説明

マッサージ機構

【課題】 大型化を抑制しつつ、左右方向の施療位置の調整を可能とし、更には左右の各半身に対して単独で揉みマッサージ等を行うことのできるマッサージ機構を提供する。
【解決手段】 被施療者の上半身を背骨の位置で左右に区切ったときの一方の半身に対応して設けられた一対の内側施療子61a及び外側施療子61bと、これらの施療子61a,61bを駆動する第1もー打80とを備え、外側施療子61bは、内側施療子61aよりも左右方向の外側へ離隔して設けられており、第1モータ80によって、内側施療子61aと外側施療子61bとの間の左右方向の離隔距離を変更可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の上半身の背面を支持する背凭れ部内に搭載されるマッサージ機構に関し、特に、被施療者の上半身のうち左半身や右半身に対して、個別に揉み、叩き、指圧といったマッサージを施すことができるマッサージ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被施療者の上半身の背面を支持する背凭れ部を有するマッサージ装置として、例えば椅子型のマッサージ装置が知られている。また、このようなマッサージ装置では、被施療者の背中を施療するための機械式のマッサージ機構が背凭れ部内に備えられているものも知られている(特許文献1乃至5参照)。これら特許文献1乃至4において開示されているマッサージ機構は、被施療者の背中に当接する複数の揉み玉を有し、この揉み玉を動作させることによって背中にマッサージを施すものとなっている。
【特許文献1】特開平11−332931号公報
【特許文献2】特開2000−116741号公報
【特許文献3】特開2003−144506号公報
【特許文献4】実用新案登録第3073794号公報
【特許文献5】特開2007−29481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1に係るマッサージ機構の場合、背中の左半身や右半身に対応する揉み玉は何れも上下に配設されており、背中の左右方向の施療範囲が比較的狭いものとなっている。また、上下の揉み玉間の相対距離が変更不能となっているため、左半身や右半身を個別に揉みマッサージすることもできない。
【0004】
一方、特許文献2乃至4に係るマッサージ機構の場合は、左半身及び右半身の夫々に対応して左右に配設された揉み玉を有するものが開示されており、特許文献1に係るマッサージ機構に比べると、左半身及び右半身の夫々に対してより広い範囲での施療ができる可能性がある。しかしながら、例えば、左半身に対応して左右に配設された2つの揉み玉間の離隔距離を変更することはできないため、より広い範囲での施療や、左右方向の施療位置の調整、左半身単独での揉みマッサージなどを行うことはできない。
【0005】
また、特許文献5に係るマッサージ機構の場合は、左半身及び右半身の夫々に対応して左右に配設された揉み玉を有するものが開示されており、しかも、一方の半身に対して左右に配設された2つの揉み玉は、互いの離隔距離を変更可能となっている。従って、広い範囲での施療が可能でありつつ、左右方向の施療位置調整、及び各半身に対する揉みマッサージなどを行うことが可能になっている。しかしながら、このようなマッサージ機構では、左半身及び右半身に対応して2つの機構が設けられ、且つ各機構の夫々に個別の駆動手段が設けられている。更に、背凭れ部内には、左右に設けられて上下方向へ延びるガイドレールに加え、左右方向の中央にもガイドレールが設けられている。このように、多機能である反面、部品点数が大幅に増加してマッサージ機構の大型化を招来する可能性があると共に、マッサージ機構を搭載する背凭れ部の設計変更も余儀なくされてしまう。
【0006】
そこで本発明は、マッサージ機構の大型化を抑制しつつ、被施療者の上半身のうち左半身及び右半身に対し、より広い範囲での施療を可能とし、また、左右方向の施療位置の調整を可能とし、更には左右の各半身に対して単独で揉みマッサージ等を行うことのできるマッサージ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上述したような事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係るマッサージ機構は、被施療者の上半身の背面を支持する背凭れ部内に搭載されるマッサージ機構であって、被施療者の上半身を背骨の位置で左右に区切ったときの左半身及び右半身の夫々に対応して設けられた内側施療子と、該内側施療子と対を成して該内側施療子よりも左右方向の外側へ離隔して設けられた外側施療子と、これらの施療子を駆動する駆動手段とを備え、
前記駆動手段によって、前記内側施療子と前記外側施療子との間の左右方向の離隔距離を変更可能に構成されており、更に、左右の前記内側施療子及び前記外側施療子を夫々支持すると共に、前記駆動手段により軸芯回りに回転する第1支持シャフトを更に備え、該第1支持シャフトは、アームを介して前記内側施療子を支持する内側傾斜軸と、アームを介して前記外側施療子を支持する外側傾斜軸とを有し、前記内側傾斜軸及び前記外側傾斜軸は、前記軸芯に対して互いに異なる角度を有するよう構成されている。
【0008】
このような構成とすることにより、左半身及び右半身の夫々に対応して、左右方向へ位置可変の内側施療子と外側施療子とを備えるため、より広い範囲での施療が可能になると共に、被施療者が上半身を移動させずとも施療位置の調整をすることができる。しかも、内側施療子と外側施療子とを繰り返し接近及び離反させることにより、半身の一部位を摘むようにしてマッサージを施すことができ、半身に対して単独で揉みマッサージを行うことができる。更に、左半身及び右半身に対応する内側施療子及び外側施療子を支持する第1支持シャフトを、駆動手段により駆動する構成としているため、左右の各半身に対して個別にシャフト及び駆動手段を備える場合に比べて、マッサージ機構の大型化を抑制することができ、多機能性を確保しつつ、軽量化・低コスト化を実現することができる。しかも、このようなマッサージ機構を椅子型マッサージ機の背凭れ部に搭載するに際しては、背凭れ部の大がかりな設計変更は必要なく、好都合である。
【0009】
また、前記駆動手段は、左右の前記内側施療子の間に配設されており、前記第1支持シャフトは、前記駆動手段から左右方向へ延設されていてもよい。このような構成とすることにより、左右の内側施療子の間は、被施療者の背骨に対応する位置であって比較的スペースを確保しやすくなり、このスペースを駆動手段の配置スペースとして活用することができる。また、左右の中央位置に駆動手段を設けることにより、この駆動手段から左右へ延びる第1支持シャフトを、駆動手段によりバランスよく支持することができ、更に、駆動手段からの動力を左右の内側施療子及び外側施療子に対して均等に伝達することが可能となる。
【0010】
また、対を成す前記内側施療子及び前記外側施療子について、被施療者の上半身の背面側への相対的な突出寸法を変更可能に構成されていてもよい。このような構成とすることにより、被施療者の好みに応じて内側施療子及び外側施療子による押圧力を調整することができる。また、内側施療子及び外側施療子を互いに接近及び離反させつつ、両施療子の突出寸法を調整することも可能であり、この場合、バリエーションに富んだ揉みマッサージを実現することができる。
【0011】
また、対を成す前記内側施療子及び前記外側施療子は、被施療者の上半身の背面側へ交互に移動するよう構成されていてもよい。このような構成とすることにより、各半身に対して独立的に叩きマッサージを施すことができる。即ち、各半身に対応する内側施療子と外側施療子とにより、各半身に対して実際にマッサージ師が両手で行う叩きマッサージを再現することができる。
【0012】
