説明

マッサージ機能を備えた腰掛け具

【課題】小型・軽量化、低コスト化が可能であり、適度な押圧刺激によって効果的なマッサージ作用が得られるマッサージ機能付き腰掛け具を提供する。
【解決手段】マッサージ機構として、背もたれ部2に内蔵されるマッサージ手段であって、内部へのエアの給排気により変形して厚みが変化するか若しくは膨張・収縮する押圧体8と、この押圧体8への給排気手段とを備え、前記押圧体8により着座者の腰部・背部を押圧刺激できるようにした。エアの給排気により変形して厚みが変化するか若しくは膨張・収縮する押圧体8がマッサージ手段であるため、構造を簡易化して小型・軽量化が可能である。しかも、押圧体8による適度な押圧刺激によって効果的なマッサージ作用が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、いわゆるマッサージチェアに代表されるマッサージ機能を備えた腰掛け具に関するもので、この腰掛け具には、チェアタイプ、ソファタイプ、座椅子タイプなどのものが含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来、背もたれ部に上下・左右に移動可能な回転ローラを備えたマッサージユニットを内蔵させ、着座した状態で、このマッサージユニットの回転ローラによって背中〜腰をマッサージ(押圧刺激)するようにした、いわゆるマッサージチェアが知られている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】登録実用新案第3117820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に示されるような従来のマッサージチェアは、回転ローラを移動させるために複雑な機構とその駆動装置が必要であり、必然的にチェアが大型化、大重量化するという問題がある。また、回転ローラの形状や動作機構などに微妙な工夫が必要となるため設計が難しく、上述したように複雑な機構と駆動装置が必要であることと相俟って製造コストが高くなり、総じて高価な器具とならざるを得ない。また、移動する回転ローラで背中〜腰をマッサージする方式は押圧刺激が比較的強いため、人によって刺激が強すぎると感じる場合があったり、睡眠中にマッサージを受けることが難しかったりする難点がある。
【0004】
したがって本発明の目的は、簡易なマッサージ機構を備えることで小型・軽量化、低コスト化が可能であるとともに、適度な押圧刺激によって効果的なマッサージ作用が得られる、マッサージ機能を備えた腰掛け具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] マッサージ機構として、背もたれ部に内蔵されるマッサージ手段であって、中空の可撓性プラスチック体又はゴム体からなり、内部へのエアの給排気により変形して厚みが変化するか若しくは膨張・収縮する押圧体と、該押圧体に対するエアの給排気を行う給排気手段とを備え、
前記押圧体により、着座者の腰部及び/又は背部を押圧刺激できるようにしたことを特徴とするマッサージ機能を備えた腰掛け具。
【0006】
[2]上記[1]の腰掛け具において、腰掛け具が、椅子、ソファ、座椅子のいずれかのタイプであることを特徴とするマッサージ機能を備えた腰掛け具。
[3]上記[1]又は[2]の腰掛け具において、背もたれ部の基端部が座部に対して回動可能に連結され、背もたれ部が角度調整可能であることを特徴とするマッサージ機能を備えた腰掛け具。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの腰掛け具において、座部は、背もたれ部が連結される本体部と、該本体部の先端側に連成される足載部とからなり、該足載せ部は、前記本体部に対して上下方向に傾動可能であるとともに、マッサージ機構を内蔵することを特徴とするマッサージ機能を備えた腰掛け具。
【発明の効果】
【0007】
本発明のマッサージ機能を備えた腰掛け具は、エアの給排気により変形して厚みが変化するか若しくは膨張・収縮する押圧体がマッサージ手段であるため、マッサージ機構の構造を簡易化することができ、小型・軽量化、低コスト化が可能である。しかも、上記押圧体による適度な押圧刺激によって効果的なマッサージ作用が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1〜図4は、本発明を座椅子タイプの腰掛け具に適用した場合の一実施形態を示すもので、図1は側面図、図2は正面図、図3は一部切欠正面図、図4は、座部に対して背もたれ部を水平に倒した状態で示す側面図である。
図において、1は座部、2は背もたれ部、3は背もたれ部2の両側に取り付けられた肘掛け部である。
【0009】
前記座部1と背もたれ部2は、それぞれ内部にフレーム体4,5を有し、両フレーム体4,5の端部どうしをヒンジ連結6することにより、背もたれ部2を座部1に対して回動可能としている。そして、前記ヒンジ連結6にラチェット機構(図示せず)などを設けることにより、背もたれ部2の角度調整が可能となっており、図4に示すように座部1に対して背もたれ部2を水平に倒した状態とすることもできる。
座部1と背もたれ部2は、前記フレーム体4,5と、その外側を覆うクッション材(図示せず)と、このクッション材全体を覆う張り地7(布、不織布、皮革、合成皮革など)とから構成される。
【0010】
