説明

マッサージ機

【課題】 簡単な構成により被施療者の身体を支持させて背部のマッサージ効果をより高めることを可能とさせたマッサージ機を提供すること。
【解決手段】 座部21、背もたれ部22及び肘掛部23を有する椅子本体2の、被施療者の背部と腕部とに対応する箇所各々に、空気の給排気にて膨張・収縮される空気袋3、4を配設させて成るマッサージ機1である。腕部の空気袋3を膨張させ同空気袋3を介して肘掛部23に被施療者を保持し椅子本体2に支持させた状態において、背部の空気袋4を膨張・収縮させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機に関し、特に被施療者の背部と腕部とに対応する箇所各々に空気の給排気にて膨張・収縮される空気袋を配設させた椅子式のマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のマッサージ機として、背部のマッサージ、若しくは按摩効果を得る目的の、マッサージ機又は按摩機と呼ばれるものが市場に広く出回っている。例えば特開平9−122193号公報にあっては、図4に示すように、椅子型基体100の背板101中央を上下に移動可能な摺擦体102を配設し、その摺擦機構部を挟んだ背板101の左右と坐台104に気嚢(空気袋)103、105を配置し、該各気嚢が圧気の給排によって同時に、又は各別に膨縮する技術が示されている。
【0003】
しかしながら、この構成では、椅子型基体100の背板101、すなわち背もたれ部の空気袋103の膨張・収縮によるマッサージ施療をおこなう場合、被施療者の背部を押圧するときに空気袋103による押圧動作により被施療者の身体自体が前方に押し出されることとなり、背もたれ部と身体の背部施療部との距離が開いてしまうこととなる。このため、押圧施療が弱くなってしまい、マッサージ効果を高める点に関し、十分とは言えない。
【0004】
そこで、例えば特開2003−260099号公報には、被施療者の胴体を背部から側部に亘って覆うことが可能な形状をなしており、被施療者の胴体の背部を施療するための第1施療部と、被施療者の胴体の側部を施療するための第2施療部とを備えるマッサージ機の技術が開示され、さらに、被施療者の腕部を覆うことが可能な形状をなしており、被施療者の腕部を保持するための肘掛け部を更に備え、被施療者の腕部を施療するために膨張・収縮する空気袋を前記肘掛け部に設ける構成が示されている。
【0005】
この技術によると、被施療者の腕部が肘掛け部にて保持されて被施療者の身体位置が定まる点において一応の効果を奏している。 しかしながら、この肘掛け部は、被施療者がマッサージ機に着座したときに、被施療者の肘、前腕、及び手等を覆うように保持するもので、被施療者がマッサージ機に着座するとき及びマッサージ機から離れるときには、肘掛け部に腕を置きやすいように、上方が開いた状態とされる構造であり、内側のクッション部に被施療者の腕部を施療するために膨張・収縮する複数の空気袋が内蔵されているものである。したがって、被施療者の胴体の背部に対するマッサージ効果を高める点に関しては不十分なもので、構造面おいて新たに複雑化が避けられないという問題ももたらしている。
【特許文献1】特開平9−122193号公報
【特許文献2】特開2003−260099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、簡単な構成により被施療者の身体を支持させて背部のマッサージ効果をより高めることを可能とさせたマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願発明によるマッサージ機は、座部、背もたれ部及び肘掛部を有する椅子本体の、被施療者の背部と腕部とに対応する箇所各々に、空気の給排気にて膨張・収縮される空気袋を配設させて成るマッサージ機という構成に対し、前記腕部の空気袋を膨張させ同空気袋を介して肘掛部に被施療者を保持し椅子本体に支持させた状態において、前記背部の空気袋を膨張・収縮させて成ることを特徴としている。
【0008】
