させないため、インフルエンザ、風邪等の感染予防のため等で一般の人も着用している。さらに、従来からの布製(ガーゼ製)のマスクより、息苦しさが少ない、フィット感がある、しゃべりにくくない、長時間使用が可能などとしていわゆる「立体マスク」が、花粉症の人を含む多くの人に着用されるようになってきている。
【0003】
通常、マスクに要求される性能には、塵埃、花粉等を捕集するためのフィルター(ろ過材)の性能が重要であるが、その他、マスクの防護性能としては、顔面に対するマスクの密着性(フィット性)も重視される。何故ならば、いかに高性能のフィルターを使用しても、マスクと顔面との間の密着が十分でないと、その隙間から塵埃、花粉等を吸い込み、結果的にはマスクとしての性能が低下するからである。
【0004】
使い捨て式防じんマスクとして、不織布からなるろ過材を、鼻部及び口部を覆うように略半球状に成形したものがある。この使い捨て式防じんマスクは、掛け紐を締めたり、耳掛け部を耳に掛けたりすることにより、ろ過材を顔の起伏に追従して変化させるようにしている。しかしながら、素材が不織布であると変形性に乏しく、ろ過材の顔に対する接触部分が、顔面の起伏に十分追従できないおそれがある。マスクは、顔面に対して密着しないとその効果が減少してしまう。そのため、いろいろな提案がされている。
【0005】
例えば、マスク着用者の鼻孔と口許とを覆う被覆部が、マスク着用者の顔面の前方に向かって凸となるような椀形を呈する通気性のフィルタ部を有し、フィルタ部の上縁部分からフィルタ部の径方向内側に向かって張り出している張り出し部にノーズクリップが取り付けられる簡易マスクに関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。又、マスク本体部と接顔部とからなり、マスク本体部の周縁部と接顔部の周縁部とが接合され、接顔部はナイロン繊維又はポリエステル繊維からなる伸縮性を有する生地の片面にポリウレタン等の軟質樹脂をラミネートしたシート状生地で構成され、且つ、該ラミネートしたシート生地を異形リング状に切断されているマスクに関する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3955905号公報
【特許文献2】特開2003−320041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の簡易マスクの張り出し部は、通気性のフィルタ部が折り曲げられたものであり、被着者が、ノーズクリップ、チンクリップを鼻筋とその両側部分、顎部に倣うように塑性変形させ、密着させるものである。しかしながら、着用者の顔の形状、大きさ等は千差万別であり、被着者が行うマスクの上方部分、下方部分を、鼻筋、顎部等に倣うように変形させることがうまくできない場合には、着用者の顔面に確実に密着しないおそれがあるという問題点があった。
【0008】
特許文献2のマスクは、複数種類の繊維を使用するとともに接合部が多く存在し、溶断、溶着、ラミネート工程等製造工程が多く、製造コストが高くなり安価に提供することができないおそれがあるという問題点がある。このようなマスクは安価に提供して、例えば、毎日新しいマスクに交換するようなことをしないと効果が薄れてしまう。又、フィット感がよくないと、着用者は、使用中、マスクに何回も触ることになり、もし手にウイルス等がついていた場合、それを自ら粘膜に近づけるようなもので、かえって感染リスクを高めるおそれが生じる。
【0009】
そのため、着用者が着用するだけで確実に顔面に密接でき、構成が簡素で、安価なマスクとその製造方法の開発が要望されていた。
本発明は、前述した問題点を解決するためになされたもので、次の目的を達成する。
本発明の目的は、通気性、着用者の顔面への密接性に優れたマスクの製造方法とそのマスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した目的を達成するために、次の手段を採用する。
本発明1のマスクの製造方法は、着用者の鼻、口及びその周辺を包囲して覆うマスク本体と、前記マスク本体の両側に設けられた耳掛け部とを備えたマスクの製造方法であって、一枚の不織布又は複数枚の不織布からなるフィルター素材を、切り込み部を有する所定の形状に切断する工程と、前記切り込み部の両方の辺部を重ね合わせ、立体形状に組み立てると共に、両方の前記辺部が重なり合った両辺重合部を仮止めし、フィルター部材を形成する工程と、前記フィルター部材を金型内にインサートするとともに、前記金型を型締めし、前記フィルター部材の周縁部と、この周縁部に連続し、前記立体形状の内部側に折り曲げられ、着用者がマスクを着用したとき、着用者の顔面に密接する顔密接部と、前記両辺重合部とに対応する位置にキャビティを形成する工程と、前記金型の前記キャビティ内に熱可塑性エラストマーを射出し、前記フィルター部材と前記熱可塑性エラストマーとが一体に接合された前記マスク本体を製造する工程とを有していることを特徴とする。
【0011】
本発明2マスクの製造方法は、
着用者の鼻、口及びその周辺を包囲して覆うマスク本体と、前記マスク本体の両側に設けられた耳掛け部とを備えたマスクの製造方法であって、一枚の不織布又は複数枚の不織布からなるフィルター素材を、切り込み部を有する所定の形状に切断する工程と、前記切り込み部の両方の辺部を重ね合わせ、立体形状に組み立てると共に、両方の前記辺部が重なり合った両辺重合部を仮止めし、フィルター部材を形成する工程と、前記フィルター部材を金型内にインサートするとともに、前記金型を型締めし、前記フィルター部材の周縁部と、前記周縁部の端部に設けられた係合部と、前記両辺重合部とに対応する位置にキャビティを形成する工程と、前記金型の前記キャビティ内に熱可塑性合成樹脂又は熱可塑性エラストマーを射出し、前記フィルター部材と前記熱可塑性合成樹脂又は熱可塑性エラストマーとが一体に接合されたマスク体を製造する工程と、外枠部と、前記外枠部と連続し、前記立体形状の内部側に折り曲げられ、着用者の顔面に密接する顔密接部と、前記マスク体の前記係合部を係脱可能に係合する被係合部とが設けられたマスク枠体を成形するための金型に熱可塑性エラストマーを射出し、マスク枠体を製造する工程と、前記マスク枠体に前記マスク体を係合して前記マスク本体とする工程とを有していることを特徴とする。
【0012】
本発明3マスクの製造方法は、本発明1又は2において、
前記フィルター素材は、切り込み部を有する略ハート形状のものであり、前記立体形状は、斜円錐形状又は略斜円錐形状であることを特徴とする。
【0013】
本発明4のマスクは、
着用者の鼻、口及びその周辺を包囲して覆うマスク本体と、前記マスク本体の両側に設けられた耳掛け部とを備えたマスクであって、前記マスク本体は、一枚の不織布又は複数枚重ねた不織布からなるフィルター素材が、立体形状に形成されたフィルター部材と、熱可塑性エラストマーで形成され、前記フィルター部材の周縁部に一体に接合された周縁エラストマー部と、前記周縁エラストマー部に連続し、前記立体形状の内部側に折り曲げられ、着用者がマスクを着用したとき、着用者の顔面に密接する顔密接エラストマー部とを有するエラストマー体とで構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明5のマスクは、
