説明

マットレス

【課題】マットレスがストレッチャーに対して滑らず、トランスファーシートをマットレスに収納可能とする。
【解決手段】マットレス本体2は、ストレッチャー10に載置されている。トランスファーシート3は、可撓性低摩擦係数材料で、両端縁がマットレス本体2の一側端縁に連結されて閉ループ状に形成されている。板状カバー材4は、マットレス本体2の裏面側にトランスファーシート3を水平方向に出入れ可能に収納する収納部20を有するように、マットレス本体2裏面側を覆っている。ストレッチャー10からベッド9へ患者Yが移乗する際、収納部20から引き出したトランスファーシート3の引き出し端側を折り返してマットレス本体2上に載せ、患者Yをトランスファーシート3に乗せた状態で押出し操作することにより、患者Y下方のトランスファーシート3の上側内面と下側内面とを互いに摺接させて患者Yをストレッチャー10からベッド9へ移乗させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者搬送用のストレッチャー上に載置されるマットレスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、病院構内では、動けない患者を搬送するためにストレッチャーが用いられていて、該ストレッチャー上には、患者が快適に横たわることができるようにマットレスが載置されている。一般的に、上記患者のストレッチャーからベッドへの移乗、又は、ベッドからストレッチャーへの移乗は、ストレッチャーをベッドに横付けてストレッチャーとベッドの床面との高さを略均一とした後、複数人で上記患者を持ち上げて移乗させる方法が採られている。
【0003】
しかし、上記の方法では、患者の持ち上げ方によっては、患者の身体に過度の負担がかかってしまうおそれがある。
【0004】
そこで、特許文献1では、摩擦係数が低い材料からなる可撓性トランスファーシートの両側端縁をそれぞれ上記マットレスの両側端縁に連結させて、上記マットレス及びトランスファーシートで閉ループ状となるようにしていて、患者が横たわるマットレスを該マットレスの幅方向へ押出し操作することにより、トランスファーシートの内周面に対してマットレス下面が水平方向に滑り、容易に患者をストレッチャーからベッドへ、或いは、ベッドからストレッチャーへ移乗させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平6−24558号公報(段落0022欄、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のマットレスは、常にトランスファーシートの内面がマットレス下面に接する状態で上記ストレッチャー上に載置されるようになるので、トランスファーシートに対してマットレスが滑り易く、ストレッチャーで患者を搬送する際や患者に対して背上げを行う際に、マットレスが勢い余って滑り、当該マットレス上の患者がストレッチャーの転落防止柵に接触してしまうおそれがある。
【0007】
また、特許文献1では、トランスファーシートの未使用時の収納について何ら考慮されていない。したがって、上記トランスファーシートは、未使用時にマットレスからはみ出したままとなり使い勝手が悪い。
【0008】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ストレッチャー上に載置されるマットレスであって、使い勝手が良く、且つ、安全性の高いマットレスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、マットレスがストレッチャーに対して滑らないような工夫を凝らすとともに、トランスファーシートをマットレスに収納できるようにしたことを特徴とする。
【0010】
すなわち、第1の発明では、患者を搬送するストレッチャー上に載置され、患者が寝姿勢で横たわるマットレス本体と、可撓性低摩擦係数材料からなり、両端縁が上記マットレス本体の一側端側に連結されて閉ループ状に形成されたトランスファーシートと、上記マットレス本体の裏面側に上記トランスファーシートを水平方向に出入れ可能に収納する収納部を有するように、上記マットレス本体と間隔をあけて略水平に設けられて上記マットレス本体の裏面側を覆う板状カバー材とを備え、患者を上記ストレッチャーからベッドへ移乗させる際、上記収納部から引き出したトランスファーシートの引き出し端部側を折り返して上記マットレス本体上に載せ、該マットレス本体上のトランスファーシートに患者を乗せた状態で当該患者を押出し操作することにより、患者下方のトランスファーシートの上側内面と下側内面とを互いに摺接させて患者をストレッチャーからベッドへ移乗させる一方、患者を上記ベッドからストレッチャーへ移乗させる際、上記収納部から引き出したトランスファーシートを上記ベッド上に乗せ、該ベッド上のトランスファーシートに患者を乗せた状態で当該患者を押出し操作することにより、患者下方のトランスファーシートの上側内面と下側内面とを互いに摺接させて患者をベッドからストレッチャーへ移乗させるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、上記トランスファーシートは、上記マットレス本体の幅方向両側端側に一枚ずつ連結され、上記板状カバー材は、上記トランスファーシートをマットレス本体の両側端側からそれぞれ出し入れ可能に上記収納部を2個有していることを特徴とする。
