説明

マッサージ機

【課題】使用者がより快適に使用することが可能なマッサージ機を提供する。
【解決手段】制御部60は、着座検出センサ40によって使用者の着座が検出されると、スピーカ54及び光源部55から着座した旨の報知を行う。更に制御部60は、使用者による操作部51の操作にて各機構16,17,20,25を禁止状態から動作許可状態に切り替える操作まで、つまりオンオフスイッチが操作されるまで、各機構16,17,20,25の動作を禁止する。制御部60は、操作部51のオンオフスイッチが動作禁止状態において操作されると、その操作に基づいて動作許可状態として前記各機構16,17,20,25の動作を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の背部などをマッサージするマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、着座可能な座部の後部に背もたれ部が設けられた椅子型を成すマッサージ機が広く知られている。
また、特許文献1のマッサージ機では、例えば使用者が座部に着座したことを検出する着座検出センサと、この着座検出センサによって着座が検出されるとその後の行動を使用者に促す報知部とが備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−224185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなマッサージ機では、着座検出センサを座部に設けているため、使用者の着座を検出することができるようになっている。この着座検出センサを用いた一例として、例えば着座検出センサによって使用者が着座したことを検出されると、マッサージ機に備えられる揉み玉やエアバッグ等のマッサージ機構によって使用者をマッサージすることが考えられる。しかしながら、椅子型のマッサージ機を単に椅子として使用する場合には、着座検出後すぐにマッサージ動作を行うと使用者を不快に思わせることもあり、マッサージ機使用時の快適性を向上させることが望まれる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、使用者がより快適に使用することが可能なマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のマッサージ機は、使用者が着座可能な座部の後部に背もたれ部を備えるものであり、前記使用者の身体をマッサージするマッサージ手段と、使用者の着座の有無を検出する着座検出手段と、該着座検出手段により検出される使用者の着座に基づいて前記マッサージ手段の駆動を可能とする制御部とを備えたマッサージ機であって、前記制御部は、前記着座検出手段によって使用者の着座が検出されると、前記報知手段による所定の報知とともに、前記使用者の操作部の操作にて前記マッサージ手段を動作禁止状態から動作許可状態に切り替える操作が行われるまで、前記マッサージ手段の動作を禁止し、前記操作部の動作許可側への操作に基づいて前記マッサージ手段の動作を許可すること特徴とする。
【0007】
また上記構成において、背もたれ部は、座部に対してリクライニング手段によって傾動可能に設けられ、制御部は、使用者の操作部の操作にてマッサージ手段を動作禁止状態から動作許可状態に切り替える操作が行われるまで、マッサージ手段とともにリクライニング手段を動作禁止状態とし、操作部の動作許可側への操作に基づいてマッサージ手段とともにリクライニング手段の動作を許可することが好ましい。
【0008】
また上記構成において、報知手段による所定の報知は、前記マッサージ手段の動作態様を決定する前記操作部の操作方法を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、使用者がより快適に使用することが可能なマッサージ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態におけるマッサージ機の概略構成図である。
【図2】同上におけるマッサージ機の側面図である。
【図3】マッサージ機の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【図4】操作部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のマッサージ機10を示す。本実施形態のマッサージ機10は、左右一対の支持脚部11(1つのみ図示)にて支持された座部12の後部に背もたれ部13が幅方向の回動軸にて傾動可能に組み付けられるとともに、座部12の前部にオットマン14が同方向の回動軸にて傾動可能に組み付けられている。また、座部12の両側には、前後方向に延びる肘掛け部15が組み付けられている。
【0012】
