説明

マットスイッチ及びマットスイッチ装置

【課題】本発明は、通常のスイッチ機能に加え、複数の長尺スイッチの接点短絡、接触不良等の故障状態を速かに検知でき安全カテゴリの高いマットスイッチ装置を提供するものである。
【解決手段】本発明に係るマットスイッチ装置1は、マット本体2と、このマット本体2に対して、1個跳び並列状態の2系列に分け、かつ、各系列毎に並列接続して平行に配列されるとともに、2系列のうちの一方を防水処理し、他方を防水処理しないで、外力の有無によりオン、オフする複数の長尺スイッチ3A乃至3B、4A乃至4Cと、を具備するマットスイッチ10と、各系列の端部の各長尺スイッチ3A、4Aから導出した信号取り出し線21、21に接続され、2系列の長尺スイッチ3A乃至3B、4A乃至4Cのオン、オフ状態の組み合わせを判定し、マットスイッチ10自体の正常、接点故障又は非常事態発生を検出するスイッチ状態検出手段20と、を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットスイッチ及びマットスイッチ装置に関し、詳しくは、例えば侵入者の有無を検知する侵入検知用として、また、特定の箇所での足踏みの有無を検知する足踏み検知用として好適なマットスイッチ及びマットスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特定の領域に対する侵入者の有無を検知するために床面上等に設置する侵入検知用のマットスイッチとして、従来図8に示すマットスイッチ60が知られている。
【0003】
このマットスイッチ60は、平面長方形状のマット本体61に、例えば3個の4線式の長尺スイッチ62を所定の間隔で平行配置に敷設し、各長尺スイッチ62に内蔵している上電極、下電極を上リード線63、下リード線64を用いて直列接続するとともに、端部の長尺スイッチ62の上電極、下電極から信号取り出し線65、66を導出し、更に図示省略するが各長尺スイッチ62を被覆材で覆った構成としている。
【0004】
このマットスイッチ60によれば、いずれかの長尺スイッチ62上に侵入者の足が乗った場合、当該長尺スイッチ62の上電極、下電極は接触し、これにより長尺スイッチ62はオンとなって、前記信号取り出し線65、66から侵入者の存在を示す検知信号を得ることができ、警報を出す等の安全対策を実行することができる。
【0005】
しかし、上述したマットスイッチ60の場合、例えばいずれかの長尺スイッチ62が短絡状態となったり、接触不良状態となったり等の故障対策は不十分で、安全カテゴリは低レベル(カテゴリ1)のものであった。
【0006】
特許文献1には、断線検出抵抗素子と電流制限抵抗素子とを着座面のすべてのフィルムスイッチよりもコネクタ側に配置し、断線検出を行うように構成した着座センサが提案されている。しかし、この着座センサの場合も、フィルムスイッチにおいて接点短絡状態となったり、接触不良状態となったりした場合の故障対策は不十分である。
【特許文献1】特開2005−306353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする問題点は、複数の長尺スイッチを備えた構成のマットスイッチにおいて、各長尺スイッチの接点短絡等の故障状態を速かに検知でき安全カテゴリの高いマットスイッチ装置が存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のマットスイッチ装置は、マット本体と、このマット本体に対して、1個跳び並列状態の2系列に分け、かつ、各系列毎に並列接続して配列された侵入者の有無によりオン、オフする複数の長尺スイッチと、を具備するマットスイッチと、各系列の端部の各長尺スイッチに接続され、前記2系列の長尺スイッチのオン、オフ状態の組み合わせを判定し、マットスイッチ自体の正常、接点故障又は非常事態発生を検出するスイッチ状態検出手段と、を有することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1、2記載の発明によれば、長尺スイッチのスイッチ動作により安全監視等の本来の機能を発揮できることはもちろん、各長尺スイッチの接点短絡等の故障状態を速かに検知でき、安全カテゴリの高いマットスイッチ及びマットスイッチ装置を提供することができる。
