説明

マスク止め具

【課題】耳掛け部を耳に掛けないでマスク本体を、かぜ症候群や花粉対策等のために装着できるようにしたマスク止め具を提供する。
【解決手段】マスク止め具1は、バネ性を有する偏平細長板材からなる後頭部当て体2の対向端部に、マスク本体の耳掛け部を把持できる形状を備えた係止部3,3’を設け、耳掛け部を耳に掛けないで後頭部当て体の係止部に止めることによりマスク本体が装着できるようにしたこと、前記後頭部当て体の対向端部を複数に分岐し、各端部に係止部を設けることにより後頭部当て体を幅広にして後頭部に安定的に当てられるようにしたこと、更に、前記係止部が、内向きに1段又は2段以上備えられ、頭の大きさに大小の差、大人と子供の差や耳掛け部の伸び率の差などがあっても常にピッタリと装着できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク本体を、耳掛け部を耳に掛けないで装着できるようにしたマスク止め具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に耳掛け部を有するマスクは、特に、かぜ症候群や花粉対策用では多い。マスクはウイルスや花粉による喉の刺激で粘膜の抵抗力が低下するのをくい止めるために装着される。最近、耳掛け部を有するマスクとして出回っているものとして、例えば、特開2002−136615号公報のもの、特開2004−313415号公報のものがある。前者はマスク本体に、茶の抽出成分を添着した点に特徴を有し、後者はマスク本体を構成する繊維シートにアスコルビン酸誘導体を固着した点に特徴を有している。これら茶の抽出成分もアスコルビン酸誘導体も抗ウイルスとして効果的であるとされている。
【特許文献1】特開2002−136615号公報
【特許文献2】特開2004−313415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、耳掛け部を有するマスクは、抗ウイルス対策でも花粉対策でも耳掛け部を耳に掛けて長時間装着することが多く、耳掛け部が耳の裏に強く食い込んで痛みを覚えることがある。また、耳掛け部を有するマスクは、他人との会話や物(菓子やガムなど)を食べるときや飲み物を飲むときなどに耳掛け部を耳に掛けたままマスク本体を顎の下にズラすことがあるが、これは一時的とは言え、耳掛け部が耳の裏に強く刺激を与えることから耳に大きな負担を与えるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記の問題を解消するためのもので、その目的とするところは、耳に負担をかけないでマスクをかぜ症候群や花粉対策等のために装着できるようにしたマスク止め具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係るマスク止め具は、バネ性を有する偏平細長板材からなる後頭部当て体の対向端部に、マスク本体の耳掛け部を把持できる形状を備えた係止部を設けたことを特徴とし、耳掛け部を後頭部当て体の係止部に止めることによりマスクの装着ができるように構成した。
【0006】
また、請求項2に記載のマスク止め具は、前記後頭部当て体の対向端部が、複数に分岐していることを特徴とし、各端部に設けた係止部に耳掛け部を止めることにより後頭部当て体を後頭部に安定させ得るように構成した。
【0007】
また、請求項3に記載のマスク止め具は、前記係止部が、内向きに1段又は2段以上備えられていることを特徴とし、頭の大きさに大小の差、大人と子供の差や耳掛け部の伸び率の差などがあっても常にピッタリと装着できるように構成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明のマスク止め具によれば、耳掛け部を後頭部当て体の係止部に止め、耳掛け部を耳に掛けずに装着できるので、マスクを長時間装着しても耳掛け部が耳の裏に食い込むことがなく、しかも他人との会話や物を食べるときなどに耳掛け部を耳に掛けたままマスク本体を顎の下にズラすことがあっても耳を痛めたり耳に必要以上の負担を掛けることがないという優れた効果を奏する。
【0009】
また、請求項2に記載のマスク止め具によれば、前記後頭部当て体の対向端部が、複数に分岐し、各端部に設けた係止部に耳掛け部を止めることにより後頭部当て体を後頭部に安定させて装着感を良好にするという優れた効果を奏する。
【0010】
また、請求項3に記載のマスク止め具によれば、頭の大きさに大小の差、大人と子供の差や耳掛け部の伸び率の差などがあっても常にピッタリとマスクの装着ができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施の態様を添付図面に基づいて説明する。図1は本願止め具を示す平面図、図2は本願止め具の断面正面図、図3は後頭部当て体の変形例を示し、(a)はX型、(b)はK型、(c)はH型、(d)はY型、図4は係止部の拡大断面図で、(a)は側面断面図、(b)は正面断面図、図5は本願止め具とマスクの耳掛け部との関係を示す斜視図、図6はマスク装着状態を示す顔の側面図である。
【0012】
本願止め具1は、偏平細長板材からなる後頭部当て体2の対向端部に、マスク本体10の耳掛け部11、11′を把持できる形状を備えた係止部3、3′を設けている。該係止部3、3′は、図1及び図2の如く、内向きに2段づつ設けられている。もちろん、内向きに1段であってもよいが、頭の大きさには大小の差があるし、大人と子供の差や耳掛け部の伸び率の差などがある。その場合でも常にピッタリと装着できるようにするには複数段(2段以上)設けることが好ましい。すなわち、対向端部に2段づつ設けた場合において、外の係止部3と外の係止部3、外の係止部3と内の係止部3′、内の係止部3′と内の係止部3′の如くである。
【0013】