座部12の下側には、図2に示すように背もたれ部13を傾動させるためのリクライニング機構16が備えられており、そのリクライニング機構16のモータ16aの駆動により背もたれ部13のリクライニングがなされるようになっている。また、オットマン14についても、座部12の下側にオットマン14の上下動機構17(図3参照)が備えられるとともに、この上下動機構17の駆動によりオットマン14が上下動されるようになっている。
【0013】
背もたれ部13は、硬質樹脂材料からなり内部の収容空間にメカマッサージ機構20を収容する背もたれ本体21と、この背もたれ本体21の前面に一体固定されるカバー部31とを有している。
【0014】
背もたれ本体21は、硬質樹脂材料からなり前面が上下方向に長く開口された略矩形状の開口部(図示略)を有するバックボード22と、このバックボード22の背面側に取り付けられるバックカバー23とを有している。背もたれ本体21は、バックボード22及びバックカバー23の間に収容され所定部位に取り付けられる略長方形状の機構部フレーム(図示略)を有している。
【0015】
前記機構部フレームには、その長手方向(上下方向)の内側面に、メカマッサージ機構20がスライド可能に組み込まれるガイドレール20bが形成されている。メカマッサージ機構20は、メカマッサージ機構20に組み付けられる駆動モータ(図示略)により上下動される。メカマッサージ機構20には、幅方向の回転軸にて連結されたもみ玉20aが対で備えられ、その駆動モータ又は別途設けられた駆動モータによりその一対の揉み玉20aが幅(左右)方向及び前後方向に駆動させる。このようにメカマッサージ機構20の上下動に加えて、揉み玉20aの幅方向及び前後方向の動作がメカマッサージ機構20と電気的に接続される制御部60によって組み合わされることで、揉み玉20aによる3次元の施療動作が行われるようになっている。
【0016】
また、本実施形態のマッサージ機10には、背もたれ部13やオットマン14等に膨縮動作可能なエアバッグによりなるエアマッサージ機構25(図3参照)が設けられている。エアマッサージ機構25は、制御部60によって制御される図示しないエアポンプからの空気の給排気によってエアバッグが膨縮動作されるようになっている。
【0017】
背もたれ本体21の前面に設けられるカバー部31は、前記背もたれ本体21のバックボード22の開口部以外の前面略全体を覆う第1カバー部材32と、この第1カバー部材32の上側前面に配置される第2カバー部材33と、この第1カバー部材32の下側前面の左右方向中央部において前記バックボード22の開口部を閉塞する第3カバー部材34とを有している。これら各カバー部材32,33,34にはスポンジ状部材が表皮材にて覆われて構成されている。
【0018】
また、カバー部31の上下方向略中間位置よりも上側には、その前面に枕部35が配置可能に設けられている。この枕部35は、クッション材が表皮材にて覆われてなる枕本体35aと、この枕本体35aの後端側において前記背もたれ本体21に固定接続される接続部35bとを有している。接続部35bは前記枕本体35aの表皮材と同一の材料にて構成され、その後端部35cは、前記背もたれ本体21のバックボード22の最後端に固定されている。
【0019】
また本実施形態のマッサージ機10には、座部12に使用者の着座を検出するための静電容量式センサからなる着座検出センサ40が設けられている。この着座検出センサ40は、前記制御部60と電気的に接続されるとともに、着座検出センサ40から所定の信号が制御部60に出力されるようになっている。また着座検出センサ40は、座部12の上面の前後方向長さに対して所定の長さ(例えば50%以上の長さ)を有する検出面を有している。
【0020】
また、図1に示すように2つ設けられる肘掛け部15のうちの一方には、その左右方向外側に置き台50が取り付けられている。この置き台50には図4に示すように使用者によって前記メカマッサージ機構20、エアマッサージ機構25、リクライニング機構16及び上下動機構17の駆動を制御する制御部60に対して指令信号を発する操作部51と電気的に接続されている。
【0021】
操作部51には、使用者の使用頻度の高いメインスイッチ群52と、使用者の使用頻度の低いサブスイッチ群53と、音声又は音を出力するスピーカ54と、複数の発光素子を有する光源部55と、現時点の施療部位等の表示が可能な表示部56とを有している。ここで、「メインスイッチ群」とは、例えば、オンオフスイッチ52a、緊急停止スイッチ52b、自動コース選択スイッチ52c、リクライニング調整スイッチ52d、オットマン調整スイッチ52eのことである。また、「サブスイッチ群」とは、揉み玉20aやエアバッグの押圧力や揉み玉20aの位置を調整する調整スイッチ53a、光源オンオフスイッチ53b、音声オンオフスイッチ53c、一部の身体部位のみをマッサージするためのお好みスイッチ53dのことである。