また、前記内側施療子と前記外側施療子とを夫々支持すると共に、前記駆動手段により軸芯回りに回転する第2支持シャフトを更に備え、該第2支持シャフトは、アームを介して前記内側施療子を支持する内側偏芯軸と、アームを介して前記外側施療子を支持する外側偏芯軸とを有し、前記内側偏芯軸及び前記外側偏芯軸は、前記軸芯に対して偏芯して設けられ、且つ前記軸芯回りの位相が互いに異なるように構成されていてもよい。このような構成とすることにより、第2支持シャフトの軸芯回りの回転に伴って、一対の内側施療子と外側施療子とが異なるタイミングで被施療者の上半身の背面側へ移動することとなる。従って、被施療者の上半身の背面側への相対的な突出寸法を変更と、被施療者の上半身の背面側へ交互に移動する叩きマッサージとを、シンプルな構成によって実現することができる。
【0013】
また、前記外側施療子は、前記内側施療子に比べて被施療者の上半身の背面側に設けられていてもよい。このような構成とすることにより、左右の両脇へ至るにつれて前方へ向かうように湾曲した上半身の背面形状に沿って、内側施療子と外側施療子とが設けられることとなるため、上半身の背面に対して均等な押圧力を付与することができる。なお、対を成す内側施療子と外側施療子とが、背面側への突出寸法を相対的に変更可能な構成を有する場合は、内側施療子の位置変位可能な範囲の中央位置と、外側施療子の位置変位可能な範囲の中央位置とを比較し、前者に比べて後者を背面側に設定すればよい。
【0014】
また、前記外側施療子は、前記内側施療子に比べて寸法が大きくなるように構成されていてもよい。このような構成とすることにより、施療子が上半身の背面に当接したときの面圧について、外側施療子による面圧を内側施療子による面圧よりも低くすることができる。従って、一般に背面において背骨近傍部位よりも、筋肉量が少なくて痛覚に敏感な脇(肩甲骨〜脇腹)部分に対して、相対的に面圧の低い外側施療子によって、ソフトな押圧施療を行うことができる。
【0015】
また、前記外側施療子は、前記内側施療子に比べて硬度が小さくなるように構成されていてもよい。このような構成とすることによっても、痛覚に敏感な脇部分に対して、外側施療子によってソフトな押圧施療を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、大型化を抑制しつつ、左右方向の施療位置の調整を可能とし、更には左右の各半身に対して単独で揉みマッサージ等を行うことのできるマッサージ機構を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の全体構成を示す斜視図である。また、図2はこの椅子型マッサージ機の正面図、図3はこの椅子型マッサージ機の平面図を夫々示している。図1に示すように、椅子型マッサージ機1は、被施療者が着座する座部2と、被施療者の上半身を後方から支持する背凭れ部3と、被施療者の腕部を支持するアームレスト4と、被施療者の脚部を支持するフットレスト5とから主として構成されている。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、座部2に着座した被施療者から見たときの方向の概念と一致するものとし、その他の場合は適宜説明するものとする。
【0018】
[全体構成]
図1乃至図3に示すように、座部2は平面視で矩形状を成しており、矩形状の座面体10(図6参照)の上部に平坦な座クッション11(図6参照)が配設され、これらが基台12の上部に設けられた座フレーム13によって支持された構成となっている。この座クッション11は、ウレタンフォーム、スポンジ、又は発泡スチロール等の内装材が、ポリエステル製の起毛トリコット、合成皮革、又は天然皮革等から成る外装カバーによって覆われることにより構成されている。
【0019】
座部2の前側には、被施療者の脚部のうち膝から足先に至る部分を施療するためのフットレスト5が配設されている。このフットレスト5は側面視で略L字形状を成し、膝から足首に至る部分(以下、「下腿部」)であって主に脹脛(ふくらはぎ)に対応する上側フットレスト14と、足首から足先に至る部分(以下、「足部」)に対応する下側フットレスト15とを、右脚と左脚とにそれぞれ対応して備えている。
【0020】
上側フットレスト14は前方に開いた溝状を成し、脹脛の背面に対向する内底面と脹脛の左右の側面に対向する内側面とによって、脹脛を後方及び左右の側方から支持可能になっている。また、下側フットレスト15は上方に開いた溝状を成し、足裏に対向する内底面と足部の左右の側面に対向する内側面とによって、足部を下方及び左右の側方から支持可能になっている。
【0021】
座部2の後側には、被施療者の上半身を後方から支持する背凭れ部3が設けられている。この背凭れ部3は、被施療者の上半身を支持すべく、一般的な体格の成人が椅子型マッサージ機1に着座した際に該成人の身体の一部がその外部にはみ出ない程度の大きさとされており、正面視で縦長の略長方形を成している。そして、この背凭れ部3の上部には、該背凭れ部3によって上半身を支持された被施療者の頭部を支持する頭支持部6が配設されている。
【0022】
この頭支持部6は、被施療者の頭部を後方から支持する枕部16と、該枕部16の上部から延びて帯状を成す位置調整用のベルト17と、該ベルト17の先端に取り付けられて枕部16と略同一の重さを有するウェイト18(図7参照)とを備えている。一方、背凭れ部3の上端には、左右方向へ長寸のベルト通し帯19が設けられ、その両端が背凭れ部3に固定されている。そして、頭支持部6は、枕部16が背凭れ部3の上部前側に位置するようにして、ベルト17がベルト通し帯19と背凭れ部3の上端との間に通される。これにより、背凭れ部3の上端を境にして前後に枕部16とウェイト18とが垂れ下がって両者は釣り合った状態となるため、枕部16を上下に位置調整できるようになっている。
【0023】
また、座部2及び背凭れ部3の左右の側方には、座部2に着座した被施療者の腕部を支持するアームレスト4が、背凭れ部3の側方位置から座部2に沿って前方へ延設されるようにして配設されている。このアームレスト4は、上部の肘置き部20とその下部のサイドカバー21とから構成されている。肘置き部20は略円筒状を成し、起立した状態の背凭れ部3における上下方向の中央部分より若干上方位置であって、背凭れ部3に上半身を支持された被施療者の肩の側方に対応する位置から、下方且つ前方へと向かって座部2の前端近傍に至るまで延設されている。また、肘置き部20の後端から前後方向の中央位置近傍に至る内側部分には、被施療者の腕部を肘置き部20内へ挿脱可能な開口20aが形成されている。従って、この開口20aを通じて肘置き部20の内部へ挿入された被施療者の腕部を、手先については略全周囲から、手首近傍から肘を経由して上腕及び肩に至る部分については下方、外側方、及び上方から、それぞれ支持可能になっている。
【0024】
このような構成の椅子型マッサージ機1により、座部2に着座した被施療者は、その全身が背面及び左右の側面から包み込まれるようにして支持される。そして、この椅子型マッサージ機1には、被施療者を施療するための様々の動作手段が設けられている。即ち、椅子型マッサージ機1の適宜箇所には複数のエアセル7及びバイブ8が設けられ、膨縮することによって被施療者を押圧可能になっている。また、背凭れ部3には機械式のマッサージ機構9が設けられ、被施療者の上半身の背部を押圧可能になっている。更に、座部2は左右へ揺動可能であり、背凭れ部3は起伏動可能であり、フットレスト5は昇降動及び伸縮動が可能になっている。以下、椅子型マッサージ機1におけるこれらの動作手段について説明する。
【0025】
[エアセル]
図1乃至図3に示すように、座部2には前後左右に並べられた4つのエアセル7aが設けられており、これらのエアセル7aは、合成樹脂製で1つの内部空間を有する扁平な2枚のセルが重畳された構成となっている。そして、後側に設けられた左右のエアセル7aは、給排気装置51(図1参照)からのエアの給排により膨縮し、座部2に着座した被施療者の臀部の左右部分を下方から押し上げるように押圧する。前側に設けられた左右のエアセル7aは、同様に給排気装置51からのエアの給排により膨縮し、座部2に着座した被施療者の大腿部の左右部分を下方から押し上げるように押圧する。また、本実施の形態に係る座面体10は中央部分が左右端より下方に位置するよう凹状に窪んでおり(図6参照)、各エアセル7aは座面体10の上面において左右端から中央部分へ至る傾斜面に配設されている。従って、エアセル7aが膨張すると、被施療者の臀部は、左右から若干挟み込まれるようにして下方から押圧されるようになっている。