そして、前記背部の空気袋を、前記背もたれ部の左右それぞれに設け、交互、又は単独にて該空気袋を膨張・収縮させて成ることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本願発明のマッサージ機は、被施療者の背部と腕部とに対応する椅子本体の背もたれ部と肘掛部の各々の箇所に配設された、空気の給排気にて膨張・収縮される空気袋のうち、腕部の空気袋が膨張されて同空気袋を介して被施療者が肘掛部に保持されて椅子本体に支持された状態にて被施療者の背部に配設された空気袋が膨張・収縮されることとなるので、被施療者の身体が前方に押し出されても肘掛部に保持されることとなり、背もたれ部と身体の背部施療部との距離が変化せず、以って、簡単な構成により被施療者の身体を支持させて背部のマッサージ効果をより高めることが可能となる。
【0010】
そして、背部の空気袋を、椅子本体の背もたれ部の左右それぞれに設け、交互、又は単独にて該空気袋を膨張・収縮させた結果として、被施療者背部への左右交互又は独立した押圧施療が可能となって身体上体のひねり動作をさせることもでき、以って、背部のマッサージ効果がさらに高まるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の上記および他の効果、特徴および利点を明確にすべく、添付した図面を参照しながら、本発明の実施の形態を以下に詳述する。 図1を参照すると、本発明の一実施形態としての、本願の請求項1、2に対応したマッサージ機の概略構成を示す斜視図が示されている。図2は、図1のマッサージ機の、使用状態の説明図、図3は、同マッサージ機の動作説明図である。
【0012】
この実施形態のマッサージ機1は、座部21、背もたれ部22及び肘掛部23、23を有する椅子本体2の、被施療者の背部と腕部とに対応する箇所各々に、空気の給排気にて膨張・収縮される空気袋3、4を配設させて成るマッサージ機であって、前記腕部の空気袋3を膨張させ同空気袋3を介して肘掛部23に被施療者を保持し椅子本体2に支持させた状態において、前記背部の空気袋4を膨張・収縮させて成る。
【0013】
この場合、前記背部の空気袋4を、前記背もたれ部22の左右それぞれに設け、交互、又は単独にて該空気袋4(4a、4b)を膨張・収縮させてもいる。
【0014】
詳しくは、このマッサージ機1は、上端部が肘掛部23、23となっている一対の側枠間に座部21を取り付けるとともに、座部21の後方側に背もたれ部22を配している椅子本体2にて形成され、この場合、椅子本体2の前部には、被施療者の両下腿部をそれぞれ独立して入れることができる一対の足入れ凹部5、及び足のせ台6が配設されている。なお、足入れ凹部5の両側壁には、それぞれ被施療者のふくらはぎ部を圧迫するための空気袋(図示せず)が設けてあり、足のせ台6には、足底部を圧迫するための空気袋が設けてある。
【0015】
背もたれ部22には、左右対称に各々空気袋4(4a、4b)を設け、また、かつ肘掛部23となる椅子本体2の側枠上面には、各々において被施療者の腕部を収容する凹所が形成され、側枠前端から後方に向け延設された、当該凹所上方の斜め片の下面に、収納された腕部を固定できるように空気袋3(3a、3b)が設けられている。
【0016】
上記の各空気袋は、図示していないチューブを介して給排気手段に接続してあり、この給排気手段によりその空気袋を膨張させたり、あるいは収縮させたりするようになっている。すなわち、上記背部の空気袋4a、4bや、腕部の空気袋3a、3b、あるいは足入れ凹部5、及び足のせ台6の空気袋は、この給排気手段によりそれぞれ独立して膨張収縮されるよう制御される。
【0017】
これにより例えば空気袋3a、3bのみを膨張収縮して人体の腕部のみのマッサージをしたり、あるいは、足のせ台6の空気袋のみを膨張収縮して人体の足底部のみをマッサージして、いわゆる青竹踏みと同じような刺激を足底部に与えたり、あるいは、足入れ凹部5、及び足のせ台6の両方の空気袋を膨張収縮してふくらはぎ部と足底部の両方をマッサージしたりできるものである。
【0018】
すなわち、このものにおいては、背部の空気袋4を、前記背もたれ部22の左右それぞれに空気袋4a、4bとして設け、交互、又は単独にて該空気袋4a、4bを膨張・収縮可能としてあり、さらに、肘掛部23の空気袋3a、3bへ給気し膨張させた状態で、背もたれ部2の空気袋4a、4b左右交互又は独立させて膨張させることにより、被施療者の背部への左右交互又は独立させた押圧マッサージ動作が可能となり、身体上体のひねり動作をさせることもできて好ましい。
【0019】
なお、背もたれ部22の空気袋4a、4bは、本実施例においては左右1ケずつ背もたれ部22に配置しているが、左右それぞれにおいて少なくとも1つの空気袋を設けるようにしても良いことは勿論である。
【0020】
