説明

マスク

【課題】簡易な構成で吸収性コアを収容可能なマスクを提供する。
【解決手段】本発明に係るマスクは、保水液が含浸された吸収性コアと、通気性を有するシート材を2枚以上積層することで形成され、隣接する前記シート材の間に前記吸収性コアを収容するマスク本体と、前記マスク本体の横方向の両端部に設けられ、当該マスク本体を顔に保持するための一対の耳掛け部と、を備え、前記マスク本体には、横方向に延びる少なくとも2つの折り目で折り返されることで形成される少なくとも1つのプリーツが形成され、前記プリーツの折り目は、前記吸収性コアが配置される領域には形成されていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保水液が含浸された吸収性コアを収容したマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠中には、飲食物や唾液等の嚥下がないため、咽喉が乾燥しやすくなることがある。これを防止するため、例えば、特許文献1には、次のようなマスクが開示されている。この文献に記載のマスクは、水分が保持された吸収性コアを袋状の収容体に収容し、この収容体を、口を覆うマスク本体に取り付けている。これにより、睡眠中に口腔へ水分が補給され、咽喉の乾燥を防止している。
【特許文献1】特開2007−319421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記マスクには、マスク本体とは別に、吸収性コアを収容する収容体が設けられているため、部品点数が多くなり、製造が複雑になるという問題がある。また、当該収容体がマスク本体とは別部材になっているため、マスク装着時に当該収容体が口元に触れるおそれがあり、装着時の圧迫感やゴワゴワ感の点で不十分であった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、簡易な構成で吸収性コアを収容可能であり、かつ使用感に優れるマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るマスクは、保水液が含浸された吸収性コアと、通気性を有するシート材を2枚以上積層することで形成され、隣接する前記シート材の間に前記吸収性コアを収容するマスク本体と、前記マスク本体の横方向の両端部に設けられ、当該マスク本体を顔に保持するための一対の耳掛け部と、を備え、前記マスク本体には、横方向に延びる少なくとも2つの折り目でシート材が折り返されることで形成される少なくとも1つのプリーツが形成され、前記プリーツの折り目は、前記吸収性コアが配置される領域には形成されていない。
【0006】
この構成によれば、マスク本体を構成する2枚のシート材の間に吸収性コアを収容している。そのため、吸収性コアを収容する収容体を別途設けている従来例と比べ、部品点数を少なくすることができ、構造を簡易にすることができる。また、プリーツ(襞)を設けているので、これを広げると、マスク本体を縦方向に伸長させることができる。したがって、顔のより広い範囲をマスク本体で覆うことができる。ここで、プリーツの折り目は、吸収性コアが配置されている領域には形成されていないので、吸収性コアをシート材の間に収容するときに、プリーツが邪魔になって収容しにくくなるのを防止することができる。
【0007】
上記マスクにおいては、プリーツの折り目が、吸収性コアが配置された領域に形成されていない限り、いずれの位置にもプリーツを形成することができる。また、その限りにおいて、複数のプリーツを設けることができる。例えば、マスク本体の縦方向に間隔をあけて配置される少なくとも2つのプリーツを設け、吸収性コアを、これら2つのプリーツの間に配置することができる。これにより、複数のプリーツが設けられているため、マスク本体をより広げることができ、マスクを装着することによる圧迫感を軽減することができる。また例えば前記吸収性コアの配置される領域をプリーツの上方のみに設けることもできる。この構成によれば、プリーツが吸収性コアの下方のみに位置することになり、吸収性コアを上記領域に収容する際にプリーツが邪魔にならず、極めて容易に収容することができる。
【0008】
吸収性コアの配置される領域より下方に形成されたプリーツは、正面から見て上向き、下向きのいずれの向きにも形成できるが、下向きに形成すると、より広げやすく、マスクを装着した際に口元に空間を形成しやすくなり、装着による圧迫感を軽減することができる。
