説明

マッサージ機

【課題】足先を対象とするマッサージ機において、足の甲の部分をマッサージする機能を付加してマッサージの効能を一層高めたマッサージ機を提供する。
【解決手段】マッサージ機1は、周期的に接近と離反を繰り返す1対のマッサージプレート7により被施療者の足先を両側から圧迫する。1対のマッサージプレート7の上部間に弾性ストラップ13が張り渡される。弾性ストラップ13は、1対のマッサージプレート7の接近時、下方に凸に湾曲して足先を甲の側から圧迫する。1対のマッサージプレート7は、水平回転軸6に嵌合する1対の軸受にそれぞれ取り付けられ、1対の軸受のマッサージプレート取付面がそれぞれ水平回転軸6の軸線に対し傾斜していることにより、水平回転軸6の回転によって、上部同士が接近と離反を繰り返す動きを与えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機、特に足先を対象とするマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
被施療者の身体に指圧(厳密に言えば「指圧に相当する圧力」であるが、本明細書ではこれを「指圧」と称するものとする)や振動、圧迫、たたき、もみほぐしなどの刺激を与えるマッサージ機は様々なタイプのものが開発され、使用されている。その中には、膝より下でくるぶしより上の脚部を施療対象としたり、さらにはくるぶしから先の足先を施療対象としたりするものもある。下肢を施療対象とするマッサージ機の例を特許文献1、2に見ることができる。
【0003】
特許文献1に記載されたマッサージ機は、下肢の長さ方向に長い左右一対のマッサージ部材を、その長手方向が互いに逆向きに傾斜した状態で接近離反させることにより、下肢を広範囲にマッサージする。
【0004】
特許文献2に記載されたマッサージ機は、回転軸に対して傾斜する一対の揉みローラの揺動により脚部や腰部を揉みほぐす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−286520号公報(国際特許分類:A61H7/00)
【特許文献2】特開平5−42187号公報(国際特許分類:A61H15/00)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、足先を対象とするマッサージ機において、足の甲の部分をマッサージする機能を付加してマッサージの効能を一層高めたマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい実施形態によれば、マッサージ機は、周期的に接近と離反を繰り返す1対のマッサージプレートにより被施療者の足先を両側から圧迫するものであり、前記1対のマッサージプレートの上部間に弾性ストラップが張り渡され、前記弾性ストラップは、前記1対のマッサージプレートの接近時、下方に凸に湾曲して前記足先を甲の側から圧迫する。
【0008】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成のマッサージ機において、前記1対のマッサージプレートは、水平回転軸に嵌合する1対の軸受にそれぞれ取り付けられ、前記1対の軸受のマッサージプレート取付面がそれぞれ前記水平回転軸の軸線に対し傾斜していることにより、前記水平回転軸の回転によって、上部同士が接近と離反を繰り返す動きを与えられる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成のマッサージ機において、前記水平回転軸は前記足先を支持するフットレストの一部を構成するとともに、前記足先を足裏側から刺激する指圧部を備えている。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成のマッサージ機において、当該マッサージ機の筐体に、上方から前記足先を挿入する溝が形成されるとともに、前記溝の開口部と前記1対のマッサージプレートの縁部の間に、常時緊張状態に置かれる伸縮可能なシールドウェブが張り渡される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成のマッサージ機において、前記弾性ストラップの足先圧迫部に指圧突起が形成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、周期的に接近と離反を繰り返す1対のマッサージプレートが被施療者の足先を両側から圧迫する際、マッサージプレートの上部間に張り渡された弾性ストラップが下方に凸に湾曲して足先を甲の側から圧迫するから、足の甲に対するマッサージ効果も得られ、マッサージの効能が一層高まる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るマッサージ機の斜視図である。