【0012】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、上記マットレス本体は、板状のクッション材と、該クッション材を覆う防水性表皮材とを備えていることを特徴とする。
【0013】
第4の発明では、第3の発明において、上記クッション材は、ウレタン発泡材であることを特徴とする。
【0014】
第5の発明では、第3又は第4の発明において、上記板状カバー材は、高摩擦係数材料からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明では、トランスファーシートは、未使用時には、収納部に収納されているので、トランスファーシートが患者に絡まるようなことはなく、使い勝手の良いマットレスとすることができる。また、ストレッチャーにマットレスを載置した際に、マットレス本体とストレッチャーとの間においてトランスファーシートが直にストレッチャーに接触しなくなる。したがって、ストレッチャーに対してマットレス本体が滑りにくくなり、ストレッチャーで患者を搬送したり患者の背上げを行っても、マットレス本体が安定しており、マットレス本体上の患者がストレッチャーの転落防止柵に接触するといった事態を回避でき、安全性の高いマットレスとすることができる。さらに、トランスファーシートを収納部から引き出して使用する状態においても、板状カバー材とストレッチャーとが接触する状態が維持されるので、マットレス本体とストレッチャーとの間においてトランスファーシートが直にストレッチャーに接触することはなく、マットレス本体を安定した状態で使用することができる。
【0016】
第2の発明では、マットレス本体の両側端側からそれぞれ外側方にトランスファーシートを引き出すことができるので、ストレッチャーをベッドに横付けする際に、ベッドの位置(ストレッチャーの横付け位置)を気にする必要がなく使い勝手が良い。
【0017】
第3の発明では、マットレス本体がクッション性を有しているので、横たわった患者の体が適度に沈み込んで快適性を高めることができ、しかも表皮材が防水性であるので、マットレスが汚れたときに汚れを素早く拭き取ることができ、衛生的な環境を保つことができる。
【0018】
第4の発明では、患者とマットレス本体との接触部分の圧力が分散するので、患者に局所的にかかる負荷を抑えて身体的負担を軽減することができる。
【0019】
第5の発明では、ストレッチャーとマットレス本体との間の摩擦抵抗が高まるので、ストレッチャーで患者を搬送したり患者の背上げを行う際のマットレス本体の安定性がさらに増すようになり、患者の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ストレッチャー上に載置された本発明の実施形態に係るマットレス上に患者が横たわっている状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るマットレスからトランスファーシートを引き出した状態を示す斜視図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】患者をストレッチャーからベッドに移乗させる際に、患者の下にトランスファーシートを敷き込む状態を示した斜視図である。
【図5】患者をストレッチャーからベッドに移乗させる直前の状態を示す斜視図である。
【図6】患者をストレッチャーからベッドに移乗させている途中の状態を示す斜視図である。
【図7】患者をストレッチャーからベッドに移乗させた直後の状態を示す斜視図である。
【図8】患者をベッドからストレッチャーに移乗させる際に、患者の下にトランスファーシートを敷き込む状態を示した斜視図である。
【図9】患者をベッドからストレッチャーに移乗させる直前の状態を示す斜視図である。
【図10】患者をベッドからストレッチャーに移乗させている途中の状態を示す斜視図である。
【図11】患者をベッドからストレッチャーに移乗させた直後の状態を示す斜視図である。
【図12】図5のB−B線断面図である。