【0009】
上記マスク本体においては、吸収性コアの下方にプリーツを形成し、そのプリーツの折り目に沿って、吸収性コアの収容領域の下端となる固定部を施すことができる。固定部は、縫製、超音波溶着、熱融着などの固定手段によって形成することができる。
【0010】
また、上記マスク本体は、吸収性コアの横方向の移動を規制する固定部を設けることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るマスクによれば、簡易な構造で吸収性コアを収容することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係るマスクは、顔を覆うマスク本体に、保水液が含浸された吸収性コアが収容されることで形成されている。以下、各部材について説明する。
(吸収性コア)
以下、本発明のマスクに収容される吸収性コアについて説明する。この吸水性コアは、マスクに取り付けられ、後述の保水液を含浸し使用時に保水液を徐々に放出させ、口腔に水分を供給するためのものである。例えば、睡眠中に十分な水分を口腔に供給するには後述の保水液を5g/枚以上含浸できることが好ましい。したがって、目付けは200〜1000g/mであることが好ましく、300〜600g/mであることがさらに好ましい。これは、目付が200g/mより小さいと、水分を十分に保持することができない一方、1000g/mより大きいと、コアが硬くなりすぎて、着用時に不快になるおそれがあるからである。
【0013】
また口元で使用することから、吸収性コアの面積としては、例えば、15〜80cmであることが好ましく、30〜55cmの面積であることがより好ましい。吸収性コアの寸法としては例えば横方向に4〜12cm程度、縦方向に3〜8cm程度が好ましい。さらには、例えば横方向に8〜11cm程度、縦方向に4〜6cm程度がより好ましい。
【0014】
吸収性コアは、種々の繊維素材により構成が可能であるが、親水性繊維や、親水性繊維と合成繊維の混紡とすることで構成できる。繊維素材として例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、レーヨン、コットン、パルプなどが挙げられ、柔軟性・保水性の観点から好ましくはパルプである。このような吸収性コアは、製法は特に限定しないが、エアレイド法などにより製造することができ、生産性・加工性・耐久性の観点から主成分たるパルプにポリエチレンなどの熱融着性繊維を所定の割合で混紡することが好ましい。
【0015】
例えば、吸収性コアをパルプで構成する場合、パルプ:熱融着繊維の割合は60:40〜80:20が挙げられる。吸水性コアは、単層または複数層で構成することができるが、耐久性・保水性の観点から、1対の不織布で挟んだ3層構成とすることが好ましい。両端に配置される層の不織布は同素材としてもよく、異なる素材としてもよい。これら不織布の素材としては、親水性繊維、疎水性繊維、合成繊維、または親水性繊維と合成繊維の混紡とすることができ、親水性繊維としてはレーヨン、コットン、ティッシュが挙げられ好ましくはレーヨンである。親水性にすると製造時に保水液をパルプに吸収させやすくなり、製造が容易になるという利点がある。疎水性繊維としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、PETなどのポリエステルが挙げられ好ましくはPE、PPである。疎水性にするとぬれやべたつきを防止できるという利点がある。したがって、着用者側に向く面を疎水性繊維で構成するとともに、それとは反対側の面を親水性繊維で構成すると、好ましい。より好ましくは親水性繊維であるレーヨンを用いることができる。以上の不織布については、例えば、20〜50g/mの目付にすることが好ましい。
【0016】
さらに、吸収性コアには、呼吸のための通気孔を設けることが好ましい。少なくとも着用時に口が位置する場所に設ける。マスクの着用がずれた場合にも呼吸を妨げないよう、より好ましくは吸収性コア全面に設ける。通気孔は大きさ、間隔は適宜調整できるが、例えば直径は8mm、孔同士の間隔は5〜20mmが好ましい。また、吸収性コアの形状は、矩形、円形、楕円状等、特には限定されないが、鼻が嵌るような切欠部を形成しておくことが好ましい。このような切欠部を設けるには、例えば、吸収性コアを凹型に形成すればよい。こうすることで、鼻がコアに覆われず、切り欠かれた領域に嵌るため、鼻による呼吸が楽になるとともに、吸収性コアが鼻によって位置決めされ、睡眠中に吸収性コアが移動するのを防止することができる。