【図2】図1のマッサージ機に足先を挿入した状態を示す断面図である。
【図3】図1のマッサージ機に足先を挿入した状態を示す断面図であっって、図2と直角の方向を断面方向としたものである。
【図4】図3と同様の断面図で、図3とは異なる状態を示すものである。
【図5】マッサージプレートの動きを説明する第1の説明図である。
【図6】マッサージプレートの動きを説明する第2の説明図である。
【図7】マッサージプレートの動きを説明する第3の説明図である。
【図8】マッサージプレートの動きを説明する第4の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を図1から図8までの図に基づき説明する。マッサージ機1はくるぶしから先の足先のマッサージを行うべく設計されたものであり、床の上に置かれる筐体2を有する。筐体2には、椅子に腰掛けた被施療者が下肢の中でくるぶしから先の足先の部分を上方から挿入する左右1対の溝3が形成されている。溝3の底部は足先を支えるフットレスト4となる。筐体2の天面には、左右の溝3の間の箇所に操作パネル部5が形成されている。
【0015】
フットレスト4には水平回転軸6が配置される。水平回転軸6は左右のフットレスト4に共通のものであり、図示しないモータがこれを回転させる。
【0016】
溝3の両側には左右1対のマッサージプレート7が配置される。マッサージプレート7は、水平回転軸6に嵌合する1対の軸受(図示せず)の一方ずつに取り付けられる。円周面からなる軸受のマッサージプレート取付面はそれぞれ水平回転軸6の軸線に対し傾斜している。軸受を水平回転軸6と共に回転させる一方で、マッサージプレート7の方は水平回転軸6に追随して回転しないようにしておけば、1対のマッサージプレート7には、その上部同士が周期的に接近と離反を繰り返す動きが生じる。このメカニズムは特許文献1、2に記載されたメカニズムと同様のものである。
【0017】
マッサージプレート7の下端からはロッド8が突出し、筐体2の内底面にはロッド8を受けるガイド9が固定される。ガイド9は左右方向に延びる溝でロッド8を受けている。この構造によりマッサージプレート7は、水平回転軸6に追随して回転することはできず、ただ左右に揺動して、マッサージプレート7、7の上部同士が接近、離反を繰り返す。
【0018】
本明細書では、1対のマッサージプレート7の上部同士が接近する動きを「接近」と称し、1対のマッサージプレート7の上部同士が離反する動きを「離反」と称するものとする。1対のマッサージプレート7は接近時に足先を左右両側から圧迫し、これが足先に対するマッサージ効果を生む。足先の圧迫は図示しないクッション部材を介して行われる。
【0019】
水平回転軸6はフットレスト4の箇所(1対のマッサージプレート7の間の箇所)が大径部6aとなっており、この大径部6aがフットレスト4の一部を構成する。大径部6aは水平回転軸6に別途取り付けられたものであり、足先を足裏側から刺激する指圧部10が設けられている。指圧部10は大径部6aに回転自在に取り付けられた1対のローラ11からなる。ローラ11は水平回転軸6の軸線に対し点対称をなすように配置されており、水平回転軸6の軸線の回りを公転し、足先の足裏部に接触すれば自転する。大径部6aはフットレスト4で露出状態になっているのではなく、フットレスト4の底部を覆う布帛製のカバー20がその上にかかっており、このカバー20を介して足裏部とローラ11の接触が生じる形になっている。カバー20は、溝3の底部のみならず、溝3の左右両側も覆っており、マッサージプレート7は、前記図示しないクッション部材及びカバー20を介して足先を両側から圧迫する。なお図2〜4ではカバー20は図示を省略してある。
【0020】
溝3の開口部とマッサージプレート7の縁部の間には、ゴムやある種の合成樹脂のような伸縮可能な物質からなるシート、伸縮可能な繊維で織った布、あるいは伸縮可能な繊維で編んだニット生地のような、伸縮可能な素材からなるシールドウェブ12が張り渡される。シールドウェブ12は、図3のようにマッサージプレート7が離反するときも、図4のようにマッサージプレート7が接近するときも、常に緊張状態を保ち、溝3の開口部とマッサージプレート7の間に指が挟まれるのを防ぐ。
【0021】
1対のマッサージプレート7の上部間には弾性ストラップ13が張り渡される。弾性ストラップ13は肉厚のゴムシートまたは合成樹脂シートからなる。弾性ストラップ13は、図3のように1対のマッサージプレート7が離反状態にあるときでも、やや下方に凸となる形で湾曲している。弾性ストラップ13は前記カバー20を突き破って図1の如く溝3の上部に現れる。
【0022】