着用者の鼻、口及びその周辺を包囲して覆うマスク本体と、前記マスク本体の両側に設けられた耳掛け部とを備えたマスクであって、前記マスク本体は、一枚の不織布又は複数枚重ねた不織布からなるフィルター素材が、立体形状に形成されたフィルター部材と、前記フィルター部材の周縁部に一体に接合された周縁エラストマー部と、この周縁エラストマー部の端部に設けられた係合部とを有し、熱可塑性合成樹脂又は熱可塑性エラストマーで形成されたマスク体と、熱可塑性エラストマーで形成され、前記マスク本体の枠部分を構成するものであって、外枠部と、前記外枠部に連続し、前記立体形状の内部側に折り曲げられ、着用者がマスクを着用したとき、着用者の顔面に密接する顔密接エラストマー部と、前記マスク体の前記係合部を係脱可能に係合する被係合部とを有するマスク枠体とで構成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明6のマスクは、本発明4又は5において、
前記フィルター部材は、切り込み部を有する略ハート形状のフィルター素材を、前記切り込み部の両方の辺部を重ね合わせ、重ね合わせた両辺重合部に熱可塑性エラストマーを射出することで一体に接合されたものであり、前記立体形状は、斜円錐形状であることを特徴とする。
本発明7のマスクは、本発明6において、前記マスク本体は、前記フィルター部材に、前記両辺重合部と異なる角度位置に、一又は複数のリブが放射状に形成されているものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のマスクは、着用者の顔面に接触する部位が、柔軟で弾性変形可能な熱可塑性エラストマーで形成されているため、着用者がマスクを着用する際、確実に顔面に密接する。従って、顔面とマスクの顔密接部との間に、隙間が生じるおそれがなく、マスクの密着性に関する性能が向上する。又、このマスクは、マスクのほぼ全面がフィルター部材であり息苦しさ等を生じさせることがなく、マスクの通気性に優れている。さらに、このマスクは、マスク着用に際し、着用者の顔面に密接させるための特別な手順を必要としないので、着用が容易である。又、このマスクは、装飾性、美観性、ファッション性等に優れたものであり、着用者のマスク着用への抵抗感を払拭できる。
【0017】
本発明のマスクの製造方法は、生産性の高い射出成形により、フィルター部材と熱可塑性エラストマーとを一体化させるため、確実に一体化することができる。又、このマスクの製造方法は、着用者の顔面への密着性、通気性に優れたマスクを、高い生産性で、量産可能であり、マスクを安価に提供でき、経済性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明のマスクが、着用者に着用されている状態を正面視で示す説明図である。
【図2】図2は、本発明のマスクのマスク本体の正面図である。
【図3】図3は、図2をA−A線で切断した断面図である。
【図4】図4は、図2をB−B線で切断した断面図である。
【図5】図5は、マスクが、着用者に着用されている状態を側面視で示す図であって、図4に相当する断面図である。
【図6】図6は、フィルター素材を示す平面図である。
【図7】図7は、フィルター部材を示す斜視図である。
【図8】図8は、マスク本体を射出成形により製造する工程を模式的に、部分的に示す部分断面図であり、図8(a)は熱可塑性エラストマー射出前の状態、図8(a)は熱可塑性エラストマー射出後の状態を示している。
【図9】図9は、本発明のマスクの製造方法を示すフローチャートである。
【図10】図10は、本発明のマスクの他の実施の形態を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明のマスクのさらに他の実施の形態を示す正面図である。
【図12】図12は、本発明のマスクのさらに他の実施の形態を示す正面図である。
【図13】図13は、フィルター部材とエラストマー体との接合部分の他の実施の形態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のマスクの製造方法とそのマスクについて、図面に基づいて、その実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明のマスクは、サージカルマスク、衛生マスク、フェイスマスク、防塵マスク等として使用するのに好適なものである。
【0020】
図1は、着用者が本発明のマスクを着用している状態を正面視で示す説明図、図2は、本発明のマスクのマスク本体の正面図、図3は、図2をA−A線で切断した断面図、図4は、図2をB−B線で切断した断面図である。図5は、着用者が本発明のマスクを着用している状態を側面視で示す図であって、図4に相当する断面図である。図6は、フィルター素材を示す平面図、図7は、フィルター部材を示す斜視図である。
【0021】
マスク1は、マスク着用者の鼻、口及びその周辺を包囲して、塵埃、花粉等の侵入防止、ウイルス、細菌等飛沫感染防止などを行うためのものである。マスク1は、マスク本体15、耳掛け部50等から構成されている。このマスク本体15は、フィルター部材10とエラストマー体20とから構成されている。
【0022】
フィルター部材10は、フィルター素材11が所定の立体形状に形成されたものであり、この形態では斜円錐形状又は略斜円錐形状に形成されている。フィルター部材10は、切り欠き部11aが形成された平面視略ハート形状のフィルター素材11(図6参照)を、切り欠き部11aの両方の辺部11d、辺部11d近傍が重なるように組み立てて斜円錐形状又は略斜円錐形状にしたものである(図7参照)。フィルター素材は一枚又は複数枚(例えば、3枚)重ねた不織布であり、所定の高通気性、高フィルター性能(捕集性能)を備えているものである。すなわち、フィルター部材は、着用者が息苦しさを感じない、ウイルス等微粒子の捕集が可能なものであるとよい。
【0023】
このようなマスク素材としての不織布は公知なものであり、この形態の説明では詳細な説明を省略する。なお、複数枚の不織布を重ねる場合には、少なくとも一枚(例えば、中間部)の不織布を、目の細かい高性能の不織布、永久静電加工を施した不織布、HEPA規格の不織布、ナノレベルの太さの繊維からなる不織布等としてもよい。
【0024】
フィルター部材10は、周縁部11b、切り欠き部11aの両方の辺部11dが重ね合わされた部位である重合部11c等が、所定の厚さに形成された弾性変形可能な熱可塑性エラストマーから成るエラストマー体20で一体に接合されている。すなわち、エラストマー体20は、周縁部11bの回りに接合された周縁エラストマー部21と、切り欠き部11aの両方の辺部11d、辺部11d近傍を重ね合わせた重合部11cを覆って接合する重合エラストマー部23と、周縁エラストマー部21に連続し、かつ、立体形状の内部側(空間16側)に折り曲げられている部位に形成され、着用者の顔面に密接する顔密接エラストマー部22とからなっている。周縁エラストマー部21は、フィルター部材10の周縁の端部近傍を表裏両側から挟むように一体化されている。又、重合エラストマー部23も重合部11c、重合部11c近傍を表裏両側から挟むように、かつ、重合部11cを覆うように一体化されている。すなわち、これら接合部位から密閉性が低下することはない。
【0025】