【0010】
請求項3、4記載の発明によれば、請求項1、2記載の発明と同様な効果を奏するマットスイッチを提供でき、また、隣り合う長尺スイッチ同士間の間隔を狭くしたことから、侵入者等に対する検出能を高めることができるマットスイッチ装置を提供することができる。
【0011】
請求項5、6記載の発明によれば、請求項3、4記載の発明と同様な効果を奏するとともに、2系列の長尺スイッチのうちの一方を防水処理し、他方を防水処理しない構成としているので、安全監視機能を長期間維持することができるマットスイッチ及びマットスイッチ装置を提供することができる。
【0012】
請求項7、8記載の発明によれば、長尺スイッチのスイッチ動作により作業者の両足の存在を検知する本来の機能を有するとともに、両領域の長尺スイッチの接点短絡等の故障状態を速かに検知でき、更に両領域の双方の長尺スイッチが同時に短絡してしまうという危険性を回避でき、安全性を高めることができる足踏み検知用のマットスイッチ及びマットスイッチ装置を提供することができる。
【0013】
請求項9、10記載の発明によれば、2つの領域に各々直列接続の複数の長尺スイッチを配置した構成で、請求項7、8記載の発明と同様な効果を奏する足踏み検知用のマットスイッチ及びマットスイッチ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、通常のスイッチ機能に加え、複数の長尺スイッチの接点短絡、接触不良等の故障状態を速かに検知でき安全カテゴリの高いマットスイッチ装置を提供するという目的を有するものである。
本発明は、マット本体と、このマット本体に対して、1個跳び並列状態の2系列に分け、かつ、各系列毎に並列接続して平行に配列されるとともに、2系列のうちの一方を防水処理し、他方を防水処理しないで、外力の有無によりオン、オフする複数の長尺スイッチと、を具備するマットスイッチと、各系列の端部の各長尺スイッチから導出した信号取り出し線に接続され、前記2系列の長尺スイッチのオン、オフ状態の組み合わせを判定し、マットスイッチ自体の正常、接点故障又は非常事態発生を検出するスイッチ状態検出手段と、を有する構成により前記目的を実現した。
【実施例】
【0015】
以下に、本発明の実施例に係るマットスイッチ装置について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(実施例1)
本発明の実施例1に係るマットスイッチ装置1について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0017】
本実施例1に係るマットスイッチ装置1は、図1に示すように、絶縁材により例えば平面長方形状に形成したマット本体2と、このマット本体2に配置した複数個からなる長尺スイッチ群3とを有するマットスイッチ10と、前記長尺スイッチ群3に接続したスイッチ状態検出手段20とを有している。
【0018】
前記長尺スイッチ群3は、例えば、3個の4線式の外被5を有する長尺スイッチ3A、3B、3C及び3個の4線式の外被5を有する長尺スイッチ4A、4B、4Cをマット本体2に対して、1個跳び並列状態のA、B2系列に分け、かつ、各系列毎に上電極7に接続した上リード線21、下電極8に接続した下リード線22を用いて、並列接続状態で、かつ、互いに平行に配列している。
【0019】
更に、前記A、B2系列のうちの一方、例えば、A系列の3個の長尺スイッチ3A、3B、3Cは防水処理したスイッチ素子を用い、他方、すなわち、B系列の3個の長尺スイッチ4A、4B、4Cは防水処理しないスイッチ素子を用いた構成としている。
【0020】
前記A、B各系列の長尺スイッチ群3のうちの端部の各長尺スイッチ3A、4Aからは、図1、図2に示すように、各々上電極7、下電極8に接続した信号取り出し線9a、9bを導出している。
【0021】