【0017】
この切欠部の寸法としては、鼻のサイズを考慮して例えば横方向に20〜40mm程度、縦方向に5〜30mm程度が好ましい。
(保水液)
次に、本発明に係る保水液について説明する。この保水液は、上述した吸収性コアに含浸させるためのものである。睡眠中に十分な水分を口腔に供給するには、5〜30gの保水液が、吸収性コアに含浸されていることが好ましい。より好ましくは、5〜15gである。
【0018】
保水液は、水であってもよく、若しくは水を主成分とし、水に5〜50重量%のポリオールを配合することができる。ポリオールを配合すると、吸収性コアからの水分蒸発スピードが抑制される効果があり、長時間の持続を要する睡眠中の保水液としては好ましい。ポリオールとしては、グリセリンやジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、1,2ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールなどが挙げられ、その中でも、グリセリンが安全性の点で好ましい。これらの他にも、メチルパラベンやプロピルパラベン、フェノキシエタノール、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルなどの防腐剤、ヒアルロン酸塩やベタインなどの保湿剤、植物エキス、キサンタンガムやヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC),ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)Na、寒天、グアーガム、カラギーナンなどの水溶性増粘剤、ユーカリやミントなどの香料、香料を可溶化する界面活性剤(ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤)などを適宜使用できる。保水液はあらかじめ吸収性コアに含浸されていてもよく、使用時に吸収性コアに含浸してもよい。予め保水液を含浸させる場合、例えば、液や香料が不透過性のアルミラミネートフィルムやアルミ蒸着PETフィルムや透明(シリカ)蒸着PETフィルムからなる袋などに収容しておくことが好ましい。
(マスク本体)
本発明に係るマスクは、口を覆うマスク本体を備えており、このマスク本体に上述した吸収性コアが取り付けられる。マスク本体の横方向の両端部には、耳かけバンド(耳掛け部)も取り付けられる。耳かけバンドの素材は特に限定されないが、ポリエステルなどで構成される伸縮性のある素材がより好ましい。
【0019】
マスク本体の寸法としては、顔のサイズを考慮して例えば横方向に100〜190mm程度、縦方向に50〜100mm程度が好ましい。さらには、横方向に150〜180mm程度、縦方向に70〜90mm程度がより好ましい。マスク本体は、例えば、織布、不織布などの通気性を有するシート材で構成でき、好ましくはスパンボンド法、メルトブロー法、サーマルボンド法またはスパンレース法による不織布、より好ましくは保形性の観点からスパンボンド法による不織布で構成することができる。
【0020】
マスク本体の構造としては、1層以上のシート材とすることができ、例えば、S層(スパンボンドの単層)、SS層(スパンボンド−スパンボンドの2層構造)、SSS層(スパンボンド−スパンボンド−スパンボンドの3層構造)、SMS層(スパンボンド−メルトブロー−スパンボンドの3層構造)等が挙げられ、より好ましくはSS層、SSS層およびSMS層、さらに好ましくはSSS層およびSMS層とすることができる。
【0021】
上記織布及び不織布を構成する繊維素材は公知のものを選択することができ、例えば紙、レーヨン・コットン等の天然繊維、ポリプロピレン・ポリエチレン・ポリエステル等合成繊維とすることができる。また、生産性の観点から好ましくはポリプロピレン、ポリエチレンであり、保形性の観点からさらに好ましくはポリプロピレンを選択することができる。
【0022】