なお、熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、アミド系等の熱可塑性エラストマーが使用できる。又、エラストマー体20は、赤、青、橙、緑等所定の色がつけられているとよい。例えば、フィルター部材10は、透明、半透明、白色等のものとし、エラストマー体20を所定の色とすれば、色のコントラスト等により、装飾性、美観性等を向上させることができる。又、着用者は、自分の好みの色のマスクを選択したり、マスクと服装等とをコーディネートさせることもできる。さらに、着用者は、その日の気分、天候等によりマスクを選択してもよい。
【0026】
マスク本体15は、フィルター部材10とエラストマー体20とが一体に接合されたものである。マスク本体15の内部には空間16が形成され、着用者が息苦しさを感じることがないようにしている。又、マスク着用者がしゃべりにくくなるようなことも生じない。
【0027】
マスク本体15には耳掛け部50が設けられている(図1参照)。耳掛け部50は、マスク本体15に融着等で一体化された紐保持部52、紐保持部52に挿通された耳掛け紐51から構成されている。なお、耳掛け部は、他の形状のものであってもよい。例えば、不織布等からなる布状の部材に、耳部を挿通させるための穴等を形成したものであってもよい。
【0028】
図6〜9に従って、この形態のマスクの製造方法の説明を行う。
図8は、マスク本体を射出成形により製造する工程を模式的に、部分的に示す部分断面図であり、図8(a)は熱可塑性エラストマー射出前の状態、図8(a)は熱可塑性エラストマー射出後の状態を示している。図9は、本発明のマスクの製造方法を示すフローチャートである。
【0029】
フィルター素材11を、所定の形状に切断する(S51)。この形態のフィルター素材11は、切り欠き部11aが形成された略ハート形状に切断されている(図6参照)。図7に示すように、このフィルター素材11を、切り欠き部11aの両方の辺部11d、辺部11d近傍が重なるように、切り欠き部11aの交点を頂点としてまるめ、切り欠き部11aの両方の辺部11d、辺部11d近傍が重なった部位である重合部11cを、一箇所又は複数箇所、仮止めする(S52)。この仮止めは、融着(溶着)等によればよく、例えば、高周波溶着、熱溶着、超音波溶着等の方法で行うことができる。又、両面接着剤等で接着してもよい。
【0030】
この仮止めされたフィルター素材11は、立体形状(例えば、斜円錐形状、略斜円錐形状)に形成されたフィルター部材10となる。このフィルター部材10を、金型30内にインサートし、金型30を型締めする(S53)。型締めされた金型30には、所定の位置(フィルター部材10の周縁部11b及び周縁部11b近傍位置、重合部11c及び重合部11c近傍位置、顔密接部に対応する位置)にキャビティ31、キャビティ32が形成される(図8a参照)。このキャビティ31、キャビティ32に、図示しないゲート等を介して熱可塑性エラストマーを射出する(S54)と、金型30内にインサートされたフィルター部材10と、射出された熱可塑性エラストマーからなるエラストマー体20とが一体に接合する(図8b参照)。
【0031】
冷却後、金型30を開き、フィルター部材10とエラストマー体20とが一体に接合したマスク本体15を金型30から取り出す(S55)。このマスク本体15には耳掛け部50が設けられる(S56)。すなわち、マスク本体15は、マスク本体15の両端に耳掛け紐51を挿通させるための紐保持部52を融着等して一体にし、紐保持部52の穴内に耳掛け紐51を挿通する。
【0032】
このマスク1の着用方法について説明を行う。着用者は、従来と同様、鼻、口等をマスク本体15で覆い、耳掛け部50を耳に掛けることで、簡単にマスク1を着用することができる。このとき、顔密接エラストマー部22が着用者の顔面に密接するが、顔密接エラストマー部22は、柔軟で、弾性変形可能な材料である熱可塑性エラストマーで成形されているので、顔面の凹凸(顔の起伏)に追従して容易に弾性変形するとともに顔面に密接し、マスク1の性能を低下させることがない(図5参照)。すなわち、マスク1のフィット感がたいへん高い。又、着用者がメガネを使用している場合でも、呼気によってメガネが曇るようなことが生じない。
【0033】
図10に基づいて、マスクの他の実施の形態について説明を行う。
図10は、他の実施の形態のマスクの断面図であり、前述した実施の形態の図3に相当する図である。又、他の実施の形態のマスクの正面図は、図2とほぼ同様であり省略している。又、前述した実施の形態と同一の部位には、同一の符号を付与し詳細な説明を省略している。
【0034】
この他の形態のマスク101は、マスク体110が、マスク枠体120に対して係脱可能に係合する構成のものである。マスク体110は、フィルター部材10の周縁部及び周縁部近傍、重合部及び重合部近傍の位置に相当するキャビティに熱可塑性合成樹脂が射出され、フィルター部材10と熱可塑性合成樹脂からなる樹脂体112とが一体に接合されている。すなわち、マスク体110は、立体形状(例えば、斜円錐形状、略斜円錐形状)に形成されている。又、周縁部成形用キャビティには、後述するマスク枠体129と係脱可能に係合するための係合部を成形するための部位も含まれており、樹脂体112の周縁部の先端側には、係合部113が形成されている。なお、マスク体は、熱可塑性エラストマーが射出され、フィルター部材10と熱可塑性エラストマーからなるエラストマー体とが一体に接合されたものであってもよい。
【0035】
マスク枠体120は、マスク枠体成形用金型(図示せず)のキャビティに熱可塑性エラストマーが射出成形されたものである。マスク枠体120は、マスク101の外枠となる外枠部と、この外枠部に連続し、かつ、立体形状の内部側に折り曲げられている部位に形成され、着用者の顔面に接触する顔密接エラストマー部22と、マスク体110の係合部113と対向するように設けられ、係合部113と係脱可能に係合する被係合部121とが形成されている。すなわち、マスク枠体120の被係合部121に、マスク体110の係合部113が係合、離脱することにより、マスク体110が交換可能になっている。例えば、マスク体110と、マスク枠体120とで構成されたマスク本体115は、使用時間が所定時間経過したマスク体110、汚れが発生したマスク体110のみを交換可能な形態となっている。マスク枠体120の両端には、耳掛け部(図示せず)が設けられている。
【0036】
なお、この形態では、係合部を傾斜凸部、被係合部を傾斜凹部として示しているが、係合部を傾斜凹部、被係合部を傾斜凸部としてもよい。又、係合部を、係合穴部又は係合軸部とし、被係合部を、被係合軸部又は被係合穴部としてもよい。すなわち、係合部と被係合部とは、マスク体とマスク枠体とが係合、離脱できる構成になっているものであればよい。
【0037】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されることはない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。例えば、重合エラストマー部をマスク本体、マスク体の略斜円錐形状の短径側に形成したもので説明を行ったが、図11に示すように、マスク201は、マスク本体、マスク体の略斜円錐形状の長径側等に重合エラストマー部223を形成したものであってもよい。
【0038】
又、マスク301は、図12に示すように、立体形状(斜円錐形状、略斜円錐形状)のマスク本体、マスク体に、一つ又は複数(この形態では2つ)のリブ部323を放射状に設けたものであってもよい。このようにすると、マスク本体、マスク体の剛性が向上する。さらに、フィルター部材は、不織布を熱プレス等により絞り込んで形成したものであってもよい。このフィルター部材の場合、立体形状が、斜円錐形状又は略斜円錐形状に限定されることはない。例えば、立体形状は、円錐状の面の中央部位、中央部近傍部位等が外側に膨らんだようなものであってもよい。
