説明

マッサージ機

【課題】使用者の意図に沿った自動コース施療を使用者を煩わせることなく得る。
【解決手段】人体の複数部位に対するマッサージが可能な施療手段を備えているとともに、予め設定されているプログラムに従った手順でマッサージ動作を順次実行していく自動コース施療機能付きのマッサージ機であり、上記自動コース中の特定部位に対するマッサージ動作を自動コース施療の実行中に自動コース中から割愛する削除スイッチ35a,35bを備える。使用者が意図しない部位に対するマッサージを自動コース中から一括して割愛することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動施療機能を備えているマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体の複数部位に対するマッサージが可能な施療手段を備えているとともに、予め設定してあるプログラムに従った手順で複数の異なるマッサージ動作を順次実行していく自動コース施療機能を備えたマッサージ機がある。
【0003】
この種の自動施療機能を備えたものでは、予め用意してあるプログラムは万人向けのもので、使用者個人の好みやこりの症状に合うものではないことから、従来の自動コース施療機能付きのマッサージ機においても、使用者が自身の好みや症状にあった自動コースを生成することができるようにしたものが提供されている。
【0004】
しかしながら、新たな自動コースをプログラムする手間をかけて好みのマッサージが得られるようにする使用者は殆どいないのが実情である。予め多くの種類の自動コースを用意して使用者が選択することができるようにしたものもあるが、実際には複数の中から一つの自動コースを選択することすら邪魔くさいと感じてしまう使用者が存在しており、このような使用者は電源を入れて自動コース施療の開始スイッチを押すだけでマッサージが開始されるものを求めている。
【0005】
もちろん、現在提供されている自動コース施療機能付きのマッサージ機は、上記のような電源を入れて開始スイッチを押すだけで良いものとなっているが、当然ながら使用者個人の好みやこりの症状に応じたものではない。
【特許文献1】特開2006−129906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、使用者の意図に沿った自動コース施療を使用者を煩わせることなく得ることができるマッサージ機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係るマッサージ機は、人体の複数部位に対するマッサージが可能な施療手段を備えているとともに、予め設定されているプログラムに従った手順でマッサージ動作を順次実行していく自動コース施療機能付きのマッサージ機であって、上記自動コース中の特定部位に対するマッサージ動作を自動コース施療の実行中に自動コース中から割愛する削除スイッチを備えていることに特徴を有している。
【0008】
使用者が意図しない部位に対するマッサージは自動コース中から一括して割愛することができるようにしたものである。
【0009】
この時、上記削除スイッチで割愛したマッサージ動作を自動コース中に復活させるスイッチを備えたものとすると、使用者の意図の変化に容易に対応することができる。
【0010】
そして自動コース中においてマッサージ動作が実施される部位を表示する表示手段を備えていると、使用者の意図をマッサージ機側が認識しているかどうかを容易に確認することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記自動コース中の特定部位に対するマッサージ動作を自動コース中から割愛する削除スイッチを備えているために、使用者にしてみれば、とりあえず自動コース施療を開始すればよいものであり、そして使用者にしてみればマッサージが不要な部位に対するマッサージ動作が始まれば、その部位に対するマッサージ動作を割愛する削除スイッチを押すだけで、その部位を除く他の部位に対するマッサージ動作で自動コース施療が継続されるものであり、このために使用者の意図に沿った自動コース施療を得ることができる上に、使用者が行わなければならない操作を最小に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明すると、マッサージ機の機構的構成については、人体の複数部位に対するマッサージが可能なものであればどのようなものでもよいが、例えば椅子の背もたれ内に組み込まれて、人体背面の首すじや肩、背、腰等に対してマッサージを行うことができるものが好ましい。
【0013】
図1はマッサージ機構部1と制御部2と操作部3とからなるマッサージ機を示しており、マッサージ機構部1は人体に接触して人体にマッサージ動作を加えることになる施療子を上下に駆動する上下駆動部11と、人体側に向けての突出量を変化させることでマッサージ動作の強弱調整を行うための強弱駆動部12と、左右で対をなしている施療子間の間隔を変化させるための幅駆動部13とを備え、また上記各駆動部11,12,13による施療子の位置変化を検出するための上下センサ15と強弱センサ16と幅センサ17とを備えている。
【0014】
制御部2は上記各センサ15,16,17の出力と操作部3から与えられる指示とに基づいて動作駆動制御部21を介して上記各駆動部11,12,13を駆動することで人体に対するマッサージ動作をマッサージ機構部1に実行させるもので、その主制御回路20は自動コース施療のためのテーブル23を格納したメモリ22を内蔵している。
【0015】