【図13】図9のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係るマットレス1がストレッチャー10上に載置され、上記マットレス1上に患者Yが寝姿勢で横たわっている状態を示している。上記マットレス1は、患者Yが上記ストレッチャー10上で搬送中に快適な状態で横たわることができ、しかも、上記ストレッチャー10とベッド9との間で患者の移乗を簡易に行えるようにするものである。尚、上記ストレッチャー10は、従来周知の構造のものであり、患者Yが横たわるマットレス1を載置するベッド部11と、該ベッド部11を水平方向に移動可能とする4つのキャスター13とを備えていて、上記ベッド部11の周りには、患者Yがベッド部11から転落するのを防止する複数の転落防止柵14が着脱可能に取り付けられている。そして、上記ストレッチャー10は、ハンドル12を回してリフト機構15を駆動させることにより、上記ベッド部11を昇降させることができるようになっている。また、上記ベッド9は、病棟内で一般的に使用される従来周知の構造のものであり、患者Yが横たわるベッド本体91を備え、該ベッド本体91の周りには、患者Yがベッド本体91から転落するのを防止する複数の転落防止柵92が着脱可能に取り付けられている。
【0023】
上記マットレス1は、図2及び図3に示すように、四隅が大きく面取りされた略長方形板状マットレス本体2と、両端縁が上記マットレス本体2の一側端側に連結されて閉ループ状に形成されたトランスファーシート3と、上記マットレス本体2の裏面側を覆う板状カバー材4とを備えている。
【0024】
上記マットレス本体2は、図3に示すように、ウレタン発泡材を用いて形成された板状のクッション材21と、該クッション材21の下面を除く外表面を覆う防水性表皮材22とを備えている。該表皮材22は、基材がナイロンでポリ塩化ビニルをラミネートした合成皮革からなっている。
【0025】
上記トランスファーシート3は、ナイロン系の化学繊維で形成された摩擦係数が低い可撓性を有する材料であり、その内面側は表面処理が施されていて、外面側に比べて摩擦抵抗が低くなっている。また、上記トランスファーシート3は、上記マットレス本体2の幅方向両側端側に1枚ずつ連結されている。そして、患者Yを上記ストレッチャー10からベッド9へ移乗させる際、図12に示すように、上記収納部20から引き出したトランスファーシート3の引き出し端部側を折り返して上記マットレス本体2上に載せ、該マットレス本体2上のトランスファーシート3に患者Yを乗せた状態で押出し操作することにより、上記患者Y下方のトランスファーシート3の上側内面と下側内面とを互いに摺接させて、患者Yをストレッチャー10からベッド9へ移乗させる一方、図13に示すように、患者Yを上記ベッド9からストレッチャー10へ移乗させる際、上記収納部20から引き出したトランスファーシート3を上記ベッド9上に乗せ、該ベッド9上のトランスファーシート3に患者Yを乗せた状態で当該患者Yを押出し操作することにより、患者Y下方のトランスファーシート3の上側内面と下側内面とを互いに摺接させて患者Yをベッド9からストレッチャー10へ移乗させるように構成されている。
【0026】
上記板状カバー材4は、基材がポリエステルでポリ塩化ビニルをラミネートした合成皮革であり、高い摩擦係数を有していて、上記トランスファーシート3をマットレス本体2の幅方向両端縁から水平方向に出し入れ可能に収納する左右一対の収納部20を有するように上記マットレス本体2と間隔をあけて略水平に設けられている。
【0027】
次に、患者Yをストレッチャー10とベッド9との間で移乗させる要領について詳細に説明する。
【0028】
まず、ストレッチャー10に載置されたマットレス1に横たわる患者Yをベッド9へ移乗させる要領について説明する。
【0029】
初めに、ストレッチャー10をベッド9の幅方向一方側に横付けして転落防止柵14をストレッチャー10の外周から外し、4つのキャスター13をロックしてストレッチャー10を固定する。また、同時に、ベッド9から転落防止柵92を取り外す。
【0030】
次に、上記ストレッチャー10の長手方向一方側に設けられたハンドル12を回してリフト機構15により上記ベッド部11を昇降させてマットレス1の上面をベッド9の床面の高さより高くする。
【0031】
そして、図4に示すように、マットレス本体2に仰臥位で横たわる患者Yの体位を、マットレス本体2の幅方向反ベッド9側に側臥位で横たわるように体位を変更させ、上記マットレス本体2の幅方向ベッド9側に位置する収納部20に収納されたトランスファーシート3をベッド9側へ引き出す。
【0032】
しかる後、上記トランスファーシート3の引き出し端部側を折り返して上記マットレス本体2上に載せた後、図5に示すように、上記患者Yの体位を側臥位から仰臥位に変更させて上記マットレス本体2上のトランスファーシート3に患者Yを乗せる。
【0033】