【0039】
又、切り込み部は、周縁部側から交点までの辺部が、異なる角度の直線と直線を組み合わせた辺部のもの、直線と曲線とを組み合わせた辺部のもの等であってもよい。この切り込み部の形状、フィルター素材の周縁部の形状は、フィルター部材の立体形状に合わせて適宜選択されるものである。
【0040】
さらに、熱可塑性エラストマーからなるエラストマー体とフィルター部材との接合部は、図13に示すように、フィルター部材のどちらか一方の面に、一体に接合されているものであってもよい。例えば、フィルター部材の周縁部の内側に周縁エラストマー部21aと、重合エラストマー部が接合されている接合部(図13(a)参照)とであってもよく、フィルター部材の周縁部の外側に周縁エラストマー部21b、重合エラストマー部が接合されている接合部(図13(b)参照)であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1、101、201、301 … マスク
10 … フィルター部材
11 … フィルター素材
11a… 切り欠き部
11b… 周縁部
11c… 重合部
15、115 … マスク本体
20 … エラストマー体
21 … 周縁エラストマー部
22 … 顔密接エラストマー部
23 … 重合エラストマー部
30 … 金型
31 … キャビティ
32 … キャビティ
50 … 耳掛け部
110… マスク体
120… マスク枠体
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻、口及びその周辺を包囲して、塵埃、花粉等の侵入防止、ウイルス、細菌等飛沫感染防止などを行うためのマスクの製造方法とそのマスクに関する。さらに詳しくは、マスクの顔面等への密着性を向上させたマスクを生産性高く製造できるマスクの製造方法とそのマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
マスクには、医療、病院関係者等が使用するサージカルマスク、クリーンルーム、食品加工現場等で作業する人が使用するフェイスマスク、何らかの作業に伴って発生する粉塵、ミスト等を吸引しないようにする目的の防塵マスク等いろいろなものがある。又、花粉症の人の花粉症対策のため、インフルエンザ、風邪等をひいてしまった時周囲の人に飛沫感染等させないため、インフルエンザ、風邪等の感染予防のため等で一般の人も着用している。さらに、従来からの布製(ガーゼ製)のマスクより、息苦しさが少ない、フィット感がある、しゃべりにくくない、長時間使用が可能などとしていわゆる「立体マスク」が、花粉症の人を含む多くの人に着用されるようになってきている。
【0003】
通常、マスクに要求される性能には、塵埃、花粉等を捕集するためのフィルター(ろ過材)の性能が重要であるが、その他、マスクの防護性能としては、顔面に対するマスクの密着性(フィット性)も重視される。何故ならば、いかに高性能のフィルターを使用しても、マスクと顔面との間の密着が十分でないと、その隙間から塵埃、花粉等を吸い込み、結果的にはマスクとしての性能が低下するからである。
【0004】
使い捨て式防じんマスクとして、不織布からなるろ過材を、鼻部及び口部を覆うように略半球状に成形したものがある。この使い捨て式防じんマスクは、掛け紐を締めたり、耳掛け部を耳に掛けたりすることにより、ろ過材を顔の起伏に追従して変化させるようにしている。しかしながら、素材が不織布であると変形性に乏しく、ろ過材の顔に対する接触部分が、顔面の起伏に十分追従できないおそれがある。マスクは、顔面に対して密着しないとその効果が減少してしまう。そのため、いろいろな提案がされている。
【0005】
例えば、マスク着用者の鼻孔と口許とを覆う被覆部が、マスク着用者の顔面の前方に向かって凸となるような椀形を呈する通気性のフィルタ部を有し、フィルタ部の上縁部分からフィルタ部の径方向内側に向かって張り出している張り出し部にノーズクリップが取り付けられる簡易マスクに関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。又、マスク本体部と接顔部とからなり、マスク本体部の周縁部と接顔部の周縁部とが接合され、接顔部はナイロン繊維又はポリエステル繊維からなる伸縮性を有する生地の片面にポリウレタン等の軟質樹脂をラミネートしたシート状生地で構成され、且つ、該ラミネートしたシート生地を異形リング状に切断されているマスクに関する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3955905号公報
【特許文献2】特開2003−320041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の簡易マスクの張り出し部は、通気性のフィルタ部が折り曲げられたものであり、被着者が、ノーズクリップ、チンクリップを鼻筋とその両側部分、顎部に倣うように塑性変形させ、密着させるものである。しかしながら、着用者の顔の形状、大きさ等は千差万別であり、被着者が行うマスクの上方部分、下方部分を、鼻筋、顎部等に倣うように変形させることがうまくできない場合には、着用者の顔面に確実に密着しないおそれがあるという問題点があった。
【0008】
特許文献2のマスクは、複数種類の繊維を使用するとともに接合部が多く存在し、溶断、溶着、ラミネート工程等製造工程が多く、製造コストが高くなり安価に提供することができないおそれがあるという問題点がある。このようなマスクは安価に提供して、例えば、毎日新しいマスクに交換するようなことをしないと効果が薄れてしまう。又、フィット感がよくないと、着用者は、使用中、マスクに何回も触ることになり、もし手にウイルス等がついていた場合、それを自ら粘膜に近づけるようなもので、かえって感染リスクを高めるおそれが生じる。
【0009】
そのため、着用者が着用するだけで確実に顔面に密接でき、構成が簡素で、安価なマスクとその製造方法の開発が要望されていた。
本発明は、前述した問題点を解決するためになされたもので、次の目的を達成する。
本発明の目的は、通気性、着用者の顔面への密接性に優れたマスクの製造方法とそのマスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した目的を達成するために、次の手段を採用する。
本発明1のマスクの製造方法は、着用者の鼻、口及びその周辺を包囲して覆うマスク本体と、前記マスク本体の両側に設けられた耳掛け部とを備えたマスクの製造方法であって、一枚の不織布又は複数枚の不織布からなるフィルター素材を、切り込み部を有する所定の形状に切断する工程と、前記切り込み部の両方の辺部を重ね合わせ、立体形状に組み立てると共に、両方の前記辺部が重なり合った両辺重合部を仮止めし、フィルター部材を形成する工程と、前記フィルター部材を金型内にインサートするとともに、前記金型を型締めし、前記フィルター部材の周縁部と、この周縁部に連続し、前記立体形状の内部側に折り曲げられ、着用者がマスクを着用したとき、着用者の顔面に密接する顔密接部と、前記両辺重合部とに対応する位置にキャビティを形成する工程と、前記金型の前記キャビティ内に熱可塑性エラストマーを射出し、前記フィルター部材と前記熱可塑性エラストマーとが一体に接合された前記マスク本体を製造する工程とを有していることを特徴とする。