かかるマッサージ機1においては、図2に示すように、被施療者Aの背部と腕部とに対応する椅子本体2の背もたれ部22と肘掛部23の各々の箇所に配設された、空気の給排気にて膨張・収縮される空気袋4a、4b、3a、3bのうち、腕部の空気袋3a、3bが膨張されて同空気袋3a、3bを介して被施療者Aが肘掛部23に保持されて椅子本体2に支持された状態にて被施療者Aの背部に配設された空気袋4a、4bが膨張・収縮されることとなる。これにより、被施療者A背部の空気袋4a、4bが膨張して、被施療者Aの身体が前方に押し出されても肘掛部23に保持され、被施療者Aの前方への身体の移動やズレが抑制されることとなり、背もたれ部22と身体の背部施療部との距離が変化しないこととなるのである。
【0021】
また、この場合、背部の空気袋4a、4bを、椅子本体2の背もたれ部22の左右それぞれに設け、交互、又は単独にて該空気袋を膨張・収縮させる構成において、図3に示すように、各空気袋の給気は、肘掛部23の空気袋3a、3bへ給気した後、背もたれ部22の空気袋4a、4bへ給気しているが、その各空気袋4a、4b、3a、3bへの給気は同時でも、あるいはタイミングをずらしても勿論良い。例えば、空気袋3a、3bを膨張したのち、空気袋3a、3bの膨張を維持しながら空気袋4a、4bを膨張させることで、腕部を圧迫したのちに背部を圧迫するということができて、静脈の血流を人体上部の末梢部分である指先から腕部を通して心臓の方に流すようなマッサージも可能となるのである。
【0022】
したがって、以上説明したマッサージ機1によると、被施療者Aの背部と腕部とに対応する椅子本体2の背もたれ部22と肘掛部23の各々の箇所に配設された、空気の給排気にて膨張・収縮される空気袋4a、4b、3a、3bのうち、腕部の空気袋3a、3bが膨張されて空気袋3a、3bを介して被施療者Aが肘掛部23に保持されて椅子本体2に支持された状態にて被施療者Aの背部に配設された空気袋4a、4bが膨張・収縮されることとなるので、被施療者Aの身体が前方に押し出されても肘掛部23に保持されることとなり、背もたれ部22と身体の背部施療部との距離が変化せず、以って、簡単な構成により被施療者Aの身体を支持させて背部のマッサージ効果をより高めることが可能となる。
【0023】
そして、背部の空気袋4a、4bを、椅子本体2の背もたれ部22の左右それぞれに設け、交互、又は単独にて該空気袋を膨張・収縮させた結果として、被施療者A背部への左右交互又は独立した押圧施療が可能となって身体上体のひねり動作をさせることもでき、以って、背部のマッサージ効果がさらに高まるという効果を奏する。
【0024】
なお、本発明は上記各実施例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施例は適宜変更され得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本願発明の一実施形態であるマッサージ機の概略構成を示す斜視図。
【図2】同マッサージ機の使用状態を示した説明図。
【図3】同マッサージ機の動作説明図。
【図4】従来例のマッサージ機全体を示す斜視図。
【符号の説明】
【0026】
1 マッサージ機
1 左右
1 第
2 椅子本体
21 座部
22 背もたれ部
23 肘掛部
3(3a、3b) 腕部の空気袋
4(4a、4b) 背部の空気袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部、背もたれ部及び肘掛部を有する椅子本体の、被施療者の背部と腕部とに対応する箇所各々に、空気の給排気にて膨張・収縮される空気袋を配設させて成るマッサージ機であって、
前記腕部の空気袋を膨張させ同空気袋を介して肘掛部に被施療者を保持し椅子本体に支持させた状態において、前記背部の空気袋を膨張・収縮させて成ることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記背部の空気袋を、前記背もたれ部の左右それぞれに設け、交互、又は単独にて該空気袋を膨張・収縮させることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−87571(P2006−87571A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275163(P2004−275163)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】