【0026】
座部2の両側部の上方には、前後に並設されたエアセル7b,7bが設けられている。後側のエアセル7bは、3枚の合成樹脂製のセルが重畳されて成り、前側のエアセル7bは、3枚の合成樹脂製のセルが重畳されて更にその表面側に1枚の布製のセルが重畳されて構成されており、給気により何れも左右方向の中心側へ向かって膨張する。このようなエアセル7bは、膨縮することによって、座部2に着座した被施療者の臀部(又は腰部)の側部から大腿部の前側部に至る一連の部位を外側方から内側へ向かって押圧可能であり、左右のエアセル7bを同時に膨張することによって臀部(又は腰部)を左右から挟持するようにして保持可能になっている。
【0027】
背凭れ部3の下部には、所定の間隔を空けて左右に並べられた2つのエアセル7cが設けられている。このエアセル7cは、3枚の布製のセルが重畳された構成となっており、膨縮することにより、背凭れ部3に上半身を支持された被施療者の腰部の左右部分を後方から押圧する。
【0028】
図3に示すように、アームレスト4が有する筒状の肘置き部20の内壁面には複数のエアセル7d〜7hが、手、前腕、上腕及び肩に対応するようにして設けられている。このうち手に対応して設けられたエアセル7dは3枚の布製のセルが重畳した構成となっており、肘置き部20の前部にて手の甲と手のひらとに対向するように内壁面の上面と下面とに夫々設けられ、被施療者の手を上下方向から挟持するように押圧可能となっている。
【0029】
また、前腕に対応して外側と内側とにエアセル7e,7fが設けられている。このうち外側に設けられたエアセル7eは、合成樹脂製の2枚のセルが重畳されて成り、前腕の長手方向に沿うように前後に2つ配設されている。そして、前側のエアセル7eによって前腕の前部の外側部及び上部を押圧可能であり、後側のエアセル7eによって前腕の後部の外側部及び上部を押圧可能になっている。もう1つの内側に設けられたエアセル7fは、合成樹脂製の1枚のセルから構成され、上記エアセル7eと同様に前腕の長手方向に沿うように前後に2つ配設されている。そして、前側のエアセル7fによって前腕の前部の下部及び内側部を押圧可能であり、後側のエアセル7fによって前腕の後部の下部及び内側部を押圧可能になっている。また、エアセル7e,7fを同時に膨張することにより、前腕全体を包み込むようにして前腕中心方向へ向かって押圧することができる。
【0030】
更に、上腕及び肩に対応してエアセル7g,7hが設けられている。このうち外側に設けられたエアセル7gは合成樹脂製の2枚のセルが重畳されて成り、肩から肘近傍に至る長尺寸法を有している。もう1つの内側に設けられたエアセル7hは、合成樹脂製の1枚のセルから構成され、上記エアセル7gの前側部分に対向するようにして配置されている。そして、外側のエアセル7gによって上腕及び肩の外側部を押圧可能であり、内側のエアセル7hによって上腕の内側部を押圧可能である。また、エアセル7g,7hを同時に膨張することにより、上腕を内外から挟持するように押圧(及び保持)しつつ肩を外方から押圧可能になっている。
【0031】
図1乃至図3に示すように、フットレスト5にも複数のエアセル7i〜7oが設けられている。具体的には、上側フットレスト14において脹脛の背面に対向する位置には合成樹脂製の1枚のセルから成るエアセル7iが上下に2つ設けられ、脹脛の外側面に対向する位置には合成樹脂製の2枚のセルから成るエアセル7jが上下に2つ設けられ、脹脛の内側面に対向する位置には合成樹脂製の1枚のセルから成る上下方向に長寸のエアセル7kが1つ設けられている。これらのエアセル7i〜7kにより、被施療者の脹脛の後方及び両側方から押圧可能になっている。
【0032】
また、下側フットレスト15において踵の左右に対向する位置にエアセル7l、足裏の後部(踵の下部)に対向する位置にエアセル7m、足裏の前部に対向する位置にエアセル7n、更に足先の左右の側部に対向する位置にエアセル7oが夫々設けられ、各エアセル7l〜7oは何れも合成樹脂製の1枚のセルから構成されている。このうちエアセル7lは、膨張することによって踵(特にアキレス腱付近)を左右から挟持するように押圧(及び保持)可能であり、エアセル7m,7nは、膨張することによって足裏の後部及び前部を上方へ押し上げるように押圧可能であり、エアセル7oは足の甲を上方から押し下げるようにして押圧(及び保持)可能になっている。
【0033】
頭支持部6にも複数のエアセル7p〜7sが設けられている。図4は、頭支持部6の構成を示す斜視図である。この図4に示すように、頭支持部6が備える枕部16の前面は、左右方向の中央部分が枕部6aの下端から上端へ至るまで後方へ窪ませてあり、上下方向へ延びる溝状の凹部22が形成されている。この凹部22によって、被施療者の首から後頭部に至る部分が後方及び両側方から支持される。そして、この凹部22の下部には、凹部22の左右の側面に沿うようにして2つのエアセル7pが設けられている。このエアセル7pは布製の3枚のセルが重畳されて成り、膨張することによって首から後頭部に至る部分を左右から挟持するようにして押圧可能になっている。
【0034】
また、これら左右のエアセル7pの後部は連結板23によって連結されてユニット化されており、この連結板23の上端部は、枕部16の凹部22の後面にて左右方向に軸芯を向けられた枢軸24aによって支持されている。従って、左右のエアセル7pは連結板23と共に枢軸24aを基点として下部が前後に揺動可能になっている。また、枢軸24aにはコイルバネ24bが外嵌しており、このコイルバネ24bによって連結板23は後方へ付勢されており、連結板23の背後には布製の3枚のセルが重畳して成るエアセル7qが設けられている。従って、エアセル7qが膨張すると、連結板23と共に左右のエアセル7pが前方へ揺動し、収縮するとコイルバネ24bの付勢力によって後方へ揺動する。そしてエアセル7pが膨張した状態でエアセル7qが膨張すると、被施療者の首及び後頭部をエアセル7pが挟持しつつ下部から上部へと擦るように押圧施療することができる。
【0035】
枕部16の下面の左右にはエアセル7rが設けられている。このエアセル7rは布製の4枚のセルが重畳して構成されており、給気により下方へ向かって膨張し、背凭れ部3に上半身が支持された被施療者の肩を上方から押圧可能になっている。また、エアセル7rの最下面には複数の指圧突起25が突設されており、これらの指圧突起25は、エアセル7rの最下面に貼付されたシート状のクッション26に設けられた貫通孔を介して該クッション26の下面より下方へ突出している。従って、エアセル7rが膨張すると、指圧突起25によって被施療者の肩を上方から指圧可能になっている。
【0036】
また、枕部16の背面左右からは縦長の長方形状を成す垂下帯16aが吊り下げられている。この垂下帯16aの下部には、合成樹脂製の1枚のセルから成るエアセル7sが取り付けられており、該エアセル7sの膨張により、被施療者の肩の後部(肩胛骨付近)を後方から押圧可能になっている。
【0037】
図5は、椅子型マッサージ機1の構成を示すブロック図である。この図5に示すように、上述した各エアセル7a〜7sは、可撓性中空のエアチューブを介してポンプ及びバルブ等から成る給排気装置51に接続されている。この給排気装置51は座部2の下方に収容されており、同じく座部2の下方に収容された制御部50からの指示に従って駆動し、各エアセル7a〜7sへの給排気を互いに独立して行うことができるようになっている。そして、制御部50からの指示により給排気装置51が駆動し、エアセル7a〜7sが膨縮することにより、被施療者の全身のいたるところを押圧施療可能であり、肩部(枕7rによる保持)、腕部、臀部(又は腰部)、下腿部、及び足にいたってはこれを保持することも可能になっている。
【0038】