【0011】
本発明2マスクの製造方法は、
着用者の鼻、口及びその周辺を包囲して覆うマスク本体と、前記マスク本体の両側に設けられた耳掛け部とを備えたマスクの製造方法であって、一枚の不織布又は複数枚の不織布からなるフィルター素材を、切り込み部を有する所定の形状に切断する工程と、前記切り込み部の両方の辺部を重ね合わせ、立体形状に組み立てると共に、両方の前記辺部が重なり合った両辺重合部を仮止めし、フィルター部材を形成する工程と、前記フィルター部材を金型内にインサートするとともに、前記金型を型締めし、前記フィルター部材の周縁部と、前記周縁部の端部に設けられた係合部と、前記両辺重合部とに対応する位置にキャビティを形成する工程と、前記金型の前記キャビティ内に熱可塑性合成樹脂又は熱可塑性エラストマーを射出し、前記フィルター部材と前記熱可塑性合成樹脂又は熱可塑性エラストマーとが一体に接合されたマスク体を製造する工程と、外枠部と、前記外枠部と連続し、前記立体形状の内部側に折り曲げられ、着用者の顔面に密接する顔密接部と、前記マスク体の前記係合部を係脱可能に係合する被係合部とが設けられたマスク枠体を成形するための金型に熱可塑性エラストマーを射出し、マスク枠体を製造する工程と、前記マスク枠体に前記マスク体を係合して前記マスク本体とする工程とを有していることを特徴とする。
【0012】
本発明3マスクの製造方法は、本発明1又は2において、
前記フィルター素材は、切り込み部を有する略ハート形状のものであり、前記立体形状は、斜円錐形状又は略斜円錐形状であることを特徴とする。
【0013】
本発明4のマスクは、
着用者の鼻、口及びその周辺を包囲して覆うマスク本体と、前記マスク本体の両側に設けられた耳掛け部とを備えたマスクであって、前記マスク本体は、一枚の不織布又は複数枚重ねた不織布からなるフィルター素材が、立体形状に形成されたフィルター部材と、熱可塑性エラストマーで形成され、前記フィルター部材の周縁部に一体に接合された周縁エラストマー部と、前記周縁エラストマー部に連続し、前記立体形状の内部側に折り曲げられ、着用者がマスクを着用したとき、着用者の顔面に密接する顔密接エラストマー部とを有するエラストマー体とで構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明5のマスクは、
着用者の鼻、口及びその周辺を包囲して覆うマスク本体と、前記マスク本体の両側に設けられた耳掛け部とを備えたマスクであって、前記マスク本体は、一枚の不織布又は複数枚重ねた不織布からなるフィルター素材が、立体形状に形成されたフィルター部材と、前記フィルター部材の周縁部に一体に接合された周縁エラストマー部と、この周縁エラストマー部の端部に設けられた係合部とを有し、熱可塑性合成樹脂又は熱可塑性エラストマーで形成されたマスク体と、熱可塑性エラストマーで形成され、前記マスク本体の枠部分を構成するものであって、外枠部と、前記外枠部に連続し、前記立体形状の内部側に折り曲げられ、着用者がマスクを着用したとき、着用者の顔面に密接する顔密接エラストマー部と、前記マスク体の前記係合部を係脱可能に係合する被係合部とを有するマスク枠体とで構成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明6のマスクは、本発明4又は5において、
前記フィルター部材は、切り込み部を有する略ハート形状のフィルター素材を、前記切り込み部の両方の辺部を重ね合わせ、重ね合わせた両辺重合部に熱可塑性エラストマーを射出することで一体に接合されたものであり、前記立体形状は、斜円錐形状であることを特徴とする。
本発明7のマスクは、本発明6において、前記マスク本体は、前記フィルター部材に、前記両辺重合部と異なる角度位置に、一又は複数のリブが放射状に形成されているものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のマスクは、着用者の顔面に接触する部位が、柔軟で弾性変形可能な熱可塑性エラストマーで形成されているため、着用者がマスクを着用する際、確実に顔面に密接する。従って、顔面とマスクの顔密接部との間に、隙間が生じるおそれがなく、マスクの密着性に関する性能が向上する。又、このマスクは、マスクのほぼ全面がフィルター部材であり息苦しさ等を生じさせることがなく、マスクの通気性に優れている。さらに、このマスクは、マスク着用に際し、着用者の顔面に密接させるための特別な手順を必要としないので、着用が容易である。又、このマスクは、装飾性、美観性、ファッション性等に優れたものであり、着用者のマスク着用への抵抗感を払拭できる。
【0017】
本発明のマスクの製造方法は、生産性の高い射出成形により、フィルター部材と熱可塑性エラストマーとを一体化させるため、確実に一体化することができる。又、このマスクの製造方法は、着用者の顔面への密着性、通気性に優れたマスクを、高い生産性で、量産可能であり、マスクを安価に提供でき、経済性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明のマスクが、着用者に着用されている状態を正面視で示す説明図である。
【図2】図2は、本発明のマスクのマスク本体の正面図である。
【図3】図3は、図2をA−A線で切断した断面図である。
【図4】図4は、図2をB−B線で切断した断面図である。
【図5】図5は、マスクが、着用者に着用されている状態を側面視で示す図であって、図4に相当する断面図である。
【図6】図6は、フィルター素材を示す平面図である。
【図7】図7は、フィルター部材を示す斜視図である。
【図8】図8は、マスク本体を射出成形により製造する工程を模式的に、部分的に示す部分断面図であり、図8(a)は熱可塑性エラストマー射出前の状態、図8(a)は熱可塑性エラストマー射出後の状態を示している。
【図9】図9は、本発明のマスクの製造方法を示すフローチャートである。
【図10】図10は、本発明のマスクの他の実施の形態を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明のマスクのさらに他の実施の形態を示す正面図である。
【図12】図12は、本発明のマスクのさらに他の実施の形態を示す正面図である。
【図13】図13は、フィルター部材とエラストマー体との接合部分の他の実施の形態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のマスクの製造方法とそのマスクについて、図面に基づいて、その実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明のマスクは、サージカルマスク、衛生マスク、フェイスマスク、防塵マスク等として使用するのに好適なものである。
【0020】
図1は、着用者が本発明のマスクを着用している状態を正面視で示す説明図、図2は、本発明のマスクのマスク本体の正面図、図3は、図2をA−A線で切断した断面図、図4は、図2をB−B線で切断した断面図である。図5は、着用者が本発明のマスクを着用している状態を側面視で示す図であって、図4に相当する断面図である。図6は、フィルター素材を示す平面図、図7は、フィルター部材を示す斜視図である。
【0021】