そして、上記患者Yの肩と太股あたりをベッド9側に押すと、図6に示すように、患者Y下方のトランスファーシート3の上側内面と下側内面とが互いに摺接して、患者Yがストレッチャー10からベッド9まで移乗し、図7に示すように、患者Yがベッド9上に横たわり移乗が完了する。
【0034】
次に、ベッド9上に横たわる患者Yをストレッチャー10に載置されたマットレス1に移乗させる要領について説明する。
【0035】
まず初めに、ストレッチャー10をベッド9の幅方向他方側に横付けして転落防止柵14をストレッチャー10の外周から外し、4つのキャスター13をロックしてストレッチャー10を固定する。また、同時に、ベッド9から転落防止柵92を取り外す。
【0036】
次に、上記ストレッチャー10の長手方向一方側に設けられたハンドル12を回してリフト機構15により、上記ベッド部11を昇降させてマットレス1の上面をベッド9の床面の高さより低くする。
【0037】
そして、図8に示すように、ベッド9に仰臥位で横たわる患者Yの体位を、マットレス本体2の幅方向反ストレッチャー10側に側臥位で横たわるように変更させ、上記マットレス本体2の幅方向ベッド9側に位置する収納部20に収納されたトランスファーシート3をベッド9側へ引き出す。
【0038】
しかる後、上記トランスファーシート3を上記マットレス本体2上に載せた後、図9に示すように、上記患者Yの体位を側臥位から仰臥位に変更させて該ベッド9上のトランスファーシート3に患者Yを乗せる。
【0039】
そして、上記患者Yの肩と太股あたりをストレッチャー10側に押すと、図10に示すように、患者Y下方のトランスファーシート3の上側内面と下側内面とが互いに摺接して、患者Yがベッド9からストレッチャー10まで移乗し、図11に示すように、患者Yがストレッチャー10上のマットレス1上に横たわり移乗が完了する。
【0040】
以上より、本発明の実施形態によれば、トランスファーシート3は、未使用時には、収納部20に収納されているので、トランスファーシート3が患者Yに絡まるようなことはなく、使い勝手の良いマットレスとすることができる。また、ストレッチャー10にマットレス1を載置した際に、マットレス本体2とストレッチャー10との間においてトランスファーシート3が直にストレッチャー10に接触しなくなる。したがって、ストレッチャー10に対してマットレス本体2が滑り難くなり、ストレッチャー10で患者Yを搬送したり患者Yの背上げを行っても、マットレス本体2が安定しており、マットレス本体2上の患者Yがストレッチャー10の転落防止柵14に接触するといった事態を回避でき、安全性の高いマットレス1とすることができる。さらに、トランスファーシート3を収納部20から引き出して使用する状態においても、板状カバー材4とストレッチャー10とが接触する状態が維持されるので、マットレス本体2とストレッチャー10との間においてトランスファーシート3が直にストレッチャー10に接触することはなく、マットレス本体2を安定した状態で使用することができる。
【0041】
また、マットレス本体2の両側端側からそれぞれ外側方にトランスファーシート3を引き出すことができるので、ストレッチャー10をベッド9に横付けする際に、ベッド9の位置(ストレッチャー10の横付け位置)を気にする必要がなく使い勝手が良い。しかも、マットレス本体2に仰臥位で横たわる患者Yの体位を、マットレス本体2の幅方向一方側に側臥位で横たわるように変えると、マットレス本体2の幅方向他方側に収納されたトランスファーシート3が、患者Yの体圧の開放により、外側方に引き出し易くなる一方、マットレス本体2に仰臥位で横たわる患者の体位を、マットレス本体2の幅方向他方側に側臥位で横たわるように変えると、マットレス本体2の幅方向一方側に収納されたトランスファーシート3が、患者Yの体圧の開放により、外側方に引き出し易くなる。したがって、マットレス本体2に患者が横たわっていても容易にトランスファーシート3を収納部から引き出すことができ、使い勝手が良い。
【0042】
さらに、上記マットレス本体2がクッション性を有しているので、横たわった患者Yの体が適度に沈み込んで快適性を高めることができ、しかも表皮材22が防水性であるので、マットレス1が汚れたときに汚れを素早く拭き取ることができ、衛生的な環境を保つことができる。
【0043】
それに加え、上記クッション材21は、ウレタン発泡材からなり、患者Yとマットレス本体2との接触部分の圧力が分散するようになるので、患者Yに局所的にかかる負荷を抑えて身体的負担を軽減することができる。
【0044】
そして、板状カバー材4により、ストレッチャー10とマットレス本体2との間の摩擦抵抗が高まるので、ストレッチャー10で患者Yを搬送したり患者Yの背上げを行う際のマットレス本体2の安定性がさらに増すようになり、患者Yの安全性を高めることができる。
【0045】