背もたれ部1の前面側には、マッサージ手段としてエアの給排気で作動する複数の押圧体8が内蔵されている。通常、この押圧体8は着座者の腰部及び/又は背部を押圧刺激できるように、好ましくは少なくとも腰部を押圧刺激できるように、張り地7の内側に直接又は適当なクッション材などを介して配置される。本実施形態では着座者の腰部と背部の一部(下側)を押圧刺激できるように、上下左右に計6個の押圧体8が設けられている。
【0011】
各押圧体8は中空の可撓性プラスチック体又はゴム体からなり、内部へのエアの給排気により変形して厚みが変化するか若しくは膨張・収縮する。この各押圧体8に対しては、マッサージ機構を構成する給排気手段(図示せず)によりエアの給排気が行われる。通常、この給排気手段は、エアコンプレッサーなどの駆動源、この駆動源と各押圧体8を連絡する給排気管、給排気の切り替えを行う切替弁、給排気の切り替えを制御する制御装置などで構成される。
【0012】
図5及び図6は、前記押圧体8の一実施形態を示すもので、図5は平面図、図6は図5のVI−VI線に沿う断面図である。この押圧体8は中空円盤状の可撓性プラスチック体からなり、側部に給排気管9が接続されている。
この押圧体8は、給排気管9による内部へのエアの給排気により変形して厚みが変化するもので、変形しやすいように円盤面(両面)に複数の環状溝10が同心円状に形成されている。
【0013】
また、前記押圧体8は、複数の押圧体を一体的な部品として構成してもよい。図7及び図8はそのような押圧体の一実施形態を示すもので、複数の押圧体8が1つの基盤11(プラスチック基盤)上に一体的に形成されるとともに、複数の押圧体8は基盤11に形成された連絡管12で連通し、この連絡管12の一つに給排気管13が接続され、この給排気管13を通じて全押圧体に対する給排気が行われるようになっている。
また、押圧体8は伸縮自在なゴム体などから構成し、内部へのエアの給排気により変形して膨張・収縮するようなものであってもよい。
【0014】
前記押圧体8は、エアの給排気によって変形させ、その厚みの変化又は膨張・収縮により着座者の腰部及び/又は背部を押圧刺激するものであり、したがって、このような機能を果たし得るものであれば、どのような構造のものであってもよい。図5及び図6の押圧体8の場合には、環状溝10が形成された円盤面が背もたれ部2の前面を向くように背もたれ部2に内蔵される。
以上のような実施形態では、給排気手段により各押圧体8に対する給排気が繰り返され、これにより押圧体8の厚さが変化して、着座者の腰部や背部の一部を穏やかに押圧刺激する。
その他図面において、14は押圧体8によるマッサージ機能を調整するためのコントローラである。
【0015】
図9〜図13は、本発明をソファタイプの腰掛け具に適用した場合の一実施形態を示すもので、図9は斜視図、図10は側面図、図11は平面図、図12は正面図、図13は一部切欠正面図である。
図において、1aは座部、2aは背もたれ部、3aは背もたれ部2aの両側に取り付けられた肘掛け部である。
【0016】
前記座部1aと背もたれ部2aは、それぞれ内部にフレーム体(図示せず)を有し、両フレーム体の端部どうしをヒンジ連結6aすることにより、背もたれ部2aを座部1aに対して回動可能としている。そして、前記ヒンジ連結6aにラチェット機構(図示せず)などを設けることにより、背もたれ部2aの角度調整が可能となっている。したがって、図4に示す態様と同じく座部1aに対して背もたれ部2aを水平に倒した状態とすることもできるし、逆に、背もたれ部2aを座部1a側に倒し、両者を重なり合った状態とすることもできる。
座部1aと背もたれ部2aは、前記フレーム体と、その外側を覆うクッション材(図示せず)と、このクッション材全体を覆う張り地7(布、不織布、皮革、合成皮革など)とから構成される。
【0017】
そして、背もたれ部1aの前面側には、図1〜図4の実施形態と同様に、マッサージ手段としてエアの給排気で作動する複数の押圧体8が内蔵されている。押圧体8の構造、配置形態、給排気手段等は、さきに述べた図1〜図4の実施形態と同様である。
なお、この実施形態の座部1aは、背もたれ部2aが連結される本体部100と、この本体部100の先端側に連成される足載部101とからなり、この足載せ部101は、前記本体部100に対して上下方向に傾動可能となっている。すなわち、本体部100を構成するフレーム体40に対して足載部101を構成するフレーム体41がヒンジ連結20されるとともに、ラチェット機構(図示せず)などにより角度調整が可能に構成されている。また、足載部101は着座者のふくらはぎなどのマッサージを目的としたマッサージ手段15を内蔵している。このマッサージ手段15の種類は任意であり、上述した押圧体8でもよし、バイブレータなどの他のマッサージ手段でもよい。
【0018】
図14〜図18は、本発明をチェアタイプの腰掛け具に適用した場合の一実施形態を示すもので、図14は斜視図、図15は側面図、図16は平面図、図17は正面図、図18は一部切欠正面図である。
図において、1bは座部、2bは背もたれ部、3bは背もたれ部2bの両側に取り付けられた肘掛け部である。
また、16,17は座部2bの脚部であり、このうち前側の1対の脚部16は基端部が座部1bの下部に回動可能に枢着18されるとともに、下端が斜め前方に延出した状態で係止され、座部1bを支えるようになっている。また、図15に示すように座部下面中心方向に回動させることにより、折り畳むことができる。
【0019】