前記スイッチ状態検出手段20は、図3に示すように、A系列の3個の長尺スイッチ3A、3B、3Cのいずれかの上電極7、下電極8の開閉状態、すなわち、長尺スイッチ3A、3B、3Cのいずれかのオン状態を検出するA系列接点開閉検出部11と、B系列の3個の長尺スイッチ4A、4B、4Cのいずれかのオン状態を検出するB系列接点開閉検出部12と、A系列接点開閉検出部11及びB系列接点開閉検出部12の検出結果を基に、前記A系列の長尺スイッチ3A、3B、3C及びB系列の長尺スイッチ4A、4B、4Cのオン、オフ状態の組み合わせを判定する判定回路13と、この判定回路13の判定結果を基にマットスイッチ1自体の正常、A系列又はB系列の接点故障又は非常事態発生を意味する各制御信号を生成する制御信号生成回路14と、正常を意味する制御信号により点灯する正常ランプ16、接点故障を意味する制御信号により点灯するA系列、B系列用の2個の接点故障ランプ17、18、非常事態発生を意味する制御信号により点灯する非常事態発生ランプ19を備えた表示部15とを有している。
【0022】
なお、前記マットスイッチ10には、マット本体2の上面全体を覆う上面被覆が設けられているが、ここでは図示省略する。
【0023】
次に、上述した構成のマットスイッチ10を含むマットスイッチ装置1の動作について図4をも参照して説明する。
【0024】
このマットスイッチ10を、例えば特定の領域に対する侵入者の有無を検知するために床面上等に設置し、前記信号取り出し線9a、9bを介して前記スイッチ状態検出手段20を接続して、安全監視用として使用する。
【0025】
この場合において、前記マットスイッチ10におけるA系列の3個の長尺スイッチ3A、3B、3C及びB系列の3個の長尺スイッチ4A、4B、4Cは、通常状態ではいずれも作動せずオフ状態を維持する。
このとき、前記A系列接点開閉検出部11及びB系列接点開閉検出部12は、A系列の3個の長尺スイッチ3A、3B、3C及びB系列の3個の長尺スイッチ4A、4B、4Cがオフであることを検出し、前記判定回路13はA系列接点開閉検出部11及びB系列接点開閉検出部12の検出結果を基に、前記A系列の長尺スイッチ3A、3B、3C及びB系列の長尺スイッチ4A、4B、4Cがともにオフであると判定する。制御信号生成回路14は、前記判定回路13の判定結果を基に、正常を意味する制御信号を出力し、これにより、表示部15の正常ランプ16が点灯する。
【0026】
これにより、侵入者無しを保守員等に的確に認識させることができる。
【0027】
また、前記マットスイッチ10におけるA系列の3個の長尺スイッチ3A、3B、3C及びB系列の3個の長尺スイッチ4A、4B、4Cのうちの例えばA系列の長尺スイッチ3A、3B、3Cのいずれかが何らかの原因でオン、B系列の3個の長尺スイッチ4A、4B、4Cがオフとなった場合には、A系列接点開閉検出部11は、A系列の3個の長尺スイッチ3A、3B、3Cのうちのいずれかがオンであることを検出して、B系列接点開閉検出部12はB系列の3個の長尺スイッチ4A、4B、4Cがオフであることを検出する。
【0028】
前記判定回路13は、A系列接点開閉検出部11及びB系列接点開閉検出部12の検出結果を基にA系列、B系列の検出結果が整合せず、非常事態発生かつA系列が故障であると判定する。
制御信号生成回路14は、前記判定回路13の判定結果を基にA系列の接点故障を意味する制御信号を出力する。これにより、表示部15のA系列の接点故障ランプ17が点灯する。
【0029】
逆に、B系列の3個の長尺スイッチ4A、4B、4Cのうちのいずれかが何らかの原因でオン、A系列の3個の長尺スイッチ3A、3B、3Cのうちのいずれかがオフとなった場合には、非常事態発生かつB系列が故障であると判定され、上述した場合と同様な動作の基に表示部15のB系列の接点故障ランプ18が点灯する。
【0030】
このような動作により、A系列又はB系列の接点故障状態(接点短絡、配線短絡等)を簡略に検出し保守員等に的確に認識させることができる。
【0031】
次に、前記床面上に侵入者が入り込み、例えば前記A系列の長尺スイッチ3AとB系列の長尺スイッチ4Aとの上を足で踏んだものとする。
【0032】