尚、本発明の表皮材22は、基材がナイロンでポリ塩化ビニルをラミネートした合成皮革を用いたが、これに限らず、例えば、基材がポリエステルでポリ塩化ビニルをラミネートしたものや、ウレタンの人工皮革を用いてもよい。
【0046】
また、本発明のトランスファーシート3は、ナイロン系の化学繊維の材料を用いたが、これに限らず、例えば、ポリエステル系の化学繊維の材料を用いてもよく、低摩擦係数材料であればよい。さらに、上記トランスファーシート3は、内面のみ摩擦係数の低い材料を用いて形成してもよい。
【0047】
また、本発明の板状カバー材4は、基材がポリエステルでポリ塩化ビニルをラミネートした合成皮革を用いたが、これに限らず、例えば、基材がナイロンでポリ塩化ビニルをラミネートしたものを用いてもよい。また、上記板状カバー材4は、表面を特殊加工して高摩擦係数を有するウレタンの人工皮革で形成してもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、トランスファーシート3がマットレス本体2の幅方向一方側と他方側とに1枚ずつ設けられているが、少なくともどちらか一方に設けられていれば良い。
【0049】
また、上記マットレス1に患者Yを乗せた状態のまま上記マットレス1を持ち上げることができるように、マットレス本体2の両側端縁に複数の持ち手を設けるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、例えば、患者搬送用のストレッチャー上に載置されるマットレスに適している。
【符号の説明】
【0051】
1 マットレス
2 マットレス本体
3 トランスファーシート
4 板状カバー材
9 ベッド
10 ストレッチャー
20 収納部
21 クッション材
22 表皮材
Y 患者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を搬送するストレッチャー上に載置され、患者が寝姿勢で横たわるマットレス本体と、
可撓性低摩擦係数材料からなり、両端縁が上記マットレス本体の一側端側に連結されて閉ループ状に形成されたトランスファーシートと、
上記マットレス本体の裏面側に上記トランスファーシートを水平方向に出入れ可能に収納する収納部を有するように、上記マットレス本体と間隔をあけて略水平に設けられて上記マットレス本体の裏面側を覆う板状カバー材とを備え、
患者を上記ストレッチャーからベッドへ移乗させる際、上記収納部から引き出したトランスファーシートの引き出し端部側を折り返して上記マットレス本体上に載せ、該マットレス本体上のトランスファーシートに患者を乗せた状態で当該患者を押出し操作することにより、患者下方のトランスファーシートの上側内面と下側内面とを互いに摺接させて患者をストレッチャーからベッドへ移乗させる一方、患者を上記ベッドからストレッチャーへ移乗させる際、上記収納部から引き出したトランスファーシートを上記ベッド上に乗せ、該ベッド上のトランスファーシートに患者を乗せた状態で当該患者を押出し操作することにより、患者下方のトランスファーシートの上側内面と下側内面とを互いに摺接させて患者をベッドからストレッチャーへ移乗させるように構成されていることを特徴とするマットレス。
【請求項2】
請求項1に記載のマットレスであって、
上記トランスファーシートは、上記マットレス本体の幅方向両側端側に一枚ずつ連結され、
上記板状カバー材は、上記トランスファーシートをマットレス本体の両側端側からそれぞれ出し入れ可能に上記収納部を2個有していることを特徴とするマットレス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のマットレスであって、
上記マットレス本体は、板状のクッション材と、該クッション材を覆う防水性表皮材とを備えていることを特徴とするマットレス。
【請求項4】
請求項3に記載のマットレスであって、
上記クッション材は、ウレタン発泡材であることを特徴とするマットレス。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のマットレスであって、
上記板状カバー材は、高摩擦係数材料からなることを特徴とするマットレス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−50577(P2012−50577A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194637(P2010−194637)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 刊行物名:第12回日本褥瘡学会学術集会にて発表された「体圧分散式トランスファーマットレス」のカタログ 発行者 :株式会社モルテン 発行日 :平成22年8月20日
【出願人】(000138244)株式会社モルテン (105)
【Fターム(参考)】