【0022】
操作部51に設けられる光源部55は、例えば波長(発色)の異なる複数の発光素子から構成されている。なお、本実施形態では、赤、青、緑の3色が独立して発光可能な発光素子にて構成されるとともに、これらの発光素子を制御部60にて制御することで様々な色を作り出すことができるようになっている。また、光源部55は前述の光源オンオフスイッチ53bによってオフ設定されている場合は、光源部55による発光は禁止される。
【0023】
操作部51に設けられるスピーカ54は、図示しないメモリに予め記憶された音声データ等を出力するためのものであり、本実施形態では例えば操作部51の操作方法を報知するためのものである。
【0024】
次に、上記のように構成されたマッサージ機10の一動作例について説明する。
図示しない商用電源と接続された状態のマッサージ機10において、制御部60は着座検出センサ40によって使用者の着座が検出されると、操作部51の一部である光源部55の発光素子点灯若しくは点滅させる。これによって使用者に対して確実に着座したことを報知することができる。これと同時に、制御部60は、着座した旨の報知を音声によりスピーカ54から報知するようになっている。また制御部60は、図示しない自身のメモリに予め記憶された音声データによって使用者に対して操作部51の使用方法を報知するようになっている。具体的には、制御部60は、着座検出センサ40によって着座検出されると、予め前記メモリ内に記憶された音声データを用いて「マッサージを行う場合には、操作部のオンオフスイッチを押してください。」といった操作部51の操作方法のアナウンスをスピーカ54から報知させる。
【0025】
また、制御部60は着座検出センサ40によって着座検出された後に、例えば操作部51のオンオフスイッチ52aが押下されるまで、前記メカマッサージ機構20、エアマッサージ機構25、リクライニング機構16及び上下動機構17の駆動を停止させる動作禁止状態とする。そして、操作部51のオンオフスイッチ52aが押下されると、制御部60は、メカマッサージ機構20、エアマッサージ機構25、リクライニング機構16及び上下動機構17を駆動可能な動作許可状態に遷移させる。この動作許可状態においては、操作部51に設けられる各スイッチ52a〜52e,53a〜53dが操作に基づく前記各機構16,17,20,25の駆動が可能な状態とされる。このため、オンオフスイッチ52aを押圧して動作許可状態とされてからは、背もたれ部13の傾動角度やオットマン14の傾動角度を操作部51の各スイッチ52d,52eによって調整することができるようになっている。
【0026】
そして、制御部60は、オンオフスイッチ52aが操作されて、各機構16,17,20,25が動作可能な動作許可状態とされると、前記メモリ内に記憶された音声データによりスピーカ54から操作部51の操作方法が報知される。このため、使用者はそのスピーカ54から出力される音声に基づいて容易に操作部51を操作することが可能とされる。
【0027】
また、制御部60は、前記動作許可状態において操作部51の例えば複数設けられる自動コース選択スイッチ52cのうちのいずれかが押下されると、予めプログラムされた自動コースプログラムに沿って各機構16,17,20,25を駆動させる。また、本実施形態では操作部51に設けられる光源部55がマッサージ中においては点滅するようになっている。
【0028】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)制御部60は、着座検出センサ40によって使用者の着座が検出されると、報知手段としてのスピーカ54及び光源部55から着座した旨の報知を行う。更に制御部60は、使用者による操作部51の操作にて各機構16,17,20,25を動作禁止状態から動作許可状態に切り替える操作、つまりオンオフスイッチ52aが操作されるまで、各機構16,17,20,25の動作を禁止する。そして、制御部60は、操作部51のオンオフスイッチ52aが動作禁止状態において操作されると、その操作に基づいて動作許可状態として前記各機構16,17,20,25の動作を許可する。このような構成とすることで、マッサージ機10に設けられる各機構16,17,20,25が使用者の意図に反して動作することを防止することができる。このため、使用者に対して精神的ストレスを与えることを抑制させることが可能となり、停止状態においてはマッサージ機10を例えば着座するための椅子として快適に使用することができる。
【0029】
(2)スピーカ54によりメカマッサージ機構20の動作態様を決定する操作部51の操作方法が報知される。このように報知手段としてのスピーカ54により操作部51の操作方法が報知されることで、マッサージ機10(操作部51)の使用方法が書かれた所謂取扱説明書を読まずとも容易に使用することができる。