マスク本体は、織布または不織布からなる上記シート材を2枚以上重ね合わせて形成されるのであるが、この場合、隣接する2枚のシート材の間に上述した吸収性コアが配置される。また、複数のシート材は、縫製、超音波溶着、熱融着などの固定手段によって、少なくとも下端、及び両側端が固定され、上端が開放する袋状に形成される。そして、この開放された上端から吸収性コアが収容される。
【0023】
また、マスク本体には、少なくとも1つのプリーツ(襞)が形成される。プリーツは、マスク本体の横方向に延びる少なくとも2つの折り目でシート材を折り返すことで形成される。このプリーツを広げることによって、マスク本体が縦方向(上下方向)に伸張し、種々の顔の大きさに対応することができ、さらにマスクを装着することによる圧迫感を軽減することができる。プリーツは、正面から見て上向きまたは下向きのいずれの向きにも形成できる。例えば、上向きのプリーツは、シート材を前方(顔から離れる方向)に向かって谷折りした後、さらに後方(顔に向かう方向又は顔と略平行)に向かって山折りすることにより形成される。また、下向きのプリーツは、シート材を前方に向かって山折りした後、さらに後方(顔から離れる方向又は顔と略平行)に向かって谷折りすることにより形成される。プリーツの数は限定されないが、数が多いほどマスク本体が伸張する。但し、1、2個が装着性、吸収性コアの収容性および製造性の観点から望ましい。但し、マスク本体において、吸収性コアが配置される領域とプリーツの折り目とが干渉しないようにする必要がある。折り目が吸収性コアの配置領域に干渉すると、吸収性コアをマスク本体に収容する際に、プリーツを広げなければならず、収容しにくくなるからである。
【0024】
また、マスク本体においては、上記のような固定手段により端部を固定するほか、吸収性コアの配置領域を規制するための固定部を設けることもできる。すなわち、吸収性コアの配置領域の両側に少なくとも縦方向に延びる一対の固定部を設ければ、吸収性コアを配置したときに、横方向への移動、ひいては吸収性コアのマスク本体からの飛び出しを防止することができる。このとき、固定部は、袋状に形成された吸収性コアの収容部の上端からやや下方に設けることが好ましい。この位置に設けることで、吸収性コアを収容する際にマスク本体の開口部を広く開けることができるようになるため、収容操作を容易にさせることができる。また、吸収性コアの配置領域の下端部に横方向に延びる下端固定部を設ければ、吸収性コアの下端の位置を規定することができる。このとき、下方に配置されたプリーツの折り目に沿って、吸収性コアの下端を規定する固定部を設けることができる。このような固定部の形状は、特には限定されない。連続する直線状に形成してもよいし、断続的な点、または線の集合体であってもよい。また、L字形でもよい。L字形であると、引っ張っても破断しにくくなる。
【0025】
さらに、マスク本体には、例えばその上辺に沿って、ポリエチレンのようなプラスチック樹脂や生分解性樹脂等からなる線状のノーズピースを取り付けることができる。このノーズピースにより、マスク本体が顔にフィットし、鼻とマスク本体との隙間が開くのが防止される。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、この実施例に限定されるものではない。ここでは、本発明に係るマスクの実施例及び比較例について図面を参照しつつ説明する。図1〜図5は実施例1〜5を示す正面図及び断面図である。また、図6及び図7は比較例1,2を示すマスクの正面図及び断面図である。なお、これらの図においては、耳掛けバンドを省略している。
(実施例1)
マスク本体1は、2枚のポリプロピレンからなるスパンボンド不織布シート11から構成されており、サイズは、縦90×横180mmである。また、外側の不織布シートの目付は20g/mであり、内側の不織布シートの目付は40g/mである。これら不織布シート11は、重ねられて矩形状に形成され、両側及び下端が超音波溶着されている(図中の点線)。そして、2枚の不織布シートの間に吸収性コア2が収容される。また、図示を省略するが、マスク本体1の両側には、上記耳かけバンドが超音波溶着されている。さらに、マスク本体1において、吸収性コア2の配置領域の上下には、それぞれプリーツ12、13が形成されている。上側のプリーツ12は正面から見て上向きに形成され、下側のプリーツ13は正面から見て下向きに形成されている。いずれのプリーツ12,13も2つの折り目で不織布シート11を折り返すことで形成されているが、いずれの折り目も吸収性コア2の配置領域とは干渉していない。また、下側のプリーツ13の下端部には、横方向に沿って溶着17(下端固定部)が施されており、次に説明する吸収性コア2が下方に移動するのを規制している。さらに、マスク本体1の上辺に沿っては、プラスチック樹脂からなる線状のノーズピース18が埋め込まれており、マスク本体1において、このノーズピース18の上下が超音波溶着されて位置を固定している。