前記後頭部当て体2は、人間の後頭部に当てるためのもので、後頭部の丸み形状に沿って曲げても元に復帰できるバネ性を備えた素材、例えば、プラスチック材で成形するとよい。プラスチック材のうちでも、特に、LDPE製のものは、復帰性及びバネ性に優れる上に、「燃えるゴミ」と一緒に捨てられる点でより好ましい。
【0014】
前記後頭部当て体2の形態として具体的には、I型(図1のもの)で、長さ110cm〜150cm、横幅80mm〜120mm、厚さ0.8mm〜1.5mm位がよい。もちろん、I型のみに限らず、例えば、図3(a)の如く、中央部にてX状に分岐し、対向端部を各2個にしたものでも、同(b)の如く、中央部にてK状に分岐し、対向端部を各2個にしたものでも、同(c)は中央部にてH状に分岐し、対向端部を各2個にしたものでもよい。これらは、後頭部当て体2が幅広になるので、後頭部に当てたときに、より安定し、マスク装着感を更に良好にする。また、同(d)の如く、Y型にしたものでもよい。これは対向端部のうち、一方を各2個にし、他方を1個にしたものである。
【0015】
前記係止部3は、マスク本体10の耳掛け部11、11′を把持できる形状を備えている。「把持できる形状」とは、図4(a)の如く、透孔3aをあけ、該透孔3aの内縁から内向きにフック3bを上向き傾斜し、その先端側を水平に戻し、その水平部下面にボッチ3cを設けてなる。すなわち、透孔3aと上向き傾斜したフック3bの奥側には楔状の隙間ができ、マスク本体10の耳掛け部11(11′)を食い込ませるように把持できるようになっている。又、前記透孔3aは耳掛け部11(11′)を、図4(a)の如く、凹状に屈曲させ、フック3bとの間に食い込ませるようにしている。更に、ボッチ3cはフック3bにいったん係止された耳掛け部11(11′)を外れにくくしている。
【0016】
前記後頭部当て体2と、その端部に設けた透孔3aと、その内縁から内向きに傾斜設置したフック3bと、その先端下面に設けたボッチ3cは射出成形により得られる。ここに「射出成形」とは、プチスチック材料(LDPE)を加熱によって溶融、流動状態とし、所望の型[例えば、図1、図3(a)〜(d)の形状につくられたもの]に流し込み、冷却によって固化定着させる方法である。もちろん、射出成形以外の方法で得ることができるならば、その方法によることもある。
【0017】
なお、前記係止部3は、図示していないが、後頭部当て体2のエッジに内向きの鋸刃状の凹溝を設けてもよい。かかる場合にも、鋸刃状の凹溝の奥側を楔状にし、前記耳掛け部11(11′)をその楔部に食い込ませるように把持できるようにすることがよい。
【0018】
次に、本願止め具1の使用方法について説明する。まず、本願止め具1を構成する後頭部当て体2の一方の端部に設けた係止部(フック3b)3を、図5の如く、前記マスク本体10の耳掛け部11に引っ掛ける。次に、マスク本体10を鼻、口に当てるとともに、後頭部当て体2を後頭部にまわしてから他方の端部に設けた係止部(フック3b)3をマスク本体10の耳掛け部11′に引っ掛ける。この引っ掛け作業は頭の後ろで行うため、目視できないが、後頭部当て体2の他方の端部を図5の如く内側に屈曲させると、係止部(フック3b)が外側に向かって飛び出るのでより引っ掛け易くなる。
【0019】
かくして、前記マスク本体10は、鼻、口に当てた状態で、図6の如く、本願止め具1を介して確実に止められ、耳掛け部11、11′を耳に掛けないから、長時間マスクをしていても耳の裏に強く刺激を与えたり、必要以上に耳に負担を与えることがない。また、本願止め具1を介して耳掛け部11、11′を引っ張るため、マスク本体10の側面が顔面(頬部)に密着し、くしゃみや咳を側面から漏らさないという機能も得られる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本願のマスク止め具は、耳に負担をかけないでマスクをかぜ症候群や花粉対策等のために装着できるもので、医療分野においても広く利用することが可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本願止め具を示す平面図である。
【図2】本願止め具の断面正面図である。
【図3】後頭部当て体の変形例を示し、(a)はX型、(b)はK型、(c)はH型、(d)はY型である。
【図4】係止部の拡大断面図で、(a)は側面断面図、(b)は正面断面図である。
【図5】本願止め具とマスクの耳掛け部との関係を示す斜視図である。
【図6】マスク装着状態を示す顔の側面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 本願止め具
2 後頭部当て体
3、3′ 係止部
3a 透孔
3b フック
3c ボッチ
10 マスク本体
11、11′ 耳掛け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バネ性を有する偏平細長板材からなる後頭部当て体の対向端部に、マスク本体の耳掛け部を把持できる形状を備えた係止部を設けたことを特徴とするマスク止め具。
【請求項2】
前記後頭部当て体の対向端部が、複数に分岐していることを特徴とする請求項1に記載のマスク止め具。
【請求項3】
前記係止部が、内向きに1段又は2段以上備えられていることを特徴とする請求項1に記載のマスク止め具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−115449(P2011−115449A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276544(P2009−276544)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(509334734)有限会社恵南ケミカル (1)
【Fターム(参考)】