説明

マスク用補助具

【課題】 全ての市販のマスクについて使用することにより耳の痛さを解消するばかりか多量製造も容易で安価に提供でき、特に、優れたデザインを有し、使用時にも美麗でファッション的にも優れているマスク用の補助具を提供する。
【解決手段】 マスク本体に付設された左右の耳掛け紐に係止する係止部材が長尺の支持部材の両端に付設されたマスク用補助具であって、支持部材と両係止部材とが弾性且つ折曲可能な板状に形成されているとともに、各係止部材が支持部材に連設した膨出部の左右方向のほぼ中央において縦方向に設けた折曲部が形成されているとともに折曲部を挟んで互いに係脱可能な係止孔と係止突起とが設けられていることを特徴とし、更に、支持部材と両係止部材とを一体に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市販のマスクに付設して使用する補助具に関するものであり、装着を確実にするばかりか、特に耳掛けによる痛みを解消するマスク用補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図13に示すように、口と鼻を覆うマスク本体21の両端に環状の耳掛け紐22,22を付設したマスク2が一般に市販されているが、耳掛け紐22,22を耳4,4に掛けて使用するものであり、長時間使用すると耳4,4の掛け部が痛くなったり肌が荒れたり、かぶれたりするという問題があり、特に、市販のマスク2は耳掛け紐22,22が弛むと隙間なく口や鼻を押さえることができなくなってその機能を充分に発揮することができないこと、また、耳4,4までの距離は個人差があり、出来るだけ万人に適用可能にするために比較的長さを短くしたり弾性率を高めて対処しており、支障が生じる割合が高い。
【0003】
そこで、例えば実開平6−48699号公報(特許文献1)にマスク本体の両端に付設した環状の耳掛け紐に係止して耳の掛け部が痛くなったり肌が荒れたり、かぶれたりするのを防ぐマスク用の補助具が提示されている。
【0004】
この特許文献1に提示されている従来のマスク用の補助具は、図14に示したように、使用者の頭部の後面に当てる長尺で例えばゴム紐のような支持部材11aの両端にマスク本体21aに付設された左右の耳掛け紐22a,22aに係止するフック状の係止部材12a,12aが付設されたものである。
【0005】
従って、支持部材11aの両端にフック状の係止部材12a,12aを固着する必要があり、製造がきわめて面倒であり、また、固着状態が確実か否かにつき確認する必要があって品質管理の点でも問題があり、更に、美観的にも問題がある。
【0006】
また、図15に示すように、横長の弾性薄板片11bの後端部に、マスク2bの耳掛け紐22b,22bの一方を着脱自在として取り付けるようにし、さらに弾性薄板片11bに設けた複数段の引っ掛け部12bに、マスク(2)のマスク2bの耳掛け紐22b,22bのもう一方を係脱自在として取り付けるようにしたマスク用補助具1bが特開平10−201866号公報(特許文献2)に提示されている。
【0007】
ところが、前記特許文献2に記載されているマスク用補助具1bは、主として防塵用のマスクに用いられるものであって、耳掛け紐22b,22bの長さが長くて確実に口などに密着させて装着することを目的とするものであり、耳掛け紐22b,22bの長さが調節不要の場合には補助具を使う必要がなく、通常は耳掛け紐22b,22bを耳に掛けて使用するものであり、殆どの使用者は耳の痛さを回避することはできない。
【0008】
また、図16に示した装着状態のように、複数段の引っ掛け部12bの根本部分を使用した場合には余分な先端部が突出して邪魔であったり左右が対称でなく見栄えが悪いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開平6−48699号公報
【特許文献2】特開平10−201866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記従来のマスク用補助具が有する問題点を解決するためになされたものであり、全ての市販のマスクについて使用することにより耳の痛さを解消するばかりか多量製造も容易で安価に提供でき、特に、優れたデザインを有し、使用時にも美麗でファッション的にも優れているマスク用の補助具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、マスク本体に付設された左右の耳掛け紐に係止する係止部材が長尺の支持部材の両端に付設されたマスク用補助具であって、前記支持部材と両係止部材とが弾性且つ折曲可能な板状に形成されているとともに、前記各係止部材が前記支持部材に連設した膨出部の左右方向のほぼ中央において縦方向に設けた折曲部が形成されているとともに前記折曲部を挟んで互いに係脱可能な係止孔と係止突起とが設けられていることを特徴とし、更に、前記支持部材と両係止部材とが一体に形成されている。
【0012】
また、第2の発明は、マスク本体に付設された左右の耳掛け紐に係止する係止部材が長尺の支持部材の両端に付設されたマスク用補助具であって、前記支持部材が弾性材により形成されているとともに、前記各係止部材が左右方向の一端に支持部材への係止部が形成されて対向するもう一端に前記耳掛け紐への係止部か形成されており、前記耳掛け紐への係止部が上下方向の両端に弧状の係止突起が突出しているとともに前記支持部材への係止部が支持部材の端部を係止する係止孔を有していることを特徴とし、前記支持部材への係止部である支持部材の端部を係止する係止孔に前記支持部材側に通じる切り込みが形成されていること、前記支持部材の両端に前記係止孔よりも大経の係止突起が形成されているとよい。