また、給排気装置51は制御部50からの指示に従って予め設定されたプログラムにより動作する他、制御部50に接続されたリモートコントローラ55を被施療者が操作することにより制御部50へ入力された信号に基づいても動作することができる。なお、以下に説明するマッサージ機構9、バイブ8、座揺れ機構31、及びアクチュエータ37,39の動作についても同様に、制御部50からの指示に従って予め設定されたプログラムにより動作する他、リモートコントローラ55を被施療者が操作することにより制御部50へ入力された信号に基づいても動作することができる。
【0039】
[マッサージ機構]
図2に示すように、背凭れ部3内には長方形枠状の背フレーム29が収容されており、この背フレーム29に支持されるようにして機械式のマッサージ機構9が設けられている。このマッサージ機構9は上下左右に配された8つの施療子60を有しており(図1も参照)、詳しくは後述するが、この施療子60は駆動手段を成すモータの駆動によって三次元的に動作し、被施療者の上半身の背面に対して揉み、叩き、及び指圧などの様々の押圧施療を施すことが可能になっている。
【0040】
また、このような施療子60を有するマッサージ機構9は、背凭れ部3内にて上下方向に軸芯が沿うようにして設けられたボールネジ30と螺合しており、該ボールネジ30が図示しないモータの駆動により回転すると、背凭れ部3内を上下方向へ昇降動可能になっている。従って、マッサージ機構9を昇降動させることにより、被施療者の上半身の背面に対し、腰部から肩に至るまでローリングマッサージを施すことができる。
【0041】
また、マッサージ機構9は前後方向へ移動可能に構成してもよい。例えば、マッサージ機構9の後方にエアセルを設けて該エアセルに対して給排気することによってマッサージ機構9を前後動させてもよく、又は、ラック・ピニオン機構によって前後動させるようにしてもよい。この場合、背凭れ部3に上半身が支持された被施療者の腰部や背面を押し出すようにして押圧可能になる。
【0042】
[バイブ]
図5に示すように、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1には座バイブ8(図1も参照)が備えられている。図1に示すように、座バイブ8は、座部2の後部において左右のエアセル7a,7a間に配設されており(図6も参照)、モータの出力軸に偏心重りを取り付けたような公知の構成となっている。そして、制御部50からの指示により座バイブ8が駆動すると、座部2に着座した被施療者の臀部に対して振動刺激を付与可能になっている。
【0043】
なお、上述したマッサージ機構9が有するアーム(図8参照)には背バイブ(図示せず)を取り付けることが可能である。この場合、背バイブは上記座バイブ8と同様の構成とすればよい。そして、制御部50からの指示により背バイブが駆動すると、その振動がアームを通じて施療子60に伝達され、該施療子60が当接する被施療者の腰部及び背部に対して振動刺激を付与可能になる。
【0044】
[座揺れ機構]
図6は、座部2を左右へ揺動させるための座揺れ機構31の構成を示す斜視図である。図6に示すように、座揺れ機構31は座面体10の下方に設けられており、座面体10の左右の下部には、第1リンクロッド32の上端部が前後方向へ軸芯が向けられた第1シャフト32aにより枢支されている。左右の第1リンクロッド32は正面視で下方に開くような姿勢に配設され、その下端部は、前後方向へ軸芯が向けられた第2シャフト32bによって座フレーム13(図1参照)に枢支されている。
【0045】
また、座揺れ機構31はモータ33及び減速機構34を備えており、これらは座フレーム13によって支持されている。減速機構34は、モータ33の出力軸33aの回転を入力とし、その回転数を減速すると共に回転中心の方向が前後方向となるように変更し、減速された回転を出力軸34aから出力するように構成されている。この出力軸34aの先端部はクランク形状になっており、この先端部に第2リンクロッド35の一端が枢支され、第2リンクロッド35の他端は左右何れか一方の第1シャフト32aにて枢支されている。
【0046】
従って、モータ33が回転駆動するとその回転は減速機構34へ入力され、該減速機構34の出力軸34aの先端部は、所定の半径をもって周回運動する。すると、第2リンクロッド35の一端もこれに従動するようにして周回運動をし、他端を枢支する第1シャフト32aを左右方向へ往復動させる。その結果、第1シャフト32aが取り付けられた座面体10は、図6の矢印に示すように左右方向へ揺動させられ、座部2に着座した被施療者の臀部を左右方向へ往復動させることができる。なお、このような座揺れ機構31の動作は、図5に示すように制御部50からの指示に基づいて実行される。
【0047】
[背凭れ部及びフットレストの傾倒機構]
図7は、背凭れ部3の起伏動作とフットレスト5の昇降動及び伸縮動との様子を示す側面図であり、(a)は、背凭れ部3が立ち上がり且つ収縮したフットレスト5が下降した状態を示し、(b)は、背凭れ部3が後傾し且つ伸長したフットレスト5が上昇した状態を示している。
【0048】
図7(a)に示すように、背凭れ部3内の背フレーム29は、その下端部より若干上方の位置で、左右方向の枢軸36を介して座フレーム13の後部に支持されている。また、背フレーム29の下端部には、エアシリンダ等から成る直動式のアクチュエータ37の一端が枢支されており、該アクチュエータ37の他端は座フレーム13の前部にて枢支されている。従って、アクチュエータ37が伸長動作及び収縮動作すると、背フレーム29と共に背凭れ部3は、枢軸36を中心としてその上部が前後方向へ回動するようにして起立(図7(a)参照)及び後傾(図7(b)参照)が可能になっている。
【0049】
なお、このアクチュエータ37は駆動部52を介して制御部50に接続されており(図5参照)、制御部50からの指示により駆動部52から電気信号が入力されることによって伸縮動作するようになっている。そして、背凭れ部3を最も後傾させた場合、座部2の上面と背凭れ部3の上面(起立時の前面)との成す角は約170度となり、座部2及び背凭れ部3に支持された被施療者は、ほぼ仰向けで横たわった状態となる。
【0050】
一方、座部2の前方に設けられたフットレスト5は、左右方向へ軸芯が向けられた枢軸38によってその上端部が座フレーム13の前部にて支持されている。そして、エアシリンダ等から成る直動式のアクチュエータ39(図5参照)の伸縮動作により、枢軸38を中心として下部が前後方向(上下方向)へ回動するように昇降動可能となっている。即ち、アクチュエータ39の収縮によってフットレスト5は下降し、上側フットレスト14に対して下側フットレスト15が下方に位置する状態(図7(a)参照)となり、アクチュエータ39の伸長によってフットレスト5は上昇し、上側フットレスト14に対して下側フットレスト15は前方に位置する状態(図7(b)参照)となる。
【0051】
なお、このアクチュエータ39もアクチュエータ37と同様に、駆動部53を介して制御部50に接続されており(図5参照)、制御部50からの指示により駆動部53から電気信号が入力されることによって伸縮動作するようになっている。そして、アクチュエータ39が伸長してフットレスト5が最も上昇した場合、上側フットレスト14において脹脛の背面を支持する部分と下側フットレスト15において踵を支持する部分とは略同一の高さに位置するようになっている。また、アクチュエータ39が収縮してフットレスト5が最も下降した場合、座部2に着座した被施療者の脚部は、膝部分にて約90度に屈曲し、膝から足首に至る下腿部が略垂直方向に沿うようにしてフットレスト5により支持された状態となる。
【0052】
更にフットレスト5は伸縮機構40を備えている。この伸縮機構40としては公知の構成を採用すればよいためここでは詳説しないが、この伸縮機構40により、上側フットレスト14と下側フットレスト15とは枢軸38に対して接近及び離隔することができる。本実施の形態に係るフットレスト5においては、枢軸38と下側フットレスト15との相対距離が変更された場合、その変位量の半分の変位量で、枢軸38と上側フットレスト14との相対距離が変更されるようになっている。また、このようなフットレスト5の伸縮動は、制御部50からの指示により自動的に実行されるようにしてもよいが、本実施の形態に係るフットレスト5では、被施療者の足裏で下側フットレスト15を押圧する力に応じて伸縮するようになっている。