マスク1は、マスク着用者の鼻、口及びその周辺を包囲して、塵埃、花粉等の侵入防止、ウイルス、細菌等飛沫感染防止などを行うためのものである。マスク1は、マスク本体15、耳掛け部50等から構成されている。このマスク本体15は、フィルター部材10とエラストマー体20とから構成されている。
【0022】
フィルター部材10は、フィルター素材11が所定の立体形状に形成されたものであり、この形態では斜円錐形状又は略斜円錐形状に形成されている。フィルター部材10は、切り欠き部11aが形成された平面視略ハート形状のフィルター素材11(図6参照)を、切り欠き部11aの両方の辺部11d、辺部11d近傍が重なるように組み立てて斜円錐形状又は略斜円錐形状にしたものである(図7参照)。フィルター素材は一枚又は複数枚(例えば、3枚)重ねた不織布であり、所定の高通気性、高フィルター性能(捕集性能)を備えているものである。すなわち、フィルター部材は、着用者が息苦しさを感じない、ウイルス等微粒子の捕集が可能なものであるとよい。
【0023】
このようなマスク素材としての不織布は公知なものであり、この形態の説明では詳細な説明を省略する。なお、複数枚の不織布を重ねる場合には、少なくとも一枚(例えば、中間部)の不織布を、目の細かい高性能の不織布、永久静電加工を施した不織布、HEPA規格の不織布、ナノレベルの太さの繊維からなる不織布等としてもよい。
【0024】
フィルター部材10は、周縁部11b、切り欠き部11aの両方の辺部11dが重ね合わされた部位である重合部11c等が、所定の厚さに形成された弾性変形可能な熱可塑性エラストマーから成るエラストマー体20で一体に接合されている。すなわち、エラストマー体20は、周縁部11bの回りに接合された周縁エラストマー部21と、切り欠き部11aの両方の辺部11d、辺部11d近傍を重ね合わせた重合部11cを覆って接合する重合エラストマー部23と、周縁エラストマー部21に連続し、かつ、立体形状の内部側(空間16側)に折り曲げられている部位に形成され、着用者の顔面に密接する顔密接エラストマー部22とからなっている。周縁エラストマー部21は、フィルター部材10の周縁の端部近傍を表裏両側から挟むように一体化されている。又、重合エラストマー部23も重合部11c、重合部11c近傍を表裏両側から挟むように、かつ、重合部11cを覆うように一体化されている。すなわち、これら接合部位から密閉性が低下することはない。
【0025】
なお、熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、アミド系等の熱可塑性エラストマーが使用できる。又、エラストマー体20は、赤、青、橙、緑等所定の色がつけられているとよい。例えば、フィルター部材10は、透明、半透明、白色等のものとし、エラストマー体20を所定の色とすれば、色のコントラスト等により、装飾性、美観性等を向上させることができる。又、着用者は、自分の好みの色のマスクを選択したり、マスクと服装等とをコーディネートさせることもできる。さらに、着用者は、その日の気分、天候等によりマスクを選択してもよい。
【0026】
マスク本体15は、フィルター部材10とエラストマー体20とが一体に接合されたものである。マスク本体15の内部には空間16が形成され、着用者が息苦しさを感じることがないようにしている。又、マスク着用者がしゃべりにくくなるようなことも生じない。
【0027】
マスク本体15には耳掛け部50が設けられている(図1参照)。耳掛け部50は、マスク本体15に融着等で一体化された紐保持部52、紐保持部52に挿通された耳掛け紐51から構成されている。なお、耳掛け部は、他の形状のものであってもよい。例えば、不織布等からなる布状の部材に、耳部を挿通させるための穴等を形成したものであってもよい。
【0028】
図6〜9に従って、この形態のマスクの製造方法の説明を行う。
図8は、マスク本体を射出成形により製造する工程を模式的に、部分的に示す部分断面図であり、図8(a)は熱可塑性エラストマー射出前の状態、図8(a)は熱可塑性エラストマー射出後の状態を示している。図9は、本発明のマスクの製造方法を示すフローチャートである。
【0029】
フィルター素材11を、所定の形状に切断する(S51)。この形態のフィルター素材11は、切り欠き部11aが形成された略ハート形状に切断されている(図6参照)。図7に示すように、このフィルター素材11を、切り欠き部11aの両方の辺部11d、辺部11d近傍が重なるように、切り欠き部11aの交点を頂点としてまるめ、切り欠き部11aの両方の辺部11d、辺部11d近傍が重なった部位である重合部11cを、一箇所又は複数箇所、仮止めする(S52)。この仮止めは、融着(溶着)等によればよく、例えば、高周波溶着、熱溶着、超音波溶着等の方法で行うことができる。又、両面接着剤等で接着してもよい。
【0030】
この仮止めされたフィルター素材11は、立体形状(例えば、斜円錐形状、略斜円錐形状)に形成されたフィルター部材10となる。このフィルター部材10を、金型30内にインサートし、金型30を型締めする(S53)。型締めされた金型30には、所定の位置(フィルター部材10の周縁部11b及び周縁部11b近傍位置、重合部11c及び重合部11c近傍位置、顔密接部に対応する位置)にキャビティ31、キャビティ32が形成される(図8a参照)。このキャビティ31、キャビティ32に、図示しないゲート等を介して熱可塑性エラストマーを射出する(S54)と、金型30内にインサートされたフィルター部材10と、射出された熱可塑性エラストマーからなるエラストマー体20とが一体に接合する(図8b参照)。
【0031】
冷却後、金型30を開き、フィルター部材10とエラストマー体20とが一体に接合したマスク本体15を金型30から取り出す(S55)。このマスク本体15には耳掛け部50が設けられる(S56)。すなわち、マスク本体15は、マスク本体15の両端に耳掛け紐51を挿通させるための紐保持部52を融着等して一体にし、紐保持部52の穴内に耳掛け紐51を挿通する。
【0032】
このマスク1の着用方法について説明を行う。着用者は、従来と同様、鼻、口等をマスク本体15で覆い、耳掛け部50を耳に掛けることで、簡単にマスク1を着用することができる。このとき、顔密接エラストマー部22が着用者の顔面に密接するが、顔密接エラストマー部22は、柔軟で、弾性変形可能な材料である熱可塑性エラストマーで成形されているので、顔面の凹凸(顔の起伏)に追従して容易に弾性変形するとともに顔面に密接し、マスク1の性能を低下させることがない(図5参照)。すなわち、マスク1のフィット感がたいへん高い。又、着用者がメガネを使用している場合でも、呼気によってメガネが曇るようなことが生じない。
【0033】
図10に基づいて、マスクの他の実施の形態について説明を行う。
図10は、他の実施の形態のマスクの断面図であり、前述した実施の形態の図3に相当する図である。又、他の実施の形態のマスクの正面図は、図2とほぼ同様であり省略している。又、前述した実施の形態と同一の部位には、同一の符号を付与し詳細な説明を省略している。
【0034】