このとき、前記長尺スイッチ3A、4Aは、侵入者の足からの外力により、ともにオン状態に転ずる。
【0033】
また、このとき、前記A系列接点開閉検出部11及びB系列接点開閉検出部12は、A系列の長尺スイッチ3A、B系列の長尺スイッチ4Aがオンであることを各々検出し、前記判定回路13はA系列接点開閉検出部11及びB系列接点開閉検出部12の検出結果を基に、前記A系列の長尺スイッチ3A及びB系列の長尺スイッチ4Aがともにオンであると判定する。
制御信号生成回路14は、前記判定回路13の判定結果を基に、非常事態発生を意味する制御信号を出力し、これにより、表示部15の非常事態発生ランプ19が点灯する。
また、制御信号生成回路14は、非常事態発生を意味する制御信号を図示しない警報発生装置に送出し、警報を発生させる。
【0034】
この結果、安全監視されている特定の領域への侵入者の入り込み、すなわち、非常事態発生を保守員等に的確に伝達することができ、マットスイッチ10の本来の機能を発揮させることができる。
【0035】
更に、前記A系列の3個の長尺スイッチ3A、3B、3Cを防水処理したスイッチ素子を用い、B系列の3個の長尺スイッチ4A、4B、4Cを防水処理しないスイッチ素子を用いた構成としているので、仮に、前記マットスイッチ10の領域に台風等の風雨に伴う水が浸入したような場合でも、A系列の3個の長尺スイッチ3A、3B、3Cと、B系列の3個の長尺スイッチ4A、4B、4Cとの同時故障という事態を回避でき、安全監視機能を長期間維持することができる。
【0036】
なお、防水処理の態様は前記両系列を逆にしてもよく、また、前記前記両系列双方に防水処理を施した構成とすることももちろん可能である。
【0037】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2に係る足踏み検知用のマットスイッチ50を含むマットスイッチ装置31について、図5乃至図7を参照して説明する。
【0038】
本実施例2に係るマットスイッチ装置31は、図5に示すように、絶縁材により例えば平面長方形状で、かつ、例えば作業者の左右両足により踏まれる2つに分割された四角形状の領域C、Dを四辺に設けた辺部隔壁32及び中央隔壁33により上面部に形成したマット本体50Aと、このマット本体50Aの2つの領域C、Dに平行配置した各々直列接続の2個ずつの長尺スイッチ34A、34B、長尺スイッチ35A、35Bと、を有するマットスイッチ50と、前記2つの領域C、Dの長尺スイッチ34A、長尺スイッチ35Aから各々導出した信号取り出し線40、41に接続した前記マット本体50A上の作業者の両足負荷の存在を検出するスイッチ状態検出手段51とを有している。
【0039】
前記信号取り出し線40はC領域の長尺スイッチ34Aの上電極36の端部から、信号取り出し線41は、長尺スイッチ34Aの下電極37の端部から各々導出している。D領域の長尺スイッチ35Aについても同様である。
【0040】
前記領域Cにおける長尺スイッチ34A、34B同士は、実施例1の場合と同様、上電極36に接続した上リード線38、下電極37に接続した下リード線39を用いて並列接続している。同様に、前記領域Dにおける長尺スイッチ35A、35B同士は、実施例1の場合と同様、上電極36に接続した上リード線38、下電極37に接続した下リード線39を用いて並列接続している。
【0041】
なお、前記領域C、D領域における長尺スイッチの配列個数は、2個ずつに限らず任意個数ずつとして実施可能である。
【0042】
前記スイッチ状態検出手段51は、C領域の長尺スイッチ34A、34Bのいずれかの上電極36、下電極37の開閉状態、すなわち、いずれかのオン状態を検出するC領域接点開閉検出部42と、D領域の長尺スイッチ35A、35Bのいずれかのオン状態を検出するD領域接点開閉検出部43と、前記C領域接点開閉部42及びD領域接点開閉検出部43の検出結果を基に、C領域の長尺スイッチ34A、34B及びD領域の長尺スイッチ35A、35Bのオン、オフ状態の組み合わせを判定する判定回路44と、この判定回路13の判定結果を基にマットスイッチ50自体の正常、C領域又はD領域の接点故障又は作業者の両足負荷の存在を意味する各制御信号を生成する制御信号生成回路45と、正常を意味する制御信号により点灯する正常ランプ46、接点故障を意味する制御信号により点灯するC領域、D領域用の2個の接点故障ランプ47、48、作業者の在席を意味する制御信号により点灯する在席ランプ49を備えた表示部52と、を有している。