【0053】
即ち、所定以上の力で下側フットレスト15を押すことにより、下側フットレスト15が枢軸38から離隔する方向へ移動し、これに連動して上側フットレスト14も枢軸38から離隔する方向へ移動する。逆に、足裏が下側フットレスト15を押す力が所定未満であれば、別途設けられた付勢手段の作用により、下側フットレスト15及び上側フットレスト14は共に枢軸38へ接近する方向へ移動する。このように上側フットレスト14及び下側フットレスト15は、制御部50によって強制的に伸縮動させられることはないようになっているが、このような伸縮動を規制すべく別途設けられたストッパ(図示せず)の有効/無効は制御部50により決定できるようになっており、制御部50がストッパを無効にしている状態でのみ、上述したようなフットレスト5の伸縮動が実行可能になる。
【0054】
[マッサージ機構の詳細な構成]
次に、背凭れ部3内に設けられたマッサージ機構9の構成について詳説する。図8は、マッサージ機構9を前方斜め上方から見たときの外観斜視図であり、図9は、後方斜め上方から見たときの外観斜視図である。また、図10は、マッサージ機構9の一部の構成について分解して示す分解斜視図である。
【0055】
図8〜図10に示すように、マッサージ機構9は被施療者の上半身の左側(以下、「左半身」という)に対応して、内側施療子61a及び外側施療子61bから成る左側施療子61と、上半身の右側(以下、「右半身」という)に対応して、内側施療子62a及び外側施療子62bから成る右側施療子62とを備えている。このうち内側施療子61aは、上側の施療子60aと下側の施療子60bとを有し、これらの施療子60a,60bは略V字状のアーム68の上下の先端にて枢支されている。同様に、外側施療子61bは、上側の施療子60cと下側の施療子60dとを有し、これらの施療子60c,60dは略V字状を成すアーム69の上下の先端にて枢支されている。なお、右半身に対応する内側施療子62a及び外側施療子62bについては、左半身に対応する上記内側施療子61a及び外側施療子61bの各構成と同様になっているのでここでの説明は省略し、図面においては、対応する構成に同一の符号を付しておく。
【0056】
アーム68,69は、夫々の基部が、略V字状を成すコンロッド70,71が夫々有する一方の先端にて、左右方向に沿った枢軸回りを所定の角度範囲で回動可能なように支持されている。また、アーム68,69には左右方向の外側へ突出したピン68p,69pが設けられ、コンロッド70,71にも左右方向の外側へ突出したピン70p,71pが設けられている。そして、ピン68p,70p間、及びピン69p,71p間の夫々には、所定のバネ係数を有するコイルバネ68s,69sが掛けられている。従って、アーム68,69は、コイルバネ68s,69sによって上側の施療子60a,60cが前方(被施療者側)へ向かうように付勢されている。なお、コイルバネ68s,69sとして適宜バネ係数を変えて採用することにより、施療子60a,60cによる被施療者への押圧力を調整することができる。
【0057】
各コンロッド70,71の基部には略左右方向に貫通するよう軸受孔70a,71aが形成されており、これらの軸受孔70a,71aには、左右方向へ軸芯を沿うように配設された第1支持シャフト72が挿通されている。また、各コンロッド70,71が夫々有する他方の先端には図示しない嵌合凹部が形成され、この嵌合凹部には連結棒73,74の各一端部が夫々挿入されており、嵌合凹部と連結棒73,74の一端部とはボールジョイント等の自在継手を形成している。連結棒73,74の各他端部は、略左右方向に貫通する軸受孔75a,76aを有する軸受部材75,76の夫々に接続され、これら軸受部材75,76が有する軸受孔75a,76aには、左右方向へ軸芯を沿うように配設された第2支持シャフト77が挿通されている。
【0058】
図9に示すように、マッサージ機構9にはギヤボックス78が備えられている。このギヤボックス78は、左右方向において左半身用の内側施療子61aと右半身用の内側施療子62aとの間に位置し、左右方向へ延びる第1支持シャフト72及び第2支持シャフト77の中央部分が夫々貫通している。ギヤボックス78の近傍には第1モータ80及び第2モータ81が配設されており、これら第1モータ80及び第2モータ81は、制御部50(図5参照)からの信号により出力軸の回転方向及び回転速度が制御される。
【0059】
そして、第1モータ80の回転出力は、ギヤボックス78内に備えられたウォーム(図示せず)と、第1支持シャフト72の左右方向の中央部に設けられて前記ウォームに噛合するヘリカルギヤ(図示せず)とを介し、第1支持シャフト72に伝達されるようになっている。従って、制御部50からの指示により第1モータ80が駆動すると、第1支持シャフト72が軸芯72a回りに回転する。また、第2モータ81の回転出力は、ギヤボックス78に備えられたプーリ及びベルト(図示せず)と、第2支持シャフト77の左右方向の中央部に設けられたプーリとを介し、第2支持シャフト77に伝達されるようになっている。従って、制御部50からの指示により第2モータ81が駆動すると、第2支持シャフト77が軸芯77a回りに回転する。
【0060】
図11は、第1支持シャフト72について一部を分解して示す斜視図であり、図12は、第2支持シャフト77について一部を分解して示す斜視図である。また、図13は、第1支持シャフト72及び第2支持シャフト77の一部を拡大して示す平面図であり、(a)は第1支持シャフト72を、(b)は第2支持シャフト77を夫々示している。
【0061】
図11に示すように、第1支持シャフト72は、複数の部品が組み合わされて左右対称に構成されており、左右方向へ長寸の主軸83を備えている。この主軸83は、左右方向に軸芯が向けられた円柱部83aを有し、該円柱部83aの左右の端部からはシャフト部83bが左右の外方へ延設されている。シャフト部83bは断面が略矩形状を成し、周方向に存在する4つの角部分が面取りされている。また、左右の各シャフト部83bには、内側傾斜軸部材84及び外側傾斜軸部材85とエンド部材86とが挿通されており、これら傾斜軸部材84,85及びエンド部材86は、互いの間にスペーサ87が介在することによりシャフト部83bの長手方向における所定箇所に位置している。
【0062】
より詳しくは、シャフト部83bにおいて、円柱部83aに最も近い部分には、該円柱部83aとの間に円筒状のスペーサ87を挟んで内側傾斜軸部材84が外嵌している。この内側傾斜軸部材84は、小径円柱状を成して内側のコンロッド70の嵌合孔70a(図10参照)が外嵌する傾斜軸部84aと、その両端から夫々拡径方向へ張り出した大径円柱状のツバ部84bとを有し、傾斜軸部84a及びツバ部84bを貫通して貫通孔84cが形成されている。図13(a)に示すように、傾斜軸部84aとツバ部84bとは互いの軸芯84dが略一致しており、貫通孔84cはこの軸芯84dに対して所定の角度A1(>0)だけ傾斜して設けられている。従って、内側傾斜軸部材84の貫通孔84cにシャフト部83bが挿通されると、傾斜軸部84a及びツバ部84bは、シャフト部83bの軸芯72aに対して軸芯84dが角度A1だけ傾斜することとなる。
【0063】
また、内側傾斜軸部材84に対して左右方向の外方には、スペーサ87を挟んで外側傾斜軸部材85が配設されている。この外側傾斜軸部材85は、上述した内側傾斜軸部材84と同様の構成を有しており、小径円柱状を成して外側のコンロッド71の嵌合孔71a(図10参照)が外嵌する傾斜軸部85aと、大径円柱状のツバ部85bとを備え、これら傾斜軸部85a及びツバ部85bを貫通して貫通孔85cが形成されている。図13(b)に示すように、傾斜軸部85aとツバ部85bとは互いの軸芯85dが略一致しており、貫通孔85cはこの軸芯85dに対して所定の角度A2(>0)だけ傾斜して設けられている。従って、内側傾斜軸部材85の貫通孔85cにシャフト部83bが挿通されると、傾斜軸部85a及びツバ部85bは、シャフト部83bの軸芯72aに対して軸芯85dが角度A2だけ傾斜することとなる。