マッサージ機1の動作は次の通りである。被施療者はマッサージ機1の後に置いた図示しない椅子に腰を掛け、足先を上方から溝3の中のフットレスト4と弾性ストラップ13の間の空間に入れる。次いで操作パネル部5の中の操作ボタンを操作して、マッサージ機1の電源をONにし、所望のマッサージコースを選択する。マッサージが開始されると、図示しないモータが水平回転軸6を回転させる。水平回転軸6が回転するにつれ、1対のマッサージプレート7が周期的に接近と離反を繰り返し、足先を両側から圧迫しては解放して、マッサージ効果を生じさせる。また水平回転軸6が180°回転する毎に指圧部10が足裏部を押し、指圧の刺激を与える。
【0023】
弾性ストラップ13は、図3及び図5に示す通り、1対のマッサージプレート7が離反状態にあるときでもやや下方に凸となる形で湾曲している。図6に示すように1対のマッサージプレート7が接近すると、弾性ストラップ13は湾曲の度合いが増し、下方に凸に突き出す度合いが大きくなって行く。図4及び図7に示す、1対のマッサージプレート7が最も接近する時点(その前後の時点も含まれ得る)で、弾性ストラップ13は足先の甲の部分に接触して甲の部分を下方に圧迫する。これにより、足先の甲の部分に対してもマッサージ効果が生じる。弾性ストラップ13が足先を十分な力で圧迫するように、弾性ストラップ13の形状や材質を吟味しておく。
【0024】
1対のマッサージプレート7が最も接近した時点で、一方の指圧部10が上を向くようにしておけば、足先は弾性ストラップ13と指圧部10により上下から挟まれることになり、相乗的にマッサージ効果が増す。
【0025】
図7の状態から水平回転軸6の回転が進み、図8の状態になると、マッサージプレート7と弾性ストラップ13による圧迫が緩み、指圧部10も足裏から離れる。これよりマッサージ機1は、図3及び図5に示す圧迫休止状態へと向かう。
【0026】
実施形態の弾性ストラップ13は、下面すなわち足先圧迫部が平坦であるが、ここに適宜の形状と数の指圧突起を形成することもできる。これにより、足先の甲の部分を一層効果的にマッサージすることができる。
【0027】
また実施形態はくるぶしから先の足先をマッサージするフットレスト4のみを備えたマッサージ機1であるが、くるぶしから上で膝から下の脚部をマッサージするレッグレストを備えることとしてもよい。また大腿部、腰部、背中部、肩部などをマッサージするマッサージチェアのフットレストとして本発明を実施してもよい。
【0028】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、足先用のマッサージ機に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 マッサージ機
2 筐体
3 溝
4 フットレスト
5 操作パネル部
6 水平回転軸
7 マッサージプレート
10 指圧部
12 シールドウェブ
13 弾性ストラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的に接近と離反を繰り返す1対のマッサージプレートにより被施療者の足先を両側から圧迫するマッサージ機において、
前記1対のマッサージプレートの上部間に弾性ストラップが張り渡され、
前記弾性ストラップは、前記1対のマッサージプレートの接近時、下方に凸に湾曲して前記足先を甲の側から圧迫することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記1対のマッサージプレートは、水平回転軸に嵌合する1対の軸受にそれぞれ取り付けられ、前記1対の軸受のマッサージプレート取付面がそれぞれ前記水平回転軸の軸線に対し傾斜していることにより、前記水平回転軸の回転によって、上部同士が接近と離反を繰り返す動きを与えられることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記水平回転軸は前記足先を支持するフットレストの一部を構成するとともに、前記足先を足裏側から刺激する指圧部を備えていることを特徴とする請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
当該マッサージ機の筐体に、上方から前記足先を挿入する溝が形成されるとともに、前記溝の開口部と前記1対のマッサージプレートの縁部の間に、常時緊張状態に置かれる伸縮可能なシールドウェブが張り渡されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記弾性ストラップの足先圧迫部に指圧突起が形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−120656(P2012−120656A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273117(P2010−273117)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】