この他の形態のマスク101は、マスク体110が、マスク枠体120に対して係脱可能に係合する構成のものである。マスク体110は、フィルター部材10の周縁部及び周縁部近傍、重合部及び重合部近傍の位置に相当するキャビティに熱可塑性合成樹脂が射出され、フィルター部材10と熱可塑性合成樹脂からなる樹脂体112とが一体に接合されている。すなわち、マスク体110は、立体形状(例えば、斜円錐形状、略斜円錐形状)に形成されている。又、周縁部成形用キャビティには、後述するマスク枠体129と係脱可能に係合するための係合部を成形するための部位も含まれており、樹脂体112の周縁部の先端側には、係合部113が形成されている。なお、マスク体は、熱可塑性エラストマーが射出され、フィルター部材10と熱可塑性エラストマーからなるエラストマー体とが一体に接合されたものであってもよい。
【0035】
マスク枠体120は、マスク枠体成形用金型(図示せず)のキャビティに熱可塑性エラストマーが射出成形されたものである。マスク枠体120は、マスク101の外枠となる外枠部と、この外枠部に連続し、かつ、立体形状の内部側に折り曲げられている部位に形成され、着用者の顔面に接触する顔密接エラストマー部22と、マスク体110の係合部113と対向するように設けられ、係合部113と係脱可能に係合する被係合部121とが形成されている。すなわち、マスク枠体120の被係合部121に、マスク体110の係合部113が係合、離脱することにより、マスク体110が交換可能になっている。例えば、マスク体110と、マスク枠体120とで構成されたマスク本体115は、使用時間が所定時間経過したマスク体110、汚れが発生したマスク体110のみを交換可能な形態となっている。マスク枠体120の両端には、耳掛け部(図示せず)が設けられている。
【0036】
なお、この形態では、係合部を傾斜凸部、被係合部を傾斜凹部として示しているが、係合部を傾斜凹部、被係合部を傾斜凸部としてもよい。又、係合部を、係合穴部又は係合軸部とし、被係合部を、被係合軸部又は被係合穴部としてもよい。すなわち、係合部と被係合部とは、マスク体とマスク枠体とが係合、離脱できる構成になっているものであればよい。
【0037】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されることはない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。例えば、重合エラストマー部をマスク本体、マスク体の略斜円錐形状の短径側に形成したもので説明を行ったが、図11に示すように、マスク201は、マスク本体、マスク体の略斜円錐形状の長径側等に重合エラストマー部223を形成したものであってもよい。
【0038】
又、マスク301は、図12に示すように、立体形状(斜円錐形状、略斜円錐形状)のマスク本体、マスク体に、一つ又は複数(この形態では2つ)のリブ部323を放射状に設けたものであってもよい。このようにすると、マスク本体、マスク体の剛性が向上する。さらに、フィルター部材は、不織布を熱プレス等により絞り込んで形成したものであってもよい。このフィルター部材の場合、立体形状が、斜円錐形状又は略斜円錐形状に限定されることはない。例えば、立体形状は、円錐状の面の中央部位、中央部近傍部位等が外側に膨らんだようなものであってもよい。
【0039】
又、切り込み部は、周縁部側から交点までの辺部が、異なる角度の直線と直線を組み合わせた辺部のもの、直線と曲線とを組み合わせた辺部のもの等であってもよい。この切り込み部の形状、フィルター素材の周縁部の形状は、フィルター部材の立体形状に合わせて適宜選択されるものである。
【0040】
さらに、熱可塑性エラストマーからなるエラストマー体とフィルター部材との接合部は、図13に示すように、フィルター部材のどちらか一方の面に、一体に接合されているものであってもよい。例えば、フィルター部材の周縁部の内側に周縁エラストマー部21aと、重合エラストマー部が接合されている接合部(図13(a)参照)とであってもよく、フィルター部材の周縁部の外側に周縁エラストマー部21b、重合エラストマー部が接合されている接合部(図13(b)参照)であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1、101、201、301 … マスク
10 … フィルター部材
11 … フィルター素材
11a… 切り欠き部
11b… 周縁部
11c… 重合部
15、115 … マスク本体
20 … エラストマー体
21 … 周縁エラストマー部
22 … 顔密接エラストマー部
23 … 重合エラストマー部
30 … 金型
31 … キャビティ
32 … キャビティ
50 … 耳掛け部
110… マスク体
120… マスク枠体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の鼻、口及びその周辺を包囲して覆うマスク本体と、前記マスク本体の両側に設けられた耳掛け部とを備えたマスクの製造方法であって、
一枚の不織布又は複数枚の不織布からなるフィルター素材を、切り込み部を有する所定の形状に切断する工程と、
前記切り込み部の両方の辺部を重ね合わせ、立体形状に組み立てると共に、両方の前記辺部が重なり合った両辺重合部を仮止めし、フィルター部材を形成する工程と、
前記フィルター部材を金型内にインサートするとともに、前記金型を型締めし、前記フィルター部材の周縁部と、この周縁部に連続し、前記立体形状の内部側に折り曲げられ、着用者がマスクを着用したとき、着用者の顔面に密接する顔密接部と、前記両辺重合部とに対応する位置にキャビティを形成する工程と、
前記金型の前記キャビティ内に熱可塑性エラストマーを射出し、前記フィルター部材と前記熱可塑性エラストマーとが一体に接合された前記マスク本体を製造する工程とを有している
ことを特徴とするマスクの製造方法。
【請求項2】
着用者の鼻、口及びその周辺を包囲して覆うマスク本体と、前記マスク本体の両側に設けられた耳掛け部とを備えたマスクの製造方法であって、
一枚の不織布又は複数枚の不織布からなるフィルター素材を、切り込み部を有する所定の形状に切断する工程と、
前記切り込み部の両方の辺部を重ね合わせ、立体形状に組み立てると共に、両方の前記辺部が重なり合った両辺重合部を仮止めし、フィルター部材を形成する工程と、
前記フィルター部材を金型内にインサートするとともに、前記金型を型締めし、前記フィルター部材の周縁部と、前記周縁部の端部に設けられた係合部と、前記両辺重合部とに対応する位置にキャビティを形成する工程と、
前記金型の前記キャビティ内に熱可塑性合成樹脂又は熱可塑性エラストマーを射出し、前記フィルター部材と前記熱可塑性合成樹脂又は熱可塑性エラストマーとが一体に接合されたマスク体を製造する工程と、
外枠部と、前記外枠部と連続し、前記立体形状の内部側に折り曲げられ、着用者の顔面に密接する顔密接部と、前記マスク体の前記係合部を係脱可能に係合する被係合部とが設けられたマスク枠体を成形するための金型に熱可塑性エラストマーを射出し、マスク枠体を製造する工程と、
前記マスク枠体に前記マスク体を係合して前記マスク本体とする工程とを有している
ことを特徴とするマスクの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたマスクの製造方法であって、
前記フィルター素材は、切り込み部を有する略ハート形状のものであり、
前記立体形状は、斜円錐形状又は略斜円錐形状である
ことを特徴とするマスクの製造方法。
【請求項4】
着用者の鼻、口及びその周辺を包囲して覆うマスク本体と、前記マスク本体の両側に設けられた耳掛け部とを備えたマスクであって、
前記マスク本体は、
一枚の不織布又は複数枚重ねた不織布からなるフィルター素材が、立体形状に形成されたフィルター部材と、