【0064】
また、外側傾斜軸部材85に対して左右方向の外方には、スペーサ87を挟んで円環状のエンド部材86が配設されている。更に、このようにしてシャフト部83bに挿通された内側傾斜軸部材84及び外側傾斜軸部材85は、夫々のツバ部84b,85bに径方向へ貫通形成された孔84e,85eへ係止ピン88が圧入され、係止ピン88の先端がシャフト部83bの周面に当接することにより、シャフト部83bに対して固定される。
【0065】
ところで、図13(a)に示すように、内側傾斜軸部材84の軸芯84dと外側傾斜軸部材85の軸芯85dとは、互いに平行ではなく、第1支持シャフト72の軸芯72aに対して異なる角度を有して傾斜している。特に本実施の形態では、内側傾斜軸部材84と外側傾斜軸部材85とは、平面視したときに軸芯72aに対して互いに逆向きに傾斜して設けられており、また、内側傾斜軸部材84の軸芯84dと軸芯72aとの成す鋭角A1は、外側傾斜軸部材85の軸芯85dと軸芯72aとの成す鋭角A2に比べて若干大きく(A1>A2)設定されている。
【0066】
図14は、第1支持シャフト72を回転させたときの内側施療子61a,62aと外側施療子61b,62bとの動作を説明するための平面図であり、(a)は内側施療子61a,62aと外側施療子61b,62bとが互いに接近した状態、(b)は内側施療子61a,62aと外側施療子61b,62bとが互いに離反した状態を夫々示している。図14(a),(b)に示すように、上述したような第1支持シャフト72が、第1モータ80(図9参照)の駆動により軸芯72a回りに回動すると、コンロッド70及びアーム68を介して傾斜軸部84aに支持された内側施療子61a,62aと、コンロッド71及びアーム69を介して傾斜軸部85aに支持された外側施療子61b,62bとは、互いの左右方向の離隔距離が変更される。なお、図14中に示す符号Pは、各施療子61a,61b,62a,62bにおいて被施療者の背中に接触する主な箇所を示している。
【0067】
また、第1モータ80を適宜停止させることにより、図14(a)に示す接近状態と、図14(b)に示す離反状態との間で、内側施療子61a,62aと外側施療子61b,62bとを任意の離隔寸法で維持することが可能である。更に、第1モータ80を連続的に駆動することにより、内側施療子61a,62aと外側施療子61b,62bとを繰り返し接近及び離反させ、背凭れ部3に支持された左半身と右半身とを、独立して揉みマッサージすることができる。即ち、対を成す内側施療子61a及び外側施療子62aにより、左半身を独立して左右から摘むように揉みマッサージすることができ、対を成す内側施療子61b及び外側施療子62bにより、右半身を独立して左右から摘むように揉みマッサージすることができる。加えて、左右の内側施療子61a,62aに注目すると、第1支持シャフト72の回転により、互いに接近及び離反するため、被施療者の背骨を跨いで左右から摘むように揉みマッサージすることができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、既に説明したように図13(a)に示す角度A1,A2がA1>A2という関係に設定されており、第1支持シャフト72が回転したときの左右方向の動作範囲は、内側施療子61a,62aの方が外側施療子61b,62bよりも大きくなっている。これにより、外側施療子61b,62bが左右の外方へ移動したときに、背凭れ部3内の背フレーム29やエアセル7c(図2参照)などと干渉するのを防止しつつ、内側施療子61a,62aと外側施療子61b,62bとの相対距離の変更可能範囲を大きく確保している。また、内側施療子61a,62aの動作範囲を決定する角度A1は、コンロッド70とギヤボックス78との干渉を防止すること、及び外側施療子61b,62bとの接近時の距離などを考慮して決定される。また、上記のように設定された角度A1,A2は一例であり、周辺の構成や他の事情に応じて異なる関係の角度に設定することも可能であって、A1=A2に設定することもできる。
【0069】
一方、図12に示すように、第2支持シャフト77は、複数の部品が組み合わされて左右対称に構成されており、左右方向へ長寸の主軸90を備えている。この主軸90は、左右方向に軸芯が向けられた円柱部90aを有し、該円柱部90aの左右の端部からはシャフト部90bが左右の外方へ延設されている。シャフト部90bは断面が略矩形状を成し、周方向に存在する4つの角部分が面取りされている。また、左右の各シャフト部90bには、内側偏芯軸部材91及び外側偏芯軸部材92とエンド部材93とが挿通されており、これら偏芯軸部材91,92及びエンド部材93は、互いの間にスペーサ94が介在することによりシャフト部90bの長手方向における所定箇所に位置している。
【0070】
より詳しくは、シャフト部90bにおいて、円柱部90aに最も近い部分には内側偏芯軸部材91が外嵌している。この内側偏芯部材91は、小径円柱状を成して内側施療子61a,62aに対応して設けられた軸受部材75の軸受孔75a(図10参照)が外嵌する偏芯軸部91aと、該偏芯軸部91aの左右方向の内方端から拡径方向へ張り出した大径円柱状のツバ部91bとを有し、偏芯軸部91a及びツバ部91bを左右方向へ貫通する貫通孔91cが形成されている。ここで、貫通孔91cの軸芯は、偏芯軸部91aの軸芯91dから所定寸法だけ偏芯している。従って、図13(b)に示すように、内側偏芯軸部材91の貫通孔91cにシャフト部90bが挿通されると、偏芯軸部91aの軸芯91dは、第2支持シャフト77の軸芯77aに対して所定寸法D1だけ偏芯して位置することとなる。
【0071】
また、内側偏芯軸部材91に対して左右方向の外方には、スペーサ94を挟んで外側偏芯軸部材92が配設されている。この外側偏芯軸部材92は、上述した内側偏芯軸部材91と同様の構成を有しており、小径円柱状を成して外側施療子61b,62bに対応して設けられた軸受部材76の軸受孔76a(図10参照)が外嵌する偏芯軸部92aと、該偏芯軸部92aの左右方向の外方端から拡径方向へ張り出した大径円柱状のツバ部92bとを有し、偏芯軸部92a及びツバ部92bを左右方向へ貫通する貫通孔92cが形成されている。この貫通孔92cについても、その軸芯は、偏芯軸部92aの軸芯92dから所定寸法だけ偏芯している。従って、図13(b)に示すように、外側偏芯軸部材92の貫通孔92cにシャフト部90bが挿通されると、偏芯軸部92aの軸芯92dは、第2支持シャフト77の軸芯77aに対して所定寸法D2だけ偏芯して位置することとなる。
【0072】
また、外側偏芯軸部材92に対して左右方向の外方には、スペーサ94を挟んで円環状のエンド部材93が配設されている。更に、このようにしてシャフト部90bに挿通された内側偏芯軸部材91及び外側偏芯軸部材92は、夫々のツバ部91b,92bに径方向へ貫通形成された孔91e,92eへ係止ピン95が圧入され、係止ピン95の先端がシャフト部90bの周面に当接することにより、シャフト部90bに対して固定される。
【0073】
ところで、本実施の形態においては、図13(b)に示すように、内側偏芯軸部材91の軸芯91dと外側偏芯軸部材92の軸芯92dとは、第1支持シャフト77の軸芯77aを中心とする位相が互いに異なっており、より具体的には、180度の位相差を有するように構成されている。従って、第2支持シャフト77が、第2モータ81(図9参照)の駆動により軸芯77a回りに回動すると、内側施療子61a,62aと外側施療子61b,62bとは、被施療者の上半身の背面側への相対的な突出寸法が変更される。
【0074】
また、第2モータ81を適宜停止させることにより、内側施療子61a,62aと外側施療子61b,62bとを、これらの進退動作可能範囲内の任意の位置で維持することが可能である。更に、第2モータ81を連続的に駆動することにより、内側施療子61a,62aと外側施療子61b,62bと繰り返し交互に進退動作させ、背凭れ部3に支持された左半身と右半身とを、独立して叩きマッサージすることができる。即ち、対を成す内側施療子61a及び外側施療子61bにより、左半身に対してマッサージ師が実際に両手でするような叩きマッサージをすることができ、対を成す内側施療子62a及び外側施療子62bにより、右半身に対して同様の叩きマッサージを左半身とは独立して行うことができる。