【0013】
更に、第3の発明は、マスク本体に付設された左右の耳掛け紐に係止する係止部材が長尺の支持部材の両端に付設されたマスク用補助具であって、
前記各係止部材が周縁の一部に形成した連結部において連結されるとともに少なくとも一方の内面に接着層を形成した一対の係止片により形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、各種タイプの市販されているマスクについて使用することにより耳の痛さを解消するばかりか多量製造も容易で安価に提供でき、特に、優れたデザインを有し、使用時にも美麗でファッション的にも優れているマスク用の補助具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本願の第1の発明における好ましい実施の形態を示すものであり(a)は平面図、(b)は側面図。
【図2】図1に示した実施の形態における使用状態を示す説明図。
【図3】図1に示した実施の形態における装着状態を示す説明図。
【図4】図1に示した実施の形態における異なる方向からの装着状態を示す説明図。
【図5】本願の第2の発明における好ましい実施の形態を示す分解した状態を示す平面図。
【図6】図5に示した実施の形態の組み立てた状態の使用状態を示す平面図。
【図7】図5に示した実施の形態における装着状態を示す説明図。
【図8】図5に示した実施の形態における異なる方向からの装着状態を示す説明図。
【図9】本願の第2の発明における異なる実施の形態を示す分解した状態を示す平面図。
【図10】本願の第3の発明における好ましい実施の形態を示す分離した状態を示す平面図。
【図11】図10に示した実施の形態の装着状態を示す説明図。
【図12】本願の第3の発明における異なる実施の形態を示す分離した状態を示す平面図。
【図13】従来のマスクを示す説明図。
【図14】従来例を示す説明図。
【図15】異なる従来例を示す説明図。
【図16】図15に示した従来例の装着状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0017】
図1は、本願の第1発明の好ましい実施の形態を示すものであって、マスク用補助具1は、弾性を有し且つ折曲可能な例えばシリコン樹脂などにより板状に一体に形成され、長尺の支持部材11とその両端に付設された係止部材12,12とを有する。
【0018】
そして、前記支持部材11は例えば全長が10〜12cm程度の長さを有し、その両端に連設された係止部材12は、平面がほぼ楕円形を呈する膨出部の中央に折曲部121が縦方向に設けられているとともに前記折曲部121を挟んで互いに係脱可能な係止孔122と係止突起123とが一体に設けられている。
【0019】
以上の構成を有する本実施の形態は、前記図1に示した状態で販売され、使用するには、図2(a)に示すように、マスク2の耳掛け紐22を前記係止部材12の折曲部121付近に当てて、図2(b)に示すように折曲部121を折り曲げて係止突起123を係止孔122に挿入して係止すればよく、図3に示すように、マスク2の耳掛け紐22,22について前記図2(b)に示した操作により係止部材12,12をそれぞれ係止して装着する。
【0020】
本実施の形態によれば、図3および図4に示すようにマスク2を形成するマスク本体21に付設された耳掛け紐22,22に本実施の形態であるマスク用補助具1の係止部材12,12が係止されて支持部材11により耳掛け紐22,22が頭3の後面31にて支持されることになり、耳4に掛かることがなくマスク2を装着することができ、耳掛け紐22,22による耳痛や摩擦による肌あれや損傷を防ぐことができる。
【0021】
尚、本実施の形態は、前記折り曲げて係止した係止突起123を係止孔122から抜き取って係止部材12を拡開して元の状態とすればきわめて簡単に耳掛け紐22,22から取り外すことができ、使い捨てのマスクの場合と同様に廃棄すればよいが、マスク本体21部分について使用するものでないことから清潔に保って再使用することもできる。
【0022】
図5は本願の第2の発明についての好ましい実施の形態を示すものであり、マスク用補助具1は、例えばシリコンゴムのような弾性材により形成された長尺の支持部材11と、その両端に付設される係止部材12,12とからなり、特に、前記支持部材11は使用するマスクに付設されている耳掛け紐の弾性力よりも大きな弾性力を有する。
【0023】
また、本実施の形態では前記支持部材11は環状であると好ましい。
【0024】
更に、本実施の形態では、各係止部材12は左右方向の一端に上下方向の両端に突出した弧状の係止突起124を有する例えばマッシュルームの断面形状に似た係止部125が例えばシリコン樹脂やポリプロピレンなどの板材により形成されているとともに左右方向のもう一端に前記支持部材11へ係止するための係止孔126が形成されている。
【0025】
特に、前記係止孔126は前記支持部材11側に通じる切り込み127が形成されている。
【0026】
本実施の形態は、図6に示すように、支持部材11の端部を前記係止部材12の支持部材11への係止部124に掛けて前記切り込み127を通して係止孔126へ挿通して係止し、支持部材11の両端に付設し、これを図6に示したように、各係止部材12の係止部124をマスク2の耳掛け紐22,22に係止して装着することにより前記図3に示した前記第1の発明と同様の作用・効果を奏することができる。