【0043】
なお、前記マットスイッチ50には、マット本体50Aの上面全体を覆う上面被覆が設けられているが、ここでは図示省略する。
【0044】
次に、本実施例2に係る足踏み検知用のマットスイッチ50を含むマットスイッチ装置31の動作について、図7をも参照して説明する。
【0045】
本実施例2に係る足踏み検知用のマットスイッチ50を、例えばフォークリフトの運転席の床に敷き、前記信号取り出し線40、41を介してスイッチ状態検出手段51を接続して、フォークリフトの作業者(運転者)の在席検知を行う場合を例にとり以下に詳述する。
【0046】
前記マットスイッチ50におけるC領域の長尺スイッチ34A、34B及びD領域の長尺スイッチ35A、35Bは、通常状態ではいずれも作動せずオフ状態を維持する。
このとき、前記C領域接点開閉検出部42及びD領域接点開閉検出部43は、C領域の長尺スイッチ34A、34B、D領域の長尺スイッチ35A、35Bがオフであることを検出し、前記判定回路44はC領域接点開閉検出部42及びD領域接点開閉検出部43はC領域の長尺スイッチ34A、34B及びD領域の長尺スイッチ35A、35Bがともにオフであると判定する。
【0047】
制御信号生成回路45は、前記判定回路44の判定結果を基に、マットスイッチ50自体の正常を意味する制御信号を出力し、これにより、表示部52の正常ランプ46が点灯する。
【0048】
これにより、前記マットスイッチ50が正常であることをマットスイッチ装置31の保守員等に的確に認識させることができる。
【0049】
また、前記マットスイッチ50におけるC領域の2個の長尺スイッチ34A、34B及びD領域の2個の長尺スイッチ35A、35Bのうちの例えばC領域の2個の長尺スイッチ34A、34Bのいずれかが何らかの原因でオン、D領域の2個の長尺スイッチ35A、35Bがオフとなった場合には、C領域接点開閉検出部42は、C領域の2個の長尺スイッチ34A、34Bのうちのいずれかがオンであることを検出し、D領域接点開閉検出部43はD領域の2個の長尺スイッチ35A、35Bがオフであることを検出する。
【0050】
前記判定回路44は、C領域接点開閉検出部42、D領域接点開閉検出部43の検出結果を基にC領域、D領域の検出結果が整合せず、C領域が故障であると判定する。
前記制御信号生成回路45は、前記判定回路44の判定結果を基にC領域の接点故障を意味する制御信号を出力する。これにより、表示部52のC領域の接点故障ランプ47が点灯する。
【0051】
逆に、D領域の2個の長尺スイッチ35A、35Bがのうちのいずれかが何らかの原因でオン、C領域の2個の長尺スイッチ34A、34Bがオフの場合には、上述した場合と同様な動作の基に表示部52のD領域の接点故障ランプ48が点灯する。
このような動作により、C領域又はD領域の接点故障状態(接点短絡、配線短絡等)を簡略に検出し保守員等に的確に認識させることができる。
【0052】
次に、前記フォークリフトの運転席に作業者が立ち、マットスイッチ50におけるC領域の2個の長尺スイッチ34A、34Bのいずれか及びD領域の2個の長尺スイッチ35A、35Bのいずれかを左右の足で各々踏んだものとする。これにより、前記C領域、D領域の長尺スイッチ34A、34Bのいずれか、長尺スイッチ35A、35Bのいずれかは左右の足からの外力により、各々オン状態に転ずる。
【0053】
このとき、前記C領域接点開閉検出部42、D領域接点開閉検出部43は、C領域の長尺スイッチ34A、34Bのいずれか及びD領域の2個の長尺スイッチ35A、35Bのいずれかがオンであることを各々検出し、前記判定回路44はC領域接点開閉検出部42及びD領域接点開閉検出部43の検出結果を基に、前記C領域の長尺スイッチ34A又は34B、D領域の2個の長尺スイッチ35A又は35Bがともにオンであると判定する。