一方、後ろ側の1対の脚部17は後方に長く延出しており、先端にキャスター19が取付られている。この脚部17は、鞘管170とこの鞘管170に出没可能に挿入されるスライド管171とからなることで伸縮可能に構成されている。スライド管171は、伸長した状態で鞘管170に対して適当なストッパーで脱着可能に係止され、前記脚部16とともに座部1bを支えるようになっている。また、スライド管171の少なくとも一部を鞘管170内に収納することで、脚部17を縮小することができる。
【0020】
前記座部1bと背もたれ部2bは、それぞれ内部にフレーム体(図示せず)を有し、両フレーム体の端部どうしをヒンジ連結6bすることにより、背もたれ部2bを座部1bに対して回動可能としている。そして、前記ヒンジ連結6bにラチェット機構(図示せす)などを設けることにより、背もたれ部2bの角度調整が可能となっている。したがって、図4に示す態様と同じく座部1bに対して背もたれ部2bを水平に倒した状態とすることもできるし、逆に、背もたれ部2bを座部1b側に倒し、両者を重なり合った状態とすることもできる。
座部1bと背もたれ部2bは、前記フレーム体と、その外側を覆うクッション材(図示せず)と、このクッション材全体を覆う張り地7(布、不織布、皮革、合成皮革など)とから構成される。
【0021】
そして、背もたれ部1bの前面側には、図1〜図4の実施形態と同様に、マッサージ手段としてエアの給排気で作動する複数の押圧体8が内蔵されている。押圧体8の構造、配置形態、給排気手段等は、さきに述べた図1〜図4の実施形態と同様である。
また、座部1bの構成は図9〜図13の実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を座椅子タイプの腰掛け具に適用した場合の一実施形態を示す側面図
【図2】図1の実施形態の正面図
【図3】図1の実施形態の一部切欠正面図
【図4】図1の実施形態において、座部に対して背もたれ部を水平に倒した状態で示す側面図
【図5】本発明の腰掛け具で用いる押圧体の一実施形態を示す平面図
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図
【図7】本発明の腰掛け具で用いる押圧体の他の実施形態を示す平面図
【図8】図7の押圧体の側面図
【図9】本発明をソファタイプの腰掛け具に適用した場合の一実施形態を示す斜視図
【図10】図9の実施形態の側面図
【図11】図9の実施形態の平面図
【図12】図9の実施形態の正面図
【図13】図9の実施形態の一部切欠正面図
【図14】本発明をチェアタイプの腰掛け具に適用した場合の一実施形態を示す斜視図
【図15】図14の実施形態の側面図
【図16】図14の実施形態の平面図
【図17】図14の実施形態の正面図
【図18】図14の実施形態の一部切欠正面図
【符号の説明】
【0023】
1,1a,1b 座部
2,2a,2b 背もたれ部
3,3a,3b 肘掛け部
4,5 フレーム体
6,6a,6b ヒンジ連結部
7 張り地
8 押圧体
9 給排気管
10 環状溝
11 基盤
12 連絡管
13 給排気管
15 マッサージ手段
16,17 脚部
18 枢着部
19 キャスター
20 ヒンジ連結部
40,41 フレーム体
100 本体部
101 足載部
170 鞘管
171 スライド管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マッサージ機構として、背もたれ部に内蔵されるマッサージ手段であって、中空の可撓性プラスチック体又はゴム体からなり、内部へのエアの給排気により変形して厚みが変化するか若しくは膨張・収縮する押圧体と、該押圧体に対するエアの給排気を行う給排気手段とを備え、
前記押圧体により、着座者の腰部及び/又は背部を押圧刺激できるようにしたことを特徴とするマッサージ機能を備えた腰掛け具。
【請求項2】
腰掛け具が、椅子、ソファ、座椅子のいずれかのタイプであることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機能を備えた腰掛け具。
【請求項3】
背もたれ部の基端部が座部に対して回動可能に連結され、背もたれ部が角度調整可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機能を備えた腰掛け具。
【請求項4】
座部は、背もたれ部が連結される本体部と、該本体部の先端側に連成される足載部とからなり、該足載せ部は、前記本体部に対して上下方向に傾動可能であるとともに、マッサージ機構を内蔵することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマッサージ機能を備えた腰掛け具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−307178(P2007−307178A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139625(P2006−139625)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(506169942)株式会社ティエム企画 (2)
【出願人】(503252625)株式会社エヌ・オー・エル インターナショナル デザイン (2)
【出願人】(503252762)株式会社ソリトン (2)
【Fターム(参考)】