一方、操作部3は図2にも示すように独立した筐体を有するもので、電源スイッチ30や、自動コース施療選択スイッチ31a,31b,31c、強弱調整スイッチ32、対象部位選択スイッチ33a,33b,33c,33d、位置調整スイッチ34などを備えるほか、液晶ディスプレーで構成された表示部36と、自動コース施療から特定の部位に対するマッサージ動作を割愛したり付加したりする部位入切スイッチ35a,35bとを備えている。
【0016】
このマッサージ機においては、操作部3の自動コース施療選択スイッチ31a,31b,31cが操作された時、制御部2は前述のメモリ22に格納された対応するテーブル23に記載された内容をステップ順に読み出して、その内容に応じた動作をマッサージ機構部1に実行させていくのであるが、このテーブルの内容は、図3に示す一例から明らかなように、ステップナンバー、施療手技、その手技を実行させる施療子位置(幅座標と上下座標と強弱座標)、繰り返し回数に加え、上記施療子位置がどの部位(ここでは首と肩と背と腰の4つに分類)に該当するかについてを記載したものとなっている。
【0017】
そして自動コース施療をマッサージ機構部1に行わせるにあたっては、テーブル中の上記部位についての情報は意味を持たないのであるが、操作部3に設けられた部位入切スイッチ35a,35bが自動コース施療の実行中に操作された時、制御部2は上記部位についての情報を参照して、スキップすべきステップを決定する。
【0018】
たとえば、「背・腰」についての部位入切スイッチ35bが操作されたならば、制御部2はテーブル中の背及び腰の部位に分類されているステップを全てスキップし、首及び肩の部位に分類されているステップのみを実行していくのである。図3に示す内容のテーブルの場合、図4に示すように、肩の部位に分類されたステップ2の次に首の部位に分類されたステップ8を実行する。つまり、背及び腰に対するマッサージ動作が割愛された状態で自動コース施療がなされるものである。
【0019】
逆に「首・肩」についての部位入切スイッチ35aが操作されたならば、制御部2はテーブル中の首及び肩の部位に分類されているステップを全てスキップし、背及び腰の部位に分類されているステップのみを実行していく。
【0020】
従って、自動コース施療中に使用者が背や腰に対するマッサージ(もしくは首や肩に対するマッサージ)を不要と判断すれば、その時点で部位入切スイッチ35a,35bを操作すれば、その部位に対するマッサージ動作が割愛され、他の部位に対するマッサージ動作のみで構成された自動コース施療に変更されるものとなっている。
【0021】
ちなみに、マッサージ機の自動コース施療について新たなステップを追加するよりも、今あるステップの中から不要なものを除くことができるようにしたほうが、使用者にしてみれば、手間がかからない上に煩わしさもないために、各使用者に受け入れやすいものである。
【0022】
また、操作部3における表示部36は、自動コース施療を実行している間、人体を模した図における首と肩と背と腰とに該当する箇所に施療対象となっている目印Mを付加するとともに、現在実行中の施療動作の対象部位の目印Mを点滅させるのであるが、部位入切スイッチ35a,35bを操作したならば、施療対象から除かれた部位についての目印Mを消灯させることで、現在の施療対象部位を使用者に知らせるために、使用者にしてみれば、部位入切スイッチ35a,35bの操作が受け入れられたこと並びに現在の施療対象部位を明確にを知ることができる。
【0023】
なお、ここでは部位入切スイッチ35a,35bが誤って操作された場合や、割愛した部位に対するマッサージ動作がやはり欲しいという欲求に応えることができるようにするために、同じ部位入切スイッチ35a,35bが再度操作された時には、割愛したステップが復活して自動コース施療中に組み込まれるようにしている。
【0024】
また、図示例では首と肩、腰と背の部位を夫々一纏めにして割愛及び復活させることができるようにしているが、首と肩と腰と背を夫々個別に指定して割愛及び復活させることができるようにしてもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態の一例のブロック回路図である。
【図2】同上の概略断面図である。
【図3】同上の動作説明図である。
【図4】同上の他の動作説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1 マッサージ機構部
2 制御部
3 操作部
35a,35b 部位入切スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の複数部位に対するマッサージが可能な施療手段を備えているとともに、予め設定されているプログラムに従った手順でマッサージ動作を順次実行していく自動コース施療機能付きのマッサージ機であって、上記自動コース中の特定部位に対するマッサージ動作を自動コース施療の実行中に自動コース中から割愛する削除スイッチを備えていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
削除スイッチで割愛したマッサージ動作を自動コース中に復活させるスイッチを備えていることを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
自動コース中においてマッサージ動作が実施される部位を表示する表示手段を備えていることを特徴とする請求項1または2記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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