【0054】
前記制御信号生成回路45は、前記判定回路44の判定結果を基に、作業者の在席を意味する制御信号を出力し、これにより、表示部52の在席ランプ49が点灯し、作業者に在席状態であることを的確に認識させることができる。
【0055】
また、作業者の在席を意味する制御信号により、前記フォークリフトの運転を可能状態とする制御を行い、この在席を意味する制御信号が途絶えたときフォークリフトの運転を停止させる制御を行うことで、マットスイッチ50の本来の機能、すなわち、作業者が運転席に在席するときのみフォークリフトの運転を可能状態とするという機能を発揮させることができる。
【0056】
更に、上述した構成に係るマットスイッチ50によれば、マット本体50Aに前記辺部隔壁32及び中央隔壁33により2つに分割された作業者の左右両足により踏まれる領域C、Dを設けているので、仮に風雨等に伴う水が領域C、Dのいずれかに浸入したとしても、中央隔壁33により水を遮断することができ、両領域C、D双方の長尺スイッチが同時に短絡してしまうという危険性を回避でき、安全性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明のマットスイッチは、安全監視のための用途の他、犬、猫等の動物の存在検知等にも応用でき、また、本発明の足踏み検知用のマットスイッチは、運転者が定位置の操作盤の前に位置して運転を行う各種産業機械等用として広範に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施例1に係るマットスイッチ装置の概略構成図である。
【図2】本実施例1に係るマットスイッチの長尺スイッチの接続状態を示す概略構成図である。
【図3】本実施例1に係るマットスイッチ装置におけるスイッチ状態検出手段のブロック構成図である。
【図4】本実施例1に係るマットスイッチ装置のA、B系列の接点のオン、オフ状態と制御状態とを示す説明図である。
【図5】本発明の実施例2に係る足踏み検知用のマットスイッチ装置の概略構成図である。
【図6】本実施例2に係るマットスイッチ装置におけるスイッチ状態検出手段のブロック構成図である。
【図7】本実施例2に係るマットスイッチ装置のC、D領域の接点のオン、オフ状態と制御状態とを示す説明図である。
【図8】従来のマットスイッチの一例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
1 マットスイッチ装置
2 マット本体
3 長尺スイッチ群
3A 長尺スイッチ
3B 長尺スイッチ
3C 長尺スイッチ
4A 長尺スイッチ
4B 長尺スイッチ
4C 長尺スイッチ
5 外被
6 外被
7 上電極
8 下電極
9a 信号取り出し線
9b 信号取り出し線
10 マットスイッチ
11 A系列接点開閉検出部
12 B系列接点開閉検出部
13 判定回路
14 制御信号生成回路
15 表示部
16 正常ランプ
17 接点故障ランプ
18 接点故障ランプ
19 非常事態発生ランプ
20 スイッチ状態検出手段
21 上リード線
22 下リード線
31 マットスイッチ装置
32 辺部隔壁
33 中央隔壁
34A 長尺スイッチ
34B 長尺スイッチ
35A 長尺スイッチ
35B 長尺スイッチ
36 上電極
37 下電極
38 上リード線
39 下リード線
40 信号取り出し線
41 信号取り出し線
42 C領域接点開閉検出部
43 D領域接点開閉検出部
44 判定回路
45 制御信号生成回路
46 正常ランプ
47 接点故障ランプ
48 接点故障ランプ
49 在席ランプ
50 マットスイッチ
50A マット本体
51 スイッチ状態検出手段
52 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マット本体と、
このマット本体に対して、1個跳び並列状態の2系列に分け、かつ、各系列毎に並列接続して配列された外力の有無によりオン、オフする複数の長尺スイッチと、
を有することを特徴とするマットスイッチ。
【請求項2】
マット本体と、