熱可塑性エラストマーで形成され、前記フィルター部材の周縁部に一体に接合された周縁エラストマー部と、前記周縁エラストマー部に連続し、前記立体形状の内部側に折り曲げられ、着用者がマスクを着用したとき、着用者の顔面に密接する顔密接エラストマー部とを有するエラストマー体とで構成されている
ことを特徴とするマスク。
【請求項5】
着用者の鼻、口及びその周辺を包囲して覆うマスク本体と、前記マスク本体の両側に設けられた耳掛け部とを備えたマスクであって、
前記マスク本体は、
一枚の不織布又は複数枚重ねた不織布からなるフィルター素材が、立体形状に形成されたフィルター部材と、前記フィルター部材の周縁部に一体に接合された周縁エラストマー部と、この周縁エラストマー部の端部に設けられた係合部とを有し、熱可塑性合成樹脂又は熱可塑性エラストマーで形成されたマスク体と、
熱可塑性エラストマーで形成され、前記マスク本体の枠部分を構成するものであって、外枠部と、前記外枠部に連続し、前記立体形状の内部側に折り曲げられ、着用者がマスクを着用したとき、着用者の顔面に密接する顔密接エラストマー部と、前記マスク体の前記係合部を係脱可能に係合する被係合部とを有するマスク枠体とで構成されている
ことを特徴とするマスク。
【請求項6】
請求項4又は5に記載されたマスクにおいて、
前記フィルター部材は、切り込み部を有する略ハート形状のフィルター素材を、前記切り込み部の両方の辺部を重ね合わせ、重ね合わせた両辺重合部に熱可塑性エラストマーを射出することで一体に接合されたものであり、
前記立体形状は、斜円錐形状又は略斜円錐形状である
ことを特徴とするマスク。
【請求項7】
請求項6に記載されたマスクにおいて、
前記マスク本体は、前記フィルター部材に、前記両辺重合部と異なる角度位置に、一又は複数のリブが放射状に形成されているものである
ことを特徴とするマスク。
【請求項1】
着用者の鼻、口及びその周辺を包囲して覆うマスク本体と、前記マスク本体の両側に設けられた耳掛け部とを備えたマスクの製造方法であって、
一枚の不織布又は複数枚の不織布からなるフィルター素材を、切り込み部を有する所定の形状に切断する工程と、
前記切り込み部の両方の辺部を重ね合わせ、立体形状に組み立てると共に、両方の前記辺部が重なり合った両辺重合部を仮止めし、フィルター部材を形成する工程と、
前記フィルター部材を金型内にインサートするとともに、前記金型を型締めし、前記フィルター部材の周縁部と、この周縁部に連続し、前記立体形状の内部側に折り曲げられ、着用者がマスクを着用したとき、着用者の顔面に密接する顔密接部と、前記両辺重合部とに対応する位置にキャビティを形成する工程と、
前記金型の前記キャビティ内に熱可塑性エラストマーを射出し、前記フィルター部材と前記熱可塑性エラストマーとが一体に接合された前記マスク本体を製造する工程とを有している
ことを特徴とするマスクの製造方法。
【請求項2】
着用者の鼻、口及びその周辺を包囲して覆うマスク本体と、前記マスク本体の両側に設けられた耳掛け部とを備えたマスクの製造方法であって、
一枚の不織布又は複数枚の不織布からなるフィルター素材を、切り込み部を有する所定の形状に切断する工程と、
前記切り込み部の両方の辺部を重ね合わせ、立体形状に組み立てると共に、両方の前記辺部が重なり合った両辺重合部を仮止めし、フィルター部材を形成する工程と、
前記フィルター部材を金型内にインサートするとともに、前記金型を型締めし、前記フィルター部材の周縁部と、前記周縁部の端部に設けられた係合部と、前記両辺重合部とに対応する位置にキャビティを形成する工程と、
前記金型の前記キャビティ内に熱可塑性合成樹脂又は熱可塑性エラストマーを射出し、前記フィルター部材と前記熱可塑性合成樹脂又は熱可塑性エラストマーとが一体に接合されたマスク体を製造する工程と、
外枠部と、前記外枠部と連続し、前記立体形状の内部側に折り曲げられ、着用者の顔面に密接する顔密接部と、前記マスク体の前記係合部を係脱可能に係合する被係合部とが設けられたマスク枠体を成形するための金型に熱可塑性エラストマーを射出し、マスク枠体を製造する工程と、
前記マスク枠体に前記マスク体を係合して前記マスク本体とする工程とを有している
ことを特徴とするマスクの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたマスクの製造方法であって、
前記フィルター素材は、切り込み部を有する略ハート形状のものであり、
前記立体形状は、斜円錐形状又は略斜円錐形状である
ことを特徴とするマスクの製造方法。
【請求項4】
着用者の鼻、口及びその周辺を包囲して覆うマスク本体と、前記マスク本体の両側に設けられた耳掛け部とを備えたマスクであって、
前記マスク本体は、
一枚の不織布又は複数枚重ねた不織布からなるフィルター素材が、立体形状に形成されたフィルター部材と、
熱可塑性エラストマーで形成され、前記フィルター部材の周縁部に一体に接合された周縁エラストマー部と、前記周縁エラストマー部に連続し、前記立体形状の内部側に折り曲げられ、着用者がマスクを着用したとき、着用者の顔面に密接する顔密接エラストマー部とを有するエラストマー体とで構成されている
ことを特徴とするマスク。
【請求項5】
着用者の鼻、口及びその周辺を包囲して覆うマスク本体と、前記マスク本体の両側に設けられた耳掛け部とを備えたマスクであって、
前記マスク本体は、
一枚の不織布又は複数枚重ねた不織布からなるフィルター素材が、立体形状に形成されたフィルター部材と、前記フィルター部材の周縁部に一体に接合された周縁エラストマー部と、この周縁エラストマー部の端部に設けられた係合部とを有し、熱可塑性合成樹脂又は熱可塑性エラストマーで形成されたマスク体と、
熱可塑性エラストマーで形成され、前記マスク本体の枠部分を構成するものであって、外枠部と、前記外枠部に連続し、前記立体形状の内部側に折り曲げられ、着用者がマスクを着用したとき、着用者の顔面に密接する顔密接エラストマー部と、前記マスク体の前記係合部を係脱可能に係合する被係合部とを有するマスク枠体とで構成されている
ことを特徴とするマスク。
【請求項6】
請求項4又は5に記載されたマスクにおいて、
前記フィルター部材は、切り込み部を有する略ハート形状のフィルター素材を、前記切り込み部の両方の辺部を重ね合わせ、重ね合わせた両辺重合部に熱可塑性エラストマーを射出することで一体に接合されたものであり、
前記立体形状は、斜円錐形状又は略斜円錐形状である
ことを特徴とするマスク。
【請求項7】
請求項6に記載されたマスクにおいて、
前記マスク本体は、前記フィルター部材に、前記両辺重合部と異なる角度位置に、一又は複数のリブが放射状に形成されているものである
ことを特徴とするマスク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−30706(P2011−30706A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178830(P2009−178830)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000206141)大成プラス株式会社 (87)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000206141)大成プラス株式会社 (87)
【Fターム(参考)】
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