【0030】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、操作部51に設けられるスピーカ54からの音(音声)及び操作部51に設けられる光源部55の光によって使用者が着座したことを報知するように報知手段を構成したが、これに限らない。例えば操作部51のスピーカ54及び操作部51の光源部55の少なくとも一方のみによって報知手段を構成してもよい。また、臭いや風等の使用者の五感を刺激することで使用者が着座したことを報知するように報知手段を構成してもよい。
【0031】
・上記実施形態では、操作部51の操作方法をスピーカ54から報知するように構成したが、表示部56による表示やその他発光等によって操作部51の操作方法を誘導するように報知する構成を採用してもよい。
【0032】
・上記実施形態では、静電容量式センサからなる着座検出センサ40を座部12に設ける構成としたが、これに限らず、例えば、背もたれ部13やオットマン14、肘掛け部15等の使用者の身体が当接し得る場所に設ける構成を採用してもよい。
【0033】
・上記実施形態では、静電容量式センサにて着座検出センサ40を構成したが、これに限らず、リミットスイッチや圧電素子等を用いて着座検出センサ40を構成してもよい。
・上記実施形態では、スピーカ54及び光源部55にて構成される報知手段にて着座した旨の報知を行うように構成したが、これに限らず、例えば表示部56やその他の報知手段にて着座した旨の報知を行うように構成してもよい。
【0034】
・上記実施形態では、着座検出センサ40にて使用者の着座が検出されてからオンオフスイッチ52aが押下されるまでの動作禁止状態において、各機構16,17,20,25の駆動を停止させる構成としたが、各機構16,17,20,25のいずれかが省略されたマッサージ機においては、そのマッサージ機に備えられる各機構16,17,20,25を停止させる構成であればよい。つまり、メカマッサージ機構20のみがマッサージ機に備えられる場合、動作禁止状態において制御部60はそのメカマッサージ機構20の駆動を停止させる構成であればよい。このように、着座検出センサ40が設けられる構成においてもマッサージ機10を着座するための椅子の代替品として利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10…マッサージ機、12…座部、13…背もたれ部、16…リクライニング機構(リクライニング手段)、20…メカマッサージ機構(マッサージ手段)、25…エアマッサージ機構(マッサージ手段)、40…着座検出センサ(着座検出手段)、51…操作部、52a…オンオフスイッチ、54…スピーカ(報知手段)、55…光源部(報知手段)、60…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座可能な座部の後部に背もたれ部を備えるものであり、前記使用者の身体をマッサージするマッサージ手段と、使用者の着座の有無を検出する着座検出手段と、該着座検出手段により検出される使用者の着座に基づいて前記マッサージ手段の駆動を可能とする制御部とを備えたマッサージ機であって、
前記制御部は、前記着座検出手段によって使用者の着座が検出されると、報知手段による所定の報知とともに、前記使用者の操作部の操作にて前記マッサージ手段を動作禁止状態から動作許可状態に切り替える操作が行われるまで、前記マッサージ手段の動作を禁止し、前記操作部の動作許可側への操作に基づいて前記マッサージ手段の動作を許可することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ機において、
前記背もたれ部は、前記座部に対してリクライニング手段によって傾動可能に設けられ、
前記制御部は、前記使用者の操作部の操作にて前記マッサージ手段を動作禁止状態から動作許可状態に切り替える操作が行われるまで、前記マッサージ手段とともに前記リクライニング手段を動作禁止状態とし、前記操作部の動作許可側への操作に基づいて前記マッサージ手段とともに前記リクライニング手段の動作を許可することを特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のマッサージ機において、
前記報知手段による所定の報知は、前記マッサージ手段の動作態様を決定する前記操作部の操作方法を含むことを特徴とするマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−250837(P2011−250837A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124687(P2010−124687)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】