【0027】
次に、吸収性コア2について説明する。吸収性コア2は、縦55×横90mmに形成され、パルプを両面から不織布シートによって挟んだものである。パルプの目付は、500g/mである。また、吸収性コア2の上辺には、切り欠き部21が形成され、全体として平面視凹型に形成されている(切欠部:縦20×横30mm)。また、直径8mmの複数の通気孔が形成されている。そして、以下の表2に示す約10gの保水液が含浸されている。この吸収性コア2は、以下に説明する実施例及び比較例を通してすべて同じものが使用されるので、以下では説明を省略する。
【0028】
【表1】

(実施例2)
実施例1との相違点はプリーツであり、その他は同じである。実施例2では、吸収性コア2の配置領域の下方に2つの上向きのプリーツ12,13が形成されている。いずれもプリーツ12,13も2つの折り目で不織布シートを折り返すことで形成されている。
(実施例3)
実施例1との相違点はプリーツであり、その他は同じである。実施例3では、吸収性コア2の配置領域の下方に1つの上向きのプリーツ12が形成されている。このプリーツ12も2つの折り目で不織布シートを折り返すことで形成されている。
(実施例4)
実施例1との相違点はプリーツであり、その他は同じである。実施例4では、吸収性コア2の配置領域の下方に1つの下向きのプリーツ12が形成されている。このプリーツ12も2つの折り目で不織布シートを折り返すことで形成されている。さらに、実施例4では、吸収性コア2の配置領域の両側に二対の固定部14,15が設けられている。これら固定部14,15は、不織布シートを溶着することで構成されている。上側の固定部14はL字形に形成され、下側の固定部15は、縦方向に延びる直線状に形成されている。
(実施例5)
実施例1との相違点はプリーツであり、その他は同じである。実施例5では、吸収性コア2の配置領域の下方に下向きの2つのプリーツ12、13が形成されている。これらプリーツ12、13も2つの折り目で不織布シートを折り返すことで形成されている。さらに、実施例5では、吸収性コア2の配置領域の両側に二対の固定部14,15が設けられている。これら固定部14,15は、不織布シートを溶着することで構成されている。いずれの固定部14、15も縦方向に延びる直線状に形成されている。
(比較例1)
実施例1との相違点はプリーツであり、その他は同じである。比較例1では、吸収性コア2の配置領域と干渉する位置に上向きの3つのプリーツ12、13、16が形成されている。各プリーツ12、13、16は2つの折り目で不織布シートを折り返すことで形成されており、これらの折り目が吸収性コア2の配置領域に跨って配置されている。
(比較例2)
実施例1との相違点は、マスク本体、及び吸収性コアを収容する収容部を別個に設けている点である。収容部3は、不織布シートで上端が開放する袋状に形成され、マスク本体1の背面に固定されている。また、マスク本体1は、実施例1と同様の材料からなる一枚の不織布シートで形成されている。このマスク本体1には、上向きの3つのプリーツ12、13、16が形成されている。各プリーツ12、13、16は2つの折り目で不織布シートを折り返すことで形成されており、これらの折り目が吸収性コア2の配置領域に跨って配置されている。
(評価試験)
上記実施例1〜5、比較例1および2を10名の被験者に着用してもらい、以下の3点を5段階で評価してもらった。
1.吸収性コアの入れやすさ
1点:入れ難い
2点:あまり入れやすくない
3点:どちらとも言えない
4点:少し入れ易い
5点:入れ易い
2.マスク装着時の圧迫感
1点:気になる
2点:少し気になる
3点:どちらとも言えない
4点:あまり気にならない
5点:気にならない
3.マスク装着時のゴワゴワ感