このマット本体に対して、1個跳び並列状態の2系列に分け、かつ、各系列毎に並列接続して配列された外力の有無によりオン、オフする複数の長尺スイッチと、
を具備するマットスイッチと、
各系列の端部の各長尺スイッチに接続され、前記2系列の長尺スイッチのオン、オフ状態の組み合わせを判定し、マットスイッチ自体の正常、接点故障又は非常事態発生を検出するスイッチ状態検出手段と、
を有することを特徴とするマットスイッチ装置。
【請求項3】
マット本体と、
このマット本体に対して、1個跳び並列状態の2系列に分け、かつ、各系列毎に並列接続して平行に配列され、外力の有無によりオン、オフする複数の長尺スイッチと、
を有することを特徴とするマットスイッチ。
【請求項4】
マット本体と、
このマット本体に対して、1個跳び並列状態の2系列に分け、かつ、各系列毎に並列接続して平行に配列され、外力の有無によりオン、オフする複数の長尺スイッチと、
を具備するマットスイッチと、
各系列の端部の各長尺スイッチから導出した信号取り出し線に接続され、前記2系列の長尺スイッチのオン、オフ状態の組み合わせを判定し、マットスイッチ自体の正常、接点故障又は非常事態発生を検出するスイッチ状態検出手段と、
を有することを特徴とするマットスイッチ装置。
【請求項5】
マット本体と、
このマット本体に対して、1個跳び並列状態の2系列に分け、かつ、各系列毎に並列接続して平行に配列され、2系列のうちの一方を防水処理し、他方を防水処理しないで、外力の有無によりオン、オフする複数の長尺スイッチと、
を有することを特徴とするマットスイッチ。
【請求項6】
マット本体と、
このマット本体に対して、1個跳び並列状態の2系列に分け、かつ、各系列毎に並列接続して平行に配列され、2系列のうちの一方を防水処理し、他方を防水処理しないで、外力の有無によりオン、オフする複数の長尺スイッチと、
を具備するマットスイッチと、
各系列の端部の各長尺スイッチから導出した信号取り出し線に接続され、前記2系列の長尺スイッチのオン、オフ状態の組み合わせを判定し、マットスイッチ自体の正常、接点故障又は非常事態発生を検出するスイッチ状態検出手段と、
を有することを特徴とするマットスイッチ装置。
【請求項7】
両足により踏まれるマット本体と、
このマット本体の2つの領域に各々配置した長尺スイッチと、
を有することを特徴とする足踏み検知用のマットスイッチ。
【請求項8】
両足により踏まれる2つの領域を隔壁を用いて形成したマット本体と、
このマット本体の2つの領域に各々配置した長尺スイッチと、
を具備するマットスイッチと、
前記2つの領域の長尺スイッチに接続され、各領域の長尺スイッチのオン、オフ状態の組み合わせを判定し、マットスイッチ自体の正常、接点故障又はマット本体上の両足負荷の存在を検出するスイッチ状態検出手段と、
を有することを特徴とする足踏み検知用のマットスイッチ装置。
【請求項9】
両足により踏まれる2つの領域を隔壁を用いて上面部に形成したマット本体と、
このマット本体の2つの領域に配置した各々直列接続の複数の長尺スイッチと、
を有することを特徴とする足踏み検知用のマットスイッチ。
【請求項10】
両足により踏まれる2つの領域を隔壁を用いて上面部に形成したマット本体と、
このマット本体の2つの領域に配置した各々直列接続の複数の長尺スイッチと、
を具備するマットスイッチと、
前記2つの領域の各長尺スイッチから導出した信号取り出し線に接続され、各領域の長尺スイッチのオン、オフ状態の組み合わせを判定し、マットスイッチ自体の正常、接点故障又はマット本体上の両足負荷の存在を検出するスイッチ状態検出手段と、
を有することを特徴とする足踏み検知用のマットスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−310980(P2008−310980A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155396(P2007−155396)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(390024718)株式会社東京センサ (12)
【Fターム(参考)】