【0075】
加えて、本実施の形態に係るマッサージ機構9は、第1モータ80と第2モータ81とを互いに独立して動作可能であるため、例えば、第1モータ80の駆動により、内側施療子61a,62aと外側施療子61b,62bとの左右方向の離隔距離を被施療者の好みに設定しつつ、第2モータ81の駆動により叩きマッサージを行うことも可能である。また、第2モータ81の駆動により、内側施療子61a,62aと外側施療子61b,62bとの相対的な突出寸法を被施療者の好みに設定しつつ、第1モータ80の駆動により揉みマッサージを行うことも可能である。これにより、被施療者に対する揉みマッサージ及び叩きマッサージの対象範囲が拡大すると共に、被施療者自身が上半身を動かさずとも、内側施療子61a,62aと外側施療子61b,62bとを移動させて、所望の部位をマッサージすることができる。更には、第1モータ80及び第2モータ81を同時に駆動したり、駆動中の回転速度及び回転方向を変化させることにより、多様なマッサージ効果を得ることができる。
【0076】
[マッサージ機構の他の構成1]
図15は、マッサージ機構9に適用可能な他の構成を示す平面図である。図15に示すマッサージ機構9は、内側施療子61a,62aを支持するアーム68に比べて、外側施療子61b,62bを支持するアーム69を長寸にし、外側施療子61b,62bが被施療者の背面側へより突出するように構成されている。被施療者の上半身の背面Bは、一般に背骨部分B1よりも両脇部分B2の方が前方に位置するよう湾曲しているが、上記のような構成とすることにより、内側施療子61a,62aと外側施療子61b,62bとが被施療者の上半身の背面Bの形状に沿って配置されることとなり、より効果的にマッサージを施すことができる。
【0077】
なお、アーム69を長寸にする代わりに、コンロッド71を長寸にしてもよいが、本実施の形態ではアーム69を長寸にすることにより、アーム69の弾性によって両脇部分B2をよりソフトに押圧できる。一般に、背骨部分B1よりも両脇部分B2の方が筋肉量が少なく体表面近傍に骨があって痛覚に敏感であるため、このようにすることにより、両脇部分B2に対して適切な押圧力を付与することができる。また、他の構成については図8等を用いて既に説明したものと同様であるから、その説明は省略する。
【0078】
[マッサージ機構の他の構成2]
図16は、マッサージ機構9に適用可能な他の構成を示す側面図である。図16に示すマッサージ機構9は、左側の内側施療子61aが有する上側の施療子60aが、左側の外側施療子61bが有する上側の施療子60cよりも上方且つ前方の位置に配設され、図示しないが右側の内側施療子62aが有する上側の施療子60aも右側の外側施療子62bが有する上側の施療子60cより上方且つ前方の位置に配設された構成となっている。また、これらの施療子60aを支持すべく、アーム68は、基部から上側の先端に至る部分が図8に示すマッサージ機構9の構成よりも長寸に形成されている。そして、このような構成により、被施療者の上半身の背面に対し、背骨近傍の部位をより強く押圧することができる。なお、その他の構成については図8等を用いて既に説明したものと同様であるから、その説明は省略する。
【0079】
[マッサージ機構の他の構成3]
図17は、マッサージ機構9に適用可能な他の構成を示す平面図である。図17に示すマッサージ機構9では、左右の内側施療子61a,62aが、上側の施療子として既に説明した施療子60aに加えてもう1つ施療子60eを備えている。より詳しく説明すると、図8等を用いて既に説明したマッサージ機構9では、アーム68の上側の先端における左右方向の内側面に施療子60aが枢支されているのみであったが、図17に示すマッサージ機構9では、反対側である外側面にも施療子60eが枢支されている。また、これらの施療子60a,60eは、外側施療子60cに比べて小寸法に構成され、特に、厚み寸法が小さくなるように構成されている。
【0080】
従って、特に第1モータ80の駆動により揉みマッサージを行う場合に、左右の内側施療子61a,62aが夫々有する施療子60a,60aによって背骨を挟む部位を揉みマッサージし、左半身に対応する内側施療子61aの施療子60eと外側施療子61bの施療子60cとによって、左脇近傍部位を揉みマッサージすることができる。同様に、右半身に対応する内側施療子62aの施療子60eと、外側施療子62bの施療子60cとによって、右脇近傍部位を揉みマッサージすることができる。そして、このように各施療部位に対して夫々対応する施療子が設けられているため、各施療部位の特性(筋肉量、体型、骨格、鋭敏性等)に応じて専用の施療子を採用することができる。
【0081】
[マッサージ機構の他の構成4]
図18は、マッサージ機構9に適用可能な他の構成を示す図面であり、右半身に対応して設けられた施療子60aと施療子60cとを示している。このうち施療子60aは、回転軸芯101を含む平面により切断したときの断面が略長円形状を成し、且つ図18に示すように円弧部分のうち背骨部分に近接する内側(左側)の円弧102の曲率半径R1が、脇部分に近接する外側(右側)の円弧103の曲率半径R2よりも大きくなるように構成されている。同様に、施療子60cも回転軸芯105を含む平面により切断したときの断面が略長円形状を成し、且つ円弧部分のうち内側(左側)の円弧106の曲率半径R3が外側(右側)の円弧107の曲率半径R4よりも大きくなるように構成されている。更に、図18に示す施療子60a,60cにおいては、各曲率半径R1〜R4が、R2≦R4≦R1≦R3という関係を有するように設定されている。
【0082】
このような構成とすることにより、被施療者の上半身に対して好適な押圧力で施療子60a,60cを当接させたマッサージをすることができる。即ち、既に説明したように、背骨近傍に比べて脇近傍の部位は筋肉量が少なく体表面近傍に骨があって痛覚に敏感であるため、外側の施療子60cのうち被施療者に最も当接しやすい部分の曲率半径R3を、内側の施療子60aにおいて対応する部分の曲率半径R1よりも大きくし、この部位に当接したときの面圧を低減して揉み心地等の向上を図っている。また、R2,R4についても同様の理由により上記のように設定している。
【0083】
なお、説明は省略するが、右半身に対応して設けられた他の施療子60b,60d、左半身に対応して設けられた施療子60a,60c及び施療子60b,60dについても、上述したものと同様の構成となっている。また、内側の施療子60aと外側の施療子60cとで共通部品を採用した場合であっても、円弧部分のうち内側の円弧の曲率半径が外側の円弧の曲率半径より大きくなるように構成すれば、一定の揉み心地の向上を期待することはできる。
【0084】
また、本実施の形態に係る施療子60a〜60eは、合成樹脂素材により構成されており、デュロメータA(ショアA)で60〜90の硬度を有するものが用いられている。特に、内側に配設される施療子60a,60b,60eには、上記範囲内で相対的に硬い素材が用いられ、外側に配設される施療子60c,60dには、上記範囲内で相対的に軟らかい素材が用いられている。これにより、施療部位に対応した適切な面圧による施療を実現することができ、揉み心地等の向上を図ることができる。
【0085】
[マッサージ機構の他の構成5]
図19は、マッサージ機構9に適用可能な他の構成を示す側面図である。図19に示すマッサージ機構9は、図8等に示したマッサージ機構9と比較すると、アーム68が2つに分割された如くの構成となっている点が相違している。より詳説すると、図19に示すアーム68は、コンロッド70に枢支される基部から略上方へ延びる上側アーム68aと、同様にコンロッド70に枢支される基部から略下方へ延びる下側アーム68bとで構成されている。そして、上側アーム68aの先端には施療子60aが枢支され、下側アーム68bの先端には施療子60bが枢支されている。