1点:気になる
2点:少し気になる
3点:どちらとも言えない
4点:あまり気にならない
5点:気にならない
結果は以下の通りである。
【0029】
【表2】

以上の結果より、比較例1で示されるように、プリーツが吸収性コアの配置領域と干渉していると入れにくく、かつゴワゴワ感の点で劣り、また圧迫感についても満足のいくものではなかった。また、比較例2で示されるように、吸収性コアを収容する収容部を別個に設けると、装着時のゴワゴワ感の点で満足のいく結果が得られなかった。一方、実施例1〜5については、入れやすさ、圧迫感、ゴワゴワ感の3つの項目いずれも良好な結果となった。特に実施例4および5は、その効果が顕著であった。
【0030】
また、実施例4について、固定部が設けられているものと設けられていないものとで以下の2点を評価してもらった。
1.吸収性コアの飛び出し
1点:気になる
2点:少し気になる
3点:どちらとも言えない
4点:あまり気にならない
5点:気にならない
2.吸収性コアの横方向のズレ
1点:気になる
2点:少し気になる
3点:どちらとも言えない
4点:あまり気にならない
5点:気にならない
【0031】
【表3】

上記の結果から明らかなように、固定部が設けられていないと、吸収性コアの飛び出し、ズレが発生した。また、実施例4における固定部14、15を、縦方向に延びる直線状に形成した場合も、吸収性コアの飛び出しやズレを効果的に抑えることができたが、L字型の固定部に比べて、吸収性コアの収容に際して破断しやすい傾向にあった。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るマスクの実施例1の正面図及び断面図である。
【図2】本発明に係るマスクの実施例2の正面図及び断面図である。
【図3】本発明に係るマスクの実施例3の正面図及び断面図である。
【図4】本発明に係るマスクの実施例4の正面図及び断面図である。
【図5】本発明に係るマスクの実施例5の正面図及び断面図である。
【図6】本発明に係るマスクの比較例1の正面図及び断面図である。
【図7】本発明に係るマスクの比較例2の正面図及び断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 マスク本体
2 吸収性コア
10 表側(外側)シート材
11 裏側(顔側)シート材
12,13,16 プリーツ
14,15 横側固定部
17 下端固定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
保水液が含浸された吸収性コアと、
通気性を有するシート材を2枚以上積層することで形成され、隣接する前記シート材の間に前記吸収性コアが収容されるマスク本体と、
前記マスク本体の横方向の両端部に設けられ、当該マスク本体を顔に保持するための一対の耳掛け部と、を備え、
前記マスク本体には、横方向に延びる少なくとも2つの折り目で前記シート材が折り返されることで形成される少なくとも1つのプリーツが形成され、
前記プリーツの折り目は、前記吸収性コアが配置される領域には形成されていない、マスク。
【請求項2】
前記吸収性コアが配置される領域が、前記少なくとも1つのプリーツより上方のみに設けられた請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記吸収性コアの配置される領域より下方に形成されているプリーツが、正面から見て下向きに形成されている、請求項2に記載のマスク。
【請求項4】
前記マスク本体において、前記吸収性コアの下方に、前記プリーツが形成され、当該プリーツの折り目に沿って、前記吸収性コアの収容領域の下端となる固定部が施されている、請求項1から3のいずれかに記載のマスク。
【請求項5】
前記マスク本体が、前記吸収性コアの横方向の移動を規制する固定部を有している、請求項1から4のいずれかに記載のマスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−82278(P2010−82278A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255749(P2008−255749)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】