【0027】
また、本実施の形態は、使用後については、前記係止時とは逆に切り込み127を介して係止孔126から取り外して別々に廃棄することができ、また、支持部材11および各係止部材12の何れかが損傷したとしても全てを交換することなしに適宜選択して使用することができ、また、新規に使用する場合にも支持部材11および各係止部材12の形態や素材、更には色彩やデザインなどを選択することによりデザイン(ファッション)的にも優れたものを提供することができる。
【0028】
図9は第2の発明の異なる実施の形態を示すものであり、全体の形状や作用・効果等は前記図4に示した実施の形態とほぼ同様であるが、前記支持部材11の両端に前記係止部材12に形成された係止孔126よりも大経の係止突起111が形成されている。
【0029】
従って、支持部材11の端部を前記切り込み127を介して係止孔126に挿入することにより、係止突起111を係止孔126に係止して、また、逆に係止部材11の端部を前記切り込み127から抜き出すことによりきわめて簡単な構造で支持部材11と係止部材12とを係脱することができる。
【0030】
図10は、本願の第3の発明についての好ましい実施の形態を示すものであり、全体の構成ならびに作用効果は、前記図1に示した実施の形態とほぼ同様であるが、支持部材11と各係止部材21とが別体に形成されている。また、各、係止部材12が周縁の一部に形成した連結部128において連結されるとともに少なくとも一方の内面に接着層129を形成した一対の係止片130,130により形成されており、図11に示すように、前記係止片130,130をマスクの耳掛け紐22を挟み込んで接着することにより耳掛け紐22に係止する。尚、使用前には、接着層129に遮蔽シートを装着しておくとよい。
【0031】
本実施の形態では、各係止部材21、更には支持部材11を紙により形成することも可能であり、地球環境にも適している。
【0032】
また、図12は第3の発明の異なる実施の形態を示すものであり、全体の構成は前記図4に示した実施の形態とほぼ同様であるが、各係止部材12が周縁の一部に形成した連結部128において連結されるとともに少なくとも一方の内面に接着層129を形成した一対の係止片130,130により形成されており、前記係止片130,130を支持部材11の端部112を挟み込んで接着することにより支持部材11の両端に係止部材12,12が付設される。
【0033】
本実施の形態はきわめて安価に提供できることはいうまでもなく、支持部材11としてゴム紐のような弾性材により形成されたものを使用することができ、確実に装着することができる。尚、本実施の形態では支持部材11の少なくとも両端が平坦であると支持し易い。
【符号の説明】
【0034】
1 マスク用補助具、2 マスク、21 マスク本体、22,22 耳掛け紐、12,12 係止部材、11 支持部材、121 折曲部、122 係止孔、123 係止突起、124 係止突起、125 係止部、126 係止孔、127 切り込み、128 連結部、129 接着層、130,130 係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体に付設された左右の耳掛け紐に係止する係止部材が長尺の支持部材の両端に付設されたマスク用補助具であって、
前記支持部材と両係止部材とが弾性且つ折曲可能な板状に形成されているとともに、前記各係止部材が前記支持部材に連設した膨出部の左右方向のほぼ中央において縦方向に設けた折曲部が形成されているとともに前記折曲部を挟んで互いに係脱可能な係止孔と係止突起とが設けられていることを特徴とするマスク用補助具。
【請求項2】
前記支持部材と両係止部材とが一体に形成されていることを特徴とするマスク用補助具。
【請求項3】
マスク本体に付設された左右の耳掛け紐に係止する係止部材が長尺の支持部材の両端に付設されたマスク用補助具であって、
前記支持部材が弾性材により形成されているとともに、前記各係止部材が左右方向の一端に支持部材への係止部が形成されて対向するもう一端に前記耳掛け紐への係止部か形成されており、前記耳掛け紐への係止部が上下方向の両端に弧状の係止突起が突出しているとともに前記支持部材への係止部が支持部材の端部を係止する係止孔を有していることを特徴とするマスク用補助具。
【請求項4】
前記支持部材への係止部である支持部材の端部を係止する係止孔に前記支持部材側に通じる切り込みが形成されていることを特徴とする請求項3に記載のマスク用補助具。
【請求項5】
前記支持部材の両端に前記係止孔よりも大経の係止突起が形成されていることを特徴とする請求項4記載のマスク用補助具。
【請求項6】
マスク本体に付設された左右の耳掛け紐に係止する係止部材が長尺の支持部材の両端に付設されたマスク用補助具であって、
前記各係止部材が周縁の一部に形成した連結部において連結されるとともに少なくとも一方の内面に接着層を形成した一対の係止片により形成されており、前記係止片を耳掛け紐を挟み込んで接着することを特徴とするマスク用補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−55896(P2011−55896A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206019(P2009−206019)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(594126609)
【Fターム(参考)】