【0086】
また、上側アーム68aにおいて、コンロッド70による枢支箇所近傍には、係止ピン110が突設されており、コンロッド70に突設された係止ピン111との間に付勢手段たるコイルバネ112が架け渡されている。このコイルバネ112により、上側アーム68aは、その先端が前方(被施療者の背面に近接する側)へ向かうように付勢されている。
【0087】
また、下側アーム68bにおいて、コンロッド70による枢支箇所近傍にも係止ピン115が突設されており、コンロッド70に突設された係止ピン116との間に付勢手段たるコイルバネ117が架け渡されている。このコイルバネ117により、下側アーム68bはその先端が前方へ向かうように付勢されている。
【0088】
従って、被施療者が背凭れ部3に凭れていないときは、図19中に実線で示すように、上側アーム68a及び下側アーム68bは、何れもコイルバネ112,117の作用によって先端が前方へ位置した姿勢となっている。一方、被施療者が背凭れ部3に凭れて上半身が支持されると、図19中に二点鎖線で示すように、受ける負荷に応じて上側アーム68a及び下側アーム68bは互いに独立して後方へ移動可能となっており、且つ、コイルバネ112,117の弾性係数により決定される押圧力で、被施療者の上半身を後方から押圧することが可能である。
【0089】
このように、図19に示すマッサージ機構9によれば、被施療者の姿勢や背面の湾曲形状に応じて上側アーム68a及び下側施療子68bが前後に移動し、施療子60a,60bを適切に当接しつつマッサージを施すことができる。なお、図8等に示したもう一方のアーム69についても、上述したものと同様に構成することにより同様の作用効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、大型化を抑制しつつ、左右方向の施療位置の調整を可能とし、更には左右の各半身に対して単独で揉みマッサージ等を行うことのできるマッサージ機構に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施の形態に係るマッサージ機構を備える椅子型マッサージ機の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す椅子型マッサージ機の正面図である。
【図3】図1に示す椅子型マッサージ機の平面図である。
【図4】椅子型マッサージ機が備える頭支持部の構成を示す斜視図である。
【図5】椅子型マッサージ機の構成を示すブロック図である。
【図6】座部を左右へ揺動させるための座揺れ機構の構成を示す斜視図である。
【図7】背凭れ部の起伏動作とフットレストの昇降動及び伸縮動との様子を示す側面図であり、(a)は背凭れ部が立ち上がり且つ収縮したフットレストが下降した状態を示しており、(b)は背凭れ部が後傾し且つ伸長したフットレストが上昇した状態を示している。
【図8】マッサージ機構を前方斜め上方から見たときの外観斜視図である。
【図9】マッサージ機構を後方斜め上方から見たときの外観斜視図である。
【図10】マッサージ機構の一部の構成について分解して示す分解斜視図である。
【図11】第1支持シャフトについて一部を分解して示す斜視図である。
【図12】第2支持シャフトについて一部を分解して示す斜視図である。
【図13】第1支持シャフト及び第2支持シャフトの一部を拡大して示す平面図であり、(a)は第1支持シャフトを、(b)は第2支持シャフトを夫々示している。
【図14】第1支持シャフトを回転させたときの内側施療子と外側施療子との動作を説明するための平面図であり、(a)は内側施療子と外側施療子とが互いに接近した状態、(b)は内側施療子と外側施療子とが互いに離反した状態を夫々示している。
【図15】マッサージ機構に適用可能な他の構成を示す平面図である。
【図16】マッサージ機構に適用可能な他の構成を示す平面図である。
【図17】マッサージ機構に適用可能な他の構成を示す平面図である。
【図18】マッサージ機構に適用可能な他の構成を示す平面図である。
【図19】マッサージ機構に適用可能な他の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0092】
1 椅子型マッサージ機
2 座部
3 背凭れ部
4 アームレスト
5 フットレスト
6 頭支持部
7 エアセル
8 座バイブ
9 施療機構
31 座揺れ機構
37 アクチュエータ
39 アクチュエータ
50 制御部
60a〜60e 施療子
61 右側施療子
61a 内側施療子
61b 外側施療子
62 左側施療子
62a 内側施療子
62b 外側施療子
68,69 アーム
72 第1支持シャフト
77 第2支持シャフト
84 内側傾斜軸部材
84a 傾斜軸部
85 外側傾斜軸部材
85a 傾斜軸部
91 内側偏芯軸部材
91a 偏芯軸部
92 外側偏芯軸部材
92a 偏芯軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の上半身の背面を支持する背凭れ部内に搭載されるマッサージ機構であって、
被施療者の上半身を背骨の位置で左右に区切ったときの左半身及び右半身の夫々に対応して設けられた内側施療子と、該内側施療子と対を成して該内側施療子よりも左右方向の外側へ離隔して設けられた外側施療子と、これらの施療子を駆動する駆動手段とを備え、
前記駆動手段によって、前記内側施療子と前記外側施療子との間の左右方向の離隔距離を変更可能に構成されており、
更に、左右の前記内側施療子及び前記外側施療子を夫々支持すると共に、前記駆動手段により軸芯回りに回転する第1支持シャフトを更に備え、
該第1支持シャフトは、アームを介して前記内側施療子を支持する内側傾斜軸と、アームを介して前記外側施療子を支持する外側傾斜軸とを有し、前記内側傾斜軸及び前記外側傾斜軸は、前記軸芯に対して互いに異なる角度を有するよう構成されていることを特徴とするマッサージ機構。
【請求項2】
前記駆動手段は、左右の前記内側施療子の間に配設されており、前記第1支持シャフトは、前記駆動手段から左右方向へ延設されていることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機構。
【請求項3】
対を成す前記内側施療子及び前記外側施療子について、被施療者の上半身の背面側への相対的な突出寸法を変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機構。
【請求項4】
対を成す前記内側施療子及び前記外側施療子は、被施療者の上半身の背面側へ交互に移動するよう構成されていることを特徴とする請求項3に記載のマッサージ機構。
【請求項5】
前記内側施療子と前記外側施療子とを夫々支持すると共に、前記駆動手段により軸芯回りに回転する第2支持シャフトを更に備え、
該第2支持シャフトは、アームを介して前記内側施療子を支持する内側偏芯軸と、アームを介して前記外側施療子を支持する外側偏芯軸とを有し、前記内側偏芯軸及び前記外側偏芯軸は、前記軸芯に対して偏芯して設けられ、且つ前記軸芯回りの位相が互いに異なるように構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のマッサージ機構。
【請求項6】
前記外側施療子は、前記内側施療子に比べて被施療者の上半身の背面側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のマッサージ機構。
【請求項7】
前記外側施療子は、前記内側施療子に比べて寸法が大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のマッサージ機構。
【請求項8】
前記外側施療子は、前記内側施療子に比べて硬度が小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のマッサージ機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate